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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】視力測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/032 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
A61B3/032
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019515579
(86)(22)【出願日】2017-09-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2017073817
(87)【国際公開番号】W WO2018054997
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-09-18
(31)【優先権主張番号】16306224.3
(32)【優先日】2016-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518007555
【氏名又は名称】エシロール・アンテルナシオナル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル・ノーシェ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ブティノン
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-047094(JP,A)
【文献】特開2002-200041(JP,A)
【文献】特開2003-199712(JP,A)
【文献】特開平11-244239(JP,A)
【文献】米国特許第04403842(US,A)
【文献】特開2002-191558(JP,A)
【文献】特表2013-534431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人の眼(E)を検査するための視力測定装置であって、
- 前記個人の眼(E)のために可変距離に第1の画像を生じるようになされる画像化モジュール(10)であって、前記画像化モジュール(10)が、第1の光線を生じる第1のスクリーン(12)と、前記第1の光線を連続的に反射する1対のミラー(13、14)を備え、前記1対のミラー(13、14)が互いに対して直角に配設されると共に基部(18)上に保持され、前記基部(18)が前記画像化モジュールの支持体(17)上に摺動自在に取り付けられる、画像化モジュール(10)と、
- 前記個人の眼(E)のために前記第1の画像及び第2の画像を結合するよう編成されるビームスプリッタ(26)と、
- 前記ビームスプリッタ(26)に面する第2のスクリーン(22)であって、ビデオディスプレイである第2のスクリーン(22)と、
- 前記ビームスプリッタ(26)を経由して前記個人の眼によって見ることができる前記第2の画像を生じるよう、前記第2のスクリーン(22)と組み合わされて編成される更なるミラー(24)と、
を備え、
前記更なるミラー(24)は凹面であり、前記第2のスクリーン(22)及び前記更なるミラー(24)は、前記第2の画像に対応する第2の光線が前記第2のスクリーン(22)から前記更なるミラー(24)へ前記ビームスプリッタ(26)を経由して送出され、かつ前記更なるミラー(24)上で前記ビームスプリッタ(26)へ向かって反射するように位置決めされる、視力測定装置。
【請求項2】
前記画像化モジュールは、前記第1の画像に対応する第1の光線が前記ビームスプリッタ(26)を横切って前記個人の眼(E)へ向けて送出されるように位置決めされる、請求項に記載の視力測定装置。
【請求項3】
前記第1のスクリーン(12)は、LCDスクリーンである、請求項1又は2に記載の視力測定装置。
【請求項4】
更に、前記個人の眼のために第2の可変距離に前記第2の画像画像化されるように前記第2のスクリーン(22)を移動させるための手段を備える、請求項1~のいずれか一項に記載の視力測定装置。
【請求項5】
更に、前記ビームスプリッタ(26)と前記個人の眼(E)との間に挟入される可変屈折モジュール(30)を備える、請求項1~のいずれか一項に記載の視力測定装置。
【請求項6】
前記可変屈折モジュール(30)は可変球面屈折度を有するレンズ(32)を含む、請求項に記載の視力測定装置。
【請求項7】
前記可変屈折モジュール(30)は円柱屈折度を有する1対の独立して回転可能なレンズ(34、36)を含む、請求項又はに記載の視力測定装置。
【請求項8】
前記画像化モジュール(10)を密閉する第1のハウジングと、前記ビームスプリッタ(26)、前記更なるミラー(24)、及び前記第2のスクリーン(22)を密閉する第2のハウジング(21)とを備える、請求項1~のいずれか一項に記載の視力測定装置。
【請求項9】
前記第1の画像は視標(OPT)に対応する、請求項1~のいずれか一項に記載の視力測定装置。
【請求項10】
前記画像化モジュール(10)、前記ビームスプリッタ(26)、前記第2のスクリーン(22)、及び前記更なるミラー(24)を密閉するケーシング(2)と、前記ケーシング(2)の内側に可変周辺光を生じるようになされる発光体(60)とを備える、請求項1~のいずれか一項に記載の視力測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は視力測定分野に関する。
【0002】
より正確には、発明は視力測定装置に関する。
【背景技術】
【0003】
視力測定装置は、アイケア専門家、特に、検眼士及び眼科医によって用いられて、彼らが個人の視力の特性を評価することを助ける。
【0004】
特に、屈折装置は、個人の非正視を補償するために必要な矯正を特定するために、調整可能な矯正を生じるようになされ、「自覚的屈折」として公知の検査中に用いられる視力測定装置である。
【0005】
文献の米国特許第5793469号明細書は、個人の眼のために可変距離に第1の画像を生じるようになされる画像化モジュール、個人の眼のために第1の画像及び第2の画像を結合するよう編成されるビームスプリッタ、及びビームスプリッタに面するスクリーンを備える個人の眼を検査するための視力測定装置を説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第5793469号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
この文脈において、発明は、ビームスプリッタを経由して個人の眼によって見ることができる第2の画像を生じるよう、スクリーンと組み合わされて編成されるミラーを特徴とする、前述のような視力測定装置を提供する。
【0008】
これにより、スクリーンによって生じられる光線を(任意の所望の背景を表す)広い虚像として投射することが可能となり、その上に第1の画像が重ね合わされ、従って、現実感のある状況をシミュレートする。
【0009】
視力測定装置は、また、(非限定的として理解されるべき)以下の任意の特徴のうちの1つ又は幾つかを含んでいてもよい。
- ミラーは凹面である。
- 画像化モジュールは、第1の画像に対応する第1の光線がビームスプリッタを横切って個人の眼へ向けて送出されるように位置決めされる。
- スクリーン及びミラーは、第2の画像に対応する第2の光線がスクリーンからミラーへビームスプリッタを経由して送出され、ミラー上でビームスプリッタへ向かって反射し、ビームスプリッタ上で個人の眼へ向かって反射するように位置決めされる。
- スクリーンはビデオディスプレイである。
- 視力測定装置は、更に、個人の眼のために第2の可変距離に第2の画像を画像化するための手段を備える。
- 視力測定装置は、更に、ビームスプリッタと個人の眼との間に挟入される可変屈折モジュールを備える。
- 可変屈折モジュールは可変球面屈折度を有するレンズを含む。
- 可変屈折モジュールは円柱屈折度を有する1対の独立して回転可能なレンズを含む。
- 視力測定装置は、更に、ビームスプリッタに対して個人の眼と対向して位置する面積を照明するようになされる光源を備える。
- 視力測定装置は、画像化モジュールを密閉する第1のハウジングと、ビームスプリッタ、ミラー、及びスクリーンを密閉する第2のハウジングとを備える。
- 第1の画像は視標に対応する。
- 視力測定装置は、画像化モジュール、ビームスプリッタ、スクリーン、及びミラーを密閉するケーシングを備える。
- 視力測定装置は、ケーシングの内側に可変周辺光を生じるようになされる発光体を備える。
【0010】
以下の説明は添付図面を踏まえて行われる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、発明による例示の視力測定装置を示す。
図2図2は、図1の視力測定装置の断面図である。
図3図3は、図1の視力測定装置に含まれる可能性のある屈折モジュールを示す。
図4図4は、図1の視力測定装置の個人によって見ることができる例示の図を示す。
図5図5は、かかる視力測定装置内に設けられる屈折モジュールのための可能な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1の視力測定装置は、視力測定装置を、例えば、テーブル上に載置できるように、スタンド4上に取り付けられるケーシング2を含む。
【0013】
本実施形態において、ケーシング2は、明瞭度モジュール10、情景モジュール20、屈折モジュール30、及びセンサモジュール40を囲んでいる。ケーシング2は、また、他のモジュールの幾つかの部品、特に、屈折モジュール30の幾つかの部品(以下で更に説明するような)及び/又はセンサモジュール40の幾つかの部品を動かすようになされる駆動モジュール70も囲んでいる。
【0014】
図2で見てわかるように、ケーシング2は、明瞭度モジュール10と対向して位置し、以下で更に説明するように、それを通して個人がケーシング2の中を見ることができる窓8(透明プラスチック等の透明材料によって閉じられる可能性のある)を有する壁部7を含む。
【0015】
明瞭度モジュール10は、スクリーン12、1対のミラー13、14、レンズ16、及び追加ミラー15を含む。
【0016】
スクリーン12(例えば、LCDスクリーン)はスクリーン軸S(このスクリーン軸Sはこの場合において垂直)に沿った光線を生じる。以下で更に説明するように、この光線は、視力測定装置を用いる個人のために視標等の対象物の画像を生じるよう意図されている。
【0017】
ミラー13、14は互いに対して直角に配設され、加えて、ミラー13はスクリーン軸Sに対して45°の角度で配設されている。この編成により、スクリーン12によって生じられた光線は、レンズ軸L(スクリーン軸S及びレンズ軸Lは互いに平行している)に沿ってレンズ16へ向けられるように、ミラー13によって、次いでミラー14によって首尾よく反射される。
【0018】
レンズ16はここでは、例えば、200mm~300mmの間の焦点距離を有する色消しレンズである。
【0019】
レンズ軸Lに沿ってミラー14によって反射される光線がレンズ16と交差し、次いで、追加ミラー15上で反射され、そこから個人の眼Eへ(窓8を介して)視力測定装置の光軸Oに沿って向かうように、追加ミラー15はレンズ16に対してミラー14と対向してレンズ軸Lで45°に位置決めされる。
【0020】
レンズ16とスクリーン12との間の(前述の光軸に沿った)距離は、スクリーン12がレンズ16の対象物焦点面とレンズ自体との間に位置するように、レンズ16の焦点距離未満である。
【0021】
一方で、ケーシング2及び明瞭度モジュール10は、(個人が彼の頭部Hをケーシング2の専用部分に対して位置決めする場合)個人の眼Eがレンズ16の画像焦点面内に位置するように設計される。
【0022】
明瞭度モジュール10は、従って、個人の眼Eのために画像(視標等の対象物を表す)を生じるよう設計されている。
【0023】
加えて、ミラー13、14は、ミラー13、14が(垂直な)スクリーン軸Sに沿って移動できるように、明瞭度モジュール10の支持体17上に摺動自在に取り付けられる基部18上に保持される。(スクリーン12、レンズ16、及び追加ミラー15はこの支持体17に固定して取り付けられる。)
【0024】
ミラー13、14を担持する基部18を移動することによって(例えば、図2に示していない電気モータ19及び関連する機構により)、スクリーン12とレンズ16との間の光路長は変更することができる。
【0025】
これにより、明瞭度モジュールは、個人の眼Eに対する可変距離において対象物画像を生じるようになされる。
【0026】
前述の明瞭度モジュール10の様々な構成要素は、図1に示す(ただし、理解し易いように図2には表されていない)ハウジング11内に密閉されている。
【0027】
情景モジュール20は、スクリーン22、ミラー(ここでは凹面鏡)24、及びビームスプリッタ26を備える。情景モジュール20は、また、スクリーン22、ミラー24、及びビームスプリッタ26を囲むハウジング21も備える。
【0028】
スクリーン22はビデオディスプレイ、例えば、LCDディスプレイであってもよい。
【0029】
ハウジング21は第1のアパーチャ27及び第2のアパーチャ28を有し、両方は視力測定装置の光軸O上に位置し、個人の眼Eに向けられた光が通過することができるよう意図されている。
【0030】
第1のアパーチャ27は明瞭度モジュール10に面しているハウジング21の壁部に作成される一方で、第2のアパーチャ28は、個人の眼Eに面しているハウジング21の壁部に作成される。
【0031】
ビームスプリッタ26は光軸O上に位置決めされる。明瞭度モジュール10によって生じられる(ここでは明瞭度モジュール10の追加ミラー15によって反射される)光線は、従って、第1のアパーチャ、ビームスプリッタ、及び第2のアパーチャを横切って個人の眼Eに向かって送出される。
【0032】
スクリーン22、ビームスプリッタ26、及びミラー24は光軸Oに対して垂直な方向(ここでは垂直方向)に沿って整列される。スクリーン22及びミラー24は、更に、それ自体、光軸に対して45°に位置決めされるビームスプリッタ26のどちらか一方の側に位置決めされる。
【0033】
この構造により、スクリーン22によって生じられる光線は、(例えば、図2の光線Rによって示すように)ビームスプリッタ26を横切ってスクリーン22からミラー24へ送出され、ビームスプリッタ26へ向かってミラー24で反射し(光線R)、光軸Oに沿って個人の眼Eへ最終的に向かうようにビームスプリッタ26で反射する(光線R)。この光線は、また、従って、第2のアパーチャ28を経由して情景モジュール20を出る。
【0034】
(ここでは凹面の)ミラー24は、視力測定装置を用いる個人が5mを超える(又は6mを超える)距離でスクリーン22によって生成される画像を見ることを可能にする焦点距離を有する。
【0035】
ビームスプリッタ26は、従って、明瞭度モジュール10によって生じられる光線を送出するだけでなく、同じ方向(光軸O)に情景モジュール20のスクリーン22によって最初に生じられる光線を加える、すなわち、明瞭度モジュール10によって生じられた画像を情景モジュール20のスクリーンによって生成された別の画像と組み合わせることが可能となる。
【0036】
図2で見てわかるように、情景モジュール20のスクリーン22の幅(光軸Oに沿ってここで測定するような)は、ビームスプリッタ26の全長に略沿って延在し、従って、幾分幅広い角度α、概して10°以上の角度、好ましくは30°以上の角度にわたって個人の眼Eから見ることができる光線を生成することが可能となる。
【0037】
比較すると、明瞭度モジュール10によって生成される対象物の画像(個人の眼Eから追加ミラー15上で見えるような)は5°以下の幾分狭い角度βを覆っている。
【0038】
これを鑑みて、本実施形態において、第1のアパーチャ27の面積は第2のアパーチャ28の面積よりも明らかに小さい。
【0039】
本実施形態において、情景モジュール20の構成要素は、情景モジュール20のスクリーン22によって生じられる(虚)画像が個人の眼Eに対する距離にある(すなわち、個人に対する遠視力に対応する)ように位置決めされる。
【0040】
可能性のある実装によれば、スクリーン22は、個人の眼Eに対する可変距離でスクリーン22によって生じられる画像を画像化するために、図2に示す位置から別の位置(参照22’による点線で示す)まで移動可能(例えば、線形ガイド上のモータによる移動によって)であってもよい。
【0041】
上で提示した視力測定装置の構造により、情景モジュール20は、明瞭度モジュール10及び以下で説明する他のモジュール30、40の操作に影響を及ぼすことなく、取り外されてもよいか(例えば、ケーシング2において脱着自在な手段によって取り付けられる場合)又は幾つかの製品において含まれなくてもよい。
【0042】
視力測定装置は、また、ここでは明瞭度モジュール10と情景モジュール20との間に挟入される発光体60を含んでいてもよい。発光体60は、例えば、明瞭度モジュールのハウジング11に取り付けられてもよい。
【0043】
発光体60は、少なくとも1つの光源(例えば、LED等の複数の光源)及び光を散乱及び拡散させるようになされる透明プラスチック材料のプラークを備えてもよい。発光体60は、従って、ビームスプリッタ26に対して個人の眼Eと対向して位置する面積を照明し、従って、個人に対する周辺光をシミュレートするようになされている。この周辺光のレベル(すなわち、シミュレートされる光度)は光源の強さを変化させることによって変化してもよい。
【0044】
屈折モジュール30は、情景モジュール20と個人の眼Eとの間(及び、故に、明瞭度モジュール10と個人の眼Eとの間)に挟入されるようにケーシング2内に取り付けられる。
【0045】
本実施形態において、屈折モジュール30は窓8を呈するケーシング2の壁部7の近傍に位置する。
【0046】
屈折モジュール30は、例えば、文献の国際公開第2015/107303号パンフレットにおいて説明されるような視覚補償システムである。
【0047】
かかる屈折モジュールはそれを通して見る個人の眼Eのための可変光学補正を提供するようになされている。
【0048】
正確には、図3に示すように、屈折モジュール30は光軸Oに沿った球面度数を有するレンズ32を含み、その球面度数は可変である。
【0049】
前記可変球面度数レンズ32は、例えば、変形可能な表面(変形可能な膜等)を有する。この表面の形状(特に、この表面の曲率半径、及び故に、レンズによって提供される球面度数)は機械的部品(リング等)を動かすことによって制御され、その機械的部品は屈折モジュール30の第1のモータ33によって駆動されてもよい。
【0050】
屈折モジュールは、また、それぞれが光軸Oに沿った円柱度数を有する1対の独立して回転可能なレンズ34、36も含んでいる。
【0051】
2つの回転可能なレンズ34、36は、屈折モジュール30の第2のモータ及び屈折モジュール30の第3のモータそれぞれの動作によってそれぞれ回転されてもよい。
【0052】
屈折モジュール30は、文献の国際公開第2015/107303号パンフレットに説明されているように、球面度数レンズ32及び2つの円柱度数レンズ34、36の組み合わせが所望の球面補正及び所望の円柱補正を個人の眼Eに対して提供するように、第1のモータ33、第2のモータ、及び第3のモータのための制御をそれぞれ生成するよう設計される制御ユニット38を含んでいる。
【0053】
屈折モジュール30の様々な構成要素(可変球面度数レンズ32、円柱レンズ34、36、第1のモータ33、第2のモータ、第3のモータ、及び制御ユニット38等)はハウジング31内に密閉されている。
【0054】
本実施形態において、視力測定装置は、上で述べ、図3に示すような2つの視覚補償システムを含み、それぞれのかかるシステムは個人の眼のうちの1つの前に位置している。
【0055】
駆動モジュール70は、この場合、個人の瞳孔間距離(PD)に適合するために、視覚補償システムのそれぞれを光軸Oと垂直な方向に動かす手段を含む。
【0056】
図5は可能な実施形態を示しており、ここで視力測定装置は2つの屈折モジュール30、30’を含み、各屈折モジュール30、30’はシャッタ39、39’を備えている。
【0057】
各シャッタ39、39’は、問題のシャッタ39、39’が光軸O上にあり(すなわち、窓8に面しており)、問題の眼による視覚を遮る第1の(閉)位置(図5に示す)と、問題のシャッタ39、39’が光軸Oから外れており、問題の眼による視覚を妨げない第2の(開)位置との間で移動できるように、(光軸Oと略平行な)軸35、35’を中心として回動自在に取り付けられる。
【0058】
シャッタ39、39’の位置を個別に制御し、明瞭度モジュール10のスクリーン12及び/又は情景モジュール20のスクリーン22と同期させることによって、左眼のために生じられる画像とは異なる右眼のための画像を生じることができ、これは明瞭度モジュール10によって生じられる画像に及び情景モジュールによって生じられる画像に適用できる。
【0059】
例えば、明瞭度モジュール10のスクリーン12上又は情景モジュール20のスクリーン22上に表示される一連の画像に対し、断片的な画像を一方の眼だけに示すことができる(シャッタ39が閉じられ、シャッタ39’が開けられる)一方で、一様な画像が他方の眼だけに示される(シャッタ39が開けられ、シャッタ39’が閉じられる)。
【0060】
これは、例えば、立体画像を表示することを可能にする。
【0061】
可能な実施形態によれば、情景モジュール20のスクリーン22上に画像を表示することとは異なる時間に明瞭度モジュール10のスクリーン12上に画像を表示することによって、所定の眼だけのために明瞭度モジュール10によって生じられる画像(視標等)を示し、両眼のために情景モジュール20によって生じられる画像を示すことも可能である。
【0062】
センサモジュール40は、(この場合において光軸Oの上に位置する)センサ42へ向けて個人の眼Eから出る光を反射するように、光軸O上に位置し、光軸Oに対して45°に傾けられるビームスプリッタ45を備えている。センサ42は、例えば、画像センサであり、そのようなビデオカメラは、個人の眼Eの画像を取り込むよう設計される。
【0063】
センサモジュール40内又はどこか他の箇所(例えば、異なる電子装置内)に位置してもよい処理ユニットは、センサ42によって取り込まれた画像を受信し、これらの画像を解析して、そこから問題の個人の眼Eの注視方向等の個人に関する生理的又は行動パラメータを推定する。
【0064】
本実施形態において、屈折モジュール30及びセンサモジュール40は、少なくとも光学素子55を担持するカートリッジ50が屈折モジュール30とセンサモジュール40との間に挿入され得るように、ケーシング2内に位置決めされる。
【0065】
図1に示すように、カートリッジ50は、ここでは、ケーシング2内の開口部3を介して上から挿入される。
【0066】
カートリッジ50が屈折モジュール30とセンサモジュール40との間に位置決めされる場合、個人の眼Eが光学素子55を介して情景モジュールのビームスプリッタ26及び明瞭度モジュール10の追加ミラー15(それぞれが個人の眼Eのために画像を生じる)を確認するように、光学素子55は光軸O上に位置する。
【0067】
光学素子55は、例えば、着色フィルタ、色付きフィルタ、偏光フィルタ、又はプリズムレンズである。
【0068】
上で説明した視力測定装置は、小型ではあるが、広い視野で情景モジュールによって生成された画像により、現実の状況をシミュレートすることができる。
【0069】
明瞭度モジュール10及び情景モジュール20の併用によって、高解像度の視標OPTが広い視野を有する画像の中心に表示されてもよい。
【0070】
情景モジュール20のスクリーン22がビデオディスプレイである場合、視力測定装置を用いて行われる検査は現実の状況におけるような移動環境でさえもシミュレートすることができる。
【0071】
加えて、ケーシング2内に様々な構成要素を密閉することによって、上で説明したように、個人の眼Eによって認識される光のレベルを所望通りに調整することができ、全ての種類の周辺光を、従って、(特に発光体60を用いて)半影から眩光までシミュレートすることができる。
【0072】
自覚的屈折検査(可能であれば屈折モジュール30を用いる)は、従って、例えば、明所視又は薄明視を検査するよう専門家によって選択される光レベルと共に行うことができる。
【0073】
検査は、また、明瞭度モジュールのスクリーン12上及び/又は情景モジュール20のスクリーン22上に問題の色だけを有する画像を表示することによって、特定の色(例えば、赤、緑、又は青)のために行うことができる。
【0074】
光学素子55は、例えば(上で説明したようにシミュレートされる)所定の状況において特定の追加フィルタを用いる関心を実証するために用いられてもよい。
【0075】
2つの画像の組み合わせ(ここでは情景モジュール20のビームスプリッタ26を用いる)により、視力検査において用いられる対象物OPT(明瞭度モジュール10によって生成される高解像度画像、例えば、視標に対応する)は、検査を図4に示す例示的な図におけるようなより現実感のあるものにする(例えば、風景内の遠方の標識のような)広い情景SCNの中間において個人によって確認される。
【0076】
例えば、特定目的の自覚的屈折検査を夜間運転をシミュレートする状況において実行することができる。
【0077】
移動する画像(例えば、情景モジュール20のスクリーン22によって生じられる)及びセンサモジュール40による個人の眼Eの観察の組み合わせにより、問題の画像(ここでは情景モジュール20によって生じられる画像)において生じる出来事に応じた行動的特徴を推定することが可能となる。かかる行動的特徴は、例えば、反応時間又は情景探査戦略である。事象は、例えば、画像の横方向部分から画像の中心部分へ向かって移動する障害物であってもよい。センサモジュール40の使用により測定可能な行動的特徴は、この場合、障害物が個人によって検出された(光軸Oに対する)角度であってもよい(検出は、センサモジュール40によって特定された注視方向が情景モジュール20によって表示される障害物の位置に対応する場合に想定される)。
【符号の説明】
【0078】
2 ケーシング
3 開口部
4 スタンド
7 壁部
8 窓
10 明瞭度モジュール(画像化モジュール)
11 ハウジング
12 スクリーン
13 ミラー
14 ミラー
15 追加ミラー
16 レンズ
17 支持体
18 基部
19 電気モータ
20 情景モジュール
21 第2のハウジング
22 スクリーン
24 ミラー
26 ビームスプリッタ
27 第1のアパーチャ
28 第2のアパーチャ
30 可変屈折モジュール
31 ハウジング
32 可変球面度数レンズ
33 第1のモータ
34 円柱度数レンズ
35 軸
35’軸
36 円柱度数レンズ
38 制御ユニット
39 シャッタ
40 センサモジュール
42 センサ
45 ビームスプリッタ
50 カートリッジ
55 光学素子
60 発光体
70 駆動モジュール
図1
図2
図3
図4
図5