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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】液質検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/07 20060101AFI20220323BHJP
   G01N 27/08 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
G01N27/07
G01N27/08
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018194317
(22)【出願日】2018-10-15
(65)【公開番号】P2020063923
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390000011
【氏名又は名称】JFEアドバンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 瑛人
(72)【発明者】
【氏名】藤原 信悟
(72)【発明者】
【氏名】岩本 和久
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-132775(JP,A)
【文献】実開昭57-188153(JP,U)
【文献】特開平05-188030(JP,A)
【文献】特開平09-015278(JP,A)
【文献】実開平04-094564(JP,U)
【文献】特開2001-041917(JP,A)
【文献】特開昭62-005256(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0327416(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-27/10
G01N 27/14-27/24
G01N 27/28
G01R 27/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状に延び、両端が外面に開口する主流路を有する装置本体と、
前記主流路に配置され、前記主流路を流動する液体に関するデータを検出可能なセンサと、
を備え、
前記装置本体は、始端が前記外面に開口し、前記主流路に対して斜めに合流する副流路をさらに有し、
前記主流路は、互いに平行に配置される第1流路と第2流路とからなり、
前記センサは、前記第1流路に配置される電気伝導度センサと、前記第2流路に配置される温度センサとからなる液質検出装置。
【請求項2】
直線状に延び、両端が外面に開口する主流路を有する装置本体と、
前記主流路に配置され、前記主流路を流動する液体に関するデータを検出可能なセンサと、
を備え、
前記装置本体は、始端が前記外面に開口し、前記主流路に対して斜めに合流する副流路をさらに有し、
前記副流路は、内部を流動する液体が前記主流路に向かう際、一部が前記主流路を構成する内面に衝突した後、前記主流路の開口を介して流出可能であり、残りが前記主流路の開口を介してそのまま流出可能に形成されている液質検出装置。
【請求項3】
直線状に延び、両端が外面に開口する主流路を有する装置本体と、
前記主流路に配置され、前記主流路を流動する液体に関するデータを検出可能なセンサと、
を備え、
前記装置本体は、始端が前記外面に開口し、前記主流路に対して斜めに合流する副流路をさらに有し、
前記装置本体は、前記主流路の一端側の開口位置が平面状の第1面で構成され、前記主流路の他端側の開口位置が曲面状の第2面で構成されている液質検出装置。
【請求項4】
前記装置本体は、略円柱状のヘッダ部を備え、
前記主流路及び前記副流路は、前記ヘッダ部に形成されており、
前記第1面は、前記ヘッダ部の一端側から他端側に向かって斜めに延びる傾斜面で構成され、
前記第2面は、前記第1面の反対側に位置する前記ヘッダ部の円柱面の一部で構成されている、請求項に記載の液質検出装置。
【請求項5】
直線状に延び、両端が外面に開口する主流路を有する装置本体と、
前記主流路に配置され、前記主流路を流動する液体に関するデータを検出可能なセンサと、
を備え、
前記装置本体は、始端が前記外面に開口し、前記主流路に対して斜めに合流する副流路をさらに有し、
前記主流路は、開口端に向かって徐々に開口面積が大きくなる拡径部を有する液質検出装置。
【請求項6】
直線状に延び、両端が外面に開口する主流路を有する装置本体と、
前記主流路に配置され、前記主流路を流動する液体に関するデータを検出可能なセンサと、
を備え、
前記装置本体は、前記主流路に対して斜めに合流する副流路をさらに有し、
前記副流路は、開口端に向かって徐々に開口面積が大きくなる拡径部を有する液質検出装置。
【請求項7】
直線状に延び、両端が外面に開口する主流路を有する装置本体と、
前記主流路に配置され、前記主流路を流動する液体に関するデータを検出可能なセンサと、
を備え、
前記装置本体は、始端が前記外面に開口し、前記主流路に対して斜めに合流する副流路をさらに有し、
前記装置本体は、円筒状の胴部を備え、
前記胴部には、制御部と通信部とが収容され、前記制御部は、前記センサでの検出信号を記憶し、前記通信部は、前記制御部によって無線により外部に検出信号を出力させる液質検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液質検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上に導電率センサ、温度センサを実装して流路形成部材で覆って流路を形成し、液体を流入口から流入させ、流出口から流出させることにより、液体の導電率及び温度を検出するようにしたものが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、流路への液体の流入及び流出が、流路形成部材に形成した流入口及び流出口を介して行われるだけである。このため、流路内での液体の流動状態が安定せず、内部で液体が滞留する恐れがある。この場合、液体の導電率を適切に測定できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-135241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、設置場所に拘わらず、液体の良好な流動状態を確保して、液体に関するデータを正確に検出できる液質検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
直線状に延び、両端が外面に開口する主流路を有する装置本体と、
前記主流路に配置され、前記主流路を流動する液体に関するデータを検出可能なセンサと、
を備え、
前記装置本体は、始端が前記外面に開口し、前記主流路に対して斜めに合流する副流路をさらに有する、液質検出装置を提供する。
【0007】
この構成により、たとえ液体が主流路が延びる方向に沿って流動していない場合であっても、副流路に流入可能であれば、主流路での液体の流動状態を良好なものとできる。すなわち、副流路から主流路に液体が流入する流れが形成されると、主流路では合流地点の上流近傍が負圧となり、主流路内に液体を引き込む力が発生する。これにより、主流路内での液体の流れが形成され、センサによる検出を適切なものとできる。
【0008】
前記主流路は、互いに平行に配置される第1流路と第2流路とからなり、
前記センサは、前記第1流路に配置される電気伝導度センサと、前記第2流路に配置される温度センサとからなるのが好ましい。
【0009】
前記副流路は、内部を流動する液体が前記主流路に向かう際、一部が前記主流路を構成する内面に衝突した後、前記主流路の開口を介して流出可能であり、残りが前記主流路の開口を介してそのまま流出可能に形成されているのが好ましい。
【0010】
この構成により、一旦、副流路から主流路の内周面に衝突して主流路に沿う方向に方向変換された流れと、そのまま真っ直ぐ斜めに向かう流れとが合流する。これにより、合流視点の上流近傍の負圧状態をさらに促進することができ、主流路での液体の流れをより一層形成しやすくなる。
【0011】
前記装置本体は、前記主流路の一端側の開口位置が平面状の第1面で構成され、前記主流路の他端側の開口位置が曲面状の第2面で構成されているのが好ましい。
【0012】
この構成により、各面に沿って液体が流れる際、第1面よりも第2面を流れる距離が長くなる。つまり、第1面側に比べて第2面側での流速が速くなる。ベルヌーイの定理により、主流路の第1面側に比べて第2面側の開口で負圧となり、液体が第1面側の開口から吸い込まれ、主流路を流動する。
【0013】
前記装置本体は、略円柱状のヘッダ部を備え、
前記主流路及び前記副流路は、前記ヘッダ部に形成されており、
前記第1面は、前記ヘッダ部の一端側から他端側に向かって斜めに延びる傾斜面で構成され、
前記第2面は、前記第1面の反対側に位置する前記ヘッダ部の円柱面の一部で構成されているのが好ましい。
【0014】
この構成により、液体の流れが傾斜面に対して交差する、すなわち衝突する方向となっているのであれば、液体を主流路へと流入させることができ、主流路内での液体の流れを形成することが可能となる。また、液体の流れが傾斜面及び円柱面に沿う流れであれば、流速の差が発生するので、ベルヌーイの定理により円柱面側で負圧となり、主流路での液体の流れを得ることができる。
【0015】
前記主流路は、開口端に向かって徐々に開口面積が大きくなる拡径部を有するのが好ましい。
【0016】
この構成により、主流路内に液体を導きやすくなる。
【0017】
前記副流路は、開口端に向かって徐々に開口面積が大きくなる拡径部を有するのが好ましい。
【0018】
この構成により、副流路内に液体を導きやすくなる。
【0019】
前記装置本体は、円筒状の胴部を備え、
前記胴部には、制御部と通信部とが収容され、前記制御部は、前記センサでの検出信号を記憶し、前記通信部は、前記制御部によって無線により外部に検出信号を出力させるのが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、主流路に対して斜めに合流する副流路を設けるようにしたので、たとえ液体が主流路が延びる方向に沿って流動していない場合であっても、副流路に流入可能であれば、主流路での液体の流動状態を良好なものとし、センサでの検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態に係る水質検出装置の斜視図である。
図2図1の分解斜視図である。
図3A図1のヘッダ部に於ける第1主流路での断面図である。
図3B図1のヘッダ部に於ける第2主流路での断面図である。
図4図1のヘッダ部に於ける流体流れの例を示す断面図である。
図5A図1のヘッダ部に於ける流体流れの例を示す断面図である。
図5B図1のヘッダ部に於ける流体流れの例を示す断面図である。
図6図1のヘッダ部に於ける流体流れの例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。なお、以下の説明では、図1に示すように、互いに直交する3つの軸をそれぞれ、X軸、Y軸及びZ軸として記載する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る液質検出装置の一例である水質検出装置の斜視図である。この水質検出装置は、装置本体1、センサ2及び制御部3を備える。
【0024】
装置本体1は、胴部4、ヘッダ部5及び底部6で構成されている。胴部4、ヘッダ部5及び底部6は、例えば、合成樹脂材料を成形加工することにより得られる。
【0025】
胴部4は中空円筒状で、上端開口部4a及び下端開口部4bの間には、外径寸法が若干小さくなった小径部7が形成されている。小径部7は、図示しない治具の装着に利用される。上端開口部4aは内径側が段付き形状となっており、そこには後述するヘッダ部4の突部10が圧入される。
【0026】
ヘッダ部5は円柱状で、Z軸方向の下端近傍から上端面に向かって円柱面8を切除することにより傾斜面9が形成されている。ヘッダ部5の直径は3cmから10cm(ここでは、7cm)に設定されている。傾斜面9がXY平面となす角度(第1傾斜角θ1)は、45度から75度の範囲に設定するのが好ましい(ここでは、45度としている。)。第1傾斜角が45度よりも小さいと、後述するように、図5Bに示す海水の流れに対してコアンダ効果を得るのが難しくなる。一方、第1傾斜角が75度よりも大きいと、図5Aに示す海水の流れに対して、後述する第1主開口11aの開口面積が小さくなり、十分に主流路11内へと海水を引き込むことが難しくなる。傾斜面9と円柱面8及び上端面との境界部分は滑らかにつながった曲面で構成されている。ヘッダ部5の底面中央部には円柱状の突部10が形成されている。突部10は、胴部4の上端開口部4aの内径部分に圧入され、接着等によって封止状態で胴部4に一体化される。
【0027】
ヘッダ部5には主流路11が形成されている。ここでは、主流路11は、Y軸方向に沿って延び、X軸方向に所定間隔で配置される第1主流路11Aと第2主流路11Bで構成されている。各主流路11の内径寸法は、8mmから15mmの範囲(ここでは、13mm)に設定されている。但し、第1主流路11Aでは、最小内径寸法が後述する電気導電度センサ16の内径寸法となる。各主流路11の一端側開口すなわち傾斜面9の第1主開口11aは、開口端に向かうに従って徐々に内径寸法が大きくなっている。主流路11の他端側開口すなわち円柱面8での第2主開口11bも、開口端に向かうに従って徐々に内径寸法が大きくなっている。
【0028】
上端面には、Z軸方向の下方側に向かってY軸方向に傾斜して延びる副流路12がX軸方向に所定間隔で形成されている。副流路12の一方(第1副流路12A)は第1主流路11Aに合流し、他方(第2副流路12B)は第2主流路11Bに合流している。各副流路12の一端側開口すなわち上端面での第1副開口12aは、開口端に向かうに従って徐々に内径寸法が大きくなっている。副流路12の他端側開口すなわち第2副開口12bは主流路11の第2主開口11bに連通している。副流路12の中心線とXY平面とのなす角度(第2傾斜角θ2)は、45度から75度の範囲(ここでは、60度)に設定されている。第2傾斜角θ2が45度よりも小さいと、ヘッダ部5をY軸方向に長く形成せざるを得なくなり大型化が避けられない上、Y軸に直交する流れに対して副流路12内に十分に海水を取り込めなくなる。一方、第2傾斜角θ2が75度よりも大きいと、主流路11での軸心方向に向かう流れを形成しにくくなる。各副流路12の内径寸法は、6mmから15mmの範囲(ここでは、8mm)に設定されており、主流路11よりも小さい値である。副流路12を、上端面側から軸心方向に見たとき、副流路12内に主流路11を構成する内周面の一部が位置している。これにより、上端面側から副流路12内に流入した液体は、一部が主流路11を構成する内周面に衝突した後、残りは衝突することなくそのまま主流路11の第2主開口から流出する。
【0029】
底部6は、円盤状で、その外径寸法は胴部4の下端部4bの外径寸法と同一に設定されている。底部6の上面中央部には平面視円形状の凹部13が形成されている。凹部13の開口縁部からは上方に向かって環状の筒部14が突出している。筒部14の外周面には環状につながった溝部15が設けられている。溝部15には、図示しないOリングが配置される。底部6は、筒部14を胴部4の下端開口部4bに挿入され、ねじ止めされることにより筒部14に取り付けられる。この状態では、Oリングによって封止状態が形成される。
【0030】
センサ2は、第1主流路11A内に配置される電気導電度センサ16と、第2主流路11B内に配置される温度センサ17とを含む。
【0031】
電気導電度センサ16は、第1主流路11A内の液体の電気導電度を検出し、検出値を制御部3へと出力する。検出された電気導電度は、液体に関するデータ(例えば、液体中の塩分濃度)を算出するために利用される。
【0032】
温度センサ17は、第2主流路11B内の液体の温度を検出し、検出値を制御部3へと出力する。検出された温度は、電気導電度センサ16から入力された電気導電度と塩分濃度との関係を補正するために利用される。
【0033】
前記ヘッダ部5と前記センサ2とは、インサート成形によって一体的に形成される。このため、ヘッダ部5とセンサ2とが密着した状態となり、優れた防水機能を発揮する。また、ヘッダ部5は、複数の流路が形成されている構造であるにも拘わらず、それ以外の部分は中実な構造となっているため、十分な剛性を有する。
【0034】
制御部3は、詳細については図示しないが、制御基板、電源及び送信機を備える。制御部は、胴部、ヘッダ部及び底部で囲まれた内部空間内に配置される。制御部3には、電気導電度センサ16で検出された液体の電気導電度と、温度センサ17で検出された温度とがそれぞれ入力される。入力された電気導電度と温度は記憶部にそれぞれ関連付けて記憶される。送信機には、ここではブルートゥースが使用されているが、これに限定されるものではない。記憶部に記憶した電気導電度と温度は、送信機を介して図示しない外部の制御装置へと出力される。
【0035】
前記構成の水質検出装置は、胴部4の環状溝7に治具が取り付けられ、例えば、魚網に装着して使用される。このとき、水質検出装置のY軸方向が鉛直方向に合致し、X軸及びZ軸が同一水平面内に位置するように装着する。水質検出装置は、魚網を海中に浸漬させて使用するが、使用状態において、水質検出装置に対する海水の相対的な流れは一方向とは限らず、種々の方向となる。
【0036】
図4は、水質検出装置に対する海水の流れが鉛直方向上方(又は下方)に向かう場合を示す。これは主に、海水に対して水質検出装置を沈めていく場合(又は引き上げる場合)が該当する。すなわち、水質検出装置を実線の矢印Dで示す下方へと沈めていくと、この方向が主流路11が延びる方向に合致し、海水は主流路11内に直接流入することになる。この結果、主流路11内を相対的に上方に向かう一点鎖線の矢印Uで示す海水の流れが発生する。つまり、主流路11内ではY軸方向の海水の流れが形成される。
【0037】
図5Aは、水質検出装置に対する海水の流れが水質検出装置のヘッダ部5側から底部6側へと向かう第1Z軸方向(図5A中、矢印Z1で示す。)の場合を示す。この場合、傾斜面9では、海水は主流路11の第1主開口11aを介して主流路11内へと流入する。また、上端面では、海水は副流路12の第1副開口12aを介して副流路12内へと流入する。副流路12に流入した海水は、第2副開口12bから流出する際、その一部が主流路11を構成する内周面に衝突し、残りはそのまま主流路11の第2主開口11bから流出する。主流路11の内周面に衝突した海水は、強制的に主流路11に沿う方向へと方向変換される。方向変換された海水は、副流路12を流動してそのまま第2主開口11bから流出する流れに合流される。この副流路12での一連の流れにより、主流路11では、副流路12との合流部分の上流側近傍NPを負圧状態とすることができる。この結果、主流路11では一点鎖線の矢印Uで示す第1Y軸方向Y1への海水の流れが形成される。
【0038】
図5Bは、水質検出装置に対する海水の流れが水平方向で、水質検出装置のY軸方向の底部側からヘッダ部側へと向かう第2Z軸方向(図5A中、矢印Z2で示す。)の場合を示す。この場合、傾斜面9側では、コアンダ効果によって第2Y軸方向Y2の流れが傾斜面9に沿った流れへと変換され、さらに主流路11内へと導かれる。一方、傾斜面9とは反対側の円柱面8では、第2Y軸方向Y2の流れによりベルヌーイの定理に従って主流路11の第2主開口の出口部分で負圧となる。このため、主流路11では第1Y軸方向Y1へと向かう海水の流れが形成される。
【0039】
図6は、水質検出装置に対する海水の流れが水平方向で、水質検出装置の第1X軸方向X1に沿う場合を示す。この場合、主流路11の第1主開口を横切る流れは傾斜面9に沿って流動し、第2主開口を横切る流れは円柱面8に沿って流動する。このため、ベルヌーイの定理により第2主開口側で負圧となり、主流路11では一点鎖線の矢印Uで示す第1Y軸方向Y1への海水の流れが形成される。なお、海水の流れが第1X軸方向X1方向とは反対の第2X軸方向X2であっても同様である。
【0040】
以上、水質検出装置に対して互いに直交する3軸に沿った流れが発生する場合について説明したが、これら以外の流れについても同様に、前記各流れで説明した原理を組み合わせて主流路11内での海水の流れが形成される。例えば、図4図5Aの間の流れである場合、すなわち図5Aの右斜め上方に向かう流れの場合、副流路12に海水がさらに流入しやすくなり、前記同様の原理により主流路11での海水の流れが形成される。
【0041】
このように、海水の種々の方向への流れ、特に、図4から図6に示す3軸方向の流れに対して主流路11内での海水の流れを確実に形成することができるので、各センサ2による電気導電度と温度の検出を適切に行うことが可能となる。本実施形態では、魚網を引き上げる際、ブルートゥースによって外部の制御装置に記憶された電気導電度と温度を送信する。制御装置では、受信した電気導電度に基づいて海水の塩分濃度を算出し、温度に基づいて算出した塩分濃度を補正することにより、適切な塩分濃度を求める。
【0042】
なお、本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0043】
前記実施形態では、電気導電度センサ16と温度センサ17とをそれぞれ別の流路内に設けるようにしたが、同一の流路内に設けることもできる。これによれば、ほぼ同一条件下で、液体の電気導電度と温度を検出でき、温度の違いによる電気導電度と液体中の塩分濃度との関係を適切に補正することが可能となる。
【0044】
前記実施形態では、水質検出装置を海水の塩分濃度を検出するために使用したが、他の用途に使用することもできる。例えば、他のセンサを設けて、液体のpHや液体の含有物の濃度等の検出を行うようにしてもよい。また、水質検出装置を使用するのは海洋に限らず、河川、湖、池等、淡水での水質検査にも利用することができるし、他の液体の液質検査にも利用することも可能である。
【0045】
前記実施形態では、ヘッダ部5に第1面として傾斜面9を、第2面として円柱面8をそれぞれ形成するようにしたが、これに限らず種々の組み合わせが可能である。例えば、第1面を傾斜面9とする一方、第2面を半球面とした組み合わせで構成することもできる。要するに、横切る液体の流れに対し、一方の面に比べて他方の面での沿面距離が長くなり、開口での流速に差が生じるような外面形状の組み合わせであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る液質検出装置は、海洋での海水の塩分濃度の検出等、液体に関するデータの検出全般に使用可能なものである。
【符号の説明】
【0047】
1…装置本体
2…センサ
3…制御部
4…胴部
5…ヘッダ部
6…底部
7…環状溝
8…円柱面
9…傾斜面
10…突部
11…主流路
11A…第1主流路
11B…第2主流路
11a…第1主開口
11b…第2主開口
12…副流路
12A…第1副流路
12B…第2副流路
12a…第1副開口
12b…第2副開口
13…凹部
14…筒部
15…溝部
16…電気導電度センサ
17…温度センサ
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6