IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ピアッジオ・エ・チ・ソチエタ・ペル・アツィオーニの特許一覧

特許7044784転動ブロックを有する転動車両の前方キャリッジ
<>
  • 特許-転動ブロックを有する転動車両の前方キャリッジ 図1
  • 特許-転動ブロックを有する転動車両の前方キャリッジ 図2
  • 特許-転動ブロックを有する転動車両の前方キャリッジ 図3
  • 特許-転動ブロックを有する転動車両の前方キャリッジ 図4
  • 特許-転動ブロックを有する転動車両の前方キャリッジ 図5
  • 特許-転動ブロックを有する転動車両の前方キャリッジ 図6
  • 特許-転動ブロックを有する転動車両の前方キャリッジ 図7
  • 特許-転動ブロックを有する転動車両の前方キャリッジ 図8
  • 特許-転動ブロックを有する転動車両の前方キャリッジ 図9
  • 特許-転動ブロックを有する転動車両の前方キャリッジ 図10
  • 特許-転動ブロックを有する転動車両の前方キャリッジ 図11
  • 特許-転動ブロックを有する転動車両の前方キャリッジ 図12
  • 特許-転動ブロックを有する転動車両の前方キャリッジ 図13
  • 特許-転動ブロックを有する転動車両の前方キャリッジ 図14
  • 特許-転動ブロックを有する転動車両の前方キャリッジ 図15
  • 特許-転動ブロックを有する転動車両の前方キャリッジ 図16a
  • 特許-転動ブロックを有する転動車両の前方キャリッジ 図16b
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】転動ブロックを有する転動車両の前方キャリッジ
(51)【国際特許分類】
   B62K 5/08 20060101AFI20220323BHJP
   B60G 17/005 20060101ALI20220323BHJP
   B62D 7/18 20060101ALI20220323BHJP
   B62K 5/05 20130101ALI20220323BHJP
   B62K 5/10 20130101ALI20220323BHJP
   B60G 21/00 20060101ALN20220323BHJP
【FI】
B62K5/08
B60G17/005
B62D7/18
B62K5/05
B62K5/10
B60G21/00
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019531829
(86)(22)【出願日】2017-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 IB2017058220
(87)【国際公開番号】W WO2018116211
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】102016000129489
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512185877
【氏名又は名称】ピアッジオ・エ・チ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】PIAGGIO & C. S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Viale Rinaldo Piaggio, 25, I-56025 Pontedera, PI,Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・ラッファエッリ
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第2810861(EP,A1)
【文献】特開2014-237362(JP,A)
【文献】特開昭64-28024(JP,A)
【文献】特開2008-87715(JP,A)
【文献】特開2004-359232(JP,A)
【文献】特開2005-313876(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第2953184(FR,A1)
【文献】欧州特許第2345576(EP,B1)
【文献】欧州特許出願公開第1180476(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 1/00- 11/14
B62D 7/00- 7/22
B60G 1/00- 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つまたは4つの車輪を備えた転動車両の前方キャリッジ(8)であって、
前方キャリッジフレーム(16)と、
-運動学的転動機構(20)によって互いにかつ前記前方キャリッジフレーム(16)と運動学的に連結されている少なくとも1対の前輪(10’、10”)と、
-転動ブロックシステム(100)とを含み、前記転動ブロックシステム(100)は、前記前方キャリッジの2つの部分を互いに直接連結するロッド(110)を含み、前記部分の少なくとも1つは転動運動を受け、前記ロッド(110)は伝達手段(121、122)によって前記前方キャリッジの前記2つの部分に運動学的に連結されたロッドの第1の部分(111)およびロッドの第2の部分(112)を含み、前記伝達手段(121、122)は、転動面に垂直な軸を中心とする回転運動を長手方向延長軸(X)を中心とする前記第1の部分(111)および前記第2の部分(112)のそれぞれの回転運動に変換するのに適しており、
前記転動ブロックシステムは、ロッドの前記第1の部分(111)とロッドの前記第2の部分(112)の相対回転をブロックするのに適しているブロック装置(111a、112a、130)を含み、前記ブロック装置(111a、112a、130)は、前記転動面に対する前記ロッドの回転角をブロックするために、ロッドの前記第1の部分(111)および前記第2の部分(112)が回転的に一体であるブロック位置と、前記転動面に対する前記ロッド(110)の回転を可能にするために、ロッドの前記第1の部分(111)および前記第2の部分(112)が前記長手方向延長軸(X)を中心に自由に回転できる解除位置と、を選択的にとるように構成される、
前方キャリッジ。
【請求項2】
ロッドの前記第1の部分(111)および前記第2の部分(112)の前記伝達手段(121、122)は、ロッドの前記第1の部分(111)および前記第2の部分(112)が互いに反対方向に、それぞれの軸中心に回転するように構成されている、請求項1に記載の前方キャリッジ(8)。
【請求項3】
前記ロッド(110)は、ボールジョイントまたはボールジョイント(101、102)に相当するヒンジ手段によってそれらの両端において前記前方キャリッジの前記2つの部分を互いに直接連結する、請求項1または請求項2に記載の前方キャリッジ(8)。
【請求項4】
前記伝達手段(121、122)は、前記ボールジョイント(101、102)から前記ロッド(110)のそれぞれの前記第1の部分(111)および前記第2の部分(112)への運動の乗算を有するように1より大きい伝達比を有する、請求項3に記載の前方キャリッジ(8)。
【請求項5】
前記伝達手段(121、122)は、ロッド(110)の前記第1の部分(111)および前記第2の部分(112)のそれぞれに対して、ヘリカルベベルギヤ対(121a、121bおよび122a、122b)から構成される、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の前方キャリッジ(8)。
【請求項6】
前記ブロック装置(111a、112a、130)は、前記第1の部分(111)および前記第2の部分(112)に、互いに向かい合って配置されたそれぞれの第1のヘッド要素(111a)および第2のヘッド要素(112a)を含み、
前記第2のヘッド要素(112a)は、前記第1のヘッド要素(111)の相互ブロックに係合してロッドの前記第1の部分(111a)および前記第2の部分(112)を回転的に一体にするブロック位置と、前記第2のヘッド要素(112a)が前記第1のヘッド要素(111a)から長手方向に切り離されて、ロッドの前記第1の部分(111)および前記第2の部分(112)が自由に回転できるようにする解除位置との間を移動できるように前記長手方向延長軸(X)に沿って移動可能であり、前記ブロック装置(111a、112a、130)は、前記第2のヘッド要素(112a)を前記ブロック位置と前記解除位置との間で移動させるのに適したアクチュエータ(130)を備える、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の前方キャリッジ(8)。
【請求項7】
前記第1のヘッド要素(111a)および前記第2のヘッド要素(112a)は、ロッドのそれぞれの前記第1の部分(111)または前記第2の部分(112)と同軸のカラーまたはフランジのような形状である、請求項6に記載の前方キャリッジ(8)。
【請求項8】
前記第2のヘッド要素(112a)は、ロッドの前記第2の部分(112)に対して軸方向に摺動するように前記長手方向に取り付けられている、請求項6または請求項7のいずれか一項に記載の前方キャリッジ(8)。
【請求項9】
前記アクチュエータ(130)は、前記ロッド(110)の前記長手方向延長軸(X)に沿って動作するリニアアクチュエータである、請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の前方キャリッジ(8)。
【請求項10】
前記リニアアクチュエータ(130)は、前記第1のヘッド要素(111a)と前記第2のヘッド要素(112a)とを前記長手方向に互いに軸方向に連結し、かつ、前記第2のヘッド要素(112a)の所定ストロークに対応する所定軸方向ストロークで前記長手方向で、前記ブロック位置と前記解除位置との間で移動可能なアクチュエータシャフト(132)を備える、請求項9に記載の前方キャリッジ(8)。
【請求項11】
前記第1のヘッド要素(111a)および前記第2のヘッド要素(112a)は、軸方向前側歯付き係合によってブロック時に互いに係合するように構成される、請求項10に記載の前方キャリッジ(8)。
【請求項12】
前記第1のヘッド要素(111a)および前記第2のヘッド要素(112b)のそれぞれは、前記ロッド(110)の前記長手方向延長軸(X)に対して垂直な環状表面上に延在するリングギヤ(113)を備え、前記リングギヤ(113)は、前記長手方向延長軸(X)に対して径方向に延びる歯部を有し、特に、前記リングギヤ(113)の前記歯部は真っ直ぐである、請求項11に記載の前方キャリッジ(8)。
【請求項13】
前記ブロック装置(111a、112a、130)は前記アクチュエータシャフト(132)と前記第1のヘッド要素(111a)との間に挿入された弾性手段(114)を備え、これは、前記第1のヘッド要素(111a)と前記第2のヘッド要素(112a)との間の前記係合が前記歯の間の詰まりにより一時的に妨げられる場合に、前記アクチュエータシャフト(132)の前記所定軸方向ストロークを前記第2のヘッド要素(112a)の前記所定ストロークから機械的に分離し、前記弾性手段(114)を弾性的に圧縮して前記アクチュエータシャフト(132)が前記解除位置から前記ブロック位置への移行中に最終ストロークに達することを可能にするためであり、前記弾性手段(114)は、一旦弾性的に圧縮されると、前記歯の間の前記詰まりがなくなった後、前記第2のヘッド要素(112a)を軸方向に前記第1のヘッド要素(111a)に向かって弾性的に押して前記第2のヘッド要素(112a)を前記ブロック位置で前記最終ストロークにするのに適しており、前記弾性手段(114)は、好ましくは機械的ばねである、請求項11または請求項12に記載の前方キャリッジ(8)。
【請求項14】
前記ブロック装置(111a、112a、130)は、前記第2のヘッド要素(112a)が前記ブロック位置にあるときを検出するのに適した制御ユニットに電気的に連結されたセンサを含み、前記第2のヘッド要素(112a)が前記ブロック位置にあるとき、前記センサは、好ましくは前記第1のヘッド要素(111a)および前記第2のヘッド要素(112a)の一方に関連し、かつ他方のヘッド要素と係合可能なマイクロスイッチから構成される、請求項から請求項13のいずれか一項に記載の前方キャリッジ(8)。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の前方キャリッジ(8)を有する3つまたは4つの車輪を有する車両の転動運動を可逆的にブロックする方法であって、
-前記ブロック装置(111a、112a、130)が、ロッドの前記第1の部分(111)とロッドの前記第2の部分(112)との相対回転をブロックしてそれらを回転的に一体にし、かつ前記転動面に対する前記ロッドの回転角をブロックするように作動する転動ブロックステップと、
-前記ブロック装置(111a、112a、130)が、ロッドの前記第1の部分(111)と前記第2の部分(112)とが互いに回転することを可能にし、かつ前記転動面に対する前記ロッド(110)の回転を可能にするよう作動しない転動解除ステップとを含む、方法。
【請求項16】
後軸に駆動輪、および請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の前方キャリッジ(8)を有する、車両(4)。
【請求項17】
3つまたは4つの車輪を備えた転動車両の前方キャリッジ(8)の転動ブロックシステム(100)であって、前記前方キャリッジ(8)は、-前方キャリッジフレーム(16)、および-運動学的転動機構(20)によって互いにかつ前記前方キャリッジフレーム(16)と運動学的に連結されている少なくとも1対の前輪(10’、10”)を含み、
前記転動ブロックシステム(100)は、前記前方キャリッジ(8)上に設置された状態で、前記前方キャリッジ(8)の2つの部分を連結するようになっているロッド(110)を備え、前記部分の少なくとも1つは転動運動を受け、
前記ロッド(110)は伝達手段(121、122)によって前記前方キャリッジの前記2つの部分に運動学的に連結されたロッドの第1の部分(111)およびロッドの第2の部分(112)を含み、前記伝達手段(121、122)は、転動面に垂直な軸を中心とする回転運動を長手方向延長軸(X)を中心とする前記第1の部分(111)および前記第2の部分(112)のそれぞれの回転運動に変換するのに適しており、
前記転動ブロックシステム(100)は、ロッドの前記第1の部分(111)とロッドの前記第2の部分(112)の相対回転をブロックするのに適しているブロック装置(111a、112a、130)を含み、前記ブロック装置(111a、112a、130)は、前記転動面に対する前記ロッド(110)の回転をブロックするために、ロッドの前記第1の部分(111)および前記第2の部分(112)が回転的に一体であるブロック位置と、前記転動面に対する前記ロッド(110)の回転を可能にするために、ロッドの前記第1の部分(111)および前記第2の部分(112)が前記長手方向延長軸(X)を中心に自由に回転できる解除位置と、を選択的にとるように構成される、
転動ブロックシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転動ブロックを有する転動車両の前方キャリッジに関する。
【0002】
特に、本発明による車両は、2つの操舵および転動する車輪を前部に備え、固定車軸を有する後部駆動車輪を後部に備える車両であり得る。
【背景技術】
【0003】
車両の分野では、操舵性の点でモータサイクルの特徴と、四輪車両の安定性を兼ね備えた「ハイブリッド」車両の供給が増えている。
【0004】
これらの「ハイブリッド」車両は、例えば、2つの操舵輪を備えた三輪車両、およびQUADとして知られる四輪車両によって代表される。
【0005】
より具体的には、上記の三輪車両は、2つの操舵および転動(すなわち傾動)する車輪を前部に備え、固定車軸を有する後部駆動車輪を後部に備える車両であり得る。後輪は駆動トルクを提供するように意図されており、したがって前輪対は車両の方向性を提供するように意図されている。操舵に加えて前方キャリッジの一対の車輪が傾動したり転動したりできる。この解決策により、後部に二輪ある三輪車両と比較して、前方キャリッジに2つの車輪を有する車両は、モータサイクルと同様に曲がるときに傾けられるので、実際のモータサイクルと同等である。しかしながら、前方キャリッジに二対の車輪を有するそのような車両は、モータサイクルと比較して、車両によって提供されるものと同様に、前輪の地上での二重支持によってより高い安定性が保証されている。
【0006】
前輪は、例えば連接四辺形を介在させることにより、同期的かつ鏡面的に車輪を転動させることを可能にする運動学的機構によって互いに運動学的に連結されている。これらの車両は、2つの前輪それぞれに1つずつ、独立したダンパを備えた2つの独立したサスペンションをさらに備えている。
【0007】
それゆえ、三輪転動車両は、二輪モータサイクルの操舵性を提供すると同時に、四輪車両の安定性および安全性を提供するように設計されている。
【0008】
この種の三輪転動車両は、例えば、同じ出願人によるイタリア国特許出願第2003MIA001108号に記載されている。
【0009】
この種の車両の構造上の特徴のために、特定の条件下で、例えば非常に低速でまたは停止中に、車両は偶発的および/または制御されない転動運動の結果として倒れる可能性がある。
【0010】
この問題は、ユーザ手動でおよび/または自動制御システムによって操作される、転動ブロックシステムを上記の車両に設けることによって対処されてきた。
【0011】
転動ブロックは、様々な方法で得ることができるが、一方または両方の転動車輪の転動運動に追従するように構成されている構成要素の可逆ブロックを実質的に共有する。そのような構成要素の転動運動のブロックは、運動学的に、直接的または間接的に、車両の2つの前輪の転動のブロックを決定する。
【0012】
可逆的にブロックされる構成要素は、車両の転動構造内に既に存在している要素であり得る。例えば、非常に一般的な解決策によれば、ブロックされる構成要素は、転動運動学的機構を規定する連接四辺形の要素、好ましくは2つの直立部のうちの1つとすることができる。四辺形の直立部の動きをブロックすることは、四辺形がその形状を変えることを防ぎ、したがって、2つの車輪が転動するのを間接的に防ぐ。連接四辺形がサスペンションを介して2つの転動車輪の車軸ジャーナルに連結されている場合、ダンパの非対称ばね運動による転動運動はそのようなブロックから除外され、それらは独立して管理される必要がある。
【0013】
そのようなシステムは、例えば、同じ出願人によるイタリア国特許出願第2004A000171号に記載されている。転動ブロックシステムは、連接四辺形構造および2つの独立したフロントサスペンションを備えた操舵システムを有する転動車両に関して説明されている。転動ブロックシステムは、直立部をフレームに連結するヒンジの周辺の連接四辺形の上部直立部の回転をブロックするように構成された機械的クランプと、2つの車輪の非対称なばね運動による転動をやはりブロックするためにダンパと平行に配置されたロッドに作用する電気モータによって同時に作動する2つの油圧クランプとを含む。
【0014】
あるいは、転動をブロックするために可逆的にブロックされる構成要素は、車両の転動構造に追加され、かつこの目的のために特に設計された要素から構成できる。
【0015】
特に、この追加の要素は、四辺形自体の構成上の可逆的なブロック要素として連接四辺形と関連付けられてもよい。この解決策は、例えば欧州特許出願第2810861A1号、フランス国特許第2953184号および欧州特許第2345576B1号に記載されている。
【0016】
あるいは、この追加の要素は、車両のフレームから機械的に解放された、2つの転動車輪の車軸ジャーナル間の直接相互連結要素から構成されてもよい。車輪の「車軸ジャーナル」は、車輪自体の回転ピンを支持し、それをサスペンション、操舵装置、そして特定の場合には運動学的転動機構に運動学的に相互連結することを意図した車両の機械部分である。車軸ジャーナルは、車輪ピンと運動学的に一体化させることができ、車輪ピンはベアリングを介して車輪を支持する。その場合、車軸ジャーナルは車輪ピンと一体に作られてもよく、またはそれに機械的に拘束されて1つの部品を形成してもよい。車軸ジャーナルは、車輪ピンと運動学的に一体化させることができ、車輪ピンはベアリングを介して車輪を支持する。転動ブロックのこの技術的解決策は、サスペンションがもたらす影響から運動学的に解放されるので、そのような追加の要素のみに作用することによって全ての転動運動をブロックすることが可能になり、したがって、2つの転動車輪の非対称のばね運動によって生じる転動運動もブロックされる。そのような技術的解決策は、同じ出願人によるイタリア国特許出願第102015000088087号の目的である。この出願に記載されている特定の転動ブロックシステムは、ボールジョイントに相当するヒンジ手段によってその両端において前輪の2つの車軸ジャーナルを互いに直接連結する伸縮ロッドから構成される。転動ブロックは、バンドブレーキまたはドラムブレーキのような専用のアクチュエータによって、転動面上のロッドの少なくとも一端でロッドの回転角をブロックすることによって達成される。そのようにロックされたロッドは、2つの車輪の転動運動を防止する。「転動面」とは、車両の長手方向または進行方向を横切る平面を意味し、したがって車両の中心線平面に入射する。
【0017】
あるいは、上記追加の要素は、2つの転動車輪のうちの一方の車軸ジャーナルと車両のフレームとの間の直接相互連結要素から構成されてもよい。そのような技術的解決策は、同じ出願人によるイタリア国特許出願第102015000088091号に記載されている。特に、転動ブロックシステムは、ボールジョイントに相当するヒンジ手段によってその両端において一方の車輪の車軸ジャーナルをフレームに直接連結する伸縮ロッドから構成される。転動ブロックは、バンドブレーキまたはドラムブレーキのような専用のアクチュエータによって、転動面のロッドのその2つの端部のうちの少なくとも一方において転動面に対するロッドの回転角をブロックすることによって達成される。そのようにロックされたロッドは、2つの車輪の転動運動を防止する。この場合、ロッドによってフレームに連結されていない車輪のばねはロッドブロック自体によって影響されないので、両方の車輪の非対称ばねサスペンションによって引き起こされる転動運動はブロックされない。
【0018】
一般に、ボールジョイントに相当するヒンジ手段によってその端部においてヒンジ連結され、転動面上の回転角が専用アクチュエータによって少なくともその一端でロック可能である相互連結ロッドに基づく転動ブロックシステムは、他の解決策と比較して、車両に簡単に設置でき、それ自体が限られた設置面積しか必要としないという大きな利点がある。
【0019】
さらに、このようなロッドは、車両の運動(特に、転動、操舵または非対称ばねサスペンション)中にロッドが連結する点間の距離が変化するか否かに応じて、長さにおいて伸長可能であってもなくてもよい。したがって、このシステムは、運転時に実質的に即応的になるように容易に構成することもできる。
【0020】
ベルトブレーキまたはドラムブレーキの採用はまた、ロッドのヒンジ手段上にアクチュエータを直接一体化することを可能にし、設置の容易さに関して利点を有する。
【0021】
しかしながら、そのような技術的解決策は、車両の転動運動をブロックすることによって車両のバランスを維持するだけでなく、車両の全重量を片側に移動させることによるそのようなバランス変更を防ぐのに十分なトルクを提供するために十分なサイズを有するパワーアクチュエータの使用を必要とするという限界がある。単一のアクチュエータが30kgmの範囲のトルクを提供できなければならない。これは大きなサイズのベルトまたはドラムブレーキの設置を必要とし、それはロッドによって与えられるスペース節約の利点を事実上無効にする。ディスクブレーキを使用した場合も同様の状況が発生する。
【0022】
2つの転動車輪における転動ブロックを対称的にするために両端でロッドの回転をブロックしたい場合にも、この限界は非常に強調される。したがって、そのような場合、全体の寸法およびコストを2倍にして、1つではなく2つのアクチュエータを設置することが必要であろう。2つの車輪が運動学的転動機構によって互いに連結されているので、転動の対称的なブロックはそれ自体重要ではないが、構成要素の一連の公差および弾性を無効にするのに適しているかもしれない。
【0023】
ベルトブレーキまたはドラムブレーキに代わる可能性のあるものは、既に引用したイタリア国特許出願第102015000088087号に記載されているように、ヒンジ領域の近傍でロッドをそれがヒンジ留めされる要素に斜めに連結する伸長可能な支柱から構成される。伸長可能な支柱には、その長さにおける伸長をブロックするように構成された手段が設けられている。長さにおいて固定されているとき、支柱はロッドが回転するのを防ぐ。しかしながら、この技術的解決策は、より複雑な設置を必要とし、全体寸法の問題を著しく減らすことを可能にしない。
【0024】
それゆえ、転動ブロック要素として一端をロック可能なロッドを採用しながら、上記の限界を全体的にまたは部分的に克服することを可能にする転動ブロックシステムを備えた転動車両を開発する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【文献】イタリア国特許出願第2003MIA001108号
【文献】イタリア国特許出願第2004A000171号
【文献】欧州特許出願第2810861A1号
【文献】フランス国特許第2953184号
【文献】欧州特許第2345576B1号
【文献】イタリア国特許出願第102015000088087号
【文献】イタリア国特許出願第102015000088091号
【発明の概要】
【0026】
したがって、本発明の目的は、システム全体の設置面積が小さい転動ブロック要素としてのロッドの簡単な設置を組み合わせることを可能にする転動ブロックシステムを備えた転動車両の前方キャリッジを提供することによって、従来技術の上記の欠点を排除または少なくとも軽減することである。
【0027】
本発明のさらなる目的は、従来技術のものよりも小型でより費用効果の高いアクチュエータを使用することを可能にする転動ブロックシステムを備えた転動車両の前方キャリッジを提供することである。
【0028】
本発明のさらなる目的は、システム全体の寸法および相対的なコストの増加を引き起こすことなく、両方の転動車輪の転動のブロックを対称にすることを可能にする転動ブロックシステムを備えた転動車両の前方キャリッジを提供することである。
【0029】
本発明のさらなる目的は、製造および車両自体に取り付けるのに構造的に単純かつ費用効果がある転動ブロックシステムを備えた転動車両の前方キャリッジを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の技術的特徴は、添付の特許請求の範囲の内容において明確に理解することができ、その利点は、純粋に例示的かつ非限定的であるその1つ以上の実施形態を例示している添付の図面を参照して行われる以下の詳細な説明においてより容易に明らかになるであろう。
【0031】
図1】本発明の好ましい実施形態による転動ブロックシステムを備えた前方キャリッジを備えた車両の斜視図を示しており、他の部品をより良く示すために一部の部品を取り除いて示している。
図2図1に示す車両の正面直交図を示す。
図3】2つの前輪のうちの一方がない状態で示されている、図1の車両の前方キャリッジの側面斜視図である。
図4図1から図3に示した前方キャリッジの一部を示しており、図では、前方キャリッジ構成要素が見え、これは、基本位置にあるボールジョイントおよび伝達手段に相当するヒンジ手段によって、2つの前輪の車軸ジャーナルをその両端において連結するロッドから構成される。
図5図1から図3に示した前方キャリッジの一部を示しており、図では、前方キャリッジ構成要素が見え、これは、転動運動の結果として得られる位置にあるボールジョイントおよび伝達手段に相当するヒンジ手段によって、2つの前輪の車軸ジャーナルをその両端において連結するロッドから構成される。
図6】車輪なしで示されている、図4の前方キャリッジ構成要素の斜視図を示す。
図7】車輪なしで示されている、図4の前方キャリッジ構成要素の斜視図を示す。
図8】車輪なしで示されている、図4の前方キャリッジ構成要素の縦断面の拡大斜視図を示す。
図9】車輪なしで示されている、図4の前方キャリッジ構成要素の縦断面の直交図を示す。
図10】ブロックされた位置に示されるブロック装置を備えた、車輪なしで示される、図4の構成要素の詳細の直交図を示す。
図11図10の構成要素の直交縦断面図を示す。
図12】解放位置に示されるブロック装置を備えた、車輪なしで示される、図4の構成要素の詳細の直交図を示す。
図13図12の構成要素の直交縦断面図を示す。
図14】解除位置に示されるブロック装置を備えた、車輪なしで示される図5の構成要素の詳細の直交図を示す。
図15図14の構成要素の直交縦断面図を示す。
図16A】ある動作位置で示された弾性手段およびロッキングブッシュに対する図9の詳細を概略的に示す。
図16B】別の異なる動作位置で示された弾性手段およびロッキングブッシュに対する図9の詳細を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
上記の図を参照すると、参照番号4は全体を通して本発明による車両を示す。
【0033】
本発明の目的のために、車両という用語は広い意味で考慮されなければならず、少なくとも3つの車輪、すなわち以下でよりよく説明されるように2つの前輪、および少なくとも1つの後輪を有する任意の車両を包含する。それゆえ、車両の定義はまた、前方キャリッジに2つの車輪と後部に2つの車輪とを有する、いわゆる四輪車を包含する。
【0034】
車両4は、少なくとも2つの前輪10を支持する前方キャリッジ8から1つ以上の後輪14を支持する後部12まで延びるフレーム6を備える。左前輪10’と右前輪10”とを区別することが可能であり、ここで、左右の車輪10’、10”の定義は純粋に幾何学的であり、車両の運転者に関して意味を有する。前記車輪は、車両を運転する運転者の観測点に関して車両の中心線M‐Mの左右に配置されている。
【0035】
本発明の目的のために、車両のフレーム6は任意の形状、サイズを有することができ、そして例えば格子型、箱型、単一または二重クレードルなどであり得る。車両のフレーム6は一体品でも複数部品でもよく、例えば、車両のフレーム6は、1つ以上の後駆動輪14を支持する後部振動スイングアーム(図示せず)を含むことができる後部フレーム13と相互連結されている。上記の後部スイングアームは、直接ヒンジによって、またはクランク機構および/または中間フレームを介在させることによってフレーム6に連結することができる。
【0036】
本発明の一般的な実施形態の解決法によれば、車両の前方キャリッジ8は、前方キャリッジフレーム16と、運動学的転動機構20によって互いにおよび前方キャリッジフレーム16に運動学的に連結されている一対の前輪10’、10”とを備え、運動学的転動機構20は、車輪が同期的かつ鏡面的に転動することを可能にする。
【0037】
車両の前方キャリッジ8は、ボールジョイントまたはボールジョイント101、102に相当するヒンジ手段によってロッドの両端において互いに直接連結するロッド110を含む転動ブロックシステム100を含み、
-前輪の2つの部分であって、両方とも前記2つの前輪の転動運動を受け、または
-前記前方キャリッジフレーム16および前記前方キャリッジの一部は、前記転動運動を受ける。
【0038】
上記転動ブロックシステム100はさらに、前記前方キャリッジの転動面に対するロッドの両端における前記ロッド110の回転角をブロックするように構成されたブロック装置111a、112a、130を含む。
【0039】
「転動面」とは、車両の長手方向または進行方向Yを横切る平面を意味し、したがって車両の中心線平面M‐Mに入射する。
【0040】
動作的には、転動面に対してロッド110の両端におけるロッド110の回転をブロックすることは、ロッド110に連結された前方キャリッジ部分の転動運動をブロックし、したがって2つの前輪10’、10”の転動運動をブロックすることを意味する。
【0041】
添付の図面に示される好ましい実施形態によれば、各前輪10’、10”は、それぞれの車軸ジャーナル60によって前記第1の運動学的機構20に連結され、車軸ジャーナル60は、車輪の回転ピン68に機械的に連結され、車輪を回転軸を中心に回転可能に支持する。前方キャリッジはさらに、前記転動運動学的機構20に対する少なくとも1回のばね懸架運動を各車軸ジャーナル60に保証するための懸架手段90を含む。
【0042】
車輪の「車軸ジャーナル」は、車輪自体の回転ピンを支持し、それをサスペンション、操舵装置、および上記の第1の運動学的機構20に運動学的に相互連結することを意図した車両の機械部分である。車軸ジャーナルは、車輪ピンと運動学的に一体化させることができ、車輪ピンはベアリングを介して車輪を支持する。その場合、車軸ジャーナルは車輪ピンと一体に作られてもよく、またはそれに機械的に拘束されて1つの部品を形成してもよい。車軸ジャーナルは、車輪ピンと運動学的に一体化させることができ、車輪ピンはベアリングを介して車輪を支持する。
【0043】
添付の図面に示されるこの好ましい実施形態によれば、2つの前輪の転動運動を受け、かつ前記ロッド110によって直接連結される前方キャリッジ8の上記2つの部分は、2つの前輪10’、10”の車軸ジャーナル60である。この場合、前記転動面に対するロッドの回転のブロックは、2つの前輪両方の車軸ジャーナル、したがって2つの車輪自体の転動運動のブロックを決定する。
【0044】
あるいは、添付の図面に示されていない実施形態によれば、前記ロッド110は、2つの前輪のうちの1つのみの車軸ジャーナルを前方キャリッジフレーム16に直接連結することができる。この場合、前記転動面に対するロッドの回転のブロックは前輪においてのみ生じる。しかしながら、動作上、単一の前輪の転動のブロックは、上記の運動学的転動機構によって課される運動学的相互連結のために、他の前輪の転動ブロックも自動的に決定する。
【0045】
好ましくは、ロッド110をそれぞれ1つまたは両方の車軸ジャーナルに連結する両方の実施形態において、ボールジョイントに相当するヒンジ手段101、102は、互いに直交する軸を有する一対の円筒形ヒンジから構成される。前記一対の第1のヒンジ101’、102’は、そのヒンジ軸が2つの前輪10’、10”の転動面に対して実質的に直交しており「転動ヒンジ」と定義することができ、前記一対の第2のヒンジ101”、102”は、転動面に平行なヒンジ軸を有し、車軸ジャーナルへの操舵運動を可能にするように機能し、「操舵ヒンジ」と呼ぶことができる。
【0046】
上記の運動学的転動機構20は、前輪が同期的かつ鏡面的に転動することを確実にするように機能することが好ましいという条件で、任意の構成を有することができる。
【0047】
添付の図面に示された実施形態によれば、運動学的転動機構20は連接四辺形システムである。
【0048】
より詳細には、そのような連接四辺形システムは、中間ヒンジ28で前方キャリッジフレーム16にヒンジ連結された一対の横部材24’、24”を含む。横部材24’、24”は、側部ヒンジ52の前記横方向端部において枢動する直立部48によって、対向する横方向端部で互いに連結されている。横部材24’、24”および直立部48は、上記の連接四辺形20を画定する。
【0049】
好ましくは、この場合、直立部48の各々は、前記前輪10’、10”の一方の車軸ジャーナル60を案内し支持する。
【0050】
添付の図面に示されていない実施形態によれば、各直立部は、それぞれの前輪の車軸ジャーナルをその一般的な延長軸と同軸に案内し支持することができる。この場合、各前輪の懸架手段はそれぞれの直立部に一体化され、直立部の一般的な延長軸に沿った車軸ジャーナルの直線的なばね運動を確実にする。
【0051】
あるいは、添付の図面に示されるように、連接四辺形運動学的転動機構20は、直立部48のそれぞれが、それぞれの前輪10’、10”の車軸ジャーナル60を回転並進運動型の運動学的連結システムを介して直立部48の外部に案内し支持するように実施できる。
【0052】
有利なことに、添付の図面に示されていない実施形態によれば、運動学的転動機構が連接四辺形システムである場合、両方とも前記2つの前輪の転動運動を受け、かつ前記ロッド110によって直接連結される前方キャリッジ8の上記2つの部分は、前記連接四辺形システムの直立部および横部材から選択される2つの構成要素であってもよい。動作的には、転動面に対するロッド110の回転のブロックは、連接四辺形構成、そして結果としてこのような連接四辺形システムによって許容される転動運動のブロックを決定する。
【0053】
代替として、添付の図面に示されていないさらなる実施形態によれば、前記ロッド110は、前記連接四辺形システムの直立部および横部材から選択される構成要素を、前方キャリッジフレーム16に直接連結してもよい。
【0054】
好ましくは、連接四辺形の2つの構成要素間またはそのような構成要素の1つと前方キャリッジフレームとの間のロッド110の連結をそれぞれ提供する上記の実施形態の両方において、ボールジョイントに相当するヒンジ手段101、102は、そのヒンジ軸が2つの前輪10’、10”の転動面に対して実質的に直交する単一の円筒形ヒンジから単に構成され得る。連接四辺形は、実際には、その全ての異なる構成において前記転動面と常に平行であり、前方キャリッジフレームのような操舵部分に対して即応的である。
【0055】
有利には、前方キャリッジ8には、各前輪10’、10”のそれぞれの操舵軸を中心とする車軸ジャーナルの回転を制御するように構成された操舵装置が設けられている。操舵装置は、車軸ジャーナルに直接作用してサスペンションの作用を受けてもよく、またはサスペンションの作用を受けずに間接的に車軸ジャーナルに作用してもよい。
【0056】
好ましくは、前記ロッド110は、ロッドの第1の部分111とロッドの第2の部分112とを含み、これらは、ロッド110自体の長手方向延長軸Xに沿って互いに相互連結され、それぞれ互いに独立して長手方向延長軸Xを中心に回転できる。
【0057】
ロッド110の第1の部分111および第2の部分112は、前記転動面に直交する軸を中心とするボールジョイント101、102の回転運動を前記長手方向延長軸Xを中心とするそれぞれのロッド部分111、112の回転運動に変換するように構成された伝達手段121、122を介して、それぞれのボールジョイント101、102(またはボールジョイントに相当するそれぞれのヒンジ手段)に運動学的に連結される。
【0058】
したがって動作的には、これらの伝達手段121、122は、ロッド部分111、112の転動運動(すなわち、前記転動面に直交する軸を中心とするボールジョイント101、102の回転運動)を前記ロッド部分111、112の軸方向回転運動に変換する。
【0059】
好ましくは、前記第1のロッド部分111および前記第2のロッド部分112の伝達手段121、122は、ロッド112の前記第1の部分111および第2の部分112が前方キャリッジの転動運動の存在下で互いに対して反対方向に軸方向に回転するように構成される。
【0060】
好ましくは、そのような伝達手段121、122も1以上の伝達比を有する。
【0061】
好ましくは、前記前方キャリッジ8の転動面に対する前記ロッド110の両端部における前記ロッド110の回転角をブロックするように構成された前記ブロック装置111a、112a、130は、前記第1のロッド部分111および第2のロッド部分112のそれぞれに、それぞれの第1のヘッド要素111aおよび第2のヘッド要素112aを含む。
【0062】
第1のヘッド要素111aおよび第2のヘッド要素112aは、それぞれの第1のロッド部分111および第2のロッド部分112と回転的に一体であり、互いに向かい合って配置されている。
【0063】
特に図8および図9に示される実施形態によれば、前記第1のヘッド要素111aおよび第2のヘッド要素112aのそれぞれは、特に、それぞれのロッド部分111、112と同軸のカラーまたはフランジとして形成される。好ましくは、カラーまたはフランジは、ロッド110の全体寸法を増加させないために、それぞれの第1のロッド部分111および第2のロッド部分112の輪郭に対して径方向に突出しないように寸法設定される。
【0064】
好ましくは、第2のロッド部分112の第2のヘッド要素112aは、ロッド110の長手方向延長軸Xに沿って移動可能であり、
-前記第2のヘッド要素112aが第1のヘッド要素111aを相互にロックするように係合して、第1のロッド部分111と第2のロッド部分112とを回転的一体としてそれ自体の回転を防ぐように、したがって上記手段121、122を介した転動運動をブロックするようにするブロック位置と、
-第2のヘッド要素112aが第1のヘッド要素111aから長手方向に離れて、第1のロッド部分111および第2のロッド部分112が転動運動を妨げることなく自由に回転できるようにする解除位置との間を移動する。
【0065】
上記ブロック装置111a、112a、130はまた、前記ブロック位置と前記解除位置との間で前記第2のヘッド要素112aを移動させるように構成されたアクチュエータ130を備える。
【0066】
ロッドの端部における転動をブロックするために等しい力を提供する伝統的なブロックシステムと比較して、本発明は、著しく低いパワーのアクチュエータの使用を可能にし、それゆえより小さい全体寸法によって特徴付けられる。
【0067】
転動をブロックするためにロッド110の端部に提供するのに必要な力Pは、P=M×ωとして定義され、ここで、Mはブロックアクチュエータによって加えられるトルクのブロックであり、ωはロッド端部が受ける角速度であり、時間単位での転動角の変化を意味する。
【0068】
したがって、従来のシステムでは、アクチュエータが加えなければならないトルクMは、力Pを角速度ωで割ったものに等しく、角速度ωは時間単位での転動角の変化に等しい。
【0069】
本発明によるシステムでは、アクチュエータが加えなければならないトルクMは、力Pを角速度ωで割ったものに等しいが、角速度ωは、転動角の変化と等しくなく、ロッド部分111、112、特に2つのヘッド要素111a、112aの間の相対軸方向回転速度と等しい。伝達比を1に等しいと仮定すると(以下に見られるように、好ましくは、1よりも大きい伝達比が選択される)、各ロッド部分111、112(および相対ヘッド要素111a、112a)の軸方向回転速度は、時間単位での転動角の変化に実質的に等しい。2つのロッド部分は逆回転するので、相対軸方向回転速度は2つの軸方向回転速度の和によって与えられ、したがって時間単位での転動角の変化の少なくとも2倍に等しいと仮定することができる。その結果、等しい力Pにおいて、ブロックのためにアクチュエータが加えなければならないトルクMは半分になる。これにより、従来のシステムと比較して少なくとも半分の力のアクチュエータを採用することが可能になり、その結果、アクチュエータ自体のサイズおよび寸法も縮小される。
【0070】
以上のことから、本発明による転動ブロックシステムは、転動ブロック要素としてのロッドの簡単な設置と、システム全体の小さい設置面積とを組み合わせることを可能にする。実際、従来のシステムで必要とされるものよりもかなり小さいサイズのアクチュエータを使用することが可能である。アクチュエータの小型化は、結果として、全体寸法の減少だけでなく、コストの低減ももたらす。
【0071】
機能的には、構造化されているので、上記のブロック装置111a、112a、130は、ロッド自体の両端において前記前方キャリッジの転動面に対して同時に、ロッド110の回転角をブロックする。
【0072】
これとは異なり、導入部で論じた伝統的な転動ブロックシステムは、ロッドの一端のみにおけるブロックを可能にする。他端のブロックは、運動学的転動機構の存在によって保証される運動学的結果である。運動学的転動機構の存在に委ねられていないロッドの両端における対称的なブロックは、代わりに、システムの全体寸法およびコストの増加を伴うブロック装置の二重化を必要とするであろう。
【0073】
それゆえ、ロッド110が2つの前輪10’、10”の車軸ジャーナルを連結するように配置される特定の場合において、本発明による転動ブロックシステムは、ブロック装置を二重にさせる必要なく、したがって、システム全体の寸法および関連費用の増加を引き起こすことなく、両方の前部転動車輪の転動ブロックを対称化することを可能にする。
【0074】
好ましくは、前記伝達手段121、122は、ボールジョイント102、102(またはボールジョイントに相当する手段)からロッド110のそれぞれの第1の部分111および第2の部分112への運動の乗算を有するように、1より大きい伝達比を有する。このように、伝達比が増大するにつれて、ロッド110の2つの部分111、112間(およびそれぞれのヘッド要素111a、112a間)の相対軸方向回転速度ωが増大し、その結果、アクチュエータが加えなければならないブロックトルクMが削減される。
【0075】
例えば、両方のロッド部分111、112について、等しい出力Pおよび単位時間当たりの転動角の変化において4に等しい伝達比を選択することによって、相対軸方向回転速度ωは係数8で乗じられ、アクチュエータが加えなければならないトルクMは8に等しい比で減少する。
【0076】
伝達手段121、122は、それらが前に定義された機能を実行し、1以上の伝達比を提供することができる限り、任意のタイプとすることができる。
【0077】
好ましくは、添付の図に示されるように、前記伝達手段121は、ロッド110の前記2つの第1の部分111および第2の部分112のそれぞれに対して、ヘリカルベベルギヤ対121a、121bおよび122a、122bから構成される。事実、ヘリカルベベルギヤはクリアランスの調整を必要とするが、1より大きい伝達比を提供することができる。
【0078】
より詳細には、各ヘリカルベベルギヤ対の第1の構成要素121a、122aは、転動のみを伝達するように、対応するボールジョイント101、102(またはボールジョイントに相当するヒンジ手段)と運動学的に関連付けられるのに対し、各ヘリカルベベルギヤ対の第2の構成要素121b、122bは、転動の際、第1の構成要素121a、122aの回転によって発生する回転運動をそれぞれのロッド部分111、112に伝達するように、それぞれのロッド部分111、112に回転的に(長手方向軸Xと同軸に)拘束される。
【0079】
ロッド110が2つの前輪の車軸ジャーナルに連結して配置されている図1~5に特に示されている実施形態によれば、ボールジョイントに相当するヒンジ手段101、102は、互いに直交する軸を有する一対の円筒形ヒンジから構成される。前記一対の第1のヒンジ101’、102’(「転動ヒンジ」)は、そのヒンジ軸が2つの前輪10’、10”の転動面に対して実質的に直交しており、前記一対の第2のヒンジ101”、102”(「操舵ヒンジ」)は、転動面に平行なヒンジ軸を有し、あらゆる操舵動作を可能にするように機能する。
【0080】
第1のヒンジ101’、102’(転動ヒンジ)は、第2のヒンジ101’、102”(操舵ヒンジ)によって機械的に支持されている。次に、第2のヒンジ101’、102”(操舵)は前方キャリッジの一部に連結されており、これは添付の図面に示される特定の場合には前輪の車軸ジャーナルである。第2のヒンジ(操舵)101”、102”が必要でない場合、第1のヒンジ101’、102’(転動ヒンジ)は前方キャリッジの一部に直接連結することができる。
【0081】
特に図6から図9に示されるように、ロッド112の前記第1の部分および第2の部分111のそれぞれは、各ロッド部分111、112がそれぞれの第1のヒンジ101’、102”に対してそれ自体の長手方向軸Xを中心として回転できるように、ロッド110の展開部Xの長手方向軸と同軸のベアリング103によって、それぞれの第1のヒンジ101’、102”(「転動ヒンジ」)と関連付けられる。
【0082】
各ベベルギヤ対の第1の構成要素121a、122aは第1のヒンジ101’、102’(転動ヒンジ)に運動学的に堅固に結合され、各ベベルギヤ対の第2の構成要素121b、122bは、転動の際、第1の構成要素121a、122aの回転によって発生するその回転運動を伝達するようにそれぞれのロッド部分111、112に(長手方向軸Xと同軸に)回転的に拘束される。
【0083】
添付の図面に示されるように、各ベベルギヤ対の第1の構成要素121a、122aは、ロッド自体の長手方向軸Xに対してロフ110の同じ側に配置される。このようにして、ロッド110の両端においてヒンジ手段101、102によって課される等しい方向および幅の転動運動は、2つのヘリカルベベルギヤ対によって、ロッド110の2つの部分111および112ならびにロッド110の2つのヘッド要素111a、112aの反対方向の軸方向回転を引き起こす。
【0084】
好ましくは、ロッド自体の長手方向延長軸Xに沿ったロッド110の第1の部分111と第2の部分112との間の相互連結は、第1のヘッド要素111aと第2のヘッド要素112aとの間で実装され、この2つのヘッド要素111aおよび112a間の軸方向相互貫入によって得られる。特に図8および図9に示されるように、1つ以上のベアリングを介在させることによって、ロッドの2つの部分111と112、および相対ヘッド要素111aと112aとの間の軸方向摺動および自由相対回転が確実になる。
【0085】
既に上述したように、第2のロッド部分112の第2のヘッド要素112aはロッド110の長手方向延長軸Xに沿って移動可能であり、前記ブロック位置と前記解除位置との間を移動する。
【0086】
有利には、第2のヘッド要素112aは、第2のロッド部分112に影響したりそれから影響を受けたりすることなく解除位置とブロック位置との間で軸方向に自由に移動できるように、第2のロッド部分112に対して軸方向摺動可能に取り付けられる。
【0087】
有利には、第2のヘッド要素112aは、ロッド110の長手方向軸Xを中心とする相対回転を防止しながら、2つの部分間の軸方向摺動を可能にする任意の手段を介して第2のロッド部分112に軸方向に結合され得る。
【0088】
添付の図面に示される実施形態によれば、第2のヘッド要素112aは、ロッドの長手方向軸Xに平行な複数の駆動ピン115を介して第2のロッド部分112に軸方向に摺動可能に連結されている。あるいは、例えばスプラインシャフトを介した連結が設けられてもよい。
【0089】
図4図5との比較から分かるように、ロッド110が長手方向Xに沿って長手方向に延びることができるように、ロッド110の前記第1の部分111および第2の部分112の少なくとも一方は長手方向に伸長可能であることが好ましい。
【0090】
機能的には、長手方向におけるロッド110の伸長性は、例えば車輪の転動または操舵運動の結果として距離が変化し得る前方キャリッジの2つの部分をロッド110が互いに連結する場合に必要である。この場合、長手方向の伸長性は、ロッド110が車両の操縦しやすさを妨げるのを防ぐために必要である。
【0091】
これは特に、
-ロッド110が、2つの前輪の車軸ジャーナルを連結するように配置され、それぞれの操舵軸の外側で前輪に連結される場合、または、
-ロッド110が、連接四辺形運動学的転動機構の直立部と横部材とを連結するように配置されている場合に発生する。
【0092】
そうではなく、例えば、ロッド110が、2つの横部材と平行に、規則的な形状(長方形など)の連接四辺形システムの2つの直立部を連結するように配置される場合、ロッドの伸長性は必要とされない。実際、この場合、ロッド110によって連結された点はそれらの距離を変えることは決してない。同様に、ロッドが2つの車軸ジャーナルをそれぞれの操舵軸において地面に対して同じ高さで連結する場合、伸長性は必要ではない。
【0093】
動作上、ロッド110の伸長性は、前記第1のヘッド要素111aと第2のヘッド要素112aとの間の相対的な軸方向の位置決めに影響を与えないように実装されなければならない。言い換えれば、2つのヘッド要素111aおよび112aは、2つのロッド部分111および112のうちの1つの可能な軸方向伸長のために、軸方向の動きから独立していなければならない。
【0094】
添付の図面に示される実施形態によれば、これは、上記の軸方向摺動ピン115の存在により、第2のヘッド要素112aの軸方向運動を第2のロッド部分112の軸方向運動から独立させることによって達成される。
【0095】
より詳細には、特に図8および図9に示されるように、第2のロッド部分112は、2つの部分、すなわち第2のヘッド要素112aからなる近位のもの112’と、第2の伝達手段122と軸方向に一体である遠位のもの112”とに分けられる。2つの部分、近位のもの112’および遠位のもの112”は、上記の軸方向摺動ピン115を介して軸方向に互いに摺動可能に連結されている。第2のロッド部分112が2つの部分に分割され、同時にそのようなピン115が存在すると、第2の部分112(したがってロッド110)の軸方向の伸長性および第2のヘッド要素112aの独立した軸方向の位置決めが確実になる。第1のヘッド要素111aは、代わりに、ロッド110の第1の部分111と軸方向および回転的に一体である。
【0096】
動作的には、第2のヘッド要素112aを前記ブロック位置と前記解除位置との間で移動させるように構成されたアクチュエータ130は、第1のヘッド要素111aに対する第2のヘッド要素112aの軸方向摺動に制限を課すように構成される。
【0097】
好ましくは、前記アクチュエータ130は、ロッド110の長手方向延長軸Xに沿って動作するリニアアクチュエータである。特に、アクチュエータは電気式である。
【0098】
有利には、添付の図面に示されるように、アクチュエータ130はロッド110上に、好ましくはロッド自体の内側の保護位置に設置される。この目的のために、添付の図面に示される実施形態では、ロッド110の第1の部分111および第2の部分112は、それらの内部に前記リニアアクチュエータ130を収容するための長手方向の管状断面を少なくとも部分的に有する。
【0099】
特に、リニアアクチュエータ130は、モータ本体131と、モータ本体131によってロッド110の長手方向Xと平行な軸方向に沿って移動可能なアクチュエータシャフト132とを含む。モータ本体131は、ロッド110の第2の部分112の内側に収容されており、それと一体である。特に、モータ本体131は、上述のように第2のロッド部分112の近位部分112’を画定する第2のヘッド要素112aに収容されてこれと一体化されている。アクチュエータシャフト132は、第1の端部132’においてモータ本体131に摺動可能に連結され、第1の端部とは反対側の第2の端部132”において第1の部分111に連結するように前記ロッド110の第1の部分111に向かって軸方向に延びる。特に、アクチュエータシャフト132は、その第2の端部132”において、第1のロッド部分111と一体の第1のヘッド要素111aに連結されている。
【0100】
添付の図面に示されていない代替実施形態によれば、アクチュエータはロッド上ではなく車両の別の部分上に設置される。ヘッド要素111aおよび112aとの動作連結は、例えば作動ケーブルを介して実装される。そのような解決策を採用することによって、ロッドの重量および寸法が減少するであろうが、設置の単純さは失われるであろう。
【0101】
好ましくは、ブロック位置と解除位置との間の前記第2のヘッド要素112aのストロークは固定されている。有利には、この目的のために、アクチュエータ130は、アクチュエータシャフト132が、ブロック位置と解除位置との間の第2のヘッド要素112aの軸方向ストロークに対応する固定軸方向ストロークを有するように構成される。
【0102】
以下で要約されるように、アクチュエータシャフト132の第2の端部132”と第1のヘッド要素111aとの間の連結は、固定されるかまたは軸方向に弾性的に撓むことができる。
【0103】
添付の図面に示される好ましい実施形態によれば、前記第1のヘッド要素111aおよび第2のヘッド要素112aは、軸方向前側歯付き係合によってブロック時に互いに係合するように構成される。
【0104】
有利には、前記第1のヘッド要素111aおよび第2のヘッド要素112bのそれぞれは、ロッド110の長手方向軸Xに垂直な環状表面上に延在するリングギヤ113を備える。
【0105】
前記リングギヤ113は、前記長手方向軸Xに対して径方向に延びる歯部を有する。
【0106】
好ましくは、前記リングギヤ113の歯部は真っ直ぐである。真っ直ぐな歯部を有するフロントギヤは、軸方向荷重を実質的に含まない。ブロックが実質的に2つのリングギヤに全て委ねられているので、一旦ブロック位置に達すると、アクチュエータによって果たされる役割は実質的にわずかにまたはゼロになるので、これは有利である。特に、2つのリングギヤを離す方向に動く傾向がある軸方向荷重に対抗するために、アクチュエータがアクチュエータシャフトの位置決めにおいて高度の機械的不可逆性を保証する必要はない。軸方向の負荷がないことで、たとえ誤ってアクチュエータに電力が供給されなくても(例えば、電源がバッテリ切れの場合)、確実にブロック位置を維持することができる。
【0107】
真っ直ぐな歯部の採用に関連する欠点は、2つのリングギヤ間の噛み合いがより困難になること、したがってブロックの実行が非常に遅れることに関連する。実際、2つのリングギヤの歯部と溝との間に完全な整列がない場合、結合はすぐには起こり得ず、前方キャリッジの運動によって生じる2つの歯部間の相対的な再位置決めを待たなければならない。しかしながら、介入の遅れは依然として非常に限られており、いずれにしても転動ブロック作用の介入の有効性を損なうようなものではないので、それは重大な機能的制限ではない。
【0108】
あるいは、前記リングギヤ113の歯部は三角形の歯であってもよい。この解決策は、リングギヤ間の噛み合いの困難を実質的に防止するという利点を有する。しかしながら、そのような解決策は、2つの歯車を動かす傾向がありかつアクチュエータによって対抗されなければならない軸方向荷重がブロック位置に発生するという欠点を有する。これは、アクチュエータシャフトの位置決めにおいて高度の機械的不可逆性および/またはアクチュエータを継続的にアクティブに維持する必要性を確実にすることができるような方法でアクチュエータを寸法付けることを必要とする。
【0109】
機械的不可逆性が増加すると、必然的にシャフトの動きの慣性が増加し、その結果、アクチュエータの介入速度が低下することに留意されたい。これは、実際には、三角形の歯を有する歯部に対して真っ直ぐな歯部を採用することを好ましくする。
【0110】
既に述べたように、真っ直ぐな歯部の採用は、前記第1のヘッド要素111aおよび第2のヘッド要素112aのリングギヤの歯間で詰まりが起きるリスクがある。このような場合、噛み合いが完了して詰まりが解消され、アクチュエータシャフト132がその軸方向ストロークを完了するまで、アクチュエータ130は作動状態のままでなければならない。
【0111】
有利には、ブロック装置は、アクチュエータシャフト132のストロークを第2のヘッド要素112aのストロークから分離するための手段を備えることができる。このようにして、アクチュエータの動作は歯間のいかなる詰まりからも独立して行われる。
【0112】
この目的のために、特に図8および図9に示される実施形態によれば、ブロック装置111a、112a、130は、前記アクチュエータシャフト132と第1のヘッド要素111aとの間に介在する弾性手段114を備える。弾性手段の介在は、2つのヘッド要素111a、112aの間の噛み合いが歯間の詰まりのために一時的に妨げられる場合、弾性手段114を弾性的に圧縮することによって、第2のヘッド要素112aのストロークからアクチュエータシャフト132のストロークを機械的に分離し、解除位置からブロック位置への移行においてアクチュエータシャフト132がストローク端に到達することを可能にするように設計される。
【0113】
弾性手段114は、一旦弾性的に圧縮されると、第2のヘッド要素112aを第1のヘッド要素110aに向かって軸方向に弾性的に押して第2のヘッド要素112aをブロック位置のストローク端に移動させ、噛み合いを完了させることができるように配置および構成される。弾性手段114の推力は、歯間の詰まりが解消された後、例えば、転動角の最小変化に続く2つのリングギヤ113の相互の回転位置変更によって解放され得る。
【0114】
好ましくは、前記弾性手段114は機械的ばねである。
【0115】
より詳細には、図8および図9および図16に示されるように、アクチュエータシャフト132の第2の端部132”はブッシュ133に連結され、ブッシュ133はボールベアリング134を介して第1のヘッド要素111aに同軸に結合される。ボールベアリング114は、ブッシュ133および関連するアクチュエータシャフト132が、長手方向軸Xに対して軸方向に摺動および回転する自由を保証する。ブッシュ133には、ボールベアリング134に対してブッシュを軸方向に摺動させるためのストッパとして作用する第1の環状突起135が設けられている。機械的ばねからなる上記弾性手段114は、ブッシュ133の周りに同軸に嵌合され、ボールベアリング134とブッシュに形成された第2の環状突起136との間で、第1の環状突起135と反対の軸方向位置に配置される。図16Bに示されるように、機械的手段114は、環状突起135がボールベアリング134に当接した状態でブッシュ133を保持する。
【0116】
動作的には、アクチュエータ130は、第2のヘッド要素112aを解除位置からブロック位置に移動させるように作動させられると、シャフト132および関連するブッシュ133に軸方向の牽引力を及ぼし、これは、第1の環状突起135を当接状態から離れるように動かすことによって、ブッシュ133をベアリング134から引き出す傾向がある。そのような作用はばね114によって打ち消される。歯間の詰まりがない場合、ばね114によって加えられる抵抗は、2つのヘッド要素間の軸方向摺動摩擦よりも大きい。したがって、アクチュエータによって軸方向に及ぼされる牽引力は、ブッシュ133および関連するアクチュエータシャフト132の軸方向の移動の代わりに、第2のヘッド要素112aの第1のヘッド要素111aへの移動を引き起こす。対照的に、歯間に詰まりがある場合、ばね114によって加えられる抵抗は、2つのヘッド要素間の軸方向摺動摩擦よりも小さい。したがって、アクチュエータによって軸方向に及ぼされる牽引力は、(図16Aに示されるように)ばね114の圧縮によってブッシュ133および関連するアクチュエータシャフト132を軸方向に移動させるが、第2のヘッド要素112aの第1のヘッド要素111a方向への変位は、(一時的ではあるが)妨げられたままである。そのような状況では、アクチュエータ130は依然としてストロークの終わりに到達し、ばね114を圧縮することができる。歯間の詰まりが解消された瞬間に、ばね114はその弾性荷重を解放してブッシュ133をベアリング134に当接させるが、関連するシャフト132ひいては第2のヘッド要素111aもモータ本体131を介して引き出す。
【0117】
有利には、1より大きい伝達比を有する伝達手段によって得られる運動と弾性手段114(機械的遅延ばね)の存在との掛け算により、前部ギヤの歯数に関連するブロック位置の離散化がほんのわずかなものとなり、これにより運転者はブロックを連続的であると知覚する、すなわち車両が任意に転動し、傾く運転ができるだろう。
【0118】
添付の図面に示されていない代替の実施形態によれば、前記第1のヘッド要素111aおよび第2のヘッド要素112aは、クラッチと同様の構成で、摩擦係合によってブロック時に互いに係合するように構成される。
【0119】
有利には、ブロック装置111a、112a、130は、制御ユニットに電気的に連結され、第2のヘッド要素112aがブロック位置にあるときを検出するように構成されたセンサ(添付の図面には示さず)を含み得る。
【0120】
好ましくは、前記センサは、前記第1のヘッド要素111aと第2のヘッド要素112aの一方と関連し、かつ第2のヘッド要素112aがブロック位置にあるときに他方のヘッド要素と係合可能なマイクロスイッチから構成される。このようにして、前記ブロック位置の達成は、転動ブロックシステムの制御を担当する車両の電子制御システムによって正確かつ信頼性の高い方法で検出可能である。
【0121】
本発明の一般的な実施形態によれば、3つまたは4つの車輪を備えた転動車両の前方キャリッジが提供され、前方キャリッジは、
-前方キャリッジフレーム16と、
-運動学的転動機構20によって互いにかつ前方キャリッジフレーム16と運動学的に連結されている少なくとも1対の前輪10’、10”と、
-転動ブロックシステム100とを含み、
転動ブロックシステム100は、前方キャリッジの2つの部分を互いに直接連結するロッド110を含み、前記部分の少なくとも1つは回転運動を受け、
ここで前記ロッド110は、転動面に垂直な軸を中心とした回転運動を長手延長軸Xを中心とするそれぞれのロッド部分111、112の回転運動に変換するのに適した伝達手段121、122によって、前記前方キャリッジの前記2つの部分に運動学的に連結されたロッドの第1の部分111およびロッドの第2の部分112を含み、
そして転動ブロックシステム100は、ロッドの第1の部分111とロッドの第2の部分112との間の回転を2つの位置にブロックするのに適しているブロック装置111a、112a、130を含み、2つの位置は、前記転動面に対する前記ロッドの回転角をブロックするために、ロッドの前記第1の部分111および第2の部分112が回転的に一体であるブロック位置と、前記転動面に対する前記ロッド110の回転を可能にするために、ロッドの前記第1の部分111および第2の部分112が前記長手方向延長軸Xを中心に自由に回転できる解除位置である。
【0122】
本発明の好ましい実施形態によれば、3つまたは4つの車輪を備えた転動車両の前方キャリッジが提供され、前方キャリッジは、
-前方キャリッジフレーム16と、
-運動学的転動機構20によって互いにかつ前方キャリッジフレーム16と運動学的に連結されている少なくとも1対の前輪10’、10”と、
-転動ブロックシステム100とを含み、
転動ブロックシステム100は、前方キャリッジの2つの部分を互いに直接連結するロッド110を含み、前記部分の少なくとも1つは転動運動を受け、
ここで前記ロッド110は、転動面に垂直な軸を中心とした回転運動を長手延長軸Xを中心とするそれぞれのロッド部分111、112の回転運動に変換するのに適した伝達手段121、122によって、前記前方キャリッジの前記2つの部分に運動学的に連結されたロッドの第1の部分111およびロッドの第2の部分112を含み、伝達手段121、122は、ロッドの前記第1の部分111および第2の部分112が互いに反対方向に軸方向に回転するように構成され、
ここで前記ブロック装置111a、112a、130は、前記第1の部分111および第2の部分112のそれぞれに、互いに向かい合って配置されたそれぞれの第1のヘッド要素111aおよび第2のヘッド要素112aを備え、
前記第2のヘッド要素112aは長手方向延長軸Xに沿って移動可能であり、前記第1のヘッド要素111の相互ブロックに係合して前記ロッドの前記第1の部分111および第2の部分112を回転的に一体にするブロック位置と、前記第2のヘッド要素112aが前記第1のヘッド要素111aから切り離され、ロッドの前記第1の部分111および第2の部分112が自由に回転できるようにする解除位置との間を移動し、前記ブロック装置111a、112a、130は、第2のヘッド要素112aをブロック位置と解除位置との間で移動させるのに適したアクチュエータ130を備える。
【0123】
本発明の特定の実施形態によれば、3つまたは4つの車輪を有する転動車両の前方キャリッジ8が提供され、前方キャリッジ8は、
-前方キャリッジフレーム16と、
-車輪を同期的かつ鏡面的に転動させることができる運動学的転動機構20によって互いにかつ前方キャリッジフレーム16と運動学的に連結されている少なくとも1対の前輪10’、10”と、
-ボールジョイントまたはボールジョイント101、102に相当するヒンジ手段によって両端において互いに直接連結するロッド110を備える転動ブロックシステム100とを含み、前方キャリッジの2つの部分は両方とも前記2つの前輪または前記前方キャリッジフレーム16の転動運動を受け、前方キャリッジの1つの部分は前記転動運動を受け、前記転動ブロックシステムは、前記前方キャリッジの転動面に対する前記ロッドの両端の回転角をブロックするのに適したブロック装置111a、112a、130を備え、
ここで前記ロッド110はロッドの第1の部分111およびロッドの第2の部分112を含み、これらは前記ロッド110の長手方向延長軸Xに沿って互いに相互連結され、互いに独立して前記長手方向延長軸Xを中心としてそれぞれ回転することができ、前記ロッド110の前記第1の部分111および第2の部分112は、前記転動面に垂直な軸を中心とするボールジョイント101、102の回転運動を、前記長手方向延長軸Xを中心とするそれぞれのロッド部分111、112の回転運動に変換するのに適した伝達手段121、122によって、それぞれのボールジョイント101、102に運動学的に連結され、ロッドの前記第1の部分111および第2の部分112の伝達手段121、122は、ロッドの前記第1の部分111および第2の部分112が、前方キャリッジの転動運動の存在下で互いに反対方向に軸方向に回転するように構成され、前記伝達手段121、122は、1以上の伝達比を有し、
ここで前記ブロック装置111a、112a、130は、前記第1の部分111および第2の部分112aのそれぞれにそれぞれの第1のヘッド要素111aおよび第2のヘッド要素112aを備え、ここで前記第1のヘッド要素111aおよび第2のヘッド要素112aは、ロッドのそれぞれの第1の部分111および第2の部分112と回転的に一体であり、前記第1のヘッド要素111aと第2のヘッド要素112aとは互いに向かい合って配置され、ロッドの前記第2の部分112の前記第2のヘッド要素112aは、ロッド110の長手方向延長軸Xに沿って移動可能であり、前記第2のヘッド要素112aが前記第1のヘッド要素111の相互ブロックに係合してロッドの前記第1の部分111aおよび第2の部分112を回転的に一体にし、伝達手段121、122によってその回転を妨げ、ひいては転動運動をブロックするブロック位置と、前記第2のヘッド要素112aが前記第1のヘッド要素111aから長手方向に離れて、ロッドの前記第1の部分111および第2の部分112が転動運動を妨げることなく自由に回転できるようにする解除位置との間を移動し、前記ブロック装置111a、112a、130は、前記第2のヘッド要素112aを前記ブロック位置と前記解除位置との間で移動させるのに適したアクチュエータ130を備える。
【0124】
本発明の目的はまた、本発明による、そして特に上述のような、前方キャリッジ8を有する、3つまたは4つの車輪を備えた車両の転動運動を可逆的にブロックする方法である。
【0125】
前記方法は、
-前記ブロック装置111a、112a、130が、ロッドの前記第1の部分111とロッドの前記第2の部分112との相対回転をブロックしてそれらを回転的に一体にし、かつ前記転動面に対する前記ロッドの回転角をブロックするように作動する転動ブロックステップと、
-前記ブロック装置111a、112a、130が、ロッドの前記第1の部分111と前記第2の部分112とが互いに回転することを可能にし、かつ前記転動面に対する前記ロッド110の回転を可能にするように作動しない転動解除ステップとを交互に含む。
【0126】
より具体的には、上記の方法は、
-第2のヘッド要素112aを前記解除位置から前記ブロック位置に移動させて、第1のロッド部分111と第2のロッド部分112とを回転的に一体にし、その回転を防止し、ひいては前記伝達手段121、122によって転動運動をブロックするためにアクチュエータ130を作動させる転動ブロックステップと、
-第2のヘッド要素112aをブロック位置から解除位置に移動させるためにアクチュエータ130を作動させる転動解除ステップとを交互に含み、ここでロッドの前記第1のロッド部分111と第2のロッド部分112とは、それらが転動運動を妨げずに自由に回転できるように互いに長手方向に離間している。
【0127】
本発明の目的はまた、後部に駆動輪、および本発明による、特に上述のような、前方キャリッジ8を有する車両4である。
【0128】
本発明の目的はまた、本発明による、特に添付の請求項17に規定されるような前方キャリッジから分離された、3つまたは4つの車輪を有する転動車両の前方キャリッジ用の転動ブロックシステムである。
【0129】
本発明の好ましい実施形態によれば、転動ブロックシステム100は、
-前記前方キャリッジ8上に設置された状態で-前方キャリッジ8の2つの部分を互いに直接連結するようになっているロッド110を含み、前記部分のうちの少なくとも1つは転動運動を受け、
ここで前記ロッド110は、転動面に垂直な軸を中心とした回転運動を長手延長軸Xを中心とするそれぞれのロッド部分111、112の回転運動に変換するのに適した伝達手段121、122によって前記前方キャリッジの前記2つの部分に運動学的に連結されたロッドの第1の部分111およびロッドの第2の部分112を含み、伝達手段121、122は、ロッドの前記第1の部分111および第2の部分112が互いに反対方向に軸方向に回転するように構成され、
ここで前記ブロック装置111a、112a、130は、前記第1の部分111および第2の部分112のそれぞれに、互いに向かい合って配置されたそれぞれの第1のヘッド要素111aおよび第2のヘッド要素112aを備え、
前記第2のヘッド要素112aは長手方向延長軸Xに沿って移動可能であり、前記第1のヘッド要素111の相互ブロックに係合して前記ロッドの前記第1の部分111および第2の部分112を回転的に一体にするブロック位置と、前記第2のヘッド要素112aが前記第1のヘッド要素111aから切り離され、ロッドの前記第1の部分111および第2の部分112が自由に回転できるようにする解除位置との間を移動し、前記ブロック装置111a、112a、130は、前記第2のヘッド要素112aを前記ブロック位置と前記解除位置との間で移動させるのに適したアクチュエータ130を備える。
【0130】
本発明の特定の実施形態によれば、3つまたは4つの車輪を有する転動車両の前方キャリッジ8の転動ブロックシステム100が提供され、ここで前記前方キャリッジ8は、-前方キャリッジフレーム16、および-車輪を同期的かつ鏡面的に転動させることができる運動学的転動機構20によって互いにかつ前方キャリッジフレーム16と運動学的に連結されている少なくとも1対の前輪10’、10”を含み、
前記転動ブロックシステム100は、-前記前方キャリッジ8上に設置された状態で-ボールジョイントまたはボールジョイント101、102に相当するヒンジ手段によって両端において互いに直接連結するようになっているロッド110を含み、前方キャリッジ8の2つの部分は両方とも前記2つの前輪または前記前方キャリッジフレーム16の転動運動を受け、前方キャリッジ8の1つの部分は前記転動運動を受け、
ここで前記転動ブロックシステム100は、前記前方キャリッジ8の転動面に対する前記ロッド110の2つの端部の回転角をブロックするのに適したブロック装置111a、112a、130を備え、
ここで前記ロッド110はロッドの第1の部分111およびロッドの第2の部分112を含み、これらは前記ロッドの長手方向延長軸Xに沿って互いに相互連結され、互いに独立して前記長手方向延長軸Xを中心としてそれぞれ回転することができ、
ここで前記転動ブロックシステム100は、前記ロッド110の前記第1の部分111および第2の部分112に伝達手段121、122を含み、これらはロッド112の前記第1の部分111および前記第2の部分をそれぞれのボールジョイント101、102に運動学的に連結することが意図され、かつ前記転動面に実質的に垂直な軸を中心とするボールジョイント101、102の回転運動を、前前記長手方向延長軸Xを中心とするそれぞれのロッド部分111、112の回転運動に変換するのに適しており、
ここでロッドの前記第1の部分111および前記第2の部分112の伝達手段121、122は、ロッドの前記第1の部分111および第2の部分112が、前方キャリッジ8の転動運動の存在下で互いに反対方向に軸方向に回転するように構成され、前記伝達手段121、122は、1以上の伝達比を有し、
ここで前記ブロック装置111a、112a、130は、ロッドの前記第1の部分111および第2の部分112のそれぞれにそれぞれの第1のヘッド要素111aおよび第2のヘッド要素112aを備え、ここで前記第1のヘッド要素111aおよび第2のヘッド要素112aは、ロッドのそれぞれの第1の要素111および第2の要素112と回転的に一体であり、ここで前記第1のヘッド要素111aと第2のヘッド要素112aとは互いに向かい合って配置され、ロッド112の前記第2の部分の前記第2のヘッド要素112aは、ロッド110の長手方向延長軸Xに沿って移動可能であり、前記第2のヘッド要素112aが前記第1のヘッド要素111の相互ブロックに係合してロッドの前記第1の部分111および第2の部分112を回転的に一体にし、伝達手段121、122によってその回転を妨げ、ひいては転動運動をブロックするブロック位置と、前記第2のヘッド要素112aが前記第1のヘッド要素111aから長手方向に離れて、ロッドの第1の部分111および第2の部分112が転動運動を妨げることなく自由に回転できるようにする解除位置との間を移動し、
前記ブロック装置111a、112a、130は、前記第2のヘッド要素112aをブロック位置と解除位置との間で移動させるのに適したアクチュエータ130を備える。
【0131】
本発明はいくつかの利点を達成することを可能にし、それらのうちのいくつかは既に説明されている。したがって、本発明による転動ブロックシステムは、転動ブロック要素としてのロッドの簡単な設置と、システム全体の小さい設置面積とを組み合わせることを可能にする。実際、従来のシステムで必要とされるものよりもかなり小さいサイズのアクチュエータを使用することが可能である。アクチュエータの小型化は、結果として、全体寸法の減少だけでなく、コストの低減ももたらす。
【0132】
ロッド110が2つの前輪10’、10”の車軸ジャーナルを連結するように配置される特定の場合において、本発明による転動ブロックシステムは、ブロック装置を二重にさせる必要なく、したがって、システム全体の寸法および関連費用の増加を引き起こすことなく、両方の前部転動車輪の転動ブロックを対称化することをさらに可能にする。
【0133】
本発明による転動ブロックシステムはまた、構造的に単純であり、製造して車両自体に搭載するのに費用効果が高い。
【0134】
このようにして考え出された本発明は、意図した目的を達成する。当然ながら、その実際的な実施形態では、本保護の範囲から逸脱することなく、上記以外の形状および構成も取り得る。
【0135】
さらに、全ての詳細は技術的に等価な要素および寸法に置き換えられてもよく、使用される形状および材料は必要に応じて任意であり得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16a
図16b