(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】生産設備運転支援システムおよび生産設備運転支援方法
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
G05B23/02 301J
G05B23/02 T
(21)【出願番号】P 2019051250
(22)【出願日】2019-03-19
【審査請求日】2021-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000153443
【氏名又は名称】株式会社 日立産業制御ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 隆司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩史
【審査官】山村 秀政
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-049801(JP,A)
【文献】特開2018-021402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産設備の運転支援を行う生産設備運転支援システムであって、
前記生産設備運転支援システムは、
生産設備からデータを収集するデータ収集手段と、
前記データに基づき運転操作を学習する運転操作学習手段と、
前記データと前記運転操作学習手段の学習結果に基づき運転操作を支援する運転操作支援手段と、
表示手段と、を備え、
前記運転操作学習手段は、
前記データに基づき、各計測項目の値、各操作項目の値、各操作項目の変化値が含まれる、過去の操作方法を学習するための運転操作実績情報を作成する運転操作実績情報作成手段と、
前記運転操作実績情報に基づき、操作項目と操作値の選択方法を別々に学習して各々の学習モデルを作成するニ段階学習手段と、
生産での目的値の予測方法を学習する目的値予測方法学習手段と、
前記学習モデルおよび前記目的値の予測方法に基づき選択された項目の結果を提示するための情報を生成し、前記表示手段に表示する学習結果表示手段とを有し、
前記運転操作支援手段は、
前記データに基づき現在の運転情報を作成するための現運転情報作成手段と、
前記現在の運転情報および前記ニ段階学習手段で作成された学習モデルに基づき操作項目案と操作値案を作成する運転操作案作成手段と、
前記目的値予測方法学習手段の予測方法に基づき該操作項目案と操作値案を適用した場合の目的値を予測して評価を行う運転操作案評価手段と、
前記操作項目案と前記操作値案を提示するための情報を作成し、推奨操作案を前記表示手段に表示する運転操作支援情報表示手段とを有し、
前記ニ段階学習手段は、第1段目として、前記運転操作実績情報に基づき、前記各計測項目の値、前記各操作項目の値、対象とする操作項目の操作有無が含まれる操作項目学習情報を作成し、操作項目の選択方法を学習して操作項目学習モデルを作成し、第2段目として、前記運転操作実績情報に基づき、前記各計測項目の値、前記各操作項目の値、前記対象とする操作項目の変化値が含まれる操作項目学習情報を作成し、前記対象とする操作項目の操作値の選択方法を学習して操作値学習モデルを作成する
ことを特徴とする生産設備運転支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の生産設備運転支援システムにおいて、
前記運転操作実績情報作成手段は、前記運転操作実績情報として、操作項目の変化値を算出する
ことを特徴とする生産設備運転支援システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の生産設備運転支援システムにおいて、
前記ニ段階学習手段は、操作項目の操作の有無と、該操作項目の操作値を学習する
ことを特徴とする生産設備運転支援システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の生産設備運転支援システムにおいて、
前記学習結果表示手段は、操作項目の一致度、操作項目の操作有無、操作値の一致度、操作値、目的値予測式の表示情報を生成し、前記表示手段に表示する
ことを特徴とする生産設備運転支援システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の生産設備運転支援システムにおいて、
前記運転操作支援情報表示手段は、操作推奨案として各操作項目の選択確率と操作有無と操作値、選択された操作項目の各操作値の選択確率、目的値の予測値とこれまでの実績値の表示情報を生成し、前記表示手段に表示する
ことを特徴とする生産設備運転支援システム。
【請求項6】
生産設備から収集するデータに基づき運転操作を学習する運転操作学習手段と、前記データと前記運転操作学習手段の学習結果に基づき運転操作を支援する運転操作支援手段と、表示手段とを備えるシステムに係る生産設備の運転支援を行う生産設備運転支援方法であって、
前記運転操作学習手段は、
前記データに基づき、各計測項目の値、各操作項目の値、各操作項目の変化値が含まれる、過去の操作方法を学習するための運転操作実績情報を作成する運転操作実績情報作成ステップと、
前記運転操作実績情報に基づき、操作項目と操作値の選択方法を別々に学習して各々の学習モデルを作成するニ段階学習ステップと、
生産での目的値の予測方法を学習する目的値予測方法学習ステップと、
前記学習モデルおよび前記目的値の予測方法に基づき選択された項目の結果を提示するための情報を生成し、前記表示手段に表示する学習結果表示ステップと、を含み実行し、
前記運転操作支援手段は、
前記データに基づき現在の運転情報を作成するための現運転情報作成ステップと、
前記現在の運転情報および前記ニ段階学習ステップで作成された学習モデルに基づき操作項目案と操作値案を作成する運転操作案作成ステップと、
前記目的値予測方法学習ステップの予測方法に基づき該操作項目案と操作値案を適用した場合の目的値を予測して評価を行う運転操作案評価ステップと、
前記操作項目案と前記操作値案を提示するための情報を作成し、推奨操作案を前記表示手段に表示する運転操作支援情報表示手段ステップと、を含み実行
し、
前記ニ段階学習ステップは、第1段目として、前記運転操作実績情報に基づき、前記各計測項目の値、前記各操作項目の値、対象とする操作項目の操作有無が含まれる操作項目学習情報を作成し、操作項目の選択方法を学習して操作項目学習モデルを作成し、第2段目として、前記運転操作実績情報に基づき、前記各計測項目の値、前記各操作項目の値、前記対象とする操作項目の変化値が含まれる操作項目学習情報を作成し、前記対象とする操作項目の操作値の選択方法を学習して操作値学習モデルを作成する
ことを特徴とする生産設備運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生産設備などの運転支援を行う生産設備運転支援システムおよび生産設備運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生産設備の運転において、生産品の品質確保、コスト低減、生産効率向上などの運転の最適化と、熟練者に依存した運転から非熟練者でも同等の運転ができるようにすることが同時に望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1では、プラントの計測データに基づいた説明変数から目的変数を予測するモデルを作成し、説明変数間で無相関な座標の成分に変換し、目的変数を最適化する説明変数を求め、該説明変数値を最適な運転条件とする運転条件最適化を行っている。
【0004】
特許文献2では、プラントの特性を模擬するモデルの入力を複数のグループに分割し、グループ毎の操作方法を複数の学習手段に学習させることで学習を高速化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-74007号公報
【文献】特開2009-110256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記したように、生産設備の運転において、生産品の品質確保、コスト低減、生産効率向上などの運転の最適化と、熟練者に依存した運転から非熟練者でも同等の運転ができるようにすることが同時に望まれている。
【0007】
特許文献1では、説明変数間で無相関な座標の成分に変換し、目的変数を最適化する説明変数を求めているが、生産工程の上流側の操作が下流側に影響及ぼす場合、また、下流側で例えば圧力を上げると上流側にも影響が及ぶ場合などでは、説明変数間で無相関な座標の成分に変換した場合に、目的変数を説明する精度が下がるという課題がある。
【0008】
特許文献2では、計測信号ごとのモデル、操作信号ごとのモデルを複数のグループに分割することで学習を高速化しているが、例えば操作項目の数をN個、操作値をM個の離散値とした場合、N×M個の解空間を対象に学習と操作信号(操作項目と操作値)を算出するため時間がかかるという課題がある。また、その学習結果に基づく操作信号(操作項目と操作値)の精度は、学習のための報酬を生成するプラントのモデル精度に依存するが、複雑なプラント挙動の高精度なモデル構築自体が難しいという課題がある。また、学習自体が持っている誤差とプラントのモデル自体が持っている誤差があるため、誤差があるプラントのモデルの出力を報酬として学習した場合に誤差が増幅される可能性があるという課題がある。
【0009】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、複雑な生産設備、プラントの運転方法の複雑性を低減することでモデル精度の低下を防ぎ、運転操作支援案を支援することができる生産設備運転支援システムおよび生産設備運転支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明の生産設備運転支援システムは、生産設備の運転支援を行う生産設備運転支援システムであって、生産設備運転支援システムは、生産設備からデータを収集するデータ収集手段と、データに基づき運転操作を学習する運転操作学習手段と、データと運転操作学習手段の学習結果に基づき運転操作を支援する運転操作支援手段と、表示手段と、を備え、運転操作学習手段は、データに基づき、各計測項目の値、各操作項目の値、各操作項目の変化値が含まれる、過去の操作方法を学習するための運転操作実績情報(例えば、運転操作情報72)を作成する運転操作実績情報作成手段と、運転操作実績情報に基づき、操作項目と操作値の選択方法を別々に学習して各々の学習モデル(例えば、操作項目学習モデルM1、操作値学習モデルM2)を作成するニ段階学習手段と、生産での目的値の予測方法を学習する目的値予測方法学習手段と、学習モデルおよび目的値の予測方法に基づき選択された項目の結果を提示するための情報を生成し、表示手段に表示する学習結果表示手段とを有し、運転操作支援手段は、データに基づき現在の運転情報を作成するための現運転情報作成手段と、現在の運転情報およびニ段階学習手段で作成された学習モデルに基づき操作項目案と操作値案を作成する運転操作案作成手段と、目的値予測方法学習手段の予測方法に基づき該操作項目案と操作値案を適用した場合の目的値を予測して評価を行う運転操作案評価手段と、操作項目案と操作値案を提示するための情報を作成し、推奨操作案を表示手段に表示する運転操作支援情報表示手段とを有し、ニ段階学習手段は、第1段目として、運転操作実績情報に基づき、各計測項目の値、各操作項目の値、対象とする操作項目の操作有無が含まれる操作項目学習情報を作成し、操作項目の選択方法を学習して操作項目学習モデルを作成し、第2段目として、運転操作実績情報に基づき、各計測項目の値、各操作項目の値、対象とする操作項目の変化値が含まれる操作項目学習情報を作成し、対象とする操作項目の操作値の選択方法を学習して操作値学習モデルを作成することを特徴とする。本発明のその他の態様については、後記する実施形態において説明する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複雑な生産設備、プラントの運転方法の複雑性を低減することでモデル精度の低下を防ぎ、運転操作支援案を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る生産設備運転支援システムを示すブロック図である。
【
図2】データ収集手段の処理を示すフローチャートである。
【
図3】データ収集手段により収集され格納される生産設備情報の例を示す図である。
【
図7】運転操作実績情報作成手段の処理を示すフローチャートである。
【
図8】運転操作情報作成処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図9】操作項目および操作値学習情報作成処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図10】ニ段階学習手段の処理を示すフローチャートである。
【
図11】操作項目の学習処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図12】操作値の学習処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図13】目的値予測方法学習手段の処理を示すフローチャートである。
【
図14】学習結果表示手段の処理を示すフローチャートである。
【
図16】現運転情報作成手段の処理を示すフローチャートである。
【
図18】運転操作案作成手段の処理を示すフローチャートである。
【
図19】複数の運転操作案の作成処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図20】操作項目案の作成処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図21】操作値案の作成処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図23】運転操作案評価手段の処理を示すフローチャートである。
【
図24】運転操作案評価用データの例を示す図である。
【
図25】運転操作支援情報表示手段の処理を示すフローチャートである。
【
図26】運転操作支援情報表示画面の例を示す図である。
【
図27】生産設備情報格納データの具体例を示す図である。
【
図29】操作項目学習情報の具体例を示す図である。
【
図31】学習結果表示画面の具体例を示す図である。
【
図34】運転操作案評価用データの具体例を示す図である。
【
図35】運転操作支援情報表示画面の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
<<実施形態1>>
図1は、実施形態に係る生産設備運転支援システム100を示すブロック図である。生産設備運転支援システム100は、生産設備の運転支援を行う生産設備運転支援システムである。生産設備運転支援システム100は、生産設備運転支援手段3を制御する制御手段2と、表示手段4とを備える。生産設備運転支援手段3は、生産設備からデータを収集するデータ収集手段6と、データに基づき運転操作を学習する運転操作学習手段5と、データと運転操作学習手段5の学習結果に基づき運転操作を支援する運転操作支援手段8と、データベース7とを有する。運転操作学習手段5は、運転操作実績情報作成手段10と、ニ段階学習手段11と、目的値予測方法学習手段12と、学習結果表示手段13とを有する。運転操作支援手段8は、現運転情報作成手段20と、運転操作案作成手段21と、運転操作案評価手段22と、運転操作支援情報表示手段23とを有する。以下、各手段について、詳細に説明する。
【0014】
生産設備1は、本発明の対象となる生産設備、プラント、設備機器などである。制御手段2は、生産設備運転支援手段3の動作を制御する。データ収集手段6は、生産設備1から計測項目の値、熟練者が運転した場合の操作項目の値を入手し、データベース7に格納する。
【0015】
運転操作学習手段5は、データベース7に格納されたデータを用いて、過去の熟練者の運転操作方法を学習するための運転操作実績情報を作成する運転操作実績情報作成手段10、操作項目と操作値の選択方法を別々に学習するニ段階学習手段11、生産品の品質確保、コスト低減、生産効率向上などの目的となる目的値の予測方法を学習する目的値予測方法学習手段12、学習モデルおよび学習モデルを実績データに当てはめた場合の結果を提示するための情報を生成する学習結果表示手段13により、過去の熟練者の操作方法を学習し、表示手段4に学習結果を提示可能とする。
【0016】
運転操作支援手段8は、データベース7に蓄積されたデータおよび学習モデルを用いて、現在の運転情報を作成するための現運転情報作成手段20、操作項目案と操作値案を作成する運転操作案作成手段21、該操作項目案と操作値案を適用した場合の目的値を予測して評価を行う運転操作案評価手段22により、現在の運転情報において最適な予測となる操作項目案と操作値案を生成し、運転操作支援情報表示手段23により操作項目案と操作値案や目的値の予測値などの表示情報を生成し、表示手段4に該操作項目案と操作値案を提示可能とする。
【0017】
ここで計測項目は、例えばある設備の電流、電圧、温度、流量など、操作項目は原材料の投入量、圧力、温度、通過速度、処理時間などである。
【0018】
以下、各手段の処理について説明する。
図2は、データ収集手段6の処理(ステップS100)を示すフローチャートである。データ収集手段6は、制御手段2の指示により処理を開始し(ステップS101)、生産設備1からデータ収集処理(ステップS102)を行い、データベース7に格納処理(ステップS103)を行う。ステップS104でデータ収集処理が終了かの判定を行い、処理終了でなければ(ステップS104,No)、ステップS102に戻り、処理終了ならば(ステップS104,Yes)、データ収集処理を終了する(ステップS105)。
【0019】
図3は、データ収集手段6により収集され格納される生産設備情報71の例を示す図である。生産設備情報71は、年月日時刻、計測項目1の値、・・・、計測項目Nの値、操作項目1の値、・・・、操作項目Mの値、目的値が含まれる。
【0020】
運転操作学習手段5の処理を
図4から
図15を参照して説明する。
運転操作実績情報作成手段10は、運転操作実績情報として、運転操作情報72(
図4参照)、操作項目学習情報73(
図5参照)、操作値学習情報74(
図6参照)を作成する(
図7参照)。
【0021】
図4は、運転操作情報72の例を示す図である。運転操作情報72は、No,、計測項目1の値、・・・、計測項目Nの値、操作項目1の値、・・・、操作項目Mの値、操作項目1の変化値、・・・、操作項目Mの変化値が含まれる。
【0022】
図5は、操作項目学習情報73,731の例を示す図である。操作項目学習情報731は、No.、計測項目1の値、・・・、計測項目Nの値、操作項目1の値、・・・、操作項目Mの値、操作項目1の操作有無が含まれる。同様に、操作項目学習情報73Mは、No.、計測項目1の値、・・・、計測項目Nの値、操作項目1の値、・・・、操作項目Mの値、操作項目Mの操作有無が含まれる。
【0023】
図6は、操作値学習情報74の例を示す図である。操作項目学習情報741は、No.、計測項目1の値、・・・、計測項目Nの値、操作項目1の値、・・・、操作項目Mの値、操作項目1の変化値が含まれる。同様に、操作項目学習情報74Mは、No.、計測項目1の値、・・・、計測項目Nの値、操作項目1の値、・・・、操作項目Mの値、操作項目Mの変化値が含まれる。
【0024】
図7は、運転操作実績情報作成手段10の処理(ステップS200)を示すフローチャートである。処理を開始し(ステップS201)、運転操作情報作成処理(ステップS202、
図8参照)を行い、操作項目および操作値学習情報作成処理(ステップS203、
図9参照)を行い、処理を終了する(ステップS204)。
【0025】
図8は、運転操作情報作成処理(ステップS202)の詳細を示すフローチャートである。処理を開始し(ステップS301)、
図3に示す生産設備情報71を入力し(ステップS302)、生産設備情報71の番号を示すiを1に設定しLを予め定められた生産設備情報の総数に設定し(ステップS303)、iがL以上か否かを判定し(ステップS304)、否であれば(ステップS304,No)、i+1番目の目的値を除く生産設備情報とi番目とi+1番目の操作項目の値の差を運転操作情報に追加し(ステップS305)、iにi+1を代入し(ステップS306)、ステップS304に戻る。ステップS304でiがL以上であれば(ステップS304,Yes)、処理を終了する(ステップS307)。運転操作情報作成処理(ステップS202)により作成される運転操作情報72の例を前記した
図4に示している。
【0026】
図9は、操作項目および操作値学習情報作成処理(ステップS203)の詳細を示すフローチャートである。処理を開始し(ステップS401)、運転操作情報72を入力し(ステップS402)、操作項目の番号を示すjを1に設定し、Mを予め定められた操作項目の総数に設定し(ステップS403)、jがMより大きいか否かを判定し(ステップS404)、否であれば(ステップS404,No)、運転操作情報72の番号を示すiを1に設定しKを予め定められた運転操作情報72の総数に設定し(ステップS405)、iがKより大きいか否かを判定し(ステップS406)、否であれば(ステップS406,No)、i番目の計測項目の値と操作項目の値と、操作項目jの変化値が0であれば操作は無を、変化値が0で無ければ操作は有を操作項目jの学習情報に追加する(ステップS407)。j番目の操作項目の操作の有無を判定し(ステップS408)、有であれば(ステップS408,Yes)、i番目の計測項目の値と操作項目の値と、操作項目jの操作値である変化値を操作値学習情報に追加し(ステップS409)、iにi+1を代入し(ステップS410)、ステップS406に戻る。
【0027】
ステップS408で無であれば(ステップS408,No)、ステップS410に進む。ステップS406でiがK以上であれば(ステップS406,Yes)、jにj+1を代入し(ステップS411)、ステップS404に戻る。ステップS404でjがMより大きい場合には(ステップS404,Yes)、処理を終了する(ステップS412)。操作項目および操作値学習情報作成処理(ステップS203)により作成される操作項目学習情報73と操作値学習情報74の例を前記した
図5、
図6に示している。
【0028】
図10は、ニ段階学習手段11の処理(ステップS500)を示すフローチャートである。処理を開始し(ステップS501)、操作項目の学習処理(ステップS502,
図11参照)を行い、操作値の学習処理(ステップS503,
図12参照)を行い、処理を終了する(ステップS504)。
【0029】
図11は、操作項目の学習処理(ステップS502)の詳細を示すフローチャートである。処理を開始し(ステップS601)、操作項目学習情報73を入力し(ステップS602)、操作項目番号を1に設定し(ステップS603)、操作項目番号の操作項目学習情報73の操作有無に基づいて機械学習を実施する(ステップS604)。
【0030】
該機械学習は、計測項目1から計測項目Nの値と操作項目1から操作項目Mの値を説明変数とし、操作項目番号の操作の有無を目的変数とした重回帰式を求めるが、重回帰式に限定するものではなく、該説明変数の値を入力値、該目的変数値を出力値として公知の勾配ブースティング法やニューラルネットなど他の機械学習を用いても良い。該機械学習の結果を「操作項目学習モデルM1」と呼ぶ。
【0031】
ステップS605で操作項目番号に1を加算し、全ての操作項目番号の学習を終了したか否かを判定し(ステップS606)、否であれば(ステップS606,No)、ステップS604に戻る。ステップS606で全ての操作項目番号の学習を終了していれば(ステップS606,Yes)、処理を終了する(ステップS607)。
【0032】
図12は、操作値の学習処理(ステップS503)の詳細を示すフローチャートである。処理を開始し(ステップS701)、操作値学習情報を入力し(ステップS702)、操作項目番号を1に設定し(ステップS703)、操作項目番号の操作値学習情報74の操作値に基づいて機械学習を実施する(ステップS704)。ここで操作値は連続値でも良いが操作項目ごとに複数の離散値として扱うことにより処理の高速化が可能となる。
【0033】
該機械学習は、操作項目の学習処理(ステップS502)と同様に、重回帰式、勾配ブースティング法やニューラルネットなどの機械学習方法で実施する。該機械学習の結果を「操作値学習モデルM2」と呼ぶ。
【0034】
ステップS705で操作項目番号に1を加算し、全ての操作項目番号の学習を終了したか否かを判定し(ステップS706)、否であれば(ステップS706,No)、ステップS704に戻る。ステップS706で全ての操作項目番号の学習を終了していれば(ステップS706,Yes)、処理を終了する(ステップS707)。
【0035】
図13は、目的値予測方法学習手段12の処理(ステップS800)を示すフローチャートである。処理を開始し(ステップS801)、生産設備情報を入力し(ステップS802)、目的変数を目的値、説明変数を計測項目の値と操作項目の値として機械学習(ステップS803)を行い、処理を終了する(ステップS804)。
【0036】
該機械学習も同様に、重回帰式、勾配ブースティング法やニューラルネットなどの機械学習方法で実施する。該機械学習の結果を「目的値予測学習モデルM3」と呼ぶ。
【0037】
図14は、学習結果表示手段13の処理(ステップS900)を示すフローチャートである。処理を開始し(ステップS901)、本生産設備運転支援システムのユーザーが学習結果の表示を選択したか否かを判定し(ステップS902)、選択した場合は(ステップS902,Yes)、操作項目一致度、操作値一致度、目的値予測式とその相関係数を表示し(ステップS903)、生産設備情報の一つかつ操作項目の一つを選択したか否かを判定し(ステップS904)、選択した場合は(ステップS904,Yes)、該生産設備情報における操作項目の操作項目名と実績と学習結果を表示し(ステップS905)、操作項目の操作値の実績と学習結果を表示し(ステップS906)、処理を終了する(ステップS907)。
【0038】
ステップS902で選択しない場合は(ステップS902,No)、処理を終了する(ステップS907)。また、ステップS904で選択しない場合は(ステップS904,No)、処理を終了する(ステップS907)。
【0039】
図15は、学習結果表示画面の例を示す図である。
図15は、学習結果表示手段13により表示手段4に表示する画面の例を示している。
図15の画面15には、学習か運転かを選択するボタン151,152があり、生産設備運転支援システム100のユーザが選択する。また、生産設備情報選択のプルダウンボタン153で生産設備情報の内の一つを、同様に操作項目選択のプルダウンボタン154で操作項目の内の一つをユーザが選択する。画面15には、選択した操作項目の一致度155、操作項目に対する学習結果情報156、操作項目の操作値の一致度157、操作値の学習結果情報158、目的値予測式関連情報159が含まれる。目的値予測式は機械学習方法として、重回帰式を使用した場合の例を示している。
【0040】
次に、運転操作支援手段8の処理を
図16から
図26を参照して説明する。制御手段2の指示により運転操作支援手段8の処理を開始する。
【0041】
図16は、現運転情報作成手段20の処理(ステップS1000)を示すフローチャートである。処理を開始し(ステップS1001)、現時点の生産設備情報71を入力し(ステップS1002)、計測項目と操作項目の値のデータを現運転情報76とし(ステップS1003)、処理を終了する(ステップS1004)。
【0042】
図17は、現運転情報76の例を示す図である。現運転情報76は、計測項目1の値、・・・、計測項目Nの値、操作項目1の値、・・・、操作項目Mの値が含まれる。
【0043】
図18は、運転操作案作成手段21の処理(ステップS1100)を示すフローチャートである。処理を開始し(ステップS1101)、現運転情報を入力し(ステップS1102)、現運転情報を「操作項目学習モデルM1」に入力し、操作項目の選択確率を算出する(ステップS1103)。該選択確率は、現運転情報をニ段階学習手段11で作成した「操作項目学習モデルM1」に入力して得られる結果である0から1の値を選択確率とする。
【0044】
次に現運転情報をニ段階学習手段11で作成した「操作値学習モデルM2」に入力し、操作項目の操作値の選択確率を算出する(ステップS1104)。該選択確率は、離散値とした各操作値が選ばれる場合を1、選ばれない場合0として、現運転情報を「操作値学習モデルM2」に入力して得られる結果である0から1の値を選択確率とする。次に複数の運転操作案の作成処理(ステップS1105、
図19参照)を行い、処理を終了する(ステップS1106)。
【0045】
図19は、複数の運転操作案の作成処理(ステップS1105)の詳細を示すフローチャートである。処理を開始し(ステップS1201)、運転操作案の番号を示すiを1に設定し予め定められ運転操作案の総数をPに設定し(ステップS1202)、iがPより大きいか否かを判定し(ステップS1203)、否であれば(ステップS1203,No)、操作項目案の作成処理(ステップS1204、
図20参照)を行い、操作値案の作成処理(ステップS1205、
図21参照)を行い、i番目の運転操作案を追加格納し(ステップS1206)、iにi+1を代入し(ステップS1207)、ステップS1203に戻る。ステップS1203でiがPより大きい場合には(ステップS1203,Yes)、処理を終了する(ステップS1208)。
【0046】
図20は、操作項目案の作成処理(ステップS1204)の詳細を示すフローチャートである。処理を開始し(ステップS1301)、操作項目の番号を示すjを1に設定し、Mを操作項目の総数に設定し(ステップS1302)、jがMより大きいか否かを判定し(ステップS1303)、否であれば(ステップS1303,No)、0から1の間の乱数を発生し該乱数の値をrに代入し(ステップS1304)、j 番目の操作項目の選択確率がr以上であるか否かを判定し(ステップS1305)、r以上である場合には(ステップS1305,Yes)、j番目の操作項目を選択し(ステップS1306)、jにj+1を代入し(ステップS1307)、ステップS1303に戻る。ステップS1305でj番目の操作項目の選択確率がr未満の場合には(ステップS1305,No)、ステップS1307に進む。ステップS1303でjがMより大きい場合には(ステップS1303,Yes)、終了する(ステップS1308)。
【0047】
図21は、操作値案の作成処理(ステップS1205)の詳細を示すフローチャートである。処理を開始し(ステップS1401)、操作項目の番号を示すjを1に設定しMを操作項目の総数に設定し(ステップS1402)、jがMより大きいか否かを判定し(ステップS1403)、否であれば(ステップS1403,No)、j番目の操作項目は選択されているか否かを判定し(ステップS1404)、選択されている場合は(ステップS1404,Yes)、j番目の操作項目の操作値の選択肢の総数と、該操作値の選択確率から公知のルーレット選択により一つの操作値を選び(ステップS1405)、jにj+1を代入し(ステップS1406)、ステップS1403に戻る。ステップS1404で選択されていない場合は((ステップS1404,No)、ステップS1406に進む。ステップS1403でjがMより大きい場合には(ステップS1403,Yes)、処理を終了する(ステップS1407)。
【0048】
図22は、運転操作案77の例を示す図である。
図22には
図19で示した複数の運転操作案の作成処理(ステップS1105)で作成されたP個の運転操作案77を示す。運転操作案77には、No.、計測項目1の値、・・・、計測項目Nの値、操作項目1の値、・・・、操作項目Mの値が含まれる。
【0049】
図23は、運転操作案評価手段22の処理(ステップS1500)を示すフローチャートである。処理を開始し(ステップS1501)、運転操作案の番号を示すiに1を設定し運転操作案の総数をPに設定し(ステップS1502)、iがPより大きいか否かを判定し(ステップS1503)、否であれば(ステップS1503,No)、i番目の運転操作案の情報を「目的値予測学習モデルM3」に入力して予測目的値を算出し(ステップS1504)、i番目の予測目的値を運転操作案評価用データに追記し(ステップS1505)、iにi+1を代入し(ステップS1506)、ステップS1503に戻る。ステップS1503でiがPより大きい場合には(ステップS1503,Yes)、運転操作案の内で運転目的に最も合う案(推奨操作案)を選択し(ステップS1507)、処理を終了する(ステップS1508)。
【0050】
ここで、運転操作案の内で運転目的に最も合う案は、例えば、運転目的がコスト低減であれば、目的値はコストになり、予測目的値の内で最も小さい値の操作案を運転目的に最も合う案として選択する。
【0051】
図24は、運転操作案評価用データ78の例を示す図である。運転操作案評価用データ78は、ステップS1505で追記してできた運転操作案評価用データである。運転操作案評価用データ78には、No.、計測項目1の値、・・・、計測項目Nの値、操作項目1の値、・・・、操作項目Mの値、予測目標値が含まれる。
【0052】
図25は、運転操作支援情報表示手段23の処理(ステップS1600)を示すフローチャートである。処理を開始し(ステップS1601)、本生産設備運転支援システム100のユーザが運転操作案の表示を選択したか否かを判定し(ステップS1602)、運転操作案の表示を選択した場合には(ステップS1602,Yes)、推奨操作案を表示し(ステップS1603)、目的値の実績と予測値を表示し(ステップS1604)、処理を終了する(ステップS1605)。ステップS1602で運転操作案の表示を選択しなかった場合は(ステップS1602,No)、処理を終了する(ステップS1605)。
【0053】
図26は、運転操作支援情報表示画面の例を示す図である。
図26は、運転操作支援情報表示手段23により表示手段4に表示される画面26の例を示している。画面26には、学習か運転かを選択するボタン261,262があり、生産設備運転支援システム100のユーザが選択する。また、操作項目選択のプルダウンボタン264で操作項目の内の一つをユーザが選択する。画面26には、操作推奨案265、目的値の予測値266、目的値の予測値に至る経時変化
図167が含まれる。ステップS1603の推奨操作案265として、各操作項目の選択確率と操作有無と操作値、選択された操作項目の各操作値の選択確率がある。目的値の予測値266は、該操作推奨案を適用した場合の目的値の予測値である。経時変化
図167には、目的値の時系列の実績の変遷を表示するが、これらに限定する必要はない。なお、本実施形態では、表示手段4のモニターに表示しているが、音声やメールなどで操作推奨案を操作者や責任者に連絡することも好ましい。
【0054】
<<実施形態2>>
実施形態1の生産設備運転支援システム100での処理を、
図27に示す具体的なデータを用いて、さらに詳細に説明する。実施形態1と重複する部分は説明を省略する。
【0055】
<運転操作学習手段5>
図27は、生産設備情報71Aの格納データの具体例を示す図である。
図27は、データ収集手段6により収集され格納される生産設備情報71Aの例を示す。生産設備情報71Aは、年月日時刻、計測項目1の電流の値、計測項目2のリップル電圧の値、操作項目1の圧力の値、操作項目2の温度の値、目的値の圧縮強度が含まれる。
【0056】
図7に示した運転操作実績情報作成手段10の処理を開始し(ステップS201)、運転操作情報作成処理(ステップS202、
図8参照)を行い、操作項目および操作値学習情報作成処理(ステップS203、
図9参照)を行い、処理を終了する(ステップS204)。
【0057】
図8の運転操作情報作成処理(ステップS202)において、
図27に示す生産設備情報71Aを入力し(ステップS302)、運転操作情報72A(
図28参照)が作成される。
【0058】
図28は、運転操作情報72Aの具体例を示す図である。
図28には運転操作情報作成処理(ステップS202)により作成される運転操作情報27Aの例を示している。例えば、
図27の行271である年月日時刻が2019年1月20日9時30分(2019.1.20.09.30)と行272である年月日時刻が2019年1月20日9時40分(2019.1.20.09.40)を参照して、生産設備情報の操作項目である圧力と温度の値の差を求めると各々の差は0である。このため、
図28のNo.1の行(2019年1月20日9時40分(2019.1.20.09.40))は、電流の値が51、リップル電圧の値が2、圧力の値が75、温度の値が60、圧力の変化値が0、温度の変化値が0となる。
【0059】
次に、
図27の行272と行273の生産設備情報の操作項目である圧力と温度の値の差を求めると、圧力の値の差は-5、温度の値の差は0である。このため、
図28のNo.2の行は、電流の値が50、リップル電圧の値が2、圧力の値が70、温度の値が60、圧力の変化値が-5、温度の変化値が0となる。以降も同様であり、
図27の行276と行277の生産設備情報の操作項目である圧力と温度の値の差を求めると、圧力の値の差は0、温度の値の差は5である。このため、
図28のNo.6の行は、電流の値が49、リップル電圧の値が3、圧力の値が65、温度の値が65、圧力の変化値が0、温度の変化値は5となる。以上、運転操作情報作成手段10の運転操作情報作成処理(ステップS202)により、
図28に示す運転操作情報72Aが作成される。
【0060】
図9の操作項目および操作値学習情報作成処理(ステップS203)において、
図28に示す運転操作情報72Aを入力し(ステップS402)、操作項目学習情報73A(
図29参照)、操作値学習情報74A(
図30参照)が作成される。
【0061】
図29は、操作項目学習情報73Aの具体例を示す図である。
図29には、操作項目および操作値学習情報作成処理(ステップS203)により作成される操作項目学習情報73Aの例を示している。適宜
図9を参照する。
【0062】
ステップS407で、例えば、iが1、jが1の場合は、
図28のNo.1の計測項目の値として電流の値が51、リップル電圧の値が2、操作項目の値として圧力の値が75、温度の値が60、操作項目1の圧力の変化値が0である。このため、
図29(1)のNo.1の行の操作項目1の圧力の操作の有無が、「無」となる。
【0063】
ステップS407で、iが2、jが1の場合は、
図28のNo.2の計測項目の値として電流の値が50、リップル電圧の値が2、操作項目の値として圧力の値が70、温度の値が60、操作項目1の圧力の変化値が-5である。このため、
図29(1)のNo.2の行の操作項目1の圧力の操作の有無が、「有」となる。
【0064】
ステップS407で、iが1、jが2の場合は、
図28のNo.1の計測項目の値として電流の値が51、リップル電圧の値が2、操作項目の値として圧力の値が75、温度の値が60、操作項目2の温度の変化値が0である。このため、
図29(2)のNo.1の行操作項目2の圧力の操作の有無が、「無」となる。
の値となる。
【0065】
ステップS407で、iが6、jが2の場合は、
図28のNo.6の計測項目の値として電流の値が49、リップル電圧の値が3、操作項目の値として圧力の値が65、温度の値が60、操作項目2の温度の変化値が5である。このため、
図29(2)のNo.6の行の操作項目2の圧力の操作の有無が、「有」となる。
【0066】
図30は、操作値学習情報74Aの具体例を示す図である。
図30には、操作項目および操作値学習情報作成処理(ステップS203)により作成される操作値学習情報74Aの例を示している。適宜
図9を参照する。
【0067】
ステップS408で、iが2、jが1の場合は、1番目の操作項目である圧力の操作の有無を、
図29(1)のNo.1の行から判定すると、有であるためステップS409に進み、ステップS409では
図29(1)No.2の電流の値が50、リップル電圧の値が2、圧力の値が70、温度の値が60と
図28のNo.2の圧力の変化値の-5を、
図30(1)のNo.1の行の値として追加する。
【0068】
ステップS408で、iが6、jが2の場合は、2番目の操作項目である温度の操作の有無を、
図29(2)のNo.6の行から判定すると、有であるためステップS409に進み、ステップS409では
図29(2)No.6の電流の値が49、リップル電圧の値が3、圧力の値が65、温度の値が65と
図28のNo.6の温度の変化値の5を、
図30(2)のNo.1の行の値として追加する。
【0069】
以上説明したように、
図29と
図30は、操作項目および操作値学習情報作成処理(ステップS203)により作成される操作項目学習情報と操作値学習情報の具体例である。
【0070】
次に、
図10に示したニ段階学習手段11の処理に進む。ニ段階学習手段11の1段階目の操作項目の学習処理(ステップS502、
図11参照)について説明する。
【0071】
図29(1)に示す操作項目1の学習情報の例では、計測項目1の電流の値、計測項目2のリップル電圧の値、操作項目1の圧力の値、操作項目2の温度の値を説明変数とし、操作項目1の圧力の操作の有無を目的変数として学習を行う。学習を行う際に、目的変数の操作が有の場合は数値の1を、操作が無の場合は数値の0として学習を行うが、これに限定するものではない。
【0072】
図29(2)に示す操作項目2の学習情報の例も同様に、計測項目1の電流の値、計測項目2のリップル電圧の値、操作項目1の圧力の値、操作項目2の温度の値を説明変数とし、操作項目2の圧力の温度の有無を目的変数として学習を行う。
【0073】
この学習結果である「操作項目学習モデルM1」として、操作項目が圧力の学習モデルである「操作項目圧力学習モデル」と、操作項目が温度の学習モデルである「操作項目温度学習モデル」ができる。
【0074】
ニ段階学習手段11の2段階目の操作値の学習処理(ステップS503、
図12参照)について説明する。
【0075】
図30(1)に示す操作項目1の操作値の学習情報の例では、計測項目1の電流の値、計測項目2のリップル電圧の値、操作項目1の圧力の値、操作項目2の温度の値を説明変数とし、操作項目1の圧力の変化値を目的変数として学習を行う。
【0076】
図30(2)に示す操作項目2の操作値の学習情報では計測項目1の電流の値、計測項目2のリップル電圧の値、操作項目1の圧力の値、操作項目2の温度の値を説明変数とし、操作項目2の温度の変化値を目的変数として学習を行う。
【0077】
この学習結果である「操作値学習モデルM2」として、操作項目が圧力の操作値の学習モデルである「操作項目圧力操作値学習モデル」と、操作項目が温度の操作値の学習モデルである「操作項目温度操作値学習モデル」ができる。
【0078】
次に、
図13に示した目的値予測方法学習手段12の処理に進む。
図13において、ステップS802は例えば
図27に示す生産設備情報を入力し、ステップS803は目的変数を目的値である圧縮強度、説明変数を計測項目1の電流の値、計測項目2のリップル電圧の値、操作項目1の圧力の値、操作項目2の温度の値として機械学習を行う。
図27に示す生産設備情報を用いて重回帰式を求めると、例えば、Yを目的変数の圧縮強度として(1)式のような「目的値予測学習モデルM3」が得られる。
【0079】
【0080】
次に、
図14で示した学習結果表示手段13の処理に進む。適宜
図31を参照する。
操作項目一致度155は、例えば、生産設備情報の総数L個中のi番目の生産設備情報において、操作項目が操作項目1から操作項目2までの2個の場合は、操作項目の操作有無が、2個中のMi個が一致しているならば、操作項目一致度155は、i=1~Lについて、Σ(Mi/2)/Lと算出するが、これに限定するものではない。
【0081】
操作値一致度157は、生産設備情報の総数L個中のi番目の生産設備情報において、操作項目の個数が2個、操作値が完全一致している個数がQi個の場合に、操作値一致度157は、i=1~Lについて、Σ(Qi/2)/Lと算出するが、これに限定するものではなく、例えば、完全一致ではなく、予め定められた許容量の範囲での一致度としても良い。
【0082】
図31は、学習結果表示画面の具体例を示す図である。
図31は学習結果表示手段13により表示手段4に表示する画面15Aの例を示している。
図31には生産設備情報選択のプルダウンボタン153で生産設備情報の内の一つを、同様に操作項目選択のプルダウンボタン154で操作項目の内の一つである圧力を選択した例である。目的値予測式は機械学習方法として重回帰式を使用した場合の例を示している。
【0083】
図31では、操作項目が圧力の場合であり、操作項目一致度155は、85%である。
また、操作値一致度157は、80%である。目的値予測式関連情報159として、前記(1)式が表示され、相関係数が0.87となっている。
【0084】
<運転操作支援手段8>
図32は、現運転情報76Aの具体例を示す図である。現運転情報76Aは、計測項目1の電流の値、計測項目2のリップル電圧の値、操作項目1の圧力の値、操作項目2の温度の値が含まれる。
【0085】
図16に示した現運転情報作成手段20の処理を開始し(ステップS1001)、現時点の生産設備情報71Aを入力し(ステップS1002)、計測項目と操作項目の値のデータを現運転情報76Aとし(ステップS1003)、処理を終了する(ステップS1004)。
【0086】
図18に示した運転操作案作成手段21の処理中、ステップS1103において、「操作項目学習モデルM1」は、具体例として前記の「操作項目圧力学習モデル」と「操作項目温度学習モデル」を用いる。また、ステップS1104において、「操作値学習モデルM2」は具体例として前記の「操作項目圧力操作値学習モデル」と「操作項目温度操作値学習モデル」を用いる。
図18に示した複数の運転操作案の作成処理(ステップS1105)において、
図33に示す運転操作案77Aが作成される。
【0087】
図33は、運転操作案77Aの具体例を示す図である。
図33には
図19で示した複数の運転操作案の作成処理(ステップS1105)で作成されたP個の運転操作案77Aを示す。運転操作案77には、No.、計測項目1の電流の値、計測項目2のリップル電圧の値、操作項目1の圧力の値、操作項目2の温度の値が含まれる。
【0088】
図23に示した運転操作案評価手段22の処理中、ステップS1504において、i番目の運転操作案の情報を、前記(1)式の目的値予測学習モデルに入力して予測目的値を算出する。
【0089】
また、ステップS1507において、運転操作案の内で運転目的に最も合う案は、例えば、運転目的は圧縮強度が300以上での最小化であれば、目的値は圧縮強度になり、予測目的値が300以上の内で最も小さい値となる操作案を運転目的に最も合う案として選択する。ステップS1505で追記してできた運転操作案評価用データ78Aを
図34に示す。
【0090】
図34は、運転操作案評価用データ78Aの具体例を示す図である。運転操作案評価用データ78Aは、ステップS1505で追記してできた運転操作案評価用データである。運転操作案評価用データ78Aには、No.、計測項目1の電流の値、計測項目2のリップル電圧の値、操作項目1の圧力の値、操作項目2の温度の値、予測目標値の圧縮強度が含まれる。具体的には、No.2の行には、圧縮強度が300に最も近い302の運転操作案が示されている。
【0091】
図35は、運転操作支援情報表示画面の具体例を示す図である。
図35は、運転操作支援情報表示手段23により表示手段4に表示される画面26Aを示している。操作推奨案265として、操作項目である圧力、温度についての操作案が示されている。また、目的値の予測値266として、圧縮強度が302になることが示されている。
【0092】
本実施形態では、生産設備などの過去の実績データから熟練者が行う操作項目の選択方法と操作値の選択方法、また、生産品の品質確保、コスト低減、生産効率向上などの目的となる目的値の予測方法を学習し、生産設備などの運転時に操作項目案の選択と操作値案の選択を行い、目的値が最適となる評価に従って操作項目案と操作値案の運転操作支援案を提示するようにしたことにある。
【0093】
本実施形態では、説明変数として計測項目と操作項目の全てを対象とすることで目的変数を説明する精度の低下を防ぎ、熟練者の操作方法の学習として操作項目と操作値の学習を分けた2段階学習と、操作項目と操作値を分けた運転操作案の作成とすることで、操作項目が例えばN個の解空間を対象に学習と操作案作成と、操作値が例えばM個の解空間を対象に学習と操作値作成とすることで、N+M個の解空間を対象に学習と操作項目と操作値を算出するため高速化が図れ、リアルタイム性が向上する。
【0094】
さらに、操作項目と操作値を分けることにより複雑なプラントの運転方法の複雑性を低減することでモデル精度の低下を防ぎ、運転操作支援案に基づいて運転することにより運転者が非熟練者であっても熟練者並の運転が可能となる。
【0095】
第1の観点の生産設備運転支援システム100は、制御手段2は生産設備運転支援手段3を制御し、生産設備1などから計測項目や熟練者が実施した操作項目の実績値をデータ収集手段が入手し、データベース7に格納する。運転操作学習手段5として、データベース7に蓄積されたデータを用いて、運転操作実績情報作成手段10は過去の熟練者の運転操作方法を学習するための運転操作実績情報を作成し、ニ段階学習手段11は操作項目と操作値の選択方法を学習し、目的値予測方法学習手段12は生産品の品質確保、コスト低減、生産効率向上などの目的となる目的値の予測方法を学習し、学習結果表示手段14はデータベース7に学習結果である学習モデルを格納し、学習結果表示手段により学習モデルおよび学習モデルを実績データに当てはめた場合の結果を提示可能とする。運転操作支援手段8として、データベース7に蓄積されたデータおよび学習モデルを用いて、現運転情報作成手段20は現在の運転情報を作成し、運転操作案作成手段21は複数の操作項目案と操作値案を作成し、運転操作案評価手段22は現在の運転情報において目的値が最適な予測となる操作項目案と操作値案をである運転操作支援情報を作成し、運転操作支援情報表示手段23により運転時の運転操作支援情報を提示することを特徴とする。
【0096】
第2の観点の発明は、第1の観点の生産設備運転支援システム100において、運転操作実績情報は操作項目の変化値を算出することを特徴とする。該変化値の算出は現在着目している運転操作実績情報の一つ前の運転操作実績情報の操作項目の操作値から、現在着目している運転操作実績情報の該操作項目の操作値への変化量を算出する。操作値の変化は熟練者が現在着目している運転操作実績情報において目的値を最適化するための生産設備の運転として選択した運転方法を示す重要な情報となる。
【0097】
第3の観点の発明は、第1の観点または第2の観点の生産設備運転支援システム100において、ニ段階学習手段11は操作項目の操作の有無と、該操作項目の操作値を学習することを特徴とする。操作項目の操作の有無の学習は、操作項目ごとに操作の有無の学習を行い、操作値の学習は、操作項目ごとに操作値の変化値がゼロでない運転操作実績情報を学習することで熟練者が暗黙知として持っている運転操作方法の学習が可能となる。また、熟練者が運転操作を担当していた膨大な運転操作実績情報の全てを学習対象とせず、熟練者の暗黙知が凝縮している変化値がゼロでない運転操作実績情報を学習することで学習の高速化と熟練者の暗黙知が凝縮した学習結果を得ることを可能とする。
【0098】
第4の観点の発明は、第1の観点乃至第3の観点のいずれかの観点の生産設備運転支援システムにおいて、学習結果表示手段13は操作項目一致度、該操作項目の操作有無、操作値一致度、操作値、目的値予測式の表示情報を生成し、表示手段により該情報を提示することを特徴とする。操作項目一致度は、例えば、生産設備情報の総数L個中のi番目の生産設備情報において、操作項目が操作項目1から操作項目NまでのN個存在し、操作項目の操作有無が、N個中のMi個が一致しているならば、操作項目一致度は、i=1~Lについて、Σ(Mi/N)/Lと算出するが、これに限定するものではない。操作値一致度は、生産設備情報の総数L個中のi番目の生産設備情報において、操作項目の個数がN個、操作値が完全一致している個数がQi個の場合に、操作値一致度は、i=1~Lについて、Σ(Qi/N)/Lと算出するが、これに限定するものではなく、例えば、完全一致ではなく、予め定められた許容量の範囲での一致度としても良い。
【0099】
第5の観点の発明は、第1の観点乃至第4の観点のいずれかの観点の生産設備運転支援システム100において、運転操作支援情報表示手段23は操作推奨案として各操作項目の選択確率と操作有無と操作値、選択された操作項目の各操作値の選択確率、目的値の予測値とこれまでの実績値の表示情報を生成し、表示手段4に該情報を提示することを特徴とする。操作項目選択のプルダウンメニューから特定の操作項目を選択することで該操作項目の各操作値の選択確率が表示可能となる。
【0100】
第6の観点の発明は、生産設備から収集するデータに基づき運転操作を学習する運転操作学習手段5と、データと運転操作学習手段の学習結果に基づき運転操作を支援する運転操作支援手段8と、表示手段4とを備えるシステムに係る生産設備の運転支援を行う生産設備運転支援方法であって、運転操作学習手段5は、過去の操作方法を学習するための運転操作実績情報を作成する運転操作実績情報作成ステップ(ステップS200)と、運転操作実績情報に基づき、操作項目と操作値の選択方法を別々に学習して各々の学習モデルを作成するニ段階学習ステップ(ステップS500)と、生産での目的値の予測方法を学習する目的値予測方法学習ステップ(ステップS800)と、学習モデルおよび目的値の予測方法に基づき選択された項目の結果を提示するための情報を生成し、表示手段に表示する学習結果表示ステップ(ステップS900)と、を含み実行し、運転操作支援手段8は、データに基づき現在の運転情報を作成するための現運転情報作成ステップ(ステップS1000)と、現在の運転情報およびニ段階学習ステップで作成された学習モデルに基づき操作項目案と操作値案を作成する運転操作案作成ステップ(ステップS1100)と、目的値予測方法作成ステップの予測方法に基づき該操作項目案と操作値案を適用した場合の目的値を予測して評価を行う運転操作案評価ステップ(ステップS1500)と、操作項目案と操作値案を提示するための情報を作成し、推奨操作案を表示手段に表示する運転操作支援情報表示手段ステップ(ステップS1600)と、を含み実行することを特徴とする。本生産設備運転支援方法によれば、複雑な生産設備、プラントの運転方法の複雑性を低減することでモデル精度の低下を防ぎ、運転操作支援案を提示することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 生産設備
2 制御手段
3 生産設備運転支援手段
4 表示手段
5 運転操作学習手段
6 データ収集手段
7 データベース
8 運転操作支援手段
10 運転操作実績情報作成手段
11 ニ段階学習手段
12 目的値予測方法学習手段
13 学習結果表示手段
20 現運転情報作成手段
21 運転操作案作成手段
22 運転操作案評価手段
23 運転操作支援情報表示手段
71 生産設備情報
72 運転操作情報
73 操作項目学習情報
74 操作値学習情報
76 現運転情報
77 運転操作案
78 運転操作案評価用データ
100 生産設備運転支援システム
M1 操作項目学習モデル
M2 操作値学習モデル
M3 目的値予測学習モデル