(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】重金属汚染現場土壌処理設備
(51)【国際特許分類】
B09C 1/06 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
B09C1/06
(21)【出願番号】P 2020517141
(86)(22)【出願日】2019-01-08
(86)【国際出願番号】 CN2019070786
(87)【国際公開番号】W WO2019192241
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-03-24
(31)【優先権主張番号】201810283154.4
(32)【優先日】2018-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515204421
【氏名又は名称】広東省生態環境技術研究所
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG INSTITUTE OF ECO-ENVIRONMENTAL SCIENCE & TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】劉 承帥
(72)【発明者】
【氏名】呂 亜輝
(72)【発明者】
【氏名】呉 維
(72)【発明者】
【氏名】呉 非
(72)【発明者】
【氏名】李 芳柏
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第207086557(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第104197702(CN,A)
【文献】特開2006-297361(JP,A)
【文献】特開2002-200479(JP,A)
【文献】特開2001-104935(JP,A)
【文献】特開2001-104934(JP,A)
【文献】特開2012-240898(JP,A)
【文献】特開2003-200149(JP,A)
【文献】特開2006-290656(JP,A)
【文献】中国実用新案第206334485(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第107262493(CN,A)
【文献】台湾特許公告第000236580(TW,B)
【文献】中国実用新案第206853565(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09C 1/00-1/10
C04B 33/00-33/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
順に設けられたサンプリング系、成形系、熱処理系および排ガス処理系を含む重金属汚染現場土壌処理設備であって、
サンプリング系は、順に連結されたバケット式巻上機と遊星攪拌装置を含み、バケット式巻上機と遊星攪拌装置の両方が設けられたサンプリング系移動プラットフォームをさらに含み、
成形系は、順に設けられた真空押出機、第1コンベアベルト
、レンガ切断台および第2コンベアベル
トを含み、第1コンベアベルトより上には、レンガを押出機から切断するための第1カッターが設けられ、レンガ切断台より上には、長尺状レンガをブロック状レンガに切断するための第2カッターが設けられ、前記第1コンベアベルトに対して垂直に運動する第2コンベアベルトがレンガ切断台より片側に位置し、真空押出機が第1移動プラットフォームに位置し、第1コンベアベルトおよびレンガ切断台が第2移動プラットフォームに位置し、遊星攪拌装置の排出口が真空押出機の供給口に連結し、
熱処理系は、乾燥炉、マイクロ波加熱炉、冷却室、キルン台車軌道および熱処理系移動プラットフォームを含み、キルン台車軌道が順に乾燥炉、マイクロ波加熱炉および冷却室を通過してそれらを直列に連結し、乾燥炉、マイクロ波加熱炉、冷却室、キルン台車軌道が熱処理移動プラットフォームに位置し、乾燥炉、マイクロ波加熱炉にそれぞれ排ガス出口が設けられ、
排ガス処理系は、有酸素燃焼装置、スプレータワーおよび排ガス処理系移動プラットフォームを含み、有酸素燃焼装置とスプレータワーが排ガス処理系移動プラットフォームに位置し、有酸素燃焼装置は、順に連結されたファン、フィルタおよび燃焼室を含み、燃焼室の内部に触媒床層が取り付けられ、乾燥炉、マイクロ波加熱炉の排ガス出口が有酸素燃焼装置の吸気口に連結し、有酸素燃焼装置の排気口がスプレータワーの吸気口に連結する、
ことを特徴とする重金属汚染現場土壌処理設備。
【請求項2】
第1コンベアベルトより上には、第1コンベアベルトの輸送方向の末端に位置する第1光電センサであって、押出機から押し出されるレンガの位置を検出し、信号を送信して第1カッターの動作を制御するための第1光電センサが設けられ、
レンガ切断台より上には、レンガ切断台の末端に位置する第2光電センサであって、レンガの位置を検出し、信号を送信して第2カッターの動作を制御するための第2光電センサが設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の重金属汚染現場土壌処理設備。
【請求項3】
バケット式巻上機は、リフティングバケット、リフティング軌道およびリフティングバケットの運動を駆動するリフティングバケット駆動装置を含み、リフティングバケット駆動装置によって、リフティング軌道に沿って運動するようにリフティングバケットを駆動し、
遊星攪拌装置は、ケーシング、カバー、遊星盤および遊星盤駆動装置を含み、ケーシングとカバーの組み合わせによって一つの収容空間を形成し、遊星盤が収容空間に位置し、遊星盤は、主軸、攪拌ブレードアセンブリおよび転輪列を含み、カバーに連結された主軸の周りに回転するように遊星盤駆動装置によって遊星盤を駆動し、攪拌ブレードアセンブリと転輪列が主軸の周りに時計方向に回転し、ケーシングには、リフティング軌道の一端に位置するホッパーが設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の重金属汚染現場土壌処理設備。
【請求項4】
乾燥炉は、キルン台車軌道の長手方向の先端と後端にそれぞれ第1昇降式ファーネスドアが設けられ、
乾燥炉の本体は、3層保温構造であり、内側からそれぞれアルミナ繊維板、アルミナカーペットおよび金属製ハウジングであり、
乾燥炉の本体には、乾燥炉抵抗線、乾燥炉熱電対および第1セラミックバックルが取り付けられ、
乾燥炉の前部に第1吸気口が設けられ、乾燥炉の底部に第1昇降パレットが設けられ、第1セラミックバックルが第1昇降パレットより上の乾燥炉の側壁に設けられ、乾燥炉の上部に第1排ガス出口が設けられ、第1排ガス出口が有酸素燃焼装置の吸気口に連結する、
ことを特徴とする請求項1に記載の重金属汚染現場土壌処理設備。
【請求項5】
第1昇降パレットの上面に軌道が設けられ、第1昇降パレットが底部に位置する場合、軌道とキルン台車軌道のつなぎ合わせによって、キルン台車を第1昇降パレットに移動可能にし、第1昇降パレット上の軌道がアルミナ中空球材料の軌道である、
ことを特徴とする請求項4に記載の重金属汚染現場土壌処理設備。
【請求項6】
マイクロ波加熱炉は、キルン台車軌道の長手方向の先端と後端にそれぞれ第2昇降式ファーネスドアが設けられ、
マイクロ波加熱炉の本体は、3層保温構造であり、内側からそれぞれアルミナ繊維板、アルミナカーペットおよび金属製ハウジングであり、
マイクロ波加熱炉の本体には、マイクロ波発生器、マイクロ波加熱炉熱電対、蒸気スプレーチューブおよび第2セラミックバックルが取り付けられ、
マイクロ波加熱炉の底部に第2昇降パレットが設けられ、第2セラミックバックルが第2昇降パレットより上のマイクロ波加熱炉の側壁に設けれ、マイクロ波加熱炉の上部に第2排ガス出口が設けられ、第2排ガス出口が有酸素燃焼装置の吸気口に連結する、
ことを特徴とする請求項1に記載の重金属汚染現場土壌処理設備。
【請求項7】
第2昇降パレットの上面に軌道が設けられ、第2昇降パレットが底部に位置する場合、軌道とキルン台車軌道とのつなぎ合わせによって、キルン台車を第2昇降パレットに移動可能にし、第2昇降パレット上の軌道がアルミナ中空球材料の軌道である、
ことを特徴とする請求項6に記載の重金属汚染現場土壌処理設備。
【請求項8】
冷却室は、キルン台車軌道の長手方向の両端が開放した構造であり、冷却室の上部に吸引ファンが設けられ、吸引ファンが乾燥炉の第1吸気口に連通し、冷却室の側壁に第3セラミックバックルが設けられ、冷却室の底部に第3昇降パレットが設けられ、第3セラミックバックルが第3昇降パレットより上に設けられ、第3昇降パレットの上面に軌道が設けられ、第3昇降パレットが底部に位置する場合、軌道とキルン台車軌道とのつなぎ合わせによって、キルン台車を第3昇降パレットに移動可能にし、第3昇降パレット上の軌道がアルミナ中空球材料の軌道である、
ことを特徴とする請求項1に記載の重金属汚染現場土壌処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害固体廃棄物の処理分野に関し、特に、重金属汚染現場土壌処理設備およびその処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、我が国の産業構造の調整や都市の発展が推移し、汚染企業は、移転や閉鎖に直面している。企業の設備が古く、産業用「3廃」の排出技術および管理手段が不完全であるため、有毒有害重金属汚染物質の一部が地盤土および地下水に侵入し、企業の元の敷地を工業汚染地にする。例えば、経済が発達している珠江デルタ地域のように、密集した金物類、化学産業、鉄鋼等の企業の工場では、土壌が重金属で深刻に汚染され、地域の環境に悪影響を及ぼし、人々の健康を脅かし、経済の発展を制約している。従って、重金属汚染現場土壌の修復は、人々の生活、都市の計画、および持続的発展にとって大きな問題となっている。
【0003】
現在、重金属汚染処理技術は、主に、セメント硬化、プラスチック材料封入などの物理的修復技術と、薬剤安定化技術などの化学的修復と、植物抽出、微生物修復などの生物学的修復に分類されている。工業プラントでは重金属汚染がスポット的に汚染されるという特徴があり、すなわち同一プラントでは汚染の有無が場所によって異なり、汚染された土壌の汚染度も一様ではない。また、土壌の補修期間は、土地の二次開発利用等の経済的な観点から、あまり長くできないことが求められる。しかしながら、シャワー修復技術は、大量のシャワー廃液を発生させ、適切に処理されないと深刻な二次汚染を引き起こす。植物抽出修復の深さは根圏範囲にすぎず、かつ修復サイクルは長く、一般的には5年以上の修復時間を必要とする。微生物修復は、土壌条件に対する要求が高く、環境的な制約が大きく、適用範囲が狭い。従って、シャワー技術、植物抽出、微生物修復などの方法は、修復周期、効果ともに、現在の重金属汚染土壌修復の要求を満たすことが困難である。
【0004】
固化/安定化技術は、主に重金属の土壌中での賦存形態を変化させることにより重金属を固定化し、環境中での移動や拡散を阻止し、重金属の毒性度を低下させるものである。固化/安定化技術は、他の修復方法に対して、低コストで施工が容易で、修復時間が短く、環境が長期にわたり安全性に優れていることから、重金属汚染現場の処理に広く用いられている。特に、近年、セメントキルン処理、レンガ化処理等の高温硬化処理は、固定/安定化手段として多用されている。この技術は、重金属汚染土壌を原料の一部として高温焼成してセメントやレンガにするものであり、この過程で重金属を安定な鉱物構造に固定でき、重金属の漏れのリスクを排除できるだけでなく、転化したものを路盤や建築材料として使用することができ、汚染土壌の無害化と資源化処理を実現している。
【0005】
従来の高温硬化処理技術は、現場の制限を受け、修復のために重金属汚染土壌を固定現場に輸送する必要があり、輸送コストが高く、輸送中の途中汚染および現場汚染を引き起こす可能性がある。また、プロセスが煩雑であり、設備の自動化程度が低く、人件費がかかる。また、レンガ本体のプレス成形が不完全で、レンガ成形効果が低く、不良率が高い。従来の窯炉は、加熱が不均一であり、温度の正確な制御ができず、失火又は過焼を引き起こしやすく、レンガの品質に影響を及ぼす。加熱効率が低く、エネルギー消費が大きい。排ガス汚染物の制御が十分ではなく、特に汚染土壌を原料とする場合には揮発性有機質や重金属汚染物質が多量に発生し、これらの汚染物質を完全に除去することができず、深刻な二次汚染を引き起こすおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の技術に存在する技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、重金属汚染土壌の無害化や資源化処理を環境に優しく実現するための、より簡便でエネルギー消費の少ない自動化高温処理設備を提供することにある。
【0007】
本発明は、従来技術に存在する技術的課題に鑑みてなされたものであり、そのもう一つの目的は、重金属汚染土壌の処理コストを低減し、二次汚染を防止し、環境に優しい形で重金属汚染土壌の無害化、資源化処理を図ることができる処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術手段を提案する。
【0009】
順に設けられたサンプリング系、成形系、熱処理系および排ガス処理系を含む重金属汚染現場土壌処理設備であって、
サンプリング系は、順に連結されたバケット式巻上機と遊星攪拌装置を含み、バケット式巻上機と遊星攪拌装置の両方が設けられたサンプリング系移動プラットフォームをさらに含み、
成形系は、順に設けられた真空押出機、第1コンベアベルトおよび第2コンベアベルト、レンガ切断台、第1移動プラットフォームおよび第2移動プラットフォームを含み、第1コンベアベルトより上には、レンガを押出機から切断するための第1カッターが設けられ、レンガ切断台より上には、長尺状レンガをブロック状レンガに切断するための第2カッターが設けられ、第2コンベアベルトがレンガ切断台より片側に位置し、真空押出機が第1移動プラットフォームに位置し、第1コンベアベルトおよびレンガ切断台が第2移動プラットフォームに位置し、遊星攪拌装置の排出口が真空押出機の供給口に連結し、
熱処理系は、乾燥炉、マイクロ波加熱炉、冷却室、キルン台車軌道および熱処理系移動プラットフォームを含み、キルン台車軌道が順に乾燥炉、マイクロ波加熱炉および冷却室を通過してそれらを直列に連結し、乾燥炉、マイクロ波加熱炉、冷却室、キルン台車軌道が熱処理移動プラットフォームに位置し、乾燥炉、マイクロ波加熱炉にそれぞれ排ガス出口が設けられ、
排ガス処理系は、有酸素燃焼装置、スプレータワーおよび排ガス処理系移動プラットフォームを含み、有酸素燃焼装置とスプレータワーが排ガス処理系移動プラットフォームに位置し、有酸素燃焼装置は、順に連結されたファン、フィルタおよび燃焼室を含み、燃焼室の内部に触媒床層が取り付けられ、乾燥炉、マイクロ波加熱炉の排ガス出口が有酸素燃焼装置の吸気口に連結し、有酸素燃焼装置の排気口がスプレータワーの吸気口に連結する。
【0010】
さらに、第1コンベアベルトより上には、第1コンベアベルトの輸送方向の末端に位置する第1光電センサであって、押出機から押し出されるレンガの位置を検出し、信号を送信して第1カッターの動作を制御するための第1光電センサが設けられている。レンガ切断台より上には、レンガ切断台の末端に位置する第2光電センサであって、レンガの位置を検出し、信号を送信して第2カッターの動作を制御するための第2光電センサが設けられている。
【0011】
さらに、バケット式巻上機は、リフティングバケット、リフティング軌道およびリフティングバケットの運動を駆動するリフティングバケット駆動装置を含み、リフティングバケット駆動装置によって、リフティング軌道に沿って運動するようにリフティングバケットを駆動し、
遊星攪拌装置は、ケーシング、カバー、遊星盤および遊星盤駆動装置を含み、ケーシングとカバーの組み合わせによって一つの収容空間を形成し、遊星盤が収容空間に位置し、遊星盤は、主軸、攪拌ブレードアセンブリおよび転輪列を含み、カバーに連結された主軸の周りに回転するように遊星盤駆動装置によって遊星盤を駆動し、攪拌ブレードアセンブリと転輪列が主軸の周りに時計方向に回転し、ケーシングには、リフティング軌道の一端に位置するホッパーが設けられている。
【0012】
さらに、乾燥炉は、キルン台車軌道の長手方向の先端と後端にそれぞれ第1昇降式ファーネスドアが設けられ、
乾燥炉の本体は、3層保温構造であり、内側からそれぞれアルミナ繊維板、アルミナカーペットおよび金属製ハウジングであり、
乾燥炉の本体には、乾燥炉抵抗線、乾燥炉熱電対および第1セラミックバックルが取り付けられ、
乾燥炉の前部に第1吸気口が設けられ、乾燥炉の底部に第1昇降パレットが設けられ、第1セラミックバックルが第1昇降パレットより上の乾燥炉の側壁に設けられ、乾燥炉の上部に第1排ガス出口が設けられ、第1排ガス出口が有酸素燃焼装置の吸気口に連結する。
【0013】
さらに、第1昇降パレットの上面に軌道が設けられ、第1昇降パレットが底部に位置する場合、軌道とキルン台車軌道のつなぎ合わせによって、キルン台車が第1昇降パレットに移動可能にし、第1昇降パレット上の軌道がアルミナ中空球材料の軌道である。キルンが軌道に沿って第1昇降パレットの中心に移動すると、第1昇降パレットが上昇し、第1バックルがキルンを係止し、第1昇降パレットが下降する。
【0014】
さらに、マイクロ波加熱炉は、キルン台車軌道の長手方向の先端と後端にそれぞれ第2昇降式ファーネスドアが設けられ、
マイクロ波加熱炉の本体は、3層保温構造であり、内側からそれぞれアルミナ繊維板、アルミナカーペットおよび金属製ハウジングであり、
マイクロ波加熱炉の本体には、マイクロ波発生器、マイクロ波加熱炉熱電対、蒸気スプレーチューブおよび第2セラミックバックルが取り付けられ、
マイクロ波加熱炉の底部に第2昇降パレットが設けられ、第2セラミックバックルが第2昇降パレットより上のマイクロ波加熱炉の側壁に設けれ、マイクロ波加熱炉の上部に第2排ガス出口が設けられ、第2排ガス出口が有酸素燃焼装置の吸気口に連結する。
【0015】
さらに、第2昇降パレットの上面に軌道が設けられ、第2昇降パレットが底部に位置する場合、軌道とキルン台車軌道とのつなぎ合わせによって、キルン台車が第2昇降パレットに移動可能にし、第2昇降パレット上の軌道がアルミナ中空球材料の軌道である。キルンが軌道に沿って第2昇降パレットの中心に移動すると、第2昇降パレットが上昇し、第2バックルがキルンを係止し、第2昇降パレットが下降する。
【0016】
さらに、冷却室は、キルン台車軌道の長手方向の両端が開放した構造であり、冷却室の上部に吸引ファンが設けられ、吸引ファンが乾燥炉の第1吸気口に連通し、冷却室の側壁に第3セラミックバックルが設けられ、冷却室の底部に第3昇降パレットが設けられ、第3セラミックバックルが第3昇降パレットより上に設けられ、第3昇降パレットの上面に軌道が設けられ、第3昇降パレットが底部に位置する場合、軌道とキルン台車軌道とのつなぎ合わせによって、キルン台車が第3昇降パレットに移動可能にし、第3昇降パレット上の軌道がアルミナ中空球材料の軌道である。キルンが軌道に沿って第3昇降パレットの中心に移動すると、第3昇降パレットが上昇し、第3バックルがキルンを係止し、第3昇降パレットが下降する。
【0017】
重金属汚染現場土壌処理設備を用いた重金属汚染現場土壌の処理方法は、
サンプリング系、成形系、熱処理系および排ガス処理系を重金属汚染土壌の処理が必要な現場へ、それぞれサンプリング系移動プラットフォーム、第1移動プラットフォーム、第2移動プラットフォーム、熱処理系移動プラットフォーム、排ガス処理系移動プラットフォームで移動させ、重金属汚染土壌と石炭脈石を質量比2:1~3:1でサンプリング系に取り入れ、遊星攪拌装置による粉砕、攪拌および加湿を経て、成形系に輸送してプレス成型、ブランキングおよびセッティングを行うステップと、
それから、キルン台車でキルン台車軌道に沿ってレンガを乾燥炉に輸送し、55℃~75℃の温度で2~3時間乾燥するステップと、
マイクロ波加熱炉に輸送し、900℃~1100℃の温度で4~5時間加熱するステップと、
最後に、冷却室に輸送して冷却を経て再生材料を取得し、乾燥炉とマイクロ波加熱炉で生じた排ガスが排ガス処理系に導入され、有酸素燃焼装置での有酸素燃焼を経てからスプレータワーによるろ過、吸収を経て、排出基準に達してから排出されるステップとを含む。
【0018】
通常の酸性ガスおよび汚染土壌の焼成過程で生じた揮発性重金属を除去するために、過マンガン酸カリウムと石炭水は、スプレー液体としてスプレータワーで用いられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、要約すると、以下の利点を有する。
1.本発明は、移動および組立が容易で、床面積が小さく、目標とする汚染場所に設置でき、輸送コストを低減し、二次汚染のリスクを低減する。また、本発明は、プロセス全体を自動化することにより、人件費を削減する。
2.本発明は、遊星撹拌式の改良方式を構築し、各種の重金属汚染土壌に適した自動レンガ押出成形プロセスを提供し、処理効率が高く、成形効果の高いものである。
3.本発明は、マイクロ波加熱と高温蒸気とを組み合わせた加熱方式を提供し、加熱が速く、熱慣性が小さく、温度制御が容易である。マイクロ波加熱器や窯炉等自体が加熱されたり、大きく吸熱されたりすることがなく、設備消費電力が著しく低減される。
4.本発明は、高温硬化プロセスによる揮発性重金属や有機物の二次汚染を有効に防止することができる排ガス処理方法を改良した有酸素燃焼装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の重金属汚染現場土壌処理設備の全体構造図である。
【
図2】本発明の重金属汚染現場土壌処理設備のサンプリング系の構造図である。
【
図4】本発明の重金属汚染現場土壌処理設備の成形系の構造図である。
【
図6】本発明の重金属汚染現場土壌処理設備の熱処理系の構造図である。
【
図7】本発明の重金属汚染現場土壌処理設備の排ガス処理系の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】
[実施例1]
図1~
図7に示すように、重金属汚染現場土壌処理設備は、順に設けられたサンプリング系、成形系、熱処理系および排ガス処理系を含む。サンプリング系は、順に連結されたバケット式巻上機と遊星攪拌装置を含み、バケット式巻上機と遊星攪拌装置の両方が設けられたサンプリング系移動プラットフォームをさらに含む。成形系は、順に設けられた真空押出機3-1、第1コンベアベルト3-2、レンガ切断台3-3、第1移動プラットフォーム3-4および第2移動プラットフォーム3-5を含む。第1コンベアベルト3-2より上には、レンガを押出機から切断するための第1カッター3-2-1が設けられている。レンガ切断台3-3より上には、長尺状レンガ3-7をブロック状レンガ3-8に切断するための第2カッター3-3-1が設けられている。真空押出機3-1は、第1移動プラットフォーム3-4に位置し、第1コンベアベルト3-2およびレンガ切断台3-3は、第2移動プラットフォーム3-5に位置する。遊星攪拌装置の排出口は、真空押出機3-1の供給口に連結する。熱処理系は、乾燥炉4-3、マイクロ波加熱炉4-4、冷却室4-5、キルン台車軌道4-2および熱処理系移動プラットフォーム4-6を含む。キルン台車軌道4-2は、順に乾燥炉4-3、マイクロ波加熱炉4-4および冷却室4-5を通過してそれらを直列に連結する。乾燥炉4-3、マイクロ波加熱炉4-4、冷却室4-5、キルン台車軌道4-2は、熱処理移動プラットフォームに位置する。乾燥炉4-3、マイクロ波加熱炉4-4にそれぞれ排ガス出口が設けられている。排ガス処理系は、有酸素燃焼装置5-1、スプレータワー5-2および排ガス処理系移動プラットフォーム5-3を含む。有酸素燃焼装置5-1とスプレータワー5-2は、排ガス処理系移動プラットフォーム5-3に位置する。有酸素燃焼装置5-1は、順に連結されたファン5-1-1、フィルタ5-1-2および燃焼室5-1-3を含む。燃焼室5-1-3の内部に触媒床層が取り付けられている。乾燥炉4-3、マイクロ波加熱炉4-4の排ガス出口は、有酸素燃焼装置5-1の吸気口に連結する。有酸素燃焼装置5-1の排気口は、スプレータワー5-2の吸気口に連結する。有酸素燃焼装置5-1は、3層保温構造を取り、内側からそれぞれアルミナ繊維板、アルミナカーペットおよび金属製ハウジングである。乾燥炉4-3とマイクロ波加熱炉4-4の排ガス出口を連結する排ガス管、助燃空気管は、ファン5-1-1に連結する。ファン5-1-1は、フィルタ5-1-2に連結する。フィルタ5-1-2は、燃焼室5-1-3に連結する。燃焼室5-1-3の中部に触媒床層が取り付けられ、スプレータワー5-2に連結する排気口が上部に設けられている。
【0023】
図4に示すように、第1コンベアベルト3-2より上には、第1コンベアベルト3-2の輸送方向の末端に位置する第1光電センサ3-2-2であって、押出機から押し出されるレンガの位置を検出し、信号を送信して第1カッター3-2-1の動作を制御するための第1光電センサ3-2-2が設けられている。レンガ切断台3-3より上には、レンガ切断台3-3の末端に位置する第2光電センサ3-3-2であって、レンガの位置を検出し、信号を送信して第2カッター3-3-1の動作を制御するための第2光電センサ3-3-2が設けられている。レンガ切断台3-3より一方に第2コンベアベルト3-6が設けられ、他方にプッシュプレート3-3-3が設けられている。第2コンベアベルト3-6の運動方向は、第1コンベアベルト3-2に対して垂直にする。プッシュプレート3-3-3の運動方向は、第2コンベアベルト3-6の運動方向とは同じである。第2コンベアベルト3-6は、第2移動プラットフォーム3-5に位置する。第2コンベアベルト3-6より上には、レンガを移送するためのロボットアーム3-6-1が設けられている。第1移動プラットフォーム3-4と第2移動プラットフォーム3-5には、それぞれ係止装置が設けられている。真空押出機3-1は、攪拌室3-1-1、真空室3-1-2、押出室3-1-3および駆動装置を含む。攪拌室3-1-1は、真空室3-1-2に連通する。真空室3-1-2は、押出室3-1-3に連通する。攪拌室3-1-1の内部に攪拌軸3-1-5が設けられている。押出室3-1-3には押出軸3-1-6が設けられている。押出機モータ3-1-4は、攪拌軸3-1-5と押出軸3-1-6を回転駆動する。
【0024】
図2、
図3に示すように、バケット式巻上機は、リフティングバケット1-1、リフティング軌道1-2およびリフティングバケット1-1の運動を駆動するリフティングバケット1-1駆動装置を含み、リフティングバケット1-1駆動装置によって、リフティング軌道1-2に沿って運動するようにリフティングバケット1-1を駆動する。遊星攪拌装置は、ケーシング2-4、カバー2-1、遊星盤および遊星盤駆動装置を含む。ケーシング2-4とカバー2-1の組み合わせによって一つの収容空間を形成し、遊星盤が収容空間に位置する。遊星盤は、主軸2-9、攪拌ブレードアセンブリ2-6および転輪列2-7を含む。カバー2-1に連結された主軸2-9の周りに回転するように遊星盤駆動装置によって遊星盤を駆動する。攪拌ブレードアセンブリ2-6と転輪列2-7は、主軸2-9の周りに時計方向に回転する。ケーシング2-4には、リフティング軌道1-2の一端に位置するホッパー2-3が設けられている。攪拌ブレードアセンブリ2-6は、攪拌ブレードホルダ2-6-1、第1攪拌ブレード群2-6-2および第2攪拌ブレード群2-6-3を含む。攪拌ブレードホルダ2-6-1は、主軸2-9を介してカバー2-1に回転可能に連結される。第1攪拌ブレード群2-6-2、第2攪拌ブレード群2-6-3は、それぞれ攪拌ブレードホルダ2-6-1の両端に回転可能に連結される。第1攪拌ブレード群2-6-2は、第1副軸2-6-4と、3つの正三角形配列となる攪拌ブレードを含む。第1攪拌ブレード群2-6-2の3つの攪拌ブレードは、第1副軸2-6-4の周りに逆時計方向に回転する。第2攪拌ブレード群2-6-3は、第2副軸2-6-5および3つの正三角形配列となる攪拌ブレードを含む。第2攪拌ブレード群2-6-3の3つの攪拌ブレードは、第2副軸の周りに逆時計方向に回転する。転輪列2-7は、転輪ホルダ2-7-5、第1転輪2-7-1および第2転輪2-7-2を含む。転輪ホルダ2-7-5は、主軸2-9を介しカバー2-1に回転可能に連結される。第1転輪2-7-1、第2転輪2-7-2は、それぞれ転輪ホルダ2-7-5の両端に回転可能に連結される。転輪ホルダ2-7-5には第1スクレーパー2-7-3と第2スクレーパー2-7-4が設けられている。第1スクレーパー2-7-3、第2スクレーパー2-7-4は、ともにケーシング2-4の内壁に近隣して設けられている。第1スクレーパー2-7-3は、第1転輪2-7-1に近隣して設けられ、第2スクレーパー2-7-4は、第2転輪2-7-2に近隣して設けられる。ケーシング2-4の底部に荷下ろし篩2-8が設けられている。遊星盤駆動装置は、モータ2-5である。モータ2-5は、カバー2-1より上に設けられている。遊星盤より上にはシャワーチューブ2-2が設けられている。シャワーチューブ2-2は、カバー2-1の内側に設けられ、カバー2-1の円周方向に設けられている。シャワーチューブ2-2には、等間隔に設けられた複数の排水口が設けられている。
【0025】
図6に示すように、乾燥炉4-3は、キルン台車軌道4-2の長手方向の先端と後端にそれぞれ第1昇降式ファーネスドア4-3-1が設けられている。乾燥炉4-3の本体は、3層保温構造であり、内側からそれぞれアルミナ繊維板、アルミナカーペットおよび金属製ハウジングである。乾燥炉4-3の本体には、乾燥炉抵抗線4-3-2、乾燥炉熱電対4-3-3および第1セラミックバックル4-2-4が取り付けられている。乾燥炉4-3の前部に第1吸気口4-3-5が設けられ、乾燥炉4-3の底部に第1昇降パレット4-3-6が設けられている。第1セラミックバックル4-3-4は、第1昇降パレット4-3-6より上の乾燥炉4-3の側壁に設けられている。乾燥炉4-3の上部に第1排ガス出口4-3-7が設けられている。第1排ガス出口4-3-7は、有酸素燃焼装置5-1の吸気口に連結する。第1昇降パレット4-3-6の上面に軌道が設けられている。第1昇降パレット4-3-6が底部に位置する場合、軌道とキルン台車軌道4-2のつなぎ合わせによって、キルン台車4-1が第1昇降パレット4-3-6に移動可能にする。第1昇降パレット4-3-6上の軌道は、アルミナ中空球材料の軌道である。マイクロ波加熱炉4-4は、キルン台車軌道4-2の長手方向の先端と後端にそれぞれ第2昇降式ファーネスドアが設けられている。マイクロ波加熱炉4-4の本体は、3層保温構造であり、内側からそれぞれアルミナ繊維板、アルミナカーペットおよび金属製ハウジングである。マイクロ波加熱炉4-4の本体には、マイクロ波発生器4-4-2、マイクロ波加熱炉熱電対4-4-3、蒸気スプレーチューブ4-4-4および第2セラミックバックル4-4-5が取り付けられている。マイクロ波加熱炉4-4の底部に第2昇降パレット4-4-6が設けられている。第2セラミックバックル4-4-5は、第2昇降パレット4-4-6より上のマイクロ波加熱炉4-4の側壁に設けられている。マイクロ波加熱炉4-4の上部に第2排ガス出口4-4-7が設けられている。第2排ガス出口4-4-7は、有酸素燃焼装置5-1の吸気口に連結する。第2昇降パレット4-4-6の上面に軌道が設けられている。第2昇降パレット4-4-6が底部に位置する場合、軌道とキルン台車軌道4-2とのつなぎ合わせによって、キルン台車4-1が第2昇降パレット4-4-6に移動可能にする。第2昇降パレット4-4-6上の軌道は、アルミナ中空球材料の軌道である。冷却室4-5は、キルン台車軌道4-2の長手方向の両端が開放した構造である。冷却室4-5の上部に吸引ファン4-5-1が設けられ、吸引ファン4-4-1が乾燥炉4-3の第1吸気口4-3-5に連通する。冷却室4-5の側壁に第3セラミックバックル4-5-2が設けられ、冷却室4-5の底部に第3昇降パレット4-5-3が設けられている。第3セラミックバックル4-5-2は、第3昇降パレット4-5-3より上に設けられている。第3昇降パレット4-5-3の上面に軌道が設けられている。第3昇降パレット4-5-3が底部に位置する場合、軌道とキルン台車軌道4-2とのつなぎ合わせによって、キルン台車4-1が第3昇降パレット4-5-3に移動可能にする。第3昇降パレット4-5-3上の軌道は、アルミナ中空球材料の軌道である。
【0026】
本発明の重金属汚染現場土壌処理設備の具体的な動作過程は、以下である。
1.重金属汚染土壌に一定の配合比の石炭脈石を添加したものを原料とし、原料をバケット式巻上機によって遊星攪拌装置に輸送する。
2.モータ2-5は、主軸2-9の周りに回転するように遊星盤を駆動し、原料の粉砕および攪拌を転輪列2-7と攪拌ブレードアセンブリ2-6にさせ、第1スクレーパー2-7-3と第2スクレーパー2-7-4は、ケーシング2-4の内壁に粘着された原料を中間部に掻き揚げる。シャワーチューブ2-2は、シャワー量の制御によって原料の湿度を調整する。混合した原料は、荷下ろし篩2-8を介して真空押出装置に入る。
3.原料は、真空押出機3-1に入り、攪拌室3-1-1でさらに攪拌を経て、真空室3-1-2に入って原料中の空気が排出され、最後に押出室3-1-3に入って、緊密な長尺状レンガ3-7にプレス加工される。
4.押し出される長尺状レンガ3-7が所定の長さに達すると、第1光電センサ3-2-2をオンにし、第1カッター3-2-1を作動させて長尺状レンガ3-7を切断し、第1コンベアベルト3-2が加速して切断済みの長尺状レンガ3-7をレンガ切断台3-3に輸送し、第2光電センサ3-3-2をオンにし、第2カッター3-3-1を作動させて長尺状レンガ3-7をブロック状レンガ3-8に切断する。プッシュプレート3-3-3は、ブロック状レンガ3-8を第2コンベアベルト3-6に押し、同時にロボットアーム3-6-1を作動させてブロック状レンガ3-8をキルン台車4-1に移送する。
5.キルン台車4-1がキルン台車軌道4-2に沿って前進し、第1昇降式ファーネスドア4-3-1が開け、キルン台車4-1が乾燥炉4-3の中間位置に移動すると、第1昇降パレット4-3-6が上昇してキルン台車4-1を所定の高さまで押し上げる。第1セラミックバックル4-3-4を作動させてキルン台車4-1を固定し、乾燥炉抵抗線4-3-2で炉内温度を55℃~75℃まで加熱し、2~3時間維持し、乾燥炉熱電対4-3-3で炉内の温度を測定する。
6.キルン台車4-1が乾燥後のレンガをマイクロ波加熱炉4-4に移送し、マイクロ波発生器4-4-2を作動させ、炉内温度を900℃~1100℃に加熱し、4~5時間保持する。マイクロ波加熱炉熱電対4-4-3によって炉内の温度を測定する。蒸気スプレーチューブ4-4-4は、0.5~1時間おきに高温蒸気を炉内に噴射する。
7.キルン台車4-1が焼成後のレンガを冷却室4-5に移送し、吸引ファン4-5-1を作動させて熱風を乾燥炉4-3に吸引して乾燥炉4-3に対する熱風の補充とし、レンガが冷却して最終製品を得る。
8.ファン5-1-1は、乾燥および焼成過程で生じた排ガスを排ガスチューブに導く。排ガスと助燃空気が混合されてフィルタ5-1-2で塵がろ過され、それから、燃焼室5-1-3で有酸素燃焼をして有機排ガスを除去し、揮発性重金属を酸化する。燃焼後のガスは、スプレータワー5-2の吸気口からスプレータワー5-2に入る。
9.スプレータワー5-2では、排ガス中の酸性ガス、悪臭ガス及び酸化後の揮発性重金属を除去する。処理されて基準に達した排ガスは、スプレータワー5-2の排気口から排出される。金属水銀は、融点が低いため揮発しやすくレンガで固化しにくい。よって、本発明は、金属水銀汚染土壌には不向きである。
【0027】
[実施例2]
重金属汚染現場土壌処理設備を用いた処理方法において、サンプリング系、成形系、熱処理系および排ガス処理系を重金属汚染土壌の処理が必要な現場へ、それぞれサンプリング系移動プラットフォーム、第1移動プラットフォーム3-4、第2移動プラットフォーム3-5、熱処理系移動プラットフォーム4-6、排ガス処理系移動プラットフォーム5-3で移動させ、重金属汚染土壌と石炭脈石を質量比2:1~3:1でサンプリング系に取り入れ、遊星攪拌装置による粉砕、攪拌および加湿を経て、成形系に輸送してプレス成型、ブランキングおよびセッティングを行うステップと、それから、キルン台車4-1でキルン台車軌道4-2に沿ってレンガを乾燥炉4-3に輸送し、55℃~75℃の温度で2~3時間乾燥するステップと、マイクロ波加熱炉4-4に輸送し、900℃~1100℃の温度で4~5時間加熱するステップと、最後に、冷却室4-4に輸送して冷却を経て再生材料を取得し、乾燥炉4-3とマイクロ波加熱炉4-4で生じた排ガスが排ガス処理系に導入され、有酸素燃焼装置5-1での有酸素燃焼を経てからスプレータワー5-2によるろ過、吸収を経て、排出基準に達してから排出されるステップとを含む。通常の酸性ガスおよび汚染土壌の焼成過程で生じたヒ素などの揮発性重金属を除去するために、過マンガン酸カリウムと石炭水は、スプレー液体としてスプレータワー5-2で用いられる。
【0028】
1.湖南省株洲市のある重金属汚染現場土壌の修復を例とする。当該土壌の主な汚染物は、Pb、Cd、Zn、Asである。Pbの最大濃度は、12700mg/kgであり、Cdの最大濃度は、1380mg/kgであり、Znの最大濃度は、30700mg/kgであり、Asの最大濃度は、2470mg/kgである。重金属汚染土壌と石炭脈石を2:1で混合したものを原料とする。
2.重金属汚染現場土壌処理設備を用いた処理方法を参照して原料をレンガに作製する。
3.キルン台車4-1で前記レンガを乾燥炉4-3に輸送し、55℃、65℃、75℃でそれぞれ2時間、3時間乾燥し、続いてマイクロ波加熱炉4-4で900℃、1000℃、1100℃でそれぞれ4時間、5時間加熱する。
4.キルン台車4-1でレンガを冷却室4-5に輸送して冷却し、上部の吸引ファン4-5-1によって熱風を乾燥炉4-3に導入する。
5.乾燥炉4-3とマイクロ波加熱炉4-4で生じた排ガスは、排ガス処理系に入り込む。まず有酸素燃焼装置5-1で排ガスの中の有機ガスを除去してから、スプレータワー5-2を通過する。通常の酸性ガスと揮発性重金属を除去するために、スプレー液体として過マンガン酸カリウムと石灰水が用いられ、吸収率が99%以上に達する。
6.焼結後のサンプルをHJ/T299-2007固体廃棄物浸出毒性浸出法に従って浸出実験に供した。浸出液は、質量比2:1の濃硫酸と濃硝酸の混合液であり、pHは3.2であった。焼成後のサンプルを抽出瓶に50g秤量し、浸出液1.5Lを加え、振盪器にて18時間浸出した。
7.実験結果によれば、55℃~75℃で2時間~3時間加熱したレンガの乾燥度は、ほぼ一様であり、省エネルギーの観点から、好ましい乾燥温度は55℃、乾燥時間は2時間である。原重金属汚染土壌サンプル浸出液の中で、Pbの最大濃度は3.64mg/L、Cdの最大濃度は31.82mg/L、Znの最大濃度は82.35mg/L、Asの最大濃度は180.26mg/Lであった。「重金属汚染土壌修復基準」によれば、重金属汚染土壌修復における浸出濃度の基準限界値Pbは0.05mg/L、Cdは0.005mg/L、Znは2mg/L、Asは0.1mg/Lである。焼結後のサンプル浸出液の中で、4種類の重金属の濃度は、いずれも0.001mg/L以下であった。重金属硬化率が99.99%を超えている。
【0029】
[実施例3]
1.湖南省株洲市の二ヵ所の重金属汚染現場土壌の修復を例とする。工場敷地甲で土壌の主な汚染物は、それぞれPb、Cd、Zn、Asであり、土壤サンプル浸出液中の最大濃度は、それぞれPb:3.64mg/L、Cd:31.82mg/L、Zn:82.35mg/L、As:180.26mg/Lである。工場敷地乙で主な汚染物は、PbとZnであり、土壌サンプル品浸出液での最大濃度は、それぞれPb:15.62mg/L、Zn:135.86mg/Lである。工場敷地甲、乙の二ヵ所の汚染土壌を質量比1:3、1:5、1:7で均一に混合する。
2.混合した土壌と石炭脈石を質量比2:1、3:1で混合したものを原料とする。
3.レンガの成形は、実施例1を参照する。
4.キルン台車4-1でレンガを乾燥炉4-3に輸送し、55℃で2時間乾燥し、続いてマイクロ波加熱炉4-4では、1100℃で5時間焼成する。
5.排ガス処理は、実施例2を参照する。
6.焼結後のサンプルを、HJ/T299-2007固体廃棄物浸出毒性浸出法に従って浸出実験に供した。浸出プロセスは、実施例2を参照する。
7.異なる配合で処理した重金属汚染土壌は、浸出液の中の重金属濃度が「重金属汚染土壌修復基準」に達している。本発明により、異なる配合の重金属汚染土壌を修復することができ、重金属が焼結材中で完全に固化され、浸出することがないことが示された。
【0030】
上記の実施例は、本発明の好適な実施形態であり、本発明の実施形態を制限しない。それ以外の、本発明の実質的な趣旨や原理を逸脱せずに為した変更、修飾、代替、組み合わせ、簡略化は、いずれも同等効果の置換方式であり、すべての本発明の保護範囲に含まれる。
【0031】
(付記)
(付記1)
順に設けられたサンプリング系、成形系、熱処理系および排ガス処理系を含む重金属汚染現場土壌処理設備であって、
サンプリング系は、順に連結されたバケット式巻上機と遊星攪拌装置を含み、バケット式巻上機と遊星攪拌装置の両方が設けられたサンプリング系移動プラットフォームをさらに含み、
成形系は、順に設けられた真空押出機、第1コンベアベルトおよび第2コンベアベルト、レンガ切断台、第1移動プラットフォームおよび第2移動プラットフォームを含み、第1コンベアベルトより上には、レンガを押出機から切断するための第1カッターが設けられ、レンガ切断台より上には、長尺状レンガをブロック状レンガに切断するための第2カッターが設けられ、第2コンベアベルトがレンガ切断台より片側に位置し、真空押出機が第1移動プラットフォームに位置し、第1コンベアベルトおよびレンガ切断台が第2移動プラットフォームに位置し、遊星攪拌装置の排出口が真空押出機の供給口に連結し、
熱処理系は、乾燥炉、マイクロ波加熱炉、冷却室、キルン台車軌道および熱処理系移動プラットフォームを含み、キルン台車軌道が順に乾燥炉、マイクロ波加熱炉および冷却室を通過してそれらを直列に連結し、乾燥炉、マイクロ波加熱炉、冷却室、キルン台車軌道が熱処理移動プラットフォームに位置し、乾燥炉、マイクロ波加熱炉にそれぞれ排ガス出口が設けられ、
排ガス処理系は、有酸素燃焼装置、スプレータワーおよび排ガス処理系移動プラットフォームを含み、有酸素燃焼装置とスプレータワーが排ガス処理系移動プラットフォームに位置し、有酸素燃焼装置は、順に連結されたファン、フィルタおよび燃焼室を含み、燃焼室の内部に触媒床層が取り付けられ、乾燥炉、マイクロ波加熱炉の排ガス出口が有酸素燃焼装置の吸気口に連結し、有酸素燃焼装置の排気口がスプレータワーの吸気口に連結する、
ことを特徴とする重金属汚染現場土壌処理設備。
【0032】
(付記2)
第1コンベアベルトより上には、第1コンベアベルトの輸送方向の末端に位置する第1光電センサであって、押出機から押し出されるレンガの位置を検出し、信号を送信して第1カッターの動作を制御するための第1光電センサが設けられ、
レンガ切断台より上には、レンガ切断台の末端に位置する第2光電センサであって、レンガの位置を検出し、信号を送信して第2カッターの動作を制御するための第2光電センサが設けられている、
ことを特徴とする付記1に記載の重金属汚染現場土壌処理設備。
【0033】
(付記3)
バケット式巻上機は、リフティングバケット、リフティング軌道およびリフティングバケットの運動を駆動するリフティングバケット駆動装置を含み、リフティングバケット駆動装置によって、リフティング軌道に沿って運動するようにリフティングバケットを駆動し、
遊星攪拌装置は、ケーシング、カバー、遊星盤および遊星盤駆動装置を含み、ケーシングとカバーの組み合わせによって一つの収容空間を形成し、遊星盤が収容空間に位置し、遊星盤は、主軸、攪拌ブレードアセンブリおよび転輪列を含み、カバーに連結された主軸の周りに回転するように遊星盤駆動装置によって遊星盤を駆動し、攪拌ブレードアセンブリと転輪列が主軸の周りに時計方向に回転し、ケーシングには、リフティング軌道の一端に位置するホッパーが設けられている、
ことを特徴とする付記1に記載の重金属汚染現場土壌処理設備。
【0034】
(付記4)
乾燥炉は、キルン台車軌道の長手方向の先端と後端にそれぞれ第1昇降式ファーネスドアが設けられ、
乾燥炉の本体は、3層保温構造であり、内側からそれぞれアルミナ繊維板、アルミナカーペットおよび金属製ハウジングであり、
乾燥炉の本体には、乾燥炉抵抗線、乾燥炉熱電対および第1セラミックバックルが取り付けられ、
乾燥炉の前部に第1吸気口が設けられ、乾燥炉の底部に第1昇降パレットが設けられ、第1セラミックバックルが第1昇降パレットより上の乾燥炉の側壁に設けられ、乾燥炉の上部に第1排ガス出口が設けられ、第1排ガス出口が有酸素燃焼装置の吸気口に連結する、
ことを特徴とする付記1に記載の重金属汚染現場土壌処理設備。
【0035】
(付記5)
第1昇降パレットの上面に軌道が設けられ、第1昇降パレットが底部に位置する場合、軌道とキルン台車軌道のつなぎ合わせによって、キルン台車を第1昇降パレットに移動可能にし、第1昇降パレット上の軌道がアルミナ中空球材料の軌道である、
ことを特徴とする付記4に記載の重金属汚染現場土壌処理設備。
【0036】
(付記6)
マイクロ波加熱炉は、キルン台車軌道の長手方向の先端と後端にそれぞれ第2昇降式ファーネスドアが設けられ、
マイクロ波加熱炉の本体は、3層保温構造であり、内側からそれぞれアルミナ繊維板、アルミナカーペットおよび金属製ハウジングであり、
マイクロ波加熱炉の本体には、マイクロ波発生器、マイクロ波加熱炉熱電対、蒸気スプレーチューブおよび第2セラミックバックルが取り付けられ、
マイクロ波加熱炉の底部に第2昇降パレットが設けられ、第2セラミックバックルが第2昇降パレットより上のマイクロ波加熱炉の側壁に設けれ、マイクロ波加熱炉の上部に第2排ガス出口が設けられ、第2排ガス出口が有酸素燃焼装置の吸気口に連結する、
ことを特徴とする付記1に記載の重金属汚染現場土壌処理設備。
【0037】
(付記7)
第2昇降パレットの上面に軌道が設けられ、第2昇降パレットが底部に位置する場合、軌道とキルン台車軌道とのつなぎ合わせによって、キルン台車を第2昇降パレットに移動可能にし、第2昇降パレット上の軌道がアルミナ中空球材料の軌道である、
ことを特徴とする付記6に記載の重金属汚染現場土壌処理設備。
【0038】
(付記8)
冷却室は、キルン台車軌道の長手方向の両端が開放した構造であり、冷却室の上部に吸引ファンが設けられ、吸引ファンが乾燥炉の第1吸気口に連通し、冷却室の側壁に第3セラミックバックルが設けられ、冷却室の底部に第3昇降パレットが設けられ、第3セラミックバックルが第3昇降パレットより上に設けられ、第3昇降パレットの上面に軌道が設けられ、第3昇降パレットが底部に位置する場合、軌道とキルン台車軌道とのつなぎ合わせによって、キルン台車を第3昇降パレットに移動可能にし、第3昇降パレット上の軌道がアルミナ中空球材料の軌道である、
ことを特徴とする付記1に記載の重金属汚染現場土壌処理設備。
【0039】
(付記9)
付記1~8のいずれか1つに記載の重金属汚染現場土壌処理設備を用いた重金属汚染現場土壌の処理方法であって、
サンプリング系、成形系、熱処理系および排ガス処理系を、重金属汚染土壌の処理が必要な現場へ、それぞれサンプリング系移動プラットフォーム、第1移動プラットフォーム、第2移動プラットフォーム、熱処理系移動プラットフォーム、排ガス処理系移動プラットフォームで移動させ、重金属汚染土壌と石炭脈石を質量比2:1~3:1でサンプリング系に取り入れ、遊星攪拌装置による粉砕、攪拌および加湿を経て、成形系に輸送してプレス成型、ブランキングおよびセッティングを行うステップと、
それから、キルン台車でキルン台車軌道に沿ってレンガを乾燥炉に輸送し、55℃~75℃の温度で2~3時間乾燥するステップと、
マイクロ波加熱炉に輸送し、900℃~1100℃の温度で4~5時間加熱するステップと、
最後に、冷却室に輸送して冷却を経て再生材料を取得し、乾燥炉とマイクロ波加熱炉で生じた排ガスが排ガス処理系に導入され、有酸素燃焼装置での有酸素燃焼を経てからスプレータワーによるろ過、吸収を経て、排出基準に達してから排出されるステップとを含む、
ことを特徴とする重金属汚染現場土壌の処理方法。
【0040】
(付記10)
通常の酸性ガスおよび汚染土壌の焼成過程で生じた揮発性重金属を除去するために、過マンガン酸カリウムと石炭水は、スプレー液体としてスプレータワーで用いられる、
ことを特徴とする付記9に記載の重金属汚染現場土壤の処理方法。
【符号の説明】
【0041】
1-1 リフティングバケット
1-2 リフティング軌道
2-1 カバー
2-2 シャワーチューブ
2-3 ホッパー
2-4 ケーシング
2-5 モータ
2-6 攪拌ブレードアセンブリ
2-6-1 攪拌ブレードホルダ
2-6-2 第1攪拌ブレード群
2-6-3 第2攪拌ブレード群
2-6-4 第1副軸
2-6-5 第2副軸
2-7 転輪列
2-7-1 第1転輪
2-7-2 第2転輪
2-7-3 第1スクレーパー
2-7-4 第2スクレーパー
2-7-5 転輪ホルダ
2-8 荷下ろし篩
2-9 主軸
3-1 真空押出機
3-1-1 攪拌室
3-1-2 真空室
3-1-3 押出室
3-1-4 押出機モータ
3-1-5 攪拌軸
3-1-6 押出軸
3-2 第1コンベアベルト
3-2-1 第1カッター
3-2-2 第1光電センサ
3-3 レンガ切断台
3-3-1 第2カッター
3-3-2 第2光電センサ
3-3-3 プッシュプレート
3-4 第1移動プラットフォーム
3-5 第2移動プラットフォーム
3-6 第2コンベアベルト
3-6-1 ロボットアーム
3-7 長尺状レンガ
3-8 ブロック状レンガ
4-1 キルン台車
4-2 キルン台車軌道
4-3 乾燥炉
4-3-1 第1昇降式ファーネスドア
4-3-2 乾燥炉抵抗線
4-3-3 乾燥炉熱電対
4-3-4 第1セラミックバックル
4-3-5 第1吸気口
4-3-6 第1昇降パレット
4-3-7 第1排気口
4-4 マイクロ波加熱炉
4-4-1 第2昇降式ファーネスドア
4-4-2 マイクロ波発生器
4-4-3 マイクロ波加熱炉熱電対
4-4-4 蒸気スプレーチューブ
4-4-5 第2セラミックバックル
4-4-6 第2昇降パレット
4-4-7 第2排気口
4-5 冷却室
4-5-1 ファン
4-5-2 第3セラミックバックル
4-5-3 第3昇降パレット
4-6 熱処理系移動プラットフォーム
5-1 有酸素燃焼装置
5-1-1 ファン
5-1-2 フィルタ
5-1-3 燃焼室
5-2 スプレータワー
5-3 排ガス処理系移動プラットフォーム。