(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】複合構造物を連続製造するためのシステム、プリントヘッド、および圧縮機
(51)【国際特許分類】
B29C 64/205 20170101AFI20220323BHJP
B29C 64/112 20170101ALI20220323BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20220323BHJP
B29C 64/241 20170101ALI20220323BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20220323BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220323BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220323BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20220323BHJP
【FI】
B29C64/205
B29C64/112
B29C64/209
B29C64/241
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
(21)【出願番号】P 2019552888
(86)(22)【出願日】2018-11-09
(86)【国際出願番号】 US2018060054
(87)【国際公開番号】W WO2019133115
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-10-08
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519444409
【氏名又は名称】コンティニュアス コンポジッツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】バッジ,トレバー デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,ケネス ライル
(72)【発明者】
【氏名】ハンブリング,コリン ヒュー
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-518267(JP,A)
【文献】特開2017-061139(JP,A)
【文献】特開2017-185770(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107379539(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0061282(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックスの供給量を保持するように構成されたマトリックスリザーバと、
前記マトリックスリザーバの端部に接続されたノズルと、
前記ノズルから吐出されている複合材料を硬化エネルギーに曝露するように構成された硬化エンハンサと、
前記ノズルと前記硬化エンハンサとの間に位置し、前記硬化エネルギーに曝露する前に前記複合材料を圧縮するように構成された圧縮機であって、
ハウジング、
転圧輪、及び
前記ハウジング内に配置され、前記転圧輪に軸力をかけるように構成された少なくとも1つのばね、
を含む、圧縮機と、
前記圧縮機の反対側の前記ノズルのリーディング側に
位置し、前記複合材料によって形成されている構造物の表面状態を示す信号を発生するように構成されたセンサと
を含む、付加製造システム用のプリントヘッド。
【請求項2】
前記ハウジングと前記転圧輪の間の距離を選択的に調整するように構成されたアクチュエータをさらに含む、請求項1に記載のプリントヘッド。
【請求項3】
前記転圧輪と前記硬化エンハンサとの間で、前記ハウジングに取り付けられたスクレーパをさらに含む、請求項1に記載のプリントヘッド。
【請求項4】
前記アクチュエータは前記信号に基づいて自動的に作動する、請求項2に記載のプリントヘッド。
【請求項5】
前記表面状態は、位置、向き、形状、大きさ、材料のタイプ、硬さ、量、および支持のタイプの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のプリントヘッド。
【請求項6】
前記センサは、ライダーセンサ、レーダーセンサ、カメラ、電流センサ、超音波センサ、赤外センサ、および立体光学式センサの1つである、請求項1に記載のプリントヘッド。
【請求項7】
複合構造物を付加製造するためのシステムであって、
マトリックスで少なくとも部分的にコーティングされた連続補強材を吐出するように構成されたノズルと、
吐出中に前記ノズルを移動させるように構成された支持体と、
前記ノズルと分離して、前記ノズルのトレーリング側に位置し、前記ノズルから吐出されている前記マトリックスでコーティングされた連続補強材に作用する圧縮力を変えるように調整可能である圧縮機と、
前記マトリックスを硬化エネルギーに曝露するように構成された硬化エンハンサと、
前記圧縮機の反対側の前記ノズルの
リーディング側に
位置し、前記複合構造物の表面特性を示す信号を発生するように構成されたセンサと、
前記信号に基づいて
前記圧縮機が前記圧縮力を変えるように前記圧縮機
を制御するように構成されたコントローラと
を含む、システム。
【請求項8】
前記表面状態は、位置、向き、形状、大きさ、材料のタイプ、硬さ、量、および支持のタイプの少なくとも1つを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記センサは、ライダーセンサ、レーダーセンサ、カメラ、電流センサ、超音波センサ、赤外センサ、および立体光学式センサの1つである、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記圧縮機は、
転圧輪と、
前記マトリックスでコーティングされた連続補強材に向かって前記転圧輪を付勢するばねと、
前記ばねの力を及ぼすように前記コントローラによって選択的に活性化されるアクチュエータと
を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
複合構造物を付加製造するためのシステムであって、
プリントヘッドと支持体とを含み、
前記プリントヘッドは、
マトリックスで少なくとも部分的にコーティングされた連続補強材を吐出するように構成された
ノズル、
前記ノズルと分離して、前記プリントヘッドに取り付けられ、前記
ノズルから吐出されている前記マトリックスでコーティングされた連続補強材に作用する圧縮力を変
えるように調整可能である圧縮機、
前記圧縮機の反対側の前記
ノズルのリーディング側に位置し、前記複合構造物の表面特性を示す信号を生成するように構成されたセンサ、および
前記信号に基づいて
前記圧縮機が前記圧縮力を変えるように前記圧縮機
を制御するように構成されたコントローラ、
を含
み、
前記支持体は、吐出中に前記プリントヘッドを移動させるように構成されている、
システム。
【請求項12】
前記プリントヘッドは、前記マトリックスを硬化エネルギーに曝露するように構成された硬化エンハンサをさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記硬化エンハンサは、前記圧縮機に続く位置で前記マトリックスを硬化エネルギーに曝露するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記プリントヘッドは、前記圧縮機と前記硬化エンハンサの間に取り付けられたスクレーパをさらに含む、請求項1
2に記載のシステム。
【請求項15】
前記信号は、前記複合構造物の支持されない領域を示し、
前記コントローラは、低圧縮力をかけるように前記圧縮機を応答的に調整するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記信号は、前記複合構造物の突出した領域を示し、
前記コントローラは、高圧縮力をかけるように前記圧縮機を応答的に調整するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記信号は、前記複合構造物の過剰な表面粗さを示し、
前記コントローラは、高圧縮力をかけるように前記圧縮機を応答的に調整するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記圧縮機と前記硬化エンハンサの間に取り付けられたスクレーパをさらに含む、請求項7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その内容が参照により本明細書に明示的に組み込まれる、2017年12月29日に出願された米国特許仮出願第62/611,922号に基づき、それからの優先権の利益を主張する。
【0002】
技術分野
本開示は、概して、製造システム、プリントヘッド、および圧縮機(compactor)に関し、より具体的には、付加製造プリントヘッドおよびシステムと共に使用するための圧縮機に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
押し出し製造は連続構造物を作るための既知のプロセスである。押し出し製造中、液体マトリックス(例えば、熱硬化性樹脂または加熱された熱可塑性樹脂)は、所望の断面形状および大きさを有する型を通して押される。材料は、型を出ると、最終形態に硬化(cure)して固まる(harden)。いくつかの適用例では、UV光および/または超音波振動が、型を出る時に液体マトリックスの硬化を加速するのに使用される。押し出し製造プロセスによって作られた構造は、直線的または曲線的なプロファイル、一貫した断面形状、およびなめらかな表面仕上げの、任意の連続長を有してよい。押し出し製造は、構造物を連続製造する効率的な方法であり得るが、結果として生じる構造物にはいくつかの用途に要求される強度が不足している場合がある。
【0004】
引き抜き製造は、高強度構造物を作るための既知のプロセスである。引き抜き製造中、個々の繊維ストランド、ストランドの組物、および/または織物は、液体マトリックス(例えば、熱硬化性樹脂または加熱された熱可塑性樹脂)をコーティングされるか、そうでなければ含浸され、液体マトリックスが最終形態に硬化して固まる固定型を通して引っ張られる。押し出し製造と同様に、いくつかの引き抜き適用例において、UV光および/または超音波振動が、型を出る時に液体マトリックスの硬化を加速するのに使用される。引き抜き製造プロセスによって作られた構造は、一体化繊維による増加した強度だけでなく、押し出し構造物と同一の特質の多くを有する。引き抜き製造は、高強度構造物の連続製造に使用され得るが、結果として生じる構造物にはいくつかの用途に要求される形態(形状、大きさ、精度、および/または表面テクスチャ)が不足している場合がある。加えて、従来の引き抜き製造には、硬化の精密制御、および製造中に複合材料中の材料を動的に変化させる能力が不足している場合がある。さらに、引き抜き構造物内に一体化された様々なパターンおよび形状が限定され、それにより結果として生じる構造物の利用可能な特性が限定される場合がある。
【0005】
連続繊維3Dプリンティング(別名、CF3D(商標))は、押し出しおよび引き抜き製造の欠点に取り組むために最近開発された。CF3Dは、移動可能なプリントヘッドから吐出するマトリックス内に組み込まれる連続繊維の使用を含む。マトリックスは、伝統的な熱可塑性樹脂、粉末金属、液体樹脂(例えば、UV硬化型および/もしくは二液型樹脂)、またはこれらおよび他の既知のマトリックスのいずれかの組み合わせとすることができる。プリントヘッドを出ると、ヘッドに取り付けられた硬化エンハンサ(cure enhancer)(例えば、UV光、超音波エミッタ、熱源、触媒供給等)が、マトリックスの硬化を開始しかつ/または完了させるために作動される。この硬化はほとんど即座に起こり、支持されない構造を自由空間内で作製することを可能にする。繊維、具体的には連続繊維が構造物内に組み込まれると、構造物の強度は、マトリックス依存の強度を超えて増加し得る。この技術の例が、2016年12月6日にTYLERに発行された、米国特許第9,511,543号で開示されている。
【0006】
CF3D(商標)は、連続繊維補強材を利用しない製造プロセスと比較して増加した強度を提供するが、構造物および/または既存のシステムの動作に改善がなされ得る。開示される付加製造システムおよびプリントヘッドは、これらの改善を提供し、かつ/または先行技術の他の課題に取り組むように独自に構成される。
【0007】
開示されるシステムは、上で説明された問題および/または先行技術の他の問題の1つまたは複数に取り組むことを対象にする。
【発明の概要】
【0008】
一態様では、本開示は、付加製造プリントヘッドと共に使用するための圧縮機を対象とする。圧縮機は、付加製造プリントヘッドに接続可能なハウジングを含んでよい。圧縮機は、転圧輪、およびハウジング内に配置され、転圧輪に軸力をかけるように構成された少なくとも1つのばねも含んでよい。圧縮機は、ハウジングと転圧輪との間の距離を調整するように移動可能なピストンをさらに含んでよい。
【0009】
別の態様では、本開示は、付加製造システム用のプリントヘッドを対象とする。プリントヘッドは、マトリックスの供給量を保持するように構成されたマトリックスリザーバ、およびマトリックスリザーバの端部に接続されたノズルを含んでよい。プリントヘッドは、ノズルから吐出されている複合材料を硬化エネルギーに曝露するように構成された硬化エンハンサ、およびノズルと硬化エンハンサとの間に位置する圧縮機も含んでよい。圧縮機は、硬化エネルギーに曝露する前に複合材料を圧縮する(compact)ように構成されてよい。圧縮機は、ハウジング、転圧輪、およびハウジング内に配置され、転圧輪に軸力をかけるように構成された少なくとも1つのばねを有してよい。圧縮機は、ハウジングと転圧輪との間の距離を調整するように移動可能なピストンも有してよい。
【0010】
別の態様では、本開示は、複合構造物を付加製造するためのシステムを対象とする。システムは、マトリックスで少なくとも部分的にコーティングされた連続補強材を吐出するように構成されたノズル、吐出中にノズルを移動させるように構成された支持体、およびノズルに動作可能に接続され、ノズルからのマトリックスコーティング補強材吐出にかかる圧縮力を変えるように調整可能である圧縮機を含んでよい。システムは、マトリックスを硬化エネルギーに曝露するように構成された硬化エンハンサ、および圧縮機と硬化エンハンサとの間に取り付けられたスクレーパも含んでよい。システムは、圧縮機の反対側のノズルの側に取り付けられ、複合構造物の表面特性を示す信号を発生させるように構成されたセンサ、および信号に基づいて圧縮機の調整を選択的に引き起こすように構成されたコントローラをさらに含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】例示的な開示された付加製造システムの概略図である。
【
図2】
図2および
図3は、
図1のシステムと併せて使用されてよい例示的な開示されたプリントヘッドの、それぞれ側面および端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、例示的なシステム10を示し、これは任意の所望の断面形状(例えば、円形、長方形、または多角形)を有する複合構造物12の連続製造に使用されてよい。システム10は、少なくとも支持体14およびヘッド16を含んでよい。ヘッド16は、支持体14に結合され、支持体14によって移動されてよい。
図1の開示された実施形態では、支持体14は、結果として生じる構造物12の長手方向軸(例えば、軌跡)が3次元となるように、構造物12の作製中にヘッド16を複数の方向に移動させることができるロボットアームである。あるいは、支持体14は、構造物12の作製中にヘッド16を複数の方向に移動させることもできるオーバーヘッドガントリまたはハイブリッドガントリ/アームを取り入れてよい。支持体14は6軸移動が可能なように示されているが、同一または異なる方法でヘッド16を移動させることができる任意の他のタイプの支持体14も利用され得ると考えられる。いくつかの実施形態では、駆動装置はヘッド16を支持体14に機械的に結合してよく、ヘッド16の部分を移動させ、および/またはヘッド16に動力を供給するように協働する構成要素を含んでよい。
【0013】
ヘッド16は、マトリックス材料を受け取り、または他の形で含有するように構成されてよい。マトリックス材料は、任意のタイプの硬化性のマトリックス材料(例えば、ゼロ揮発性有機化合物樹脂のような液体樹脂、粉末金属等)を含んでよい。例示的な樹脂としては、熱硬化性樹脂、単一成分または多成分エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、カチオン性エポキシ、アクリル化エポキシ、ウレタン、エステル、熱可塑性樹脂、フォトポリマー、ポリエポキシド、チオール、アルケン、チオール-エン等が挙げられる。一実施形態では、ヘッド16の内部のマトリックス材料は、例えば、対応する導管(図示せず)を介してヘッド16に流体接続した外部装置(例えば、押し出し機または別のタイプのポンプ(図示せず))によって加圧されてよい。しかしながら、別の実施形態では、圧力を、同様のタイプの装置によって完全にヘッド16の内部で発生させてよい。さらに他の実施形態では、マトリックス材料は、ヘッド16中におよび/またはヘッド16中を通して重力供給されてよい。例えば、マトリックス材料は、ヘッド16中に供給され、1つまたは複数の連続補強材と共にヘッド16から押されるかまたは引っ張られてよい。ある場合には、早すぎる硬化を抑制するか、そうでなければ吐出後に所望の硬化速度を得るために、ヘッド16の内部のマトリックス材料を冷たくおよび/または暗く保つ必要があることがある。他の場合では、同様の理由で、マトリックス材料を温かく保つ必要があることがある。いずれの状況でも、ヘッド16は、これらの必要に備えるように特別に構成(例えば、絶縁、温度制御、遮蔽等)されてよい。
【0014】
マトリックス材料は、任意の数の連続補強材(例えば、連続材料の別個の繊維、トウ、ロービング、ソックス、および/またはシート)をコーティングし、補強材と共に、複合構造物12の一部(例えば、壁)を作り上げるのに使用されてよい。補強材は、ヘッド16内に(例えば、1つまたは複数の別個の内部スプール(図示せず)上に)格納され、または他の形でヘッド16を通過(例えば、1つまたは複数の外部スプール17(
図2にのみ示す)から供給される)してよい。複数の補強材が同時に使用される場合、補強材は同一の材料組成のものであり、同一の大きさおよび断面形状(例えば、円形、正方形、長方形等)を有してよく、または異なる大きさおよび/もしくは断面形状を有する異なる材料組成のものであってよい。補強材としては、例えば、炭素繊維、植物繊維、木質繊維、鉱物繊維、ガラス繊維、金属ワイヤ、オプティカルチューブ等が挙げられ得る。用語「補強材」は、ヘッド16からのマトリックス材料吐出に少なくとも部分的に包み込まれる、構造タイプおよび非構造タイプの両方の連続材料を包含することが意図されていることに留意されたい。
【0015】
補強材は、補強材がヘッド16の内部にある間、補強材がヘッド16に渡されている間、および/または補強材がヘッド16から吐出されている間に、マトリックス材料に曝露され(例えば、これによって少なくとも部分的にコーティングされ)てよい。マトリックス材料、乾燥補強材、および/または既にマトリックス材料に曝露された補強材は、当業者に明白な任意の方法でヘッド16中に輸送されてよい。いくつかの実施形態では、マトリックス材料が連続補強材をコーティングする前および/または後に、フィラー材料(例えば、チョップド繊維)がマトリックス材料と混合されてよい。
【0016】
1つまたは複数の硬化エンハンサ(例えば、UV光、超音波エミッタ、レーザ、ヒータ、触媒ディスペンサ等)18は、ヘッド16に近接して(例えば、その中、その上、またはそれに隣接して)取り付けられ、マトリックス材料がヘッド16から吐出される時のマトリックス材料の硬化速度および/または品質を高めるように構成されてよい。各硬化エンハンサ18は、構造物12の形成中に構造物12の一部をエネルギー(例えば、UV光、電磁放射、振動、熱、化学触媒等)に選択的に曝露するように制御されてよい。エネルギーは、マトリックスがヘッド16から吐出する時に、マトリックス材料内で起こる化学反応の速度を高め、材料を焼結し、材料を固め、または他の形で材料を硬化させてよい。図示された実施形態では、硬化エンハンサ18は、ヘッド16の中心軸の回りに均等に分散された複数のLED(例えば、6つの異なるLED)を含む。しかしながら、その代わりに、任意の数のLEDまたは他のエネルギー源が、開示された目的のために利用され、かつ/または別の方法で配置され(例えば、不均等に分散される)得ることが考えられる。硬化エンハンサ18によって生成されるエネルギーの量は、構造物12がヘッド16から所定の長さを超えて軸方向に成長する前にマトリックス材料を硬化させるのに十分なものとすることができる。一実施形態では、構造物12は、軸方向成長の長さがマトリックスコーティング補強材の外径と等しくなる前に完全に硬化される。別の実施形態では、構造物12の外殻のみが、軸方向成長の長さがマトリックスコーティング補強材の外径と等しくなる前に硬化される。
【0017】
マトリックス材料および/または補強材は、少なくとも2つの異なる動作モードを介してヘッド16から吐出されてよい。第1の動作モードでは、マトリックス材料および/または補強材は、構造物12の長手方向軸内の3次元の軌跡を作成するためにヘッド16が支持体14によって移動されながら、ヘッド16から押し出される(例えば、圧力および/または機械的力の下で押される)。第2の動作モードでは、吐出中に補強材に引張応力が生じるように、少なくとも補強材はヘッド16から引っ張られる。この動作モードでは、マトリックス材料は補強材にくっつき、それにより補強材と共にヘッド16から引っ張られてもよく、かつ/またはマトリックス材料は、引っ張られた補強材と共に圧力下でヘッド16から吐出されてよい。マトリックス材料が補強材と共にヘッド16から引っ張られている、第2の動作モードでは、補強材に結果として生じる張力は、(例えば、補強材を整列させる、バックリングを抑制する、マトリックスを圧縮する、分散された補強材充填を確実にすること等によって)構造物12の強度を増加させると同時に、支持されない構造物12のより大きい長さがより直線的な軌跡を有することも可能にしてよい。すなわち、マトリックス材料の硬化後に残っている、補強材内の張力は、重力に反して作用して(例えば、直接および/または間接的に、重力に逆らうモーメントを生じる)構造物12に支持を提供してよい。
【0018】
補強材は、ヘッド16がアンカーポイント20から離れて移動することの結果として、ヘッド16から引っ張られてよい。具体的には、構造形成の始めに、吐出された材料がアンカーポイント20に付着する(または他の形で結合する)ように、ある長さの、マトリックスを含浸された補強材が、ヘッド16から引っ張られかつ/または押され、アンカーポイント20に堆積され、硬化されてよい。その後、ヘッド16はアンカーポイント20から離れて移動されてよく、この相対移動は、補強材がヘッド16から引っ張られることを引き起こしてよい。望まれる場合、ヘッド16を通る補強材の移動を支援する(例えば、内部ヘッド機構を介して)ことができることに留意されたい。しかしながら、ヘッド16からの補強材の吐出速度は、主に、張力が補強材内に生じるようにする、ヘッド16とアンカーポイント20との間の相対移動の結果であってよい。ヘッド16がアンカーポイント20から離れて移動されることの代わりにまたはこれに加えて、アンカーポイント20をヘッド16から離れて移動させることができると考えられる。
【0019】
コントローラ22が設けられ、支持体14、ヘッド16、および任意の数の硬化エンハンサ18と通信可能に結合されてよい。各コントローラ22は、システム10の動作を制御するように構成される単一のプロセッサまたは複数のプロセッサを取り入れてよい。コントローラ22は、1つまたは複数の、汎用または専用プロセッサまたはマイクロプロセッサを含んでよい。コントローラ22は、例えば、設計限界、性能特性、動作命令、ツールパス、およびシステム10の各構成要素の対応するパラメータのようなデータを記憶するためのメモリをさらに含むか、またはこれと関連付けられてよい。電源回路、信号調整回路、ソレノイド駆動回路、通信回路、および他の適切な回路を含む、様々な他の既知の回路がコントローラ22と関連付けられてよい。さらに、コントローラ22は、有線および/または無線伝送を介してシステム10の他の構成要素と通信することができてよい。
【0020】
1つまたは複数のマップがコントローラ22のメモリに記憶され、構造物12の作製中に使用されてよい。これらのマップの各々は、ルックアップテーブル、グラフ、および/または方程式の形態のデータの収集を含んでよい。開示された実施形態では、マップは、構造物12の所望の大きさ、形状、および/または輪郭を作るのに要求されるヘッド16の移動を決定し、移動と連携して硬化エンハンサ18(および/またはシステム10の他の構成要素)の動作を調節するために、コントローラ22によって使用されてよい。
【0021】
例示的なヘッド16を
図2に詳細に開示する。とりわけ、ヘッド16は、マトリックスリザーバ24、およびマトリックスリザーバ24に取り外し可能に接続されかつ流体接続したノズル26を含んでよい。この例では、ノズル26は、略円形の断面を有する複合材料を吐出するように構成されたシングルパスノズルである。しかしながら、ヘッド16の構成は、ノズル26を、異なる形状(例えば、管状断面、線形断面、長方形断面、三角形断面等)を有する複合材料を吐出する別のノズル(図示せず)に交換することを可能にしてよい。
【0022】
ヘッド16は硬化エンハンサ(複数可)18に加えて、マトリックスリザーバ24、およびノズル26、圧縮機36を含んでよい。圧縮機36は、マトリックスコーティング補強材を、ノズル26からの吐出後ならびに硬化エンハンサ(複数可)18による硬化前(および/または硬化中)に圧縮するように構成されてよい。
【0023】
圧縮機36は、ばね40を介してマトリックスコーティング補強材に対して付勢される転圧輪38を含んでよい。ばね40はハウジング42内に配置され、ハウジング42内に少なくとも部分的に伸びる1つまたは複数のピストン44を介して転圧輪38に軸力をかけるように構成されてよい。開示された実施形態では、転圧輪38は、各対向する端部に位置する1つのピストン44を有する、略円筒形である。各ピストン44は、対応する軸受46を介して転圧輪38に接続されてよい。
【0024】
開示された実施形態では、ばね20によって転圧輪38(および続いて構造物12)にかけられる圧縮力は可変である。例えば、ピストン44は、ばね40と転圧輪38との間で測定される、調整可能な有効長Leを有してよい。開示された例では、Leは、軸受46とピストン44の螺合によって調整可能である。具体的には、ピストン44は、軸受46から(関連する軸受ハウジングから)緩められてLeを長くしてよい。反対に、ピストン44は、軸受46中にさらにねじ込まれてLeを短くしてよい。Leが長くなると、ばね40はより大きい量で圧縮されてよく、結果として、湿潤補強材に対して転圧輪38をより強く押す付勢力がより大きくなる。Leが短くなると、ばね40はより小さい量で圧縮されてよく、結果として、湿潤補強材に対して転圧輪38をより強く押す付勢力がより小さくなる。所望により、ピストン44は、手動または自動で(例えば、任意選択のモータ48のような、関連するアクチュエータ介して)回され(ねじ込まれもしくは緩められ)てよい。
【0025】
望まれる場合、他のタイプおよびまたは配置のアクチュエータ(例えば、油圧アクチュエータ、ソレノイド等)が、Leを自動調整するのに使用されてよいと考えられる。例えば、同一または追加のねじ式ピストン44は、ハウジング42内の、ばね40の対向する端部に位置する。これらのピストンは、ばね40を、ハウジング42から転圧輪38に向かって選択的に押すように機能することになる。
【0026】
いくつかの適用例では、硬化または部分的に硬化されたマトリックス材料が転圧輪38上に蓄積する可能性があり得る。この理由で、これらの適用例では、スクレーパ50が圧縮機36に取り付けられてよい。スクレーパ50は、転圧輪38に隣接して(例えば、接線方向に)位置するチゼル先端52を有する、ブレードを取り入れてよい。チゼル先端52の位置は、(例えば、ノズル26の軸に関して軸方向および/または半径方向に)調整可能であり、それにより転圧輪38上の蓄積の許容される厚さを変えてよい。図示された例では、この位置は、1つまたは複数の位置決めねじ54によって手動で変えられる。しかしながら、調整の他の手動および/または自動手段が利用可能であってよいと考えられる。望まれる場合、樹脂が転圧輪38上に最初に蓄積するのを低減または抑制するために、スクレーパ50を、遮光体またはワイパで強化しまたは置き換えることができるとも考えられる。
【0027】
いくつかの実施形態では、圧縮機36の圧縮力は、ヘッド16のリーディングエッジ(例えば、ヘッド16の進行方向に対して)で検出される構造物12のパラメータに基づいて、(例えばLeの調整を介して)自動で調整可能であってよい。パラメータは、1つまたは複数のセンサ56を介して検出されてよい。センサ56は、複合表面のパラメータを検出するための、当該技術分野で既知の任意のタイプのセンサであってよい。パラメータとしては、例えば、位置、向き、形状、大きさ、材料のタイプ、硬さ、量、ヘッド16の反対側の支持のタイプ等が挙げられ得る。開示された実施形態では、センサ56は、ライダーおよびレーダーセンサの1つである。しかしながら、構造物12のパラメータを検出し、対応する信号を発生させるために、別のタイプのセンサ(例えば、カメラ、電流センサ、超音波センサ、赤外センサ、および立体光学式センサ等)を追加で、または代わりに利用できると考えられる。信号はコントローラ22に送られてよく、これに応じて、Le、および構造物12のあらかじめ検出された領域上を転圧輪38が移動する時に転圧輪38によってかけられる関連した圧縮力を調整するための対応するコマンドを発生させてよい。
【0028】
例えば、構造物12の繊細な(小径かつ脆い)、かつ/または支持されない領域が検出されると、これに応じて、コントローラ22はLeを減少させてよい。別の例では、突出または過剰な表面粗さが検出されると、これに応じて、コントローラ22はLeを増加させてよい。
【0029】
産業上の利用可能性
開示されたシステムおよびプリントヘッドは、任意の所望の断面形状および長さを有する複合構造物の連続製造に使用されてよい。複合混合物は、同一または異なるタイプおよび同一または異なる直径である任意の数の異なる繊維、ならびに同一または異なる構成である任意の数の異なるマトリックスを含んでよい。ここで、システム10の動作を以下に詳細に記載する。
【0030】
製造イベントの開始時に、所望の構造物12に関する情報がシステム10に(例えば、支持体14および/またはヘッド16の動作の調節に関与するコントローラ22に)ロードされてよい。この情報としては、とりわけ、大きさ(例えば、直径、肉厚、長さ等)、輪郭(例えば、軌跡)、表面特徴(例えば、リッジの大きさ、位置、厚さ、長さ、フランジの大きさ、位置、厚さ、長さ等)、接続の幾何配置(例えば、結合、ティー、接合等の位置および大きさ)、所望の織り柄、織り方が移り変わる位置等が挙げられ得る。望まれる場合、この情報は、代わりにまたは追加で、製造イベント中の異なる時間に、および/または連続して、システム10にロードされることに留意されたい。構成要素情報に基づいて、1つまたは複数の、異なる補強材および/またはマトリックス材料が、システム10に選択的に導入および/または連続的に供給されてよい。
【0031】
補強材を導入するために、個々の繊維、トウ、および/またはリボンはマトリックスリザーバ24およびノズル26を通過してよい。いくつかの実施形態では、補強材は、引っ張り機械(図示せず)および/または取り付け固定具(例えば、アンカーポイント20)に接続される必要がある場合もある。マトリックス材料の導入は、充填ヘッド16(例えば、リザーバ24)および/または押し出し機(図示せず)のヘッド16への結合を含んでよい。
【0032】
構成要素情報は、その後、システム10の動作の制御に使用されてよい。例えば、補強材はヘッド16からマトリックス材料と共に引っ張られかつ/または押されてよい。支持体14は、結果として生じる構造物12の軸が所望の3次元軌跡をたどるように、所望の方法でヘッド16および/またはアンカーポイント20を選択的に移動させてもよい。硬化エンハンサ18は、所望の硬化条件を提供するために動作中に調整されてよい。構造物12が所望の長さに成長したら、構造物12はシステム10から切り離されてよい。
【0033】
ヘッド16の動作中、コントローラは、作製されている構造物12の表面を連続的にまたは定期的に監視してよい。例えば、コントローラ22は、センサ(複数可)56からの信号によって表されるような表面特性(例えば、大きさ、形状、位置、粗さ、圧縮等)を所望の特性と比較してよい。コントローラ22は、その後、比較に基づいて(例えば、モータ48の作動を介して)、Leを選択的に調整してよい。
【0034】
開示されたシステムおよびプリントヘッドに対する様々な変更および変形形態を作ることができることが、当業者には明白になる。他の実施形態は、本明細書の検討と開示されたシステムおよびプリントヘッドの実践とから当業者に明白になる。本明細書および例は例示的であるのみと見なされ、真の範囲は以下の特許請求の範囲およびその均等物によって示されることが意図されている。