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特許7044840エクササイズコース採点方法、エクササイズコース採点システム、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】エクササイズコース採点方法、エクササイズコース採点システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/06 20060101AFI20220323BHJP
   A63B 69/00 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
A63B71/06 M
A63B69/00 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020140096
(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公開番号】P2021154102
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2020-12-07
(31)【優先権主張番号】109110644
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】506200197
【氏名又は名称】莊 龍飛
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】特許業務法人服部国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】莊 龍飛
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0247716(US,A1)
【文献】米国特許第8260667(US,B2)
【文献】米国特許第8465397(US,B2)
【文献】特開2017-42620(JP,A)
【文献】特開2015-59935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 71/06
A63B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一慣性測定ユニットを含むウェアラブル装置を有するエクササイズコース採点システムに適用されるエクササイズコース採点方法であって、
(1.1)少なくとも1台のビデオカメラによりコーチの動きのコースビデオを撮るステップと、
(1.2)第二慣性測定ユニットにより、複数のサンプリングポイントを含みかつ各前記サンプリングポイントが複数の加速度値を含むコーチ運動データを記録するステップと、
(1.3)タイムコードに基づいて前記コーチ運動データと前記コースビデオとを同期するステップと、
(1.4)前記コースビデオと前記コーチ運動データをクラウドデータベースに格納するステップと、
(1.5)スマート装置によりディスプレイを通して前記コースビデオを再生して、前記コースビデオに対応する前記コーチ運動データを取得し、前記コーチ運動データからコーチ区画を取得するステップと、
(1.6)前記第一慣性測定ユニットにより、複数のサンプリングポイントを含みかつ各前記サンプリングポイントが複数の加速度値を含む生徒運動データを取得し、前記生徒運動データから生徒区画を取得し、前記生徒区画の開始点が前記コーチ区画の開始点の前にあり、前記生徒区画の終了点が前記コーチ区画の終了点の後にあるステップと、
(1.7)前記生徒区画と前記コーチ区画に対してオープンビギンエンドダイナミックタイムワーピングアルゴリズムを実行して前記コーチ区画と最も類似している前記生徒区画から生徒セグメントを取得するステップと、
(1.8)MADが平均絶対偏差、x[i]がi番目のサンプリングポイントにおける力、μがすべての力の平均、Nが生徒区画のサンプリングポイントの数であるとき、前記生徒区画と前記コーチ区画の各サンプリングポイントのX軸、Y軸、Z軸における加速度値の絶対値を加えて各前記サンプリングポイントに対応する力を得、方程式(1)により前記生徒セグメントの複数のサンプリングポイントでの力の平均絶対誤差を計算して生徒安定性とするステップと、
【数1】
(1.9)前記Nを前記コーチ区画のサンプリングポイントの数に置き換えた前記方程式(1)により、前記コーチ区画の複数のサンプリングポイントでの力の平均絶対誤差を計算してコーチ安定性とするステップと、
(1.10)第1の運動タイプに対して、前記生徒安定性と前記コーチ安定性により運動スコアを計算するステップと、
(1.11)第2の運動タイプに対して、控除メカニズムで前記生徒セグメントと前記コーチ区画の間の差異により前記運動スコアを計算するステップと、
を備え
前記控除メカニズムで前記生徒セグメントと前記コーチ区画の間の差異により前記運動スコアを計算するステップはさらに、
(1.11.1)前記生徒セグメントと前記コーチ区画の間の力誤差と方向誤差を計算するステップと、
(1.11.2)力重みと方向重みを計算し、且つ前記力誤差と前記方向誤差のうちの値の大きな方が誤差臨界値より大きい場合、対応する前記力重み又は前記方向重みを増加させるステップと、
(1.11.3)前記力誤差、前記方向誤差、前記力重みと前記方向重みにより前記運動スコアを計算するステップと、
を有するエクササイズコース採点方法。
【請求項2】
前記生徒安定性と前記コーチ安定性により前記運動スコアを計算するステップ(1.10)は、
(1.10.1)rが前記生徒安定性と前記コーチ安定性との安定性比であり、MAD ref が前記コーチ安定性、MAD user が前記生徒安定性であるとき、前記コーチ安定性との安定性比を方程式(2)に基づいて計算するステップと、
【数2】
(1.10.2)S stability (r)が安定性スコアであり、S stability (r)、r bound 及びqが実数であるとき、方程式(3)~(5)に基づいて前記安定性比rを前記安定性スコアに転換するステップと、
【数3】
【数4】
【数5】
(1.10.3)前記コーチ運動データにおける各区画に対応する前記コーチ安定性を計算し、且つ各前記区画の前記コーチ安定性の第1の範囲における第1の回数と第2の範囲における第2の回数を統計処理するステップと、
(1.10.4)前記第1の回数を前記第1の回数と前記第2の回数の総和で割って安定重みを計算するステップと、
(1.10.5)前記安定性スコアと前記安定重みにより前記運動スコアを計算するステップと、
を更に備える請求項に記載のエクササイズコース採点方法。
【請求項3】
前記安定性スコアと前記安定重みにより前記運動スコアを計算するステップ(1.10.5)は、方程式()に従って計算され、
【数6】
Scoreは前記運動スコアであり、wは前記安定重みであり、S1は実数である請求項に記載のエクササイズコース採点方法。
【請求項4】
記方向誤差は、前記ペアとなるサンプリングポイントの前記生徒セグメントと前記対応するサンプリングポイントでの前記コーチ区画の間のコサイン類似度により計算される請求項に記載のエクササイズコース採点方法。
【請求項5】
前記力誤差、前記方向誤差、前記力重みと前記方向重みにより前記運動スコアを計算するステップは、方程式()に従って計算することであり、
【数7】
Scoreは前記運動スコアであり、Daは前記方向誤差であり、waは前記方向重みであり、Dmは前記力誤差であり、wmは前記力重みである請求項に記載のエクササイズコース採点方法。
【請求項6】
生徒運動データを取得するための第一慣性測定ユニットを含むウェアラブル装置と、
ウェアラブル装置に相互に接続して生徒運動データを取得することに用いられ、電気的に結合されたディスプレイによりコースビデオを再生すようにされたスマート装置と、を備えるエクササイズコース採点システムであって、
前記スマート装置は、以下の複数のステップを実行し又は前記コースビデオに対応する前記生徒運動データと前記コーチ運動データを計算モジュールに伝送して前記ステップを実行するためのものであり、
前記複数のステップは、
(2.1)複数のサンプリングポイントを含みかつ各前記サンプリングポイントが複数の加速度値を含む前記生徒運動データから生徒区画を取得し、且つ前記コーチ運動データからコーチ区画を取得し、前記生徒区画の開始点が前記コーチ区画の開始点の前にあり、前記生徒区画の終了点が前記コーチ区画の終了点の後にあるステップと、
(2.2)前記生徒区画と前記コーチ区画に対してオープンビギンエンドダイナミックタイムワーピングアルゴリズムを実行して前記コーチ区画と最も類似している前記生徒区画から生徒セグメントを取得するステップと、
(2.3)MADが平均絶対偏差、x[i]がi番目のサンプリングポイントにおける力、μがすべての力の平均、Nが生徒区画のサンプリングポイントの数であるとき、前記生徒区画と前記コーチ区画の各サンプリングポイントのX軸、Y軸、Z軸における加速度値の絶対値を加えて各前記サンプリングポイントに対応する力を得、方程式(1)により前記生徒セグメントの複数のサンプリングポイントでの力の平均絶対誤差を計算して生徒安定性とするステップと、
【数8】
(2.4)前記Nを前記コーチ区画のサンプリングポイントの数に置き換えた前記方程式(1)により、前記コーチ区画の複数のサンプリングポイントでの力の平均絶対誤差を計算してコーチ安定性とするステップと、
(2.5)第1の運動タイプに対して、前記生徒安定性と前記コーチ安定性により運動スコアを計算するステップと、
(2.6)第2の運動タイプに対して、控除メカニズムで前記生徒セグメントと前記コーチ区画の間の差異により前記運動スコアを計算することと、を含み、
前記控除メカニズムで前記生徒セグメントと前記コーチ区画の間の差異により前記運動スコアを計算するステップはさらに、
(2.6.1)前記生徒セグメントと前記コーチ区画の間の力誤差と方向誤差を計算するステップと、
(2.6.2)力重みと方向重みを計算し、且つ前記力誤差と前記方向誤差のうちの値の大きな方が誤差臨界値より大きい場合、対応する前記力重み又は前記方向重みを増加させるステップと、
(2.6.3)前記力誤差、前記方向誤差、前記力重みと前記方向重みにより前記運動スコアを計算するステップと、
を有するエクササイズコース採点システム。
【請求項7】
計算モジュール又はスマート装置によって実行されて以下の複数のステップを完成するプログラムであって、
前記複数のステップは、
(3.1)少なくとも1台のビデオカメラによりコーチの動きのコースビデオを撮り、第二慣性測定ユニットにより、複数のサンプリングポイントを含みかつ各前記サンプリングポイントが複数の加速度値を含むコーチ運動データを記録し、タイムコードに基づいて前記コーチ運動データと前記コースビデオとを同期することを含み、電気的に前記スマート装置に結合されたディスプレイによりコースビデオを再生して、前記コースビデオに対応するコーチ運動データを取得し、前記コーチ運動データからコーチ区画を取得するステップと、
(3.2)第一慣性測定ユニットにより、複数のサンプリングポイントを含みかつ各前記サンプリングポイントが複数の加速度値を含む生徒運動データを取得し、前記生徒運動データから生徒区画を取得し、前記生徒区画の開始点が前記コーチ区画の開始点の前にあり、前記生徒区画の終了点が前記コーチ区画の終了点の後にあるステップと、
(3.3)前記生徒区画と前記コーチ区画に対してオープンビギンエンドダイナミックタイムワーピングアルゴリズムを実行して前記コーチ区画と最も類似している前記生徒区画から生徒セグメントを取得するステップと、
(3.4)MADが平均絶対偏差、x[i]がi番目のサンプリングポイントにおける力、μがすべての力の平均、Nが生徒区画のサンプリングポイントの数であるとき、前記生徒区画と前記コーチ区画の各サンプリングポイントのX軸、Y軸、Z軸における加速度値の絶対値を加えて各前記サンプリングポイントに対応する力を得、方程式(1)により前記生徒セグメントの複数のサンプリングポイントでの力の平均絶対誤差を計算して生徒安定性とするステップと、
【数9】
(3.5)前記Nを前記コーチ区画のサンプリングポイントの数に置き換えた前記方程式(3.1)により、前記コーチ区画の複数のサンプリングポイントでの力の平均絶対誤差を計算してコーチ安定性とするステップと、
(3.6)第1の運動タイプに対しては、前記生徒安定性と前記コーチ安定性により運動スコアを計算するステップと、
(3.7)第2の運動タイプに対しては、控除メカニズムで前記生徒セグメントと前記コーチ区画の間の差異により前記運動スコアを計算するステップと、を含み、
前記控除メカニズムで前記生徒セグメントと前記コーチ区画の間の差異により前記運動スコアを計算するステップはさらに、
(3.7.1)前記生徒セグメントと前記コーチ区画の間の力誤差と方向誤差を計算するステップと、
(3.7.2)力重みと方向重みを計算し、且つ前記力誤差と前記方向誤差のうちの値の大きな方が誤差臨界値より大きい場合、対応する前記力重み又は前記方向重みを増加させるステップと、
(3.7.3)前記力誤差、前記方向誤差、前記力重みと前記方向重みにより前記運動スコアを計算するステップと、
を有するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エクササイズコースを様々な運動タイプに分けて運動スコアを計算する方法、システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人々のフィットネス志向が高まるにつれて、ますます多くの人が自分の運動習慣を確立しようとする意思を持っている。また、今のように情報が豊富な環境では、インターネットなどのリソースを通じてフィットネス関連のコーチングビデオを検索し、ビデオのトレーナーがお手本としてやってみせる動きを模倣して運動をする人も多くなっている。しかし、一般の人は模倣しようとしても、お手本の模倣のために必要な動きを必ずしも正しく行うことができないため、運動効果が得られるレベルに達する前に、間違った行動をとることで負傷する可能性がある。また、一般のユーザーは部外者であるフィットネス指導者の支援がなければ、運動中に運動の質を少しずつ改善できているかどうかを知ることができず、その結果達成感が得られないため、運動を続けようとするモチベーションが下がってしまう場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在の一般的なモーション判定システムは以下の通りである。
まず、マルチレンズ写真機材を使用して、コンピュータービジョン処理技術によって、分析のためにユーザーのモーションジェスチャーをキャプチャする。このためのシステムはハードウェアのコストであれデジタルコンテンツの製造コストであれ比較的高額となるため、販売促進が困難になる。
一般的な方法では、少なくとも加速度計と磁力計を含むウェアラブル慣性測定ユニットを使用して、運動中の3次元空間でのセンサーの加速度と角速度の変化を記録する。こうして空間内の運動軌跡を計算し、記録することにより、データの比較・分析をする。しかしながら、異なるタイプの運動には異なる特徴があるので、異なるタイプの運動を適切に分析及び比較する方法を開発することが、当業者にとって関心を持つべき課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(本発明の実施例)
本発明の実施例は、第一慣性測定ユニットを含むウェアラブル装置を有するエクササイズコース採点システムに適用され、以下のステップを備えるエクササイズコース採点方法である。
(1.1)少なくとも1台のビデオカメラによりコーチの動きのコースビデオを撮るステップ。
(1.2)第二慣性測定ユニットにより、複数のサンプリングポイントを含みかつ各サンプリングポイントが複数の加速度値を含むコーチ運動データを記録するステップ。
(1.3)タイムコードに基づいてコーチ運動データとコースビデオとを同期するステップ。
(1.4)コースビデオとコーチ運動データをクラウドデータベースに格納するステップ。
(1.5)スマート装置によりディスプレイを通してコースビデオを再生して、コースビデオに対応するコーチ運動データを取得し、コーチ運動データからコーチ区画(指定期間内のコーチ運動データに基づく区画を意味する)を取得するステップ。
(1.6)第一慣性測定ユニットにより、複数のサンプリングポイントを含みかつ各サンプリングポイントが複数の加速度値を含む生徒運動データを取得し、生徒運動データから生徒区画(指定期間内の生徒運動データに基づく区画を意味する)を取得し、生徒区画の開始点がコーチ区画の開始点の前にあり、生徒区画の終了点がコーチ区画の終了点の後にあるステップ。
(1.7)生徒区画とコーチ区画に対してオープンビギンエンドダイナミックタイムワーピングアルゴリズムを実行してコーチ区画と最も類似している生徒セグメントを取得するステップ。
(1.8)生徒区画とコーチ区画の各サンプリングポイントのX軸、Y軸、Z軸における加速度値の絶対値を加えて各サンプリングポイントに対応する力を得、MADが平均絶対偏差、x[i]がi番目のサンプリングポイントにおける力、μがすべての力の平均、Nが生徒区画のサンプリングポイントの数であるとき、方程式(1)により生徒セグメントの複数のサンプリングポイントでの力の平均絶対誤差を計算して生徒安定性とするステップ。
【0005】
【数1】
【0006】
(1.9)Nをコーチ区画のサンプリングポイントの数に置き換えた方程式(1)により、コーチ区画の複数のサンプリングポイントでの力の平均絶対誤差を計算してコーチ安定性とするステップ。
(1.10)第1の運動タイプに対しては、生徒安定性とコーチ安定性により運動スコアを計算するステップ。
(1.11)第2の運動タイプに対しては、控除メカニズムで生徒セグメントとコーチ区画の間の差異により運動スコアを計算するステップ。
以上のステップを備えることにより、運動タイプに応じて、適切な運動スコアを付与することができる。
控除メカニズムで生徒セグメントとコーチ区画の間の差異により運動スコアを計算するステップはさらに以下のステップを有する。
(1.11.1)生徒セグメントとコーチ区画の間の力誤差と方向誤差を計算するステップ。
(1.11.2)力重みと方向重みを計算し、且つ力誤差と方向誤差のうちの値の大きな方が誤差臨界値より大きい場合、対応する力重み又は方向重みを増加させるステップ。
(1.11.3)力誤差、方向誤差、力重みと方向重みにより運動スコアを計算するステップ。

<いくつかの実施例(1)>
いくつかの実施例において、生徒安定性とコーチ安定性により運動スコアを計算するステップは、以下のステップを更に備えていてもよい。
(1.10.1)rが前記生徒安定性と前記コーチ安定性との安定性比であり、MAD ref が前記コーチ安定性、MAD user が前記生徒安定性であるとき、前記コーチ安定性との安定性比を方程式(2)に基づいて計算するステップ。
【0007】
【数2】
【0008】
(1.10.2)Sstability(r)が安定性スコアであり、Sstability(r)、rbound及びqが実数であるとき、方程式(3)~(5)に基づいて安定性比rを安定性スコアに転換するステップ。
【0009】
【数3】
【0010】
【数4】
【0011】
【数5】
【0012】
(1.10.3)コーチ運動データにおける各区画に対して対応するコーチ安定性を計算し、且つ区画のコーチ安定性の第1の範囲における第1の回数と第2の範囲における第2の回数を統計するステップ。
(1.10.4)第1の回数を第1の回数と第2の回数の総和で割って安定重みを計算するステップ。
(1.10.5)安定性スコアと安定重みにより運動スコアを計算するステップ。

<いくつかの実施例(2)>
いくつかの実施例において、上記の安定性スコアと安定重みにより運動スコアを計算するステップは、Scoreが運動スコア、wが安定重み、S 1 が実数であるとき、方程式(6)に従って計算されてもよい。
【0013】
【数6】
<いくつかの実施例(3)>
いくつかの実施例において、上記の力誤差及び上記の方向誤差は以下のように計算されてもよい。
上記の方向誤差は、生徒セグメントのペアとなるサンプリングポイントとコーチ区画の対応するサンプリングポイントとの間のコサイン類似度により計算される。

<いくつかの実施例(4)>
いくつかの実施例において、上記の力誤差、方向誤差、力重みと方向重みにより運動スコアを計算するステップは、Scoreが運動スコア、D a が方向誤差、w a が方向重み、D m が力誤差り、w m が力重みであるとき、方程式(7)に従って計算されてもよい。
【0014】
【数7】

(別の本発明の実施例1)
別の本発明の実施例は、以下の装置を備えるエクササイズコース採点システムである。
生徒運動データを取得するための第一慣性測定ユニットを含むウェアラブル装置。
ウェアラブル装置に相互に接続して生徒運動データを取得することに用いられるスマート装置。
スマート装置は、以下の複数のステップを含み且つ実行し、又はコースビデオに対応する生徒運動データとコーチ運動データを計算モジュールに伝送してステップを実行するためのものである。
(2.1)複数のサンプリングポイントを含みかつ各サンプリングポイントが複数の加速度値を含む生徒運動データから生徒区画を取得し、且つコーチ運動データからコーチ区画を取得し、生徒区画の開始点がコーチ区画の開始点の前にあり、生徒区画の終了点がコーチ区画の終了点の後にあるステップ。
(2.2)生徒区画とコーチ区画に対してオープンビギンエンドダイナミックタイムワーピングアルゴリズムを実行してコーチ区画と最も類似している生徒区画から生徒セグメントを取得するステップ。
(2.3)MADが平均絶対偏差、x[i]がi番目のサンプリングポイントにおける力、μがすべての力の平均、Nが生徒区画のサンプリングポイントの数であるとき、生徒区画とコーチ区画の各サンプリングポイントのX軸、Y軸、Z軸における加速度値の絶対値を加えて各サンプリングポイントに対応する力を得、方程式(1)により生徒セグメントの複数のサンプリングポイントでの力の平均絶対誤差を計算して生徒安定性とするステップ。
【0015】
【数8】
【0016】
(2.4)Nをコーチ区画のサンプリングポイントの数に置き換えた方程式(1)により、コーチ区画の複数のサンプリングポイントでの力の平均絶対誤差を計算してコーチ安定性とするステップ。
(2.5)第1の運動タイプに対して、生徒安定性とコーチ安定性により運動スコアを計算するステップ。
(2.6)第2の運動タイプに対して、控除メカニズムで生徒セグメントとコーチ区画の間の差異により運動スコアを計算するステップ。
控除メカニズムで生徒セグメントとコーチ区画の間の差異により運動スコアを計算するステップはさらに、以下のステップを含む。
(2.6.1)前記生徒セグメントと前記コーチ区画の間の力誤差と方向誤差を計算するステップ。
(2.6.2)力重みと方向重みを計算し、且つ前記力誤差と前記方向誤差のうちの値の大きな方が誤差臨界値より大きい場合、対応する前記力重み又は前記方向重みを増加させるステップと、
(2.6.3)前記力誤差、前記方向誤差、前記力重みと前記方向重みにより前記運動スコアを計算するステップ。

(別の本発明の実施例2)
別の本発明の実施例は、計算モジュール又はスマート装置によって実行されて以下の複数のステップを完成するプログラムであって、以下の複数のステップを含むプログラムである。
(3.1)少なくとも1台のビデオカメラによりコーチの動きのコースビデオを撮り、第二慣性測定ユニットにより、複数のサンプリングポイントを含みかつ各サンプリングポイントが複数の加速度値を含むコーチ運動データを記録し、タイムコードに基づいてコーチ運動データとコースビデオとを同期することを含み、電気的にスマート装置に結合されたディスプレイによりコースビデオを再生して、コースビデオに対応するコーチ運動データを取得し、コーチ運動データからコーチ区画を取得するステップ。
(3.2)第一慣性測定ユニットにより、複数のサンプリングポイントを含みかつ各サンプリングポイントが複数の加速度値を含む生徒運動データを取得し、生徒運動データから生徒区画を取得し、生徒区画の開始点がコーチ区画の開始点の前にあり、生徒区画の終了点がコーチ区画の終了点の後にあるステップ。
(3.3)生徒区画とコーチ区画に対してオープンビギンエンドダイナミックタイムワーピングアルゴリズムを実行してコーチ区画と最も類似している生徒区画から生徒セグメントを取得するステップ。
(3.4)MADが平均絶対偏差、x[i]がi番目のサンプリングポイントにおける力、μがすべての力の平均、Nが生徒区画のサンプリングポイントの数であるとき、前記生徒区画と前記コーチ区画の各サンプリングポイントのX軸、Y軸、Z軸における加速度値の絶対値を加えて各前記サンプリングポイントに対応する力を得、方程式(1)により前記生徒セグメントの複数のサンプリングポイントでの力の平均絶対誤差を計算して生徒安定性とするステップ。
【0017】
【数9】
【0018】
(3.5)Nをコーチ区画のサンプリングポイントの数に置き換えた方程式(1)により、コーチ区画の複数のサンプリングポイントでの力の平均絶対誤差を計算してコーチ安定性とするステップ。
(3.6)第1の運動タイプに対しては、生徒安定性とコーチ安定性により運動スコアを計算するステップ。
(3.7)第2の運動タイプに対しては、控除メカニズムで生徒セグメントとコーチ区画の間の差異により運動スコアを計算するステップ。
控除メカニズムで生徒セグメントとコーチ区画の間の差異により運動スコアを計算するステップはさらに、以下のステップを有する。
(3.7.1)生徒セグメントとコーチ区画の間の力誤差と方向誤差を計算するステップ。
(3.7.2)力重みと方向重みを計算し、且つ力誤差と方向誤差のうちの値の大きな方が誤差臨界値より大きい場合、対応する力重み又は方向重みを増加させるステップ。
(3.7.3)力誤差、方向誤差、力重みと方向重みにより運動スコアを計算するステップ。

上記の方法によって、異なる運動タイプに対して異なる採点方法を採用することにより、公知技術よりも更に適切に運動スコアを計算することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】一実施例によるエクササイズコース採点システムを示す模式図である。
図1B】一実施例によるエクササイズコース採点システム100の部分フロー図である。
図2】一実施例によるコーチ運動データと生徒運動データを示す模式図である。
図3】一実施例によるエクササイズコース採点方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本文に使用される「第1の」、「第2の」、…等については、次序又は順位を特定する意味ではなく、同一の技術用語で記述される素子又は操作を区別するためだけのものである。
【0021】
本発明は、スマート装置及びクラウドアプリケーションサービスを組み合せるエクササイズコース採点方法を提供する。これは、生徒がエクササイズコースビデオに基づいて運動すると同時に、体の部分での生徒の運動データを取り、生徒の運動データとコーチの運動データを比較して、ユーザーの運動成果を評価するものである。これにより、生徒は必要な動作を正しく実行しているかどうかを明確に知ることができ、更に運動の効果が向上し、運動への意欲が高まる。特に、異なるタイプの運動では、スコアの計算に異なる方法が使用される。ジェスチャーがあまり重要ではない運動タイプや速い動きについて、より大きな許容度が与えられる。
【0022】
図1Aは、一実施例によるエクササイズコース採点システムを示す模式図である。
図1Aを参照する。エクササイズコース採点システム100は、少なくとも1つのウェアラブル装置110、ディスプレイ120とスマート装置130を含む。
【0023】
ウェアラブル装置110は、例えば運動ブレスレットとして装着され、生徒112によって着用されてよいが、他の実施例において、腕時計、ストラップ、又は他の体に着用可能な装置として装着されてもよい。
ウェアラブル装置110は、1つの慣性測定ユニットを備え、少なくともX、Y、Z等の3つの軸の加速度値を測定するための加速度センサーを含み、いくつかの実施例において、慣性測定ユニットが角速度センサー及び/又は磁力計を更に含んでもよい。ここで、慣性測定ユニットによって測定されたデータは、生徒運動データと呼ばれる。ウェアラブル装置110は、例えばブルートゥース(登録商標)通信モジュール、ワイヤレスフィデリティ(wireless fidelity;WiFi)モジュール又は他の適切な低電力ワイヤレス送信モジュールのようなワイヤレス通信モジュールを更に含む。いくつかの実施例において、ウェアラブル装置110は、ディスプレイパネル又は他の任意の素子を更に含んでよいが、本発明はこれに限定されない。ディスプレイ120は、コーチが動きを実演している1つのコースビデオを再生することに用いられる。
【0024】
スマート装置130は、プロセッサ131、メモリ132とワイヤレス通信モジュール133を含み、メモリ132にプログラムコードが格納され、プロセッサ131によって実行される。
プロセッサ131は、1つの中央処理装置、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、画像処理チップ、特殊アプリケーション集積回路等であってもよいが、本発明はこれらに限定されない。ワイヤレス通信モジュール133は、例えばブルートゥース(登録商標)通信モジュール、ワイヤレスフィデリティ(wireless fidelity;WiFi)モジュール又は他の適切な低電力ワイヤレス送信モジュールであり、ウェアラブル装置110から生徒運動データを受信することに用いられる。
【0025】
図1Bは、一実施例によるエクササイズコース採点システム100の部分フロー図である。
図1A図1Bを参照する。先ずコースビデオを製造して、ステップ151において、コースビデオを撮り、同時にコーチ運動データを記録する。いくつかの実施例においては、先ず複数台のビデオカメラによりコーチの動きを撮ることができ、これらのビデオカメラが異なる位置と角度に立て、これらの撮られたビデオを編集した後コースビデオを製造することができる。特に、撮影中にコーチも1つ又は複数のウェアラブル装置110が着用され、慣性測定ユニットによって感知された信号もコーチ運動データとして記録される。例として、コーチ運動データは、複数のサンプリングポイントを含み、サンプリングポイントのそれぞれがX、Y、Z等の3つの加速度値を含む。
【0026】
ステップ152において、コースビデオのポストプロダクションを行い、タイムコードに基づいてコーチ運動データとコースビデオとを同期する。
上記のタイムコードは、例えば映画テレビ技術者協会(Society of Motion Picture and Television Engineers;SMPTE)によって決められたタイムコードであるが、他の実施例において任意のフォーマットのタイムコードを採用してもよく、本発明はこれに限定されない。これにより、このタイムコードによりコーチ運動データのそれぞれのサンプリングポイントがコースビデオにおけるどのビデオ又はどの画像に対応するかがわかる。例として、ウェアラブル装置110において慣性測定ユニットのサンプリング周波数が25Hzであるとすると、1つの1分間のビデオの対応するコーチ運動データは60×25=1500のサンプリングポイントがあることになる。しかしながら、本発明はサンプリング周波数を限定しない。
次に、コースビデオとコーチ運動データは、クラウドデータベース140に格納される。
【0027】
ユーザーが運動し始める時に、スマート装置130は、クラウドデータベース140からコースビデオとコーチ運動データを取得しディスプレイ120によりコースビデオを再生する。同時に、ステップ153において、スマート装置130は、ウェアラブル装置110により生徒運動データを取得する(ワイヤレス通信モジュールによる)。いくつかの実施例において、プロセッサ131は、コースビデオが再生する前にウェアラブル装置110から生徒運動データを受信するが、これらの生徒運動データが破棄され、コースビデオが再生を開始してこそその時の生徒運動データが保存される。
このように、取得された生徒運動データがコースビデオに対応し、例えば生徒運動データにおける各サンプリングポイントがコースビデオにおけるどのフレームに対応するかがわかる。
【0028】
ステップ154において、運動が中止される時又は終わる時に(コースビデオが終わる時)、取得された生徒運動データが収集される。ステップ153において、生徒運動データとコースビデオとの間の対応関係が既に分かり、且つSMPTEタイムコードによりコースビデオとコーチ運動データとの間の対応関係を取得することができるので、コースビデオのフレーム番号により対応する生徒運動データとコーチ運動データを取得することができる。
【0029】
ステップ155において、コーチ運動データを複数のコーチ区画に分け、それぞれのコーチ区画の運動スコアを計算する。最後に、ステップ156において運動スコア121を表示する。これにより生徒112は自分が必要な動きをしたかどうかが明らかに分かり、更に運動効果を改善し、そして運動意欲を向上させることができる。いくつかの実施例において、運動スコアはプロセッサ131によって計算されるが、他の実施例において運動スコアはクラウドのサーバー、又は他の電子装置によって計算されてもよい。例えば、図1Aにおいて、スマート装置130は、クラウドの計算モジュール141に接続されてよく、この計算モジュール141がサーバー、仮想マシン、又はコンピューティングサービスを提供するネットワークアプリケーションであってもよいが、本発明はこれらに限定されない。
プロセッサ131は、コーチ運動データと生徒運動データを計算モジュール141に伝送することができ、計算モジュール141によって運動スコアを計算した後でプロセッサ131に送り返す。図1Bの実施例においては運動を中止した時又は終わった後で運動スコアを計算するが、いくつかの実施例において、生徒運動データを取得しながら運動スコアを計算してもよく、つまり運動スコアをリアルタイムで表示してもよい。いくつかの実施例において、運動中に生徒運動データの量が十分である時に、直ちにスマート装置130内で採点計算を行ってもよく、あるいは運動の後で、生徒運動データを計算モジュール141に伝送して、運動スコアを計算してもよい。以下、運動スコアの計算を詳しく説明する。
【0030】
図2を参照する。図2は、実施例によるコーチ運動データと生徒運動データを示す模式図である。図2におけるコーチ運動データ210と生徒運動データ220は1次元信号(即ち、各サンプリングポイントに1つの加速度値だけがある)として示されているが、これは単なる模式図であり、実際にそれぞれのサンプリングポイントは複数の加速度値(即ち、1つのベクトルを構成する)が必要であり、コーチ運動データ210と生徒運動データ220がベクトルのコレクションである。具体的には、コーチ運動データ210は方程式()として表示される。
【0031】
【数10】
【0032】
iは正の整数であり、第iのサンプリングポイントを示し、ここで、aC i,x,aC i,y,aC i,zはそれぞれコーチ運動データ210の第iのサンプリングポイントのX軸、Y軸、Z軸における加速度値を示す。また、生徒運動データ220は方程式()として表される。
【0033】
【数11】
【0034】
s i,x,as i,y,as i,zはそれぞれ生徒運動データ220の第iのサンプリングポイントのX軸、Y軸、Z軸における加速度値を示す。図2において、コーチ運動データ210と生徒運動データ220とは同じコースビデオに対応するので、コーチ運動データ210と生徒運動データ220とは類似すればするほど、計算されたスコアが高くなるはずである。注意すべきなのは、コーチ運動データ210の長さは、生徒運動データ220の長さと異なる場合がある。いくつかの実施例において、生徒運動データ220のサンプリング周波数がコーチ運動データ210のサンプリング周波数と異なると、サンプリング周波数が大きな一方に対して再サンプリング(resampling)を行ってもよく、これにより両者のサンプリング周波数を同じにする。
【0035】
いくつかの実施例において、慣性測定ユニットが角加速度計を更に含む場合、6軸センサーデータフュージョンアルゴリズムを使用して、3次元の加速度ベクトルFc[i]、Fs[i]を取得することができ、これにより、動きの姿勢や動きの方向を適切に判別でき、より多様な動きを判別でき、より優れた識別率を提供することができる。慣性測定ユニットは、3軸磁力計を更に含む場合、9軸センサーデータフュージョンアルゴリズムを使用して、3次元の加速度ベクトルFc[i]、Fs[i]をもっと正確に取得することができ、より迅速に比較し、そして正確に類似性の計算を行うようにする。上記のフュージョンアルゴリズムは、任意の方向と方位参照システム(attitude and heading reference system;AHRS)アルゴリズムを採用することができるが、本発明はこれに限定されない。
【0036】
まず、コーチ運動データ210からコーチ区画211を取得し、このコーチ区画211の長さが異なる運動タイプにより決められてもよく、長さが2秒~10秒であってもよいが、本発明はこれに限定されない。また、生徒運動データ220からも生徒区画221を取得する。また、生徒区画221の長さがコーチ区画211の長さより大きい。例として、生徒区画221の開始点がコーチ区画211の開始点の前にあってもよく、生徒区画221の終了点がコーチ区画211の終了点の後にあってもよい。これは、生徒がコーチの動きを模倣する時に遅れたり、早くなる可能性があるためであり、生徒区画221の長さが長くこれらの現象に対してより大きな許容度を保つことができる。コーチ区画211の長さが4秒であり且つサンプリング周波数が25Hzであると仮定すると、コーチ区画211が合計4×25=100のサンプリングポイントを有し、以下、正の整数Mとして表示される。生徒区画221は、コーチ区画211の1秒先にあり、1秒延長し、且つ生徒区画221のサンプリング周波数も25Hzであるとすると、生徒区画221は合計100+2×25=150のサンプリングポイントを有することになり、以下、正の整数Nとして表示される。
【0037】
次に、生徒区画221の中でコーチ区画211と最も類似している生徒セグメント230を捜し、いくつかの実施例において生徒区画221とコーチ区画211に対してオープンビギンエンドダイナミックタイムワーピングアルゴリズム(open-begin-end dynamic time warping;OBE-DTW)を実行して生徒セグメント230を取得する。当業者は、一般的なダイナミックタイムワーピングアルゴリズム(DTW:動的時間伸縮法)を技術常識として理解できるため、ここでは説明しないが、OBE-DTWは開始点と終了点とが同じであるという制限を解除し、これにより生徒区画221から部分的に一致するセグメントを見つけるものである。このアルゴリズムは、方程式(10)~(12)で示されてもよい。
【0038】
【数12】
【0039】
【数13】
【0040】
【数14】
【0041】
ここで、Fs (d,e)は生徒区画221におけるサブコレクションを示し、第dのサンプリングポイント~第eのサンプリングポイントからなり、d、eが正の整数であり、セグメントFs (d,e)の長さが生徒区画221の長さと同じであってもよく異なってもよい。このアルゴリズムは、生徒区画221から正の整数d、eを見つけて、これにより誤差D(Fc,Fs (d,e))を最小にするものである。ここで、CostOBE-DTWはOBE-DTWに基づいてペアとなるサンプリングポイントの間の誤差の平均を示し、生徒区画221においてペアとなるサンプリングポイントが生徒セグメント230を構成する。例として、生徒セグメント230におけるサンプリングポイント231は、コーチ区画211におけるサンプリングポイント232とペアとなるが、注意すべきなのは、生徒セグメント230におけるサンプリングポイントが重なり(コーチ区画211における複数のサンプリングポイントとペアとなり)、且つ必ずしも連続的ではない(あるサンプリングポイントがコーチ区画211とペアとならない)場合があることである。いくつかの実施例において、異なるタイプにより異なる誤差を採用してもよい。動き方向を主として評価すると、CostOBE-DTWはコサイン類似度(cosine similarity)の平均を指し、動き力を主として評価すると、CostOBE-DTWはL2ノルム(ユラ距離とも呼ばれる)の平均を指す。また、Nmatchedは見つけられた生徒セグメントの長さであり、aは実数であり、試験によって決められてよい(例えば2)。上記の方程式(10)は、生徒セグメントの長さによりD(Fc,Fs (d,e))を調整し、見つけられた生徒セグメント230の長さはコーチ区画211よりも小さいか大きくなる可能性があるので、あるセグメントの長さがコーチ区画211の長さに近ければ近いほど、優先的に選択されることとなり、この点で従来のOBE-DTWと異なる。図2に示すように、生徒の動きがコーチの動きよりわずかに遅れているので、上記のアルゴリズムにより生徒区画221の前の部分が破棄され、後半段の生徒区画221のみに一致し、このように生徒の遅れる動きへより大きな許容度を与えることができる。
【0042】
生徒セグメント230を見つけてから生徒セグメント230の運動タイプを分析し、異なる運動タイプは異なるスコア計算方式を採用する。ここに少なくとも2種類の運動タイプを設ける。第1の運動タイプは、安定した静的運動を指し、第2の運動タイプは、一般又は快速のダイナミック運動を指す。いくつかの実施例において、各サンプリングポイントのX軸、Y軸、Z軸における加速度値の絶対値を加えて力が得られ、方程式(13)で示される。
【0043】
【数15】
【0044】
方程式(13)における加速度値は、コーチ運動データ又は生徒運動データに属してもよい。運動タイプを判断する場合、コーチ運動データの力を採用することができ、次にすべての力x[i]の平均、標準差又は平均絶対偏差(mean absolute deviation)等の統計値により運動の分類を行い、例えば平均絶対差が閾値よりも小さくなると第1の運動タイプであると判断でき、前記閾値以上であると第2の運動タイプであると判断できる。いくつかの実施例において、コーチ運動データの属する運動アイテム(例えばボクシングエアロビクス、ラテンダンス、断続的な強度のエクササイズ、ヨガ等)により分類し、又はコーチ区画211(又は生徒区画221)の長さにより分類することができる。いくつかの実施例において、生徒区画221に対して、第1の運動タイプの重み(0~1の間に介在する)と第2の運動タイプの重み(0~1の間に介在する)を計算してもよく、且つそれぞれ第1の運動タイプのスコアと第2の運動タイプのスコアを計算してから、また重みにより2つのスコアを加算することができ、且つ異なる生徒区画221が異なる運動タイプに属するか又は異なる運動タイプ重みを有してよい。本発明は、如何に運動を分類するかについてはその手段を限定しない。以下、2種類の運動タイプに分けて運動スコアの計算を説明する。
【0045】
[第1の運動タイプ]
上記の平均絶対偏差は、以下方程式()で示されてもよく、ここに平均絶対偏差を安定性MADと呼ぶ。
【0046】
【数16】
【0047】
ここで、μはすべての力x[i]の平均である。方程式()は生徒運動データの安定性MADを計算するためのものであり、以下、生徒安定性をMADuserと呼ぶ。方程式()はコーチ運動データの安定性を計算することに用いられてもよい。これは、方程式()における正の整数NをMに置き換えればよく、以下、これをコーチ安定性MADrefと呼ぶ。次に、生徒安定性MADuserとコーチ安定性MADrefにより運動スコアを計算することができ、また両者が類似するほど、計算された運動スコアが高くなる。いくつかの実施例において、生徒安定性MADuserとコーチ安定性MADrefの間の安定性比例rを方程式()にしたがって計算することができる。
【0048】
【数17】
【0049】
次に、方程式()から()を用い、ロジット関数(logit function)に基づいて安定性比に対してシフト、スケーリング及び反転を行うことにより、安定性スコアに換算する。
【0050】
【数18】
【0051】
【数19】
【0052】
【数20】
【0053】
ここで、Sstability(r)は安定性スコアを示す。
stability(r)は実数であり、r=1である場合、つまり生徒安定性MADuserとコーチ安定性MADrefとが同じである場合、この実数が指摘できるスコアを示す。
boundは実数であり、安定性比rの臨界値を定義し、rbound=5とされる場合、生徒安定性がコーチ安定性の5倍となると(r=1/5)満点100が得られ、生徒安定性がコーチ安定性の5分1となると(r=5)零点となる。
qは実数であり、方程式(12)の変化趨勢を制御するためのものであり、試験によって得られる。
いくつかの実施例において、上記のロジット関数は、テーブルを検索することで実装され得る。
【0054】
運動状況の多様性に応じて、採点の条件が厳しすぎると、静的と見なされる多くの動きが動的アクションとして分類され、誤判断も多くなる。このような問題を解決するため、この実施例では二重閾値法を使用し、静的運動を真の静的及びファジー静的に細分する。
具体的には、まず静的しきい値の上限thと実際の静的しきい値tという2つのしきい値をここで定義する。ただし静的しきい値の上限thは実際の静的しきい値tよりも大きくなり、これによってこれらの2つのしきい値が第1の範囲[0,t]と第2の範囲(t,th)を決定する。
次に、コーチの運動データを複数の区画に分割し、各区画に対応するコーチの安定性MADrefを計算し、方程式(14)によってこれらのコーチ安定性MADrefの第1の範囲[0,t]における第1の回数と第2の範囲(t,th)における第2の回数を統計し、第1の回数を第1の回数と第2の回数の総和で割って安定重みwを計算する。
【0055】
【数21】
【0056】
ここで、countunderは第1の回数であり、countfuzzyは第2の回数である。最後に、方程式(15)を用いて安定性スコアSstability(r)と安定重みwにより運動スコアを計算する。
【0057】
【数22】
【0058】
ここで、Scoreは運動スコアである。S1は実数であり、試験によって設定されてもよく、例えば90である。
【0059】
[第2の運動タイプ]
この運動タイプは、控除メカニズムで生徒セグメントとコーチ区画の間の差異により運動スコアを計算する。まず生徒セグメントとコーチ区画の間の力誤差を計算し、この力誤差がS関数(sigmoid function)によってシフトとスケーリングを行うことができる。具体的には、S関数は方程式(16)の通りである。
【0060】
【数23】
【0061】
ここで、m、qはパラメーターである。いくつかの実施例において、S関数は、テーブルを検索することで実装され得る。コーチ区画において各サンプリングポイントの力は、方程式(17)で示されてよい。
【0062】
【数24】
【0063】
ここで、数式(1)はL2ノルムを示し、Mはコーチ区画の長さである。
【0064】
【数25】
次に、方程式(18)を用いてコーチ運動データの動的係数を計算する。
【0065】
【数26】
【0066】
ここで、wは区画のサイズを示し、std(magc,i,w)は力magc[]が第iのサンプリングポイント~第i+wのサンプリングポイントにおける標準差であり、mean(magc,i,w)は力magc[]が第iのサンプリングポイント~第i+wのサンプリングポイントにおける平均値である。次に、方程式(19)を用いてS関数によって転換される。
【0067】
【数27】
【0068】
ここで、Pはコレクションを示し、生徒セグメントとコーチ区画の間のペアとなるサンプリングポイントを含む。このコレクションはOBE-DTWアルゴリズムによるものであり、例えば図2におけるサンプリングポイント231はサンプリングポイント232とペアとなり、(ic,is)はコレクションPにおけるペアとされる各ペアを示す。mm、qmは実数であり、力差異の許容度を制御するためのものであり、試験によって任意に設けられてもよい。Dmは差し引かれるスコアを示し、即ち上記の力誤差を示す。動的係数magupper[ic]はコーチ運動データにより適切に力誤差Dmを調整する。コーチ運動データの力の標準差が大きい場合、この動きが模倣されにくいことを示すので、差し引かれるスコアDmが少ない。別の見方をすると、力誤差Dmが生徒セグメントの各サンプリングポイントでのL2ノルムである数式(2)とコーチ区画の対応するサンプリングポイントでのL2ノルムの間の差異により計算される。
【0069】
【数28】
【0070】
また、角度差異は、方程式(20)に従って計算される。
【0071】
【数29】
【0072】
ここで、ma、qaは実数であり、角度差異の許容度を制御するためのものであり、試験によって任意に設けられてもよい。Daは差し引かれるスコアを示し、即ち上記の方向誤差を示す。別の見方をすると、方向誤差Daは、生徒セグメントの各サンプリングポイントFs[is]とコーチ区画の対応するサンプリングポイントFc[ic]の間のコサイン類似度により計算される。言い換えると、力誤差Dmは生徒の動きの力が正しいかどうかを判断するためのものであり、方向誤差Daは生徒の動きの方向が正しいかどうかを判断するためのものである。生徒がコーチに従って動く場合、力と方向の差異がそれほど大きくないため、この時に差し引かれるスコアは少ない。しかしながら、生徒とコーチとの動きの差異が非常に大きい場合に、方向又は力の類似度が大きい場合がある。この場合には高得点を付与すべきではなく、これはこれでまた2つの重みを設けて力誤差Dmと方向誤差Daを混合する必要がある。
【0073】
具体的には、この実施例においてまた力重みwmと方向重みwaを設ける場合がある。このとき、力誤差と方向誤差のうちの大きな一方が誤差臨界値(生徒とコーチの動きの差異が大きいことを示す)より大きい場合、対応する力重み又は方向重みを増加させ、またもう一方の重みが減少する。このように、方向又は力の類似度が大きい場合でも高得点が付与されることはない。いくつかの実施例において、上記の重みを増加させるステップはS関数により調整され、方程式(21)によって計算される。
【0074】
【数30】
【0075】
また、力重みwmと方向重みwaの総和は1であり、力重みwmと方向重みwaが仮想コードにより決定される。
If Da>Dm
a:=DAMq,m(wa,Da
m:=1-wa
else
m:=DAMq,m(wm,Dm
a:=1-wm
【0076】
ここで、qは実数であり、重みが増加する幅を決めるためのものである。mは実数であり、S関数のX軸におけるシフトを決めるためのものであり、つまり上記の臨界値を示す。実数q、mは試験によって任意に設けられてよい。言い換えると、方向誤差Daが大きい場合、方向誤差DaはS関数に入力され、方向誤差Daが臨界値より大きい場合、急速に上昇し、残りの状態では変化の幅がかなり低い。
【0077】
最後に、方程式(22)を用いて力誤差、方向誤差、力重みと方向重みにより運動スコアを計算する。
【0078】
【数31】
【0079】
図2に戻ると、コーチ区画211について運動スコアを計算した後、次のコーチ区画212の運動スコアを計算することができる。特にコーチ区画212とコーチ区画211とは部分的に重なる。例えばコーチ区画211を右へある距離だけ移動させてコーチ区画212を得てから、コーチ区画212の運動スコアを計算する。移動距離が小さすぎると、多くの不要な計算を増加させ且つ動き分析の解像度を向上させることができず、移動距離が大きすぎると、多くの計算量を低下させ且つ動き分析の解像度も低下させる。いくつかの実施例において、上記の移動距離は0.15秒である。
【0080】
図3は、実施例によるエクササイズコース採点方法を示すフロー図である。図3を参照する。ステップ301において、コースビデオを再生して、コースビデオに対応するコーチ運動データを取得し、コーチ運動データからコーチ区画を取得する。ステップ302において、慣性測定ユニットにより生徒運動データを取得し、生徒運動データから生徒区画を取得し、生徒区画の長さがコーチ区画の長さより大きい。ステップ303において、生徒区画におけるコーチ区画と最も類似している生徒セグメントを捜す。ステップ304において、運動タイプを判断する。第1の運動タイプである場合、ステップ305において、生徒セグメントとコーチ区画の安定性により運動スコアを計算するが、第2の運動タイプである場合、ステップ306において、控除メカニズムで生徒セグメントとコーチ区画の間の差異により運動スコアを計算する。別の実施例において、ステップ304は、第1の運動タイプの重みと第2の運動タイプの重みを計算することによって置き換えることができる。ステップ305とステップ306はいずれも実行され、後のステップ305、306で計算された運動スコアは第1の運動タイプの重みと第2の運動タイプの重みに従って合計される。以上のように、第1の運動タイプの重みと第2の運動タイプの重みは、運動アイテム(例えばボクシングエアロビクス、ラテンダンス、断続的な強度のエクササイズ、ヨガ等)に基づいてテーブルを検索することで決められ、或いはコーチ区画211(又は生徒区画221)の長さに基づいて決められる。しかしながら、図3において各ステップについてはすでに詳しく説明したので、ここに説明しない。注意すべきなのは、図3において各ステップは複数のプログラムコード又は回路として実装されてもよく、本発明はこれに限定されない。また、図3の方法は、以上の実施例と共に使用してもよく、単独で使用してもよい。言い換えると、図3の各ステップの間に他のステップを追加してもよい。別の観点からは、本発明もプログラムを提供し、このプログラムが任意のプログラム言語及び/又はプラットフォームで作成されてもよい。このプログラムが計算モジュール141又はスマート装置130にロードされ実行される場合、上記の方法を完成することができる。
【0081】
いくつかの実施例において、上記のL2ノルムは、L1ノルム、最大ノルム、ヒストグラム距離(histogram distance)又は他の適切な距離計算方式で置き換えてよい。
いくつかの実施例において、上記のOBE-DTWは、他のタイプのDTWで置き換えても、又は最長共通サブシーケンス(longest common subsequence;LCS)等の類似性アルゴリズムで置き換えてもよい。
【0082】
本発明を実施形態で上記の通り開示したが、これは本発明を限定するためのものではなく、当業者であれば、本発明の精神と範囲から逸脱しない限り、各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0083】
100:エクササイズコース採点システム
110:ウェアラブル装置
112:生徒
120:ディスプレイ
121:スコア
130:スマート装置
131:プロセッサ
132:メモリ
133:ワイヤレス通信モジュール
140:クラウドデータベース
141:計算モジュール
151~156:ステップ
210:コーチ運動データ
220:生徒運動データ
211、212:コーチ区画
221:生徒区画
230:生徒セグメント
231、232:サンプリングポイント
301~306:ステップ
図1A
図1B
図2
図3