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特許7044901露光フィールドのオーバラップにより大きい周期パターンを印刷する方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】露光フィールドのオーバラップにより大きい周期パターンを印刷する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
G03F7/20 505
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020557272
(86)(22)【出願日】2019-04-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 IB2019053239
(87)【国際公開番号】W WO2019202551
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-11-11
(31)【優先権主張番号】62/659,731
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513004951
【氏名又は名称】ユーリタ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】EULITHA AG
【住所又は居所原語表記】Studacherstrasse 7b, CH-5416 Kirchdorf AG, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フランシス クルーブ
(72)【発明者】
【氏名】ハルン ソラク
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-305987(JP,A)
【文献】特開2006-106757(JP,A)
【文献】特表2009-527112(JP,A)
【文献】特表2014-500623(JP,A)
【文献】特表2014-514772(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0146831(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状フィーチャの所望の均一な周期パターンを基板上の感光層に印刷する方法であって、
a)第1の方向に対し平行であり、前記所望のパターンの2倍の周期を有する線状フィーチャのマスクパターンを担持するマスクを用意するステップと、
b)前記マスクに対し平行に前記マスクパターンから間隙を伴って前記基板を配置するステップと、
c)単色光の細長ビームを生成し、該細長ビームを前記マスクに向けて配向するステップであって、前記細長ビームの光は、伸長方向と直交しかつ前記第1の方向に対し平行な面において、所定の入射角度範囲で前記マスクを照射し、さらに前記伸長方向に対し平行な面における前記細長ビームの前記光はコリメートされ、かつ前記細長ビームの長さに沿って増分距離ごとに所定のパワーを有し、該パワーは前記細長ビームの2つの終端以外では均一であり、該2つの終端では増分距離ごとの前記パワーが、所定の減衰距離にわたる第1のプロフィルおよび前記減衰距離にわたる第2のプロフィルにそれぞれ従ってゼロまで減衰するようにし、前記角度範囲を、前記マスクにより回折させられた前記光が、前記マスクの面と直交する方向で均一な強度分布を前記基板のところで形成するように、前記光の波長、前記マスクと前記基板との前記間隙、および前記マスクパターンの周期に関連させて選択するステップと、
d)前記基板上に所望のパターンの第1の部分を印刷するために、前記マスクパターンの第1の部分にわたり前記第1の方向に対し平行な方向で、前記細長ビームを第1の部分露光において走査するステップと、
e)前記ビーム伸長方向で前記マスクパターンの前記第1の部分からオフセットされた前記マスクパターンの第2の部分にわたり、前記第1の方向に対し平行な方向で、前記細長ビームを第2の部分露光において走査するステップであって、前記マスクパターンの前記第1の部分と前記第2の部分とが、前記減衰距離だけオーバラップするようにし、かつ前記第1の部分と前記第2の部分とがオーバラップする前記マスクパターンの領域内の、前記伸長方向に対し平行な面における前記ビームの入射角度が、前記第1の部分露光と前記第2の部分露光とにおいて同じであるようにするステップと
を含み、
前記第1のプロフィルおよび前記第2のプロフィルを、前記第1の部分露光と前記第2の部分露光とにおいて前記プロフィルがオーバラップさせられる前記減衰距離にわたり、2つの前記プロフィルを合計することによって、増分距離ごとに均一なパワーが生じるように選択する、
方法。
【請求項2】
前記第1のプロフィルおよび前記第2のプロフィルは、両方とも線形であるかまたは両方とも余弦波状である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記細長ビームを生成する前記ステップは、前記細長ビームの長さよりも長い入射細長ビームの長さに沿って増分距離ごとに均一なパワーを有する前記入射細長ビームに、可変透過率アポダイゼーションフィルタを挿入するステップを含み、前記アポダイゼーションフィルタによって透過させられた前記細長ビームの前記2つの終端における前記第1のプロフィルと前記第2のプロフィルとに従った増分距離ごとのパワーの減衰を、透明基板上の部分的に吸収性の層の厚さを変化させることによって発生させる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記細長ビームを生成する前記ステップは、前記細長ビームの長さよりも長い入射細長ビームの長さに沿って増分距離ごとに均一なパワーを有する前記入射細長ビームに、ハーフトーンマスクアポダイゼーションフィルタを挿入するステップを含み、前記アポダイゼーションフィルタにより透過させられた前記細長ビームの終端各々における増分距離ごとのパワーの減衰を、複数の開口が前記ビームの幅と交差するように前記細長ビームの幅よりも実質的に短い周期を有する、前記アポダイゼーションフィルタの周期的な一連の開口によって発生させ、前記開口の形状を、前記ビーム伸長方向における減衰領域にわたり特定の距離のところでの前記一連の開口の平均透過率が、選択された前記第1のプロフィルまたは前記第2のプロフィルに従い前記特定の距離と共に変化するように設計する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記細長ビームを生成する前記ステップは、前記細長ビームの長さよりも長い入射細長ビームの長さに沿って増分距離ごとに均一なパワーを有する前記入射細長ビームに、0次のハーフトーンマスクを挿入するステップを含み、前記ハーフトーンマスクにより透過させられた前記細長ビームの終端各々における増分距離ごとのパワーの減衰を、1つまたは複数の線形格子により発生させ、該線形格子のデューティサイクルおよび/または充填率は格子各々にわたり変化し、該線形格子の周期を、前記ハーフトーンマスクにより透過させられた1次およびそれよりも高次の回折次数が、線状フィーチャの前記パターンを照射する前に該回折次数を阻止可能であるような大きい角度で回折させられるように選択する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記細長ビームを生成する前記ステップは、周期的な一連の開口を有するハーフトーンマスクアポダイゼーションフィルタ、または所定の周期で1つまたは複数の線形格子を有する0次のハーフトーンマスクを挿入するステップを含み、前記ハーフトーンマスクアポダイゼーションフィルタまたは前記0次のハーフトーンマスクによって、透過させられた前記細長ビームの終端各々における増分距離ごとにパワーの減衰を発生させ、前記第1の部分露光および前記第2の部分露光の期間中、前記ハーフトーンマスクアポダイゼーションフィルタまたは前記0次のハーフトーンマスクを、個々の前記開口または前記格子の周期方向に変位させる、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記細長ビームの終端各々における増分距離ごとのパワーの減衰の発生を、前記細長ビームの終端各々のところで直線エッジを有する不透明な開口の並進振動により生じさせ、各開口の振動運動のプロフィルによって、増分距離ごとのパワーの減衰の個々の前記第1のプロフィルまたは前記第2のプロフィルを生成する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記細長ビームの終端各々における増分距離ごとのパワーの減衰の発生を、1つの軸線を中心とする開口の回転によって生じさせ、該回転における回転軸線からの前記開口のエッジの半径は、該半径がその初期値にただちに復帰する角度またはその初期値に線形に戻る角度を除き、回転角が大きくなるにつれて線形に変化する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
第2の細長ビームを生成し、該第2の細長ビームを前記マスクに向けて配向し、代わりに該第2の細長ビームを前記第2の部分露光において、前記第1の部分露光における前記細長ビームの走査と同時にまたは該走査に続いて走査するステップを付加的に含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
線状フィーチャまたは2次元周期パターンの所望の均一な周期パターンを基板上の感光層に印刷する方法であって、
a)第1の方向に対し平行であり、前記所望のパターンの2倍の周期を有する線状フィーチャのマスクパターンを担持するマスクを用意するステップと、
b)前記マスクに対し平行にかつ前記マスクパターンから間隙を伴って前記基板を配置するステップと、
c)単色コリメート光の細長ビームを生成し、該細長ビームを前記マスクに向けて配向するステップであって、前記細長ビームの光は、法線入射で前記マスクを照射し、前記細長ビームの長さに沿って増分距離ごとに所定のパワーを有し、該パワーは前記細長ビームの2つの終端以外では均一であり、該2つの終端では増分距離ごとの前記パワーが、所定の減衰距離にわたる第1のプロフィルおよび前記減衰距離にわたる第2のプロフィルにそれぞれ従ってゼロまで減衰するステップと、
d)前記マスクと前記基板との間の前記間隙を変化させながら、前記基板上に所望の格子の第1の部分を印刷するために、前記マスクパターンの第1の部分にわたり前記第1の方向に対し平行な方向で、前記細長ビームを第1の部分露光において走査するステップと、
e)前記マスクと前記基板との間の前記間隙を変化させながら、前記ビーム伸長方向で前記マスクパターンの前記第1の部分からオフセットされた前記マスクパターンの第2の部分にわたり、前記第1の方向に対し平行な方向で、前記細長ビームを第2の部分露光において走査するステップであって、前記マスクパターンの前記第1の部分と前記第2の部分とが、前記減衰距離だけオーバラップするようにし、かつ前記第1の部分と前記第2の部分とがオーバラップする前記マスクパターンの領域内の、前記伸長方向に対し平行な面における前記ビームの入射角度が、前記第1の部分露光と前記第2の部分露光とにおいて同じであるようにするステップと
を含み、
前記第1のプロフィルおよび前記第2のプロフィルを、前記第1の部分露光と前記第2の部分露光とにおいて前記プロフィルがオーバラップさせられる前記減衰距離にわたり、2つの前記プロフィルを合計することによって、増分距離ごとに均一なパワーが生じるように選択し、
前記マスクと前記基板との前記間隙を変化させる速度を、各部分露光において印刷される前記パターンが変位タルボリソグラフィを用いて形成されるように、前記細長ビームの走査速度に関連させて設定する、
方法。
【請求項11】
線状フィーチャまたは2次元周期パターンの所望の均一なパターンを基板上の感光層に印刷する方法であって、
a)第1の方向に対し平行であり、前記所望のパターンの2倍の周期を有する線状フィーチャのマスクパターンを担持するマスクを用意するステップと、
b)前記マスクに対し平行にかつ前記マスクパターンからギャップを伴って前記基板を配置するステップと、
c)所定のスペクトル帯域幅を有するコリメート光の細長ビームを生成し、該細長ビームを前記マスクに向けて配向するステップであって、前記細長ビームの光は、法線入射で前記マスクを照射し、前記細長ビームの長さに沿って増分距離ごとに所定のパワーを有し、該パワーは前記細長ビームの2つの終端以外では均一であり、該2つの終端では増分距離ごとの前記パワーが、所定の減衰距離にわたる第1のプロフィルおよび前記減衰距離にわたる第2のプロフィルにそれぞれ従ってゼロまで減衰するステップと、
d)前記マスクと前記基板との間の間隙を変化させながら、前記基板上に所望の格子の第1の部分を印刷するために、前記マスクパターンの第1の部分にわたり前記第1の方向に対し平行な方向で、前記細長ビームを第1の部分露光において走査するステップと、
e)前記マスクと前記基板との間の前記間隙を変化させながら、前記ビーム伸長方向で前記マスクパターンの前記第1の部分からオフセットされた前記マスクパターンの第2の部分にわたり、前記第1の方向に対し平行な方向で、前記細長ビームを第2の部分露光において走査するステップであって、前記マスクパターンの前記第1の部分と前記第2の部分とが、前記減衰距離だけオーバラップするようにし、かつ前記第1の部分と前記第2の部分とがオーバラップする前記マスクパターンの領域内の、前記伸長方向に対し平行な面における前記ビームの入射角度が、前記第1の部分露光と前記第2の部分露光とにおいて同じであるようにするステップと
を含み、
前記第1のプロフィルおよび前記第2のプロフィルを、前記第1の部分露光と前記第2の部分露光とにおいて前記プロフィルが前記減衰距離だけオーバラップさせられる前記マスクパターンの領域にわたり、2つの前記プロフィルを合計することによって、増分距離ごとに均一なパワーが生じるように選択し、
前記ギャップを、各部分露光において印刷される前記パターンがアクロマティックタルボリソグラフィを用いて形成されるように、照射の前記スペクトル帯域幅に関連させて選択する、
方法。
【請求項12】
線状フィーチャの所望の周期パターンを感光層に印刷するシステムであって、
a)第1の方向に対し平行であり、前記所望のパターンの2倍の周期を有する線状フィーチャのマスクパターンを担持するマスクと、
b)前記マスクに対し平行にかつ前記マスクパターンから間隙を伴って前記感光層を配置する手段と、
c)光の細長ビームを生成し、該細長ビームを前記マスクに向けて配向する手段であって、前記細長ビームの前記光は、伸長方向と直交しかつ前記第1の方向に対し平行な面において、所定の入射角度範囲で前記マスクを照射し、さらに前記細長ビームの前記光は、前記伸長方向に対し平行な面において十分にコリメートされ、かつ前記細長ビームの長さに沿って前記ビームの2つの終端以外では増分距離ごとに均一なパワーを有し、前記2つの終端では増分距離ごとの前記パワーが、所定の減衰距離にわたる第1のプロフィルおよび前記減衰距離にわたる第2のプロフィルにそれぞれ従ってゼロまで減衰し、前記角度範囲は、前記マスクにより回折させられた前記光が、前記マスクの面と直交する方向で均一な強度分布を前記基板のところで形成するように、前記光の波長、前記マスクと前記基板との前記間隙、および前記マスクの格子の周期に関連して選択される手段と、
d)前記基板上に所望の格子の第1の部分を印刷するために、前記マスクパターンの前記第1の部分にわたり前記第1の方向に対し平行な方向で、前記細長ビームを第1の部分露光において走査する手段と、
e)前記所望の格子の前記第1の部分とオーバラップする前記所望の格子の第2の部分を印刷するために、前記ビーム伸長方向で前記第1の部分からオフセットされた前記マスクパターンの前記第2の部分にわたり、前記第1の方向に対し平行な方向で、前記細長ビームを第2の部分露光において走査する手段であって、前記マスクパターンの前記第1の部分と前記第2の部分とが、前記減衰距離だけオーバラップするようにし、かつ前記第1の部分と前記第2の部分とがオーバラップする前記マスクパターンの領域内の、前記伸長方向に対し平行な面における前記ビームの入射角度が、前記第1の部分露光におけるものと同じであるようにする手段と
を含み、
前記第1のプロフィルおよび前記第2のプロフィルは、前記第1の部分露光と前記第2の部分露光とにおいて前記プロフィルが前記減衰距離だけオーバラップさせられる前記マスクパターンの領域にわたり、2つの前記プロフィルを合計することによって、増分距離ごとに均一なパワーが生じるように選択されている、
システム。
【請求項13】
前記光の細長ビームを生成し、該細長ビームを前記マスクに向けて配向する手段は、前記細長ビームの長さよりも長い入射細長ビームの長さに沿って増分距離ごとに均一なパワーを有する前記入射細長ビームに挿入された、可変透過率アポダイゼーションフィルタを含み、前記アポダイゼーションフィルタによって透過させられた前記細長ビームの前記2つの終端における前記第1のプロフィルと前記第2のプロフィルとに従った増分距離ごとのパワーの減衰は、透明基板上の部分的に吸収性の層の厚さを変化させることによって発生させられる、請求項12記載のシステム。
【請求項14】
前記光の細長ビームを生成し、該細長ビームを前記マスクに向けて配向する手段は、前記細長ビームの長さよりも長い入射細長ビームの長さに沿って増分距離ごとに均一なパワーを有する前記入射細長ビームに挿入された、ハーフトーンマスクアポダイゼーションフィルタを含み、前記アポダイゼーションフィルタにより透過させられた前記細長ビームの終端各々における増分距離ごとのパワーの減衰は、複数の開口が前記ビームと交差するように前記細長ビームの幅よりも実質的に短い周期を有する、前記アポダイゼーションフィルタ上の周期的な一連の開口によって発生させられ、さらに前記開口の形状は、前記ビーム伸長方向における減衰領域にわたり特定の距離のところでの前記一連の開口の平均透過率が、選択された前記第1のプロフィルまたは前記第2のプロフィルに従い前記特定の距離と共に変化するように設計されている、請求項12記載のシステム。
【請求項15】
前記光の細長ビームを生成し、該細長ビームを前記マスクに向けて配向する手段は、前記細長ビームの長さよりも長い入射細長ビームの長さに沿って増分距離ごとに均一なパワーを有する前記入射細長ビームに挿入された、0次のハーフトーンマスクを含み、前記ハーフトーンマスクにより透過させられた前記細長ビームの終端各々における増分距離ごとのパワーの減衰は、格子アレイにより発生させられ、該格子アレイのデューティサイクルおよび/または充填率は格子各々に沿って変化し、該格子アレイの周期は、前記ハーフトーンマスクにより透過させられた1次およびそれよりも高次の回折次数が、線状フィーチャの前記パターンを照射する前に該回折次数を阻止可能であるような大きい角度で回折させられるように選択されている、請求項12記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国特許第8841046号明細書には、非平坦基板上に高度に均一に高分解能フィーチャの周期アレイを印刷するための、タルボ効果に基づく2つの関連するフォトリソグラフィ方法について開示されている。これらの方法のうち第1の方法の場合、マスクにおける周期パターンが、広いスペクトル帯域幅の光源からのコリメート光ビームのビームによって照射され、ウェハはこのマスクから特定の距離を超えたところにポジショニングされ、その位置において像は「静止状態」となり、つまり距離がさらに長くなってもその強度分布は実質的に不変となる。そこを超えると像が静止状態となる距離については、
【数1】
によって半値全幅の帯域幅Δλに関連づけられることが判明しており、ここでΛはパターン周期であり、kは定数である(Solak等著:“Achromatic spatial frequency multiplication: A method for production of nanometer-scale periodic features”, J. Vac. Sci. Technol. B23(6), 2005)。
【0002】
第2の方法の場合、マスクにおける周期パターンは、ここでは代わりに単色光のコリメートビームによって照射され、基板とマスクとの間の間隙が露光中、マスクと直交する方向で強度分布が周期的に変化する周期の整数倍に相応する距離によって、換言すれば、タルボ距離の整数倍によって、変化させられる。これによってタルボ面間の横断方向強度分布の平均が、基板上の感光層に印刷され、この平均はマスクと基板との初期間隙には依存しないことから、印刷パターンは実質的に無限の焦点深度を有する。この開示によってさらに教示されているのは、露光中、この範囲にわたり連続的に、または離散的に複数のポジションで基板を露光することによって、間隙を変化させることができる、ということである。
【0003】
これら2つの方法は目下一般的にそれぞれ、「アクロマティックタルボリソグラフィ」(ATL; Achromatic Talbot lithography)および「変位タルボリソグラフィ」(DTL; displacement Talbot lithography)と呼ばれる。
【0004】
特定のタイプの周期アレイの場合、ATLまたはDTLを用いて印刷されるパターンは、マスクにおけるパターンに関して「空間周波数乗算」されている。たとえば線形格子のケースでは、印刷パターンの周期はマスクにおける格子の周期の半分である。
【0005】
米国特許第8368871号明細書および米国特許第9036133号明細書には、ATL技術およびDTL技術の改良について教示されており、これによればマスクパターンの各ポイントが、拡開された角度分布を有する光によって照射され、つまりコリメート光ではなく、それぞれ異なる入射角度で強度成分を有する光によって照射される。これらの文献は様々な実施形態を教示しており、それらによれば、印刷されるフィーチャが特定の分解能、形状またはマスクにおけるフィーチャのものとは異なるアレイ対称性を有するように、成分の角度が選択される。
【0006】
米国特許第8525973号明細書には、露光中にマスクと基板との間の間隙の変化がタルボ距離の正確な整数倍から逸脱したことに対する、DTLおよびDTLベースの露光方式による解決策の感度を抑えるための方法が開示されている。この文献により教示されているのは、マスクと基板との間隙の増分変化ごとにマスクを照射する露光線量は、間隙の変化中、一定ではなく、特定の手法で変化させられる、ということである。特にこの文献が主張している点は、基板の増分変位ごとの露光線量を、照射強度を変化させることによって、または変位速度を変化させることによって、ガウスプロフィルに従い変化させるべきである、ということである。この文献によれば、速度または強度を変化させる間隙の変化をタルボ距離よりも大きくすべきである、ということが教示されている。
【0007】
米国特許第8904316号明細書には、ATL技術およびDTL技術のさらなる改良について記載されており、これによれば、マスクにおける周期またはアレイ対称性に対し、それよりも小さい周期または異なるアレイ対称性を有するパターンを印刷するために、位相シフトマスクの様々な設計が採用される。
【0008】
米国特第9182672号明細書には、DTLに関連する露光方法について記載されており、これによれば周期パターンを規定するマスクが、印刷すべき基板に対し選択された角度で傾けられ、露光中、基板は傾斜面に対し平行に横方向に変位させられる。これにより基板が、順次連続するタルボ面間の横方向強度分布の範囲まで露光され、したがってATL技術およびDTL技術と実質的に同じパターンが印刷されて、同じ利点がもたらされる。
【0009】
米国特許第9280056号明細書には関連技術について記載されており、これによれば、基板近傍に配置されたマスクにおける周期パターンがコリメートビームによって照射され、このコリメートビームの波長が、露光中に1つのスペクトル帯域幅にわたって走査される。基板を露光する平均強度分布がATLによりもたらされるものと等価となるよう、基板とマスクとの間隙に関連させて帯域幅が設定される。
【0010】
米国特許出願第14/123330号明細書には、さらなる関連技術について記載されており、これによれば、基板近傍のマスクにおける周期パターンを照射するために、1つのスペクトル帯域幅にわたって複数の波長で光を放出する複数のレーザから成るアレイが採用される。波長の帯域幅および基板とマスクとの間隙は、結果として生じる基板の露光がATLによりもたらされるものと同様に等価となるように設定される。
【0011】
米国特許第9658535号明細書には、周期パターンを基板上に均一に印刷するための、2つのさらなるDTL関連の露光方式について記載されている。これら両方の方式の場合、0次および1次の次数だけがマスクにより回折させられるよう、マスクパターンの周期が照射波長に関連して選択される。第1の方式の場合、マスクのN個の部分露光が、マスクと基板との間の間隙をタルボ距離の特定の分数によって部分露光の間に変化させながら実施される。第2の方式の場合、パターン周期の特定の分数によって部分露光の間に基板を横方向で変位させながら、マスクパターンにより形成される同じ強度分布に対し、基板が複数の部分露光において露光される。これら両方の方式を用いることで、部分露光の積分強度分布によって、DTLを用いて得られるものと等価のパターンが印刷される。
【0012】
米国特許第8524443号明細書および米国特許第9007566号明細書には、線形格子パターンを基板上の感光層に印刷するための、ATLおよびDTLに関連するさらなる露光方式について記載されている。これらの方式の場合、格子線に平行な面において所定の入射角度範囲を有する単色光によって、マスクにおける格子パターンが照射される。特定の入射角度の光によって、特定の間隙を有する複数のタルボ像面が形成され、角度範囲が以下のように選択される。すなわち、異なる入射角度により形成されたタルボ像面が重なり合って、マスクと直交する方向で一定の、つまりこれによりDTLまたはATLによりもたらされるものと等価の強度分布が、基板のところで生成されるように選択される。この開示には、必要とされる入射角度範囲で同時にまたは逐次的に、マスクを均一に照射するための様々な光学装置について記載されている。これらの文献に記載されている方式の場合、必要とされる角度範囲で、マスクのところでのビームがマスクにおけるパターンよりも遙かに小さい直径を有するように、ガウス強度プロフィルを有する光がマスク上に収束または発散する。順次連続する走査経路を部分的にオーバラップさせながら、ガウスプロフィルビームをマスク全体にわたりラスタパターンで走査することによって、露光が実施され、このようにして時間積分露光エネルギー密度により、均一な格子が基板上に印刷される。別の実施形態において、以下のような細長ビームが形成される。すなわちこのビームの光は、伸長方向において均一な強度でコリメートされ、直交面において必要とされる入射角度範囲でマスク上に収束する。格子の長さにわたり格子線の方向で単一の経路においてビームを走査することによって、露光が実施され、その結果やはり均一な格子が基板上に生じる。米国特許第9007566号明細書に記載されているさらなる実施形態の場合、ビームの長さに沿って均一な強度でコリメートされ、直交面において必要とされる角度範囲で収束する、同様に細長いビームが、ここでは代わりにマスクにおける細長い格子パターンを照射する。このケースでは、フォトレジストコーティング基板を格子線方向で走査することにより露光が実施され、これにより同じ印刷結果がもたらされる。この開示はさらに以下のことについて言及している。すなわち露光に続き、格子伸長方向でマスクの格子の長さだけ基板を変位させることができ、次いで第1の格子パターンと並んで第2の格子パターンを印刷するために、第2の同一の露光が実施され、それによってマスクの格子の2倍の長さを有する合成格子が基板上に印刷される。しかしながら結果として生じる合成格子は、以下で説明する理由から、2つの露光間の境界を挟んで少しも連続的なものではなく、または「シームレス」ではない。
【0013】
DTL技術およびDTL関連技術に基づく従来技術の教示の難点は、パルス圧縮格子、スペクトロメータ格子、太陽光発電/太陽電池、および大型ディスプレイ用の偏光子といった用途のために必要とされる場合があるように、x/yの寸法が約300×300mmよりも大きいパターンなど著しく大きい周期パターンに、これらの教示を適用できるかという点である。かかるパターンの「フルフィールド」ATL露光またはDTL露光を実施するためには、すなわち照射ビームを走査することなく実施するためには、印刷パターンサイズよりも大きい寸法を有する十分にコリメートされた露光ビームが必要とされる。適切なサイズに合わせられた十分な品質のコリメートレンズを入手するのは不可能かもしれないし、または極めて高価なものとなってしまう可能性がある。その代わりに、米国特許第8524443号明細書に記載されているように、1つの大きなパターン全体にわたり部分的にオーバラップした複数の走査経路を用いて、ガウス強度プロフィルを有するビームを走査すれば、遙かに小さいコリメート光学系を用いることができる。しかしながら、このようなストラテジのためには著しく多数の走査経路が必要となる可能性があるし、製造プロセスのために短い露光時間および高いスループットが必要とされる場合には、このことは望ましくない。しかも、深紫外線波長で動作するエキシマレーザについて該当する可能性があるように、十分にガウス状の強度プロフィルを有するビームを生成できなければ、このストラテジは望ましくない。その代わりに、やはり米国特許第8524443号明細書に記載されているように、マスクパターン全体にわたり単一の経路でその長さに沿って一定の強度を有する細長ビームを走査することによって、コリメート光学系を1つの方向でかなり小さくすることができるけれども、これによっても直交方向における要求を緩和することはできず、したがってやはりレンズの製造に関して問題になる可能性がある。また、従来技術の教示を用いたところで、かかる細長ビームを、いっそう大きいマスクパターン全体をラスタパターンで、順次連続して走査される領域間でオーバラップさせながら、細長ビーム終端でビーム伸長方向に強度がゼロまで減衰する距離に相応するオーバラップ距離を伴って、走査することもできない。その理由は、従来技術において開示されている細長ビーム終端における強度は、制御されない不定の過程を辿ってゼロまで減衰し、したがってオーバラップさせられた露光が重ね合わせられた結果として、オーバラップ領域にわたる積分露光エネルギー密度が、許容できないほど大きく変動することになってしまうからである。ここで取り上げられる用途の分野によれば一般的に、±3%未満の著しく良好な露光均一性が要求される。たとえば開口を挿入することによって減衰領域の手前で細長ビームを切り詰めて、ビームに沿って完全に矩形の強度プロフィルを有するビームを生成し、次いで順次連続する走査経路間でオーバラップまたはギャップを伴わずに、この切り詰められたビームをラスタ走査することも、役には立たないであろう。このようにしてもうまくはいかないであろう理由は、DTLおよびDTLに関連する露光方法は、マスクにより透過させられた回折ビームの干渉に依拠しており、したがって均一な結果をもたらすためには、フォトレジストコーティング基板のところで、回折ビームを均一にオーバラップさせる必要があるからである。しかしながら回折ビームはマスクの後方で発散し、そのため切り詰められた細長ビームの終端各々により生成される回折ビームのエッジは、ビームが基板に向かって伝播するときに横方向でばらばらになり、その結果として、細長ビーム終端でフォトレジストにおいて回折ビームの不十分なオーバラップおよび不均一な干渉が生じることになる。
【0014】
順次連続する走査経路間でオーバラップさせて細長ビームをラスタ走査する際の付加的な問題点とは、格子からの回折面においてマスクのところでのビームの局所的な入射角度は、いずれのオーバラップ領域においても順次連続する経路の2つの走査について正確に同じでなければならない、ということである。入射角度が正確に同じでないならば、2つの露光により印刷される周期パターンのフィーチャは、印刷される格子の所望の均一性を確保するためには、オーバラップ領域において正確にはアライメントされないことになる。従来技術に記載されている細長ビームを走査するシステムおよび手順は、細長ビームの一方の終端でのオーバラップ領域内のマスクにおける光の、そのビームの他方の終端におけるものに対する相対的入射角度について言及していないし、この相対的入射角度を制御していない。これらの従来技術は、伸長面において光をコリメートすることについては触れているけれども、このことはむしろ、マスクのいずれかの特定のポイントを照射する入射角度範囲に関連するものであり、この範囲を制限するものであって、このことは、細長ビームのただ1つの走査により印刷される格子における線が良好に解像されることを保証するために重要である。
【0015】
本発明の課題は、著しく大きい周期パターンをDTL技術またはDTL関連技術を用いて高度に均一に印刷するための方法および装置を提供することである。
【0016】
さらなる課題は、この方法および装置を、1次元の周期パターンと2次元の周期パターンとの双方に、特に線形格子、六角形および正方形のフィーチャアレイに、適用可能にすることであり、さらにほぼ周期的なパターンにも、つまり周期性がパターン全体にわたりゆっくりと変化するパターンにも、適用可能にすることである。
【0017】
本発明のさらなる課題は、製造プロセスのためにプリント基板の高いスループットを可能にする目的で、この方法およびシステムによって、著しく大きい周期パターンを短い露光時間で印刷できるようにすることである。
【0018】
本発明の第1の態様によれば、線状フィーチャの所望の均一な周期パターンを基板上の感光層に印刷するために、1つの方法が提供され、この方法は以下のステップを含む、すなわち、
a)第1の方向に対し平行であり、所望のパターンの2倍の周期を有する線状フィーチャのマスクパターンを担持するマスクを用意するステップと、
b)マスクに対し平行にかつマスクパターンから間隙を伴って基板を配置するステップと、
c)単色光の細長ビームを生成し、この細長ビームをマスクに向けて配向するステップであって、細長ビームの光は、伸長方向と直交しかつ第1の方向に対し平行な面において、所定の入射角度範囲でマスクを照射し、さらに細長ビームの光は、伸長方向に対し平行な面において十分にコリメートされ、かつ細長ビームの長さに沿ってこのビームの2つの終端以外では増分距離ごとに均一なパワーを有し、2つの終端では増分距離ごとのパワーが、ビームの一方では所定の減衰距離にわたり第1のプロフィル(profile)に従って、さらにビームの他方の終端ではこの減衰距離にわたり相補的な第2のプロフィルに従って、ゼロまで減衰し、ここで角度範囲を、マスクにより回折させられた光が、マスクの面と直交する方向で均一な強度分布を基板のところで形成するように、光の波長、マスクと基板との間隙、およびマスクの格子の周期に関連させて選択するステップと、
d)基板上に所望の格子の第1の部分を印刷するために、前記マスクパターンの第1の部分にわたり第1の方向に対し平行な方向で、前記細長ビームを第1の部分露光において走査するステップと、
e)所望の格子の第1の部分とオーバラップする所望の格子の第2の部分を印刷するために、ビーム伸長方向で第1の部分からオフセットされた前記マスクパターンの第2の部分にわたり、第1の方向に対し平行な方向で、前記細長ビームを第2の部分露光において走査するステップであって、マスクパターンの第1の部分と第2の部分とが、減衰距離だけオーバラップするようにし、かつ第1の部分と第2の部分とがオーバラップするマスクパターンの領域内の、伸長方向に対し平行な面におけるビームの入射角度が、第1の部分露光におけるものと同じであるようにするステップと
を含み、
ここで第1のプロフィルおよび相補的な第2のプロフィルを、2つの部分露光においてマスクパターンを露光する露光エネルギー密度の合計が、第1の部分と第2の部分とがオーバラップするマスクパターンの領域において均一であり、かつ増分距離ごとに均一なパワーを有する細長ビームの区間により露光されるマスクパターンの領域におけるものと同じであるように選択する。
【0019】
相補的とは、以下のことを意味するものとして定義される。すなわち、細長ビームの2つの終端における強度減衰プロフィルが、第1の部分露光と第2の部分露光とにおいて減衰距離だけオーバラップさせられると、これらのプロフィルが合わさって、オーバラップ領域にわたり均一な強度が生じる、ということを意味するものとして定義される。
【0020】
好ましくは、細長ビームの増分距離ごとのパワーは、それぞれ同じものである第1のプロフィルと第2のプロフィルとに従って、細長ビームの終端でゼロまで減衰する。有利にはこれらのプロフィルは、線形関数または余弦波プロフィルの180°の区間であり、このプロフィルの勾配はその始端と終端において実質的に0である。
【0021】
細長ビームの長さに沿った増分距離ごとのパワーとは、連続波レーザ光源のケースでは、増分距離ごとの瞬時パワーのことを指し、またはパルスレーザ光源のケースでは、増分距離ごとのほぼ瞬時のパワーのことを指し(すなわち複数のレーザパルスにわたり平均化されたもの)、またはビームの終端において増分距離ごとのパワーの規定された減衰を発生させるために、振動運動を行う開口が採用されているケースでは、ここでは代わりに、開口の振動の時間周期期間にわたる増分距離ごとの時間平均パワーのことを指す。
【0022】
有利には、この方法は付加的に以下のステップを含む。すなわち所望の格子の第1の部分または第2の部分とオーバラップする所望の格子の第3の部分を印刷するために、ビーム伸長方向で第1の部分および第2の部分からオフセットされた前記マスクパターンの第3の部分にわたり、第1の方向に対し平行な方向で、前記細長ビームを第3の部分露光において走査するステップであって、マスクパターンの第3の部分が、第1の部分または第2の部分と減衰距離だけオーバラップするようにし、かつ第3の部分と第1の部分または第2の部分とがオーバラップするマスクパターンの領域内の、伸長方向に対し平行な面におけるビームの入射角度が同じであるようにするステップを含む。さらに有利には、いっそう大きい所望の格子を基板上に形成するために、所望の格子の複数のさらなる部分が重なり合うように、それらの部分がさらなる部分露光において印刷される。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、線状フィーチャの所望の周期パターンを感光層に印刷するために、1つのシステムが提供され、このシステムは以下を含む、すなわち、
a)第1の方向に対し平行であり、所望のパターンの2倍の周期を有する線状フィーチャのマスクパターンを担持するマスクと、
b)このマスクに対し平行にかつマスクパターンから間隙を伴って感光層を配置する手段と、
c)単色光の細長ビームを生成し、マスクに向けて配向する手段であって、細長ビームの光は、伸長方向と直交しかつ第1の方向に対し平行な面において、所定の入射角度範囲でマスクを照射し、さらに細長ビームの光は、伸長方向に対し平行な面において十分にコリメートされ、かつ細長ビームの長さに沿ってこのビームの2つの終端以外では増分距離ごとに均一なパワーを有し、2つの終端では増分距離ごとのパワーが、ビームの一方では所定の減衰距離にわたり第1のプロフィルに従って、さらにビームの他方の終端ではこの減衰距離にわたり相補的な第2のプロフィルに従って、ゼロまで減衰し、ここで角度範囲は、マスクにより回折させられた光が、マスクの面と直交する方向で均一な強度分布を基板のところで形成するように、光の波長、マスクと基板との間隙、およびマスクの格子の周期に関連して選択される手段と、
d)基板上に所望の格子の第1の部分を印刷するために、前記マスクパターンの第1の部分にわたり第1の方向に対し平行な方向で、前記細長ビームを第1の部分露光において走査する手段と、
e)所望の格子の第1の部分とオーバラップする所望の格子の第2の部分を印刷するために、ビーム伸長方向で第1の部分からオフセットされた前記マスクパターンの第2の部分にわたり、第1の方向に対し平行な方向で、前記細長ビームを第2の部分露光において走査する手段であって、マスクパターンの第1の部分と第2の部分とが、減衰距離だけオーバラップするようにし、かつ第1の部分と第2の部分とがオーバラップするマスクパターンの領域内の、伸長方向に対し平行な面におけるビームの入射角度が、第1の部分露光におけるものと同じであるようにする手段と
を含み、
ここで第1のプロフィルおよび相補的な第2のプロフィルは、2つの部分露光においてマスクパターンを露光する露光エネルギー密度の合計が、第1の部分と第2の部分とがオーバラップするマスクパターンの領域において均一であり、かつ増分距離ごとに均一なパワーを有する細長ビームの区間により露光されるマスクパターンの領域におけるものと同じであるように選択される。
【0024】
好ましくは、細長ビームを生成する手段は、細長ビームの長さに沿って以下のようなパワー分布を生じさせる。すなわちこのパワー分布は、ビームの一方の終端では第1のプロフィルに従いゼロまで減衰し、ビームの他方の終端では第1のプロフィルと同じである第2のプロフィルに従いゼロまで減衰する。有利には、第1のプロフィルおよび第2のプロフィルは、同じ線形のプロフィルまたは同じ余弦波状のプロフィルである。
【0025】
好ましくは、細長ビームの終端各々で増分距離ごとにパワーの減衰を発生させる手段は、ビームの幅にわたって配置された透過フィルタであり、このフィルタの吸収または反射は、減衰距離にわたり線形に変化する。
【0026】
有利には、細長ビームの終端各々で増分距離ごとにパワーの減衰を発生させる手段は、ビームの幅にわたって配置されたハーフトーンマスクであり、これは複数の開口がビームと交差するように細長ビームの幅よりも実質的に短い幅を各々が有する周期的な一連の開口から成り、さらにこの場合、開口の形状は、以下のように設計されている。すなわちビーム伸長方向で減衰領域にわたり特定の距離のところでの一連の開口の平均透過率が、選択された第1のプロフィルまたは第2のプロフィルに従いこの特定の距離と共に変化するように、さらに開口アレイの周期構造により回折させられた次数の実質的にすべての光が感光層を露光するように、設計されている。
【0027】
別の選択肢として、ビームの終端各々で増分距離ごとにパワーの減衰を発生させる手段は、ビームの幅にわたって配置された0次のハーフトーンマスクにより作製され、これはセルの2次元アレイから成り、これらのセルの各々には、デューティサイクルおよび/または充填率が、各セル内でまたはセルからビーム伸長方向に向かって変化する周期で格子が設けられており、これによって格子アレイにより透過させられた0次の次数における増分距離ごとのパワーの減衰について、選択された第1のプロフィルまたは第2のプロフィルの関数が生成される。セル内の格子の周期は、照射波長に関連させて、かつビームを生成および走査する手段のジオメトリを考慮して、十分に小さくなるよう選択され、したがって1次およびそれよりも高次の回折次数が0次の回折次数から空間的に離れて、1次およびそれよりも高次の回折次数がマスクにおけるパターンを照射する前に、それらを阻止することができる。
【0028】
別の選択肢として、細長ビームの終端各々において増分距離ごとにパワーの減衰を発生させる手段は、ビーム伸長方向と直交する直線エッジを備えた開口を有しており、これはビーム伸長方向でこの開口を変位させるために並進ステージに取り付けられている。このステージは、好ましくは三角形状/鋸歯状または正弦波状の曲線に従い、開口のポジションの振動を発生させるコンピュータにより制御され、このようにすることで、振動する開口により透過させられた増分距離ごとのパワーの時間平均減衰が、ビーム伸長方向で線形または余弦波状に変化する。並進ステージは好ましくはリニアモータであり、走査方向でのマスクにおけるパターンの時間積分露光エネルギー密度が、要求された均一性を有するように、このリニアモータによって開口を、細長ビームの走査速度に関連させて十分に高い周波数で振動させることができる。
【0029】
さらに別の選択肢として、細長ビームの終端各々において増分距離ごとにパワーの線形減衰を発生させる手段は、回転ステージに取り付けられた開口を有しており、この開口の形状は以下のように設計されている。すなわち、回転軸線からの開口のエッジの半径が、この半径がその初期値にただちに復帰する角度またはその初期値に線形に戻る角度を除き、回転角が大きくなるにつれて線形に変化するように設計されている。モータの回転速度は、走査方向でのマスクにおけるパターンの時間積分露光エネルギー密度が、要求された均一性を有するように、細長ビームの走査速度に関連させて十分に高く選択される。別の選択肢として、余弦波状のプロフィルに従いゼロまで減衰する強度プロフィルが生成されるように、開口の形状を設計することができる。この目的で、開口が回転させられたときに、回転軸線からの開口のエッジの距離が、逆余弦波状のプロフィルに従い変化するのが望ましい。
【0030】
好ましくは、第1の部分露光と第2の部分露光とにおいて露光されるフォトレジスト領域が減衰距離だけオーバラップするように、第2の部分露光のための走査手段は、細長ビームを生成する手段の一部分またはすべてをビーム伸長に対し平行な方向で変位させる手段を含むか、または別の選択肢として、マスクおよび感光層をビーム伸長に対し平行な方向で変位させる手段を含む。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第1の実施形態を概略的に示す図である。
図2】第1の実施形態で採用されたアポダイゼーションフィルタを通過する透過率の変化を示す図である。
図3】第1の実施形態において採用されたアポダイゼーションフィルタへのビーム入射の強度分布を概略的に示す図である。
図4】第1の実施形態において生成された細長ビームの2つの終端における増分距離ごとの相対的強度の減衰を示す図である。
図5】第1の実施形態において生成された細長ビームの終端における強度の減衰と、マスクにおける周期パターンへのこのビームの照射とを示す図である。
図6】2つの部分露光によりオーバラップ領域にわたり生成されたDTL露光像のコントラストの変化を示す図であって、この場合、細長ビームが部分露光の間にステップ駆動され、第1および第2の実施形態において説明するように、オーバラップ領域内の細長ビームの終端において10mmの減衰距離にわたり強度が線形にまたは余弦波状に減衰する様子を示す図である。
図7】第2の実施形態において採用された細長ビームの2つの終端における強度の余弦波状の減衰を示す図である。
図8】細長ビームの終端において強度が余弦波状に減衰するケースにおいて、オーバラップ領域にわたるコントラストの変化と減衰領域の幅との関係を示す図である。
図9】余弦波状の減衰プロフィルのケースにおいて、第2の部分露光で採用された細長ビームの理想のポジションからの横方向オフセットに対する、オーバラップ領域にわたり生成されたDTL露光像におけるピーク強度の感度を示す図である。
図10】第3の実施形態において採用された照射ビームに対するハーフトーンマスクの設計およびその配置を示す図である。
図11a】第4の実施形態における細長ビームの一方の終端のところで強度の減衰を発生させるために採用された0次のハーフトーンマスクの領域における、全体的な設計および単一セルの設計をそれぞれ示す図である。
図11b】第4の実施形態における細長ビームの一方の終端のところで強度の減衰を発生させるために採用された0次のハーフトーンマスクの領域における、全体的な設計および単一セルの設計をそれぞれ示す図である。
図12】第4の実施形態において採用された0次のハーフトーンマスク設計における1つのセルの局所的透過率と、そのセルの局所的デューティサイクルおよび充填率との関係を示す図である。
図13】第5の実施形態において採用された、ビーム伸長方向での開口の変位を示す図である。
図14】第6の実施形態において採用された、ビーム伸長方向と直交する開口の変位を示す図である。
図15】第7の実施形態において採用された回転型開口を示す図である。
図16】第1の実施形態の変形を示す図であって、この場合、マスクを照射するビームはここでは代わりに両方の平面においてコリメートされ、変位タルボリソグラフィに従いマスクと感光層との間の間隙を変化させることによって、またはアクロマティックタルボリソグラフィに従い静止像を形成するために必要とされる距離と少なくとも同じ大きさである一定のギャップを使用することによって、パターンが各部分露光において印刷されることを示す図である。
【0032】
図1を参照すると、周波数3倍ダイオード励起固体レーザ1が、355nmの波長で高周波(数kHz)パルス化ビームを放出し、このビームはガウス強度プロフィルを有し、xz面で偏光されている。このビームはシャッタ2の通過後、最初にxz面ビームエクスパンダ3に入射し、これは光をxz面で屈折させる円柱凹レンズ4と、この面で光を再コリメートして約10mmの1/e直径を有するビームを生成する円柱凸レンズ5とを有する。次いでビームはxy面ビーム変換器6に入射し、これはまずは線形拡散器7を有しており、これは光を狭い角度範囲にわたりxy面で散乱させる。拡散器7は、露光中にこの拡散器をy方向で変位させるために、ステージ8上に取り付けられている。線形に散乱させられた拡散器7からの光は、円柱マイクロレンズアレイ9aおよび9bから成るタンデム型のペアを照射し、これらのレンズは、xy面において均一な強度分布を生じさせる目的で、ビーム均質化のための標準的な方式に従い配置されている。かかる円柱マイクロレンズは、Advanced MicroOptic Systemsなどの会社から入手可能である。円柱レンズ組み合わせ体10は、円柱マイクロレンズ9a,9bからの発散光を再コリメートして、13cmを超える長さにわたり実質的に矩形の強度プロフィルを有する細長ビームを生成する。この長さの外側の細長ビームの終端各々のところで、強度は不定の制御されない過程を辿ってゼロまで減衰する。
【0033】
DTL露光方式およびDTL関連露光方式について従来技術で十分に説明したとおり、マスクにおける格子パターンの任意の特定のポイントを照射するビームのコリメーションの度合いは、フォトレジストコーティング基板上に印刷されるパターンが良好に解像されるように、回折面において十分に良好でなければならない。必要とされる度合いは、マスクパターンの周期およびマスクと基板との間隙に依存する。この実施形態において印刷すべき格子の周期は0.25μmであり、用いるべきマスクと基板との間隙は360μmであるので、必要とされるコリメーションは約0.1mRである。したがって図1に示した光学システムは、このことを達成するように、また、細長ビームの長さに沿って必要とされる強度均一性をもたらすように、標準的な光学的方式に従い設計されている。これに加え、本発明のこの実施形態および他のすべての実施形態において重要であるのは、ビーム終端における、すなわちオーバラップした露光をもたらすビーム領域における、マスクのところでの光の入射角度は、回折面におけるものと正確に同じである、ということであり、さもないとオーバラップした2つの部分露光において印刷される格子線が、正確にはアライメントされなくなってしまい、したがって許容できない不均一性が引き起こされる可能性がある。必要とされる角度アライメント精度は、必要とされるコリメーションの小さい分数であり、一般的には1/10であり、したがってこの実施形態については±約10μRとするのが望ましい。よって、図1の光学システムは、特に円柱レンズ組み合わせ体10は、特に球面収差を最小化することに関して、標準的な光学的方式に従い設計され、組み立てられ、調節されている。光学系のアライメントを容易にするために、また、ビームの2つの終端における光の角度が正確に同じであることを検証するために、イスラエルのDuma Optronics Ltd社により製造されたタイプの"Laser Analyzing Telescope"を使用することができる。このテレスコープは、照射コリメートビームを高分解能CCDアレイ上のスポットにフォーカシングし、このアレイ上のスポットのポジションからのビーム角を±5μR未満の測定精度で特定する。このためビームの2つの終端における「オーバラップ領域」内の光の相対角度を、十分に平坦な表面上に取り付けられたテレスコープを用いて光を観察し、ビームの2つの終端を測定するためにこの表面全体にわたりテレスコープを変位させることによって、測定することができる。別の選択肢として、細長ビームのオーバラップ領域内の光の角度を、部分露光各々に先立ちマスクに関して(マスクから反射したビームの角度を測定することによって)測定することができ、このようにすることで、重なり合って印刷された格子の線がオーバラップ領域内で正確にアライメントされる、ということが保証される。
【0034】
次いでxy面変換器6の出力ビームは、アポダイゼーションフィルタ(apodization filter)11に入射し、このフィルタの透過率は、図2に示されているようにして約13cmの長さにわたりy方向で変化する。かかるアポダイゼーションフィルタまたは線形に可変の中立的な透過率のフィルタは、たとえば米国のReynard Corporation社から入手することができる。透過率の変化は、石英ガラス基板上の金属または金属合金の厚さひいては吸収の変化によってもたらされる。透過率全体を強めるため、フィルタ(および後者の実施形態において使用されるアポダイゼーションフィルタ)を、反射防止コーティングによって付加的にコーティングすることができる。よって、アポダイゼーションフィルタによって透過されたビームは、約90mmの長さである中央区間にわたり均一であり、その強度は、ビーム終端各々のところで約10mmの距離にわたりゼロまで線形に減衰する。図3には、照射ビームにおけるフィルタのロケーションが示されている。次いで、透過されたビームは、1/e強度値における光線が約±1.5°の角度で収束するように、円柱凸レンズ12によってxz面にフォーカシングされる。収束ビームはミラー13によって反射させられ、このミラー13は、xz面においてθ=5°の平均入射角度で、yz面において実質的に法線入射で、ビームがマスク16上に入射するよう、傾けられている。マスク16の底面には位相格子パターン17が設けられており、これは0.5μmの周期と約1の線/空間比とを有する複数の平行線から成り、これらの平行線は、355nmの光に対し高い1次効率をもたらすために、石英ガラス基板中にエッチングされている。格子領域は約200mm×200mmであり、パターン17はx方向で格子線によって配向されている。かかるマスクを、クロムマスクにおいてパターンを形成するために標準的な電子ビームリソグラフィを用いて作製することができ、この場合にはRIEによって基板中に空間がエッチングされ、最後にクロムが剥ぎ取られる。別の選択肢としてマスクパターンを、2倍の周期すなわち1μmの周期を有するマスタマスクから、ホログラフィック露光によって、またはDTL露光によって、形成することができる。マスク16の下方に、標準的なi線感応フォトレジストから成る層によりコーティングされた基板18が設けられている。基板18は真空チャック19上にあり、これはx方向走査ステージ21のキャリッジ20に取り付けられており、さらにこのx方向走査ステージ21は、y方向ステップ駆動ステージ22上に取り付けられている。これらのステージのピッチ、ヨーおよびロールの特性が、オーバラップした部分露光の領域における格子線の必要とされるオーバレイ精度を得るために適切であるように、これらのステージが選択される。特にそれらの大きさを、細長ビームのオーバラップ領域における光の角度アライメント精度に対する要求よりも好ましくは小さくするのが望ましく、したがって好ましくは±10μR未満とするのが望ましい。上述のように別の選択肢として、オーバラップ領域内の(格子パターンの回折面における)マスク上への光の入射角度を、部分露光各々の前に測定し調節することができ、これによって走査ステージおよびステップ駆動ステージのヨー、ピッチおよびロールの運動に対する要求が緩和される。マスク16は、真空チャックおよびマスクポジショニングシステム(図示せず)によって上方から支持され、このマスクポジショニングシステムによって、フォトレジストコーティング基板18に平行にそこから選択された距離のところに、マスク16を配置することができる。マスクポジショニングシステムは、x方向走査ステージ21のキャリッジ20にも取り付けられている。米国特許第8368871号明細書に記載されているタイプのマスクポジショニングシステムおよびギャップ測定装置を用いて、マスク16と基板18との間の間隙を約360μmの値に調節することができる。マスク16からこの距離のところで、種々の入射角度により生成されたタルボ像面は、米国特許第8524443号明細書および米国特許第9007566号明細書の教示によれば、距離が拡がるにつれて1つの連続体を形成し、したがってマスクからの距離がさらに拡がるにつれて、横方向強度分布が一定になる。
【0035】
露光前、走査ステージ21上のキャリッジ20のポジションおよびy方向ステップ駆動ステージ22上の走査ステージの21のポジションは、均一な強度を有する細長ビーム15の区間がマスクパターンの(-y方向の)頂面半部全域を走査できるように、配置されている。第1の部分露光は、シャッタ2を開放してx方向ステージ21のキャリッジ20を変位させることにより実施され、これによって照射ビーム15がマスクパターン17の長さにわたり一定の速度で走査され、このようにしてマスクパターン17の頂面半部がその全長にわたり均一な時間積分露光を受けるようになる。フォトレジストを露光する時間積分エネルギー密度が、フォトレジスト現像後に基板18上に所望の微細構造を形成するために適しているように、ビーム15の単位長さあたりのパワーおよびフォトレジストの感度に関連して、走査速度が選択される。露光中、線形拡散器7が、ステージ8により十分な速度でy方向に前後に変位させられ、これによってフォトレジストの時間積分露光において強度スペックルが抑圧される。第1の部分露光に続いてシャッタ2が閉鎖され、強度が均一である細長ビームの長さと、強度がビーム終端でゼロまで減衰する距離との合計に相応するオフセット距離だけ、すなわち90+20=110mmだけ、x方向ステージ21がy方向ステージ22上で変位させられる。次いで第2の部分露光が第1の部分露光と同じやり方で実施され、これによってマスクパターン17の(+y方向の)底面半部が、その全長にわたり均一な時間積分露光を受ける。
【0036】
2つの部分露光間で選択されたy方向のオフセット距離ゆえに、2つの部分露光において走査されたマスクパターン17の領域は、10mmの減衰距離でオーバラップする。オーバラップ領域にわたる減衰の方向は、2つの部分露光について反対であり、したがって重畳されたエネルギー密度が加算されて、オーバラップした部分にわたり均一なマスク露光が生じる。10mmのテーパ幅のケースについて図4に示されているように、強度の相補性はビームの2つの終端において減衰し、これによってオーバラップ領域にわたり均一な強度がもたらされる。しかしながら、マスク16における格子パターン17は光をy方向で回折させるので、均一なマスク露光によっても、フォトレジストを露光する強度分布がオーバラップした部分露光にわたって均一であることは保証されない。
【0037】
フォトレジストを露光する空間像の強度分布は、図5に概略的に示されているように、マスク16における格子パターン17により回折させられたビームによって生成される。この図の上部のグラフには、露光ビームのエッジのところでマスクにおける格子を照射する強度が線形に減衰することが示されている。強度減衰またはテーパ状領域の幅はwである。フォトレジスト上のポイントDは、マスクの格子上のポイントAおよびCから発する1次の回折次数と、ポイントBからの0次の光とによって照射される。ビームの均一な区間およびポイントA,BおよびCを照射する光の相対的強度は、グラフ中に付記されているように、それぞれI,I,IおよびIである。
【0038】
この実施形態において各部分露光により(実際には任意のDTL関連またはATL関連の露光方式により)フォトレジストのところに形成された時間積分空間像のエネルギー密度分布を、マスクにより回折させられた1次、2次およびそれよりも高次の次数の各ペアにより形成された干渉強度分布を計算し、それらを0次の次数の分布と一緒に加算することによって、特定することができる。次いで積分分布のコントラストが、(Imax-Imin)/(Imax+Imin)により与えられ、ここでImaxおよびIminは、積分分布にわたる強度の最大値および最小値である。
【0039】
各部分露光について10mm幅のテーパ状領域にわたりこの計算を実施し、2つの分布を一緒に加算すると、図6に示した破線の青色の曲線が生じる。この図からわかるように、テーパ化が開始および終了するところである遷移領域では、一定量のコントラスト低下があるけれども、コントラストはオーバラップ領域にわたり90%よりも高く維持されており、これはこの技術の有効性を実証するものである。20mm幅のテーパであるとこの低下がさらに減少し、均一性が2倍よりも大きく改善されることが判明した。よって、細長ビームの終端におけるテーパ幅を、印刷パターンの要求される均一性に従って選択するのが望ましい。
【0040】
2番目の部分露光に続き、基板18が露光システムから取り出され、標準的な技術を用いてフォトレジストが現像される。結果として生じるシームレスな格子は、米国特許第8368871号明細書の教示によれば、0.6μmの周期を有しており、つまりマスクにおける格子の周期の半分の周期を有する。用途の要求に応じて露光条件を最適化するために、さらなるフォトレジストコーティング基板を用いてさらなる露光を実施することができる。
【0041】
図1には、均一な細長ビームを生成して、マスク16のところにそれを配向するための、光学系の特定の配置が概略的に示されているけれども、これは一例にすぎず、光学系設計の当業者であれば多くの等価の変形実施形態を考えつくことができる、ということを理解されたい。たとえば、主要な光学システムを垂直方向に構成することができ、ミラー13の前方に示されている円柱レンズ12を、ここでは代わりにミラーの後方に配置することができ、z方向の拡張モジュール3およびy方向の変換モジュール6を、内部の光学部品を適切に変更して、または変更せずに、置き換えることができ、伸長方向に沿ったビーム均質化を、マイクロレンズアレイ9a,9bを用いるのとは異なる手段によって実施することができ、モジュール3におけるz方向のビーム拡張を、ここでは代わりに2つの円柱凸レンズにより実施することができ、円柱凸レンズ12により導入されるxz面における角度範囲を、別の選択肢として、マスクに向けて光の収束ではなく発散をもたらす円柱凹レンズによって導入することができ、さらにy方向のビーム拡張を、マイクロレンズアレイ9a,9bの前方に含めることができる。さらに、光学素子ならびにそれらの相対的なサイズおよびポジションは図1には概略的に示されているにすぎない、ということを理解されたい。たとえば、単一のレンズとして示されている円柱レンズ組み合わせ体10は好ましくは、球面収差を最小化する目的で複数の円柱レンズ素子から成り、光学設計の当業者であればそれらのレンズ素子の選択を、用途の正確な要求に従って規定どおりに決定し最適化することができる。
【0042】
第2の実施形態の場合、異なるアポダイゼーションフィルタが用いられる点を除き、第1の実施形態におけるものと実質的に同じ露光システムおよび手順が採用され、この場合のアポダイゼーションフィルタはその透過率がビーム各々において、余弦波状のプロフィルに従い10mmの同じ減衰距離を伴って変化する。図7には、余弦波状の強度の相補性がビームの2つの終端のところで減衰し、これによってオーバラップ領域にわたり均一な強度がもたらされる、ということが示されている。2つの部分露光のオーバラップ領域にわたりコントラストを変化させるために同じ理論的計算方法を用いると、図6に示した赤色の破線を有する曲線が生じる。この図からわかるように、コントラストの変化全体は、線形の減衰フィルタを用いて得られたものよりも著しく小さく、テーパの2つの終端のところでいっそう円滑な遷移が生じており、つまり図6の青色の曲線中に存在する低下を伴わない。同様に円滑な遷移を伴う他のアポダイゼーションフィルタであっても、コントラスト変化を同様に小さくするのを予期することができる。本明細書で説明したようなシミュレーションを、このプロフィルを最適化するために用いることができる。テーパ状のプロフィルを選択した場合には、2つのビームの強度の合計が継ぎ目領域にわたり(テーパ状ではない領域と等しく)一定に維持される、ということが保証されなければならない。実施される露光の均一性要求次第では、たとえば1%、5%または10%までといったような合計における変化を許容できる。
【0043】
図8には、余弦波状のテーパプロフィルのケースにおいて、オーバラップ領域にわたる均一性とテーパの幅との関係が示されている。照射波長およびマスク特性は、前述の実施例において用いたものと同じである。3つのプロットには、テーパ領域の3つの異なる幅(2mm,5mmおよび10mm)に対する像のコントラストが示されている。この図に示されているように、テーパの幅が大きくなるにつれてコントラストの劣化が著しく小さくなっていく。露光の要求に応じて、必要とされるテーパ幅を選択することができる。
【0044】
図9には、余弦波状のテーパプロフィルのケースについて、理想的な相対的ポジションからの2つの露光領域のオフセットに基づく、オーバラップ領域にわたる強度の感度が示されている。マスクのパラメータおよび波長は、前述の実施例で説明したものと同じであり、テーパ幅はここでも10mmである。継ぎ目領域の両側における2つの露光の3つの異なるポジショニングに応じて、3つのプロットが示されている。申し分なくアライメントされた第1のケース(オフセット=0μm)では、照射ビーム強度全体が一定に維持されるように2つのテーパがポジショニングされる。第2のケースおよび第3のケースでは、それらのテーパは横方向(マスク表面に対し平行かつ図5の格子線に対し垂直な方向)で一定量だけ変位させられている。第2のケース(オフセット=100μm)では、2つの露光が互いに近づく(つまりビームのオーバラップが増加する)ように100μmだけ動かされる。これにより、オーバラップ領域においてピーク像強度が増加する。第3のケース(オフセット=-100μm)では、テーパ化された2つのビームが互いに離れる(つまりビームのオーバラップが減少する)ように100μmだけ動かされる。このケースでは、オーバラップ領域におけるピーク像強度の減少が計算される。これらのプロットは、露光強度に及ぼされる作用はビームポジショニングにおける100μmの誤差について約1%である、ということを示している。かかる結果および特定の用途に必要とされる印刷均一性に基づき、図1のy方向ステップ駆動ステージ22により同等に実施される2つの部分露光の間の照射ビームのステップ駆動に必要とされる精度を、適切に決定することができる。
【0045】
第3の実施形態の場合、異なるタイプのアポダイゼーションフィルタが用いられる点を除き、第1の実施形態におけるものと実質的に同じ露光システムおよび手順が採用され、このタイプのアポダイゼーションフィルタの、細長ビームの終端各々における透過率の線形の変化は、ここでは代わりにハーフトーンマスクによってもたらされる。標準的なクロムマスク製造技術を用いて、石英ガラス基板上にパターンが形成される。図10を参照すると、細長ビームの終端各々をアポダイズするためのパターンは「鋸歯」パターンであり、これは細長ビームの全幅にわたって(すなわちz方向で)延在する複数の三角形状開口から成る周期的なシーケンスを有する。開口が三角形の形状であることから、開口アレイの1つのスライスの平均透過率は、y方向において開口先端からそれらの底辺に向かって線形に変化する。選択された開口の周期を、照射細長ビームの幅よりも実質的に小さくするのが望ましく、そのようにすることでビームの幅にわたる透過強度の変化がガウスプロフィルに十分に近づく。好ましくは鋸歯の周期を、照射ガウスビームの1/eビーム直径の1/10以下とするのが望ましく、したがってこの実施形態については約1mmが適切である。この周期を波長よりも極めて遙かに大きくするのが望ましく、このようにすれば周期開口アレイ(およびz方向における照射ビームの大きい空間干渉)により生成される回折次数が、小さい角度(好ましくは1°未満)で発散し、したがってそれらは後続の光学系を介して露光面に向かって伝播する。同じ理由で、オーバラップ領域における良好な均一性を保証するためにスライスの平均強度が重要となる、鋸歯パターンの1つのスライス内の最小空間を、好ましくは最低でも波長の20倍とするのが望ましく、したがってこの実施形態の場合には、最小空間は好ましくは7μmよりも大きい(10μm幅空間のスライスであれば、10μm/1mm=1%の平均強度がもたらされる)。この実施形態における個々の開口は、ビーム終端における強度の線形減衰を発生させる目的で、三角形の形状を有しているが、自明のとおり、他の減衰プロフィルを得るために他の開口形状を採用してもよく、たとえば余弦波状の減衰を得るために余弦波状の形状を使用してもよい。
【0046】
この実施形態の1つの変形において、透過ビームのz方向(図10の軸を参照)の強度分布がいっそうガウスプロフィルを有するようにする目的で、鋸歯アポダイゼーションフィルタは、開口アレイの少なくとも1つの周期による露光中、付加的にz方向に振動させられる。
【0047】
第4の実施形態の場合、異なるタイプのハーフトーンアポダイゼーションフィルタが用いられる点を除き、第3の実施形態におけるものと実質的に同じ露光システムおよび手順が採用される。第3の実施形態の場合には、フィルタの周期特性により生成される実質的にすべての回折次数が露光面に向かって伝播するのに対し、この実施形態では0次のハーフトーンマスクが使用され、したがって0次の回折次数だけが露光面に向かって伝播する。前述の実施形態の場合のように、標準的なマスク作製リソグラフィ技術を用いて、石英ガラス板上のクロムにおけるパターンとしてフィルタが形成される。図11aおよび11bには、細長ビームの左終端におけるフィルタの設計が概略的に示されている。このフィルタは、そこに入射するビームの均一部分の終端にポジショニングされる(つまりフィルタ通過後に強度がゼロまで減衰する領域ではない)。このフィルタは、それぞれ寸法a×aの複数のセルのアレイから成る(y軸およびz軸は図1に示したものと一致している)。各セル内に、同じ周期pを有する振幅格子が設けられており、格子により回折させられた1次およびそれよりも高次の次数がビーム伸長方向と直交して回折させられるようにする目的で、この振幅格子の線および空間はy軸に平行である。結果として生じる1次の回折次数の角度(約2゜)によって、1次の回折次数およびそれよりも高次の次数をアポダイゼーションフィルタ後方約50cmの距離のところで阻止することができるよう、セル各々における格子の周期は10μmに選択され、この距離のところで、それらの回折次数は主ビーム(このビームの約1/e幅は約10mm)から離れてしまい、したがって0次の次数だけが露光面に向かって伝播する。各セル内における格子の線および空間の長さは同じであり、セルの長さaおよび格子の幅bに相応し、z方向ではセルごとに同じであるが、y方向ではセルごとに変化する。以下では、比b/aをセルの充填率と称する。クロム線の幅は各セル内の線の長さに沿って変化し、この変化はz方向ではセルごとに同じ(したがってフィルタの透過率はz方向では一定)であるが、y方向ではセルごとに変化する。クロムの幅と格子周期との比w/pを、以下ではデューティサイクルと称する。
【0048】
各セルのy座標における基本領域yの平均透過率Tは、この領域により回折させられた0次の次数の局所効率と、セル内の格子の充填率とに依存する。これを次式から計算することができる。すなわち、
【数2】
【0049】
図12には、デューティサイクルを0~1まで変化させたことにより、さらに充填率を0.1~1まで変化させたことにより生じ得る透過率の範囲が示されている。このことからわかるのは、0~100%までの透過率のすべての値を、デューティサイクルおよび充填率の適切な選択によって得ることができ、デューティサイクルを過度に小さく(たとえば0.025未満に)または過度に大きく(たとえば0.975よりも大きく)する必要がない、ということであり、このように過度に小さくまたは過度に大きくするのは、マスクにおけるクロムの線幅の形成にあたり問題となる。aの値を、照射ビームの1/e幅に関連させて小さくすべきであるけれども、フィルタにおけるフィルタ格子の周期に関連させて大きくするのが望ましい。一般的には、1/eビーム幅の1/10を用いることができ、したがってここで考察しているケースについては約1mmである。y方向では無視できる程度の回折だけがセルによって生成されることを保証するために、aの値を波長よりも遙かに大きくするのが望ましく、y方向で回折が生成されると印刷像の分解能が劣化してしまう。この実施形態の1つの変形において、0次のハーフトーンマスクにおける格子素子は、ここでは代わりに位相格子である。
【0050】
この第4の実施形態の1つの変形において、細長ビームの終端各々において強度分布の減衰を形成するハーフトーンマスクの構造は、第3の実施形態において採用されたタイプの1次元の格子であり、つまりこの場合にはデューティサイクルは、ビーム伸長方向で線に沿って変化するけれども、周期は第3の実施形態において採用されたものよりも遙かに小さくなるように選択される。その目的は、1次およびそれよりも高次の透過ビームが遙かに大きい角度で回折させられるようにすることであり、このようにすることでそれらの透過ビームを、それらが露光面における周期マスクパターンに照射する前に阻止することができるようになり、さらにハーフトーンマスクの線に沿ったデューティサイクルの変化は、強度変化(または増分距離変化ごとのパワー)の必要とされるプロフィルを生じさせるために、0次の回折ビームの相対的強度が減衰距離にわたって変化するように、設計されている。この実施形態の他の変形において、0次のハーフトーンマスクの他の設計を採用してもよく、これによれば、細長ビームの終端において減衰領域内で0次の次数の強度の必要とされる変化を生じさせる一方で、1次およびそれよりも高次の回折次数のビームを阻止するまたは遠ざけるように偏向する。
【0051】
さらなる実施形態において、細長ビームの終端各々における強度減衰が、ここでは代わりにビーム終端に対して周期的に変位する異なるタイプの開口により発生させられる、という点を除き、第1の実施形態と実質的に同じ装置が採用される。ビーム伸長方向においてビームに沿った1つのポイントで透過される、結果として生じる実効強度はここではむしろ、開口の周期運動にわたり時間平均された強度に帰する。開口を不透明材料または散乱材料によって形成することができ、これによりビームが基板に到達するのが効果的に阻止される。基板近傍またはビーム経路に沿った他のどこかの場所に、開口を配置することができる。
【0052】
図13には、第5の実施形態において採用されたかかる開口の1つの実施例が示されている。この開口は直線状のエッジを有しており、距離wだけ細長ビームの一方の終端の中および外に反復的に変位させられ、または振動させられる。照射ビームは垂直方向で幅dを有しており、水平方向に伸長させられている。必要とされる強度のテーパを得るために、直線状のエッジの振動運動のプロフィル(すなわち速度とポジションとの関係)が計算される。十分な速度および加速を伴って駆動させるために、リニアモータを使用することができる。干渉計またはエンコーダといったポジションセンサを使用して、開口のポジションを測定することができ、次いでこのポジションを使用して、閉ループ動作で所望の運動プロフィルが得られるように駆動を制御することができる。露光期間にわたり平均化したときに所望の強度テーパがもたらされるように、運動速度を露光時間に従って調節するのが望ましい。照射ビームがパルス化されている場合には、時間平均演算によってビームのパルス構造も考慮されるようにするのが望ましい。かかる照射ビームが静止したマスク全体にわたり走査されるならば、時間平均演算後に所望の強度分布(テーパ)を得る際に、照射ビームの走査速度、および存在するならばパルス周波数も考慮するのが望ましい。照射がパルス化される場合には、露光におけるストロボスコープ作用を回避するために、開口の振動周波数が有利には露光中に調節または変更される。露光中に一度または何度か、移動型開口を(たとえば前後に)動かすことができる。
【0053】
図14には、第6の実施形態において細長ビームの終端各々のところで周期的に変位する開口の別の実施例が示されている。このケースでは、所望の強度テーパを生じさせるために、細長ビーム終端の幅にわたって垂直方向で振動する運動として、開口が反復的に動かされる。ここでは、開口の形状によってテーパ化プロフィルが決定される。テーパ領域において1つの特定のポイントPを考察し、開口がその点の上を動くときの開放時間と閉鎖時間との比を計算することによって、必要とされる形状をただちに計算することができる。たとえば正弦波分布を得るために、逆余弦関数と類似した開口を使用することができる。レーザ切断加工機またはワイヤ放電加工機といった現行の製造技術を用いて、かかる開口を作製することができる。時間平均演算後に所望の精度で所望の強度プロフィルを得ることができるように、開口運動の速度を調節するのが望ましい。このケースでも、露光時間、走査速度およびビームのパルス構造に関するパラメータを、時間平均を実施する際に考慮する必要がある。
【0054】
図15には、第7の実施形態において細長ビームの終端各々のところで周期的に変位する開口の別の実施例が示されている。このケースでは、所望の強度テーパを生じさせるために、成形された開口が細長ビームの終端近傍で回転させられる。このケースでも、開口の形状によってテーパプロフィルが決定される。これをやはり、照射ビームにおける1つの特定のポイントについて開放時間と閉鎖時間との比率を考察することによって、簡単に計算することができる。正弦波プロフィルを得るためにやはり、逆余弦関数と類似した形状を使用することができ、ただし円形運動ゆえにこれに変更が加えられることになる。したがってこのケースでは、開口の直径も重要な役割を担う。この方法は、回転モータにより開口を高速で簡単に動かすことができる(これによって正確な時間平均プロフィルを得るのが容易になる)、という利点を有することができる。このケースでも、照射がパルス化される場合には、露光におけるストロボスコープ作用を回避するために、露光中、回転周波数を好ましくは調節または変更するのが望ましい。
【0055】
図1に示したアポダイゼーションフィルタ11は、ビーム伸長方向と直交する面に入射角度範囲を導入するために、円柱光学系12の前方でビーム経路中に配置されているけれども、本発明の別の実施形態においてアポダイゼーションフィルタを、どのようなタイプであれ(すなわち吸収、ハーフトーンマスク、移動型開口など)、別の選択肢として、円柱光学系12の後方で、またはビーム伸長面で光をコリメートするレンズ10の手前で、ビーム経路中に配置することができる。この別の実施形態は、著しく長い細長ビームのケースにおいて有利となる可能性があり、その理由は、これによってフィルタを遙かに小さい基板上で実現することができ、したがって製造が容易になるからである。
【0056】
理想的には、特に、ビームがその後、ビームコリメーション面で光をコリメートするレンズを通過する場合には、フィルタから露光面に向かうビームの伝播により生じるプロフィルの摂動を、フィルタの正確な減衰プロフィルによって考慮するのが望ましい。かかる摂動を、レイトレースS/Wを用いるなど標準的な光学設計手法を用いることで、特定することができる。したがってフィルタにおいて設計された減衰プロフィルによって好ましくは、フィルタと露光面との間のビーム経路および光学系により生じる透過強度分布に対する摂動も補償するのが望ましい。
【0057】
上述の第1の実施形態の場合には、2つの部分露光だけしか実施されないのに対し、別の実施形態においては、いっそう大きい均一なパターンを基板上に印刷する目的で、実施形態の手順を反復し、マスクにおいて同じサイズの周期パターンを使用しかついっそう短い長さの細長ビームを使用することによって、あるいは好ましくは、遙かに大きい周期パターンを有するマスクを用いることによって、3つまたはそれよりも多くの部分露光を実施することができる。
【0058】
上述の第1の実施形態の場合には、レーザは355nmの波長で光を放出するけれども、別の実施形態においては、レーザをたとえばエキシマレーザとすることができ、このレーザはたとえば248nmまたは193nmの深紫外線波長で光を放出する。
【0059】
上述の実施形態の場合には、マスクとフォトレジストコーティング基板とが設けられており、部分露光中、定位の照射ビームに対してマスクが走査され、さらに部分露光の間に定位のビームに対してマスクのステップ駆動も行われるが、本発明の別の実施形態においては、機械システムが以下のように設計され構成されている。すなわち各部分露光中、静止したマスクと基板とに対し照射ビームが走査され、かつ/または部分露光の間に静止したマスクと基板とに対し照射ビームがステップ駆動される。これらの実施形態における照射および変換ステージは、以下のように構成されている。すなわち照射システム全体が、部分露光中および部分露光の間にそれぞれ走査および/またはステップ駆動され、あるいは図1に示したアポダイゼーションフィルタ11、円柱レンズ12およびミラー13または等価の機能を実施する他の光学系といった光学系のみ(すなわちレーザは静止している)またはそれらの光学系の一部のみが、部分露光中および部分露光の間にそれぞれ走査および/またはステップ駆動される。
【0060】
別の実施形態において、2つまたはそれよりも多くの照射システムによって部分露光が同時に実施され、これらの照射システム各々は、マスクと基板とにわたり走査するために、1つまたは複数のレーザ光源から細長ビームを生成する。
【0061】
別の実施形態において、走査ビームの形状は細長ではなく、マスクにおけるその寸法は、走査方向と直交方向とで同じまたは類似している。かかるビームを、たとえば以下のことによって生成することができる。すなわち、同じまたは別のレーザ光源から図1に示したものと同様に構成し、正方形の断面を有するビームを形成するために球面光学系および球面マイクロレンズアレイを使用し、さらに必要とされる入射角度範囲をマスクのところでxy面において導入するために、図1におけるような円柱レンズを使用することによって、生成することができる。さらに別の実施形態の場合、走査方向のビームサイズは直交方向におけるサイズよりも大きい。このことを、マスクのところで必要とされる角度範囲を生じさせるために、円柱凹レンズを付加的に使用することによって達成することができ、このようにすることでビームの断面が、正方形の断面から走査方向でいっそう長い断面となるよう伸長させられる。
【0062】
別の実施形態において、マスク上の構造を1次元格子または2次元周期パターンとすることができ、走査露光はDTL,ATLまたはDTLと等価の他の従来技術を使用して実施され、この場合、マスクを照射するビームはここでは代わりに、1つの面において入射角度範囲を有するのではなく、2つの入射面においてコリメートされる。図16には、DTL露光のために適した露光システムが示されている。このシステムは以下の点を除き、図1におけるシステムと同じである。すなわちこのシステムの場合には、xz面に角度範囲を導入するためのミラー13の手前に円柱レンズは設けられておらず、したがってマスクは、長さに沿って均一な強度を有する細長ビームにより照射され、この細長ビームはさらにたとえば、両方の終端における線形の強度減衰と、直交方向で10mmの1/e幅をもつガウス強度とを有する。さらに、細長ビームが2つの面において法線入射でマスクを照射するように、ミラー13はここでは代わりに傾けられている。これに加え、マスクのポジショニングシステムは圧電アクチュエータを含み、これによって露光中、マスク17をz方向で高精度に変位させることができる。部分露光のオーバラップは以下の点を除き、上述の実施形態の同じ手順を使用し、それら上述の実施形態において採用されたアポダイゼーションフィルタ(静止型または移動型)のいずれかを使用して実施される。すなわちこの場合には、マスクパターンの長さLに相応する距離を走査するビームから結果として、
【数3】
で与えられるギャップの変化が生じるように、2つの部分露光各々の期間中、マスクとフォトレジストコーティング基板との間のギャップが一定の速度で変更され、ここでLは、露光される周期パターンのタルボ距離であり、WFWHMは、照射ビームの(x方向における)半値全幅である。
【0063】
マスクにおけるパターンが、0.6μmの最近傍距離を有する複数の孔から成る六角形アレイであり、照射波長が355nmであるならば、タルボ距離は約1.5μmとして計算される。Lが200mmであり、ビームの1/e全幅が10mm(したがってWFWHM≒6mm)であるならば、Δgap≧50μmである。
【0064】
細長ビームがパターン寸法L全体を走査するときに、この大きさのギャップ変化を用いれば、ビームがマスクパターンの任意の特定の部分全体を走査するときに、ギャップはタルボ距離の少なくとも2倍変化し、したがって米国特許第8525973号明細書の教示に従い、周期パターンが高度な均一性で基板上に印刷される。この実施形態によれば、任意の2次元の周期パターンを印刷することができ、この場合、各部分露光中に必要とされるギャップ変位速度は、上述のものと同じ手法で決定される。
【0065】
DTL露光を、種々の手順を用いて図16の装置により実施することができる。各部分露光において細長ビームがマスク全体を走査するときに、ギャップを同じ方向でゆっくりと変化させるのではなく、その代わりに(米国特許第8525973号明細書の教示を考慮して)十分に高い周波数を用い、さらに各振動について適切な変位振幅およびプロフィルを用いて、走査ビームが基板上に均一なパターンを印刷するように、ギャップを振動させることができる。
【0066】
別の選択肢として、図16に示されているものと同様の露光システムを使用して、ATLタイプの露光を実施することができる。十分に大きいスペクトル線幅を有するレーザ光源が採用され、これによってマスクから適度に短い距離のところに静止像を形成することができ、このことは高分解能パターンを印刷するために望ましい。たとえば405nmの波長で動作するレーザダイオードを採用することができ、このレーザダイオードの線幅は一般に約0.5nmである。よって、長さに沿って均一な強度および好ましくは幅にわたってガウス強度プロフィルを有する細長ビームを生成するために、ビームを成形および均質化する光学系を、標準的な光学設計方式を用いて適切に選択するのが望ましい。このビームはマスクおよびフォトレジストコーティング基板に向けて配向され、したがって図16に示されているように、このビームはマスクを法線入射で照射する。上述の実施形態において説明した任意のタイプのアポダイゼーションフィルタを採用することができ、とはいえそのフィルタを405nm波長で使用するために設計するのが望ましい。特に、第1の実施形態の吸収型のフィルタのために採用される材料およびその厚さのバリエーションを、この波長に適したものにするのが望ましい。マスクとフォトレジストコーティング基板との間の間隙を、米国特許第8841046号明細書の教示に従うものとすべきである点を除き、手順を第1の実施形態で採用されたのと実質的に同じものとすることができる。たとえば、マスクにおけるパターンが600nmの周期を有する格子であるならば、静止像がフォトレジストのところに形成されるように、ギャップを1.44mm以上に調節するのが望ましい。部分露光がオーバラップする領域全体を含む基板上に均一なパターンを印刷する目的で、線形のプロフィルまたは他のプロフィルを有する減衰領域のオーバラップを用いて、2つまたはそれよりも多くの部分露光を実施することができる。
【0067】
別の実施形態において各露光が、以下のような光の矩形または正方形の断面の露光ビームを用いて実施され、すなわちこの光は2つの面においてコリメートされ、各部分露光中、ここでは代わりにマスク上に静止している。これらの実施形態の場合、アポダイゼーションフィルタは、ビームの4つのエッジすべてのところで、規定された相補的な強度分布減衰を発生させ、それぞれ異なる部分露光の間にx方向および/またはy方向で、ビームがマスクおよび基板に対しステップ駆動され、その結果、それぞれ異なる部分露光において印刷されるパターンが、x方向およびy方向の両方のエッジに沿ってオーバラップし、これによってオーバラップ領域にわたり高度な均一性を有する合成パターンが生成される。レーザ光源を適切に選択し、さらに先に挙げた上述の実施形態における教示に基づき照射光学系を選択して、DTL,ATLまたは等価の方法のいずれかを用いて、各部分露光を実施することができる。
【0068】
別の実施形態において、米国特許第9182672号明細書の教示に従って印刷すべき基板にわたり、細長い照射ビームおよび細長いマスクが一緒に走査される。マスクの長さよりも幅が広い領域を有するパターンを印刷する目的で、マスクおよび照射ビームを、順次連続する部分露光の間にマスクおよびビームの伸長方向でステップ駆動しながら、2つまたはそれよりも多くの部分露光が実施され、このようにすることで制御された強度減衰を有する細長ビームの終端における領域が、順次連続する部分露光間でオーバラップし、これによって均一な合成パターンが印刷される。望ましい均一な格子を形成するため、オーバラップ領域において印刷される重畳された格子の線および幅が正確にアライメントされるように、順次連続する露光の間のマスクのステップ駆動が十分に正確に実施される。
図1
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図11a
図11b
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図16