(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】3-フルオロアルキル-5-ピラゾールカルボキシレート類及び3-フルオロアルキル-5-ピラゾールカルボン酸類を調製する方法
(51)【国際特許分類】
C07D 231/14 20060101AFI20220323BHJP
C07C 251/16 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
C07D231/14 CSP
C07C251/16
(21)【出願番号】P 2019515478
(86)(22)【出願日】2017-09-18
(86)【国際出願番号】 EP2017073401
(87)【国際公開番号】W WO2018054807
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-09-15
(32)【優先日】2016-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507203353
【氏名又は名称】バイエル・クロップサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト
(73)【特許権者】
【識別番号】311016455
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ シアンティフィク
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】パゼノク,セルゲイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルス,ジャン-ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ルルー,フレデリック・アール
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,エティエンヌ
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-507873(JP,A)
【文献】国際公開第2015/189138(WO,A1)
【文献】特表2013-513635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3-フルオロアルキル-5-ピラゾールカルボキシレート(I)
【化1】
〔ここで、
R
1は、C
1-C
6-ハロアルキルから選択され;
R
2は、C
1-12-アルキル、C
3-8-シクロアルキル、C
6-18-アリール及びC
7-18-アリールアルキル-から選択され;
R
3は、H、C
1-C
12-アルキル、ベンジル、フェニル、C
6-18-アリール及びピリジルから選択される〕
を調製する方法であって、
段階(A)において、式(II)
【化2】
〔式中、
R
2は、上記で定義されているとおりであり;
Xは、F、Cl又はBrである〕
で表されるシュウ酸誘導体を、塩基の存在下で、式(III)
【化3】
〔式中、
R
4は、C
1-12-アルキル、C
3-8-シクロアルキル、ベンジル及びC
7-18-アリールアルキル-から選択され;
R
1は、上記で定義されているとおりである〕
で表される化合物と反応させて、式(IV)
【化4】
〔式中、R
1、R
2、R
4は、上記で定義されているとおりである〕
で表される化合物を形成させること;及び、
段階(B)において、ヒドラジン:H
2N-NHR
3(III)〔ここで、R
3は、上記で定義されているとおりである〕と酸の存在下で、(IV)を環化させて(I)を形成させること;
を特徴とする前記方法。
【請求項2】
R
1が、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-クロロ-2-フルオロエチル、2-ジフルオロエチル、2,2-ジクロロ-2-フルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、テトラフルオロエチル(CF
3CFH)、ペンタフルオロエチル及び1,1,1-トリフルオロプロパ-2-イルから選択され;
R
2が、メチル、エチル、プロピル及びt-ブチル、ベンジル及びフェニルエチル-から選択され;
R
3が、H、C
1-C
8-アルキル、アリール、ベンジル及びピリジルから選択され;
R
4が、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、
シクロヘキシル、ベンジル及びフェニルエチル-から選択され;
Xが、F又はClである;
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R
1が、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、ジフルオロクロロメチル及びペンタフルオロエチルから選択され;
R
2が、メチル及びエチルから選択され;
R
3が、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ベンジル及びフェニルから選択され;
R
4が、ベンジル及びイソ-プロピルから選択され;
Xが、Clである;
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
R
1が、ジフルオロメチル、ジフルオロクロロメチル又はトリフルオロメチルであり;
R
2が、メチル又はエチルであり;
R
3が、H、メチル、エチル、ベンジル及びフェニルから選択され;
R
4が、イソ-プロピル又はベンジルであり;
Xが、Clである;
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
R
1が、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルであり;
R
2が、メチル又はエチルであり;
R
3が、H、メチル及びフェニルから選択され;
R
4が、ベンジルであり;
Xが、Clである;
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
段階(A)における前記塩基が、ピリジン、3-メチルピリジン及びエチルジイソプロピルアミンから選択される、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
段階(B)における前記酸が、H
2SO
4、HCl、HF、HBr、HI、H
3PO
4、CH
3COOH、CF
3COOH、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸から選択される、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
3-フルオロアルキル-5-ピラゾール酸(VI)
【化5】
〔式中、
R
1は、C
1-C
6-ハロアルキルから選択され;
R
3は、H、C
1-C
12-アルキル、ベンジル、フェニル、C
6-18-アリール及びピリジルから選択される〕
を調製する方法であって、
(i) 請求項1~7のいずれかに記載の調製方法;及び、
(ii) 式(I)で表される化合物を加水分解して、式(VI)で表される化合物とすること;
を含む、前記方法。
【請求項9】
前記反応を、
塩基性条件下で実施する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記反応を、塩基性条件下で、塩基として、NaOH、KOH、Na
2
CO
3
又はK
2
CO
3
を用いて、実施する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式(IV)
【化6】
〔式中、
R
1は、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルであり;
R
2は、メチル又はエチルであり;
R
4は、イソ-プロピル又はベンジルである〕
で表される化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケチミン類とシュウ酸誘導体から3-フルオロアルキル-5-ピラゾールカルボキシレート類を調製するための新規調製方法に関し、ここで、その3-フルオロアルキル-5-ピラゾールカルボキシレート類は、さらに、3-フルオロアルキル-5-ピラゾールカルボン酸類に変換させることができる。
【背景技術】
【0002】
ポリフルオロアルキルピラゾリルカルボン酸誘導体は、殺菌活性成分の有用な前駆物質である(WO 2003/070705、WO 2008/013925、WO 2003/000659、WO 2012/025557)。
【0003】
ピラゾールカルボン酸誘導体は、典型的には、2つの脱離基を有するアクリル酸誘導体をヒドラジン類と反応させることによって調製する(WO 2009/112157及びWO 2009/106230)。WO 2005/042468には、2-ジハロアシル-3-アミノアクリル酸エステル類を調製する方法が開示されており、ここで、該方法は、酸ハロゲン化物をジアルキルアミノアクリル酸エステル類と反応させ、その後、それをアルキルヒドラジン類を用いて環化させることによる。WO 2008/022777には、3-ジハロメチルピラゾール-4-カルボン酸誘導体を調製する方法が記載されており、ここで、該方法は、α,α-ジフルオロアミン類をルイス酸の存在下でアクリル酸誘導体と反応させ、その後、アルキルヒドラジン類と反応させることによる。3-フルオロアルキル-5-ピラゾールカルボキシレート類は、入手することが極めて困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際特許出願公開第2003/070705号
【文献】国際特許出願公開第2008/013925号
【文献】国際特許出願公開第2003/000659号
【文献】国際特許出願公開第2012/025557号
【文献】国際特許出願公開第2009/112157号
【文献】国際特許出願公開第2009/106230号
【文献】国際特許出願公開第2005/042468号
【文献】国際特許出願公開第2008/022777号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記で記載した従来技術を考慮に入れて、本発明の目的は、上記で記載した不利点を有さず、従って、3-フルオロアルキル-5-ピラゾールカルボキシレート誘導体へと高い収率で至る経路をもたらす、調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
【0007】
〔式中、
R
1は、C
1-C
6-ハロアルキルから選択され;
R
2は、C
1-12-アルキル、C
3-8-シクロアルキル、C
6-18-アリール及びC
7-18-アリールアルキル-から選択され;
R
3は、H、C
1-C
12-アルキル、ベンジル、フェニル、C
6-18-アリール及びピリジルから選択される〕
で表される3-フルオロアルキル-5-ピラゾールカルボキシレートを調製する方法であって、
段階(A)において、式(II)
【化2】
【0008】
〔式中、
R
2は、上記で定義されているとおりであり;
Xは、F、Cl又はBrである〕
で表されるシュウ酸誘導体を、塩基の存在下で、式(III)
【化3】
【0009】
〔式中、
R
4は、C
1-12-アルキル、C
3-8-シクロアルキル、ベンジル及びC
7-18-アリールアルキル-から選択され;
R
1は、上記で定義されているとおりである〕
で表される化合物と反応させて、式(IV)
【化4】
【0010】
〔式中、R1、R2、R4は、上記で定義されているとおりである〕
で表される化合物を形成させること;及び、
段階(B)において、ヒドラジン:H2N-NHR3(V)〔ここで、R3は、上記で定義されているとおりである〕と酸の存在下で、(IV)を環化させて(I)を形成させること;
を特徴とする前記方法によって、達成された。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好ましいのは、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)及び式(V)のラジカルが以下のように定義される、本発明による調製方法である:
R1は、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-クロロ-2-フルオロエチル、2-ジフルオロエチル、2,2-ジクロロ-2-フルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、テトラフルオロエチル(CF3CFH)、ペンタフルオロエチル及び1,1,1-トリフルオロプロパ-2-イルから選択され;
R2は、メチル、エチル、プロピル及びt-ブチル、ベンジル及びフェニルエチル-から選択され;
R3は、H、C1-C8-アルキル、アリール、ベンジル及びピリジルから選択され;
R4は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル及びフェニルエチル-から選択され;
Xは、F又はClである。
【0012】
さらに好ましいのは、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)及び式(V)のラジカルが以下のように定義される、本発明による調製方法である:
R1は、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、ジフルオロクロロメチル及びペンタフルオロエチルから選択され;
R2は、メチル及びエチルから選択され;
R3は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ベンジル及びフェニルから選択され;
R4は、ベンジル及びイソ-プロピルから選択され;
Xは、Clである。
【0013】
一層さらに好ましいのは、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)及び式(V)のラジカルが以下のように定義される、本発明による調製方法である:
R1は、ジフルオロメチル、ジフルオロクロロメチル又はトリフルオロメチルであり;
R2は、メチル又はエチルであり;
R3は、H、メチル、エチル、ベンジル及びフェニルから選択され;
R4は、イソ-プロピル又はベンジルであり;
Xは、Clである。
【0014】
最も好ましいのは、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)及び式(V)のラジカルが以下のように定義される、本発明による調製方法である:
R1は、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルであり;
R2は、メチル又はエチルであり;
R3は、H、メチル及びフェニルから選択され;
R4は、ベンジルであり;
Xは、Clである。
【0015】
驚くべきことに、式(I)で表されるピラゾールは、本発明の条件下において、良好な収率且つ高い純度で調製することができる。このことは、本発明の調製方法が従来技術においてこれまでに記載されている調製方法の上記不利点を克服していることを意味する。
【0016】
【0017】
〔式中、
R1は、CF2Hであり;
R2は、メチル又はエチルであり;及び、
R3は、メチル又はフェニルである〕
で表される化合物である。
【0018】
【0019】
〔式中、
R1は、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルであり;
R2は、メチル又はエチルであり;
R4は、イソ-プロピル又はベンジルである〕
で表される化合物である。
【0020】
一般的な定義
ハロアルキル: 1~6個(好ましくは、1~3個)の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル基において、これら基の中の水素原子の一部又は全部が上記で記載されているハロゲン原子で置き換えられ得るもの、例えば(限定するものではないが)、C1-C3-ハロアルキル、例えば、クロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1-クロロエチル、1-ブロモエチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-クロロ-2-フルオロエチル、2-クロロ,2-ジフルオロエチル、2,2-ジクロロ-2-フルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、ペンタフルオロエチル、及び、1,1,1-トリフルオロプロパ-2-イル。
【0021】
アルキル基は、本発明に関連して、異なるように定義されていない限り、直鎖又は分枝鎖の飽和ヒドロカルビル基である。定義「C1-C12-アルキル」は、アルキル基に関して本明細書中で定義されている最も広い範囲を包含する。具体的には、この定義は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、1,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、n-ヘプチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル又はn-ドデシルの意味を包含する。
【0022】
シクロアルキル: 3~8個(好ましくは、3~6個)の炭素環員を有する単環式飽和ヒドロカルビル基、例えば(限定するものではないが)、シクロプロピル、シクロペンチル、及び、シクロヘキシル。この定義は、他で定義されていない限り、複合置換基(例えば、シクロアルキルアルキルなど)の一部分としてのシクロアルキルにも当てはまる。
【0023】
アリール基は、本発明に関連して、芳香族炭化水素である。定義「C6-18-アリール」は、6~18個の炭素骨格原子を有するアリール基に関してに本明細書中で定義されている最も広い範囲を包含する。該定義は、例えば、フェニル、ナフチル及びアントラセニルを包含する。
【0024】
アリールアルキル-基(アラルキル基)は、本発明に関連して、アリール基で置換されているアルキル基である。定義「C7-18-アラルキル基」は、芳香族骨格とアルキレン鎖の中に合計で7~18個の炭素原子を有するアリールアルキル基に関してに本明細書中で定義されている最も広い範囲を包含する。この定義は、例えば、ベンジル及びフェニルエチルの意味を包含する。
【0025】
調製方法の説明
該調製方法は、
スキーム1において例証されている:
スキーム1:
【化7】
【0026】
段階(A)
段階(A)において、式(II)で表されるシュウ酸誘導体を、塩基の存在下で、式(III)で表されるケチミンと反応させる。
【0027】
式(II)で表される好ましい化合物は、メチルオキサリルクロリド及びエチルオキサリルクロリドである。
【0028】
式(III)で表される化合物は、文献に記載されている方法に準じてケトンから調製することができる:例えば、「Roeschenthaler et al, J. Fluorine. Chem. v. 125, n.6, 1039-1049」、「Tetrahedron, 69(2013), 3878-3884」、及び、WO 2015/144578。
【0029】
本発明による調製方法では、1~2mol、好ましくは、1~1.5mol、さらに好ましくは、1~1.2molの式(II)で表される化合物を1molの式(III)で表される化合物と反応させる。その反応時間は重要ではなく、そして、そのバッチサイズ及び温度に応じて、数分と数時間の間の範囲内で選択することができる。
【0030】
適切な溶媒は、例えば、以下のものである:脂肪族、脂環式又は芳香族の炭化水素類、例えば、石油エーテル、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はデカリン、及び、ハロゲン化炭化水素類、例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン又はトリクロロエタン;エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、メチルtert-アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン又はアニソール;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、n-ブチロニトリル、イソブチロニトリル又はベンゾニトリル;アミド類、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルピロリドン又はヘキサメチルホスホルアミド;スルホキシド類、例えば、ジメチルスルホキシド、又は、スルホン類、例えば、スルホラン。好ましいのは、THF、アセトニトリル、エーテル類、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、n-ヘキサン、シクロヘキサン又はメチルシクロヘキサンであり、特に好ましいのは、アセトニトリル、THF、エーテル又はジクロロメタンである。
【0031】
本発明による化合物(III)と化合物(II)の反応は、-5℃~+40℃の温度で、好ましくは、+2℃~+20℃の温度で、さらに好ましくは、5℃~+10℃で、標準圧下で実施する。
【0032】
反応は、塩基の存在下で進行させる。本発明の目的のために、1molの式(II)で表される化合物に対して、1~2mol、好ましくは、1.5~1.8molの塩基を使用する。
【0033】
適切な塩基は、トリアルキルアミン類(例えば、トリエチルアミン類)、ヒューニッヒ塩基、ピリジン類、アルキルピリジン類(例えば、メチルピリジン類)である。好ましいのは、ピリジン、3-メチルピリジン、エチルジイソプロピルアミンである。
【0034】
形成された式(IV)で表される中間体は、事前に後処理に付すことなく、環化段階において使用することができる。あるいは、該中間体は、適切な後処理段階によって単離すること、特徴付けを行うこと、及び、場合によりさらに精製することが可能である
段階(B)
本発明によれば、1molの式(IV)で表される化合物に対して、1mol~2mol、好ましくは、1~1.5molの式(V)NH2-NHR3で表されるヒドラジンを使用する。
【0035】
式(IV)で表される化合物の段階(B)における環化は、-20℃~+50℃の温度で、好ましくは、+0℃~+40℃の温度で、さらに好ましくは、+20℃で、標準圧下で実施する。
【0036】
その反応時間は重要ではなく、そして、そのバッチサイズに応じて、比較的広い範囲内で選択することができる。
【0037】
典型的には、環化段階(B)は、溶媒を変更することなく実施する。
【0038】
式(IV)で表される化合物の環化は、酸性条件下で進行する。
【0039】
適切な鉱酸は、例えば、H2SO4、HCl、HF、HBr、HI、H3PO4であり、又は、有機酸、例えば、CH3COOH、CF3COOH、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸である。
【0040】
本発明によれば、1molの式(IV)で表される化合物に対して、0.1mol~2mol、好ましくは、0.1~1.5molの該酸を使用する。
【0041】
適切な溶媒は、例えば、以下のものである:脂肪族、脂環式又は芳香族の炭化水素類、例えば、石油エーテル、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はデカリン、及び、ハロゲン化炭化水素類、例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン又はトリクロロエタン;エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、メチルtert-アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン又はアニソール;アコール類、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール類;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、n-ブチロニトリル、イソブチロニトリル又はベンゾニトリル;アミド類、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルピロリドン又はヘキサメチルホスホルアミド;スルホキシド類、例えば、ジメチルスルホキシド、又は、スルホン類、例えば、スルホラン。好ましいのは、アセトニトリル、エタノール、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、n-ヘキサン、シクロヘキサン又はメチルシクロヘキサンであり、特に好ましいのは、アセトニトリル、エタノール、THF、トルエン又はキシレンである。反応が終了した後、例えば、溶媒を除去し、そして、生成物を濾過によって単離するか、又は、生成物を最初に水で洗浄し、抽出し、その有機層を除去し、溶媒を減圧下で除去する。
【0042】
式(I)で表される化合物は、加水分解に付すことによって、式(VI)で表されるピラゾールカルボン酸に変換させることができる(スキーム2)。
【0043】
【0044】
従って、本発明のさらなる態様は、3-フルオロアルキル-5-ピラゾール酸(VI)
【化9】
【0045】
〔ここで、
R1は、C1-C6-ハロアルキルから選択され;及び、
R3は、H、C1-C12-アルキル、ベンジル、フェニル、C6-18-アリール及びピリジルから選択される〕
を調製する方法であり、ここで、該方法は、
(i) 式(I)で表される3-フルオロアルキル-5-ピラゾールカルボキシレート、特に、式(I)〔式中、R2は、C1-12-アルキルに等しい〕で表される3-フルオロアルキル-5-ピラゾールカルボキシレートを調製するための調製方法;及び、
(ii) 式(I)で表される化合物を加水分解して、式(VI)で表される化合物とすること;
を含んでいる。
【0046】
該加水分解は、酸性条件下又は塩基性条件下で実施することができる。該反応は、酸を添加することなく、水だけの中で実施することも同様に可能である。
【0047】
酸性加水分解の場合、好ましいのは、以下の鉱酸(H2SO4、HCl、HSO3Cl、HF、HBr、HI、H3PO4)又は以下の有機酸(CF3COOH、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸)である。該反応は、触媒(例えば、FeCl3、AlCl3、BF3、SbCl3、NaH2PO4)を添加することによって、促進することができる。
【0048】
塩基性加水分解は、無機塩基(例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、アルカリ金属炭酸塩、例えば、Na2CO3、K2CO3、及び、アルカリ金属酢酸塩、例えば、NaOAc、KOAc、LiOAc、及び、アルカリ金属アルコキシド、例えば、NaOMe、NaOEt、NaOt-Bu、KOt-Bu)又は有機塩基(例えば、トリアルキルアミン類、アルキルピリジン類、ホスファゼン類及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン(DBU))の存在下で実施する。好ましいのは、無機塩基、例えば、NaOH、KOH、Na2CO3又はK2CO3などである。
【0049】
好ましいのは、塩基性加水分解を用いた変換である。
【0050】
本発明の調製方法の該段階は、20℃~+150℃の温度範囲内で、好ましくは、30℃~+110℃の温度で、さらに好ましくは、30℃~80℃で、実施する。
【0051】
本発明の調製方法の該段階は、一般に、標準圧下で実施する。しかしながら、代替え的に、減圧下又は高圧下で実施することも可能である(例えば、オートクレーブ内での水性HClを用いた反応)。
【0052】
その反応時間は、そのバッチサイズ及び温度に応じて、1時間と数時間の間の範囲内で選択することができる。
【0053】
該反応段階は、何も加えずに(in substance)実施することができるか、又は、溶媒の中で実施することができる。好ましくは、該反応は、溶媒の中で実施する。適切な溶媒は、例えば、以下のものを含んでいる群から選択される:水、アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール若しくはブタノール、脂肪族炭化水素類及び芳香族炭化水素類、例えば、n-ヘキサン、ベンゼン若しくはトルエン(これらは、フッ素原子及び塩素原子で置換されていてもよい:例えば、塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロベンゼン又はジクロロベンゼン);エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、イソプロピルエチルエーテル、ジオキサン、ジグリム、ジメチグリコール、ジメトキシエタン(DME)若しくはTHF;ニトリル類、例えば、メチルニトリル、ブチルニトリル若しくはフェニルニトリル;アミド類、ジメチルホルムアミド(DMF)若しくはN-メチルピロリドン(NMP)、又は、そのような溶媒の混合物。特に好ましいのは、水、アセトニトリル、ジクロロメタン及びアルコール類(エタノール)である。
【0054】
【0055】
〔式中、
R1は、CF2Hであり;
R3は、メチル、エチル又はフェニルである〕
で表される化合物である。
【0056】
[実施例]
実験部分
実施例1
N-(1,1-ジフルオロプロパン-2-イリデン)プロパン-2-アミン(III-1)
500mLのメチルt-ブチルエーテルの中のジフルオロアセトン(94g、1mol)の混合物に、10℃で、88g(1.5mol)のイソプロピルアミンを添加した。1時間経過した後、70g(0.5mol)のBF3*Et2Oを添加し、その混合物をさらに1時間撹拌した。その有機溶液を底のシロップ状物から分離し、溶媒を大気圧下で留去した。残留した液体を減圧下で蒸留して、139gのケチミン(b.p. 70-72℃/400mbar)が得られた。
【0057】
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 5,9(t,1H),3,7(m,1H),1,8(s,3H),1,1(d,6H)ppm;
19F(376MHz,CDCl3)δ -122(d,2F)ppm。
【0058】
実施例2
N-1,1-ジフルオロプロパン-2-イリデン-1-フェニルメタンアミン、(III-2)
500mLのジクロロメタンの中のジフルオロアセトン(94g、1mol)の混合物に、10℃で、107g(1mol)のベンジルアミンをゆっくりと添加した。20℃で6時間経過した後、CH2Cl2を減圧下で留去し、残留した液体を減圧下で蒸留して、161gのケチミン(b.p. 80-82℃/1.3mbar)が得られた。
【0059】
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7,2-7,4(m,5H),5,9(t,1H),4,5(s,2H),2,0(s,3H)ppm;
19F(376MHz,CDCl3)δ -1118(d,2F)ppm。
【0060】
実施例3
4-(ベンジルアミノ)-5,5-ジフルオロ-2-オキソペンタ-3-エン酸エチル(IV-1)
【化11】
【0061】
ベンジル(1,1-ジフルオロプロパン-2-イリデン)アミン(1eq.、250mg、1.30mmol)をジクロロメタン(2mL)に溶解させた溶液を-20℃まで冷却した。ピリジン(1.05eq.、108mg、0.11mL、1.36mmol)を添加し、次いで、エチルオキサリルモノクロリド(1.03eq.、183mg、0.15mL、1.34mmol)をジクロロメタン(1mL)に溶解させた溶液を添加した。その混合物を、-20℃から室温まで、18時間にわたって撹拌した。
【0062】
その混合物を取ってジクロロメタン(5mL)の中に入れ、次いで、Et2O(10mL)の中に入れた。生じた沈澱物を濾過し、その濾液を減圧下で濃縮した。その粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン中のAcOEt 0%から15%まで)で精製して、4-(ベンジルアミノ)-5,5-ジフルオロ-2-オキサペンタ-3-エノエート(224mg、0.79mmol、61%)が橙色の油状物として得られた。
【0063】
NMR 1H(CDCl3,400MHz):10.91(s br,NH),7.39-7.28(m,5H,フェニル),6.18(t,CHF2,J=53Hz),6.17(s,CHCO),4.66(d,CH2NH),4.31(q,OCH2),1.36(t,OCH2CH3)ppm;
NMR 19F(CDCl3,376MHz):-118.9(d,CHF2,J=53Hz)ppm;
NMR 13C(CDCl3,100MHz):180.2(C(O)COOEt),162.6(C(O)OEt),156.8(t,CCHF2,J=22Hz),136.2,129.2,128.3,127.3(Cフェニル),111.4(t,CHF2,J=245Hz),91.4(t,CHCO,J=7Hz),62.2(OCH2),48.2(CH2NH),14.1(OCH2CH3)ppm;
分析
C14H15F2NO3に対する計算値:
C,59.36;H,5.34;F,13.41;N,4.94;O,16.94;
実測値:
C,59.16;H,5.36;N,4.95。
【0064】
実施例4
4-(ベンジルアミノ)-5,5,5-トリフルオロ-2-オキソペンタ-3-エン酸メチル(IV-2)
【化12】
【0065】
ベンジル(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イリデン)アミン(1eq.、1000mg、4.82mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解させた溶液を-20℃まで冷却した。ピリジン(1.03eq.、391mg、0.4mL、4.95mmol)を添加し、次いで、メチルオキサリルクロリド(1.06eq.、625mg、0.47mL、5.1mmol)をジクロロメタン(6mL)に溶解させた溶液を添加した。その混合物を、-20℃から室温まで、18時間にわたって撹拌し、次いで、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン中のAcOEt 0%から10%まで)で精製して、4-(ベンジルアミノ)-5,5,5-トリフルオロ-2-オキソペンタ-3-エン酸メチル(680mg、2.37mmol、49%)が無色の油状物として得られた。
【0066】
NMR 1H(CDCl3,400MHz):11.02(s br,NH),7.40-7.28(m,5H,フェニル),6.40(s,CHCO),4.64(d,CH2NH),3.87(s,COOCH3)ppm;
NMR 19F(CDCl3,376MHz):-66.6(s,CF3)ppm;
NMR 13C(CDCl3,100MHz):180.3(CHCO),162.7(COOMe),152.6(q,CCF3,J=32.5Hz),135.8,129.3,128.5,127.4(Cフェニル),119.6(q,CF3,J=278Hz),90.4(q,CHCO,J 5Hz),53.1(COOCH3),49.0(CH2NH)ppm;
HRMS(ESI)
C13H12F3NNaO3[M+Na]に対する計算値:310.0661;
実測値:310.0635。
【0067】
実施例5
3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸エチル(I-1)
【化13】
【0068】
4-(ベンジルアミノ)-5,5-ジフルオロ-2-オキソペンタ-3-エン酸エチル(1eq.、520mg、1.78mmol)をMeCN(4mL)に溶解させた溶液をメチルヒドラジン(1.57eq.、129mg、0.15mL、2.8mmol)で処理し、次いで、不活性雰囲気下、室温で、濃H2SO4(0.511eq.、92mg、0.05mL、0.91mmol)で処理した。
【0069】
その混合物を1時間撹拌し、次いで、ジクロロメタンで稀釈し、濾過し、減圧下で濃縮した。その粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ペンタン中のEt2O 0%から40%まで)で精製して、3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸エチルが無色の油状物(230mg、63%)として得られた。
【0070】
NMR 1H(CDCl3,400MHz):7.04(t,4-CH,J=1Hz),6.66(t,CHF2,J=55Hz),4.36(q,OCH2),4.19(s,CH3),1.38(t,OCH2CH3)ppm;
NMR 19F(CDCl3,376MHz):-112.1(d,CHF2,J=55Hz)ppm;
NMR 13C(CDCl3,100MHz):159.4(C=O),145.1(t,CCHF2,J=29.8Hz),134.0(CCOOEt),110.8(t,CHF2,J=234Hz),108.7(4-CH),61.5(OCH2),40.1(NCH3),14.3(OCH2CH3)ppm;
HRMS(ESI)
C8H11F2N2O2[M+H]に対する計算値:205.0783;
実測値:205.0782。
【0071】
実施例6
3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(VI-1)
【化14】
【0072】
EtOH(2.61mL)の中の3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸エチル(1eq.、185mg、0.906mmol)と2N NaOH(2.01eq.、2M、0.912mL、1.82mmol)の混合物を室温で1時間撹拌した。その混合物をpH2-3になるまでHCl 1Nで処理し、次いで、ジクロロメタンで抽出した。その有機層を合してブラインで洗浄し、脱水し(Na2SO4)、濾過し、減圧下で蒸発させ、ペンタン中で摩砕した後、白色の固体(160mg、99%)が得られた。
【0073】
M.p.:179.8~180.2℃;
NMR 1H(d6-DMSO,400MHz):13.7(s br,COOH),7.02(s,4-CH),7.01(t,CHF2,J=54.4Hz),4.11(s,NCH3)ppm;
NMR 19F(d6-DMSO,376MHz):-111.6(d,CHF2,J=54.5Hz)ppm;
NMR 13C(d6-DMSO,100MHz):160.1(C=O),144.0(t,CCHF2,J=28.5Hz),134.6(CCOOH),110.9(t,CHF2,J=232Hz),108.4(4-CH),39.7(NCH3)ppm。
【0074】
実施例7
3-(ジフルオロメチル)-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸エチル(I-2)
【化15】
【0075】
4-(ベンジルアミノ)-5,5-ジフルオロ-2-オキソペンタ-3-エン酸エチル(1eq.、420mg、1.44mmol)をMeCN(4mL)に溶解させた溶液をフェニルヒドラジン(1.47eq.、228mg、0.21mL、2.12mmol)で処理し、次いで、不活性雰囲気下、濃H2SO4(0.506eq.、73.6mg、0.04mL、0.728mmol)で処理した。その混合物を一晩環流した。ジクロロメタン(20mL)を添加し、その混合物を濾過し、減圧下で濃縮した。その粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン中のAcOEt 0%から2%まで)で精製して、310mgの橙色の油状物が得られた。
【0076】
NMR 1H(CDCl3,400MHz):7.50-7.41(m,5H,Cフェニル),7.24(s,4-CH),6.76(t,CHF2,J=54.9Hz),4.26(q,OCH2),1.26(t,OCH2CH3)ppm;
NMR 19F(CDCl3,376MHz):-112.2(d,CHF2,J=54.6Hz)ppm;
NMR 13C(CDCl3,100MHz):158.4(C=O),146.8(t,CCHF2,J=30Hz),139.8(NCフェニル),135.0(CCOOEt),129.2,128.7,126.0(Cフェニル),110.7(t,CHF2,J=234Hz),109.6(4-CH),61.6(OCH2),13.9(OCH2CH3)ppm;
HRMS(ESI)
C13H13F2N2O2[M+H]に対する計算値:267.0940;
実測値:267.0918。
【0077】
実施例8
3-(ジフルオロメチル)-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(VI-2)
【化16】
【0078】
EtOH(1mL)の中の3-(ジフルオロメチル)-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸エチル(1eq.、160mg、0.601mmol)と2N NaOH(1.83eq.、2M、0.55mL、1.1mmol)の混合物を室温で1時間撹拌した。その混合物をHCl 1Nを用いて酸性化してpH2-3とし、次いで、ジクロロメタンで抽出した。その有機層を合して洗浄し(ブライン)、脱水し(Na2SO4)、濾過し、減圧下で蒸発させ、ペンタン中で摩砕した後、褐色の固体(160mg)が得られた。
【0079】
M.p.:132.7~133.5℃;
NMR 1H(d6-DMSO,400MHz):13.6(COOH),7.50(m,5H,Cフェニル),7.25(s,4-CH),7.13(t,CHF2,J=54Hz)ppm;
NMR 19F(d6-DMSO,376MHz):-112.2(d,CHF2,J=53.7Hz)ppm;
NMR 13C(d6-DMSO,100MHz):159.3(COOH),146.0(t,CCHF2,J=29Hz),139.7(NCフェニル),135.9(CCOOH),128.9,128.7,125.9(Cフェニル),110.9(t,CHF2,J=233Hz),109.5(4-CH)ppm;
分析
C11H8F2N2O2に対する計算値:
C,55.47;H,3.39;F,15.95;N,11.76;O,13.43;
実測値:
C,55.97;H,3.54;N,11.61。
【0080】
実施例9
1-メチル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボン酸メチル(I-3)
【化17】
【0081】
4-(ベンジルアミノ)-5,5,5-トリフルオロ-2-オキソペンタ-3-エン酸メチル(1eq.、150mg、0.47mmol)をMeCN(1mL)に溶解させた溶液をメチルヒドラジン(1.59eq.、34.4mg、40μL、0.747mmol)で処理し、次いで、不活性雰囲気下、室温で、濃H2SO4(0.503eq.、23.9mg、13μL、0.237mmol)で処理した。その混合物を90℃で1時間撹拌し、油浴から5分間除いた。ピリジン(8.02eq.、298mg、305μL、3.77mmol)を添加し、次いで、SOCl2(2.05eq.、114mg、70μL、0.965mmol)を添加した。その混合物を30分間撹拌した。内部標準:フルオロベンゼン(1.13eq.、51mg、50μL、0.531mmol)。
【0082】
19F NMR 収率:>99%。
【0083】
実施例10
1-フェニル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボン酸メチル(I-4)
【化18】
【0084】
4-(ベンジルアミノ)-5,5,5-トリフルオロ-2-オキソペンタ-3-エン酸メチル(1eq.、500mg、1.74mmol)をMeCN(5mL)に溶解させた溶液をフェニルヒドラジン(1.51eq.、283mg、0.26mL、2.62mmol)で処理し、その後直ぐに、不活性雰囲気下、室温で、濃H2SO4(0.523eq.、92mg、0.05mL、0.91mmol)で処理した。その混合物を2日間環流し、室温まで冷却した。ピリジン(7.81eq.、1075mg、1.1mL、13.6mmol)を添加し、次いで、SOCl2(1.98eq.、410mg、0.25mL、3.45mmol)をシリンジを介してゆっくりと添加した。その混合物を30分間撹拌した。その混合物を濾過し、減圧下で濃縮した。その粗製物をフラッシュクロマトグラフィー(ペンタン中のEt2O 0%から5%まで)で精製して、370mgの固形物(約80重量%=300mg、64%)が得られた。
【0085】
HRMS(ESI)
C12H10F3N2O2[M+H]に対する計算値:271.0689;
実測値:271.0697。
【0086】
実施例11
1-フェニル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(VI-3)
【化19】
【0087】
EtOH(1mL)の中の1-フェニル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボン酸メチル(1eq.、170mg、0.503mmol)と2N NaOH 2N(2.19eq.、2M、0.55mL、1.1mmol)の混合物を室温で1時間撹拌した。その混合物をpH2-3になるまで1N HClで処理し、次いで、ジクロロメタンで抽出した。その有機層を合して洗浄し(ブライン)、脱水し(Na2SO4)、濾過し、減圧下で蒸発させて、褐色の固体が得られた。
【0088】
M.p.:155-165℃(分解が観察された);
NMR 1H(d6-DMSO,400MHz):13.7(s br,COOH),7.52(m,5H,CHフェニル),7.50(4-CH)ppm;
NMR 19F(d6-DMSO,376MHz):-60.9(s,CF3)ppm;
NMR 13C(d6-DMSO,100MHz):158.9(COOH),141.0(q,CCF3,J=38Hz),139.4(N-1Cフェニル),136.4(CCOOH),129.3,128.7,126.0(2-6Cフェニル),120.9(q,CF3,J=269Hz),110.1(4-CH)ppm;
HRMS(ESI)
C11H8F3N2O2[M+H]に対する計算値:257.0532;
実測値:257.0536。