(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】剪定装置、および剪定方法
(51)【国際特許分類】
A01G 3/08 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
A01G3/08 503Z
(21)【出願番号】P 2020070933
(22)【出願日】2020-04-10
【審査請求日】2021-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】520128048
【氏名又は名称】株式会社新松戸造園
(74)【代理人】
【識別番号】100148219
【氏名又は名称】渡會 祐介
(72)【発明者】
【氏名】松戸 義仁
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-138228(JP,A)
【文献】特開2019-181684(JP,A)
【文献】特開2002-210705(JP,A)
【文献】特開2014-147338(JP,A)
【文献】特開平11-156810(JP,A)
【文献】国際公開第2015/120067(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 3/08
B28D 1/00 - 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部にチェーン刃を有するチェーンソーと、チェーンソーのチェーン刃の後部から排出される切り屑を吸引可能なホースを有する切り屑回収機と、を備える剪定装置であって、
チェーンソーのチェーン刃の後部から排出される切り口排出部に、切り屑回収機のホースが取り付けられ、かつチェーンソーのチェーン刃の後部から切り屑の一部がチェーンソーの後部から排出されるスペースが設けられていることを特徴とする、剪定装置。
【請求項2】
チェーンソーの後部から排出される切り屑が、切り屑の全量100質量部に対して、5~20質量部である、請求項1記載の剪定装置。
【請求項3】
ホースが透明である、請求項1または2記載の剪定装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項記載の剪定装置を使用する、剪定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剪定装置、および剪定方法に関する。特に、剪定時の屑の処理を考慮した剪定装置、および剪定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、街路樹、公園樹や庭園内の樹木等の植物の正常な発育を促したり、形状を整えたりするために、樹木等の剪定が行われている。
【0003】
この剪定作業は、目的とする樹木等を数年放置した場合、剪定が大変な上に、多量の切り屑が発生し、この切り屑の処理に費やす作業を減少させたい、という強い要望がある。
【0004】
剪定ユニットを使って生け垣等を剪定する作業に対し、作業の容易化と単位時間当たりの剪定処理量の増加を促進し、かつ切り屑処理作業の能率向上を図ることを目的とする傾斜刃をもつ走行式剪定装置が、開示されている(特許文献1)。
【0005】
しかしながら、この傾斜刃をもつ走行式剪定装置は、剪定ユニットによってカットされた切り屑を台車の走行中に吹き飛ばすためのブロアーをそなえる(特許文献1の請求項2等)構成であるため、吹き飛ばされた切り屑の片付け等が必要になってしまう、という欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、剪定時の切り屑の片付けを容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の構成を有することによって上記問題を解決した剪定装置、および剪定方法に関する。
〔1〕前部にチェーン刃を有するチェーンソーと、チェーンソーのチェーン刃の後部から排出される切り屑を吸引可能なホースを有する切り屑回収機と、を備える剪定装置であって、
チェーンソーのチェーン刃の後部から排出される切り口排出部に、切り屑回収機のホースが取り付けられ、かつチェーンソーのチェーン刃の後部から切り屑の一部がチェーンソーの後部から排出されるスペースが設けられていることを特徴とする、剪定装置。
〔2〕チェーンソーの後部から排出される切り屑が、切り屑の全量100質量部に対して、5~20質量部である、上記〔1〕記載の剪定装置。
〔3〕ホースが透明である、上記〔1〕または〔2〕記載の剪定装置。
〔4〕上記〔1〕~〔3〕のいずれか記載の剪定装置を使用する、剪定方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明〔1〕によれば、剪定時の切り屑の片付けを容易にすることが可能な剪定装置を提供することができる。
【0010】
本発明〔4〕によれば、剪定時の切り屑の片付けを容易にすることが可能な剪定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本発明の剪定装置の部分の一例の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔剪定装置〕
本発明の剪定装置は、前部にチェーン刃を有するチェーンソーと、チェーンソーのチェーン刃の後部から排出される切り屑を吸引可能なホースを有する切り屑回収機と、を備える剪定装置であって、
チェーンソーのチェーン刃の後部から排出される切り口排出部に、切り屑回収機のホースが取り付けられ、かつチェーンソーのチェーン刃の後部から切り屑の一部がチェーンソーの後部から排出されるスペースが設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明は、この構成により、剪定時の切り屑の片付けを容易にすることが可能な剪定装置を提供することができる。
【0014】
図1に、本発明の剪定装置の一例の写真を、
図2に、本発明の剪定装置の部分の一例の写真を示す。
【0015】
図1では、右側が、チェーン刃の前部になり、左側が、切り屑回収機になる。
図1では、前部にチェーン刃を有するチェーンソーと、チェーンソーのチェーン刃の後部から排出される切り屑を吸引可能なホースを有する切り屑回収機と、を備えている。さらに、チェーンソーのチェーン刃の後部から排出される切り口排出部に、切り屑回収機のホースが取り付けられ、かつチェーンソーのチェーン刃の後部から切り屑の一部がチェーンソーの後部から排出されるスペースが設けられている。チェーン刃は、時計回りで回転するように、設けられているので、チェーン刃の左下方に、切り屑が排出される。
図2に、チェーンソーのチェーン刃の後部近辺に、切り屑の一部がチェーンソーの後部から排出されるスペースが形成されていることが、わかる。
図2では、ホース取付部に、ホースを取り付け、切り屑回収機に、切り屑を排出させる。
【0016】
切り屑回収機は、吸引可能な掃除機であればよく、特に限定されない。
【0017】
まず、本発明者は、チェーン刃の左下方から排出される切り屑全てを、回収することを試みた。しかし、切り屑回収機に取り付けられたホースに、切り屑が詰まりやすいことにより、剪定作業の中断を強いられる場合が、多発した。
【0018】
このため、本発明者は、敢えて、切り屑の一部を回収しないことにより、切り屑のホース詰まりを解消することができることを、見出した。
【0019】
チェーンソーの後部から排出される切り屑の量は、切り屑の全量100質量部に対して、5~20質量部であると、好ましい。切り屑の量が5質量部より少ないと、ホース詰まりが発生し易くなり、20質量部を超えると、作業効率が低下する。
【0020】
チェーンソーのチェーン刃の後部から排出される切り屑を吸引可能なホースは、透明であると、切り屑の流れを確認しやすくなるため、好ましい。
【0021】
〔剪定方法〕
本発明の剪定方法は、上述の剪定装置を使用する。この構成により、剪定時の切り屑の片付けを容易にすることが可能な剪定方法を提供することができる。例えば、剪定時に切り屑を飛ばす量を低減させることができると、第三者への飛散リスクも軽減させることができる。特に、高い場所で剪定作業をする場合には、通行人に切り屑が飛散するおそれを低減させることにより、剪定作業時のリスクを軽減させることができる。
【実施例】
【0022】
本発明について、実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、部、%はことわりのない限り、質量部、質量%を示す。
【0023】
図1に示す剪定装置を用いて、剪定作業を行った。チェーンソーの後部から排出される切り屑が、切り屑の全量100質量部に対して、10質量部になるように、スペースのサイズを調整した。剪定作業を、良好に行うことができ、剪定後には、切り屑全体の9割程度が、切り屑回収機に収納され、切り屑全体の1割程度の清掃で済ませることができた。