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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】粘液性シリコーンエマルジョン
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20220323BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20220323BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20220323BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20220323BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20220323BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20220323BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
C08L83/07
C08L83/05
A61K8/06
A61K8/891
A61Q5/02
A61Q5/12
A61Q19/00
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019229233
(22)【出願日】2019-12-19
(62)【分割の表示】P 2017552121の分割
【原出願日】2016-04-04
(65)【公開番号】P2020073664
(43)【公開日】2020-05-14
【審査請求日】2019-12-23
(31)【優先権主張番号】62/144,546
(32)【優先日】2015-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】セヴリーヌ・コーヴァン
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ジェイ・フライフォーグル
(72)【発明者】
【氏名】ソフィー・ハンセンズ
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド・カドレツ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ウガツィオ
(72)【発明者】
【氏名】マリーン・ヴィオー
(72)【発明者】
【氏名】ブレット・リー・ツィマーマン
【審査官】吉田 早希
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/019841(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/019840(WO,A1)
【文献】特開2004-124083(JP,A)
【文献】特開2001-081324(JP,A)
【文献】特開2009-062553(JP,A)
【文献】特表2013-503940(JP,A)
【文献】特表2013-503878(JP,A)
【文献】特表2018-513250(JP,A)
【文献】特表2012-522032(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0112072(US,A1)
【文献】特開昭62-257939(JP,A)
【文献】特開2001-064390(JP,A)
【文献】特表2015-532659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00 - 13/08
C08L 1/00 - 101/14
A61K 8/00 - 8/99
A61Q 1/00 - 90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘液性のレオロジー特性を有するシリコーン流体のエマルジョンを調製する方法であって、プロセスが、
(A)
(i)キャリア流体、SiH含有オルガノポリシロキサン、及びアルケニル含有オルガノポリシロキサンを組み合わせて混合物を形成すること、
(ii)界面活性剤を前記混合物に添加すること、及び
(iii)水を添加し、混合して、水中油型エマルジョンを形成すること
によって水中油型エマルジョンを形成する工程であって、前記キャリア流体、前記SiH含有オルガノポリシロキサン、及び前記アルケニル含有オルガノポリシロキサンの前記混合物が、前記水中油型エマルジョンの油相を形成する、工程と、
(B)前記SiH含有オルガノポリシロキサンと前記アルケニル含有オルガノポリシロキサンとを、(A)(iii)で形成された前記エマルジョンの油相中で、ヒドロシリル化触媒の存在下で反応させて、ヒドロシリル化反応生成物として分枝状オルガノポリシロキサン流体を含むエマルジョンを形成する工程とを含み、前記エマルジョンが、ゲルを含まず、垂直方向の剪断速度(1/秒)に対する法線応力(パスカル)のプロットから決定される粘液性のレオロジー特性を有し、前記プロットが3.6を超える平均勾配を有し、
前記アルケニル含有オルガノポリシロキサンは、500以上の重合度を有し、
前記SiH含有オルガノポリシロキサンは少なくとも1つの側枝SiH部位を有し、末端SiH部位を有さず、
前記SiH含有オルガノポリシロキサンは直鎖オルガノポリシロキサンである、方法。
【請求項2】
工程(A)(i)において、前記混合物が少なくとも55質量%のキャリア流体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルケニル含有オルガノポリシロキサンがビニル末端である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記SiH含有オルガノポリシロキサンが、2~10個の側枝SiH部位を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アルケニル含有オルガノポリシロキサンが、2,000~15,000の重合度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記エマルジョンが、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント組成物、又はスキンケア組成物を含むパーソナルケア組成物における使用のためのものである、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年4月8日に出願された米国特許仮出願第62/144546号の優先権を主張するものであり、その開示の全容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、粘液性シリコーン流体を含むエマルジョン及び当該エマルジョンを調製する方法に関する。より具体的には、本開示は、キャリア流体と、2種の直鎖オルガノポリシロキサンのヒドロシリル化反応生成物を含む粘液性シリコーン流体と、を含むエマルジョンに関する。
【背景技術】
【0003】
シリコーン流体は、産業界で広く使用されている。最も一般的に使用されるシリコーン流体はジメチルシロキサン流体であり、これは典型的には低分子量の環状分子である。しかし、高分子量で高度に分枝した流体も、多くの用途に用いられる。
【0004】
粘弾性液体が回転する棒を這い上がる現象は、ワイセンベルグ効果として知られ、ポリマー溶液で観察される他、Starchら(米国特許公開第2012/0220549(A1)号)が記載のように粘液性シリコーン流体で観察される。この挙動は、剪断応力下で現れるポリマー鎖間の絡み合いを表す。粘液性シリコーン流体は、高分子量で高度に分枝したオルガノポリシロキサンである。
【0005】
粘液性シリコーン流体は操作が難しく、そのため配合物又はエマルジョンに組み込むことが困難である。したがって、粘液性シリコーン流体のエマルジョン及び粘液性シリコーン流体の配合物への組み込みを容易にし得る粘液性シリコーン流体のエマルジョンを調製する方法が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許公開第2012/0220549(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、粘液性のレオロジー特性を有するシリコーン流体のエマルジョン、を調製する方法を提供する。本発明は、粘液性のレオロジー特性を有するシリコーン流体のエマルジョン、及び粘液性のレオロジー特性を有するシリコーン流体のエマルジョンを含む組成物も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態において、本発明は、粘液性のレオロジー特性を有するシリコーン流体のエマルジョンを調製する方法を提供し、該方法は、(A)(i)キャリア流体、SiH含有オルガノポリシロキサン及びアルケニル含有オルガノポリシロキサンを組み合わせることで、混合物を形成すること、(ii)界面活性剤を混合物に添加すること、及び(iii)水を添加すること、及び剪断することで、水中油型エマルジョンを形成すること、によって水中油型エマルジョンを形成する工程であって、上記キャリア、SiH含有オルガノポリシロキサン及びアルケニル含有オルガノポリシロキサンの混合物が水中油型エマルジョンの油相を形成する、工程と、(B)SiH含有オルガノポリシロキサンとアルケニル含有オルガノポリシロキサンとを、(A)(iii)で形成されたエマルジョンの油相中で、ヒドロシリル化触媒の存在下で反応させることで、粘液性のレオロジー特性を有するシリコーン流体のエマルジョン、を形成する工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明による乾燥エマルジョン試料の粘着性、曳糸性及び接着に関するテクスチャー分析の結果を示す。
図2】SiH:ビニルの比が異なる場合、乾燥エマルジョンから形成したフィルムは、溶媒の40%以上の曳糸性を生じる傾向にあることを示す。
図3】異なる溶媒を使用したときの曳糸性効果を示す。
図4】ビニル官能化オルガノポリシロキサンの分子量による曳糸性への影響を示す。
図5】樹脂が曳糸性に与える影響を示す。
図6】エラストマー分散物を有する粘液性シリコーン流体のエマルジョンを示す。
図7】粘液性シリコーン流体のエマルジョンから形成したフィルムの耐擦性を示す。
図8】粘液性シリコーン流体を消泡剤として有するエマルジョンの性能試験を示す。
図9】粘液性シリコーン流体を消泡剤として有する顆粒状エマルジョンの性能試験を示す。
図10】粘液性シリコーン流体を有するエマルジョンで処理した布地の官能試験員による感触の結果を示す。
図11】粘液性シリコーン流体を有するエマルジョンの吸収前後の特性を、粘液性シリコーン流体と比較して示す。
図12】粘液性シリコーン流体を有するエマルジョンの吸収前後の特性を、対照と比較して示す。
図13】粘液性シリコーン流体を有するエマルジョンの吸収前後の特性を、皮膚上の対照と比較して示す。
図14】粘液性シリコーン流体を有するエマルジョンの吸収前後の特性を、皮膚上の対照と比較して示す。
図15】粘液性シリコーン流体を有するエマルジョンの吸収前後の特性を、皮膚上の対照と比較して示す。
図16】粘液性シリコーン流体を有するエマルジョンのノーマルヘア上での吸収後のカール保持結果を示す。
図17】消泡剤として使用した粘液性エマルジョンの性能試験を示す。
図18】消泡剤として使用した顆粒状粘液性エマルジョンの性能試験を示す。
図19】粘液性エマルジョンと粘液性流体との性能の比較を示す。
図20】粘液性エマルジョンとケイ素を含まない対照との性能の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、粘液性シリコーン流体のエマルジョン、すなわち、粘液特性を示すシリコーン流体のエマルジョンを提供する。本明細書で用いる「粘液性」とは、シリコーン流体のレオロジー特性を説明するもので、一定に増大する剪断力を加えられたときに、流体が、垂直方向に観察される増大する法線応力を示す特性である。例えば、粘液性流体がx-y面に剪断応力を受けたとき、z方向(剪断力の平面に対して垂直又は法線方向)に力が生じる。シリコーン流体の粘液性のレオロジー特性は、応力制御型レオメータを用いて測定できる。このようなレオメータは市販されており、TA Instruments AR1000-N(109Lukens Drive,New Castle Del.19720)などがある。典型的には、流体試料は、平坦なディスク(レオメータに装着されている。)と、ロードセルが装備された固定プレートとの間に保持される。制御量の力(トルク)を、ディスクに取り付けられたシャフトに加え、それにより試料に剪断応力を加える。典型的には、トルクが増大すると、ディスクの回転速度が増大し、これを剪断速度として記録する。試料が剪断応力を受けると、法線応力がロードセルにより記録される。レオロジー特性の評価結果は、典型的には、垂直方向の剪断速度(1/秒)に対する法線応力(パスカル)のプロットとして報告される。
【0011】
他の実施形態において、剪断速度に対する法線応力とのプロットがグラフ上の限界線より上に存在する場合、流体は粘液性であるとみなされ、この限界線は方程式y=3.6x(式中、yは法線応力であり、xは剪断速度である。)を用いて作成される。ただし、結果はそのような種類の報告に限定されず、当該技術分野において認められたいずれの技法を用いて報告又は評価されてもよい。
【0012】
種々の実施形態において、用語「粘液性シリコーン流体」は、本明細書で使用するとき、重力等の力が加えられたとき、その構成成分の粒子が互いに通過し合うこと、すなわち流動することができる物質を表す。このような実施形態において、流体は、流動しないゲルを包含しない。他の実施形態において、粘液性シリコーン流体の粘度は、23℃において少なくとも100mPa・s(cP)、あるいは少なくとも200mPa・s、又はあるいは少なくとも300mPa・sであり、それぞれ上記の値のうちの1つを最大値とする。他の実施形態において、粘液性シリコーン流体は、23℃で、100~10,000,000mPa・s、あるいは100~1,000,000mPa・s、あるいは100~100,000mPa・s、あるいは100~50,000mPa・s、あるいは100~10,000mPa・s、あるいは200~10,000mPa・s、あるいは200~50,000mPa・s、あるいは、300~10,000mPa・s、あるいは300~50,000mPa・s、あるいは100~40,000mPa・s、あるいは100~30,000mPa・s、あるいは100~20,000mPa・s、あるいは100~9,000mPa・s、あるいは100~8,000mPa・s、あるいは100~7,000mPa・s、あるいは100~6,000mPa・s、あるいは100~5,000mPa・s、あるいは100~4,000、あるいは100~3,000mPa・s、あるいは100~2,000mPa・s、又はあるいは100~1,000mPa・sの粘度を有する。
【0013】
粘液性のレオロジー特性を有するシリコーンは、分枝状オルガノポリシロキサンを含んでもよい。一実施形態において、分枝状オルガノポリシロキサンは、加水分解性基を有する2種の直鎖オルガノポリシロキサンの反応によって得られる場合がある。例えば、粘液性のレオロジー特性を有する分枝状オルガノポリシロキサンは、キャリア流体中での縮合重合によって調製されてもよく、この縮合重合反応生成物は粘液性のレオロジー特性を示す。
【0014】
別の実施形態において、分枝状オルガノポリシロキサンは、2種の直鎖オルガノポリシロキサンのキャリア流体中でのヒドロシリル化反応によって得られる場合があり、このヒドロシリル化反応生成物は粘液性のレオロジー特性を示す。
【0015】
一実施形態において、本発明は、粘液性シリコーン流体を含むエマルジョンを提供する。別の実施形態において、本発明は、2種の直鎖オルガノポリシロキサンのヒドロシリル化反応生成物を包含する粘液性シリコーン流体を含む、キャリア流体を包む、エマルジョンを提供し、このヒドロシリル化反応生成物は粘液性のレオロジー特性を示す。
【0016】
用語「置換された」は、別の基、例えば炭化水素基に関して使用するとき、別途記載のない限り、炭化水素基中の1個以上の水素原子が別の置換基により置き換えられているという意味である。このような置換基の例としては、例えば、塩素、フッ素、臭素、及びヨウ素等のハロゲン原子、クロロメチル基、ペルフルオロブチル基、トリフルオロエチル基、及びノナフルオロヘキシル基等のハロゲン原子含有基、酸素原子、(メタ)アクリレート基及びカルボキシル基等の酸素原子含有基、窒素原子、アミン、アミノ官能基、アミド官能基、及びシアノ官能基等の窒素原子含有基、硫黄原子、並びにメルカプト基等の硫黄原子含有基が挙げられる。
【0017】
米国実務に関して、本明細書において参照される、全ての特許公開及び特許又は一部のみが参照されている場合にはその一部は、組み込まれた主題が本記載と矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み込まれ、このような矛盾のいずれにおいても本記載が優先する。
【0018】
用語「あるいは(alternatively)」は、異なる、別個の実施形態を指す。
【0019】
用語「含む(comprises)」及びその変形(comprising、comprised of)は、オープンエンドである。
【0020】
用語「からなる(consists of)」及びその変形(consisting of)は、クローズドエンドであり、それらに通常付随する不純物を除き、列挙した材料又は構成成分又は工程のみを包含することを意味する。
【0021】
用語「から本質的になる(consists essentially of)」及びその変形(consisting essentially of)は、クローズドエンドであり、明記された材料又は構成成分又は工程並びに組成物又は方法の基本及び特徴に大きく影響しないものに包含を限定する。
【0022】
用語「あってもよい(may)」は、選択の余地を与えるものであって、命令するものではない。
【0023】
冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、それぞれ、明細書の文脈により特に指示されない限り、1つ以上を指す。
【0024】
特記のない限り、アルキル、アルキルアリール、アリール及びアルケニル基は、次のように定義される。アルキル基は、1~10個の炭素原子を有する部分を意味する。アルキルアリール基は、アルキル部分が1~10個の炭素原子を有し、アリール部分が6~20個の炭素原子を有する、部分を意味する。アリール基は、6~20個の炭素原子を有する部分を意味する。アルケニル基は、2~10個の炭素原子を有する部分を意味する。
【0025】
一実施形態において、本発明は、粘液性のレオロジー特性を有するシリコーン流体のエマルジョン、を調製する方法を提供し、該方法は、(A)(i)キャリア流体、SiH含有オルガノポリシロキサン及びアルケニル含有オルガノポリシロキサンを組み合わせることで、混合物を形成すること、(ii)界面活性剤を混合物に添加すること、及び(iii)水を添加すること、及び剪断することで、水中油型エマルジョンを形成すること、によって水中油型エマルジョンを形成する工程であって、上記キャリア、SiH含有オルガノポリシロキサン及びアルケニル含有オルガノポリシロキサンの混合物が水中油型エマルジョンの油相を形成する、工程と、(B)SiH含有オルガノポリシロキサンとアルケニル含有オルガノポリシロキサンとを、(A)(iii)で形成されたエマルジョンの油相中で、ヒドロシリル化触媒の存在下で反応させることで、粘液性のレオロジー特性を有するシリコーン流体のエマルジョン、を形成する工程と、を含む。粘液性のレオロジー特性を有するシリコーン流体は、ヒドロシリル化反応生成物を含む。
【0026】
ヒドロシリル化反応生成物
ヒドロシリル化反応生成物は、第1の直鎖オルガノポリシロキサンと第2の直鎖オルガノポリシロキサンとの反応生成物である。すなわち、ヒドロシリル化反応生成物は、第1と第2との直鎖オルガノポリシロキサンのヒドロシリル化反応から生成する。ヒドロシリル化反応生成物は、それ自体が直鎖であってもよい。種々の実施形態において、専門用語の「直鎖」は、第1の直鎖オルガノポリシロキサン、第2の直鎖オルガノポリシロキサン、ヒドロシリル化反応生成物、又は粘液性シリコーン流体が、分枝状でないか又は高度に分枝状でないことを表す。「分枝状でない」又は「高度に分枝状でない」は、T及びQ単位、つまり、それぞれ式(R-SiO3/2)及び(SiO4/2)を有するシロキシ単位を10、1、0.5、0.1、又は0.01質量%未満有することを意味する。
【0027】
他の実施形態において、専門用語の「直鎖」は、第1の直鎖オルガノポリシロキサン、第2の直鎖オルガノポリシロキサン、ヒドロシリル化反応生成物、又は粘液性シリコーン流体が、分枝を含まないか又は高度に分枝状でないことを表す。第1の直鎖オルガノポリシロキサン、第2の直鎖オルガノポリシロキサン、ヒドロシリル化反応生成物,又は粘液性シリコーン流体の主鎖は、分枝状でないか又は高度に分枝状ではない。例えば、第1の直鎖オルガノポリシロキサン、第2の直鎖オルガノポリシロキサン、ヒドロシリル化反応生成物、又は粘液性シリコーン流体の主鎖は、上に定義したように典型的には直鎖であるが、主鎖は、主鎖に結合した1つ以上の環状、芳香族、又は非直鎖の置換基を有してもよい。このような場合もなお、主鎖は、本明細書で使用される「直鎖」とみなされる。
【0028】
いくつかの実施形態において、1種以上の第1の直鎖オルガノポリシロキサンを、1種以上の第2の直鎖オルガノポリシロキサンと反応させてもよい。同様に、他の実施形態において、1種の第1の直鎖オルガノポリシロキサンを、2種以上の第2の直鎖オルガノポリシロキサンと反応させてもよい。あるいは、2種の第1の直鎖オルガノポリシロキサンを、1種の第2の直鎖オルガノポリシロキサンと反応させてもよい。したがって、種々の実施形態において、「第1の直鎖オルガノポリシロキサン」を使用する場合は常に、2種以上の第1の直鎖オルガノポリシロキサンを使用してもよい。他の実施形態において、「第2の直鎖オルガノポリシロキサン」を使用する場合は常に、2種以上の第2の直鎖オルガノポリシロキサンを使用してもよい。
【0029】
ヒドロシリル化反応生成物は、アルケニル又はSi-H官能基(例えば、第1と第2との直鎖オルガノポリシロキサンの反応からの未反応官能基)を含んでもよい。種々の実施形態において、アルケニル又はSi-H官能基は、ヒドロシリル化反応生成物及び/又は粘液性シリコーン流体の総質量に基づいて、百万分率(ppm)又は十億分率(ppb)の濃度で観察されてもよい。他の実施形態において、アルケニル又はSi-H官能基は、反応生成物を生成するために使用される反応物質(例えば、第1と第2との直鎖オルガノポリシロキサン)のSi-H官能基に対するアルケニル官能基のモル比に基づいて理解される。例えば、ヒドロシリル化反応生成物を(例えば、第1と第2との直鎖オルガノポリシロキサンから)生成するため用いるSi-H単位に対するアルケニルの比は、1未満でも1超でもよい。種々の実施形態において、この比は0.01以上1未満、0.1以上1未満、0.2~0.9、0.3~0.8、0.4~0.7、又は0.5~0.6である。他の実施形態において、この比は、1超、1を超え100以下、1を超え50以下、1を超え25以下、1を超え15以下、1を超え10以下、又は1を超え5以下である。上記の任意及び全ての値又はその間の値の範囲も使用してもよいことが想到される。典型的には、Si-Hに対するアルケニルの比は、厳密に1ではない。しかし、1という比は、一実施形態において想到される。
【0030】
ヒドロシリル化反応生成物は、エマルジョン中に、25質量%~95質量%又は40質量%~95質量%の量で存在し得る。種々の実施形態において、ドロシリル化反応生成物は、エマルジョンの25質量%~90質量%、25質量%~85質量%、25質量%~80質量%、25質量%~75質量%、25質量%~70質量%、25質量%~65質量%、25質量%~60質量%、25質量%~55質量%、25質量%~50質量%、25質量%~45質量%、25質量%~40質量%、25質量%~35質量%、25質量%~30質量%、40質量%~85質量%、40質量%~80質量%、40質量%~75質量%、40質量%~70質量%、40質量%~65質量%、40質量%~60質量%、40質量%~55質量%、40質量%~50質量%、40質量%~45質量%、50質量%~95質量%、55質量%~95質量%、60質量%~95質量%、65質量%~95質量%、70質量%~95質量%、75質量%~95質量%、80質量%~95質量%、85質量%~95質量%、90質量%~95質量%の量で存在してもよい。この量は、質量部、「固体百分率(percent solids)」又は「有効成分百分率(percent active(s))」としても記載されてもよい。上記の任意及び全ての値又はその間の値の範囲も使用してもよいことが想到される。
【0031】
ヒドロシリル化反応生成物は、エラストマーとして、例えば、緩く架橋したエラストマー(中~低架橋密度)として記載されてもよい。キャリア流体と組み合わせたとき、ヒドロシリル化反応生成物は実質的にキャリア流体に可溶であり、つまり、ヒドロシリル化反応生成物の少なくとも90質量%がキャリア流体に溶解する。ヒドロシリル化反応生成物自体の重合度は、後述のように、第1と第2との直鎖オルガノポリシロキサンの重合度に応じて変動し得る。種々の実施形態において、第1と第2との直鎖オルガノポリシロキサンの両方の重合度が高い場合、ヒドロシリル化反応生成物は緊密な架橋(非常に高い架橋密度)を生じる。他の実施形態において、第1と第2との直鎖オルガノポリシロキサンの一方又は他方の重合度が高い場合、ヒドロシリル化反応生成物は中程度の架橋(中~低架橋密度)を生じる。更に他の実施形態において、第1と第2との直鎖オルガノポリシロキサンの両方の重合度が低い場合、ヒドロシリル化反応生成物は低い架橋、例えば緩い架橋を生じる。
【0032】
本発明の一実施形態において、第1の直鎖オルガノポリシロキサンはアルケニル含有オルガノポリシロキサンを含み、第2の直鎖オルガノポリシロキサンはSiH含有オルガノポリシロキサンを含む。
【0033】
第1の直鎖オルガノポリシロキサン
第1の直鎖オルガノポリシロキサンは(RSiO1/2)及び(RSiO2/2)単位を含み、これらはそれぞれM単位及びD単位としても知られる。R~Rの各々は、R~Rのうちの少なくとも1つがアルケニル基であるという条件で、独立して炭化水素基である(アルケニル含有オルガノポリシロキサン)。炭化水素基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びへキシル等であるがこれらに限定されない1~20、2~15、3~10、5~10、又は1~5個の炭素原子を有するアルキル基、シクロヘキシル及びシクロヘプチル等であるがこれらに限定されないシクロアルキル基、フェニル、トリル及びキシリル等であるがこれらに限定されない6~12個の炭素原子を有するアリール基、ベンジル及びフェニルエチル等であるがこれらに限定されない7~20個の炭素原子を有するアラルキル基であってもよい。炭化水素基はまた、2~20個の炭素原子を有するアルケニル基であってもよく、それはビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル及びデセニル等であるがこれらに限定されず、典型的にはビニル又はヘキセニル基である。あるいは、炭化水素基は1個以上のハロゲン原子を含んでもよい。上記の任意及び全ての値又はその間の値の範囲も使用してもよいことが想到される。
【0034】
一実施形態において、アルケニル含有オルガノポリシロキサンはビニル基を有するオルガノポリシロキサンであり、このビニル基は側枝でも末端でもよい。
【0035】
第1の直鎖オルガノポリシロキサンは、ホモポリマー、コポリマー又はターポリマーであってもよい。非限定例としては、ジメチルシロキシ単位及びフェニルメチルシロキシ単位を含むコポリマー、ジメチルシロキシ単位及び3,3,3-トリフルオロプロピルメチルシロキシ単位を含むコポリマー、ジメチルシロキシ単位とジフェニルシロキシ単位とのコポリマー、並びにジメチルシロキシ単位、ジフェニルシロキシ単位及びフェニルメチルシロキシ単位のインターポリマーが特に挙げられる。上記のように、第1の直鎖オルガノポリシロキサンは、典型的には直鎖の主鎖を有するが、主鎖に結合した非直鎖の置換基を含んでもよい。
【0036】
種々の実施形態において、第1の直鎖オルガノポリシロキサンは、10、1、0.5、0.1、又は0.01質量%未満のT及び/又はQ単位を含む。別の実施形態において、第1の直鎖オルガノポリシロキサンはT及び/又はQ単位を含まない。更に他の実施形態において、第1の直鎖オルガノポリシロキサンは、100~15,000の重合度を有する。より典型的には、重合度は、100~10,000、500~10,000、2,000~15,000、5,000~15,000、7,500~15,000、10,000~15,000、8,000~12,000、又は約10,000である。上記の任意及び全ての値又はその間の値の範囲も使用してもよいことが想到される。
【0037】
一実施形態において、第1の直鎖オルガノポリシロキサンは、ポリジオルガノシロキサンガムであってもよい。本明細書で使用するとき、ポリジオルガノシロキサンガムは、Dシロキシ単位を主に含む。例えば、ポリジオルガノシロキサンガムは、それ自体が25℃で少なくとも1,000,000mm/s、又はあるいは、25℃で2,000,000mm/sの粘度を有してもよい。あるいは、分子量は、米国材料試験協会(ASTM)試験方法926によって測定したときに、少なくとも40のウイリアムス可塑度をガムに付与するのに十分なものであってもよい。典型的には、可塑度は、40~200、又はあるいは50~150である。あるいは、ポリジオルガノシロキサンガムの分子量は、少なくとも600,000ダルトン、又はあるいは少なくとも1,000,000ダルトン、又はあるいは少なくとも2,000,000ダルトンである。上記の任意及び全ての値又はその間の値の範囲も使用してもよいことが想到される。
【0038】
ポリジオルガノシロキサンガムの具体的な非限定例としては、トリメチルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン、トリメチルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端封鎖メチルフェニルシロキサン-ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端封鎖3,3,3-トリフルオロプロピルメチルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端封鎖3,3,3-トリフルオロプロピルメチル-メチルビニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端封鎖ジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端封鎖メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端封鎖メチルフェニルシロキサン-ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、及び少なくとも1つの末端基がジメチルヒドロキシシロキシである類似のコポリマーが挙げられる。ポリジオルガノシロキサンガムは、2種以上のオルガノポリシロキサンの組み合わせであるか、当該組み合わせを含んでもよい。ポリジオルガノシロキサンガムを調製する方法も公知であり、多数が市販されている。
【0039】
他の実施形態において、第1の直鎖オルガノポリシロキサンは流体である。例えば、上記流体は、25℃で1,000~100,000、25,000~100,000、25,000~75,000、50,000~100,000、50,000~75,000、50,000~60,000、又は55,000~65,000mm/sの粘度を有してもよい。流体は、あるいは、7,500~700,000、50,000~500,000、又は100,000~250,000ダルトンの分子量を有してもよい。他の実施形態において、DOW CORNING流体SFD128、DC4-2764、DC2-7891、DC2-7754、DC2-7891、及びDC2-7463、SFD-117、SFD-119、SFD120、SFD129、DC5-8709、LV、2-7038、DC2-7892、2-7287、2-7463、ジヘキセニル末端のDC7692、DC7697、並びにDC2-7063及びDC2-7748、並びにこれらの組み合わせを使用してもよい。上記の任意及び全ての値又はその間の値の範囲も使用してもよいことが想到される。
【0040】
第2の直鎖オルガノポリシロキサン
第2の直鎖オルガノポリシロキサンは、(RSiO1/2)及び(R10SiO2/2)単位を含み、式中、R~R10の各々は、R~R10のうちの少なくとも1つが水素原子であるという条件で、独立して炭化水素基である(SiH含有オルガノポリシロキサン)。炭化水素基は上記の任意のものであってもよい。
【0041】
種々の実施形態において、第2の直鎖オルガノポリシロキサンは、10、1、0.5、0.1、又は0.01質量%未満のT及び/又はQ単位を含む。あるいは、第2の直鎖オルガノポリシロキサンはT及び/又はQ単位をまったく含まなくてもよい。他の実施形態において、第2の直鎖オルガノポリシロキサンは、4~1000、8~500、25~400、50~300、75~200、75~100、100~500、100~400、100~300、100~200、75~150、75~125、又は約100の重合度を有する。上記の任意及び全ての値又はその間の値の範囲も使用してもよいことが想到される。
【0042】
第2の直鎖オルガノポリシロキサンは、上記のように、ガムでも流体でもよい。第2の直鎖オルガノポリシロキサンの非限定例は、DC5-0210、6-3570、1-8114、1-3502、OFX-5057、OFX-5084、OFX-5625、MHX-1107、及びこれらの組み合わせである。これらは全て、SiH側枝、SiH末端、又はSiHホモポリマーを代表する市販製品である。
【0043】
ヒドロシリル化触媒
第1と第2との直鎖オルガノポリシロキサンは、典型的には、共に反応して、ヒドロシリル化生成物を生成する。この反応は、典型的には、ヒドロシリル化触媒の存在下で起こる。この触媒は、当該技術分野において既知の任意のものであってもよい。例えば、触媒は、白金族金属含有触媒であってもよい。白金族とは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金、並びにこれらの錯体を意味する。本明細書で有用な白金族金属含有触媒の非限定例は、米国特許第3,419,593号、同第5,175,325号、同第3,989,668号、同第5,036,117号、同第3,159,601号、同第3,220,972号、同第3,296,291号、同第3,516,946号、同第3,814,730号、及び同第3,928,629号に記載のように調製された白金錯体であり、これらのそれぞれは、1つ以上の非限定的実施形態における参照により、本明細書に明示的に組み込まれる。白金含有触媒は、金属白金、シリカゲル若しくは粉末木炭等の担体上に付着した金属白金、又は白金族金属の化合物若しくは錯体でよい。典型的な白金含有触媒としては、六水和物型若しくは無水物型いずれかの塩化白金酸、及び又は、塩化白金酸を、ジビニルテトラメチルジシロキサンのような脂肪族不飽和有機ケイ素化合物と反応させることを含む方法によって得られる白金含有触媒、又は米国特許第6,605,734号に記載のようなアルケン-白金-シリル錯体が挙げられ、上記特許は1つ以上の非限定的実施形態における参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
使用する触媒の量は、典型的には、具体的な触媒に応じて異なる。触媒は、典型的には、100万部の粘液性シリコーン流体に基づき、固体の総質量%(全ての非溶媒成分)に基づいて、少なくとも2百万分率(ppm)、典型的には4~200ppmの白金を提供するのに十分な量で使用される。種々の実施形態において、触媒は、同じ基準で1~150質量ppmの白金を提供するのに充分な量で存在する。触媒は、単一種として、又は2種以上の異なる種の混合物として添加してもよい。
【0045】
アルケニル官能基のSiH官能基に対するモル比(アルケニル:SiHのモル比)は、0.01~10、0.05~10、0.1~10、0.5~10、1.0~10、3~10、5~10、7~10、0.01~7、0.01~5、0.01~3、0.01~1、0.05~1、0.1~1、0.05~7、0.1~5、又は1~3であってもよい。
【0046】
第1の直鎖オルガノポリシロキサンは、1分子当たり2~10個のアルケニル基、又は1分子当たり2~7個のアルケニル基、又は1分子当たり2~5個のアルケニル基を含んでもよい。第2の直鎖オルガノポリシロキサンは、1分子当たり2~10個のSiH基、又は1分子当たり2~7個のSiH基、又は1分子当たり2~5個のSiH基を含んでもよい。
【0047】
任意選択の化合物
本発明のエマルジョンは、粘液性シリコーン流体及び1種以上の任意選択の化合物を含んでもよい。あるいは、ヒドロシリル化反応生成物を含む粘液性シリコーン流体は、第1の直鎖オルガノポリシロキサン、第2の直鎖オルガノポリシロキサン、及び1種以上の任意選択の化合物の、上記触媒の存在下での反応生成物として更に定義できる。あるいは、第1の直鎖オルガノポリシロキサンを、第2の直鎖オルガノポリシロキサンとの反応の前又は後に、任意選択の化合物と反応させてもよい。他の実施形態において、第2の直鎖オルガノポリシロキサンは、第1の直鎖オルガノポリシロキサンとの反応の前に任意選択の化合物と反応してもよく、それでもなお上記の第2の直鎖オルガノポリシロキサンの一般的説明に該当し得る。例えば、一実施形態において、第1のタイプの第2の直鎖オルガノポリシロキサンを任意選択の化合物と反応させ、第2のタイプの第2の直鎖オルガノポリシロキサンを生成してもよい。あるいは、この第1のタイプの第2の直鎖オルガノポリシロキサンは、広範な第2の直鎖オルガノポリシロキサンの1つの種として説明できる。一実施形態において、第2の直鎖オルガノポリシロキサンは、第1種の第2の直鎖オルガノポリシロキサンと、モノ末端脂肪族不飽和炭化水素基を有する化合物との、又は本明細書に記載の他の任意選択の化合物との、反応生成物を含む。
【0048】
このような任意選択の化合物の非限定的な例としては、モノ末端脂肪族不飽和炭化水素基を有する化合物又はこのような化合物の混合物が挙げられる。例えば、この任意選択の化合物は、1つの末端不飽和脂肪族炭化水素基を有する2~30個の炭素原子を含有する炭化水素、及び/又は1つの末端不飽和脂肪族基を有するポリオキシアルキレンであるか、これらを含んでもよい。
【0049】
任意選択の化合物の使用により、得られるヒドロシリル化反応生成物、及び/又は粘液性シリコーン流体のエマルジョンの、化学的及び物理的特性が変わり得る。例えば、任意選択の化合物は、ヒドロシリル化反応生成物に炭化水素基を付加し、これによって、粘液性シリコーン流体に、より疎水性の特徴を加えることができる。反対に、任意選択の化合物が、例えばエチレンオキシド単位を主に有するポリオキシアルキレンである場合、これを使用することにより、ヒドロシリル化反応生成物及び/又は粘液性シリコーン流体の親水性が増大し得る。任意選択の化合物は、他の官能基、例えば、アミノ及び/又はヒドロキシも有してもよい。
【0050】
任意選択の化合物中の不飽和脂肪族炭化水素基(複数を含む)は、アルケニル基又はアルキニル基であってよい。アルケニル基の代表的な非限定例は、次の構造によって示される。HC=CH-、HC=CHCH-、HC=C(CH)CH-、HC=CHCHCH-、HC=CHCHCHCH-、及びHC=CHCHCHCHCH-。アルキニル基の代表的な非限定例は、次の構造によって示される。HC≡C-、HC≡CCH-、HC≡CC(CH)-、HC≡CC(CH-、及びHC≡CC(CHCH-。
【0051】
他の実施形態において、1つの末端不飽和脂肪族基を有する、2~30個の炭素を含有する炭化水素は、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-デカデセン、及び同族体のようなα-オレフィンから選択されてもよい。あるいは、任意選択の化合物は、α-メチルスチレン等の、アリール含有炭化水素からも選択できる。
【0052】
更にまた、任意選択の化合物は、平均式RO-[(CO)c’(CO)d’(CO)e]-Rを有するポリオキシアルキレンから選択することができ、式中、Rは、2~12個の炭素原子を含有する一価の不飽和脂肪族炭化水素基であり、c’は0~100であり、d’は0~100であり、eは0~100であるが、ただし、c’、d’、及びeの合計は0よりも大きく、Rは、水素、アシル基、又は1~8個の炭素を含有する一価の炭化水素基である。任意選択の化合物として有用な、ポリオキシアルキレンの代表的な非限定例としては、HC=CHCHO(CO)c’H、HC=CHCHO(CO)c’CH、HC=CHCHO(CO)c’C(O)CH、HC=CHCHO(CO)c’(CO)d’H、HC=CHCHO(CO)c’(CO)d’CH、HC=C(CH)CHO(CO)c’H、HC=CC(CHO(CO)c’H、HC=C(CH)CHO(CO)c’CH、HC=C(CH)CHO(CO)c’C(O)CH、HC=C(CH)CHO(CO)c’(CO)d’H、HC=C(CH)CHO(CO)c’(CO)d’CH、HC≡CCHO(CO)c’H、HC≡CCHO(CO)c’CH、HC≡CCHO(CO)c’C(O)CH、HC≡CCHO(CO)c’(CO)d’H、HC≡CCHO(CO)c’(CO)d’CH、HC≡CCHO(CO)c’C(O)CHが挙げられ、式中、c’及びd’は、上記のとおりである。
【0053】
更に別の実施形態において、任意選択の化合物は、1つの不飽和脂肪族基を有する直鎖又は分枝状シロキサンであってもよい。あるいは、任意選択の化合物は、1つの不飽和脂肪族基を有するポリオール(例えば、アリルキシリトール又はアリルグリセリン)であってもよい。分枝状シロキサン又はオルガノポリシロキサンとは、10質量%を超えるT単位及び/又はQ単位を有するシロキサン又はオルガノポリシロキサンを意味する。
【0054】
粘液性のレオロジー特性を有するシリコーン流体のエマルジョンは、シリコーン樹脂及び/又はシリコーンエラストマーを更に含んでもよい。シリコーン樹脂は、MQ樹脂であってもよい。シリコーン樹脂は、T単位及び/又はQ単位を有する樹脂であってもよい。Q単位を有する樹脂は、(1)式(SiO4/2)のQ単位を1個以上と、(2)式R SiO2/2のD単位を15~995個(単位(1)及び(2)は、任意の適切な組み合わせで相互結合してもよい。)と、(3)式R SiO1/2のM単位と、を含み、式中、各R置換基は1~6個の炭素原子を有するアルキル基、1~6個の炭素原子を有するアルケニル基、及び1~6個の炭素原子を有するアルキニル基からなる群から選択され、分枝状シロキサン中の少なくとも3個のR置換基はアルケニル又はアルキニル単位であり、各R置換基は、1~6個の炭素原子を有するアルキル基、2~6個の炭素原子を有するアルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アクリレート基、及びメタクリレート基からなる群から選択される。
【0055】
Q単位を有する樹脂は、a)テトラキス(ビニルジメチルシロキシ)シラン、及びb)ジメチル環状シロキサンを平衡化することによって調製されてもよく、ここでb:aの質量比は少なくとも99:1である。
【0056】
キャリア流体
粘液性シリコーン流体のエマルジョンは、シリコーン流体、有機溶媒、有機油、及びこれらの任意の組み合わせから選択されるキャリア流体を含む。キャリア流体は、溶媒と呼ばれることもある。好適なキャリア流体としては、シリコーン(直鎖及び環状のいずれも)、有機油、有機溶媒、及びこれらの組み合わせが挙げられる。具体的な溶媒の例は、米国特許第6,200,581号に見ることができ、この記載は、これらの溶媒に関連する様々な非限定的実施形態における参照により、本明細書に明示的に組み込まれる。一実施形態において、キャリア流体はポリジメチルシロキサンである。種々の他の実施形態において、キャリア流体は、25℃で測定した粘度が1~1,000mm/秒である低粘度のシリコーン又は揮発性メチルシロキサン又は揮発性エチルシロキサン又は揮発性メチルエチルシロキサン、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン、ヘプタメチル-3-{(トリメチルシリル)オキシ)}トリシロキサン、ヘキサメチル-3,3,ビス{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサン、ペンタメチル{(トリメチルシリル)オキシ}シクロトリシロキサン、並びにポリジメチルシロキサン、ポリエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、及びこれらの組み合わせである。有機溶媒に戻って言及すると、有機溶媒としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、アミン、エステル、エーテル、グリコール、グリコールエーテル、ハロゲン化アルキル、芳香族ハロゲン化物、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。イソドデカン、イソヘキサデカン、Isopar L(C11~C13)、Isopar H(C11~C12)、水素添加ポリデセン、及びこれらの組み合わせを含む炭化水素も使用できる。エーテル及びエステル、例えば、イソデシルネオペンタノエート、ネオペンチルグリコールヘプタノエート、グリコールジステアレート、ジカプリリルカーボネート、ジエチルヘキシルカーボネート、プロピレングリコールnブチルエーテル、エチル-3エトキシプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、トリデシルネオペンタノエート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、オクチルドデシルネオペンタノエート、ジイソブチルアジペート、ジイソプロピルアジペート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、オクチルパルミテート、及びこれらの組み合わせも使用できる。有機脂肪、油、脂肪酸、脂肪族アルコール、及びこれらの組み合わせも使用できる。
【0057】
キャリア流体は、典型的には、25℃で測定した粘度が1~1,000、2~50、5~50、2~5、2~10、2~15、2~20mm/秒である。キャリア流体は、典型的には、粘液性シリコーン流体のエマルジョン中に、粘液性シリコーン流体のエマルジョンの1質量%~90質量%、1質量%~85質量%、1質量%~80質量%、5質量%~90、5質量%~85質量%、5質量%~80質量%、10質量%~90質量%、10質量%~85質量%、10質量%~80質量%、10質量%~75質量%、15質量%~90質量%、15質量%~85質量%、15質量%~80質量%、15質量%~75質量%、15質量%~70質量%、15質量%~65質量%、20質量%~65質量%、30質量%~65質量%、又は30質量%~55質量%の量で存在する。上記の任意及び全ての値又はその間の値の範囲も使用してもよいことが想到される。
【0058】
キャリア流体とヒドロシリル化反応生成物との組み合わせにより、粘液性シリコーン流体のエマルジョンに、パスカル秒(Pa・s)の単位で測定し、かつ剪断速度(1/秒)を基準にして収集した粘度がもたらされる。一実施形態において、粘度は7,000mPa・s(cP)である。別の実施形態において、粘度は、1~100,000mPa・s、1~75,000mPa・s、1~50,000mPa・s、1~25,000mPa・s、1~10,000mPa・s、1~7,000mPa・s、100~7,000mPa・s、500~7,000mPa・s、1,000~7,000mPa・s、2,000~7,000mPa・s、3,000~7,000mPa・s、4,000~7,000mPa・s、5,000~7,000mPa・s、6,000~7,000mPa・s、1~6,000mPa・s、1~5,000mPa・s、1~4,000mPa・s、1~3,000mPa・s、1~2,000mPa・s、1~1,000mPa・s、1~500mPa・s、又は1~500mPa・sである。これらの粘度値は、典型的には、Brookfield Viscometer RVDVII、スピンドル4、20rpmを用いて測定される。上記の任意及び全ての値又はその間の値の範囲も使用してもよいことが想到される。
【0059】
エマルジョン
本明細書で使用するとき、特記のない限り、「エマルジョン」は、水連続エマルジョン(例えば水中油型エマルジョン、又は水中シリコーン流体型エマルジョン)、油若しくはシリコーン連続エマルジョン(油中水型エマルジョン又はシリコーン流体中水型エマルジョン)、又は多層エマルジョン(水/油/水、油/水/油型、水/シリコーン/水、又はシリコーン/水/シリコーン)を表す。粘液性シリコーン流体のエマルジョンは、撹拌、均質化、及び超音波(sonalating)等の当該技術分野の任意の技法を用いて、例えば、バッチ、半連続的、又は連続プロセスにより、調製してもよい。
【0060】
一実施形態において、エマルジョンは水中油型エマルジョンであり、少なくとも1つの界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤は様々であってもよいが、典型的には、水連続エマルジョンの形成を促進する界面活性剤から選択される。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤又はこれら界面活性剤のいずれかの混合物であってもよい。
【0061】
界面活性剤は、エマルジョンの0.01質量%~20質量%、0.01質量%~15質量%、0.01質量%~10質量%、0.1質量%~20質量%、0.1質量%~15質量%、0.1質量%~10質量%、0.5質量%~10質量%、又は0.5質量%~5質量%の量であってもよい。
【0062】
アニオン性界面活性剤の例としては、高級脂肪酸のアルカリ金属、アミン又はアンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩、長鎖脂肪族アルコールサルフェート、オレフィンサルフェート及びオレフィンスルホネート、硫酸化モノグリセリド、硫酸化エステル、スルホン酸化エトキシ化アルコール、スルホスクシネート、アルカンスルホネート、リン酸エステル、アルキルイセチオネート、アルキルタウレート、アルキルサルコシネート、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
カチオン性界面活性剤の例としては、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、スルホニウム塩及びホスホニウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
両性界面活性剤の例としては、イミダゾリン化合物、アルキルアミノ酸塩、ベタイン及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
好適なノニオン性界面活性剤の例としては、エチレンオキシドとC12~C16アルコール等の長鎖脂肪族アルコール又は脂肪酸との縮合物、エチレンオキシドとアミン又はアミドとの縮合物、エチレンとプロピレンオキシドとの縮合生成物、グリセロール、スクロース、ソルビトールのエステル、脂肪酸アルキロールアミド、スクロースエステル、フルオロ界面活性剤、脂肪族アミンオキシド及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ノニオン性界面活性剤の更なる例としては、ポリオキシエチレン脂肪族アルコール、例えば、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル、エトキシル化アルコール、例えば、エトキシル化トリメチルノナノール、C12~C14第二級アルコールエトキシレート、エトキシル化C10-ゲルベアルコール、エトキシル化イソ-C13アルコール、ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)トリ-ブロックコポリマー(ポロキサマーとも呼ばれる。)、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドのエチレンジアミンへの逐次付加から誘導される四官能性ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマー(ポロキサミンとも呼ばれる。)、シリコーンポリエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、エトキシル化トリメチルノナノール、及びポリオキシアルキレングリコール変性ポリシロキサン界面活性剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0066】
ノニオン性界面活性剤を含有する混合物が使用される場合、一方のノニオン性界面活性剤が低い親水性-親油性バランス(HLB)を有し、他方のノニオン性界面活性剤(複数を含む。)が高いHLBを有して、ノニオン性界面活性剤の合計HLBが11~15、あるいは合計HLBが12.5~14.5となるようにしてもよい。
【0067】
ノニオン性界面活性剤の更なる例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、直鎖第一級アルコールアルコキシレート、直鎖第二級アルコールアルコキシレート、アルキルフェノールアルコキシレート、オレフィンアルコキシレート、分枝鎖アルコキシレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、エトキシル化トリメチルノナノール、ポリオキシアルキレン置換シリコーン(レーキ又はABn型)、シリコーンアルカノールアミド、シリコーンエステル、シリコーングリコシド、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0068】
ノニオン性界面活性剤の更なる例としては、ジメチコンコポリオール、ポリオールの脂肪酸エステル、例えば、ソルビトール又はグリセリルモノ-、ジ-、トリ-、又はセスキオレエート又はステアレート、グリセリル又はポリエチレングリコールラウレート、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル(ポリエチレングリコールモノステアレート又はモノラウレート)、ソルビトールのポリオキシエチレン化脂肪酸エステル(ステアレート又はオレエート)、ポリオキシエチレン化アルキル(ラウリル、セチル、ステアリル又はオクチル)エーテルが挙げられる。
【0069】
アニオン性界面活性剤の更なる例としては、カルボン酸塩(2-(2-ヒドロキシアルキルオキシ)酢酸ナトリウム))、アミノ酸誘導体(N-アシルグルタミン酸塩、N-アシルグリシン酸塩又はアシルサルコシン酸塩)、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート及びこれらのオキシエチレン化誘導体、スルホン酸塩、イセチオン酸塩及びN-アシルイセチオン酸塩、タウリン酸塩及びN-アシルN-メチルタウリン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、リン酸塩及びアルキルリン酸塩、ポリペプチド、アルキルポリグリコシドのアニオン性誘導体(アシル-D-ガラクトシドウロン酸塩)及び脂肪酸石鹸、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0070】
両性及び双性イオン性界面活性剤の更なる例としては、ベタイン、N-アルキルアミドベタイン及びこれらの誘導体、タンパク質及びその誘導体、グリシン誘導体、スルタイン、アルキルポリアミノカルボキシレート及びアルキルアンホアセテート、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0071】
本発明のエマルジョンは、当該技術分野において「マクロ」又は「マイクロ」エマルジョンとみなされるものから選択されてもよい。換言すれば、エマルジョンの平均粒径は、0.001~1000μm、あるいは0.01~20μm、又はあるいは0.02~10μmで変動してもよい。エマルジョンは、100nm未満の平均粒径を有するマイクロエマルジョンであってもよい。
【0072】
粒径はMalvern-Mastersizer(登録商標)2000又はMicrotrac-Nanotrac(登録商標)で測定してもよい。粒径は、エマルジョンのレーザー回折により決定してもよい。好適なレーザー回折技法は、当該技術分野において良く知られている。粒径は粒径分布(PSD)から得られる。PSDは、体積、表面、長さを基準に決定することができる。体積粒径は、所与の粒子と同じ体積を有する球体の直径と等しい。用語「Dv」は、本明細書で使用されるとき、分散した粒子の平均体積粒径を表す。Dv50(又はDv0.5)は、累積粒子集団の50%に相当する、体積によって測定された粒径である。換言すれば、Dv50=10μmである場合、粒子の50%は10μmを下回る平均体積粒径を有し、粒子の50%は10μmを超える体積平均粒径を有する。Dv90(又はDv0.9)は、累積粒子集団の90%に相当する、体積で測定された粒径であり、Dv10(又はDv0.1)は、累積粒子集団の10%に相当する、体積で測定された粒径である。
【0073】
本発明のエマルジョンの調製は、水の添加及び混合を伴う。混合は、剪断混合であってもよい。混合は、混合をもたらす、当該技術分野において既知の任意の方法によって達成することができる。混合は、バッチ法、半連続法又は連続法のいずれかとして行われてもよい。混合を行なうことができるものには、例えば、チェンジカンミキサ-、ダブルプラネタリーミキサー、円錐型スクリューミキサー、リボンブレンダー、ダブルアームミキサー又はシグマブレードミキサー等の中/低剪断のバッチ混合装置、Charles Ross&Sons(NY)、Hockmeyer Equipment Corp.(NJ)製のもの等の高剪断及び高速分散のバッチ装置、バンバリー型(CW Brabender Instruments Inc.,NJ)及びヘンシェル型(Henschel mixers America,TX)等の高剪断作用を有するバッチ装置が挙げられる。連続ミキサー/混練機の代表例としては、単軸、二軸、及び多軸押出機、共回転押出機、例えば、Krupp Werner&Pfleiderer Corp(Ramsey,NJ)及びLeistritz(NJ)製のもの、二軸逆回転押出機、二段階押出機、ツインローター連続ミキサー、動的若しくは静的ミキサー、又はこれらの装置の組み合わせが挙げられる。あるいは、混合はまた、高剪断混合を提供してエマルジョンの生成をもたらすことが当該技術分野で知られている技法によって行われてもよい。そのような高剪断混合技法の代表例としては、高速撹拌機、ホモジナイザー、Sonolators(登録商標)、Microfluidizers(登録商標)、Rossミキサー、Eppenbachコロイドミル、Flacktek Speedmixers(登録商標)及び他の同様の剪断装置が挙げられる。
【0074】
混合を行う温度及び圧力は重要ではないが、概ね周囲温度及び圧力で実施される。典型的には、混合物の温度は、高粘度材料の剪断に伴う機械的エネルギーのため、混合過程中に上昇するであろう。
【0075】
添加水の量は様々であってもよい。典型的には、添加水の量は、混合物の1~1000質量部、又はあるいは100質量部当たり5~500質量部、あるいは100質量部当たり5~100質量部で変動してもよい。
【0076】
水は、エマルジョンを形成するような比率で混合下の混合物に添加される。混合物への水の添加は数回に分けて行ってもよく、各回の水の分量は混合物の50質量%未満、あるいは混合物の25質量%であり、各回の水は、前回加えた水が分散した後にそれに続いて添加され、十分な回数の水を添加することでエマルジョンを形成する。
【0077】
一実施形態において、本発明により調製されるエマルジョンは、1.0質量%未満のシクロシロキサンを含有してもよく、あるいは0.5質量%未満のシクロシロキサンを含有し、あるいは0.1質量%未満のシクロシロキサンを含有する。別の実施形態において、エマルジョンは、各々1.0質量%未満のオクタメチルシクロテトラシロキサン(D)及びデカメチルシクロペンタシロキサン(D)を含有してもよく、あるいは、各々0.5質量%未満のオクタメチルシクロテトラシロキサン(D)及びデカメチルシクロペンタシロキサン(D)を含有し、又はあるいは各々0.1質量%未満のオクタメチルシクロテトラシロキサン(D)及びデカメチルシクロペンタシロキサン(D)を含有する。少量のシクロシロキサンは、シクロシロキサンを除去することによって、又はシクロシロキサンを除去するための追加の工程を実施する必要なく、得られる。
【0078】
本発明のエマルジョンは、追加の構成成分を含有してもよい。追加の構成成分は、上記の任意選択の化合物の1つ以上であってもよい。追加の構成成分としては、溶媒、希釈剤、又はこれらの混合物が挙げられる。溶媒には、水への可溶性が高い低分子量有機溶媒が挙げられ、例えば、C1~C4一価アルコール、C2~C5多価アルコールであり、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、アルキレンカーボネート、及びこれらの混合物が挙げられる。典型的な溶媒には、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、プロピレンカーボネート及びこれらの混合物が挙げられる。更なる追加の構成成分には、色処理剤、増粘剤、水相安定化剤、pH調整剤、防腐剤及び殺生物剤、顔料、着色剤、染料、汚れ放出剤、酸化剤、還元剤、無機塩、抗菌剤、抗真菌剤、漂白剤、金属イオン封鎖剤及びこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0079】
本発明のエマルジョンは、パーソナルケア組成物、並びにヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント及びスキンケア用組成物の調製に有用である。本発明のエマルジョンは、消泡組成物にも有用であり、布地に柔軟化効果をもたらすためにも有用である。
【0080】
パーソナルケア組成物
本発明は、パーソナルケア組成物も提供し、これはパーソナルケア製品又は組成物として記載されることもある。パーソナルケア組成物は、上記の粘液性シリコーン流体のエマルジョンを含む。パーソナルケア組成物は、クリーム、ゲル、粉末、ペースト又は注ぎやすい液体の形態であってもよい。一般に、かかる組成物は概して、室温で固体の材料が組成物中に存在しない場合、単純なプロペラミキサー、Brookfield逆回転ミキサー、又は均質化ミキサーを使用して、室温で調製され得る。特別な装置又は加工条件は、典型的には必要ない。作製される形態の種類に応じて調製方法は異なるが、このような方法は当該技術分野において良く知られている。
【0081】
パーソナルケア組成物は、適用される身体部分に対して機能的なもの、美容的なもの、治療的なもの又はこれらのいくつかを組み合わせたものであってもよい。このような製品の従来の例としては、これらに限定されるものではないが、制汗剤及び防臭剤、スキンケアクリーム、スキンケアローション、保湿剤、アクネ又はしわ取り等の美顔トリートメント、パーソナル洗料及び洗顔料、バスオイル、香水、オーデコロン、サッシェ、日焼け防止剤、プレシェーブ及びアフターシェーブローション、ひげそり用石鹸並びに剃毛用泡、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、染毛剤、縮毛矯正剤、ヘアスプレー、ムース、ジェル、パーマネント剤、脱毛剤並びにキューティクルコート剤、化粧、カラー化粧品、ファンデーション、コンシーラー、頬紅、口紅、アイライナー、マスカラ、油脂除去剤、カラー化粧品除去剤並びにパウダー、予防用及び/又は治療用であり得る、抗アクネ剤、歯科衛生剤、抗生物質、治癒促進剤、栄養剤等の薬用クリーム、ペースト又はスプレーが挙げられる。概ね、パーソナルケア組成物は、液体、リンス、ローション、クリーム、ペースト、ゲル、発泡体、ムース、軟膏、スプレー、エアロゾル、石鹸、スティック、軟固形、固体ゲル及びゲルが挙げられるが、これらに限定されない任意の従来の形態による適用を可能にするキャリアと共に配合されてもよい。好適なキャリアは、当該技術分野において理解される。
【0082】
本パーソナルケア組成物は、様々なパーソナル、家庭、及びヘルスケア用途に使用できる。特に、本開示の粘液性シリコーン流体及び/又はパーソナルケア組成物のエマルジョンは、米国特許第6,051,216号、同第5,919,441号、及び同第5,981,680号、国際公開第2004/060271号及び国際公開第2004/060101号に記載のように、パーソナルケア製品に使用してもよく、国際公開第2004/060276号に記載のように、日焼け防止剤組成物に使用してもよく、国際公開第03/105801号に記載のように、皮膜形成樹脂も含有する化粧品組成物に使用してもよく、米国特許公開第2003/0235553号、同第2003/0072730号及び同第2003/0170188号、欧州特許第1,266,647号、同第1,266,648号及び同第1,266,653号、国際公開第03/105789号、国際公開第2004/000247号及び国際公開第03/106614号に記載のように、化粧品組成物に使用してもよく、国際公開第2004/054523号に記載のものへの添加剤として使用してもよく、米国特許公開第2004/0180032号に記載のような長持ちする化粧品組成物に使用してもよく、並びに/又は国際公開第2004/054524号に記載の透明若しくは半透明のケア及び/若しくはメークアップ組成物に使用してもよく、これらは全て、様々な非限定的な実施形態における参照によって本明細書に明示的に組み込まれる。
【0083】
本パーソナルケア組成物及び/又は粘液性シリコーン流体のエマルジョンは、人体、例えば皮膚若しくは毛髪に対してアプリケータ、ブラシを用いて塗布するか、手で塗布する、注ぐ、及び/又は、場合により組成物を身体の表面上若しくは体内に擦り込む若しくはマッサージする等の、標準的な方法によって使用できる。除去方法、例えば、カラー化粧品の除去方法も、洗浄、拭き取り及びピーリング等の公知の標準的な方法である。皮膚に使用する場合、本パーソナルケア組成物、及び/又は粘液性シリコーン流体のエマルジョンを、従来の方法で、例えば皮膚のコンディショニングに用いてもよい。有効量のパーソナルケア組成物及び/又は粘液性シリコーン流体を皮膚に塗布してもよい。このような有効量は、概して1mg/cm~3mg/cmである。皮膚への塗布は、典型的には、パーソナルケア組成物、及び/又粘液性シリコーン流体のエマルジョンを皮膚内に作用させることを含む。この皮膚への塗布方法は、典型的には、有効量のパーソナルケア組成物、及び/又は粘液性シリコーン流体のエマルジョンを皮膚に接触させる工程と、次いで、パーソナルケア組成物、及び/又は粘液性シリコーン流体のエマルジョンを皮膚に擦り込む工程と、を含む。これらの工程は、所望の効果を達成するために、所望に応じて何度でも繰り返すことができる。
【0084】
パーソナルケア組成物、及び/又は粘液性シリコーン流体のエマルジョンの毛髪への使用には、毛髪コンディショニングの従来方法を使用してもよい。毛髪をコンディショニングするための有効量のパーソナルケア組成物、及び/又は粘液性シリコーン流体のエマルジョンを毛髪に塗布する。かかる有効量は、一般的に1g~50g、典型的には1g~20gである。毛髪への塗布は、典型的には、毛髪のほとんど又は全てがパーソナルケア組成物、及び/又は粘液性シリコーン流体のエマルジョンと接触するよう、パーソナルケア組成物及び/又は粘液性シリコーン流体を毛髪全体に作用させる工程、を含む。毛髪をコンディショニングするためのこの方法は、典型的には、有効量のパーソナルケア組成物及び/又は粘液性シリコーン流体のエマルジョンを毛髪に塗布する工程と、次いでパーソナルケア組成物及び/又は粘液性シリコーン流体を毛髪全体に作用させる工程と、を含む。これらの工程は、所望のコンディショニング効果を達成するために、所望に応じて何度でも繰り返すことができる。
【0085】
パーソナルケア組成物、及び/又は粘液性シリコーン流体のエマルジョンに配合してもよい添加剤の非限定的な例としては、これらに限定されるものではないが、追加のシリコーン、抗酸化剤、クレンジング剤、着色剤、追加のコンディショニング剤、付着剤、電解質、軟化剤及び油類、剥離剤、発泡促進剤、芳香剤、湿潤剤、保湿剤、殺シラミ薬、pH調整剤、顔料、防腐剤、殺生物剤、他の溶媒、安定化剤、日焼け防止剤、懸濁化剤、なめし剤、他の界面活性剤、増粘剤、ビタミン、植物成分、蝋、レオロジー改質剤、フケ防止剤、抗アクネ剤、抗齲蝕剤、及び創傷治癒促進剤が挙げられる。
【0086】
シャンプー又はクレンザー等のパーソナルケア組成物は、少なくとも1種のアニオン性洗浄界面活性剤を含んでもよい。これは、シャンプーの配合に典型的に使用される、公知のアニオン性洗浄界面活性剤のいずれかとすることができる。これらのアニオン性洗浄界面活性剤は、シャンプー組成物においてクレンジング剤及び起泡剤として機能することができる。アニオン性洗浄界面活性剤は、アルカリ金属スルホリシノール酸塩、ココヤシ油酸のスルホン化モノグリセリドなどの脂肪酸のスルホン化グリセリルエステル、オレイルイセチオン酸ナトリウム等のスルホン化一価アルコールエステルの塩、オレイルメチルタウリドのナトリウム塩等のアミノスルホン酸のアミド、スルホン酸パルミトニトリル等の脂肪酸ニトリルのスルホン化物、α-ナフタレンモノスルホン酸ナトリウム等のスルホン化芳香族炭化水素、ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物、オクタヒドロアントラセンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム又はラウリル硫酸トリエタノールアミンなどのアルカリ金属アルキル硫酸塩、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、アルキルアリールエーテル硫酸ナトリウム及びアルキルアリールエーテル硫酸アンモニウム等の8個以上の炭素原子のアルキル基を有する硫酸エーテル、8個以上の炭素原子のアルキル基を1つ以上有するアルキルアリールスルホン酸塩、ヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、セチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩及びミリスチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩により例示されるアルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩、CH(CHCHO(CO)SOH、CH(CHCHO(CO)3.5SOH、CH(CHCHO(CO)SOH、CH(CH19CHO(CO)SOH及びCH(CH10CHO(CO)SOHが挙げられるポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル、アルキルナフチルスルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩及びアミン塩、によって例示される。典型的には、洗浄界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム及びラウリルエーテル硫酸アンモニウムから選択される。アニオン性洗浄界面活性剤は、シャンプー組成物の総質量に基づいて、5~50質量%、典型的には5~25質量%の量でシャンプー組成物中に存在し得る。
【0087】
パーソナルケア組成物は、少なくとも1つのカチオン性付着補助剤、典型的にはカチオン性付着ポリマーを含んでもよい。カチオン性付着補助剤は、典型的には0.001~5質量%、典型的には0.01~1質量%、より典型的には0.02質量%~0.5質量%の濃度で存在する。カチオン性付着ポリマーは、ホモポリマーであってもよく、又は、2種類以上のモノマーから生成されてもよい。カチオン性付着ポリマーの分子量は、典型的には、5,000~10,000,000、典型的には少なくとも10,000、及び、典型的には100,000~2,000,000である。カチオン性付着ポリマーは、典型的には、第四級アンモニウム若しくはプロトン化したアミノ基又はこれらの組み合わせ等の、カチオン性窒素含有基を有する。カチオン電荷密度は、少なくとも0.1meq/g、典型的には0.8超、又はそれより高い必要があることが分かっている。カチオン電荷密度は、4meq/g以下にする必要があり、典型的には3未満、より典型的には2meq/g未満である。電荷密度は、ケルダール法を使用して測定することができ、所望の使用pH(概して3~9、典型的には4~8)において、上記の限度内である。上記の任意及び全ての値又はその間の値の範囲も使用してもよいことが想到される。カチオン性窒素含有基は、典型的には、カチオン性付着ポリマーの全モノマー単位の一部に置換基として存在する。したがって、カチオン性付着ポリマーがホモポリマーでない場合、カチオン性付着ポリマーは、スペーサー非カチオン性モノマー単位を含むことができる。このようなカチオン性付着ポリマーは、CTFA Cosmetic Ingredient Directory,3rd editionに記載されており、この記載は、1つ以上の非限定的な実施形態における参照により、本明細書に明示的に組み込まれる。好適なカチオン性付着補助剤としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、アルキル及びジアルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクトン、並びにビニルピロリジン等の、カチオン性アミン又は第四級アンモニウム官能基と水溶性スペーサーモノマーとを有するビニルモノマーのコポリマーが挙げられる。アルキル及びジアルキル置換モノマーは、典型的にはC1~C7アルキル基、より典型的にはC1~C3アルキル基を有する。他の好適なスペーサーとしては、ビニルエステル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、プロピレングリコール及びエチレングリコールが挙げられる。
【0088】
カチオン性アミンは、組成物の特定の種及びpHに応じて、第一級、第二級又は第三級アミンであり得る。概して、第二級及び第三級アミン、特に第三級アミンが典型的である。アミン置換ビニルモノマー及びアミンは、アミン形態で重合され、次に四級化によってアンモニウムに変換され得る。好適なカチオン性アミノ及び第四級アンモニウムモノマーとしては、例えば、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、モノアルキルアミノアルキルアクリレート、モノアルキルアミノアルキルメタクリレート、トリアルキルメタクリルオキシアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアクリルオキシアルキルアンモニウム塩、ジアリル第四級アンモニウム塩で置換されたビニル化合物、並びにピリジニウム、イミダゾリウム及び四級化ピロリジン等の環状カチオン性窒素含有環を有するビニル第四級アンモニウムモノマー、例えば、アルキルビニルイミダゾリウム、及び四級化ピロリジン、例えば、アルキルビニルイミダゾリウム、アルキルビニルピリジニウム、アルキルビニルピロリジン塩が挙げられる。これらのモノマーのアルキル部分は、典型的にはC1~C7アルキル、より典型的にはC1及びC2アルキル等の低級アルキルである。本明細書における使用に好適なアミン置換ビニルモノマーとしては、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド及びジアルキルアミノアルキルメタクリルアミドが挙げられ、ここで、アルキル基は、典型的にはC1~C7ヒドロカルビル、より典型的にはC1~C3アルキルである。カチオン性付着補助剤は、アミン及び/若しくは第四級アンモニウム置換モノマー、並びに/又は相溶性スペーサーモノマーから誘導されるモノマー単位の組み合わせを含むことができる。好適なカチオン性付着補助剤としては、例えば:1-ビニル-2-ピロリジン及び1-ビニル-3-メチルイミダゾリウム塩(例えば、塩化物)のコポリマー(当業界では、the Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association,「CTFA」により、ポリクアテルニウム-16と呼ばれる。)、例えば、BASF Wyandotte Corp.(Parsippany,N.J.,USA)より商標名LUVIQUAT(例えばLUVIQUAT FC370)で市販されているもの等、1-ビニル-2-ピロリジン及びジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー(当業界では、CTFAによってポリクアテルニウム-11と呼ばれる。)、例えば、Gar Corporation(Wayne,N.J.,USA)より商標名GAFQUAT(例えばGAFQUAT755N)で市販されているもの等、カチオン性ジアリル第四級アンモニウム含有ポリマー、例えば、当業界(CTFA)でそれぞれポリクアテルニウム6及びポリクアテルニウム7と呼ばれるジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー及びアクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムクロライドとのコポリマー、米国特許第4,009,256号に記載のような、3~5個の炭素原子を有する不飽和カルボン酸のホモ及びコポリマーのアミノアルキルエステルの鉱酸塩、並びに英国出願第9403156.4号(国際公開第95/22311号)に記載のような、カチオン性ポリアクリルアミドが挙げられ、これらのそれぞれは1つ以上の非限定的実施形態において本明細書に明示的に組み込まれる。
【0089】
使用できる他のカチオン性付着補助剤としては、カチオン性セルロース誘導体及びカチオン性デンプン誘導体等の多糖類ポリマーが挙げられる。本開示の組成物における使用に適したカチオン性多糖ポリマー材料としては、式A-O(R-N)のものが挙げられ、式中、Aは、デンプン又はセルロース無水グルコース残基等の無水グルコース残基であり、Rは、アルキレンオキシアルキレン、ポリオキシアルキレン若しくはヒドロキシアルキレン基又はこれらの組み合わせであり、R、R及びRは独立して、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル又はアルコキシアリール基であり、各基は最大18個の炭素原子を含有し、各カチオン部分における炭素原子の総数(すなわち、R、R及びRにおける炭素原子の合計)は、典型的には20個以下であり、Xは前述のようなアニオン性対イオンである。カチオン性セルロースは、Amerchol Corp.(Edison,N.J.,USA)からポリマーiR(商標)及びLR(商標)シリーズのポリマーで、当業界(CTFA)においてポリクアテルニウム10と呼ばれる、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの塩として市販されている。
【0090】
別の種類のカチオン性セルロースとしては、当業界(CTFA)においてポリクアテルニウム24と呼ばれる、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースのポリマー第四級アンモニウム塩が挙げられる。これらの材料は、Amerchol Corp.(Edison,NJ,USA)より、商標名Polymer LM-200で入手可能である。使用できる他のカチオン性付着補助剤としては、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド等のカチオン性グアーガム誘導体が挙げられる(Celanese Corp.より、Jaguar商標シリーズで市販)。他の材料としては、第四級窒素含有セルロースエーテル(例えば、米国特許第3,962,418号に記載)、並びにエーテル化セルロース及びデンプンのコポリマー(例えば、米国特許第3,958,581号に記載)が挙げられ、これらの記載のそれぞれは、1つ以上の非限定的な実施形態における参照により、本明細書に明示的に組み込まれる。
【0091】
パーソナルケア組成物は、発泡促進剤を含んでもよい。発泡促進剤は、泡の崩壊を遅延する泡安定化剤とは対照的に、界面活性剤の一定のモル濃度で、系から利用可能な泡の量を増加させる作用剤である。泡の形成は、発泡促進有効量の発泡促進剤を、水性媒体に加えることによってもたらされる。発泡促進剤は、典型的には、脂肪酸アルカノールアミド及びアミンオキシドから選択される。脂肪酸アルカノールアミドの例としては、イソステアリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、カプリン酸ジエタノールアミド、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、リノール酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ヤシ脂肪酸モノエタノールアミド、オレイン酸モノイソプロパノールアミド及びラウリン酸モノイソプロパノールアミドがある。アミンオキシドの例としては、N-ココジメチルアミンオキシド、N-ラウリルジメチルアミンオキシド、N-ミリスチルジメチルアミンオキシド、N-ステアリルジメチルアミンオキシド、N-コカミドプロピルジメチルアミンオキシド、N-タローアミドプロピルジメチルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)C12~15アルコキシプロピルアミンオキシドがある。
【0092】
典型的には、発泡促進剤は、ラウリン酸ジエタノールアミド、N-ラウリルジメチルアミンオキシド、ヤシ酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド及びオレイン酸ジエタノールアミドから選択される。発泡促進剤は、典型的には、組成物の総質量に基づいて、1~15質量%、より典型的には2~10質量%の量でシャンプー組成物中に存在する。組成物は更に、起泡性能を改善するために、ポリアルキレングリコールを含んでもよい。シャンプー組成物中のポリアルキレングリコールの濃度は、シャンプー組成物の0.01質量%~5質量%、典型的には0.05質量%~3質量%、より典型的には0.1質量%~2質量%であり得る。任意選択のポリアルキレングリコールは、一般式H(OCHCHR)-OH(式中、Rは、H、メチル及びこれらの組み合わせから選択される。)を特徴とする。RがHであるとき、これらの材料は、エチレンオキシドのポリマーであり、これらはまた、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン及びポリエチレングリコールとしても既知である。Rがメチルであるとき、これらの材料は、プロピレンオキシドのポリマーであり、これらはまた、ポリプロピレンオキシド、ポリオキシプロピレン及びポリプロピレングリコールとしても既知である。Rがメチルであるとき、得られるポリマーの種々の位置異性体が存在し得ることも理解される。上記の構造において、nは、平均値1500~25,000、典型的には2500~20,000、より典型的には3500~15,000を有する。本明細書で有用なポリエチレングリコールポリマーには、RがHに等しく、nが平均値2,000であるPEG-2M(PEG-2MはPolyox WSR9 N-10としても知られ、Union Carbideより入手可能であり、またPEG-2,000としても知られる。)、RがHに等しく、nが平均値5,000を有するPEG-5M(PEG-5MはPolyox WSRO N-35及びPolyox WSRS N-80としても知られ、いずれもUnion Carbideより入手可能であり、また、PEG-5,000及びPolyethylene Glycol 300,000としても知られる。)、RがHに等しく、nが平均値7,000を有するPEG-7M(PEG-7Mは、Union Carbideより入手可能なPolyox WSRO N-750としても知られる。)、RがHに等しく、nが平均値9,000を有するPEG-9M(PEG 9-Mは、Union Carbideより入手可能なPolyox WSRS N-3333としても知られる。)、並びにRがHに等しく、nが平均値14,000を有するPEG-14 M(PEG-14Mは、Union Carbideより入手可能なPolyox WSRO N-3000としても知られる。)、がある。他の有用なポリマーとしては、ポリプロピレングリコール及び混合ポリエチレン/ポリプロピレングリコールが挙げられる。
【0093】
パーソナルケア組成物は、懸濁化剤を、シリコーンコンディショニング剤、又は他の水不溶性材料を懸濁するのに有効な濃度で、パーソナルケア組成物中に分散した形態で含有してもよい。かかる濃度は、パーソナルケア組成物の0.1質量%~10質量%、典型的には0.3質量%~5.0質量%であってもよい。懸濁化剤としては、アシル誘導体、長鎖アミンオキシド、及びこれらの組み合わせとして分類できる結晶性懸濁化剤が挙げられ、その濃度は、シャンプー組成物の0.1質量%~5.0質量%、典型的には0.5質量%~3.0質量%であり得る。これらの懸濁化剤は、米国特許第4.741,855号に記載されており、これは1つ以上の非限定的実施形態における参照により本明細書に明示的に組み込まれる。これらの典型的な懸濁化剤としては、典型的には16~22個の炭素原子を有する脂肪酸のエチレングリコールエステルが挙げられる。より典型的なものは、エチレングリコールステアレート(モノステアレート及びジステアレートの両方)であるが、特に7%未満のモノステアレートを含有するジステアレートである。
【0094】
他の好適な懸濁化剤としては、典型的には16~22個の炭素原子、より典型的には16~18個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミドが挙げられ、その典型的な例としては、ステアリン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸モノイソプロパノールアミド、及びステアリン酸モノエタノールアミドステアレートが挙げられる。他の長鎖アシル誘導体としては、長鎖脂肪酸の長鎖エステル(例えば、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸セチル等)、グリセリルエステル(例えば、ジステアリン酸グリセリル)及び長鎖アルカノールアミドの長鎖エステル(例えば、ステアリン酸ステアラミドジエタノールアミド、ステアリン酸ステアラミドモノエタノールアミド)が挙げられる。上に列挙した典型的な材料に加え、長鎖アシル誘導体、長鎖カルボン酸のエチレングリコールエステル、長鎖アミンオキシド、及び長鎖カルボン酸のアルカノールアミドが、懸濁化剤として使用されてもよい。例えば、C8~C22鎖を有する長鎖ヒドロカルビルを有する懸濁化剤が使用されてもよいことが想到される。懸濁化剤としての使用に好適な他の長鎖アシル誘導体としては、N,N-ジヒドロカルビルアミド安息香酸及びその可溶性塩(例えば、Na、K)、特に、このファミリーのN,N-ジ(水素添加)C16、C18及びタローアミド安息香酸種が挙げられ、これらは、Stepan Company(Northfield,Ill,USA)より市販されている。懸濁化剤としての使用に好適な長鎖アミンオキシドの例としては、アルキル(C16~C22)ジメチルアミンオキシド、例えば、ステアリルジメチルアミンオキシドが挙げられる。他の好適な懸濁化剤は、シャンプー組成物の0.3質量%~3質量%、典型的には0.4質量%~1.2質量%の範囲の濃度のキサンタンガムを含む。懸濁化剤としてのキサンタンガムの使用は、例えば、米国特許第4,788,006号に記載されており、これは1つ以上の非限定的実施形態における参照により本明細書に明示的に組み込まれる。長鎖アシル誘導体及びキサンタンガムの組み合わせもまた、シャンプー組成物中の懸濁化剤として使用され得る。かかる組み合わせは、米国特許第4,704,272号に記載されており、これは1つ以上の非限定的実施形態における参照により本明細書に明示的に組み込まれる。他の好適な懸濁化剤としては、カルボキシビニルポリマーが挙げられる。これらのポリマーのうち典型的なものは、米国特許第2,798,053号に記載のポリアリルスクロースと架橋したアクリル酸のコポリマーであり、これは1つ以上の非限定的実施形態における参照により本明細書に明示的に組み込まれる。これらのポリマーの例としては、B.F.Goodrich Companyから入手可能なカーボポール934、940、941、及び956が挙げられる。他の好適な懸濁化剤としては、少なくとも16個の炭素原子を有する脂肪族アルキル部分を有する第一級アミンが挙げられるが、その例としては、パルミタミン又はステアラミンが挙げられ、並びに各々少なくとも12個の炭素原子を有する2つの脂肪族アルキル部分を有する第二級アミンが挙げられ、その例としては、ジパルミトイルアミン又はジ(水素添加タロー)アミンが挙げられる。更に他の好適な懸濁化剤としては、ジ(水素添加タロー)フタル酸アミド、及び架橋無水マレイン酸-メチルビニルエーテルコポリマーが挙げられる。組成物にゲル状粘性を付与することができるもの、例えば、水溶性又はコロイド状水溶性ポリマー、例えば、セルロースエーテル(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロース)、グアーガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルグアーガム、デンプン及びデンプン誘導体、並びに他の増粘剤、粘度調整剤、及びゲル化剤等を含む、他の好適な懸濁化剤がシャンプー組成物中で使用され得る。
【0095】
パーソナルケア組成物は、1種以上の水溶性皮膚軟化剤を含んでもよく、その例としては、限定するものではないが、プロピレングリコール及びブチレングリコール等の低分子量脂肪族ジオール、グリセリン及びソルビトール等のポリオール、並びにポリエチレングリコール200等のポリオキシエチレンポリマーが挙げられる。使用される水溶性軟化剤(複数を含む。)の特定の種類及び量は、組成物の所望の美的特性に応じて変わり、当業者によって容易に決定される。
【0096】
パーソナルケア組成物は、上記のキャリア流体とは無関係に、1種以上の油を含んでもよい。本願明細書で使用される用語「油」は、実質的に水不溶性である任意の材料を表す。好適な油としては、限定するものではないが、ココナッツ油等の天然油、鉱油及び水素添加ポリイソブテン等の炭化水素、オクチルドデカノール等の脂肪族アルコール、C12~15のアルキルベンゾエート等のエステル、プロピレンジペラルゴネート等のジエステル、及びトリオクタン酸グリセリル等のトリエステル、並びにシリコーン、特にシクロメチコン及びジメチコン並びにこれらの組み合わせが挙げられる。好適な低粘度油は、25℃で5~100mPa・sの粘度を有し、一般的に構造RCO-OR’を有するエステルであり、式中、RCOは、カルボン酸基を表し、OR’は、アルコール残基である。これらの低粘度油の例としては、イソノナン酸イソトリデシル、ジヘプタン酸PEG-4、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸トリデシル、オクタン酸セチル、パルミチン酸セチル、リシノール酸セチル、ステアリン酸セチル、ミリスチン酸セチル、ココ-ジカプリレート/カプレート、イソステアリン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソへキシル、パルミチン酸オクチル、リンゴ酸ジオクチル、オクタン酸トリデシル、ミリスチン酸ミリスチル、オクトドデカノール、若しくはオクチルドデカノールの組み合わせ、アセチル化ラノリンアルコール、酢酸セチル、イソドデカノール、ポリグリセリル-3-ジイソステアレート、又はこれらの組み合わせが挙げられる。高粘度表面油は、一般的に、25℃で200~1,000,000mPa・sの粘度、典型的には100,000~250,000mPa・sの粘度を有する。表面油としては、ヒマシ油、ラノリン及びラノリン誘導体、トリイソセチルシトレート、ソルビタンセスキオレエート、C10~18トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/トリグリセリド、ココナツ油、コーン油、綿実油、グリセリルトリアセチルヒドロキシステアレート、グリセリルトリアセチルリシノレエート、グリセリルトリオクタノエート、水素添加ヒマシ油、亜麻仁油、ミンク油、オリーブ油、パーム油、イリッペ脂、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、タロー、トリカプリン、トリヒドロキシステアリン、トリイソステアリン、トリラウリン、トリリノレイン、トリミリスチン、トリオレイン、トリパルミチン、トリステアリン、クルミ油、コムギ胚芽油、コレステロール、又はこれらの混合物が挙げられる。油相中の低粘度対高粘度油の推奨される比は、それぞれ1:15~15:1、典型的には1:10~10:1である。本開示の典型的な配合は、低粘度表面油と高粘度表面油との組み合わせを1~20%含む。
【0097】
流動パラフィン若しくは流動石油等の鉱油、又はペルヒドロスクアレン若しくはアララ油等の動物油、又はあるいは甘扁桃油、カロフィルム油、パーム油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油、若しくは穀物胚芽油等の植物油が使用されてもよい。例えば、ラノリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、若しくはミリスチン酸のエステル、オレイルアルコール、リノレイル若しくはリノレニルアルコール、イソステアリルアルコール、若しくはオクチルドデカノール等のアルコール、又はアルコール若しくはポリアルコールのアセチルグリセリド、オクタノエート、デカノエート、若しくはリシノレエートを使用することも可能である。あるいは、水素添加ヒマシ油、パーム油、若しくはココナツ油、若しくは水素添加タロー等の25℃で固体である水素添加油、モノ、ジ、トリ、若しくはスクログリセリド、ラノリン、又は25℃で固体である脂肪族エステルを使用することが可能である。
【0098】
パーソナルケア組成物は、種々の蝋を含んでもよい。蝋は、一般的に、大気圧で35~120℃の融点を有する。この分類の蝋としては、合成蝋、セレシン、パラフィン、オゾケライト、イリッペ脂、蜜蝋、カルナバ、微結晶蝋、ラノリン、ラノリン誘導体、キャンデリラ、カカオバター、セラック蝋、鯨蝋、糠蝋、カポック蝋、サトウキビ蝋、モンタン蝋、鯨蝋、ヤマモモ蝋、又はこれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態において、パーソナルケア組成物は、10~30%の蝋の組み合わせを含む。非シリコーン脂肪族物質として使用できる蝋のうち、蜜蝋等の動物蝋、カルナバ、キャンデリラ、オーリクリー若しくは日本蝋、又はコルク繊維若しくはサトウキビ蝋等の植物蝋、鉱蝋、例えば、パラフィン若しくは亜炭蝋、又は微結晶蝋若しくはオゾケライト、ポリエチレン蝋、及びフィッシャー・トロプシュ合成によって得られる蝋等の合成蝋を挙げることができる。シリコーン蝋のうち、ポリメチルシロキサンアルキル、アルコキシ、及び/又はエステルを挙げることができる。
【0099】
パーソナルケア組成物は、粉末を含んでもよい。粉末は、概して、0.02~50μmの粒径を有する乾燥した微粒子状物質として定義することができる。粉末は、有色又は無色(例えば、白)であってもよい。好適な粉末としては、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、ヒュームドシリカ、球状シリカビーズ、ポリメチルメタクリレートビーズ、微粉化テフロン(登録商標)、窒化ホウ素、アクリレートポリマー、ケイ酸アルミニウム、オクテニルコハク酸アルミニウムデンプン、ベントナイト、ケイ酸カルシウム、セルロース、白亜、トウモロコシデンプン、珪藻土、フラー土、グリセリルデンプン、ヘクトライト、水和シリカ、カオリン、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、マルトデキストリン、モンモリロナイト、微結晶セルロース、米デンプン、シリカ、タルク、雲母、二酸化チタン、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、ロジン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ポリエチレン、アルミナ、アタパルジャイト、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、デキストラン、カオリン、ナイロン、シリル化シリカ、シルクパウダー、セリサイト、大豆粉、酸化スズ、水酸化チタン、リン酸三マグネシウム、クルミ殻粉末、又はこれらの組み合わせが挙げられる。上記粉末は、レシチン、アミノ酸、鉱油、シリコーン油、又は各種の他の薬剤の単独又は併用によって表面処理してもよく、これによって粉末表面をコーティングし、粒子を本質的に疎水性にする。
【0100】
上記粉末はまた、有機及び/又は無機顔料を含むか、あるいは有機及び/又は無機顔料であってもよい。有機顔料は、一般に、D&C及びFD&Cブルー、ブラウン、グリーン、オレンジ、レッド、イエロー等と称されるアゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントラキノン、及びキサンチン染料等の種々の芳香族型である。無機顔料は一般的にレーキ又は酸化鉄と呼ばれる、認証着色添加物の不溶性金属塩からなる。カーボンブラック、酸化クロム、酸化鉄、ウルトラマリン、ピロリン酸マンガン、アイアンブルー、及び二酸化チタン等の粉末着色剤、一般的に着色顔料との併用で用いられる真珠光沢剤、又は一般的に着色顔料との併用で用いられ、化粧品業界において通常的に用いられるいくつかの有機染料を組成物に添加することができる。一般的に、上記の着色剤は、パーソナルケア組成物の質量を基準にして0~20質量%の量で存在し得る。
【0101】
粉末は、シリコーン粉末を含んでもよい。シリコーン粉末は、粉末形態の、すなわち、水又は液体又は溶媒が除去された、オルガノポリシロキサンを有する組成物である。シリコーン粉末は、シリコーン(オルガノポリシロキサン)のエマルジョンから、水又はあらゆる溶媒を除去することによって調製できる。シリコーン又はオルガノポリシロキサンは、シリコーンエラストマー、シリコーン樹脂、シリコーンガム又はシリコーン流体であることができる。
【0102】
粉末状無機又は有機充填剤も、概してパーソナルケア組成物の質量に対して0~40質量%の量で、添加することができる。これらの粉末状充填剤は、タルク、雲母、カオリン、酸化亜鉛又はチタン、炭酸カルシウム又はマグネシウム、シリカ、球状二酸化チタン、ガラス又はセラミックビーズ、8~22個の炭素原子を有するカルボン酸由来金属石鹸、非発泡合成ポリマー粉末、発泡粉末、並びに穀物デンプン等の天然有機化合物由来粉末から選択でき、架橋していてもしていなくてもよい。充填剤は、典型的には、組成物の全質量の0~35%、より典型的には5~15%の割合で存在してもよい。特に、タルク、雲母、シリカ、カオリン、ナイロン粉末(特にORGASOL)、ポリエチレン粉末、テフロン(登録商標)、デンプン、窒化ホウ素、EXPANCEL(Nobel Industrie)等のコポリマーミクロスフェア、ポリトラップ及びシリコーン樹脂マイクロビーズ(例えば、東芝のトスパール)を挙げることができる。
【0103】
パーソナルケア組成物は、日焼け防止剤を含んでもよい。日焼け防止剤は、典型的には、290~320nm(UV-B領域)の紫外線を吸収し、例えば、限定するものではないが、パラ-アミノ安息香酸誘導体及びオクチルメトキシシンナメート等のシンナメート、並びに320~400nmの範囲(UV-A領域)の紫外線を吸収するもの、例えば、ベンゾフェノン及びブチルメトキシジベンゾイルメタンである。日焼け防止剤のいくつかの追加例は、p-メトキシ桂皮酸2-エトキシエチル、アントラニル酸メンチル、サリチル酸ホモメンチル、p-アミノ安息香酸グリセリル、p-アミノ安息香酸イソブチル、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンスルホン酸、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、安息香酸エチルの4-モノ及び4-ビス(3-ヒドロキシ-プロピル)アミノ異性体、及び2-エチルヘキシルp-ジメチルアミノベンゾエートである。種々の実施形態において、日焼け防止剤は欧州特許公開第678,292(A)号に記載のものであり、この記載は、本願明細書の1つ以上の非限定的実施形態において参照により明示的に組み込まれる。種々の実施形態において、日焼け止め剤は、少なくとも1つのカルボン酸又は更に良好にはスルホン酸基を含む。この酸基は、遊離型又は部分的若しくは完全に中和型であり得る。酸官能基を含有する1つ以上の親水性日焼け防止剤を用いることが可能である。少なくとも1つのSO3H基を含有する酸性日焼け防止剤の例としては、特に3-ベンジリジン-2-カンファースルホン酸誘導体を挙げることができる。特に典型的な化合物は、ベンゼン-1,4-[ジ(3-メチリデンカンファー-10-スルホン酸)]である。この日焼け防止剤は280nm~400nmの波長を有する紫外線を吸収することができ、吸収極大が320nm~400nm、特に345nmである広域帯日焼け防止剤である。この日焼け防止剤は酸性型にて、又はトリエタノールアミン、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選択される塩基によって塩化されて使用される。更に、この日焼け防止剤はシス又はトランス型で存在し得る。この日焼け防止剤は、Mexoryl SXの商標名で知られている。他の具体例としては、4-(3-メチリデンカンファー)ベンゼンスルホン酸、3-ベンジリデンカンファー-10-スルホン酸、2-メチル-5-(3-メチリデンカンファー)ベンゼンスルホン酸、2-クロロ-5-(3-メチリデンカンファー)ベンゼンスルホン酸、3-(4-メチル)ベンジリデンカンファー-10-スルホン酸、(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチル)ベンジリデンカンファー-10-スルホン酸、(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メトキシ)ベンジリデンカンファー-10-スルホン酸、(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンジリデンカンファー-10-スルホン酸、2-メトキシ-5-(3-メチリデンカンファー)ベンゼンスルホン酸、3-(4,5-メチレンジオキシ)ベンジリデンカンファー-10-スルホン酸、3-(4-メトキシ)ベンジリデンカンファー-10-スルホン酸、3-(4,5-ジメトキシ)ベンジリデンカンファー-10-スルホン酸、3-(4-n-ブトキシ)ベンジリデンカンファー-10-スルホン酸、3-(4-n-ブトキシ-5-メトキシ)ベンジリデンカンファー-10-スルホン酸、2-[4-(カンファーメチリデン)フェニル]ベンズイミダゾール-5-スルホン酸がある。好適な化合物については、米国特許第4,585,597号、並びに仏国特許公開2,236,515号、同2,282,426号、同2,645,148号、同2,430,938号及び同2,592,380号に記載されており、これらの記載はそれぞれ、本願明細書の1つ以上の非限定的実施形態において参照により明示的に組み込まれる。スルホン酸基を含有する日焼け防止剤は、ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、又はUV-B照射領域で優れた光防護性能を有し、Merckより商標名「Eusolex232」で販売されている2-フェニルベンゾイミダゾール-5-スルホン酸、ベンゼン-1,4-ジ(ベンゾイミダゾール-2-イル-5-スルホン酸)、ベンゼン-1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2-イル-5-スルホン酸)であってもよい。親水性日焼け防止剤(複数を含む。)は、本開示による最終組成物中に、パーソナルケア組成物の総質量を基準にして0.1~20質量%、典型的には0.2~10質量%であり得る含有量で存在することができる。
【0104】
ジベンゾイルメタンから誘導される日焼け防止剤、特に4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンのような追加の親油性日焼け防止剤を使用することができ、これは高い固有の吸収力を効果的に有する。UV-A活性日焼け防止剤として公知の製品であるこれらのジベンゾイルメタン誘導体については、特に仏国特許公開第2,326,405(A)号及び仏国特許公開第2,440,933(A)号、並びに欧州特許公開第0,114,607(A)号に記載されており、このそれぞれは、1つ以上の非限定的実施形態における参照により本明細書に明示的に組み込まれる。4-(tert-ブチル)-4’-メトキシジベンゾイルメタンは、現在、Givaudanより「Parsol1789」の商標名で販売されている。本開示による典型的な別のジベンゾイルメタン誘導体は、4-イソプロピルジベンゾイルメタンであり、この日焼け防止剤はMerckにより「Eusolex8020」の商標名で販売されている。同様に、UV-B領域における活性について既知の液体親油性日焼け防止剤であるオクトクリレンは市販されており、特にBASFにより「Uvinul N539」の商標名で販売されている。本開示に用いることができる別の親油性(又は脂溶性)日焼け防止剤としては、UV-B吸収剤としても知られ、特にMerckにより「Eusolex6300」の商標名で販売されているp-メチルベンジリデンカンファーも挙げることができる。親油性日焼け防止剤(複数を含む。)は、本開示による組成物中に、組成物の総質量の0.5~30%、典型的には0.5~20%となり得る含有量で存在し得る。親油性又は親水性有機日焼け防止剤の他の例については、欧州特許公開第0,487,404(A)号に記載されており、この記載は、1つ以上の非限定的実施形態における参照により本明細書に明示的に組み込まれる。本開示による化粧品及び/又は皮膚組成物は、被覆又は非被覆金属酸化物の顔料又はあるいはナノ顔料(平均一次粒径は、一般的に5nm~100nm、典型的には10~50nm)も含有することができ、その例としては、酸化チタン(アモルファス又はルチル及び/若しくはアナターゼ型に結晶化)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム又は酸化セリウムのナノ顔料が挙げられ、これらは全てそれ自体公知である光防護剤であり、UV照射を物理的にブロック(反射及び/又は散乱)することによって機能する。標準的なコーティング剤としては、更に、アルミナ及び/又はステアリン酸アルミニウム、並びにシリコーンがある。こうした被覆又は非被覆金属酸化物ナノ顔料については特に欧州特許公開第0,518,772(A)号及び同第0,518,773(A)号に記載されており、このそれぞれは1つ以上の非限定的実施形態における参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0105】
都合のよい粘度をもたらすために、増粘剤をパーソナルケア組成物に使用してもよい。例えば、25℃で500~25,000mm/s、更に又はあるいは25℃で3,000~7,000mm/sの粘度が得られてもよい。好適な増粘剤としては、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、ポリオキシエチレン、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、エトキシル化アルコール、例えば、ラウレス-4又はポリエチレングリコール400、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルヒドロキシエチルセルロースによって例示されるセルロース誘導体、ヒドロキシエチルアミロース及びデンプンアミロースによって例示されるデンプン及びデンプン誘導体、ローカストビーンガム、塩化ナトリウム及び塩化アンモニウムによって例示される電解質、並びにフルクトース及びグルコース等の糖類、並びに糖類の誘導体、例えば、PEG-120メチルグルコースジオレート、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせが挙げられる。あるいは、増粘剤は、セルロース誘導体、糖誘導体、及び電解質から、又はセルロース誘導体と任意の電解質、及びデンプン誘導体と任意の電解質の組み合わせによって例示される上記増粘剤のうちの2つ以上の組み合わせから選択される。増粘剤は、使用するとき、シャンプー組成物中に存在し、25℃で500~25,000mm/sの粘度をもたらし得る。あるいは、増粘剤は、パーソナルケア組成物の総質量に基づいて0.05~10質量%、あるいは0.05~5質量%の量で存在し得る。
【0106】
安定化剤も、例えば、エマルジョンの水相に使用することができる。好適な水相安定化剤は、単独で、又は組み合わせて、1つ以上の電解質、ポリオール、エチルアルコール等のアルコール、及び親水コロイドを含むことができる。典型的な電解質は、アルカリ金属塩及びアルカリ土類塩、特に、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムの塩化物塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、及び硫酸塩、並びにアルミニウムクロロハイドレート、及びポリ電解質、特にヒアルロン酸及びヒアルロン酸ナトリウムである。安定化剤が電解質であるとき、又は電解質を含むとき、その量は、パーソナルケア組成物の0.1~5質量%、あるいは0.5~3質量%である。親水コロイドは、キサンタンガム又はビーガム等のガム、及びカルボキシメチルセルロース等の増粘剤を含む。グリセリン、グリコール、及びソルビトール等のポリオールもまた使用することができる。代替のポリオールは、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、及びブチレングリコールである。大量のポリオールが使用される場合、電解質を添加する必要はない。しかしながら、電解質、ポリオール及び水相を安定化させる親水コロイド、例えば、硫酸マグネシウム、ブチレングリコール及びキサンタンガムの組み合わせを使用するのが典型的である。
【0107】
エマルジョンに戻って言及すると、エマルジョンは、限定するものではないが、スティック、軟固体、ロールオン、エアロゾル、及びポンプスプレーの形態で、制汗剤及び防臭剤組成物に使用できる。制汗剤及び防臭剤のいくつかの例は、塩化アルミニウム、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレックスGLY、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレックスPEG、アルミニウムクロロハイドレックス、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレックスPG、アルミニウムクロロハイドレックスPEG、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、アルミニウムクロロハイドレックスPG、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレックスGLY、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、アルミニウムセスキクロロハイドレート、重炭酸ナトリウム、アルミニウムセスキクロロハイドレックスPEG、クロロフィリン-銅錯体、トリクロサン、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレート、及びリシノール酸亜鉛である。
【0108】
パーソナルケア組成物は、二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素等の噴射ガス、ブタン、イソブタン、又はプロパン等の揮発性炭化水素、並びにジクロロジフルオロメタン及びジクロロテトラフルオロエタン等の塩素化若しくはフッ素化炭化水素、又はジメチルエーテルとの組み合わせのエアロゾルであり得る。
【0109】
本発明の粘液性シリコーン流体のエマルジョン及びキャリア流体以外のシリコーン組成物もまた、パーソナルケア組成物に含まれてもよい。例えば、こうしたシリコーンとしては、シリコーン流体、ガム、樹脂、エラストマー、シリコーンポリエーテルのようなシリコーン界面活性剤及び乳化剤、アミノ官能性シリコーンのような有機官能性シリコーン、並びにアルキルメチルシロキサンが挙げられる。アルキルメチルシロキサンが本組成物に含まれてもよい。これらのシロキサンポリマーは、一般に、典型的には式MeSiO[MeSiO][MeRSiO]SiMeを有し、式中、Rは、6~30個の炭素原子を含有する炭化水素基であり、Meは、メチルを表し、重合度(DP)、すなわちyとzとの和は3~50である。揮発性及び液体種のアルキルメチルシロキサンの両方を、本組成物中で使用することができる。
【0110】
上記以外のシリコーンガムも、パーソナルケア組成物に含まれてもよい。好適な非限定的ガムとしては、25℃で1,000,000センチストークス(mm/s)超、あるいは25℃で5,000,000センチストークス(mm/s)超の粘度を有する不溶性ポリジオルガノシロキサンが挙げられる。これらのシリコーンガムは、典型的には、その取扱いを容易にするために好適な溶媒にすでに分散された組成物として販売されている。超高粘度シリコーンもまた、任意選択の成分として含むことができる。これらの超高粘度シリコーンは、典型的には25℃で500万センチストークス(mm/s)を超え25℃で2000万センチストークス(mm/s)までの動粘度を有する。この種の組成物は、例えば、米国特許第6,013,682号に記載されており、これは1つ以上の非限定的実施形態における参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0111】
シリコーン樹脂も、パーソナルケア組成物に含まれてもよい。これらの樹脂は、概して、高度に架橋されたポリマーのシロキサンである。架橋は、典型的には、三官能性及び/又は四官能性シランに、製造中に使用される単官能性シラン及び/又は二官能性シランモノマーを導入することによって得られる。好適なシリコーン樹脂を得るために必要な架橋の程度は、シリコーン樹脂の製造中に導入されるシランモノマー単位の特性に応じて変化する。概して、十分なレベルの三官能性及び四官能性シロキサンモノマー単位を有する、したがって剛性又は硬質皮膜まで乾燥させるのに十分なレベルの架橋を有する、任意のシリコーンを使用できる。本明細書での適用に好適な市販のシリコーン樹脂は、概して、低粘度揮発性又は不揮発性シリコーン流体中で硬化されていない形態で供給される。シリコーン樹脂は、硬化樹脂構造としてもよりもむしろ、それらの硬化されていない形態で、本開示の組成物に組み込まれてもよい。
【0112】
シリコーンカルビノール流体が、パーソナルケア組成物に含まれてもよい。これらの材料は、一般的に置換ヒドロカルビル官能性シロキサン流体又は樹脂として記載することができ、いくつかは国際公開第03/101412(A2)号に記載されており、これは1つ以上の非限定的実施形態における参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0113】
水溶性又は水分散性シリコーンポリエーテルも、パーソナルケア組成物に含まれてもよい。これらは、ポリアルキレンオキシドシリコーンコポリマー、シリコーンポリ(オキシアルキレン)コポリマー、シリコーングリコールコポリマー、又はシリコーン界面活性剤としても既知である。これらは、直鎖、熊手型又はグラフト型材料、又はABA型であることができ、Bはシロキサンポリマーブロックであり、Aはポリ(オキシアルキレン)基である。このポリ(オキシアルキレン)基は、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、又は、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシド基の混合体からなることができる。ブチレンオキシド又はフェニレンオキシド等の他のオキシドもまた可能である。
【0114】
パーソナルケア組成物、及び/又は粘液性シリコーン流体のエマルジョンは、(i)有機化合物、(ii)ケイ素原子含有化合物、(iii)有機化合物の混合物、(iv)ケイ素原子含有化合物の混合物、又は(v)有機化合物とケイ素原子含有化合物との混合物等の、溶媒も含んでもよく、他の材料を溶解し、懸濁し、又はその物理特性を変更するために工業規模で使用される。
【0115】
一般的に、有機化合物は、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、アミン、エステル、エーテル、グリコール、グリコールエーテル、アルキルハロゲン化物、又は芳香族ハロゲン化物である。いくつかの一般的な有機溶媒の代表例は、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、2-オクタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセロール)、肪族炭化水素(例えば、ペンタン、シクロヘキサン、ヘプタン、VM&P溶媒、及びミネラルスピリット)、ハロゲン化アルキル(例えば、クロロホルム、四塩化炭素、ペルクロロエチレン、塩化エチル、及びクロロベンゼン)、アミン(例えば、イソプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、エタノールアミン、及びジエタノールアミン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、及びキシレン)、エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセト酢酸エチル、酢酸アミル、イソ酪酸イソブチル、及び酢酸ベンジル)、エーテル(例えば、エチルエーテル、n-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、及び1,4-ジオキサン)、グリコールエーテル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、及びプロピレングリコールモノフェニルエーテル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、メチルアミルケトン、及びジイソブチルケトン)、石油炭化水素(例えば、鉱油、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油、重油、及び原油)、潤滑油(例えば、スピンドル油及びタービン油)、並びに脂肪族油(例えば、トウモロコシ油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、綿実油、イワシ油、ニシン油及び鯨油)である。
【0116】
アセトニトリル、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、プロピレンオキシド、リン酸トリオクチル、ブチロラクトン、フルフラール、松根油、テレビン油、及びm-クレオソール(creosol)等の、他の各種の有機溶剤も使用できる。
【0117】
溶媒は、揮発性着香剤(例えば、冬緑油、ペパーミント油、スペアミント油、メントール、バニラ、桂皮油、丁子油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、ニオイヒバ油、ナツメグ油、セージ油、カッシア油、ココア、カンゾウ、高級フルクトースコーンシロップ、柑橘油、例えば、レモン、オレンジ、ライム、及びグレープフルーツ)、フルーツエッセンス(例えば、リンゴ、洋ナシ、モモ、ブドウ、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップル、及びアプリコット)、並びにアルデヒド及びエステルを含む他の有用な着香剤(例えば、酢酸シンナミル、シンナムアルデヒド、オイゲニルホルメート、p-メチルアニソール、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、シトラール、ネラール、デカナール、バニリン、トリルアルデヒド、2,6-ジメチルオクタナール、及び2-エチルブチルアルデヒド)も含んでもよい。
【0118】
更に、溶剤は揮発性の芳香剤、例えば天然産物及び香油を含んでもよい。いくつかの代表的な天然産物及び香油は、アンバーグリース、ベンゾイン、シベット、クローブ、葉油、ジャスミン、マテ、ミモザ、ムスク、ミルラ、イリス、ビャクダン油、及びベチベル油、芳香性化学物質、例えば、サリチル酸アミル、アミルシンナムアルデヒド、酢酸ベンジル、シトロネロール、クマリン、ゲラニオール、酢酸イソボルニル、アンブレット、及び酢酸テルピニル、並びに種々の高級品系香油、例えば、フローラルブーケ系、オリエンタル系、シプレ系、ウッド系、シトラス系、カヌー系、レザー系、スパイス系、及びハーブ系である。
【0119】
パーソナルケア組成物を調製する方法
本開示は、パーソナルケア組成物を調製する方法も提供する。本方法は、パーソナルケア製品又は任意の他の同様の化合物を、上記のように、粘液性シリコーン流体又は粘液性シリコーン流体のエマルジョンと組み合わせることを含む。パーソナルケア製品は、第1の直鎖オルガノポリシロキサンと第2の直鎖オルガノポリシロキサンとの反応前、反応中、及び/又は反応後に存在し得ることが想到される。一実施形態において、粘液性流体は、個別に調製され、後でパーソナルケア組成物成分と組み合わせられる。いくつかのパーソナルケア成分を流体反応工程(すなわち、ヒドロシリル化反応生成物の生成段階)にて含ませることはできるが、反応阻害、成分の温度感受性等の様々な因子の制御が必要となる場合がある。パーソナルケア配合物の調製のための当該技術分野において既知の技法を使用することができ、例えば、限定するものではないが、混合技法、コールドブレンド、又は加熱による組成物生成の促進を使用できる。本明細書で使用する添加順序は当業界で公知の任意のものであってもよい。
【0120】
本開示は、キャリア流体に粘液性の特性を付与する方法も提供する。当該方法は、第1の直鎖オルガノポリシロキサンと第2の直鎖オルガノポリシロキサンとをヒドロシリル化触媒及びキャリア流体の存在下でのヒドロシリル化反応により反応させることで、アルケニル又はSi-H官能基を含むヒドロシリル化反応生成物、を生成する工程、を含む。この方法は、上記のように1つ以上の方法工程も含んでもよい。
【0121】
本発明は、以下の非限定的実施形態によって更に例示できる。
【0122】
実施形態1.粘液性のレオロジー特性を有するシリコーン流体のエマルジョン、を調製する方法であって、プロセスが、
(A)
(i)キャリア流体、SiH含有オルガノポリシロキサン及びアルケニル含有オルガノポリシロキサンを組み合わせることで、混合物を形成すること、
(ii)界面活性剤を混合物に添加すること、及び
(iii)水を添加すること、及び混合することで、水中油型エマルジョンを形成すること、によって水中油型エマルジョンを形成する工程であって、上記キャリア、SiH含有オルガノポリシロキサン及びアルケニル含有オルガノポリシロキサンの混合物が水中油型エマルジョンの油相を形成する、工程と、
(B)SiH含有オルガノポリシロキサンとアルケニル含有オルガノポリシロキサンとを、(A)(iii)で形成されたエマルジョンの油相中で、ヒドロシリル化触媒の存在下で反応させることで、粘液性のレオロジー特性を有するシリコーン流体のエマルジョン、を形成する工程と、を含む、方法。
【0123】
実施形態2.アルケニル含有オルガノポリシロキサンがビニル末端である、実施形態1に記載の方法。
【0124】
実施形態3.アルケニル含有オルガノポリシロキサンがジメチルビニル末端である、実施形態1又は2に記載の方法。
【0125】
実施形態4.SiH含有オルガノポリシロキサンが2~10個の側枝SiH部位を有する、実施形態1に記載の方法。
【0126】
実施形態5.油相が、(A)(iii)で形成されたエマルジョンの40質量%~80質量%を構成する、実施形態1に記載の方法。
【0127】
実施形態6.界面活性剤が、ノニオン性、カチオン性、又はアニオン性である、実施形態1~5のいずれかに記載の方法。
【0128】
実施形態7.界面活性剤が、(A)(iii)で形成されたエマルジョンの0.01質量%~10質量%を構成する、実施形態1~6のいずれかに記載の方法。
【0129】
実施形態8.ビニル:SiHのモル比が0.01~10である、実施形態1~7のいずれかに記載の方法。
【0130】
実施形態9.キャリア流体が、粘液性のレオロジー特性を有するシリコーン流体のエマルジョンの5質量%~80質量%を構成する、実施形態1~8のいずれかに記載の方法。
【0131】
実施形態10.キャリア流体が、シリコーン流体、有機溶媒、有機油、又はこれらの任意の組み合わせである、実施形態1~9のいずれかに記載の方法。
【0132】
実施形態11.シリコーン流体が分枝状オルガノポリシロキサンを含む、実施形態1~10のいずれかに記載の方法。
【0133】
実施形態12.シリコーン流体の粘液性のレオロジー特性が、垂直方向の剪断速度(1/秒)に対する法線応力(パスカル)のプロットから決定され、上記プロットが3.6を超える平均勾配を有する、実施形態1~11のいずれかに記載の方法。
【0134】
実施形態13.粘液性のレオロジー特性を有するシリコーン流体のエマルジョンが、シリコーン樹脂及び/又はシリコーンエラストマーを更に含む、実施形態1~12のいずれかに記載の方法。
【0135】
実施形態14.シリコーン樹脂がMQ樹脂である、実施形態11に記載の方法。
【0136】
実施形態15.シリコーン樹脂がT及び/又はQ単位を有する樹脂である、実施形態11に記載の方法。
【0137】
実施形態16.Q単位を有する樹脂が、
(1)式(SiO4/2)のQ単位を1個以上と、
(2)式R SiO2/2のD単位を15~995個(単位(1)及び(2)は、任意の適切な組み合わせで相互結合してもよい。)と、
(3)式R SiO1/2のM単位と、を含み、式中、各R置換基は1~6個の炭素原子を有するアルキル基、1~6個の炭素原子を有するアルケニル基、及び1~6個の炭素原子を有するアルキニル基からなる群から選択され、分枝状シロキサン中の少なくとも3個のR置換基はアルケニル又はアルキニル単位であり、各R置換基は、1~6個の炭素原子を有するアルキル基、2~6個の炭素原子を有するアルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アクリレート基、及びメタクリレート基からなる群から選択される、実施形態13に記載の方法。
【0138】
実施形態17.Q単位を有する樹脂が、
a)テトラキス(ビニルジメチルシロキシ)シラン、及び
b)ジメチル環状シロキサン
を平衡化することによって調製され、b:aの質量比が少なくとも99:1である、実施形態14に記載の方法。
【0139】
実施形態18.実施形態1~17のいずれかに記載の方法に従って調製された、粘液性のレオロジー特性を有するシリコーン流体のエマルジョン。
【0140】
実施形態19.実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法によって調製されたエマルジョンを含むパーソナルケア組成物。
【0141】
実施形態20.パーソナルケア組成物がヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント組成物、又はスキンケア組成物である、実施形態19に記載のパーソナルケア組成物。
【0142】
特定の実施形態を参照しながら本発明を記載してきたが、他の実施形態は、本明細書を考慮することによって当業者に明らかになる。本発明は、本発明のエマルジョンの調製及びその方法を記載している以下の実施例を参照することによって、更に確定される。材料及び手順の両方において、本発明の範囲を逸脱することなく多くの変更を実施できることが、当業者には明らかである。
【実施例
【0143】
以下の実施例は、当業者が本発明をより理解しやすいように提供される。特記のない限り、全ての部数及び百分率は質量によるものであり、全ての粘度は25℃における値である。ポリマー製品の粘度測定は、Brookfield粘度計、スピンドル6、10rpmを用いて実施した。全ての粒径値は、Malvern Mastersizer2000を使用して測定した。
【0144】
実施例1 ノニオン性界面活性剤を使用した、粘液性のレオロジー特性を有するシリコーン流体のエマルジョン
最大容量50gの歯科用ミキサーカップに、25.00gのブレンド(6.22%のビニル末端オルガノポリシロキサン(MW702,000、DP約9461)、0.07%のトリメチルシリル末端ジメチルメチルハイドロジェンオルガノポリシロキサンコポリマー(粘度10cP、MW1330、及びDP約18)、及び93.68%のポリジメチルシロキサン揮発性キャリア(ドデカメチルペンタシロキサン)を含む。)、1.04gのBrij L4、及び1.15gのBrij L23を加えた。カップを、DAC-150SpeedMixer(登録商標)を使用して、最大速度(3450rpm)で30秒間混合した。次いで、3.01gの初期水分を加え、再度最大速度で30秒間混合した。これに、ビニル末端オルガノシロキサン(粘度400cP)に分散した有機白金錯体として、0.02gのPt触媒を加え、カップをオーブンに入れた。Pt触媒の添加と同時に反応硬化が始まった。Malvern Mastersizer2000粒径測定の結果、Dv50=1.218μmであった。
【0145】
実施例2 カチオン性界面活性剤を使用した、粘液性のレオロジー特性を有するシリコーン流体のエマルジョン
2.5オンスの広口瓶に、15.00gのブレンド(6.22%のビニル末端オルガノポリシロキサン(MW702,000、DP約9461)、0.07%のトリメチルシリル末端ジメチルメチルハイドロジェンオルガノポリシロキサンコポリマー(粘度10cP、MW1330、及びDP約18)、及び93.68%のポリジメチルシロキサン揮発性キャリアを含む。)、2.68gのArquad16-29、及び12.33gの水を加えた。瓶の内容物を、Misonix Sonicator S-4000を用いて、80%で2分間、剪断した。これに、ビニル末端オルガノシロキサン(粘度400cP)に分散した有機白金錯体として、0.02gのPt触媒を加え、カップをオーブンに入れた。Pt触媒の添加と同時に反応硬化が始まった。Malvern Mastersizer2000粒径測定の結果、Dv50=1.749μmであった。
【0146】
実施例3 アニオン性界面活性剤を使用した、粘液性のレオロジー特性を有するシリコーン流体のエマルジョン
2.5オンスの広口瓶に、20.00gのブレンド(6.22%のビニル末端オルガノポリシロキサン(MW702,000、及びDP約9461)、0.07%のトリメチルシリル末端ジメチルメチルハイドロジェンオルガノポリシロキサンコポリマー(粘度10cP、MW1330、及びDP約18)、及び93.68%のポリジメチルシロキサン揮発性キャリアを含む。)、1.68gのRhodapex ESC-3/A2、0.8gのBrij30、及び17.51gの水を加えた。瓶の内容物を、Misonix Sonicator S-4000を用いて、80%で2分間、剪断した。これに、ビニル末端オルガノシロキサン(粘度400cP)に分散した有機白金錯体として、0.02gのPt触媒を加え、カップをオーブンに入れた。Pt触媒の添加と同時に反応硬化が始まった。Malvern Mastersizer2000粒径測定の結果、Dv50=1.042μmであった。
【0147】
実施例4 粘液性のレオロジー特性を有するシリコーン流体のエマルジョンの特性決定
得られたエマルジョンの特性を決定するため、本発明者らは、乾燥エマルジョン使用時の粘着性、曳糸性及び接着仕事量を明確にするのに有効なテクスチャーアナライザーを使用した。簡単に述べると、この装置は、粘着性があって糸を生じる材料を引っ張るために必要な力を測定することができるプローブである。プローブは降下して乾燥フィルムと接触する。接触すると、定められた速度で上昇する。次いで、種々のパラメータを使用して、試作品の特性を決定する。この円筒形のプローブは、6gに相当する力を試料表面に加え、試料がそれ自体で再構成する時間を与えるために10秒間保持し、その後プローブが上昇する。粘着性は、試料をプローブから離すために必要な最大力として記録されるのに対し、曳糸性は、力が5gに低下するまでにプローブが試料から離れた距離である。テクスチャーアナライザーは、接着仕事量及び硬度も測定できる。結果を図1に示す。
【0148】
実施例5 キャリア濃度によるSiH:Vi比の変動
この実施例には、以下の材料を使用した。キャリアとしてのポリジメチルシロキサン(トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン)、ビニル含有種としてのビニル末端オルガノポリシロキサン(粘度55,000cps、MW62,000、及びDP約830)、及び架橋剤としてのトリメチルシリル末端ジメチルメチルハイドロジェンオルガノポリシロキサンコポリマー(粘度10cP、MW1330、及びDP約18)。エマルジョンは次のように調製した。油相、すなわちキャリア、SiH含有分子及びビニル含有分子を最初に混合する。次いで、ノニオン性界面活性剤(Brij LT3及びBrij LT23)を系に添加して、濃厚相を得た。次いで、高剪断デバイス(歯科用ミキサー)を用い、水の添加により、水中油型エマルジョンを得る。その後、Pt触媒(Pt-4錯体のエマルジョンとして)を系に添加した。系を室温で1日反応させた。プロセスの最後に殺生物剤、すなわち、フェノキシエタノールを添加した。典型的な配合物の組成は、油相が約60%(キャリア流体、ビニル官能性PDMS及びSiH含有成分の混合物)、Brij LT3が2%、Brij LT23が2%。図2は、乾燥エマルジョンから形成した異なる比のフィルムが、溶媒の40%以上の曳糸性を生じる傾向にあることを示す。
【0149】
実施例6 溶媒の種類の変動
この実施例では、異なる溶媒を使用して、曳糸性効果を調べた。種々の溶媒を評価した結果、溶媒の種類に関係なく、曳糸性を示し得る。結果を図3に示す。
【0150】
実施例7 ビニル分子量が曳糸性に与える影響
次のように、2種類のビニル官能化材料を使用した。ビニル末端オルガノポリシロキサン(MW702,000、及びDP約9461)、及びビニル末端オルガノポリシロキサン(粘度55,000cps、MW62,000、及びDP約830)。架橋剤は、トリメチルシリル末端ジメチルメチルハイドロジェンオルガノポリシロキサンコポリマー(粘度10cP、MW1330、及びDP約18)であった。結果を図4に示す。
【0151】
実施例8 添加剤が曳糸性に与える影響
粘液性シリコーン流体のエマルジョンを、シリコーン樹脂の存在下で形成した。形成後、エマルジョンの試料を乾燥し、フィルムの曳糸能力を監視した。多少の樹脂を添加することで、粘液性挙動が増強された。次の配合物を使用した。エマルジョン(50%ポリジメチルシロキサンキャリア、SiH/Vi=0.74(ビニル末端オルガノポリシロキサン(粘度55,000cps、MW62,000、及びDP約830)、トリメチルシリル末端ジメチルメチルハイドロジェンオルガノポリシロキサンコポリマー(粘度10cP、MW1330、及びDP約18))及びヒドロキシル末端メチルシルセスキオキサン樹脂又はヒドロキシル末端プロピルシルセスキオキサン樹脂。結果を図5に示す。
【0152】
実施例9 粘液性エマルジョンとエラストマー分散液との混合物
シリコーンエラストマー懸濁液を添加した粘液性シリコーン流体のエマルジョン(60%ポリジメチルシロキサンキャリア、SiH/Vi=0.74)を調製した。このエマルジョンは、曳糸性の低下を示した。結果を図6に示す。しかし、この結果を、同じエラストマー分散液と混合した直鎖高分子量エマルジョン(2種類の直鎖オルガノポリシロキサンのヒドロシリル化反応生成物を含むキャリア流体及びシリコーン流体を含有するエマルジョンで、粘度7000cP)と比較すると、フィルムは異なる機械的挙動を有している。2種類の直鎖オルガノポリシロキサンのヒドロシリル化反応生成物を含むキャリア流体及びシリコーン流体のエマルジョンを含有し、粘度が7000cPのものは、粘液性シリコーン流体を含有するものよりも弾性が低いことが示された。
【0153】
実施例10 耐擦性
フィルムをコラーゲンの上にコーティングし、穿孔(直径22mm)した後、両面テープを用いてXRFホルダーに固定する。最初に、ケイ素の初期含有量(g/m)をXRFで測定する。次いで、コーティングをフェルトバンドの上に置き、Braive耐洗浄性試験機を用いて摩擦をかける。摩擦の強度は、フェルトバンド上を通過する回数によって制御される。毎回の通過後に、ケイ素の残留含有量をXRFで測定する。この試験により、シリコーンアクリレートの化学作用によって多少の強い耐擦性の効果が得られることが分かるが、粘液性流体も、直鎖高分子量エマルジョンと比較して興味深い性能を有し得ることが分かる。結果を図7に示す。
【0154】
実施例11 洗濯用途
泡は、液体、固体又はゲル中に気泡が分散したものである。気泡の直径は1μmを超える可能性があるが、気泡間のラメラの厚さは、多くの場合、コロイド径の範囲内である。泡の発生を防止する消泡剤は、ボルテックスと呼ばれる3つの気泡間の接点に作用する。有効な消泡剤の主な特性は、連続媒体に不溶性で、連続媒体中に分散できることであり、消泡剤と空気との間の表面張力が溶液と空気との間の表面張力よりも低くなければならない。粘液性エマルジョンは特異なレオロジー特性を有することから、界面活性剤溶液によって再分散されることなく、空気と水の界面に達することができる。したがって、粘液性エマルジョンは、洗濯用途において、興味深い消泡特性を有する可能性がある。
【0155】
ポリジメチルシロキサンキャリアが50%で、比SiH/Vi=1.0のエマルジョンを、3%のヒドロキシル末端メチルシルセスキオキサン(methyl silsequioxane)樹脂を用いて配合した。SiH流体及びビニルポリマーは、それぞれ、トリメチルシリル末端ジメチルメチルハイドロジェンオルガノポリシロキサンコポリマー(粘度10cP、MW1330、及びDP約18)及びビニル末端オルガノポリシロキサン(粘度55,000cps、MW62,000、及びDP約830)であった。消泡性能の評価は、Reckitt Benckiserの試験に基づき、その設定は以下のとおりであった。
負荷なし、
ブランク/カラープログラム(2h17)、
90℃、600rpm、
70FHの水15L(32mLのCa2+及び135mLのMg2+を添加)、
80gの通常粉末洗剤、及び
40℃、600rpmで1回のすすぎ。
【0156】
最初の試験では、0.2%の活性粘液性エマルジョンを粉末洗剤に直接噴霧した。この粉末を用いて、この材料が、Reckitt Benckiserが使用する基準消泡剤よりも早く泡の最大レベルに達していても、消泡剤として作用し得ることが明らかとなった。乳化工程の前に、異なる濃度の疎水性シリカを、歯科用ミキサーを用いて油相中に分散した。シリカ粒子が存在すると、転相を起こして乳化するためには、界面活性剤濃度(11%)を増大する必要があった。シリカを粘液性エマルジョンに添加することで、消泡性能が大幅に改善された。シリカ3%で、顆粒の有効性が基準消泡剤を上回る。結果を図8に示す。顆粒化した粘液性エマルジョンを用いて、完全な洗浄サイクルで追加試験を実施した。顆粒は、キャリア、結合剤及び活性剤を含む。粘液性シリコーンエマルジョン(不揮発分(NVC)=40%)を、結合剤として作用するマレイン酸/アクリル酸コポリマーと等割合で混合した後、ゼオライトに添加した。
【0157】
【表1】
【0158】
このブレンドを、均質になるまで混合し、次いで60℃で20分間乾燥した。シリコーン顆粒を200~1400mmでふるい分けした。この試験に使用した粘液性エマルジョンは、以下を含んだ。
50%のポリジメチルシロキサンキャリア、
50%のビニル末端オルガノポリシロキサン(粘度55,000cps、MW62,000、及びDP約830)、
3%のトリメチルシリル末端ジメチルメチルハイドロジェンオルガノポリシロキサンコポリマー(粘度10cP、MW1330、及びDP約18)、
3%のヒドロキシル末端メチルシルセスキオキサン樹脂、
3%のシリカ。
【0159】
粘液性シリコーンエマルジョンは、顆粒化形態で提供されたとき、市販の基準顆粒よりも効率的に発泡特性に影響する能力を示す。結果を図9に示す。
【0160】
実施例12 布地ケア
布地柔軟剤は、消費者が洗濯処理後に新しい布地の外観を保つようにする効果があり、シリコーンの添加は、柔軟性を増強することによって消費者に利益をもたらす。その物理的特性により、シリコーンは、繊維を潤滑し、布地に柔軟性を付与する。柔軟剤は、側枝アミン基をシロキサン主鎖に導入したときに、より有効である。繊維が全体的に負に帯電していることから、正に帯電したquatは、表面の繊維に対して大きな親和性を有する。粘液性シリコーン流体は、その物理的特性により、ノニオン性エマルジョンであっても、布地柔軟剤の優れた候補である。
【0161】
粘液性シリコーンエマルジョンを、花王が開発した試作品の布地コンディショニング剤(これはエステルquatの溶液である)と24時間混合して、帯電させた。次いで、Miele洗濯機W377、Dash粉末洗剤を用いて40℃及び600rpmで試験を実施した。水の硬度は0°FHに設定した。次いで、試験布地の小さいパイル地のタオルを一晩干した後、16名の官能試験員が、タオルの柔軟性を採点(基準は5点)することで試験した。ビニル末端オルガノポリシロキサン(粘度55,000cps、MW62,000、及びDP約830)又はビニル末端オルガノポリシロキサン(MW702,000、及びDP約9461)を有する2種類の粘液性シリコーンエマルジョンを試験した。エマルジョンの組成は、質量%で次のとおりである。
【0162】
【表2】
【0163】
2種類の粘液性シリコーンエマルジョンは、基準より優れていないにせよ、少なくとも同程度の性能を示す(図10参照)。更に、最も分子量の高いビニルポリマーを使用したエマルジョンは、より優れた結果を与えるように思われる。更なる試験を、ジメチルシロキサンとヒドロキシル末端メチルシルセスキオキサン(活性レベル2%)とを含有する布地ケア基準エマルジョンと比較して実施した。布地への付着を改善するため、1%のArquad16-29を粘液性シリコーンエマルジョンに添加し、2種類のビニルポリマーを有する最初の試験を繰り返した。結果が同様であったことから、配合が容易であることにより、最も低分子量のポリマーに焦点を合わせた。次の工程は、キャリア粘度の影響を確認することであった。したがって、ビニル末端オルガノポリシロキサン(粘度55,000cps、MW62,000、及びDP約830)をビニルポリマーとして使用し、ポリジメチルシロキサンキャリアを使用したものと、ポリジメチルシロキサン揮発性キャリアを使用したものとの、2種類の追加の粘液性シリコーンエマルジョンを試験した。後者のエマルジョンで有望な結果が得られたことから、これを、ジメチルシロキサンとヒドロキシル末端メチルシルセスキオキサン樹脂とを含有する基準エマルジョンと比較した。数名の官能試験員が粘液性シリコーンエマルジョンの方が良いという感覚を得たものの、結果は同様であった(図10参照)。
【0164】
【表3】
【0165】
実施例13 スキンケア用途
W/O(油中水型)クリームを、粘液性シリコーンエマルジョン(60%のキャリア、SiH/Vi=1.0)、又は粘液性シリコーン流体(揮発性ジメチコンキャリア流体中のわずかに架橋した高MWポリマー)のいずれかを用いて配合した。キャリア流体とヒドロシリル化反応生成物との組み合わせにより、粘液性シリコーン流体に、パスカル秒(Pa・s)の単位で測定し、かつ剪断速度(1/秒)を基準にして収集した粘度が、0.1~75Pa・s、0.3~15Pa・s、0.5~5、又は1~3Pa・sでもたらされる。官能評価を、18名の官能試験員により、湿度及び温度が制御された(RH=50%、T=25℃)空調室内で実施した。粘液性シリコーンエマルジョンを、粘液性シリコーン流体又はシリコーンを含まない対照のいずれかと比較した。配合物の組成は次のとおりであった。
【0166】
【表4】
【0167】
粘液性シリコーンエマルジョン対粘液性シリコーン流体 吸収前に、粘液性シリコーンエマルジョンは、粘液性流体よりも優れた吸収性及び展延性を有し、べたつきはより低い。しかし、吸収後、粘液性エマルジョンと流体との間に有意な差はない。結果を図11に示す。
【0168】
粘液性シリコーンエマルジョン対シリコーンを含まない対照品:吸収前に、粘液性シリコーンエマルジョンは、対照よりも湿潤性が低かった。吸収後、粘液性シリコーンエマルジョンは対照よりも脂っぽさがあり、べたつきがあった。結果を図12に示す。
【0169】
実施例14 粘液性シリコーンエマルジョン
以下の粘液性シリコーンエマルジョンを、実施例5の手順に従って調製した。界面活性剤1はBrij LT23であり、界面活性剤2はBrij LT3であった。界面活性剤1の界面活性剤2に対する比は1.15であった。全界面活性剤は4.41%であった。モル比は0.98であった(理論モル比は1)。DV0.1は1.190μm、DV0.5は1.662μm、DV0.9は1.308μmであった。
【0170】
【表5】
【0171】
実施例15 粘液性シリコーンエマルジョン スキンケア評価のために以下の粘液性シリコーンエマルジョンを調製した。
【0172】
【表6】
【0173】
【表7】
【0174】
【表8】
【0175】
実施例16 スキンケア試験用配合物
手順 相Aの成分を、均質になるまで記載の順序で混合した。性能試験結果を図13に示す。
【0176】
【表9】
【0177】
実施例17 スキンケア評価
実施例16と同じ手順を用いて、以下の試作品を調製した。結果を図14及び図15に示す。
【0178】
【表10】
【0179】
実施例18 ヘアケア実施例
粘液性エマルジョンを、スタイリング剤としても試験した。試作品を、3901Liquid Satin Blend及びCE-7080Smart Style(スタイリング用途の基準品)と対比して試験した。カール保持試験を、湿度室(相対湿度70%、25℃)で実施した。各製品100mg(6%の活性物質にて脱塩水で希釈)をヘアピース上に塗り広げ、カール保持のパーセンテージを5時間記録した。結果を図16に示す。ヘアピースに良好な感覚を残しながら、多少のスタイリング特性が得られたことが分かる。
【0180】
【表11】
【0181】
実施例19 小粒径粘液性エマルジョン
0.3μmの粒径を有する次の粘液性エマルジョンを調製した。これまでの実施例のエマルジョンの粒径は、1.5~2.5μmの範囲であった。
【0182】
【表12】
【0183】
実施例20 洗濯用途における応用試験
泡は、液体、固体又はゲル中に気泡が分散したものである。気泡の直径は1μmを超える可能性があるが、気泡間のラメラの厚さは、多くの場合、コロイド径の範囲内である。泡の発生を防止する消泡剤は、ボルテックスと呼ばれる3つの気泡間の接点に作用する。有効な消泡剤の主な特性は、連続媒体に不溶性で、連続媒体中に分散できることであり、消泡剤と空気との間の表面張力が溶液と空気との間の表面張力よりも低くなければならない。
【0184】
粘液性エマルジョンは特異なレオロジー特性を有することから、界面活性剤溶液によって再分散されることなく、空気と水の界面に達することができる。したがって、粘液性エマルジョンは、洗濯用途において、興味深い消泡特性を有する可能性がある。50%の200流体5cSt及び比SiH/Vi=1.0のエマルジョンを、3%の樹脂MQ1600と共に配合する。SiH流体及びビニルポリマーは、それぞれQ2-5096及びSFD128である。消泡性能の評価は、Reckitt Benckiserの試験に基づき、その設定は以下のとおりである。
・負荷なし、
・ブランク/カラープログラム(2h17)、
・90℃、600rpm、
・70FHの水、15L(32mLのCa2+及び135mLのMg2+を添加)、
・80gの通常粉末洗剤、
・40℃、600rpmで1回すすぎ。
【0185】
最初の試験では、0.2%の活性粘液性エマルジョンを粉末洗剤に直接噴霧する。この粉末を用いて、この材料が、Reckitt Benckiserが使用する基準消泡剤よりも早く泡の最大レベルに達していても、消泡剤として作用し得ることが明らかとなった。
【0186】
この結果が有望と思われることから、乳化工程の前に、消泡活性を増強することが既知である異なる濃度の疎水性シリカSipernat D10を、歯科用ミキサーを用いて油相中に分散した。シリカ粒子が存在すると、転相を起こして乳化するためには、界面活性剤濃度(11%)を増大する必要があることが分かった。
【0187】
シリカを粘液性エマルジョンに添加すると、消泡性能が大幅に改善される。3%で、顆粒の有効性が基準消泡剤を上回る。
【0188】
顆粒化した粘液性エマルジョンを用いて、完全な洗浄サイクルで追加試験を実施した。顆粒は、キャリア、結合剤及び活性剤を含む。粘液性エマルジョン(NVC=40%)を、結合剤として作用するsokalan CP5(マレイン酸/アクリル酸コポリマー)と等割合で混合した後、ゼオライトに添加した。
【0189】
【表13】
【0190】
このブレンドを、均質になるまで混合し、次いで60℃で20分間乾燥した。最後に、シリコーン顆粒を200~1400mmでふるい分けした。
【0191】
この試験に使用した粘液性エマルジョンは、以下を含む。
-50%の200流体5cSt、
-50%のSFD128、
-3%のQ2-5096、
-3%のMQ1600、
-3%のD10。
【0192】
最適化していない粘液性エマルジョンを使用したこの最初の試験は、流体が、顆粒化すると、市販の顆粒よりも効率的に発泡特性に作用する能力を示すことから、きわめて有望である。結果を図17及び図18に示す。
【0193】
実施例21 布地ケア
布地柔軟剤は、消費者が洗濯処理後に新しい布地の外観を保つようにする効果があり、シリコーンの添加は、柔軟性を増強することによって消費者に利益をもたらす。実際に、その物理的特性により、シリコーンは、繊維を潤滑し、布地に柔軟性を付与する。柔軟剤は、側枝アミン基をシロキサン主鎖に導入したときに、より有効である。繊維が全体的に負に帯電していることから、正に帯電したquatは、表面の繊維に対して大きな親和性を有する。
【0194】
その物理的特性により、ノニオン性エマルジョンであっても、粘液性は、布地柔軟剤の優れた候補である。
【0195】
粘液性エマルジョンを、花王が開発した試作品の布地コンディショニング剤(これはエステルquatsの溶液である。)と24時間混合して、帯電させた。次いで、Miele洗濯機W377、Dash粉末洗剤を用いて40℃及び600rpmで試験を実施する。水の硬度は0°FHに設定する。次いで、試験布地の小さいパイル地のタオルを一晩干した後、16名の官能試験員が試験し、最も柔軟なタオルを判定及び採点(基準は5点)する。
【0196】
最初に、SFD128又はSGM26のいずれかを用いた2種類の粘液性エマルジョンを試験した。これらのエマルジョンの活性レベルは以下のとおりである。
【0197】
【表14】
【0198】
2種類の粘液性エマルジョンは、基準と比較して優れるが、大幅に優れるわけではない柔軟性能を提供する。更に、最も分子量の高いビニルポリマーを使用したエマルジョンは、より優れた結果を与えるように思われる。
【0199】
次いで、布地ケア基準エマルジョンであるDow Corning Q2-1607エマルジョン(活性レベル2%)との対比で試験を繰り返した。
【0200】
【表15】
【0201】
布地への付着を改善するため、1%のArquad16-29を粘液性エマルジョンに添加し、2種類のビニルポリマーを有する最初の試験を繰り返す。結果が同様であることから、配合が容易であることにより、最も低分子量のポリマーに焦点を合わせることにした。
【0202】
次の工程は、キャリア粘度の影響を確認することである。したがって、SFD128をビニルポリマーとして使用し、200流体5cSt又は200流体2cStのいずれかを使用する、2種類の粘液性エマルジョンを試験する。後者のエマルジョンで有望な結果が得られることから、これを基準エマルジョンのDow Corning Q2-1607と比較する。数名の官能試験員が粘液性エマルジョンの方が良いという感覚を得ているものの、結果は同様である。
【0203】
実施例22 スキンケア用途
粘液性エマルジョン(キャリア60%、SiH/Vi=1.0)又は粘液性流体(7224)のいずれかを用いて、W/Oクリームを配合した。次いで、官能評価を、18名の官能試験員により、湿度及び温度が制御された(RH=50%、T=25℃)空調室内で実施する。粘液性エマルジョンを、粘液性シリコーン流体又はシリコーンを含まない対照品のいずれかと比較する。配合物の組成
【0204】
【表16】
【0205】
実施例23 粘液性エマルジョン対粘液性流体
吸収前に、粘液性エマルジョンは、粘液性流体よりも優れた吸収性及び展延性を有し、べたつきが低い。しかし、吸収後、粘液性エマルジョンと流体との間に有意な差はない。結果を図19に示す。
【0206】
実施例24 粘液性エマルジョン対シリコーンなしの対照
吸収前に、粘液性エマルジョンは、対照よりも湿潤性が低い。吸収後、粘液性エマルジョンは対照よりも脂っぽさがあり、べたつきがある。結果を図20に示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20