(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】胸部ドレナージの管理装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
A61M1/00 190
A61M1/00 160
A61M1/00 135
(21)【出願番号】P 2021076123
(22)【出願日】2021-04-28
(62)【分割の表示】P 2018546542の分割
【原出願日】2017-03-03
【審査請求日】2021-05-11
(32)【優先日】2016-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518309389
【氏名又は名称】エスクロン,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】ESCULON,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】ルキシオン,エヴァン・エス
(72)【発明者】
【氏名】バーネット,ダニエル・アール
(72)【発明者】
【氏名】プレストン,ランディー
(72)【発明者】
【氏名】コーグリン,ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ジーグラー,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ウォ-リン,デレク
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0059340(US,A1)
【文献】特表2007-515192(JP,A)
【文献】特表2014-519930(JP,A)
【文献】米国特許第5738656(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内に挿入されるように構成されたチューブであって、互いに流体連通しているチューブリリーフルーメンとチューブドレナージルーメンとを画定するチューブと、
前記チューブリリーフルーメンと流体連通するチューブリリーフルーメン弁と、
前記チューブドレナージルーメンと流体連通する吸引ポンプと、
前記チューブと連通する制御部とを備え、
前記制御部は、前記チューブリリーフルーメン弁を閉鎖構成に保持する第1の吸引レベルで、また、前記チューブリリーフルーメン弁を開放構成に再構成する第2の吸引レベルで前記吸引ポンプを駆動するようにプログラムされ、前記第2の吸引レベルが、前記チューブドレナージルーメンを介して前記チューブリリーフルーメン弁に連通して、前記チューブリリーフルーメン弁を開放することを特徴とするドレナージシステム。
【請求項2】
前記チューブリリーフルーメン弁は、大気圧と前記チューブリリーフルーメンとの間に差圧が生じるように構成され、前記チューブリリーフルーメン弁は、第1の差圧で閉鎖し、前記第1の差圧とは異なる第2の差圧で開放するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2の吸引レベルは前記第1の吸引レベルよりも負であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御部は、同制御部によって検知された潮汐振動が減少したときに前記第2の吸引レベルで前記吸引ポンプを駆動するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御部は、周期的に前記第2の吸引レベルで前記吸引ポンプを自動的に駆動するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記チューブが、前記チューブドレナージルーメンと流体連通する1つまたは複数のドレナージ開口部を画定するチェストチューブを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記チューブドレナージルーメンと流体連通するドレナージチューブをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ドレナージチューブと流体連通する流体タンクをさらに備えることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記チューブドレナージルーメンまたは前記ドレナージチューブと流体連通するドレナージチューブ・リリーフルーメンをさらに備えることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記ドレナージチューブ・リリーフルーメンと流体連通するドレナージチューブ・リリーフルーメン弁をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ドレナージチューブ・リリーフルーメン弁は、受動的に作動する弁を含むことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ドレナージチューブ・リリーフルーメン弁は、能動的に作動する弁を含むことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記チューブリリーフルーメン弁を開放するための前記第2の差圧は、前記チューブリリーフルーメン弁を閉鎖するための前記第1の差圧よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項14】
前記チューブリリーフルーメン弁は、受動的に作動する弁を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記チューブリリーフルーメン弁は、能動的に作動する弁を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記チューブリリーフルーメン弁は磁気弁を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記磁気弁はハウジングを含み、前記ハウジングは同ハウジングに固定された第1の要素とシールに取り付けられた第2の要素とを有し、前記シールは、前記第1の要素と前記第2の要素との間の磁力が前記第1の差圧よりも大きく、前記磁気弁を閉鎖構成に保持する第1の位置を有し、前記シールは、前記磁力が前記第2の差圧よりも小さく、前記磁気弁を開放構成に保持する第2の位置を有することを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1および第2の要素の一方または両方が磁石を含むことを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記制御部が、胸腔空気漏れの指標として前記チューブドレナージルーメンからの空気流の速度を監視するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記制御部は、前記空気漏れの少なくとも1つのパラメータを決定するように構成されることを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記制御部と連通する流量計をさらに備えることを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記制御部は、前記チューブドレナージルーメンと流体連通する真空ポンプの回転数を監視するように構成されることを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創傷および外科的ドレナージに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で言及した全ての刊行物および特許出願は、そのような個々の刊行物または特許出願のそれぞれが参照によりそのように具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
チェストチューブは、空気および/または液体が胸部腔に蓄積し、正常な肺または心臓の機能を破壊するときはいつでも必要とされる。内部の創傷が治癒するまで、胸部から余分な空気および/または体液を除去するために吸引が継続的に行われ、治癒の時点でチェストチューブが除去される。チェストチューブの最も一般的な用途の1つは、心臓手術後に心臓周辺の領域を排水することにある。
【0004】
これらの利点にもかかわらず、現在のチェストチューブシステムは2つの大きな短所を有する。第1に、胸部から吸引容器に向かって液体が流入すると、液体はドレナージチューブに溜まり、加えられた負圧が胸部に伝達されることが防止される。これが生じると、胸部の圧力はゼロまで減少するか、または正になる。第2に、チェストチューブを閉塞する詰まりが形成され、これにより、胸部への負圧の適用が防止されるとともにドレナージが抑制される。実際、心臓手術患者の36%がチェストチューブの詰まりを経験している。これらの要因により適切なドレナージが阻害されると、患者は心臓の周囲に流体が蓄積する危険性が高まり、これは心臓タンポナーデとして周知であり、ショックをもたらし、致命的となり得る。加えて、肺は圧縮され、これにより呼吸器系の障害が引き起こされ、同様に致死的となり得る。
【0005】
ドレナージライン内の液体のプールは、理論的には、チューブを患者から収集容器に直線的に保つことによって矯正可能である。しかしながら、これは実際にはほとんど不可能である。その理由として、身体からのチューブの偶発的な脱落を防止するためにある程度のたるみが必要であることが挙げられる。医師は、詰まりを防ぐために、搾取およびストリッピングとして周知の2つの方法を使用する。搾取とは、持ち上げ、圧搾、混練などのライン操作を示す。ストリッピングとは、親指と人差し指でチューブの長さに沿って引っ張って、チューブの端部での吸引量を増加させることを示す。しかしながら、これらの方法は、チェストチューブの吸引またはドレナージを改善するのに有効であることは示されていない。実際、組織を損傷する可能性のある非常に高い負圧(最大-370cmH2O)を生成することが可能であるため、ストリッピングは現実的には推奨されていない。
【0006】
これらの機能的欠陥に加えて、現在のシステムは、胸部空気漏れの収集された流体量および速度の測定にさらに依存し、これは主観的であり、測定において不正確さをもたらす。従って、医師は、これらの測定値に基づいて慎重な臨床判断を下し、病院内に患者を必要以上に長く留める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ドレナージチューブおよび/またはチェストチューブにおける血液/液体のプール、および/または詰まり/凝固を低減乃至排除するとともに、収集された流体量および胸部の空気漏れを客観的かつ正確に測定する胸部ドレナージシステムが要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一変形において、ドレナージシステムは、通常患者の体内に挿入されるように構成されたチューブであって、互いに流体連通しているチューブリリーフルーメンとチューブドレナージルーメンとを画定するチューブと、大気圧とチューブリリーフルーメンとの間に差圧が生じるように、チューブリリーフメーンと流体連通するチューブリリーフルーメン弁とを備える。チューブリリーフルーメン弁は、第1の差圧で閉鎖され、第1の差圧とは異なる第2の差圧で開放されるように構成される。
【0009】
一実施例において、ドレナージシステムを維持する方法は、通常患者の体内に挿入されるように構成されるチューブであって、互いに流体連通するチューブリリーフルーメンおよびチューブドレナージルーメンを有するチューブと、チューブリリーフルーメンと流体連通するチューブリリーフルーメン弁とを提供する工程と、チューブリリーフルーメン弁を閉鎖構成から開放構成に構成する工程とを含む。大気圧とチューブリリーフルーメンとの間の第1の差圧が生じたときに閉鎖構成が形成され、大気圧とチューブリリーフルーメンとの間の第2の差圧が生じたときに開放構成が形成され、第1の差圧は第2の差圧とは異なる。
【0010】
ドレナージシステムの別の変形において、システムは、通常患者の体内に挿入されるように構成されたチューブであって、互いに流体連通しているチューブリリーフルーメンとチューブドレナージルーメンとを画定するチューブと、チューブリリーフルーメンと流体連通するチューブリリーフルーメン弁と、チューブドレナージルーメンと流体連通する吸引ポンプと、チューブと連通する制御部とを備える。制御部は、チューブリリーフルーメン弁を閉鎖構成に保持する第1の吸引レベルで、また、チューブリリーフルーメン弁を開放構成に再構成する第2の吸引レベルで吸引ポンプを駆動するようにプログラムされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態による、リリーフルーメンを含まない胸部ドレナージシステムを示す図。
【
図2】別の実施形態による、チューブ間接続部領域における能動的な弁を有する胸部ドレナージシステムを示す図。
【
図3】一実施形態によるドレナージチューブ・リリーフ弁および受動的なチェストチューブ・リリーフ弁を備えた胸部ドレナージシステムを示す図。
【
図4】一実施形態による
図3に示すチェストチューブを示す図。
【
図5】磁気的な実施形態によるチェストチューブ弁を示す図。
【
図6A】ドレナージチューブにおけるプールされた液体を検知するとともに清掃する胸部ドレナージシステムの機能を示す図。
【
図6B】チェストチューブにおけるプールされた液体を検知するとともに清掃する胸部ドレナージシステムの機能を示す図。
【
図6C】チェストチューブにおけるプールされた液体を検知するとともに清掃する胸部ドレナージシステムの機能を示す図。
【
図6D】チェストチューブにおけるプールされた液体を検知するとともに清掃する胸部ドレナージシステムの機能を示す図。
【
図6E】チェストチューブにおけるプールされた液体を検知するとともに清掃する胸部ドレナージシステムの機能を示す図。
【
図6F】チェストチューブにおけるプールされた液体を検知するとともに清掃する胸部ドレナージシステムの機能を示す図。
【
図8】従順層および非従順層を有するバルーンを示す図。
【
図11A】バルーンが組み込まれたチェストチューブを示す図。
【
図11B】バルーンが組み込まれたチェストチューブを示す図。
【
図12】エネルギー送達を含むバルーン弁を有する一実施形態を示す図。
【
図14A】一実施形態によるチェストチューブを示す図。
【
図14B】一実施形態によるチェストチューブを示す図。
【
図14C】一実施形態によるチェストチューブを示す図。
【
図16A】一実施形態による、フラッシュポートを備えるチェストチューブを示す図。
【
図16B】一実施形態による、フラッシュポートを備えるチェストチューブを示す図。
【
図18A】胸部ドレナージシステムを使用して胸部の空気漏れを測定する方法を示す図。
【
図18B】胸部ドレナージシステムを使用して胸部の空気漏れを測定する方法を示す図。
【
図19】胸部ドレナージシステムを使用して胸部の空気漏れを測定する方法を示す図。
【
図20】一実施形態によるチェストチューブを示す図。
【
図22】一実施形態によるチェストチューブおよびドレナージチューブを備える弁装置を示す図。
【
図23】一実施形態による使用中の胸部ドレナージシステムを示す図。
【
図24】弁装置からの空気圧コネクタとモニタとの接続部を示す図。
【
図25】空気圧コネクタとモニタとの接続部を示す図。
【
図26】一実施形態による胸部ドレナージシステムを示す図。
【
図28A】胸部の空気漏れを測定する方法を示す図。
【
図28B】胸部の空気漏れを測定する方法を示す図。
【
図28C】胸部の空気漏れを測定する方法を示す図。
【
図29】2つの異なる低流量空気漏れ速度測定値に対する経時的な圧力を示すグラフ。
【
図30】空気漏れに対する圧力変化率の換算を示すグラフ。
【
図31】2つの異なる高流量空気漏れ速度測定値に対する経時的な圧力を示すグラフ。
【
図32】空気漏れに対する圧力変化率の換算を示すグラフ。
【
図33】色と反射率読み取りとの間の関係を示すグラフ。
【
図34】表面角度と反射率読み取りとの間の関係を示すグラフ。
【
図43A】製造工程およびバルーン弁の要素を示す図。
【
図43B】製造工程およびバルーン弁の要素を示す図。
【
図43C】製造工程およびバルーン弁の要素を示す図。
【
図43D】製造工程およびバルーン弁の要素を示す図。
【
図43E】製造工程およびバルーン弁の要素を示す図。
【
図47】一実施形態による二重ルーメン・チェストチューブを示す図。
【
図48】一実施形態による二重ルーメン・チェストチューブを示す図。
【
図49】一実施形態による二重ルーメン・チェストチューブを示す図。
【
図50】一実施形態による二重ルーメン・チェストチューブを示す図。
【
図51】一実施形態による二重ルーメン・チェストチューブを示す図。
【
図52A】空気圧コネクタとモニタとの間の接続部を示す図。
【
図52B】空気圧コネクタとモニタとの間の接続部を示す図。
【
図59】一実施形態による収集容器/キャニスタを示す図。
【
図60】キャニスタ/タンクとモニタとの間のラッチ機構を示す図。
【
図61】モジュール式アタッチメント・ソケットを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ドレナージチューブおよび/またはチェストチューブにおける血液/液体のプールおよび/または詰まり/凝固を低減または排除するとともに排液量および胸部空気漏れを客観的かつ正確に測定する胸部ドレナージシステムが開示される。
【0013】
胸部ドレナージシステムは継続的にチェストチューブおよびドレナージチューブの状態を監視し、胸部に対する負圧を回復させる必要のある場合に、ドレナージチューブ内のプールされた液体および/または詰まったチェストチューブを清掃する。システムは、システム内の圧力を監視するための制御部(本明細書ではモニタとも呼ばれる)の他、能動的および/または受動的な弁機能を含む。制御部は、ドレナージチューブおよび/またはチェストチューブのプールされた液体および/または凝固物の清掃を補助するために、ポンプを制御する。制御部は、測定された圧力信号に応答して、能動的な弁および/または吸引装置をさらに制御する。胸部ドレナージシステムは、主に次の4つの機能を実行する。
【0014】
1.胸部ドレナージシステムは、チェストチューブ-ドレナージチューブ間接続部(チューブ間接続部領域)の圧力またはその近傍の圧力を監視することによってドレナージチューブ内のプールされた液体を検知する。ドレナージチューブ内のプールされた液体は、真空の低下(圧力の上昇)によって示される。胸部ドレナージシステムは、制御部に組み込まれたセンサで圧力を測定する。センサは、流体充填ルーメン(リリーフルーメン)を介して、チューブ間接続部領域と流体連通する。リリーフルーメンは、反対側で大気に開放され、空気で満たされる。リリーフルーメンを開閉するために弁(ドレナージチューブ弁またはドレナージチューブ・リリーフルーメン弁)を使用する。弁には、大気から細菌やウイルスがリリーフルーメンに伝わるのを防ぐ通気孔が設けられる。ドレナージチューブ弁は、チューブ間接続部領域の測定圧力に基づいて制御部で開閉される。
【0015】
これに代えて、圧力センサは、大気に直接接続されたチューブ間接続部領域に配置されてもよい。この実施形態では、圧力センサが制御部と通信しており、リリーフルーメンは存在しない。これに代えて、ドレナージチューブ弁はリリーフルーメンの有無にかかわらず受動的であってもよい。
【0016】
2.プールされた液体が検知されると、胸部ドレナージシステムは、チューブ間接続部領域と流体連通するドレナージチューブ・リリーフルーメン弁を開放することによりドレナージチューブを清掃する。ドレナージチューブ・リリーフルーメン弁を開放すると、ドレナージチューブ内の液体をドレナージ容器/タンクに流し捨てることができる。制御部と一体化したポンプは、(収集容器/カセット/チャンバを介して)ドレナージチューブに負の圧力をかける。任意により、ポンプはリリーフルーメン(大気圧に開放されているのではなく)に正圧をさらにかけて閉塞を解消することを支援する。胸部の適切な負圧が続いて回復する。任意により、システムは、リリーフルーメン弁を開放することなくドレナージチューブに負圧(または高められた負圧)を適用する。これは、適切な吸引を回復させるための一時的な手段として機能し、閉塞を解消してもしなくてもよい。この測定は、制御部がドレナージチューブの閉塞を検知したときに実施されてもよいし、限られた時間間隔で実施されてもよい。
【0017】
3.凝血塊または凝固物がチェストチューブに形成される。これらを清掃するには、制御部によってチューブ間接続部に適用される吸引量を大きくする。チェストチューブ・リリーフルーメンと流体連通する受動的な弁は、チューブ間接続部の圧力が設定レベル未満になったときに開放するように構成される。この弁(チェストチューブ・リリーフ弁)は大気圧に開放されており、細菌等がシステムに侵入するのを防ぐためにフィルタや通気孔が設けられる。一旦チェストチューブ・リリーフ弁が開放されると、チェストチューブが清掃される。チェストチューブ・リリーフ弁は、開弁圧よりも低い差圧で閉鎖するように構成され、これにより弁は、チェストチューブが清掃され、弁の流れ抵抗が最小限に抑えられるように十分に長く確実に開放された状態を保持する。これに代えて、チェストチューブ・リリーフ弁は、チューブ間接続部領域および/またはチェストチューブ・リリーフルーメンで測定された圧力に基づいて開閉する能動的弁であってもよい。能動的なチェストチューブ・リリーフ弁は、同じ差圧で開閉したり、異なる差圧で開閉したりする。
【0018】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の弁は受動的であり、設定された圧力で開放されるように、また、同じ設定圧力または別の設定圧力に達するまで、開放された状態を保持するように設定される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の弁は能動的である。いずれの場合も、1つまたは複数の弁を所定の圧力で開放し、別の圧力で閉鎖するように設定することができる。
【0019】
図1は、一実施形態によるリリーフルーメンを含まない胸部ドレナージシステムを示す。患者の胸部102は、胸部ドレナージシステムを使用して排液される。チェストチューブ104は、胸部空洞と直接流体連通している。ドレナージチューブ106は、吸引装置/制御部108に接続される収集チャンバ116と流体連通している。通気孔/弁112を含む弁装置110は、チェストチューブ104とドレナージチューブ106との間にある。これに代えて、通気孔/弁112は、チェストチューブおよび/またはドレナージチューブに組み込まれてもよい。弁装置110は、チェストチューブ104およびドレナージチューブ106の両者と流体連通している。弁装置110は、制御部によって制御されてもよく、または手動で制御されてもよい(この制御部は、制御部108と同じであっても異なってもよい)。弁装置は、空気がドレナージチューブに入るように、かつドレナージチューブ内の障害物または制限物を清掃するために、チェストチューブおよび/または開放通気孔/弁112からの流体の流れを定期的に遮断するために使用される。
【0020】
1つ以上の圧力センサ114が、システム内の様々な箇所に設けられる。ここでは、圧力装置がチェストチューブ104の近傍、さらに吸引装置108の近傍の、弁装置内に組み込まれて示されている。圧力センサは、システム内の他の箇所、例えば胸部近傍にさらに配置されてもよい。1つまたは複数の箇所で検知された圧力は、システム内のどこかで圧力の変化があるかどうかを判定することに使用され、ドレナージチューブの閉塞および/またはチェストチューブの閉塞を識別するために使用され得る。障害が検知された場合には、可聴アラームが鳴り、かつ/または制御部が自動的に弁装置を制御してドレナージチューブおよび/またはチェストチューブを清掃する。これに関する詳細を以下に示す。
【0021】
吸引装置108は、弁装置およびチェストチューブと流体連通しているドレナージチューブに(場合によっては、収集容器116を介して)負圧または吸引力を発生させる。このようにして、胸部腔の吸引を維持して、胸部の流体ドレナージを促進するとともに患者の呼吸を補助する。負圧を生成するための機構は、ポンプまたは任意の他の適切な機構である。
【0022】
制御部は、吸引装置および/または弁装置に組み込まれ、かつ/または個別である。制御部と吸引装置および/または弁装置との間の通信は、有線であっても無線であってもよい。
【0023】
図2は、別例による、チューブ間接続部領域に能動的弁を有する胸部ドレナージシステムを示す。本実施形態では、弁装置202は、吸引装置/制御部204の近傍に配置されるか、または組み込まれる。弁装置はドレナージチューブ・リリーフルーメン206に接続される。1つ以上の圧力センサ(図示しない)は、チューブ間接続部205の近傍を含む、システムのどこにでも配置することができる。ドレナージチューブ208が1つ以上の圧力センサによって検知されるように閉塞すると、制御部204は弁212を開放し、ドレナージラインの清掃を可能にする。これはまた、予防措置として定期的な時間間隔で行われてもよい。弁210はまた、チェストチューブをシールするために閉鎖されてもよい。ポンプが使用される場合に、リリーフルーメン206に正圧をかけ、かつ/またはドレナージチューブ208に負圧をかけることによってドレナージを支援することができる。本実施形態では、弁210,212、弁装置202、および吸引装置204は、吸引装置および/または弁装置に組み込まれるか個別に設けられる制御部によって制御される。制御部との通信は有線であっても無線であってもよい。
【0024】
図3は、一実施形態による、能動的ドレナージチューブ・リリーフ弁と受動的チェストチューブ・リリーフ弁とを備える胸部ドレナージシステムを示す。チェストチューブ104はドレナージチューブ208に接続される。ドレナージチューブ・リリーフルーメン206は、チェストチューブ104およびドレナージチューブ208の両者と流体連通する。3ルーメン-チェストチューブ、ドレナージチューブ、およびドレナージチューブ・リリーフの間の関係は、チェストチューブ/ドレナージチューブ接合部にある、またはその近傍のチューブ間接続部205で生じる。いくつかの実施形態において、リリーフルーメンは、異なる箇所でドレナージチューブまたはチェストチューブに接続する。チェストチューブ、ドレナージチューブ、およびドレナージチューブ・リリーフルーメンは接続かかり部314と連結する。チェストチューブ・リリーフ弁302は、チェストチューブに組み込まれてもよいし、チェストチューブに接続するように構成された個別のアダプタ、例えば接続かかり部314に組み込まれてもよい。
図4に示すように、本実施形態では、チェストチューブは少なくとも2つのルーメンを有する。圧力センサ310、ドレナージチューブ・リリーフルーメン弁304、およびフィルタ/通気孔312は、ドレナージチューブ・リリーフルーメン206と流体連通している。制御部308は、ポンプ316、圧力センサ310、ドレナージチューブ・リリーフ弁304、フィルタ/通気孔312、およびドレナージチューブ208と流体連通する流体タンク(または吸引キャニスタ)306を含む。
【0025】
制御部308は、ポンプのキャニスタ側の圧力センサ318、ポンプの両側のインライン流量センサ320、および/またはポンプの両側の一方向弁322をさらに含む。
【0026】
圧力センサ310は、チューブ間接続部領域205内の圧力を(ドレナージチューブ・リリーフルーメン206を介して)検知する。ドレナージチューブが閉塞乃至制限されると、チューブ間接続部領域の圧力が上昇する。この圧力が設定圧力(一般的には負圧)に上昇すると、制御部308は、フィルタリングされた大気圧空気がドレナージチューブ・リリーフルーメン206に入ることができるようにドレナージチューブ・リリーフ弁304(通常閉鎖している)を開放する。この空気の流入は、ポンプ316によって引き起こされるドレナージチューブの負圧と組み合わされて、ドレナージチューブの閉塞部/制限部を清掃するように作用する。一旦チューブ間接続部領域の圧力が正常に戻ると、かつ/または設定時間の経過後、制御部はドレナージチューブ・リリーフ弁304を閉鎖する。これに代えて、ドレナージチューブ弁は、設定圧力で開閉する受動的弁であってもよい。
【0027】
モニタ/制御部はドレナージチューブ・リリーフルーメン内の圧力を監視し、チューブ間接続部領域における適切な範囲の吸引圧力を維持するために必要に応じて、流体タンク/吸引キャニスタ内で追加の吸引を引き出す。例えば、所望の圧力を-20cmH2Oに設定すると、モニタは吸引ポンプを作動させて、チューブ間接続部領域の圧力を-15cmH2O乃至-25cmH2O、または-18cmH2O乃至-22cmH2Oに保持する。別例において、モニタは、ドレナージラインからのプールされた液体を清掃するための予防措置として、ポンプとドレナージチューブ・リリーフ弁304とを定期的に駆動する。これは制御部によって行われ、吸引ポンプ316を作動させると同時にドレナージチューブ・リリーフ弁304を開放し、ドレナージチューブを介して蓄積された液体を空気で吸引キャニスタに吹き払うことができる。
【0028】
チェストチューブは、閉塞したり制限されたりする。制限部を清掃するために、制御部によってドレナージチューブに適用されるとともにチューブ間接続部に掛かる吸引量を増やす。チューブ間接続部の圧力が設定レベルに達すると、チェストチューブ・リリーフ弁302が開放し、フィルタリングされた大気がチェストチューブのリリーフルーメンに進入する(詳細は
図4を参照)。この空気の流入は、ポンプ316によって生じるドレナージチューブおよびチューブ間接続部領域の負圧と組み合わされて、チェストチューブの閉塞部/制限部を清掃するように作用する。受動的弁をここに示すが、制御部によって制御される能動的弁が使用されてもよい。これに代えて、手動で作動される弁を使用してもよい。本明細書に開示される制御部によって制御される作動のいずれも、受動的に、または手動で制御されてもよい。例えば弁機能、吸引機能など。
【0029】
チェストチューブ・リリーフ弁は、異なる開放圧力および閉鎖圧力を有する。例えば、チェストチューブ・リリーフ弁は、より高い差圧(すなわち、チューブ間接続部領域におけるより負の圧力)で開放し、より低い差圧で閉鎖する。これにより、明確なチェストチューブの閉塞が存在する間、弁を閉鎖した状態に保持し、弁の流れ抵抗を最小限に抑えることができる。一旦弁が開放されると、チューブ間接続部領域の圧力が上昇してチェストチューブ弁を横断する差圧が弁開放圧力未満に下がったとしても、弁を開放した状態に保持してチェストチューブの閉塞を完全に取り除くことができる。すなわち、チューブ間接続部領域内の圧力は、チェストチューブの閉塞が生じた場合にはより負になるが、チェストチューブの閉塞が取り除かれると負にならない。
【0030】
図3は、胸部ドレナージシステムと組み合わせて使用される1つのチェストチューブを示しているが、いくつかの実施形態では、複数のチェストチューブがシステムと組み合わせて使用されてもよい。各チェストチューブは独自のドレナージルーメンとリリーフルーメンと弁とを有する。
【0031】
図4は、一実施形態による
図3に示すチェストチューブを示す。チェストチューブ104は、ドレナージルーメン408と、チェストチューブに組み込まれるチェストチューブ・リリーフルーメン406とを含む。チェストチューブ・リリーフ弁402およびフィルタ/通気孔404もまた、開口部412を介してチェストチューブ・ドレナージルーメン408と流体連通しているチェストチューブ・リリーフルーメン406と流体連通して示される。ドレナージ開口部410により、胸部腔からの流体はチェストチューブに進入し、チェストチューブ・ドレナージルーメン408を介して排出することができる。
【0032】
胸部ドレナージが成功している間、チェストチューブ・リリーフ弁402は閉鎖位置にある。この位置では、チェストチューブ・リリーフルーメンの流体カラムのために、胸部から流出する流体は一般にチェストチューブ・リリーフルーメン406に進入することはない。小さな直径のチェストチューブ・リリーフルーメンは、チェストチューブ・リリーフルーメンへの流体の進入を防止することを支援する。チェストチューブ・リリーフルーメン406の圧力は、ポンプがドレナージライン、チェストチューブ・ドレナージルーメン、そしてある程度はチェストチューブ・リリーフルーメンに作用する負圧によってチェスチューブドレナージ中に僅かに負の値を示す。血栓などのためにチェストチューブが閉塞または制限される。それらを清掃するために、モニタは、チェストチューブ・ドレナージルーメン、そして最終的にはチェストチューブ・リリーフルーメンの圧力をより負の圧力に下げるために付加的に吸引を適用する。この負圧が、設定された開弁圧力を下回ると、チェストチューブ・リリーフ弁402が開放され、これにより大気(すなわち、より正の圧力)がシステムに進入可能となる。これにより、ドレナージルーメンに加えられた負圧と組み合わせて、チェストチューブ・ドレナージルーメンが清掃される。チェストチューブ・リリーフルーメンの圧力が一旦設定された弁閉鎖圧力まで高められ戻ると、チェストチューブ・リリーフ弁402が閉鎖され通常のドレナージが継続される。チェストチューブ・リリーフ弁開放圧力は、チェストチューブ・リリーフ弁閉鎖圧力とは異なり、チェストチューブのドレナージが可能である。例えば、チェストチューブ・リリーフ弁の開放圧力は、チェストチューブ・リリーフ弁閉鎖圧力よりも高い圧力である。
【0033】
例えば、弁を横断する差圧が約-10cmH2O、約-20cmH2O、約-30cmH2O、約-40cmH2O、約-50cmH2Oである場合、あるいは約-100cmH2Oほど高い場合には、チェストチューブ・リリーフ弁は開放する。あるいは、例えば、弁を横断する差圧が約-10cmH2O乃至約-20cmH2Oの範囲内、または約-20cmH2O乃至約-30cmH2Oの範囲内、または約-30cmH2O乃至約-40cmH2Oの範囲内、または約-40cmH2O乃至約-50cmH2Oの範囲内、または約-50cmH2O乃至約-100cmH2Oの範囲内あるときに、チェストチューブ・リリーフ弁は開放される。
【0034】
チェストチューブ・リリーフ弁は、同じ範囲で、または開放圧力よりも低い差圧で閉鎖する。例えば、チェストチューブ・リリーフ弁は、約0cmH2O、約-5cmH2O、約-10cmH2O、約-15cmH2O、または約-20cmH2Oの差圧で閉鎖する。あるいは、例えば、チェストチューブ・リリーフ弁は、約0cmH2O乃至約-5cmH2Oの差圧範囲、または約-5cmH2O乃至約-10cmH2Oの範囲、または約-10cmH2O乃至約-15cmH2Oの範囲、または約-15cmH2O乃至約-20cmH2Oの範囲で閉鎖する。
【0035】
チェストチューブ・リリーフ弁は、チェック弁、アンブレラ弁、ボール弁、ベルビル弁、X-フラム弁、クロススリット弁、またはドーム弁を含むが、これらに限定されない様々な周知の形態を取ることができる。これに代えて、弁システムは、バクテリアまたはウイルスが大気から患者の中に侵入することを防ぐために、好ましくはフィルタを有する。
【0036】
別例によるチェストチューブでは、チェストチューブ・リリーフ弁は受動的ではなく能動的であり、制御部によって制御される。
【0037】
チェストチューブのいくつかの実施形態では、チェストチューブ・リリーフ弁はチェストチューブに組み込まれる。いくつかの実施形態では、チェストチューブ・リリーフ弁は、チェストチューブに接続されたコネクタに組み込まれる。チェストチューブのいくつかの実施形態では、チェストチューブ・リリーフルーメンとチェストチューブ・リリーフ弁の両者は、チェストチューブに接続されたコネクタに組み込まれる。
【0038】
いくつかの実施形態では、チェストチューブ・リリーフ弁402は、弁を開放するために必要な差圧、および弁を開放した状態(または弁を閉鎖した状態)に保持するために必要な差圧に実質的な差を有する磁気チェック弁の形態をとり、これにより弁のトグル効果が増幅される。これは、弁が同じ圧力で開閉する場合よりも、リリーフルーメンを介してドレナージメーンを掃気する場合に、より大きな差圧が得られるため、詰まり清掃サイクルの有効性を高めるために好ましい。弁は、液体がチェストチューブに入ってしまうため、液体のドレナージを最大化するとともに連続的なポンピングの必要性を低減するために通常閉鎖される。
【0039】
図5は、チェストチューブ弁の磁気的実施形態を示す。磁気チェストチューブ弁は、ハウジング502、フィルタ504、鉄製プレート506、ガスケット508、磁石510、シールプレート512、位置決めリップ514を含む。弁を横断する差圧が、例えば-50cmH2Oの所望の閾値を上回って増加すると、差圧によって生じる力は、磁石と鉄製プレートとの間の磁力に打ち勝ち、それにより互いに離間する。一旦磁石と鉄製プレートとが互いに離間すると、磁力は(1/r
3)に比例するので、磁力は急速に低下する。これにより、弁を開放した状態に保持するために必要な圧力量は、弁を開放するために必要な圧力よりも小さくなる。この第2の圧力値は、例えば、-10cmH2Oの場合、磁石およびシールプレートが鉄製プレートから離間する最大距離によって決定され、これは、
図5に例示的に示す実施形態では、この距離を設定する、ハウジングの位置決めリップ514によって決定される。
【0040】
図6Aはドレナージチューブにおけるプールされた液体を検知するとともに清掃する胸部ドレナージシステムの機能を示す。セクション「A」では、-10cmH2Oの真空が胸部に適切に伝達される。セクション「B」では、液体がチューブの底に溜まり始め、負圧が低減する(または圧力が増加する)。臨床的に未解決の場合、ドレナージが妨げられる。ただし、セクション「C」では、ドレナージチューブ・リリーフ弁が開放されて、液体がドレナージ容器に洗い流され、これにより、測定されるような適切な負圧と同様に、セクション「D」での適切な吸引の回復が行われる。弁は、通常のドレナージ/圧力が回復した後に閉鎖される。この例では、圧力はチューブ間接続部領域で測定されるが、圧力はシステム内の他の箇所および/または追加の箇所で測定される。例えば、胸部またはチェストチューブにおける、またはその近傍における圧力、さらに、吸引装置におけるまたはその近傍における圧力を測定し、差圧測定を使用して血液/流体の流れの障害やプールや凝固を検知する。
【0041】
制御部は、測定された絶対圧、圧力の変化、2つ以上の箇所の間の差圧、または1つの箇所における差圧により流体排出に対する障害を特定することができる。ドレナージ障害が確認された場合は、アラームを鳴らしたり、かつ/または本明細書の別の箇所に記載するように、制御部が胸部ドレナージシステムの1つ以上の弁の開閉を含む清掃処理を開始する。ドレナージチューブの負圧は、パルス状、逆転状など、他の方法で増加乃至変化する。
【0042】
例えば、チューブ間接続部領域で測定された圧力が-10cmH20乃至-20cmH20付近で読み値が0から-5cmH20に変化した場合、制御部はフィルタリングされた大気にドレナージチューブ弁を開放する。制御部は、この位置に設定時間、例えば5乃至10秒または10乃至30秒間弁を保持し、続いてその弁を通常の位置に戻す。これに代えて、制御部は、チューブ間接続部領域または他の箇所で設定圧力が測定されたときに弁を閉鎖してもよい。制御部は圧力の読み値を確認し、正常に戻った場合はそれ以上何もしない。制御部が正常に戻っていない場合、これは閉塞または減速状態が依然として存在することを示しており、制御部は清掃処理を繰り返す。これは、チューブが清掃されるまで繰り返し行われる。これに代えて、または加えて、反復清掃が必要な場合には、処理が変更されてもよい。例えば、チューブを清掃するために吸引装置によって使用される負圧の大きさが高められ、かつ/または負圧がパルス化されてもよい。清掃処理は、圧力読み取り値に応じて実施されてもよく、かつ/または定期的に自動的に実行されてもよい。
【0043】
図6B乃至6Fは、チェストチューブ内のプールされた液体を検知するとともに清掃する胸部ドレナージシステムの機能を示す。
図6Bは、経時的な胸部ドレナージシステムの圧力を示す。この圧力は、制御部によって測定され、好ましくはドレナージチューブ・リリーフルーメンを介して測定されるが、これに代えて他の箇所で測定されてもよい。
【0044】
図6BのセクションAは、胸部ドレナージシステムの吸引ポンプによって生成される負圧での通常のドレナージを示す。セクションBは、制御部/モニタによって引き出される追加の吸引を示す。この追加の吸引は、周期的に引き出されてもよく、またはシステム内の圧力読取値に基づいて引き出されてもよい。例えば、潮汐振動の存在が制御部によってドレナージシステムでもはや検知されない場合、追加の吸引が引き出される。追加の吸引は、ドレナージチューブ・ドレナージルーメン、チェストチューブ・ドレナージルーメン、そして最終的にチェストチューブ・リリーフルーメンおよびチェストチューブ・リリーフルーメン弁に負圧を伝達する。チェストチューブ・リリーフルーメン弁を横断する差圧が弁開放圧力に達すると、チェストチューブ・リリーフルーメン弁が開放する。弁が受動的であれば、弁は自動的に開放され、弁が能動的であれば、弁は制御部によって開放される。セクションCは、弁が開放しているときの圧力を示す。弁は、設定時間開放した状態を保持する。これに代えて、詰まりが解消されたことを制御部が検知するまで弁は開放された状態を保持してもよい。システム内の負圧または吸引力は、
図6Bに示すように、この段階では安定しているか、
図6Cに示すように、負圧がより負側になっているか、
図6Dに示すように圧力が負になっていない。
【0045】
セクションDは、制御部/モニタによって引き出される吸引の低減の結果として生じる低減する負圧の大きさを示す。システムの圧力が弁の設定された閉鎖圧力に達すると、弁は閉鎖し(または閉鎖され)、流体の排出は通常の方法で継続する。弁閉鎖圧力は、ここに示すように、開放圧力の負圧よりも低い負圧である。弁閉鎖圧力は、通常のドレナージ負圧またはそれに近い圧力である。
【0046】
図6B乃至
図6Dは、異なる状況における負圧の異なる傾きを示す。
図6Bに示すように、チェストチューブ・リリーフルーメン弁を介して空気がシステムに進入する速度は、吸引ポンプが開放弁セクションCの間にシステムを排水する速度と同じである。
図6Cに示すように、ドレナージ速度はシステムに進入する空気の速度よりも高い。
図6Dに示すように、ドレナージ速度はシステムに進入する空気の速度よりも低い。セクションCの圧力曲線の勾配は、制御部と制御部が引き出す吸引量とによって制御される。
【0047】
図6Eは、制御部が通常の排水吸引圧力を「オーバーシュート」してチェストチューブ・リリーフルーメン弁を閉鎖する実施形態を示す。本実施形態の弁閉鎖圧力は、通常の排液圧力の近傍であってもよいし、より負圧でなく(より低い差圧)てもよい。
【0048】
図6Fは、複数のチェストチューブが設けられる実施形態を示す。本実施形態では、システム内の圧力が弁1の開放圧力に達すると、第1のチェストチューブ・リリーフ弁が開放する。システム内の負圧の大きさをさらに大きくして、第2のチェストチューブ・リリーフルーメン弁を開放する必要がある。これは、グラフ上の弁2の開放圧力として示される。1人の患者に使用するチェストチューブの数に応じて、1つ、2つ、またはそれ以上の弁開放圧力がある。複数のチェストチューブ・リリーフ弁の閉鎖圧力は同じであっても異なってもよい。弁の開放を検知する能力は、1つまたは複数のチェストチューブが詰まっているかどうかを判断するのに有用であり、その場合にはアラームまたは通知がなされる。
【0049】
いくつかの実施形態では、胸部ドレナージシステムはpHセンサを備える。術後感染症および膿胸は、医師にとって特に懸念事項である。身体から排出される流体のpHは、これらの状態および他の状態を診断するのに有用であり得る。診断に役立てるために、胸部ドレナージシステムには、制御部にpHモニタを備え、タンク内、チューブ、ポンプ、弁装置、またはシステム内のいずこかにセンサを備える。結果はディスプレイ装置上に表示される。システムは、胸部から排出された流体をサンプリングするためのサンプリングポートをさらに備える。システムは、排水中に添加剤を注入するための注入ポートをさらに備える。これらのポートは、タンク、チューブ、制御部、弁装置、またはシステムの他の場所、例えばチェストチューブ/ドレナージチューブ間接合部に設けられる。
【0050】
図3に示す装置の実施形態(または本明細書に開示されている他の実施形態)では、システムは、キャニスタ内の圧力およびドレナージチューブ・リリーフルーメンの圧力に加えて、キャニスタ/タンクから排出される空気の流量を測定することができる。排出流量は、胸部空洞からの空気漏れの存在および速度を判定するために使用される。システムを所定の吸引レベルに維持するために必要な排出流量は、システムに進入する空気の流量(空気漏れ)と同等である。その理由として、一定の圧力の存在下において、システムに出入りする空気の流量が等しくなければならないことが挙げられる。排出流量は、一体的な吸引ポンプによりキャニスタから排出される空気の流速およびキャニスタ内の空気の流量によって判定される。これらのパラメータは、胸部の空気漏れの有無や、空気漏れ速度や経時的な空気漏れ速度の変化などの他のパラメータを判定するために、制御部によって経時的に追跡される。流速測定は、当該技術分野で周知の任意の数の既製の高感度な空気流センサで行うことが好ましい。流速は、これに代えて、または加えて、タコメータを介して吸引を所定のレベルに維持するのに必要なポンプモータの回転を測定することによって、測定される。収集された流体量の測定は、好ましくは、非接触容量センサを用いて行われるが、光センサ、圧力センサ、音響(超音波などの)センサ、または当技術分野で周知の任意の他の液体レベル検知方法で行われる。いくつかの実施形態では、容量性センサが吸引モニタの内部に取り付けられ、コンテナの近傍またはコンテナに接触している人間の手のような、近接内からの干渉を低減するためにアウトオブフェーズ技術を使用する。このような技術は、レベル電極、基準電極、環境電極、接地電極、および2つのシールド電極を使用する。別例では、吸引モニタと吸引キャニスタとの間の空隙を最小化または除去するために、容量性電極の領域における吸引モニタまたは吸引キャニスタのいずれかに材料の従順層が設けられる。
【0051】
排液量は、空気漏れ判定が有っても無くても測定されるとともに追跡される。
【0052】
データ処理システムの例
【0053】
図7は、本発明の任意の実施形態と組み合わせて使用するデータ処理システムのブロック図である。例えば、システム700は、制御部/モニタの一部として使用される。ただし、
図7は、コンピュータシステムの様々なコンポーネントを示しているが、コンポーネントを相互接続する任意の特定のアーキテクチャまたは方法を表すことを意図するものではない。このような詳細は本発明と密接に関連していないからである。ネットワークコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、モバイル装置、タブレット、携帯電話、およびより少ない数のコンポーネントまたはより多くのコンポーネントを有する他のデータ処理システムもまた、本発明と組み合わせて使用され得ることが理解されるであろう。
【0054】
図7に示すように、データ処理システムの一形態であるコンピュータシステム700は、1つまたは複数のマイクロプロセッサ703、ROM707、揮発性RAM705、および不揮発性メモリ706に連結されるバスまたは相互接続部702を備える。マイクロプロセッサ703はキャシュメモリ704に連結される。バス702は、これらの様々なコンポーネント703、707、705、および706を相互に接続するとともにこれらのコンポーネントをディスプレイ制御部およびディスプレイ装置708ならびに入出力(I/O)装置710に相互接続する。入出力(I/O)装置710は、キーボード、モデム、ネットワークインターフェース、プリンタ、および当技術分野で周知の他の装置を含む。
【0055】
典型的には、入力/出力装置710は、入力/出力制御部709を介してシステムに連結される。揮発性RAM705は、通常、メモリ内のデータをリフレッシュまたは維持するために連続的に電力を必要とするダイナミックRAM(DRAM)として実装される。不揮発性メモリ706は、通常、磁気ハードディスクドライブ、磁気光学ドライブ、光学ドライブ、またはDVD RAM、または電源がシステムから除去された後でもデータを保持する他のタイプのメモリシステムである。通常、不揮発性メモリもまたランダムアクセスメモリでもあるが、これは必須ではない。
【0056】
図7は、不揮発性メモリがデータ処理システム内の他のコンポーネントに直接結合されたローカル装置であることを示しているが、本発明は、例えば、モデムまたはイーサネット(登録商標)インターフェースのようなネットワークインターフェースを介してデータ処理システムに連結されるネットワーク記憶装置などの、システムから遠隔の不揮発性メモリを利用してもよい。バス702は、当該技術分野で周知のように、様々なブリッジ、制御部、および/またはアダプタを介して互いに接続された1つまたは複数のバスを含む。一実施形態において、I/O制御部709は、USB(ユニバーサルシリアルバス)周辺機器を制御するためのUSBアダプタを含む。これに代えて、I/O制御部709は、FireWire(登録商標)装置、SPI(シリアル周辺インターフェース)、I2C(相互集積回路)またはUART(ユニバーサル非同期受信機/送信機)を制御するためのFireWire(登録商標)アダプタとしても周知のIEEE-1394、または任意の他の適切な技術を含んでもよい。
【0057】
前述の詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する演算のアルゴリズムおよび記号表現に関して提示されている。これらのアルゴリズム記述および表現は、データ処理技術の当業者が、その当業者の仕事の内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用される方法である。アルゴリズムは、ここでは一般的に、所望の結果を導く動作の自己一貫したシーケンスであると考えられる。操作は、物理量の物理的操作を必要とする操作である。
【0058】
しかしながら、これらの用語および類似の用語の全ては、適切な物理量に関連付けられるものであり、これらの量に適用される便宜的なラベルに過ぎないことに留意すべきである。上記の説明から明らかなように特に明記しない限り、明細書全体にわたって、以下の特許請求の範囲に記載されているような用語を使用する論議は、コンピュータシステムのレジスタおよびメモリ内の物理(電子)量として表されるデータを、コンピュータシステムのメモリまたはレジスタまたは他の情報記憶装置、送信装置またはディプレイ装置内の物理量として同様に表される他のデータに操作および変換するコンピュータシステムまたは類似の電子計算装置の動作およびプロセスを示す。
【0059】
図示の技術は、1つまたは複数の電子装置に記憶されるとともに実行されるコードおよびデータを使用して実施することができる。このような電子装置は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(例えば、磁気ディスク、光ディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ、フラッシュメモリ装置、相変化メモリ)および一時的なコンピュータ可読伝送媒体、(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号などの電気的、光学的、音響的または他の形式の伝播信号)を使用して、コードおよびデータを格納するとともに通信する(内部的におよび/またはネットワーク上の他の電子装置と)。
【0060】
本明細書の先行する図に示すプロセスまたは方法は、ハードウェア(例えば、回路、専用論理など)、ファームウェア、ソフトウェア(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体上で実施される)、または両者の組み合わせを含む論理を実施することにより行われる。プロセスまたは方法は、いくつかの逐次演算の観点から上記で説明されているが、記載された演算のいくつかは、異なる順序で実行されてもよいことが理解されるべきである。さらに、いくつかの演算は、順次ではなく並列で実行されてもよい。
【0061】
様々な実施形態
【0062】
胸部ドレナージシステムの一実施形態では、1つまたは複数のバルーンを使用して、チェストチューブの詰まりを解消することができる。通常のドレナージ構成では、バルーンが収縮してチェストチューブ・ルーメン内の占有スペースを最小限に抑え、排水を最大限にする。いくつかの例については、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際特許出願PCT/US2015/052960号を参照されたい。詰まりは、システム内の圧力および/または圧力の変化を検知することによって検知する。詰まりは、検知されたとき、または所定の時間間隔ベースで清掃される。詰まりを解消するために、1つ以上のバルーンを膨らませて、チェストチューブを介して吸引キャニスタの方へ詰まりを押し払う。バルーンは、従順若しくは非従順であり、またはその2つのハイブリッドである。従順なバルーンは、内側のチェストチューブ・ルーメンの形状に適合するように使用され、これは、ドレナージチューブが吸引キャニスタに向かって流体(気体または液体)で続いて押し流される際に、チェストチューブをシールすることに使用される。このシールは、押し流す流体が胸部腔に浸入することを防止する。これに代えて、非従順バルーンが、詰まりを圧縮するとともに除去するために相当な力を生成することに使用されてもよい。これは、堅固な、またはより固い詰まりで特に有用である。
【0063】
両方の目的を達成するために、これらのバルーンの組み合わせを使用することができる。例えば、非従順バルーンは、
図8に示すように従順層と結合する。
図8は、従順層802および非従順層804を有するバルーンを示す。別例では、バルーンはバルーン間の弁を介して指向的に膨らんでもよく、またはそれぞれ個別の膨張ルーメンを有してもよく、これらをそれぞれ順次膨らませてもよい。これに代えて、バルーンは、膨張したとき内側のチェストチューブ・ルーメンの壁部に対して指向的に膨張するように、先端ほど細くなる形状にあるとともに準従順であってもよい。これはバルーン902を示す
図9に、チェストチューブ904のドレナージルーメンの内側にバルーン902が膨らんでいる態様で示される。
【0064】
バルーンは、バルーン1002およびチェストチューブ1004のドレナージルーメンの内壁を示す
図10に示すように、アコーディオン様の態様で指向的に膨張し、バルーンおよび/またはひだの形状により膨張の方向が制御される。
【0065】
別例では、バルーンは、
図11Aおよび
図11Bに示すように、チェストチューブ自体に埋め込まれてもよく、例えば、共押し出しされた内壁が膨張乃至拡張してチェストチューブ・ドレナージルーメンを満たすように内側に圧縮する。両図は、収縮したバルーン1102、膨張したバルーン1102’、チェストチューブ・ドレナージルーメン1104を示す。
図11Aは、同心円状の構成を示し、
図11Bは、ずれた構成を示す。
【0066】
別例では、バルーンを使用して、チェストチューブのドレナージルーメン内の任意の詰まりやチェストチューブにエネルギーを供給し、詰まりを破壊乃至溶解させる。これは、熱エネルギー、光エネルギー、音響エネルギー、またはマイクロ波エネルギーを含む。いくつかの実施形態では、バルーンは、詰まりに対する圧縮力を増加させ、切断/破砕機構として作用し、かつ/または、バネとして作用して、上述したような膨張方向/形状を制御するために、ニチノールコイルのような補強構造体を有する。バルーン膨張流体は気体でも液体でもよい。膨張流体は無菌である。無菌である場合、
図12に1202として示すように、例えば、無菌膜(例えば、0.2μmの孔径を有するもの)を横断するように流体を送達するか、または流体を膨張および収縮サイクルのための無菌タンクに貯蔵することによって、滅菌する。
【0067】
ドレナージシステムの別の実施形態は、磁気ガイドワイヤを使用して、詰まりのチェストチューブを清掃する。ガイドワイヤは、ソレノイドと同様にガイドワイヤが断続的にチェストチューブ内外に移動するように外部電磁石を作動させることによって駆動される。
図13に本実施形態を示す。
図13は、磁気ガイドワイヤ1302および電磁石1304ならびにガイドワイヤの端部における詰まり移動要素1306を示す。
【0068】
胸部ドレナージシステムの他の実施形態は、チェストチューブ壁部への詰まりの付着を防止する。一実施形態では、超音波エネルギーなどの振動エネルギーが用いられる。別例において、チェストチューブは、PTFEのような付着を防止するための材料から形成またはコーティングされる。別例において、付着防止は、ヘパリンまたは血栓溶解剤のようなコーティングまたは薬物を用いて凝塊の粘度を低下させることによって達成される。
【0069】
別例において、
図14A乃至
図14Cに示すように、押し流し機構がチェストチューブの患者側のバルーンに組み込まれ、一旦バルーンが完全に膨張すると、フラッシュポートが露出され、これにより、流体はプールされた液体がドレナージチューブを通って吸引キャニスタ内に流れるように液体を押し流す。フラッシュポート1414を備えたバルーン1412が、チェストチューブ1410に示されている。一事例において、フラッシュポートはバルーンの壁部に微細孔を含む。
図14Aは、収縮したバルーンを示す。
図14Bは、部分的に膨張したバルーンを示す。
図14Cは、完全に膨張したバルーンを示し、チェストチューブ1410内の押し流し流体の方向を示す。
【0070】
別例において、バルーン弁のような複数の弁を用いてチェストチューブをシールまたは本質的にシールし、これにより、凝固物/閉塞を除去するためにドレナージチューブおよび/またはチェストチューブを吸引することができる。1つ以上のバルーンは、
図15A乃至15Dに示すように、胸部腔を正の圧力からシールしながらプールされた液体を収集容器に押し流すために、チェストチューブおよび/またはドレナージチューブに正の圧力をさらに付与する。
図15Aは内側ルーメン1502を備える弁装置1500を示す。弁装置は、チェストチューブ、ドレナージチューブの一部であってもよいし、好ましくはチェストチューブとドレナージチューブとの間の個別の装置であってもよい。開口部/ポート1508に加えて、バルーン弁1504および1506が示されている。
図15に、開放された、弁装置のルーメン1502を示す。弁装置は、以下の工程で作動する。
【0071】
工程1:ルーメン1502は、バルーン弁1506を膨張(または閉鎖)することによってドレナージチューブに対して閉鎖される。ルーメンはチェストチューブに開放された状態を保持する。ルーメン1502に開口部1508を介して負圧を加えることにより、チェストチューブ・ルーメンに真空が加えられる。チェストチューブ・ルーメンに加えられた負圧は、チェストチューブ内の詰まりを取り除くために使用される。
図15Bにこの工程を示す。
【0072】
工程2:バルーン弁1506が収縮(または開放)され、バルーン弁1504が膨張(または閉鎖)される。開口部1508を介してルーメン1502に正の圧力が加えられる。これは、胸部腔内に正の圧力をかけることなく、強制的に閉塞部をドレナージチューブに押し通すように機能する。
図15Cにこの工程を示す。
【0073】
工程3:バルーン弁1504を収縮させ(または開放して)、胸部ドレナージを正常に進行させる。開口部1508との流体連通の際に弁および/またはフィルタを使用する。
図15Dにこの工程を示す。
【0074】
これらの工程は、チェストチューブを清掃するために複数回繰り返されてもよい。繰り返しは、予め設定されたスケジュールに基づくものであってもよく、あるいは、チェストチューブの閉塞部の存在が検知されたかどうかに基づいて設定されてもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、工程1の間、チェストチューブの患者側は、例えばチェストチューブ・リリーフルーメンを介して大気に通気され、滅菌空気によりチェストチューブから詰まりが除去可能である。
【0076】
ドレナージシステムの別の実施形態は、
図16Aに示すように、チェストチューブおよびドレナージラインの手動による間欠的押し流しのためにフラッシュポートを使用する。チェストチューブ1602は、フラッシュポート1604とフラッシュ開口部1606とを含む。一実施形態では、フラシュポートは押し流し前に確実に無菌性を確保するために拭き取ることができる。一実施形態では、ドレナージチューブがクランプされ、押し流す流体がチェストチューブおよび肋膜腔に注入されるが、ドレナージチューブがクランプを外され、チェストチューブの開通が回復すると、その後排水される。一実施形態において、フラッシュポートは、チェストチューブの患者側(近位側)端部で終端するチェストチューブ・リリーフルーメンなどのルーメンに接続され、これにより、押し流す流体は、チェストチューブを通ってドレナージチューブおよび吸引キャニスタに向かって注入され、ドレナージチューブは押し流し前にチェストチューブをシールすることによってクランプが外される。これは、
図16Bに示すように、バルーン1608、またはチェストチューブ・ルーメン内に配置される他の弁によって達成される。押し流す流体は、空気、水、生理食塩水、ヘパリン、組織プラスミノーゲンアクチベーターなどの血栓溶解剤、または任意の他の適切な流体であってもよい。
【0077】
関心のある胸部ドレナージシステム・モニタの生理学的パラメータの別の実施形態。一実施形態において、圧力が監視される。例えば、胸部内部の圧力を検知するとともに監視して、加えられた負圧および/または正圧が確実に胸部腔に適切に伝達されていることを確認する。または、例えば、胸膜および/または心膜の圧力を監視して治癒を追跡してもよい。あるいは、例えば、チェストチューブの遠位端と近位端との間の差圧を監視して、確実にチェストチューブを開通させる。あるいは、例えば、ドレナージチューブまたは収集キャニスタの近位端および/または遠位端におけるチェストチューブの遠位側(非患者側)端部の圧力を、チューブの開通を示す潮汐振動について監視してもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、排水された胸部流体(気体、液体、またはその両者)の容量および/または流速を経時的に測定および監視する。別例では、(患者の肺からの)空気漏れの容量および/または流速が、創傷治癒を監視するために測定される。別例では、排液された流体のpHが感染を監視するために測定される。コンダクタンス、分光学的シグネチャ、タンパク質含量、排出された流体の比重などの追加のパラメータも、患者の回復を監視するために測定される。これらの測定値のいずれも、1回の測定または経時的な複数回の測定であってもよい。経時的に作成されるとともに収集される測定値に関して、制御部はこれらのデータを傾向について分析する。これらのデータは、病院の電子カルテシステム(通信可能か、データを取得することができる)と統合され、かつ/または有線または無線のいずれかによって接続された装置または接続されたモニタの画面上に表示される。いくつかの実施形態では、アラームまたは通知は、パラメータがユーザによってプリセットまたは設定される特定の閾値を超えたときに、制御部によって起動される。これらは、視覚的および/または可聴のアラームまたは通知であってもよい。これらのデータは、例えば、胸部の吸引が所定のレベル以下に低下したときにラインパージが作動するように、または潮汐振動が低減したときに詰まり除去が作動するように、装置のラインパージおよび詰まり除去機能に対してさらに入力されてもよい。
【0079】
ドレナージシステムの別の実施形態は、安全要素を利用して、本明細書に記載されるようにバルーンを膨張させたり、チェストチューブおよび/またはドレナージチューブを押し流す際に、危険な圧力が発生するのを防止する。一実施形態において、膨張または押し流しをするために使用されるポンプは、生理学的に安全と考えられる範囲の亀裂圧を有する安全弁に接続され、例えば約-20cmH2O、-40cmH2Oまたは-70cmH2O未満の吸引が防止される。ポンプは、制御システムを備えた圧力センサと接続し、圧力が安全範囲外にある場合にはポンプがオフにされる。
【0080】
弁装置の別の実施形態は、
図17A乃至
図17Dに示すように、チェストチューブから潜在的な詰まりを取り除くために追加で吸引する吸引タンクを含む。これらの図に、チェストチューブとドレナージチューブとの間に配置されるか、ドレナージチューブまたはチェストチューブと一体的に設けられる弁装置1700を示す。弁装置1700は、ルーメンポート1706が設けられた内側ルーメン1716と、胸部側の弁ポート1704が設けられた胸部側の弁1702と、ドレナージ側弁ポート1714が設けられたドレナージ側弁1712と、チャンバポート1718が設けられたチャンバ1710とを備え、チャンバ内には拡張可能な弁1708が設けられる。
【0081】
本実施形態では、拡張可能な弁1708は、チャンバポート1718を介してチャンバ1710内の吸引を引く(または負圧を加える)ことによって拡張される。このようにして、拡張可能な弁1708は、チェストチューブ内で追加の吸引を生成することができる。この吸引は、膨張/収縮可能なバルーン弁として図示される追加の弁1702および1712によって配向され、弁1716を一時的にシールする。一連の事象は次のとおりである。
【0082】
工程1:弁1712を介してルーメン1716をシールし、ドレナージチューブからチェストチューブをシールする。これは、ポート1714を介して弁1712に圧力を加えることによって行われ、弁1712を膨張させて、弁装置1700のドレナージチューブ側のルーメン1716を閉鎖する。
図17Bにこれを示す。
【0083】
工程2:弁1708を拡張することにより、チェストチューブにさらなる吸引力が加えられる。これは、ポート1718を介してチャンバ1710に吸引力を加えることによって行われる。
図17Bにこれをさらに示す。
図17Bにおいてルーメン1716の実線矢印で示すように、これはチェストチューブに追加の吸引力を加える。
【0084】
工程3:弁装置のチェストチューブ側は、続いて弁1704を介して弁に圧力を加えることによって、弁1702を介してシールされる。
図17Cにこれを示す。
【0085】
工程4:弁装置のドレナージチューブ側は、続いて弁1712に加えられた圧力を解放する(または真空を適用する)ことによって開放される。拡張可能な弁1708は、ポート1718を介してチャンバ1710に加えられた真空を解放する(または圧力を加える)ことによっても中立状態に戻される。ポート1706(本明細書ではドレナージチューブ・リリーフルーメン・ポートとも呼ぶ)は、フィルタリングされた大気をルーメン1716に進入させる。拡張可能な弁1708の解放または加圧は、流体が再び収集容器内に正常に排出されるように、ドレナージルーメンの閉塞物を押し流すのに十分である。必要に応じて、ドレナージチューブを押し流すために、ポート1706を介してルーメン1716に追加の圧力を加えてもよい。これに代えて、またはそれに加えて、ドレナージチューブに加えられる負圧を増加させてもよい(より負側にする)。
図17Cにこの工程をさらに示す。
【0086】
工程5:弁1704を介して適用される圧力を解放する(または真空を適用する)ことにより、弁1702を開放する。ルーメン1716は全開になり、排水は正常に再開する。
図17Dにこれを示す。
【0087】
これらの工程は、ドレナージチューブを清掃するために必要に応じて繰り返されてもよい。これらは設定された時間間隔で繰り返されてもよい。これらはドレナージラインが清掃されるまで連続的に繰り返されてもよい。ドレナージチューブが閉塞している場合の必要なときにのみこれらを繰り返してもよい。
【0088】
ポート1706は常に開放されるか、例えば、必要に応じて開閉するために、ソレノイドによって、すなわち制御部によって、制御してもよい。ルーメンからポート1706は、本明細書でドレナージチューブ・リリーフルーメンとも呼ぶ。
【0089】
図17A乃至17Dに示すすべてのポートは、制御部によって制御されるラインに接続される。ポートおよび/またはラインは、フィルタ/膜を備え、汚染物質がシステムに侵入することを防止する。
【0090】
いくつかの実施形態では、チャンバ1710および弁1708は使用されず、チャンバおよびチャンバ弁に関連付けられる工程のコンポーネントは取られない。
【0091】
図18Aおよび
図18Bは、胸部ドレナージシステムを用いて空気漏れを測定する方法を示す。チェストチューブおよびドレナージチューブが閉塞していない場合は、胸部内の圧力を制御部で測定するとともに監視して、空気漏れの速度を計算する。
図18Aに示すように、例えば、ドレナージ側弁1712を使用して、ドレナージキャニスタから胸部をシールし、ドレナージルーメンと流体連通するルーメンを用いて、例えば、ポート1706またはチェストチューブ・ルーメンと流体連通する任意の他のルーメン、例えばチェストチューブまたはドレナージチューブ・リリーフルーメンを介するなどして圧力を測定する。チェストチューブが真空源からシールされている場合に、チェストチューブ・ルーメンの負圧は制御部で測定でき、患者に空気漏れがある場合減衰する。この減衰は、経時的に制御部によって測定されるとともに空気漏れ速度(mL/分)に変換される。
図18Bに空気漏れが存在する場合のチェストチューブ内の経時的な圧力のグラフを示す。
【0092】
これに代えて、
図19に示すように両弁(1702および1712)を開放した状態に保持するとともに吸引キャニスタ内のウォーターシールチャンバ内の気泡に起因する圧力急上昇を監視することによって、空気漏れを測定してもよい。圧力は、開口部1706またはルーメン1716と流体連通している任意の他の領域を介して測定してもよい。好ましい実施形態では、この方法は、急上昇が気泡から容易に検知されるように、ハイパスフィルタと直列に接続された高感度圧力センサを使用する。本明細書に開示された空気漏れ検知の様々な方法は、独立してまたは組み合わせて使用される。
【0093】
装置の別の実施形態では、胸部内で測定された(チェストチューブ・リリーフルーメンを介した)圧力とチェストチューブのちょうど遠位側の、すなわちチューブ間接続部領域の(ドレナージチューブ・リリーフルーメンを介した)圧力とを比較することによって詰まり検知が行われる。これらの圧力は互いに比較され、圧力が一定量異なる場合、例えば、5cmH2Oの場合、これはチェストチューブの詰まりを示す。これに代えて、胸部内の圧力だけを監視してもよく、例えば、約0cmH2Oよりも大きい所定量増加する場合、これも、チェストチューブに詰まりが存在することを示す。例えばこれらの方法のいずれかによって詰まりが検知された場合、制御部は、本明細書に開示される詰まり除去機構のいずれかを自動的に駆動する。加えて、(ドレナージチューブ・リリーフルーメンを介して)チェストチューブの遠位側の圧力を監視し、また所定の閾値、例えば、-35、-30、-25、-20、-15、-10、-5、または0cmH2Oを超えて圧力が上昇した場合にドレナージラインのパージを駆動することにより、同様の自動化をドレナージラインパージ機構に適用してもよい。
【0094】
詰まりが検知されると、装置は、差し迫った心タンポナーデを医師にさらに警告する。
【0095】
図20は、一実施形態によるチェストチューブ断面をより詳細に示し、チェストチューブ・リリーフルーメン2002およびチェストチューブ・ドレナージルーメン2004を示す。いくつかの実施形態では、リリーフルーメン2002は、ドレナージルーメン2004よりも断面積が相当小さい。ドレナージチューブ・リリーフルーメンおよびドレナージルーメンについても同様のことが言える。例えば、チェストチューブとドレナージチューブのいずれかのドレナージルーメンの断面積は、関連付けられるリリーフルーメンの断面積よりも約5乃至約10倍大きい。あるいは、例えば、チェストチューブとドレナージチューブのいずれかのドレナージルーメンの断面積は、関連付けられるリリーフルーメンの断面積よりも約10倍乃至約20倍大きい。あるいは、例えば、チェストチューブとドレナージチューブのいずれかのドレナージルーメンの断面積は、関連付けられるリリーフルーメンの断面積よりも約20乃至30倍大きい。あるいは、例えば、チェストチューブとドレナージチューブのいずれかのドレナージルーメンの断面積は、関連付けられるリリーフルーメンの断面積よりも約30乃至40倍大きい。
【0096】
図21に一実施形態による弁装置を示す。円筒形のハウジング内には
図17A乃至17Dに示すようなバルーン弁(拡張可能な弁を含む)が設けられる。
図21は、弁装置をチェストチューブおよびドレナージチューブ、並びにリリーフルーメンに接続するポイントを示す。かかり部2102はチェストチューブのドレナージルーメンに接続し、かかり部2106はチェストチューブ・リリーフルーメンに接続し、5つの空気圧コネクタ2108,2110,2112,2114,2116は、チェストチューブ・リリーフルーメンかかり部2106、
図17Aの胸部側の弁ポート1704、ルーメンポート1706(本明細書ではドレナージチューブ・リリーフポートとも呼ばれる)、チャンバポート1718、ドレナージ側弁ポート1714にそれぞれ接続する。空気圧コネクタは、任意の順序でよい。かかり部2118はドレナージチューブ・ドレナージルーメンに接続する。空気圧コネクタの他端はモニタ/制御部に接続し、空気圧は制御部によって制御される。
【0097】
図22は、これらの関係を、チェストチューブ2202、リリーフルーメンかかり部2106、ドレナージチューブ2204、および空気圧コネクタ2106乃至2116を示すことによりさらに示す。
【0098】
図23は、チェストチューブ2302、ドレナージチューブ2310、弁装置2304、およびモニタ/制御部2306を含む、一実施形態による使用中の胸部ドレナージシステムを示す。本実施形態では、システムは標準的な吸引装置/キャニスタ2308に接続されている。本実施形態では、弁装置は、チェストチューブとドレナージチューブとの間に吸引キャニスタと連通して接続されており、モニタは、患者のベッドサイド、IVポール、またはそれに限定されない最も便利な箇所に配置されるか、吸引キャニスタに直接搭載される。
【0099】
図24に弁装置から来る空気圧コネクタとモニタとの接続を示す。
図24に、
図21の空気圧コネクタ2106乃至2116に接続するモニタ側空気圧コネクタ2402を示す。空気圧コネクタ2402は、弁装置のリリーフルーメンとバルーン弁とをモニタ2404内のポンプとソレノイドに接続する。コネクタは好ましくは所定の位置にスナップ陥入し、
図25に示すようにガスケット2502でモニタに対してシールする。好ましくは、接続部は、システムの患者側のルーメンをモニタ側のルーメンと分離し、それによって汚染または液体の侵入を防止するための無菌および/または液体バリアとして作用する膜を含む。
【0100】
さらなる別の実施形態では、
図26に示すシステムを使用して、チェストチューブの詰まりの除去およびドレナージラインパージ活動を達成することができる。全長リリーフルーメン2604は、吸引キャニスタ/タンク2606からドレナージチューブ2610、弁装置2602、チェストチューブ2608を介して、チェストチューブの近位先端(患者側)までシステムの長さを延びる。本実施形態では、チェストチューブから詰まりを取り除き、同じ工程で吸引キャニスタに吸引を行い、全長リリーフルーメンを開放し、空気をシステム全体から除去できるようにして、ドレナージラインからプールされた液体を排除する。ラインの清掃は、設定された間隔で、または(リリーフルーメンを介して測定された)胸部の圧力が所定の閾値、例えば、-35、-30、-25、-20、-15、-10、-5、または0cmH2Oを上回ったときに、またはこれらの方法の組み合わせで実行される。また、本実施形態では、バルーン弁は、弁装置2602内に設けられても設けられなくてもよい。設けられない場合は、本明細書に記載されているようにシステム全体の圧力を測定するとともに減衰を監視することによって、空気漏れ測定を達成することができる。これに代えて、空気漏れは、
図19に示すように気泡を監視することによって測定することができる。これに代えて、または加えて、空気漏れは、インライン流量センサを使用してシステムを流れる空気を直接測定することによって、あるいはシステムの適切な吸引を維持するように吸引ポンプによって移動される空気の量を測定または判定することによって、測定されてもよい。例えば、タコメータを使用して、吸引ポンプを駆動するモータの回転数を測定してもよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、患者の電子カルテ(EMR)に、および/または患者の電子カルテからデータを送信するために、制御部は、有線または無線のいずれかのネットワークに接続される。制御部は、制御部/モニタ自体上に、かつ/またはEMRまたは医師の電話、タブレット、腕時計などに通知および/または安全アラームを送信することによって、患者のステータスをさらに通知する。加えて、システムは、無線または有線技術を介して他のシステムと接続し、例えば、
図24に示すモニタ、
図24に示す空気圧コネクタ、および/または
図21に示す弁装置の間など、コンポーネント間で無線通信する。
【0102】
別例では、
図27A乃至
図27Dに示すように、バルーン弁の数を低減し、かつ/またはリリーフルーメンポートを別の箇所で弁装置と一体的に設ける。本実施形態に関連付けられる工程は、次の通りである。
【0103】
工程1:内側ルーメン2716をシールして、ドレナージチューブからチェストチューブをシールする。これは、チャンバポート2718を介してチャンバ2710に正の圧力を加えることによって行われる。
図27Bに示すように、これにより、ルーメン2716をシールする拡張可能な弁2708を閉鎖する。
【0104】
工程2:フラッシュルーメンポート2706を大気圧に開放するか、またはルーメンポート2706に正圧を加えることにより、ドレナージチューブを押し流す。
図27Bにこれをさらに示す。
【0105】
工程3:ドレナージ側弁ポート2714を介してバルーンに圧力を加えることにより、続いてドレナージ側バルーン弁2712を閉鎖する。
図27Cにこれを示す。
【0106】
工程4:チャンバ2710のチャンバポート2718を介して拡張可能な弁2708に負圧を加えることにより、チェストチューブを追加の負圧にさらす。ルーメンポート2706はこの工程中に閉鎖される。
図27Cにこれを示す。この工程のチェストチューブ(図示しない)は、好ましくは追加の負圧が加えられたときに滅菌空気が患者の側からチェストチューブ・ドレナージルーメンに進入するように制御可能に開放されるリリーフメーンを有し、これにより清掃の効果が高められる。ルーメン2716は全開になり、排水は正常に再開する。
図27Dにこれを示す。
【0107】
別例では、バルーン弁2712は、以下の工程のように取り払われる。
【0108】
工程1:内側ルーメン2716をシールして、ドレナージチューブからチェストチューブをシールする。これは、チャンバポート2718を介してチャンバ2710に正の圧力を加えることによって行われる。
図27Bに示すように、これにより、ルーメン2716をシールする拡張可能な弁2708を閉鎖する。
【0109】
工程2:フラッシュルーメンポート2706を大気圧に開放するか、またはルーメンポート2706に正圧を加えることにより、ドレナージチューブを押し流す。
図27Bにこれをさらに示す。
【0110】
工程3:拡張可能な弁2708を中立位置に戻すとともにチェストチューブ・リリーフルーメン(図示しない)を開放することにより(図示しない受動的または能動的のいずれかの弁を介して)空気を通すことによりチェストチューブのドレナージルーメンを掃き出すことによりチェストチューブを清掃する。
【0111】
このアプローチにより、付加的な負の吸引が引かれるときにのみ使用されるバルーン弁2712および弁ポート2714が不要となる。これらの工程の両者は、定期的に制御部によって実行されてもよい。これに代えて、チェストチューブ・リリーフルーメンおよび/またはドレナージチューブ・リリーフルーメンはいつでも開放した状態を保持するか、任意により所望に応じてユーザが手動でキャップするか、制御部により閉鎖されてもよい。
【0112】
他の実施形態では、本明細書の実施形態のいずれかに開示されているように、バルーン弁をシールするとともに吸引を行う動作は、例えば
図12に示すシステムと同様に、ユーザが手動で行ってもよい。いくつかの実施形態では、手動式弁コネクタにより、1つまたは複数のシリンジを取り付けることができ、これを用いてドレナージラインをパージするためにバルーン弁をシールするとともに追加の吸引力および/または正圧を生成することができる。いくつかの実施形態では、手動式弁装置は、1)閉鎖、2)胸部側またはドレナージ側バルーン弁と連通、または3)より大きな拡張可能な弁と連通するように構成可能な弁を使用する。このようにして、ユーザはまずバルーン弁に接続し、正圧を加えてシールを形成し、次いでより大きな拡張可能な弁に接続して追加の吸引力を生成することができる。ここに記載されているリリーフルーメン(ドレナージチューブ・リリーフルーメンおよびチェストチューブ・リリーフルーメンのいずれか)は、自動または手動で作動させることもできるし、これに代えて、ここで詳細に説明するように、圧力が一定の閾値を超えて上昇した場合に亀裂を生じるチェック弁によって受動的に作動させることもできる。
【0113】
代替的な実施形態では、正圧および吸引を生成する手段は、液体タンクのような弁装置自体の内部に設けられ、これにより、作動のための個別のシリンジは必要とされない。
【0114】
図28A乃至
図28Cに、胸部空気漏れを測定する方法をより詳細に示す。本実施形態では、チェストチューブとドレナージチューブは、本明細書に記載の方法によって清潔に保たれる。空気漏れは、比較的高い空気漏れ流速および比較的低い空気漏れ流速の両方で監視されるとともに定量化される。標準的な吸引が適用されると、胸部内の圧力は負になる。
【0115】
比較的低い流速の存在下で、チャンバポート2818を介してチャンバ2810に正圧が加えられ、
図28Bに示すように、拡張可能な弁2808が閉じられ、ルーメン2816をシールする。その後、胸部内の圧力は、ルーメンポート2814を介して監視される。空気漏れがある場合、測定される負圧は、流入する空気が胸膜腔に入るにつれて負でなくなる。
図29は、2つの異なる低流速空気漏れ速度測定の経時的な圧力の例を示す。上のグラフは、小さな空気漏れがある場合の経時的な圧力減衰を表し、下のグラフは、より大きい空気漏れ(なお比較的低い流速)がある場合の経時的な圧力減衰を表す。圧力変化の大きさは、点1と点2を交差する線の傾きによって示される。圧力が増加する速度(ΔP/Δt)は、体積の空気漏れ速度(ΔV/Δt)に変換される。点1および点2は、例えば
図28Bに示すようにシールを形成した後に0.5および1秒の測定を行うために、時間のみに基づいて決定される。これに代えて、点1および点2は、絶対値(例えば、圧力が-10cmH2O乃至-5cmH2Oよりも大きくなった場合)または相対値(例えば、圧力がベースラインに対して2cmH2O乃至4cmH2Oだけ増加した場合)のいずれかの圧力値に基づいてもよい。
図30にこの技術を示すベンチトップデータの例を示す。この例は、圧力変化率を空気漏れに変換するために2次多項式近似を利用する。
【0116】
比較的高い流速が存在する場合には、バルーン弁2804を介して正圧をかけてバルーン弁2802を閉鎖してルーメン2816をシールし、これにより、ドレナージチューブのドレナージルーメンからチェストチューブのドレナージルーメンをシールする。
図28Cにこれを示す。続いてルーメンポート2814を介して圧力を監視して、(ドレナージチューブにかけられる負圧による)吸引のみによるベースライン圧力値を決定する。その後、バルーン弁2802を開放し、再びルーメンポート2814を介して新たな圧力値を測定する。空気漏れ速度が高い場合、急速な空気の流入のために、上記2つの圧力測定値の間に検知可能な差が大きくなる。
図31にこれを示す。上側のグラフは比較的小さい空気漏れ(なお高い流量であるが)がある場合の差圧を示し、下側のグラフはより大きい空気漏れがある場合の差圧を示す。これら2つの測定値の差の大きさ(ΔP)は、容積式空気漏れ速度(ΔV/Δt)に変換される。
図32にこの技術を示すベンチトップデータの例を示す。この例は、線形適合性(linear fit)を使用して圧力変化率を空気漏れに変換する。
【0117】
低流量シナリオおよび高流量シナリオについて示される空気漏れを判定する同じ方法が、ルーメンポート2814に対して
図28のバルーン弁の位置を交換することによっても実行される。この場合、低流量を測定するときにはバルーン弁シールが膨張/閉鎖され、高流量を測定するときはより大型の拡張可能な弁が膨張/閉鎖される。
【0118】
装置の一実施形態は、モニタ2404(
図24)内の空気カセットモジュール2402(
図24)の存在および適切な配置を検知する方法を含む。この検知情報は、装置の機能の開始または停止、装置の特定の要素の起動または停止、サウンドアラームおよび/または装置上の警告メッセージの表示などに使用される。
【0119】
カセット検知のための1つの方法は、カセットの存在および適切な配置を検知するための赤外線(IR)エミッタおよびレシーバを使用する。このIRセンサは、カセット表面の反射率を測定する。情報は、装置の機能に通知するために使用される。カセットの反射率は、様々な反射率値が可能となるように変更される。カセットの反射率は、反射率を調整するために、色、幾何学的形状、または色と幾何学の任意の組み合わせを変更することによって制御される。
図33に、色と反射率の読み取り値との間の関係を示す。ここで値の可能な範囲は0乃至100%である。
図34に、表面の角度と反射率の測定値との間の関係が白い表面に関して示されており、ここでも可能な値の範囲は0乃至100%である。
【0120】
カセット検知のための別の方法は、測定される表面を照らすためにLEDを取り付けたカラーセンサを使用する。このカラーセンサは、赤および/またはシアンのような特定の色の様々なレベル、光強度、光温度、およびこれらの測定基準の任意の組み合わせを検知することができる。一実施態様では、カセットの色は、装置の2つ以上の所望の機能設定を区別するために使用されてもよい。別例では、カセットは、所定の量の光をセンサに到達させる要素を有し、これにより、可変光強度を用いて装置の機能設定を制御してもよい。別例では、カセットは、センサに到達する光の温度を変更する要素、例えばライトフィルタを有し、これにより、可変光温度を使用して装置の機能設定を制御してもよい。
【0121】
カセット検知のための別の方法は、カセット内に位置する磁石の存在を検知するためにホール効果センサを使用する。この磁気センサは、磁石およびホール効果センサの配置を規定することによって、カセットがモニタのロック位置に完全にかつ適切に確実に配置されるように使用され、これにより、カセットが完全に装着されるとともに適所にロックされたときにのみ検知が行われる。
【0122】
カセット検知のための別の方法は、IRゲートセンサを使用して、モニタ内のカセットの存在を検知するとともに、確実にモニタ内に適切に配置を行う。カセットは、IRゲートセンサと相互作用する1つ以上の要素を含み、モニタ内のカセットの配置に関する情報を提供する。
【0123】
カセット検知のための別の方法は、UV光センサを利用して、モニタ内のカセットの存在および適切な配置を検知する。カセット間のばらつきを許容するために、センサに到達することができるUV光の量を変更する要素をカセットに追加する。これは、例えば、UVフィルタ、カセット内の通路、開口部、鏡、またはこれらの要素のいくつかの組み合わせを使用して達成される。
【0124】
カセット検知のための別の方法は、容量検知を含み、これによりカセットは、例えば、カセットに埋め込まれた、またはカセットに取り付けられた金属ストリップの寸法に応じて、様々なレベルの絶縁耐力を有する。モニタ内の容量性センサは、この様々な容量レベルに応じて様々なカセットを区別することができる。
【0125】
装置の一実施形態は、空気漏れ測定基準を測定および定量する方法を含み、これらはモニタまたは他の場所の画面を介して続いて表示される。この情報は、装置の機能の開始または停止、装置の特定の要素の活性化/非活性化、アラームの鳴らしおよび/または装置上の警告メッセージの表示、医師への情報提供、ならびに胸部からの流体の適切な除去に関連する他の動作のために使用される。これらの動作は、手動または自動で制御部によって実行される。
【0126】
空気漏れデータを表示する1つの方法は、特定の空気漏れ予兆が発生した直前のX時間にわたる測定のパーセンテージを示すことによって、当該予兆の発生を記述することを含む。空気漏れ予兆は、高流量の場合は「持続」、中流量乃至低流量の場合は「間欠」、流量のない場合は「なし」を含む/に等しい。
図35に示すように、この情報は、例えば、図形的に棒グラフ3502または円グラフ3504、またはテキストおよび数字を用いた表示(3506)で提示される。
【0127】
空気漏れデータを提示するための他の方法は、例えば1乃至48時間の期間にわたり傾向流速データをグラフ化することを含む。空気漏れ流速の情報は、例えば、インライン流量センサ、圧力センサ、またはポンプタコメータを用いて収集される。
図36に示すように、空気漏れ流速の傾向データは、例えば、過去の数時間の時間に対して(ml/分)として表される。ここに示されている圧力は、かかり部(またはチューブ間接続部)で測定される。
【0128】
空気漏れデータを提示するための別の方法は、例えば1乃至48時間の期間にわたる傾向空気漏れ予兆をグラフ化することを含む。空気漏れ予兆情報は、例えば、胸部またはチェストチューブ圧力の変化を容積流量に関連付けるアルゴリズムを使用して、または例えば-5cmH2Oの圧力閾値を定義し、その値に達する時間を予兆に関連付けて計算される。
図37に示すように、空気漏れ予兆の傾向データは、例えば、過去X時間のような過去の時間に対して「持続」、「間欠」、および「なし」として表される。
【0129】
空気漏れデータを提示するための他の方法は、例えば、ボタンを押すことによって開始される瞬時測定を含む。
図38に示すように、瞬時測定のプロンプトは、ハイライトされた矢印、物理的ボタン、仮想ボタン、グラフィックなどであってもよい。提供される情報は、例えば、「持続」、「間欠」、「なし」または同等の用語のような、例えば流速(ml/分)または空気漏れ予兆の形式である。
【0130】
装置の一実施形態は、ディスプレイまたは画面を介して表示される詰まり清掃メトリックを測定および定量化するための方法を含む。この情報は、装置の機能の開始または停止、装置の特定の要素の活性化/非活性化、アラームの鳴らしおよび/または装置上の警告メッセージの表示、医師への情報提供、ならびに胸部からの流体の適切な除去に関連する他の動作のために使用される。
【0131】
詰まり清掃データを提示する1つの方法は、例えば、1乃至48時間のような一定時間にわたって清掃される詰まりの数を表示することを含み、時間の範囲は、ユーザによって設定されてもよく、または予め設定されてもよい。
図39に示すように、表示される情報は、例えば、「清掃された詰まり数」の表示された計量の説明、計量に関連付けられた数または量、例えば、清掃された詰まりの数、および計量が行われた時間間隔を含む。
【0132】
詰まり清掃データを提示する他の方法は、例えば、最後の詰まりが発生した時刻、最後の詰まりが発生した日付、詰まりが解消されたかどうか、最後の詰まりが発生してから経過した時間、またはこれらの計量または同様の計量の組み合わせを表示することを含む。
図40に示すように、表示される情報は、例えば「最後の詰まり」のような、どの計量が表示されているかを示す。
【0133】
詰まり清掃データを提示するための別の方法は、所定の時間、例えば、1乃至48時間にわたって、所定の圧力の範囲、例えば、-500乃至500cmH2Oでチューブ間接続部領域またはシステム内の他の場所からの傾向圧力データを表示するグラフを含む。
図41に示すように、1つまたは複数の圧力値は、例えば、システム内の異なる位置で測定された圧力のように、時間に対して同時にプロットされる。例えば、グラフは、実線で示された、ユーザによって設定された適用吸引レベルを表示してもよく、かつ/またはグラフは、破線で示された、チューブ間接続部領域で測定された圧力を表示してもよい。
【0134】
詰まり清掃データを提示するための別の方法は、特定の時間間隔(例えば、1時間)にわたって、特定の時間量、例えば1乃至48時間にわたって、傾向詰まり清掃データを表示するグラフを含む。
図42に示すように、棒グラフは、例えば過去10時間にわたって1時間ごとに清掃された詰まりの数に関する情報を伝達するために利用される。特定の患者の装置使用の合計持続時間にわたって清掃された詰まりの総数も示される。
【0135】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、可撓性を備えた膜またはバルーンを膨張または収縮させることによって通路を閉塞または開放するために圧力分散を使用するバルーンまたは空気圧弁を含む。
図43A乃至43Eは、一実施形態によるこれらのタイプの弁を示す。
図43A乃至43Eに示すように、弁は剛性ハウジング4302と肉薄シリコーン押出部4304とを備える。シリコーン押出部4304は、シリコーン、ラテックス、ポリマなどを含む、任意の適切な材料からの押出成形またはモールド成形のいずれかである。シリコーンのデュロメータは、例えば、20A乃至70Aであり、壁厚は、例えば、0.005インチ乃至0.050インチ(約0.127ミリメートル乃至約1.27ミリメートル)である。壁厚は、所望のシール圧力を得られるように調整される。壁厚は、長さに沿って一貫していてもよく、または長さに沿って変化してもよい。シリコーン押出部の長さは0.5インチ乃至1.0インチ(約12.7ミリメートル乃至約25.4ミリメートル)であり、シリコーン押出部の内径は0.1インチ乃至0.50インチ(約2.54ミリメートル乃至約12.7ミリメートル)である。一実施形態によるバルーン弁の例では、バルーンハウジングの中心にシリコーン押出部を挿入することから組み立てが開始される。次に、
図43Bおよび
図43Cに示すように、押出部は、ハウジングの両端で、端部を覆うように上に折り曲げられる。このプロセスは、いくつかの方法で行うことができ、例えば、手動で押出部を折りたたむことによる。別のプロセスは、押出部の中心を通してバルーンを挿入することを含み、配置時に、このバルーンが膨張され、シリコーン膜がハウジングの端部を覆うように折り曲げられるまでシリコーン膜を効果的に拡張する。別のプロセスは、半径方向に内外に拡張する2つ以上の把持要素を有する固定具を組み込み、把持要素は、シリコーン押出部を把持するとともに拡張するために使用され、一旦押出部が伸ばされると、折り畳みプロセスを実行するためにハウジングが前進される。
図43Cおよび
図43Dに示すように、一旦ハウジングを覆うように押出部で折り畳むと、シリコーン押出部を覆うように2つのOリングが配置され、シリコーン膜が所定の位置に留まり、ハウジングに対してシールされる。
図43Dおよび
図43Eは完成したバルーン弁を示す。
【0136】
一実施形態による胸部ドレナージシステムは、空気の品質を制御するかシステムに緩衝部を加えるために、空気圧チューブに沿って通気孔/フィルタ膜を含む。これらの膜は、例えば0.001インチ乃至0.010インチ(約0.0254ミリメートル乃至約0.254ミリメートル)の可変の厚みを有し、例えば0.2乃至100マイクロメートルの可変の孔径を有し、例えば0.01乃至0.1平方インチ(約6.4516平方ミリメートル乃至約64.516平方ミリメートル)の可変の断面積を有し、異なる断面形状、例えば円形や矩形を有する。膜はカセット内に、かかり部の接続部を介して空気圧チューブに沿って、モニタ内に、または弁装置内に配置される。これらの通気膜は、様々な方法、例えば超音波溶接、別体のハウジングを介して、またはUV硬化接着剤で取り付けられる。
【0137】
一実施形態による胸部ドレナージシステムは、様々な病院設定での使用中に便利で効果的な位置にモニタを搭載させる要素を含む。この接続要素はモジュール式であり、すなわち、モニタは、様々な搭載の解決策を提供する多くの異なるアタッチメントに接続可能な要素を有する。モジュラ設計の1つの反復は、スナップアンドロック要素を含み、この場合、アタッチメントは所定の位置にロックされ、例えばボタンを押してロックを解除することによって解除することができる。別の反復は、アタッチメント上のネジ付きロッドと接合するモニタのネジ穴を含む。さらに別の反復は、摺動機構を備え、アタッチメントがレールまたはトラック上を把持し、モニタと接続する。さらなる反復は、プッシュアンドロック要素を含み、アタッチメントを、SDカードと同様に、接続部にさらに押し込むことによってロックおよびロック解除できる。別の反復は、アタッチメントを適切に配向するとともにモニタに堅固に保持する単一または一連の磁石を含む。
【0138】
取付要素を形成する1つの方法は、一対のフック要素が接続された剛性ブラケットの使用を含む。
図44に示すように、ブラケットアセンブリ4402は、モジュール式取り付けオプション4404の1つを介してモニタに接続する。フック4406は、適応性を高めるために枢動可能に取り付けられる。
【0139】
取付要素を形成するための別の方法は、フック要素と組み合わせて可撓性のあるストラップを使用することを含む。
図45に示すように、両ストラップ4502は、モニタ4504の基部に取り付けられ、ストラップと一体化したフック要素4506によりモニタの両側を覆う。これらのストラップは固定式でも可動式でもよく、例えば、使用していないときはモニタの内部に収納可能である。この場合、フック要素は、例えばフックが適所にクリック挿入される外部井戸部のような、同様に収納される場所を有する。
【0140】
取付要素を形成するための別の方法は、多くの潜在的用途を有する高度に適応可能な解決策を提供するために可撓性チューブの使用を含む。
図46に示すように、チューブ4602は、単純にチューブを曲げてフック形状4604などの所望の形状または要素を形成することによって、多くの形状を取る。これらのチューブは、ここに記載されているモジュラ式取付オプションの1つを使用してモニタ背面または側面に取り付けられる。チューブを曲げるのに必要な力は、特別な工具を必要としない程度に低く、同時にモニタと付加的な外力によってそれにかかる荷重の下でその形状を保持するのに十分な剛性を有する。
【0141】
図47、
図48、
図49、および
図50は、一実施形態による二重ルーメン・チェストチューブを示す。チェストチューブ4702は、シリコーン、PVC、または適切なデュロメータ、例えば20A乃至80Aを有する他の適切な材料を使用して形成される。チェストチューブの有効外径は8Fr乃至40Frの範囲で変わる。
図47に示すチェストチューブは、3つのセクション、すなわち、
図48に示すようなチェストチューブ領域、
図49に示すような移行領域、
図50に示すような引き抜き領域を含む。チェストチューブ領域は、身体からの流体のドレナージのために患者側の近傍に穴4802を有する二重ルーメン押出部を含む。チェストチューブ領域は、好ましくは、丸みを帯びた先端4804でキャップされるが、キャップのない開いた患者側端部を有してもよい。移行領域では、2つのチェストチューブ・ルーメン、例えば、チェストチューブ・ドレナージルーメンとチェストチューブ・リリーフルーメンが個別のチューブ部分に分かれ、これらはかかり部接続部により容易に取り付けられる。
図49はチェストチューブ・ドレナージルーメンチューブ断面4902とチェストチューブ・リリーフルーメンチューブ断面4904とを示す。具体的には、移行領域の非患者側端部において、両ルーメンは、好ましくは標準的かかり部への適切な取り付けを可能にするために円形になる。
図50に示す引き抜き領域は、チェストチューブ・ドレナージルーメンチューブ断面4902とチェストチューブ・リリーフルーメンチューブ断面4904を含む。2つのチューブ部分は、例えば、帯ひもまたは接着剤で接合される。2つのチューブの端部は、先端ほど細くなるように形成され、これにより胸部への挿入が容易になり、チェストチューブを内側から外側へ胸部の壁部を通して容易に張引可能である。これに代えて、チューブは先細にされていなくてもよく、またはチューブのうちの1つのみが先細にされてもよい。いくつかの実施形態では、リリーフルーメンチューブは、より大型のチューブに「潜る」ので、非患者側端部の外形はドレナージチューブのものと同じになる。
図51にこれを示す。チューブが患者の壁部を通して張引されるときにリリーフルーメンへの流体の進入を防ぐために、リリーフチューブは、好ましくは、非患者側端部の近傍で、例えばシリコーンのプラグでさらにシールされる。
【0142】
いくつかの実施形態では、装置は、空気圧コネクタがモニタから切り離されたときに、ルーメンが安全な状態に入るように構成されている。この安全な状態は、空気が連続してシステムに入るのを防ぐために、チェストチューブ・リリーフルーメンとドレナージチューブ・リリーフルーメンの一方または両方を閉鎖することを含む。安全な状態は、内側ルーメンが開放された状態を保持するように弁装置内のバルーン弁および拡張可能な弁を開放することを含み、これにより流体のドレナージを妨害されることなく続けることができる。バルーン弁が安全な状態に確実に入るとともにその状態を保持するように、そのポートはモニタから切り離されたときに、チェストチューブ・リリーフルーメンおよび/またはドレナージチューブ・リリーフルーメンと流体連通する。このようにして、バルーン弁の両側の圧力は等しく、バルーン弁は従って開いた状態を保持する。
図52Aおよび
図52Bにこれを示し、
図52Aは接続状態の接続部を示し、
図52Bは切断状態の接続部を示す。
【0143】
一実施形態において、
図52Aおよび
図52Bに示す機構は、
図53に示すマニフォールド構成によって得られる。この構成では、マニフォールド5302を使用して、A)モニタに接続されているときにルーメンをそれぞれのガスケットに独立して接続するか、またはB)モニタから切り離されたときに作動する摺動機構によって、モニタとの接続が解除されたときにバルーンシールルーメンを押し流しおよび/またはリリーフルーメンに接続する。
図54にこの機構を示す。また、この機構は、コネクタ内にバネを含み、バネはモニタに接続しない限りルーメンを安全な状態に保持する。安全な接続/切断は、他の手段によっても達成される。
【0144】
図55は、
図24に示すシステムの代替構成を示す。
図55は、容器に入れられて適所に摺動されることでモニタに接続して、これにより個別のルーメン接続を行う空気圧コネクタを示す。コネクタは、コネクタを取り外す際にユーザが離すことができるラッチによってこの位置に保持される。これにより、様々なルーメンが切断されたときに安全な状態に入ることができる。
【0145】
別例では、ルーメンの安全な状態を提供するのと同じ効果は、ルーメンがそれぞれのガスケットに接続するための独立した経路を提供するか、またはルーメンをシールまたは結ぶバネ活性化弁によって達成される。
図56に個別のそのような弁の例を示し、例は接続された状態と切断された(安全な)状態の両方で、Oリング5602およびバネ5604を含む。流路5606は、接続された状態で閉鎖され、切断された(安全な)状態で開放される。
【0146】
別例では、モニタは、装置が安全な状態(すなわち、バルーン弁が開放する)になるまで空気圧コネクタを接続した状態に保持することができる。これは、システムがセーフモードであるとモニタが判断するまで、空気圧コネクタを切断することができないということである。これは、バルーン弁をシールする際にモニタ自体が空気圧コネクタと係合するラッチのような機械的手段によって達成される。これは、ソレノイド弁、モータ、または他の適切な手段を使用して達成される。
【0147】
別例では、空気圧コネクタは、
図21に示す弁装置から切り離され、上述したように安全な切断状態を達成する。これは好ましくは
図57に示す機構によって達成される。弁装置5704から空気圧コネクタ5702を取り外すには、例えば、能動的な詰まりの清掃やラインパージが不要になったときに患者をICUから降圧ユニットに移送する際に、空気圧コネクタ5702を弁装置5704から取り外す。本実施形態では、摺動部5706が移動されて、ルーメンを
図52に示すようにそれぞれの安全な状態に結び付ける。同様の摺動部では、空気圧コネクタを保持しているラッチを外し、これにより弁装置内のルーメンを安全な状態に保持しながら、弁装置からコネクタを取り外すことができる。いくつかの実施形態では、一旦空気圧コネクタが取り外されると、弁装置および/または空気圧コネクタがロックされ、空気圧コネクタが取り外された後の再取り付けを防止する。これは、例えば、摺動部が完全に開いた位置にあるときにのみ係合するラッチ機構によって達成される。
【0148】
いくつかの実施形態では、胸部ドレナージシステムは、
図58に示すモニタ/制御部を含む。一実施形態では、モニタは、画面5802、一体的ポンプ(図示しない)、および吸引キャニスタ/タンク5804とモニタ5806との間の嵌合ポートを含み、ポートは、タンクを吸引し、一体的ソレノイドを介してドレナージチューブ・リリーフルーメン弁を開放し、ドレナージチューブと吸引キャニスタとを捕捉/固定するためのポートを含む。いくつかの実施形態では、空気圧ラインは、キャニスタ自体に一体化されたフィルタによって保護され、キャニスタからの液体の流出を防止する。
【0149】
いくつかの実施形態では、
図59に示すように、吸引キャニスタ/タンクは、吸引キャニスタ/タンクの内部形状によって形成される曲がりくねった経路によって、液体流出から保護される。曲がりくねった経路は、モニタに接続する真空/吸引ポートからタンクの流体収集チャンバを分離する一連のリブ5904とチャンネル5902とを含む。曲がりくねった経路の幾何学的形状により、モニタの配向に関係なく、液体は吸引ポートに到達することがより困難である。
【0150】
いくつかの実施形態では、加速度計を使用してモニタの配向を監視し、制御部は、モニタが吸引ポートを妨害する可能性のある位置にあるとき警告する。この例の実施形態では、ドレナージチューブがまずドレナージキャニスタに接続され、ドレナージキャニスタが続いてモニタに接続される。これに代えて、ドレナージチューブ・ドレナージルーメン、および/またはドレナージチューブ・リリーフルーメンはモニタ自体に接続され、かつ/または、2本のチューブ(ドレナージチューブ・ドレナージルーメンおよびドレナージチューブ・リリーフルーメン)が個別に接続されてもよい。図示の例示的な実施形態では、キャニスタ/タンクは、モニタの前面に接続されるが、他の実施形態では、モニタの背面または両側に接続されてもよく、または分離されてもよい。一実施形態では、吸引キャニスタ/タンクには、
図60に示すように吸引モニタのラッチと係合するラッチ式ヒンジが設けられており、これにより、一旦キャニスタがモニタ6008に接続されると、ヒンジ6004は、ラッチ6002を解除するとともにキャニスタ6006をモニタ6008から取り外すために、手動で押し下げられなければならない。
【0151】
図61に示される装置の別の実施形態では、モニタは、
図61に示すように、ベッドマウント、IVポールマウント、担体ストラップ、またはハンドル6104を含むが、これらに限定されない、装置の取り付けまたは取り扱いのための任意の数の付属品を受け入れるためのモジュラ・アタッチメントソケット6102を有する。別例では、装置は、複数の付属品を一度に接続できるように複数のそのような取り付け容器を有し、例えば、ベッドマウント、ハンドルまたはハンドルおよび担体ストラップを有するが、これらに限定されるものではない。
【0152】
いくつかの実施形態では、胸部ドレナージシステムは、チェストチューブ・リリーフルーメンなしで標準的なチェストチューブと組み合わせて使用される。この場合、ドレナージチューブ・リリーフルーメンとドレナージチューブ・ルーメンとは、ドレナージチューブとチェストチューブとの間の接続かかり部で一体的に接合する。
図62にこのタイプの接続かかり部の一例を示す。コネクタは、チェストチューブコネクタ6202、ドレナージルーメンコネクタ6204、およびドレナージルーメン・リリーフルーメンコネクタ6206を含む。このコネクタ配置は、チェストチューブ内の詰まりの心配が少なく、吸引圧力を維持するためのドレナージラインの清掃が主な関心事である胸部手術において特に適切である。別例では、同じタイプの接続かかり部は、上記の
図4および
図5で説明した受動的弁のいずれかを含むチェストチューブ・リリーフルーメンとチェストチューブと組み合わせて使用される。この構成では、受動的弁は通常閉鎖されるが、弁の亀裂圧力を超えて開くようにモニタのポンプが時間間隔で(または詰まりが検知されたとき)追加の吸引力を生成し、チェストチューブ・リリーフルーメンからの空気によりチェストチューブ・ドレナージルーメンを清潔に吹き払うことができる。モニタが潮汐振動の大きさが減少したことを検知すると、この活性化はこれに代えてまたは加えて生じ、これはチェストチューブ内に閉塞が形成されていることを示す。吸引モニタはまた、受動弁が再び確実に閉鎖するように、そのような活性化が行われた後に吸引力を一時的に低減させる。
【0153】
胸部ドレナージシステムの一実施形態では、制御部/モニタ画面6302は、ユーザ入力のためのタッチ機能を有する。これに代えて、モニタはボタンの配列を採用してもよい。
図63に一例のタッチスクリーン画像を示す。
図64に示すように、この画面をタッチするとモニタの適切な応答が得られ、例えば、「吸引」をタッチすると、ユーザに吸引値を調整するための画面を表示し、「モード」をタッチするとユーザはドレナージと空気漏れモードとを切り替えることができ、「ドレナージ」または「空気漏れ」をタッチすると、その経時的な測定のプロットに移る。モニタがグラフを表示しているときに、x軸に触れると時間スケールが変わり、y軸に触れると流量や体積スケールが変わる(どのプロットが示されるかによって異なる)。
【0154】
空気圧コネクタ/モニタインターフェイスの別の実施形態では、装置は、自己加圧チェックを実施するとともに適切に装着されたコネクタを示す圧力応答を監視することによって、空気圧コネクタのモニタへの適切な着座をチェックする。この技術は、様々な寸法のキャニスタを検知することにも使用される。
【0155】
胸部ドレナージシステムのいくつかの実施形態では、チェストチューブ開通を維持するように、モニタは、(モニタの弁装置を介して、またはポンプを介して)拍動吸引を提供する。この吸引は、正弦波、方形波、または任意の他の適切な振動波形の形態であり、0乃至-40cmH2O、0乃至-60cmH2O、0乃至-80cmH2O、0乃至-100cmH2O、-10乃至-40cmH2O、-20乃至-60cmH2Oなどの間にあるがこれらに限定されるものではない。これらの実施形態は、チェストチューブ・リリーフルーメンを含んでも含まなくてもよい。
【0156】
本明細書に開示された実施形態のいずれも、例えば、複数のチェストチューブを弁装置または接続かかり部に接続することによって、複数のチェストチューブと組み合わせて機能するように適合される。