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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/10 20060101AFI20220323BHJP
   H01L 25/11 20060101ALI20220323BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20220323BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20220323BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20220323BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20220323BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
H01L25/14 Z
H01L23/12 501P
H01L23/12 E
H01L23/36 D
H05K1/02 Q
H05K3/46 Q
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018132564
(22)【出願日】2018-07-12
(65)【公開番号】P2020010002
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2020-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390022471
【氏名又は名称】アオイ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(72)【発明者】
【氏名】脇坂 伸治
(72)【発明者】
【氏名】河野 一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡田 修
(72)【発明者】
【氏名】福島 正人
【審査官】平林 雅行
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-343904(JP,A)
【文献】特開2013-182974(JP,A)
【文献】特開2006-080521(JP,A)
【文献】特開2009-070882(JP,A)
【文献】特開2015-195368(JP,A)
【文献】特開2010-245269(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0020849(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12-23/15
H01L 23/28-23/31
H01L 23/34-23/36
H01L 23/373-23/427
H01L 23/44
H01L 23/467-23/473
H01L 25/00-25/07
H01L 25/10-25/11
H01L 25/16-25/18
H05K 1/00-1/02
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線層と、
主面が第1接続部を介して前記配線層に接続されている第1半導体チップと、
上面視で前記第1半導体チップの外側に配置されるとともに、前記配線層に垂直な方向に延びる複数の導電ポストと、
前記第1半導体チップの前記主面とは反対側の裏面以外の面、前記配線層、および前記導電ポストの側面に接するエポキシベースの封止樹脂と、
前記第1半導体チップの前記裏面と、前記複数の導電ポストのうちの少なくとも1つとに接続され、前記封止樹脂に接している、スパッタにより成膜された銅またはチタンを含む金属である熱伝導部材と、
前記導電ポストの前記配線層とは反対側の端部に第2接続部を介して接続されている第2半導体チップと、
を備える、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1半導体チップの前記裏面と、前記導電ポストの前記配線層とは反対側の面、および前記封止樹脂の表面とは、同一平面上にあり、
前記熱伝導部材は、前記同一平面上に形成されている、半導体装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の半導体装置において、
前記熱伝導部材が接続されている前記導電ポストは、グランド電位を伝達する導電ポストである、半導体装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記導電ポストは、断面形状が長方形である、半導体装置。
【請求項5】
配線層を形成すること、
前記配線層に垂直な方向に延びる複数の導電ポストを形成すること、
第1半導体チップを用意し、前記第1半導体チップの主面を第1接続部を介して前記配線層に接合すること、
前記第1半導体チップ、前記配線層、および前記導電ポストをエポキシベースの樹脂により樹脂封止すること、
前記樹脂封止により形成した封止樹脂を、前記第1半導体チップの前記主面とは反対側の裏面および前記導電ポストの前記配線層とは反対側の端面の高さまで研磨すること、
前記第1半導体チップの前記裏面、封止樹脂の表面および前記導電ポストの前記端面に対して、銅またはチタンを含む金属をスパッタにより成膜し、前記第1半導体チップの前記裏面と、前記複数の導電ポストのうちの少なくとも1つとを接続する熱伝導部材を形成すること、
前記導電ポストの前記端面に、第2接続部を介して第2半導体チップを接続すること、
を備える、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置の製造方法において、
前記研磨において、さらに前記第1半導体チップの前記裏面を研磨する、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
前記熱伝導部材を、前記複数の導電ポストのうちのグランド電位を伝達するポストに接続する、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項5から請求項7までのいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記配線層を支持基板上に形成し、
前記第1半導体チップの前記裏面、封止樹脂の表面および前記導電ポストの前記端面に対して、銅またはチタンを含む金属をスパッタにより成膜した後に、前記支持基板を前記配線層から剥離する、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記配線層は、少なくとも2層の配線を含む配線層である、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器への半導体部品の実装効率を向上し、電子機器の性能を向上するために、半導体チップを含んだ半導体パッケージを複数積層した半導体部品(半導体装置)が使用されている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2017/294422号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体チップが動作時に消費した電力は熱に変わるため、半導体チップを安定して動作させるためには、半導体チップを十分に放熱させる必要がある。特許文献1には、半導体チップの裏面に熱伝導体を形成することは示されている。しかし、積層された半導体チップの裏面に熱伝導体を形成するのみでは、半導体チップから熱伝導体に熱が伝達されても、その熱が熱伝導体から他の部分に十分に放熱されることがない。従って、半導体チップの放熱が不十分であり、半導体チップおよび半導体製品を安定して動作させることが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の半導体装置は、配線層と、主面が第1接続部を介して前記配線層に接続されている第1半導体チップと、上面視で前記第1半導体チップの外側に配置されるとともに、前記配線層に垂直な方向に延びる複数の導電ポストと、前記第1半導体チップの前記主面とは反対側の裏面以外の面、前記配線層、および前記導電ポストの側面に接するエポキシベースの封止樹脂と、前記第1半導体チップの前記裏面と、前記複数の導電ポストのうちの少なくとも1つとに接続され、前記封止樹脂に接している、スパッタにより成膜された銅またはチタンを含む金属である熱伝導部材と、前記導電ポストの前記配線層とは反対側の端部に第2接続部を介して接続されている第2半導体チップと、を備える。
本発明の半導体装置の製造方法は、配線層を形成すること、前記配線層に垂直な方向に延びる複数の導電ポストを形成すること、第1半導体チップを用意し、前記第1半導体チップの主面を第1接続部を介して前記配線層に接合すること、前記第1半導体チップ、前記配線層、および前記導電ポストをエポキシベースの樹脂により樹脂封止すること、前記樹脂封止により形成した封止樹脂を、前記第1半導体チップの前記主面とは反対側の裏面および前記導電ポストの前記配線層とは反対側の端面の高さまで研磨すること、前記第1半導体チップの前記裏面、封止樹脂の表面および前記導電ポストの前記端面に対して、銅またはチタンを含む金属をスパッタにより成膜し、前記第1半導体チップの前記裏面と、前記複数の導電ポストのうちの少なくとも1つとを接続する熱伝導部材を形成すること、前記導電ポストの前記端面に、第2接続部を介して第2半導体チップを接続すること、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、半導体チップに生じる熱を、熱伝導部材を介して導電ポストに伝導することにより、半導体チップおよび半導体装置を、効率良く冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施の形態による半導体装置の製造方法を説明する図であり、前半の工程を示す図。
図2】本発明の一実施の形態による半導体装置の製造方法を説明する図であり、図1に続く工程を示す図。
図3】本発明の一実施の形態による半導体装置の製造方法を説明する図であり、図2に続く工程を示す図。
図4】本発明の一実施の形態による半導体装置の製造方法を説明する図であり、図3に続く工程を示す図。
図5】本発明の一実施の形態による半導体装置の製造方法を説明する図であり、図4に続く工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(一実施の形態)
図1から図5は、本発明の一実施の形態による半導体装置80の製造方法を説明するための図である。なお、図1から図5は、後述する半導体装置80の1個分の製造工程を示す図を表しているが、支持基板10は半導体装置80よりも大きな基板であり、支持基板10上には、多数の半導体装置80(より厳密には、後述する中間生成体50)が並んで形成されていても良い。
【0009】
(支持基板)
図1(a)は、半導体装置80を製造するための支持基板10の断面を示す図であり、支持基板10の上面には、支持基板10側から順に剥離層11および薄銅層12が形成されている。支持基板10は例えばガラスから成り、支持基板10の厚さは100~2000μm程度が好ましい。
図1(a)および以降の各図においては、理解を容易にするために、支持基板10の面内方向(図中の左右方向)に対して、支持基板10の表面に垂直な方向(図中の上下方向)の長さを拡大して描いている。
なお、図1(b)以降の各図においては、支持基板10の厚さを一部省略して示している。
【0010】
剥離層11は、主として炭素を含む層であることが剥離容易性や膜形成性の点等から好ましく、剥離層11の厚さは1~20nm程度が好ましい。剥離層11は、炭素を主成分とする層以外に、さらに金属を含む層を含んでいても良い。
薄銅層12は、厚さが50~2000nm程度の銅を主成分とする層である。
上記の条件に適した、剥離層11等の形成された支持基板10が販売されていれば、それを購入して使用することができる。
【0011】
(配線層の形成)
図1(b)は、支持基板10上の最上層である薄銅層12の上に、下段パッド14および下層配線15を形成した状態を示している。下段パッド14および下層配線15の形成に際しては、始めに薄銅層12上の全面にフォトレジスト13を形成し、このフォトレジスト層に下段パッド14および下層配線15の形状に対応する所望の開口部を形成する。そして、支持基板10をめっき液に浸し電解銅めっきを行うことで、薄銅層12が露出する部分(すなわちフォトレジスト13の開口部)に銅がめっきされ、下段パッド14および下層配線15が形成される。下層配線15は、複数の下段パッド14を相互に接続する配線である。その後、フォトレジスト13を除去する。
【0012】
図1(c)は、支持基板10上に、下段パッド14および下層配線15を覆うように層間絶縁膜16を形成し、層間絶縁膜16の所定位置にビアホール16aを形成した状態を示している。
層間絶縁膜16の材料としては感光性のポリイミド等を使用し、ビアホール16aは層間絶縁膜16の所定の箇所にレーザ光等の整形された光を照射して感光させ、これを現像してポリイミドを除去することにより形成する。
【0013】
図1(d)は、層間絶縁膜16の表面にめっきシード層18が形成され、めっきシード層18の上にパターンニングされたフォトレジスト19が形成されている状態を示している。
めっきシード層18は、図1(c)に示した支持基板10に対して、無電解めっき、またはスパッタ等のドライ成膜により銅等の金属を成膜することにより形成する。めっきシード層18の厚さは50~200nm程度とする。
【0014】
めっきシード層18の形成後に、めっきシード層18の全面にフォトレジスト19を形成し、フォトレジスト19に対して露光および現像を行うことにより、フォトレジスト19をパターニングする。
この状態の支持基板10をめっき液に浸し電解銅めっきを行うことで、めっきシード層18が露出する部分19a(すなわちフォトレジスト19が除去されている部分)に銅がめっきされる。図1(c)に示したビアホール16aの内部にも、めっきシード層18として、および電解銅めっきにより銅が充填され、層間配線17が形成される。
その後、フォトレジスト19を除去する。
【0015】
図1(e)は、フォトレジスト19を除去した後の支持基板10の状態を示す。めっきシード層18上の、図1(d)においてフォトレジスト19が除去されている部分19aに、銅等の金属がめっきされ、この部分に、上段パッド20a、20b、および上層配線21が形成されている。
ここで、上段パッド20aは、後述する第1半導体チップ25または導電ポスト24と接続されるパッドであり、さらに層間配線17を介して下段パッド14に接続されていても良い。上段パッド20bは、層間配線17を介して下段パッド14に接続されている。上層配線21は、複数の上段パッド20a、20bを相互に接続する配線である。
なお、本明細書では、下段パッド14、下層配線15、上段パッド20a、20b、上層配線21、および層間配線17を、総称してまたは個々に、配線層22とも呼ぶ。
【0016】
(導電ポストの形成)
図1(e)に示した状態の支持基板10に対して、上段パッド20a、20b、上層配線21およびめっきシード層18の上に、ドライフィルム23を形成し、ドライフィルム23の所定箇所に開口23aを形成する。
図2(a)は、ドライフィルム23および開口23aが形成された状態を示す。
ドライフィルム23は、上段パッド20a等の形成されている支持基板10にドライフィルムシートを接合して形成する。開口23aは、ドライフィルム23上の所定の場所にレーザ光等の整形された光を照射してドライフィルム23を感光させ、これを現像してドライフィルム23を部分的に除去することにより形成する。開口23aの側面は、ドライフィルム23の表面に対してほぼ垂直に形成されている。
【0017】
図2(b)は、ドライフィルム23の開口23aの内部に、上段パッド20aに接して銅等の低抵抗金属からなる導電ポスト24が形成された状態を示す。
導電ポスト24の形成は、図2(a)に示した状態の支持基板10をめっき液に浸し、めっきシード層18を電極として電解めっきを行うことで、めっきシード層18に接続されている上段パッド20aの上に、銅等の低抵抗金属をめっきすることにより行う。
【0018】
導電ポスト24を構成する金属は、銅に限らず、低抵抗な金属または合金であれば良く、その電気抵抗率が100[nΩ・m]以下であればよい。
導電ポスト24の長さ(図中の上下方向の長さ)は、一例として150μmから500μm程度である。
【0019】
導電ポスト24を形成した後に、ドライフィルム23を除去し、さらにエッチングによりめっきシード層18を除去する。めっきシード層18のエッチングは、上段パッド20a、20bおよび上層配線21をエッチングマスクとして行う。このとき、上段パッド20a、20bおよび上層配線21もエッチングにより多少は溶解する。ただし、上段パッド20a、20bおよび上層配線21の厚さを、めっきシード層18よりも厚くしておくことで、めっきシード層18を完全に除去し、上段パッド20a、20bおよび上層配線21を残存させることができる。
【0020】
図2(c)は、めっきシード層18を除去した状態の支持基板10を示す。
導電ポスト24は、支持基板10の上面に沿って形成された配線層22(上段パッド20a、20b等)に接続され、かつ配線層22に対して垂直な方向(図中の上方)に延びて形成されている。
なお、上述のように支持基板10が後述する半導体装置80よりも大きな基板であり、支持基板10上に多数の半導体装置80を並べて形成する場合には、支持基板10上に、図2(c)に示す導電ポスト24や、配線層(上段パッド20a、20b等)の構造物を、形成する半導体装置80の個数に対応する数だけ多数配列して形成する。
【0021】
(第1半導体チップの接合および樹脂封止)
図3(a)は、第1半導体チップ25aが接合され、封止樹脂29により封止された状態の支持基板10を示す。
第1半導体チップ25aは、CPU等のロジック回路ICや、DRAM等のメモリーIC等の、シリコンウエハから切断された1つの半導体集積回路チップである。
【0022】
図3(a)に示したように、第1半導体チップ25aの半導体集積回路が形成された主面(図3(a)中の下側の面)の一部には、支持基板10への接合に先立って、接続ポスト26およびはんだ27を形成しておく。
また、必要に応じて、接続ポスト26とはんだ27の間にバリアメタル層を形成しておいても良い。
なお、場合によっては、接続ポスト26を省略し、上段パッド20aと第1半導体チップ25aの主面に形成されているボンディングパッドとを、はんだ27により接合しても良い。
本明細書では、接続ポスト26、はんだ27、さらには必要に応じて追加するバリアメタル層を、それぞれ、または併せて第1接続部28と呼ぶ。
【0023】
なお、第1半導体チップ25aに対する接続ポスト26、はんだ27、およびバリアメタル層の形成には公知の方法を用いればよいので、説明を省略する。
第1半導体チップ25aは、主面を下向きにして、接続ポスト26およびはんだ27が所定の上段パッド20aに対向するように位置合せされ、加熱処理されて接合される。第1半導体チップ25aの接合は、各種のフリップチップボンダーを用いて行うことができる。
【0024】
なお、上述のように、支持基板10上に、導電ポスト24や配線層22の構造物を、形成する半導体装置80の個数に対応する数だけ多数配列して形成している場合には、多数の第1半導体チップ25aをそれぞれに対応する上段パッド20aに位置合せして仮圧着し、その後に加熱処理を行って多数の第1半導体チップ25aをまとめて接合しても良い。
【0025】
第1半導体チップ25aが接合された支持基板10を樹脂封止する。封止樹脂29として、例えばエポキシベースの樹脂にシリカなどのフィラーを充填した樹脂を使用する。封止に際しては、コンプレッションモールド法によって、液状の樹脂を金型で加圧して形成する。なお、トランスファモールド法によって加工を行うこともできる。また、顆粒状や粉体状の樹脂を使用することもできる。
支持基板10上に形成されている配線層22の上面、第1半導体チップ25a、および導電ポスト24の側面および端面が、封止樹脂29により封止される。
【0026】
(封止樹脂および第1半導体チップの研磨)
上記で形成した封止樹脂29の表面および第1半導体チップの裏面(主面とは反対側の面)を研磨する。研磨は、機械的な研磨または機械化学的な研磨により、導電ポスト24の配線層22とは反対側(図3(a)中の上端側)の端面が、封止樹脂29から露出するまで研磨する。
【0027】
研磨後の支持基板10の状態を、図3(b)に示す。
研磨前の第1半導体チップ25aの厚さは、600~800μm程度であるが、研磨された第1半導体チップ25の厚さは、100~200μm程度である。
なお、厚さ600~800μmの第1半導体チップ25aを支持基板10上への接合後に研磨する代わりに、接合前に100~200μm程度に研磨済みの第1半導体チップ25を支持基板10に接合しても良い。この場合には、支持基板10上での第1半導体チップ25aの研磨を大幅に削減できると共に、封止樹脂29の厚さも低減でき、封止樹脂29の研磨に要する時間も削減できる。
【0028】
(熱伝導部材の形成)
図4(a)は、熱伝導部材30が形成された支持基板10の断面図を示し、図4(b)は、その上面図を示す。
熱伝導部材30は、第1半導体チップ25の裏面(断面図の中の上側の面)と、上面視で第1半導体チップ25の周囲に複数形成されている導電ポスト24の少なくとも1つとに接続されて形成されている。
本明細書では、上面視とは、第1半導体チップ25を、その主面に垂直であって、配線層22と反対側の上方遠方から見た状態を言う。
【0029】
熱伝導部材30は、一例として、銅やチタンを含む金属からなり、これらの金属を第1半導体チップ25の裏面、封止樹脂29の上面、および導電ポスト24の上面(配線層22とは反対側の端面)に、スパッタ等のドライ成膜をすることにより形成する。成膜後に必要部分以外をフォトリソ工程により除去して、第1半導体チップ25の裏面とおよび導電ポスト24の少なくとも1つ(導電ポスト24G)とを接続する熱伝導部材30とする。
なお、放熱の観点からは、熱伝導部材30は、第1半導体チップ25の裏面の全てを覆う必要はなく、ある程度の部分を覆えば十分である。ただし、第1半導体チップ25の封止の観点からは、第1半導体チップ25の裏面の全てを覆った方が好ましい。
【0030】
熱伝導部材30は、シリコーン、アクリル、ポリオフィレン等からなる熱伝導シートであってもよい。この場合にも、熱伝導シートを第1半導体チップ25の裏面、および導電ポスト24に貼り付け、不要な部分をリソグラフィやレーザーカッター等で切断して、図4(b)に示す所望の形状とすればよい。
【0031】
第1半導体チップ25で生じた熱は、熱伝導部材30を経て導電ポスト24Gに伝達され、導電ポスト24Gから配線層22を経て、後述する半導体装置80が装着される電子機器の配線基板に伝達される。従って、第1半導体チップ25で生じた熱を、効率良く放熱することができる。
以下では、封止樹脂29によって一体的に封止(保持)される、第1半導体チップ25、導電ポスト24、配線層22(14、20a等)、層間絶縁膜16、および封止樹脂29自体と熱伝導部材30とを、併せて中間生成体50と呼ぶ。
【0032】
(支持基板の剥離)
封止樹脂29により封止された中間生成体50から、支持基板10を剥離する。支持基板10の剥離は、まず支持基板10の周辺部を切断し、または支持基板10の周辺部の封止樹脂29側に掘り込みを入れて、切断部または掘り込み部の断面に剥離層11を露出させる。そして、上記の断面に露出する剥離層11にナイフエッジを有する金属製のブレードを押し当て、剥離層11に亀裂を発生させつつブレードを支持基板10の面内方向に移動させて、中間生成体50から支持基板10を剥離する。
【0033】
支持基板10を剥離した後、層間絶縁膜16の下面に残存する剥離層11および薄銅層12をエッチングにより除去する。
剥離層11および薄銅層12のエッチングに際し、上述の研磨に際して導電ポスト24の端部に形成されている可能性のあるバリについても、同時に除去しても良い。
【0034】
なお、上述のように、支持基板10上に、半導体装置80を複数並べて形成する場合には、上記の切断部または掘り込み部の上面視での形状は、支持基板10上に形成される複数の半導体装置80(第1半導体チップ25等)の外形に概ね沿った形状とすることが、切断される部分の面積を最小化できる点で好ましい。
すなわち、支持基板10の外形形状が四角形であり、その四角形の中に概ね四角形を外形として複数の第1半導体チップ25等が配列される場合には、上記の切断部または掘り込み部の上面視での形状を四角形とすることが望ましい。
一方、支持基板10の外形形状が円形であり、その円形の中に概ね円形を外形として複数の第1半導体チップ25等が配列される場合には、上記の切断部または掘り込み部の上面視での形状を円形とすることが望ましい。
【0035】
(はんだボールの形成)
図5(a)に示すように、層間絶縁膜16および下段パッド14の下面にソルダーレジスト31を形成する。そして、ソルダーレジスト31の下段パッド14に対応する位置にレーザ光等の整形された光を照射してソルダーレジスト31を感光させ、これを現像してソルダーレジスト31を部分的に除去して開口部を形成し、開口部において下段パッド14を露出させる。
続いて、はんだボール32をソルダーレジスト31の開口部から露出した下段パッド14に搭載し、加熱リフローを行うことで、はんだボール32の少なくとも一部を溶融させて、はんだボール32を下段パッド14に固定する。
これにより、第1の半導体パッケージ60が完成する。
【0036】
なお、上述のように、支持基板10上に、半導体装置80を複数並べて形成する場合には、はんだボールの形成後に、ダイシングソーを使用してそれぞれの半導体装置80に切断(分離)する。
なお、製造する半導体装置80の用途によっては、上述のはんだボールの形成工程を省略してもよい。この場合には、中間生成体50が第1の半導体パッケージ60となる。
【0037】
(第2半導体チップの接合)
図5(b)は、図5(a)に示した第1の半導体パッケージ60に、第2の半導体パッケージ70を接合した、完成品の半導体装置80を示す図である。
第2の半導体パッケージ70は、上述の第1の半導体パッケージ60と同様に、第2半導体チップ125、接続ポスト126、はんだ127、第2の配線層122、封止樹脂129、ソルダーレジスト131、および、はんだボール132等を有している。第2半導体チップ125は、CPU等のロジック回路ICや、DRAM等のメモリーIC等の、シリコンウエハから切断された1つの半導体集積回路チップである。第2の配線層122は、上述の第1の半導体パッケージ60の配線層22と同様に、下段パッド114、下層配線115、上段パッド120a、120b、上層配線121、および層間配線117を有している。
【0038】
第2の半導体パッケージ70の製造工程は、上述の第1の半導体パッケージ60の製造工程とほぼ同様であるため、説明を省略する。ただし、第2の半導体パッケージ70においては、第2半導体チップ125の裏面(図中の上面)が露出するまで封止樹脂129を研磨する必要はなく、第2半導体チップ125の裏面は封止樹脂129に覆われているものとする。
【0039】
第2の半導体パッケージ70のはんだボール132は、第1の半導体パッケージ60の導電ポスト24の端部に位置合せされて、加熱処理されて接合される。これにより、第1の半導体パッケージ60の配線層22と第2の半導体パッケージ70の中の第2半導体チップ125は電気的に接続される。
本願明細書では、第2半導体チップ125と導電ポスト24とを電気的に接続する部分、すなわち、接続ポスト126、はんだ127、第2の配線層122、および、はんだボール132を、併せて第2接続部71と呼ぶ。
【0040】
なお、熱伝導部材30が導電性の材料から成る場合には、はんだボール132を、熱伝導部材30を介して導電ポスト24Gの端部に接続することができる。
一方、熱伝導部材30が非導電性の材料から成る場合には、熱伝導部材30を導電ポスト24Gの側面(端面以外)に接続しておき、はんだボール132を、導電ポスト24の端部に接続すればよい。
熱伝導部材30が非導電性の材料から成る場合には、熱伝導のための導電ポスト24Gを設け、これに非導電性の熱伝導部材30を接続させても良い。
【0041】
上記のいずれの場合においても、熱伝導部材30に接続される導電ポスト24Gは、グランド電位に保たれた配線(配線層22の中の配線)に接続されていることが好ましい。
この場合には、導電ポスト24Gの電位は一定値に保たれるため、第1半導体チップ25の裏面の電位も一定のグランド電位に保たれ、第1半導体チップ25に不要な電気ノイズを与えることを防止できる。
【0042】
なお、導電ポスト24の断面形状は、図4(b)に示したように円形であっても良く、または、正方形を含む長方形であってもよい。
なお、導電ポスト24は、ドライフィルム23に形成された開口23aの内部形状に倣って形成されている。よって、導電ポスト24の断面形状を長方形とする場合であっても、その四隅部は、通常、開口23aを形成するリソグラフィ(露光およびエッチング)の解像限界程度の曲率半径で丸くなる。従って、導電ポスト24の断面形状が長方形とは、その断面形状が略長方形であって、四隅部がリソグラフィ(露光およびエッチング)の解像限界程度の曲率半径を有する形状も含むものである。
断面形状が長方形であると、導電ポスト24と第2の半導体パッケージ70のはんだボール132との位置合せに誤差があり相互に位置ずれが生じている場合でも、断面形状が円形の場合に比べて、接合部の面積を大きくすることができ、接合の信頼性が増す。また、導電ポスト24の断面積が増えることにより、導電ポスト24の電気抵抗の値を下げることができる。
【0043】
(一実施の形態の効果)
(1)以上の一実施の形態の半導体装置80は、配線層22と、主面が第1接続部28を介して配線層22に接続されている第1半導体チップ25と、上面視で第1半導体チップ25の外側に配置されるとともに、配線層22に垂直な方向に延びる複数の導電ポスト24と、第1半導体チップ25の主面とは反対側の裏面と、複数の導電ポスト24のうちの少なくとも1つ(24G)とに接続されている熱伝導部材30と、第1半導体チップ25の裏面以外の面、配線層22、および導電ポスト24の側面に接する封止樹脂29と、導電ポスト24の配線層22の反対側の端部に第2接続部71を介して接続されている第2半導体チップ125と、を有している。
この構成により、封止され周囲への放熱が難しい第1半導体チップ25で発生した熱を、熱伝導部材30、導電ポスト24、配線層22、およびはんだボール32を介して、半導体装置80が装着される回路基板に伝導させ、効率良く放熱(冷却)することができる。これにより、第1半導体チップ25を熱的に安定な状態で動作させることができる。
【0044】
(2)(1)において、さらに、第1半導体チップ25の裏面と、導電ポスト24の配線層22とは反対側の面、および封止樹脂29の表面とは、同一平面上にあり、熱伝導部材30を、その同一平面上に形成することで、熱伝導部材30の形成が容易になるとともに、熱伝導部材30内の伝熱経路を最短にし、伝熱効率を向上させることができる。
(3)(1)または(2)において、熱伝導部材30を銅またはチタンを含む金属とすることで、熱伝導性を向上し、耐久性を向上することができる。
(4)(1)または(2)において、熱伝導部材30を熱伝導シートとすることで、低コストで熱伝導部材30を形成することができる。
【0045】
(5)(1)から(4)までのいずれか1つにおいて、熱伝導部材30が接続されている導電ポスト24Gを、グランド電位を伝達する導電ポストとすることで、第1半導体チップ25の裏面の電位を一定に保つことができ、第1半導体チップ25に不要なノイズが混入することを防止できる。
(6)(1)から(5)までのいずれか1つにおいて、導電ポスト24の断面形状を長方形とすることで、導電ポスト24と第2の半導体パッケージ70のはんだボール132との位置合せに誤差があり相互に位置ずれが生じた場合でも、断面形状が円形の場合に比べて接合部の面積を大きくすることができ、接合の信頼性を向上させることができる。
【0046】
(7)以上の一実施の形態の半導体装置80の製造方法は、配線層22を形成すること、配線層22に垂直な方向に延びる複数の導電ポスト24を形成すること、第1半導体チップ25を用意し、第1半導体チップ25の主面を第1接続部28を介して配線層22に接合すること、第1半導体チップ25、配線層22、および導電ポスト24を樹脂封止すること、樹脂封止により形成した封止樹脂29を、第1半導体チップ25の主面とは反対側の裏面および導電ポスト24の配線層22とは反対側の端面の高さまで研磨すること、第1半導体チップ25の裏面と、複数の導電ポスト24のうちの少なくとも1つ(24G)とを接続する熱伝導部材30を形成すること、導電ポスト24の端面に、第2接続部71を介して第2半導体チップ125を接続すること、を備えている。
この構成により、封止され周囲への放熱が難しい第1半導体チップ25で発生した熱を、熱伝導部材30、導電ポスト24、配線層22、およびはんだボール32を介して、半導体装置80が装着される回路基板に伝導させ、効率良く放熱(冷却)する半導体装置を製造することができる。すなわち、第1半導体チップ25を熱的に安定な状態で動作させる半導体装置を製造することができる。
【0047】
(8)(7)において、上記の研磨において、第1半導体チップ25aの裏面を研磨する構成とすることもでき、これにより、支持基板10に接合する前に第1半導体チップ25を研磨する工程を省略できる。
(9)(7)または(8)において、熱伝導部材30の形成は、銅またはチタンを含む金属を、第1半導体チップ25の裏面、封止樹脂29の表面および導電ポスト24の端面に対してドライ成膜することにより行うこともできる。第1半導体チップ25の裏面に直接成膜することで、その密着性の高さにより、高い放熱性能と、発熱時の耐熱密着性の向上を図ることが出来る。
【0048】
(10)(7)または(8)において、熱伝導部材30の形成は、伝熱シートを第1半導体チップ25の裏面および導電ポスト24に貼ることにより行うことができ、これにより、熱伝導部材30を低コストで形成することができる。
(11)(7)から(10)までのいずれか1つにおいて、熱伝導部材30を、複数の導電ポスト24のうちのグランド電位を伝達するポスト(導電ポスト24G)に接続することで、第1半導体チップ25の裏面の電位を一定に保つことができ、第1半導体チップ25への不要なノイズの混入が防止された半導体装置を製造することができる。
【0049】
なお、上記の一実施の形態および変形例においては、配線層22は、下層配線15および下段パッド14と、上層配線21および上段パッド20a、20bと、層間配線17とからなる2層配線としているが、配線層22はこれに限らず単層配線であってもよい。あるいは、上層配線21および上段パッド20a、20bの上にさらに層間配線および最上段パッド、最上段配線等を形成した3層以上の配線からなるものであっても良い。
【0050】
また、半導体装置は、上述の第1の半導体パッケージ60と第2の半導体パッケージ70とが2段に積層されたもののみではなく、より多数の半導体パッケージが3段以上に渡って積層されたものであっても良い。その場合、中間の段に配置される半導体パッケージは、第1の半導体パッケージ60と同様に、その内部の半導体チッブの裏面と複数の導電ポストの少なくとも1つとを接続する熱伝導部材30を備えていることが好ましい。
【0051】
なお、上記の一実施の形態および変形例においては、配線層22は、下層配線15および下段パッド14と、上層配線21および上段パッド20a、20bと、層間配線17とからなる2層配線としているが、配線層22はこれに限らず単層配線であってもよい。あるいは、上層配線21および上段パッド20a、20bの上にさらに層間配線および最上段パッド、最上段配線等を形成した3層以上の配線からなるものであっても良い。
【0052】
なお、配線層22を構成する下段パッド14、下層配線15、上段パッド20a、20b、上層配線21、および層間配線17の厚さ(支持基板10の上面に垂直な方向の長さ)は、それぞれ1μmから20μm程度である。従って、配線層22は全体として、5μmから100μm程度の厚さとなる。
一方、半導体装置80の横幅(図4(c)中の左右方向の長さ)は、5mmから20mm程度である。従って、配線層22は全体として、半導体装置80に比べて薄い平板上の構成物と考えることができ、導電ポスト24は、配線層22に対して垂直な方向に延びていると考えて差し支えない。
【0053】
本発明は以上の内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
80:半導体装置、10:支持基板、11:剥離層、12:薄銅層、14:下段パッド(配線層)、15:下層配線(配線層)、17:層間配線(配線層)、20a,20b:上段パッド(配線層)、16:層間絶縁膜、22:配線層、24:導電ポスト、25,25a:第1半導体チップ、28:第1接合部、29,129:封止樹脂、30:熱伝導部材、71:第2接合部、125:第2半導体チップ、32,132:はんだボール
図1
図2
図3
図4
図5