IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋熱工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-エッチング装置 図1
  • 特許-エッチング装置 図2
  • 特許-エッチング装置 図3
  • 特許-エッチング装置 図4
  • 特許-エッチング装置 図5
  • 特許-エッチング装置 図6
  • 特許-エッチング装置 図7
  • 特許-エッチング装置 図8
  • 特許-エッチング装置 図9
  • 特許-エッチング装置 図10
  • 特許-エッチング装置 図11
  • 特許-エッチング装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】エッチング装置
(51)【国際特許分類】
   C23F 1/08 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
C23F1/08 103
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018082386
(22)【出願日】2018-04-23
(65)【公開番号】P2019189900
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000222956
【氏名又は名称】東洋熱工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】青木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】田所 徹也
(72)【発明者】
【氏名】石野 智明
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-184749(JP,A)
【文献】特開2005-200684(JP,A)
【文献】特開2006-247618(JP,A)
【文献】特開2015-093265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23F 1/08
B05B 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されるシート状のワークの一方の面にエッチング液を供給して前記ワークのエッチングを行うエッチング装置であって、
前記ワークを所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
前記エッチング液を吐出するエッチング液吐出口と、
を備え、
前記エッチング液吐出口は、前記搬送方向に対して直交する前記ワークの幅方向に長尺なスリット状であり、前記ワークの幅方向における両端間に亘って連続的に延在しており、
前記エッチング液吐出口よりも前記搬送方向の下流側又は上流側における前記エッチング液吐出口の近傍において前記エッチング液吐出口とは独立して配置され、前記ワークの前記一方の面に気体を噴射する気体噴射口を備え、
前記気体噴射口は、前記ワークの幅方向に長尺なスリット状であり、前記ワークの幅方向における両端間に亘って連続的に延在しており、
前記気体噴射口から、前記ワークの前記一方の面に対して直交する第1方向に前記気体を噴射し、
前記エッチング液吐出口からの前記エッチング液の吐出方向である第2方向は、前記第1方向に対して交差する方向であるエッチング装置。
【請求項2】
搬送されるシート状のワークの一方の面にエッチング液を供給して前記ワークのエッチングを行うエッチング装置であって、
前記ワークを所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
前記エッチング液を吐出するエッチング液吐出口と、
を備え、
前記エッチング液吐出口は、前記搬送方向に対して直交する前記ワークの幅方向に長尺なスリット状であり、前記ワークの幅方向における両端間に亘って連続的に延在しており、
前記エッチング液吐出口よりも前記搬送方向の下流側又は上流側における前記エッチング液吐出口の近傍において前記エッチング液吐出口とは独立して配置され、前記ワークの前記一方の面に気体を噴射する気体噴射口を備え、
前記気体噴射口は、前記ワークの幅方向に長尺なスリット状であり、前記ワークの幅方向における両端間に亘って連続的に延在しており、
当該エッチング装置は、
前記エッチング液吐出口に前記エッチング液を供給するエッチング液供給路と、
前記気体噴射口に気体を供給する気体供給路と、
を更に備え、
前記エッチング液供給路の下流端において前記エッチング液吐出口が開口しており、
前記気体供給路の下流端において前気体噴射口が開口しており、
前記一方の面に対して直交し且つ前記搬送方向に沿う平面で切断した断面において、前記気体供給路の延長線と前記エッチング液供給路の延長線とが、前記ワークの前記一方の面への到達前に交差するエッチング装置。
【請求項3】
搬送されるシート状のワークの一方の面にエッチング液を供給して前記ワークのエッチングを行うエッチング装置であって、
前記ワークを所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
前記エッチング液を吐出するエッチング液吐出口と、
を備え、
前記エッチング液吐出口は、前記搬送方向に対して直交する前記ワークの幅方向に長尺なスリット状であり、前記ワークの幅方向における両端間に亘って連続的に延在しており、
前記エッチング液吐出口よりも前記搬送方向の下流側又は上流側における前記エッチング液吐出口の近傍において前記エッチング液吐出口とは独立して配置され、前記ワークの前記一方の面に気体を噴射する気体噴射口を備え、
前記気体噴射口は、前記ワークの幅方向に長尺なスリット状であり、前記ワークの幅方向における両端間に亘って連続的に延在しており、
前記気体噴射口に気体を供給する気体供給路を備え、
前記気体供給路の下流端において前気体噴射口が開口しており、
前記気体噴射口の長手方向に対して直交する前記気体噴射口の幅方向において、前記気体供給路の内腔領域の寸法が、下流側に向けて段階的に縮小しているエッチング装置。
【請求項4】
搬送されるシート状のワークの一方の面にエッチング液を供給して前記ワークのエッチングを行うエッチング装置であって、
前記ワークを所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
前記エッチング液を吐出するエッチング液吐出口と、
を備え、
前記エッチング液吐出口は、前記搬送方向に対して直交する前記ワークの幅方向に長尺なスリット状であり、前記ワークの幅方向における両端間に亘って連続的に延在しており、
前記エッチング液吐出口よりも前記搬送方向の下流側又は上流側における前記エッチング液吐出口の近傍において前記エッチング液吐出口とは独立して配置され、前記ワークの前記一方の面に気体を噴射する気体噴射口を備え、
前記気体噴射口は、前記ワークの幅方向に長尺なスリット状であり、前記ワークの幅方向における両端間に亘って連続的に延在しており、
前記搬送部は、前記一方の面に対する裏面にて前記ワークを面支持する支持面を有し、
前記気体噴射口から前記支持面までの距離と、前記エッチング液吐出口から前記支持面までの距離とが互いに等しいエッチング装置。
【請求項5】
前記気体噴射口と前記エッチング液吐出口とを有する吐出ヘッドを更に備え、
前記吐出ヘッドは、前記支持面に対して対向する対向面を有し、
前記対向面の各部と前記支持面との対向間隔が等間隔であり、
前記対向面において前記気体噴射口及び前記エッチング液吐出口が互いに独立して開口している請求項4に記載のエッチング装置。
【請求項6】
前記支持面と前記対向面とがそれぞれ平面状であり、前記支持面と前記対向面とが互いに平行に対向している請求項5に記載のエッチング装置。
【請求項7】
前記搬送部は円筒状のローラであり、
前記支持面は前記ローラの周面であり、
前記対向面は前記ローラの前記周面に沿った凹曲面である請求項5に記載のエッチング装置。
【請求項8】
前記気体噴射口から、前記ワークの前記一方の面に対して直交する第1方向に前記気体を噴射する請求項2から7のいずれか一項に記載のエッチング装置。
【請求項9】
搬送されるシート状のワークの一方の面にエッチング液を供給して前記ワークのエッチングを行うエッチング装置であって、
前記ワークを所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
前記エッチング液を吐出するエッチング液吐出口と、
を備え、
前記エッチング液吐出口は、前記搬送方向に対して直交する前記ワークの幅方向に長尺なスリット状であり、前記ワークの幅方向における両端間に亘って連続的に延在しており、
前記エッチング液吐出口から、前記ワークの前記一方の面に対して直交する方向に前記エッチング液を吐出し、
当該エッチング装置は、前記エッチング液吐出口を有する吐出ヘッドを更に備え、
前記搬送部は、前記一方の面に対する裏面にて前記ワークを面支持する支持面を有し、
前記吐出ヘッドは、前記支持面に対して対向する対向面を有し、
前記支持面と前記対向面とがそれぞれ平面状であり、前記支持面と前記対向面とが互いに平行に対向しており、
前記対向面の各部と前記支持面との対向間隔が等間隔であるエッチング装置。
【請求項10】
前記エッチング液吐出口に前記エッチング液を供給するエッチング液供給路を備え、
前記エッチング液供給路の下流端において前記エッチング液吐出口が開口しており、
前記エッチング液吐出口の長手方向に対して直交する前記エッチング液吐出口の幅方向において、前記エッチング液供給路の内腔領域の寸法が、下流側に向けて段階的に縮小している請求項9に記載のエッチング装置。
【請求項11】
前記搬送方向における前記対向面の寸法が、前記対向面と前記支持面との対向間隔よりも大きい請求項5、7又は9のいずれか一項に記載のエッチング装置。
【請求項12】
前記エッチング液吐出口を有する吐出ヘッドと、
前記搬送方向において前記吐出ヘッドの上流側の位置に配置され、前記エッチング液吐出口から吐出された前記エッチング液を吸引して回収する第1回収路と、
前記搬送方向において前記吐出ヘッドの下流側の位置に配置され、前記エッチング液吐出口から吐出された前記エッチング液を吸引して回収する第2回収路と、
を備える請求項1から11のいずれか一項に記載のエッチング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エッチング対象物(ワーク)にエッチング液を噴射してエッチングを行うエッチング装置としては、スプレーノズルからエッチング液を噴射するタイプのものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-133078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スプレーノズルからエッチング液を噴射するタイプのエッチング装置では、特許文献1の図3及び図4に示されるように、スプレーノズルの先端からエッチング対象物に向けて円錐状にエッチング液が広がって噴射される。このため、エッチング対象物において、スプレーノズルの直下の部分(ノズル孔からの距離が相対的に近い部分)ではエッチングが速く進行し、スプレーノズルの直下から遠い部分(ノズル孔からの距離が相対的に遠い部分)ではエッチングが遅く進行する。
つまり、スプレーノズルからエッチング液を噴射するタイプのエッチング装置では、エッチング処理の面内均一性に関し、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、エッチング処理の良好な面内均一性を実現することが可能な構造のエッチング装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、搬送されるシート状のワークの一方の面にエッチング液を供給して前記ワークのエッチングを行うエッチング装置であって、
前記ワークを所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
前記エッチング液を吐出するエッチング液吐出口と、
を備え、
前記エッチング液吐出口は、前記搬送方向に対して直交する前記ワークの幅方向に長尺なスリット状であり、前記ワークの幅方向における両端間に亘って連続的に延在しており、
前記エッチング液吐出口よりも前記搬送方向の下流側又は上流側における前記エッチング液吐出口の近傍において前記エッチング液吐出口とは独立して配置され、前記ワークの前記一方の面に気体を噴射する気体噴射口を備え、
前記気体噴射口は、前記ワークの幅方向に長尺なスリット状であり、前記ワークの幅方向における両端間に亘って連続的に延在しており、
前記気体噴射口から、前記ワークの前記一方の面に対して直交する第1方向に前記気体を噴射し、
前記エッチング液吐出口からの前記エッチング液の吐出方向である第2方向は、前記第1方向に対して交差する方向であるエッチング装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、エッチング処理の良好な面内均一性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るエッチング装置の側断面図であり、エッチングユニット及びその周辺の構成を示す。
図2図1の部分拡大図である。
図3図2の部分拡大図である。
図4図4(a)は図3のA-A線に沿った断面図であり、図4(b)は図3のB-B線に沿った断面図である。
図5】第1実施形態に係るエッチング装置の全体構成を示す模式図である。
図6】第2実施形態に係るエッチング装置のエッチングユニットの部分拡大の側断面図である。
図7】第3実施形態に係るエッチング装置の側断面図であり、エッチングユニット及びその周辺の構成を示す。
図8図7の部分拡大図である。
図9】第4実施形態に係るエッチング装置のエッチングユニットの部分拡大の側断面図である。
図10】第5実施形態に係るエッチング装置のエッチングユニットの部分拡大の側断面図である。
図11】第6実施形態に係るエッチング装置のエッチングユニットの部分拡大の側断面図である。
図12】第6実施形態に係るエッチング装置の全体構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0010】
〔第1実施形態〕
先ず、図1から図5を用いて第1実施形態を説明する。
図1は第1実施形態に係るエッチング装置100の側断面図であり、エッチングユニット90及びその周辺の構成を示している。
図2図1の部分拡大図であり、吐出ヘッド60の先端部(下端部)及びその周辺の構成を示している。
図3図2の部分拡大図であり、気体噴射口33、エッチング液吐出口43及びそれらの周辺の構成を示している。
図4(a)は図3のA-A線に沿った断面図であり、図4(b)は図3のB-B線に沿った断面図である。
図5は本実施形態に係るエッチング装置100の全体構成を示す模式図である。
【0011】
図1から図3のいずれかに示すように、本実施形態に係るエッチング装置100は、搬送されるシート状のワーク10の一方の面11(図2図3)にエッチング液を供給してワーク10のエッチングを行うエッチング装置100である。
【0012】
ここで、エッチング装置100がワーク10に対して行うエッチングは、酸エッチングであってもよいし、アルカリエッチングであってもよい。つまり、エッチング液は、酸性であってもよいし、アルカリ性であってもよい。
ワーク10は、例えば、シート状の基材と、基材上に形成されている金属膜と、金属膜上に形成されているマスクパターンと、を有する。マスクパターンは、ワーク10の一方の面11側に形成されている。この場合のエッチング処理は、例えば、マスクパターンを介して酸性のエッチング液により金属膜をエッチングすることによって基材上に配線パターンを形成する処理である。
また、ワーク10は、シート状の基材と、基材上に形成されている金属膜と、金属膜上に形成されている露光後のレジスト膜と、を有していてもよい。レジスト膜は、ワーク10の一方の面11側に形成されている。この場合のエッチング処理は、例えば、アルカリ性のエッチング液によりレジスト膜をエッチングすることによって金属膜上にマスクパターンを形成する処理(いわゆる現像処理)である。
【0013】
本実施形態に係るエッチング装置100は、ワーク10を所定の搬送方向(図1から図3における右方向;図3の矢印D方向)に搬送する搬送部(例えば、ローラ20、21及び吸引プレート51等により構成される)と、エッチング液を吐出するエッチング液吐出口43と、を備えている。
エッチング液吐出口43は、搬送方向に対して直交するワーク10の幅方向(図1から図3の奥行き方向)に長尺なスリット状であり、ワーク10の幅方向における両端間に亘って連続的に延在している。
【0014】
本実施形態によれば、ワーク10の幅方向に長尺なスリット状に形成されていてワーク10の幅方向における両端間に亘って連続的に延在しているエッチング液吐出口43から、ワーク10の一方の面11にエッチング液を吐出して、ワーク10をエッチングすることができる。
よって、エッチング処理の良好な面内均一性を実現することが可能である。
【0015】
シート状のワーク10としては、フィルム状のものも含まれる。
ワーク10は基板であってもよい。
ワーク10は、長尺なものであって搬送部によって連続的に搬送されてもよいし、短尺なものであって搬送部によって順次搬送されてもよい。
ワーク10は、部分的に打ち抜かれた構造(部分的に開口を有する構造)のものであってもよい。本実施形態に係るエッチング装置100によれば、部分的に打ち抜かれた構造のワーク10の開口の内周面のエッチング(例えばバリ取り処理など)も好適に行うことができる。
【0016】
以下の説明においては、搬送方向下流側を単に下流側と称したり、前(前側、前方)と称したりする場合がある。また、搬送方向上流側を単に上流側と称したり、後(後側、後方)と称したり場合がある。また、ワーク10において気体噴射口33及びエッチング液吐出口43に対して対向する部位に沿った方向で且つ搬送方向に対して直交する方向を左右方向と称する場合がある。
【0017】
本実施形態の場合、エッチング装置100は、ワーク10の一方の面11に気体を噴射する気体噴射口33を更に備えている。気体噴射口33は、エッチング液吐出口43よりも搬送方向の下流側又は上流側におけるエッチング液吐出口43の近傍においてエッチング液吐出口43とは独立して配置されている。
気体噴射口33は、ワーク10の幅方向に長尺なスリット状であり、ワーク10の幅方向における両端間に亘って連続的に延在している。
【0018】
エッチング液吐出口43から吐出されたエッチング液を、気体噴射口33から噴射される気体によって付勢してワーク10の一方の面11に供給することができる。このため、ワーク10の一方の面11に勢いよくエッチング液を供給することができるので、ワーク10の面直方向におけるエッチングの進行を容易に促進することができる。よって、良好なエッチファクターを実現できるため、より微細なパターンのエッチングを容易に行うことができる。
【0019】
本実施形態の場合、気体噴射口33は、エッチング液吐出口43よりも搬送方向の下流側に配置されている。
気体噴射口33は、エッチング液吐出口43に対して並列に延在している。
エッチング液吐出口43及び気体噴射口33の各々は、ワーク10の幅方向に沿って直線状に延在している。
【0020】
エッチング装置100は、気体噴射口33から、ワーク10の一方の面11に対して直交する第1方向に気体を噴射するように構成されている。
このため、ワーク10の面直方向におけるエッチングの進行を更に促進することができ、良好なエッチファクターを実現できるため、より微細なパターンのエッチングを容易に行うことができる。
ここで、第1方向がワーク10の一方の面11に対して直交しているとは、第1方向が一方の面11に対して略直交していることであり、例えば、第1方向と一方の面11とのなす角度が90度±10度以内であることが好ましく、第1方向と一方の面11とのなす角度が±5度以内であることが更に好ましい。
【0021】
一方、エッチング液吐出口43からのエッチング液の吐出方向である第2方向は、気体噴射口33からの気体の噴射方向である第1方向に対して交差する方向である。
このため、エッチング液吐出口43から吐出されたエッチング液を、気体噴射口33から噴射される気体により付勢してワーク10の一方の面11に供給する動作を、より確実に行うことが可能となる。
【0022】
本実施形態の場合、エッチング液吐出口43からのエッチング液の吐出方向(第2方向)が搬送方向に対して順方向となるよう、第2方向が第1方向に対して傾斜している
本実施形態の場合、第1方向と一方の面11とのなす角度は、第2方向と一方の面11とのなす角度よりも大きい。
また、搬送方向は、ワーク10の一方の面11に沿った方向となっている。
【0023】
エッチング装置100は、以下に説明するエッチングユニット90と、ローラ20、21及び吸引プレート51等により構成される搬送部と、を備えている。
【0024】
本実施形態の場合、エッチング装置100は、搬送部によってワーク10を平坦な状態で一方向(矢印D方向)に搬送しながら、エッチングユニット90によりワーク10の一方の面11のエッチングを行う。
本実施形態の場合、より詳細には、矢印D方向は水平方向である。ただし、本発明は、この例に限らず、ワーク10の搬送方向(矢印D方向)は特に限定されない。
【0025】
搬送部は、例えば、エッチングユニット90の上流側に配置されていてワーク10を上下から挟持する上下一対のローラ20と、エッチングユニット90の下流側に配置されていてワーク10を上下から挟持する上下一対のローラ21と、を備えている。
上流側の一対のローラ20の少なくとも一方が図示しないモータ等のアクチュエータによって回転駆動されるとともに、下流側の一対のローラ21の少なくとも一方が図示しないモータ等のアクチュエータによって回転駆動されることにより、ワーク10が搬送方向に搬送されるようになっている。
【0026】
吸引プレート51は、平板状の部材であり、一対のローラ20と一対のローラ21との間において、水平に配置されている。
吸引プレート51の上面である支持面51aの高さ位置(鉛直方向における位置)は、一対のローラ20のうち下側のローラ20の上端、並びに、一対のローラ21のうち下側のローラ21の上端と同等の位置に設定されている。したがって、ワーク10は、吸引プレート51の支持面51aに沿って搬送されることとなる。
吸引プレート51の幅寸法(図1において奥行き方向の寸法)は、ワーク10の幅寸法(図1において奥行き方向の寸法)よりも大きく、吸引プレート51の幅方向における両端間においてワーク10が搬送されるようになっている。
【0027】
吸引プレート51の下側には、吸引箱52が配置されている。吸引箱52は、上端が開口しており、吸引箱52の上端の開口が吸引プレート51によって塞がれている。吸引プレート51は、例えば、吸引箱52によって支持されている。
吸引箱52の内部空間は、陰圧に設定される陰圧室52aとなっている。すなわち、吸引箱52の陰圧室52a内の雰囲気が、図示しない吸引源によって吸引されることにより、陰圧室52aが陰圧に維持されるようになっている。
吸引プレート51には、該吸引プレート51を上下に貫通している多数の細孔(不図示)が形成されている。したがって、吸引プレート51の上側の雰囲気が、吸引プレート51の多数の細孔を介して、吸引プレート51の下側に吸引されることとなる。
ワーク10が吸引プレート51の上面である支持面51aに沿って搬送される際には、ワーク10が支持面51a側に吸引されることにより、ワーク10の浮き上がり(ばたつき)を抑制でき、ワーク10の搬送経路を支持面51aに沿った水平な経路に維持することができるようになっている。
すなわち、ワーク10は、一対のローラ20と一対のローラ21との間において、吸引プレート51の支持面51aに沿って水平に搬送される。
なお、本発明において、ワーク10を搬送する搬送機構はこの例に限らず、短尺のワーク10をエッチングユニット90の上流側の位置まで吸引プレート51の上流側のローラ20で搬送し、該ローラ20から吸引プレート51にワーク10を受け渡した後、吸引プレート51によってワーク10を吸着し、その状態で吸引プレート51が搬送方向に移動するとともにその過程でエッチングユニット90によるワーク10のエッチングを行い、その後、吸引プレート51からその下流側のローラ21にワーク10を受け渡すようになっていてもよい。また、ワーク10が吸引プレート51に吸着された状態で、エッチングユニット90がワーク10及び吸引プレート51に対して相対的に移動(図1における左方向に移動)し、その過程でエッチングユニット90によるワーク10のエッチングを行うようにしてもよい。
【0028】
このように、搬送部は、一方の面11に対する裏面12(図2図3)にてワーク10を面支持する支持面51aを有する。
【0029】
エッチングユニット90は、吸引プレート51の上方に離間して配置されている。
搬送方向における吸引プレート51の寸法は、搬送方向におけるエッチングユニット90の寸法よりも大きい。そして、搬送方向上流側における吸引プレート51の端部は、搬送方向上流側におけるエッチングユニット90の端部よりも、搬送方向上流側に位置しているとともに、搬送方向下流側における吸引プレート51の端部は、搬送方向下流側におけるエッチングユニット90の端部よりも、搬送方向下流側に位置している。
ワーク10が吸引プレート51の支持面51aに沿って搬送される際には、ワーク10において支持面51a上に位置する部分の上方にエッチングユニット90が位置することとなる。
エッチングユニット90は、気体噴射口33と、エッチング液吐出口43と、後述する第1回収路71及び第2回収路81と、を有する。すなわち、気体噴射口33、エッチング液吐出口43、第1回収路71及び第2回収路81は、ワーク10の上方となる位置に配置されている。
【0030】
エッチングユニット90は、気体噴射口33とエッチング液吐出口43とを有する吐出ヘッド60を備えている。
吐出ヘッド60の下端面である対向面61は、吸引プレート51の支持面51aに対して対向している。
ここで、対向面61の各部と支持面51aとの対向間隔(図2図3の距離d3)は、等間隔(対向面61の各部において一定)となっている。そして、対向面61において気体噴射口33及びエッチング液吐出口43が互いに独立して開口している。
【0031】
したがって、気体噴射口33から支持面51aまでの距離d1(図3)と、エッチング液吐出口43から支持面51aまでの距離d2(図3)とが互いに等しい。
【0032】
より詳細には、対向面61は、図3に示すように、エッチング液吐出口43の上流側に位置する第1部分61aと、エッチング液吐出口43の下流側且つ気体噴射口33の上流側に位置する第2部分61bと、気体噴射口33の下流側に位置する第3部分61cと、を有している。
そして、第1部分61aと支持面51aとの対向間隔、第2部分61bと支持面51aとの対向間隔、及び、第3部分61cと支持面51aとの対向間隔は、互いに等しく、いずれも距離d3である。
同様に、第1部分61aとワーク10の一方の面11との対向間隔、第2部分61bと一方の面11との対向間隔、及び、第3部分61cと一方の面11との対向間隔は、互いに等しく、いずれも距離d0である。
【0033】
本実施形態の場合、支持面51aと対向面61とがそれぞれ平面状であり、支持面51aと対向面61とが互いに平行に対向している。
【0034】
吐出ヘッド60は、エッチング液吐出口43にエッチング液を供給するエッチング液供給路42と、気体噴射口33に気体を供給する気体供給路32と、を内部に有する。
エッチング液供給路42は気体供給路32よりも上流側に配置されている。
エッチング液供給路42の下流端(下端)においてエッチング液吐出口43が開口しており、気体供給路32の下流端(下端)において気体噴射口33が開口している。
【0035】
気体供給路32は、上端が後述する気体前室31に連通している。気体供給路32において、気体前室31に連通している部位と、下端の気体噴射口33と、を除く周囲部分は、吐出ヘッド60の実体部分により囲まれている。
このため、後述する気体供給源から気体前室31を介して気体供給路32に供給された気体は、気体噴射口33から噴射される。
【0036】
エッチング液供給路42は、上端が後述するエッチング液前室41に連通している。エッチング液供給路42において、エッチング液前室41に連通している部位と、下端のエッチング液吐出口43と、を除く周囲部分は、吐出ヘッド60の実体部分により囲まれている。
このため、後述するエッチング液供給源からエッチング液前室41を介してエッチング液供給路42に供給されたエッチング液は、エッチング液吐出口43から吐出される。
【0037】
ワーク10の一方の面11に対して直交し且つ搬送方向に沿う平面で切断した断面(図1から図3に示す断面)において、気体供給路32の延長線上には気体噴射口33と支持面51aとの間に障害物が無く、且つ、エッチング液供給路42の延長線上にはエッチング液吐出口43と支持面51aとの間に障害物が無い。ここでいう障害物とは、エッチング装置100の構成要素であり、ワーク10は、ここでいう障害物から除外される。
【0038】
本実施形態の場合、ワーク10の一方の面11に対して直交し且つ搬送方向に沿う平面で切断した断面(図1から図3に示す断面)において、気体供給路32の延長線とエッチング液供給路42の延長線とが、ワーク10の一方の面11への到達前に交差するようになっている。
すなわち、図3に示す直線L1(上記断面における気体供給路32の軸線)と直線L2(上記断面におけるエッチング液供給路42の軸線)との交点Iが、対向面61とワーク10の一方の面11との間に位置するようになっている。
【0039】
ここで、気体供給路32は、気体噴射口33から遠い側から順に、第1部分32a、第2部分32b及び第3部分32cを備えている。
このうち第2部分32bの流路幅(図2及び図3における左右方向、すなわち搬送方向における流路幅)は、第1部分32aの流路幅よりも小さく、第3部分32cの流路幅は、第2部分32bの流路幅よりも更に小さい。
すなわち、気体噴射口33の長手方向(左右方向)に対して直交する気体噴射口33の幅方向(前後方向)において、気体供給路32の内腔領域の寸法が、下流側に向けて段階的に縮小している。
このため、気体噴射口33から気体をより勢いよく噴射することができるようになっている。
【0040】
より詳細には、第1部分32aの下側に第2部分32bが連接されており、第2部分32bの下側に第3部分32cが連接されている。第1部分32aは、当該第1部分32aの上端から下端に向けて気体を通過させ、第2部分32bは、当該第2部分32bの上端から下端に向けて気体を通過させ、第3部分32cは、当該第3部分32cの上端から下端に向けて気体を通過させる。
第1部分32a、第2部分32b及び第3部分32cは、ワーク10の幅方向(図1から図3における奥行き方向)における寸法が互いに等しい。
搬送方向における第2部分32bの寸法は、搬送方向における第1部分32aの寸法よりも小さく、搬送方向における第3部分32cの寸法は、搬送方向における第2部分32bの寸法よりも更に小さい。
なお、搬送方向における第1部分32aの寸法は、第1部分32aの上端から下端に亘って一定となっている。
同様に、搬送方向における第2部分32bの寸法は、第2部分32bの上端から下端に亘って一定となっている。
同様に、搬送方向における第3部分32cの寸法は、第3部分32cの上端から下端に亘って一定となっている。
【0041】
ここで、気体供給路32の第3部分32cは、ワーク10の幅方向(図1から図3の奥行き方向)すなわち搬送方向に対して直交し且つ支持面51aに沿う方向に延在するスリット状である。そして、第3部分32cは、ワーク10の幅方向における両端間に亘って連続的に延在している。
第3部分32cはスリット状であり、第3部分32cの内部空間は板状である。この仮想の板(以下、第1板と称する)は鉛直に配置されており、板面が搬送方向下流側及び上流側を向いている。
また、気体噴射口33も、第3部分32cと同様に、搬送方向に対して直交し且つ支持面51aに沿う方向に延在するスリット状である。
このため、後述する気体供給源から気体前室31を介して気体供給路32に供給された気体は、第2部分32bにおいて実質的に鉛直下方に直線的に流動した後、気体噴射口33から実質的に鉛直下方(第1板に沿った方向)に直線的に噴射される。
すなわち、気体噴射口33から、気体供給路32に沿った平板のブレード状に、気体が噴射される。
【0042】
また、エッチング液供給路42も、搬送方向に対して直交し且つ支持面51aに沿う方向に延在するスリット状である。そして、エッチング液供給路42もワーク10の幅方向における両端間に亘って連続的に延在している。
エッチング液供給路42はスリット状であり、エッチング液供給路42の内部空間は板状である。この仮想の板(以下、第2板)は、上述の第1板に対して傾斜している。すなわち、第2板は図2及び図3において右下がりに傾斜している。
また、エッチング液吐出口43も、エッチング液供給路42と同様に、搬送方向に対して直交し且つ支持面51aに沿う方向に延在するスリット状である。
このため、後述するエッチング液供給源からエッチング液前室41を介してエッチング液供給路42に供給されたエッチング液は、エッチング液供給路42において図2及び図3における右下の方向に実質的に直線的に流動した後、エッチング液吐出口43から図2及び図3における右下の方向(第2板に沿った方向)に吐出される。
その結果、好ましくは、エッチング液吐出口43から、エッチング液供給路42に沿った平板のブレード状に、エッチング液が吐出される。
【0043】
このように、気体供給路32(特に第3部分32c)及びエッチング液供給路42の各々は、搬送方向に対して直交し且つ支持面51aに沿う方向に延在するスリット状であり、ワーク10の幅方向における両端間に亘って連続的に延在している(図4(a)、図4(b)参照)。
【0044】
ここで、気体噴射口33からの気体の噴射方向である第1方向は、上記第1板の板面に沿う方向であって、且つ、第2部分32bから気体噴射口33に向かう方向となる。
また、エッチング液吐出口43からのエッチング液の吐出方向である第2方向は、上記第2板の板面に沿う方向であって、且つ、エッチング液前室41からエッチング液吐出口43に向かう方向となる。
第1方向(気体噴射口33からの気体の噴射方向)に対する第2方向(エッチング液吐出口43からのエッチング液の噴射方向)の傾斜角度は特に限定されないが、例えば、10度以上80度以下とすることができ、30度以上60度以下としてもよい。
【0045】
気体前室31は、例えば、気体供給路32の第1部分32aよりも流路幅が広い空間であり、気体供給路32の第1部分32aの上側に連接されている。気体前室31は、後述する気体供給源に接続されている。
エッチング液前室41は、エッチング液供給路42よりも流路幅が広い空間であり、エッチング液供給路42の上側に連接されている。エッチング液前室41は、後述するエッチング液供給源に接続されている。
【0046】
上述のように、吐出ヘッド60は、エッチング液吐出口43を有している。
エッチングユニット90は、更に、搬送方向において吐出ヘッド60の上流側の位置に配置されていてエッチング液吐出口43から吐出されたエッチング液を吸引して回収する第1回収路71と、搬送方向において吐出ヘッド60の下流側の位置に配置されていてエッチング液吐出口43から吐出されたエッチング液を吸引して回収する第2回収路81と、を備えている。
本実施形態の場合、より詳細には、第1回収路71及び第2回収路81の各々は、エッチング液吐出口43から吐出されたエッチング液を気体噴射口33から噴射された気体とともに吸引して回収する。
【0047】
第1回収路71は、搬送方向において吐出ヘッド60の上流側に隣接して配置されており、当該第1回収路71の下端において開口している。
例えば、第1回収路71は、当該第1回収路71における前側の端部が吐出ヘッド60における後側の面により画定されている。
また、第1回収路71における後側の端部、及び、左右の端部は、第1回収路構成壁72により画定されている。
第1回収路71は、筒状の空間である。第1回収路71の上側には、後述する吸引源に接続された空間である吸引源連絡部73が配置されており、該吸引源連絡部73の下端が第1回収路71の上端に連通している。吸引源連絡部73は、気体前室31の後側に配置されている。
第1回収路71は、その下端の開口から雰囲気を吸引することにより、エッチング液吐出口43からワーク10の一方の面11上に吐出されたエッチング液及び気体噴射口33から噴射された気体を吸引する。
【0048】
第2回収路81は、搬送方向において吐出ヘッド60の下流側に隣接して配置されており、当該第2回収路81の下端において開口している。
例えば、第2回収路81は、当該第2回収路81における後側の端部が吐出ヘッド60における前側の面により画定されている。
また、第2回収路81における前側の端部、及び、左右の端部は、第2回収路構成壁82により画定されている。
第2回収路81は、筒状の空間である。第2回収路81の上側には、後述する吸引源に接続された空間である吸引源連絡部83が配置されており、該吸引源連絡部83の下端が第2回収路81の上端に連通している。吸引源連絡部83は、気体前室31の前側に配置されている。
第2回収路81は、その下端の開口から雰囲気を吸引することにより、エッチング液吐出口43からワーク10の一方の面11上に吐出されたエッチング液及び気体噴射口33から噴射された気体を吸引する。
【0049】
第1回収路71の下端の開口の高さ位置は、吐出ヘッド60の対向面61の高さ位置と同等の高さ位置に設定されている。すなわち、第1回収路構成壁72の下端72aの高さ位置は、対向面61の高さ位置と同等に設定されている。
同様に、第2回収路81の下端の開口の高さ位置は、吐出ヘッド60の対向面61の高さ位置と同等の高さ位置に設定されている。すなわち、第2回収路構成壁82の下端82aの高さ位置は、対向面61の高さ位置と同等に設定されている。
【0050】
第1回収路71が単位時間あたりに吸引する雰囲気の体積と、第2回収路81が単位時間あたりに吸引する雰囲気の体積との合計は、エッチング液吐出口43から単位時間あたりに吐出されるエッチング液と気体噴射口33から単位時間あたりに噴射される気体との合計量よりも大きいことが好ましい。
【0051】
なお、ここでは、エッチングユニット90が第1回収路構成壁72と第2回収路構成壁82とを別個に備えている例を説明したが、第1回収路構成壁72及び第2回収路構成壁82は、共通の筒状体の一部分ずつにより構成されていても良い。
すなわち、例えば、吐出ヘッド60の周囲が1つの筒状体により包囲されていて、当該筒状体の下端が開口していても良い。この場合、筒状体の内部空間において、吐出ヘッド60よりも後側に位置する部分が第1回収路71であり、吐出ヘッド60よりも前側に位置する部分が第2回収路81である。
また、この場合、吸引源連絡部73と吸引源連絡部83とは、気体前室31の周囲を囲む1つの空間の一部分ずつにより構成されていても良い。すなわち、例えば、気体前室31の周囲が1つの筒状体により包囲されていて、当該筒状体の内部空間において、気体前室31よりも後側に位置する部分が吸引源連絡部73であるとともに、気体前室31よりも前側に位置する部分が吸引源連絡部83であってもよい。
【0052】
ここで、図2に示すように、搬送方向における対向面61の寸法(距離d4)は、対向面61と支持面51aとの対向間隔(距離d3)よりも大きい。
したがって、対向面61とワーク10の一方の面11との対向間隔が、搬送方向における対向面61の寸法に比して十分に狭くなり、その狭い空間においてエッチング液による一方の面11のエッチングが行われる。
【0053】
また、搬送方向において、エッチング液吐出口43から気体噴射口33までの距離d5は、気体噴射口33から対向面61の下流端までの距離d6よりも小さい。
また、距離d5は、ワーク10の一方の面11と対向面61との対向間隔(図3に示す距離d0)よりも小さいことが好ましい。
ただし、距離d5は、搬送方向における気体供給路32の第3部分32cの寸法よりも大きいことが好ましい。
また、搬送方向において、エッチング液吐出口43から気体噴射口33までの距離d5は、エッチング液吐出口43から対向面61の上流端までの距離d7よりも小さい。
したがって、エッチング液吐出口43に近接して配置された気体噴射口33から噴射される気体によって、エッチング液吐出口43から吐出されたエッチング液をワーク10の一方の面11に対して連続的に打ち付けることができる。
【0054】
なお、距離d0は、例えば、0.5mm以上20mm以下とすることができ、好ましくは1mm以上10mm以下とすることができる。
また、距離d1、d2、d3は、距離d0とワーク10の厚みとの合計であるため、距離d0とワーク10の厚みとに応じて決定される。なお、エッチング装置100によるエッチング対象となるワーク10の厚みは特に限定されないが、例えば、数μm以上の厚みとすることができる。ワーク10の厚みの上限は特に限定されない。
また、エッチング装置100は、距離d0を調節可能(したがって、距離d1、d2、d3を調節可能)に構成されている。例えば、エッチングユニット90または吸引プレート51の少なくとも一方を昇降させることにより距離d0を調節可能となっている。
また、距離d4は、例えば、20mm以上200mm以下とすることができる。
本実施形態の場合、距離d5は、「ワーク10の一方の面11に対して直交し且つ搬送方向に沿う平面で切断した断面において、気体供給路32の延長線とエッチング液供給路42の延長線とが、ワーク10の一方の面11への到達前に交差する」という条件を満たす範囲で、距離d0と、ワーク10の一方の面11と第1方向とのなす角度と、第1方向に対する第2方向の傾斜角度と、に応じて設定することができる。なお、気体噴射口33からの気体の噴射とエッチング液吐出口43からのエッチング液の吐出とを互いに独立して行うことができるよう、距離d5は0.5mm以上であることが好ましく、1mm以上であることが更に好ましい。
また、距離d6は、例えば、10mm以上100mm以下とすることができる。
また、距離d7は、例えば、15mm以上150mm以下とすることができる。
【0055】
図5に示すように、エッチング装置100は、例えば、気体噴射口33から噴射される気体の供給源であるブロワ34と、ブロワ34から供給される気体を濾過するフィルタ35と、を備えている。フィルタ35は、例えば、プレフィルタとヘパ(HEPA)フィルタとを含んで構成されている。
エッチングユニット90は、ブロワ34からフィルタ35を介して供給される気体を当該エッチングユニット90に導入させる気体導入部91を備えている。気体導入部91に導入された気体は、図1に示す気体前室31を介して気体供給路32に供給され、気体噴射口33から噴射される。
ブロワ34とフィルタ35との間、並びに、フィルタ35と気体導入部91との間には、図示しない気体供給路が介在しており、清浄な気体をブロワ34から気体導入部91に供給可能となっている。
【0056】
更に、エッチング装置100は、例えば、エッチング液吐出口43から吐出されるエッチング液の供給源である液槽44及びポンプ45を備えている。液槽44にはエッチング液が貯留されている。
エッチングユニット90は、ポンプ45によって圧送されるエッチング液を当該エッチングユニット90に導入させるエッチング液導入部92を備えている。エッチング液導入部92に導入されたエッチング液は、図1等に示すエッチング液前室41を介してエッチング液供給路42に供給され、エッチング液吐出口43から吐出される。
液槽44とポンプ45との間、並びに、ポンプ45とエッチング液導入部92との間は、それぞれ図示しない配管により接続されている。
エッチング装置100は、更に、ポンプ45とエッチング液導入部92との間の配管にそれぞれ設けられた弁46、流量コントローラ47及び逆止弁48を備えている。弁46によってエッチング液導入部92へのエッチング液の供給を停止したり、流量コントローラ47によってエッチング液導入部92に供給されるエッチング液の流量を調節したりすることが可能となっている。
【0057】
更に、エッチング装置100は、第1回収路71及び第2回収路81から吸引源連絡部73及び吸引源連絡部83を介して雰囲気を吸引する吸引源であるブロワ76を備えている。
エッチングユニット90は、吸引源連絡部73及び吸引源連絡部83に対して接続されている排出部93を備えている。
排出部93とブロワ76とは、図示しない気体排気路によって接続されており、エッチングユニット90からの排気を排出部93からブロワ76まで漏らさず送気できるようになっている。
排出部93とブロワ76との間の気体排気路には、慣性集塵水切りフィルタボックス74とフィルタ75とが排出部93側からこの順に設けられている。
更に、ブロワ76の後段には、フィルタ77が設けられている。
フィルタ75は、例えば、プレフィルタであり、フィルタ77は、例えば、ヘパ(HEPA)フィルタである。
慣性集塵水切りフィルタボックス74によって、排気に含まれるエッチング液及び異物を捕集した後、フィルタ75によって、排気に含まれるより細かい異物を捕集することができる。更に、ブロワ76からの排気をフィルタ77を介して放出することにより、エッチング装置100からの排気を清浄にすることができる。
【0058】
次に、動作を説明する。
【0059】
エッチング装置100のエッチングユニット90によるワーク10のエッチングは、搬送部によってワーク10を搬送しながら行われる。
すなわち、ワーク10を図1における右方に向けて搬送しながら、気体噴射口33からワーク10の一方の面11に対する気体の噴射と、エッチング液吐出口43からワーク10の一方の面11に対するエッチング液の吐出とを行う。
また、第1回収路71を介したエッチング液の回収と、第2回収路81を介したエッチング液の回収も、一方の面11に対する気体の噴射及びエッチング液の吐出と並行して行う。
ワーク10の搬送は、例えば、一定速度で連続的に行われる。
また、気体噴射口33からの気体の噴射は、例えば、一定の流量で連続的に行われる。
また、エッチング液吐出口43からのエッチング液の吐出は、例えば、一定の流量で連続的に行われる。
また、第1回収路71からの排気は、例えば、一定の流量で連続的に行われる。
また、第2回収路81からの排気は、例えば、一定の流量で連続的に行われる。
【0060】
これにより、一方の面11のエッチングを行うことができる。
ここで、エッチング液吐出口43から吐出されたエッチング液は、例えば、図3に示す交点Iの付近で気体と衝突し、気体によって下方に付勢されて、一方の面11に衝突する。
よって、エッチング液によりワーク10の一方の面11に打撃を加えながらエッチングを行うことができる。よって、エッチング液の滞留を抑制でき、常にエッチング能力が高い新たなエッチング液を一方の面11に供給しながらエッチングを行うことができる。
また、上記のように、気体噴射口33からの気体の噴射方向である第1方向は、一方の面11に対して直交しているため、ワーク10の面直方向におけるエッチングの進行を促進することができ、良好なエッチファクターを実現できるため、より微細なパターンのエッチングを容易に行うことができる。
【0061】
エッチング液吐出口43から一方の面11に供給されたエッチング液及び気体噴射口33から噴射された気体は、吐出ヘッド60の上流側及び下流側にそれぞれ配置されている第1回収路71及び第2回収路81によって回収される。
【0062】
ここで、エッチング液吐出口43は気体噴射口33とは独立して配置されているため、エッチング液が極微細なミスト状になることが抑制され、そのようなミストよりも相対的に大きい塊状のエッチング液が気体により付勢されて一方の面11に打ち付けられることとなる。よって、一方の面11に対してより大きなエネルギーでエッチング液を打ち付けることができ、エッチング処理をより効率的に行うことができる。エッチングをより短時間で行うことができるため、ワーク10の面方向におけるエッチングの進行を抑制でき、良好なエッチファクターを実現できるため、より微細なパターンのエッチングを容易に行うことができる。
【0063】
また、ワーク10の一方の面11に対して直交し且つ搬送方向に沿う平面で切断した断面において、気体供給路32の延長線上には気体噴射口33と支持面51aとの間に障害物が無く、且つ、エッチング液供給路42の延長線上にはエッチング液吐出口43と支持面51aとの間に障害物が無い。このため、ワーク10の一方の面11に打ち付けられるエッチング液の勢いが障害物によって弱められてしまうことが無い。
【0064】
また、ワーク10の一方の面11に対して直交し且つ搬送方向に沿う平面で切断した断面において、気体供給路32の延長線とエッチング液供給路42の延長線とが、ワーク10の一方の面11への到達前に交差するので、気体噴射口33及びエッチング液吐出口43と一方の面11との間の空中において気体とエッチング液とを衝突させて、エッチング液を気体によって付勢し、エッチング液を一方の面11に打ち付けることができる。
【0065】
また、気体供給路32及びエッチング液供給路42の各々は、搬送方向に対して直交し且つ支持面51aに沿う方向に延在するスリット状であり、ワーク10の幅方向における両端間に亘って連続的に延在しているので、気体噴射口33及びエッチング液吐出口43からそれぞれ気体及びエッチング液をブレード状に噴射又は吐出することができる。このため、ブレード状(ヘラ状)のエッチング液によって一方の面11をエッチングすることができる。
これにより、ワーク10の一方の面11の幅方向における全域に亘って均一にエッチングを行うことができ、結果的には、ワーク10の一方の面11の全面に亘り均一にエッチングを行うことが可能である。
【0066】
また、吐出ヘッド60の対向面61の各部と支持面51aとの対向間隔が等間隔であるため、対向面61と支持面51aとの対向間隔の全体を狭い間隔とすることができ、吐出ヘッド60の前後に配置されている第1回収路71及び第2回収路81によるエッチング液等の回収効率を良好なものとすることができる。
【0067】
また、搬送方向において、エッチング液吐出口43から気体噴射口33までの距離d5が、気体噴射口33から対向面61の下流端までの距離d6よりも小さいので、気体噴射口33の下流側において、対向面61と支持面51aとの対向間隔が狭い領域が一定以上の長さに形成されている。よって、この領域を介して、下流側の第2回収路81によって良好にエッチング液を吸引することができる。
【0068】
また、搬送方向において、エッチング液吐出口43から気体噴射口33までの距離d5が、エッチング液吐出口43から対向面61の上流端までの距離d7よりも小さいので、エッチング液吐出口43の上流側において、対向面61と支持面51aとの対向間隔が狭い領域が一定以上の長さに形成されている。よって、この領域を介して、上流側の第1回収路71によって良好にエッチング液を吸引することができる。
【0069】
〔第2実施形態〕
次に、図6を用いて第2実施形態に係るエッチング装置100について説明する。
図6は本実施形態に係るエッチング装置100のエッチングユニット90の部分拡大の側断面図である。
本実施形態に係るエッチング装置100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係るエッチング装置100と相違しており、その他の点では上記の第1実施形態に係るエッチング装置100と同様に構成されている。
【0070】
本実施形態の場合、ワーク10の一方の面11に対して直交し且つ搬送方向に沿う平面で切断した断面(図6に示す断面)において、気体供給路32の延長線とエッチング液供給路42の延長線とが、ワーク10の一方の面11への到達後に交差するようになっている。
すなわち、図6に示す直線L1(上記断面における気体供給路32の軸線)と直線L2(上記断面におけるエッチング液供給路42の軸線)との交点Iが、一方の面11を基準として、対向面61側とは反対側(下側)に位置するようになっている。
【0071】
本実施形態の場合も、距離d0、ワーク10の一方の面11と第1方向とのなす角度、及び、第1方向に対する第2方向の傾斜角度は、第1実施形態と同様である。
本実施形態の場合、距離d5は、距離d0よりも大きくしてもよい。
本実施形態の場合、距離d5は、例えば、1mm以上とすることができる。
【0072】
本実施形態の場合、エッチング液吐出口43から吐出されたエッチング液と気体噴射口33から噴射された気体とは、例えば、対向面61と一方の面11との間では衝突せず、エッチング液が一方の面11上に供給された後、当該エッチング液に対して、気体噴射口33から噴射された気体が衝突し、該エッチング液を気体による付勢によって一方の面11に対して連続的に打ち付ける動作となる。
【0073】
本実施形態においても、ワーク10のエッチングを良好に行うことが可能である。
なお、本実施形態では、気体供給路32の延長線とエッチング液供給路42の延長線とが、ワーク10の一方の面11への到達後に交差するため、一方の面11に付着したエッチング液が下流側に移動してしまうことを、気体噴射口33から噴射される気流によって堰き止めることができる。よって、一方の面11にエッチング液が付着したままワーク10がエッチングユニット90の下流側に搬送されてしまうことをより確実に抑制できる。また、気体噴射口33から噴射される気体によって、対向面61と一方の面11との間のエッチング液の一部を一方の面11から除去された異物とともに上流側に押し流し、これを第1回収路71により回収することができる。
【0074】
〔第3実施形態〕
次に、図7及び図8を用いて第3実施形態に係るエッチング装置100について説明する。
図7は第3実施形態に係るエッチング装置100の側断面図であり、エッチングユニット90及びその周辺の構成を示す。
図8図7の部分拡大図であり、吐出ヘッド60の対向面61の近傍の構成を示す。
本実施形態に係るエッチング装置100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係るエッチング装置100と相違しており、その他の点では上記の第1実施形態に係るエッチング装置100と同様に構成されている。
【0075】
上記の第1実施形態ではエッチングユニット90と対向する位置においてワーク10が平板状の吸引プレート51に沿って直線的に移動する例を説明した。
これに対し、本実施形態の場合、搬送部は、ローラ20、ローラ21、吸引プレート51及び吸引箱52を備えておらず、その代わりに、図示しないモータ等のアクチュエータによって回転駆動されるローラ25を備えている。
本実施形態では、エッチングユニット90と対向する位置においてワーク10が円筒状のローラ25の周面25aに沿って円弧状に移動するようになっており、ワーク10を面支持する支持面は、ローラ25の周面25aである。
【0076】
また、エッチングユニット90においてローラ25と対向する部位の形状もローラ25の周面25aに沿う凹曲面となっている。
すなわち、搬送部は円筒状のローラ25であり、支持面はローラ25の周面25aであり、吐出ヘッド60の対向面61はローラ25の周面25aに沿った凹曲面である。
また、第1回収路構成壁72及び第2回収路構成壁82においてローラ25と対向する部位である曲面状対向部72b及び曲面状対向部82bも、ローラ25の周面25aに沿った形状となっている。
【0077】
図8に示すように、本実施形態の場合も、気体噴射口33から支持面51aまでの距離d1と、エッチング液吐出口43から支持面51aまでの距離d2とが互いに等しい。
また、対向面61の各部と支持面である周面25aとの対向間隔(距離d3)は、等間隔(対向面61の各部において一定)となっている。
【0078】
エッチングユニット90の対向面61は、例えば、下向きに配置されている。
エッチングユニット90は、ワーク10の一方の面11のエッチングを行う。
【0079】
ローラ25を含む搬送部によってワーク10を搬送しながら、エッチングユニット90によってワーク10の一方の面11のエッチングを行うことができる。
【0080】
本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0081】
〔第4実施形態〕
次に、図9を用いて第4実施形態に係るエッチング装置100について説明する。
本実施形態に係るエッチング装置100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係るエッチング装置100と相違しており、その他の点では上記の第1実施形態に係るエッチング装置100と同様に構成されている。
【0082】
図9に示すように、本実施形態に係るエッチング装置100は、ワーク10の搬送方向において第2回収路81の下流側の位置に配置されていて第2回収路81に向けて気体を噴射するエアナイフ110を備えている。すなわち、エアナイフ110は、搬送方向における上流側に向けて気体を噴射する。
【0083】
エアナイフ110は、例えば、図9の奥行き方向に延在する(搬送方向に対して直交し且つ支持面51aに沿う方向に延在する)主流路111と、主流路111に連通しているスリット状の噴射スリット112と、を備えている。噴射スリット112は、図9の奥行き方向に延在している。噴射スリット112は、主流路111から、搬送方向に対する逆方向に延びていて、当該噴射スリット112における主流路111側とは反対側の端(つまり噴射スリット112の先端)から気体を噴射する。よって、噴射スリット112の先端から、第2回収路81に向けて(搬送方向における上流側に向けて)気体を噴射することができる。
エアナイフ110は、例えば、第2回収路構成壁82の前面における下端部に固定されており、第2回収路構成壁82の下端82aとワーク10の一方の面11との間に気体を噴射するようになっている。
噴射スリット112は、図9において左下がりに傾斜して配置されていて、噴射スリット112の先端(左端且つ下端)の高さ位置は、下端82aと同等の高さ位置に設定されている。
主流路111には、図示しない気体供給源から気体が供給されるようになっている。この気体供給源は、気体導入部91を介して気体前室31に気体を供給する気体供給源と共通でも良いし、それとは別の気体供給源であってもよい。
主流路111に供給された気体は、噴射スリット112に導入されて、該噴射スリット112の先端から噴射される。
【0084】
本実施形態によれば、エッチング装置100がエアナイフ110を備えていることにより、エッチング液吐出口43から吐出されてワーク10の一方の面11に付着したエッチング液のうち、吐出ヘッド60の上流側及び下流側の第1回収路71及び第2回収路81によって回収しきれずに一旦は第2回収路81の下流側まで搬送されてきたエッチング液を、第2回収路81側に押し戻し、該第2回収路81によってより確実に回収させることができる。
よって、エッチングユニット90を通過後のワーク10の一方の面11におけるエッチング液の残留を抑制することができるため、エッチングユニット90を通過後のワーク10の一方の面11をより乾燥した状態にすることができる。これにより、エッチングユニット90の下流側に配置されているローラ(図1に示すローラ21)にエッチング液が付着してしまうことを抑制できる。
【0085】
〔第5実施形態〕
次に、図10を用いて第5実施形態に係るエッチング装置100について説明する。
本実施形態に係るエッチング装置100は、以下に説明する点で、上記の第3実施形態に係るエッチング装置100と相違しており、その他の点では上記の第3実施形態に係るエッチング装置100と同様に構成されている。
【0086】
図10に示すように、本実施形態に係るエッチング装置100は、ワーク10の搬送方向において第2回収路81の下流側の位置に配置されていて第2回収路81に向けて気体を噴射するエアナイフ110を備えている。すなわち、エアナイフ110は、搬送方向における上流側に向けて気体を噴射する。
【0087】
エアナイフ110の構造は、第4実施形態と同様である。
すなわち、エアナイフ110は、例えば、図10の奥行き方向に延在する主流路111と、主流路111に連通しているスリット状の噴射スリット112と、を備えており、噴射スリット112の先端から、第2回収路81に向けて気体を噴射することができる。
エアナイフ110は、例えば、第2回収路構成壁82の前端部における下面に固定されており、第2回収路構成壁82の曲面状対向部82bとワーク10の一方の面11との間に気体を噴射するようになっている。
噴射スリット112は、図10において左上がりに傾斜して配置されている。噴射スリット112の先端と周面25aとの距離は、曲面状対向部82bと周面25aとの距離と同等の距離に設定されている。
【0088】
本実施形態によっても、エッチング装置100がエアナイフ110を備えていることにより、エッチング液吐出口43から吐出されてワーク10の一方の面11に付着したエッチング液のうち、吐出ヘッド60の上流側及び下流側の第1回収路71及び第2回収路81によって回収しきれずに一旦は第2回収路81の下流側まで搬送されてきたエッチング液を、第2回収路81側に押し戻し、該第2回収路81によってより確実に回収させることができる。
よって、エッチングユニット90を通過後のワーク10の一方の面11におけるエッチング液の残留を抑制することができるため、エッチングユニット90を通過後のワーク10の一方の面11をより乾燥した状態にすることができる。これにより、エッチングユニット90の下流側に配置されているローラにエッチング液が付着してしまうことを抑制できる。
【0089】
〔第6実施形態〕
次に、図11及び図12を用いて第6実施形態に係るエッチング装置100について説明する。
本実施形態に係るエッチング装置100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係るエッチング装置100と相違しており、その他の点では上記の第1実施形態に係るエッチング装置100と同様に構成されている。
【0090】
上記の第1実施形態では、吐出ヘッド60からエッチング液を吐出しつつ気体を噴射する例を説明したが、本実施形態の場合、吐出ヘッド60からエッチング液と気体とのうちエッチング液のみをワーク10に吐出する。
このため、図11に示すように、エッチングユニット90は、気体前室31、気体供給路32及び気体噴射口33等を有していない。
また、図12に示すように、エッチング装置100は、ブロワ34、フィルタ35及び気体導入部91を有していない。
【0091】
本実施形態の場合、エッチング液前室41、エッチング液供給路42及びエッチング液吐出口43が上記の第1実施形態における気体前室31、気体供給路32及び気体噴射口33と同様に構成及び配置されている。
【0092】
したがって、本実施形態の場合、エッチング液吐出口43から、ワーク10の一方の面11に対して直交する方向にエッチング液を吐出するように、エッチング装置100が構成されている。
よって、本実施形態の場合も、ワーク10の一方の面11に勢いよくエッチング液を供給することができるので、ワーク10の面直方向におけるエッチングの進行を容易に促進することができる。よって、良好なエッチファクターを実現できるため、より微細なパターンのエッチングを容易に行うことができる。
【0093】
ここで、エッチング液吐出口43からのエッチング液の吐出方向がワーク10の一方の面11に対して直交しているとは、当該吐出方向が一方の面11に対して略直交していることであり、例えば、当該吐出方向と一方の面11とのなす角度が90度±10度以内であることが好ましく、当該吐出方向と一方の面11とのなす角度が±5度以内であることが更に好ましい。
【0094】
エッチング液供給路42は、エッチング液吐出口43から遠い側から順に、第1部分42a、第2部分42b及び第3部分42cを備えている。
このうち第2部分42bの流路幅(図11における左右方向、すなわち搬送方向における流路幅)は、第1部分42aの流路幅よりも小さく、第3部分42cの流路幅は、第2部分42bの流路幅よりも更に小さい。
すなわち、エッチング液吐出口43の長手方向に対して直交するエッチング液吐出口43の幅方向において、エッチング液供給路42の内腔領域の寸法が、下流側に向けて段階的に縮小している。
よって、ワーク10の一方の面11により勢いよくエッチング液を供給することができる。
なお、第1部分42a、第2部分42b及び第3部分42cの形状及び配置は、第1実施形態における第1部分32a、第2部分32b及び第3部分32cの形状及び配置と同様である。
【0095】
本実施形態の場合も、吐出ヘッド60の対向面61の各部と吸引プレート51の支持面51aとの対向間隔が等間隔である。
すなわち、エッチング装置100は、エッチング液吐出口43を有する吐出ヘッド60を備え、搬送部は、一方の面11に対する裏面12にてワーク10を面支持する支持面51aを有し、吐出ヘッド60は、支持面51aに対して対向する対向面61を有し、対向面61の各部と支持面51aとの対向間隔が等間隔である。
【0096】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0097】
エッチング液吐出口43と対向する位置で搬送されるワーク10の姿勢は、水平な姿勢に限らず、例えば、鉛直な姿勢や傾斜した姿勢であってもよい。
また、気体噴射口33からの気体の噴射方向や、エッチング液吐出口43からのエッチング液の吐出方向は、下向き成分を持つ方向に限らず、例えば、水平方向などであってもよい。
【0098】
また、上記の実施形態は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
【0099】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)搬送されるシート状のワークの一方の面にエッチング液を供給して前記ワークのエッチングを行うエッチング装置であって、
前記ワークを所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
前記エッチング液を吐出するエッチング液吐出口と、
を備え、
前記エッチング液吐出口は、前記搬送方向に対して直交する前記ワークの幅方向に長尺なスリット状であり、前記ワークの幅方向における両端間に亘って連続的に延在しているエッチング装置。
(2)前記エッチング液吐出口よりも前記搬送方向の下流側又は上流側における前記エッチング液吐出口の近傍において前記エッチング液吐出口とは独立して配置され、前記ワークの前記一方の面に気体を噴射する気体噴射口を備え、
前記気体噴射口は、前記ワークの幅方向に長尺なスリット状であり、前記ワークの幅方向における両端間に亘って連続的に延在している(1)に記載のエッチング装置。
(3)前記気体噴射口から、前記ワークの前記一方の面に対して直交する第1方向に前記気体を噴射する(2)に記載のエッチング装置。
(4)前記エッチング液吐出口からの前記エッチング液の吐出方向である第2方向は、前記第1方向に対して交差する方向である(3)に記載のエッチング装置。
(5)前記エッチング液吐出口に前記エッチング液を供給するエッチング液供給路と、
前記気体噴射口に気体を供給する気体供給路と、
を備え、
前記エッチング液供給路の下流端において前記エッチング液吐出口が開口しており、
前記気体供給路の下流端において前気体噴射口が開口しており、
前記一方の面に対して直交し且つ前記搬送方向に沿う平面で切断した断面において、前記気体供給路の延長線と前記エッチング液供給路の延長線とが、前記ワークの前記一方の面への到達前に交差する(2)から(4)のいずれか一項に記載のエッチング装置。
(6)前記気体噴射口に気体を供給する気体供給路を備え、
前記気体供給路の下流端において前気体噴射口が開口しており、
前記気体噴射口の長手方向に対して直交する前記気体噴射口の幅方向において、前記気体供給路の内腔領域の寸法が、下流側に向けて段階的に縮小している(2)から(5)のいずれか一項に記載のエッチング装置。
(7)前記搬送部は、前記一方の面に対する裏面にて前記ワークを面支持する支持面を有し、
前記気体噴射口から前記支持面までの距離と、前記エッチング液吐出口から前記支持面までの距離とが互いに等しい(2)から(6)のいずれか一項に記載のエッチング装置。
(8)前記気体噴射口と前記エッチング液吐出口とを有する吐出ヘッドを更に備え、
前記吐出ヘッドは、前記支持面に対して対向する対向面を有し、
前記対向面の各部と前記支持面との対向間隔が等間隔であり、
前記対向面において前記気体噴射口及び前記エッチング液吐出口が互いに独立して開口している(7)に記載のエッチング装置。
(9)前記エッチング液吐出口から、前記ワークの前記一方の面に対して直交する方向に前記エッチング液を吐出する(1)に記載のエッチング装置。
(10)前記エッチング液吐出口に前記エッチング液を供給するエッチング液供給路を備え、
前記エッチング液供給路の下流端において前記エッチング液吐出口が開口しており、
前記エッチング液吐出口の長手方向に対して直交する前記エッチング液吐出口の幅方向において、前記エッチング液供給路の内腔領域の寸法が、下流側に向けて段階的に縮小している(9)に記載のエッチング装置。
(11)前記エッチング液吐出口を有する吐出ヘッドを更に備え、
前記搬送部は、前記一方の面に対する裏面にて前記ワークを面支持する支持面を有し、
前記吐出ヘッドは、前記支持面に対して対向する対向面を有し、
前記対向面の各部と前記支持面との対向間隔が等間隔である(9)又は(10)に記載のエッチング装置。
(12)前記支持面と前記対向面とがそれぞれ平面状であり、前記支持面と前記対向面とが互いに平行に対向している(8)又は(11)に記載のエッチング装置。
(13)前記搬送部は円筒状のローラであり、
前記支持面は前記ローラの周面であり、
前記対向面は前記ローラの前記周面に沿った凹曲面である(8)又は(11)に記載のエッチング装置。
(14)前記搬送方向における前記対向面の寸法が、前記対向面と前記支持面との対向間隔よりも大きい(8)、(11)、(12)又は(13)のいずれか一項に記載のエッチング装置。
(15)前記エッチング液吐出口を有する吐出ヘッドと、
前記搬送方向において前記吐出ヘッドの上流側の位置に配置され、前記エッチング液吐出口から吐出された前記エッチング液を吸引して回収する第1回収路と、
前記搬送方向において前記吐出ヘッドの下流側の位置に配置され、前記エッチング液吐出口から吐出された前記エッチング液を吸引して回収する第2回収路と、
を備える(1)から(14)のいずれか一項に記載のエッチング装置。
【符号の説明】
【0100】
10 ワーク
11 一方の面
12 裏面
20 ローラ(搬送部を構成する)
21 ローラ(搬送部を構成する)
25 ローラ(搬送部を構成する)
25a 周面(支持面)
31 気体前室
32 気体供給路
32a 第1部分
32b 第2部分
32c 第3部分
33 気体噴射口
34 ブロワ
35 フィルタ
41 エッチング液前室
42 エッチング液供給路
42a 第1部分
42b 第2部分
42c 第3部分
43 エッチング液吐出口
44 液槽
45 ポンプ
46 弁
47 流量コントローラ
48 逆止弁
51 吸引プレート(搬送部を構成する)
51a 支持面
52 吸引箱(搬送部を構成する)
52a 陰圧室
60 吐出ヘッド
61 対向面
61a 第1部分
61b 第2部分
61c 第3部分
71 第1回収路
72 第1回収路構成壁
72a 下端
72b 曲面状対向部
72c 上端
73 吸引源連絡部
74 慣性集塵水切りフィルタボックス
75 フィルタ
76 ブロワ
77 フィルタ
81 第2回収路
82 第2回収路構成壁
82a 下端
82b 曲面状対向部
82c 上端
83 吸引源連絡部
90 エッチングユニット
91 気体導入部
92 エッチング液導入部
93 排出部
100 エッチング装置
110 エアナイフ
110a 下面
110b 対向面
111 主流路
112 噴射スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12