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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】波形製品製造装置
(51)【国際特許分類】
   B31F 1/26 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
B31F1/26
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020569739
(86)(22)【出願日】2019-03-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 US2019021742
(87)【国際公開番号】W WO2019203958
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-12-11
(31)【優先権主張番号】62/658,642
(32)【優先日】2018-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520403901
【氏名又は名称】イントプロ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】コーラー, ハーバート, ビー.
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-062056(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第2515559(GB,A)
【文献】特開平01-295838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31F 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波形製品製造装置であって、
第1の組の歯を有する第1の波形成形ローラーと、
第2の組の歯を有する第2の波形成形ローラーと、
第3の組の歯を有する第3の波形成形ローラーと、
第4の組の歯を有する第4の波形成形ローラーと、
を含む、ローラー列と、
互いに対向する前記第1の波形成形ローラーと前記第2の波形成形ローラーとの間に画定される第1のニップと、
互いに対向する前記第2の波形成形ローラーと前記第3の波形成形ローラーとの間に画定される第2のニップと、
互いに対向する前記第3の波形成形ローラーと前記第4の波形成形ローラーとの間に画定される第3のニップと、
を備え、
前記第1の組の歯、前記第2の組の歯、前記第3の組の歯、及び前記第4の組の歯のそれぞれにおける各歯は、遠位面と、前方フランクと、後方フランクとを有し、前記第1の組の歯及び前記第2の組の歯のそれぞれの前記遠位面は、丸みを帯びており、前記第3の組の歯及び前記第4の組の歯のそれぞれの前記遠位面は、平坦化されている、波形製品製造装置。
【請求項2】
前記第3の組の歯及び前記第4の組の歯のそれぞれの前記遠位面は、実質的に平坦である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の組の歯及び前記第2の組の歯の各歯は、前記遠位面と前記前方フランク及び前記後方フランクのそれぞれとの間にアール付き縁部を有し、前記第3の組の歯及び前記第4の組の歯の各歯は、前記遠位面と前記前方フランク及び前記後方フランクのそれぞれとの間に低減した半径の縁部を有し、前記低減した半径の縁部は、前記第1の組の歯及び前記第2の組の歯の前記各歯の前記縁部よりも小さい曲率半径を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第3の組の歯及び前記第4の組の歯の前記縁部の曲率半径は、前記第1の組の歯及び前記第2の組の歯の双方の前記縁部の曲率半径の0.5倍を超えない、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の波形成形ローラー及び前記第3の波形成形ローラーのうちの少なくとも一方は、残りの全ての前記波形成形ローラー(複数の場合もある)の直径よりも小さい直径を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第3の波形成形ローラーの直径は、前記第1の波形成形ローラー、前記第2の波形成形ローラー、及び前記第4の波形成形ローラーのそれぞれの直径よりも小さい、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ニップのうちの1つを間に画定する前記波形成形ローラーのうちの2つに連結されるローラー駆動システムであって、前記2つの波形成形ローラーを回転させるように動作可能である、ローラー駆動システムと、
前記ローラー駆動システムに連結され、前記2つの波形成形ローラーの前記対向する歯が、前記2つのローラーの回転時に前記ニップにおいて互いに係合しないことを確実にするように、前記ローラー駆動システムを動作させるように構成された制御システムと、
を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ローラー駆動システムは、前記波形成形ローラーのうちの少なくとも3つに連結される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ニップのうちの1つを間に画定する前記波形成形ローラーのうちの2つを接続する機械伝動機構を更に備え、該伝動機構は、前記2つの波形成形ローラーの相対回転速度及び位置を固定し、前記波形成形ローラーの前記対向する歯が、前記波形成形ローラーの間に画定された前記ニップにおいて互いに係合しないことを確実にするように適合される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記制御システムは、コントローラーと、それぞれ前記2つの波形成形ローラーのそれぞれに関連し、前記関連する波形成形ローラーの動作パラメーターに関するフィードバックを前記コントローラーに提供するように適合された第1のセンサー及び第2のセンサーとを備える、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記制御システムはコントローラーを備え、
前記ローラー駆動システムは、
前記第1の波形成形ローラーを個別に回転させるように動作可能な第1のモーターと、
前記第2の波形成形ローラーを個別に回転させるように動作可能な第2のモーターと、
前記第3の波形成形ローラーを個別に回転させるように動作可能な第3のモーターと、
前記第4の波形成形ローラーを個別に回転させるように動作可能な第4のモーターと、
前記第1の波形成形ローラーの回転位置に関するフィードバックを前記コントローラーに提供するように構成された第1のロータリーエンコーダーと、
前記第2の波形成形ローラーの回転位置に関するフィードバックを前記コントローラーに提供するように構成された第2のロータリーエンコーダーと、
前記第3の波形成形ローラーの回転位置に関するフィードバックを前記コントローラーに提供するように構成された第3のロータリーエンコーダーと、
前記第4の波形成形ローラーの回転位置に関するフィードバックを前記コントローラーに提供するように構成された第4のロータリーエンコーダーと、
を備える、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
給送ニップを間に画定するとともに、ウェブ移動経路に沿って前記第1のニップの上流に位置する一対の給送ローラーを更に備え、該一対の給送ローラーは、前記ウェブ移動経路に沿って前記第1のニップに向かう途中で、前記給送ニップを通してウェブを給送するように回転可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記一対の給送ローラーを回転させるように動作可能な給送駆動システムと、前記第1のニップを出る際の前記ウェブの速度と、前記給送ニップを出る際の前記ウェブの速度との比が、前記第1のニップを通る前記ウェブの段繰率に等しいか又はそれよりも小さくなるように、前記給送ローラーを回転させるように、前記給送駆動システムを動作させるように構成されたコントローラーとを更に備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ウェブ移動経路に沿って前記第1のニップの上流かつ前記給送ニップの下流に位置するとともに、その間の前記経路の経路長さを、前記ウェブが前記第1のニップを横断することによって生じる前記ウェブにおける張力変動と同調するように、動的に調整するように適合された静電容量式給送装置を更に備える、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記静電容量式給送装置は、
弧状面及び内部のチャンバーを有する固定本体であって、複数の孔が前記弧状面を貫通し、前記チャンバーと該固定本体の外部との間に流体連通をもたらす、固定本体と、
前記チャンバーに流体連結され、該チャンバー内に前記孔を通して流体を送達するように動作可能であり、前記ウェブ移動経路に沿ってその上を移動する際に、前記弧状面から可変距離で前記ウェブを支持するように適合された前記流体のクッションを提供するようになっている流体源と、
を備える、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記静電容量式給送装置は、カム軸の周りに回転可能であり、可変半径を有するカムローラーを備え、前記カム軸と前記外面との間の径方向距離は、前記カム軸の周りで周期的に増減するようになっている、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記カムローラーを前記カム軸の周りに回転させるように動作可能なカム駆動システムと、
前記動的な経路長さ調整を達成するために、前記第1の波形成形ローラー及び/又は前記第2の波形成形ローラーの一方又は双方の回転速度に対する固定比を有する速度で、前記カムローラーを回転させるように、前記カム駆動システムを動作させるように構成されたコントローラーと、
を更に備える、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記それぞれのニップを間に画定する前記対向するローラーのそれぞれは、該ローラーが回転する際に、前記それぞれのニップにおける該対向するローラーの前記対向する歯が、互いに接触せず、該ローラーのうちの相手側のローラーの対向する谷部に接触しないように配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記第1のニップ、前記第2のニップ、及び前記第3のニップは、それらを通るそれぞれの経路を画定し、前記第1のニップを出た後の前記列において、前記ローラー列を通って移動するウェブのウェブ長さを更にひだ寄せすることが実質的にないように、実質的に一定の段繰率をもたらす、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
移動するウェブに台形状波形をもたらす方法であって、
それぞれが互いに対向する第1の組の歯および第2の組の歯を有する第1の波形成形ローラーと第2の波形成形ローラーとの間に画定される第1のニップを通して前記ウェブを給送することであって、前記ウェブは、対向する第1の組の歯及び第2の組の歯のそれぞれの縁部に対して接線方向にある前記第1のニップを通る第1の経路を辿ることと、
その後、前記第2の波形成形ローラーと、前記第2の波形成形ローラーの前記第2の組の歯に対向する第3の組の歯を有する第3の波形成形ローラーと、の間に画定される第2のニップを通して前記ウェブを給送することであって、前記ウェブは、対向する第2の組の歯及び第3の組の歯のそれぞれの縁部に対して接線方向にある前記第2のニップを通る第2の経路を辿り、前記第3の組の歯のそれぞれの縁部の上で個別に折り目付けされることと、
その後、前記第3の波形成形ローラーと、前記第3の波形成形ローラーの前記第3の組の歯に対向する第4の組の歯を有する第4の波形成形ローラーと、の間に画定される第3のニップを通して前記ウェブを給送することであって、前記ウェブは、前記第3のニップを通る第3の経路を辿り、対向する第3の組の歯及び第4の組の歯のそれぞれの縁部の上で個別に折り目付けされることと、
を含む、方法。
【請求項21】
前記第1のニップを横断する前記ウェブの大半の割合は、対向する前記第1の組の歯及び前記第2の組の歯に接触せず、前記第2のニップを横断する前記ウェブの大半の割合は、対向する前記第2の組の歯及び前記第3の組の歯に接触せず、前記第3のニップを横断する前記ウェブの大半の割合は、対向する前記第3の組の歯及び前記第4の組の歯に接触しない、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の組の歯及び前記第2の組の歯の各歯の前記それぞれの縁部は、アール付き縁部であり、前記第3の組の歯及び前記第4の組の歯の各歯の前記それぞれの縁部は、鋭い縁部である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の組の歯及び前記第2の組の歯のそれぞれの前記遠位面は、丸みを帯びており、前記第3の組の歯及び前記第4の組の歯のそれぞれの前記遠位面は、平坦化されており、前記ウェブは、前記第1のニップにおいて、前記第1の組の歯及び前記第2の組の歯の前記対向する丸みを帯びた遠位面に対して引っ張られ、前記第2のニップにおいて、前記第2の組の歯及び前記第3の組の歯の前記対向する丸みを帯びた遠位面及び実質的に平坦な遠位面に対して引っ張られ、前記第3のニップにおいて、前記第3の組の歯及び前記第4の組の歯の前記対向する実質的に平坦な遠位面に対して引っ張られる、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記ウェブは、前記第1のニップ、前記第2のニップ、及び前記第3のニップのそれぞれを横断する際に、前記第1の組の歯、前記第2の組の歯、前記第3の組の歯、及び前記第4の組の歯のいずれにおける前記歯のいずれのフランクにも接触しない、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ウェブは、本質的に平坦な状態で前記第1のニップに入り、段繰率に従った正弦波形適合形状を有して前記第1のニップを出るが、前記段繰率は、前記第2のニップ及び前記第3のニップを通して実質的に一定であり、そのため、前記第1のニップを出た後の前記ローラー列を通るウェブ長さを更にひだ寄せすることが実質的にない、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2018年4月17日付で出願された米国仮特許出願第62/658,642号の利益を主張し、その開示全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本願は、包括的には、波形(corrugated:コルゲート付き)製品製造装置に関し、より詳細には、台形状波形を有する波形製品製造装置に関する。
【背景技術】
【0003】
波形ウェブは、同じ材料の非波形(すなわち平坦)ウェブと比較して、増大した強度及び寸法安定性を有する。例えば、波形板紙又は段ボールは、保管及び出荷用の箱並びに他の包装材料に強度を与えるために広く用いられている。「2枚壁(double-wall)」として知られる通常の段ボール構造は、「ライナー」と呼ばれる対向する非波形板紙ウェブの間に挟持された波形板紙ウェブを含む。対向するライナーは、通常、各ライナーを波形ウェブの隣り合う段頂に糊付けすることによって、波形ウェブの両面に接着され、複合波形構造を形成する。この構造は、最初は、平坦な複合材ボードとして製造され、その後、切断、折り曲げ、糊付け、又は別様に形成して所望の構成にすることで、箱又は他の包装用形態を形成することができる。
【0004】
板紙等の波形ウェブは、平坦ウェブから開始して、波形成形機(corrugating machine:コルゲーター)において形成される。従来の波形成形機は、上から見た場合、ウェブの移動方向に対して垂直な軸上で回転する一対の波形成形ローラー間のニップを通して平坦ウェブを給送する。波形成形ローラーのそれぞれは、ローラーの円周にわたって分布するとともにローラーの長さに延在する交互の山部及び谷部を画定する、長手方向に延在する複数の歯を有する。ローラーは、そのそれぞれの歯がニップにおいて相互係止するように配置され、一方のローラーの歯が、隣接するローラーの谷部に収まるようになっている。相互係止歯は、ウェブがニップを横断する際に通る波形成形ラビリンスを画定する。ウェブが波形成形ラビリンスを通して引き出される際、ウェブは、波形成形ラビリンスの形態に一致するように強制され、それにより、波形成形ラビリンスを通る経路の寸法に近似するフルート又は波形がウェブにもたらされる。この従来の方法論の一例が、米国特許第8,057,621号(この米国特許の図7及び図7aを参照)に示されており、この米国特許は、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
【0005】
この方法でウェブを波形成形することにより、波形成形ニップに至るとともに波形成形ニップを横断中のウェブに、かなりの量の変動性の摩擦力及び引張力がもたらされる場合がある。簡潔には、ウェブが波形成形ローラー間で引っ張られ、波形成形ラビリンスを通り抜けるようにする際、ウェブにおける引張応力、及び進入ウェブの平面に対して垂直な圧縮応力の大きさ及び方向は、ウェブに対する波形成形歯の往復動に起因して、また、ウェブが波形成形される際にラビリンスを通るウェブにおけるロール変動及び引張変動に起因して、連続的なフルートが形成されるにつれて変動する。結果として生じる、ウェブの応力における周期的なピークにより、ウェブが波形成形される際に、ウェブに構造的な損傷がもたらされるおそれがある。構造的な損傷は、波形成形ローラーの歯に沿って鋭い縁部が存在する場合に特に生じやすい。
【0006】
したがって、波形成形時のウェブにおける応力を制限するために、従来の波形成形ローラーにおける歯を、鋭い縁部も、曲率半径が鋭い縁部に近づく又は近似する個々の縁部も歯に沿って存在しないように、正弦波プロフィールを有する形状にする。その結果、最終的な波形ウェブも、連続的で滑らかな正弦波形状を有することになる。しかしながら、そのような正弦波形ウェブによって形成される層状構造は、他の波形形状を有するウェブによって形成される層状構造よりも品質の点で劣る可能性がある。
【0007】
より具体的には、台形状の波形を有するウェブが平坦なライナー間に挟持される層状ダンボール構造は、正弦波形状の波形を有するウェブを有する同様の層状ダンボール構造と比較して、強度が非常に優れている可能性がある。例えば、ライナー間に延在する台形状の波形の真っ直ぐな脚は、正弦波形状の波形の湾曲した脚よりも圧縮に強い可能性がある。さらに、台形状の波形の平坦な山部及び谷部は、正弦波形状の波形の丸みを帯びた山部よりも、対向するライナーに接着するための大きな表面積を与えることができる。このより大きな表面積により、波形ウェブと外層との間に向上した接着をもたらすことができ、それにより、引き裂き、曲げ、及び分解により強い、より頑丈な構造が形成される。
【0008】
ウェブの台形状の波形が望ましいものであり得るが、そのような波形は、従来の波形成形技法を用いて達成することが困難である。例えば、密接に相互係止する台形状の歯を有する一対の波形成形ローラーに平坦ウェブを給送すると、歯の個々の縁部及びウェブに対する劇的な形状変化に起因して、ウェブに過大な応力が加わり、それにより、ウェブに損傷を与える。
【発明の概要】
【0009】
波形製品製造装置が開示される。波形製品製造装置は、第1の組の波形成形歯を有する第1の波形成形ローラーと、第2の組の波形成形歯を有する第2の波形成形ローラーと、第3の組の波形成形歯を有する第3の波形成形ローラーと、第4の組の波形成形歯を有する第4の波形成形ローラーとを含むローラー列を備える。第1のニップが、互いに対向する第1の波形成形ローラーと第2の波形成形ローラーとの間に画定される。第2のニップが、互いに対向する第2の波形成形ローラーと第3の波形成形ローラーとの間に画定される。第3のニップが、互いに対向する第3の波形成形ローラーと第4の波形成形ローラーとの間に画定される。第1の組の歯、第2の組の歯、第3の組の歯、及び第4の組の歯のそれぞれにおける各歯は、遠位面と、前方フランクと、後方フランクとを有する。第1の組の歯及び第2の組の歯のそれぞれの遠位面は、丸みを帯びている。第3の組の歯及び第4の組の歯のそれぞれの遠位面は、平坦化されている。
【0010】
移動するウェブに台形状波形をもたらす方法も開示される。この方法は、第1のニップにおいて互いに対向するそれぞれの第1の組の歯及び第2の組の歯を有する第1の波形成形ローラーと第2の波形成形ローラーとの間に画定される第1のニップを通してウェブを給送するステップであって、ウェブは、対向する歯のそれぞれの縁部に対して接線方向にある第1のニップを通る第1の経路を辿る、ステップと、その後、第2の波形成形ローラーと第3の波形成形ローラーとの間に画定される第2のニップを通してウェブを給送するステップであって、第3の波形成形ローラーは、第2のニップにおいて第2の組の歯に対向する第3の組の歯を有し、ウェブは、第2の組の歯のそれぞれの縁部に対して接線方向にある第2のニップを通る第2の経路を辿り、第3の組の歯のそれぞれの縁部の上で個別に折り目付けされる、ステップと、その後、第3の波形成形ローラーと第4の波形成形ローラーとの間に画定される第3のニップを通るウェブを給送するステップであって、第4の波形成形ローラーは、第3のニップにおいて第3の組の歯に対向する第4の組の歯を有し、ウェブは、第3のニップを通る第3の経路を辿り、対向する歯のそれぞれの縁部の上で個別に折り目付けされる、ステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一例の波形成形装置の概略図である。
図2】波形成形装置の第1のニップの拡大図である。
図3】波形成形装置の第2のニップの拡大図である。
図4】波形成形装置の第3のニップの拡大図である。
図5】波形成形装置の一例の静電容量式給送装置の拡大図である。
図6】波形成形装置の別の例の静電容量式給送装置の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、本開示の実施形態が示されている添付図面を参照して、以下により完全に波形成形装置を記載する。可能であれば、図面全体を通して、同じ参照符号を同じ又は同様の部分を指すのに用いる。しかし、本開示は多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されるものとして解釈すべきではない。
【0013】
図1を参照すると、一例の波形成形装置10が概略的に示されている。装置10は、ウェブ14が機械方向(machine direction)におけるウェブ移動経路16を辿る際に、材料ウェブ14に波形を付与する複数の波形成形ローラー12a、12b、12c、及び12d(以降、まとめて参照符号「12」で示す)を備える。材料ウェブ14は、中芯(corrugating medium)の供給源(例えば、当該技術分野における従来どおりのロール(図示せず))からウェブ移動経路16に沿って、略平坦状態で波形成形装置10に給送することができる。さらに、ウェブ14は、供給源から、波形成形装置10に入る前の他の中間ステージ(例えば、乾燥器、加熱器、保湿器等)を通って給送することができることを理解されたい。
【0014】
複数の波形成形ローラー12は、隣り合うローラーの連続対が、ウェブ移動経路に沿ってローラー間にそれぞれのニップを画定するように、ローラー列に編成された一連の4つのローラーを含む。図1に示されているように、ローラー列5は、第1の波形成形ローラー12aと、第2の波形成形ローラー12bと、第3の波形成形ローラー12cと、第4の波形成形ローラー12dとを含む。各波形成形ローラーは、その長手方向軸の周りに回転可能なそれぞれの円筒形本体22a、22b、22c、又は22dを有する。複数の歯26a、26b、26c、又は26dは、それぞれのローラーの本体から径方向に突出するとともに、それぞれのローラーの本体の周りに周方向に分布し、そのような各歯は、本体の長手方向においてローラーの長さに延在する。特に、第1の波形成形ローラー12aの円筒形本体22aは、第1の直径D及び第1の長手方向軸Xを有し、第2の波形成形ローラー12bの円筒形本体22bは、第2の直径D及び第2の長手方向軸Xを有し、第3の波形成形ローラー12cの円筒形本体22cは、第3の直径D及び第3の長手方向軸Xを有し、第4の波形成形ローラー12dの円筒形本体22dは、第4の直径D及び第4の長手方向軸Xを有する。
【0015】
波形成形ローラー12は、第1の波形成形ローラー12aの歯26aが、第2の波形成形ローラー12bの歯26bと噛み合い、第2の波形成形ローラー12bの歯26bが、第3の波形成形ローラー12cの歯26cと噛み合い、第3の波形成形ローラー12cの歯26cが、第4の波形成形ローラー12dの歯26dと噛み合うように配置される。したがって、第1のニップNが、第1の波形成形ローラー12aと第2の波形成形ローラー12bとの間の噛み合う位置に画定され、第2のニップNが、第2の波形成形ローラー12bと第3の波形成形ローラー12cとの間の噛み合う位置に画定され、第3のニップNが、第3の波形成形ローラー12cと第4の波形成形ローラー12dとの間の噛み合う位置に画定される。
【0016】
図示の実施形態では、波形成形ローラー12は、ローラーの軸X~Xが互いに実質的に平行に延在し、共通の鉛直平面上にあるように、鉛直方向に位置合わせされる。さらに、ウェブ移動経路16は、第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12bに対して実質的に接線方向かつ上記共通の鉛直平面に対して垂直方向の水平経路に沿って、第1の波形成形ローラー12aと第2の波形成形ローラー12bとの間の第1のニップNに入ることが好ましい。次に、ウェブ移動経路16は、1)第1の波形成形ローラー12aと第2の波形成形ローラー12bとの間の第1のニップNを通り、次いで、2)第2の波形成形ローラー12bの一部(例えば、180度の円弧部分)を周方向に周り、次いで、3)第2の波形成形ローラー12bと第3の波形成形ローラー12cとの間の第2のニップNを通り、次いで、4)第3の波形成形ローラー12cの一部(例えば、180度の円弧部分)を周方向に周り、次いで、5)第3の波形成形ローラー12cと第4の波形成形ローラー12dとの間の第3のニップNを通って進行する。次に、ウェブ移動経路16は、再び好ましくは、第3の波形成形ローラー12c及び第4の波形成形ローラー12dに対して実質的に接線方向かつ上記共通の鉛直平面に対して垂直方向の水平経路に沿って、第3のニップNを出る。
【0017】
しかしながら、いくつかの実施形態において、波形成形ローラー12は、他の非鉛直向きで位置合わせすることもできることを理解されたい。さらに、波形成形ローラー12の軸X~Xは、軸のうちの1つ以上が他の軸と共通の平面上に存在しないように、互いにオフセットされてもよい。またさらに、ウェブ移動経路16は、代替的な位置及び向きにおいて波形成形ローラー12に入る及び/又は波形成形ローラー12を出ることができ、ウェブ移動経路16は、図示されている以外の波形成形ローラー12の部分又は円弧部分の周りに延在することができる。実際、波形成形ローラー12及びウェブ移動経路16は、記載されるように波形成形ローラー12が噛み合い、3つの連続したニップを間に画定する任意の構成で配置することができ、それにより、ウェブ移動経路16がローラー列5における波形成形ローラー12間のこれらのニップを通って移動するようになっている。
【0018】
波形成形ローラー12は、ウェブ14を、波形成形ローラー12が回転する際にウェブ移動経路16に沿って、波形成形ローラー12のニップN~Nを通して給送することができるように設計される。ウェブ14が各ニップN~Nを通って移動する際、ニップN~Nの波形成形ローラー12は、ウェブ14に波形パターンを付与する。特に、以下に更に論じるように、4つの波形成形ローラー12a~12dのそれぞれの組の歯26a~26dは、ニップN~Nがウェブ14を漸次波形成形するような漸進的な幾何形状を有し、最終的にウェブ14に台形状の波形を与えるように設計される。
【0019】
より具体的には、図2図4を参照して、以下、それぞれの波形成形ローラー12a~12dの歯26a~26d及びニップN~Nについて更に詳細に記載する。図2は、第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12bのそれぞれの対向する組の歯26a、26b間の第1のニップNの一例を示している。図3は、第2の波形成形ローラー12b及び第3の波形成形ローラー12cのそれぞれの対向する組の歯26b、26c間の第2のニップNの一例を示している。図4は、第3の波形成形ローラー12c及び第4の波形成形ローラー12dのそれぞれの対向する組の歯26c、26d間の第3のニップNの一例を示している。
【0020】
図2図4に見ることができるように、波形成形ローラー12の各歯26は、歯が本体22から片持ちされる場所に隣接する歯底部34において開始し、関連する円筒形本体22から歯26の遠位端部36まで径方向に延在する。各歯26は、前方フランク48(ローラー12の回転方向において関連するニップを通って移動するウェブ14に最初に直面する側)と、後方フランク50(回転方向においてウェブ14に最後に直面する側)とを有する。各歯26の歯底部から離れた遠位端部において、前方フランク48と後方フランク50との間に、遠位面46が延在する。また、各歯26は、直径平面M及びピッチ円38を規定する。本開示に関して、歯の「直径平面」とは、歯を通って、及び歯が延出する円筒形本体の長手方向軸を通って直径方向に延在する仮想平面である。さらに、歯の「ピッチ円」は、歯が延出するローラーと同心にあるとともに、歯底部34と歯の遠位面46の中心に位置する遠位端部36との間の途中に位置する歯の中点において歯の直径平面に交わる仮想円である。各歯26は、そのピッチ円から遠位端部36まで延在する径方向外側部分40と、その歯底部からピッチ円まで延在する径方向内側部分42とを有する。すなわち、ピッチ円は、各歯の外側部分40及び内側部分42が交わる場所にある。理解されるように、共通のサイズ及び形状の歯26を有するローラー12の場合、そのローラー12の全ての歯26は、共通のピッチ円を共有し、そのそれぞれの外側部分40及び内側部分42は、互いに実質的に等しくなっている。
【0021】
図2図4に示されているように、各歯26のフランク48、50は、それぞれの縁部52において歯の遠位面46に交わる。遠位面46と各フランク48、50との間の角度(それぞれのフランクと、直径平面に対して垂直で、関連する歯26の遠位端部36を通る仮想平面との間で測定した場合)は、波形成形ローラー12の間で変えることができる。図示の実施形態では、それぞれのローラー12a~12dの歯26a~26dに対する上述の角度は、その全てのフランク48及び50がそれぞれの直径平面Mに対して平行に延在するため、90度である。しかしながら、関連する直径平面Mに対して平行でないフランク48、50では、そのような角度は異なるものになる。さらに、そのような各縁部52(特に、第1のローラー12a及び第2のローラー12bの歯26a、26bの場合)は、それぞれのフランク48、50と歯の遠位面46との間の接点が、鋭い又は個別の移行部を有せずに滑らかで連続的となるように、比較的大きな曲率半径を有するアール付き縁部とすることができる。他の実施形態において(特に、第3のローラー12c及び第4のローラー12dの歯26c、26dの場合)、そのような各縁部は、比較的小さな曲率半径、例えば、歯のそれぞれのフランク48、50と遠位面46との間に認識可能な個別の接点が得られるのに十分小さい曲率半径を有するアール付き縁部とすることができる。そのような個別の接点は、距離を置いて見ると、歯の関連するフランク48、50と遠位面46との間の鋭い縁部に近似することができる。これは、縁部52が技術的にアール付けされる場合でも当てはまり、その曲率半径は、歯を越えて関連するニップを横断するウェブ14の損傷を回避するように選択することができる。
【0022】
さらに、図2に見られるように、縁部52(例えば、第1のローラー12a及び第2のローラー12bの歯26a、26bの縁部52)は、漸進的な曲率半径を呈することができる。すなわち、曲率半径は、遠位面46(例えば、遠位端部36)から開始して、フランク48、50に向かって減少する。この実施形態では、遠位面46自体は、歯26の縁部(複数の場合もある)52にシームレスに移行するように連続的に湾曲する部分であるか又はそのような部分を有する。いくつかの実施形態において、フランク48、50は、遠位面46とともに輪郭加工面を形成することができ、それにより、フランク48、50と遠位面46との間には明確に画定された縁部は存在しないことも理解されたい。例えば、いくつかの実施形態において、第1の波形成形ローラー12aの歯26は、各歯のフランク48、50と遠位面46との間に画定された又は認識可能な縁部が存在しないように、正弦波プロフィール(図示せず)を有することができる。同様に、いくつかの実施形態において、第2の波形成形ローラー12bの歯26は、正弦波プロフィールを有することもできる。そのような正弦波プロフィールは、従来の波形成形ローラーと同様である。
【0023】
好ましさは劣るが、第3のローラー及び第4のローラーの歯は、そのそれぞれのフランク48、50と関連する遠位面46との間の接点において、鋭い縁部を有してもよく、縁部52は、認識可能な曲率を有しない代わりに、1つの面(例えば、フランク48又は50)と次の面(例えば、遠位面46)との間の交線において本質的に個別に移行する。しかしながら、そのように鋭く技術的に個別の縁部52は、第3の波形成形ローラー12c及び第4の波形成形ローラー12d上の第3の組の歯26c及び第4の組の歯26dの場合でも、例えば、第2の波形成形ニップN及び/又は第3の波形成形ニップNにおいて直面するウェブ14(例えば、紙ウェブ)を損傷又は切断するおそれがあることから、あまり好ましくない。
【0024】
ここで図2を参照すると、好ましい一実施形態において、第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12bの各歯26a、26bの遠位面46は、丸みを帯びた形状を有する。特に、第1の波形成形ローラー12aの各歯26aの遠位面46は、第1の曲率半径rを有し、一方、第2の波形成形ローラー12bの各歯26bの遠位面46は、第2の曲率半径rを有する。さらに、図示の実施形態では、第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12bの各歯26a、26bのフランク48、50は、歯の直径平面Mに対して実質的に平行に延在する平坦面とすることができる。
【0025】
また図2に示されているように、第1の波形成形ローラー12aの各歯26aのフランク48、50は、第1の曲率半径tを有するそれぞれの縁部52において、遠位面46に交わることができる。さらに、第2の波形成形ローラー12bの各歯26bのフランク48、50は、遠位面46に交わり、第2の曲率半径tを有するそれぞれの縁部52を形成することができる。したがって、図示の実施形態では、ローラー12a、12bは、歯26a、26bをそれぞれ有し、その遠位面46は、関連する対向する縁部52にシームレスに移行する。より大きな遠位面46の曲率半径は、対向する縁部52の曲率半径よりも大きい。第1の組の歯26aの縁部52の曲率半径tは、ウェブに滑らかで実質的に正弦波形の適合形態をもたらすように、第1のニップNにおいてこれらの縁部に直面すると、最初は平坦なウェブ14が、ニップNを通して引き出される際、ウェブ14に対して接線方向にあるこれらの縁部52の上に滑らかに連続的に摺動することができるように選択されることが好ましい。したがって、ウェブは、正弦波形をもたらすことによって、長さ方向に(すなわち、機械方向に沿って)ひだ寄せされ、その機械方向長さ及びピッチは、後にもたらされる最終的な台形状波形のピッチに近似する。したがって、ウェブ移動経路16に沿ってローラー列5を通って移動するウェブ14は、第1のニップNに入るときと比較して、収縮された固有長さ(すなわち、ウェブの単位質量あたりの表面的又は全体的なウェブ長さ)を有して第1のニップNから現れ、進出時の固有長さと進入時の固有長さとの比は、ウェブにもたらされる最終的な台形状波形の適合形態におけるウェブの段繰率に等しくなっている。第1の組の歯26a及び第2の組の歯26bにおける歯が同じ形状及びサイズである場合の好ましい実施形態において、t=tである。
【0026】
第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12bは、互いに逆方向(図2の矢印によって示されている)に回転することができ、そのそれぞれの歯26a、26bは、機械方向においてウェブ移動経路16に沿って第1のニップNを横断するようになっている。さらに、第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12bの回転は、第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12bの歯26a、26bが、第1のニップNを通る際に、直接接触又は間に層として圧縮されるウェブ14を介した間接的(すなわち層状)係合のいずれによっても互いに係合しないように、同期することができる。特に、第2の波形成形ローラー12b(図2に見られる)の歯26bが第1のニップNの中心を通る際、その歯26bは、第1の波形成形ローラー12a、12b上の2つの歯26aの間のおおよそ中心に位置し、その遠位端部36は、第1のローラー12aから離隔する。同様に、対向するローラー12a、12b上のそれぞれの歯26a、26bの間隔について、ローラー12a、12bが回転する際、各第1の歯26aが第1のニップNの中心を横断する場合の第1の歯26aにも逆が当てはまるようになっている。
【0027】
さらに、第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12bは、ウェブ14が第1のニップNを通って移動する際、ウェブ14が、ローラーの噛み合う歯26a、26bの対向する丸みを帯びた遠位面46の周りを覆うように引っ張られるように構成することができる。さらに、上述したように構成され離隔する、対向する歯26a、26bの場合、ウェブ14は、第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12bの隣り合う噛み合い歯間に延在し、それにより、ウェブ14は、1つの遠位面46(又はその隣接する縁部52)から、対向するローラー12a、12b上の隣り合う対向する歯26a、26bにおける次の遠位面46に、接線方向に延在する。例えば、図2に示されているように、ウェブ14が第1のニップNを横断する際、ウェブ14は、第1のローラー12aから延在する第1の歯26aの前縁部52(a)から、第2のローラー12bから延在する第2の歯26bの後縁部52(b)に、第2の歯26bの遠位面46を越えて接線方向に進んでから、第2の歯26bの前縁部52(c)に達し、その後、第1のローラー12aから延在する後続の第1の歯26aの後縁部52(d)に進む。このようにして、第1のニップN内でのウェブ14と各歯26のフランク48、50の間の接触を低減することにより、ウェブ14と歯26a、26bのフランクとの間の摩擦に起因するウェブ14内の張力を低減することができる。すなわち、第1のニップNを通って移動するウェブ長さの大半の割合(すなわち、少なくとも50%)が、対向する歯26a、26b又はローラー12a、12bに接触せず、代わりに、歯26a、26bのそれぞれの縁部52に対して接線方向の経路に沿って、対向する歯26a、26bの対向する遠位面46の周りのみを覆う。第1のニップNを通るウェブと歯/ローラーとの接触を最小限に抑えることは、対向するローラー12a、12b上の歯が限られた度合いで噛み合い、互いに接触しない結果、少なくとも部分的に得られる。すなわち、第1のニップNに沿った最大の噛み合い点において、各歯(例えば、図2に示されているような第2の歯26b)は、対向するローラー上の隣り合う歯(例えば、図2に示されているような第1の歯26aの対)の間で中心に位置し、間隔を置いて、隣り合う歯間に画定される谷部内に延在するが、遠位面46が谷部の何らかの部分に接触するほどには延在しない。このようにして、第1のニップNのかなりの部分は、何もない空間をなし、ウェブ14は、歯26a、26bのフランク48、50等のローラー12の他の部分に物質的に接触することなく、この空間を通って、噛み合い歯26a、26bの対向する遠位面46間をウェブ移動経路16に沿って移動することができる。そのような空間は、フランク48、50が、各ローラー12a、12bの歯26a、26bに沿った真の正弦波パターンを生成せずに切り詰められることに一部起因し、それにより、歯26a、26bは、それぞれのローラー12a、12bが同期して回転する際に、間に空間を維持しながら噛み合い、噛合状態になることができる。
【0028】
結果として、ウェブ14が第1のニップNを出る際、ウェブ14は、第1のニップNを画定する歯26a、26bが正弦波形状でなくとも、正弦波形形態を有する。ここで正弦波形状となったウェブ14は、機械方向(ウェブ移動経路16)に対して横断方向にウェブ長さを段繰りする正弦波形を組み込むことで、長さが収縮されており、その方向に沿ったウェブの全体的な固有長さは、所定の段繰率に従って収縮されている。次に、ウェブ14は、第2の波形成形ローラー12bの周りのウェブ移動経路16を辿り、最終的に第2のニップNを通る。これについては、以下に更に詳細に記載する。
【0029】
図3を参照すると、第3の波形成形ローラー12cの各歯26cは、実質的に矩形(例えば、正方形)、台形、又は他の多角形の形状を有することができる。特に、第3の波形成形ローラー12cの各歯26cの遠位面46は、歯の直径平面Mに対して実質的に垂直に延在する、実質的に平坦な(又は第1のローラー12a及び第2のローラー12bの歯26a、26bの遠位面に対して平坦化された)面とすることができる。さらにまた、第3の波形成形ローラー12cの各歯26cのフランク48、50は、平坦であり、第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12b上の歯のそれぞれの曲率半径t及びtよりも小さい曲率半径tを有する縁部52において遠位面46に交わることができる。図示の実施形態では、第3の波形成形ローラー12c上の歯の曲率半径tは、歯26cの縁部が技術的にアール付けされる場合でも、鋭い個別の縁部52に近似するほど十分に小さい。半径tは、ウェブ14が第2のニップNにおける歯26cの縁部52に直面し、その上に引っ張られる際に、移動するウェブ14に個別の折り目又は折り筋をもたらすように十分小さい。特に、半径tは、半径t若しくはtの双方の0.5倍を超えず、又は、半径t若しくはtの双方の0.4倍、0.3倍、0.2倍、若しくは0.1倍を超えないことが好ましい。
【0030】
図3において理解されるように、第2のニップNにおいて最初にウェブ14に直面する第3の歯26cの前縁部52iは、最初の正弦波形の肩部においてそのウェブに係合し、歯26cの後縁部52jは、同じ最初の正弦波形の反対側の肩部においてウェブ14に係合する。同時に、ウェブ14のこれらの2つの肩部間(すなわち、縁部52i及び52jとの接触点間)の部分は、ウェブにおける張力によって歯26cの遠位面46に対して平坦化され、その際、縁部52i、52jは、ウェブに個別の折り筋又は折り目を与え、最終的に、最初に歯26cに直面する元の正弦波形から台形状波形が形成される。その後、その歯は、ウェブ14の新たに形成された台形状波形を、ニップNを出るまで保持し、その際、理解されるように、全ての第2の波形(すなわち、第1の方向に面する全ての波形)が台形となり、交互に差し挟まれた波形が正弦波形状を維持する。
【0031】
第2のニップNを通して正弦波形を1つ置きに台形状波形に変換する際、ウェブ14は、第3の組の歯26cの低半径(t)縁部52の上で引っ張られないことが理解されよう。むしろ、ウェブは、既に正弦波適合形態に形成されており、その正弦波形が、第3の組の歯26cによってもたらされる台形状波形のピッチ及び形状に近似するため、これらの歯26cの縁部(例えば、縁部52i、52j)との係合には、ウェブ長さを消費しない。なぜなら、第2のニップNを通るウェブの段繰率(及び固有長さ)は、第1のニップNを通るものと実質的に同じとなるからである。第3の組の歯26cの縁部52は、進入時の正弦波形のそれぞれの肩部においてウェブに係合し、第2のニップNを通るウェブを保持する際に、ウェブに折り筋を付与する。しかしながら、この折り筋形成動作では追加のウェブ長さを段繰りしないため、ウェブ14は、第3の組の歯26cの縁部52の上で引っ張られない。すなわち、ウェブ14は、第3の組の歯26cの低半径(t)縁部52に直面する前に、既にひだ寄せされており、最終的な台形状波形の波形ピッチ及び近似形状に適合している。第3の組の歯26cは、同じくそのピッチに適合する。これらの縁部は、ウェブに単に係合し、折り筋を付けるだけであり、ウェブを物質的に引っ張ったり摩耗させたりすることがないので、正弦波から台形状波形への変換によって、材料に損傷又は引き裂きをもたらし得る傾向がある、ウェブへの更なる剪断力又は他の応力を与えることがない。
【0032】
また図示のように、フランク48、50は、歯の直径平面Mに対して実質的に平行に、したがって、遠位面46に対して垂直に延在することができる。更なる一代替形態において、第3のローラー12cのフランク48、50は、平坦であるとともに、遠位面46に対して垂直でない角度で延在し、したがって、台形状の歯26を画定することができる。しかしながら、そのような一実施形態において、フランク48、50の斜面は、第2のローラー12b及び第3のローラー12cの対向する歯26b及び26cが、依然として第2のニップN内で接触せず、したがって、隣り合う対向する歯26b、26c間に機械方向に空間を維持するようになっていることが好ましい。
【0033】
第3の波形成形ローラー12cは、第2の波形成形ローラー12bとは逆方向(図3の矢印によって示されている)に回転することができ、第3の波形成形ローラー12cの歯26cが第2の波形成形ローラー12bの歯26bに噛み合い、双方の組の歯26b、26cが、機械方向においてウェブ移動経路16に沿って第2のニップNを横断するようになっている。さらに、第3の波形成形ローラー12cは、第2の波形成形ローラー12b及び第3の波形成形ローラー12cの歯26b、26cが、第1のニップNに関して上述したのと同様に、第2のニップNを通る際に、直接接触又は間のウェブ14を介した間接的な係合のいずれによっても互いに係合しないように、第2の波形成形ローラー12bと同期して回転することができる。特に、第2の波形成形ローラー12b及び第3の波形成形ローラー12cのうちの一方の歯26b、26cが第2のニップNの中心を通る際、ここでも上述したのと同様に、歯26b、26cは、第2の波形成形ローラー12b及び第3の波形成形ローラー12cの他方における2つの対向する歯26の間のおおよそ中心に位置する。
【0034】
さらに、第2の波形成形ローラー12b及び第3の波形成形ローラー12cは、ウェブ14が第2のニップNを通って移動する際、上述したように、ウェブ14が、平坦に引き伸ばされ、第3の波形成形ローラーの噛み合い歯26cの平坦な遠位面46の上に延在するとともに、第2のニップN内の第2の波形成形ローラーの噛み合い歯26bの丸みを帯びた遠位面46の周りを覆うように構成することができる。さらに、ウェブ14は、直線的経路に沿って、第2の波形成形ローラー12b及び第3の波形成形ローラー12cの隣接する噛み合い歯26b、26cとの接触点間に延在し、それにより、ウェブ14が第2のニップNを通して引き出される際、ウェブ14は、第2のローラー12bの歯26bの丸みを帯びた遠位面46(又は縁部52)から、第2のニップNにおける下流の第3の波形成形ローラー12c上の歯26cの前方フランクと遠位面46との間の個別の接点を画定する低減した半径の縁部52まで、接線方向に延在するようになっている。ここでも、第2のニップN内におけるウェブ14と各歯26b、26cのフランク48、50との間の接触が最小限に抑えられ、図示の実施形態では大半が回避され、それにより、ウェブ14と、波形成形ローラー12b、12c又はそのそれぞれの歯26b、26cの、遠位面46及び関連する縁部52以外の部分との間の摩擦に起因する、ウェブ14内の張力が低減する。
【0035】
ウェブ14が第2のニップNを出る際、ウェブ14は、段頂が実質的に平坦な棚部(land)の形態である実質的に台形の上側フルートと、段頂が丸みを帯びた下側フルートとを有する。次に、ウェブ14は、第3の波形成形ローラー12cの周りのウェブ移動経路16を辿り、最終的に第3のニップNを通る。これについては、以下に更に詳細に記載する。
【0036】
図4を参照すると、第4の波形成形ローラー12dの各歯26dは、第3の波形成形ローラー12cと同様に、実質的に矩形(例えば、正方形)又は台形の形状を有することができる。特に、第4の波形成形ローラー12dの各歯26dの遠位面46は、第3の波形成形ローラー12cに関して上述したように、実質的に平坦(又は第1のローラー12a及び第2のローラー12bの歯26a、26bの遠位面に対して平坦化されている)とし、歯の直径平面Mに対して垂直にすることができる。さらにまた、歯のフランク48、50は、上述したように平坦とすることができ、歯26dの直径平面Mに対して平行であるか又は或る角度で傾斜することができる。第3のローラー12cに関して記載したのと同様の他の歯形態も想定される。第4の波形成形ローラー12dの各歯26dのフランク48、50は、t及びtの双方と比較して低減した曲率半径である第4の曲率半径tを有するそれぞれの縁部52を形成するように、歯の遠位面46と交わり、歯26dの関連するフランク48、50と遠位面46との間に個別の移行部をもたらすことができることに留意されたい。第3の組の歯26cと同様に、第4の組の歯26dの縁部52は、ここでも、距離を置いて見ると、上記縁部に直面した際にウェブ14に折り筋を付与することが可能である鋭い縁部に近似するように十分に個別の移行部をなすことが好ましい。曲率半径tは、t及びtの双方の0.5倍を超えず、例えば、t及びtの双方の0.4倍、0.3倍、0.2倍、又は0.1倍を超えないことも好ましい。好ましい実施形態において、t=tであり、それにより、第3の組の歯26c及び第4の組の歯26d(又は少なくともそのそれぞれの遠位面46)が、他の点で同様の形状、サイズ、及びピッチを有すると仮定すると、第3のニップNを出る際にウェブ14の両面に均一な波形が形成される。
【0037】
第4の波形成形ローラー12dは、第3の波形成形ローラー12cとは逆方向(図3の矢印によって示されている)に回転することができ、第4の波形成形ローラー12dの歯26dが第3の波形成形ローラー12cの歯26cに噛み合い、双方の組の歯26c、26dが、機械方向においてウェブ移動経路16に沿って第3のニップNを横断するようになっている。さらに、第4の波形成形ローラー12dは、第3の波形成形ローラー12c及び第4の波形成形ローラー12dの歯26c、26dが、既に説明したのと同様に、第3のニップNを通る際に、直接接触又は間のウェブ14を介した間接的な係合のいずれによっても互いに係合しないように、第3の波形成形ローラー12cと同期して回転することができる。特に、第3の波形成形ローラー12c及び第4の波形成形ローラー12dのうちの一方の歯26c、26dが第3のニップNの中心を通る際、ここでも上述したのと同様に、歯26c、26dは、第3の波形成形ローラー12c及び第4の波形成形ローラー12dの他方における2つの対向する歯26の間のおおよそ中心に位置する。
【0038】
さらに、第3の波形成形ローラー12c及び第4の波形成形ローラー12dは、ウェブ14が第3のニップNを通って移動する際、ウェブ14が第2のニップNを通して予め平坦に引き伸ばされる第3のローラーの歯26cと同様に、ウェブ14が平坦に引き伸ばされ、第4のローラーの歯26dの平坦な遠位面46の上に延在するように構成することができる。また、第3のローラー12cに関して上述したのと同様に、ウェブ14の最初の正弦波形は、第4の組の歯26dの低減した半径(t)の縁部52に直面して折り筋が付けられ、一方で、ウェブにおける張力により、それぞれの第4の組の歯26dの対向する縁部52との接触点間でウェブの一部が平坦化される。また更に上述したように、進入時の正弦波形は、第4の組の歯26dによって付与される最終的な台形状波形に近似するため、歯26dの縁部52は、ウェブ14に折り筋を付ける際に、ウェブ14を引っ張ったり摩耗させたりすることがない。なぜなら、そのような折り筋及びその結果の台形状波形を付与するのには、追加のウェブ長さを消費する必要がないためである。むしろ、第3のニップNを通した段繰率(及び固有長さ)は、第1のニップN及び第2のニップNの双方を出る際の段繰率と同じである。
【0039】
第3のニップNを出る際、ウェブは、ウェブの両側から延在するフルートについて、略完全な台形状波形の適合形態を有する。さらに、第3のニップNにおいて、ウェブ14は、直線的経路に沿って、第3の波形成形ローラー12c及び第4の波形成形ローラー12dの隣り合う噛み合い歯26c、26dとの接触点間に延在し、ウェブ14が第3のニップNを通して引き出される際、ウェブ14は、第3の波形成形ローラー12cの歯26cの縁部52から、第3のニップNにおける下流の第4の波形成形ローラー12d上の歯26dの縁部52に直線的に延在するようになっている。ここでもまた、第3のニップN内のウェブ14と各歯26c、26dのフランク48、50との間の接触が最小限に抑えられ、図示の実施形態では再び大半が回避され(歯の遠位面46に対する接触を除く)、それにより、摩擦の低減によってウェブ14内の張力が低減する。実際、ウェブは、歯26c及び26dの遠位面46の上及び場合によっては遠位面46に接して保持されるが、ウェブ14がニップNを横断する際の、ウェブとこれらの面46(又は隣接する縁部52)との間の相対移動はほとんど乃至全くない。むしろ、これらの遠位面46は、ウェブ14の移動の際にウェブ14を保持し、遠位面46は、ウェブ14に対して物質的に摺動しない。また、ウェブが、ニップNにおいて、隣り合う歯26c、26dの間を、開放空間を通って、歯26c、26dのうちのいずれのフランク48、50にも接することなく移動することから、従来の波形成形動作(ここでは、波形成形ローラーの対向する歯の組が、直接接触し、互いに相補的に相互係止する)の特徴である、歯のフランクと移動するウェブとの間の摩擦が回避される。同じことが、上述した第1のニップN及び第2のニップNにも当てはまる。ここでも、ニップを通って移動するウェブ14の大半の割合が、開放空間内を、それぞれのニップを通る連続的な歯26のフランク48、50に接することなく移動する。したがって、上述した波形成形ローラー12は、第1のニップN、第2のニップN、及び第3のニップNを介してウェブ14に漸次波形成形を行うことで、台形状の波形を有するウェブ14を製造することができる。特に、第1のニップNは、正弦波形を有するようにウェブ14を波形成形し、第2のニップNは、平坦な棚状頂部を有する上側フルートと、丸みを帯びた頂部を有する下側フルートとを有するようにウェブ14を波形成形し、第3のニップNは、いずれも平坦な棚状頂部を有する上側フルート及び下側フルートを有するようにウェブ14を波形成形し、全体的な波形の適合形状が台形の形状になるようにする。このようにしてウェブ14を漸次波形成形することにより、例えば、フランクと段頂との間に鋭い縁部の付いた移行部を有する正方形又は台形状の歯を有する一対の波形成形ローラーに、平坦ウェブを直接給送する技法と比較して、ウェブ14にもたらされる応力を小さくすることができる。開示の波形成形ローラー列5は、材料に対し、伝統的な従来の正弦波形成形において従来見られるものを超える、ウェブ14への剪断力又は応力をもたらすことなく、(列5に入る際)最初は平坦なウェブに、両側が台形状波形の適合形態を付与することができる。
【0040】
さらに、上述したように、歯26a~26dを、ニップ内の対向する歯が互いに離隔し、接触しないことを確実にするような寸法及び形状にすることで、ウェブ14が隣り合う歯26a~26dにおける接触点間を移動するための更なる空間が生じ、その空間内でローラー12のいずれの部分にも係合することがないため、摩擦及びそのような摩擦を引き起こす関連するウェブ張力が最小限に抑えられる。結果として、もたらされる摩擦及び剪断応力は更に小さくすることができる。さらに、ウェブが、丸みを帯びた段頂から平坦な棚部への移行部を形成する(すなわち、第3の歯26c又は第4の歯26dのいずれかの縁部52の上で個別の折り線又は折り筋を形成する)ために、低減した半径(t又はt)の縁部52に接触する必要がある場合、ウェブは、低減した半径の縁部52との接触を介してもたらされる張力に適応するために、更なる引張能力を有することができる。
【0041】
波形成形装置10は、互いに実質的に同様の形状である台形状の上側波形及び下側波形を有する対称的な波形ウェブ14を製造するように構成されることが好ましい。
【0042】
これを達成するために、第3の波形成形ローラー12c及び第4の波形成形ローラー12dにおける平坦な遠位面46は、実質的に同様の機械方向長さとすることができ、ローラーの歯26c、26dのそれぞれの組は、それぞれの円筒形本体22c、22dの周りに周方向に等しく離隔する。さらに、第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12b上の歯26a、26bの丸みを帯びた遠位面46は、実質的に同様の曲率半径を有することができ、そのそれぞれの縁部52間に、第3のローラー12c及び第4のローラー12d上の平坦な遠位面46の機械方向長さに近似する距離だけ延在するものとする。第3の波形成形ローラー12c及び第4の波形成形ローラー12dの歯26c、26dの外側部分40は、全体として、形状及び周方向間隔が実質的に同様であることが好ましい。さらに、第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12bの歯26a、26bの外側部分40は、全体として、形状及び周方向間隔が実質的に同様とすることができる。第3の波形成形ローラー12c及び第4の波形成形ローラー12dの歯26c、26dは、全体として、形状及び周方向間隔が実質的に同様である(図示の実施形態に示されているとおり)ことがより好ましい。また、第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12bの歯26a、26bは、全体として、形状及び周方向間隔が実質的に同様である(図示の実施形態に更に示されているとおり)ことも好ましい。
【0043】
このようにして、低減した半径(t、t)の縁部52に最初に直面し、ウェブ14に平坦な棚部をもたらす、ウェブ14に沿った点において、ウェブ14は、ウェブ14上の(低減した半径の縁部52との)係合点が、事前に湾曲され又は予応力が与えられているとともに、低減した半径の縁部52によってもたらされる台形の適合形状に既に近似する、ウェブ14における既存の正弦波形の肩部となるように、既に波形成形されている。したがって、そのような各縁部52が、ウェブ14に棚部を形成するために、ウェブ14に個別の曲げ又は折り目をもたらす場合、縁部52が概ね平坦な非波形ウェブから開始してそのような個別の折り目をもたらす場合と比較して、ウェブ14にもたらされる応力が小さくなる。
【0044】
一代替形態及びあまり好ましくない実施形態において、第3の波形成形ローラー12c及び第4の波形成形ローラー12dの縁部52(例えば、図3を参照)は、第3の組の歯26c及び第4の組の歯26dの隣接する面(フランク48、50及び遠位面46)間の本質的に直線的な交線を画定する、鋭いアールのない縁部を有することができる。そのような実施形態は、ウェブに折り筋を導入するのに用いられる場合、(例えば)鋭い縁部の移行部によって損傷を受けにくい非常に低品質の紙に好適とすることができる。しかしながら、概して、鋭い(直線的な)縁部の移行部は、あまり好ましくない。第3の波形成形ローラー12cの歯26cの縁部52の曲率半径t、及び第4の波形成形ローラー12dの歯26dの縁部52の曲率半径tは、加工される紙の厚さの関数とすることができ、また、0.1mmよりも大きく1.5mmよりも小さいことが好ましい。そのような小径の縁部52は、ほとんどのウェブにとって、ウェブにおける鋭い曲げ又は折り目に近似する個別の折り筋によって、実質的に台形状の波形形態をもたらすのに効果的である。いずれの実施形態でも、上述した波形成形装置10の漸進的な性質により、ウェブ14を破損することなく、第3の波形成形ローラー12c及び第4の波形成形ローラー12d上の歯26c、26dの縁部52を、曲率半径を有しない又は上述したような比較的小さな曲率半径を有する鋭いものにすることが可能であり得る。
【0045】
一方で、第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12b上の歯26a、26bの縁部52(例えば、図1を参照)は、アール付けされ、同じく上述したように比較的大きな曲率半径を有し、第1のニップNと第2のニップNとの間におけるウェブ14に対する応力を低減することが好ましい。換言すれば、第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12b上の歯26a、26bの縁部52の曲率半径t、tは、有限で、曲率半径t、tよりも大きくするべきである。特に、曲率半径t、tは、半径t、tが有限の曲率半径を規定する場合(すなわち、鋭い縁部ではなくアール付き縁部に関連する場合)、半径t及びtの少なくとも2倍、例えば3倍又は4倍であることが好ましい。
【0046】
上述したように、波形成形ローラー12a~12dの円筒形本体22a~22dは、それぞれの直径D~Dを有する(例えば、図1を参照)。これらの直径D~Dは、互いに実質的に等しくてもよく、又は互いに異なってもよい。さらに、各直径は、実施形態の間でサイズを変更してもよい。しかしながら、より大径の一対の噛み合いローラー12は、ローラー12の一方又は双方がより小径を有する比較対の噛み合いローラー12よりも、ウェブ14に沿ってより大きな応力をもたらすことができる。より具体的には、より大径の一対の噛み合いローラー12は、ローラー12の一方又は双方がより小径を有する場合よりも、そのニップにおいてより多数の噛み合い歯26を有する。したがって、大径を有する対向する比較的大きなローラーによって画定される波形成形ニップは、ウェブがニップを通って同時により多数の対向する歯を横断しなければならないため、通常、より小さなローラーによって画定される比較ニップよりも、ウェブ14においてより大きな応力を及ぼす。
【0047】
したがって、比較的小径の各波形成形ローラー12を提供することが望ましいものであり得る。しかしながら、より小径のローラー12は、質量がより小さく、したがって、動作時の振動又は高調波の影響をより受けやすい可能性があり、そのため、更なる振動応力が加わることで、波形成形プロセスを損ない、場合によってはウェブ14に損傷を与える可能性がある。
【0048】
したがって、いくつかの実施形態において、第2の波形成形ローラー12b及び第3の波形成形ローラー12cのうちの一方は、列内の他のローラーと比較してより小さな直径を有することができる。例えば、図示の実施形態では、第1の波形成形ローラー12a、第2の波形成形ローラー12b、及び第4の波形成形ローラー12dの直径D、D、Dは、比較的大きく、互いに実質的に等しいが、第3の波形成形ローラー12cの直径Dは、他のローラーのものよりも小さい。このようにして、第2のニップN及び第3のニップNにおける噛み合い歯の数を低減することで、ニップN、N内でのウェブ14に沿った応力を低減することができる。このことは、これらのニップ内で、ウェブ14に個別の折り筋をもたらすことによって平坦な棚部がもたらされ、それにより、更なる張力がもたらされる傾向にあることから、特に重要であり得る。噛み合い歯26の数、ひいては、これらの場所における接触点の数を低減することにより、ウェブ14は、平坦な棚部をもたらす際にもたらされる張力により良好に耐え得る可能性があると考えられている。さらに、第3の波形成形ローラー12cにおける振動及び高調波による擾乱は、その回転が、より大径の、ひいてはより高質量の対向するローラーと同期されることに基づいて、比較的少ないままであり得る。より具体的には、第3のローラー12cの回転をその周りのより大きく高質量のローラー12b及び12dと同期させる伝動構造は、より小さなローラー12cが他の場合では急速動作時に被りやすいであろう振動又は高調波を減衰するものとする。
【0049】
他の実施形態において、第2の波形成形ローラー12bは、4つの波形成形ローラー12のより小さな直径を有することができる。さらに、いくつかの例において、より大きなローラー12の直径は、互いに実質的に等しくない場合があり、むしろ、互いに異なってもよい。実際、波形成形ローラー12は、様々な異なる様式でサイズ決めすることができ、より小径の波形成形ローラー12は、より大径を有する2つの波形成形ローラー間に配置される。
【0050】
上述したように、波形成形ローラー12の回転は、波形成形ローラー12の歯26がニップN~Nを通る際に互いに係合しないように同期することができる。いくつかの例において、波形成形装置10は、波形成形ローラー12のそのような同期回転を可能にするように構成された1つ以上の機構を備えることができる。例えば、いくつかの例において、2つ以上(例えば、全て)の波形成形ローラー12を、伝動機構を介してともに連結することができ、それにより、1つの波形成形ローラー12の回転が、伝動機構を介して連結された他方の波形成形ローラー12の同期回転を引き起こす。
【0051】
さらに又は代替的に、図1に示されているように、波形成形装置10は、波形成形ローラー12のうちの2つ以上に連結され、2つ以上の波形成形ローラー12を個別に回転させるように動作可能な駆動システム54を備えることができる。さらに、波形成形装置10は、駆動システム54に作動的に連結され、フィードバック制御に基づいて、2つ以上の波形成形ローラー12を個別に駆動し、2つ以上の波形成形ローラー12の歯26が互いに係合しないように、駆動システム54を動作させるように構成された制御システム56を更に備えることができる。
【0052】
本開示に関して、2つ以上の波形成形ローラー12の「個別」の回転とは、2つ以上の波形成形ローラー12を互いに作動的に連結し、1つの波形成形ローラー12の回転が機械伝動機構を介して別の波形成形ローラー12の回転を引き起こすようになっている機械伝動機構を伴わずに、各波形成形ローラー12が、別個の駆動機構(例えば、モーター)を介して別々に回転されることを意味する。それにもかかわらず、波形成形ローラー12のそのような個別化された回転は、以下に更に論じるように、波形成形ローラー12の回転が、他の波形成形ローラー12の回転に依存し、その回転と同期するようにして実施及び制御することができることを理解されたい。
【0053】
図示の実施形態では、駆動システム54は、第1の波形成形ローラー12aに連結され、第1の波形成形ローラー12aを個別に回転させるように動作可能な第1のモーター58aと、第2の波形成形ローラー12bに連結され、第2の波形成形ローラー12bを個別に回転させるように動作可能な第2のモーター58bと、第3の波形成形ローラー12cに連結され、第3の波形成形ローラー12cを個別に回転させるように動作可能な第3のモーター58cと、第4の波形成形ローラー12dに連結され、第4の波形成形ローラー12dを個別に回転させるように動作可能な第4のモーター58dとを備える。各モーター58a~58dは、例えば、可変速度を有する電気モーターとすることができる。さらに、各モーター58a~58dは、その関連する波形成形ローラー12a~12dのシャフトに直接連結することも、伝動機構を介して間接的に連結することもできる。
【0054】
さらに、図示の実施形態では、制御システム56は、駆動システム54の各モーター58に連結され、各モーター58を個別に動作させるコントローラー60(例えば、プログラマブルロジックコントローラー)を備える。制御システム56は、コントローラー60に連結され、関連する波形成形ローラー12のコントローラー60にフィードバックを提供するようにそれぞれ構成される2つ以上のセンサー62を更に備える。特に、制御システム56は、第1の波形成形ローラー12aのフィードバック制御を提供するように構成された第1のセンサー62aと、第2の波形成形ローラー12bのフィードバック制御を提供するように構成された第2のセンサー62bと、第3の波形成形ローラー12cのフィードバック制御を提供するように構成された第3のセンサー62cと、第4の波形成形ローラー12dのフィードバック制御を提供するように構成された第4のセンサー62dとを備える。
【0055】
各センサー62a~62dは、関連する波形成形ローラー12a~12dのパラメーターを検出し、検出されたパラメーターを示す対応する信号をコントローラー60に送信するように構成することができる。検出されたパラメーターは、例えば、それぞれの波形成形ローラー12a~12dの速度又は回転位置とすることができる。例えば、図示の実施形態では、各センサー62a~62dは、関連する波形成形ローラー12a~12dの回転位置を検出し、検出された位置を示す信号をコントローラー60に送信するように構成されたロータリーエンコーダーに対応する。
【0056】
センサー(複数の場合もある)62a~62dから受信された信号(複数の場合もある)に基づき、コントローラー60は、波形成形ローラー12a~12dを、その関連するモーター58a~58dを介して個別に及び同時に動作させ、波形成形ローラー12a~12dの歯26a~26dのうちの対向する歯がニップN~Nを通る際に互いに係合しないように適切な速度で回転するように構成することができる。フィードバック制御に基づいて波形成形ローラー12a~12dを個別に動作させることにより、各波形成形ローラー12a~12dの回転は、波形成形ローラー12a~12dの歯26a~26dがそれぞれのニップN~Nを通る際に互いに係合しないことを確実にするように、精密に制御することができる。
【0057】
波形成形ローラー12a~12dの回転速度及び歯の形態は、ニップN~Nを通るウェブ14の線形速度を決定する。特に、第1のニップNを出るウェブ14の線形速度は、第1のニップNに入るウェブ14の線形速度よりも小さいことが留意される。これは、波形が第1のニップNによってウェブ14の所与の部分に形成される際、ウェブ移動経路16に沿ったウェブの所与の部分の全体的な機械方向長さが減少することに起因し、この理由は、ウェブ長さが、新たにもたらされる山部及び谷部によって段繰りされ、すなわち、(第1のニップNからの)進出時のウェブが、ウェブ材料の同じセグメントを移動させるのに、進入時よりも低速で移動するためである。したがって、ウェブ14の進入時の速度と進出時の速度との比は、移動するウェブの所与のセグメントに関する、機械方向における平坦長さと関連する波形長さとの比(すなわち、段繰率)に等しい。段繰率は、第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12bの歯26a、26bによってウェブ14に付与される波形の周波数及び振幅によって決まる。
【0058】
第2のニップN及び第3のニップNが波形ウェブ14の有効な機械方向長さを同様に変更する場合、ウェブ14の線形速度に対する同様の効果がこれらのニップにおいて生じ得る。しかしながら、ウェブ14の長さを実質的に変更することなくその波形を単に再成形する場合、第2のニップN及び第3のニップNの一方又は双方は、ウェブ14の線形速度に対してほとんど又は全く影響を与えない場合がある。
【0059】
ウェブ14は、第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12bによって要求される正確な速度で、波形成形装置10の第1のニップNに強制的に給送され、それにより、第1のニップNに入る際、ウェブ14の平均張力はゼロであることが理想的である。しかしながら、通常は、ウェブ14の進入時の弛み(slacking)を防止するために、第1のニップNに入る際のウェブ14において、いくらかの有限のゼロでない張力が望ましい。
【0060】
したがって、いくつかの例において、波形成形装置10は、ウェブ移動経路16に沿って第1のニップNの上流に位置する一対の給送ローラー64(例えば、図1を参照)を備えることができる。給送ローラー64は、ウェブ14を第1のニップNに所与の速度で給送するように回転することができる。各給送ローラー64は、滑らかな外面68を有する円筒形本体66を有し、円筒形本体66の長手方向軸の周りに回転可能である。給送ローラー64は、給送ニップ70を間に画定し、ウェブ移動経路16は、給送ニップ70を通って延在するようになっている。給送ローラー64間の空間は、予め定められており、ウェブ14の厚さよりも僅かに小さい。このようにして、給送ローラー64は、ウェブ14を給送ローラー64間で圧縮し、互いに逆方向(図1の矢印によって示されている)に回転し、ウェブ14を、給送ニップ70を通して、波形成形ローラー12の第1のニップNに向かって所望の速度で給送することができる。
【0061】
波形成形装置10は、給送ローラー64を回転させ、ウェブ14を波形成形ローラー12a、12bの第1のニップNに向かって所望の様式で給送するように動作可能な駆動システム74を更に備えることができる。さらに、駆動システム74は、給送ローラー64を所望の様式で回転させるように駆動システム74を動作させるように構成された制御システム(例えば、上述した制御システム56)に作動的に連結することができる。
【0062】
図示の実施形態では、駆動システム74は、給送ローラー64のうちの一方に連結された単一のモーター76と、2つの給送ローラー64に作動的に連結され、モーター駆動給送ローラー64の回転によって、同じ表面線形速度で逆方向に他方の給送ローラー64の回転を引き起こすようになっている伝動機構78とを備える。モーター76は、可変速度を有する電気モーターであり、それにより、関連する給送ローラー64の速度を所望に応じて調整することができる。さらに、モーター76は、上述した制御システム56のコントローラー60に作動的に連結される。
【0063】
コントローラー60は、給送ニップ70を出るウェブ14の速度と第1のニップNを出るウェブ14の速度との比が第1のニップNの段繰率と等しくなるように、給送ローラー64を回転させるように、駆動システム74のモーター76を動作させるように構成されることが好ましい。このようにして、給送ローラー64は、第1のニップNの入口において必要な正確な速度でウェブ14を給送することができ、そのため、ウェブ14の第1のニップNに入る際の平均張力はゼロである。しかしながら、いくつかの例において、給送ニップ70を出るウェブ14の速度と第1のニップNを出るウェブ14の速度との比は、進入時のウェブ14に、第1のニップNに入る際のウェブ14の弛みを防止するいくらかの有限のゼロでない張力をもたらすために、第1のニップNの段繰率よりも僅かに小さくすることができる。
【0064】
他の例において、駆動システム74は、代替的な形態を有することができることを理解されたい。例えば、いくつかの例において、伝動機構78はなくてもよく、他方の給送ローラー64は、単に、給送ローラー64を通して給送されるウェブ14との摩擦係合に起因して、モーター駆動給送ローラー64とともに回転する。また他の例において、各給送ローラー64は、別個のモーターによって個別に駆動することができる。
【0065】
実際、波形成形装置10は、第1の波形成形ローラー12aと第2の波形成形ローラー12bとの間に画定される第1のニップNにウェブ14を所望の速度で給送するために、様々な異なる構造を有することができる。例えば、上述した’621号特許は、第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12bの第1のニップNに、ウェブ14を所望の速度で及びウェブ14における僅かな張力で給送するために、本願に組み込むことができる波形成形予張力機構を開示している。さらに、いくつかの例において、ウェブ14は、中間的な給送機構を用いずに、第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12bによって供給源から単に引き出すことができる。
【0066】
ウェブ14が波形成形装置10の第1のニップNを通って横断する際、ウェブ14の張力及び横断方向の圧縮応力(機械方向に対して垂直)は、第1の波形成形ロール12a及び第2の波形成形ロール12bの波形成形歯26a、26bの相対的な上下動に起因して、及び、波形成形される際に第1のニップNを通るウェブ14における転動及び引張変動に起因して、ウェブ14に連続的なフルートが形成される際に大きさが変動する。波形成形ローラー間のウェブ張力の変動性の性質は、文献に記載されており(例えば、Clyde H. Sprague, Development of a Cold Corrugating Process Final Report, The Institute of Paper Chemistry, Appleton, Wash., Section 2, p. 45, 1985を参照)、多くの場合にウェブを破損させる可能性がある。
【0067】
したがって、以下に更に論じるように、波形成形装置10は、そのような変動性の張力変動を補償するために、第1のニップNの上流に、ウェブ14が第1のニップNを横断することによって生じる張力変動と同調するように、ウェブ移動経路16を調整することができる静電容量式給送装置を備えることができる。
【0068】
例えば、図1及び図5に示されているように、波形成形装置10は、弧状面84を有する固定本体82を有する静電容量式給送装置80を備えることができる。固定本体82は、上述した、第1の波形成形ニップNの上流の給送ローラー64から下流の位置に固定され、ウェブ移動経路16が、給送ローラー64の給送ニップ70から、固定本体82の弧状面84の少なくとも一部を周り、その後、第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12bの第1のニップNを通って延在するようになっている。
【0069】
図5に示されているように、静電容量式給送装置80の固定本体82は、円筒形本体であり、固定本体82の弧状面84は、固定本体82の円筒形外面に対応する。固定本体82は、内部のチャンバー86と、固定本体82の弧状面84を貫通し、チャンバー86と固定本体82の外部との間に流体連通をもたらす複数の孔88とを画定する。
【0070】
静電容量式給送装置80は、圧縮空気源90(例えば、エアコンプレッサー)を更に備え、圧縮空気源90は、固定本体82内のチャンバー86に流体連結され、チャンバー86に空気を伝達し、固定本体82の孔88を通して空気を放出することにより、弧状面84から可変距離d(図5に示されている)を置いてウェブ14を支持する空気クッション92を提供するように動作可能である。特に、張力がウェブ14に印加される際、ウェブ14は、空気クッション92に対して引っ張られ、それにより、空気クッション92によって距離dを置いて支持される。
【0071】
空気源90及び固定本体82は、最大張力でウェブ14を支持するのに十分な実質的に一定の体積空気流量で、空気が孔88を通して放出されるように設計することができる。例えば、孔88の総面積は、孔88が、ウェブ14の存在及びウェブ14が空気クッション92に及ぼす力にかかわらず、孔88を通る流れを主に制限するように設計することができる。このようにして、チャンバー86内の圧力及び孔88を通る体積空気流量は、実質的に一定となる。
【0072】
ウェブ14における張力要求が第1のニップNにおいて増大する場合、静電容量式給送装置80は、第1のニップNに対するウェブ14の給送を一時的に加速し、増大した張力要求に適応するとともに、張力要求を効果的にゼロにするように設計される。より具体的には、ウェブ14における張力要求が第1のニップNにおいて増大すると、ウェブ14は、より大きな力で空気クッション92に対して引っ張られ、ウェブ14/ウェブ移動経路16と弧状面84との間の距離dは、空気クッション92の圧力が、孔88を通る空気の一定の体積流量がウェブ14を支持するのに十分となるような点まで増大するまで、減少する。結果として、給送ローラー64の給送ニップ70と第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12bの第1のニップNとの間のウェブ移動経路16の総長さが減少し、第1のニップNに入るウェブ14の加速を引き起こす。ウェブ14は、張力要求がゼロになり、それにより、ウェブ14/ウェブ移動経路16と弧状面84との間の距離dが元の状態に戻るまで増大するまで、加速した速度で第1のニップNに一時的に移動する。
【0073】
反対に、ウェブ14における張力要求が第1のニップNにおいて減少する場合、静電容量式給送装置80は、第1のニップNへのウェブ14の給送を一時的に減速し、減少した張力要求に適応するとともに、張力要求をゼロにするように設計される。より具体的には、ウェブ14における張力要求が第1のニップNにおいて減少すると、ウェブ14は、より小さな力で空気クッション92に対して引っ張られ、ウェブ14/ウェブ移動経路16と弧状面84との間の距離dは、空気クッション92の圧力が、孔88を通る空気の一定の体積流がウェブ14の張力要求と平衡する圧力(すなわち、ウェブを面84に向かって押す力)をもたらすような点まで減少するまで、増大する。結果として、給送ローラー64の給送ニップ70と第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12bの第1のニップNとの間のウェブ移動経路16の総長さが増大し、第1のニップNに入るウェブ14の減速を引き起こす。ウェブ14は、ウェブ14における通常の張力要求が回復し、それにより、ウェブ14/ウェブ移動経路16と弧状面84との間の距離dが元の状態に戻るまで減少するまで、減速した速度で一時的に移動する。
【0074】
したがって、静電容量式給送装置80は、給送ローラー64の給送ニップ70と第1のニップNとの間のウェブ移動経路16の長さを、第1のニップN内のウェブ張力における下流変動に基づいてオンデマンドで行われるリアルタイムの一時的な瞬間経路長さ調整を介して動的に調整することによって、第1のニップNにおけるウェブ14の変動性の張力変動に受動的に反応し、張力変動をゼロにすることができる。換言すれば、静電容量式給送装置80は、第1のニップNにおけるウェブ14の変動性の張力変動をゼロにする必要に応じて、経路16に沿った有効なウェブ長さの瞬間セグメントを保存及び放出することができるウェブキャパシターとして機能する。
【0075】
図示の実施形態における静電容量式給送装置80は、例示的なものにすぎず、他の実施形態において、変動性の張力変動を補償するために、張力変動と同調するように、ウェブ移動経路16を同様に調整する代替的な形態を有することができる。例えば、上述の’621号特許は、変動性の張力変動を補償するように同様に構成され、本願に組み込むことができる、静止ローラーを備えるゼロ接触ロールを開示している。別の代替的な静電容量式給送装置102は、本図面の図6に示されており、以下に更に詳細に論じられる。
【0076】
図6に示されているように、この実施形態の静電容量式給送装置102は、カム軸106の周りに回転可能なカムローラー104を備え、カム軸106の周りに延在する外面108を有する。カムローラー104は、上述した給送ローラー64の下流かつ同様に上述したようにウェブ移動経路16に沿った第1のニップNの上流の位置に設けられ、移動するウェブは、移動の際にカムローラーの外面108の一部に係合するようになっている。ウェブ14に張力が印加されると、ウェブ14は、外面108に対して引っ張られ、外面108によって支持される。
【0077】
カムローラーの外面108は、カム軸106と外面108との間の径方向距離が、カム軸106の周りで、第1の径方向距離wと、第1の径方向距離wよりも大きい第2の径方向距離wとの間で周期的に増減するように設計される。したがって、カムローラー104がカム軸106の周りに回転し、ウェブ14がカムローラー104に対して引っ張られる際、ウェブ14/ウェブ移動経路16とカム軸106との間の距離は、周期的に増減し、それにより、給送ローラー64の給送ニップ70と第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12bの第1のニップNとの間のウェブ移動経路16の総長さの周期的な増減を引き起こす。
【0078】
このようにして、交互に変化する半径w及びwが、ウェブ14が連続的な波形成形歯26a、26bによって引っ張られる際に、第1のニップNを通して交互に変化する張力要求(すなわち、変化する段繰率)に対応するように調節されているカムローラー104を用いると、カムローラー104は、カム軸106からのウェブ14/ウェブ移動経路16の周期的な偏向が、第1のニップNの変動性の張力変動と同調するように、第1の波形成形ローラー12aの回転速度に対して固定比で回転することができる。
【0079】
より具体的には、カムローラー104は、ピーク張力要求において、ウェブ14が、最小径方向距離wを有するカムローラーの外面108のセグメントに係合するように回転することができる。結果として、ウェブ14/ウェブ移動経路16は、カム軸106に対して最も近くなり、給送ニップ70と第1のニップNとの間のウェブ移動経路16の総長さが短縮される。ウェブ14は、カムローラー104の更なる回転によって、ウェブ14/ウェブ移動経路16がカム軸106から偏向し、給送ニップ70と第1のニップNとの間のウェブ移動経路16が延長されるまで、加速した速度で第1のニップNに入るように一時的に移動する。最小径方向距離wの大きさは、最小径方向距離wにおいてカムローラーの外面108に係合することによって引き起こされるウェブ14の対応する加速が、ピーク張力要求を効果的にゼロにするように設定されることが好ましい。
【0080】
一方、ピーク張力が降下すると、ウェブ14は、最大径方向距離wを有するカムローラーの外面108のセグメントに係合する。結果として、ウェブ14/ウェブ移動経路16は、カム軸106から最も遠くなり、給送ニップ70と第1のニップNとの間のウェブ移動経路16の総長さが延長される。ウェブ14は、カムローラー104の更なる回転によって、ウェブ14/ウェブ移動経路16がカム軸106に向かって戻るように引っ張られ、給送ニップ70と第1のニップNとの間のウェブ移動経路16が短縮されるまで、減速した速度で第1のニップNに入るように一時的に移動する。最大径方向距離wの大きさは、最大径方向距離wにおいてカムローラーの外面108に係合することによって引き起こされるウェブ14の対応する減速が、ピーク張力降下を効果的にゼロにするように設定されることが好ましい。
【0081】
カムローラー104が第1の波形成形ローラー12aに対して回転する固定比は、例えば、第1の波形成形ローラー12aの円周の周りの波形成形歯26aの数に対する、カムローラー104の円周の周りの径方向距離wにおける周期的な変化の数に応じて決まる。さらに、カムローラー104は、カム軸106からのウェブ14/ウェブ移動経路16の周期的な偏向が、第1のニップNの変動性の張力変動と同調するように、第2の波形成形ローラー12bに対する固定比で同様に回転することができることを理解されたい。実際、第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12bが、上述したように同期して回転するため、第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12bのうちの一方に対する固定比でカムローラー104を回転させることにより、結果として、第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12bのうちの他方に対する固定比でカムローラー104が回転する。
【0082】
カムローラー104を上述したように回転させるために、カムローラー104は、伝動機構を介して、第1の波形成形ローラー12a及び第2の波形成形ローラー12bの一方又は双方に連結することができ、第1の波形成形ローラー12a及び/又は第2の波形成形ローラー12bの回転が、適切な固定比に従ったカムローラー104の対応する回転を引き起こすようになっている。他の例において、波形成形装置10は、駆動システム110(例えば、図6を参照)を備えることができ、駆動システム110は、カムローラー104に連結され、したがって、カムローラー104を回転させるように動作可能なモーター112を備える。モーター112は、可変速度を有する電気モーターとすることができ、それにより、カムローラー104の速度は、所望に応じて調整することができる。さらに、モーター112は、上述したコントローラー60に作動的に連結することができ、それにより、コントローラー60は、上述したようにカムローラー104を回転させるようにモーター112を動作させることができる。
【0083】
したがって、静電容量式給送装置102は、上述したように、給送ローラー64の給送ニップ70と第1のニップNとの間のウェブ移動経路16の長さを調整することによって、第1のニップNにおけるウェブ14の変動性の張力変動をゼロにすることができる。
【0084】
本発明は、上記の例示的な実施形態を参照しながら記載してきた。変更及び変形は本明細書を読んで理解すれば他の者(当業者)に想起されるであろう。本発明の1つ又は複数の態様を組み込んでいる例示的な実施形態は、添付の特許請求の範囲内にある限り、そのような全ての変更及び変形を含むことを意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6