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特許7044929プログラム、情報処理方法及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理方法及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/08 20120101AFI20220323BHJP
【FI】
G06Q40/08
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021098992
(22)【出願日】2021-06-14
【審査請求日】2021-07-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521260178
【氏名又は名称】チューリッヒ生命保険株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】畑田 雄也
(72)【発明者】
【氏名】野呂 佑樹
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特許第6828209(JP,B1)
【文献】特開2002-175416(JP,A)
【文献】特開2003-058705(JP,A)
【文献】特開2003-331127(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0047540(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保険の申込情報を取得し、
取得した前記申込情報に基づき、所定のルールベースエンジンを用いて保険の引受可否の査定結果を機械査定欄に出力し、
前記ルールベースエンジンによる査定結果が査定不可能であった場合、保険の申込情報を入力した場合に、保険の引受、謝絶、追加告知、又は特別条件付き引受のいずれかの査定結果を出力するモデルに、取得した前記申込情報を入力することで査定結果を出力し、
前記モデルが出力し得る各査定結果と対応付けて、該査定結果の根拠因子と、該査定結果の詳細情報とを記録したデータベースを参照して、出力された前記査定結果の根拠因子を特定し、
前記査定結果として前記追加告知が出力された場合、特定された前記根拠因子と、前記データベースにおいて前記査定結果に対応づけられた前記詳細情報に含まれる追加告知内容とをモデル査定欄に出力し、
前記査定結果として前記特別条件付き引受が出力された場合、特定した前記根拠因子と、前記データベースにおいて前記査定結果に対応づけられた前記詳細情報に含まれる特別条件内容とを前記モデル査定欄に出力する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項2】
前記モデルに基づき、該モデルが出力し得る各査定結果に対する前記申込情報の各項目の寄与度を算出し、
前記寄与度に応じて前記根拠因子を特定する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記追加告知内容として、保険の引受可否の査定を行う上で欠落している前記申込情報の項目名を出力する
請求項1または請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記特別条件内容として、不担保とする特定の身体部位名又は疾病名と、不担保とする契約期間とを出力する
請求項1~のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記モデルは更に、前記引受、謝絶、追加告知、及び特別条件付き引受以外に特約謝絶を前記査定結果として出力し、
前記査定結果として特約謝絶が出力された場合、該特約謝絶の根拠因子と、該根拠因子に基づく特約謝絶内容とを出力する
請求項1~のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記機械査定欄および前記モデル査定欄に加えて、査定者から保険申込の査定結果の入力を受け付けるための入力欄含む画面を出力する
請求項1~のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記入力欄を介して前記査定者から査定結果の入力を受け付け、
前記モデルに入力した前記申込情報と、前記査定者から入力された前記査定結果とに基づいて前記モデルを更新する
請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
保険の申込情報を取得し、
取得した前記申込情報に基づき、所定のルールベースエンジンを用いて保険の引受可否の査定結果を機械査定欄に出力し、
前記ルールベースエンジンによる査定結果が査定不可能であった場合、保険の申込情報を入力した場合に、保険の引受、謝絶、追加告知、又は特別条件付き引受のいずれかの査定結果を出力するモデルに、取得した前記申込情報を入力することで査定結果を出力し、
前記モデルが出力し得る各査定結果と対応付けて、該査定結果の根拠因子と、該査定結果の詳細情報とを記録したデータベースを参照して、出力された前記査定結果の根拠因子を特定し、
前記査定結果として前記追加告知が出力された場合、特定された前記根拠因子と、前記データベースにおいて前記査定結果に対応づけられた前記詳細情報に含まれる追加告知内容とをモデル査定欄に出力し、
前記査定結果として前記特別条件付き引受が出力された場合、特定した前記根拠因子と、前記データベースにおいて前記査定結果に対応づけられた前記詳細情報に含まれる特別条件内容とを前記モデル査定欄に出力する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項9】
保険の申込情報を取得する取得部と、
取得した前記申込情報に基づき、所定のルールベースエンジンを用いて保険の引受可否の査定結果を機械査定欄に出力する機械査定出力部と、
前記ルールベースエンジンによる査定結果が査定不可能であった場合、保険の申込情報を入力した場合に、保険の引受、謝絶、追加告知、又は特別条件付き引受のいずれかの査定結果を出力するモデルに、取得した前記申込情報を入力することで査定結果を出力する査定出力部と、
前記モデルが出力し得る各査定結果と対応付けて、該査定結果の根拠因子と、該査定結果の詳細情報とを記録したデータベースを参照して、出力された前記査定結果の根拠因子を前記申込情報から特定する特定部と、
前記査定結果として前記追加告知が出力された場合、特定された前記根拠因子と、前記データベースにおいて前記査定結果に対応づけられた前記詳細情報に含まれる追加告知内容とを出力する追加告知内容出力部と、
前記査定結果として前記特別条件付き引受が出力された場合、特定した前記根拠因子と、前記データベースにおいて前記査定結果に対応づけられた前記詳細情報に含まれる特別条件内容とを出力する特別条件内容出力部と
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理方法及び情報処理装置関する。
【背景技術】
【0002】
保険会社では、被保険者からの告知を元に保険契約を引き受けるか否かの査定を行うが、その査定業務を自動化するための技術が提案されている。例えば特許文献1では、人工知能モデルを用いて保険契約の申込内容に対する医務査定の査定結果を予測し、当該モデルによる予測結果に影響を与える申込内容の注目因子を特定して、当該注目因子に基づき申込内容が類似する過去の保険契約申込案件を検索する医務査定支援装置等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6828209号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る発明は、申込者から追加の告知が必要であるかなど、保険の引受可否の査定を行う上で詳細な分析を行えていない。
【0005】
一つの側面では、保険の引受可否の査定を好適に支援することができるプログラム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの側面に係るプログラムは、保険の申込情報を取得し、取得した前記申込情報に基づき、所定のルールベースエンジンを用いて保険の引受可否の査定結果を機械査定欄に出力し、前記ルールベースエンジンによる査定結果が査定不可能であった場合、保険の申込情報を入力した場合に、保険の引受、謝絶、追加告知、又は特別条件付き引受のいずれかの査定結果を出力するモデルに、取得した前記申込情報を入力することで査定結果を出力し、前記モデルが出力し得る各査定結果と対応付けて、該査定結果の根拠因子と、該査定結果の詳細情報とを記録したデータベースを参照して、出力された前記査定結果の根拠因子を特定し、前記査定結果として前記追加告知が出力された場合、特定された前記根拠因子と、前記データベースにおいて前記査定結果に対応づけられた前記詳細情報に含まれる追加告知内容とをモデル査定欄に出力し、前記査定結果として前記特別条件付き引受が出力された場合、特定した前記根拠因子と、前記データベースにおいて前記査定結果に対応づけられた前記詳細情報に含まれる特別条件内容とを前記モデル査定欄に出力する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面では、保険の引受可否の査定を好適に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】保険査定システムの構成例を示す説明図である。
図2】サーバの構成例を示すブロック図である。
図3】査定者端末の構成例を示すブロック図である。
図4】申込DB、査定DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図5】査定モデルに関する説明図である。
図6】査定画面の一例を示す説明図である。
図7】査定モデルの生成処理の手順を示すフローチャートである。
図8】査定処理の手順を示すフローチャートである。
図9】査定モデルの更新処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態)
図1は、保険査定システムの構成例を示す説明図である。本実施の形態では、申込者からの保険の契約申込に対し、機械学習モデル(後述の査定モデル50)を用いて、保険の引受可否の査定結果を推定(出力)する保険査定システムについて説明する。保険査定システムは、情報処理装置1、査定者端末2、申込者端末3を含む。各装置は、インターネット等のネットワークNに接続されている。
【0010】
なお、本システムで対象とする保険は特に限定されず、生命保険、医療保険のほか、損害保険等であってもよい。本実施の形態では一例として、生命保険、医療保険のように、被保険者の健康状態に関わる保険を対象とする。
【0011】
情報処理装置1は、種々の情報処理、情報の送受信が可能な情報処理装置であり、例えばサーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ等である。本実施の形態では情報処理装置1がサーバコンピュータであるものとし、以下では簡潔のためサーバ1と読み替える。
【0012】
本実施の形態においてサーバ1は、所定の訓練データを学習することで、保険の申込情報を入力した場合に、保険の引受可否の査定結果を出力する査定モデル50(図5参照)を生成する生成装置として機能する。具体的には後述の如く、サーバ1は、保険を無条件で引受可能な「引受」、保険を引受不可能な「謝絶」、申込者から追加の告知が必要な「追加告知」、特定の条件を付けた上で引受可能な「特別条件付き引受」(以下では便宜的に「特別条件」と呼ぶ)、及び保険の主契約に付随する特約を謝絶する「特約謝絶」のいずれかの査定結果を出力する査定モデル50を生成する。各査定結果(引受、謝絶、追加告知、特別条件、及び特約謝絶)の詳細は後述する。
【0013】
また、サーバ1は、査定モデル50を用いて査定結果を推定する推定装置として機能する。具体的には後述の如く、サーバ1は、ネットワークNを介して保険の申込情報を申込者端末3から取得し、取得した申込情報を査定モデル50に入力することで、査定結果が引受、謝絶等のいずれに該当するかを推定する。サーバ1は、推定した査定結果を、保険申込の査定を行う査定者に提示する。
【0014】
査定者端末2は、保険契約の引受可否の査定を行う査定者が使用する情報処理端末であり、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末等である。査定者は、例えば保険会社で査定業務を行う担当者である。サーバ1は、査定モデル50により推定した査定結果を査定者端末2に出力し、表示させる(図6参照)。
【0015】
申込者端末3は、保険契約を申し込む申込者(被保険者)が使用する情報処理端末であり、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等である。例えばサーバ1は、所定の電子保険引受システム(PPL;Placing Platform Ltd)を介して申込者端末3から申込情報を取得し、査定結果を推定する。
【0016】
なお、本実施の形態では査定モデル50による査定結果を査定者のみに提示するものとするが、申込者に提示するようにしてもよい。
【0017】
また、本実施の形態ではサーバ1が査定モデル50の生成(学習)及び査定モデル50を利用した査定の双方の処理を行うものとするが、各処理は別々のコンピュータが実行してもよい。例えば、サーバ1が生成した査定モデル50を査定者端末2にインストールし、ローカルの査定者端末2が査定モデル50を用いた査定結果の推定処理を行うようにしてもよい。
【0018】
図2は、サーバ1の構成例を示すブロック図である。サーバ1は、制御部11、主記憶部12、通信部13、及び補助記憶部14を備える。
制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサであり、補助記憶部14に記憶されたプログラムP1を読み出して実行することにより、種々の情報処理、制御処理等を行う。主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の一時記憶領域であり、制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。通信部13は、通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、外部と情報の送受信を行う。
【0019】
補助記憶部14は、大容量メモリ、ハードディスク等の不揮発性記憶領域であり、制御部11が処理を実行するために必要なプログラムP1、その他のデータを記憶している。また、補助記憶部14は、査定モデル50、申込DB141、査定DB142を記憶している。査定モデル50は、所定の訓練データを学習済みの機械学習モデルであり、保険の申込情報を入力した場合に、査定結果が引受、謝絶、追加告知、特別条件、特約謝絶のいずれに該当するかを推定するモデルである。査定モデル50は、人工知能ソフトウェアの一部を構成するプログラムモジュールとしての利用が想定される。
【0020】
申込DB141は、各申込者からの保険の申込情報を格納するデータベースである。査定DB142は、査定結果を査定者端末2に出力(表示)する際に参照するデータベース(テーブル)であり、査定モデル50が出力し得る各査定結果と対応付けて、査定結果の根拠因子である申込情報の項目、及び査定結果の内容(後述の追加告知内容、特別条件内容、特約謝絶内容など)を格納するデータベースである。
【0021】
なお、補助記憶部14はサーバ1に接続された外部記憶装置であってもよい。また、サーバ1は複数のコンピュータからなるマルチコンピュータであっても良く、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。
【0022】
また、サーバ1は、非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体1aを読み取る読取部を備え、記録媒体1aからプログラムP1(プログラム製品)を読み込んでもよい。また、プログラムP1は単一のコンピュータ上で実行されてもよく、ネットワークNを介して相互接続された複数のコンピュータ上で実行されてもよい。
【0023】
図3は、査定者端末2の構成例を示すブロック図である。査定者端末2は、制御部21、主記憶部22、通信部23、表示部24、入力部25、及び補助記憶部26を備える。
制御部21は、一又は複数のCPU等のプロセッサであり、補助記憶部26に記憶されたプログラムP2を読み出して実行することにより、種々の情報処理を行う。主記憶部22は、RAM等の一時記憶領域であり、制御部21が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。通信部23は、通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、外部と情報の送受信を行う。表示部24は、液晶ディスプレイ等の表示画面であり、画像を表示する。入力部25は、キーボード、マウス等の操作インターフェイスであり、ユーザから操作入力を受け付ける。補助記憶部26は、ハードディスク、大容量メモリ等の不揮発性記憶領域であり、制御部21が処理を実行するために必要なプログラムP2、その他のデータを記憶している。
【0024】
なお、査定者端末2は、非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体2aを読み取る読取部を備え、記録媒体2aからプログラムP2(プログラム製品)を読み込んでもよい。また、プログラムP2は単一のコンピュータ上で実行されてもよく、ネットワークNを介して相互接続された複数のコンピュータ上で実行されてもよい。
【0025】
図4は、申込DB141、査定DB142のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
申込DB141は、申込者ID列、氏名列、申込情報列、査定列を含む。申込者ID列は、各申込者の識別子である申込者IDを記憶している。氏名列、申込情報列、及び査定列はそれぞれ、申込者IDと対応付けて、申込者の氏名、申込者が入力した申込情報、及び引受可否の査定結果(後述の本査定結果等)を記憶している。例えば申込情報列には、申込情報として入力すべき各項目の番号と対応付けて、項目名、及び入力内容が記憶されている。
【0026】
査定DB142は、ラベルID列、査定結果列、根拠因子列、内容列を含む。ラベルID列は、査定モデル50が出力し得る各ラベル(査定結果)の識別子であるラベルIDを記憶している。査定結果列、根拠因子列、及び内容列はそれぞれ、ラベルIDと対応付けて、各ラベルに対応する査定結果の名称(ラベル名)、査定結果の根拠因子である申込情報の項目、及び査定結果の内容(後述の追加告知内容、特別条件内容、特約謝絶内容等)を記憶している。根拠因子、及び査定結果の内容については後述する。
【0027】
図5は、査定モデル50に関する説明図である。図5では、査定モデル50(決定木)の構造を概念的に図示している。図5に基づき、本実施の形態の概要を説明する。
【0028】
査定モデル50は、所定の訓練データを学習することで生成される機械学習モデルであり、保険の申込情報を入力した場合に、保険の引受可否の査定結果を出力するモデルである。具体的には、査定モデル50は、アンサンブル学習の一種である勾配ブースティングの手法を用いて構築される決定木(Light GBM)である。
【0029】
なお、本実施の形態では査定モデル50が勾配ブースティングの手法を用いた決定木であるものとして説明するが、例えばバギングの手法を用いた決定木(ランダムフォレスト)、あるいはアンサンブル学習を行わずに構築される決定木であってもよい。また、査定モデル50は、ニューラルネットワーク、SVM(Support Vector Machine)など、決定木以外の機械学習モデルであってもよい。
【0030】
サーバ1は、訓練用の申込情報群に対し、査定結果の正解ラベルが対応付けられた訓練データを用いて、査定モデル50を生成する。訓練用の申込情報は、査定者が過去に査定した保険の申込内容を表すデータである。正解ラベルは、訓練用の申込情報(過去の申込内容)に対して査定者が判断した査定結果であり、引受、謝絶、追加告知、特別条件、及び特約謝絶のいずれかを表すメタデータである。引受、謝絶等の各ラベルについては後述する。
【0031】
申込情報は、複数の入力項目から成るデータであり、申込者の属性、健康状態に関する情報のほか、いわゆる環境査定(職業、収入等に基づく契約可否の査定)のために必要な、健康状態以外の環境情報を入力項目に含む。申込者の属性は、例えば年齢、性別、身長、体重等を含む。健康状態に関する情報は、例えば各種傷病の罹患歴、治療歴等を含む。環境情報は、例えば申込者の職業、収入等を含む。本実施の形態に係る査定モデル50は、これらの項目を入力データの特徴量として扱う。
【0032】
なお、本実施の形態では査定モデル50に申込者の環境(職業等)も考慮して査定を行わせるため、申込情報に環境情報も含まれるが、査定モデル50に専ら医務査定(健康状態の査定)のみを行わせるべく、環境情報を含めないようにしてもよい。また、申込情報に含まれる項目は、保険内容に応じて適宜に変更され得る。
【0033】
サーバ1は、勾配ブースティングの手法を用いて学習を行い、査定モデル50として決定木を生成する。具体的には、サーバ1は、訓練用の申込情報群を不純度等の基準値に応じて分割し、複数のノードから成る弱識別器(決定木)を生成する。各ノードでは、図5に示すように、申込情報に含まれる各項目の内容(特徴量)を基準に判定を行う。サーバ1は、弱識別器による査定結果と、訓練用の申込情報に対応付けられた正解ラベルとを比較し、両者の誤差(残差)に応じて次の弱識別器を生成する。サーバ1は、前の弱識別器の学習結果を考慮するように、両者の誤差によって定義される損失関数の勾配を参照して弱識別器を逐次生成し、最終的な識別器、すなわち査定モデル50を生成する。
【0034】
なお、査定モデル50は、引受、謝絶等のいずれかに査定結果を分類する分類モデルであってもよく、あるいは引受、謝絶等の各査定結果に該当する確率を計算する回帰モデルであってもよい。
【0035】
上記の学習によって生成された査定モデル50(決定木)の樹形図を、図5に概念的に図示する。樹形図上の楕円部分は、申込情報の各項目を基準に分岐判定を行うノードを表す。樹形図末端の矩形部分は、査定結果に相当する出力ラベルを表す。図5の例では、サーバ1はノードID「1」のノードにおいて申込者の年齢が閾値以上であるか否かを判定し、その判定結果に応じて下位のノードID「2」又は「3」のいずれかのノードに分岐し、最終的に引受、謝絶等の各ラベルを出力する。
【0036】
上述の如く、本実施の形態に係る査定モデル50は査定結果として、引受、謝絶、追加告知、特別条件、及び特約謝絶のいずれかのラベルを出力する。図5の例に沿って、各ラベルについて説明する。
【0037】
引受とは、保険を無条件で引受可能な状態を表す。謝絶とは、保険を引受不可能な状態を表す。
【0038】
追加告知とは、申込者から追加の告知が必要な状態であり、保険の引受可否の査定を行う上で必要な情報(項目)が申込情報から欠落している状態を表す。
【0039】
図5の例では、左下側のノードID「101」~「103」のノードに分岐した結果、査定結果として「追加告知」が出力される様子を図示している。サーバ1は、ノードID「101」のノードにおいて、申込者に高血圧(症)の罹患歴があるか否かを判定する。高血圧の罹患歴があると判定した場合、査定モデル50は、ノードID「102」のノードにおいて申込者が高血圧の治療中であるか否かを判定する。治療中であると判定した場合、サーバ1は、ノードID「103」のノードにおいて血圧値(例えば最高血圧)が閾値以上であるか否かを判定する。
【0040】
査定モデル50は、申込情報に含まれる各項目の内容に基づき、各ノードでの判定を行う。上記の例では、サーバ1は、申込情報の各項目のうち、高血圧の罹患歴の有無に応じてノードID「101」のノードでの判定を行う。同様にして、査定モデル50は、申込情報に含まれる高血圧の治療歴からノードID「102」での判定を行い、申込情報に含まれる申込者の血圧値からノードID「103」での判定を行う。
【0041】
ここで、血圧値が申込情報から欠落している場合、つまり申込者から血圧値の告知が無い場合、査定モデル50は、査定結果として「追加告知」を選択する。この場合、サーバ1は査定者に対し、申込者が高血圧かつ治療中であり、血圧値が不明である点を提示し、直近の血圧値を告知させるよう促す(図6参照)。このように、サーバ1は、申込情報に欠落があるか否か、すなわち追加告知が必要であるか否かを判定する。
【0042】
特別条件とは、特定の条件を付けた上で保険を引受可能な状態を表す。本実施の形態では特別条件として、特定の身体部位の傷病について不担保とする部位不担保に該当するか、及び特定の疾病を不担保とする疾病不担保に該当するか(図4の査定DB142のレコードを参照)、を判定する。
【0043】
図5の例では、ノードID「201」~「203」のノードに分岐した結果、査定結果として「特別条件(部位不担保)」(及び「特約謝絶」)が出力される様子を図示している。サーバ1は、ノードID「201」のノードにおいて、申込者に大腸ポリープの罹患歴があるか否かを判定する。そしてサーバ1は、大腸ポリープの治療中であるか否かを判定し(ノードID「202」)、完治後2年以内であるか否かを判定する(ノードID「203」)。完治後2年以内であると判定した場合、サーバ1は、「大腸」について5年間の部位不担保の条件を付ける特別条件(図4の査定DB142のレコードを参照)を査定結果として選択する。このように、サーバ1は、部位不担保、疾病不担保などの特別条件を付ければ引受可能であるか否かを判定する。
【0044】
特約謝絶とは、保険の主契約は引受可能であるものの、特約(主契約に付随する契約)は引受不可能な状態であることを表す。
【0045】
図5の例では、ノードID「301」、「302」のノードに分岐した結果、査定結果として「特約謝絶(3大疾病特約)」が出力される様子を図示している。サーバ1は、ノードID「301」のノードにおいて、申込者に狭心症の罹患歴があるか否かを判定する。続いてサーバ1は、狭心症の治療中であるか否かを判定し(ノードID「302」)、治療中であると判定した場合、主契約(がん保険)に付随する3大疾病特約の謝絶を査定結果として選択する(図4の査定DB142のレコードを参照)。
【0046】
なお、図5の例では、大腸ポリープの完治後2年以内であると判定した場合(ノードID「203」でYES)にも、特約謝絶(終身保険特約の謝絶)が出力されている。このように、特別条件、特約謝絶等の各査定結果(ラベル)は重複して出力され得る。
【0047】
上述の如く、サーバ1は査定モデル50を用いて、査定結果が引受、謝絶、追加告知、特別条件、及び特約謝絶のいずれに該当するかを推定する。ここでサーバ1は、査定結果を推定するだけでなく、査定結果の根拠因子である申込情報の項目を特定し、査定結果と共に、査定結果の根拠因子と、その査定結果の詳細な内容とを査定者に提示する。
【0048】
根拠因子とは、査定モデル50から出力される各査定結果に強い影響を与える因子であり、目的変数への影響が大きい説明変数(特徴量)を指す。本実施の形態においてサーバ1は、所定のアルゴリズムを用いて査定モデル50を分析することで、査定モデル50から出力され得る各査定結果(ラベル)に対する申込情報の各項目の寄与度を算出する。そしてサーバ1は、各査定結果への影響が大きい申込情報の項目、すなわち根拠因子を特定する。
【0049】
具体的な根拠因子の特定方法は特に問わないが、例えばサーバ1は、各項目の寄与度としてSHAP値(Shapley Additive exPlanations)を算出する。SHAPは、機械学習モデルの予測結果に解釈を与える手法であり、目的変数に対する各説明変数の寄与度を可視化するアルゴリズムである。
【0050】
例えばサーバ1は、訓練データを用いて査定モデル50の生成を完了後、当該訓練データを用いて、査定モデル50が出力し得るラベル(査定結果)毎に各項目の寄与度(SHAP値)を算出する。そしてサーバ1は、寄与度が大きい申込情報の項目(例えば寄与度が上位所定数の項目、あるいは寄与度が閾値以上の項目)を特定し、査定結果を表すラベルIDと対応付けて査定DB142に記憶しておく(図4参照)。
【0051】
例えば図5の「追加告知」を考えた場合に、サーバ1は、査定結果「追加告知」に対する各項目(年齢、…、高血圧の罹患歴、治療歴、血圧値)の寄与度を算出する。そしてサーバ1は、寄与度が大きい申込情報の項目(高血圧の罹患歴、治療歴、血圧値)を根拠因子として特定する。サーバ1は、追加告知を表すラベルID「20001」と対応付けて、特定した申込情報の項目を査定DB142に記憶する(図4参照)。
【0052】
なお、サーバ1は、ある査定結果(ラベル)の根拠因子を特定する場合に、他の査定結果への寄与度も大きい項目を、対象の査定結果の根拠因子から除外してもよい。例えばサーバ1は、他の査定結果に対しても寄与度が閾値以上の項目、あるいは決定木の上位の階層(例えば上位3層)のノードで判定基準とする項目などを、対象の査定結果の根拠因子から除外してもよい。これにより、「年齢」などのように、全ての査定結果において重要となり得る項目を削除し、各査定結果に特有の根拠因子を特定することが期待できる。
【0053】
また、上記では寄与度としてSHAP値を用いる例を説明したが、LIME(Local Interpretable Model-agnostic Explanations)、Permutation Importance、決定木を生成する上で計算する特徴量重要度(Feature Importance)など、他の指標値を採用してもよい。
【0054】
また、本実施の形態ではサーバ1が根拠因子を自動的に選定するものとするが、根拠因子の選定は手動で行われてもよい。例えば所定のモデル作成者(本システムの設計者)が、図5で例示する査定モデル50の樹形図を確認して根拠因子を特定し、査定DB142に登録するようにしてもよい。すなわち、査定モデル50から出力される各査定結果の根拠因子をサーバ1が特定可能であればよく、その特定方法は寄与度に基づく方法に限定されない。
【0055】
上述の如く、サーバ1は、査定モデル50から出力され得る各査定結果への寄与度が大きい根拠因子を特定し、査定DB142に記憶しておく。そのほか、サーバ1は、根拠因子に基づく査定結果の内容をラベルIDと対応付けて査定DB142に記憶しておき、査定者に提示する。
【0056】
査定結果の内容とは、査定モデル50から出力され得る各査定結果の詳細を示す情報であり、例えば追加告知内容、特別条件内容、特約謝絶内容などである。追加告知内容は、査定者が追加で告知すべき告知内容、具体的には、査定を行う上で欠落している申込情報の項目名である。特別条件内容は、保険を引き受ける上での条件の内容、具体的には、不担保とする身体部位名又は傷病名、及び不担保とする契約期間である。特約謝絶内容は、謝絶対象とする特約名である。
【0057】
図5の例に沿って説明すると、申込情報に血圧値が欠落しているため査定結果が追加告知に該当する場合、サーバ1は「直近の血圧値(最高血圧・最低血圧)」を追加告知内容として出力する(図4参照)。特別条件、特約謝絶についても同様に、サーバ1は、各査定結果に対応する詳細な情報を特別条件内容、特約謝絶内容として出力する。例えばサーバ1は、査定モデル50を分析して各査定結果の根拠因子を特定した場合、特定した根拠因子を表示し、本システムの設計者に提示する。そしてサーバ1は、設計者から各査定結果の内容について入力を受け付け、査定DB142に記憶しておく。
【0058】
上述の如く、サーバ1は、査定モデル50を用いて保険の引受可否の査定結果を推定し、その査定結果の根拠因子と、根拠因子に基づく査定結果の内容とを出力する。査定者は、以下の査定画面で査定モデル50による査定結果等を確認し、保険の引受可否に関する最終的な査定を行う。
【0059】
なお、以下の説明では便宜上、査定モデル50による査定結果と区別するため、査定者による最終的な査定結果を「本査定結果」と呼ぶ。
【0060】
図6は、査定画面の一例を示す説明図である。図6では、査定者端末2が表示する画面であって、査定者が保険の引受可否の査定を行うための画面例を図示している。
【0061】
査定画面は、本査定欄61(入力欄)、機械査定欄62(第2表示欄)、モデル査定欄63(表示欄)を含む。本査定欄61は、査定者から本査定結果の入力を受け付けるための入力欄である。機械査定欄62は、所定のルールベースエンジンから出力される査定結果を表示する表示欄である。モデル査定欄63は、査定モデル50による査定結果を表示する表示欄である。
【0062】
例えばサーバ1は、電子保険引受システムを介して申込者から申込情報の入力を受け付け、申込DB141に記憶してある。なお、申込情報は申込書(用紙)に記入するなどの方法で提出されても良いことは勿論である。サーバ1は、査定者端末2からの要求に応じて、査定対象とする申込情報を申込DB141から読み出し、査定結果を推定する。
【0063】
この場合にサーバ1はまず、査定モデル50による推定を行う前に、所定のルールベースエンジンを用いて査定結果を推定する。当該ルールベースエンジンは、いわゆる引受査定自動化システム(URE;Underwriting Rules Engine)であり、人手で作成されたルールに従って査定結果を決定するプログラムである。査定者端末2は、ルールベースエンジンによる査定結果を機械査定欄62に表示する。
【0064】
本実施の形態においてサーバ1は、ルールベースエンジンによる査定結果が査定不可能であった場合、査定モデル50による推定を行う。なお、サーバ1は、ルールベースエンジンによる査定結果に関わらず査定モデル50による推定を行ってもよく、あるいは査定モデル50のみを用いて査定結果を推定してもよい。
【0065】
サーバ1は、申込情報を査定モデル50に入力することで、査定結果を推定する。そしてサーバ1は、当該査定結果(ラベル)と対応付けられた根拠因子、及び査定結果の内容を査定DB142から読み出し、査定者端末2に出力する。査定者端末2は、査定モデル50による査定結果、根拠因子(図6では「判定根拠」)、及び査定結果の内容(図6では「追告内容」)をモデル査定欄63に表示する。図6の例では、査定モデル50による査定結果が追加告知であったため、追加告知の根拠因子と、追加告知内容とが表示されている。
【0066】
査定者は、機械査定欄62又はモデル査定欄63に表示された査定結果を参考に、本査定結果を入力する。具体的には図6に示すように、査定者端末2は、環境査定結果、医務査定結果、その他の査定メモなどを入力するための入力スペースを本査定欄61に設け、各入力スペースに対して情報の入力を受け付ける。サーバ1は、査定者が入力した本査定結果、査定モデル50による査定結果等の情報を申込DB141に記憶する。
【0067】
以上より、本実施の形態によれば、単に引受可能であるか否かだけでなく、追加告知が必要であるか否か、特別条件を付けるべきか等を含めて、保険の引受可否の査定を好適に実施することができる。特に本実施の形態では、追加告知、特別条件等の査定結果に影響を与える根拠因子と、その根拠因子に基づく査定結果の内容とを提示するため、査定モデル50による査定結果を査定者が容易に理解することができる。
【0068】
図7は、査定モデル50の生成処理の手順を示すフローチャートである。図7に基づき、機械学習により査定モデル50を生成する際の処理内容について説明する。
サーバ1の制御部11は、査定モデル50を生成するための訓練データを取得する(ステップS11)。訓練データは、訓練用の申込情報群(例えば過去に査定した保険の申込内容)に対し、査定結果の正解ラベルが対応付けられたデータである。正解ラベルは、引受、謝絶、追加告知、特別条件、及び特約謝絶のいずれかの査定結果に該当する。
【0069】
制御部11は訓練データに基づき、保険の申込情報を入力した場合に、査定結果が引受、謝絶、追加告知、特別条件、及び特約謝絶のいずれに該当するかを推定する査定モデル50を生成する(ステップS12)。具体的には上述の如く、制御部11は、アンサンブル学習の一種である勾配ブースティングの手法を用いて、決定木を生成する。制御部11は、訓練用の申込情報群を不純度等の基準値に応じて分割することで、弱識別器(決定木)を生成する。制御部11は、弱識別器の予測結果と正解との誤差(残差)で定義される損失関数の勾配から弱識別器を逐次生成し、最終的な査定モデル50を生成する。
【0070】
制御部11は、査定モデル50が出力し得る各査定結果の根拠因子を申込情報の各項目から特定する(ステップS13)。具体的には上述の如く、制御部11は、査定結果(ラベル)毎に、査定結果に対する申込情報の各項目の寄与度を算出する。制御部11は、寄与度が大きい項目(寄与度が上位所定数の項目、寄与度が閾値以上の項目等)を根拠因子として特定する。また、制御部11は、各査定結果の内容として表示する情報(追加告知内容、特別条件内容、特約謝絶内容等)の入力を受け付ける(ステップS14)。制御部11は、各査定結果を表すラベルIDと対応付けて、ステップS13で特定した根拠因子(申込情報の項目名)と、ステップS14で入力された査定結果の内容とを査定DB142に記憶し(ステップS15)、一連の処理を終了する。
【0071】
図8は、査定処理の手順を示すフローチャートである。図8に基づき、保険の引受可否の査定結果を推定する際の処理内容について説明する。
サーバ1の制御部11は、査定対象とする保険の申込情報を申込DB141から読み出す(ステップS31)。制御部11は、所定のルールベースエンジンを用いて、保険の引受可否の査定結果を出力する(ステップS32)。
【0072】
制御部11は、ルールベースエンジンによる査定結果が、査定不可能であるか否かを判定する(ステップS33)。査定不可能でないと判定した場合(S33:NO)、制御部11は処理をステップS36に移行する。査定不可能であると判定した場合(S33:YES)、制御部11は、申込情報を査定モデル50に入力することで、保険の引受可否の査定結果を出力する(ステップS34)。具体的には上述の如く、制御部11は、査定結果が引受、謝絶、追加告知、特別条件、及び特約謝絶のうち、少なくともいずれか一つの査定結果(ラベル)を出力する。制御部11は、査定DB142を参照して、ステップS34で出力された査定結果の根拠因子を特定する(ステップS35)。
【0073】
制御部11は、ルールベースエンジン及び/又は査定モデル50による査定結果を示す査定画面を査定者端末2に表示させる(ステップS36)。査定画面は、査定者が本査定結果を入力するための本査定欄61(入力欄)、ルールベースエンジンによる査定結果を表示する機械査定欄62(第2表示欄)、及び査定モデル50による査定結果を表示するモデル査定欄63(表示欄)を含む。制御部11はモデル査定欄63において、査定モデル50による査定結果のほか、ステップS35で特定した根拠因子と、査定結果の内容とを表示させる。制御部11は、本査定欄61を介して、査定者から本査定結果の入力を受け付ける(ステップS37)。制御部11は、査定者から入力された本査定結果、査定モデル50から出力された査定結果等の情報を申込DB141に記憶し(ステップS38)、一連の処理を終了する。
【0074】
以上より、本実施の形態によれば、保険の引受可否の査定を好適に支援することができる。
【0075】
(変形例)
上述の実施の形態では、査定モデル50から出力された査定結果を査定者に提示し、本査定結果の入力を受け付ける形態について説明した。一方で、査定者から入力される本査定結果を正解ラベルとして、査定モデル50の再学習(更新)を行うようにしてもよい。本変形例では、査定モデル50の再学習を行う形態について説明する。
【0076】
図9は、査定モデル50の更新処理の手順を示すフローチャートである。図9に基づき、本変形例の処理内容について説明する。
サーバ1の制御部11は、再学習用の訓練データを取得する(ステップS201)。具体的には、制御部11は、査定モデル50による査定対象とした申込情報、すなわち査定モデル50に入力した申込情報と、査定画面を介して査定者が入力した本査定結果とを、再学習用の訓練データとして申込DB141から読み出す。例えばサーバ1は、図6で例示した本査定欄61において、「環境査定」及び/又は「医務査定」の入力スペースに入力された本査定結果を再学習用の正解ラベルとして読み出す。
【0077】
制御部11は、再学習用の訓練データに基づき、査定モデル50を更新する(ステップS202)。例えば制御部11は、査定モデル50を生成した際に利用した訓練用の申込情報群(図7のフローで用いた訓練用の申込情報群)に再学習用の申込情報を加えて決定木生成用のデータセットとし、当該データセットを不純度等の基準値に応じて分割することで、決定木を再生成する。新たに申込情報から査定結果を推定する場合、サーバ1は、更新後の査定モデル50を用いて査定結果を推定する。制御部11は一連の処理を終了する。
【0078】
本査定結果を元に再学習を行う点以外は上述の実施の形態と同様であるため、本変形例ではその他の説明を省略する。
【0079】
以上より、本変形例によれば、本システムの運用を通じて査定モデル50による査定結果の推定精度を向上させることができる。
【0080】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
1 サーバ(情報処理装置)
11 制御部
12 主記憶部
13 通信部
14 補助記憶部
P1 プログラム
50 査定モデル
141 申込DB
142 査定DB
2 査定者端末
21 制御部
22 主記憶部
23 通信部
24 表示部
25 入力部
26 補助記憶部
P2 プログラム
【要約】
【課題】保険の引受可否の査定を好適に支援することができるプログラム等を提供する。
【解決手段】プログラムは、保険の申込情報を取得し、保険の申込情報を入力した場合に、保険の引受、謝絶、追加告知、又は特別条件付き引受のいずれかの査定結果を出力するモデルに、取得した前記申込情報を入力することで査定結果を出力し、出力された前記査定結果の根拠因子を前記申込情報から特定し、前記査定結果として前記追加告知が出力された場合、特定された前記根拠因子と、該根拠因子に基づく追加告知内容とを出力し、前記査定結果として前記特別条件付き引受が出力された場合、特定した前記根拠因子と、該根拠因子に基づく特別条件内容とを出力する処理をコンピュータに実行させる。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9