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特許7044904内視鏡システム、制御方法、及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】内視鏡システム、制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20220323BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
A61B8/12
A61B1/00 524
A61B1/00 530
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020565075
(86)(22)【出願日】2019-01-09
(86)【国際出願番号】 JP2019000379
(87)【国際公開番号】W WO2020144771
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】壷井 秀憲
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-065965(JP,A)
【文献】特開2016-174809(JP,A)
【文献】特開平11-151245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を受信することによって電気信号を出力する超音波振動子と、
前記電気信号に基づいて超音波画像を生成する超音波観測装置と、
被検体内に照射する照明光を供給する光源装置と、
前記照明光を前記被検体内に導くとともに、入力した駆動信号に応じて前記被検体内への前記照明光の照射位置を特定の軌跡に沿って走査する導光部材と、
前記導光部材に対して前記駆動信号を出力する駆動部と、
前記駆動部の動作を制御するプロセッサと、を備え、
前記超音波観測装置は、
前記電気信号に含まれる特定の周波数帯域の信号に基づいて前記超音波画像を生成し、
前記プロセッサは、
前記駆動部の動作を制御し、前記特定の周波数帯域外の駆動中心周波数を有する前記駆動信号を前記導光部材に対して出力する内視鏡システム。
【請求項2】
前記被検体内に挿入される挿入部をさらに備え、
前記挿入部は、
処置具が挿通されるとともに当該挿入された処置具を外部に突出させるための処置具用管路を有し、
前記超音波振動子は、
前記挿入部に対して一体に設けられ、
前記導光部材は、
前記挿入部とは別体に設けられ、前記処置具用管路に挿通される請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記被検体内に挿入される挿入部をさらに備え、
前記超音波振動子及び前記導光部材は、
前記挿入部に対してそれぞれ一体に設けられている請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記特定の周波数帯域は、
前記超音波振動子における超音波の受信感度に基づいて設定されている請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記駆動中心周波数は、
前記特定の周波数帯域よりも低い周波数である請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記導光部材は、
前記照明光を前記被検体内に導くとともに前記被検体内に照射する導光部材本体と、
入力した前記駆動信号に応じて前記導光部材本体を振動させることによって、前記被検体内への前記照明光の照射位置を前記特定の軌跡に沿って走査する振動部と、を備える請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項7】
超音波を受信することによって電気信号を出力する超音波振動子と、
前記電気信号に基づいて超音波画像を生成する超音波観測装置と、
被検体内に照射する照明光を供給する光源装置と、
前記照明光を前記被検体内に導くとともに、入力した駆動信号に応じて前記被検体内への前記照明光の照射位置を特定の軌跡に沿って走査する導光部材と、
前記導光部材に対して前記駆動信号を出力する駆動部と、
前記駆動部の動作を制御するプロセッサと、を備え、
前記超音波振動子は、
繰り返される第1の期間と第2の期間とのうち、前記第1の期間に超音波を受信し、
前記プロセッサは、
前記駆動部の動作を制御し、前記第2の期間に前記導光部材に対して前記駆動信号を出力する内視鏡システム。
【請求項8】
被検体内に挿入される挿入部と、
超音波を受信することによって電気信号を出力する超音波振動子と、
前記電気信号に基づいて超音波画像を生成する超音波観測装置と、
前記被検体内に照射する照明光を供給する光源装置と、
前記照明光を前記被検体内に導くとともに、入力した駆動信号に応じて前記被検体内への前記照明光の照射位置を特定の軌跡に沿って走査する導光部材と、
前記導光部材に対して前記駆動信号を出力する駆動部と、
前記駆動部の動作を制御するプロセッサと、を備え、
前記超音波振動子及び前記導光部材は、
前記挿入部に対してそれぞれ一体に設けられ、
前記超音波観測装置は、
前記電気信号に含まれる特定の周波数帯域の信号に基づいて前記超音波画像を生成し、
前記プロセッサは、
前記駆動部の動作を制御し、前記特定の周波数帯域外の駆動中心周波数を有する前記駆動信号を前記導光部材に対して出力する内視鏡システム。
【請求項9】
前記特定の周波数帯域は、
前記超音波振動子における超音波の受信感度に基づいて設定されている請求項8に記載の内視鏡システム。
【請求項10】
前記駆動中心周波数は、
前記特定の周波数帯域よりも低い周波数である請求項8に記載の内視鏡システム。
【請求項11】
前記導光部材は、
前記照明光を前記被検体内に導くとともに前記被検体内に照射する導光部材本体と、
入力した前記駆動信号に応じて前記導光部材本体を振動させることによって、前記被検体内への前記照明光の照射位置を前記特定の軌跡に沿って走査する振動部と、を備える請求項8に記載の内視鏡システム。
【請求項12】
内視鏡システムのプロセッサが実行する制御方法であって、
駆動部の動作を制御し、導光部材に対して駆動信号を出力することによって、被検体内への照明光の照射位置を特定の軌跡に沿って走査し、
前記駆動信号の駆動中心周波数は、
特定の周波数帯域外の周波数であり、
前記特定の周波数帯域は、
超音波振動子が超音波を受信することによって出力する電気信号に含まれる全ての周波数の信号のうち、超音波観測装置が超音波画像を生成するために用いる前記信号の周波数帯域である制御方法。
【請求項13】
内視鏡システムのプロセッサが実行する制御方法であって、
駆動部の動作を制御し、繰り返される第1の期間と第2の期間とのうち超音波振動子が超音波を受信する前記第1の期間以外の前記第2の期間に導光部材に対して駆動信号を出力することによって、被検体内への照明光の照射位置を特定の軌跡に沿って走査する制御方法。
【請求項14】
内視鏡システムのプロセッサに実行させる制御プログラムであって、
前記制御プログラムは、前記プロセッサに以下の実行を指示する:
駆動部の動作を制御し、導光部材に対して駆動信号を出力することによって、被検体内への照明光の照射位置を特定の軌跡に沿って走査し、
前記駆動信号の駆動中心周波数は、
特定の周波数帯域外の周波数であり、
前記特定の周波数帯域は、
超音波振動子が超音波を受信することによって出力する電気信号に含まれる全ての周波数の信号のうち、超音波観測装置が超音波画像を生成するために用いる前記信号の周波数帯域である制御プログラム。
【請求項15】
内視鏡システムのプロセッサに実行させる制御プログラムであって、
前記制御プログラムは、前記プロセッサに以下の実行を指示する:
駆動部の動作を制御し、繰り返される第1の期間と第2の期間とのうち超音波振動子が超音波を受信する前記第1の期間以外の前記第2の期間に導光部材に対して駆動信号を出力することによって、被検体内への照明光の照射位置を特定の軌跡に沿って走査する制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡システム、制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検体内に挿入される挿入部を備えた超音波内視鏡として、直視ラジアル型の超音波内視鏡が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の超音波内視鏡では、挿入部は、トランスデューサと、照明光学部材と、観察光学部材とを備える。
トランスデューサは、挿入部の中心軸を囲む周方向に沿って配列され、超音波をそれぞれ出射する複数の超音波振動子を有する。また、トランスデューサには、挿入部の中心軸に沿って貫通する貫通孔が設けられている。
照明光学部材は、照明用レンズ及びライトガイド等によって構成され、被検体内に照明光を照射する。この照明光学部材は、上述した貫通孔内に挿通されている。
観察光学部材は、対物レンズ、撮像素子、及び映像ケーブル等によって構成され、被検体から反射された照明光(以下、戻り光と記載)を取り込む。この観察光学部材は、上述した貫通孔内に挿通されている。
【0003】
また、従来、入力した駆動信号に応じて光の照射位置を特定の軌跡に沿って走査する光ファイバスキャナが知られている(例えば、特許文献2参照)。
そして、例えば、特許文献1に記載の超音波内視鏡において、上述した照明光学部材や観察光学部材の代わりに、特許文献2に記載の光ファイバスキャナを上述した貫通孔に挿通すれば、挿入部の細径化を図ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4488203号公報
【文献】国際公開第2017/195258号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したように、特許文献1に記載の超音波内視鏡と特許文献2に記載の光ファイバスキャナとを組み合わせた場合には、以下に示す問題がある。
すなわち、光ファイバスキャナと超音波振動子とが近接した位置に配設されるため、当該超音波振動子において超音波を受信することによって出力される電気信号(以下、エコー信号と記載)に対して、当該光ファイバスキャナに出力される駆動信号に起因するノイズが重畳され易いものとなる。すなわち、当該ノイズによって、エコー信号に基づいて生成される超音波画像の劣化を引き起こす虞がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、超音波画像の劣化を抑制することができる内視鏡システム、制御方法、及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る内視鏡システムは、超音波を受信することによって電気信号を出力する超音波振動子と、前記電気信号に基づいて超音波画像を生成する超音波観測装置と、被検体内に照射する照明光を供給する光源装置と、前記照明光を前記被検体内に導くとともに、入力した駆動信号に応じて前記被検体内への前記照明光の照射位置を特定の軌跡に沿って走査する導光部材と、前記導光部材に対して前記駆動信号を出力する駆動部と、前記駆動部の動作を制御するプロセッサと、を備え、前記超音波観測装置は、前記電気信号に含まれる特定の周波数帯域の信号に基づいて前記超音波画像を生成し、前記プロセッサは、前記駆動部の動作を制御し、前記特定の周波数帯域外の駆動中心周波数を有する前記駆動信号を前記導光部材に対して出力する。
【0008】
また、本発明に係る内視鏡システムは、超音波を受信することによって電気信号を出力する超音波振動子と、前記電気信号に基づいて超音波画像を生成する超音波観測装置と、被検体内に照射する照明光を供給する光源装置と、前記照明光を前記被検体内に導くとともに、入力した駆動信号に応じて前記被検体内への前記照明光の照射位置を特定の軌跡に沿って走査する導光部材と、前記導光部材に対して前記駆動信号を出力する駆動部と、前記駆動部の動作を制御するプロセッサと、を備え、前記超音波振動子は、繰り返される第1の期間と第2の期間とのうち、前記第1の期間に超音波を受信し、前記プロセッサは、前記駆動部の動作を制御し、前記第2の期間に前記導光部材に対して前記駆動信号を出力する。
【0009】
また、本発明に係る内視鏡システムは、被検体内に挿入される挿入部と、超音波を受信することによって電気信号を出力する超音波振動子と、前記電気信号に基づいて超音波画像を生成する超音波観測装置と、前記被検体内に照射する照明光を供給する光源装置と、前記照明光を前記被検体内に導くとともに、入力した駆動信号に応じて前記被検体内への前記照明光の照射位置を特定の軌跡に沿って走査する導光部材と、前記導光部材に対して前記駆動信号を出力する駆動部と、前記駆動部の動作を制御するプロセッサと、を備え、前記超音波振動子及び前記導光部材は、前記挿入部に対してそれぞれ一体に設けられ、前記超音波観測装置は、前記電気信号に含まれる特定の周波数帯域の信号に基づいて前記超音波画像を生成し、前記プロセッサは、前記駆動部の動作を制御し、前記特定の周波数帯域外の駆動中心周波数を有する前記駆動信号を前記導光部材に対して出力する。
【0010】
また、本発明に係る制御方法は、内視鏡システムのプロセッサが実行する制御方法であって、駆動部の動作を制御し、導光部材に対して駆動信号を出力することによって、被検体内への照明光の照射位置を特定の軌跡に沿って走査し、前記駆動信号の駆動中心周波数は、特定の周波数帯域外の周波数であり、前記特定の周波数帯域は、超音波振動子が超音波を受信することによって出力する電気信号に含まれる全ての周波数の信号のうち、超音波観測装置が超音波画像を生成するために用いる前記信号の周波数帯域である。
【0011】
また、本発明に係る制御方法は、内視鏡システムのプロセッサが実行する制御方法であって、駆動部の動作を制御し、繰り返される第1の期間と第2の期間とのうち超音波振動子が超音波を受信する前記第1の期間以外の前記第2の期間に導光部材に対して駆動信号を出力することによって、被検体内への照明光の照射位置を特定の軌跡に沿って走査する。
【0012】
また、本発明に係る制御プログラムは、内視鏡システムのプロセッサに実行させる制御プログラムであって、前記制御プログラムは、前記プロセッサに以下の実行を指示する:駆動部の動作を制御し、導光部材に対して駆動信号を出力することによって、被検体内への照明光の照射位置を特定の軌跡に沿って走査し、前記駆動信号の駆動中心周波数は、特定の周波数帯域外の周波数であり、前記特定の周波数帯域は、超音波振動子が超音波を受信することによって出力する電気信号に含まれる全ての周波数の信号のうち、超音波観測装置が超音波画像を生成するために用いる前記信号の周波数帯域である。
【0013】
また、本発明に係る制御プログラムは、内視鏡システムのプロセッサに実行させる制御プログラムであって、前記制御プログラムは、前記プロセッサに以下の実行を指示する:駆動部の動作を制御し、繰り返される第1の期間と第2の期間とのうち超音波振動子が超音波を受信する前記第1の期間以外の前記第2の期間に導光部材に対して駆動信号を出力することによって、被検体内への照明光の照射位置を特定の軌跡に沿って走査する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る内視鏡システム、制御方法、及び制御プログラムによれば、超音波画像の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施の形態1に係る内視鏡システムを示す図である。
図2図2は、先端ユニットの構成を示す図である。
図3図3は、光ファイバスキャナの構成を示す斜視図である。
図4図4は、プロセッサが実行する制御方法を説明するタイムチャートである。
図5図5は、光ファイバスキャナによって走査される照明光(照射位置)の走査軌跡を示す図である。
図6図6は、振動部に対して出力する駆動信号の駆動中心周波数を説明する図である。
図7図7は、実施の形態2に係る制御方法を説明するタイムチャートである。
図8図8は、実施の形態3に係る内視鏡システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0017】
(実施の形態1)
〔内視鏡システムの概略構成〕
図1は、本実施の形態1に係る内視鏡システム1を示す図である。
内視鏡システム1は、超音波内視鏡を用いることによって、人等の被検体内の超音波診断を行うシステムである。この内視鏡システム1は、図1に示すように、超音波内視鏡2と、超音波観測装置3と、内視鏡観察装置4と、表示装置5とを備える。
超音波内視鏡2は、一部を被検体内に挿入可能とする。そして、超音波内視鏡2は、被検体内の体壁に向けて超音波パルス(音響パルス)を送信するとともに被検体から反射された超音波エコー(本発明に係る超音波に相当)を受信することによってエコー信号(本発明に係る電気信号に相当)を出力する機能と、被検体から反射された照明光(被写体像)を取り込んだ後に出力する機能とを有する。
なお、超音波内視鏡2の詳細な構成については、後述する。
【0018】
超音波観測装置3は、超音波ケーブル31(図1)を経由することによって超音波内視鏡2に電気的に接続する。そして、超音波観測装置3は、超音波ケーブル31を経由することによって、超音波内視鏡2にパルス信号を出力する。また、超音波観測装置3は、超音波内視鏡2からエコー信号を入力する。ここで、超音波観測装置3は、当該エコー信号に対して所定の処理を施すことによって超音波画像を生成する。
【0019】
内視鏡観察装置4には、超音波内視鏡2の後述するコネクタ24(図1)が着脱自在に接続される。そして、内視鏡観察装置4は、超音波内視鏡2から出力される被写体像に基づいて、内視鏡画像を生成する。
なお、内視鏡観察装置4の詳細な構成については、後述する。
表示装置5は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)を用いて構成され、超音波観測装置3によって生成された超音波画像や、内視鏡観察装置4によって生成された内視鏡画像等を表示する。
【0020】
〔超音波内視鏡の構成〕
次に、超音波内視鏡2の構成について説明する。
超音波内視鏡2は、図1に示すように、挿入部21と、操作部22と、ユニバーサルコード23と、コネクタ24とを備える。
挿入部21は、被検体内に挿入される部分である。以下では、説明の便宜上、挿入部21の中心軸Ax(図1)に沿う一方側(被検体内への挿入方向の先端側)を先端側Ar1と記載し、他方側(操作部22側)を基端側Ar2と記載する。
この挿入部21は、図1に示すように、先端側Ar1の端部に位置する先端ユニット6と、当該先端ユニット6の基端側Ar2に連結され湾曲可能とする湾曲部211と、当該湾曲部211の基端側Ar2に連結され可撓性を有する可撓管212とを備える。
なお、先端ユニット6の詳細な構成については、後述する。
【0021】
操作部22は、挿入部21における基端側Ar2の端部に連結され、医師等から各種操作を受け付ける部分である。この操作部22は、図1に示すように、湾曲部211を湾曲操作するための湾曲ノブ221と、各種操作を行うための複数の操作部材222とを備える。また、操作部22には、挿入部21(先端ユニット6、湾曲部211、及び可撓管212)の内部に設けられた処置具用管路PI(図2参照)に連通する処置具挿入口223が設けられている。そして、当該処置具挿入口223から穿刺針等の処置具(図示略)を挿通すると、当該処置具は、処置具用管路PIを経由した後、先端ユニット6における先端側Ar1の端面から外部に突出する。
【0022】
ユニバーサルコード23は、操作部22から延在し、上述したパルス信号やエコー信号を伝送する振動子ケーブル(図示略)、先端ユニット6を構成する光ファイバスキャナ8(図2参照)の一部等が配設されたコードである。なお、挿入部21及び操作部22の内部にも、上述した振動子ケーブル及び光ファイバスキャナ8の一部が配設されている。
コネクタ24は、ユニバーサルコード23の端部に設けられている。そして、コネクタ24は、超音波ケーブル31及び内視鏡観察装置4に対してそれぞれ接続する。
【0023】
〔先端ユニットの構成〕
次に、先端ユニット6の構成について説明する。
図2は、先端ユニット6の構成を示す図である。具体的に、図2は、中心軸Axを含む平面によって先端ユニット6を切断した断面図である。
先端ユニット6は、図2に示すように、トランスデューサ7と、光ファイバスキャナ8とを備える。
トランスデューサ7は、電子ラジアル走査方式のトランスデューサである。すなわち、トランスデューサ7は、中心軸Axに直交する方向に超音波パルスを送信するとともに、当該中心軸Axを中心とした360°の回転方向に超音波パルスを送信する。このトランスデューサ7は、図2に示すように、複数の超音波振動子71と、音響レンズ72と、バッキング材73とが一体化されたユニットであり、中心軸Axと同軸となる略円柱形状を有する。
【0024】
複数の超音波振動子71は、中心軸Axを囲む周方向に沿って規則的に配列されている。なお、これら複数の超音波振動子71は、全て同一の形状を有し、中心軸Axに沿って直線状に延在する直方体形状をそれぞれ有する。また、超音波振動子71の外面には、一対の電極(図示略)が形成されている。そして、超音波振動子71は、超音波観測装置3から超音波ケーブル31、上述した振動子ケーブル、及び当該一対の電極を経由することによって入力したパルス信号を超音波パルスに変換し、被検体内に送信する。また、超音波振動子71は、被検体内の観察対象となる部位から反射された超音波エコーを電気的なエコー信号に変換する。当該エコー信号は、当該一対の電極、上述した振動子ケーブル、及び超音波ケーブル31を経由することによって、超音波観測装置3に入力する。
【0025】
音響レンズ72は、図2に示すように、外周面が凸状に湾曲した略円筒形状を有し、トランスデューサ7の外表面を構成する。そして、音響レンズ72は、超音波振動子71から送信された超音波パルスを収束させる機能を有する。
なお、本実施の形態1において、超音波振動子71と音響レンズ72との間に、超音波振動子71と被検体との音響インピーダンスをマッチングさせる音響整合層を設けても構わない。
【0026】
バッキング材73は、図2に示すように、超音波振動子71に対してトランスデューサ7の内部側(中心軸Axに近接する側)に位置する。本実施の形態1では、バッキング材73は、複数の超音波振動子71によって構成される円筒状の中空部分を閉塞する状態で充填されている。そして、バッキング材73は、超音波振動子71の動作によって生じる不要な超音波振動を減衰させる機能を有する。
本実施の形態1では、バッキング材73には、中心軸Axに沿って基端側Ar2の端面から先端側Ar1の端面まで貫通する貫通孔731(図2)が形成されている。
【0027】
図3は、光ファイバスキャナ8の構成を示す斜視図である。具体的に、図3は、光ファイバスキャナ8を先端側Ar1から見た斜視図である。
光ファイバスキャナ8は、本発明に係る導光部材に相当する。この光ファイバスキャナ8は、図2または図3に示すように、導光路81と、振動部82とを備える。
導光路81は、例えば、シングルモードやマルチモードの光ファイバである。当該光ファイバは、コア層及びクラッド層によって構成されている。そして、光は、当該コア層に閉じ込められた状態で当該コア層内を伝搬する。
【0028】
そして、導光路81は、以下の状態で配設されている。
導光路81は、挿入部21内部において、基端側Ar2の端部から先端側Ar1の端部まで引き回されている。また、導光路81における基端側Ar2の端部は、具体的な図示は省略したが、コネクタ24が内視鏡観察装置4に装着された際に、当該内視鏡観察装置4と光学的に接続する。さらに、導光路81における先端側Ar1は、図2に示すように、導光路固定部84を固定端として片持ち梁状に先端側Ar1に向けて突き出し、バッキング材73における貫通孔731内に挿通されている。そして、導光路81において、導光路固定部84よりも先端側Ar1の端部は、自由端となる。なお、導光路固定部84を構成する材料としては、バッキング材73と同一の材料を用いてもよく、あるいは、バッキング材73とは異なる材料を用いても構わない。
【0029】
また、バッキング材73の貫通孔731において、先端側Ar1は、光学系83によって封止されている。そして、導光路81は、内視鏡観察装置4から供給された照明光を被検体内に導入するとともに、先端側Ar1の端部から当該照明光を出射する。当該照明光は、光学系83を経由することによって、被検体内に照射される。すなわち、導光路81は、本発明に係る導光部材本体に相当する。また、導光路81は、光学系83を経由することによって、被検体から反射された照明光(以下、戻り光と記載)を取り込むとともに、当該戻り光を内視鏡観察装置4まで導く。なお、導光路81としては、戻り光の取り込み効率を高めるために、光ファイバを複数本用いたものであってもよく、あるいは、マルチコアタイプの光ファイバを用いたものであってもよい。
以上説明したように、本実施の形態1に係る超音波内視鏡2では、光ファイバスキャナ8は、中心軸Axに沿う方向を観察する直視タイプの内視鏡として構成されている。
【0030】
振動部82は、振動を発生させるアクチュエータであって、例えば圧電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、あるいは静電アクチュエータによって構成されている。本実施の形態1では、振動部82は、図2または図3に示すように、導光路固定部84が設けられた位置において、導光路81の外面にそれぞれ配設された4つの圧電素子821~824によって構成されている。なお、図3では、導光路固定部84の一部を省略している。これら4つの圧電素子821~824は、電気配線(図示略)によって内視鏡観察装置4とそれぞれ電気的に接続されている。そして、4つの圧電素子821~824は、当該電気配線を経由することによって、内視鏡観察装置4から駆動信号が入力される。これによって、4つの圧電素子821~824は、それぞれ振動を発生させる。
【0031】
例えば、4つの圧電素子821~824のうち、互いに対向する一対の圧電素子821,822が振動を発生させた場合には、自由端である導光路81の先端側Ar1の端部は、共振振動し、X軸方向(図3)に移動する。一方、他の互いに対向する一対の圧電素子823,824が振動を発生させた場合には、自由端である導光路81の先端側Ar1の端部は、共振振動し、Y軸方向(図3)に移動する。
そして、光ファイバスキャナ8は、内視鏡観察装置4から出力される駆動信号に応じて、被検体内への照明光の照射位置を特定の軌跡に沿って走査する。
なお、以下では、説明の便宜上、内視鏡観察装置4から出力される駆動信号のうち、一対の圧電素子821,822に対して出力される駆動信号をX軸駆動信号と記載し、一対の圧電素子823,824に対して出力される駆動信号をY軸駆動信号と記載する。
【0032】
〔内視鏡観察装置の構成〕
内視鏡観察装置4は、図1に示すように、光源装置41と、分波部42と、受光部43と、駆動部44と、プロセッサ45と、メモリ46とを備える。
光源装置41は、被検体内を照明する照明光を導光路81に供給する。
分波部42は、光源装置41から供給された照明光を導光路81における基端側Ar2の端部に導光するとともに、導光路81における基端側Ar2の端部から出射された戻り光を受光部43に導光する。
【0033】
受光部43は、例えば、レンズ及びディテクタ等によって構成されている。そして、受光部43は、導光路81における基端側Ar2の端部から出射され、分波部42を経由した戻り光の強度に応じた強度情報をプロセッサ45に対して出力する。
駆動部44は、振動部82に対して駆動信号を出力する部分である。
【0034】
プロセッサ45は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等であり、メモリ46に記憶されたプログラム(本発明に係る制御プログラムを含む)にしたがって、内視鏡観察装置4全体の動作を制御する。なお、プロセッサ45の詳細な機能については、後述する「プロセッサが実行する制御方法」において説明する。
メモリ46は、プロセッサ45が実行するプログラム(本発明に係る制御プログラムを含む)や、当該プロセッサ45の処理に必要な情報等を記憶する。
【0035】
〔プロセッサが実行する制御方法〕
次に、プロセッサ45が実行する制御方法について説明する。
図4は、プロセッサ45が実行する制御方法を説明するタイムチャートである。具体的に、図4(a)は、超音波画像を1フレーム毎に取得するための第1のフレーム同期信号を示している。図4(b)は、超音波観測装置3からパルス信号を出力するための送信パルスタイミング信号を示している。図4(c)は、内視鏡画像を1フレームFR(図5参照)毎に取得するための第2のフレーム同期信号を示している。図4(d)は、内視鏡画像を1水平ラインLI(図5参照)毎に取得するためのライン同期信号を示している。図4(e)は、Y軸駆動信号の信号波形を示している。図4(f)は、X軸駆動信号の信号波形を示している。
【0036】
超音波観測装置3は、送信パルスタイミング信号(図4(b))がローレベルの期間において、超音波振動子71に対してパルス信号を出力する。また、超音波観測装置3は、送信パルスタイミング信号がハイレベルの期間において、超音波振動子71からのエコー信号を入力する。そして、超音波観測装置3は、周期的に繰り返される各第1の期間T1(図4(a))毎に、1フレームの超音波画像を順次、生成する。
【0037】
図5は、光ファイバスキャナによって走査される照明光(照射位置)の走査軌跡を示す図である。
一方、プロセッサ45は、駆動部44の動作を制御し、第2のフレーム同期信号(図4(c))に同期させてY軸駆動信号(図4(e))を一対の圧電素子823,824に対して出力するとともに、ライン同期信号(図4(d))に同期させてX軸駆動信号(図4(f))を一対の圧電素子821,822に対して出力する。
これによって、自由端である導光路81の先端側Ar1の端部は、X軸方向(図3)及びY軸方向(図3)にそれぞれ移動する。そして、光ファイバスキャナ8は、図5に示すように、被検体内への照明光の照射位置をX軸方向に沿う1水平ラインLI、走査した後、Y軸方向にずれた次の1水平ラインLI、走査するという動作を繰り返す。すなわち、光ファイバスキャナ8は、被検体内への照明光の照射位置を所謂、ラスタ走査によって走査する。
【0038】
なお、被検体内への照明光の照射位置を走査する際の走査軌跡は、図5に示した軌跡に限らず、例えば、渦巻き状等のその他の軌跡を採用しても構わない。言い換えれば、Y軸駆動信号及びX軸駆動信号は、図4(e)及び図4(f)に示した波形に限らず、その他の波形を採用しても構わない。
【0039】
ここで、受光部43は、プロセッサ45によって上述したラスタ走査が行われている際に、導光路81によって取り込まれ、当該導光路81における基端側Ar2の端部から出射された戻り光の強度に応じた強度情報を順次、出力する。また、プロセッサ45は、受光部43から出力された戻り光の強度情報と当該戻り光を取り込んだ位置に対応する照射位置POのXY座標値とを関連付けた関連情報を順次、メモリ46に記憶する。当該関連情報は、1フレームFRの内視鏡画像における1つの画素を構成する。そして、プロセッサ45は、周期的に繰り返される各第2の期間T2(図4(c))毎に、1フレームFR分の関連情報を用いて1フレームFRの内視鏡画像を順次、生成する。
本実施の形態1では、図4(a)及び図4(c)に示すように、第1の期間T1と第2の期間T2とは、一部が重複した期間となっている。すなわち、超音波振動子71が超音波パルスを受信する期間と、駆動部44が振動部82に対して駆動信号を出力する期間とは、一部が重複した期間となっている。
【0040】
〔振動部に対して出力する駆動信号の駆動中心周波数について〕
次に、振動部82に対して出力する駆動信号の駆動中心周波数について説明する。
図6は、振動部82に対して出力する駆動信号の駆動中心周波数を説明する図である。具体的に、図6は、超音波振動子71における超音波パルスの受信感度を示す図であり、横軸が周波数を示し、縦軸が受信感度を示している。なお、縦軸については、上方に向かうにしたがって受信感度が良く、下方に向かうにしたがって受信感度が悪いことを意味する。
【0041】
本実施の形態1では、超音波振動子71における超音波パルスの受信感度は、図6に示すように、1MHz未満の周波数帯域、及び13MHzを超える周波数帯域において、低いものとなっている。このため、エコー信号に含まれる全ての周波数の信号のうち、超音波観測装置3が超音波画像を生成するために用いる信号の周波数帯域を1MHz以上、13MHz以下の特定の周波数帯域FBに設定している。
そして、X軸駆動信号の駆動中心周波数fx(図4(f))、及びY軸駆動信号の駆動中心周波数fy(図4(e))は、特定の周波数帯域FB外の周波数(1MHz未満、または、13MHzを超える周波数)にそれぞれ設定されている。本実施の形態1では、X軸駆動信号の駆動中心周波数fx、及びY軸駆動信号の駆動中心周波数fyは、特定の周波数帯域FBよりも低い周波数(1MHz未満の周波数)にそれぞれ設定されている。
なお、X軸駆動信号の周波数帯域やY軸駆動信号の周波数帯域としては、特定の周波数帯域FBと全く重複しない周波数帯域としても構わない。また、駆動中心周波数fx,fyが特定の周波数帯域FB外の周波数であれば、X軸駆動信号の周波数帯域やY軸駆動信号の周波数帯域の一部が当該特定の周波数帯域FBと重複していても構わない。
【0042】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果を奏する。
本実施の形態1に係る内視鏡システム1では、超音波振動子71及び光ファイバスキャナ8は、挿入部21に対して一体に設けられている。すなわち、超音波振動子71と光ファイバスキャナ8とは、近接した位置に配設されている。
そこで、本実施の形態1に係る内視鏡システム1では、プロセッサ45は、駆動部44の動作を制御し、特定の周波数帯域FB外の駆動中心周波数fx,fyを有する駆動信号を光ファイバスキャナ8に対して出力する。当該特定の周波数帯域FBは、エコー信号に含まれる全ての周波数の信号のうち、超音波観測装置3が超音波画像を生成するために用いる信号の周波数帯域である。
したがって、エコー信号のうち超音波観測装置3が超音波画像を生成するために用いる信号に対して、駆動信号に起因するノイズが重畳されることを低減することができ、超音波画像の劣化を抑制することができる。
【0043】
また、特定の周波数帯域FBは、超音波振動子71における超音波の受信感度に基づいて設定されている。
このため、超音波観測装置3が超音波画像を生成するために用いる信号の周波数帯域から不要な周波数帯域を効率的に削除することができる。
【0044】
また、駆動信号の駆動中心周波数は、特定の周波数帯域FBよりも低い周波数である。
このため、振動部82として汎用の例えば圧電素子821~824等を採用することができ、設計の自由度を向上させることができる。
【0045】
また、本発明に係る導光部材として、光ファイバスキャナ8を採用している。
このため、挿入部21の細径化を効果的に図ることができる。
【0046】
(実施の形態2)
次に、本実施の形態2について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図7は、本実施の形態2に係る制御方法を説明するタイムチャートである。具体的に、図7は、図4に対応した図である。すなわち、図7(a)は、第1のフレーム同期信号を示している。図7(b)は、送信パルスタイミング信号を示している。図7(c)は、第2のフレーム同期信号を示している。図7(d)は、ライン同期信号を示している。図7(e)は、Y軸駆動信号の信号波形を示している。図7(f)は、X軸駆動信号の信号波形を示している。
本実施の形態2では、図7に示すように、上述した実施の形態1に対して、プロセッサ45が実行する制御方法が異なる。
【0047】
具体的に、本実施の形態2に係る超音波観測装置3は、交互に繰り返される第1の期間T1A(図7(a))と第2の期間T2A(図7(a))とのうち、各第1の期間T1Aにおいて、上述した実施の形態1と同様に、1フレームの超音波画像を順次、生成する。
一方、本実施の形態2に係るプロセッサ45は、各第2の期間T2Aにおいて、上述した実施の形態1と同様に、1フレームFRの内視鏡画像を順次、生成する。
すなわち、本実施の形態2では、超音波振動子71が超音波パルスを受信する期間と、駆動部44が振動部82に対して駆動信号を出力する期間とは、全く重複しない期間となっている。
なお、本実施の形態2では、2種類の第1,第2の期間T1A,T2Aを設け、当該第1,第2の期間T1A,T2Aを交互に繰り返していたが、これに限らない。例えば、互いに全く重複しない3種類以上の期間(第1,第2の期間T1A,T2Aを含む)を設け、当該3種類以上の期間を順次、繰り返す構成を採用しても構わない。
【0048】
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果を奏する。
本実施の形態2では、超音波振動子71が超音波パルスを受信する期間と、駆動部44が振動部82に対して駆動信号を出力する期間とは、全く重複しない期間となっている。
このため、エコー信号に対して駆動信号に起因するノイズが重畳されることがなく、超音波画像の劣化を効果的に抑制することができる。
なお、エコー信号に対して駆動信号に起因するノイズが重畳されることがないため、駆動中心周波数fx、fyは、特定の周波数帯域FB内の周波数でもよく、あるいは、特定の周波数帯域FB外の周波数でもよい。
【0049】
(実施の形態3)
次に、本実施の形態3について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図8は、本実施の形態3に係る内視鏡システム1Bを示す図である。具体的に、図8は、図1に対応した図である。
上述した実施の形態1に係る内視鏡システム1では、光ファイバスキャナ8は、超音波内視鏡2(挿入部21)に対して一体に設けられていた。
これに対して、本実施の形態に係る内視鏡システム1Bでは、図8に示すように、光ファイバスキャナ8は、超音波内視鏡2に対して別体に設けられているとともに、内視鏡観察装置4に対して接続されている。なお、本実施の形態に係る超音波内視鏡2には、上述した実施の形態1において説明した光ファイバスキャナ8は設けられていない。また、本実施の形態に係るコネクタ9は、超音波ケーブル31に対してのみ接続する。
そして、本実施の形態に係る光ファイバスキャナ8は、処置具挿入口223から処置具用管路PIに挿通され、先端部分が先端ユニット6における先端側Ar1の端面から外部に突出した状態で使用される。
なお、プロセッサ45が実行する制御方法は、上述した実施の形態1と同様の制御方法である。また、上述した実施の形態2において説明した制御方法と同様の制御方法としても構わない。
【0050】
以上説明した本実施の形態3によれば、以下の効果を奏する。
本実施の形態3に係る光ファイバスキャナ8は、処置具挿入口223から処置具用管路PIに挿通され、先端部分が先端ユニット6における先端側Ar1の端面から外部に突出した状態で使用される。すなわち、本実施の形態3に係る内視鏡システム1Bにおいても、上述した実施の形態1に係る内視鏡システム1と同様に、超音波振動子71と光ファイバスキャナ8とは、近接した位置に配設されることとなる。
このため、プロセッサ45が実行する制御方法として、上述した実施の形態1と同様の制御方法、あるいは、上述した実施の形態2と同様の制御方法を採用することによって、上述した実施の形態1あるいは上述した実施の形態2と同様の効果を奏する。
【0051】
(その他の実施形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態1~3によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態1~3では、トランスデューサ7として、電子ラジアル走査方式のトランスデューサを採用していたが、これに限らず、電子コンベックス走査方式のトランスデューサを採用しても構わない。また、電子走査方式に限らず、メカニカル走査方式を採用しても構わない。
【0052】
上述した実施の形態1,2では、光ファイバスキャナ8は、中心軸Axに沿う方向を観察する直視タイプの内視鏡として構成されていたが、これに限らず、中心軸Axに直交する方向を観察する側視タイプや、中心軸Axに交差する方向を観察する斜視タイプの内視鏡として構成しても構わない。
上述した実施の形態1~3では、光ファイバスキャナ8は、照明光(照射位置)をX軸方向及びY軸方向の2次元で走査していたが、これに限らず、X軸方向またはY軸方向の1次元のみで走査しても構わない。
【0053】
上述した実施の形態1~3では、本発明に係る導光部材として、光ファイバスキャナ8を採用していたが、これに限らず、入力した駆動信号に応じて(電圧の印加に応じて)屈折率を変化させる光学結晶を採用しても構わない。すなわち、当該光学結晶は、屈折率の変化によって、照明光(照射位置)を特定の軌跡に沿って走査することを可能とする。
上述した実施の形態1~3では、照明光を被検体内に照射する導光路と、戻り光を取り込む導光路とを共通の導光路81によって構成していたが、これに限らず、別々の導光路によって構成しても構わない。
上述した実施の形態1~3において、本発明に係る特定の周波数帯域を周波数帯域FB内であって当該周波数帯域FBよりも狭い帯域としても構わない。この際、駆動信号の駆動中心周波数は、当該狭くした帯域外であれば、周波数帯域FB内の周波数としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1,1B 内視鏡システム
2 超音波内視鏡
3 超音波観測装置
4 内視鏡観察装置
5 表示装置
6 先端ユニット
7 トランスデューサ
8 光ファイバスキャナ
21 挿入部
22 操作部
23 ユニバーサルコード
24 コネクタ
31 超音波ケーブル
41 光源装置
42 分波部
43 受光部
44 駆動部
45 プロセッサ
46 メモリ
71 超音波振動子
72 音響レンズ
73 バッキング材
81 導光路
82 振動部
83 光学系
84 導光路固定部
211 湾曲部
212 可撓管
221 湾曲ノブ
222 操作部材
223 処置具挿入口
731 貫通孔
821~824 圧電素子
Ar1 先端側
Ar2 基端側
Ax 中心軸
FB 特定の周波数帯域
FR フレーム
fx X軸駆動信号の駆動中心周波数
fy Y軸駆動信号の駆動中心周波数
LI 水平ライン
PI 処置具用管路
PO 照射位置
T1,T1A 第1の期間
T2,T2A 第2の期間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8