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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】LEDバルブ及びLEDバルブユニット
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/143 20180101AFI20220323BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20220323BHJP
   F21S 45/43 20180101ALI20220323BHJP
   F21S 41/125 20180101ALI20220323BHJP
   F21S 45/70 20180101ALI20220323BHJP
   F21S 41/153 20180101ALI20220323BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20220323BHJP
【FI】
F21S41/143
F21V19/00 170
F21V19/00 150
F21S45/43
F21S41/125
F21V19/00 450
F21S45/70
F21S41/153
F21W102:13
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018138989
(22)【出願日】2018-07-25
(65)【公開番号】P2019040856
(43)【公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2017159125
(32)【優先日】2017-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】398052346
【氏名又は名称】アルモテクノス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】喜島 康隆
(72)【発明者】
【氏名】山本 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】李 宗恒
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-098227(JP,A)
【文献】国際公開第2015/032896(WO,A1)
【文献】特開2014-165130(JP,A)
【文献】特開2016-192350(JP,A)
【文献】台湾特許公告第001572811(TW,B)
【文献】特開2003-272418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/143
F21V 19/00
F21S 45/43
F21S 41/125
F21S 45/70
F21S 41/153
F21W 102/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用前照灯で用いられるLEDバルブであって、
第1LED基板と、
第2LED基板と、
前記第1LED基板及び前記第2LED基板を支持する支持体と、を備え、
前記第1LED基板は、対向車線側を照射するための光を発する第1光源と、前記第1光源が実装された第1プリント配線基板と、を有し、前記第1光源は、第1ロービーム光源及び第1ハイビーム光源を含み、
前記第2LED基板は、歩道側を照射するための光を発する第2光源と、前記第2光源が実装された第2プリント配線基板と、を有し、前記第2光源は、第2ロービーム光源及び第2ハイビーム光源を含み、
前記支持体は、第1方向に所定長さを有し、前記第1方向に垂直な第2方向において所定高さを有し、前記第2方向において対向する下端と上端とを有し、
前記第2方向において、前記下端から前記第2ハイビーム光源までの距離は、前記下端から前記第1ハイビーム光源までの距離よりも長いことを特徴とするLEDバルブ。
【請求項2】
車両用前照灯が備える椀状のリフレクタに取り付けられて用いられるLEDバルブであって、
前後方向に延びる支持体と、
前記前後方向に対して垂直な幅方向における前記支持体の片面に装着された第1LED基板と、
前記幅方向における前記支持体の他面に装着された第2LED基板と、を備え、
前記第1LED基板は、対向車線側を照射するための光を発する第1光源と、前記第1光源が実装された第1プリント配線基板と、を有し、前記第1光源は第1ハイビーム光源を含み、
前記第2LED基板は、歩道側を照射するための光を発する第2光源と、前記第2光源が実装された第2プリント配線基板と、を有し、前記第2光源は第2ハイビーム光源を含み、
前記第1光源及び前記第2光源から発せられた光は、前記リフレクタで反射された後に前記リフレクタの前方を覆うレンズ部を透過して前記対向車線側及び前記歩道側をそれぞれ照らし、
前記第1ハイビーム光源と前記第2ハイビーム光源はそれぞれ、二次元配置された複数個のLEDを有し、
前記複数個のLEDは、上下配列された2個のLEDと、前記2個のLEDの後方に配置された1個のLEDと、を含むことを特徴とするLEDバルブ。
【請求項3】
車両用前照灯で用いられるLEDバルブユニットであって、
LEDバルブと、
前記LEDバルブに接続された駆動回路と、を備え、
前記LEDバルブは、第1LED基板と、第2LED基板と、前記第1LED基板及び前記第2LED基板を支持する支持体と、を備え、
前記第1LED基板は、対向車線側を照射するための光を発する第1光源と、前記第1光源が実装された第1プリント配線基板と、を有し、前記第1光源は少なくとも1個のLEDを有し、
前記第2LED基板は、歩道側を照射するための光を発する第2光源と、前記第2光源が実装された第2プリント配線基板と、を有し、前記第2光源は少なくとも1個のLEDを有し、
前記第2光源の輝度は前記第1光源の輝度より高く、
前記第1LED基板は、前記第1プリント配線基板に実装された第1ロービーム光源及び第1ハイビーム光源を有し、前記第1光源は前記第1ロービーム光源であり、
前記第2LED基板は、前記第2プリント配線基板に実装された第2ロービーム光源及び第2ハイビーム光源を有し、前記第2光源は前記第2ロービーム光源であり、
前記第1及び第2ロービーム光源は少なくとも1個の白色LEDを有し、
前記第1及び第2ハイビーム光源は少なくとも1個の電球色LEDを有し、
前記駆動回路は、ロービーム信号を受信すると前記ロービーム光源のみを点灯させ、ハイビーム信号を受信すると前記ロービーム光源と前記ハイビーム光源を点灯させることを特徴とするLEDバルブユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用前照灯において用いられるLEDバルブ及びLEDバルブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、LEDを光源とする種々の車両用前照灯が提案されている。例えば、特許文献1に開示の前照灯は、熱伝導棒と、熱伝導棒の両面に設けられた一対のプリント配線基板と、多数の放熱フィンが設けられた放熱台座と、を備え、各プリント配線基板には、ロービーム用とハイビーム用のLEDが搭載されており、LEDから発せられた熱は放熱台座へ伝達されて放熱フィンから放熱される。
【0003】
また、気象条件等により見やすい光の色温度は異なる。例えば、光の色温度が低いと近くの視認性は良いものの、光が遠くまで届かず視界が狭まる。逆に、光の色温度が高いと視界がホワイトアウトしてしまい、遠近感が無くなってしまう。更に、悪天候時には色温度の高い光は雨等を突き抜けず極端に視界が狭まってしまう。この点、特許文献2に開示の車両用ヘッドランプシステムは、色温度の異なる複数のLEDユニットを備え、LEDユニット間の輝度比率を変えて異なる色温度の光線を混合させることにより、所望の色温度の光線を生成している。
【0004】
更に、特許文献3に開示の車両用灯火装置は、発光源としてのバルブと、バルブの先端部を覆うバルブフードと、リフレクタとを備え、バルブ及びバルブフードはリフレクタに固定されている。バルブフードを設けることにより、バルブからの直接光が前方に照射されるのを防止すると共に、車両用灯火装置の外観を向上させている。
【0005】
また、近年では、光の一部を遮蔽して上方にカットオフラインを有するロービームを形成することが求められている。このカットオフラインは水平ではなく、車両左側通行の国では左上がりのライン(車両右側通行の国では右上がりのライン)とすることで、対向車に眩しくなく、歩道側は先まで見渡せるようにされている。歩道側を先まで見渡せればドライバは歩行者の存在をいち早く認識できるため、歩行者の安全性向上に繋がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-81687号公報
【文献】特開2013-140724号公報
【文献】特開2013-65444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
LEDは熱に弱く冷却する必要があるが、従来の冷却方法は効率的ではなかった。また、引用文献2のように複数のLEDユニットの輝度比率を変えて設定された色温度の光線を生成する方法では、発光制御が複雑で、前照灯が高価になってしまうという問題があった。更に、車種によってはバルブフードが設けられてなく、バルブフードを後付けしたいという要望があった。また、従来の車両用前照灯では、カットオフラインを有するロービームを用いることで対向車線側よりも歩道側を広範囲にわたって照明する方法が採用されているが、輝度については考慮されてこなかった。
【0008】
そこで本発明は、LEDを効果的に冷却できるLEDバルブの提供を目的とする。
【0009】
本発明は、より簡単な構成で見やすい光線を照射可能なLEDバルブユニットの提供を他の目的とする。
【0010】
本発明は、バルブからの直接光が前方に照射されるのを防止できるLEDバルブの提供を更に他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面に係るLEDバルブは、車両用前照灯で用いられるものであって、第1LED基板と、第2LED基板と、前記第1LED基板及び前記第2LED基板を支持する支持体と、を備え、前記第1LED基板は、対向車線側を照射するための光を発する第1光源と、前記第1光源が実装された第1プリント配線基板と、を有し、前記第1光源は少なくとも1個のLEDを有し、前記第2LED基板は、歩道側を照射するための光を発する第2光源と、前記第2光源が実装された第2プリント配線基板と、を有し、前記第2光源は少なくとも1個のLEDを有し、前記第2光源の輝度は前記第1光源の輝度より高い。
【0012】
本発明の他の側面に係るLEDバルブは、車両用前照灯で用いられるLEDバルブであって、第1LED基板と、第2LED基板と、前記第1LED基板及び前記第2LED基板を支持する支持体と、を備え、前記第1LED基板は、対向車線側を照射するための光を発する第1光源と、前記第1光源が実装された第1プリント配線基板と、を有し、前記第1光源は、第1ロービーム光源及び第1ハイビーム光源を含み、前記第2LED基板は、歩道側を照射するための光を発する第2光源と、前記第2光源が実装された第2プリント配線基板と、を有し、前記第2光源は、第2ロービーム光源及び第2ハイビーム光源を含み、前記支持体は、第1方向に所定長さを有し、前記第1方向に垂直な第2方向において所定高さを有し、前記第2方向において対向する下端と上端とを有し、前記第2方向において、前記下端から前記第2ハイビーム光源までの距離は、前記下端から前記第1ハイビーム光源までの距離よりも長い。
【0013】
本発明の他の側面に係るLEDバルブは、車両用前照灯で用いられるLEDバルブであって、第1LED基板と、第2LED基板と、前記第1LED基板及び前記第2LED基板を支持する支持体と、を備え、前記第1LED基板は、対向車線側を照射するための光を発する第1光源と、前記第1光源が実装された第1プリント配線基板と、を有し、前記第1光源は第1ハイビーム光源を含み、前記第2LED基板は、歩道側を照射するための光を発する第2光源と、前記第2光源が実装された第2プリント配線基板と、を有し、前記第2光源は第2ハイビーム光源を含み、前記第1ハイビーム光源と前記第2ハイビーム光源はそれぞれ、二次元配置された複数個のLEDを有する。
【0014】
本発明の他の側面に係るLEDバルブは、車両用前照灯で用いられるLEDバルブであって、第1LED基板と、第2LED基板と、前記第1LED基板及び前記第2LED基板を支持する支持体と、前記支持体に装着されて前記第1LED基板及び前記第2LED基板を覆う光透過性材料からなる保護手段と、を備え、前記第1LED基板は、対向車線側を照射するための光を発する第1光源と、前記第1光源が実装された第1プリント配線基板と、を有し、前記第1光源は少なくとも1個のLEDを有し、前記第2LED基板は、歩道側を照射するための光を発する第2光源と、前記第2光源が実装された第2プリント配線基板と、を有し、前記第2光源は少なくとも1個のLEDを有する。
【0015】
本発明の他の側面に係るLEDバルブは、車両用前照灯で用いられるものであって、プリント配線基板と、前記プリント配線基板に実装された少なくとも1個のLEDと、前記プリント配線基板を支持する支持体と、気流を発生させるための送風ファンと、を備え、 前記支持体にはダクトが設けられ、前記送風ファンにより発生された気流は、前記ダクトを介して前記少なくとも1個のLEDに吹き付けられる。
【0016】
上記前記支持体は、ベース本体と、基板押さえと、を有し、前記第1プリント配線基板は前記ベース本体と前記基板押さえの間に挟持され、前記第1光源は前記支持体に設けられた窓部を介して露出し、前記ダクトは前記窓部に連通しているのが好ましい。
【0017】
本発明の一側面に係るLEDバルブユニットは、車両用前照灯で用いられるものであって、LEDバルブと、前記LEDバルブに接続された駆動回路と、を備え、前記LEDバルブは、プリント配線基板と、前記プリント配線基板に実装されたロービーム光源及びハイビーム光源と、を備え、前記ロービーム光源は少なくとも1個の白色LEDを有し、前記ハイビーム光源は少なくとも1個の電球色LEDを有し、前記駆動回路は、ロービーム信号を受信すると前記ロービーム光源のみを点灯させ、ハイビーム信号を受信すると前記ロービーム光源と前記ハイビーム光源を点灯させる。
【0018】
本発明の更に他の側面に係るLEDバルブは、車両用前照灯で用いられるものであって、 プリント配線基板と、前記プリント配線基板に実装された少なくとも1個のLEDと、前記プリント配線基板を支持する支持体と、前記支持体の先端部に着脱自在に装着されるバルブフードと、を備え、前記バルブフードは、前記LEDから照射される光の一部を遮蔽し、前記LEDからの直接光が前方に照射されるのを防止する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一側面に係るLEDバルブによれば、歩道側を照射するための光を発する第2光源の輝度は、対向車線側を照射するための光を発する第1光源の輝度よりも高いので、対向車に眩しくなく、歩道側はより明るく照らすことができ、歩行者の安全性を向上できる。
【0020】
本発明の他の側面に係るLEDバルブによれば、支持体の下端から第2ハイビーム光源までの距離は、当該下端から第1ハイビーム光源までの距離よりも長く、即ち、第2ハイビーム光源の高さ位置は第1ハイビーム光源の高さ位置よりも高いので、歩道側をより遠くまで照らすことができる。
【0021】
本発明の他の側面に係るLEDバルブによれば、第1ハイビーム光源と第2ハイビーム光源はそれぞれ、二次元配置された複数個のLEDを有するので、直線的に配置された場合と比較して、中央領域をより明るく照らすことができ、視認性を向上できる。
【0022】
本発明の他の側面に係るLEDバルブによれば、支持体に装着されて第1LED基板及び第2LED基板を覆う光透過性材料からなる保護手段を備えるので、使用者が誤ってLEDに触れるのを防止でき、またLEDに異物が付着するのを防止できる。
【0023】
本発明の他の側面に係るLEDバルブによれば、支持体にはダクトが設けられ、送風ファンにより発生された気流は、支持体に設けられたダクトを介してLEDに吹き付けられるので、LEDを効果的に冷却できる。
【0024】
本発明の一側面に係るLEDバルブユニットによれば、駆動回路は、ハイビーム信号を受信すると、少なくとも1個の白色LEDを有するロービーム光源と、少なくとも1個の電球色LEDを有する前記ハイビーム光源と、を点灯させるので、白色光のみで照射した場合のみならず、電球色光のみで照射した場合と比較しても、雪道や雨天時における見やすさを向上できる。
【0025】
本発明の更に他の側面に係るLEDバルブによれば、支持体の先端部に着脱自在に装着されるバルブフードを備えるので、バルブフードが装備されていない車両において使用された場合においてもLEDからの直接光が前方に照射されるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態に係るLEDバルブユニットを有する車両用前照灯の断面図。
図2図1に示すLEDバルブユニットが有するLEDバルブの斜視図。
図3図2に示すLEDバルブの側面図。
図4図2に示すLEDバルブの分解斜視図。
図5図2に示すLEDバルブの分解斜視図。
図6図3(a)のVIーVI線断面図。
図7】(a)は図2(a)のVIIaーVIIa線断面図、(b)は図2(a)のVIIbーVIIb線断面図。
図8図1に示すLEDバルブユニットが備える駆動回路のブロック図。
図9】(a)は本発明の第2実施形態に係るLEDバルブユニットが有するLEDバルブの左側面図、(b)は(a)から保護部材を省略した図。
図10】(a)は図9に示すLEDバルブの右側面図、(b)は(a)から保護部材を省略した図。
図11図9に示すLEDバルブの斜視図。
図12図9に示すLEDバルブの要部分解斜視図。
図13図9に示すLEDバルブの変形例を示す要部分解斜視図。
図14図9に示すLEDバルブの他の変形例を示す要部分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1実施形態]
【0028】
以下、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態に係るLDEバルブユニットについて説明する。図1に示すように、本実施形態のLEDバルブユニット100は車両用前照灯Hに採用されるものであり、LEDバルブ1と、LEDバルブ1に配線Aにより電気的に接続された駆動回路13と、を備える。車両用前照灯Hは、椀状のリフレクタRと、リフレクタRの前方を覆うレンズ部Lとを有し、LEDバルブ1はリフレクタRに取り付けられて用いられる。なお、以下の説明における前、後、左、右、上、下は、車両の運転手から見た前、後、左、右、上、下を意味するが、LEDバルブ1の長手方向D1及び幅方向D2は、必ずしも運転手から見た前後方向及び左右方向と平行である必要はなく、長手方向D1及び幅方向D2が当該前後方向及び左右方向に対してそれぞれ傾斜する場合もある。
【0029】
図2に示すように、LEDバルブ1は、バルブ本体2と、バルブ本体2に連結された放熱台座3と、放熱台座3に搭載された送風ファンFと、バルブ本体2に装着された取付金具11と、バルブ本体2の先端に取り付けられたバルブフード12と、を備える。バルブ本体2は、第1LED基板4と、第2LED基板5と、第1及び第2LED基板4,5を支持する支持体6と、を備える。なお、図6及び図7では取付金具11は省略されている。
【0030】
図3(a)及び図4に示す様に、第1LED基板4は、第1プリント配線基板41と、第1プリント配線基板41に実装された第1ロービーム光源42及び第1ハイビーム光源43と、を有する。第1ロービーム光源42は、LEDバルブ1の長手方向D1に沿って配列された3個の白色LED10Aからなり、第1ハイビーム光源43は、第1ロービーム光源42の後方位置に長手方向D1に沿って配列された3個の電球色LED10Bからなる。
【0031】
第2LED基板5は渡り線38により第1LED基板4と電気的に接続されており、図3(b)及び図5に示す様に、第2プリント配線基板51と、第2プリント配線基板51に実装された第2ロービーム光源52及び第2ハイビーム光源53と、を有する。第2ロービーム光源52は、長手方向D1に沿って配列された6個の白色LED10Aからなり、第2ハイビーム光源53は、第2ロービーム光源52の後方位置に長手方向D1に沿って配列された3個の電球色LED10Bからなる。即ち、第2ロービーム光源52は第1ロービーム光源42よりも多くの白色LED10Aを有し、第2ロービーム光源52全体の輝度は第1ロービーム光源42全体の輝度よりも高く設定されている。
【0032】
なお、本実施形態では、白色LED10Aから放出される光線の色温度は4500K~6500Kであり、電球色LED10Bから放出される光線の色温度は2700K~3500Kである。また、第1ロービーム光源42と第1ハイビーム光源43により第1光源が構成され、第2ロービーム光源52と第2ハイビーム光源53により第2光源が構成される。
【0033】
ここで、第1LED基板4から発せられた光は、リフレクタRで反射された後にレンズ部Lを透過して対向車線側を照らし、第2LED基板5から発せられた光はリフレクタRで反射された後にレンズ部Lを透過して歩道側を照らす。即ち、車両左側通行の日本国用では、第1LED基板4からの光で進行方向右側を照らし、第2LED基板5からの光で進行方向左側を照らすように、第1LED基板4は支持体6の左側に、第2LED基板5は支持体6の右側に装着される。一方、車両右側通行の他国用では、第1LED基板4からの光で進行方向左側を照らし、第2LED基板5からの光で進行方向右側を照らすように、第1LED基板4は支持体6の右側に、第2LED基板5は支持体6の左側に装着される。添付図は、車両左側通行の場合を例示している。
【0034】
図2に示す様に、支持体6の片面には第1LED基板4の第1ロービーム光源42及び第1ハイビーム光源43を露出させるための窓部S1が設けられ、支持体6の他面には第2LED基板5の第2ロービーム光源52及び第2ハイビーム光源53を露出させるための窓部S2が設けられている。
【0035】
より具体的に、支持体6は図4に示す様に、後端に中空の雄ねじ部71が設けられた支持ベース7と、一対の基板押さえ8,9と、を有し、LEDバルブ1の幅方向D2において支持ベース7と各基板押さえ8,9との間に対応のLED基板4,5を挟み込むようにして支持する。本実施形態では、基板押さえ8,9に設けられた切り欠き部8a,9aが窓部S1,S2としてそれぞれ機能する。
【0036】
また、図6及び図7に示す様に、支持体6の幅方向D2両側には長手方向D1に延びる一対のダクト6A,6Bが設けられている。各ダクト6A,6Bは前方において対応の窓部S1,S2に連通し、後方において連通孔S4を介して雄ねじ部71の内部空間S3に連通している。ダクト6A,6Bの前方部位6a,6bは対応の光源42,43,52,53に向かって前方に向かうに従い下方に傾斜して延びており、送風ファンFからの気流がダクト6A,6Bを流れ、光源42,43,52,53(即ち、LED10A,10B)に直接吹き付けられるように構成されている。
【0037】
より具体的に、図4及び図5を参照して、支持ベース7は、上述した雄ねじ部71と、雄ねじ部71と一体形成された本体部72と、を有し、本体部72には第1及び第2LED基板4,5を取り付けるための基板取付面72a,72bが設けられ、本体部72の上端には長手方向D1に延びると共に基板取付面72a,72bよりも幅方向D2外方に突出する延出部72cが設けられている。延出部72cの後方部位72dは前方部位72eよりも幅方向D2において幅広とされている。
【0038】
各基板押さえ8,9の切り欠き部8a,9aよりも後方位置にはダクト規定部8b,9bが設けられている。各ダクト規定部8b,9bの後方部位は縦断面L字状であって長手方向D1に沿って延び、その前方部位は縦断面略コの字状であって光源42,43,52,53に向かって前方に向かうに従い下方に傾斜して延びている。更に、図6及び図7に示す様に、本体部72の後部位には雄ねじ部71の内部空間S3に連通すると共に本体部72を幅方向D2に貫通する連通孔S4が設けられている。
【0039】
各LED基板4,5及び各基板押さえ8,9を支持ベース7に所要の通りに取り付けると、一対のダクト6A,6Bが規定される。即ち、支持ベース7の延出部72c、第1LED基板4、及び基板押さえ8のダクト規定部8bにより一方のダクト6Aが規定され、支持ベース7の延出部72c、第2LED基板5、及び基板押さえ9のダクト規定部9bにより他方のダクト6Bが規定され、このように規定された一対のダクト6A,6Bは連通孔S4を介して雄ねじ部71の内部空間S3に連通する。また、連通孔S4の幅方向D2両側の開口部は基板押さえ8,9により封鎖される。
【0040】
図2及び図3に示す様に、各基板押さえ8,9には、切り欠き部8a,9aの下縁から幅方向D2外方に向かって上方にカーブして延びる遮光板8c,9cが設けられている。長手方向D1において、各遮光板8c,9cは対応のロービーム光源42,52に対応した長さ寸法を有し、対応のロービーム光源42,52から発せられて下方に向かう光を遮光する。
【0041】
放熱台座3は中空部材であって、図4に示す様に、雄ねじ部71に螺合する雌ねじ部31と、雌ねじ部31と一体形成された放熱部32と、を有する。放熱部32の外周面には長手方向D1に延びる多数の放熱フィン32aが周方向に並設されている。送風ファンFは放熱部32に収容保持されており、前方に向けて気流を発生させる。
【0042】
取付金具11は、LEDバルブ1をリフレクタRに取り付けるための部材であって、バルブ本体2に外嵌している。バルブフード12はバルブ本体2の支持体6の前端に着脱自在に装着されてバルブ本体2の前端部を覆う。バルブフード12の支持体6への装着方法に限定はないが、図4に示す例では支持体6の先端に雌ねじ部6aが設けられており、バルブフード12の中心に設けられた貫通孔12aに挿通された図示しない取付ねじを雌ねじ部6aに螺合させて装着される。バルブフード12は、後方に向かって拡径する笠型形状を有し、その最大径はバルブ本体2の最大径よりも大きく設定されており、このようなバルブフード12を設けることにより、バルブ本体2からの直接光が前方に照射されるのを防止すると共に、車両用前照灯Hの外観を向上させることができる。
【0043】
図8を参照して、駆動回路13は、外部スイッチ(図示せず)からの入力信号に応じて第1及び第2ロービーム光源42,52及び/又は第1及び第2ハイビーム光源43のオン/オフ制御を行うものであり、入力信号に応じて電流制御を行う電流制御回路13aと、電流制御回路13aからの電流に応じて出力先を切り替える切替回路13bと、を備える。
【0044】
本実施形態では、外部スイッチからロービーム信号が入力されると、電流制御回路13aは第1電流を切替回路13bへ出力し、切替回路13bは第1及び第2ロービーム光源42,52(即ち、白色LED10A)のみを点灯させる。その結果、第1ロービーム光源42からの光はリフレクタRにより反射されて対向車線側を照射し、第2ロービーム光源52からの光はリフレクタRにより反射されて歩道側を照射する。このとき、遮光板8c、リフレクタR、及びレンズ部Lの作用により、上端部にカットオフラインを有する配光パターンが形成される。ここで、第2ロービーム光源52の輝度は第1ロービーム光源42の輝度よりも高く設定されているから、対向車線側よりも歩道側の輝度が高くなり、対向車の眩惑を誘発することなく歩道側をより明るく照らすことができる。これにより、歩行者の安全性を向上でき、またカットオフラインをより強調できる。
【0045】
一方、外部スイッチからハイビーム信号が入力されると、電流制御回路13aは第2電流を切替回路13bへ出力し、切替回路13bは第1及び第2ロービーム光源42,52に加えて第1及び第2ハイビーム光源43,53(即ち、白色LED10Aと電球色LED10B)を点灯させる。これにより、ロービーム光源42,52からの白色光とハイビーム光源43,53からの電球色光が照射される。このように白色光と電球色光を同時に照射させることにより、白色光のみを照射した場合のみならず、電球色光のみで照射した場合と比較しても、ハレーションの発生を効果的に防止でき、雪道や雨天時における見やすさを向上できる。
【0046】
ここで、LED10A,10Bが点灯すると熱が発生するが、LED10A,10Bから発せられた熱は支持体6を介して放熱台座3に伝達され、放熱フィン32aを介して放熱される。また、送風ファンFの駆動により気流が発生し、この気流は放熱台座3の内部空間S3及び支持体6の連通孔S4を介して各ダクト6A,6Bに流れ込み、第1及び第2LED基板4,5に沿って流れてダクト6A,6Bの前端からヘッドライト室Sに流れ込む。このようにしてヘッドライト室Sに流れ込んだ気流はLED10A,10Bに直接吹き付けられ、LED10A,10Bを効果的に冷却する。
【0047】
また、このようにしてヘッドライト室Sに流れ込んでLED10A,10Bに吹き付けられた空気はLED10A,10Bにより暖められ、ヘッドライト室Sに滞留する。その結果、ヘッドライト室Sの空気全体が暖まり、車両用前照灯Hにおける結露の発生を防止できる。更に、ヘッドライト室Sの暖かい空気によりレンズ部Lが暖められるので、レンズ部Lに霜が付着するのを防止でき、冬期走行時にレンズ部Lに霜が付着して視界不良になるのを防止できる。
【0048】
更に、バルブ本体2の前端にバルブフード12を装着可能であるので、バルブフードが装備されていない車両に本実施形態のLEDバルブ1を用いる場合にはバルブフード12をバルブ本体2に装着させて用いることができ、一方バルブフードが装備されている車両に本実施形態のLEDバルブ1を用いる場合にはバルブフード12を外して用いることができ、バルブフードが装備されている車両にも装備されていない車両にも共通に用いることができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るLDEバルブユニットについて説明する。なお、本実施形態において上述の第1実施形態におけるものと実質同一の部材には同一の参照番号を付し、その説明は省略する。
【0049】
本実施形態に係るLEDバルブユニットは、第1実施形態のLEDバルブユニット100と略同一であるが、LEDバルブ1に代えて図9に示すLEDバルブ101を備える。LEDバルブ101の構成はLEDバルブ1と略同一であるが、以下の点においてLEDバルブ1と異なる。
【0050】
まず、図9に示す様に、第1ハイビーム光源143を構成する3個の電球色LED10Bは、相互に近接して二次元配置されており、図10に示す様に、第2ハイビーム光源153を構成する3個の電球色LED10Bも、相互に近接して二次元配置されている。より具体的には、3個のLED10Bのうち、先端側の2個のLED10Bは遮光板8c,9cの近接位置にて上下配列とされ、残りの1個のLED10Bは当該上下配列された2個のLED10Bの後方に配置されている。従って、図3に示す第1実施形態のものと比較して、LED10Bの配置は全体的に前方寄りとなっている。
【0051】
このように、複数個のLED10Bを高密度で二次元配置することにより、LEDバルブ101の長手方向D1における第1ハイビーム光源143及び第2ハイビーム光源153の長さ寸法が、第1実施形態のものと比較して小さくなる。その結果、第1ハイビーム光源143及び第2ハイビーム光源153により照らされる光の領域の左右幅が小さくなり、対向車に対する眩惑をより効果的に抑制できると共に、左右方向中央部をより明るく照らすことができ、視認性を向上できる。
【0052】
また、支持体6は上下方向D3に下端60と上端61を有し、上下方向D3における支持体6の下端60から第2ハイビーム光源153までの距離H2は、支持体6の下端60から第1ハイビーム光源143までの距離H1よりも長く設定されている。このように、第2ハイビーム光源153の高さ位置を第1ハイビーム光源143の高さ位置よりも高くすることにより、歩道側をより遠くまで照らすことができ、歩行者の安全性をより向上できる。
【0053】
図11及び図12をも参照して、本実施形態のLEDバルブ101は、光透過性材料からなる保護部材20を備える。保護部材20は、支持体6に装着されて第1及び第2LED基板104,105を覆うものであって、本実施形態ではガラス製の円筒部材とされている。保護部材(保護手段)20を支持体6に装着するには、支持体6を先端側から保護部材20に挿入すればよく、支持体6の先端にキャップ112を螺着させることにより保護部材20の脱落が防止される。また、保護部材20は、その周面先端部分に非光透過部(非光透過手段)20aを有し、LED10A,10Bからの光を一部遮るようにされている。非光透過部20aは、例えばアルミ蒸着によって形成できる。
【0054】
このように第1及び第2LED基板104,105を保護部材20によって覆うことで、LED10A,10Bに異物が付着するのを防止でき、またLEDバルブ101の付け替え時等において、使用者が誤ってLED10A,10Bに触れてこれらを破損させるのを防止できる。また、保護部材20の非光透過部20aは、上述したバルブフード12(図3)と同様の機能を果たすため、バルブフードを用いなくても、LED10A,10Bからの直接光が前方に照射されるのを防止することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態に係るLEDバルブユニットについて添付の図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形、修正が可能である。
【0056】
例えば、上記実施形態においては、使用するLEDの個数を変えることにより第1ロービーム光源と第2ロービーム光源の輝度を異ならせたが、使用するLEDの個数に代えて又は/及び加えて、使用するLEDの種類を変えることにより(輝度の異なるLEDを用いることにより)第1ロービーム光源と第2ロービーム光源の輝度を異ならせてもよい。また、上記実施形態においては、第1ロービーム光源及び第1,第2ハイビーム光源はそれぞれ3個のLEDを有し、第2ロービーム光源は6個のLEDを有するが、各光源が備えるLEDの個数はこれに限定されない。
【0057】
また、第2実施形態においては、保護部材20が非光透過手段(非光透過部20a)を有する構成としたが、図13に示す様に、保護部材20(保護手段)と非光透過手段とを別個の部材とすることもできる。図13の例では非光透過手段を非光透過性材料を用いて形成された円筒状の部材(非光透過部材)20a’とし、支持体6の先端に螺着されたキャップ112により支持体6からの脱落が防止される。
【0058】
更に、図13に示すキャップ112と非光透過手段20a’とを一体化させて図14に示す様なキャップ112’とすることもでき、この場合にはキャップ112’はバルブフードとしても機能する。
【0059】
また、第2実施形態において、キャップ112に代えて第1実施形態のバルブフード12を用いることもできる。この場合には、非光透過手段を省略できる。
【符号の説明】
【0060】
1 LEDバルブ
4,104 第1LED基板
5、105 第2LED基板
6 支持体
6A,6B ダクト
10A 白色LED
10B 電球色LED
41 第1プリント配線基板
42 第1ロービーム光源(第1光源)
43,143 第1ハイビーム光源
51 第2プリント配線基板
52 第2ロービーム光源(第2光源)
53,153 第2ロービーム光源
D3 上下方向(第2方向)
F 送風ファン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14