(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】強化されたエラストマー及び統合電極を含む誘電複合体
(51)【国際特許分類】
H02N 11/00 20060101AFI20220323BHJP
B32B 7/025 20190101ALI20220323BHJP
B32B 5/18 20060101ALI20220323BHJP
B32B 25/00 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
H02N11/00 Z
B32B7/025
B32B5/18 101
B32B25/00
(21)【出願番号】P 2019554544
(86)(22)【出願日】2018-04-04
(86)【国際出願番号】 EP2018058643
(87)【国際公開番号】W WO2018185183
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2019-11-20
(32)【優先日】2017-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391018178
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ,ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア デルンヘーファー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル リットマン
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ザイベルト
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ツァグル
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-113544(JP,A)
【文献】特開昭62-100539(JP,A)
【文献】特表2016-505693(JP,A)
【文献】特表2014-515704(JP,A)
【文献】特開2008-251833(JP,A)
【文献】特開2012-065426(JP,A)
【文献】特開2008-277729(JP,A)
【文献】国際公開第2014/119166(WO,A1)
【文献】特開2013-201798(JP,A)
【文献】特開2015-122935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 11/00
B32B 7/025
B32B 5/18
B32B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マクロ構造化された折り目及び/又はマイクロ折り畳みフィブリルを含む圧縮された多孔質膜、
前記圧縮された多孔質膜に少なくとも部分的に侵入しているエラストマー材料を含むエラストマー層、及び、
前記エラストマー層上に配置された導電性材料、
を含む、誘電複合体。
【請求項2】
マクロ構造化された折り目及び/又はマイクロ折り畳みフィブリルを含む圧縮された多孔質膜、
前記圧縮された多孔質膜上に配置された導電性材料、及び、
前記導電性材料を取り囲み、前記圧縮された多孔質膜に少なくとも部分的に侵入しているエラストマー材料、
を含む、誘電複合体。
【請求項3】
前記誘電複合体
は170μm未満の総厚を有する、請求項1又は2記載の複合体。
【請求項4】
前記圧縮された多孔質膜は横方向に圧縮されているか、機械方向に圧縮されているか、又は、横方向及び機械方向の両方に圧縮されている、請求項1~3のいずれか1項記載の複合体。
【請求項5】
前記エラストマー材料はシリコーン、フルオロシリコーン、フルオロエラストマー、ポリウレタン、ニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム、ブチルゴム及びアクリルから選ばれる要素を含む、請求項1~4のいずれか1項記載の複合体。
【請求項6】
前記導電性材料は導電性金属、導電性ポリマー、導電性インク、カーボンブラック粒子、グラファイト粒子及びそれらの組み合わせから選ばれる要素を含む、請求項1~5のいずれか1項記載の複合体。
【請求項7】
前記エラストマー材料
は0.1μm
~100μmの厚さを有し、前記導電性材料
は1nm
~20μmの厚さを有し、そして前記圧縮された多孔質膜
は0.1μm
~50μmの厚さを有する、請求項1~6のいずれか1項記載の複合体。
【請求項8】
前記圧縮された多孔質膜は圧縮された延伸ポリテトラフルオロエチレン膜を含む、請求項1~7のいずれか1項記載の複合体。
【請求項9】
前記圧縮された多孔質膜は延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜、延伸変性PTFE膜、PTFEの延伸コポリマー、発泡ポリエチレン膜、多孔質ポリプロピレン膜、電界紡糸ナノファイバ膜及びそれらの組み合わせを含む、請求項1~8のいずれか1項記載の複合体。
【請求項10】
スタック構成である、請求項1~9のいずれか1項記載の複合体。
【請求項11】
巻回構成である、請求項1~10のいずれか1項記載の複合体。
【請求項12】
マクロ構造化された折り目及び/又はマイクロ折り畳みフィブリルを含む、第一の面及び第二の面を有する圧縮された多孔質膜、
前記圧縮された多孔質膜の前記第一の面の上に配置された第一のエラストマー材料、
前記圧縮された多孔質膜の前記第二の面の上に配置された第二のエラストマー材料、
前記圧縮された多孔質膜とは反対側で前記第一のエラストマー
材料の上に配置された第一の導電性材料、及び、
前記圧縮された多孔質膜とは反対側で前記第二のエラストマー
材料の上に配置された第二の導電性材料、
を含む、誘電複合体。
【請求項13】
前記誘電複合体
は170μm未満の厚さを有する、請求項12記載の複合体。
【請求項14】
前記圧縮された多孔質膜は横方向に圧縮されているか、機械方向に圧縮されているか、又は、機械方向及び横方向の両方に圧縮されている、請求項12又は13記載の複合体。
【請求項15】
前記第一及び第二のエラストマー材料はシリコーン、フルオロシリコーン、ポリウレタン、ニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム、ブチルゴム及びアクリルから選ばれる要素を含む、請求項12~14のいずれか1項記載の複合体。
【請求項16】
前記第一及び第二の導電性材料は導電性金属、導電性ポリマー、導電性インク、カーボンブラック粒子、グラファイト粒子及びそれらの組み合わせから選ばれる要素を含む、請求項12~15のいずれか1項記載の複合体。
【請求項17】
前記第一及び第二のエラストマー材料のそれぞれは
、0.1μm
~100μmの厚さを有し、前記第一及び第二の導電性材料のそれぞれは
、1nm
~20μmの厚さを有し、前記圧縮された多孔質膜は
、0.1μm
~50μmの厚さを有する、請求項12~16のいずれか1項記載の複合体。
【請求項18】
前記圧縮された多孔質膜は圧縮された延伸ポリテトラフルオロエチレン膜を含む、請求項12~17のいずれか1項記載の複合体。
【請求項19】
前記圧縮された多孔質膜は延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜、延伸変性PTFE膜、PTFEの延伸コポリマー、発泡ポリエチレン膜、多孔質ポリプロピレン膜、電界紡糸ナノファイバ膜及びそれらの組み合わせを含む、請求項12~18のいずれか1項記載の複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、一般に、誘電複合体に関し、より具体的には、統合電極、エラストマー材料及び保持可能な処理層を有する誘電エラストマー複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
誘電エラストマーアクチュエータ(DEA)は様々な用途に可能性を有する。しかしながら、信頼性の高い製品を商業的に生産することができる前に克服する必要がある技術的課題が残っている。1つの課題は、電圧が2000ボルトよりも有意に低い又は600ボルトよりもさらに低い電圧で駆動されるDEA用途のための薄いエラストマーフィルム(100μm以下)を製造することである。このような電圧を達成するために、50μm未満の厚さのエラストマーフィルムを欠陥なく確実に作成し、そして下流で取り扱いできる必要がある。そのようなエラストマーは、典型的には製造が難しく、ロールツーロール処理での取り扱いが容易ではない。そのようなものとして、これらの材料は、あまり望ましくないバッチ処理技術の使用を必要とする場合がある。
【0003】
薄く、強力であり、そして連続ロールツーロール処理に関連する技術を使用した製造に適した誘電エラストマー複合体は依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
概要
1つの実施形態は、圧縮された多孔質膜、該圧縮された多孔質膜に少なくとも部分的に侵入するエラストマー材料及び該エラストマー材料上に配置された導電性材料を含む誘電エラストマー複合体に関する。この誘電複合体は厚さが約170μm未満である。幾つかの実施形態において、圧縮された多孔質膜は横方向に圧縮されても、機械方向に圧縮されても、又は順次に又は同時に両方向に圧縮されてもよい。例示的な実施形態において、圧縮された多孔質膜は、圧縮されたフルオロポリマー膜(例えば、圧縮された延伸ポリテトラフルオロエチレン膜)である。エラストマー材料は約0.1μm~約100μmの厚さを有することができ、導電性材料は約1nm~約20μmの厚さを有することができ、そして圧縮された多孔質膜は約0.1μm~約50μmの厚さを有することができる。幾つかの実施形態において、誘電複合体はスタック構成又は巻回構成を有することができる。
【0005】
別の実施形態は、圧縮された多孔質膜、該圧縮された多孔質膜上に配置された導電性材料、及び、エラストマー材料を含む誘電エラストマー複合体に関する。エラストマー材料は導電性材料を取り囲み、圧縮された多孔質膜に少なくとも部分的に侵入している。圧縮された多孔質膜は圧縮されたフルオロポリマー膜であることができる。多孔質膜は横方向に圧縮されても、機械方向に圧縮されても又は順次に又は同時に両方の方向に圧縮されてもよい。幾つかの実施形態において、圧縮された多孔質膜は圧縮された延伸ポリテトラフルオロエチレン膜である。エラストマー材料は約0.1μm~約100μmの厚さを有することができ、導電性材料は約1nm~約20μmの厚さを有することができ、そして圧縮された多孔質膜は約0.1μm~約50μmの厚さを有することができる。誘電複合体は厚さが約170μm未満であることができる。幾つかの実施形態において、誘電複合体はスタック構成又は巻回構成を有することができる。
【0006】
さらなる実施形態は、第一のエラストマー材料、第二のエラストマー材料及びそれらの間に挟まれた圧縮された多孔質膜を含む誘電エラストマー複合体に関する。第一の導電性材料及び第二の導電性材料は、それぞれ第一及び第二のエラストマー材料上に配置される。圧縮された多孔質膜は圧縮されたフルオロポリマー膜であることができる。幾つかの実施形態において、圧縮された多孔質膜は圧縮された延伸ポリテトラフルオロエチレン膜である。圧縮された多孔質膜は横方向に圧縮されても、機械方向に圧縮されても又は順次に又は同時に両方の方向に圧縮されてもよい。第一及び第二のエラストマー材料はそれぞれ約0.1μm~約100μmの厚さを有し、第一及び第二の導電性材料はそれぞれ約1nm~約20μmの厚さを有することができ、圧縮された多孔質膜は約0.1μm~約50μmの厚さを有することができる。誘電エラストマー複合体は約170μm未満の厚さを有することができる。
【0007】
別の実施形態は、多孔質膜を圧縮すること、該圧縮された多孔質膜の第一の面に第一のエラストマー材料を適用すること、該圧縮された多孔質膜の第二の面に第二のエラストマー材料を適用すること、前記第一のエラストマー材料上に第一の導電性材料を配置すること、及び、前記圧縮された多孔質膜とは反対側の前記第二のエラストマー材料上に第二の導電性材料を配置することを含む、誘電エラストマー複合体の製造方法に関する。圧縮された多孔質膜は、横方向に圧縮されても、機械方向に圧縮されても、又は順次に又は同時に両方の方向に圧縮されてもよい。圧縮された多孔質膜は圧縮されたフルオロポリマー膜であることができる。幾つかの実施形態において、圧縮された多孔質膜は圧縮された延伸ポリテトラフルオロエチレン膜である。第一及び第二のエラストマー材料はそれぞれ約0.1μm~約100μmの厚さを有することができ、第一及び第二の導電性材料はそれぞれ約1nm~約20μmの厚さを有することができ、そして圧縮された多孔質膜は約0.1μm~約50μmの厚さを有することができる。誘電複合体は約170μm未満の厚さを有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面の簡単な説明
添付の図面は本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成し、実施形態を示し、記載と共に本開示の原理を説明する役割を果たす。
【0009】
【
図1】
図1は少なくとも1つの実施形態による、保持可能な処理層、エラストマー層及び該エラストマー上に配置された導電層を含む誘電複合体の断面の概略図である。
【0010】
【
図2A】
図2Aは、少なくとも1つの実施形態による、
図1の誘電複合体を含むスタックされた誘電性エラストマー複合体アセンブリの断面の概略図である。
【0011】
【
図2B】
図2Bは、少なくとも1つの実施形態による、導電性材料のパターンを示す
図1の誘電複合体の上面の概略図である。
【0012】
【
図3】
図3は、少なくとも1つの実施形態による、中央に位置する保持可能な処理層、2つのエラストマー層、及び、2つの導電層を含む、導電性五層複合体の断面の概略図である。
【0013】
【
図4】
図4は、少なくとも1つの実施形態による、両面に導電性材料を有する、
図3の導電性五層複合体の上面の概略図である。
【0014】
【
図5】
図5は、少なくとも1つの実施形態による、異なる電極配向を有する2つのスタックされた誘電複合体の上面の概略図である。
【0015】
【
図6】
図6は、少なくとも1つの実施形態による、例4のスタックされた誘電エラストマー複合アセンブリの断面の概略図である。
【0016】
【
図7A】
図7Aは、少なくとも1つの実施形態による、エラストマーフィルムでコーティングされた金属化圧縮多孔質フィルムの構造を示す概略図である。
【0017】
【
図7B】
図7Bは、少なくとも1つの実施形態による、例2の金属化ePTFE膜の表面の走査型電子顕微鏡写真である。
【0018】
【
図8】
図8は、少なくとも1つの実施形態による、三層複合体フィルムの概略図である。
【0019】
【
図9】
図9は、少なくとも1つの実施形態による、上部アルミニウムストリップを示す例3のサンプルの上面の画像である。
【0020】
【
図10】
図10は、少なくとも1つの実施形態による、例3のサンプルのレーザ三角測量測定技術の結果のグラフである。
【0021】
【
図11】
図11は、少なくとも1つの実施形態による、
図10のレーザ三角測量測定技術の測定設備である。
【0022】
【
図12】
図12は、少なくとも1つの実施形態による、例4の誘電複合体の断面の概略図である。
【0023】
【
図13】
図13は、少なくとも1つの実施形態による、ミラー型電極パターンを備えたグラファイトナノ粒子の二層を示す
図12の誘電複合体の上面の概略図である。
【0024】
【
図14】
図14は、少なくとも1つの実施形態による、ラップされた複合体チューブの上面及び断面の概略図である。
【0025】
【
図15】
図15は、少なくとも1つの実施形態による、圧縮されたePTFE対圧縮されていないePTFEの力を示すグラフである。
【0026】
【
図16】
図16は、少なくとも1つの実施形態による、圧縮されたePTFEフィルムを含む誘電複合体対エラストマーフィルムの力を示すグラフである。
【0027】
【
図17】
図17は、少なくとも1つの実施形態による、例7の強化エラストマー複合体の概略図である。
【0028】
【
図18】
図18は、少なくとも1つの実施形態による、エラストマー材料がePTFE膜に部分的に侵入している圧縮された延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜の断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
詳細な説明
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現されうることを容易に理解するであろう。また、本明細書で言及する添付の図は必ずしも縮尺通りに描かれておらず、本開示の様々な態様を示すために誇張されている場合があり、その点で、図は限定するものと解釈されるべきではないことに留意されたい。用語「圧縮された多孔質膜」及び「保持可能な処理膜」は、本明細書で互換的に使用されうる。さらに、用語「誘電エラストマー複合体」及び「誘電複合体」は本明細書で互換的に使用されうる。
【0030】
本発明は、保持可能な処理膜、エラストマー材料及び導電性材料を含む誘電エラストマー複合体に関する。エラストマー材料は保持可能な処理膜中に部分的又は完全に侵入していることができる。例示的な実施形態において、保持可能な処理膜は多孔性である。幾つかの実施形態において、誘電複合体はスタック構成で配置されて、多層スタックアクチュエータを形成することができる。あるいは、誘電複合体は、巻回形態を有することができる。誘電エラストマー複合体は、約170μm未満、約150μm未満、約125μm未満、約100μm未満、約50μm未満、約40μm未満、約40μm未満、約30μm未満、約25μm未満、約20μm未満、約15μm未満、約10μm未満又は約5μm未満の総厚を有することができる。
【0031】
上述のように、誘電複合体は、保持可能な処理膜、導電性材料及びエラストマー層を含むことができる。本明細書で議論される実施形態において、保持可能な処理膜は、約0.1μm~約50μm、約0.1μm~約40μm、約0.1μm~約30μm、約0.1μm~約25μm、約0.1μm~約15μm又は約0.1μm~約10μmの厚さを有することができる。有利には、保持可能な処理膜は、誘電エラストマー複合体の作動性能を制限することなく最終製品に保持される。保持可能な処理膜は、使用中の過張力又はクリープによる誘電複合体の薄化及び亀裂のリスクも低減する。結果として、保持可能な処理膜は、誘電エラストマー複合体の一体性及び寿命の両方を向上させる。さらに、保持可能な処理膜は、異方性材料特性を示すときに、低弾性率方向の作動性を増加させることができる。さらに、保持可能な処理膜は、異方性挙動により、引き裂き抵抗が低く、センサーの感度が高くなる。
【0032】
本明細書に記載の実施形態において、保持可能な処理膜は、エラストマー材料又は導電性材料の適用前に、横方向又は機械方向の1つ以上の方向で圧縮される。圧縮は一方向に限定されるものではなく、横方向、機械方向、又は順次又は同時に両方向で行われてよいことを理解されたい。1つの例示的な実施形態において、保持可能な処理膜は、エラストマー及び導電性材料を適用する前に横方向に圧縮される。圧縮中の保持可能な処理膜は、膜にマクロ構造化された折り目及び/又はマイクロ折り畳みフィブリルを形成し、保持可能な処理膜に低弾性率及び可撓性を与える。圧縮された保持可能な処理膜(例えば、圧縮された多孔質膜)は、さらに又は代替的に、膜におけるしわ又は折り目などの面外幾何学形状を示すこともでき、例えば、限定するわけではないが、ZagglらのEP3061598 A1及びZagglらの米国特許第9,849,629号明細書などに記載の方法によるものである。さらに、保持可能な処理膜の圧縮により、膜の密度が増加し、その結果、内部細孔体積が減少する。あるいは、熱収縮又は溶媒収縮又は他の適切な方法を使用して、保持可能な処理膜を非機械的に「圧縮する」ことができることに留意されたい。保持可能な処理膜は使用前に除去されないので、保持可能な処理膜によって提供される強度により、多層スタックアクチュエータのための平面処理又はロールツーロール処理が可能になる。保持可能な処理膜は、圧縮方向で約0.2MPa~5MPaの弾性率、そして非圧縮方向で約5MPaより大きい弾性率を有することができる。
【0033】
少なくとも1つの実施形態において、保持可能な処理膜は多孔質フルオロポリマー膜である。少なくとも1つの例示的な実施形態において、保持可能な処理(フルオロポリマー)膜はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜又は延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜である。Bacinoらの米国特許第7,306,729号明細書、Goreの米国特許第3,953,566号明細書、Bacinoの米国特許第5,476,589号明細書、又はBrancaらの米国特許第5,183,545号明細書に記載された方法に従って調製された延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜はここで使用されうる。
【0034】
本出願を通して、用語「PTFE」は便宜上本明細書で使用され、ポリテトラフルオロエチレンだけでなく、延伸PTFE、延伸変性PTFE及びPTFEの延伸コポリマーも含むことが意図されることは理解されるべきであり、それらは、例えば、Brancaの米国特許第5,708,044号明細書、Baillieの米国特許第6,541,589号明細書、Sabolらの米国特許第7,531,611号明細書、Fordの米国特許第8,637,144号明細書及びXuらの米国特許第9,139,669号明細書に記載されている。
【0035】
多孔質フルオロポリマー膜は機能性テトラフルオロエチレン(TFE)コポリマー材料を含むポリマー材料も含むことができ、ここで、機能性TFEコポリマー材料は、TFE及びPSVE(ペルフルオロスルホニルビニルエーテル)又はTFEと別の適切な機能性モノマーとの機能性コポリマーを含み、該コモノマーとしては、限定するわけではないが、フッ化ビニリデン(VDF)、酢酸ビニル、ビニルアルコールなどである。機能性TFEコポリマー材料は、例えば、Xuらの米国特許第9,139,707号明細書又はXuらの米国特許第8,658,707号明細書に記載されている方法に従って調製することができる。
【0036】
他の実施形態において、保持可能な処理膜は、限定するわけではないが、発泡ポリエチレン膜、多孔質ポリプロピレン膜及び電界紡糸ナノファイバ膜を含むことができる。
【0037】
上述のように、誘電複合体は導電性材料も含む。導電性材料としては、限定するわけではないが、導電性金属(例えば、アルミニウム、銀及び白金)、導電性ポリマー、導電性インク及び導電性材料の微粉末(例えば、グラファイト又はカーボンブラックのナノ粒子)が挙げられる。導電性材料は、既知の堆積及びコーティング方法によって保持可能な処理膜又はエラストマー層に適用されうる。非限定的な例としては、急冷熱蒸発、蒸着、スプレイコーティング、スロットダイコーティング、ナイフオーバーロールコーティング、マイヤーバーコーティング、グラビア印刷、スクリーン印刷及びローラーコーティングが挙げられる。導電性材料は、約1nm~約20μm、約1nm~約15μm、約1nm~約10μm又は約1nm~約5μmの厚さを有することができる。
【0038】
導電性材料は、圧縮された保持可能な処理膜又はエラストマー層のいずれかの表面に部分的又は完全に分布されている。さらに、導電性材料は、材料が保持可能な処理膜又はエラストマー材料の表面上にパターン(例えば、円、正方形、線又はグリッド)を形成するように適用されうる。幾つかの実施形態において、導電性材料は、表面上にモノリシック(例えば、連続)コーティングを形成する。別の実施形態において、導電性材料は、保持可能な処理膜の厚さに少なくとも部分的に侵入する。侵入の深さは保持可能な処理膜全体にわたって実質的に同じであることができる。しかしながら、幾つかの実施形態において、保持可能な処理膜又はエラストマー層の部分的な侵入の深さは変化している。保持可能な処理膜の多孔性は、導電性材料の膜への侵入を促進する。
【0039】
誘電複合体はエラストマー材料も含む。適切なエラストマー材料としては、限定するわけではないが、シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロエラストマー、ポリウレタン、ニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム、ブチルゴム及びアクリルが挙げられる。エラストマー材料の厚さは、約0.1μm~約100μm、約0.1μm~約90μm、約0.1μm~約80μm、約0.1μm~約70μm、約0.1μm~約60μm、約0.1μm~約50μm、約0.1μm~約40μm、約0.1μm~約30μm、約0.1μm~約25μm、約0.1μm~約15μm又は約0.1μm~約10μmであることができる。エラストマー材料の厚さは表面に存在するエラストマー材料と、保持可能な処理膜に侵入したエラストマー材料の部分を含むことを理解されたい。本明細書に記載される材料及び方法は、本開示のすべての実施形態に適用可能であることも理解されたい。
【0040】
図1に概略的に示される1つの実施形態において、誘電複合体100は、保持可能な処理膜10、エラストマー材料20及び導電性材料30を含む。例示的な実施形態において、保持可能な処理膜10は横方向に圧縮されている。エラストマー材料20は圧縮された保持可能な処理膜10に適用されている。
図1に示される実施形態において、エラストマー材料20は、保持可能な処理膜10の厚さ(侵入領域15)に部分的に侵入している。エラストマー材料20の保持可能な処理膜10への部分的な侵入は、エラストマー材料の誘電複合体200へのより良い統合(一体化)を可能にし、誘電複合体200の一体性の保持を助ける。保持可能な処理膜10の多孔性は膜10の表面にエラストマー材料20が侵入するのを可能にする。導電性材料300はエラストマー材料20の表面に適用される。
【0041】
誘電複合体100は、
図2Aに示すように、スタック構成で互いの上に配置して、スタックされた誘電エラストマー複合体アセンブリ150を形成することができる。
図2Bは、スタックされた誘電エラストマー複合体アセンブリ150の上面図であり、エラストマー材料20上のパターン化された導電性材料30(例えば、グラファイトナノ粒子)を示す。保持可能な処理膜10、エラストマー材料20及び導電性材料は、スタックされた誘電エラストマー複合体250の保持可能な処理膜10A、エラストマー材料20A及び導電性材料30Aとそれぞれ同じであっても又は同じでなくてもよい。しかしながら、材料10A、20A及び30Aは、個別に、それぞれの対応物と同様に作用することを理解されたい。スタックされた誘電エラストマー複合体アセンブリ150中に存在する誘電複合体の総数は特に限定されず、所望の最終用途に依存する。本明細書に記載の誘電エラストマー複合体の非限定的な用途としては、ソフトロボット、人工筋肉、自動車ユーザインターフェイス又は民生用電子機器の触覚フィードバック、人工装具、流体制御、エネルギーハーベスティング、ウェアラブルセンサ、調整可能又は適応光学素子、例えば光学ポジショナー、スピーカー、アクティブ点字ディスプレイ及び膜ポンプが挙げられる。スタックされた誘電エラストマー複合体アセンブリ150は、2、5、10、50、100、250、500、750又はさらに1000以上の誘電複合体100を含むことができる。
【0042】
図3は五層誘電エラストマー複合体200の実施形態を示している。この実施形態において、第一のエラストマー層20は保持可能な処理膜10の第一の面に適用されており、そして第二のエラストマー層20Aは保持可能な処理膜10の第二の反対面に適用されている。次に、第一の導電材料30は第一のエラストマー層20上に配置されている。同様に、第二の導電材料30Aは第二のエラストマー材料30上に配置されている。この実施形態において、第一又は第二のエラストマー層20,20Aのいずれも保持可能な処理膜10に侵入しない。導電性材料30,30Aは、例えば、
図4に示されるパターンなどのパターンで適用されてもよい。
【0043】
別の実施形態において、本明細書に記載のとおりの誘電複合体は、誘電体でラップされた複合体チューブに加工されうる。例4に詳細に記載され、
図12に概略的に示されているように、保持可能な処理膜10、該保持可能な処理膜10に部分的に侵入しているエラストマー材料20及び該エラストマー材料20の表面上の導電性材料30を含み、異なる電極配向を有する2つ(又はそれ以上)の誘電複合体300(
図5に示されるように)をスタックし(
図6に示されるように)、スタックされた誘電エラストマー複合体アセンブリ350を形成する。電極配向は
図12に示したものと異なっていてもよく、なおも本発明の範囲内に入ることを理解されたい。スタックされたアセンブリ350は金属コア(図示せず)などの円形部材の周りにラップされている。完全に巻回されると、ラップされた複合体チューブ500は、
図14に示されるように、円形部材から取り外される。少なくともラッピング工程で提供される張力のために、ラッピング工程中に層を一緒に結合するために接着剤は必要ない。
【0044】
本開示はまた、エラストマー材料でコーティングされた金属化圧縮多孔質フィルムに関する。
図7Aに戻ると、薄い金属化層又はコーティング40はブラッシング又は蒸着などによって保持可能な処理膜10上に堆積される。次いで、金属化された保持可能な処理部材は、横方向(矢印60の方向)に圧縮される。エラストマー材料20は保持可能な処理部材10の金属化層40に適用され、それにより、エラストマー材料20は保持可能な処理部材10に部分的に侵入し、金属化層40を包囲する。金属化層(すなわち、導電層)は金属化層(導電層)が接触されうるかぎり、エラストマー材料によって包囲されてよいことを理解されたい。
【0045】
本出願の発明は、一般的にも特定の実施形態に関しても上記に記載されている。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態において様々な修正及び変更を行うことができることは当業者に明らかであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等形態の範囲内にある限り、本発明の修正形態及び変形形態を包含することが意図されている。
【実施例】
【0046】
例
【0047】
例1
延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜は、一般に、Bacinoらの米国特許第7,306,729号明細書の教示に従って作製された。ePTFE膜は、0.5g/m
2の平均質量/面積及び約0.6μmの平均厚さを有していた。ePTFE膜は、ZagglらのEP3061598A1の例4Aに教示されているように、横方向(TD)に圧縮された。処理比は室温(約20℃)及び2m/分の速度設定で100%であった。弾性率試験は、Zwick Roell Z005引張試験機(米国ジョージア州)を使用して、以下のパラメーターで実施した。測定速度:508mm/分、クランプ長:82.55 mm、サンプル幅:6mm。処理後に、TDのePTFE膜の弾性率は、
図15及び表1に示すように有意に低下した。
【表1】
【0048】
圧縮された多孔質ePTFE膜を、コーティングの前にポリエチレンテレフタレート(PET)剥離層(Hostaphan(登録商標)RNK 50、MITSUBISHI POLYESTER FILM GmbH、Wiesbaden、ドイツ)上に配置した。ePTFE膜/剥離層スタックをガラス板上に置き、次に自動フィルムアプリケータ(モデルZAA2300、Zehntner GmbH Testing Instruments、Sissach,スイス)に挿入した。
【0049】
エラストマーは、注入可能な付加硬化性二成分シリコーンゴム(ELASTOSIL(登録商標)P7670(Wacker Chemie AG、ミュンヘン、ドイツ))を提供し、シリコーンゴムの成分A及びBを1:1の比で、1500rpm及び20秒の混合時間でSPEEDMIXER(登録商標)DAC 150.1 FVZ-K(FlackTek Inc.,Landrum、SC)を使用して混合することにより得た。混合された成分をPET剥離ライナー上にある圧縮された多孔質ePTFE膜上に注いだ。ユニバーサルアプリケータのタイプZUA 2000(Zehntner GmbH Testing Instruments)を使用して、20℃で5mm/秒の速度でePTFE膜上に薄いエラストマーフィルムを均等に分配した。
【0050】
アプリケータのギャップをPET剥離層から50μmの距離に設定した。エラストマーフィルムを室温(約20℃)で24時間硬化させた。
図18はePTFE膜へのエラストマーの高度な侵入を伴う、圧縮された多孔質ePTFE膜上のエラストマーを示す概略図である。得られたePTFE膜/エラストマーは約30μmの厚さを有していた。
【0051】
エラストマー/圧縮された多孔質フィルム複合体(したがって、誘電複合体を形成する)上に電極を形成するために、グラファイトナノ粉末(タイプCP-0019-HP; IoLiTec-Ionic Liquids Technologies GmbH、ハイルブロン、ドイツ)を、PET剥離層のレーザカットマスク(Hostaphan(登録商標)RNK 50(MITSUBISHI POLYESTER FILM GmbH))を使用したパターン構成でブラッシング技術により適用した。
図1は誘電複合体の断面の概略図である。
図2Bは
図1の上面図であり、グラファイトナノ粉末のパターンを描いている。
【0052】
多層複合体材料を形成するために、
図2A(断面)及び
図2B(上面)に概略的に示すように、2つの誘電複合体(
図1に示すとおり)を積み重ねた。電極と圧縮された多孔質ePTFEフィルムとの間にエアギャップがないように加圧ローラを使用して両方の複合体層を一緒に押した。
【0053】
例2
【0054】
ePTFE膜を、一般に、Bacinoらの米国特許第7,306,729号明細書の教示に従って作製した。ePTFE膜は、0.5g/m2の平均質量/面積及び約0.6μmの平均厚さを有していた。
【0055】
ePTFE膜を、5cmの内径を有する金属フレームに取り付けた。Gressington スパッタコータ、タイプ108オート(Cressington Scientific Instruments UK、Watford、UK)をパラメータ10mA及び20秒で使用して、十分な量の白金をePTFE膜の表面に堆積させて導電層を形成した。
【0056】
金属化ePTFE膜をフレームから取り外し、延伸されたシリコーンシート上に配置した。ePTFE/シリコーンシートを、ZagglらのEP3061598A1に教示されているように、元の材料にまで二軸方向に圧縮した。処理比を25%の二軸圧縮に設定した。コーティングの前に、金属化された圧縮された多孔質ePTFE膜を、感圧アクリル接着剤(Duplocoll MP6001B(Lohmann GmbH&Co. KG))でポリエチレンテレフタレート(PET)剥離ライナー上に配置した。次に、ePTFE膜/剥離層スタックをガラス板の上に配置し、それを自動フィルムアプリケータ(モデルZAA 2300、Zehntner GmbH Testing Instruments)に挿入した。
【0057】
エラストマーは、液体二成分シリコーンゴム(ELASTOSIL(登録商標)LR3003 / 03 Wacker Chemie AG)を提供し、SPEEDMIXER(登録商標)、DAC150.1 FVZ-K(FlackTek Inc.)を使用してシリコーンゴムの成分A及びBを1:1の比率で2000rpm及び25秒の混合時間で混合することにより得た。混合成分を、PET剥離ライナー上にある金属化された圧縮された多孔質ePTFE膜上に注いだ。ユニバーサルアプリケータのタイプZUA 2000(Zehntner GmbH Testing Instruments)を使用して、室温で5mm/秒の速度を用いてePTFE膜上に薄いフィルムを均等に分配した。
【0058】
アプリケータのギャップを、PET剥離層から50μmの距離に設定した。エラストマーフィルムを150℃で5分間硬化させた。
図7Aはエラストマーフィルムでコーティングされた金属化された圧縮された多孔質フィルムの製造を示す概略図である。
図7Bは金属化されたePTFE膜の表面の走査型電子顕微鏡写真である。
【0059】
例3
【0060】
概して、Bacinoらの米国特許第7,306,729号明細書の教示に従うePTFE膜。ePTFE膜は、0.5g/m2の平均質量/面積及び約0.6μmの平均厚さを有していた。ePTFE膜を、ZagglらのEP3061598A1の例4Aに教示されているように、元の材料の横方向に圧縮した。処理比は、20℃及び2m/分の速度設定で100%であった。
【0061】
圧縮された多孔質ePTFE膜を、厚さ50μmのクラフト紙剥離ライナー(VHB)(タイプVHB9460(3M Deutschland GmbH、Neuss,ドイツ))上のアクリルテープ上にゴムローラでわずかに押し付けて、ePTFE膜の片面上にVHBテープの層を適用した。VHBテープの第二の層を、圧縮された多孔質ePTFE膜の反対面に同様に適用した。クラフト紙剥離ライナーを静かに取り外して、三層複合フィルムを得た。圧縮された多孔質ePTFEフィルムの強度は、剥離ライナーが取り外されたときに繊細な三層複合フィルムを破壊しないために有益であった。こうして、三層複合フィルム(アクリルテープ/ePTFE膜/アクリルテープ)を形成する。三層複合フィルム上に電極を形成するために、グラファイトナノ粉末タイプCP-0019-HP(IoLiTec-Ionic Liquids Technologies GmbH)をブラッシング技術により、複合体の両面にパターン構成で適用した。
【0062】
導電性三層複合体の一部を切り出して、タイプAcheson Silver Dag 1415(Agar Scientific Ltd.,英国エセックス)の銀インクを使用して、適用電極パターンの小さな矩形端部(前面と背面の両方)の上で薄いアルミニウムホイルストリップと接触させた。
図9は、三層複合体の導電性材料30と、PET剥離層のレーザカットマスク(Hostaphan(登録商標)RNK 50、MITSUBISHI POLYESTER FILM GmbH)を使用して配置されたグラファイトナノ粒子のパターンに結合された上部アルミニウムストリップ35を示すサンプルの上面図の画像である。
【0063】
次いで、異なる電圧でレーザ三角測量測定技術によって三層複合体を特性化した(“Dielektrische Elastomerstapelaktoren fur ein peristaltisches Fluidfordersystem”, Dipl. Ing. Lotz; Dissertationsschrift; Technische Universitat Darmstadt, 2010, Darmstadt、ドイツを参照されたい)。使用される構成要素には、Keyence LK-H022超高速/高精度レーザ変位センサー(Keyence Corp.,Itasca, IL)及び高電圧電源FUGシリーズMCP 35-2000(FuG Elektronik GmbH, Schechen,ドイツ)が含まれる。測定設備を
図11に示す。結果を
図10にグラフで示す。シグナルアウト1及びアウト2は、レーザ1及びレーザ2の2つのレーザシグナルに対応する。シングルアウト3はアウト1及びアウト2の総計を表し、電圧分極に関係なく、600ボルト(V)での作動を示す。
【0064】
例4
【0065】
ePTFE膜を、一般に、Bacinoらの米国特許第7,306,729号明細書の教示に従って作製した。ePTFE膜は0.5g/m
2の平均質量/面積及び約0.6μmの厚さを有していた。ePTFE膜を、ZagglらのEP3061598A1の例4Aに教示されているように、元の材料にまで横方向(TD)に圧縮した。処理比は、室温及び2m/分の速度設定で100%であった。処理後に、TDでのePTFE膜の弾性率は有意に低下した。TDでの低下は、表1及び
図15に示されたものと類似していた。
【0066】
圧縮された多孔質ePTFE膜を、コーティング前にPET剥離層(Hostaphan(登録商標)RNK 50、MITSUBISHI POLYESTER FILM GmbH)上に配置した。ePTFE膜/PETスタックをガラス板上に配置し、次いでそれを自動フィルムアプリケータ(モデルZAA 2300(Zehntner GmbH Testing Instruments))に挿入した。
【0067】
エラストマーは、注入可能な付加硬化性の二成分シリコーンゴム(ELASTOSIL(登録商標)P7670、Wacker Chemie AG)を提供し、SPEEDMIXER(登録商標)DAC 150.1 FVZ-K(FlackTek Inc.)を1500rpm及び20秒の混合時間で使用して、シリコーンゴムの成分A及びBを1:1の比率で混合することにより得た。混合された成分を、PET剥離ライナー上にある圧縮された多孔質ePTFE膜上に注いだ。ユニバーサルアプリケータのタイプZUA 2000(Zehntner GmbH Testing Instruments)を使用して、室温(約20℃)で5mm/秒の速度を用いてePTFE膜上に薄いエラストマーフィルムを均等に分配した。
【0068】
アプリケータのギャップを、PET剥離層から50μmの距離に設定した。エラストマーフィルムを室温で24時間硬化させた。
図18はePTFE膜へのエラストマーの高い侵入度を伴う、圧縮された多孔質ePTFE膜上のそのようなエラストマーの概略図である。得られたePTFE膜/エラストマーは約30μmの厚さを有していた。
【0069】
エラストマー/圧縮された多孔質フィルム複合体上に電極を形成するために、グラファイトナノ粉末(タイプCP-0019-HP; IoLiTec-Ionic Liquids Technologies GmbH)を、PET剥離層のレーザカットマスク(Hostaphan(登録商標)RNK 50, MITSUBISHI POLYESTER FILM、GmbH)を使用してパターン構成でブラッシング技術により適用した。
【0070】
多層複合体材料を形成するために、異なる電極配向を有する2つの誘電複合体を
図6に示されるようにスタックした。電極の配向はこの断面では見えないことに留意されたい。
図6は、圧縮された多孔質ePTFE膜(10)、エラストマー膜(20)及びグラファイトナノ粉末(30)の配置を示すために含まれる。加圧ローラを使用して両方で複合体層を一緒にプレスし、電極と圧縮された多孔質ePTFEフィルムの間にエアギャップがないようにした。
【0071】
スタックされた多層複合体材料を形成した後に、アルミニウムストリップ70,70Aを複合体材料の両面に適用して、両方の電極に接触させた(
図13を参照されたい)。
【0072】
アルミニウムストリップを有する複合体材料を、上部がチューブ状テキスタイルで覆われた直径20ミリメートル(mm)の金属コア上で巻き、ラップされた複合体チューブを金属コアから取り外すことができるようにした。
【0073】
コアを回転させ、機械的破壊を伴いながら複合体材料に逆張力をかけながら、複合体材料を金属コアに張力をかけて巻き付けた。誘電体でラップされた複合体チューブを金属コアから取り外し、内側のテキスタイルチューブ層を除去した。ラッピングプロセス中に層を一緒に結合するために接着剤を使用することはなかった。
【0074】
図14に概略的に示すように、誘電体でラップされた複合体チューブを両方のアルミニウムストリップに接触させ、600Vの電圧を課した。ラッピング方向の90°でのラッピングされた複合体チューブの動きを観察した。
【0075】
例5
【0076】
延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜を、一般に、Bacinoらの米国特許第7,306,729号明細書の教示に従って作製した。ePTFE膜は、0.5g/m
2の平均質量/面積及び約0.6μmの平均厚さを有していた。ePTFE膜を、ZagglらのEP3061598A1に教示されているように、機械(MD)方向で圧縮した。処理比は、室温(約20℃)及び2m/分の速度設定で66%であった。プロセス中に、感圧性アクリル接着剤(Duplocoll MP6001B(Lohmann GmbH&Co. KG))でコーティングされたPET剥離ライナーに膜を配置した。エラストマーは、注入可能な付加硬化性二成分シリコーンゴム(ELASTOSIL(登録商標)RT620、Wacker Chemie AG)を提供し、SPEEDMIXER(登録商標)DAC 150.1 FVZ-K(FlackTek Inc.)を使用して1500 rpm及び20秒の混合時間でシリコーンゴムの成分A及びBを1:1の比率で混合することにより得た。混合された成分を、PET剥離ライナー上にある圧縮された多孔質ePTFE膜上に注いだ。ユニバーサルアプリケータのタイプZUA 2000(Zehntner GmbH Testing Instruments)を使用して、室温(約20℃)で5mm/秒の速度を用いてePTFE膜上に薄いエラストマーフィルムを均等に分配した。アプリケータのギャップは、PET剥離層から150μmの距離に設定した。エラストマーフィルムを室温で24時間硬化させた。ePTFE膜は、
図16に示される「誘電複合体」である。
図16は非強化シリコーンフィルムと比較した誘電複合体の引張試験を示すグラフである。
【0077】
さらに、膜前駆体なしに第二のサンプルを調製した。シリコーンを、PET剥離層(Hostaphan(登録商標)RNK 50, MITSUBISHI POLYESTER FILM GmbH、Wiesbaden、ドイツ)上に直接注いだ。ユニバーサルアプリケータのタイプZUA 2000(Zehntner GmbH Testing Instruments)を使用して、室温(約20℃)で5mm/秒の速度を用いてePTFE膜上に薄いエラストマーフィルムを均等に分配した。アプリケータのギャップは、PET剥離層から150μmの距離に設定した。エラストマーフィルムを室温で24時間硬化させた。このサンプルは、
図16に示されるグラフに「エラ、ストマー」として示されている。
【0078】
サンプルを、Zwick Roell Z005 Tensile Tester(Georgia、USA)で試験した。両方のサンプルでサンプルの幅は12mmであり、クランプの長さは50mmであり、サンプルの厚さは140μmであると測定された。サンプルを25℃の温度で20インチ/分の速度でテストした。力の増加は、誘電複合体の力をエラストマーの力で割ることによって計算した。結果を
図16にグラフで示す。
【0079】
例6
【0080】
ePTFE膜を、一般に、Bacinoらの米国特許第7,306,729号明細書の教示に従って作製した。ePTFE膜は0.5g/m2の平均質量/面積及び約0.6μmの厚さを有していた。EP3061598の例4Aに教示されているように、ePTFE膜を横方向(TD)に圧縮した。20μmのシリコーンフィルム(ELASTOSIL(登録商標)FILM 2030 250/20)を、空気雰囲気中で速度3m/分、出力2kWでプラズマで処理した。
【0081】
注入可能な付加硬化性二成分シリコーンゴム(ELASTOSIL(登録商標)LR3003/03, Wacker Chemie AG)を提供し、1500rpm及び20秒の混合時間でSPEEDMIXER(登録商標)DAC 150.1 FVZ―K(FlackTek Inc.)を使用してシリコーンゴムの成分A及びBを1:1の比で混合することによりエラストマーを得た。次に、未硬化のシリコーンのパターンを、処理されたシリコーンフィルム上に1mm/分の速度で連続的に10mmあたり120個のピラミッド型構造を含むマイクログラビアローラを使用してグラビアコーティングした。横方向に圧縮された横方向に圧縮されたePTFE膜を、わずかな張力で未硬化のシリコーンに適用した。湿ったシリコーンはePTFE膜に侵入し、次いで、シリコーン層をオーブン(BCドライヤー、Coatema Coating Machinery GmbH、ドイツ、ドルマーゲン)で160℃の温度で硬化させた。得られた強化複合体の総厚は21μmであった。強化複合体は、
図17に概略的に示されており、参照番号10は圧縮されたePTFEを表し、参照番号50は処理されたシリコーンフィルムを表し、参照番号60は未処理のグラビアコーティングされたシリコーンを表し、参照番号20はシリコーンエラストマー層を表す。
【0082】
例7
【0083】
一般に、Goreの米国特許第3,953,566号明細書の教示に従って、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜を作製した。ePTFE膜は3μmの厚さ及び2.5g/m2の面積質量を有していた。ePTFE膜を横方向に1.5:1に圧縮した。横方向に圧縮された多孔質ePTFE膜を、コーティングの前に、感圧アクリル接着剤(Janus(登録商標)PET1120、Rib GmbH)でポリエチレンテレフタレート(PET)剥離ライナー上に配置した。エラストマーは、注入可能な付加硬化性二成分シリコーンゴム(ELASTOSIL(登録商標)P7684/60、Wacker Chemie AG)を提供し、シリコーンゴムの成分A及びBを1:1の比率で静的ミキサを用いてインラインで混合して得た。エラストマーをスロットダイコーティングによって適用し、多孔質の圧縮されたePTFE膜構造に少なくとも部分的に侵入した。次いで、誘電複合体を、160℃のオーブン(BCドライヤー、Coatema Coating Machinery GmbH、Dormagen、ドイツ)で乾燥した。平均厚さ49.5 μmが誘電複合体で達成された。
【0084】
フィルムの作動を測定するために、単一シートを機械方向(MD)の長さ24cm、横方向の幅(TD)10cmとして連続ロールから切断した。電極材料(ELASTOSIL(登録商標)LR3162、Wacker Chemie AG)を材料の両面に適用した。次いで、材料をMD方向に6回折り曲げて、長さを24cmから4cmに減らした。次に、上部クランプが両方の電極への電気接続を備えながら、折り畳まれた構造を両端でクランプした。底部クランプは、複合体に残留しわを除去するために100gの錘を備えた。次いで、電極を高電圧電源に接続した。1500Vの電圧で、0.76mmのアクチュエーションひずみ(5つのサンプルの平均)を検出した。弾性材料のヤング率(0.42MPa)及び等方性材料を推定する約3.0の誘電率を使用して期待アクチュエーションを計算すると、計算値に対する測定値の差が19%であることが認識された。この改善は、この例で作製された材料の異方性特性により達成されたものと結論付けられた。
【0085】
センサー用途で誘電複合体を試験するために、寿命調査を実施した。センサーは、誘電複合体を使用し、電極材料(ELASTOSIL(登録商標)LR3162、Wacker Chemie AG)を適用することにより調製した。各センサーに5層の誘電複合体を使用した。最小17%、最大54%の繰り返しひずみを加えながら、静電容量を測定した。700,000サイクル後に、センサーに1mmの深さの小さな切れ目を入れて、引裂成長特性を試験した。センサーは、切れ目をセンサーに入れた後(それで、故障が発生した後)に100,000サイクルを超えて生き残ったが、非強化の誘電複合体はより速く(約100サイクルで)故障した。補強層は欠陥を適用した後の急速な破損を抑制したと結論付けられた。
【0086】
本開示は、以下の番号付き陳述によりさらに規定されうる。
1.圧縮された多孔質膜、
前記圧縮された多孔質膜に少なくとも部分的に侵入しているエラストマー材料、及び、
前記エラストマー層上に配置された導電性材料、
を含む、誘電複合体。
2.前記誘電複合体は約100μm未満の厚さを有する、陳述1記載の複合体。
3.前記圧縮された多孔質膜は横方向に圧縮されているか、機械方向に圧縮されているか、又は、その両方に圧縮されている、陳述1~2のいずれか1項記載の複合体。
4.前記エラストマー材料はシリコーン、フルオロシリコーン、フルオロエラストマー、ポリウレタン、ニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム、ブチルゴム及びアクリルから選ばれる要素を含む、陳述1~3のいずれか1項記載の複合体。
5.前記導電性材料は導電性金属、導電性ポリマー、導電性インク、カーボンブラック粒子及びグラファイト粒子から選ばれる要素を含む、陳述1~4のいずれか1項記載の複合体。
6.前記エラストマー材料は約0.1μm~約100μmの厚さを有する、陳述1~5のいずれか1項記載の複合体。
7.前記導電性材料は約1nm~約20μmの厚さを有する、陳述1~6のいずれか1項記載の複合体。
8.前記圧縮された多孔質膜は約0.1μm~約50μmの厚さを有する、陳述1~7のいずれか1項記載の複合体。
9.前記圧縮された多孔質膜は圧縮された延伸ポリテトラフルオロエチレン膜を含む、陳述1~8のいずれか1項記載の複合体。
10.前記圧縮された多孔質膜は延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜、延伸変性PTFE膜、PTFEの延伸コポリマー、発泡ポリエチレン膜、多孔質ポリプロピレン膜、電界紡糸ナノファイバ膜及びそれらの組み合わせを含む、陳述1~9のいずれか1項記載の複合体。
11.スタック構成である、陳述1~10のいずれか1項記載の複合体。
12.巻回構成である、陳述1~11のいずれか1項記載の複合体。
13.圧縮された多孔質膜、
前記圧縮された多孔質膜上に配置された導電性材料、及び、
前記導電性材料を取り囲み、前記圧縮された多孔質膜に少なくとも部分的に侵入しているエラストマー材料、
を含む、誘電複合体。
14.前記誘電複合体は約100μm未満の厚さを有する、陳述13記載の複合体。
15.前記圧縮された多孔質膜は、横方向に圧縮されているか、機械方向に圧縮されているか、又はその両方で圧縮されている、陳述13及び14のいずれか1項記載の複合体。
16.前記エラストマー材料はシリコーン、フルオロシリコーン、ポリウレタン、ニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム、ブチルゴム及びアクリルから選ばれる要素を含む、陳述13~15のいずれか1項記載の複合体。
17.前記導電性材料は導電性金属、導電性ポリマー、導電性インク、カーボンブラック粒子及びグラファイト粒子から選ばれる要素を含む、陳述13~16のいずれか1項記載の複合体。
18.前記エラストマー材料は約0.1μm~約100μmの厚さを有する、陳述13~17のいずれか1項記載の複合体。
19.前記導電性材料は約1nm~約20μmの厚さを有する、陳述13~18のいずれか1項記載の複合体。
20.前記圧縮された多孔質膜は約0.1μm~約50μmの厚さを有する、陳述13~19のいずれか1項記載の複合体。
21.前記圧縮された多孔質膜は圧縮された延伸ポリテトラフルオロエチレン膜を含む、陳述13~20のいずれか1項記載の複合体。
22.前記圧縮された多孔質膜は延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜、延伸変性PTFE膜、PTFEの延伸コポリマー、発泡ポリエチレン膜、多孔質ポリプロピレン膜、電界紡糸ナノファイバ膜及びそれらの組み合わせを含む、陳述13~21のいずれか1項記載の複合体。
23.スタック構成である、陳述13~22のいずれか1項記載の複合体。
24.巻回構成である、陳述13~22のいずれか1項記載の複合体。
25.第一の面及び第二の面を有する圧縮された多孔質膜、
前記圧縮された多孔質膜の前記第一の面の上に配置された第一のエラストマー材料、
前記圧縮された多孔質膜の前記第二の面の上に配置された第二のエラストマー材料、
前記圧縮された多孔質膜とは反対側で前記第一のエラストマー層の上に配置された第一の導電性材料、及び、
前記圧縮された多孔質膜とは反対側で前記第二のエラストマー層の上に配置された第二の導電性材料、
を含む、誘電複合体。
26.前記誘電複合材は約100μm未満の厚さを有する、陳述25記載の複合体。
27.前記圧縮された多孔質膜は、横方向に圧縮され、機械方向に圧縮され、又はその両方に圧縮されている、記述25及び26のいずれか1項記載の複合体。
28.前記第一及び第二のエラストマー材料はシリコーン、フルオロシリコーン、フルオロエラストマー、ポリウレタン、ニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム、ブチルゴム及びアクリルから選ばれる要素を含む、記述25~27のいずれか1項記載の複合体。
29.前記第一及び第二の導電性材料は導電性金属、導電性ポリマー、導電性インク、カーボンブラック粒子及びグラファイト粒子から選ばれる要素を含む、陳述25~28のいずれか1項記載の複合体。
30.前記第一及び第二のエラストマー材料のそれぞれは、約0.1μm~約100μmの厚さを有する、陳述25~29のいずれか1項記載の複合体。
31.前記第一及び第二の導電性材料のそれぞれは、約1nm~約20μmの厚さを有する、陳述25~30のいずれか1項記載の複合体。
32.前記圧縮された多孔質膜は、約0.1μm~約50μmの厚さを有する、陳述25~31のいずれか1項記載の複合体。
33.前記圧縮された多孔質膜は、圧縮された延伸ポリテトラフルオロエチレン膜を含む、記述25~32のいずれか1項記載の複合体。
34.前記圧縮された多孔質膜は延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜、延伸変性PTFE膜、PTFEの延伸コポリマー、発泡ポリエチレン膜、多孔質ポリプロピレン膜、電界紡糸ナノファイバ膜及びそれらの組み合わせを含む、陳述25~33のいずれか1項記載の複合体。
35.誘電複合体の製造方法であって、
多孔質膜を圧縮すること、
エラストマー材料を前記圧縮された多孔質膜の第一の表面に適用して、それにより、前記エラストマー材料を前記圧縮された多孔質膜の前記第一の表面に少なくとも部分的に侵入させること、及び、
前記多孔質膜の反対側の前記エラストマー材料の第二の表面上に導電性材料を配置すること、
を含む、方法。
36.前記圧縮された多孔質膜は、横方向に圧縮され、機械方向に圧縮され、又はその両方に圧縮される、陳述35記載の方法。
37.前記誘電複合体は約100μm未満の厚さを有する、陳述35~36のいずれか1項記載の方法。
38.前記圧縮された多孔性膜は延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜、延伸変性PTFE膜、PTFEの延伸コポリマー、発泡ポリエチレン膜、多孔性ポリプロピレン膜、電界紡糸ナノファイバ膜及びその組み合わせを含む、陳述35~37のいずれか1項記載の方法。
39.前記圧縮された多孔質膜は圧縮された延伸ポリテトラフルオロエチレン膜を含む陳述35~38のいずれか1項記載の方法。
40.前記圧縮された多孔質膜は約0.1μm~約50μmの厚さを有する、陳述35~39のいずれか1項記載の方法。
41.前記導電性材料は導電性金属、導電性ポリマー、導電性インク、カーボンブラック粒子及びグラファイト粒子から選ばれる要素を含む、陳述35~40のいずれか1項記載の方法。
42.前記導電性材料は約1nm~約20μmの厚さを有する、陳述35~41のいずれか1項記載の方法。
43.前記エラストマー材料は約1μm~約100μmの厚さを有する、陳述35~42のいずれか1項記載の方法。
44.誘電複合体の製造方法であって、
多孔質膜を圧縮すること、
前記圧縮された多孔質膜の第一の面に第一のエラストマー材料を適用すること、
前記圧縮された多孔質膜の第二の面に第二のエラストマー材料を適用すること、
前記圧縮された多孔質膜とは反対側の前記第一のエラストマー材料上に第一の導電性材料を配置すること、及び、
前記圧縮された多孔質膜とは反対側の前記第二のエラストマー材料上に第二の導電性材料を配置すること、
を含む、方法。
45.前記圧縮された多孔質膜は延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜、延伸変性PTFE膜、PTFEの延伸コポリマー、発泡ポリエチレン膜、多孔質ポリプロピレン膜、電界紡糸ナノファイバ膜及びそれらの組み合わせを含む、陳述44の方法。
46.前記圧縮された多孔質膜は、圧縮された延伸ポリテトラフルオロエチレン膜を含む、陳述44~45のいずれか1項記載の方法。
47.前記圧縮された多孔質膜は約0.1μm~約50μmの厚さを有する、陳述44~46のいずれか1項記載の方法。
48.前記導電性材料は導電性金属、導電性ポリマー、導電性インク、カーボンブラック粒子及びグラファイト粒子から選ばれる要素を含む、陳述44~47のいずれか1項記載の方法。
49.前記導電性材料は約1nm~約20μmの厚さを有する、陳述44~48のいずれか1項記載の方法。
50.前記エラストマー材料は約1μm~約100μmの厚さを有する、陳述44~49のいずれか1項記載の方法。
51.前記誘電複合体は約100μm未満の厚さを有する、陳述44~50のいずれか1項記載の方法。
52.前記圧縮された多孔質膜は横方向に圧縮され、機械方向に圧縮され、又はその両方に圧縮される、陳述44~51のいずれか1項記載の方法。
【0087】
本出願の発明は、一般的に、そして特定の実施形態に関して上記で記載されてきた。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態において様々な修正及び変更を行うことができることは当業者に明らかであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等形態の範囲内にある限り、本発明の修正形態及び変形形態を包含することが意図されている。