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  • 特許-軟カプセル成形装置 図1
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  • 特許-軟カプセル成形装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】軟カプセル成形装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/07 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
A61J3/07 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020194022
(22)【出願日】2020-11-24
(65)【公開番号】P2021194518
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2020-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0070406
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0098040
(32)【優先日】2020-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0127963
(32)【優先日】2020-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517417407
【氏名又は名称】ジュン スーヨン
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(74)【代理人】
【識別番号】100118382
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 央子
(72)【発明者】
【氏名】ジュン スーヨン
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-084050(JP,A)
【文献】特開2020-074836(JP,A)
【文献】特開2011-120619(JP,A)
【文献】特開2005-170863(JP,A)
【文献】特表2020-503926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄い皮膜状のシート成形のためのシート成形部と、
前記シート成形部によって成形されたシートでカプセル成形を行うための一対の成形ロールを含むカプセル成形部と、
カプセル化されるシート内に薬液を供給するための薬液供給部と、を含み、
前記薬液供給部は一対設置されることを特徴とし、
前記カプセル成形部の成形ロールの表面に形成された空洞は、内部空間が第1空間と第2空間に仕切られており、
前記一対の薬液供給部のうち、一つの薬液供給部から排出された薬液は第1空間に注入され、もう一つの薬液供給部から排出された薬液は第2空間に注入されるものであり、
前記カプセル成形部は、供給される薬液をカプセル内に注入するためのウェッジと、前記ウェッジの上部に設置され、薬液供給部から薬液の供給を受ける分配板と、を含み、
前記分配板には、薬液注入のための注入ホールが形成され、一つの薬液供給部の一側に形成された薬液供給ノズルの個数だけ左右それぞれ二列に配列され、
前記ウェッジには、前記注入ホールと連通してカプセル成形過程でカプセル内への薬液注入のための排出ホールが形成され、一つの薬液供給部の一側に形成された一つの薬液供給ノズルに連通している排出ホールと、もう一つの薬液供給部の一側に形成された一つの薬液供給ノズルに連通している排出ホールとが一つのユニットになって前記空洞の第1空間と第2空間に対応して配列されることを特徴とする、軟カプセル成形装置。
【請求項2】
前記薬液供給部は一対の成形ロールの後方にそれぞれ一つずつ設置され、それぞれの薬液供給部から供給される薬液は互いに同じ薬液であることを特徴とする、請求項1に記載の軟カプセル成形装置。
【請求項3】
前記薬液供給部は一対の成形ロールの後方にそれぞれ一つずつ設置され、それぞれの薬液供給部から供給される薬液は互いに異なる薬液であることを特徴とする、請求項1に記載の軟カプセル成形装置。
【請求項4】
前記成形ロールは、一つのカプセル内に互いに異なる薬液が充填されたカプセルを成形することを特徴とする、請求項3に記載の軟カプセル成形装置。
【請求項5】
第1空間と第2空間に仕切られている前記空洞には、成形ロールの表面に突設された加圧部が備えられ、
前記加圧部は、空洞の縁部を連続して囲む外側加圧部と、空洞内に仕切られている第1空間と第2空間との間に形成される第1内側加圧部及び第2内側加圧部とから構成され、
前記第1内側加圧部と前記第2内側加部との間には空間が形成されることを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の軟カプセル成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる「ゼラチンカプセル」と呼ばれる軟カプセルを成形する装置に係る。より具体的には、カプセル内に充填される薬液を供給する薬液供給部を二つ、すなわち一対構成することにより一つの軟カプセル内に互いに異なる薬液が共存するカプセルを成形することができ、または、一対の薬液供給部を介して同じ薬液を供給することにより従来のカプセル成形装置に比べてカプセルの生産量を増やすことができる軟カプセル成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な用途で使われている軟カプセル製品は、ゼラチン(Gelatin)を加熱して溶液化し、これを軟カプセル成形装置のドラムに薄く広げてシート化した後、その成形装置の成形部へ移送し、一対の成形ロールで軟カプセルを成形しながら、その内部に薬液を充填して製造する方法が一般的な生産方法である。
この方法は、いわゆる「ロータリー方式」と呼ばれている。より具体的には、このような成形装置は、ゼラチン溶液で薄い皮膜状のゼラチンシートを成形するためのシート成形部1、ゼラチンシートでカプセルを成形するためのカプセル成形部2、及びカプセル化されるゼラチンシート内に薬液を供給するための薬液供給部3で構成される。
【0003】
図1を参照してシート成形部1について説明する。ゼラチンタンクでシロップ形状の、すなわち液状化したゼラチンは、貯蔵タンクと移送ホースで連結されたスプレッダーボックスBに供給されるが、貯蔵タンクからポンピングされて移送ホースを介して当該スプレッダーボックスに供給された溶融状態のゼラチンは、厚さが調節されて、下方に配置されたドラムDの外周面に調節された厚さで塗布される。
回転するドラムDに塗布されたゼラチンは、冷却されてシート化され、その後、多数の移送ローラを経てカプセル成形部2へ供給される。
【0004】
次に、カプセル成形部2は、軟カプセルの外皮を成形するために、一対の成形ロールRが備えられている。前記一対の成形ロールRの外周には、カプセル2分割の片側の形状に彫り込まれた空洞(cavity)が、互いに対応してそれぞれ配列形成されており、前記一対の成形ロールRは対向して互いに反対方向に回転する。成形ロールRの上側には、薬液を空洞に注入するためのウェッジW(Wedge)が装着されており、ウェッジWは、薬液の供給を受けるために薬液供給部3に連結されている。
【0005】
より具体的には、ウェッジWの上部に分配板Pが結合されており、薬液供給のための移送ラインLが薬液供給部3のノズルと分配板Pの注入ホールに連結され、薬液供給部3の薬液が移送ラインLを介して分配板Pの注入ホールを経てウェッジWに供給される。すなわち、前記薬液供給部3は、カプセル成形部2の後方中央に位置した一つの薬液供給部からなり、薬液供給部の両側に形成されたノズルから移送ラインLを介して薬液が排出されて分配板Pの注入ホールに供給される。
【0006】
まとめると、シート成形部1で成形された2枚のゼラチンシートをカプセル成形部2の回転する一対の成形ロールRの間に挟み込むとともに、ゼラチンシートの間に薬液を一定の周期で注入し、加熱密封すると同時にカットして一対の成形ロールRからゼラチンシートをカプセル形状に型抜きすることにより、ゼラチン皮膜内に薬液が充填された軟カプセルが連続的に製造される。
ゼラチン皮膜内に充填される薬液としては、液状薬剤だけでなく、顆粒状薬剤、ペースト状薬剤など、多様なタイプのものが考えられるが、図1のような従来の軟カプセル成形装置では、一つのカプセル内に一つの薬剤のみが投入されるだけであり、一つのカプセル内に二つの薬剤を充填させることはできない。
【0007】
もちろん、本発明の発明者兼出願人は、これまで当該分野でさまざまな関連装置を開発してきており、その中でも、韓国特許第10-1268491号(特許文献1)では、固体状態の薬剤と液体状態の薬剤を一つのカプセル内に充填させることができる構成を提案している。しかし、韓国特許第10-1268491号の構成は、投入される薬剤の状態が液相のものと固相のものに定められているという限界がある。
【0008】
次に、二つ以上の薬剤を一つのカプセルに実現することができる方案として、カプセルの皮膜を多重にし、薬剤成分を皮膜に成形するようにした薬剤成形機も提案されている。韓国特許第10-1927148号(特許文献2)及び韓国特許第10-1951301号(特許文献3)は、カプセル皮膜を多重にすることができる成形装置に関するものである。しかし、このような軟カプセル成形装置の場合、追加的に必要な薬剤を皮膜形状にしなければならないという限界がある。
【0009】
このように、本出願人は、一つのカプセル内に互いに異なる薬剤が充填された軟カプセルを成形することができる成形装置について検討してきた。その結果、以下に説明される本発明の軟カプセル成形装置に至った。
そして、このような軟カプセル成形装置を開発するにあたり、従来の成形装置に比べて軟カプセルの生産量を増加させることができる構造についても検討した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】韓国特許第10-1268491号公報
【文献】韓国特許第10-1927148号公報
【文献】韓国特許第10-1951301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、カプセル内に充填される薬剤のタイプを問わず、一つのカプセル内に互いに異なる2種類の薬剤が充填された軟カプセルを成形することができる軟カプセル成形装置を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、同一種類の薬剤を投入する場合には従来の成形装置に比べて軟カプセルの生産量を増やすことができる軟カプセル成形装置を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、上記の目的を達成するために従来の成形装置とは別個の構造の成形装置を開発するのではなく、従来の成形装置の簡単なデザイン変更によっても、追求しようとする目的の達成が可能な軟カプセル成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するための本発明の軟カプセル成形装置は、薄い皮膜状のシート成形のためのシート成形部と、前記シート成形部によって成形されたシートでカプセル成形を行うための一対の成形ロールを含むカプセル成形部と、カプセル化されるシート内に薬液を供給するための薬液供給部と、を含み、前記薬液供給部は、一対として設置されることを特徴とする。
【0015】
また、前記一対の薬液供給部は、一対の成形ロールの後方にそれぞれ一つずつ設置されることを特徴とする。
【0016】
そして、前記一対の薬液供給部のそれぞれから、カプセル化されるシート内に投入される薬液が、互いに異なる薬液であることを特徴とする軟カプセル成形装置が提供される。
また、前記一対の薬液供給部のそれぞれから、カプセル化されるシート内に投入される薬液が、互いに同じ薬液であることを特徴とする軟カプセル成形装置が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る軟カプセル成形装置によれば、投入される薬剤のタイプに拘らず、2種類の互いに異なる薬剤を容易に充填することができるため、一つのカプセル内に互いに異なる2種類の薬剤が充填されたカプセルを成形することができる。
また、同種の薬剤を充填することもでき、この場合、従来の軟カプセル成形装置に比べて2倍のカプセル生産量を得ることができるという効果を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】従来の軟カプセル成形装置を示す図である。
図2】本発明による軟カプセル成形装置を概略的に示すもので、それぞれの薬液供給部の一側でのみ移送ラインが連結された状態を示す斜視図である。
図3】本発明による軟カプセル成形装置の成形ロールの形態を示す斜視図及びその部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明による軟カプセル成形装置について説明する。
まず、本発明を説明するにあたり使用される「薬液」という表現は、液状薬剤のみを意味するのではない。すなわち、本発明においてカプセルの内部に充填できる薬剤は、液状の薬剤だけではなく、顆粒状薬剤、ペースト状薬剤、懸濁状薬剤などと多様なタイプの薬剤を含む。
本発明に関する分野では、カプセルの内部に充填できる薬剤がこのように様々なタイプのものであっても、薬液という表現で主に通称されているので、以下、本発明を説明する際にも、「薬液」との通称を使用する。
【0020】
前述したように、図1は従来の軟カプセル成形装置を示すものである。本発明による軟カプセル成形装置を示す図2を、図1と比較すると、従来の軟カプセル成形装置に比べて薬液供給部3の設置個数及び設置位置が異なることが容易に確認される。
すなわち、本発明では、薬液供給部3は、薬液供給部3A及び3Bの一対として設置され、成形装置の左右両側にそれぞれ一つずつ位置している。
【0021】
より具体的に、図2及び図3を参照して、本発明による軟カプセル成形装置を説明する。
従来の装置と同様に、薄い皮膜状のシートを成形するためのシート成形部1と、成形されたシートでカプセルを成形するためのカプセル成形部2と、カプセル化されるシート内に薬液を供給するための薬液供給部3とが備えられている。
従来の軟カプセル成形装置と同様に、シート成形部では、ゼラチンタンクからゼラチンがスプレッダーボックスへ供給され、供給されたゼラチンは、溶融状態であって、その厚さが調節され、下方に配置されたドラムDの外周面に調節された厚さで塗布される。回転するドラムDに塗布されたゼラチンは、冷却されシート化された後、カプセル成形部2へ供給される。
【0022】
カプセル成形部2は、カプセル2分割の片側の形状に彫り込まれた空洞(cavity)が配列された一対の成形ロールR(図2では、成形ロールに彫り込まれた空洞は図示されていない)と、成形ロールRの上側に位置して薬液をそれぞれの空洞に注入するためのウェッジWと、前記ウェッジWの上部に設置された分配板Pと、を含む。
前記分配板PとウェッジWを介して薬液供給部3から供給される薬液がカプセル化されるシート内に供給される。
【0023】
本発明の軟カプセル成形装置においても、従来の軟カプセル成形装置と同じ構造の薬液供給部が設置されるが、本発明では、従来と異なり、薬液供給部3が左右両側に一つずつ、すなわち一対の薬液供給部3A及び3Bが設置されることを特徴とする。
移送ラインLの一端は薬液供給部3A及び3Bの薬液供給ノズルnに装着され、移送ラインLの他端は分配板Pの注入ホールh1に装着されることにより、薬液供給部に貯蔵された薬液は、移送ラインLを介して分配板Pの注入ホールh1へ供給され、注入ホールに連通しているウェッジWの排出ホールh2を介してカプセル成形過程で成形ロールRの空洞に注入される。
【0024】
分配板Pに形成された注入ホールh1及びウェッジWに形成された排出ホールh2の個数は従来の成形装置のそれとは異なるが、それぞれの薬液供給部に備えられた薬液供給ノズルnの個数に対応して分配板Pの注入ホールh1の個数が決定される。
【0025】
つまり、中央に一つの薬液供給部が設置されている従来の成形装置の場合、薬液供給部の左右両側に形成された薬液供給ノズルを介して薬液供給部の左右から薬液が分配板に供給され、分配板の注入ホールも薬液供給部の一側の薬液供給ノズルと同じ個数だけ左右にそれぞれ一列に配列される形態であったが、
本発明では、二つの薬液供給部が設置され、それぞれの薬液供給部の左右両側に形成された薬液供給ノズルnを介して分配板へ薬液が供給されるので、本発明の分配板Pにおける注入ホールh1は、左右にそれぞれ二列に配列された形態を取る。このため、本発明の分配板Pは、従来の分配板の幅よりも大きい幅を有することが好ましい。
【0026】
前記分配板の注入ホールh1を介して供給された薬液は、分配板の下方に位置したウェッジWに移動して、ウェッジの下端に形成された排出ホールh2から排出されるが、やはり前記排出ホールの個数も、設置された薬液供給部の薬液供給ノズルの個数に応じて決定される。
つまり、一つの薬液供給部3Aの一側に形成されている一つの薬液供給ノズルnに連通している排出ホールh2aと、もう一つの薬液供給部3Bの一側に形成されている一つの薬液供給ノズルnに連通している排出ホールh2bとが、一つのユニットになってウェッジの下端に形成される。そして、一つのユニットになった二つの排出ホールh2a及びh2bが、成形される一つのカプセル内に薬液を投入する。
【0027】
ちなみに、一つの薬液供給部3Aの一側に形成された薬液供給ノズルnに連結された移送ラインLは、分配板Pに左右それぞれ二列に配列された注入ホールのうちの内側ラインの注入ホールh1aに連結され、もう一つの薬液供給部3Bの一側に形成された薬液供給ノズルnに連結された移送ラインLは、分配板に左右それぞれ二列に配列された注入ホールのうちの外側ラインの注入ホールh1bに連結される。
このため、薬液供給部3A、3Bのそれぞれに互いに異なる種類の薬液が充填されている場合、一つのユニットになった二つの隣接した排出ホールh2a及びh2bから排出される薬液は互いに異なるため、一つのカプセル内に互いに異なる薬液の充填が可能となる。
【0028】
このように構成された本発明の成形装置によれば、独立した構造であって互いに干渉しない一対の薬液供給部3A及び3Bを備えるので、カプセル内に充填される薬液の種類に全く拘らない。
例えば、油と水のように混ざらない性質を持つ二つの薬液をカプセル内に注入することが必要である場合、従来の軟カプセル成形装置では、一つの薬液供給部で二つの薬液を貯蔵してカプセル成形部へ供給しようとしても、互いに混ざらない性質であるので、カプセル内への充填が不可能であるが、本発明の軟カプセル成形装置によれば、一対の薬液供給部のそれぞれに、二つの薬液のそれぞれを貯蔵し、個別の移送ラインを介してそれぞれの注入ホール及び排出ホールを通すことができるので、カプセル内への充填が可能となる。
【0029】
または、液状と顆粒状の薬液のそれぞれを一つのカプセル内に充填する場合、従来の成形装置によれば、一つの薬液供給部にそれぞれを貯蔵し、それらを混合して同じ供給ラインを介してカプセル内に充填しなければならないが、この場合、カプセル内に必要な液状及び顆粒状の混合比率などを精密に適合させることは困難であるとの限界があった。しかし、本発明の成形装置によれば、このような二つの薬液を、従来よりも容易かつ精密に適合させて充填することが可能である。
すなわち、本発明の成形装置によれば、それぞれの薬液供給部で異なる種類の薬液を互いに干渉せずに注入することができ、それぞれの薬液供給部で注入される量を互いに制御することができるため好ましい。
または、注入される薬液に応じて、真空状態で薬液の注入が必要な場合と真空状態以外の状態で薬液の注入が必要な場合、やはり本発明の装置によれば、容易なカプセル内への充填が可能である。
【0030】
カプセル内に注入される二つの薬液が互いに混ざらずにカプセル内に充填されるようにするために、成形ロールの表面に形成される空洞(cavity)は、図3に示すような形態で構成されることが好ましい。
【0031】
つまり、図3に示されるように、カプセル2分割の片側の形状に彫り込まれた空洞(cavity)5は、内部空間が第1空間5aと第2空間5bに仕切られており、それぞれの空間に吸引のための吸引孔6を備える。前記ウェッジWに形成された排出ホールh2a及びh2bのそれぞれは前記第1空間5a及び第2空間5bに対応する。
【0032】
当該空洞5も、従来の空洞のように空洞の縁部に成形ロールの表面から少し突出する加圧部51が形成され、対向する成形ロールの空洞に形成された加圧部と一緒に、成形ロールと成形ロールとの間に位置したシートを加圧することにより、シートを密封ラミネートする。
この時、図3に示すように、本発明に係る加圧部51は、空洞5の縁部を囲む外側加圧部51aと、空洞内に仕切られている第1空間5aと第2空間5bの間に形成され、第1空間側に位置する第1内側加圧部51b及び第2空間側に位置する第2内側加圧部51cから構成される。この時、内部が二つの空間に分けられた一つのカプセルに成形されるため、前記第1内側加圧部51bと第2内側加圧部51cとの間には、成形ロールの表面が露出されるようにした空間Sが形成される。もちろん、この場合、外側加圧部51aが空洞5の縁部全体を途切れなく囲むようにする。
【0033】
一方、一対の薬液供給部3に同じ種類の薬液を充填した場合には、従来の軟カプセル成形装置よりも多い個数の軟カプセルの成形が可能となる。
特に、この場合、図3において空洞5の縁部を囲むように途切れなく形成された外側加圧部51aにおいて、成形ロールの表面が露出されるようにした空間Sに隣接している外側加圧部51aの部分を断ち切ると、1回の薬液注入で従来に比べて2倍の個数の軟カプセルを成形することができるので、生産性を2倍に増やすことができる。
または、図3に示された成形ロールはそのまま使用するが、カプセルの完成後に外側加圧部51aを一部切断して、最終的には一つの成形製品から二つのカプセルを得ることもできる。
【0034】
以上、添付図面を参照して本発明について説明したが、本発明は当業者によって様々な修正、変更及び置換が可能であり、それらの修正、変更及び置換も本発明の保護範囲に属するものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0035】
1 シート成形部
B スプレッダーボックス
D ドラム
2 カプセル成形部
R 成形ロール
W ウェッジ
P 分配板
3、3A、3B 薬液供給部
n 薬液供給ノズル
h1 注入ホール
h2 排出ホール
5 空洞
5a 第1空間
5b 第2空間
51 加圧部
51a 外側加圧部
51b 第1内側加圧部
51c 第2内側加圧部
図1
図2
図3