(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】口腔鼻患者インターフェース
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
A61M16/06 A
(21)【出願番号】P 2018536733
(86)(22)【出願日】2017-01-13
(86)【国際出願番号】 AU2017050024
(87)【国際公開番号】W WO2017120643
(87)【国際公開日】2017-07-20
【審査請求日】2019-12-18
(32)【優先日】2016-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ルパート・クリスチャン・シェイナー
(72)【発明者】
【氏名】ジェシカ・リー・ダン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒエル・コーイ
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/183167(WO,A1)
【文献】特表2014-524801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気流れを周囲空気圧力に対して連続的に陽圧において少なくとも患者の鼻孔入口を含む前記患者の気道への入口へ密閉された様態で送達するための患者インターフェースであって、前記患者インターフェースは、使用時において前記患者の睡眠時の前記患者の呼吸サイクル全体において周囲空気圧力よりも4cmH
2O~30cmH
2Oの範囲で高い治療圧力を維持し、睡眠時呼吸障害が改善されるように構成され;
前記患者インターフェースは:
織物材料から構成されたフレームであって、前記患者の呼吸周期全体において維持される所定の三次元形状を有するフレーム;および
前記フレームに設けられるシール形成構造を含み、
前記シール形成構造は、前記患者の鼻ブリッジ下の前記患者の鼻の下部の周囲にシールを形成するための構成および配置にされた鼻クッションを含み、前記シール形成構造は、少なくとも口の側面に沿ってかつ下唇/顎領域に沿って前記患者の口の少なくとも一部の周囲にシールを形成するための構成および配置にされた口クッションをさらに含み、
前記鼻クッションは、発泡材料および織物材料を含み、
前記鼻クッションの前記織物材料は、前記患者の鼻の前記下部の周囲に密閉係合するような構成および配置にされたシール形成表面を含み、
前記口クッションは、発泡材料を含み、
前記鼻クッションの前記発泡材料は、使用時において前記患者に対向するように構成され、かつ、配置された患者に対向する表面を含み、
前記織物材料の外周は、
前記鼻クッションの前記発泡材料の前記患者に対向する表面に接合され、
前記織物材料の少なくとも一部分は、
前記鼻クッションの前記発泡材料の前記患者に対向する表面に取り付けられておらず、前記治療圧力での前記空気流れが、治療時において前記織物材料と
前記鼻クッションの前記発泡材料の前記患者に対向する表面との間に入ることを可能にし、これにより、前記患者の鼻の前記下部の周囲に圧力活性化シールを提供するために、治療時において前記織物材料が
前記鼻クッションの前記発泡材料の前記患者に対向する表面に対して膨張および変位することを可能にしており、
前記口クッションの前記発泡材料は、前記患者の口の部分の周囲に密閉係合するような構成および配置にされたシール形成表面を含み、
前記フレームは前記シール形成構造よりも高剛性にされ、使用時に前記シール形成構造を支持する、患者インターフェース。
【請求項2】
前記シール形成構造は、前記患者の顔に押し当てる加圧タイプシールを形成するような構成および配置にされた、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項3】
前記鼻クッションの織物材料は空気不透過性である、請求項1~2のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項4】
前記鼻クッションの織物材料は2つの別個の開口部を含む、請求項1~3のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項5】
前記鼻クッションは、鼻翼や鼻先の周囲を密閉するような構造にされる、請求項1~4のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項6】
前記口クッションは、前記鼻の左下側角から顎の割れを経由して前記鼻の右下側角へと口辺りを密閉するような構造にされる、請求項1~5のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項7】
前記フレームの織物材料は空気不透過性である、請求項1~6のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項8】
前記フレームは、所定の三次元形状を前記シール形成構造へ付与する、請求項1~7のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項9】
位置決めおよび安定化構造をさらに備え、前記位置決めおよび安定化構造は、一対の上側ストラップおよび一対の下側ストラップを備え、前記フレームは、使用時において前記シール形成構造を密閉位置に保持するように、前記位置決めおよび安定化構造の前記一対の上側ストラップおよび前記一対の下側ストラップにそれぞれ接続する上側および下側ヘッドギアコネクタを含む、請求項1~8のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項10】
前記一対の上側ストラップは、それぞれが前記患者の耳と目の間で延びるように配置され、フランクフルト水平線に対して上方に延びる上部力ベクトルを提供し、前記一対の下側ストラップは、それぞれが前記患者の耳の下へ延びるように配置され、フランクフルト水平線に対して概して平行に延びる下部力ベクトルを提供する、請求項9に記載の患者インターフェース。
【請求項11】
前記フレームは通気孔を含む、請求項1~10のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項12】
前記フレームは、織物材料片を互いに接合させるか、織物材料を加熱成形することによって所定の三次元形状に形成される、請求項1~11のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項13】
前記フレームの織物材料は、織物のスカフォード、メッシュ、編地または帯ひもの構造を含む、請求項1~12のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項14】
使用時において前記シール形成構造を密閉位置に保持するための位置決めおよび安定化構造をさらに含む、請求項1に記載の患者インターフェースであって、前記位置決めおよび安定化構造の少なくとも一部は、織物材料を含み、前記織物材料は、前記フレームおよび/または前記シール形成構造と一体化されたか、インターフェースに前記フレームおよび/または前記シール形成構造を提供する、患者インターフェース。
【請求項15】
前記鼻クッションの前記織物材料は、前記患者の鼻孔へ空気流れを送達する少なくとも1つの開口部を形成し、
前記口クッションの前記発泡材料は、前記患者の口へ空気流れを送達する開口部を形成し、
前記鼻クッションの前記織物材料の前記少なくとも1つの開口部は、前記口クッションの前記発泡材料の前記開口部と分離した別個のものである、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項16】
前記鼻クッションの前記織物材料は、2つの別個の開口部を含み、
前記鼻クッションの前記発泡材料は、2つの別個の開口部を含み、
前記鼻クッションの前記織物材料の前記2つの別個の開口部は、前記鼻クッションの前記発泡材料の前記2つの別個の開口部と整列している、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項17】
前記鼻クッションは、前記口クッションの上部において延びるような構成および配置にされたブリッジ部位を含む、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項18】
前記鼻クッションの前記織物材料は、前記鼻クッションの前記発泡材料が露出された発泡体を前記鼻クッションの側部に沿って設けるように、前記鼻クッションの前記発泡材料の前記患者に対向する表面のみに結合される、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項19】
前記露出された発泡体は、前記患者の鼻に密閉係合するような構成および配置にされた発泡体表面を提供する、請求項18に記載の患者インターフェース。
【請求項20】
前記織物材料の少なくとも片側は、治療時において前記織物材料が前記鼻クッションの前記発泡材料に対して膨張および変位することを可能にする不透過性表面を含む、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項21】
治療時において前記鼻クッションの前記発泡材料に対する前記織物材料の膨張および変位は、前記患者の鼻が
前記鼻クッションの前記発泡材料から変位または離隔された場合でも、前記患者の鼻を前記鼻クッションで密封したままにすることを可能にする、請求項1に記載の患者インターフェース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
2 技術の背景
2.1 技術の分野
本技術は、呼吸関連疾患の検出、診断、治療、予防および改善のうち1つ以上に関する。本技術はまた、医療デバイスまたは装置と、その使用とに関する。
【0002】
1 関連出願の相互参照
本出願は、2016年1月14日に出願された米国仮出願第62/278,704号の恩恵を主張する。本明細書中、同文献それぞれの全体を参考のため援用する。
【背景技術】
【0003】
2.2 関連技術の説明
2.2.1 ヒトの呼吸器系およびその疾患
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進させる。鼻および口腔は、患者の気道への入口を形成する。
【0004】
これらの気道は、一連の分岐する管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、空気から酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を退出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、伝導のための気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の肺胞領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸ゾーンと呼ぶ。以下を参照されたい:「Respiratory Physiology」, by John B. West, Lippincott Williams & Wilkins, 9th edition published 2011。
【0005】
一定範囲の呼吸器疾患が存在している。特定の疾患は、特定の発症(例えば、無呼吸、呼吸低下および過呼吸)によって特徴付けられ得る。
【0006】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠呼吸障害(SDB)の1つの形態であり、睡眠時の上通気道の閉鎖または閉塞などの発症によって特徴付けられる。
【0007】
これは睡眠時の異常に小さな上気道および舌領域における筋緊張の正常欠損、軟口蓋および後口咽頭壁の組み合わせに起因する。このような状態に起因して、罹患患者の呼吸停止が典型的には30~120秒にわたり、ときには一晩に200~300回も呼吸が停止する。その結果、日中の眠気が過度になり、心血管疾患および脳損傷の原因になり得る。この症候は一般的な疾患であり、特に中年の過体重の男性に多いが、患者に自覚症状は無い。米国特許第4,944,310号(Sullivan)を参照されたい。
【0008】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は、別の形態の睡眠呼吸障害である。CSRは、患者の呼吸調節器の疾患であり、CSRサイクルとして知られる換気の漸増および漸減が交互に周期的に続く。CSRは、動脈血の脱酸素および再曝気の繰り返しによって特徴付けられる。反復低酸素症のため、CSRは有害であり得る。患者によっては、CCRは、重症不眠、交感神経活動の増加、および後負荷の増加の原因となる、反復性睡眠覚醒を随伴する。米国特許第6,532,959号(Berthon-Jones)を参照されたい。
【0009】
呼吸不全とは、呼吸器障害の総称であり、患者の需要を満たすための充分な酸素吸気または充分なCO2呼気を肺が行うことができていないことを指す。呼吸不全は、以下の疾患のうちいくつかまたは全てを包含し得る。
【0010】
呼吸不全(一種の呼吸不全)の患者は、運動時に異常な息切れを経験することがある。
【0011】
肥満低呼吸症候群(OHS)は、低換気の他の既知の原因がない場合、重症の肥満と覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせとして定義される。症状には、呼吸困難、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
【0012】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の共通する特性を有する下気道疾患のグループのうちのいずれも包含する。これには空気の動きに対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長および肺における正常な弾性の減少が含まれる。COPDの例として、気腫および慢性気管支炎がある。
【0013】
COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被ばく、空気汚染および遺伝因子がある。
【0014】
症状を挙げると、労作時の呼吸困難、慢性咳および痰生成がある。
【0015】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾病および病気を包含する広範な用語である。NMD患者の中には、進行性の筋肉障害によって特徴付けられる者もあり、結果的に歩行不可能、車椅子への束縛、嚥下困難、呼吸筋力低下に繋がり、最終的には呼吸不全による死亡に繋がる。神経筋肉障害は、以下の急速進行性と緩徐進行性とに区分され得る:(i)急速進行性障害:数ヶ月かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、数年内に死亡に繋がる(例えば、ティーンエージャーにおける筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびデュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD));(ii)可変性または緩徐進行性障害:数年かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、平均余命が若干低減するだけである(例えば、肢帯、顔面肩甲上腕型および筋強直性筋ジストロフィー)。NMDにおける呼吸不全症状を以下に挙げる:全身衰弱の増加、嚥下障害、労作および安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、および集中および気分の変化の困難。
【0016】
胸壁障害は、胸郭変形の1つのグループであり、呼吸筋肉と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。これらの障害は、拘束性障害によって主に特徴付けられ、長期の炭酸過剰性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側弯症および/または後側弯症は、重篤な呼吸不全を発症することがある。呼吸不全の症状を以下に挙げる:労作時の呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復性胸部感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、および食欲不振。
【0017】
このような状態を治療または改善するために、一定範囲の治療が用いられている。さらに、その他の点では健常人も、呼吸器疾患の予防治療を有利に利用することができる。しかし、これらにおいては、複数の欠陥がある。
【0018】
2.2.2 治療法
持続的気道陽圧(CPAP)療法が、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療において用いられている。その作用機構としては、例えば軟口蓋および舌を押して後中咽頭壁へ前進または後退させることにより、持続的気道陽圧療法が空気スプリントとして機能し、これにより上気道の閉鎖を防止し得る。
【0019】
CPAP治療によるOSAの治療は自発的なものであり得るため、このような患者が治療の提供に用いられるデバイスについて以下のうち1つ以上に気づいた場合、患者が治療を遵守しないことを選択する可能性がある:不快、使用困難、高価、美観的な魅力の無さ。
【0020】
非侵襲的換気(NIV)は、換気補助を上気道を通じて患者へ提供して、呼吸機能の一部または全体を行うことにより患者の呼吸の補助および/または身体中の適切な酸素レベルの維持を提供する。換気補助が、非侵襲的患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、NMD、および胸壁障害などの形態のCSRおよび呼吸不全の治療に用いられている。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0021】
侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった患者に対して換気補助を提供し、気管切開管を用いて提供され得る。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0022】
2.2.3 治療システム
これらの治療は、治療システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、疾患を治療することなく診断するためにも、用いられ得る。
【0023】
治療システムは、呼吸圧力治療デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、患者インターフェース、およびデータ管理を含み得る。
【0024】
別の形態の治療システムとして、下顎再位置決めデバイスがある。
【0025】
2.2.3.1 患者インターフェース
患者インターフェースは、例えば気道入口への空気流れを提供することにより呼吸装具へのインターフェースを装着者へ提供するために、用いられ得る。空気流れは、鼻および/または口腔へのマスク、口腔への管、または患者気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される療法に応じて、患者インターフェースは、例えば患者の顔の領域との密閉部を形成し得、これにより、療法実行のための周囲圧力と共に充分な分散の圧力において(例えば、例えば雰囲気圧力に対して約10cmH2Oの陽圧において)ガス送達を促進する。
【0026】
酸素送達などの他の治療形態において、患者インターフェースは、約10cmH2Oの陽圧において気道へのガス供給の送達を促進するのに充分な密閉を含まない場合がある。
【0027】
特定の他のマスクシステムは、本分野において機能的に不適切であり得る。例えば、純然たる装飾目的のマスクの場合、適切な圧力を維持することができない場合がある。水中水泳またはダイビングに用いられるマスクシステムは、外部からのより高い圧力からの水侵入から保護することと、周囲よりも高い圧力において内部の空気を維持しないこととを行うように、構成され得る。
【0028】
特定のマスクは、本技術において臨床的に好ましく無い場合があり得る(例えば、マスクが鼻を介して気流を遮断し、口を介した気流のみを通過させる場合)。
【0029】
特定のマスクにおいて、患者がマスク構造の一部を口に挿入し、唇を介して密閉状態を生成および維持しなければならない場合、本技術において不快であるかまたは非実際的である場合がある。
【0030】
特定のマスクは、睡眠時(例えば、横向きにベッドに寝て枕の上に頭を置いた状態で睡眠する場合)における使用においては非実際的である場合がある。
【0031】
患者インターフェースの設計においては、複数の課題がある。顔は、複雑な三次元形状を有する。鼻および頭のサイズおよび形状は、個人によって大きく異なる。頭部には骨、軟骨および軟組織が含まれるため、顔の異なる領域は、機械的力に対して異なる反応を示す。すなわち、顎部または下顎は、頭蓋骨の他の骨に相対して動き得る。頭部全体は、呼吸治療期間を通じて動き得る。
【0032】
これらの課題に起因して、いくつかのマスクの場合、特に装着時間が長い場合または患者がシステムに不慣れである場合、押しつけがましい、美観的に望ましくない、コストが高い、フィット感が悪い、使用が困難、および不快感があるなどの理由のうち1つ以上がある。誤ったサイズのマスクが用いられた場合、コンプライアンスの低下、快適性の低下および患者予後の低下に繋がり得る。飛行士専用のマスク、個人用保護装具(例えば、フィルターマスク)、SCUBAマスクの一部として設計されたマスク、または麻酔投与用マスクは、その元々の用途には耐えられるものの、このようなマスクの場合、長時間(例えば、数時間)にわたって装着するには望ましくないほど不快な場合がある。
【0033】
このような不快感に起因して、治療に対する患者の承諾が低下する可能性がある。これは、マスクを睡眠時に装着する必要がある場合、特に当てはまる。
【0034】
CPAP治療は、患者が治療を承諾している場合、特定の呼吸疾患の治療においては極めて効果的である。マスクが不快である場合または使用が難しい場合、患者は、治療を承諾しない場合がある。患者はマスクを定期的に洗浄するよう推奨されることが多いため、マスクの清浄が難しい(例えば、組立または分解が困難である場合)、患者は、マスクを清浄することができず、患者の承諾に影響が出る場合がある。
【0035】
他の用途(例えば、飛行士)用のマスクの場合、睡眠呼吸障害の治療の使用には不適である場合があるため、睡眠呼吸障害の治療の使用のために設計されたマスクは、他の用途に適している場合がある。
【0036】
これらの理由のため、睡眠時のCPAP送達のための患者インターフェースは、明瞭な分野を形成する。
【0037】
2.2.3.1.1 シール形成部分
患者インターフェースは、シール形成部分を含み得る。患者インターフェースは、患者の顔と直接接触するため、シール形成部分の形状および構成は、患者インターフェースの有効性および快適性に直接影響を持ち得る。
【0038】
患者インターフェースは、使用時にシール形成部分を顔と係合させる場所の設計意図に従って、部分的に特徴付けられ得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成部分は、各左鼻孔および右鼻孔と係合する2つのサブ部分を含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成部分は、使用時において双方の鼻孔を包囲する単一の要素を含み得る。このような単一の要素は、例えば顔の上唇領域および鼻梁領域上に載置されるように、設計され得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成部分は、使用時に例えば顔の下唇領域上に密閉を形成することにより口領域を包囲する要素を含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成部分は、使用時に双方の鼻孔および口領域を包囲する単一の要素を含み得る。これらの異なる種類の患者インターフェースは、その製造業者によって鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻枕、鼻パフおよび口鼻マスクなどの多様な名称によって公知であり得る。
【0039】
患者の顔の一領域において有効であり得るシール形成部分は、例えば患者の顔の異なる形状、構造、変化性および感受性領域に起因して、別の領域において不適切であり得る。例えば、患者の前額上に載置される水泳用ゴーグルの密閉部は、患者の鼻上における使用には不適切である場合がある。
【0040】
特定のシール形成部分は、広範囲の異なる顔形状およびサイズに対して1つの設計が適合し、快適でありかつ有効になるように、大量製造用に設計され得る。密閉部を形成するためには、患者の顔の形状と、大量製造された患者インターフェースのシール形成部分との間の不整合がある範囲まで、一方または双方を適合させる必要がある。
【0041】
1つの種類のシール形成部分は、患者インターフェースの周囲を包囲して延び、シール形成部分が患者の顔に対向して係合している状態で力が患者インターフェースへ付加された際、患者の顔を密閉することを意図する。このシール形成部分は、空気または流体充填クッションを含み得るか、または、ゴムなどのエラストマーによって構成された弾力性のある密閉要素の成形されたかまたは形成された表面を含み得る。この種のシール形成部分により、フィット感が不適切である場合、シール形成部分と顔との間に隙間が発生し、密閉を達成するには、患者インターフェースを顔に押しつけるためにさらなる力が必要になる。
【0042】
別の種類のシール形成部分は、陽圧がマスク内に付加された際に患者の顔に対して自己気密作用を提供するように、マスクの周囲の周辺に配置された薄材のフラップシールを使用する。先述の種類のシール形成部分と同様に、顔とマスクとの間の整合が良くない場合、密閉を達成するために必要なさらなる力が必要になり得るか、またはマスクから漏洩が発生し得る。さらに、シール形成部分の形状が患者の形状と整合しない場合、使用時においてシール形成部分に折り目または座屈が発生し、漏洩の原因になる。
【0043】
別の種類のシール形成部分は、例えば鼻孔中へ挿入される摩擦嵌め要素を含み得るが、これらのシール形成部分を不快であると感じる患者も存在する。
【0044】
別の形態のシール形成部分は、密閉を達成するために接着部を用い得る。患者の中には、常に接着部を自身の顔に貼り付けるかまたは取り外すことが不便であると感じる患者もいる。
【0045】
一定範囲の患者インターフェースシール形成部分の技術について、(ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願:WO1998/004、310;WO2006/074、513;WO2010/135、785)に開示がある。
【0046】
鼻枕の一形態が、Puritan Bennettによって製造されたAdam回路において見受けられる。別の鼻枕または鼻パフが、Puritan-Bennett Corporationへ譲渡された米国特許第4,782,832号(Trimbleら)の主題になっている。
【0047】
ResMed Limitedは、鼻枕を用いた以下の製品を製造している:SWIFT(登録商標)鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)II鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)LT鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)FX鼻枕マスクおよびMIRAGELIBERTY(登録商標)フルフェイスマスク。ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願において、鼻枕マスクの実施例についての記載がある:国際特許出願WO2004/073、778号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)鼻枕の様相を記載)、米国特許出願第2009/0044808号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)LT鼻枕の様相を記載);国際特許出願WO2005/063、328号およびWO2006/130、903号(特に、ResMed LimitedのMIRAGE LIBERTY(登録商標)フルフェイス型マスクの様相を記載);国際特許出願WO2009/052、560号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)FX鼻枕の様相を記載)。
【0048】
2.2.3.1.2 位置決めおよび安定化
陽圧空気治療に用いられる患者インターフェースのシール形成部分は、密閉を妨害する空気圧力の対応する力を受ける。そのため、シール形成部分を位置決めすることと、顔の適切な部分に対して密閉を維持することとを行うために、多様な技術が用いられている。
【0049】
1つの技術において、接着部が用いられる。例えば、米国特許出願公開US2010/0000534号を参照されたい。しかし、接着部を用いた場合、不快感がある場合がある。
【0050】
別の技術において、1つ以上のストラップおよび/または安定化ハーネスが用いられる。多数のこのようなハーネスの場合、フィット感が悪い、かさばる、不快および扱いにくいなどの点のうち1つ以上が当てはまる。
【0051】
2.2.3.2 呼吸圧力治療(RPT)デバイス
空気圧生成器は、広範な用途(例えば、工業規模通気システム)において公知である。しかし、医療用途のための空気圧生成器は、より一般的な空気圧生成器(例えば、医療機器の信頼性要件、サイズ要件および重量要件)では満足できない特定の要件を有する。加えて、医療治療向けに設計されたデバイスであっても、以下のうち1つ以上に関連して欠陥を免れない場合がある:快適性、ノイズ、使いやすさ、有効性、サイズ、重量、製造可能性、コストおよび信頼性。
【0052】
特定のRPTデバイスの特殊な要件の一例として、音響ノイズがある。
【0053】
従来のRPTデバイスのノイズ出力レベルの表(試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmH
2Oにて測定)。
【表1】
【0054】
睡眠呼吸障害の治療に用いられる1つの公知のRPTデバイスとして、S9睡眠治療システム(製造元:ResMed Limited)がある。RPTデバイスの別の例として、人工呼吸器がある。人工呼吸器(例えば、成人および小児用人工呼吸器のResMed Stellar(登録商標)シリーズ)の場合、複数の状態(例を非限定的に挙げると、NMD、OHSおよびCOPD)の治療のための一定範囲のための患者のための侵襲的および非侵襲的な非依存的呼吸のための補助を提供し得る。
【0055】
ResMed Elisee(登録商標)150人工呼吸器およびResMedVSIII(登録商標)人工呼吸器は、複数の状態の治療のための成人患者または小児用患者に適した侵襲的および非侵襲的な依存的呼吸の補助を提供し得る。
【0056】
これらの人工呼吸器により、単一または二重の肢回路を用いた容積通気モードおよび気圧通気モードが得られる。
【0057】
RPTデバイスは典型的には、圧力生成器(例えば、電動送風機または圧縮ガスリザーバ)を含み、患者の気道へ空気流れを供給するように構成される。場合によっては、空気流れは、患者の気道へ陽圧で供給され得る。RPTデバイスの出口は、空気回路を介して上記したような患者インターフェースへ接続される。
【0058】
デバイスの設計者には、無数の選択肢が提示され得る。設計基準同士が対立することが多くあるため、特定の設計選択肢が慣例からほど遠くなるかあるいは避けられないことがある。さらに、特定の態様の快適性および有効性は、1つ以上のパラメータの些細な変更から大きく影響を受ける可能性もある。
【0059】
2.2.3.3 加湿器
空気流れの送達を加湿無しで行った場合、気道の乾燥に繋がり得る。加湿器をRPTデバイスおよび患者インターフェースと共に用いた場合、加湿ガスが生成されるため、鼻粘膜の乾燥が最小化され、患者気道の快適性が増加する。加えて、より冷涼な気候においては、概して患者インターフェースの周囲の顔領域へ温風を付加すると、冷風の場合よりも快適性が高まる。一定範囲の人工的加湿機器およびシステムが公知であるが、医療加湿器の特殊な要件を満たせていない。
【0060】
医療加湿器は、典型的には患者が(例えば病院において)睡眠時または安静時にあるときに、必要な場合に周囲空気に相対して空気流れの湿度および/または温度を増加させるように、用いられる。枕元に置かれる医療加湿器は、小型である場合がある。医療加湿器は、患者へ送達される空気流れの加湿および/または加熱のみを行うように構成され得、患者の周囲の加湿および/または加熱は行わない。例えば、部屋ベースのシステム(例えば、サウナ、エアコン、または蒸発冷却器)は、呼吸により患者体内に取り込まれる空気も加湿し得るものの、これらのシステムの場合、部屋全体も加湿および/または加熱するため、占有者にとって不快感であり得る。さらに、医療加湿器の場合、工業用加湿器よりも安全面での制約がより厳しい場合もある。
【0061】
多数の医療加湿器が公知であるものの、このような医療加湿器の場合、1つ以上の欠陥を被り得る。すなわち、このような医療加湿器の場合、加湿が不適切なものもあれば、患者にとって使用が困難または不便であるものもある。
【0062】
2.2.3.4 データ管理
臨床的理由により、呼吸治療が処方された患者が「コンプライアンスを遵守している」(例えば、患者が自身のRPTデバイスを特定の「コンプライアンスルール」に則っているか)を決定するためのデータを入手する場合がある。CPAP治療についてのコンプライアンスルールの一例として、患者がコンプライアンスを遵守しているとみなすためには、患者が連続30日間のうち少なくとも21日間にわたってRPTデバイスを一晩あたり少なくとも4時間にわたって使用する必要がある。患者のコンプライアンスを決定するためには、RPTデバイスのプロバイダ(例えば、ヘルスケアプロバイダ)は、RPTデバイスを用いた患者の治療を記述するデータを手作業で入手し、所定期間にわたる使用率を計算し、これをコンプライアンスルールと比較し得る。ヘルスケアプロバイダが患者が自身のRPTデバイスをコンプライアンスルールに則って使用したと決定すると、当該ヘルスケアプロバイダは、患者がコンプライアンスを遵守している旨を第三者に通知し得る。
【0063】
患者の治療において、治療データの第三者または外部システムへの通信から恩恵を受ける他の態様があり得る。
【0064】
このようなデータを通信および管理するための既存のプロセスの場合、高コスト、時間がかかること、エラーの発生し易さのうち1つ以上が発生し得る。
【0065】
2.2.3.5 下顎の再位置決め
下顎再位置決めデバイス(MRD)または下顎前方固定デバイス(MAD)は、睡眠時無呼吸およびいびきの治療選択肢の1つである。これは、歯科医または他の供給業者から利用可能である調節可能な口腔用器具であり、下顎部(下顎)を睡眠時に前方位置に保持する。MRDは、取り外し可能なデバイスであり、患者の睡眠前に口腔内に挿入され、睡眠後に取り外される。そのため、MRDは、常時装着用途を想定した設計はされていない。MRDは、カスタム仕様にしてもよいし、あるいは、標準形態で製造してもよく、患者の歯に適合するように設計された咬合印象部位を含む。この下顎からの機械的突出部は、舌の後ろ側の空間を拡張させ、咽頭壁上へ張力を付加して、気道崩壊を低減させ、口蓋振動を低減させる。
【0066】
特定の実施例において、下顎前方固定デバイスは、上顎または上顎骨上の歯と係合するかまたは嵌め合うように意図された上側スプリントと、上顎または下顎上の歯と係合するかまたは嵌め合うように意図された下側スプリントとを含み得る。上側スプリントおよび下側スプリントは、一対の接続ロッドを介して相互に横方向に接続される。この1組の接続ロッドは、上側スプリントおよび下側スプリント上において対称に固定される。
【0067】
このような設計において、接続ロッドの長さは、MRDが患者の口腔中に配置されたときに下顎が前方位置に保持されるように、選択される。接続ロッドの長さは、下顎の突出レベルを変化させるように、調節され得る。歯科医は、突出レベルを下顎に合わせて決定することができ、その結果、接続ロッドの長さが決定される。
【0068】
下顎を上顎骨に対して前方に押し出すように構成されているMRDもあれば、ResMed Narval CC(登録商標)MRDなどの他のMADのように、下顎を前方位置に保持するように設計されているものもある。このデバイスにより、歯科的副作用および側頭/下顎間の関節(TMJ)の副作用も低下または最小化される。そのため、このデバイスは、歯のうち1つ以上の任意の移動を最小化または回避するように構成される。
【0069】
2.2.3.6 通気技術
いくつかの形態の治療システムは、吐き出された二酸化炭素を押し出すための通気部を含み得る。この通気部により、患者インターフェースの内部空間(例えば、プレナムチャンバ)から患者インターフェースの外部(例えば、周囲)へのガス流れが可能になり得る。この通気部は、オリフィスを含み得、マスク使用時において、ガスがオリフィスを通じて流れ得る。多数のこのような通気部の場合、音がうるさい。他の場合、使用時において閉塞し得るため、押し出しが不十分になる。いくつかの通気部の場合、例えば音または気流集中に起因して、患者1000と同床者1100の睡眠を妨げる場合がある。
【0070】
ResMed Limitedは、複数の向上したマスク通気技術を開発している。下記を参照されたい:国際特許出願公開第WO1998/034,665;国際特許出願公開第WO2000/078,381;米国特許第6,581,594号;米国特許出願公開第US2009/0050156;米国特許出願公開第2009/0044808。
【0071】
従来のマスクのノイズの表(ISO17510-2:2007、1mにおける10cmH
2O圧力)
【表2】
(*試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmH
2Oにて測定)多様な対象の多様な音圧値を下記のリストに示す。
【0072】
【0073】
2.2.4 診断システムおよび監視システム
睡眠ポリグラフ(PSG)は、心肺疾患の診断および監視のための従来のシステムであり、典型的には、システム適用のために専門家臨床スタッフを必要とすることが多い。PSGにおいては、多様な身体信号(例えば、脳波検査(EEG)、心電図検査(ECG)、電気眼球図記録(EOG)、筋電図描画法(EMG))を記録するために、典型的には15~20個の接触覚センサーを人体上に配置する。睡眠時呼吸障害のPSGのめには、患者を専門病院において二晩にわたって観察する必要があった。すなわち、第一夜は純然たる診断のためであり、第二夜は、臨床医による治療パラメータのタイトレーションのために必要であった。そのため、PSGは高コストであり、利便性も低い。PSGは、家庭における睡眠テストには特に不向きである。
【0074】
臨床専門家は、患者の診断または監視をPSG信号の視覚的観察に基づいて適切に行い得る。しかし、臨床専門家が居ないまたは臨床専門家への支払いができない状況がある。
【0075】
患者の状態について臨床専門家によって意見が異なる場合がある。さらに、或る臨床専門家は、時期によって異なる基準を適用し得る。
【発明の概要】
【0076】
3 技術の簡単な説明
本技術は、呼吸器疾患の診断、改善、治療または予防において用いられる医療機器の提供に関連し、これらの医療機器は、向上した快適性、コスト、有効性、使い易さおよび製造可能性のうち1つ以上を有する。
【課題を解決するための手段】
【0077】
本技術の第1の態様は、呼吸器疾患の診断、改善、治療または予防に用いられる装置に関連する。
【0078】
本技術の別の様態は、呼吸障害の診断、改善、治療または予防において用いられる方法に関連する。
【0079】
本技術の特定の形態の一態様は、呼吸治療についての患者のコンプライアンスを向上させる方法および/または装置を提供することである。
【0080】
患者インターフェースに関する本技術の別の態様は、シール形成構造を含む。シール形成構造は、シール(例えば患者の顔に押し当てる加圧タイプシール)を形成するための構成および配置にされた発泡材料および/または発泡織物材料を含む。
【0081】
患者インターフェースに関する本技術の別の態様は、フレームを含む。フレームは、織物材料ならびに発泡材料および/または発泡織物材料を含むフレームに設けられたシール形成構造を含む。一実施例において、フレームジオメトリは所定の三次元形状をシール形成構造へ付与する。
【0082】
フルフェイス患者インターフェースに関する本技術の別の態様は、鼻シールを含む。鼻シールは、発泡織物材料ならびに発泡材料を含む口シールを含む。
【0083】
患者インターフェースに関する本技術の別の態様は、フレームを含む。フレームは、織物材料ならびにフレームに設けられたシール形成構造を含む。該シール形成構造は、患者の鼻および/または口とシールを形成するための構成および配置にされた発泡材料および/または発泡織物材料を含む。
【0084】
本技術の一形態の別の態様は、空気流れを周囲空気圧力に対して連続的に陽圧において少なくとも患者の鼻孔入口を含む患者の気道への入口へ密閉された様態で送達するための患者インターフェースに関する。この患者インターフェースは、使用時において患者の睡眠時の患者の呼吸サイクル全体において周囲空気圧力よりも高い約4cmH2O~約30cmH2Oの範囲の治療圧力を維持し、睡眠時呼吸障害が改善されるように構成される。
【0085】
患者インターフェースは織物材料から構成されたフレームを含み、該フレームは、該患者の呼吸周期全体において維持される所定の三次元形状と、フレームに設けられたシール形成構造とを有する。該シール形成構造は、該患者の鼻ブリッジ下の該患者の鼻および口とシールを形成するための構成および配置にされた発泡材料および/または発泡織物材料を含む。該フレームは該シール形成構造よりも高剛性にされ、使用時に該シール形成構造を支持する。
【0086】
本技術の一形態の一態様は、装置の製造方法である。
【0087】
本技術の特定の形態の一態様は、例えば医療トレーニングを受けたことの無い人、あまり器用ではない人や洞察力の欠いた人、またはこの種の医療デバイスの使用経験が限られた人にとって使い易い医療デバイスである。
【0088】
もちろん、上記様態の一部は、本技術の下位様態を形成し得る。また、下位態様および/または態様のうち多様な1つを多様に組み合わせることができ、本技術のさらなる態様または下位態様も構成し得る。
【0089】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲中に含まれる情報に鑑みれば明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
4 図面の簡単な説明
本技術を、添付図面中に非限定的に一実施例として例示する。図面中、類似の参照符号は、以下の類似の要素を含む:
4.1 治療システム
【
図1A】
図1Aは、患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻枕の形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイス4000からの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。同床者1100も図示される。
【
図1B】
図1Bは、患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻マスクの形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。
【
図1C】
図1Cは、患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを含む。患者インターフェース3000は、フルフェイスマスクをとり、陽圧の空気供給をRPTデバイス4000から受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。4.2 呼吸システムおよび顔の解剖学的構造
【
図2A】
図2Aは、鼻腔および口腔、喉頭、声帯ひだ、食道、気管、気管支、肺、肺胞嚢、心臓および横隔膜を含むヒト呼吸器系の概要を示す。
【
図2B】
図2Bは、鼻腔、鼻骨、外側鼻軟骨、大鼻翼軟骨、鼻穴、上唇、下唇、喉頭、硬口蓋、軟口蓋、口咽頭、舌、喉頭蓋、声帯ひだ、食道および気管を含むヒトの上気道の図である。
【
図2C】
図2Cは、上唇、上唇紅、下唇紅、下唇、口の幅、内眼角、鼻翼、鼻唇溝および口角点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む顔の正面図である。上側、下側、ラジアル内方およびラジアル外方の方向も記載される。
【
図2D】
図2Dは、眉間、セリオン、鼻尖点、鼻下点、上唇、下唇、スプラメントン、鼻堤、鼻翼頂上点、耳基底上点および耳基底下点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む頭部の側面図である。上側および下側と、前方および後方との方向も記載される。
【
図2E】
図2Eは、頭部のさらなる側面図である。フランクフォート水平および鼻唇角の大まかな位置が記載されている。冠状面も記載される。
【
図2F】
図2Fは、鼻唇溝、下唇、上唇紅、鼻孔、鼻下点、鼻柱、鼻尖点、鼻孔の主軸および矢状面を含むいくつかの特徴を含む鼻の底面図である。
【
図2H】
図2Hは、外側鼻軟骨、鼻中隔軟骨、大鼻翼軟骨、小鼻翼軟骨、鼻種子軟骨、鼻骨、表皮、脂肪組織、上顎骨の前頭突起および線維性脂肪組織を含む鼻の皮下構造を示す。
【
図2I】
図2Iは、矢状面からおよそ数ミリメートルの位置における鼻の中間切開を示し、特に鼻中隔軟骨および大鼻翼軟骨の内側脚を示す。
【
図2J】
図2Jは、前頭骨、鼻骨および頬骨を含む頭蓋骨の骨正面図である。鼻甲介が上顎骨および下顎骨と共に図示されている。
【
図2K】
図2Kは、頭蓋骨を頭部表面の外形およびいくつかの筋肉と共に示す側面図である。以下の骨が図示されている:前頭骨、蝶形骨、鼻骨、頬骨、上顎骨、下顎骨、頭頂骨、側頭骨および後頭骨。オトガイ隆起が図示されている。以下の筋肉が図示されている:顎二腹筋、咬筋、胸鎖乳突筋および僧帽筋。
【
図2L】
図2Lは、鼻の前外側を示す。4.3 患者インターフェース
【
図3A】
図3Aは、本技術の一形態による鼻マスクの形態の患者インターフェースを示す。
【
図3B】
図3Bは、構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、正の符号と、3Cに示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
【
図3C】
図3Cは、構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、正の符号と、
図3Bに示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
【
図3D】
図3Dは、構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率の値はゼロである。
【
図3E】
図3Eは、構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、負の符号と、
図3Fに示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
【
図3F】
図3Fは、構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、負の符号と、
図3Eに示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
【
図3G】
図3Gは、2つの枕を含むマスク用クッションを示す。クッションの外面が図示される。表面の縁部が図示される。ドーム領域およびサドル領域が図示される。
【
図3H】
図3Hは、マスク用クッションを示す。クッションの外面が図示される。表面の縁部が図示される。点Aと点Bとの間の表面上の経路が図示される。AとBとの間の直線距離が図示される。2つのサドル領域およびドーム領域が図示される。
【
図3I】
図3Iは、構造の表面を示し、この表面中には一次元穴が開いている。平面曲線301Dは、一次元穴の境界を形成する。
【
図3K】
図3Kは、二次元穴および一次元穴を含む
図3Iの構造の斜視図である。
図3Iの構造中の二次元穴を境界付ける表面302Dを示す。
【
図3L】
図3Lは、クッションとしての可膨張性ブラダーを有するマスクを示す。
【
図3S】
図3Sは、マスクの異なる領域内の密閉膜の縁部によって規定された空間曲線のねじれのサインを含むマスクの図である。
【
図4】
図4は、本技術の一実施例による患者の頭部上に図示された患者インターフェースの斜視図である。
【
図5】
図5は、本技術の一実施例による患者の頭部上に図示された
図4の患者インターフェースの別の斜視図である。
【
図6】
図6は、本技術の一実施例による患者の頭部上に図示された
図4の患者インターフェースの別の斜視図である。
【
図7】
図7は、本技術の一実施例による患者の頭部上に図示された
図4の患者インターフェースの別の斜視図である。
【
図8】
図8は、本技術の一実施例による患者の頭部上に図示された
図4の患者インターフェースの別の側面図である。
【
図9】
図9は、本技術の一実施例による
図4の患者インターフェースの斜視図であり、患者インターフェースは、ヘッドギアが除去された状態で図示される。
【
図10】
図10は、本技術の一実施例による
図9の患者インターフェースの下面図である。
【
図11】
図11は、本技術の一実施例による
図9の患者インターフェースの背面図である。
【
図12】
図12は、本技術の一実施例による
図9の患者インターフェースの別の背面図である。
【
図13】
図13は、本技術の一実施例による
図9の患者インターフェースの別の背面図である。
【
図14】
図14は、本技術の一実施例によるフレームのための布地材料を示す。
【
図15】
図15は、本技術の一実施例によるフレームの三次元形状に折り曲げられた
図14の布地材料を示す。
【
図16】
図16は、本技術の一実施例によるフレームの三次元形状を保持するよう接合された
図15の布地材料を示す。
【
図17】
図17は、内部の、本技術の一実施例によるフレームの三次元形状を生成するよう以前に接合された
図16の布地材料を示す。
【
図18】
図18は、本技術の一実施例による患者の顔上に位置している布地の、
図17の三次元フレームを示す。
【
図19】
図19は、本技術の一実施例による患者の顔上に位置している布地の、
図17の三次元フレームを示す別の図である。
【
図20A】
図20Aは、本技術の別の実施例による患者の頭部上に図示された患者インターフェースの斜視図である。
【
図20B】
図20Bは、本技術の別の実施例による患者の頭部上に図示された患者インターフェースの斜視図である。
【
図20C】
図20Cは、本技術の別の実施例による患者の頭部上に図示された患者インターフェースの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0091】
5 本技術の実施例の詳細な説明
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり得る特定の実施例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に記載される特定の実施例を説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0092】
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な実施例に関連して提供される。任意の1つの実施例の1つ以上の特徴は、別の実施例または他の実施例の1つ以上の特徴と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。加えて、これらの実施例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる実施例を構成し得る。
【0093】
5.1 治療法
一形態において、本技術は、呼吸器疾患の治療方法を含む。本方法は、患者1000の気道の入口へ陽圧を付加するステップを含む。
【0094】
本技術の特定の実施例において、陽圧における空気供給が鼻孔の片方または双方を介して患者の鼻通路へ提供される。
【0095】
本技術の特定の実施例において、口呼吸が制限されるか、限定されるかまたは妨げられる。
【0096】
5.2 治療システム
一形態において、本技術は、呼吸障害の治療のための装置またはデバイスを含む。装置またはデバイスは、加圧空気を患者インターフェース3000への空気回路4170を介して患者1000へ供給するRPTデバイス4000を含み得る(例えば、
図1A~1Cを参照されたい)。
【0097】
5.3 患者インターフェース
本技術の一態様による非侵襲的患者インターフェース3000は、以下の機能様態を含む:シール形成構造3100、プレナムチャンバ3200、位置決めおよび安定化構造3300、通気孔3400、空気回路4170への接続のための一形態の接続ポート3600、および前額支持部3700。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的コンポーネントによって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的コンポーネントは、1つ以上の機能様態を提供し得る。使用時において、シール形成構造3100は、気道への陽圧での空気供給を促進するように、患者の気道の入口を包囲するように配置される。
【0098】
図4~
図13は、本技術の一態様による非侵襲的な患者インターフェース6000を示す。非侵襲的な患者インターフェース6000は、フレーム6100(フェッシアとも呼ばれる)、シール形成構造6200と、空気送達管6600と、位置決めおよび安定化構造(例えば、ヘッドギア6800)とを含む。
図4~
図8は、患者の頭部上の患者インターフェース6000の例示的図であり、
図9~
図13は、ヘッドギア6800が除去された状態の患者インターフェース6000の例示的図である。
【0099】
使用時において、シール形成構造6200の一形態は、気道への陽圧での空気供給を促進するように、患者1000の気道の入口を包囲するように配置される。シール形成構造6200は、クッションとも一般的に呼ばれ得る。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的コンポーネントによって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的コンポーネントは、1つ以上の機能様態を提供し得る。
【0100】
図示の実施例において、シール形成構造6200は、シール(例えば患者の顔に押し当てる加圧タイプシール)を形成するための構成および配置にされた発泡材料および/または発泡織物材料を含む。すなわち、シール形成構造6200は、発泡体および/または織物の表面が患者の顔との接触または係合に適合され患者の顔に対してシールを生成する、例えば、発泡体および/または織物の加圧(例えば、ヘッドギアを絞めつけて)がシールを生成する、発泡体インターフェースおよび/または発泡織物インターフェースを提供する。
【0101】
フレームまたはフェッシア6100は、シール形成構造6200よりも高剛性の材料によって構築され、かつ空気送達管6600とヘッドギア6800とのインターフェースを提供する。
【0102】
一実施例において、該フレームはシール形成構造よりも高剛性にされ、使用時にシール形成構造を支持する。図示の実施例において、フレーム6100は、シール形成構造6200に接続されるかまたは別の方法で設けられた織物材料を含む。フレーム6100は、シール形成構造6200に恒久的にまたは取り外し可能に接続され得る。フレーム6100およびシール形成構造6200は協働して、プレナムチャンバまたは呼吸チャンバ6500を形成する。
【0103】
図示の実施例において、患者インターフェースは、口腔鼻/フルフェースインターフェース型であり、患者の鼻ブリッジ下の患者の鼻および口腔周囲にシールを形成するような構造にされたシール形成構造6200を含む。図示のように、患者インターフェースは前額支持部無しに設けられる。しかし、本技術の態様は、他の適切なインターフェース型(例えば、鼻インターフェース)との使用に適合され得る。
【0104】
例えば、
図20A,
図20B、および
図20Cは、患者インターフェースの代替の実施例を示す。図示のように、患者インターフェース7000、8000、9000は、発泡体および/または織物材料を含むフレームおよびシール形成構造を含む。これら実施例において、ヘッドギアの少なくとも一部は、フレーム/シール形成構造と一体化され得るかまたは別の方法でフレーム/シール形成構造とのインターフェースを提供し得る織物材料を含み得る。
【0105】
5.3.1 シール形成構造
シール形成構造6200の上部は、患者の鼻の下部の周囲(例えば、鼻翼や鼻先の周囲)を密閉するような構造にされた鼻クッション6300(鼻シールまたはクレードルシールとも呼ばれる)を含み、シール形成構造6200の下部は、患者の口の周囲(例えば、少なくとも口の側面に沿ってかつ下唇/顎領域に沿って)を密閉するような構造にされた口またはクッション6400(口シールとも呼ばれる)を含む。鼻クッション6300および口クッション6400は協働して、プレナムチャンバ6500を少なくとも部分的に規定する。
【0106】
一実施例において、鼻クッション6300および口クッション6400(例えば、
図13を参照)によって提供されたシールの周辺は、鼻の左下側角から顎の割れを経由して鼻の右下側角へと口辺りを巡る。鼻の左右下側角から、シールは激しく(例えば、90度近く)逸脱し、患者の鼻の底面の外縁を周囲を密閉する。
【0107】
一実施例において、患者インターフェース6000は、「コンパクト」患者インターフェースまたはマスクと呼ばれ得る。それは患者インターフェースが患者の鼻の下部(すなわち、患者の鼻の鼻ブリッジの下)に沿って密閉するのに適合されたコンパクト形態を提供するからである。
【0108】
鼻クッション
図示のように、鼻クッション6300は、鼻クッション6300がプレナムチャンバ6500の縁部の上部に沿って延びるように、かつ鼻クッションがプレナムチャンバ6500の縁部の側部と下部に沿って延びるように、口クッション6400の上部に設けられるかまたは別の方法で接続される。
【0109】
図示の実施例において、鼻クッション6300は、発泡体コンポーネント6305(例えば、ダイカットにより形成され、貫通する2つの別個の開口部含む)を含む。一実施例において、発泡体コンポーネントの厚さは、例えば10~15mm、例えば12mmのように一定である。だが、より肉厚およびより肉薄の発泡体が使用されてよく、かつ発泡体の厚さは一様でなくてもよい(例えば厚さは鼻クッションの1つ以上の領域において異なり得る)。別の実施例において、鼻クッションの発泡体コンポーネントは圧縮カット(例えば患者の鼻の輪郭を緊密に追随するような構造にされた、より丸みのありかつテーパ状にされた縁および/または開口部を提供するための)であってよい。
【0110】
鼻クッション6300の堅牢性とシールを向上させるために、発泡体コンポーネント6305の上面または顔接触側に、気密または不透過性織物膜6310(例えば弾性布膜)が設けられる。図示の実施例において、膜6310の外周は、発泡体コンポーネント6305へ接合され、これにより、治療中において膜6310が発泡体コンポーネント6305に相対して膨張および変位可能になる。図示のように、膜6310は、発泡体コンポーネント6305の開口部と実質的に整列した2つの別個の開口部6315を含む。開口部6315は、治療圧力が発泡体コンポーネント6305と膜6310の間に進入を可能にし、使用時において膜6310の膨張を許容するために、取り付けられていないか自由である。別の実施例において、発泡体コンポーネントおよび/または膜は、単一の開口部を含んでよい。
【0111】
一実施例において、治療時において膨張に適合された気密または不透過性構造を提供するために、膜6310の片側または両側(すなわち、顔接触側および/または非顔接触側)が層状にされるか、密閉されるか、または不透過性表面に設けられる。例えば、膜6310の非顔接触側は層状にされてよい。かかる配置構成は、患者の鼻の複雑な人体測定(anthropometric)領域(例えば患者の鼻の凸凹プロファイル)についての漏洩を最小化ならびに防止しかつ膨張するような構造にされた布地圧力活性化シールを提供する。すなわち、鼻クッションの織物の膜または織物材料は、患者の鼻の近位の領域における患者の顔に対して圧力活性化シールを提供するために、治療時において鼻クッションの発泡体コンポーネントまたは織物材料に相対して膨張および変位するような構造にされる。
【0112】
一実施例において、膜6310および発泡体コンポーネント6305は、シリコーン制の二重壁クッションと類似に機能し得る。例えば一形態において、膜6310は、治療時において患者の鼻の底面と側部(例えば両鼻孔の周囲を密閉)に対して膨張および密閉係合するような構造にされる。この配置構成により、発泡体コンポーネント6305から鼻が変位または離隔された場合にも、鼻クッション6300との密閉状態が保たれる。例えば、膨張は、鼻クッション6300によって提供された鼻シールが動的に挙動して、発泡体コンポーネント6305の顔接触側から離隔する鼻の任意の移動を膜6310と膜6310の動的膨張を引き起こす治療圧力との組み合わせによって密閉することができるようにする。膜6310が特定度合いまでだけ膨張し得るから、該シールは移動の特定範囲内でだけ動的状態に保たれ得る。
【0113】
図示の実施例において、膜6310は、発泡体コンポーネント6305からの露出された発泡体が発泡体コンポーネント6305の側部に沿って設けられるように、発泡体コンポーネント6305の上面または顔接触側にのみ設けられ得る。かかる配置構成は患者の鼻の角における発泡体表面を提供し、これら領域におけるシールを達成するための一助となる。
【0114】
鼻クッション6300は、口クッション6400の上部において延びるか横架したブリッジ部位6330を含む。ブリッジ部位6330は、シール形成構造6200の密閉周辺の完全に内に位置するために、シールの形成は不要である。
【0115】
一実施例において、ブリッジ部位6330は以下の特徴のうち1つ以上を提供し得る:鼻の角におけるシールを促進する余分の密閉面;口と鼻の下の密閉面とのシームレスな一体化;患者の顔に対する支持;および/またはセットアップ用セマンティックス。
【0116】
図13に最良に示すように、鼻クッション6300は患者の鼻を取り込むか抱えかつ患者の鼻の鼻翼角度に沿って密閉するような構成および配置にされたV字状(例えば概して凹面形状の)を含む。一実施例において、鼻クッション6300は、鼻クッション6300が鼻の下において異なる圧力で加圧しシールと快適性が達成されるような形状にされ得る。
【0117】
口クッション
口クッション6400は、鼻の左下側角から顎の割れを経由して鼻の右下側角へと口辺りにおいて延び、そして鼻クッション6300とシームレスにブレンドするシールを提供する。
【0118】
図示の実施例において、口クッション6400は、発泡体コンポーネント6405(例えば、ダイカットにより形成された)を含む。一実施例において、発泡体コンポーネントの厚さは、例えば10~15mm、例えば12mmのように一定である。だが、より肉厚およびより肉薄の発泡体が使用されてよく、かつ発泡体の厚さは一様でなくてもよい(例えば厚さは口クッションの1つ以上の領域において異なり得る)。別の実施例において、口クッションの発泡体コンポーネントは圧縮カット(例えば患者の顔の輪郭を緊密に追随するような構造にされた、より丸みのありかつテーパ状にされた縁を提供するための)であってよい。
【0119】
図示の実施例において、口クッション6400は患者の口の周囲における密閉および快適性を向上させるため、その縁部周囲の幅が異なり得る。
【0120】
代替態様
本技術の一形態において、シール形成構造は、シール形成表面を提供し、クッション機能をさらに提供し得る。
【0121】
別の実施例において、本技術によるシール形成構造の一つ以上の部位は、柔らかく、可撓性でありかつ弾力性のある材料(例えば、シリコーン)から構成され得る。
【0122】
一形態において、シール形成構造は、密閉フランジおよび支持フランジを含み得る。密閉フランジは、厚さが約1mm未満(例えば、約0.25mm~約0.45mm)の比較的肉薄の部材を含む。この部材は、プレナムチャンバ縁部長さの周囲に延びる。支持フランジは、密閉フランジよりも比較的肉厚であり得る。支持フランジは、密閉フランジと、プレナムチャンバの周辺縁との間に配置され、縁部長さの周囲の少なくとも一部に延びる。支持フランジは、バネ様要素であるかまたはバネ様要素を含み、密閉フランジを使用時に座屈しないように支持するよう機能する。使用時において、密閉フランジは、プレナムチャンバ中のシステム圧力に容易に応答してその下側上に作用して、面と緊密な密閉係合を形成させ得る。
【0123】
一形態において、非侵襲的患者インターフェースのシール形成部分は、一対の鼻パフまたは鼻枕を含み得る。各鼻パフまたは鼻枕は、患者の鼻の各鼻孔とのシールを形成するように構成および配置される。
【0124】
本技術の一態様による鼻枕は、円錐台を含む。円錐台のうち少なくとも一部は、患者の鼻の下側、柄部、円錐台の下側上の可撓性領域上に密閉を形成し、円錐台を柄部へ接続させる。加えて、本技術の鼻枕が接続される構造は、柄部のベースに隣接する可撓性領域を含む。可撓性領域は、自在接合構造を促進するように機能し得る。自在接合構造は、円錐台の変位および角度双方と、鼻枕が接続される構造との相互移動に対応する。例えば、円錐台は、柄部が接続された構造に向かって軸方向に変位し得る。
【0125】
一形態において、非侵襲的患者インターフェースは、患者の顔の上唇領域(すなわち、上唇)上にシールを形成するシール形成部分を含む。
【0126】
1つの形態において、非侵襲的患者インターフェースは、患者の顔の顎領域上にシールを形成するシール形成部分を含む。
【0127】
本技術の特定の形態において、シール形成構造は、特定のサイズの顔の頭部および/または形状に対応するように構成される。例えば、1つの形態のシール形成構造は、小さなサイズの頭部ではなく、大きなサイズの頭部に適している。
【0128】
別の実施例において、1つの形態のシール形成構造は、大きなサイズの頭部ではなく、小さなサイズの頭部に適している。
【0129】
5.3.2 フレーム
患者の鼻と口周囲におけるシール形成構造6200の三次元形状は、高剛性の織物フレーム6100の支持によって提供される。すなわち、織物フレーム6100は、プレナムチャンバ6500を提供する所定の三次元の構造、形状、またはジオメトリ、および患者の鼻と口の輪郭を緊密に追随しかつそれに沿って密閉するのに適合された、事前形成された三次元形状へとシール形成構造6200を形状にし支持するような構成および配置にされた縁または表面を含む。一実施例において、フレーム6100の所定の三次元形状は、患者の呼吸周期全体において維持される。
【0130】
すなわち、フレーム6100の縁は、鼻クッション6300口クッション6400を支持し保持して、患者の鼻と口の輪郭に緊密に一致するように(すなわち、鼻クッションおよび口クッションがフレーム6100のクッション支持表面に取り付けられているときに、鼻クッションおよび口クッションの形状を調節し患者の鼻と口の湾曲部に一致するように、フレームジオメトリは鼻クッション6300および口クッション6400に所定の三次元形状を付与する)するような構造および配置にされたクッション支持表面提供する。
【0131】
一実施例において、クッション支持表面は、鼻クッションおよび口クッションの異なる領域において異なる形状または湾曲部を付与するために、その縁部に沿った異なる領域において異なる湾曲部を含み得る。
【0132】
図7および
図10(すなわち、患者インターフェースの上面図と下面図)に最良に示すように、フレーム6100は、加圧されたときに隣接するシール形成構造の輪郭を緊密に追随するかそれに一致するような構成にされた凹状の外面を有する。この配置構成は、患者の顔から患者インターフェースを外れさせるような外部ジオメトリに打ち勝つ必要がないため、患者インターフェースの安定性の向上は補助される。
【0133】
図示の実施例においてフレーム6100は、気密または不透過性織物材料により構築または製造される。一実施例において、織物材料の片側または両側(すなわち、フレームの内部および/または外部表面)は、気密または不透過性構造を提供するために、コーティングされるか、層状にされるか、密閉されるか、不透過性表面(例えば織物材料内に埋め込まれた不透過性シリコーン層または膜)が設けられる。
【0134】
かかる配置構成は、プレナムチャンバ6500のための不透過性構造を提供する。
【0135】
一実施例において、フレーム6100は、屈曲され/折り曲げられかつ接合されたときに3次元形状を生成するように、平坦な織物材料片を特定のジオメトリに裁断することにより形成される。あるいは、フレームは、織物材料を患者の顔に適合させるための所望の3次元形状に加熱成形することにより形成されてよい。他の布地成形方法も適用することができよう。別の代替例において、フレーム6100は、三次元形状に編まれた布地構造を有するスペーサ布地を含み得る。
【0136】
一実施例において、内部の構造的骨格フレームが織物フレームに追加され得、鼻クッションおよび/または口クッションに対するさらなる支持(例えば鼻クッションがもたれる表面を生成)を提供する。一実施例において、骨格フレームは、織物フレームの内側に恒久的に取り付けられ得る。加熱成形された織物フレームに対しては、すべての内部構造的支持は、加熱成形プロセスに組み込むことができる。一実施例において、フレームの織物材料は、織物のスカフォード、メッシュ、編地または帯ひもの構造を含む。
【0137】
図14~
図19は、本技術の一実施例による織物フレーム6100の三次元形状を形成する例示的ステップを提供する。
【0138】
例えば
図14は、三次元フレーム6100の構築に不可欠な材料を提供する所定の平坦な形状に裁断されたか別の方法で形成された織物または布地材料6105(不透過性表面を備えた)を示す。
図15は、フレーム6100の三次元形状に特定の様態で折り曲げられた
図14の布地材料6105を示す。
図16は、フレーム6100の三次元形状を保持するよう前側縁6110と顎の折り目の短側6115に接合した、折り曲げられた
図15布地材料6105を示す。例えば
図9に示すように、前側接合部6110はフレーム6100の中枢として機能する。
図17は、フレーム6100により提供されるプレナムチャンバ6500の内部の三次元形状を生成する、折り曲げられた
図16布地材料6105を示す。
図18および
図19は、口の側部と下部に順応するフレームを示す、患者の顔に位置する
図17の布地の三次元フレーム6100を示す。
【0139】
鼻クッション6300は、フレーム6100の上部に設けられ患者インターフェースの上部を形成し、口クッション6400は、フレーム6100に設けられかつ鼻クッション6300と接合されシール形成構造6200を完成させる。空気送達管6600(例えば直線チューブ)は、フレーム6100の底部から突出するように配置される。一実施例において、空気送達管は片端または両端にスイベルを含んでよい。
【0140】
5.3.3 プレナムチャンバ
一実施例において、プレナムチャンバ6500は、使用時に密閉が形成される領域において平均的な人の顔の表面輪郭に対して相補的である形状の縁部を有する。使用時において、プレナムチャンバ6500の周辺縁部は、顔の隣接する表面に近接して位置決めされる。顔との実際の接触は、シール形成構造6200によって提供される。シール形成構造6200は、使用時においてプレナムチャンバ6500の周囲全体の縁部に延び得る。
【0141】
5.3.4 位置決めおよび安定化構造
本技術の患者インターフェース6000のシール形成構造6200は、使用時においてヘッドギア6800によって密閉位置において保持され得る。
【0142】
図4~
図8に示すように、ヘッドギア6800は患者の頭部の頭頂部を封入する円形の頭頂部ストラップ6806へ接続された上側ストラップ6802および一対の下側ストラップ6804を含む。
図6、
図7、および
図9に最良に示すように、上側ストラップ6802は、フレーム6100の上側ヘッドギアコネクタ6130のそれぞれへ、下側ストラップ6804は、フレーム6100の下側ヘッドギアコネクタ6150のそれぞれへ、例えばヘッドギアクリップ6160、6161のそれぞれを介して接続する。側部ストラップ6802および6804は、接続および/または調節を促進するために、調節可能なフックアンドループ(ベルクロ(登録商標))接続機構(例えば、ベルクロ(登録商標)のようなフックタブ)を含み得る。
【0143】
上側ヘッドギアコネクタ6130および下側ヘッドギアコネクタ6150は、4点接続をヘッドギア6800へ提供する。
図8に最良に示すように、上側ストラップ6802のそれぞれは、患者の耳と目の間で延びるように配置され、フランクフルト水平線に対して上方に延びる上部力ベクトルを提供する。下側ストラップ6804のそれぞれは、患者の耳の下へ延びるように配置され、フランクフルト水平線に対して概して平行に延びる下部力ベクトルを提供する。
【0144】
かかる配置構成により、患者の鼻と口双方でシール形成構造6200を密閉するための適切な力ベクトルが確実に提供される。
【0145】
2つの上部力ベクトルは、頑強なシールのためのこの領域における発泡体圧縮を最大化するために、鼻の角の直接上を戦略的に通り過ぎる。2つの上部力ベクトルは、フレームの前側部位に取り付けられ、これにより、フレームの上部の後部が患者の顔の形状に順応し(例えば鼻の角におけるシールを組み込む領域に順応)広がる。
【0146】
2つの下部力ベクトルは、発泡体シールの真上のフレームの後部に向かって配置される。これにより、ヘッドギアが発泡体シールに力を直接付加する。これは、患者インターフェースを患者の顔から引っぱる最も大きな力と相関づけられる患者インターフェースの最も広い部分である。
【0147】
このようにして、上部力ベクトルは鼻クッション6300を取り上げて患者の鼻との密閉係合させることであり、下部力ベクトルは口クッション6400を後ろに引っぱって患者の口の周囲と密閉係合させることであろう。よって、ヘッドギア張力が付加されたときの結果的力ベクトルにより、鼻クッション6300と口クッション6400双方における効果的な密閉が可能となる。
【0148】
図示の実施例において、フレーム6100の上側および下側ヘッドギアコネクタ6130、6150のそれぞれは、ヘッドギア6800の各ストラップ(例えば
図4、
図5、
図6、
図7および
図9を参照)に設けられた各ヘッドギアクリップ6160、6161に付随する磁石6162に位置し接続するような構造にされた磁気コネクタ6155(例えば容器入り磁石)の形態をとったヘッドギア接続点を含む。
【0149】
しかし、上側および下側ヘッドギアコネクタ6130、6150は、ヘッドギアのヘッドギアストラップへ他の適切な方法で接続してもよいことが理解されるべきである。
【0150】
本技術の一形態において、患者が睡眠時に装着されるように構成された位置決めおよび安定化構造が提供される。一実施例において、位置決めおよび安定化構造は、装置の感知される嵩または実際の嵩を低減するように、ロープロファイルまたは断面厚さを有する。
【0151】
一実施例おいて、位置決めおよび安定化構造は、矩形断面を有する少なくとも1つのストラップを含む。一実施例において、位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つの平坦ストラップを含む。
【0152】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、布地患者接触層、発泡材料内側層および布地外側層の積層物から構成されたストラップを含む。一形態において、発泡材料は、湿気(例えば、汗)がストラップを通過できるような多孔性である。一形態において、布地外側層は、フック材料部分と係合するループ材料を含む。
【0153】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造は、伸張可能である(例えば、弾力性と共に伸張可能である)ストラップを含む。例えば、ストラップは、使用時にはピンと張った状態にされて、クッションを患者の顔の一部と密着させる力を方向付けるように、構成され得る。一実施例において、ストラップは、タイとして構成され得る。
【0154】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造は、屈曲可能であり例えば非剛性であるストラップを含む。本態様の利点として、患者が睡眠時に体を横たえたときにストラップがより快適になっている点がある。
【0155】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造は、特定のサイズの頭部および/または形状の顔に対応するように構成された保持力を提供する。例えば、位置決めおよび安定化構造の1つの形態により、小さなサイズの頭部ではなく、大きなサイズの頭部に適した保持力が提供される。別の実施例において、位置決めおよび安定化構造の1つの形態により、大きなサイズの頭部ではなく、小さなサイズの頭部に適した保持力が提供される。
【0156】
5.3.5 通気
一形態において、患者インターフェース6000は、吐き出されたガス(例えば、二酸化炭素)の押し出しを可能にするように構成および配置された通気部6900を含む。
【0157】
本技術による一形態の通気部6900は、複数の穴(例えば、約20個~約80個の穴または約40個~約60個の穴または約45個~約55個の穴)を含む。
【0158】
通気部6900は、プレナムチャンバ6500内に配置され得る(例えばフレーム6100に設けられ得る)。あるいは、通気部6900は、結合解除構造(例えば、スイベル)内に配置される。
【0159】
5.3.6 結合解除構造(単数または複数)
患者インターフェースの一形態は、少なくとも1つの結合解除構造(例えば、スイベルまたは球窩およびソケット)を含む。
【0160】
5.3.7 接続ポート
一実施例において、患者インターフェースは、空気回路4170への接続を可能にする接続ポートを含む。
【0161】
5.3.8 前額支持部
一形態において、患者インターフェースは、前額支持部を含む。
【0162】
5.3.9 窒息防止弁
一形態において、患者インターフェースは、窒息防止弁を含む。
【0163】
5.3.10 ポート
本技術の一形態において、患者インターフェースは、プレナムチャンバ内の量へのアクセスを可能にする1つ以上のポートを含む。一形態において、これにより、臨床医が補充酸素を供給することが可能になる。一形態において、これにより、プレナムチャンバ内のガス(例えば、圧力)の特性を直接測定することが可能になる。
【0164】
5.4 用語集
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
【0165】
5.4.1 一般
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味し得、本技術の他の形態において、空気は、他の呼吸可能なガスの組み合わせ(例えば、酸素を豊富に含む大気)を意味し得る。
【0166】
雰囲気:本技術の特定の形態において、「雰囲気」という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接包囲するものを意味するものとしてとられるべきである。
【0167】
例えば、加湿器に対する雰囲気湿度とは、加湿器を直接包囲する空気の湿度であり得る(例えば、患者が睡眠をとっている部屋の内部の湿度)。このような雰囲気湿度は、患者が睡眠をとっている部屋の外部の湿度と異なる場合がある。
【0168】
別の実施例において、雰囲気圧力は、身体の直接周囲または外部の圧力であり得る。
【0169】
特定の形態において、雰囲気(例えば、音響)ノイズは、例えばRPTデバイスから発生するかまたはマスクまたは患者インターフェースから発生するノイズ以外の、患者の居る部屋の中の背景ノイズレベルとみなすことができる。雰囲気ノイズは、部屋の外の発生源から発生し得る。
【0170】
自動的な気道陽圧(APAP)療法:SDB発症の兆候の存在または不在に応じて、例えば、呼吸間に最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調節することが可能なCPAP療法。
【0171】
持続的気道陽圧(CPAP)療法:治療圧力が患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定である呼吸圧療法。いくつかの形態において、気道への入口における圧力は、呼息時において若干上昇し、吸息時において若干低下する。いくつかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間において変動する(例えば、部分的な上気道閉塞の兆候の検出に応答して増加され、部分的な上気道閉塞の通知の不在時において低減される)。
【0172】
流量:単位時間あたりに送出される空気の瞬時の量(または質量)。流量とは、瞬間の量を指し得る。場合によっては、流量について言及した場合、スカラー量(すなわち、大きさのみを有する量)を指す。他の場合において、流量について言及した場合、ベクトル量(すなわち、大きさおよび方向両方を持つ量)を指す。
【0173】
流量には、符号Qが付与され得る。「流量」を簡略的に「流れ」と呼ぶ場合もある。
【0174】
患者の呼吸の実施例において、流量は、患者の呼吸サイクルの吸気部分に対してノミナルに陽圧であり得るため、患者の呼吸サイクルの呼気部分に対して負であり得る。合計流量Qtは、RPTデバイスから退出する空気の流量である。通気流量Qvは、吐き出されたガスの流出を可能にするために通気孔から退出する空気の流量である。漏洩流量Qlは、患者インターフェースシステムまたは他の場所からの漏洩の流量である。呼吸流量Qrは、患者の呼吸器系中に受容される空気の流量である。
【0175】
漏洩:「漏洩」という用語は、意図しない空気流れとしてとられる。一実施例において、漏洩は、マスクと患者の顔との間のシールが不完全であることに起因して発生し得る。別の実施例において、漏洩は、周囲に対する回りエルボーにおいて発生し得る。
【0176】
ノイズ伝導(音響):本文書において、伝導ノイズとは、空気圧式経路(例えば、空気回路および患者インターフェースおよびその内部の空気)によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、伝導ノイズは、空気回路の端部における音圧レベルを測定することにより、定量化され得る。
【0177】
ノイズ放射(音響):本文書において、放射ノイズとは、周囲空気によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、放射ノイズは、当該対象の音響パワー/圧力レベルをISO3744に従って測定することにより、定量化され得る。
【0178】
ノイズ通気(音響):本文書において、通気ノイズとは、任意の通気(例えば、患者インターフェース中の通気穴)を通じた空気流れにより生成されるノイズを指す。
【0179】
患者:呼吸器疾患に罹患しているかまたはしていない人。
【0180】
圧力:単位面積あたりの力。圧力は、多様な単位で表現測定され得る(例えば、cmH2O、g-f/cm2、及びヘクトパスカル)。1cmH2Oは、1g-f/cm2に等しく、およそ0.98ヘクトパスカルである。本明細書において、他に明記無き限り、圧力はcmH2Oの単位で付与される。
【0181】
患者インターフェース中の圧力には記号Pmが付与され、現時点においてマスク圧力Pmが達成すべき目標値を表す治療圧力には記号Ptが付与される。
【0182】
呼吸圧力治療(RPT):雰囲気に対して典型的には陽圧である治療圧力における空気供給の気道入口への付加。
【0183】
人工呼吸器:患者が呼吸動作の一部または全てを行い際に圧力補助を提供する機械的デバイス。
【0184】
5.4.1.1 材料
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコーンについて言及される場合、液体シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)を指す。市販のLSRの一形態として、Dow Corningによって製造されるSILASTIC(この登録商標下において販売される製品群に含まれる)がある。別のLSR製造業者として、Wackerがある。他に逆の明記無き限り、例示的形態のLSRのASTMD2240によって測定した場合のショアA(またはタイプA)押込み硬さは、約35~約45である。
【0185】
ポリカーボネート:典型的には、ビスフェノールAカーボネートの透明な熱可塑性ポリマーである。
【0186】
5.4.1.2 機械的特性
弾性:弾性変形時にエネルギーを吸収することおよび除荷時にエネルギーを解放することが可能な材料の能力。
【0187】
「弾性」:除荷時に実質的に全てのエネルギーを解放する。例えば特定のシリコーンおよび熱可塑性エラストマーを含む。
【0188】
硬度:材料自体の変形に抵抗する能力(例えば、ヤング係数または規格化されたサンプルサイズ上において測定された押込硬さスケールによって記述されたもの)。
【0189】
「軟性」材料は、シリコーンまたは熱可塑性エラストマー(TPE)を含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得る。
【0190】
「硬質」材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、鋼またはアルミニウムを含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得ない。
【0191】
構造または構成要素の剛度(または剛性):構造または構成要素が負荷を受けたときに変形に抵抗する能力。負荷は、力またはモーメントであり得る(例えば、圧縮、伸張、屈曲またはねじれ)。構造または構成要素は、異なる方向において異なる抵抗を提供し得る。
【0192】
「フロッピー」構造または構成要素:自重を支持させられた際に比較的短期間(例えば、1秒)以内に形状を変化させる(例えば、屈曲する)構造または構成要素。
【0193】
「剛性」の構造または構成要素:使用時において典型的に遭遇する負荷を受けた際に実質的に形状変化の無い構造または構成要素。かかる用途の実施例として、患者インターフェースを例えばおよそ20~30cmH2Oの圧力の負荷において患者気道入口に対して密閉した様態でセットアップおよび維持することがあり得る。
【0194】
一実施例として、I形ばりは、第2の直交方向と比較した第1の方向において、異なる曲げ剛性(曲げ負荷に対する抵抗)を含み得る。別の実施例において、構造または構成要素は、第1の方向においてはフロッピーであり得、第2の方向においては剛性であり得る。
【0195】
5.4.2 呼吸サイクル
無呼吸:いくつかの定義によれば、無呼吸とは、所定の閾値を下回った流れが例えば10秒間の継続期間にわたって継続した場合に発生したと言われる。閉塞性無呼吸とは、患者の労作にもかかわらず、何らかの気道閉塞により空気の流れが許されないときに発生すると言われる。中枢性無呼吸とは、気道が開通しているにも関わらず呼吸努力の低下または呼吸努力の不在に起因して無呼吸が検出された状態を指すと言われる。混合無呼吸とは、呼吸努力の低下または不在が気道閉塞と同時発生した状態を指すと言われる。
【0196】
呼吸速度:患者の自発呼吸速度であり、通常は毎分あたりの呼吸回数で測定される。
【0197】
負荷サイクル:吸息時間Tiの合計呼吸時間Ttotに対する比。
【0198】
労作(呼吸):呼吸努力は、呼吸しようとしている人の自発呼吸によって行われる動きを指すと言われる。
【0199】
呼吸サイクルの呼気部分:呼気流れの開始から吸気流れの開始までの期間。
【0200】
流量制限:流量制限は、患者による労作の増大が流量の対応する増大を引き起こさない患者の呼吸における状況であると解釈される。呼吸サイクルの吸気部分において流量制限が発生した場合、当該流量制限は吸気流量制限と称することができる。
【0201】
呼吸サイクルの呼気部分において流量制限が発生した場合、当該流量制限は呼気流量制限と称することができる。
【0202】
流れ制限吸気の波形の種類:
(i) 平坦化:上昇の後に比較的平坦な部位が続いた後、下降が発生すること。
(ii) M字型:立ち上がりにおいて1つおよび立ち下がりにおいて1つの2つの局所的ピークを持ち、これら2つのピークの間に比較的平坦な部位がある。
(iii) 椅子状:単一の局所的ピークを持ち、このピークが立ち上がり部分に発生した後、比較的平坦な部位が続く。
(iv) 逆椅子状:比較的平坦な部位の後に単一の局所的ピークが続き、このピークが立ち下がり部分に発生する。
【0203】
呼吸低下:一部の定義によれば、呼吸低下は、流れの中断ではなく、流れの低下を意味する。一形態において、閾値速度を下回った流れ低下が継続期間にわたって続いた場合、呼吸低下が発生したと言われる。呼吸努力の低下に起因して呼吸低下が検出された場合、中枢性呼吸低下が発生したと言われる。成人の一形態において以下のうちいずれかが発生した場合、呼吸低下と見なされ得る:
(i) 患者呼吸の30%の低下が少なくとも10秒+関連する4%の脱飽和、または、
(ii) 患者呼吸の(50%未満の)低下が少なくとも10秒間継続し、関連して脱飽和が少なくとも3%であるかまたは覚醒が発生する。
【0204】
過呼吸:流れが通常の流量よりも高いレベルまで増加すること。
【0205】
呼吸サイクルの吸気部分:吸気流れの開始から呼気流れの開始までの期間が、呼吸サイクルの吸気部分としてとられる。
【0206】
開通性(気道):気道が開いている度合いまたは気道が開いている範囲。気道開通性とは、開口である。気道開通性の定量化は、例えば、開通性を示す値(1)と、閉鎖(閉塞)を示す値(0)で行われ得る。
【0207】
呼気終末陽圧(PEEP):肺中の大気を越える圧力であり、呼気終了時に存在する。
【0208】
ピーク流量(Qpeak):呼吸流れ波形の吸気部分における流量最大値。
【0209】
呼吸気流量、空気流量、患者の空気流量、呼吸気空気流量(Qr):これらの用語は、RPTデバイスの呼吸空気流量の推定を指すものとして理解され得、通常リットル/分で表される患者の実際の呼吸流量である「真の呼吸流量」または「真の呼吸気流量」と対照的に用いられる。
【0210】
1回換気量(Vt):余分な努力をせずに通常の呼吸時に吸い込まれたかまたは吐き出された空気の量である。
【0211】
(吸息)時間(Ti):呼吸流量波形の吸気部分の継続期間。
【0212】
(呼息)時間(Te):呼吸流量波形の呼気部分の継続期間。
【0213】
(合計)時間(Ttot):呼吸流量波形の一つの吸気部分の開始と呼吸流量波形の次の吸気部分の開始との間の合計継続期間。
【0214】
典型的な最近の換気:所定の時間スケールにわたる換気Ventの直近値が密集する傾向となる換気値(すなわち、換気の直近値の中心の傾向の度合い)。
【0215】
上気道閉塞(UAO):部分的な上気道閉塞および合計上気道閉塞両方を含む。上気道上の圧力差の増加(スターリングレジスタ挙動)と共に流量がわずかに増加するかまたは低下し得る流量制限の状態と関連し得る。
【0216】
換気(Vent):患者の呼吸器系によって行われるガス交換の総量の測定。換気の測定は、単位時間あたりの吸気および呼気流のうち片方または双方を含み得る。1分あたりの体積として表される場合、この量は、「分換気」と呼ばれることが多い。分換気は、単に体積として付与されることもあり、1分あたりの体積として理解される。
【0217】
5.4.3 換気
適応サーボ人工呼吸器(ASV):一定の目標換気を持つのではなく変更が可能なサーボ人工呼吸器。変更可能な目標換気は、患者の何らかの特性(例えば、患者の呼吸特性)から学習され得る。
【0218】
バックアップレート:人工呼吸器のパラメータであり、(自発呼吸努力によってトリガされない場合に)人工呼吸器から患者へ送達される最小呼吸速度(典型的には、1分あたりの呼吸数)を確立させる。
【0219】
サイクル:人工呼吸器の吸気フェーズの終了。自発呼吸をしている患者へ人工呼吸器から呼吸を送達する場合、呼吸サイクルの吸気部分の終了時において、当該人工呼吸器は、呼吸送達を停止するようサイクルされると言われる。
【0220】
呼気の気道陽圧(EPAP):人工呼吸器が所与の時期に達成しようとする所望のマスク圧力の生成のために、呼吸内において変化する圧力が付加される基本圧力。
【0221】
終了時呼気圧力(EEP):呼吸の呼気部分の終了時において人工呼吸器が達成しようとする所望のマスク圧力。圧力波形テンプレートΠ(Φ)が呼気終了時にゼロの値である(すなわち、Φ=1のときにΠ(Φ)=0である場合)、EEPはEPAPに等しい。
【0222】
吸息の気道陽圧(IPAP):呼吸の吸気部分時に人工呼吸器が達成しようとする最大の所望のマスク圧力。
【0223】
圧力補助:人工呼吸器吸気時における当該人工呼吸器呼気時における圧力増加を示す数であり、吸気時の最大値と、基本圧力との間の圧力差を主に意味する(例えば、PS=IPAP-EPAP)。いくつかの文脈において、圧力補助とは、(人工呼吸器が実際に達成する差ではなく)人工呼吸器が達成しようとする差を意味する。
【0224】
サーボ人工呼吸器:患者換気を有しかつ目標換気を有する人工呼吸器であり、患者換気を目標換気に近づけるために圧力補助レベルを調節する。
【0225】
自発/タイミング(S/T):自発呼吸している患者の呼吸の開始を検出しようとする、人工呼吸器または他のデバイスのモード。しかし、デバイスが所定期間の間に呼吸を検出できない場合、デバイスは、呼吸送達を自動的に開始する。
【0226】
スイング:圧力補助に相当する用語。
【0227】
トリガ:人工呼吸器が自発呼吸する患者へ空気の呼吸を送達する場合、患者自身が呼吸サイクルの呼吸部分を開始したとき、当該人工呼吸器が呼吸送達を行うようトリガされたと言う。
【0228】
典型的な最近の換気:典型的な最近の換気Vtypは、一定の所定の時間スケールにわたって最近の換気測定が密集する傾向となる一定範囲の値である。
【0229】
例えば、最近の履歴にわたる換気測定の中心的傾向の測定は、典型的な最近の換気の適切な値であり得る。
【0230】
5.4.4 解剖学的構造
5.4.4.1 顔の解剖学的構造
翼:外部の外壁または各鼻穴の「翼」(複数形:alar)
【0231】
Alare:鼻翼上の最外側の点。
【0232】
翼曲率(または翼頂)点:各翼の曲線状基準線における最後方点であり、翼および頬の結合によって形成される折り目において見受けられる。
【0233】
耳介:耳の視認できる部分全体。
【0234】
(鼻)骨格:鼻の骨格は、鼻骨、上顎骨の前頭突起および前頭骨の鼻部分を含む。
【0235】
(鼻)軟骨格:鼻の軟骨格は、中隔軟骨、外側軟骨、大軟骨および小軟骨を含む。
【0236】
鼻柱:鼻孔を分離する皮膚片であり、鼻尖点から上唇へ延びる。
【0237】
鼻柱角度:鼻穴の中点を通じて引かれる線と、鼻下点と交差しつつフランクフルト水平に対して垂直に引かれる線との間の角度。
【0238】
フランクフォート水平面:眼窩縁の最下側点から左耳点へ延びる線。耳点は、ノッチ上側から耳介の耳珠への最も深い点である。
【0239】
眉間:軟組織中に配置され、前額部の正中矢状において最も顕著な点。
【0240】
外側鼻軟骨:軟骨の概して三角形の板。その上側周縁は鼻骨および上顎骨の前頭突起へ取り付けられ、その下側周縁は大鼻翼軟骨へ接続される。
【0241】
唇、下側(下唇:labrale inferius):
【0242】
唇、上側(上唇:labrale superius):
【0243】
大鼻翼軟骨:軟骨の板であり、外側鼻軟骨の下側に配置される。これは、鼻孔の前方部分の周囲において曲線状になる。その後端は、3つまたは4つの翼の小軟骨を含む強靱な線維膜により、上顎骨の前頭突起へ接続される。
【0244】
鼻孔(鼻穴):概して楕円体の翼穴であり、鼻腔への入口を形成する。鼻孔(nares)の単数形は鼻孔(naris)(鼻穴)である。これらの鼻孔は、鼻中隔によって分離される。
【0245】
鼻唇溝または鼻唇折り目:皮膚の折り目または溝であり、鼻の各側から口腔の角部へ延びて、頬を上唇から分離させる。
【0246】
鼻唇角:鼻柱と上唇との間の角度であり、鼻下点と交差する。
【0247】
耳基底下点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最低点。
【0248】
耳基底上点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最高点。
【0249】
鼻尖点:鼻の最も突出した点または先端であり、頭部の部分の残り部分の側面図中に確認され得る。
【0250】
人中:鼻中隔の下側境界から上唇領域中の唇の上部へ延びる正中線溝。
【0251】
ポゴニオン:軟組織上に配置された、顎の最前方中点。
【0252】
(鼻)堤:鼻堤は、鼻の正中線隆起であり、セリオンから鼻尖点へ延びる。
【0253】
矢状面:前方(前)から後方(後)へ続く垂直面であり、本体を右半分および左半分に分割する。
【0254】
セリオン:軟組織上に配置された、前頭鼻骨縫合の領域上の最も凹状の点である。
【0255】
中隔軟骨(鼻):鼻中隔軟骨は、隔膜の一部であり、鼻腔の前部分を分割する。
【0256】
鼻翼最下点:翼ベースの下側周縁における点であり、翼ベースは上(上)唇の皮膚と接合する。
【0257】
鼻下点:軟組織上に配置され、鼻柱が正中矢状における上唇と合体する点。
【0258】
スプラメンターレ:下唇中点と軟組織ポゴニオンとの間の下唇の正中線中の最も凹状の点。
【0259】
5.4.4.2 頭蓋骨の解剖学的構造
前頭骨:前頭骨は、前額部として知られる領域に対応する大型垂直部分である前頭鱗を含む。
【0260】
下顎骨:下顎骨は、下側顎部を形成する。オトガイ隆起は、顎部の骨隆起であり、顎を形成する。
【0261】
上顎骨:上顎骨は、上側顎部を形成し、下顎の下側および眼窩の下側に配置される。上顎骨の前頭突起は、鼻の側部によって上方に突出し、その外側境界の部分を形成する。
【0262】
鼻骨:鼻骨は、2つの小さな長方形骨であり、個人によってサイズおよび形態が異なる。鼻骨は、顔の中間部分および上部分に並んで配置され、その接合により鼻の「ブリッジ」を形成する。
【0263】
鼻根点:前頭骨および2本の鼻骨の交差であり、眼と鼻のブリッジの上側との間に直接設けられた凹領域である。
【0264】
後頭骨:後頭骨は、頭蓋の裏および下側部分に配置される。後頭骨は、楕円穴である大後頭孔を含み、この穴を通じて、頭蓋内腔が椎管と連痛する。大後頭孔の後側の曲面板は、後頭鱗である。
【0265】
眼窩:頭蓋骨中の骨空洞であり、眼球を含む。
【0266】
頭頂骨:頭頂骨は、相互に接合されると頭蓋の頂部および側部を形成する骨である。
【0267】
側頭骨:側頭骨は、頭蓋骨のベースおよび側部上に配置され、こめかみとして知られる顔の部分を支持する。
【0268】
頬骨:顔に含まれる2つの頬骨は、顔の上側部分および外側部分中に配置され、頬の隆起を形成する。
【0269】
5.4.4.3 呼吸器系の解剖学的構造
横隔膜:シート状の筋肉であり、胸郭下部上に延びる。横隔膜は、心臓、肺および肋骨を含む胸腔を腹腔から分離させる。横隔膜が収縮すると、胸腔の容量が増加し、肺中に空気が引き込まれる。
【0270】
喉頭:声帯ひだを収容する喉頭または発声器であり、咽頭の下部(下咽頭)を気管へ接続させる。
【0271】
肺:ヒトにおける呼吸臓器。肺の伝導性ゾーンは、気管、気管支、気管支、および終末細気管支を含む。呼吸ゾーンは、呼吸気管支、肺胞管および肺胞を含む。
【0272】
鼻腔:鼻腔(または鼻窩)は、顔の中央の鼻の上方および後方の空気が充填された大きな空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直フィンによって2つに分割される。鼻腔の側部には、鼻甲介または鼻介骨と呼ばれる3つの水平伸長物がある。鼻腔の前方には鼻があり、後方は後鼻孔を介して鼻咽頭内に繋がる。
【0273】
咽頭:鼻腔の直接下側(下方)に配置されかつ食道および喉頭の上方に配置された咽喉の部分。咽頭は、従来から以下の3つの部分へ区分される:鼻咽頭(上咽頭)(咽頭の鼻部分)、口咽頭(中咽頭)(咽頭の口部分)、および咽喉(下咽頭)。
【0274】
5.4.5 患者インターフェース
窒息防止弁(AAV):マスクシステムの構成要素またはサブアセンブリであり、フェールセーフ様態での雰囲気中への開口により、患者による過度のCO2の再呼吸の危険性を低減させる。
エルボー:エルボーは、内部を移動する空気の流れの軸を方向付けて、角度を通じて方向を変化させる構造の実施例である。一形態において、角度はおよそ90度であり得る。別の形態において、角度は、90度超過または未満であり得る。エルボーは、ほぼ円形の断面を持ち得る。別の形態において、エルボーは、楕円または矩形の断面を持ち得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素に対して例えば約360度で回転可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素から例えばスナップ接続を介して取り外すことが可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、製造時にワンタイムスナップを介して噛み合い構成要素へ組み付けることが可能である一方、患者が取り外すことはできない。
【0275】
フレーム:フレームは、ヘッドギアを接続する2つ以上の点間の引張荷重を支持するマスク構造を意味するものとしてとられる。マスクフレームは、マスク中の非気密負荷支持構造であり得る。しかし、いくつかの形態のマスクフレームは、気密であってもよい。
【0276】
ヘッドギア:ヘッドギアは、頭部上において使用されるように設計された、一形態の位置決めおよび安定化構造を意味するものとしてとられる。例えば、ヘッドギアは、患者インターフェースを呼吸治療の送達のために患者の顔上の所定位置に配置および保持するように構成された1つ以上の支柱、タイおよび補剛材の集合を含み得る。いくつかのタイは、柔らかい可撓性の弾性材料(例えば、発泡材料および布地の層状複合材)によって形成される。
【0277】
膜:膜は、典型的には肉薄の要素を意味するものとしてとられ、好適には屈曲に対して実質的に抵抗せずかつ伸縮に対しては抵抗する。
【0278】
プレナムチャンバ:マスクプレナムチャンバは、空間の容積を少なくとも部分的に封入する壁を有する患者インターフェースの一部を意味するものとしてとられ、容積中の空気は、加圧されて使用時において気圧を超える。シェルは、マスクプレナムチャンバの壁の一部を形成し得る。
【0279】
シール:名詞(「シール」)として用いられる場合は構造を指し得、動詞(「密閉(する)」)として用いられる場合はその効果を指し得る。2つの要素は、別個の「シール」要素自体を必要とすることなく両者間において「シール」するかまたは「密閉」効果を得るように、構築および/または配置され得る。
【0280】
シェル:シェルは、屈曲、引っ張りおよび圧縮剛性を有する曲線状の比較的肉薄構造を意味するものとしてとられる。例えば、マスクの曲線状構造壁は、シェルであり得る。いくつかの形態において、シェルはファセットされ得る。いくつかの形態において、シェルは気密であり得る。いくつかの形態において、シェルは気密でない場合もある。
【0281】
補剛材:補剛材は、別の構成要素の剛軟度を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0282】
支柱:支柱は、別の構成要素の圧縮抵抗を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0283】
スイベル(名詞):構成要素のサブアセンブリであり、共通軸の周囲において好適には独立して好適には低トルク下において回転するように構成される。一形態において、スイベルは、少なくとも360度の角度で回転するように構成され得る。別の形態において、スイベルは、360度未満の角度で回転するように構成され得る。空気送達導管の文脈において用いられる場合、構成要素のサブアセンブリは好適には、一対組み合わせの円筒導管を含む。使用時において、スイベルからの空気流れの漏れはほとんど無い。
【0284】
タイ(名詞):張力に抵抗するように設計された構造。
【0285】
通気孔:(名詞):マスクまたは導管の内部の周囲空気への空気流れを可能にする構造であり、吐き出されたガスの臨床的に有効な洗い流しを可能にする。例えば、臨床的に有効な洗い流しにおいては、約10リットル/分~約100リットル/分の流量がマスク設計および治療圧力に応じて用いられ得る。
【0286】
5.4.6 構造の形状
本技術による製品は、1つ以上の三次元機械構造(例えば、マスククッションまたはインペラ)を含み得る。三次元構造は、二次元表面によって制限され得る。これらの表面は、関連付けられた表面の方向、位置、機能または他の何らかの特性を記述するためのラベルを用いて区別され得る。例えば、構造は、前表面、後表面、内面および外面のうち1つ以上を含み得る。別の実施例において、クッション構造は、顔接触(例えば、外側の)表面と、別個の非顔接触(例えば、下側または内側の)表面を含み得る。別の実施例において、構造は、第1の表面および第2の表面を含み得る。
【0287】
三次元構造の形状および表面の説明を容易にするために、構造の表面を通じた点pにおける断面について先ず検討する。
図3B~
図3Fを参照されたい。
図3B~
図3Fは、表面上における点pにおける断面例と、その結果得られる平面曲線の例とを示す。
図3B~
図3Fは、pにおける外向き法線ベクトルも示す。pにおける外向き法線ベクトルは、表面から離隔方向に延びる。いくつかの実施例において、架空の小さな人が表面上に直立している観点から、この表面について説明する。
【0288】
5.4.6.1 一次元における曲率
pにおける平面曲線の曲率は、符号(例えば、正、負)および大きさ(例えば、pにおいて曲線に接する円形の1/半径)を持つものとして記述され得る。
【0289】
正の曲率:pにおける曲線が外向き法線に向かって曲がる場合、その点における曲率は、正の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上り坂を歩行する必要がある)。
図3B(
図3Cと比較して比較的大きな正の曲率)および
図3C(
図3Bと比較して比較的小さな正の曲率)を参照されたい。
【0290】
このような曲線を、凹状と呼ぶことが多い。
【0291】
ゼロ曲率:pにおける曲線が直線である場合、曲率はゼロとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上向きでも下向きでもない水平面を歩行することができる)。
図3Dを参照されたい。
【0292】
負の曲率:pにおける曲線が外向き法線から離隔方向に曲がる場合、その点およびその方向における曲率は、負の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、下り坂を歩行する必要がある)。
図3E(
図3Fと比較して比較的小さな負の曲率)および
図3F(
図3Eと比較して比較的大きな負の曲率)を参照されたい。このような曲線は、凸状と呼ばれることが多い。
【0293】
5.4.6.2 二次元表面の曲率
本技術による二次元表面上の所与の点における形状の記述は、複数の垂直断面を含み得る。複数の断面は、外向き法線(「法平面」)を含む面において表面を切断し得、各断面は、異なる方向においてとられ得る。各断面の結果、対応する曲率を有する平面曲線が得られる。その点における異なる曲率は、同一符号または異なる符号を持ち得る。
その点における曲率はそれぞれ、(例えば、比較的小さな)大きさを有する。
図3B~
図3F中の平面曲線は、特定の点におけるこのような複数の断面の例であり得る。
【0294】
主要な曲率および方向:曲線の曲率が最大値および最小値をとる法平面の方向を主要な方向と呼ぶ。
図3B~
図3Fの実施例において、最大曲率は
図3Bにおいて発生し、最小は
図3Fにおいて発生するため、
図3Bおよび
図3Fは、主要な方向における断面である。pにおける主要な曲率は、主要な方向における曲率である。
【0295】
表面の領域:表面上の連結された点の集合。領域内のこの1組の点は、類似の特性(例えば、曲率または符号)を持ち得る。
【0296】
サドル領域:(上り坂または下り坂を歩行し得る架空の人が向く方向に応じて)各点において主要な曲率が反対の符号(すなわち、片方が正の符号および他方が負の符号)を有する領域。
【0297】
ドーム領域:各点において主要な曲率が同一符号(双方とも正(「凹状ドーム」)または双方とも負(「凸状ドーム」))を持つ領域。
【0298】
円筒型領域:1つの主要な曲率がゼロ(または、例えば製造公差内のゼロ)をとり、他方の主要な曲率が非ゼロである領域。
【0299】
平面領域:主要な曲率双方がゼロであるか(または例えば製造交差内のゼロである)表面の領域。
【0300】
表面の縁部:表面または領域の境界または限界。
【0301】
経路:本技術の特定の形態において、「経路」は、数学的-トポロジー的意味合いにおける経路(例えば、表面上におけるf(0)からf(1)への連続空間曲線)を意味するものとしてとられる。本技術の特定の形態において、「経路」は、例えば表面上の1組の点を含むルートまたはコースとして記述され得る。(架空の人の経路は、表面上において歩行する場所であり、庭の経路に類似する)。
【0302】
経路長さ:本技術の特定の形態において、「経路長さ」とは、表面に沿ったf(0)からf(1)への距離(すなわち、表面上の経路に沿った距離)を指すものとしてとられる。表面上の2つの点間において1つよりも多くの経路があり得、このような経路は、異なる経路長さを持ち得る。(架空の人の経路長さは、表面上を経路に沿って歩行する距離である)。
【0303】
直線距離:直線距離は、表面上の2つの点間の距離であるが、表面は考慮しない。平面領域上において、表面上の2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する表縁上の距離がある。非平面表面上において、2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する経路は存在し得ない。
【0304】
(架空の人にとって、直線距離は、「カラスが飛ぶ」距離に対応する)。
【0305】
5.4.6.3 空間曲線
空間曲線: 平面曲線と異なり、空間曲線は、任意の特定の平面内に必ずしも存在しない。空間曲線は、三次元空間の一次元ピースとみなされ得る。DNA螺旋の鎖上を歩行している架空の人物は、空間曲線に沿って歩行する。典型的なヒトの左耳は、左手螺旋を含む(
図3Pを参照)。典型的なヒトの右耳は、右手螺旋を含む(
図3Qを参照)。
【0306】
図3Rは、右手螺旋を示す。構造の縁部(例えば、膜または羽根車の縁部)は、空間曲線をたどり得る。一般的に、空間曲線は、空間曲線上の各点における曲率およびねじれによって記述され得る。ねじれとは、平面から発生する曲線の様態の尺度である。ねじれは、符号および大きさを有する。空間曲線上の点におけるねじれは、当該点における接線ベクトル、法線ベクトルおよび従法線ベクトルに対して特徴付けられ得る。
【0307】
接線単位ベクトル(または単位接線ベクトル):曲線上の各点について、当該点におけるベクトルは、当該点からの方向および大きさを指定する。接線単位ベクトルとは、当該点における曲線と同じ方向を向く単位ベクトルである。架空の人物が曲線に沿って飛行しており、特定の点において自身の車両から落ちた場合、接線ベクトルの方向は、その人物が移動しているはずの方向である。
【0308】
単位法線ベクトル:架空の人物が曲線に沿って移動している場合、この接線ベクトルそのものが変化する。接線ベクトルが変化している方向と同じ方向を向く単位ベクトルは、単位主法線ベクトルと呼ばれる。これは、接線ベクトルに対して垂直である。
【0309】
従法線単位ベクトル:従法線単位ベクトルは、接線ベクトルおよび主法線ベクトル双方に対して垂直である。その方向は、右手の法則(例えば
図3Oを参照)または表すあるいは左手の法則(
図3N)によって決定され得る。
【0310】
接触平面:単位接線ベクトルおよび単位主法線ベクトルを含む平面。
図3Nおよび
図3Oを参照されたい。
【0311】
空間曲線のねじれ:空間曲線の点におけるねじれとは、当該点における従法線単位ベクトルの変化速度の大きさである。これは、曲線の接触平面からの逸脱の程度を測定する。平面内にある空間曲線のねじれはゼロである。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的少量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的小さい(例えば、緩やかに傾斜する螺旋状経路)。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的大量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的大きい(例えば、急勾配に傾斜する螺旋状経路)。
図3Rを参照して、T2>T1であるため、
図3Rの螺旋の最上部コイルの近隣のねじれの大きさは、
図3Rの螺旋の最下部コイルのねじれの大きさよりも大きい。
【0312】
図3Oの右手の法則を参照して、右手従法線の方向に向かって曲がる空間曲線は、右手方向に正のねじれとしてみなされ得る(例えば、
図3Rに示すような右手螺旋)。右手従法線方向から離隔方向を向く空間曲線は、右手の負のねじれを持つものとしてみなされ得る(例えば、左手螺旋)。
【0313】
同様に、左手の法則(
図3Nを参照)を参照して、左手従法線方向を向く空間曲線は、左手の正のねじれ(例えば、左手螺旋)を持つものとしてみなされ得る。よって、左手の正の方向は、右手の負の方向に相当する。
図3Sを参照されたい。
【0314】
5.4.6.4 穴
表面は、一次元穴を持ち得る(例えば、平面曲線または空間曲線によって境界付けられた穴)。穴を含む肉薄構造(例えば、膜)の場合、この構造は、一次元穴を有するものとして記述され得る。例えば、
図3Iに示す構造の表面中の一次元穴が平面曲線301Dによって境界付けられる様子を参照されたい。
【0315】
構造は、二次元穴(例えば、表面によって境界付けられた穴)を持ち得る。例えば、可膨張性タイヤは、タイヤの内側の面によって境界付けられた二次元穴を有する。別の実施例において、空気またはゲルのための空洞を備えたブラダーは、二次元穴を持ち得る。例えば、
図3Lのクッションおよび
図3M中の内部を貫通する例示的断面を参照されたい。さらに別の実施例において、導管は、(例えばその入口またはその出口において)一次元穴を含み得、導管の内面によって境界付けられた二次元穴を含み得る。
【0316】
図3Kに示す構造を通じておりかつ図示のように表面302Dによって境界付けられた二次元穴も参照されたい。
【0317】
5.5 他の注意事項
本特許文書の開示の一部は、著作権保護が与えられる内容を含む。著作権所有者は、何者かが本特許文書または本特許開示をファックスにより再生しても、特許庁の特許ファイルまたは記録に記載されるものであれば目的のものであれば異論は無いが、その他の目的については全ての著作権を保持する。
【0318】
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値または介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
【0319】
さらに、本明細書中に値(単数または複数)が本技術の一部として具現される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的実行が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
【0320】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的方法および材料が本明細書中に記載される。
【0321】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。
【0322】
さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
【0323】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0324】
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/または材料の開示および記載、参考のために援用される。本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していない、認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
【0325】
「comprises」および「comprising」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の要素、構成要素またはステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在、利用または結合され得ることを示す。
【0326】
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
【0327】
本明細書中の技術について、特定の実施例を参照して述べてきたが、これらの実施例は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「first(第1の)」および「second(第2の)」(など)という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。
【0328】
当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその態様を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【0329】
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な実施例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置構成が考案され得ることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0330】
5.6 参照符号のリスト
番号 特徴アイテム
1000 患者
1100 同床者
3000 患者インターフェース
3100 シール形成構造
3200 プレナムチャンバ
3300 位置決めおよび安定化構造
3400 通気
3600 接続ポート
3700 前額支持部
4000 RPTデバイス
4170 空気回路
5000 加湿器
6000 患者インターフェース
6100 フレーム
6105 布地材料
6110 前側接合部
6115 側部
6130 上側ヘッドギアコネクタ
6150 下側ヘッドギアコネクタ
6155 磁気コネクタ
6160 ヘッドギアクリップ
6161 ヘッドギアクリップ
6162 磁石
6200 シール形成構造
6300 鼻クッション
6305 発泡体コンポーネント
6310 膜
6315 開口部
6330 ブリッジ部位
6400 口クッション
6405 発泡体コンポーネント
6500 プレナムチャンバ
6600 空気送達管
6800 ヘッドギア
6802 上側ストラップ
6804 下側ストラップ
6806 頭頂部ストラップ
6900 通気孔
7000 患者インターフェース
8000 患者インターフェース
9000 患者インターフェース