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特許7044934料金決定装置、料金決定方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】料金決定装置、料金決定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/30 20120101AFI20220323BHJP
【FI】
G06Q50/30
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021153321
(22)【出願日】2021-09-21
(62)【分割の表示】P 2017239825の分割
【原出願日】2017-12-14
(65)【公開番号】P2021192311
(43)【公開日】2021-12-16
【審査請求日】2021-09-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆司
【審査官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-219799(JP,A)
【文献】特開2016-197796(JP,A)
【文献】特開2003-304351(JP,A)
【文献】特開2006-352338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の基地局であって、前記所定の基地局を管理する事業者とは異なる複数の通信事業者に接続し、前記複数の通信事業者の帯域とは異なる帯域で端末から接続される前記所定の基地局と通信する通信手段と、
複数の端末が前記所定の基地局を通じて前記複数の通信事業者と通信したデータ量に関するデータ量情報と、前記複数の通信事業者に関する複数の事業者情報と、を記憶する記憶手段と、
前記複数の事業者情報に少なくとも基づいて前記複数の通信事業者のそれぞれが支払う接続料金を、前記複数の通信事業者と通信したデータ量情報に少なくとも基づいて決定する決定手段と、
を有することを特徴とする料金決定装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記所定の基地局を管理する事業者の情報、または、前記複数の端末のユーザが契約または利用している通信事業者の情報に基づいて、前記通信する通信事業者を決定することを特徴とする請求項1に記載の料金決定装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記所定の基地局が設置された施設に支払う料金を、前記複数の通信事業者のそれぞれが支払う接続料金に基づいて決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の料金決定装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、複数の端末に関する複数の端末情報をさらに記憶し、
前記決定手段は、前記複数の端末情報に応じて特定される前記所定の基地局に接続した端末の数にさらに基づいて、前記複数の通信事業者のそれぞれが支払う接続料金を決定する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の料金決定装置。
【請求項5】
所定の基地局であって、前記所定の基地局を管理する事業者とは異なる複数の通信事業者に接続し、前記複数の通信事業者の帯域とは異なる帯域で端末から接続される前記所定の基地局と通信する通信手段と、
前記所定の基地局を介して通信を行った複数の端末に関する端末情報と、前記複数の通信事業者に関する複数の事業者情報と、を記憶する記憶手段と、
前記複数の事業者情報に少なくとも基づいて前記複数の通信事業者のそれぞれが支払う接続料金を、前記端末情報に応じて特定される前記所定の基地局に接続した端末の数に少なくとも基づいて決定する決定手段と、
を有することを特徴とする料金決定装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記所定の基地局によるパケットロス率を含むデータ通信の品質に関する品質情報をさらに記憶し、
前記決定手段は、前記品質情報にさらに基づいて、前記複数の通信事業者のそれぞれが支払う接続料金を決定する、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の料金決定装置。
【請求項7】
所定の基地局であって、前記所定の基地局を管理する事業者とは異なる複数の通信事業者に接続し、前記複数の通信事業者の帯域とは異なる帯域で端末から接続される前記所定の基地局と通信する通信手段と、
前記複数の通信事業者に関する複数の事業者情報と、前記所定の基地局によるパケットロス率を含むデータ通信の品質に関する品質情報と、を記憶する記憶手段と、
前記複数の事業者情報に少なくとも基づいて前記複数の通信事業者のそれぞれが支払う接続料金を、前記品質情報に少なくとも基づいて決定する決定手段と、
を有することを特徴とする料金決定装置。
【請求項8】
前記記憶手段は、複数の端末がURLを含む所定の接続先との間で通信したデータ量に関する特定データ量情報をさらに記憶し、
前記決定手段は、前記特定データ量情報にさらに基づいて、前記複数の通信事業者のそれぞれが支払う接続料金を決定する、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の料金決定装置。
【請求項9】
所定の基地局であって、前記所定の基地局を管理する事業者とは異なる複数の通信事業者に接続し、複数の通信事業者の帯域とは異なる帯域で端末から接続される前記所定の基地局と通信する通信手段と、
前記複数の通信事業者に関する複数の事業者情報と、複数の端末がURLを含む所定の接続先との間で通信したデータ量に関する特定データ量情報と、を記憶する記憶手段と、
前記複数の事業者情報に少なくとも基づいて前記複数の通信事業者のそれぞれが支払う接続料金を、前記特定データ量情報に少なくとも基づいて決定する決定手段と、
を有することを特徴とする料金決定装置。
【請求項10】
前記記憶手段は、前記複数の通信事業者と通信した通信時間をさらに記憶し、
前記決定手段は、前記通信時間にさらに基づいて、前記複数の通信事業者のそれぞれが支払う接続料金を決定する、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の料金決定装置。
【請求項11】
所定の基地局であって、前記所定の基地局を管理する事業者とは異なる複数の通信事業者に接続し、前記複数の通信事業者の帯域とは異なる帯域で端末から接続される前記所定の基地局と通信する通信手段と、
前記複数の通信事業者に関する複数の事業者情報と、前記複数の通信事業者と通信した通信時間と、を記憶する記憶手段と、
前記複数の事業者情報に少なくとも基づいて前記複数の通信事業者のそれぞれが支払う接続料金を、前記通信時間に少なくとも基づいて決定する決定手段と、
を有することを特徴とする料金決定装置。
【請求項12】
前記記憶手段は、前記複数の通信事業者と通信した特定のデータの量に関する情報をさらに記憶し、
前記決定手段は、前記特定のデータの量に関する情報にさらに基づいて、前記複数の通信事業者のそれぞれが支払う接続料金を決定する、
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の料金決定装置。
【請求項13】
所定の基地局であって、前記所定の基地局を管理する事業者とは異なる複数の通信事業者に接続し、前記複数の通信事業者の帯域とは異なる帯域で端末から接続される前記所定の基地局と通信する通信手段と、
前記複数の通信事業者に関する複数の事業者情報と、前記複数の通信事業者と通信した特定のデータの量に関する情報と、を記憶する記憶手段と、
前記複数の事業者情報に少なくとも基づいて前記複数の通信事業者のそれぞれが支払う接続料金を、前記特定のデータの量に関する情報に少なくとも基づいて決定する決定手段と、
を有することを特徴とする料金決定装置。
【請求項14】
前記記憶手段は、前記複数の通信事業者のそれぞれを介して前記端末が通信した接続先に関する情報 をさらに記憶し、
前記決定手段は、前記接続先に関する情報にさらに基づいて、前記複数の通信事業者のそれぞれが支払う接続料金を決定する、
ことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の料金決定装置。
【請求項15】
所定の基地局であって、前記所定の基地局を管理する事業者とは異なる複数の通信事業者に接続し、前記複数の通信事業者の帯域とは異なる帯域で端末から接続される前記所定の基地局と通信する通信手段と、
前記複数の通信事業者に関する複数の事業者情報と、前記複数の通信事業者のそれぞれを介して前記端末が通信した接続先に関する情報と、を記憶する記憶手段と、
前記複数の事業者情報に少なくとも基づいて前記複数の通信事業者のそれぞれが支払う接続料金を、前記接続先に関する情報に少なくとも基づいて決定する決定手段と、
を有することを特徴とする料金決定装置。
【請求項16】
前記記憶手段は、前記端末のユーザが契約または利用している通信事業者の情報をさらに記憶し、
前記決定手段は、前記端末のユーザが契約または利用している通信事業者に関する情報にさらに基づいて、前記端末のユーザが契約または利用している通信事業者から前記複数の通信事業者に支払う接続料金のうち、前記所定の基地局を管理する事業者に支払う料金を決定することを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の料金決定装置。
【請求項17】
前記料金決定装置は、通信事業者とのゲートウェイであって、
前記複数の通信事業者を含む複数の事業者情報を予め記憶し、
複数の端末から前記複数の事業者情報を取得する取得手段をさらに備え、
前記取得した複数の事業者情報に、前記記憶する複数の事業者情報に該当するものがない場合、予め指定された前記記憶する複数の事業者情報に含まれる前記複数の通信事業者とは異なる事業者と通信する、
ことを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載の料金決定装置。
【請求項18】
前記料金決定装置は、前記記憶する複数の通信事業者のうち、特定の通信事業者とのみ契約または利用しているユーザの端末からの接続を認めるように前記所定の基地局を制御する制御部を有することを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の料金決定装置。
【請求項19】
料金決定装置によって実行される方法であって、
所定の基地局であって、前記所定の基地局を管理する事業者とは異なる複数の通信事業者に接続し、前記複数の通信事業者の帯域とは異なる帯域で端末から接続される前記所定の基地局と通信する通信工程と、
複数の端末が前記所定の基地局を通じて前記複数の通信事業者と通信したデータ量に関するデータ量情報と、前記複数の通信事業者に関する複数の事業者情報と、を記憶する記憶工程と、
前記複数の事業者情報に少なくとも基づいて前記複数の通信事業者のそれぞれが支払う接続料金を、前記複数の通信事業者と通信したデータ量情報に少なくとも基づいて決定する決定工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項20】
料金決定装置によって実行される方法であって、
所定の基地局であって、前記所定の基地局を管理する事業者とは異なる複数の通信事業者に接続し、前記複数の通信事業者の帯域とは異なる帯域で端末から接続される前記所定の基地局と通信する通信工程と、
前記所定の基地局を介して通信を行った複数の端末に関する端末情報と、前記複数の通信事業者に関する複数の事業者情報と、を記憶する記憶工程と、
前記複数の事業者情報に少なくとも基づいて前記複数の通信事業者のそれぞれが支払う接続料金を、前記端末情報に応じて特定される前記所定の基地局に接続した端末の数に少なくとも基づいて決定する決定工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項21】
料金決定装置によって実行される方法であって、
所定の基地局であって、前記所定の基地局を管理する事業者とは異なる複数の通信事業者に接続し、前記複数の通信事業者の帯域とは異なる帯域で端末から接続される前記所定の基地局と通信する通信工程と、
前記複数の通信事業者に関する複数の事業者情報と、前記所定の基地局によるパケットロス率を含むデータ通信の品質に関する品質情報と、を記憶する記憶工程と、
前記複数の事業者情報に少なくとも基づいて前記複数の通信事業者のそれぞれが支払う接続料金を、前記品質情報に少なくとも基づいて決定する決定工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項22】
料金決定装置によって実行される方法であって、
所定の基地局であって、前記所定の基地局を管理する事業者とは異なる複数の通信事業者に接続し、前記複数の通信事業者の帯域とは異なる帯域で端末から接続される前記所定の基地局と通信する通信工程と、
前記複数の通信事業者に関する複数の事業者情報と、複数の端末がURLを含む所定の接続先との間で通信したデータ量に関する特定データ量情報と、を記憶する記憶工程と、
前記複数の事業者情報に少なくとも基づいて前記複数の通信事業者のそれぞれが支払う接続料金を、前記特定データ量情報に少なくとも基づいて決定する決定工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項23】
料金決定装置によって実行される方法であって、
所定の基地局であって、前記所定の基地局を管理する事業者とは異なる複数の通信事業者に接続し、前記複数の通信事業者の帯域とは異なる帯域で端末から接続される前記所定の基地局と通信する通信工程と、
前記複数の通信事業者に関する複数の事業者情報と、前記複数の通信事業者と通信した通信時間と、を記憶する記憶工程と、
前記複数の事業者情報に少なくとも基づいて前記複数の通信事業者のそれぞれが支払う接続料金を、前記通信時間に少なくとも基づいて決定する決定工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項24】
料金決定装置によって実行される方法であって、
所定の基地局であって、前記所定の基地局を管理する事業者とは異なる複数の通信事業者に接続し、前記複数の通信事業者の帯域とは異なる帯域で端末から接続される前記所定の基地局と通信する通信工程と、
前記複数の通信事業者に関する複数の事業者情報と、前記複数の通信事業者と通信した特定のデータの量に関する情報と、を記憶する記憶工程と、
前記複数の事業者情報に少なくとも基づいて前記複数の通信事業者のそれぞれが支払う接続料金を、前記特定のデータの量に関する情報に少なくとも基づいて決定する決定工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項25】
コンピュータを、請求項1から18のいずれか1項に記載の料金決定装置が有する各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信のローミングに関する。
【背景技術】
【0002】
ISMバンド等のライセンスが不要な帯域(アンライセンスバンド)でLTE(ロングタームエボリューション)等の移動体無線通信サービスを提供することが検討されている。このようなアンライセンスバンドでは、従来のライセンスバンドでの通信サービスを提供する通信事業者のみならず、ライセンスを有しない事業者が基地局等の設備を設置してサービスを提供することが想定されうる。このような事業者は、設置した設備を端末が使用した場合、その端末のユーザが通信サービスを契約している通信事業者からの接続料金によって利益を得ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のようなアンライセンスバンドを利用する事業者は、より多くの施設に基地局を設置して多くの端末に多くのデータ通信を行わせることにより、利益を大きくすることができる。しかしながら、施設にとっては、そのような通信を行わせるメリットが少なく、基地局の設置(増設)、データ通信量を増加させること、エリア品質の改善のために対策を取ることに関して、利点が少ないという課題があった。
【0004】
本発明は、基地局の設置対象となる施設にとって基地局を設置及び活用することの利点を訴求することを可能とする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による料金決定装置は、所定の基地局であって、前記所定の基地局を管理する事業者とは異なる複数の通信事業者に接続し、前記複数の通信事業者の帯域とは異なる帯域で端末から接続される前記所定の基地局と通信する通信手段と、
複数の端末が前記所定の基地局を通じて前記複数の通信事業者と通信したデータ量に関するデータ量情報と、前記複数の通信事業者に関する複数の事業者情報と、を記憶する記憶手段と、
前記複数の事業者情報に少なくとも基づいて前記複数の通信事業者のそれぞれが支払う接続料金を、前記複数の通信事業者と通信したデータ量情報に少なくとも基づいて決定する決定手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、基地局の設置対象となる施設にとって基地局を設置及び活用することの利点を訴求することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】システム構成例を示す図。
図2】制御装置のハードウェア構成例を示す図。
図3】制御装置の機能構成例を示す図。
図4】制御装置によって実行される処理の流れの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0009】
(システム構成)
図1に、本実施形態に係るシステムの構成を示す。本システムは、無線通信に関する制御システムの少なくとも一部を構成する。本システムは、一例において、第1の基地局101、第2の基地局102、端末装置103、及び制御装置104を含んで構成される。第1の基地局101は、例えば、端末装置103のユーザが契約している又はそのユーザが利用する通信事業者によって運用や管理が行われ、ライセンスバンドでの無線通信サービスを提供する。第2の基地局102は、例えば、端末装置103のユーザが契約している(そのユーザが利用する)通信事業者(事業者1)と異なる事業者(事業者2)によって運用や管理が行われ、アンライセンスバンドでの無線通信サービスを提供する。なお、第2の基地局102は、アンライセンスバンドを使用するため、運用管理を行う事業者2のみならず、例えば第2の基地局102の施設管理者等がその配置位置を移動させること等の操作が可能でありうる。端末装置103は、ライセンスバンド及びアンライセンスバンドでの無線通信が可能であり、第1の基地局101と第2の基地局102とのいずれかと、又はそれらの両方と、接続を確立して通信を行うことができる。なお、説明を簡単にするため、第1の基地局101、第2の基地局102及び端末装置103が1台ずつ存在する場合の例を図解しているが、これらの装置のそれぞれは、多数、地理的に分散して広範に存在する。
【0010】
端末装置103は、通常、端末装置103のユーザが契約(利用)している事業者1が提供する基地局(ここでは第1の基地局101)と接続し、無線通信サービスの提供を受ける。一方、例えば特定の施設内において、アンライセンスバンドを利用した第2の基地局102が配置され、その第2の基地局102に端末装置103が接続することが想定されうる。この第2の基地局102は、第1の基地局を運用管理する事業者1と異なる事業者2によって運用管理されうる。この場合、端末装置103のユーザが契約(利用)している事業者1は、端末装置103が第2の基地局102に接続したことによる接続料金を、第2の基地局102の運用管理を行う事業者2に支払うこととなる。また、事業者2は、その第2の基地局102が設置された施設の関係者(所有者、管理者、管理組合等)と異なる場合には、施設の関係者に対して、上述の接続料金の一部を支払いうる。この仕組みにおいては、事業者2は、より多くの施設に基地局を設置して多くの端末に多くのデータ通信を行わせることにより、利益を大きくすることができる。このため、事業者2は、施設に対して基地局の設置やエリア改善を促し、データ通信量を増加させることによる利点を多く与えることが要求される。
【0011】
これに対して、本実施形態に係る制御装置104は、第2の基地局102が設置される施設による努力に応じた対価が支払われるように、端末装置103の第2の基地局102との接続又は通信の実績を記憶/管理しておき、その接続実績に応じて対価の額を決定する。例えば、制御装置104は、例えば、第2の基地局102に端末装置103が接続された際に、その端末装置103のユーザが契約/利用している事業者1の情報を取得して記憶する。事業者2は、この情報に少なくとも基づいて、事業者1から端末装置103の接続のための接続料金を受け取ることとなる。また、制御装置104は、端末装置103が第2の基地局102と接続した際の接続又は通信の実績情報を収集して記憶し、その実績情報に基づいて、事業者2が受け取る接続料金のうち、第2の基地局102が設置される施設の関係者に支払うべき料金を決定する。なお、制御装置104は、ゲートウェイとして機能してもよく、この場合、制御装置104を通過する通信を監視することによって実績情報を収集してもよいし、第2の基地局102やそれに関連するネットワークノードとの通信によって実績情報を取得してもよい。なお、第2の基地局102やそれに関連するネットワークノードとの通信によって実績情報を取得する場合、例えば、第2の基地局102において通信が行われる度に個別の接続実績の情報を取得して、それを蓄積することにより実績情報が形成されてもよい。
【0012】
第一の例において、制御装置104は、端末装置103が第2の基地局102を通じて通信したデータ量に関するデータ量情報を、第2の基地局102の識別情報と関連付けた実績情報として記憶する。そして、制御装置104は、端末装置103のユーザが契約/利用している事業者1から、第2の基地局102を運用管理する事業者2に支払われる接続料金のうち、第2の基地局102が設置された施設の関係者(所有者等)に支払う料金を、記憶したデータ量情報に基づいて決定する。例えば、制御装置104は、第2の基地局102を通じて行われた通信のデータ量が多いほど、多くの料金を第2の基地局102が設置された施設の関係者に支払うことを決定しうる。第2の基地局102を通じた通信量が多いほど、その第2の基地局102が設置された施設の関係者がその第2の基地局102の利用を促進する行動をとったと考えられる。このため、データ量情報に基づいて、事業者2が管理する基地局を積極的に利用させている施設に対しては、より多くの料金を還元するようにし、これにより、事業者2が管理する基地局の増設やさらなる利用促進を促すことができる。
【0013】
第二の例において、制御装置104は、第2の基地局102に接続した端末装置103に関する端末情報を記憶し、端末情報に応じて特定される、第2の基地局102に接続した端末装置の台数に基づいて、第2の基地局102が設置された施設の関係者に支払う料金を決定しうる。例えば、制御装置104は、第2の基地局102に接続した端末装置の台数が多いほど、多くの料金を第2の基地局102が設置された施設の関係者に支払うことを決定しうる。第2の基地局102に接続する端末装置の台数が多いほど、その第2の基地局102が設置された施設の関係者がその第2の基地局102を多くのユーザに利用させるための行動をとったと考えられる。このため、端末装置の接続台数に基づいて、事業者2が管理する基地局を積極的に利用させている施設に対しては、より多くの料金を還元するようにし、これにより、第2の基地局102の施設内での増設やさらなる利用促進を促すことができる。なお、端末情報は、端末固有の識別情報であればどのようなものであってもよい。また、第2の基地局102に接続した端末装置の台数は、例えば1日や1月等の所定の期間における台数としてカウントされうる。また、例えば毎日接続している端末装置については、施設の関係者が保有する端末装置であることが想定されうるため、カウントから除外してもよい。また、所定の端末装置を指定して、カウントから除外するような設定が行われてもよい。
【0014】
第三の例において、制御装置104は、第2の基地局102におけるデータ通信の品質に関する品質情報を記憶し、その品質情報に基づいて、第2の基地局102が設置された施設の関係者に支払う料金を決定しうる。制御装置104は、例えば、第2の基地局102による無線通信のパケットロス率や切断率等の通信品質に関する情報を品質情報として記憶し、その通信品質が良好なほど、多くの料金を第2の基地局102が設置された施設の関係者に支払うことを決定しうる。第2の基地局102の通信品質が良好であるほど、その第2の基地局102が設置されている施設の関係者が、第2の基地局102の端末装置による利用を快適にするための行動をとったと考えられる。このため、品質情報に基づいて、通信環境を整えて多くの端末装置による接続を促進している施設に対してより多くの料金を還元するようにし、これにより、施設内での第2の基地局102の増設やさらなる品質改善とそれに伴う利用促進を促すことができる。なお、品質情報は、パケットロス率や切断率に限られず、例えば、通信中の端末装置におけるSINR(信号対干渉及び雑音電力比)や受信信号強度等の、周知の通信品質の情報でありうる。
【0015】
第四の例において、制御装置104は、端末装置103が第2の基地局102を通じて所定の接続先との間で通信したデータ量に関する特定データ量情報を記憶し、その特定データ量情報に基づいて、第2の基地局102が設置された施設の関係者に支払う料金を決定しうる。例えば、第2の基地局102を運営する事業者2が特定のURLへのアクセスを促進している際に、その第2の基地局102が設置されている施設がそのURLへの宣伝をすること等により、その第2の基地局102を通じたそのURLへのアクセスが増加しうる。このため、制御装置104は、第2の基地局102を通じた(例えば事前指定された)所定の接続先へのアクセス量/通信されたデータ量が多い場合に、その第2の基地局102が設置されている施設に対して支払われる料金を増加させうる。なお、この所定の接続先は、第2の基地局102の運用管理をする事業者2がアクセスを促している接続先のみならず、例えば端末装置103のユーザが契約/利用する事業者1がアクセスを促している接続先であってもよい。この場合、例えば、この所定の接続先との間で通信したデータ量に基づいて、接続料金に特定データ量情報に基づく追加料金を加えた料金が事業者1から事業者2へ支払われ、事業者2から施設の関係者へ特定データ量情報に基づく料金が支払われうる。すなわち、制御装置104は、所定の接続先を指定した事業者等からその所定の接続先への第2の基地局102を通じたアクセスに係る料金を回収し、その料金の少なくとも一部をその第2の基地局102が設置された施設へ支払う料金として決定しうる。
【0016】
第五の例において、制御装置104は、端末装置103が第2の基地局102に接続していた時間の長さ(第2の基地局102のサービスエリアに滞在した滞在時間の長さ)に関する滞在時間情報を記憶し、その滞在時間情報に基づいて、第2の基地局102が設置された施設の関係者に支払う料金を決定しうる。例えば、制御装置104は、第2の基地局102のサービスエリア内に端末装置が滞在した時間が長いほど、多くの料金を第2の基地局102が設置された施設の関係者に支払うことを決定しうる。すなわち、制御装置104は、第2の基地局102を多数配置してエリアを拡大し、端末装置に対して継続的に通信サービスを提供することを可能としている設備に対して、より多くの料金を還元することを決定しうる。これにより、施設内での第2の基地局102の増設やさらなるエリア改善とそれに伴う利用促進を促すことができる。なお、第2の基地局102はアンライセンスバンドを用いる基地局であるため、ライセンスを有しない施設の関係者であっても、多くの料金を受け取るために第2の基地局102の設置位置や設定を自ら変更することが可能でありうる。
【0017】
なお、上述の各例は任意に組み合わせることができる。すなわち、制御装置104は、上述の複数の情報に基づいて、第2の基地局102が設置された施設の関係者に支払う料金を決定しうる。例えば第一の例と第二の例とを組み合わせて、第2の基地局102を通じて行われた通信のデータ量と、第2の基地局102に接続した端末装置の台数とに基づいて、第2の基地局102が設置された施設の関係者に支払われる料金が決定されうる。さらに、制御装置104は、上述の各例で示された情報以外の情報をさらに加味して、第2の基地局102が設置された施設の関係者に支払う料金を決定してもよい。
【0018】
(装置構成)
続いて、上述のような処理を行う制御装置104の構成について説明する。
【0019】
図2に、制御装置104のハードウェア構成例を示す。制御装置104は、一例において、図2に示すようなハードウェア構成を有し、例えば、CPU201、ROM202、RAM203、外部記憶装置204、及び通信装置205を有する。制御装置104では、例えばROM202、RAM203及び外部記憶装置204のいずれかに記録された、上述のような制御装置104の機能を実現するプログラムがCPU201により実行される。なお、CPU201は、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)等の1つ以上のプロセッサによって置き換えられてもよい。
【0020】
そして、制御装置104は、例えばCPU201により通信装置205を制御して、他の装置との通信を行う。なお、図2では、制御装置104は、1つの通信装置205を有するような概略図を示しているが、これに限られず、複数の通信装置205を有してもよい。
【0021】
なお、制御装置104は、各機能を実行する専用のハードウェアを備えてもよいし、一部をハードウェアで実行し、プログラムを動作させるコンピュータでその他の部分を実行してもよい。また、全機能がコンピュータとプログラムにより実行されてもよい。
【0022】
図3は、制御装置104の機能構成例を示す図である。制御装置104は、一例として、情報取得部301、情報記憶部302、及び還元料金決定部303を有する。
【0023】
情報取得部301は、上述のように、端末装置103の第2の基地局102との接続又は通信の実績情報を、例えば通信装置205を介して取得する。なお、制御装置104は、ゲートウェイとして機能してもよく、この場合、制御装置104を通過する通信を監視することによってこの実績情報を取得してもよいし、第2の基地局102やそれに関連するネットワークノードから実績情報を取得してもよい。実績情報は、例えば、上述の、データ量情報、端末情報、品質情報、特定データ量情報、及び滞在時間情報のうちの1つ以上でありうる。また、実績情報は、端末装置103のユーザが契約/利用している通信事業者(事業者1)の情報をも含みうる。情報記憶部302は、情報取得部301が取得した情報を蓄積する。還元料金決定部303は、情報記憶部302に蓄積された情報に基づいて、第2の基地局102の運用管理を行っている事業者2が事業者1から受け取る接続料金のうち、第2の基地局102が設置されている施設の関係者(所有者等)に支払うべき料金を決定する。なお、還元料金決定部303は、事業者1から事業者2へ支払われる接続金額のうちの割合を、施設の関係者に支払うべき料金として決定してもよい。すなわち、還元料金決定部303は、例えば事業者2が事業者1から受け取る接続金額を把握せずに、その接続金額のうち施設の関係者に支払われるべき比率を決定しうる。還元料金決定部303が決定した料金は、例えば事業者2へと通知され、事業者2は、この通知された金額を第2の基地局102が設置された施設の関係者に支払う。
【0024】
(処理の流れ)
図4に、制御装置104が実行する処理の流れの例を示す。まず、制御装置104は、端末装置103が第2の基地局102との間で接続を確立して通信した実績に関する実績情報を取得し(S401)、取得した情報を蓄積する(S402)。実績情報は、例えば、上述の、データ量情報、端末情報、品質情報、特定データ量情報、及び滞在時間情報のうちの1つ以上でありうる。なお、実績情報は、端末装置103のユーザが契約/利用している通信事業者(事業者1)の情報をも含みうる。そして、制御装置104は、蓄積された実績情報に基づいて、事業者1から第2の基地局102の運用管理を行っている事業者2へ支払われる接続料金のうち、第2の基地局102が設置されている施設の関係者(所有者、管理者、管理組合等)に支払うべき料金を決定する。
【0025】
具体的には、制御装置104は、実績情報として端末装置103が第2の基地局102を通じて通信したデータ量に関するデータ量情報を用いる。そして、制御装置104は、例えば、第2の基地局102を通じて行われた通信のデータ量が多いほど、多くの料金を第2の基地局102が設置された施設の関係者に支払うことを決定しうる。また、制御装置104は、第2の基地局102に接続した端末装置103に関する端末情報を実績情報として用い、端末情報に応じて特定される第2の基地局102に接続した端末装置の台数を特定する。なお、この場合、端末情報が、第2の基地局102に接続した端末装置の台数の情報を直接的に示してもよい。すなわち、本明細書及び添付の特許請求の範囲において「端末情報」とは、端末装置そのものの情報であってもよいし、端末装置の台数の情報であってもよい。そして、制御装置104は、例えば、第2の基地局102に接続した端末装置の台数が多いほど、多くの料金を第2の基地局102が設置された施設の関係者に支払うことを決定しうる。制御装置104は、第2の基地局102におけるデータ通信の品質に関する品質情報を実績情報として用いてもよい。制御装置104は、例えば、第2の基地局102による無線通信のパケットロス率や切断率等の通信品質が良好なほど、多くの料金を第2の基地局102が設置された施設の関係者に支払うことを決定しうる。制御装置104は、端末装置103が第2の基地局102を通じて所定の接続先との間で通信したデータ量に関する特定データ量情報を実績情報として用いてもよい。この場合、制御装置104は、第2の基地局102を通じた所定の接続先へのアクセス量/通信されたデータ量が多い場合に、その第2の基地局102が設置されている施設に対して支払われる料金を増加させうる。制御装置104は、端末装置103が第2の基地局102に接続していた時間の長さ(第2の基地局102のサービスエリアに滞在した滞在時間の長さ)に関する滞在時間情報を実績情報として用いてもよい。この場合、制御装置104は、例えば、第2の基地局102のサービスエリア内に端末装置が滞在した時間が長いほど、多くの料金を第2の基地局102が設置された施設の関係者に支払うことを決定しうる。なお、制御装置104は、上述の各種情報を複数含んだ実績情報や、さらに他の情報を用いて、複数の基準に従って第2の基地局102が設置された施設の関係者に支払う料金を決定してもよい。
【0026】
なお、上述の実施形態では、端末装置103のユーザが契約/利用している事業者1の事業者情報を制御装置104が取得して、その事業者情報に基づいて、事業者1から事業者2に支払われる接続料金が支払われると説明したがこれに限られない。例えば、事業者2は、事業者1との契約に係る端末装置103との接続のみを認めるように、第2の基地局102を運用管理することができる。この場合、制御装置104は、端末装置103のユーザが契約(又は利用)している事業者は事前に特定可能であるため、事業者情報を取得しなくてもよい。
【0027】
以上のように、第2の基地局102を積極的に活用する施設に対して多くの料金を支払うことを決定することにより、基地局の設置対象となる施設にとって基地局を設置及び活用することの利点を訴求することが可能となる。この結果、アンライセンスバンドに対応した第2の基地局102を管理運用する事業者は、施設に対して、より多くの基地局を設置することやエリア改善によって、多くの端末に多くのデータ通信を行わせることを促すことができる。
図1
図2
図3
図4