(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】硬貨処理装置および硬貨回収方法
(51)【国際特許分類】
G07D 11/10 20190101AFI20220323BHJP
G07D 3/00 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
G07D11/10
G07D3/00 C
(21)【出願番号】P 2018133091
(22)【出願日】2018-07-13
【審査請求日】2021-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】増田 義史
(72)【発明者】
【氏名】福永 隆好
(72)【発明者】
【氏名】土井 佳哲
(72)【発明者】
【氏名】藤尾 有司
(72)【発明者】
【氏名】升木 裕文
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-75019(JP,A)
【文献】特開2010-15196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/00 - 11/60
G07D 3/00 - 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨が収納される硬貨収納部と、
前記硬貨収納部内の硬貨が回収される硬貨回収部と、
硬貨が搬送される搬送部と、
制御部と、を備え、
前記硬貨回収部は、その内側面に硬貨が入り込み得る凹部を有するともに、当該凹部の付近へ硬貨を移動させる移動部を含み、
前記制御部は、前記凹部に入り込むと詰まる可能性がある第1の金種の硬貨が前記硬貨回収部に搬送される前に、前記凹部に入り込んでも詰まる可能性がない第2の金種の硬貨を前記搬送部により前記硬貨回収部に搬送し、前記移動部により前記第2の金種の硬貨を前記凹部の付近に送り込む硬貨回収処理を実行する、
ことを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
硬貨の金種を識別するための識別部を、さらに備え、
前記硬貨収納部は、異なる金種の硬貨が混在して収納される異金種収納部を含み、
前記制御部は、前記硬貨回収処理として、
前記異金種収納部から出た硬貨の金種を前記識別部により識別し、
前記第2の金種の硬貨を前記搬送部により前記硬貨回収部に搬送し、前記第1の金種の硬貨を前記搬送部により前記硬貨回収部に搬送せず、
前記硬貨回収部内に所定量の前記第2の金種の硬貨が溜められると、それら第2の金種の硬貨を前記移動部により前記凹部の付近に送り込み、
前記第2の金種の硬貨が前記凹部の付近に送り込まれた後、前記異金種収納部に収納されている硬貨を、前記硬貨回収部に搬送されなかった前記第1の金種の硬貨とともに前記搬送部により前記硬貨回収部に搬送する、
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記識別部での識別結果に基づいて前記硬貨回収部に搬送されなかった前記第1の金種の硬貨を、前記異金種収納部へ戻す、
ことを特徴とする請求項2に記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記硬貨回収処理と、前記異金種収納部から出た硬貨を、当該硬貨が前記第1の金種であるか前記第2の金種であるかに関わりなく前記搬送部により前記硬貨回収部へ搬送する他の硬貨回収処理とを、選択的に実行する、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の金種の硬貨の量に基づいて前記硬貨回収処理を行うか前記他の硬貨回収処理を行うかの判定を行う、
ことを特徴とする請求項4に記載の硬貨処理装置。
【請求項6】
前記硬貨収納部は、前記第1の金種の硬貨が収納される第1の金種別収納部と、前記第2の金種の硬貨が収納される第2の金種別収納部と、異なる金種の硬貨が混在して収納される異金種収納部とを含み、
前記制御部は、前記硬貨回収処理として、
前記第2の金種別収納部から前記第2の金種の硬貨を前記搬送部により前記硬貨回収部に搬送し、
前記硬貨回収部内に溜められた前記第2の金種の硬貨を前記移動部により前記凹部の付近に送り込み、
前記第2の金種の硬貨が前記凹部の付近に送り込まれた後、前記第1の金種別収納部に収納されている前記第1の金種の硬貨と前記異金種収納部に収納されている硬貨とを前記搬送部により前記硬貨回収部に搬送する、
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項7】
硬貨収納部内の硬貨が回収される硬貨回収部を備え、当該硬貨回収部の内側面に硬貨が入り込み得る凹部を有する硬貨処理装置における硬貨回収方法であって、
前記凹部に入り込むと詰まる可能性がある第1の金種の硬貨が前記硬貨回収部に搬送される前に、前記凹部に入り込んでも詰まる可能性がない第2の金種の硬貨を前記硬貨回収部に搬送し、前記硬貨回収部に設けられた移動部により前記第2の金種の硬貨を前記凹部の付近に送り込む、
ことを特徴とする硬貨回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨の入出金等を行う硬貨処理装置および硬貨回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硬貨が金種別に収納される金種別スタッカと、金種別スタッカ内の硬貨が所定枚数に達すると、その後に入金される硬貨が金種に関わりなく収納されるオーバーフロースタッカと、これらスタッカから硬貨が回収される補充回収カセットとを備える硬貨処理装置が、たとえば、特許文献1に記載されている。補充回収カセットは、硬貨処理装置に対して着脱可能である。係員は、硬貨処理装置から補充回収カセットを取り外した後、補充回収カセット内の硬貨を取り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
補充回収カセットは、その内側面が、必ずしも平坦に形成されず、一部が凹んだ形態をとる場合がある。たとえば、補充回収カセットは、金種別スタッカへの硬貨の補充にも用いられるため、その内側面に、補充される硬貨の出口を備える。この出口はシャッターにより開閉されるが、出口の周縁部とシャッターとにより、内側面に凹部が形成され得る。
【0005】
このように、補充回収カセットの内側面に凹部が形成された場合、硬貨が回収されている過程で内側面側に押しのけられた硬貨が凹部内に入り込み、凹部内において、複数の硬貨が、対向する2つの縁(面)の間に架け渡されるようにして挟まり、凹部内から出なくなることが起こり得る。
【0006】
こうなると、係員が、補充回収カセット内から硬貨を取り出す際に、凹部内に詰まった硬貨に気づかず、補充回収カセット内に硬貨が残留したままになってしまう虞がある。
【0007】
発明者らが検証した結果、全ての金種の硬貨が凹部内に詰まるわけではなく、金種毎に異なる硬貨の外径と凹部の大きさとの関係によって、詰まる可能性がある金種の硬貨と、詰まる可能性がない金種の硬貨とが存在することが判明した。たとえば、1円と50円の硬貨は詰まる可能性があるが、それ以外の、5円、10円、100円、500円の硬貨については詰まる可能性がないというようなことである。
【0008】
そこで、本発明は、回収された硬貨が硬貨回収部内に残留しにくい硬貨処理装置および硬貨回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、硬貨処理装置に関する。本態様に係る硬貨処理装置は、硬貨が収納される硬貨収納部と、前記硬貨収納部内の硬貨が回収される硬貨回収部と、硬貨が搬送される搬送部と、制御部と、を備える。ここで、前記硬貨回収部は、その内側面に硬貨が入り込み得る凹部を有するともに、当該凹部の付近へ硬貨を移動させる移動部を含む。そして、前記制御部は、前記凹部に入り込むと詰まる可能性がある第1の金種の硬貨が前記硬貨回収部に搬送される前に、前記凹部に入り込んでも詰まる可能性がない第2の金種の硬貨を前記搬送部により前記硬貨回収部に搬送し、前記移動部により前記第2の金種の硬貨を前記凹部の付近に送り込む硬貨回収処理を実行する。
【0010】
たとえば、前記硬貨回収部が、前記硬貨収納部に補充する硬貨が収納される補充回収部でもあるような場合、補充される硬貨の出口と当該出口を開閉するためのシャッターとが備えられるが、このような場合、前記出口の周縁部とシャッターとにより前記凹部が形成され得る。
【0011】
上記の構成によれば、硬貨回収部の凹部内に詰まる可能性がない第2の金種の硬貨によって凹部の付近が塞がれた後に、凹部内に詰まる可能性がある第1の金種の硬貨が硬貨回収部に収納されるので、硬貨収納部内の硬貨が硬貨回収部に回収される際、第1の金種の硬貨が凹部内に入り込み、凹部内で詰まってしまう、ということを防止できる。よって、硬貨回収部から硬貨を取り出したときに、係員が、凹部内に詰まった硬貨に気づかず、硬貨回収部内に硬貨が残留したままとなってしまうことが防止される。
【0012】
本態様に係る硬貨処理装置において、硬貨の金種を識別するための識別部を、さらに備えるような構成が採られ得る。また、前記硬貨収納部は、異なる金種の硬貨が混在して収納される異金種収納部を含み得る。この場合、前記制御部は、前記硬貨回収処理として、前記異金種収納部から出た硬貨の金種を前記識別部により識別し、前記第2の金種の硬貨を前記搬送部により前記硬貨回収部に搬送し、前記第1の金種の硬貨を前記搬送部により前記硬貨回収部に搬送せず、前記硬貨回収部内に所定量の前記第2の金種の硬貨が溜められると、それら第2の金種の硬貨を前記移動部により前記凹部の付近に送り込み、前記第2の金種の硬貨が前記凹部の付近に送り込まれた後、前記異金種収納部に収納されている硬貨を、前記硬貨回収部に搬送されなかった前記第1の金種の硬貨とともに前記搬送部により前記硬貨回収部に搬送する。
【0013】
上記の構成によれば、識別部での識別結果に基づいて硬貨回収部に搬送された第2の金種の硬貨によって凹部の付近が塞がれた後に、第1の金種の硬貨が硬貨回収部に収納されるので、異金種収納部内の異なる金種の硬貨が硬貨回収部に回収される際、第1の金種の硬貨が凹部内に入り込み、凹部内で詰まってしまう、ということを防止できる。
【0014】
上記の構成とされた場合、さらに、前記制御部は、前記識別部での識別結果に基づいて前記硬貨回収部に搬送されなかった前記第1の金種の硬貨を、前記異金種収納部へ戻すような構成とされ得る。
【0015】
このような構成とされた場合、第1の金種の硬貨を再び搬送されるまでの間保管しておく収納部を硬貨処理装置に別途設ける必要がない。
【0016】
上記の構成とされた場合、さらに、前記制御部は、前記硬貨回収処理と、前記異金種収納部から出た硬貨を、当該硬貨が前記第1の金種であるか前記第2の金種であるかに関わりなく前記搬送部により前記硬貨回収部へ搬送する他の硬貨回収処理とを、選択的に実行するような構成とされ得る。
【0017】
このような構成とされた場合、様々な状況に応じて、硬貨回収処理または他の硬貨回収処理を実行できる。
【0018】
上記の構成とされた場合、さらに、前記制御部は、前記第1の金種の硬貨の量に基づいて前記硬貨回収処理を行うか前記他の硬貨回収処理を行うかの判定を行うような構成とされ得る。
【0019】
このような構成とされた場合、第1の金種の硬貨の量が少ないために、硬貨回収処理が実行されたときの前記他の硬貨回収処理に対する遅延時間が長くならないと見做し得るときには、硬貨回収処理を選択でき、第1の金種の硬貨の量が多いために遅延時間が長くなると見做し得るときには、他の硬貨回収処理を選択できるので、回収に要する時間を極力長引かせることなく、硬貨回収部の凹部への硬貨の詰まりを防止できる。
【0020】
本態様に係る硬貨処理装置において、前記硬貨収納部は、前記第1の金種の硬貨が収納される第1の金種別収納部と、前記第2の金種の硬貨が収納される第2の金種別収納部と、異なる金種の硬貨が混在して収納される異金種収納部とを含み得る。この場合、前記制御部は、前記硬貨回収処理として、前記第2の金種別収納部から前記第2の金種の硬貨を前記搬送部により前記硬貨回収部に搬送し、前記硬貨回収部内に溜められた前記第2の金種の硬貨を前記移動部により前記凹部の付近に送り込み、前記第2の金種の硬貨が前記凹部の付近に送り込まれた後、前記第1の金種別収納部に収納されている前記第1の金種の硬貨と前記異金種収納部に収納されている硬貨とを前記搬送部により前記硬貨回収部に搬送する。
【0021】
上記の構成によれば、第2の金種別収納部から搬送された第2の金種の硬貨によって凹部の付近が塞がれた後に、第1の金種別収納部内の第1の金種の硬貨および異金種収納部内の硬貨(第1の金種の硬貨が含まれ得る)が硬貨回収部に収納されるので、第1の金種別収納部、第2の金種別収納部および異金種収納部内の硬貨が硬貨回収部に回収される際、第1の金種の硬貨が凹部内に入り込み、凹部内で詰まってしまう、ということを防止できる。
【0022】
本発明の第2の態様は、硬貨収納部内の硬貨が回収される硬貨回収部を備え、当該硬貨回収部の内側面に硬貨が入り込み得る凹部を有する硬貨処理装置における硬貨回収方法に関する。本態様に係る硬貨回収方法は、前記凹部に入り込むと詰まる可能性がある第1の金種の硬貨が前記硬貨回収部に搬送される前に、前記凹部に入り込んでも詰まる可能性がない第2の金種の硬貨を前記硬貨回収部に搬送し、前記硬貨回収部に設けられた移動部により前記第2の金種の硬貨を前記凹部の付近に送り込む。
【0023】
上記の構成によれば、第1の態様と同様な効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、回収された硬貨が硬貨回収部内に残留しにくい硬貨処理装置および硬貨回収方法を提供できる。
【0025】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、実施形態に係る、硬貨処理装置の構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る、硬貨処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3(a)は、実施形態に係る、リジェクトボックスが一体となった硬貨カセットの側面断面図であり、
図3(b)および(c)は、実施形態に係る、
図3(a)のA-A´線で切断された硬貨カセットの要部の断面図である。
【
図4】
図4(a)および(b)は、実施形態に係る、硬貨処理装置の入金処理について説明するための図である。
【
図5】
図5(a)および(b)は、実施形態に係る、硬貨処理装置の出金処理について説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る、硬貨回収処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る、硬貨回収処理に含まれるOFスタッカ硬貨回収処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態に係る、硬貨回収処理に含まれる金種別スタッカ硬貨回収処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図9(a)および(b)は、実施形態に係る、OFスタッカ硬貨回収処理について説明するための図である。
【
図10】
図10(a)および(b)は、実施形態に係る、OFスタッカ硬貨回収処理について説明するための図である。
【
図11】
図11(a)および(b)は、実施形態に係る、金種別スタッカ硬貨回収処理について説明するための図である。
【
図12】
図12は、変更例1に係る、硬貨回収処理を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、変更例1に係る、硬貨回収処理に含まれる金種別スタッカ硬貨回収処理を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、変更例1に係る、硬貨回収処理に含まれるOFスタッカ硬貨回収処理を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、変更例2に係る、硬貨回収処理を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、その他の変更例に係る、硬貨カセットの構成について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
本実施形態において、金種別スタッカ140が、特許請求の範囲に記載の「硬貨収納部、第1の金種別収納部、第2の金種別収納部」に対応する。また、オーバーフロースタッカ150が、特許請求の範囲に記載の「硬貨収納部、異金種収納部」に対応する。さらに、硬貨カセット160が、特許請求の範囲に記載の「硬貨回収部」に対応する。さらに、ベルト機構161が、特許請求の範囲に記載の「移動部」に対応する。さらに、第1搬送部190および第2搬送部200が、特許請求の範囲に記載の「搬送部」に対応する。
【0029】
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0030】
<硬貨処理装置の構成>
図1は、硬貨処理装置10の構成を示す概略図である。
図2は、硬貨処理装置10の構成を示すブロック図である。
【0031】
硬貨処理装置10は、現金自動預け払い機(ATM)の内部に配置され、硬貨の入金処理、出金処理等を行う。硬貨処理装置10は、筐体100内に、入出金口部110と、繰出部120と、一時保留部130と、6つの金種別スタッカ140と、オーバーフロースタッカ150と、硬貨カセット160と、回収ボックス170と、リジェクトボックス180と、第1搬送部190と、第2搬送部200と、識別部210とを備える。
【0032】
入出金口部110は、筐体100内の上部前側に設けられ、硬貨の投入または取出が行われる入出金口111と、入出金口111の下側において硬貨を受ける受皿部112とを含む。受皿部112の底面は、開閉機構113により開閉される。受皿部112には下方から入金シュート220が接続されており、開閉機構113により受皿部112の底面が開放されると、硬貨が入金シュート220に放出される。
【0033】
繰出部120は、入出金口部110の下方に設けられる。入金シュート220内を落下した硬貨が繰出部120に収納される。繰出部120は、繰出機構121と、排出機構122とを含む。
【0034】
繰出機構121は、回転円盤123と受渡円盤124とを含み、繰出部120に収納された硬貨を1枚ずつ第1搬送部190へ繰り出す。即ち、回転円盤123の表面には多数の突起が形成され、回転円盤123が回転すると、繰出部120内の硬貨が突起に引っ掛けられて出口部へと運ばれる。硬貨は出口部で受渡円盤124へと受け渡され、受渡円盤124の回転により第1搬送部190へと送り出される。排出機構122は、繰出部120の底面を開放することにより、繰出部120に残留した硬貨や異物を、返却シュート230を介して筐体100の正面に設けられた返却口101へ排出させる。
【0035】
筐体100内には、入出金口部110の後方に一時保留部130が設けられ、一時保留部130の後方に2つの金種別スタッカ140が設けられる。また、繰出部120の後方に4つの金種別スタッカ140が設けられる。
【0036】
一時保留部130は、繰出部120、金種別スタッカ140、オーバーフロースタッカ150および硬貨カセット160から繰り出された硬貨を一時的に保留(収納)する。一時保留部130は、繰出部120と同様、繰出機構131を含む。繰出機構131は、回転円盤132と受渡円盤133とを含み、一時保留部130に収納された硬貨を1枚ずつ第1搬送部190へ繰り出す。
【0037】
6つの金種別スタッカ140には、金種別に硬貨が収納される。即ち、6つの金種別スタッカ140には、それぞれ、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨が割り当てられる。各金種別スタッカ140は、繰出部120と同様、繰出機構141を含む。繰出機構141は、回転円盤142と受渡円盤143とを含み、金種別スタッカ140に収納された硬貨を1枚ずつ第1搬送部190へ繰り出す。
【0038】
筐体100内の下部には、前側にオーバーフロースタッカ150が設けられ、後側に硬貨カセット160が設けられる。また、オーバーフロースタッカ150には回収ボックス170が設けられ、硬貨カセット160と一体的にリジェクトボックス180が設けられる。
【0039】
オーバーフロースタッカ150には、各金種別スタッカ140に収納しきれなかった硬貨が収納される。このため、オーバーフロースタッカ150には、異なる金種の硬貨が混在して収納される。オーバーフロースタッカ150は、ベルト機構151と、シャッター機構152とを含む。ベルト機構151は、オーバーフロースタッカ150内の硬貨を出口に向けて移動させる。シャッター機構152は、シャッターにより出口を開閉する。ベルト機構151により移動された硬貨は、開放された出口から第2搬送部200へ送り込まれる。
【0040】
硬貨カセット160には、各金種別スタッカ140およびオーバーフロースタッカ150から回収された硬貨が収納される。また、硬貨カセット160には、各金種別スタッカ140へ補充される硬貨が収納される。硬貨カセット160は、ベルト機構161と、シャッター機構162とを含む。ベルト機構161は、硬貨カセット160内の硬貨を出口に向けて移動させる。シャッター機構162は、シャッターにより出口を開閉する。ベルト機構161により移動された硬貨は、開放された出口から第2搬送部200へ送り込まれる。硬貨カセット160は、筐体100内から外部へ引き出すことができ、引き出された硬貨カセット160内に対して、回収された硬貨を取出したり、補充される硬貨を装填したりすることができる。
【0041】
回収ボックス170には、入出金口部110に投出されたが一定時間が経過しても利用者(顧客)に取り出されなかった取り忘れの硬貨が収納される。回収ボックス170は、筐体100内から外部へ引き出すことができ、引き出された回収ボックス170から硬貨を取出すことができる。
【0042】
リジェクトボックス180は、補充ボックス181と運用ボックス182とで構成される。補充ボックス181と運用ボックス182は、オーバーフロースタッカ150側から見て左右方向に並ぶ。補充ボックス181には、補充の際に、識別部210で金種の識別ができなかった硬貨が、リジェクト硬貨として収納される。運用ボックス182には、回収の際に、識別部210で金種の識別ができなかった硬貨が、リジェクト硬貨として収納される。リジェクトボックス180は、硬貨カセット160とともに筐体100内から外部へ引き出すことができ、引き出されたリジェクトボックス180から硬貨を取出すことができる。
【0043】
なお、繰出部120と、一時保留部130と、6つの金種別スタッカ140と、オーバーフロースタッカ150と、硬貨カセット160には、これらが硬貨で満杯になったことを検出するためにフォトセンサ等のフル検出センサ(図示しない)が設けられ、これらから硬貨がなくなったことを検出するために残留検出センサ(図示せず)が設けられる。
【0044】
第1搬送部190は、メイン搬送路191と、オーバーフロースタッカ搬送路192と、回収搬送路193と、リジェクト搬送路194と、カセット搬送路195と、を含む。メイン搬送路191は、ベルト機構、ローラー機構等により構成され、入出金口部110と、繰出部120と、一時保留部130と、6つの金種別スタッカ140との間に巡らされ、これらの間において硬貨を搬送する。オーバーフロースタッカ搬送路192は、メイン搬送路191とオーバーフロースタッカ150との間に設けられる。回収搬送路193は、メイン搬送路191と回収ボックス170との間に設けられる。リジェクト搬送路194は、メイン搬送路191とリジェクトボックス180との間に設けられる。カセット搬送路195は、メイン搬送路191と硬貨カセット160との間に設けられる。オーバーフロースタッカ搬送路192、回収搬送路193、リジェクト搬送路194およびカセット搬送路195は、たとえば、シューターである。
【0045】
第2搬送部200は、オーバーフロースタッカ150および硬貨カセット160と一時保留部130との間に、上下方向に延びるよう設けられる。第2搬送部200は、硬貨を上方へ搬送するコンベア機構等により構成される。オーバーフロースタッカ150および硬貨カセット160から繰り出された硬貨は、第2搬送部200により複数枚単位で一時保留部130に搬送される。
【0046】
識別部210は、第1搬送部190のメイン搬送路191において、一時保留部130と、その後方の金種別スタッカ140との間に配置される。識別部210は、第1搬送部190を流れる硬貨の属性として、硬貨の真偽、金種、正損等を識別する。
【0047】
硬貨処理装置10は、さらに、制御部240と、記憶部250とを備える。制御部240は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備える。制御部240は、記憶部250に記憶された動作プログラムに従って、入出金口部110の開閉機構113、繰出部120の繰出機構121および排出機構122、一時保留部130の繰出機構131、金種別スタッカ140の繰出機構141、オーバーフロースタッカ150のベルト機構151およびシャッター機構152、硬貨カセット160のベルト機構161およびシャッター機構162、第1搬送部190、第2搬送部200、識別部210等を制御する。また、記憶部250は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部240の動作プログラムを記憶し、また、制御部240の制御処理の際にワーク領域として利用される。
【0048】
図3(a)は、リジェクトボックス180が一体となった硬貨カセット160の側面断面図であり、
図3(b)および(c)は、
図3(a)のA-A´線で切断された硬貨カセット160の要部の断面図である。
図3(b)は、シャッター162aが下ろされて出口163が閉じられた状態を示し、
図3(c)は、シャッター162aが上げられて出口163が開けられた状態を示す。なお、
図3(b)および(c)では、便宜上、ベルト機構161の前側のローラー161aとベルト161b、および、シャッター機構162の駆動部162bの図示が省略されている。
【0049】
硬貨カセット160内の底部に、前側がやや高くなるよう傾いた状態で、ベルト機構161が配置される。ベルト機構161は、2つのローラー161aと、これらローラー161aの間に架け渡された無端状のベルト161bとを備える。また、ベルト機構161は、ベルト161bに外側からテンションを与える2つのローラー161cを備える。ベルト161bは、硬貨カセット160の底面となる。ベルト161bの幅は、硬貨カセット160の内側の左右の幅より狭くされており、このため、硬貨カセット160の左右の内側面には、ベルト機構161に向かって傾斜する傾斜面160aが形成される。何れか一方のローラー161aが図示しないモータにより回転駆動されると、ベルト161bが回転する。
【0050】
硬貨カセット160の前側面には、ベルト機構161の前方に、硬貨の出口163が設けられる。出口163は、ほぼ四角形状を有し、上面163a、下面163b、左側面163cおよび右側面163dにより、その周縁部が構成される。出口163の下面163bは、ガイド用の3つの突起163eを含み、これら突起163eによって凹凸となる形状を有する。出口163では、突起163eの頂上と上面163aとの間が実質的な開口高Hさとなり、左側面163cと右側面163dとの間が開口幅Wとなる。
【0051】
シャッター機構162は、出口163を開閉するシャッター162aと、シャッター162aを昇降させる駆動部162bとを含む。駆動部162bは、出口163の上方に設けられた収容室164内に配置される。シャッター162aの下端部は、出口163の下面163bの凹凸形状に対応するよう、凹凸形状とされる。シャッター162aの下端部と出口163の下面163bの凹凸形状によって、出口163が閉じられた状態で硬貨が出ることを防ぐことができる。
図3(c)のように、上げられたシャッター162aは、収容室164内に収容される。
【0052】
シャッター162aによって出口163が閉じられているとき、出口163の周縁部とシャッター162aとにより、硬貨カセット160の前側の内側面の一部に凹部165が形成される。
【0053】
出口163の上方であって収容室164の後方に、リジェクトボックス180が配置される。硬貨カセット160とリジェクトボックス180は上面が開口し、これら開口が蓋166で覆われる。蓋166には、硬貨カセット160への硬貨の入口166aと、リジェクトボックス180の各ボックス181、182への硬貨の2つの入口166bとが設けられる。これら入口166a、166bは、それぞれ、シャッター167a、167bにより開閉される。カセット搬送路195を通じて硬貨カセット160内に硬貨が収納される際にシャッター167aが開けられ、リジェクト搬送路194を通じてリジェクトボックス180内に硬貨が収納される際にシャッター167bが開けられる。蓋166は、後端部のヒンジ部166cを支点として上方に開くことができる。硬貨カセット160とリジェクトボックス180から硬貨が取り出される際、あるいは、硬貨カセット160に、補充する硬貨が収納される際、蓋166が開けられる。なお、出口163は、硬貨カセット160の上面の開口側からはリジェクトボックス180の陰に隠れた位置となるため、蓋166が開けられた状態でも、係員は、出口163の付近を確認しづらい。
【0054】
<硬貨処理装置の動作>
次に、硬貨処理装置10の動作について説明する。
【0055】
まず、硬貨処理装置10へ硬貨を入金するための入金処理および硬貨処理装置10から硬貨を出金するための出金処理について説明する。
【0056】
図4(a)および(b)は、硬貨処理装置10の入金処理について説明するための図である。
図5(a)および(b)は、硬貨処理装置10の出金処理について説明するための図である。
【0057】
硬貨処理装置10において、入金処理の際には、
図4(a)に示すように、入出金口部110に投入された硬貨が、一旦、繰出部120に収納され、繰出部120から第1搬送部190(メイン搬送路191)に繰り出される。繰り出された硬貨は、第1搬送部190により搬送されつつ識別部210により真偽、金種および正損が識別される。識別の結果、金種が識別でき且つ破損等のない正常硬貨は、一時保留部130に収納される。一方、識別部210で金種が識別できなかったリジェクト硬貨は、入出金口部110に返却される。また、入金された硬貨の中に変形した硬貨、異物等が混在した場合、繰出部120から硬貨が繰りだせない繰出不良が発生し得る。繰出不良が発生した場合、繰出部120に残った変形硬貨や異物が返却口101に返却される。
【0058】
正常硬貨が一時保留部130に保留された後、入金が確定されると、
図4(b)に示すように、一時保留部130から正常硬貨が第1搬送部190に繰り出される。繰出された正常硬貨は、第1搬送部190で搬送されつつ識別部210で金種が識別され、金種に応じた金種別スタッカ140に収納される。この際、何れかの金種別スタッカ140において、収納された硬貨の枚数が所定枚数(満杯となる枚数など)に達すると、その後は、その金種別スタッカ140に収納されるべき金種の正常硬貨が、オーバーフロースタッカ150へと搬送され、収納される。
【0059】
出金処理の際には、
図5(a)に示すように、出金額に応じた金種の硬貨が、その金種に割り当てられた金種別スタッカ140から第1搬送部190(メイン搬送路191)に繰り出される。繰り出された硬貨は、第1搬送部190により搬送され、識別部210により真偽、金種および正損が識別される。識別の結果、正常硬貨は、入出金口部110に投出される。一方、リジェクト硬貨は、一時保留部130に収納される。
【0060】
出金額分の硬貨が入出金口部110に払い出された後、
図5(b)に示すように、一時保留部130からリジェクト硬貨が第1搬送部190に繰り出される。繰出されたリジェクト硬貨は、第1搬送部190(メイン搬送路191およびオーバーフロースタッカ搬送路192)で搬送され、オーバーフロースタッカ150に収納される。
【0061】
次に、硬貨処理装置10においてオーバーフロースタッカ150(以下、「OFスタッカ150」と称する)および金種別スタッカ140の硬貨を硬貨カセット160へ回収するための硬貨回収処理について説明する。
【0062】
上述の通り、硬貨カセット160では、その前側の内側面に、硬貨の出口163に関係して形成された凹部165が存在する。このような凹部165が存在する場合、硬貨カセット160内に硬貨が回収されている過程で内側面側に押しのけられた硬貨が凹部165内に入り込み得る。そして、
図3(b)の一点鎖線に示すように、凹部165内において、複数(たとえば、2つ)の硬貨が、対向する上面163aと下面163b(突起163eの頂上)の間に架け渡されるようにして挟まり、凹部165内から出てこないことが起こり得る。
【0063】
ただし、硬貨カセット160に収納された全ての金種の硬貨が凹部165内に詰まるわけではなく、金種毎に異なる硬貨の外径と凹部165の大きさ(開口高H、開口幅W)との関係によって、詰まる可能性がある金種(以下、「詰まる金種」と略す)の硬貨と、詰まる可能性がない金種(以下、「詰まらない金種」と略す)の硬貨とが存在する。たとえば、1円同士、50円同士、1円と50円の組み合わせにより詰まりが発生する場合は、1円と50円の硬貨が詰まる金種の硬貨となり、他の5円、10円、100円および500円の硬貨が詰まらない硬貨となる。
【0064】
このように、硬貨が凹部165内に詰まり凹部165から出てこなくなると、係員が、硬貨カセット160内から硬貨を取り出す際に、凹部165内の硬貨に気づかず、硬貨カセット160内に硬貨が残留したままになってしまう虞がある。特に、本実施形態では、出口163、即ち凹部165がリジェクトボックス180のブラインドとなるため係員が確認しづらく、硬貨の残留が生じやすい。
【0065】
そこで、本実施形態では、このような凹部165への硬貨の詰まりを防止できる硬貨回収処理が、制御部240による制御の下で実行される。
【0066】
図6は、硬貨回収処理を示すフローチャートである。
図7は、硬貨回収処理に含まれるOFスタッカ硬貨回収処理を示すフローチャートである。
図8は、硬貨回収処理に含まれる金種別スタッカ硬貨回収処理を示すフローチャートである。
図9(a)ないし
図10(b)は、OFスタッカ硬貨回収処理について説明するための図である。
図11(a)および(b)は、金種別スタッカ硬貨回収処理について説明するための図である。
【0067】
図6を参照して、まず、制御部240は、OFスタッカ150の硬貨を回収するOFスタッカ硬貨回収処理を実行する(S11)。
【0068】
図7を参照して、制御部240は、OFスタッカ150から送出させた硬貨を第2搬送部200により搬送させて一時保留部130へ一旦収納し、続けて一時保留部130から硬貨を繰り出し、繰り出した硬貨を第1搬送部190により搬送させる(S101)。制御部240は、第1搬送部190を流れる硬貨の金種を識別部210により識別する(S102)。
【0069】
たとえば、記憶部250には、何れの金種が詰まる金種であり、何れの金種が詰まらない金種であるかが記憶されている。制御部240は、識別された硬貨が詰まらない金種であれば(S103:YES)、その硬貨を硬貨カセット160内へ収納させ(S104)、識別された硬貨が詰まる金種であれば(S103:NO)、その硬貨をOFスタッカ150内へ戻す(S105)。
【0070】
制御部240は、硬貨カセット160内に所定量の硬貨が収納されないうちは(S106:NO)S101~S105の処理を繰り返す。ここで、所定量とは、所定の枚数でもよいし、センサなどで検出される収納量であってもよい。枚数の場合、たとえば、50枚とされる。なお、S101~S105の一連の処理は、先の一連の処理の完了を待つことなく、連続的に実行される。また、識別部210では硬貨の計数も行われるため、制御部240は、識別部210での詰まらない金種の硬貨の計数結果に基づいて、硬貨カセット160内の硬貨の枚数を把握できる。
【0071】
図9(a)に示すように、OFスタッカ150から送出された詰まらない金種の硬貨は硬貨カセット160内に収納され、OFスタッカ150から送出された詰まる金種の硬貨はOFスタッカ150内に戻される。これにより、硬貨カセット160内には、詰らない金種の硬貨のみが溜められる。
【0072】
硬貨カセット160内に所定量の硬貨が収納されると(S106:YES)、制御部240は、OFスタッカ150からの硬貨の搬送を一旦停止させる(S107)。そして、制御部240は、ベルト機構161を動作させて、収納された硬貨を出口163、即ち凹部165の付近へ移動させる(S108)。このとき、制御部240は、たとえば、ベルト161bを、数秒間、硬貨を出口163側へ送る方向に回転(正回転)させた後、一旦停止させ、その後僅かに、硬貨を出口163側から戻す方向へ回転(逆回転)させる。
【0073】
図9(b)に示すように、詰まらない金種の硬貨が凹部165の付近に溜まり、凹部165の付近が詰まらない金種の硬貨で塞がれた状態となる。なお、上記のように、最後にベルト161bを僅かに逆回転させることで、ベルト161bの正回転により硬貨が出口163側へ押さえ付けられても、その押さえ付けを緩めることができる。
【0074】
制御部240は、OFスタッカ150からの硬貨の搬送を再開し(S109)、搬送された硬貨を硬貨カセット160内に収納させる(S110)。
図10(a)に示すように、OFスタッカ150に戻された詰まる金種の硬貨を含めOFスタッカ150内の残りの硬貨が、詰まる金種であるか詰まらない金種であるかにかに関わらず、硬貨カセット160内に収納される。
【0075】
制御部240は、OFスタッカ150内の硬貨が硬貨カセット160内に全て収納されたか否かを判定し(S111)、全て収納されていなければ(S111:NO)、硬貨カセット160内にならし枚数の硬貨が収納されたか否かを判定する(S112)。ならし枚数は、ならし動作が必要となる硬貨の枚数であり、たとえば、500枚とされる。
【0076】
硬貨カセット160内にならし枚数の硬貨が収納されると(S112:YES)、制御部240は、硬貨の搬送を一旦停止させて(S113)、ならし動作を行う(S114)。即ち、制御部240は、ベルト機構161を動作させて、収納された硬貨を出口163側へ移動させる。このとき、制御部240は、たとえば、S108の処理と同様、ベルト161bを、数秒間正回転させた後、一旦停止させ、その後僅かに、逆回転させる。
図10(b)に示すように、硬貨カセット160内では、硬貨の山となった部分が出口163側に移動する。このため、次回からは山でない部分に硬貨が溜まるようになり、硬貨カセット160内の硬貨がならされた状態となる。
【0077】
ならし動作が完了すると、制御部240は、OFスタッカ150からの硬貨の搬送を再開する(S109)。そして、OFスタッカ150内の硬貨が硬貨カセット160内に全て収納されると(S111:YES)、制御部240は、硬貨の搬送を停止し(S115)、OFスタッカ硬貨回収処理を終了する。
【0078】
硬貨カセット160内では、詰まらない金種の硬貨によって出口163、即ち凹部165の付近が塞がれるため、その後に回収された詰まる金種の硬貨が凹部165内へ入り込むことが防止される。
【0079】
図6に戻り、OFスタッカ硬貨回収処理が終了すると、次に、制御部240は、全ての金種別スタッカ140の硬貨を回収する金種別スタッカ硬貨回収処理を実行する(S12)。
【0080】
図8を参照して、制御部240は、各金種別スタッカ140から、所定の順序に従って、当該金種別スタッカ140内の全ての硬貨を繰り出し、第1搬送部190により一時保留部130へ搬送させる(S201、
図11(a)参照)。本実施形態では、硬貨処理装置10の構造上、金種別スタッカ140から繰り出した硬貨を第1搬送部190により硬貨カセット160へ向けて搬送できない。このため、金種別スタッカ140内の硬貨は、まず、一時保留部130に搬送される。
【0081】
制御部240は、全ての金種別スタッカ140内の硬貨が一時保留部130に収納されたか否か、および、一時保留部130が満杯になったか否かを監視する(S202、S203)。
【0082】
全ての金種別スタッカ140内の硬貨の枚数が、一時保留部130に収納可能な硬貨の枚数より少ない場合は、一時保留部130が満杯になる前に全ての金種別スタッカ140の硬貨が一時保留部130に収納される。一方、全ての金種別スタッカ140内の硬貨の枚数が、一時保留部130に収納可能な硬貨の枚数より多い場合は、全ての金種別スタッカ140の硬貨が一時保留部130に収納される前に一時保留部130が満杯になる。
【0083】
全ての金種別スタッカ140の硬貨が一時保留部130に収納されるか(S202:YES)、あるいは、一時保留部130が満杯になると(S203:YES)、制御部240は、金種別スタッカ140からの硬貨の繰出と第1搬送部190による硬貨の搬送を停止する(S204)。
【0084】
次に、制御部240は、一時保留部130から硬貨を繰り出し、第1搬送部190により硬貨カセット160へ搬送させる(S205、
図11(b)参照)。一時保留部130内の硬貨が全て硬貨カセット160に収納されると(S206:YES)、制御部240は、一時保留部130からの硬貨の繰出と第1搬送部190による硬貨の搬送を停止する(S207)。
【0085】
次に、制御部240は、全ての金種別スタッカ140からの硬貨の回収が完了したか否かを判定する(S208)。全ての金種別スタッカ140の硬貨が一時保留部130に収納される前に一時保留部130が満杯になったため、一時保留部130に収納された分の硬貨が硬貨カセット160に搬送された場合は、硬貨が回収されていない金種別スタッカ140が存在することとなる。この場合、制御部240は、硬貨の回収が完了していないと判定し(S208:NO)、再度S201~S207の処理を実行する。残りの硬貨が回収され、全ての硬貨の回収が完了すると(S208:YES)、制御部240は、金種別スタッカ硬貨回収処理を終了する。
【0086】
こうして、OFスタッカ150および金種別スタッカ140の全ての硬貨が硬貨カセット160に回収されると、硬貨回収処理が終了する。
【0087】
なお、硬貨カセット160内の硬貨の枚数がならし枚数に到達する前に
図7のOFスタッカ硬貨回収処理が終了した場合、
図8には示されていないが、金種別スタッカ硬貨回収処理において、制御部240は、引き続き、硬貨カセット160内の硬貨の枚数がならし枚数に到達したか否かを判定し、ならし枚数に到達すれば、ならし動作を行う。
【0088】
また、
図7および
図8には示されていないが、制御部240は、S102の処理以外にも、回収される硬貨が第1搬送部190を流れるとき、その硬貨の金種を識別部210で識別する。そして、制御部240は、金種が識別できなかった硬貨を、リジェクトボックス180の運用ボックス182に収納する。
【0089】
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0090】
異なる金種の硬貨が混在して収納されたOFスタッカ150内の硬貨が硬貨カセット160に回収される際、識別部210での識別結果に基づいて、詰まらない金種の硬貨が、硬貨カセット160に搬送され、ベルト機構161によって硬貨カセット160の内側面に形成された凹部165の付近に送り込まれる。そして、凹部165の付近が詰まらない金種の硬貨により塞がれた状態となった後に、識別部210での識別結果に基づいて硬貨カセット160に搬送されなかった詰まる金種の硬貨が、OFスタッカ150内に残る硬貨とともに硬貨カセット160へ搬送される。これにより、OFスタッカ150から硬貨カセット160への硬貨の回収の際、詰まる硬貨が凹部165内に入り込み、凹部165内で詰まってしまう、ということを防止できる。よって、硬貨カセット160から硬貨を取り出したときに、係員が、凹部165内に詰まった硬貨に気づかず、硬貨カセット160内に硬貨が残留したままとなってしまうことが防止される。
【0091】
また、識別部210での識別結果に基づいて硬貨カセット160に搬送されなかった詰まらない金種の硬貨についてはOFスタッカ150に戻されるので、詰まる硬貨を再び搬送されるまでの間保管しておく収納部を硬貨処理装置10に別途設ける必要がない。
【0092】
さらに、本実施形態では、硬貨処理装置10は、硬貨カセット160が、金種別スタッカ140に補充する硬貨を収納するために、硬貨の出口163と出口163を開閉するシャッター162aとを有し、この出口163の周縁部とシャッター162aとで凹部165が形成される構成とされるが、このような構成とされた場合に、硬貨カセット160に回収された硬貨が凹部165内に詰まり、硬貨カセット160内に硬貨が残留したままとなってしまうことを防止できる。
【0093】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0094】
<変更例1>
図12は、変更例1に係る、硬貨回収処理を示すフローチャートである。
図13は、変更例1に係る、硬貨回収処理に含まれる金種別スタッカ硬貨回収処理を示すフローチャートである。
図14は、変更例1に係る、硬貨回収処理に含まれるOFスタッカ硬貨回収処理を示すフローチャートである。
【0095】
本変更例の硬貨回収処理においても、上記実施形態の硬貨回収処理と同様、凹部165への硬貨の詰まりが防止される。なお、以下の説明において、便宜上、詰まらない金種の硬貨が収納された金種別スタッカ140を、「詰まらない金種のスタッカ140」と称し、詰まる金種の硬貨が収納された金種別スタッカ140を、「詰まる金種のスタッカ140」と称することとする。
【0096】
図12を参照し、まず、制御部240は、金種別スタッカ硬貨回収処理を実行する(S21)。
【0097】
図13を参照して、制御部240は、各詰まらない金種のスタッカ140から、所定の順序に従って、当該スタッカ140内の全ての硬貨を繰り出し、第1搬送部190により一時保留部130へ搬送させる(S301)。全ての詰まらない金種のスタッカ140の硬貨が一時保留部130に収納されるか(S302:YES)、あるいは、一時保留部130が満杯になると(S303:YES)、制御部240は、詰まらない金種のスタッカ140からの硬貨の繰出と第1搬送部190による硬貨の搬送を停止する(S304)。
【0098】
次に、制御部240は、一時保留部130から硬貨を繰り出し、第1搬送部190により硬貨カセット160へ搬送させる(S305)。一時保留部130内の硬貨が全て硬貨カセット160に収納されると(S306:YES)、制御部240は、一時保留部130からの硬貨の繰出と第1搬送部190による硬貨の搬送を停止する(S307)。硬貨カセット160内に、詰まらない金種の硬貨が溜められる。
【0099】
次に、制御部240は、全ての詰まらない金種のスタッカ140からの硬貨の回収が完了したか否かを判定し(S308)、硬貨の回収が完了していない場合(S308:NO)、再度S301~S307の処理を実行する。そして、全ての詰まらない金種のスタッカ140からの硬貨の回収が完了すると(S308:YES)、制御部240は、ならし動作を行う(S309)。即ち、制御部240は、ベルト機構161を動作させて、収納された硬貨を出口163側へ移動させる。これにより、詰まらない金種の硬貨が出口163の付近に溜まり、出口163の付近が詰まらない金種の硬貨で塞がれた状態となる。
【0100】
次に、詰まる金種のスタッカ140と一時保留部130に対して、詰まらない金種のスタッカ140内の硬貨が硬貨カセット160に回収される処理動作(S301~308)と同様な処理動作(S310~S317)が制御部240により行われる。これにより、全ての詰まる金種のスタッカ140内の硬貨が硬貨カセット160に回収される。こうして、金種別スタッカ硬貨回収処理が終了する。
【0101】
硬貨カセット160内では、詰まらない金種の硬貨によって出口163、即ち凹部165の付近が塞がれるため、その後に回収された詰まる金種の硬貨が凹部165内へ入り込むことが防止される。
【0102】
図12に戻り、金種別スタッカ硬貨回収処理が終了すると、次に、制御部240は、OFスタッカ硬貨回収処理を実行する(S22)。
【0103】
図14を参照して、制御部240は、OFスタッカ150から送出させた硬貨を第2搬送部200により搬送させて一時保留部130へ一旦収納し、続けて一時保留部130から硬貨を繰り出し、繰り出した硬貨を第1搬送部190により硬貨カセット160へ搬送させる(S401)。OFスタッカ150内の硬貨が、詰まる金種であるか詰まらない金種であるかに関わりなく、一斉に硬貨カセット160内に収納される。
【0104】
OFスタッカ150内の硬貨が硬貨カセット160内に全て収納されると(S402:YES)、制御部240は、硬貨の搬送を停止する(S403)。こうして、金種別スタッカ硬貨回収処理が終了する。
【0105】
6つの金種別スタッカ140およびOFスタッカ150の全ての硬貨が硬貨カセット160に回収されると、硬貨回収処理が終了する。
【0106】
本変更例の構成によれば、OFスタッカ150内の硬貨と金種別スタッカ140内の硬貨が硬貨カセット160に回収される際、最初に、詰まらない金種のスタッカ140内から詰まらない金種の硬貨が、硬貨カセット160に搬送され、ベルト機構161によって硬貨カセット160の内側面に形成された凹部165の付近に送り込まれる。そして、凹部165の付近が詰まらない金種の硬貨により塞がれた状態となった後に、詰まる金種のスタッカ140内の詰まる金種の硬貨とOFスタッカ150内の硬貨(詰まる金種の硬貨が含まれ得る)が硬貨カセット160へ搬送される。これにより、OFスタッカ150および金種別スタッカ140から硬貨カセット160への硬貨の回収の際、詰まる硬貨が凹部165内に入り込み、凹部165内で詰まってしまう、ということを防止できる。よって、硬貨カセット160から硬貨を取り出したときに、係員が、凹部165内に詰まった硬貨に気づかず、硬貨カセット160内に硬貨が残留したままとなってしまうことが防止される。
【0107】
また、本変更例の構成によれば、上記実施形態の構成と異なり、詰まる硬貨を再度搬送することによる遅延時間が生じない。
【0108】
<変更例2>
上記実施形態の
図7に示すOFスタッカ硬貨回収処理のように、OFスタッカ150から送出された詰まらない金種の硬貨が先に硬貨カセット160に回収され、それら硬貨で凹部165の付近が埋められるような場合、硬貨カセット160の凹部165への硬貨の詰まりを防止できる一方、硬貨が詰まる金種であるか否かに関わらずに硬貨カセット160内に収納されるような従来の場合に比べて、詰まる金種の硬貨がOFスタッカ150に戻され、それら硬貨が再び硬貨カセット160に搬送される分、遅延時間が発生する。
【0109】
そこで、本変更例では、遅延時間が推測され、遅延時間に応じて
図7に示すOFスタッカ硬貨回収処理を実行するか否かが選択される。
【0110】
図15は、変更例2に係る、硬貨回収処理を示すフローチャートである。
【0111】
図15を参照して、制御部240は、
図7に示すOFスタッカ硬貨回収処理が実行される場合に予想される遅延時間を算出する(S13)。
【0112】
OFスタッカ150の硬貨は、一時保留部130に一旦収納された後に一時保留部130から繰り出される。各金種の硬貨が等しい確率で一時保留部130から繰り出されると見做した場合、詰まらない金種の硬貨が硬貨カセット160に収納される収納枚数と詰まる金種の硬貨がOFスタッカ150に戻される戻り枚数との枚数比率は、OFスタッカ150内での詰まらない金種の硬貨の収納枚数と詰まる金種の硬貨の収納枚数との枚数比率と等しいと考えることができる。よって、
図7のS106の判定閾値である所定量が所定枚数である場合、詰まらない金種の硬貨が所定枚数だけ硬貨カセット160に収納されたときに生じるOFスタッカ150に戻される詰まる金種の硬貨の戻り枚数は、以下の式1で求められる。
戻り枚数=所定枚数×(詰まる金種の硬貨のOFスタッカ内での収納枚数/詰まらない金種のOFスタッカ内での収納枚数) …式1
【0113】
OFスタッカ150内の金種毎の枚数は在高として管理されているので、制御部240は、詰まる金種の硬貨の収納枚数と詰まらない金種の硬貨の収納枚数を予め把握できる。よって、制御部240は、上記式1から戻り枚数を求める。
【0114】
硬貨処理装置10では、第2搬送部200による一時保留部130への硬貨の搬送速度が一時保留部130からの硬貨の繰出速度よりも大きくされている。このため、戻り枚数の硬貨が再び硬貨カセット160へ搬送される場合には、戻り枚数の硬貨が一時保留部130から繰り出されるのに要する時間が遅延時間となる。よって、予想遅延時間は、以下の式2で求められる。
予想遅延時間=戻り枚数×一時保留部による硬貨一枚当たりの繰出し時間 …式2
【0115】
上記繰出し時間は、予め決められている。制御部240は、上記式2から予想遅延時間を求める。なお、制御部240は、式2に式1を組み込んだ1つの式から予想遅延時間を一気に求めてもよい。
【0116】
制御部240は、予想遅延時間が所定時間を超えるか否かを判定する(S14)。予想遅延時間が所定時間を超えない場合(S14:NO)、制御部240は、
図7のOFスタッカ硬貨回収処理を実行する(S11)。一方、予想遅延時間が所定時間を超える場合(S14:YES)、制御部240は、他のOFスタッカ硬貨回収処理を実行する(S15)。他のOFスタッカ硬貨回収処理は、上記変更例1の
図14のOFスタッカ硬貨回収処理と同様であるが、加えて、他のOFスタッカ硬貨回収処理では、OFスタッカ150内の硬貨が硬貨カセット160内に全て収納される前に硬貨カセット160内の硬貨がならし枚数に達すると、ならし動作が行われる。
【0117】
次に、制御部240は、金種別スタッカ硬貨回収処理を実行し(S12)、この処理が完了すると、硬貨回収処理を終了する。
【0118】
このように、本変更例では、遅延時間が推測され、遅延時間が長くならない場合には、OFスタッカ硬貨回収処理が選択され、遅延時間が長くなる場合には、他のスタッカ硬貨回収処理が選択される。これにより、回収に要する時間を極力長引かせることなく、硬貨カセット160の凹部165への硬貨の詰まりを防止できる。
【0119】
なお、上記式からも明らかなように、予想遅延時間の長さは、OFスタッカ150内に収納された詰まる金種の硬貨の量(枚数)に依存し、その量が多いほど長くなる。よって、本変更例では、詰まる金種の硬貨の量に基づいてOFスタッカ硬貨回収処理または他のスタッカ硬貨回収処理が選択されると言える。
【0120】
<その他の変更例>
上記実施形態では、詰まる金種の硬貨が硬貨カセット160内に回収される前に詰まらない金種の硬貨によって硬貨カセット160の凹部165の付近を塞ぐような制御処理が行われることで、凹部165内への硬貨の詰まりが防止される。一方で、
図16(a)および(b)に示すように、硬貨カセット160の凹部165において、凹部165内に複数の詰まる金種の硬貨が入り込んでも、これら硬貨が詰まりにくい構造を採ることもできる。
【0121】
図16(a)および(b)を参照して、硬貨カセット160において、シャッター162aには、硬貨カセット160の内側に突出する2つの突部162cが形成される。2つの突部162cは、たとえば半球体状に形成され、詰まる硬貨(
図16(b)の一点鎖線で表示)が出口163内の左右方向の如何なる位置において突起163e上に立った状態となっても、その硬貨が突部162cに触れるような位置関係で設けられる。
【0122】
このような構成とされた場合、
図16(a)のように、突部162cがある位置で硬貨が立ち上がっても、その硬貨は突部162cにより内側に傾けられ上部に隙間が空く状態となる。このため、その硬貨の上に他の硬貨が重なってきても、2つの硬貨は出口163の上面163aと突起163eとの間で突っ張って凹部165内に挟まり込むような状態にはならず、ベルト機構161側に倒れてきて凹部165から出てくるようになる。よって、凹部165内での硬貨の詰まりが防止でされる。
【0123】
図16(a)および(b)の構成が採られた場合、上記実施形態の硬貨回収処理では、OFスタッカ硬貨回収処理に替えて、上記第2変更例の他のOFスタッカ硬貨回収処理が実行されてもよい。即ち、詰まる金種の硬貨が硬貨カセット160内に回収される前に詰まらない金種の硬貨によって硬貨カセット160の凹部165の付近を塞ぐような制御処理が行われなくてもよい。
【0124】
また、
図3(c)に示す出口163の開口高Hを、何れの金種の硬貨が組み合わせられても、これら硬貨が凹部165内で突っ張るような(架け渡されるような)状態とならず、凹部165内に詰まらないような寸法に設定することができる。このように出口163の開口サイズが決められた場合、上記実施形態の硬貨回収処理では、OFスタッカ硬貨回収処理に替えて、上記第2変更例の他のOFスタッカ硬貨回収処理が実行されてもよい。
【0125】
さらに、上記実施形態において、OFスタッカ150内の硬貨のみを硬貨カセット160に回収させることもできる。この場合、制御部240により、
図7のOFスタッカ硬貨回収処理のみが実行される。このOFスタッカ硬貨回収処理が実行されることで、硬貨カセット160の凹部165内での硬貨の詰まりを防止できる。また、6つの金種別スタッカ140内の硬貨のみを硬貨カセット160に回収させることもできる。この場合、制御部240により、
図13の金種別スタッカ硬貨回収処理のみが実行される。この金種別スタッカ硬貨回収処理が実行されることで、硬貨カセット160の凹部165内での硬貨の詰まりを防止できる。
【0126】
さらに、上記変更例1では、詰まらない金種のスタッカ140、詰まる金種のスタッカ140、OFスタッカ150の順に硬貨が回収されたが、詰まらない金種のスタッカ140、OFスタッカ150、詰まる金種のスタッカ140の順に硬貨が回収されてもよい。
【0127】
さらに、上記実施形態では、OFスタッカ硬貨回収処理において、硬貨カセット160内にならし枚数の硬貨が収納されるとならし動作が行われた。しかしながら、センサなどで硬貨が所定の収納量に達したことが検出されたときにならし動作が行われてもよい。要は、硬貨カセット160内の硬貨がならし動作が必要となる量に達したときにならし動作が行われればよい。
【0128】
さらに、上記変更例1では、全ての詰まらない金種のスタッカ140からの硬貨の回収が完了した後ならし動作を行うこととしたが、硬貨カセット160に所定量詰まらない金種の硬貨が収納された段階でならし動作を行うこととしてもよい。
【0129】
さらに、上記変更例2では、予想遅延時間の長さに応じてOFスタッカ硬貨回収処理および他のOFスタッカ硬貨回収処理の何れかが選択された。しかしながら、他の条件、たとえば、回収が行われた時刻が繁忙期であるか否かに応じてOFスタッカ硬貨回収処理および他のOFスタッカ硬貨回収処理の何れかが選択されてもよい。あるいは、上記のように条件ではなく、係員による選択操作に応じてOFスタッカ硬貨回収処理および他のOFスタッカ硬貨回収処理の何れかが選択されてもよい。
【0130】
さらに、上記実施形態では、
図7のS103での判定の結果、詰まらない金種の硬貨はOFスタッカ150に戻された。しかしながら、たとえば、予備のスタッカなど、詰まらない金種の硬貨を、再び搬送されるまでの間保管しておける収納部が、硬貨処理装置10に備えられている場合、その収納部に詰まらない金種の硬貨が収納されてもよい。
【0131】
さらに、上記実施形態では、硬貨カセット160内の硬貨を移動させるための移動部としてベルト機構161が用いられたが、移動部としてベルト機構161以外の機構が用いられてもよい。
【0132】
さらに、上記実施形態では、本発明が、ATMに組み込まれる硬貨処理装置10に適用された例が示された。しかながら、本発明は、銀行等の金融機関に設置され、貨幣(硬貨および紙幣)の入金処理等が行われる窓口テラー用の貨幣入出金機や出納機に含まれる硬貨処理装置など、その他の硬貨処理装置に適用することができる。
【0133】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0134】
10 硬貨処理装置
140 金種別スタッカ(硬貨収納部、第1の金種別収納部、第2の金種別収納部)
150 オーバーフロースタッカ(硬貨収納部、異金種収納部)
160 硬貨カセット(硬貨回収部)
161 ベルト機構(移動部)
162a シャッター
163 出口
165 凹部
190 第1搬送部(搬送部)
200 第2搬送部(搬送部)
210 識別部
240 制御部