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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/018 20060101AFI20220323BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20220323BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
A61B1/018 514
A61B1/00 715
A61B1/00 650
G02B23/24 A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020125467
(22)【出願日】2020-07-22
(62)【分割の表示】P 2017551144の分割
【原出願日】2016-08-04
(65)【公開番号】P2020179230
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2020-08-19
(31)【優先権主張番号】102015113016.5
(32)【優先日】2015-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516021418
【氏名又は名称】デジタル エンドスコピー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】コルベルグ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ,アン ミン
(72)【発明者】
【氏名】フィーバッハ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュロッター,ティルマン
(72)【発明者】
【氏名】フェット,アクセル
(72)【発明者】
【氏名】フーバー,ハラルド
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ヘンツラー,マーク
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-182648(JP,A)
【文献】特開平06-315458(JP,A)
【文献】特開平08-056900(JP,A)
【文献】特開平09-276208(JP,A)
【文献】特開2016-174822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 - 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの処置具挿通チャンネルが形成されている内視鏡先端部本体を備えた内視鏡であって、
前記内視鏡先端部本体は、
前記処置具挿通チャンネルの遠位側開口端の縁から遠位側に延び、観察部または照明部を備える延長部分と、
前記処置具挿通チャンネルの遠位側開口端の縁から前記処置具挿通チャンネルの遠位側開口端を挟んで前記延長部分と同じ向きに延び、前記遠位側開口端の縁に沿う面に受入孔を有する側部支持部材と、
前記受入孔に挿入された軸体と、前記軸体の前記延長部分側の端部から前記軸体の軸と交差する一方向に延びる回動レバーアームとを有し、前記側部支持部材に回動可能に支持されており、近位側から作動可能である回動部材と、
前記回動レバーアームが延びる方向に対して平行な向きに動かすことにより前記回動レバーアームに着脱可能な挿入溝を有する起上台とを備え、
前記回動部材、前記延長部分に接触しない
内視鏡。
【請求項2】
前記軸体は円筒状である
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記回動レバーアームは、前記軸体の軸と平行な広面を有する板状である
請求項1または請求項2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記内視鏡先端部本体は、制御ワイヤチャンネルを備え、
前記起上台は、前記制御ワイヤチャンネル内に案内される制御ワイヤによって近位側から作動させることが可能である
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の内視鏡。
【請求項5】
前記回動部材は、前記軸体の他端から該軸体の軸と交差する向きに延びる作動レバーを備え、
前記作動レバーは、前記制御ワイヤを嵌合可能な力受け部材を有している
請求項4に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記起上台は、前記回動レバーアームに対して移動可能であるように配置されている
請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の内視鏡。
【請求項7】
前記軸体と前記受入孔との間に密閉部材が配置されている
請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の内視鏡。
【請求項8】
前記起上台はシャベルとして形成されており、
前記シャベルの遠位側端部が、前記内視鏡先端部本体の長手方向に見ると、前記軸体に対して近位側にある箇所まで前記軸体を中心として回動可能である
請求項1から請求項7のいずれか一つに記載の内視鏡。
【請求項9】
前記起上台はシャベルとして形成されており、
前記シャベルの内面が処置具挿通チャンネル延長部分を形成しており、
前記シャベルの内面は、前記内視鏡先端部本体の直線状の処置具挿通チャンネル端部から、前記起上台の処置具挿通チャンネル延長部分を形成する湾曲状のシャベル内面に接線を形成するように湾曲している
請求項1から請求項7のいずれか一つに記載の内視鏡。
【請求項10】
前記起上台は、道具を使用することなく前記回動レバーアームに着脱可能である
請求項1から請求項9のいずれか一つに記載の内視鏡。
【請求項11】
前記起上台は、道具を使用して前記回動レバーアームに着脱可能である
請求項2から請求項9のいずれか一つに記載の内視鏡。
【請求項12】
遠位側に摺動可能な内視鏡用キャップを更に備えており、
前記起上台は、前記内視鏡用キャップに対して回動自在に前記内視鏡用キャップ内に軸支されており、
遠位側に摺動可能な前記内視鏡用キャップは、前記内視鏡先端部本体に対応する開口部を有しており、
前記起上台及び前記内視鏡用キャップは、前記内視鏡先端部本体の遠位側で一体として着脱可能に取付け可能な共通の組立体を形成している
請求項1から請求項11のいずれか一つに記載の内視鏡。
【請求項13】
前記内視鏡先端部本体は、外周面に溝を有し、
前記内視鏡用キャップは、内向きに突出しており、前記溝と係合する係合鼻部を有する
請求項12に記載の内視鏡。
【請求項14】
前記回動レバーアームは、前記側部支持部材と共に、前記内視鏡先端部本体に着脱可能な組立体を形成しており、前記組立体は、使用中、前記内視鏡用キャップに囲まれている 請求項12または請求項13に記載の内視鏡。
【請求項15】
前記起上台は、前記側部支持部材と前記延長部分との間に配置されている
請求項1から請求項14のいずれか一つに記載の内視鏡。
【請求項16】
前記起上台は、前記回動レバーアームに対して遠位方向に摺動可能に外され得る
請求項1から請求項15のいずれか一つに記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの処置具挿通チャンネルが形成されている内視鏡先端部本体を備えた内視鏡に関し、内視鏡先端部本体の遠位側には、回動可能な起上台が設けられている
【背景技術】
【0002】
このような内視鏡先端部本体は、十二指腸内視鏡、つまり例えば食道、十二指腸、胆管、胆嚢、膵管、膵臓などを検査するための内視鏡に使用され得る。
【0003】
十二指腸内視鏡によって、食道、胃及び幽門を通って十二指腸内に入ることが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
十二指腸内視鏡は、側視型(横方向)光学系(照明部及び観察部)を備えている。このような構成は、「前方の」観察を容易に行うことができないので、十二指腸内視鏡を食道に導入して食道を通って前方に押し進めることを困難にし得る。前方を見ることができるように十二指腸内視鏡の遠位側端部を約90°曲げるための十分なスペースは、胃又は十二指腸のみで確保できる。
【0005】
更に十二指腸内視鏡は、処置具挿通チャンネルを通って押し進められる処置具の標的への偏向を回動によって可能にする起上台を、処置具挿通チャンネルの出口に備えている。
【0006】
使用後、十二指腸内視鏡のリプロセスを行う。このリプロセスは、バクテリア、ウイルス、菌類、寄生虫、更に芽胞のような全ての微生物の感染を確実に防ぐ必要がある。十二指腸内視鏡のリプロセスの際、最初に十二指腸内視鏡を手作業で洗浄し、あらゆる残留物を残すことなく有機物質又は残留化学物質を除去する。この洗浄の後、洗浄装置を用いた消毒又は滅菌を行う。
【0007】
本発明は、有機物質などの内視鏡先端部への付着を困難にする内視鏡先端部本体を備えた内視鏡先端部を提供することを目的とする。更に、改良された内視鏡、内視鏡用キャップ、及び内視鏡用キャップ形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、独立請求項の特徴を有する内視鏡先端部本体を備えた内視鏡によって達成される。有利な更なる展開例が従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明の内視鏡先端部では、少なくとも1つの処置具挿通チャンネルが内視鏡先端部本体に形成されており、近位側から作動可能な回動部材が内視鏡先端部本体の遠位側に設けられており、回動可能な起上台が処置具挿通チャンネルの遠位側端部に設けられている。起上台は、回動部材に対して移動可能であるように回動部材に配置されている。
【0010】
回動部材は、内視鏡先端部本体の遠位側に配置されている。従って、起上台は、回動部材から分離可能であり、ひいては内視鏡先端部本体から分離可能である。言い換えれば、起上台及び回動部材は、互いに取外し可能な別個の組立体を形成することができる。
【0011】
このため、起上台を回動部材とは別に洗浄することができる。
【0012】
従って、あらゆる残留物を残すことなく有機物質などを除去することが可能であるように、内視鏡先端部本体の構造が簡素化される。起上台が洗浄中に回動部材に留まる内視鏡先端部と比較して、本発明の内視鏡先端部では、アンダーカット部分、窪み、及び残留物が堆積し得る他の箇所がより少ない。
【0013】
単回使用の要素として起上台を設けることも可能である。このような場合には、起上台の洗浄は必要ではない。そのため、洗浄した内視鏡先端部本体を次に使用するとき、新しい起上台を用いる。このため、洗浄及び/又はコスト効率を向上させるように、回動部材を有する内視鏡先端部本体を構成する複数の可能性がもたらされる。
【0014】
起上台は、道具を使用することなく着脱可能に回動部材に取付け可能であってもよく、回動部材から取外し可能であってもよい。例えば、起上台は回動部材に、クリックオン連結若しくは係止連結によって、十分に高い接着摩擦によって、又はフック部材などによって取り付けられ得る。
【0015】
起上台は、道具を使用して着脱可能に回動部材に取付け可能であり、回動部材から取外し可能であり得る。例えば、起上台は、回動部材にねじで締められるか、又は副木若しくはピンなどによって回動部材に連結されることができる。
【0016】
更に、内視鏡先端部は、遠位側に摺動可能な内視鏡用キャップを備えることができ、起上台は、内視鏡用キャップに対して回動可能であるように内視鏡用キャップ内に配置されている。起上台は、内視鏡用キャップから独立して、回動部材に相対的に移動可能であり得る。従って、少なくとも3つの分離可能な組立体のシステムを形成することができ、内視鏡先端部本体は、回動部材、起上台及び内視鏡用キャップを有している。これらの組立体は別々に洗浄され得る。
【0017】
或いは、内視鏡先端部は、遠位側に摺動可能な内視鏡用キャップを備えることができ、起上台は、内視鏡用キャップに対して回動可能であるように内視鏡用キャップ内に配置されている。従って、起上台及び内視鏡用キャップは、内視鏡先端部本体の遠位側で一体として着脱可能に取付け可能な共通の組立体を形成し得る。起上台及び内視鏡用キャップから構成された共通の組立体は、内視鏡先端部本体とは別に洗浄され得る。或いは、起上台及び内視鏡用キャップから構成された共通の組立体は、単回使用のための要素として構成され得る。
【0018】
従って、様々な可能性がもたらされる。例えば、内視鏡用キャップ及び起上台の両方が、単回使用のための要素として個々に又は共通の一体化された組立体として構成されることができる。或いは、内視鏡用キャップ及び起上台の両方が、洗浄され得る複数回使用のための要素として個々に又は共通の一体化された組立体として構成されることができる。このような洗浄が内視鏡先端部本体とは別に行われて、個々の又は共通の一体化された組立体としての内視鏡用キャップ及び起上台の両方のより詳細な構造に関して自由度が高いので、効果的な洗浄が行われ得る。
【0019】
近位側の作動可能な回動部材は、近位側の作動可能な回動部材の軸を支持する支持部材と共に、内視鏡先端部本体から取外し可能であって内視鏡先端部本体に取付け可能な組立体を形成しており、組立体は、使用中、内視鏡用キャップに囲まれている。従って、4つに分離可能な組立体のシステムさえ形成することができる。たとえば、内視鏡先端部本体は、回動部材、支持部材組立体、起上台及び内視鏡用キャップを有している。これらの組立体は別々に洗浄され得る。
【0020】
他方、近位側の作動可能な回動部材は、近位側の作動可能な回動部材の軸を支持する支持部材と共に、内視鏡先端部本体内に収容され得る。従って、起上台に連結可能な回動部材のみが内視鏡先端部本体から突出する構造が適用され得る。このような内視鏡先端部本体は、残留物が付着し得る箇所がほとんどないような小型の構造を有する。
【0021】
近位側の作動可能な回動部材は、制御ワイヤが嵌合可能な力受け部材を有し得る。従って、回動部材は制御ワイヤによって直接作動させられ得る。
【0022】
内視鏡先端部本体は制御ワイヤチャンネルを有してもよく、力受け部材に嵌合された制御ワイヤは、制御ワイヤチャンネルを通って延びている。制御ワイヤの遠位側端部に設けられて回動部材の力受け部材に嵌合された嵌合部材が、内視鏡先端部本体内に配置され得る。このように、制御ワイヤの遠位側端部は、内視鏡先端部本体の外壁に常に囲まれているので汚染されない。制御ワイヤチャンネルは、完全に内視鏡先端部本体の環境から分離されて内視鏡先端部本体の環境に対して密閉されているように内視鏡先端部本体内に収容され得る。
【0023】
近位側の作動可能な回動部材と起上台との間に、密閉部材が配置され得る。密閉部材は、例えば回動部材の軸に配置され得る。従って、回動部材及び起上台は分離可能であるが、回動部材及び起上台が分離される箇所は密閉部材によって効果的に密閉され得る。
【0024】
起上台はシャベルとして形成されることができ、シャベルの遠位側端縁部は、内視鏡先端部本体の長手方向に見ると、回動部材の回動軸に対して近位側にある箇所まで回動部材の回動軸を中心として回動可能である。このような構成によって、90度を遥かに超える出口角が、処置具挿通チャンネル内に案内されるガイドワイヤのような操作要素のために達成され得る。このように、内視鏡先端部本体が十二指腸内で胆管の出口(乳頭)の向かい側に位置決めされると、ユーザがガイドワイヤを例えば胆管又は膵管に導入することがより容易になる。
【0025】
起上台はシャベルとして形成されることができ、シャベルの内面は処置具挿通チャンネルの延長部分を形成しており、シャベルの内面は、内視鏡先端部本体の直線状の処置具挿通チャンネル端部から起上台の湾曲状の処置具挿通チャンネル延長部分に向かって接線を形成するように湾曲している。
【0026】
シャベルの内面は、内視鏡先端部本体の直線状の処置具挿通チャンネル端部への接点が起上台のシャベル形状の近位側端縁部にあるように湾曲し得る。或いは、シャベルの内面は湾曲部分を有してもよく、近位側の開始部分で、直線状の延長部分への接点が起上台のシャベル形状の近位側端縁部まで距離を置いて起上台のシャベル形状内にあるように直線状の延長部分になり得る。
【0027】
このように、処置具挿通チャンネル内に案内されるガイドワイヤ、処置具などの操作要素が、抵抗を著しく増加させることなく内視鏡先端部本体から徐々に押し出され得るように、内視鏡先端部本体の直線状の処置具挿通チャンネル端部から起上台の湾曲状の処置具挿通チャンネル延長部分への滑らかな移行が可能になる。
【0028】
内視鏡先端部では、内視鏡先端部本体に形成された制御ワイヤチャンネルが密閉され得る。
【0029】
本発明に係る内視鏡は、上述した内視鏡先端部を備えている。
【0030】
代替例の内視鏡は、少なくとも1つの処置具挿通チャンネル及び1つの制御ワイヤチャンネルが形成されている内視鏡先端部本体を備えており、制御ワイヤチャンネル内に案内される制御ワイヤによって近位側から作動可能な起上台が、処置具挿通チャンネルの遠位側に設けられており、制御ワイヤチャンネルは起上台に対して密閉されている。
【0031】
内視鏡の先端部に起上台を備えた内視鏡の遠位側端部で使用される本発明に係る内視鏡用キャップは、底部を有して底部の反対側に内視鏡先端部挿入開口部を更に有する円筒体と、円筒体内に回動自在に支持されている起上台とを備えている。
【0032】
内視鏡用キャップは、円筒体の内周面に形成されたレバー保持具を備えることができ、起上台はレバー保持具に回転自在に挿入されている。
【0033】
内視鏡用キャップでは、円筒体に回動自在に支持されている起上台が連結部材を有しており、回動部材を回動させることにより起上台が回転するように、内視鏡の先端部に設けられた回動部材が連結部材によって連結され得る。
【0034】
内視鏡用キャップでは、内視鏡の先端部に設けられた回動部材は、内視鏡内に案内される制御ワイヤによって制御可能である。内視鏡用キャップが内視鏡の遠位側端部に取り付けられて、内視鏡の回動部材が起上台の連結部材に連結されている場合であっても、内視鏡用キャップの起上台は制御ワイヤから隔てられている。
【0035】
内視鏡用キャップでは、円筒体は、処置具挿通チャンネル端開口部に対応する開口部を有してもよい。起上台及び円筒体は、内視鏡先端部本体の遠位側で一体として着脱可能に取付け可能な共通の組立体を形成し得る。
【0036】
内視鏡用キャップはプラスチックから形成され得る。内視鏡用キャップは、3Dプリンタ又は射出成形によってプラスチックから形成され得る。
【0037】
内視鏡の先端部に起上台を備えた内視鏡の遠位側端部で使用される内視鏡用キャップを形成するための本発明の内視鏡用キャップ形成方法であって、内視鏡用キャップは、底部を有して底部の反対側に内視鏡先端部挿入開口部を更に有する円筒体と、円筒体内に回動自在に配置された起上台とを備えており、円筒体及び起上台をプラスチックから形成する。
【0038】
内視鏡用キャップ形成方法では、円筒体の内周面にレバー保持具を形成して、レバー保持具に回転自在に起上台を挿入することが更に可能である。
【0039】
内視鏡用キャップ形成方法では、円筒体及び起上台を3Dプリンタ又は射出成形によってプラスチックから形成することが更に可能である。
【0040】
本発明の上述した態様は適切に組み合わせられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の第1実施形態の内視鏡先端部を、組み立てられた状態で示す部分的に切開された斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態の内視鏡先端部を、引き出された状態で示す部分的に切開された斜視図である。
図3】上から見た本発明の第1実施形態の内視鏡先端部を、引き出された状態で示す斜視図である。
図4】側部支持部材が取外し可能な状態で、本発明の第1実施形態の内視鏡先端部を示す斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態の内視鏡先端部の内視鏡用キャップを示す斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態の内視鏡先端部を後ろから示す斜視図である。
図7】本発明の第1実施形態の内視鏡先端部を、内視鏡用キャップが外された状態で示す平面斜視図である。
図8】本発明の第1実施形態の内視鏡先端部を、内視鏡用キャップが内視鏡先端部上に摺動した中間位置で示す平面斜視図である。
図9】本発明の第1実施形態の内視鏡先端部を、内視鏡用キャップが取り付けられた状態で示す平面斜視図である。
図10】本発明の第2実施形態の内視鏡先端部を示す側面斜視図である。
図11】本発明の第2実施形態の内視鏡先端部を示す平面斜視図である。
図12】本発明の第2実施形態の内視鏡先端部を近位側から示す斜視図である。
図13】起上台が静止位置にある状態の、本発明の第2実施形態の内視鏡先端部を示す切開された斜視図である。
図14】起上台が中間位置にある状態の、本発明の第2実施形態の内視鏡先端部を示す切開された斜視図である。
図15】起上台が完全に回動している状態の、本発明の第2実施形態の内視鏡先端部を示す切開された斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明を、図面を参照して実施形態によって以下に詳細に説明する。
【0043】
第1実施形態
まず、本発明の第1実施形態を図1~9を参照して説明する。
【0044】
図1及び2は夫々、本発明の内視鏡先端部の第1実施形態の斜視図である。
【0045】
図1及び2は、この内視鏡先端部を部分的に切開された斜視図で横から示し、図面の左側は内視鏡先端部の挿入方向に向いている。
【0046】
内視鏡先端部1 は内視鏡先端部本体11を備えており、内視鏡先端部本体11は、内視鏡用キャップ3 に囲まれた起上台2 を内視鏡先端部本体11の遠位側端部に有している。起上台2 は、内視鏡先端部本体11に対して回動可能であるように配置されており、このために回動レバー45によって回動する。回動レバー45は、側部支持部材(支持部材)4 に回転自在に支持されている。起上台2 は、回動レバー45から離れる方向に摺動可能である。
【0047】
図1は、起上台2 及び回動レバー45が組み立てられた状態の図である。図2は、回動レバー45が起上台2 から引き出された状態の図である。内視鏡先端部1 の個々の部材を以下に詳細に説明する。
【0048】
内視鏡先端部本体11
内視鏡先端部本体11は円筒体として構成され、処置具挿通チャンネル13及び制御ワイヤチャンネル15を有しており、処置具挿通チャンネル13及び制御ワイヤチャンネル15は夫々、内視鏡先端部本体11の長手方向に互いと平行に延びている。制御ワイヤチャンネル15は、起上台2 を操作するための後述する制御ワイヤを含んでいる。例えば食道、十二指腸、胆管、胆嚢、膵管、膵臓などを検査するための微小な処置具が処置具挿通チャンネル13内に案内される。
【0049】
内視鏡先端部本体11は、内視鏡先端部本体11の近位側端部の側面と平行に延びている溝12を内視鏡先端部本体11の外周面に有しており、溝12は、内視鏡用キャップ3 のための係合溝として機能する。
【0050】
内視鏡先端部本体11は内視鏡先端部本体11の遠位側に延長部分を有しており、例えば図4に示されているように、観察部16及び照明部17が延長部分に公知のように設けられている。
【0051】
内視鏡先端部本体11は、処置具挿通チャンネル13のための内面131 を有する円筒状の開口部を内視鏡先端部本体11の近位側端部に有しており、可撓性の管部材として形成されている実際の処置具挿通チャンネル部材(不図示)がこの開口部内に配置されている。処置具挿通チャンネル部材は、内視鏡先端部本体11に挿入されると近位方向に延びて、微小な処置具を案内すべく機能する。
【0052】
図1に示されているように、内視鏡先端部本体11の遠位側端部に湾曲部133 が設けられている。処置具挿通チャンネル部材(不図示)は、湾曲部133 の近位側でラジアル接触面137 に接する程度に、内面131 を有する開口部に挿入される。従って、処置具挿通チャンネル13は湾曲部133 を有し、処置具挿通チャンネル13の方向が略直線に進んで湾曲部133 で変わり始める。
【0053】
この湾曲部133 は、内面131 を有する開口部の延ばされた中心軸に向かって遠位側に湾曲するように延びており、このため、後述する湾曲状部材432 と共に機能する。図2参照。内視鏡先端部本体11に対して回動可能な起上台2 は、処置具挿通チャンネル13の遠位側出口に位置決めされている。従って、処置具挿通チャンネル13は、湾曲部133 の下流側で起上台2 の方に遠位方向に更に延びている。
【0054】
起上台2
起上台2 は、図1の前(近位)側にフォーク(二又)22を有する起上台本体21を有しており、起上台2 を回動させるために回動レバー45がフォーク22に挿入される。図2に示されているように、フォーク22は、近位側に向かって夫々挿入面221 になる2つの平行な接触面(図2には下側の接触面のみが示されている)を有している。挿入面221 は近位側に向かって傾斜した表面である。挿入面221 は、遠位側で接触面222 になる。図2には下側の挿入面221 のみが示されている挿入面221 は、回動レバー45をフォーク22に挿入するために機能する。回動レバー45は、挿入された状態では、接触面222 の少なくとも1つに接するようにフォーク22に位置決めされている。回動レバー45は、フォーク22に挿入される回動レバーアーム452 を有している。回動レバー45の回動レバーアーム452 は直方体状に形成されており、図2に示されているように、内視鏡先端部本体11の長手方向に延びている上側挿入面453 及び下側挿入面453 を互いに対向させて有している。上側挿入面453 のみが図2に示されている。好ましくは、回動レバーアーム452 の厚さ、つまり、互いから離れる方向を向いた挿入面453 間の距離は、起上台2 のフォーク22の平行な接触面222 間の距離より僅かに小さい。従って、回動レバー45は、起上台2 のフォーク22に容易に挿入され得る。
【0055】
回動レバーアーム452 は後述する回転軸451 を有しており、回動レバーアーム452 は、回転軸451 を中心として回動又は回転することができる。
【0056】
起上台2 は、図1に示されているように起上台2 が内視鏡先端部本体11に対して位置決めされると、処置具挿通チャンネル13の延長部分を形成する処置具挿通チャンネル面24を有している。処置具挿通チャンネル面24は、内視鏡先端部1 の延長方向に設けられて処置具挿通チャンネル面24の遠位側端部25で終わる湾曲部分を有している。処置具挿通チャンネル面24は内側に湾曲している、つまり凹状である。
【0057】
処置具挿通チャンネル13を通って案内されるガイドワイヤのような処置具が湾曲部133 によって持ち上げられ、近位方向に更に進められると、起上台2 の処置具挿通チャンネル面24と接する。
【0058】
起上台2 は、内視鏡先端部本体11に対して回動可能である。ここで、内視鏡先端部本体11の長手方向に見ると、処置具挿通チャンネル面24の遠位側端部25が起上台2 の回動位置で起上台2 の支点に対して近位側にあるように、起上台2 の支点及び物理的な構成が選択されている。
【0059】
内視鏡用キャップ3
内視鏡用キャップ3 は、底部を有する円筒体として形成されている。内視鏡用キャップ3 の底部は内視鏡用キャップの遠位側にある。内視鏡用キャップ3 を使用するとき、内視鏡用キャップ3 を内視鏡先端部本体11に取り付ける。内視鏡用キャップ3 の外面は、検査される対象に内視鏡先端部1 を挿入するための要件を満たすように底部の領域では丸められている。
【0060】
内視鏡用キャップ3 は、図3に示されているように上方に向いた開口部31を有している(図3参照)。内視鏡先端部1 が使用されるとき、内視鏡用キャップ3 の開口部31は、処置具挿通チャンネル13を通って案内される処置具のための横方向に開いた窓を形成している。
【0061】
内視鏡用キャップ3 は、円形状、湾曲状又はあらゆる他の形状を有してもよい内部に突出する係合鼻部32を内視鏡用キャップ3 の近位側端部に内視鏡用キャップ3 の全周に沿って有している。内視鏡用キャップ3 が内視鏡先端部本体11に取り付けられると、この係合鼻部32は、内視鏡先端部本体11の溝12と係合可能である。溝12は、係合鼻部32の形状に対応する形状を有する。
【0062】
内視鏡用キャップ3 は、内視鏡用キャップ3 の内部の開口部31の反対側にレバー保持具34を有しており、レバー保持具は、内視鏡用キャップ3 の内周面から突出する突部として形成されている。図3~5参照。
【0063】
レバー保持具34は、内視鏡用キャップ3 の長手延長部分と垂直に延びている孔35を有しており、図5に示されているように、起上台2 の回動突部26が孔35に挿入されている。図1及び2では、起上台2 の回動突部26は、観察者の方を向いた起上台2 の側にあるが、明瞭化のため且つ断面図の切断位置のため、これらの図面では省略されている。回動突部26は円筒状であり、起上台2 のフォーク22から横方向に延びている。
【0064】
回動突部26がレバー保持具34の孔35内で容易に回転可能であるように、回動突部26の外径が選択されている。例えば、回動突部26の外径は、孔35の内径より僅かに小さくてもよい。
【0065】
図5に示されているように、回動突部26は、回動突部26の長手方向に延びているスリット27をフォーク22の反対側に有してもよい。回動突部26がスリット27の領域で内側に僅かに圧縮され得るので、スリット27はレバー保持具34の孔35への回動突部26の挿入を容易にする。或いは、回動突部26は固体の円筒状突部として形成されてもよい。
【0066】
内視鏡用キャップ3 が内視鏡先端部本体11に取り付けられると、起上台2 の回動突部26の中心軸が回動レバーアーム452 の回転軸451 の中心軸と並ぶ。これは、両方の中心軸が同一の線上にあることを意味する。
【0067】
従って、起上台2 は内視鏡用キャップ3 に一体化されており、起上台2 及び内視鏡用キャップ3 の両方は共通の組立体を形成しており、一体として内視鏡先端部本体11に対して移動可能である。
【0068】
起上台2 は、回動突部26の軸芯(孔35の軸芯)を中心として内視鏡用キャップ3 の開口部31に向かって回動する。
【0069】
側部支持部材4
側部支持部材4 は回動レバー45を回転自在に支持している。側部支持部材4 は、断面で略L字状の板部材である内側部材43を有している。図3参照。内側部材43は回動レバー45を支持すべく機能し、回動レバー45は内側部材43に回転自在に支持されている。より正確には、内側部材43は、内視鏡先端部本体11に組み立てられると、内視鏡先端部本体11の長手方向に延びている。内側部材43は角度を成す板の形状を有し、角形成線は内視鏡先端部本体11の長手方向に延びており、板形状の内側部材43を、より大きな板部分(図3の上側板部分)及びより小さな板部分(図3の下側板部分)に分ける。より大きな板部分はL字状の長いすね部を形成し、より小さな板部分はL字状の足部を形成している。より大きな上側板部分及びより小さな下側板部分の両方と一体に形成された材料補強部433 が、長手方向に見ると、内側部材43の中央領域に設けられている。回動レバー45の軸体451 のための軸受として機能する受入孔44が、内側部材43の延長方向と垂直にこの補強部433 を通って延びている。回動レバー45の円筒状の軸体451 は補強部433 の受入孔44を通って挿入されている。
【0070】
軸体451 が補強部433 の受入孔44内で容易に回転可能であるように、軸体451 の外径が選択されている。例えば、軸体451 の外径は、受入孔44の内径より僅かに小さくすることができる。
【0071】
内側部材43は、内視鏡先端部本体11に組み立てられると、処置具挿通チャンネル13の一部を形成する湾曲状部材432 を補強部433 の近位側に有している。図2参照。より正確には、湾曲状部材432 及び湾曲部133 は、上述したように処置具挿通チャンネルの湾曲部分を形成すべく協働する。
【0072】
内側部材43は平坦な近位側端面431 を有している。
【0073】
更に側部支持部材4 は、側部支持部材4 の径方向の外部を形成する外側部材41を有している。外側部材41は、図3に示されているように側部支持部材4 の覆いとして機能し、外側に湾曲した形状を有する。言い換えれば、外側部材41は一定の肉厚を有する湾曲した板部材によって形成されており、内視鏡用キャップ3 は外側部材41の外面に取付け可能である。
【0074】
外側部材41の湾曲した板部材は、内側部材43に対向する湾曲した内面を有している。従って、外側部材41の内面は凹状である。外側部材41は、展開図では矩形状である。外側部材41は、長手方向に延びている端面で内側部材43に接している。より正確には、図3を見ると、外側部材41の長手方向に延びている上側の端面が、内側部材43の(より大きな)上側板部分の長手方向に延びている上側の端面と接し、外側部材41の長手方向に延びている下側の端面が、内側部材43の足部(より小さな下側板部分)の長手方向に延びている端面と接し、足部の端面は内側部材43の(より大きな)上側板部分から離れる方向に延びている。従って、図3に示されているように、外側部材41と内側部材43との間に間隙42が形成されている。
【0075】
外側部材41の外周面の近位側に、周方向に延びている溝415 が設けられている。内視鏡先端部本体11の溝12と同様に、溝415 は、内視鏡用キャップ3 の係合鼻部32の形状に適合されており、溝12と共に内視鏡用キャップ3 の係合及び保持を可能にすべく機能する。
【0076】
外側部材41は平坦な近位側端面411 を有している。
【0077】
外側部材41の近位側端面411 及び内側部材43の近位側端面431 が内視鏡先端部本体11の遠位側に対向する取付面19に、例えば接着によって取り付けられるように、側部支持部材4 が内視鏡先端部本体11に配置されている。従って、内視鏡先端部本体11及び側部支持部材4 は共通の組立体を形成し得る。制御ワイヤチャンネル15の遠位側端部が間隙42に開口しているように、側部支持部材4 は取付面19に配置されている。
【0078】
回動レバー45の回動レバーアーム452 の反対側に、図6に示されているように、作動レバー454 が回動レバー45の円筒状の軸体451 に配置されており、軸体451 に形状が適合するように取り付けられ得る。作動レバー454 を回動レバー45の円筒状の軸体451 に取り付ける他の方法も可能である。作動レバー454 は、例えば回動レバーアーム452 の反対側の円筒状の軸体451 の端部に接着され得る。ここで、明瞭化のために、内側部材43及び外側部材41が図6では省略されていることに留意すべきである。作動レバー454 は、内側部材43と外側部材41との間の間隙42に収容されている。間隙42は、外側部材41と、内側部材43と、取付面19と、外側部材41及び内側部材43の遠位側で間隙42を密閉する、図面に示されていない遠位側の覆いとの間に画定された閉じた空間である。
【0079】
作動レバー454 は制御ワイヤニップル受け部材455 を軸体451 の反対側に有しており、制御ワイヤ(不図示)のニップルが制御ワイヤニップル受け部材455 に挿入されている。制御ワイヤは、例えばジョイスティックのような制御部材によって、内視鏡先端部1 の近位側から作動させられる。制御ワイヤが制御部材によって引っ張られると、作動レバー454 は、軸体451 に形成された作動レバー454 の支点を中心として回動(回転)する。制御ワイヤは、制御ワイヤニップル受け部材455 に挿入されたニップルから、内側部材43及び外側部材41間の間隙42を通って内視鏡先端部本体11の制御ワイヤチャンネル15内に近位方向に延びており、制御ワイヤチャンネル15から更に内視鏡のカテーテルを通って制御部材に延びている。制御ワイヤニップル受け部材455 は、制御ワイヤに加えられる力を受けてこの力を回動レバー45に伝える力受け部材を形成している。
【0080】
円筒状の軸体451 の外周部に、少なくとも1つの密閉環5 が円筒状の軸体451 と補強部433 の受入孔44との間に密閉部材として配置されている。密閉環5 が図6に示されている。密閉環5 は、回動部材45と起上台2 との間を密閉する機能を有する。言い換えれば、密閉環5 は間隙42を密閉する。
【0081】
用途
上記に説明したように、内視鏡用キャップ3 及び起上台2 は共通の組立体を形成しており、この組立体は分離しており、内視鏡先端部本体11及び側部支持部材4 によって形成された組立体から分離可能である。図7~9は、内視鏡用キャップ3 を内視鏡先端部本体11に取り付ける方法を概略的に示す。より分かり易い図示のために、内視鏡用キャップ3 は透明で示されている。
【0082】
図7は、内視鏡用キャップ3 が内視鏡先端部本体11及び側部支持部材4 から分離している状況を示す平面斜視図である。起上台2 のフォーク22が、遠位側に延びている回動レバーアーム452 の方に向いて回動レバーアーム452 と並ぶように、内視鏡用キャップ3 はユーザによって回転させられる。容易に並べるために、内視鏡用キャップ3 及び内視鏡先端部本体11は、例えば夫々の外面に設けられた印を有し得る。この相対位置で、内視鏡用キャップ3 は内視鏡先端部本体11上に近位方向に摺動し、従って、内視鏡用キャップ3 の係合鼻部32が溝12及び溝415 と係合するまで、起上台2 のフォーク22も回動レバーアーム452 上を摺動する。図8及び9参照。より正確には、回動レバーアーム452 の上方及び下方に向いた挿入面453 がフォーク22の接触面222 と対向するように、回動レバーアーム452 をフォーク22に挿入する。本発明によれば、内視鏡用キャップ3 を内視鏡先端部本体11と係合させた位置では、回転軸451 及び回動突部26は軸方向に並んでいる。
【0083】
制御ワイヤが近位側に引っ張られると、作動レバー454 は、軸体451 に形成された作動レバー454 の支点を中心として回動する。同様に、回動レバー45の軸体451 、ひいては回動レバーアーム452 が回転(回動)する。次に、フォーク22内での回動レバー45の回転によって起上台2 が回動する。
【0084】
利点
内視鏡用キャップ3 及び起上台2 は、内視鏡先端部本体11及び側部支持部材4 から構成された組立体から分離可能な共通の組立体を形成しているので、内視鏡用キャップ3 及び起上台2 は、単回使用のための組立体として構成され得る。
【0085】
内視鏡先端部本体11及び側部支持部材4 から構成された組立体の洗浄及びリプロセスを容易に行うことができる。内視鏡先端部本体11及び側部支持部材4 によって形成された本発明の組立体は、いかなるアンダーカット部分、又は起上台自体若しくは内視鏡先端部本体に取り付けられた起上台に達するのが困難な箇所も有しない。洗浄のためのすすぎ液は、内視鏡先端部本体11及び側部支持部材4 から構成された組立体の周囲を容易に流れることができ、組立体の周囲から異物粒子を除去することができる。
【0086】
内視鏡先端部1 を再使用するとき、内視鏡用キャップ3 及び起上台2 から構成された新しい組立体を単に取り付けるだけである。このように、内視鏡先端部1 の汚染が更に防止され得る。患者は、これまでの使用中に内視鏡先端部に付着した細菌から更に保護される。
【0087】
第2実施形態
本発明の第2実施形態を図10~15を参照して以下に説明する。
【0088】
図10~12は、第2実施形態の内視鏡先端部本体を示す斜視図である。第1実施形態の夫々の要素と同一の第2実施形態の要素は更に説明されず、図示されている場合には、同様の参照番号が付与されている。
【0089】
主として第1実施形態との差異を以下に説明する。第1実施形態とは異なり、第2実施形態に係る回動レバーは、内視鏡先端部本体から分離可能な支持部材に設けられておらず、内視鏡先端部本体に一体化されている。第2実施形態の起上台は第1実施形態の起上台とは異なる。
【0090】
内視鏡先端部1001は内視鏡先端部本体1011を備えており、内視鏡先端部本体1011は、内視鏡用キャップ1003に囲まれた起上台1002を内視鏡先端部本体1011の遠位側端部に有している。起上台1002は、内視鏡先端部本体1011に対して回動可能であるように配置されており、回動レバー1045によって回動する。回動レバー1045は、内視鏡先端部本体1011に回転自在に支持されている。起上台1002は、回動レバー1045から離れる方向に摺動可能である。
【0091】
従って、内視鏡先端部1001は2つの組立体を備えており、つまり、第1の組立体としての回動レバー1045が取り付けられた内視鏡先端部本体1011と、第2の組立体としての起上台1002が取り付けられた内視鏡用キャップ1003とを備えている。これら2つの組立体をより詳細に以下に説明する。
【0092】
回動レバー1045が取り付けられた内視鏡先端部本体1011
内視鏡先端部本体1011は円筒体として構成され、処置具挿通チャンネル1013及び制御ワイヤチャンネル1015を有しており、処置具挿通チャンネル1013及び制御ワイヤチャンネル1015は夫々、内視鏡先端部本体1011の長手方向に互いと平行に延びている。制御ワイヤチャンネル1015は、起上台1002を操作するための制御ワイヤ1007を含んでいる。検査のための微小な処置具は処置具挿通チャンネル1013内に案内される。内視鏡先端部本体1011は延長部分を遠位側に有しており、観察部1016及び照明部1017が延長部分に公知のように設けられている。
【0093】
内視鏡先端部本体1011は、長手方向に見て内視鏡先端部本体1011の中央部分に、横方向に向いた開口部、つまり、内視鏡先端部本体1011の長手軸芯と垂直に延びている開口部を有しており、回転軸1451が、回動レバー1045のための軸体として開口部に挿入されている。従って、開口部は、回転軸1451のための軸受を形成している。開口部に関して、回転軸1451は、例えば一又は複数の密閉環によって密閉されている。回転軸1451は、内視鏡先端部本体1011の内部に、より正確には制御ワイヤチャンネル1015内に延びている。図13参照。回転軸1451は、図13~15に示されているように、回転軸1451の軸に形状が適合するように取り付けられた作動レバー1454を、回転軸1451の内端部に有している。作動レバー1454は、力受け部材としての制御ワイヤニップル受け部材1455を回転軸1451の反対側の端部に有しており、制御ワイヤ1007の引張力が、制御ワイヤニップル受け部材1455によって作動レバー1454に加えられ得る。制御ワイヤ1007の制御ワイヤニップル1071が制御ワイヤニップル受け部材1455に挿入されている。制御ワイヤニップル受け部材1455は、作動レバー1454に対して回転可能な制御ワイヤニップル1071を保持するフックの形状で形成されている。
【0094】
回転軸1451は、回転軸1451の外端部で、回動レバー1045を形成する直方体の平坦な形状で一体に形成されている。より正確には、回動レバー1045及び回転軸1451は、内視鏡先端部本体1011に外側から挿入され得るユニットとして形成されている。内側からは、作動レバー1454が摺動して取り付けられる。
【0095】
回動レバー1045は、静止位置で水平方向に延びている2つの表面1453を互いに対向させて回動レバー1045の平坦な直方体形状部分に有している。図10に示されているように、遠位側の表面1453及び近位側の表面1453が夫々の半径に統合するように、回動レバー1045は、平坦な直方体形状の遠位側端面及び近位側端面で丸められている。
【0096】
内視鏡先端部本体1011では、制御ワイヤチャンネル1015は、内視鏡先端部本体1011の遠位側で環境に対して密閉されるスペースを形成している。
【0097】
起上台1002が取り付けられた内視鏡用キャップ1003
内視鏡用キャップ1003は、底部を有する円筒体として形成されており、内視鏡用キャップ1003の底部は遠位側にあり、内視鏡用キャップ1003が内視鏡先端部本体1011に取り付けられると、検査される対象に挿入され得るように外側で丸められている。
【0098】
内視鏡用キャップ1003は、図10では上方に向いた開口部1031を有しており、開口部1031は、内視鏡先端部1001が使用されるときに処置具挿通チャンネル1013を通って案内される処置具のための横方向に開いた窓を形成している。
【0099】
内視鏡用キャップ1003は、起上台1002のための軸受として機能する横方向の孔を、近位側の開口部端部まで距離を置いて有している。
【0100】
起上台1002はシャベルのように形成され、支点を有している。より具体的には、起上台1002は起上台本体1201を有しており、起上台本体1201は、図12及び13では下側でシャベル1230になる。起上台本体1201から進むと、シャベルは一側に湾曲している。シャベル1230は、近位側に平坦なシャベル部1231を有し、遠位側に湾曲状のシャベル部1232を有している。平坦なシャベル部1231及び湾曲状のシャベル部1232は、処置具挿通チャンネル1013から起上台1002に向かって案内される処置具などを案内するための案内面を内側に形成している。
【0101】
従って、この案内面は処置具挿通チャンネル1013の延長部分を形成している。平坦なシャベル部1231及び湾曲状のシャベル部1232から形成された案内面はシャベル1230の内面であり、凹状に湾曲している。横から見ると、平坦なシャベル部1231は、湾曲状のシャベル部1232から処置具挿通チャンネル1013の出口に接線方向に延びている。起上台1002は、起上台1002が回動していない静止位置にあるとき、平坦なシャベル部1231及び処置具挿通チャンネル1013の遠位側出口領域が図13の底部側(回動レバー1045の径方向の反対側である内視鏡先端部本体1011の側)で肩部無しで優先的に同一平面上にあるように、起上台1002は内視鏡先端部本体1011に接する。結果として、処置具は、処置具挿通チャンネル1013から平坦なシャベル部1231に妨害されずに進められ得る。
【0102】
図12に示されているように、シャベル1230の反対側に挿入溝1210が起上台本体1201に設けられている。起上台1002の静止位置では、挿入溝1210は水平方向に、つまり、内視鏡先端部1001の長手方向に延びている。
【0103】
図12に示されている挿入溝1210は、互いに対向する2つの平行な接触面1222によって画定されており、接触面の内、下側の接触面のみが図12に示されている。上側の接触面は、起上台1002の上部1202の下側に設けられている。回動レバー1045は、挿入溝1210に平行な接触面1222を用いて挿入される。挿入された状態では、挿入溝1210の接触面1222が回動レバー1045の表面1453と対向するように、回動レバー1045は挿入溝1210に位置決めされている。
【0104】
起上台本体1201は、シャベル1230の反対側の挿入溝1210の領域に回動突部1026を有しており、回動突部1026は、シャベル1230の延長方向の反対方向に起上台本体1201から延びている。回動突部1026は円筒状に構成されている。回動突部1026が、軸受として機能する内視鏡用キャップ1003の横方向の孔内で容易に回転可能であるように、回動突部1026の外径が選択されている。回動突部1026の外径は、例えば内視鏡用キャップ1003の横方向の孔の内径より僅かに小さくすることができる。図10に示されているように、起上台1002の回動突部1026は内視鏡用キャップ1003の横方向の孔に挿入されている。
【0105】
用途
内視鏡用キャップ1003は、第1実施形態と同様に内視鏡先端部本体1011に取り付けられ得る。
【0106】
内視鏡先端部本体1011及び内視鏡用キャップ1003は、第1実施形態の溝12及び係合鼻部32と同様の溝及び鼻部を有し得る。或いは、内視鏡先端部本体1011の外周部の環状突部1019が、内視鏡用キャップ1003が内視鏡先端部本体1011に取り付けられるときに内視鏡用キャップ1003の内径で堅固に圧入されるような外径を有し得る。更なる代替例では、内視鏡用キャップ1003の内面に更に確実に圧入されるために、環状突部1019の外面に溝又は凹部が設けられ得る。
【0107】
内視鏡用キャップ1003は内視鏡先端部本体1011に押し付けられ、同時に、回動レバー1045が起上台1002の挿入溝1210に押し付けられる。このため、回動レバー1045の上方及び下方に向いた挿入面1453が起上台1002の接触面1222と対向するように、回動レバー1045は挿入溝1210に挿入される。本発明によれば、内視鏡用キャップ1003が内視鏡先端部本体1011に取り付けられて使用可能状態にある位置では、回転軸1451及び回動突部1026は軸方向に並んでいる。
【0108】
図13~15は夫々、起上台が静止位置にある状況、起上台が中間位置にある状況、及び起上台が完全に回動した位置にある状況の第2実施形態の起上台の回動操作を示す。
【0109】
図13は、起上台1002の静止位置を示す。作動レバー1454は、回転軸1451から略直角に径方向の外側(図13の上側)に延びている。この位置では、制御ワイヤ1007はニップル1071を介して作動レバー1454にいかなる負荷もかけない。起上台1002のシャベル1230は、処置具挿通チャンネル1013の遠位側出口で内視鏡先端部本体1011に接する。
【0110】
制御ワイヤ1007が近位側に引っ張られると、作動レバー1454は、軸体1451に形成された作動レバー1454の支点を中心として回動する。図14の中間位置参照。軸体1451、ひいては回動レバー1045は対応して回転(回動)する。次に、起上台1002の挿入溝1210に位置決めされた回動レバー1045の回転(回動)によって、起上台1002が回動する。起上台1002の近位側端部は、内視鏡先端部本体1011で処置具挿通チャンネル1013の遠位側出口から離れる。
【0111】
制御ワイヤ1007が近位側に更に引っ張られると、作動レバー1454は完全に回動した端位置に達する。図15参照。これは図15に示されていないが、端位置で起上台1002のシャベル1230の遠位側端部1025が、内視鏡先端部本体1011の長手方向に見ると回動部材1045の回動軸1451に対して近位側にある位置に達する程度に、回動部材1045の回動軸1451を中心として回動可能であるように、起上台1002のシャベル1230は延ばされ得る。
【0112】
利点
もたらされる利点は、第1実施形態の利点と同様である。
【0113】
第1実施形態の側部支持部材4 は省略されることができ、回動部材1045は内視鏡先端部本体1011に一体化されているので、内視鏡先端部本体1011の外面はアンダーカット部分がより少なくなり、その結果、洗浄がより容易になる。
【0114】
内視鏡用キャップ1003及び起上台1002は共通の組立体を形成しており、この組立体は、内視鏡先端部本体1011から分離されることができ、単回使用のための組立体として構成され得る。
【0115】
起上台1002の回動端位置では、シャベル1230の遠位側端部1025が、内視鏡先端部本体1011の長手方向に見ると、回動部材1045の回動軸1451に対して近位側に位置決めされ得るので、90°を遥かに超える出口角が処置具のために達成され得る。このため、ユーザが操作できる範囲がかなり広くなる。例えば、内視鏡先端部本体が十二指腸内で胆管の出口の向かい側に位置決めされると、処置具の例えば胆管内への挿入が遥かに簡単になる。
【0116】
更なる代替例
第1実施形態の内視鏡先端部本体11は、周方向の係合鼻部32が係合する溝12として係合溝を有している。内視鏡用キャップ3 を内視鏡先端部本体11と係合させ得るために、溝12が周方向の溝である必要はなく、内視鏡先端部本体11の周部の一部のみに延びてもよい。溝12の代わりに、一又は複数の係合凹部が内視鏡先端部本体11の周部に設けられてもよい。そのため、周方向の係合鼻部32の代わりに、径方向の内側に突出する一又は複数の係合突部が内視鏡用キャップの近位側に設けられることができ、係合突部は、位置及び形状に関して内視鏡先端部本体11の周部の係合凹部に適している。このように、内視鏡用キャップ3 が押し付けられると、内視鏡先端部本体11に対する内視鏡用キャップ3 の正確な位置関係が予め定められ得る。
【0117】
第1実施形態の内視鏡先端部1 では、係合溝が、内視鏡先端部本体11の溝12の溝部分及び側部支持部材4 の溝415 の溝部分から構成されている周方向の係合溝として延びている。係合溝が内視鏡先端部本体11の周部のみに設けられているように、構造が変更され得る。
【0118】
第1実施形態では、側部支持部材4 の近位側端面411, 431が取付面19に接着されるように、側部支持部材4 は内視鏡先端部本体11に配置されている。本発明はこのような構造に制限されない。側部支持部材4 は更に、係合手段を近位側に有するように形成されることができ、係合手段によって、側部支持部材4 は取付面19と係合可能である。例えば、取付面19は、近位側端面411 及び/又は近位側端面431 の対応する開口部に挿入され得る遠位側に延びるピンを有し得る。
【0119】
第1実施形態では、回動レバーアーム452 の挿入面453 、及び起上台が回動レバーに取り付けられた位置では挿入面453 に対向して配置されるフォーク22の接触面222 は平面として示されている。挿入面453 及び対向する接触面222 は、挿入面453 及び接触面222 間の位置関係をより正確に定めるために内視鏡先端部の長手方向に延びている互いに適した溝/凹部を有し得る。
【0120】
回動レバーアーム452 及びフォーク22間、並びに回動部材1045及び起上台本体1201間の他のタイプの連結が可能である。例えば、起上台は回動部材に、クリックオン連結若しくは係止連結によって、互いに対向する接触面間の十分に高い接着摩擦によって、又はフック部材などによって取り付けられ得る。
【0121】
更なる変形例では、起上台は、回動部材にねじで締められるか、又は副木若しくはピンなどによって回動部材に連結されることができる。
【0122】
第2実施形態では、シャベル1230の内面の案内面は、平坦なシャベル部1231及び湾曲状のシャベル部1232によって形成されている。平坦なシャベル部1231は省かれ得る。優先的に、起上台1002の静止位置では、湾曲状のシャベル部1232及び処置具挿通チャンネル1013の遠位側出口部分が、図13の下側で好ましくは肩部無しで同一平面上にあるように、起上台1002は内視鏡先端部本体1011に接する。従って、第2実施形態でも、シャベルの内面1232は、内視鏡先端部本体1011の直線状の処置具挿通チャンネル端部から起上台1002の処置具挿通チャンネル延長部分を形成する湾曲状のシャベル内面1232に接線を形成するように湾曲し得る。
【0123】
或いは、第1実施形態の起上台2 は第2実施形態で使用され得る。
【0124】
起上台2; 1002 及び内視鏡用キャップ3; 1003 は共通の組立体を形成する必要はない。代替例として、起上台が内視鏡用キャップから独立して回動部材で相対的に移動可能であるように、構造は選択され得る。そのため、第1実施形態のレバー保持具34及び第2実施形態の横方向の孔が内視鏡用キャップで省かれ得る。この代替例では、まず起上台を回動部材に取り付けて、その後、内視鏡用キャップを内視鏡先端部本体に取り付ける。
【0125】
更なる変形例では、フォーク22のようなフォークが回動部材に設けられることができ、回動レバーアーム452 のようなアームが起上台に設けられることができる。
【0126】
本発明は十二指腸内視鏡のみに適用され得るわけではない。本発明の原理は、超音波内視鏡にも適用され得る。
【0127】
本実施形態では、1つの処置具挿通チャンネルが示されており、この処置具挿通チャンネルの端部に起上台が設けられている。本発明は、起上台を処置具挿通チャンネルの端部に夫々有している複数の処置具挿通チャンネルを備えた内視鏡にも適用可能である。
【0128】
上述された代替例は組み合わせられることができ、全ての実施形態に適用され得る。
【0129】
上述した実施形態の内視鏡は、腸管のための軟性内視鏡として形成され得る。内視鏡は操作部及び挿入部を備えている。操作部は近位側にあり、挿入部は内視鏡の遠位側にある。(図面に示されていない)操作部は、起上台を作動させるための作動レバー(例えばジョイスティック又は簡単なレバーロッド)、処置具挿通チャンネル入口、及び内視鏡の湾曲部を曲げるための制御ノブを有している。操作部は、ビデオプロセッサ、光源装置、表示装置などに接続されている。
【0130】
挿入部は長い管状の要素である。挿入部の近位側端部は操作部に連結されている。挿入部は、操作部から見て軟性部、湾曲部及び内視鏡用キャップをこの順に有している。軟性部は弾性を有する。湾曲部は、制御ノブの作動に応じて曲げられる。湾曲部の遠位側端部に硬性の端部が形成されている。硬性の端部は、いわゆる内視鏡先端部を形成している。
【0131】
内視鏡用キャップは、内視鏡先端部を内視鏡先端部の遠位側から覆っている。内視鏡用キャップは、底部を有して内視鏡用キャップが内視鏡先端部を覆う側に開口部を更に有する円筒体の形状を有する。従って、内視鏡用キャップは、内視鏡先端部上に容易に押し付けられ得る。
【0132】
内視鏡用キャップ内で、起上台は回動自在に支持されている。内視鏡用キャップ及び起上台は、例えばプラスチックから形成されている。
【0133】
内視鏡用キャップ及び起上台は、例えば3Dプリンタ又は射出成形によってプラスチックから形成されていることが好ましい。3Dプリンタ又は射出成形によって製造することにより、内視鏡用キャップ及び起上台は正確に、しかし低コストで製造され得る。更に適切な製造方法が、正確でコスト効率の良い製造を可能にする限り使用され得る。内視鏡用キャップ及び起上台は別々に製造され、単回使用のために組立体として構成されていることが好ましい。
【0134】
起上台は、内視鏡の近位側で作動レバーによって作動させられる。制御ワイヤは、作動レバー及び起上台を連結する。
【0135】
内視鏡先端部で、制御ワイヤは、内視鏡の内部に、つまり操作部及び挿入部の内部に案内される。例えば図13~15に示されているように、制御ワイヤチャンネルは制御ワイヤの最後の部分を案内するために内視鏡先端部に設けられている。作動レバー454, 1454 は、制御ワイヤチャンネルの遠位側端部に配置されている。制御ワイヤの端部は作動レバー454, 1454 に挿入されている。作動レバー454, 1454 の回転軸451, 1451 は、起上台を回転(回動)させるために回動レバー45, 1045に延びているように、壁を通って、つまり第1実施形態の内側部材43又は第2実施形態の内視鏡先端部本体1011の内壁を通って延びている。従って、作動レバー454, 1454 及び回動レバー45, 1045は壁によって分離されており、回転軸451, 1451 は壁に密閉して支持されている。起上台は、制御ワイヤから完全に分離されている。この構造によって、制御ワイヤチャンネルは密閉され、制御ワイヤは環境に対して完全に密閉されている。制御ワイヤチャンネル及び制御ワイヤは液密に密閉されている。更に、内視鏡用キャップは制御ワイヤから完全に独立している。
【符号の説明】
【0136】
1 内視鏡先端部
2 起上台
3 内視鏡用キャップ
4 側部支持部材(支持部材)
5 密閉環(密閉部材)
11 内視鏡先端部本体
12 係合溝
13 処置具挿通チャンネル
15 制御ワイヤチャンネル
16 観察部
17 照明部
19 取付面
21 起上台本体
22 起上台のフォーク
24 起上台の処置具挿通チャンネル内面
25 処置具挿通チャンネル内面の遠位側端部
26 回動突部
27 スリット
31 内視鏡用キャップの処置具挿通チャンネル端開口部
32 内視鏡用キャップの係合鼻部
34 レバー保持具
35 孔
41 外側部材
42 間隙
43 内側部材
44 受入孔
45 回動レバー(回動部材)
131 処置具挿通チャンネル部材のための内面
133 処置具挿通チャンネルの湾曲部
137 ラジアル接触面
221 挿入面
222 接触面
411 近位側表面(端面)
431 近位側表面(端面)
432 湾曲状部材
433 補強部
451 回動レバーの回転軸(回動部材の軸芯)
452 アーム
453 挿入面
454 作動レバー
455 制御ワイヤニップル受け部材(力受け部材)
1001 内視鏡先端部
1002 起上台
1003 内視鏡用キャップ
1007 制御ワイヤ
1011 内視鏡先端部本体
1013 処置具挿通チャンネル
1015 制御ワイヤチャンネル
1016 観察部
1017 照明部
1019 環状突部
1026 回動突部
1031 開口部
1045 回動レバー
1071 制御ワイヤニップル
1201 起上台本体
1202 上部
1210 挿入溝
1222 接触面
1225 遠位側端部
1230 シャベル
1231 平坦なシャベル部
1232 湾曲状のシャベル部
1451 回動レバーの回転軸(回動部材の軸芯)
1453 表面
1454 作動レバー
1455 制御ワイヤニップル受け部材(力受け部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15