(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】卵胞の数及びサイズの決定
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
A61B8/12
(21)【出願番号】P 2019544715
(86)(22)【出願日】2018-02-12
(86)【国際出願番号】 EP2018053375
(87)【国際公開番号】W WO2018149765
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2021-02-10
(32)【優先日】2017-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ラマチャンドラン ガニサン
(72)【発明者】
【氏名】フィルション セリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】デュフール セシル
(72)【発明者】
【氏名】アレール ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ネルール プラカシュ シンドゥ プリヤダルシニー
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-195764(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0292848(US,A1)
【文献】特開2012-217791(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0031691(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0267499(US,A1)
【文献】特開2002-306480(JP,A)
【文献】特開2016-152854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵胞の数及びサイズを決定するためにコンピュータで実施される方法であって、前記方法は、
2D(2次元)経膣超音波走査像の対を受信するステップであって、各走査像が、前記走査像を取得するために使用される超音波プローブの並進方向に沿って取得された複数の2D超音波画像を有し、前記走査像の各々に関して、それぞれの前記並進方向が少なくともほぼ直交している、受信するステップを有し、前記方法は、
前記2D経膣超音波走査像の前記複数の2D超音波画像において候補卵胞を検出するステップと、
各候補卵胞に関する平均直径を決定するために検出された前記候補卵胞を分割するステップと、
最大平均直径を有する候補卵胞を含む2D経膣超音波走査像を選択するステップと、
選択された前記2D経膣超音波走査像の検出された前記候補卵胞の決定された前記平均直径及び分割部分を提示するステップと
をさらに有する、コンピュータで実施される方法。
【請求項2】
前記複数の2D超音波画像において前記候補卵胞を検出するステップが、
前記複数の2D超音波画像から容積画像を概算するステップと、
概算された前記容積画像内の卵巣を検出するステップと、
検出された前記卵巣内の考えられる候補卵胞を検出するステップと
を有する、請求項1に記載のコンピュータで実施される方法。
【請求項3】
検出された前記卵巣内の前記候補卵胞を検出するステップが、
各候補卵胞の容積を決定するステップと、
後続の前記分割のために定義された容積しきい値未満の決定された容積を有する候補卵胞を排除するステップと
をさらに有する、請求項2に記載のコンピュータで実施される方法。
【請求項4】
前記走査像の各々に関して検出された卵胞の決定された前記平均直径に基づいて前記検出された卵胞のリストを作成するステップをさらに有し、
前記最大平均直径を有する卵胞を含む2D経膣超音波走査像を選択するステップが、前記リストに基づいており、
選択された前記2D経膣超音波走査像の前記検出された卵胞の決定された前記平均直径及び前記分割部分を提示するステップが、選択された前記2D経膣超音波走査
像の前記検出された卵胞の前記リストを提示するステップを有する、
請求項1
から3のいずれか一項に記載のコンピュータで実施される方法。
【請求項5】
前記複数の2D超音波画像において前記候補卵胞を検出するステップが、さらなる処理のために前記検出された候補卵胞にラベルを付けるステップをさらに有する、請求項1
から4のいずれか一項に記載のコンピュータで実施される方法。
【請求項6】
検出された卵巣内の各候補卵胞に関する平均直径を決定するために前記検出された候補卵胞を分割するステップが、
前記複数の2D超音波画像内の各候補卵胞のシード点を定義するステップと、
各シード点に関して、前記シード点に関連する前記候補卵胞を分割するために前記複数の2D超音波画像に適応領域成長アルゴリズムを適用するステップと
をさらに有する、請求項1
から5のいずれか一項に記載のコンピュータで実施される方法。
【請求項7】
ユーザ定義された追加のシード点を受信し、前記ユーザ定義された追加のシード点に関連する前記候補卵胞を分割するために前記複数の2D超音波画像に前記適応領域成長アルゴリズムを適用するステップ、及び/又は
ユーザ識別された既存のシード点を受信し、定義された前記シード点から前記ユーザ識別された既存のシード点を削除するステップ
をさらに有する、請求項6に記載のコンピュータで実施される方法。
【請求項8】
適応領域成長アルゴリズムによって取得されたピクセル領域のフォームファクタを決定するステップと、
前記フォームファクタが、定義されたフォームファクタしきい値未満である場合、前記候補卵胞を排除するステップと
をさらに有する、請求項5
から7のいずれか一項に記載のコンピュータで実施される方法。
【請求項9】
重複する分割された候補卵胞間の重複領域を決定するステップと、
前記重複領域が、定義された重複しきい値を超える場合、より小さい平均直径を有する前記重複する分割された候補卵胞を削除するステップと
をさらに有する、請求項5
から8のいずれか一項に記載のコンピュータで実施される方法。
【請求項10】
前記各候補卵胞の平均直径を決定することが、
前記卵胞の一部分を含む各2D超音波画像内の卵胞部分の平均直径を決定することと、
前記卵胞部分の最大平均直径を有する2D超音波画像を選択することと、
前記卵胞の前記平均直径として前記最大平均直径を選択することと
を有する、請求項1
から9のいずれか一項に記載のコンピュータで実施される方法。
【請求項11】
前記2D(2次元)経膣超音波走査像の各々の検出された卵巣における卵巣の回転及び切り捨ての少なくとも1つを決定するステップ
をさらに有する、請求項1
から10のいずれか一項に記載のコンピュータで実施される方法。
【請求項12】
超音波画像処理装置のプロセッサ構成部で実行されるとき、前記プロセッサ構成部に、請求項1
から11のいずれか一項に記載の方法を実施させる、具現化されたコンピュータ可読プログラム命令を有する、コンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項1
から11のいずれか一項に記載の方法を実施するプロセッサ構成部を備える超音波画像処理装置であって、
前記超音波画像処理装置が、請求項12に記載
のコンピュータプログラムをさらに備え、前記プロセッサ構成部が、前記コンピュータプログラムによって具現化された前記コンピュータ可読プログラム命令を実行する、
超音波画像処理装置。
【請求項14】
請求項13に記載の超音波画像処理装置と
、経膣超音波走査像の前記対を前記超音波画像処理装置に提供する超音波プローブとを備える、超音波画像診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2D経膣超音波走査像から卵胞の数及びサイズを決定する、コンピュータで実施される方法に関する。
【0002】
本発明はさらに、そのような方法を実施するコンピュータプログラム製品に関する。
【0003】
本発明はさらに、2D経膣超音波走査像から卵胞の数及びサイズを決定する超音波画像処理装置に関する。
【0004】
本発明はさらに、そのような超音波画像処理装置を備える超音波画像診断システムに関する。
【背景技術】
【0005】
不妊は、8~12%のカップルにその人生のある時点で影響を及ぼすと推定される世界的な問題である。不妊は、いくつかの原因を有する。たとえば、女性の不妊は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、卵巣予備能の低下、卵管因子、甲状腺機能低下などによって生じる可能性がある。超音波(US)画像診断は、卵巣の胞状卵胞数、すなわち女性の受胎能の重要な指標である約2~10mmの範囲の直径を有する卵胞の数を、そのような超音波画像診断から導き出すことができるので、女性の不妊の診断及び監視に広く使用される。たとえば、それ自体よく知られているように、胞状卵胞は、卵巣内の未成熟卵の蓄積に関連し、その結果、胞状卵胞数は、たとえば、よく知られた長楕円体の公式を使用した、卵巣のサイズ及び/又は容積の決定と任意で組み合わせた、卵巣内の卵蓄積の信頼性の高い指標と見なされる。他方で、多い胞状卵胞数は、たとえば、拡張した卵巣と組み合わせて観測されるとき、PCOSを示す場合がある。
【0006】
経膣US走査は、たとえば、7~25mmの範囲の最大直径を有する卵胞の数を監視することによって、たとえば、女性の不妊を診断し不妊治療を監視するために、卵巣の評価のための意味のある(正確な)超音波画像を取得するために最も一般的に使用される。理想的には、そのような経膣超音波画像診断は、女性患者の卵巣の3D(3次元)超音波画像の取得を含むが、それは、3D超音波画像の取得が各卵巣内の卵胞の数及びサイズの明快な評価を容易にするからである。そのような3Dソリューションの一例は、2016年7月1日に公開されたインド特許出願IN2014/0626614(出願番号6266/CHE/2014)及びM.J.Goodingら、Ultrasound In Med.& Biol.Vol.34、No.2、183~195ページ、2008年に開示されている。これらは、フリーハンドの3D超音波データの分割及び再構成のための半自動の方法を開示する。そのような3D超音波画像診断は、超音波検査技師などの臨床家又はソノロジストなどの不妊症専門医が、選択された方向、通常は臨床家が関心のある卵胞の最適な画像を取得することを期待する方向にプローブを物理的に動かさなければならない2D(2次元)技法と比較して、一連の2D画像が静的な経膣超音波プローブによって取得されるので、2D超音波画像診断よりも利点を有する。2D超音波画像診断は、臨床家が同じ卵胞を複数回カウントし、いくつかの卵胞を見落とし、それによって女性患者の卵巣内の卵胞の数及びサイズの不正確な評価のリスクを増大させる高い確率に関連付けられる、試行錯誤的手法である。
【0007】
しかし、3D超音波画像診断システムの欠点は、そのようなシステムが、2D超音波画像診断システムよりもはるかにコストがかかることであり、その結果、3D超音波画像診断システムの市場浸透は、特に世界の発展途上地域では依然として極めて低い。したがって、たとえば、オブザーバ間のエラーを減少させ患者スループットを増大させるために、臨床家による卵胞の評価を容易にする際の2D超音波画像診断の信頼性を改善する必要がある。
【0008】
米国特許出願公開第2016/0292848(A1)号は、医用画像データにおける異なる位置に複数のシードを配置するように構成された配置用回路と、複数のシードの中から少なくとも1つのシードを選択し、少なくとも1つの選択されたシードを成長させるように構成された処理用回路と、成長の結果に基づいて少なくとも1つの標的領域を決定するように構成された領域決定用回路とを備える、医用画像データ処理装置を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、卵胞のより信頼性の高い評価を容易にする2D経膣超音波走査像から卵胞の数及びサイズを決定する、コンピュータで実施される方法を提供しようとする。
【0010】
本発明はさらに、そのような方法を実施するコンピュータプログラム製品を提供しようとする。
【0011】
本発明はさらに、卵胞のより信頼性の高い評価を容易にする2D経膣超音波走査像から卵胞の数及びサイズを決定する超音波画像処理装置を提供しようとする。
【0012】
本発明はさらに、そのような超音波画像処理装置を備える超音波画像診断システムを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一態様によれば、卵胞の数及びサイズを決定する、コンピュータで実施される方法が提供されるが、本方法は、2D(2次元)経膣超音波走査像の対を受信するステップであって、各走査像が、上記走査像を取得するために使用される超音波プローブの並進方向に沿って取得された複数の2D超音波画像を有し、上記走査像の各々に関してそれぞれの並進方向が少なくともほぼ直交している、ステップを有し、本方法は、少なくとも1つの2D経膣超音波走査像の複数の2D超音波画像において候補卵胞を検出するステップと、各候補卵胞に関する平均直径を決定するために検出された候補卵胞を分割するステップと、最大平均直径を有する候補卵胞を含む2D経膣超音波走査像を選択するステップと、選択された2D経膣超音波走査像の検出された候補卵胞の決定された平均直径及び分割部分を提示するステップとをさらに有する。
【0014】
本発明の方法は、コンピュータ、通常は超音波画像処理装置が、女性患者の卵巣を検査する、女性患者の膣領域の超音波走査において検出された卵胞の平均直径の概観を生成する、自動化手法を提供する。この方法は、臨床家によって取得された、走査における2重カウントされた又は見落とされた卵胞のリスクを大幅に低減し、それによって、オブザーバ間のばらつきの低減及び走査時間の低減をもたらすが、それは、系統的な走査手法が、通常はより時間がかかり、したがって患者にとってより不快である試行錯誤的なベースで既に取得された超音波画像内の観測される形状に応じて超音波プローブが導かれる場当たり的な走査の必要性を回避するからである。加えて、卵胞の正常な平均直径を識別する確からしさは、好ましくは垂直走査すなわち前方から後方の(AP)走査、及び水平走査すなわち側方から中央への(LM)走査を含む、互いに概ね(ほぼ)直交方向に臨床家によって(連続的に)取得されるべきである2組の走査の評価により検査中に1つ又は複数の卵巣内に最大の卵胞を含む。これは、長楕円体形状を有する卵胞の寸法又はサイズが、直交走査の一方において正確に取得されるので、卵巣の視界内の卵胞の直径の方位に関わらず、卵胞の直径を決定する際に本方法を助ける。これは、オブザーバ間のばらつきの低減及び走査時間の低減をもたらすが、それは、系統的な走査手法が、通常はより時間がかかり、したがって患者にとってより不快である試行錯誤的なベースで既に取得された超音波画像内の観測される形状に応じて超音波プローブが導かれる場当たり的な走査の必要性を回避するからである。
【0015】
一実施形態では、複数の2D超音波画像において候補卵胞を検出するステップは、複数の2D超音波画像から容積画像を概算するステップと、概算された容積画像内の卵巣を検出するステップと、検出された卵巣内の候補卵胞を検出するステップとを有する。これは、特に、そのような候補卵胞を検出し、それによって、見落とされた候補卵胞のリスクを低減するロバストな手法である。
【0016】
検出された卵巣内の候補卵胞を検出するステップは、各候補卵胞の容積を決定するステップと、上記後続の分割のために定義された容積しきい値未満の決定された容積を有する候補卵胞を排除するステップとをさらに有する。この手法で、偽陽性が、不必要に分割されるのを防ぎ、それによって、本方法の効率を改善する。
【0017】
本方法は、好ましくは、上記走査像の各々に関して決定された平均直径に基づいて検出された候補卵胞のリストを作成するステップをさらに有し、最大平均直径を有する候補卵胞を含む2D経膣超音波走査像を選択するステップが、上記リストに基づいており、選択された2D経膣超音波走査像の検出された候補卵胞の決定された平均直径及び分割部分を提示するステップが、選択された2D経膣超音波走査像の検出された候補卵胞のリストを提示するステップを有する。平均直径を減少又は増加させることによって候補卵胞が列挙された順序付けられたリストであることが好ましいそのようなリストは、たとえば、中間の診断的関係の測定値として卵胞の数及びサイズを決定するための超音波走査データの評価をさらに容易にするが、卵胞の特性は、たとえば、女性患者の不妊治療の効果を監視するために臨床家によって使用される。
【0018】
一実施形態では、候補卵胞を検出するステップは、本方法の効率をさらに助けるために、さらなる処理のために検出された候補卵胞にラベルを付けるステップをさらに有する。
【0019】
超音波走査像の評価の精度を増大させるために、検出された卵巣内の考えられる卵胞を検出するステップは、少なくとも卵胞の容積、統合された強度、及び最大強度から選択された、各候補卵胞の特性を決定するステップと、上記後続の分割のために許容できる範囲外の決定された特性を有する候補卵胞を排除するステップとをさらに有する。これは、任意の卵巣超音波走査像が、候補卵胞として誤って認識される画像領域のために、通常、いくつかの偽アラームすなわち偽陽性を有する見識に基づいている。したがって、偽陽性は、通常、実際の卵胞よりも小さいか、又は大きく、たとえば、上述のように7~25mmの範囲から外れ、これらの偽陽性は、たとえば、容積しきい値化を使用してフィルタ除去され、それによって、提示された候補卵胞及びその平均直径が、そのような偽陽性によって不明瞭にされるリスクを低減する。
【0020】
好ましい実施形態では、各候補卵胞に関する平均直径を決定するために検出された候補卵胞を分割するステップは、複数の2D超音波画像内の各卵胞のシード点を定義するステップと、各シード点に関して、上記シード点に関連する候補卵胞を分割するために複数の2D超音波画像に適応領域成長アルゴリズムを適用するステップとをさらに有する。そのような手法は、候補卵胞の平均直径を、推定された候補卵胞の容積から正確に推定することができるように、候補卵胞の容積の正確な推定を提供する。
【0021】
本方法は、たとえば、上述のように、偽陽性の除去の後、自動的に識別された候補卵胞に基づいて候補卵胞の分割を実行する。代替として又はそれに加えて、本方法は、ユーザに定義された追加のシード点を受信するステップと、上記ユーザに定義された追加のシード点に関連する候補卵胞を分割するために複数の2D超音波画像に適応領域成長アルゴリズムを適用するステップであって、それによって、たとえば、評価中に超音波走査像における1つ又は複数の超音波画像のユーザ評価に基づいて、ユーザが本方法によって作成されたシード点の組を増加させることを可能にすることによって卵巣の評価のさらなる改善を容易にする、ステップとをさらに有する。シード点の自動的に検出された組のそのようなユーザによる増加は、ユーザに追加されたシード点に限定されない。さらなる実施形態では、本方法は、ユーザに識別された既存のシード点を受信するステップと、たとえば、シード点が実際の卵胞に対応しないことがユーザに明らかになった場合、ユーザが、定義されたシード点の組からシード点を除去することができるように、定義されたシード点からユーザに識別された既存のシード点を削除するステップとをさらに有する。
【0022】
候補卵胞の評価の精度のさらなる改善は、候補卵胞の分割中に適応領域成長アルゴリズムによって取得された複数の2D超音波画像内のピクセル領域のフォームファクタを決定するステップと、上記フォームファクタが、定義されたフォームファクタしきい値未満である場合、これは、信頼性の低い分割又はさらなる偽陽性を示すので、候補卵胞を排除するステップとをさらに有する方法によって得られる。
【0023】
それぞれのシード点に基づく候補卵胞の分割は、少なくともいくつかの候補卵胞が、少なくとも部分的に重複する、複数の分割された候補卵胞につながる。これは、たとえば、複数の2D超音波画像におけるシステムの及び/又はオペレータ依存のアーチファクトの存在のために複数のフラグメントを作成するアルゴリズムにより、同じ候補卵胞がたとえば少なくとも2回などの複数回表示される、この複数回内の画像処理アーチファクトの表示である。そのような複製物を除去するために、本方法は、重複する分割された候補卵胞間の重複領域を決定するステップと、上記重複領域が、定義された重複しきい値を超える場合、そのようなシナリオでは、そのような重複する候補卵胞が、実際に同じ候補卵胞である可能性が高く、この場合、より小さい重複する候補卵胞がアーチファクトとなる可能性が最も高いので、より小さい平均直径を有する重複する分割された候補卵胞を削除するステップとをさらに有する。
【0024】
一実施形態では、検出された卵巣内の各候補卵胞の平均直径を決定することは、候補卵胞の一部分を含む各2D超音波画像内の候補卵胞部分の平均直径を決定することと、卵胞部分の最大平均直径を有する2D超音波画像を選択することと、候補卵胞の平均直径として上記最大平均直径を選択することとを有する。これは、候補卵胞の正確な平均直径を取得する明快な手法である。
【0025】
本発明の方法のそれぞれの実施形態の成功は、検査中に卵巣の大幅に異なる視野角を得るために、超音波プローブが女性患者の膣領域にわたって案内された方向に関して互いに少なくともほぼ直交するたとえばAP走査像及びLM走査像などの超音波走査像の対を提供する臨床家に依拠する。2つの走査の視野角が極めて類似するとき、オブザーバ間のばらつきが十分に低減されず、有力な卵胞の最大直径が正確に取得されないので、そのような視野角が極めて類似する場合、上述した卵胞の実際の直径を識別する際の本方法の成功の確からしさは低減することを理解されたい。したがって、特定の有利な実施形態では、本方法は、2D(2次元)経膣超音波走査像の対の各走査像の検出された卵巣における卵巣の回転及び切り捨ての少なくとも1つを決定するステップをさらに有する。このようにして、超音波検査技師は、品質、すなわち走査像内の卵巣の所望の取得を改善するために、超音波検査技師が1つ又は複数の走査を反復することができるように、走査が不十分な品質を有することを警告される。このコンテキストでは、卵巣の回転は、走査像の取得中に超音波プローブの走査方向の変化を示す、走査像の異なる画像フレーム間の卵巣の回転を表すことを理解されたい。
【0026】
さらなる態様によれば、超音波画像処理装置のプロセッサ構成部上で実行されるとき、上記プロセッサ構成部に、本明細書で説明する実施形態のいずれかの方法を実施させる、具現化されたコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体を備えるコンピュータプログラム製品が提供される。そのようなコンピュータプログラム製品は、たとえば、既存の超音波画像処理装置をアップグレードし、それによって、そのような装置を用いて卵巣の超音波走査像の評価の品質を改善するために使用される。
【0027】
さらに別の態様によれば、本明細書で説明する実施形態のいずれかの方法を実施するように構成されたプロセッサ構成部を備える超音波画像処理装置が提供される。そのような超音波画像処理装置は、評価された卵巣内の候補卵胞のより信頼性の高い概観を提供することによって、2D経膣卵巣超音波走査像の改善された品質評価を提供することができる。
【0028】
超音波画像処理装置は、本方法の少なくとも一部分がプロセッサ設計内にハードコードされる場合、ASICなどを含むプロセッサ構成部などの、本方法を実施するために特に設計されたプロセッサ構成部により、本発明の実施形態に従って本方法を実施するように構成される。代替として、超音波画像処理装置は、プロセッサ構成部が、コンピュータプログラム製品によって具現化されたコンピュータ可読プログラム命令を実行するように構成され、この場合、プロセッサ構成部が、コンピュータ可読プログラム命令によってプログラム可能な市販のプロセッサを備える、本発明の実施形態によるコンピュータプログラム製品をさらに備える。
【0029】
さらに別の態様によれば、本明細書で説明する実施形態のいずれかによる超音波画像処理装置と、1つ又は複数の経膣超音波走査像を超音波画像処理装置に提供するための超音波プローブとを備える超音波画像診断システムが提供される。
【0030】
本発明の実施形態がより詳細に、非限定的な例として、添付図面を参考にして説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】患者の身体の一部を走査するために使用される超音波画像診断システムの概略図である。
【
図2】アレイトランスデューサを有する超音波画像診断システムの一実施形態の概略ブロック図である。
【
図3】女性患者の卵巣の少なくとも一部分を視覚化した一連の2D超音波画像を概略的に示す図である。
【
図4】一実施形態による、各々が女性患者の卵巣の少なくとも一部分を視覚化した、一連の2D超音波画像の直交する対を概略的に示す図である。
【
図5】卵胞の数及びサイズを決定する、コンピュータで実施される方法の例示的な一実施形態のフローチャートである。
【
図6】卵胞の数及びサイズをより詳細に決定する、コンピュータで実施される方法の例示的な一実施形態の一態様のフローチャートである。
【
図7】卵胞の数及びサイズを決定する、コンピュータで実施される方法の例示的な一実施形態によって処理する2D超音波画像を概略的に示す図である。
【
図8】卵胞の数及びサイズをより詳細に決定する、コンピュータで実施される方法の例示的な一実施形態の別の態様のフローチャートである。
【
図9】卵胞の数及びサイズをより詳細に決定する、コンピュータで実施される方法の例示的な一実施形態のさらに別の態様のフローチャートである。
【
図10】卵胞の数及びサイズをより詳細に決定する、コンピュータで実施される方法の例示的な一実施形態のさらに別の態様のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図は概略にすぎず、正確な比率に描かれていないことを理解されたい。図全体を通して、同じ参照番号は、同じ又は同様の部分を示すために使用されることも理解されたい。
【0033】
図1は、超音波システム100、特に医用2次元(2D)超音波画像診断システムの概略図を示す。超音波システム100は、たとえば、女性患者に施される不妊治療の効果を監視するために、解剖学的部位、特に、図示する女性患者の膣領域などの、患者12の解剖学的部位の容積を経時的に検査するのに適用される。超音波システム100は、超音波を送信及び/又は受信する多数のトランスデューサ素子を有する少なくとも1つのトランスデューサアレイを有する超音波プローブ14を備える。一例では、トランスデューサ素子の各々は、特定のパルス持続時間の少なくとも1つの送信インパルスの形態の超音波、特に複数の後続の送信パルスを送信することができる。トランスデューサ素子は、2D超音波システム100の場合に線形(1次元)配列で配置される。本発明に従って
図1に示すように、超音波プローブ14は、以下にさらに詳細に説明するように、女性患者に対して経膣超音波走査を実行するのに適している。
【0034】
さらに、超音波システム100は、超音波システム100を介して2D画像列の提供を制御する画像再構成ユニット16を含むプロセッサ構成部を備える医用超音波画像処理装置10を備える。以下にさらに詳細に説明するように、画像再構成ユニット16は、超音波プローブ14のトランスデューサアレイを介したデータの取得を制御するだけでなく、超音波プローブ14のトランスデューサアレイによって受信された超音波ビームのエコーから2D画像列を形成する信号及び画像処理を制御する。そのような医用超音波画像処理装置10は、たとえば、超音波プローブ14が接続されるコンソールなどである。
【0035】
超音波システム100は、ユーザに2D画像列を表示するディスプレイ装置18(以下、ディスプレイ18とも呼ばれる)をさらに備える。さらに、キー又はキーボード22、及びトラックボール24などのさらなる入力装置を備える入力装置20が提供される。入力装置20は、ディスプレイ18に、又は直接、画像再構成ユニット16に接続される。いくつかの実施形態では、入力装置20及びディスプレイ18の少なくとも1つは、医用超音波画像処理装置10に一体化される。
【0036】
超音波システム100は、画像再構成ユニット16が、たとえば、後日の評価のために、画像フレーム及び画像フレーム処理データを記憶する、たとえば、1つ又は複数のメモリ装置、ハードディスク、光ディスクなどのデータ記憶構成部60をさらに備える。データ記憶構成部60は、医用超音波画像処理装置10に一体化されるか、又はピアツーピア方式で若しくはそれ自体よく知られたネットワークを介して医用超音波画像処理装置10に接続される。
【0037】
図2は、超音波システム100の概略ブロック図を示す。超音波プローブ14は、たとえば、CMUTトランスデューサアレイ26を備える。トランスデューサアレイ26は、代替として、PZT又はPVDFなどの材料から形成された圧電トランスデューサ素子を備える。トランスデューサアレイ26は、たとえば、2D画像診断のために2次元で走査することが可能なトランスデューサ素子の1次元アレイを備える。
【0038】
トランスデューサアレイ26は、CMUTアレイセル又は圧電素子による信号の送信及び受信を制御する、プローブ内のマイクロビームフォーマ28に結合される。マイクロビームフォーマは、米国特許第5,997,479号(Savordら)、米国特許第6,013,032号(Savord)、及び米国特許第6,623,432号(Powersら)に記載されるように、トランスデューサ素子のグループ又は「パッチ」によって受信された信号の少なくとも部分的なビーム成形が可能である。マイクロビームフォーマ28は、マイクロビームフォーマ28が使用されず、トランスデューサアレイ26が主ビームフォーマ34によって直接操作されるとき、送信と受信との間を切り替え、高エネルギー送信信号から主ビームフォーマ34を保護する送信/受信(T/R)スイッチ30にプローブケーブルによって結合される。マイクロビームフォーマ28の制御下におけるトランスデューサアレイ26からの超音波ビームの送信は、T/Rスイッチ30によりマイクロビームフォーマ28及び主システムビームフォーマ34に結合されたトランスデューサコントローラ32によって指示され、トランスデューサコントローラ32は、ユーザインターフェース又は制御パネル22のユーザの操作から入力を受信する。トランスデューサコントローラ32によって制御される機能の1つは、ビームが誘導され集束される方向である。ビームは、トランスデューサアレイ26から真っすぐ前に(それに直交して)、又はより広い視野のために異なる角度で誘導される。トランスデューサコントローラ32は、CMUTアレイのためにDCバイアス制御部58を制御するために結合される。DCバイアス制御部58は、そのようなCMUTアレイのCMUTセルに印加されるDCバイアス電圧を設定する。
【0039】
受信時にマイクロビームフォーマ28によって生成された部分的ビーム成形信号は、主ビームフォーマ34に結合され、トランスデューサ素子の個々のパッチからの部分的ビーム成形信号が組み合わされて、完全なビーム成形信号になる。たとえば、主ビームフォーマ34は、128チャネルを有し、それらのチャネルの各々は、数十又は数百のCMUTトランスデューサセル又は圧電素子のパッチから部分的ビーム成形信号を受信する。このようにして、トランスデューサアレイ26の数千のトランスデューサ素子によって受信された信号は、単一のビーム成形信号に効率的に寄与することができる。
【0040】
ビーム成形信号は、一部分を形成する信号プロセッサ36に結合される。信号プロセッサ36は、バンドパスフィルタリング、デシメーション、I及びQの成分分離、並びに組織及び/若しくは患者12の身体に前投与された造影剤に含まれるマイクロバブルから返された非線形エコー信号(基本周波数の高調波)の識別を可能にするために線形信号と非線形信号とを分離するように機能する高調波信号分離などの様々な手法で、受信されたエコー信号を処理することができる。信号プロセッサ36は、スペックル低減、信号合成、及びノイズ除去などの追加の信号強調も実行する。信号プロセッサ36内のバンドパスフィルタは、増加していく深さからエコー信号が受信され、それによって、周波数が解剖学的情報を欠く、より深い深さからの高周波数のノイズを排除するので、高周波数バンドから低周波数バンドまでスライドするその通過帯域を有する追跡フィルタである。
【0041】
処理された信号は、Bモードプロセッサ38及びドップラープロセッサ40に転送される。Bモードプロセッサ38は、体内の臓器及び血管の組織などの体内の構造物の画像処理のために受信された超音波信号の振幅の検出を使用する。身体の構造物のBモード画像は、米国特許第6,283,919号(Roundhillら)及び米国特許第6,458,083号(Jagoら)に記載されるように、高調波画像モード、基本波画像モード、又は両者の組合せで形成される。
【0042】
ドップラープロセッサ40は、画像フィールドにおける血液セルの流れなどの物質の運動の検出のために、組織の動き及び血流から時間的に異なる信号を処理する。ドップラープロセッサ40は、通常、体内の選択された種類の物質から返されたエコーを通過させ、及び/又は排除するように設定されるパラメータを有するウォールフィルタを備える。たとえば、ウォールフィルタは、低速度物質又はゼロ速度物質からの比較的強い信号を排除しながら、高速度物質からの比較的低い振幅の信号を通過させる通過帯域特性を有するように設定することができる。この通過帯域特性は、心壁などの近くの静止した物体又はゆっくりと動く物体からの信号を排除しながら、流れる血液からの信号を通過させる。逆の特性は、組織の運動を検出し描写する、組織ドップラー画像処理と呼ばれるもののために、血流信号を排除しながら、心臓の動く組織からの信号を通過させる。ドップラープロセッサ40は、画像フィールド内の異なる点からの一連の時間的に別個のエコー信号を受信及び処理するが、特定の点からの一連のエコーはアンサンブルと呼ばれる。比較的短い間隔にわたって立て続けに受信されたエコーのアンサンブルは、流れる血液のドップラーシフト周波数を推定するために使用することができ、ドップラー周波数は、血流速度を示す速度に対応する。より長い期間にわたって受信されたエコーのアンサンブルは、よりゆっくりと流れる血液又はゆっくりと動く組織の速度を推定するために使用される。
【0043】
Bモードプロセッサ38及びドップラープロセッサ40によって生成された構造信号及び運動信号は、次いで、スキャンコンバータ44及びマルチプレーナリフォーマッタ54に転送される。スキャンコンバータ44は、エコー信号を、それらが所望の画像フォーマットで受信される空間関係に配置する。たとえば、スキャンコンバータ44は、エコー信号を2次元(2D)セクタ形状フォーマットに配置する。スキャンコンバータ44は、画像フィールド内の組織の運動及び血流を示すカラードップラー画像を生成するために、ドップラー推定速度を有する、画像フィールド内の点における運動に対応する色をBモード構造画像に重ね合わせることができる。
【0044】
ドップラープロセッサ40によって生成された血流値及びBモードプロセッサ38によって生成された組織構造情報は、画像処理のために使用されるのに加えて、プロセッサ構成部の一部分を形成する定量化プロセッサ46に転送される。この定量化プロセッサ46は、血流の容積流量などの異なる流量条件の測定値、及び臓器のサイズ及び在胎月齢などの構造的測定値を生成する。定量化プロセッサ46は、測定が行われる画像の解剖学的形態の点などの、ユーザ制御パネル22からの入力を受信する。定量化プロセッサ46からの出力データは、ディスプレイ18上に画像とともに測定グラフィックス及び値を再生するために、プロセッサ構成部の一部分を形成するグラフィックスプロセッサ50に転送される。グラフィックスプロセッサ50は、超音波画像によって表示用のグラフィックオーバーレイを生成することもできる。これらのグラフィックオーバーレイは、以下により詳細に説明するように、患者名、画像の日時、画像パラメータなどの標準的な識別情報を含むことができる。これらの目的で、グラフィックスプロセッサ50は、患者名などの、ユーザインターフェース22からの入力を受信する。ユーザインターフェース22は、トランスデューサアレイ26からの超音波信号の生成、したがってトランスデューサアレイ及び超音波システムによって生成された画像の生成を制御するために、トランスデューサコントローラ32に結合される。
【0045】
再び、上述の超音波システム100は、医用超音波画像処理装置10の用途の1つの考えられる例として説明されているにすぎないことに留意されたい。上述の超音波システム100は、以上に説明した構成要素のすべてを備える必要がないことに留意されたい。他方で、超音波システム100は、必要があれば、さらなる構成要素を備えることもできる。さらに、複数の上述の構成要素は、必ずしもハードウェアとして実現される必要はないが、ソフトウェア構成要素として実現される場合もあることに留意されたい。複数の上述の構成要素は、
図2に概略的に示すように、共通のエンティティ内、又は1つの単一のエンティティ内にも含まれる場合もあり、すべてが別個のエンティティとして実現される必要はない。
【0046】
図3は、2D超音波画像150の列すなわち走査像15を概略的に示し、この列は、通常、超音波プローブ14が2D超音波画像150を周期的に取得するように、患者の関心領域にわたる方向155に超音波プローブ14を動かす超音波検査技師によって取得され、その結果、超音波検査技師は、関心のある身体容積の印象を得ることができ、身体容積のスライスは、それぞれの超音波画像150によって取得される。たとえば、女性患者の経膣走査の場合、2D超音波画像150の走査像15は、女性患者の卵巣151の少なくとも一部分の視覚化を提供し、この卵巣151は、通常、いくつかの卵胞152を含み、これらの卵胞152は、たとえば、暗領域、すなわち卵巣151の境界内の特定のピクセル値を有する領域として2D超音波画像150内に現れ、この境界は、たとえば、2D超音波画像150内の楕円体領域として認識される。
【0047】
本発明の例示的な実施形態では、2D超音波画像150は、各画像150がZ方向155に関連するラベル又はフレーム番号を有するように、プローブ14をZ方向155に動かすことによってXY平面内に取得され、それによって、XY平面内に2D画像150の列又はスタックをもたらす。しかし、本発明は、2D画像の列の処理に限定されないことを理解されたい。代替の実施形態では、超音波画像150の列15の最初の入力は、たとえば、非限定的な例としてフリーハンド3dアルゴリズムなどの既存の適切なアルゴリズムを使用して、3D容積画像を構成(レンダリング)するように処理され、この場合、Z方向15は、そのような容積画像のZ座標になり、以下により詳細に説明する本発明の実施形態によるさらなる処理は、容積画像上で実行される。
【0048】
先に説明したように、婦人科医、ソノロジストなどの臨床家は、たとえば、一般的に2~9mm又はそれより大きい平均直径を有する胞状卵胞を識別するために、7~25mmの平均直径を有する卵胞を識別するために、卵巣151内の卵胞152の数及びそのような卵胞の直径を決定するために走査像15を評価したい。他のサイズの標的卵胞は、当然、代替の検査の対象物である。排卵周期の間、1つ又は複数の卵胞152が成長する、すなわち直径が増加するとき、臨床家は、女性患者の受胎能の評価及び/又は女性患者の排卵周期の監視などの評価のためのいくつかの理由を有する。そのような卵巣刺激の間、複数の卵胞152が、回復され成長するが、そのような卵胞の成長速度は、通常、互いに異なる。卵胞152の数の進行及びそのそれぞれの成長速度は、受精の成功の機会を最大化するために女性患者の個々のニーズに治療体制を合わせるように臨床家によって使用される。臨床家は、子宮内膜までの厚さの変化をさらに監視することによって、そのような臨床家の所見を支持するが、そのような厚さの変化は、月経周期に相関し、女性患者内の関連のホルモンレベルのマーカとして使用することができ、それによって補助された生殖技術成功率に相関することがそれ自体よく知られている。
【0049】
以前は、卵胞サイズ監視を含むそのような卵巣評価は、通常、超音波検査技師が、ディスプレイ18上に表示される既に取得された2D超音波画像150によって提供された視覚的なフィードバックに基づいて、任意の方向に超音波プローブ14を動かすことによって最大の卵胞直径を示す2D超音波画像を取得しようと試みる手動プロセスであった。当業者によって諒解されるように、このプロセスは、高い度合のオペレータ間のばらつきを有する各卵胞のための試行錯誤的プロセスであり、その結果、信頼性の高い2D超音波データを一貫して取得するのが難しいことがしばしば証明され、このプロセスは、患者の評価及び監視に関して問題があり、2D超音波画像150の許容できる列又は有用な列を取得するために走査像15が数回反復される必要があるシナリオにおいて、患者にとって不快でストレスが多い場合がある。
【0050】
本発明の実施形態は、超音波画像処理装置10、すなわち超音波画像処理装置10のプロセッサ構成部が、経膣2D超音波走査像において取得された卵巣断面を自動的に評価し、そのユーザ、たとえば超音波検査技師又はソノロジスト若しくは婦人科医などの臨床家などに、走査像15における検出された候補卵胞152の概観を提供するように構成される、経膣2D超音波走査像を評価する自動化ソリューションを提供することによって、この問題に対処する。言い換えれば、超音波画像処理装置10は、方法200を実施するように構成され、そのフローチャートが、
図5に示される。
【0051】
この評価の自動化を容易にするために、超音波検査技師又は臨床家は、少なくとも1つの経膣走査像15を実行する必要があり、
図4に概略的に示すように、女性患者に対して経膣走査像15、15’の対を実行するのが好ましい。経膣走査像15、15’は、女性患者の関心領域にわたって超音波プローブ14が動かされる方向155、155’が、ほとんど直交するように、すなわち少なくともほぼ直交するように実行されるべきである。本出願のコンテキストでは、「少なくともほぼ直交する」と述べる場合、これは、走査像15、15’において取得された卵巣151又はその一部分の視野角の差を最大化するために、それぞれの方向155、155’の間の角度が70~110°の範囲内、好ましくは80~100°の範囲内、より好ましくは約90°であるシナリオをカバーすることが意図されることを理解されたい。たとえば、2D超音波画像150の走査像15は、前方から後方に実行され、水平走査像15とも呼ばれるが、2D超音波画像150’のさらなる走査像15’は、側方から中央方向に実行され、垂直走査像15’とも呼ばれる、これは、卵巣内の候補卵胞の方位に関わらず、卵巣151内の最大平均直径を有する候補卵胞152を識別するのを助ける。
【0052】
そのような直交走査像15を実行する具体的な利点は、その中の卵巣151及び候補卵胞152、152’が異なる角度の下で視覚化され、それによって、最大直径の卵胞が正しく識別され、その直径の正確な推定をより大きい確信を持って得ることができる機会を増大させることである。これは、
図4に概略的に示され、その中の卵巣151及び候補卵胞152、152’は、それぞれの走査像15、15’において異なる形状を有する。これは、たとえば、通常、楕円体構造とともに起こり、第1の走査像15は、楕円体構造の長軸及び短軸の一方にほぼ沿って実行されるが、第2の走査像15’は、楕円体構造の長軸及び短軸の他方に沿って実行される。どちらの軸をたどるかに応じて、楕円体構造の外観及びサイズは、走査像15、15’においてそれぞれ卵胞152及び152’の異なる形状によって象徴されるように、臨床家によって別々に認識される。しかし、本発明のいくつかの実施形態では、自動的な卵胞のカウント及びサイズ検出は、単一の走査像15が卵巣151内の所望の卵胞特性の十分正確な推定を既に提供したように、単一の走査像15において実行されることを理解されたい。
【0053】
データ記憶構成部60に少なくとも一時的に記憶される1つ又は複数の走査像15、15’を受信すると、超音波画像処理装置10は、方法200の開始201から、2D超音波画像150、150’の走査像15、15’の一方が自動評価のために選択される動作210に進む。選択された走査像は、続いて、概略の容積画像が、選択された走査像におけるそれぞれの2D超音波画像から構成される動作220において処理される。2D超音波画像の列からのそのような概略の容積画像の構成は、よく知られた技法であり、したがって、簡単にするためだけに、さらに詳細には説明しない。概略の容積画像は、続いて、概略の容積画像内の卵巣151及び卵巣151内のすべての候補卵胞152、152’の輪郭線を検出するために動作230において評価される。そのような検出は、たとえば、概略の容積画像内の卵巣の輪郭線、及び卵巣151内の候補卵胞152、152’である卵巣の輪郭線内の楕円体領域を検出するために楕円体識別アルゴリズムの展開を有する。概略の容積画像内の卵巣151及び卵巣151内の考えられる卵胞152のそのような検出のための他の適切なアルゴリズムは、たとえば、画像領域内の低強度領域を識別すること、及び識別された領域の各々に楕円体関数をフィッティングさせることによって、当業者にはすぐに明らかになるであろう。候補卵胞152の各々は、ラベルが候補卵胞152のさらなる処理における方法200によって利用される、方法200によってラベルを付けられる。
【0054】
次に、(ラベル付きの)候補卵胞152は、
図6に示すフローチャートの助けでより詳細に説明される動作240において分割される。サブ動作241において、特定のラベルに関連付けられた各領域のボクセルの総数又は容積は、ボクセルの総数又は容積に対応する考えられる卵胞152が偽陽性であるかどうかを決定するためにサブ動作242において識別され、容積しきい値と比較される。具体的には、ボクセルの総数又は容積が、定義された容積しきい値未満になる場合、そのラベルに関連付けられた考えられる卵胞152は、偽陽性と見なされ、卵胞152の後続の分割において無視される。
【0055】
真の候補卵胞と見なされる、すなわち定義された容積しきい値と少なくとも一致するボクセルの総数又は容積を有する卵胞152では、分割動作240は、
図7に概略的に示すように、真の卵胞セグメント152のシード点153が生成されるサブ動作243に進む。
図8は、そのようなシード点153の生成方法のより詳細なフローチャートである。動作301では、シード点生成アルゴリズムは、候補卵胞として分類されたラベルのリストを提供され、この動作は、2D超音波画像150(又は150’)の走査像15(又は15’)がそのアルゴリズムに提供される動作303に並列に又は連続的に実行される。動作305では、候補卵胞として分類されたラベルの各々に関して、対応する関連のラベルに関連付けられた最低のピクセル値が決定され、その後、動作307において、ラベルに関連付けられたこの最低のピクセル値を有するピクセルの最大数を含む2D超音波画像フレーム150が見つけられる。このフレームは、したがって、候補卵胞152のシード点153が含まれるフレームとして識別される。この識別された2D超音波画像フレーム150内の最低のピクセル値のピクセルの(X,Y)座標などのピクセル座標が得られ、これらのピクセル座標値のメジアン(平均値)は、卵胞152のシード点153の座標を取得するために動作309において決定される。このようにして、任意の適切な座標形式において表されるシード点のリストは、すべての真の考えられる卵胞152、すなわち決定された偽陽性を除外する卵胞に関して編集される。
【0056】
このように取得されたシード点153は、各関連の卵胞152が、
図9の助けでさらに詳細に説明するように、適応成長アルゴリズムを使用して、たとえば、XY、YZ、及びXZ「平面」において3次元で分割される、サブ動作244において使用されるが、
図9は、この分割アルゴリズムの例示的な一実施形態のフローチャートを示す。このサブ動作が2D画像150の列に関して実行される実施形態では、「Z」がXY平面内の画像フレームが取得された方向を識別することがここでは反復される。好ましい実施形態では、本発明の実施形態による超音波画像処理装置の最初の入力は、特定の方向155に走査される2D超音波フレーム150の列15である。この最初の入力は、「そのままで」使用されるか、又は、疑似3D容積を構成するために任意の知られた手法でさらに処理されるかのいずれかである。列15が「そのままで」使用されるとき、「Z」は、個々の画像フレームのフレーム番号であるが、Zは、疑似3D容積の場合には「Z」座標である。
【0057】
動作401においてシード点153によって識別される所与の候補卵胞152に関して、分割アルゴリズムは、動作403において、YZ平面などの、概略の容積画像の第1の画像平面を取得し、その後、この画像平面(概略の2Dスライス)は、以下により詳細に説明するように、動作405において処理される。これは、XZ平面などの、概略の容積画像の第2の画像平面が取得される動作407において反復され、その後、この画像平面(概略の2Dスライス)は、動作409、及び、XY平面などの、概略の容積画像の第3の画像平面が取得される動作411において処理され、その後、この画像平面(概略の2Dスライス)は、動作413において処理される。
【0058】
動作415では、XY平面内の画像の分割が成功したかどうかがチェックされる。これが当てはまらない場合、画像及び関連のリストは排除され、さらなる候補卵胞152及びその関連のシード点153がこの手法で処理されるかどうかが動作419においてチェックされる。これが当てはまらない場合、この方法は、動作401に戻り、次の候補卵胞152及びその関連のシード点153が、上述の処理のために呼び出される。他方で、動作415においてXY平面内の分割が成功したことが決定された場合、中実の卵胞セグメントを形成するために3つすべての平面の分割部分が動作417において組み合わされ、その後、以下にさらに詳細に説明するように、すべてのシード点153がこの手法で処理されると、この中実の卵胞セグメント及びその測定値は、動作480において超音波システム100のユーザに提示されるリストに加えられる。
【0059】
各分割部分では、シード点153は、分割動作の精度を増大させるために、卵胞分割部分の重心に再配置される。適応成長アルゴリズムの適用前に、画像ノイズを低減し、候補卵胞152、152’のその背景に対するコントラストを強調するために、ガウシアンフィルタ及び大津の2値化などの何らかのノイズフィルタリングが、概略の容積画像に適用される。
【0060】
画像処理動作405、409、及び413では、検査中に概略の容積画像スライスの分割部分を取得するために、適応領域成長アルゴリズムが適用される。そのような適応成長アルゴリズムは、たとえば、以下の式によるフォームファクタ(FF)条件によって規定される。
【数1】
【0061】
この方程式において、Aは分割部分内の卵胞面積(mm)であり、Pは分割部分内の卵胞の周長(mm)である。適応領域成長アルゴリズムは、たとえば、領域成長しきい値を使用してピクセル値範囲を反復的に増加させ、各反復の後、フォームファクタFFを計算する。フォームファクタFFが、定義されたフォームファクタしきい値よりも大きい値などの一定の最小値と仮定されると、3回以上の反復などの所定の数の反復を終えて、反復プロセスが終了し、その後、最終的な反復に適用された領域成長しきい値が、最後に卵胞152を分割するために使用される。
【0062】
このように取得された分割卵胞152は、分割卵胞152の境界を鮮明化するために、すなわちノイズを低減するために、モルフォロジーオープニング変換を受ける。それ自体よく知られているように、画像のモルフォロジーオープニング変換は、定義されたカーネルによってカバーされたすべてのピクセルの元の値が、「1」などの定義された値に等しい場合、これらのピクセルは、その元の値を保持し、そうでない場合、すべてのピクセルは、「0」などのさらなる値にまで収縮する収縮動作を含む。カーネルは、収縮動作を実行するために画像全体にわたって系統的に移動する。カーネルによって重ね合わされたすべてのピクセルの少なくとも1つが、定義された値を有する場合、これらのすべてのピクセルが定義された値を与えられる膨張動作が収縮動作に続く。モルフォロジー動作の後、変換された画像は、少なくとも1つのセグメントがシード点153を含むかどうかを確かめるためにチェックされる。そうでない場合、卵胞152は、サブ動作246において排除され、それ以外では、シード点を含む変換された卵胞セグメントは、候補卵胞152の平均直径を見つけるためにサブ動作245において、そのフォームファクタのさらなる決定を受ける。分割プロセスは、平面内の候補卵胞152の最大の卵胞直径を見つけるために、XY、YZ、及びXZ平面の各々におけるシード点に近い画像の組に関して反復される。卵胞152がXZ及びYZ平面内では分割されるが、XY平面内では分割されない場合、臨床家にとって、平均直径がXY平面に対応するので、その平均直径をその卵胞に関して見つけることができない。そのような場合、候補卵胞152も排除される。すべての真の卵胞152がこの手法で分割されたかどうかは、サブ動作247においてチェックされる。これが当てはまらない場合、分割動作は、サブ動作244に戻り、次の真の卵胞152が分割され、このプロセスは、すべての真の卵胞152がこの手法で分割されるまで反復され、その後、動作240は、サブ動作248において終了する。
【0063】
例示的な一実施形態では、候補卵胞の評価は、
図10に示すフローチャートに従って実行される。この方法は、上述のYZ平面、XZ平面、又はXY平面内のスライスなどの、呼び出された概略の画像容積スライスを受信することを含む、動作501で開始し、その後、上述の適応領域成長アルゴリズムが、動作503において、呼び出された概略の画像容積スライスに適用される。動作505では、候補卵胞が真の卵胞である可能性があるかどうかをチェックするために、計算されたフォームファクタが、定義された最小のフォームファクタに少なくとも一致するかどうかがチェックされる。これが当てはまらない場合、この方法は、動作507に進み、同じ平面内の隣接する概略の画像容積スライスは、分割され、その計算されたフォームファクタが、この定義された最小のフォームファクタに少なくとも一致するかどうかを決定するために、動作509において評価される。これがこれらのスライスにも当てはまらない場合、候補卵胞152及びそのシード点153は、動作511において排除される。他方で、動作505及び509のいずれでも、決定されたフォームファクタが、定義された最小のフォームファクタに少なくとも一致することが決定された場合、この方法は、動作513に進み、検査中の概略の容積スライスのいずれかの面上の25個の隣接するスライスなどの、同じ平面内の定義された数の隣接する画像容積スライスは、分割され、選択されたシード点153に基づいて概略の中実の卵胞セグメントを取得するために適応領域成長アルゴリズムを受け、その後、XY平面内の候補卵胞152の最大直径は、以下により詳細に説明するように、ユーザへの提示のために動作515において、分割されたフレームの組において識別される。
【0064】
任意で、シード点153からすべての卵胞セグメントを取得した後、卵胞セグメントの各々の間の重複が、計算され、任意の動作250において、定義された重複しきい値と比較される。具体的には、そのような隣接する卵胞セグメント間の重複面積が、定義された重複しきい値よりも大きい場合、より小さい最大平均直径を有する卵胞152は、それが重複する、より大きい最大平均直径を有する卵胞152の複製物と見なされ、この場合、より小さい最大平均直径を有する卵胞152は、評価結果から、及び動作230において生成されたラベルのリストから除去される。
【0065】
それぞれの許容できる分割卵胞152の結果的な決定された最大平均直径は、系統的な手法で、たとえば、最大平均直径を有する卵胞152がリストのトップにくるように降順で、又は代替として、最小平均直径を有する卵胞152がリストのトップにくるように昇順で列挙される。
【0066】
続いて、動作260において、2つの(ほぼ直交する)走査像15、15’が上述のように実行されたかどうかが決定される。単一の走査像のみが実行された場合、方法200は、動作280に進む。それ以外では、方法200は、次の(すなわち、第2の)走査が処理のために選択される動作210に戻る。両方の走査像15、15’がこの手法で処理された後、方法200は、任意の動作270に進み、たとえば、最大平均直径を有する有力な候補卵胞152を含む走査像を識別するために、決定された卵胞直径の編集されたリストを比較することによって、両方の走査像の評価結果が比較されるが、最大平均直径を有する有力な候補卵胞152を含むこの走査像は、続いて、臨床家又は超音波検査技師による評価のために使用される走査像として選択される。続いて、2つの(ほぼ直交する)走査像15、15’を取得する場合の任意の動作270における単一の走査像15又は選択された走査像の分割卵胞152の決定された最大平均直径は、たとえば、好ましくは降順の平均卵胞直径のリストなどの順序付けられたリストの形態でディスプレイ18上に分割卵胞152の決定された最大平均直径をその分割部分とともに表示することによって、動作280において臨床家又は超音波検査技師に提示され、その結果、臨床家又は超音波検査技師は、選択された走査像において有力な卵胞152の最大平均直径を容易に決定することができ、その後、方法200は、281において終了する。
【0067】
一実施形態では、卵胞の直径のリストは、たとえば、リスト内の項目の各々に関するハイパーリンクなどを含むことによって、ユーザが特定の卵胞を視覚化するのを容易にする。ユーザは、項目の各々をクリックすることによってハイパーリンクを有効にし、列挙された卵胞の直径が存在する2D超音波画像150を表示するようにディスプレイ18をトリガする。この画像は、選択された卵胞の最終的な分割部分と融合され、この融合は、たとえば、任意で直径などの分割された卵胞の測定結果を表示することによって補足された、たとえば異なる輝度及び/又は異なる色を使用したハイライトとして、表示された2D画像を分割結果と重ねることを有する。このようにして、臨床家は、関心のある卵胞セグメントの画像に容易に進むことができる。表示された結果の実施に関する多くの変形形態は、当然、本発明の教示から逸脱することがないものと見なされる。
【0068】
先に説明したように、臨床家又は超音波検査技師に評価結果を提示すると、方法200は、たとえば、さらなる評価(分割)のために新しいシード点153を追加するユーザによって、又は、たとえばユーザインターフェース20を使用して、たとえば、選択された走査像15、15’の2D超音波画像150、150’の評価後、卵胞が真の卵胞でないことをユーザが決定した、卵胞152のシード点153を除去することによって、評価結果の後処理をさらに容易にする。当業者には容易に理解されるように、そのような後処理は、たとえば、ユーザに識別された卵胞のユーザに指定されたシード点に続く卵胞の自動的な分割後、ユーザに識別された卵胞を含むために、又は、順序付けられたリストからユーザに識別された卵胞を除去するために、分割卵胞152の順序付けられたリストを並べ替えることをさらに有する。同様に、動作230において生成されたラベルマップ又はリストは、それに応じて調整される。
【0069】
一実施形態では、超音波画像処理装置10は、卵巣及び卵巣内の卵胞のすべてが、走査像において取得されないように、走査像が切り捨てられたかどうかをチェックする、又は、走査像15、15’の取得中に超音波プローブ14の伝播方向155若しくは155’をユーザが変更する意味で走査を回転させたかどうかをチェックするなど、走査像15、15’のスイープ品質をチェックするようにさらに構成される。そのような切り捨て又は回転を検出すると、超音波画像処理装置10は、超音波プローブ14のユーザが患者12の関心領域を再走査するのを容易にするために、たとえば、ディスプレイ18上に走査のスイープ品質のチェック又は評価の結果を生成する。評価の結果は、任意の適切な手法で提示され、たとえば、視覚的な又は可聴式の警告信号などの形態をとる。
【0070】
たとえば、走査像15、15’が切り捨てられたかどうかは、走査像内の卵胞のシード点153の位置の評価に基づいて決定される。具体的には、たとえば、卵胞セグメント内の境界ピクセルの数を決定し、この数を定義されたしきい値と比較することによって、概略の容積画像内で識別された卵胞セグメントのいずれかが、定義された境界ピクセルの最小数を有するかどうかがチェックされる。本出願のコンテキストでは、境界ピクセルは、2D超音波画像151又は151’内の画像背景と画像前景との間の境界のファシリティ内のピクセルである。卵胞セグメントのいずれかが、少なくともこの最小数の境界ピクセルを含む場合、この走査像は、切り捨てられたものとして分類される。
【0071】
代替として又はそれに加えて、走査像15、15’は、XZ平面及びYZ平面内の卵胞分割部分の平均楕円体変形テンソルに基づいて回転されたものとして分類される。具体的には、走査像は、卵胞が、これらの平面のいずれかにおいて細長く見える場合、回転されたものとして分類される。これは、たとえば、XY平面内の卵胞分割部分のフォームファクタを決定することによって決定される。XY平面内の卵胞分割部分が、その平面のしきい値よりも大きく、XZ平面及びYZ平面内の卵胞分割部分の平均楕円体変形テンソルのいずれかが、それらのそれぞれの平面に関して定義されたしきい値未満である場合、走査像は、回転されたものとして分類される。
【0072】
本発明の一態様によれば、超音波画像処理装置10のプロセッサ構成部上で実行されるとき、プロセッサ構成部10に、方法200の任意の実施形態を実施させる、具現化されたコンピュータ可読プログラム命令(コード)を有するコンピュータ可読記憶媒体を備える、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0073】
1つ又は複数のコンピュータ可読媒体の任意の組合せが利用される場合がある。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体又はコンピュータ可読記憶媒体である。コンピュータ可読記憶媒体は、たとえば、限定はされないが、電子の、磁気の、光の、電磁式の、赤外線の、若しくは半導体の、システム、装置、若しくはデバイス、又はそれらの任意の適切な組合せである。そのようなシステム、装置、又はデバイスは、任意の適切なネットワーク接続を介してアクセス可能であり、たとえば、これらのシステム、装置、又はデバイスは、ネットワークを介したコンピュータ可読プログラムコードの呼び出しのためにネットワークを介してアクセス可能である。そのようなネットワークは、たとえば、インターネット、モバイル通信ネットワークなどである。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(包括的でないリスト)には、1つ若しくは複数の配線を有する電気接続部、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、光記憶デバイス、磁気記憶デバイス、又はそれらの任意の適切な組合せが含まれる。本出願のコンテキストでは、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行のシステム、装置、若しくはデバイスによって、又はそれらと接続して使用するためのプログラムを含むか、又は記憶することができる任意の有形の媒体である。
【0074】
コンピュータ可読信号媒体には、たとえば、ベースバンド内で又は搬送波の一部分として具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有する伝播データ信号が含まれる。そのような伝播データ信号は、限定はされないが、電磁式、光学式、又はそれらの任意の適切な組合せを含む、様々な形態のいずれかをとる。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行のシステム、装置、若しくはデバイスによって、又はそれらと接続して使用するためのプログラムを通信し、伝播させ、又は搬送することができる任意のコンピュータ可読媒体である。
【0075】
コンピュータ可読媒体上に具現化されたプログラムコードは、限定はされないが、無線、有線、光ファイバケーブル、RFなど、又はそれらの任意の適切な組合せを含む、任意の適切な媒体を使用して送信される。
【0076】
プロセッサ構成部上での実行によって本発明の方法を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java(登録商標)、Smalltalk(登録商標)、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、及び、「C」プログラミング言語、又は同様のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つ若しくは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書き込まれる。プログラムコードは、アプリなどの独立型ソフトウェアパッケージとしてプロセッサ構成部上で完全に実行されるか、又は、一部はプロセッサ構成部上で、一部はリモートサーバ上で実行される。後者のシナリオでは、リモートサーバが、ローカルエリアネットワーク(LAN)若しくはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを通して超音波画像処理装置10に接続されるか、又は、たとえば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを通して外部のコンピュータへの接続が行われる。
【0077】
本発明の態様は、本発明の実施形態による、方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照しながら上述した。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、並びにフローチャート図及び/又はブロック図内のブロックの組合せは、コンピュータプログラム命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックに指定された機能/動作を実施するための手段を作成するように、超音波画像処理装置10のプロセッサ構成部上で全体的に又は部分的に実行されるコンピュータプログラム命令によって実施することができることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、超音波画像処理装置10に特定の方式で機能するように指示することができるコンピュータ可読媒体内にも記憶される。
【0078】
コンピュータプログラム命令は、プロセッサ構成部上で実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックに指定された機能/動作を実施するためのプロセスを提供するように、コンピュータで実施されるプロセスを生成するために、一連の動作ステップをプロセッサ構成部上で実行させるために、プロセッサ構成部上にロードされる。コンピュータプログラム製品は、超音波画像処理装置10の一部分を形成し、たとえば、超音波画像処理装置10上にインストールされる場合がある。
【0079】
上述の実施形態は、本発明を限定するのではなく、当業者が、添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく多くの代替の実施形態を設計することを可能にすることに留意されたい。特許請求の範囲では、丸括弧内に置かれた任意の参照符号は、クレームを限定するものと見なされるべきでない。単語「有する」は、クレーム内に列挙されたもの以外の要素又はステップの存在を除外しない。要素に先行する単語「1つ(a)」又は「1つ(an)」は、複数のそのような要素の存在を除外しない。本発明は、いくつかの異なる要素を備えるハードウェアによって実施することができる。いくつかの手段を列挙する装置のクレームでは、これらの手段のいくつかは、ハードウェアのまったく同一の部品によって具現化することができる。いくつかの手段が相互に異なる従属クレームに列挙されたという単なる事実は、利益を得るためにこれらの手段の組合せを使用することができないことを示していない。