(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】安全装置
(51)【国際特許分類】
H01H 27/00 20060101AFI20220323BHJP
H01H 36/00 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
H01H27/00 J
H01H36/00 M
H01H36/00 N
H01H36/00 A
H01H36/00 D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018072455
(22)【出願日】2018-04-04
【審査請求日】2021-02-02
(32)【優先日】2017-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516027731
【氏名又は名称】オイヒナー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング プルス コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】EUCHNER GmbH + Co. KG
【住所又は居所原語表記】Kohlhammerstr. 16, D-70771 Leinfelden-Echterdingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム マイレンダー
(72)【発明者】
【氏名】ゼーレン アルブレヒト
(72)【発明者】
【氏名】マティアス クラウス
(72)【発明者】
【氏名】イーロ グリム
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-036655(JP,A)
【文献】特表2016-529673(JP,A)
【文献】特開2007-180017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 27/00
H01H 36/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全スイッチ(2)と、前記安全スイッチ(2)に対して相対的に可動に配置されたアクチュエータ(3)と、を備えた安全装置(1)であって、
前記アクチュエータ(3)にはトランスポンダ(5)が配置されており、前記安全スイッチ(2)には読み出しユニット(4)が配置されており、前記アクチュエータ(3)の閉位置は、前記トランスポンダ(5)のトランスポンダ信号が前記読み出しユニット(4)において検出されることによってチェックされる、安全装置(1)において、
前記安全スイッチ(2)は、作用部材(12)を備えたガードロック部材(6)を有しており、前記アクチュエータ(3)は、前記トランスポンダ(5)に結合されたセンサ(11)を有しており、前記アクチュエータ(3)の前記閉位置において前記ガードロック部材(6)は、前記アクチュエータ(3)の収容部(7)に挿入可能であり、これによって、前記アクチュエータ(3)のロックが行われ、ロックは、前記ガードロック部材(6)が前記収容部(7)に挿入されている場合にのみ、前記作用部材(12)が前記センサ(11)の作用領域内にあることによって、チェックされるようになっており、前記センサ(11)は、センサ信号を生成し、前記センサ信号により、前記トランスポンダ(5)から送信されるトランスポンダ信号が変更され、前記変更されたトランスポンダ信号が前記読み出しユニット(4)において検出される、
ことを特徴とする安全装置(1)。
【請求項2】
前記トランスポンダ(5)は、トランスポンダ振動回路の構成部分として少なくとも1つのトランスポンダチップ(9)およびトランスポンダコイル(10)を有しており、前記トランスポンダ(5)により、コード化されたトランスポンダ信号が生成される、
請求項1記載の安全装置(1)。
【請求項3】
前記センサ(11)は、前記トランスポンダ振動回路の構成部分であり、前記センサ(11)の前記作用領域内に入れられた前記作用部材(12)により、前記トランスポンダ振動回路の共振周波数が変更される、
請求項2に記載の安全装置(1)。
【請求項4】
前記読み出しユニット(4)は、前記ガードロック部材(6)が前記アクチュエータ(3)の前記収容部(7)に挿入されていない場合、第1搬送周波数で前記トランスポンダ(5)のトランスポンダ信号を受信し、前記ガードロック部材(6)が前記アクチュエータ(3)の前記収容部(7)に挿入されていて、前記トランスポンダ振動回路の前記共振周波数が前記作用部材(12)によって変更されると、前記読み出しユニット(4)は、第2搬送周波数で前記トランスポンダ(5)のトランスポンダ信号を受信する、
請求項3記載の安全装置(1)。
【請求項5】
前記センサ(11)は、コイルから構成されており、前記ガードロック部材(6)の前記作用部材(12)は、磁性材料から構成されている、
請求項4記載の安全装置(1)。
【請求項6】
前記センサ(11)は、コンデンサから構成されている、
請求項5記載の安全装置(1)。
【請求項7】
前記トランスポンダ(5)は、論理ユニット(13)を備えたトランスポンダチップ(9)を有しており、前記センサ(11)は、前記トランスポンダチップ(9)の入力側(15)に接続されており、前記作用部材(12)によって前記センサ(11)に作用が及ぼされると、前記センサ(11)は、センサ信号を生成し、前記センサ信号により、前記トランスポンダ(5)を介して前記読み出しユニット(4)に伝送されるコードの切り換えが前記トランスポンダチップ(9)において行われる、
請求項2記載の安全装置(1)。
【請求項8】
前記センサ(11)は、近接スイッチである、
請求項7記載の安全装置(1)。
【請求項9】
前記トランスポンダ(5)は、2つのトランスポンダチップ(9a,9b)を有しており、前記2つのトランスポンダチップ(9a,9b)は、それぞれ前記センサ(11)に接続されており、前記2つのトランスポンダチップ(9a,9b)には異なるコードが記憶されており、
前記ガードロック部材(6)の前記作用部材(12)が、前記センサ(11)の前記作用領域外に配置されている場合、前記センサ(11)によって第1トランスポンダチップ(9a)が選択されて、そのコードがトランスポンダ信号として前記読み出しユニット(4)に伝送され、
前記ガードロック部材(6)の前記作用部材(12)が、前記センサ(11)の前記作用領域内に配置されている場合、前記センサ(11)によって第2トランスポンダチップ(9b)が選択されて、そのコードがトランスポンダ信号として前記読み出しユニット(4)に伝送される、
請求項2記載の安全装置(1)。
【請求項10】
前記センサ(11)は、2値のスイッチ信号を生成するスイッチ素子であり、前記スイッチ信号のスイッチ状態に依存して前記トランスポンダチップ(9a,9b)のうちの1つが選択される、
請求項9記載の安全装置(1)。
【請求項11】
前記スイッチ素子は、リード接点、MEMSスイッチまたはホールセンサである、
請求項10記載の安全装置(1)。
【請求項12】
前記センサ(11)および前記作用部材(12)は、非接触式に動作するユニットを構成する、
請求項1から11までのいずれか1項記載の安全装置(1)。
【請求項13】
前記作用部材(12)は、電気的な接続を有しない受動素子である、
請求項1から12までのいずれか1項記載の安全装置(1)。
【請求項14】
前記ガードロック部材(6)は、前記安全スイッチ(2)内で駆動器によって移動可能に配置されている、
請求項1から12までのいずれか1項記載の安全装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような安全装置には、安全スイッチと、この安全スイッチに対して相対的に可動に配置されたアクチュエータと、が含まれている。このように構成される安全装置は、一般に安全技術の分野に使用される。安全技術の分野におけるこのような使用の一例は、危険領域への入口ガードであり、その際、入口を安全ドアによって閉鎖することができる。このようなケースでは、アクチュエータが一般に安全ドアに配置されているのに対し、安全スイッチは、入口を画定するフレーム構造体に配置されている。
【0003】
公知の安全スイッチは、アクチュエータに組み込まれたトランスポンダと、安全スイッチに組み込まれた読み出しユニットと、を備えたRFIDシステムを有する。このRFIDシステムにより、安全ドアの閉位置をチェックすることができる。ドアが閉位置にある場合にのみ、アクチュエータにおけるトランスポンダが、安全スイッチの読み出しユニットに空間的に対応付けられて、トランスポンダにおけるトランスポンダ信号が読み出しユニットによって受信されるようになる。
【0004】
さらに安全装置により、安全ドアをその閉位置において施錠することができる。このために安全スイッチは一般にガードロックピンの形態のガードロック部材を有しており、このガードロックピンは、安全ドアが閉位置にある場合にのみ、アクチュエータの収容部に、特に凹部に進入することができ、これによって安全ドアのロックが行われる。
【0005】
このような安全装置における問題の1つになり得るのは、確かにRFIDシステムはまだ安全ドアの閉位置をシグナリングしているが、ガードロックピンがアクチュエータの収容部から外れている位置にこのアクチュエータがもたらされている可能性があることである。この場合、安全スイッチは、実際の状況に対応していないのにも拘わらず、安全ドアのロック状態を通知する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の根底にある課題は、構造に関する手間を小さくするとともに高い機能確実性を有する、冒頭に述べた態様の安全装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するため、請求項1の特徴的構成が設けられている。有利な実施形態および有用な発展形態は、従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明は、安全スイッチと、この安全スイッチに対して相対的に可動に配置されたアクチュエータと、を備えた安全装置に関する。アクチュエータにはトランスポンダが配置されており、安全スイッチには読み出しユニットが配置されている。アクチュエータの閉位置は、トランスポンダのトランスポンダ信号が読み出しユニットにおいて検出されることによってチェックされる。安全スイッチは、作用部材を備えたガードロック部材を有する。アクチュエータは、トランスポンダに結合されたセンサを有する。アクチュエータの閉位置においてガードロック部材は、アクチュエータの収容部に挿入可能である。これによってアクチュエータのロックが行われる。ロックは、ガードロック部材が収容部に挿入されている場合にのみ、作用部材がセンサの作用領域内にあることによって、チェックされる。このセンサは、センサ信号を生成し、このセンサ信号により、トランスポンダから送信されるトランスポンダ信号が変更される。変更されたこのトランスポンダ信号は、読み出しユニットにおいて検出される。
【0009】
本発明による安全装置は、高い機能確実性を有する。安全スイッチに組み込まれた読み出しユニットおよびアクチュエータに組み込まれたトランスポンダによってチェック可能であるのは、このアクチュエータがその閉位置にあるか否かである。なぜならばこの閉位置においてトランスポンダのトランスポンダ信号が読み出しユニットによって受信されて読み込まれるからである。さらに、アクチュエータが閉位置にある場合、安全スイッチのガードロック部材がアクチュエータの収容部に挿入されていることにより、安全装置によって、ロックが実現される。
【0010】
本発明では、このロックが、ガードロック部材に組み込まれた作用部材と、アクチュエータに組み込まれたセンサと、によってチェックおよびモニタリングされ、これによって安全装置は不正操作に対して防護されている。このセンサにより、ロックが行われていないことが記録されると、安全スイッチは、対応する出力信号を生成することができるため、安全でない危険をもたらす状態が回避される。
【0011】
本発明の主要な利点は、センサが特徴的な手段でトランスポンダ信号に作用を及ぼすように、このセンサがトランスポンダと結合されていることである。これにより、RFIDシステムは、アクチュエータの閉位置をチェックするため以外にも利用可能である。さらにこのRFIDシステムは、ロックをモニタリングするためにも利用することができ、これによってロックをモニタリングするための手間を少なく維持することができる。
【0012】
主要な利点は、センサと作用部材とが、非接触式に動作するユニットを構成するため、このユニットが摩耗なしに動作することにある。
【0013】
この際に特に有利であるのは、センサが電圧供給を必要としないかまたはこの電圧供給をトランスポンダのトランスポンダ振動回路を介して行うことができるように、このセンサがアクチュエータにおいて構成されていることである。さらに作用部材が受動素子であり、これが電気的な接続を要しないことも有利である。これにより、安全スイッチから、この安全スイッチに対して相対的に可動なガードロック部材に配置される作用部材に至る手間のかかる電気線路が省略される。
【0014】
したがって安全装置は、極めてコンパクトでかつ頑丈な構造を有する。
【0015】
トランスポンダは特に有利には、トランスポンダ振動回路の構成部分として少なくとも1つのトランスポンダチップおよびトランスポンダコイルを有する。このトランスポンダにより、コード化されたトランスポンダ信号が生成される。
【0016】
第1変化形態によれば、センサはトランスポンダ振動回路の構成部分である。センサの作用領域内に入れられた作用部材により、トランスポンダ振動回路の共振周波数が変更される。
【0017】
ロックをモニタリングするためのセンサの動作は、ガードロック部材がアクチュエータの収容部に挿入されていない場合、読み出しユニットが、第1搬送周波数でトランスポンダのトランスポンダ信号を受信するように行われる。ガードロック部材がアクチュエータの収容部に挿入されておりかつトランスポンダ振動回路の共振周波数が作用部材によって変更されている場合、読み出しユニットは、第2搬送周波数でトランスポンダのトランスポンダ信号を受信する。
【0018】
このようにして行われるトランスポンダ振動回路への作用により、アクチュエータのロックを簡単かつ確実にモニタリングすることができる。
【0019】
この場合、センサをコイルによって構成し、ガードロック部材の作用部材を磁性材料によって構成することができる。
【0020】
例えばこのコイルはフェライトコアを有することが可能であり、このフェライトコアは、ガードロック部材が収容部に挿入されていて、よってこのコイルの作用領域内にある場合、磁性材料から成る作用部材によって飽和状態にされる。
【0021】
これによってコイルは、それ自体の電圧供給を必要としない極めて簡単なセンサを構成する。作用部材は、ガードロック部材そのものが磁性材料から成るかまたは対応する磁性材料がガードロック部材に配置されることによって簡単に構成可能である。いずれの場合も作用部材は、受動素子を構成し、この受動素子に対しては電気的な接続を設ける必要がない。
【0022】
択一的にはセンサをコンデンサによって構成してよい。この場合、作用部材は誘電材料から成り、この誘電材料は、この作用部材がセンサの作用領域内にあるときにコンデンサの容量を変化させる。
【0023】
第2変化形態によれば、トランスポンダは、論理ユニットを備えたトランスポンダチップを有する。センサは、このトランスポンダチップの入力側に接続されている。センサが作用部材によって作用を及ぼされる場合、このセンサはセンサ信号を生成し、このセンサ信号により、トランスポンダを介して読み出しユニットに伝送されるコードの切り換えがトランスポンダチップにおいて行われる。
【0024】
トランスポンダから送信されるコードを区別することにより、ロックが行われているか否かを読み出しユニットにおいて簡単かつ確実に決定することができる。
【0025】
特に有利にはセンサは、トランスポンダに供給される2値の出力信号を生成する。作用部材がセンサの作用領域内にあるか否かに依存して、このセンサの出力信号は所定のスイッチ状態をとり、このスイッチ状態に基づき、各コードの選択がトランスポンダチップにおいて行われる。
【0026】
特に有利にはセンサは近接スイッチである。基本的にこのセンサは、光学式または容量式近接スイッチとして、また有利には誘導式近接スイッチとして構成可能である。対応する作用部材は、それに応じた材料特性を有しているため、この近接スイッチは、作用部材が近づくまたは遠ざかる際にその出力信号を所定のように変化させる。
【0027】
第3変化形態によれば、トランスポンダは、2つのトランスポンダチップを有しており、これらのトランスポンダチップはそれぞれ上記のセンサに接続されており、これらのトランスポンダチップには異なるコードが記憶されている。ガードロック部材の作用部材が、センサの作用領域外に配置されている場合、このセンサによって第1トランスポンダチップが選択されて、そのコードがトランスポンダ信号として読み出しユニットに伝送される。ガードロック部材の作用部材が、センサの作用領域内に配置されている場合、このセンサによって第2トランスポンダチップが選択されて、そのコードがトランスポンダ信号として読み出しユニットに伝送される。
【0028】
この場合、有利にはセンサは、2値のスイッチ信号を生成するスイッチ素子であり、スイッチ信号のスイッチ状態に依存して2つのトランスポンダチップのうちの1つが選択される。
【0029】
このスイッチ素子は、例えばリード接点によって構成可能である。この場合、対応する作用部材は磁石によって構成される。この際に有利であるのは、リード接点に電圧供給が不要なことである。択一的には容量式MEMSセンサまたはホールセンサによってスイッチ素子を構成することが可能である。電圧供給はそれぞれトランスポンダ振動回路を介して行われる。
【0030】
以下、図面に基づいて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明による安全装置の第1実施例を示す図である。
【
図2】本発明による安全装置の第2実施例を示す図である。
【
図3】本発明による安全装置の第3実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1から
図3には本発明による安全装置1の種々異なる実施形態が示されており、この安全装置1は、安全スイッチ2と、この安全スイッチ2に対して相対的に可動なアクチュエータ3と、を有する。
【0033】
この安全装置1により、例えば、危険領域への入口としての安全ドアの施錠が行われる。この場合、アクチュエータ3は、安全ドアに配置することができ、安全スイッチ2は、ドア開口部に隣接するフレームに配置することができる。
【0034】
安全装置1によって、一方では安全ドアの閉位置がチェックされる。ここで安全ドアが閉位置にあるのは、安全スイッチ2の対応する閉位置にアクチュエータ3がある場合である。さらに安全装置1により、安全ドアのその閉位置におけるロックが行われる。
【0035】
図1から
図3の実施例は、閉位置にあるアクチュエータ3を示しており、この閉位置ではアクチュエータ3が安全スイッチ2に相対している。この閉位置は、RFIDシステムによってモニタリングされ、RFIDシステムは、一般的に、安全スイッチ2に配置された読み出しユニット4と、アクチュエータ3に配置されたトランスポンダ5と、を有する。
【0036】
安全スイッチ2は、ガードロックピンの形態のガードロック部材を有する。アクチュエータ3は、これに対応して、凹部の形態の収容部7を有する。ガードロック部材6は、図示しない駆動器により、安全スイッチ2の軸方向に開放位置とロック位置との間で移動可能である。開放位置においてガードロック部材6は完全に安全スイッチ2内に入り込んでいる。アクチュエータ3がその閉位置にある場合、
図1から
図3に示したように、ガードロック部材6はロック位置に進出することができるため、ガードロック部材6は、アクチュエータ3の収容部7に挿入され、これによってロックが行われる。
【0037】
RFIDシステムの読み出しユニット4は、アクチュエータ3側を向いた安全スイッチ2の端面の領域に読み出しコイル8を有する。読み出しコイル8は、読み出しユニット4の別の構成部分である図示しない評価ユニットに接続されている。
【0038】
図1に示したアクチュエータ3のトランスポンダ5は、トランスポンダ振動回路の構成部分であるトランスポンダチップ9およびトランスポンダコイル10を有する。トランスポンダ振動回路はさらに、図示しないコンデンサを有する。トランスポンダコイル10は、安全スイッチ2側を向いたアクチュエータ3の端面の領域に設けられている。
【0039】
アクチュエータ3の閉位置において、このアクチュエータ3は、安全スイッチ2に相対している。したがって安全スイッチ2の読み出しユニット4は、トランスポンダ5のコード化されたトランスポンダ信号を受信することができ、これによってアクチュエータ3の閉位置が識別される。
【0040】
本発明ではトランスポンダ振動回路にセンサ11が設けられており、このセンサ11により、ガードロック部材6によって行われるロックをモニタリングすることができる。このセンサ11には、ガードロック部材6内の作用部材12が対応付けられている。センサ11および作用部材12は、非接触で動作するユニットを構成する。
【0041】
図1の実施形態ではセンサ11はコイルによって構成されており、このコイルは好適にはフェライトコアを有する。コイルとして構成されたセンサ11には電圧供給は不要である。作用部材12は、磁性材料によって構成されている。作用部材12は、ガードロック部材6の構成部分としてもよいし、またはこれを独立した部材としてガードロック部材6に組み込んでもよい。いずれの場合もこの作用部材12には電気的な接続は不要であり、すなわち固定の安全スイッチ2から可動のガードロック部材6に至る線路を案内する必要はない。
【0042】
ガードロック部材6が作用部材12と共にその開放位置にある場合、作用部材12はセンサ11の作用領域外にあるため、トランスポンダ振動回路の共振周波数は、作用部材12によって影響を受けない。この場合、読み出しユニット4は、第1搬送周波数でトランスポンダ5の複数の信号を受信し、これらの信号にはトランスポンダチップ9によって設定されたコードが含まれている。
【0043】
ガードロック部材6がそのロック位置に進入すると、ガードロック部材6はアクチュエータ3の収容部7内にある。これにより、作用部材12はセンサ11、すなわちコイルの作用領域内にある。このコイルのフェライトコアは作用部材12の磁性材料によって飽和され、これによってトランスポンダ振動回路の共振周波数が変更される。この結果、読み出しユニット4は、もはや第1搬送周波数でトランスポンダ信号を識別しなくなる。したがって読み出しユニット4は、変更された共振周波数に適合された別の搬送周波数に合わせて切り換わり、そうすればトランスポンダ5のトランスポンダ信号を識別することができる。この切り換えにより、ガードロック部材6によるロックが確実に識別されてモニタリングされる。
【0044】
択一的にはセンサ11をコンデンサから構成することも可能である。なぜならばこのコンデンサによってトランスポンダ振動回路の共振周波数を変更することもできるからである。この場合、作用部材12は誘電材料または金属製の導電性材料から成る。
【0045】
図2には本発明による安全装置1の第2実施例が示されている。この安全装置1は、センサ11の構成およびこのセンサ11とトランスポンダ5との接続だけが
図1の実施形態と異なっている。
【0046】
図2に示した実施例ではトランスポンダチップ9は、
図1の実施形態とは異なり、論理ユニット13を有する。この場合、基本的にはトランスポンダチップ9をマイクロプロセッサまたはこれに類するものによって構成することができる。センサ11は、この実施例の場合、2値で切り換わるセンサ11として、特に近接スイッチとして構成され、特に有利には誘導式近接スイッチが使用される。これに合わせて、作用部材12は、近接スイッチに応じて金属材料から成る。センサ11は、線路14を介してトランスポンダチップ9の入力側15に接続されている。基本的には容量式または光学式近接スイッチを使用することも可能である。
【0047】
ガードロック部材6が開放位置にある場合、作用部材12は近接スイッチの作用領域外にあるため、この近接スイッチの出力信号は第1スイッチ状態をとる。この場合、トランスポンダチップ9は第1コードを生成し、この第1コードはトランスポンダコイル10によってトランスポンダ信号として読み出しユニット4に伝送される。ガードロック部材6が閉位置に進入すると、作用部材12はセンサ11すなわち近接スイッチの作用領域内にあるため、センサ11のスイッチ状態が変化する。このスイッチ状態変化は、入力側15を介してトランスポンダチップ9に読み込まれ、これによってこのトランスポンダチップ9は、トランスポンダコイル10を介して読み出しユニット4に送信されるコードを変化させる、すなわちこれを切り換える。このコードの切り換えは、読み出しユニット4において識別され、これによってロックが確実に識別されてモニタリングされる。
【0048】
図3には本発明による安全装置1の第3実施例が示されている。この安全装置1もセンサ11の構成およびこのセンサ11とトランスポンダ5との接続だけが
図1の実施形態と異なっている。
【0049】
図3の実施形態ではセンサ11はスイッチ素子であり、この実施例ではリード接点が使用される。基本的にはセンサ11をホールセンサまたはMEMSセンサによって構成してもよい。
【0050】
センサ11をリード接点の形態で構成するのに合わせて作用部材12は磁石から成る。
【0051】
この実施例の場合、トランスポンダ5は2つのトランスポンダチップ9a,9bを有しており、コード化されたトランスポンダ信号を伝送するため、第1トランスポンダチップ9aによって第1コードを設定し、また第2トランスポンダチップ9bによって第2コードを設定することができる。センサ11はトランスポンダ振動回路に組み込まれており、2つのトランスポンダチップ9a,9bに接続されている。
【0052】
ガードロック部材6がその開放位置にある場合、作用部材12は、センサ11を構成するリード接点の作用領域外にある。この場合、リード接点は第1トランスポンダチップ9aをアクティブ化するため、そのコードによってトランスポンダ信号がコード化され、つぎにこのトランスポンダ信号が読み出しユニット4において記録される。ガードロック部材6がその閉位置にある場合、作用部材12はリード接点の作用領域内にあるため、そのスイッチ信号が変化し、これによって第2トランスポンダチップ9bがアクティブ化されるため、そのコードによってトランスポンダ信号がコード化され、つぎにこのトランスポンダ信号が読み出しユニット4において記録される。このコード切り換えにより、ロックを確実に検出してモニタリングすることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 安全装置
2 安全スイッチ
3 アクチュエータ
4 読み出しユニット
5 トランスポンダ
6 ガードロック部材
7 収容部
8 読み出しコイル
9 トランスポンダチップ
9a 第1トランスポンダチップ
9b 第2トランスポンダチップ
10 トランスポンダコイル
11 センサ
12 作用部材
13 論理ユニット
14 線路
15 入力側