(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】高所設置物品用着脱器具
(51)【国際特許分類】
G01D 11/30 20060101AFI20220324BHJP
F16B 45/00 20060101ALI20220324BHJP
G09F 17/00 20060101ALN20220324BHJP
【FI】
G01D11/30 S
F16B45/00 A
G09F17/00 P
(21)【出願番号】P 2018081130
(22)【出願日】2018-04-20
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】512063276
【氏名又は名称】株式会社ロジカルプロダクト
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 玲児
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 恵介
(72)【発明者】
【氏名】大庭 章
(72)【発明者】
【氏名】中泉 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】大多和 丈成
(72)【発明者】
【氏名】辻 卓則
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-025648(JP,A)
【文献】特開平07-139949(JP,A)
【文献】米国特許第04228416(US,A)
【文献】特開2006-152787(JP,A)
【文献】実開平07-042956(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 45/00-47/00
G01D 11/00-13/28
G09F 15/00-17/00
H01F 7/00- 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材料で構成されている構造体の高所被着面に所望の物品を着脱するための高所設置物品用着脱器具であって、
前記物品のいずれか一の面に取り付けられ、前記高所被着面に当接可能な磁石が設けられている第1ユニットと、
前記物品の前記一の面と反対側の面に取り付けられ、上下に貫通した挿入穴が設けられている第2ユニットと、
前記第2ユニットの挿入穴に下方から挿し入れ可能な挿入部材が一端部に設けられている長尺な操作棒と、
を備え、
前記挿入部材は、先端に向けて先細り、後端側が前記挿入穴の開口の大きさよりも太い形状に形成されていることを特徴とする高所設置物品用着脱器具。
【請求項2】
前記第2ユニットは、前記物品に取り付けられ、平坦面を有している平板部材と、前記平坦面に固定されて前記平板部材との間に前記挿入穴を形成するアーチ状部材と、を備え、
前記挿入部材には、前記平板部材の前記平坦面と摺接可能な平坦な摺接面が形成されており、
前記挿入部材の先端を上に向けて前記摺接面を前記平坦面に摺接させた状態で、その挿入部材から下方に延在する向きとなる前記操作棒が前記平坦面に対し鋭角をなすように、前記挿入部材に対し前記操作棒が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の高所設置物品用着脱器具。
【請求項3】
前記挿入部材が挿し入れられる前記挿入穴の間口が大きくなるように、前記アーチ状部材の内面の下縁側は傾斜面に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の高所設置物品用着脱器具。
【請求項4】
前記挿入部材には、フック部材が出没可能に取り付けられており、
前記挿入部材が前記挿入穴に挿し入れる方向の力を受けた際に前記アーチ状部材に当接した前記フック部材は、前記アーチ状部材によって押し下げられ、
前記挿入部材が前記挿入穴から引き抜く方向の力を受けた際に前記アーチ状部材に当接した前記フック部材は、前記アーチ状部材に引っ掛かるように構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の高所設置物品用着脱器具。
【請求項5】
前記第1ユニットにおける前記磁石よりも外縁側の少なくとも一部には、前記磁石と略同じ厚みを有する緩衝部材が設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の高所設置物品用着脱器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所に様々な物品を着脱するのに使用する高所設置物品用着脱器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手の届かない高所に所定の物品を設置する場合、足場台や高所作業車を使うことがある。
また、足場台や高所作業車を使わずに、高所に所定の物品を設置する場合に使用する長尺な棒状の器具や装置が知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-40266号公報
【文献】特開2011-244607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の器具は、電球の交換に特化したものであり、また上記特許文献2の装置は、危険標示旗の取り付けに特化したものであり、汎用性のあるものではなかった。
そこで、本発明者らが鋭意検討して、様々な物品を高所に取り付けたり取り外したりするための技術を開発するに至った。
【0005】
本発明の目的は、高所に様々な物品を着脱するのを可能にする高所設置物品用着脱器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、この発明は、
磁性材料で構成されている構造体の高所被着面に所望の物品を着脱するための高所設置物品用着脱器具であって、
前記物品のいずれか一の面に取り付けられ、前記高所被着面に当接可能な磁石が設けられている第1ユニットと、
前記物品の前記一の面と反対側の面に取り付けられ、上下に貫通した挿入穴が設けられている第2ユニットと、
前記第2ユニットの挿入穴に下方から挿し入れ可能な挿入部材が一端部に設けられている長尺な操作棒と、
を備え、
前記挿入部材は、先端に向けて先細り、後端側が前記挿入穴の開口の大きさよりも太い形状に形成されているようにした。
【0007】
かかる構成の高所設置物品用着脱器具を用いれば、磁性材料で構成され、磁石を引きつけるように構成されている高所被着面に、所望の物品を取り付けたり取り外したりすることができる。
例えば、所望の物品に第1ユニットと第2ユニットを一体に組み付けておき、その第2ユニットの挿入穴に下方から挿入部材を挿し入れ、先端を上に向けた挿入部材で物品を支持した状態で操作棒を操作し、第1ユニットの磁石を高所被着面に当接させるようにすれば、高所被着面に物品を取り付けることができる。
また、高所被着面に取り付けられている物品を取り外す場合、操作棒を操作して、第2ユニットの挿入穴に下方から挿入部材を挿し入れ、高所被着面から第1ユニットの磁石を引き離すようにすれば、高所被着面から物品を取り外すことができる。
【0008】
また、望ましくは、
前記第2ユニットは、前記物品に取り付けられ、平坦面を有している平板部材と、前記平坦面に固定されて前記平板部材との間に前記挿入穴を形成するアーチ状部材と、を備え、
前記挿入部材には、前記平板部材の前記平坦面と摺接可能な平坦な摺接面が形成されており、
前記挿入部材の先端を上に向けて前記摺接面を前記平坦面に摺接させた状態で、その挿入部材から下方に延在する向きとなる前記操作棒が前記平坦面に対し鋭角をなすように、前記挿入部材に対し前記操作棒が配設されているようにする。
【0009】
挿入部材の摺接面を平板部材の平坦面に摺接させて、挿入部材をスライド移動させるようにすれば、第2ユニットの挿入穴を目掛けて挿入部材を直接挿し入れようとするよりも、挿入部材を第2ユニットの挿入穴に挿し入れ易い。
また、このような角度をつけて操作棒の一端部に挿入部材が設けられているので、壁面からある程度離れた位置から高所被着面を見上げるようにして物品を取り付けたり取り外したりでき、その着脱作業を行い易い。
【0010】
また、望ましくは、
前記挿入部材が挿し入れられる前記挿入穴の間口が大きくなるように、前記アーチ状部材の内面の下縁側は傾斜面に形成されているようにする。
【0011】
こうすることで、第2ユニットの挿入穴に下方から挿入部材を挿し入れ易くなる。
【0012】
また、望ましくは、
前記挿入部材には、フック部材が出没可能に取り付けられており、
前記挿入部材が前記挿入穴に挿し入れる方向の力を受けた際(挿入部材を挿入穴に挿し入れる際)に前記アーチ状部材に当接した前記フック部材は、前記アーチ状部材によって押し下げられ、
前記挿入部材が前記挿入穴から引き抜く方向の力を受けた際(挿入部材を挿入穴から引き抜く際)に前記アーチ状部材に当接した前記フック部材は、前記アーチ状部材に引っ掛かるように構成されているようにする。
【0013】
このようなフック部材が取り付けられている挿入部材を第2ユニットの挿入穴に挿し入れれば、フック部材がアーチ状部材に引っ掛かり、挿入部材が挿入穴から抜け出ない状態になる。つまり、挿入部材のフック部材がアーチ状部材に引っ掛かり、挿入部材が第2ユニットを保持した状態になれば、操作棒を操作して、第2ユニットと一体に組み付けられている物品を動かし易くなるので、高所被着面に取り付けられている物品を好適に取り外すことができる。
【0014】
また、望ましくは、
前記第1ユニットにおける前記磁石よりも外縁側の少なくとも一部には、前記磁石と略同じ厚みを有する緩衝部材が設けられているようにする。
【0015】
こうすることで、高所被着面に物品を取り付ける際、物品が直接高所被着面に突き当たることを防ぎ、その取り付けの際の衝撃を吸収することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる高所設置物品用着脱器具を用いれば、高所に様々な物品を着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態の高所設置物品用着脱器具を示す概略斜視図である。
【
図2】高所設置物品用着脱器具の第1ユニットと第2ユニットに関する説明図であり、第2ユニットの平面図(a)と、第2ユニット及び第1ユニットの側面図(b)と、第1ユニットの平面図(c)である。
【
図3】高所設置物品用着脱器具の挿入部材を示す斜視図であり、フック部材を凹部に収容した状態(a)と、フック部材を凹部から突出させた状態(b)である。
【
図4】フック部材を凹部から突出させた状態で、挿入部材を第2ユニットの挿入穴に挿し入れる過程を示す説明図(a)(b)(c)である。
【
図5】高所設置物品用着脱器具を用いて、高所被着面に計測器を取り付ける手順に関する説明図(a)(b)(c)(d)である。
【
図6】高所設置物品用着脱器具を用いて、高所被着面から計測器を取り外す手順に関する説明図(a)(b)(c)(d)である。
【
図7】第1ユニットにおける磁石の配置の変形例を示す平面図(a)と、高所被着面から計測器を取り外す手順の変形例を示す説明図(b)(c)である。
【
図8】第1ユニットにおける緩衝部材の変形例を示す平面図(a)(b)である。
【
図9】第2ユニットにおけるアーチ状部材の変形例を示す平面図である。
【
図10】第2ユニットの変形例を示す側面図(a)(b)である。
【
図11】高所設置物品用着脱器具の変形例を示す側面図である。
【
図12】操作棒の角度を調整して使用する態様の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係る高所設置物品用着脱器具の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
高所設置物品用着脱器具は、高所に様々な物品を取り付けたり取り外したりするのに用いる器具であり、例えば、鋼材や鉄材からなり、磁石を引きつけるように構成されている構造体の壁面の高所に所望の物品を着脱するのを可能にする器具である。
【0019】
本実施形態では、磁性材料で構成され、磁石を引きつけるように構成されている高所被着面Wに、所望の物品として計測器Tを着脱するのに用いる高所設置物品用着脱器具100を例に説明する。
本実施形態の高所設置物品用着脱器具100は、例えば、
図1に示すように、高所被着面W側となる計測器Tの一方の面に取り付けられる第1ユニット10と、その計測器Tの他方の面に取り付けられる第2ユニット20と、挿入部材30が一端部に設けられている長尺な操作棒40等を備えている。
第1ユニット10には、高所被着面Wに当接させる磁石12が設けられており、第2ユニット20には、上下に貫通した挿入穴22が設けられている。この第2ユニット20の挿入穴22は、下方から挿入部材30を挿し入れ可能に形成されている。
計測器Tは、振動(加速度)を計測する振動センサや、温度を計測する温度センサなどが筐体内に収められたものである。
【0020】
第1ユニット10は、例えば、
図1、
図2(b)(c)に示すように、平板部材11と、平板部材11の一の面に配設された磁石12と、その磁石12よりも平板部材11の外縁側に配設された緩衝部材13を備えている。
【0021】
平板部材11は、例えば、樹脂製の板状部材である。
この平板部材11が計測器Tの筐体の一方の面にねじ止めされるなどして、第1ユニット10が計測器Tに取り付けられている。
【0022】
磁石12は、例えば、ネオジム磁石である。
本実施形態では、三角形の頂点の配置となるように3つの磁石12が配設されている。ここでは、上側に2つ、下側に1つの逆三角形の頂点の配置に3つの磁石12が配設されている。
この磁石12を高所被着面Wに当接させて磁力でくっつけることで、第1ユニット10が取り付けられている計測器Tを高所被着面Wに取り付けることができる。
【0023】
緩衝部材13は、例えば、ゴム製の部材であり、磁石12と略同じ厚みを有している。ここでは、平板部材11の外縁に沿う枠状の緩衝部材13が配設されている。
この緩衝部材13は、計測器Tを高所被着面Wに取り付ける際、計測器Tが直接高所被着面Wに突き当たることを防ぎ、その取り付けの際の衝撃を吸収するために設けられている。
なお、磁石12を高所被着面Wに確実に当接させるため、緩衝部材13の厚みは磁石12の厚みより僅かに薄いことが好ましい。
【0024】
第2ユニット20は、例えば、
図1、
図2(a)(b)に示すように、平坦面21aを有している平板部材21と、平板部材21の平坦面21aに固定されて、平板部材21との間に上下に貫通した挿入穴22を形成するアーチ状部材23を備えている。
【0025】
平板部材21は、例えば、樹脂製の板状部材である。
この平板部材21が計測器Tの筐体の他方の面にねじ止めされるなどして、第2ユニット20が計測器Tに取り付けられている。
平板部材21の平坦面21aは、後述する挿入部材30を挿入穴22に挿し入れる際、挿入部材30の摺接面30aを摺接させて、挿入部材30をスライド移動させ易くするよう平滑な面に形成されている。
【0026】
アーチ状部材23は、例えば、樹脂製の部材であり、平板部材21の平坦面21aにねじ止めなどで固定されている。
このアーチ状部材23は、後述する挿入部材30が下方から挿し入れられる挿入穴22の間口が大きくなるように、アーチ状部材23の内面の下縁側は傾斜面23aに形成されている。つまり、第2ユニット20に設けられている挿入穴22は、下端開口ほど大きく広がる形状に形成されている。
こうすることで、第2ユニット20の挿入穴22に後述する挿入部材30を下方から挿し入れ易くなっている。
【0027】
挿入部材30は、例えば、
図1、
図3(a)(b)に示すように、先端に向けて先細り、後端側が挿入穴22の開口の大きさよりも太い形状に形成されている樹脂製の部材である。
この挿入部材30を第2ユニット20の挿入穴22に下方から挿し入れた場合、挿入部材30の後端側でアーチ状部材23が係止されるようになっている。
【0028】
また、挿入部材30には、第2ユニット20の平板部材21の平坦面21aと摺接可能な平坦な摺接面30aが形成されている。
この挿入部材30の摺接面30aを平板部材21の平坦面21aに摺接させて、挿入部材30をスライド移動させるようにすれば、第2ユニット20の挿入穴22を目掛けて挿入部材30を直接挿し入れようとするよりも、挿入部材30を第2ユニット20の挿入穴22に挿し入れ易くなっている。
【0029】
特に、挿入部材30の先端を上に向けて摺接面30aを平板部材21の平坦面21aに摺接させた状態で、その挿入部材30から下方に延在する向きとなる操作棒40が平坦面21aに対し鋭角をなすように、挿入部材30に対し操作棒40が配設されている。
このような角度をつけて操作棒40の一端部に挿入部材30が設けられていることで、高所被着面Wに計測器Tを取り付けたり取り外したりし易くなっている。
例えば、挿入部材30と操作棒40の軸が揃っており、操作棒40の延在方向に沿って挿入部材30が設けられていると、壁面に近接した位置で計測器Tを取り付けたり取り外したりしなければならない。つまり、高所被着面Wを真下から見上げるようにして計測器Tの着脱を行わなければならず、その作業は行い難いものになる。
これに対し、操作棒40の延在方向に対し所定の角度をつけて挿入部材30が設けられていると、壁面からある程度離れた位置から高所被着面Wを見上げるようにして計測器Tを取り付けたり取り外したりできるので、その作業は行い易くなる。
【0030】
また、
図3(a)(b)に示すように、挿入部材30には、フック部材31が出没可能に取り付けられている。
フック部材31は、例えば、トーションばねを用いた部材であり、挿入部材30の摺接面30aとは反対側に取り付けられている。
具体的には、フック部材31は、挿入部材30の凹部30bに取り付けられている。
その凹部30b内に設けられている突起30cの下にフック部材31を係合させることで、
図3(a)に示すように、フック部材31を凹部30bに収容することができる。
また、凹部30b内に設けられている突起30cの下に掛けられているフック部材31の係合を解除することで、
図3(b)に示すように、ばねの反発力によってフック部材31を凹部30bから突出させることができる。
【0031】
そして、
図4(a)に示すように、フック部材31を挿入部材30の凹部30bから突出させた状態で、その挿入部材30を第2ユニット20の挿入穴22に挿し入れる際、アーチ状部材23に当接したフック部材31は、
図4(b)に示すように、アーチ状部材23によって押し下げられ、弾性変形したそのフック部材31は一旦凹部30bに没入する。そのフック部材31がアーチ状部材23(挿入穴22)から抜け出ると、
図4(c)に示すように、フック部材31はばねの反発力によって凹部30bから突出する。
この
図4(c)に示す状態から、挿入部材30を第2ユニット20の挿入穴22から引き抜く際にアーチ状部材23に当接したフック部材31は弾性変形せず、アーチ状部材23に引っ掛かるようになっている。つまり、
図4(c)に示す状態で、挿入部材30の先端を下に向けても、挿入部材30から第2ユニット20が外れないようになっている。
このように、フック部材31を挿入部材30の凹部30bから突出させた状態は、高所被着面Wから計測器Tを取り外す際の態様である。
一方、フック部材31を挿入部材30の凹部30bに収容した状態(
図3(a)参照)は、高所被着面Wに計測器Tを取り付ける際の態様である。
【0032】
操作棒40は、手の届かない高所被着面Wに達する長さを有する長尺な部材である。
この操作棒40は、挿入部材30が設けられている一端部側の角度調整部41と、所定の長さを有する操作棒本体42とが軸着された構造を有している。
この操作棒40は、操作棒本体42に対する角度調整部41の角度を調整して使用できるが、通常は操作棒本体42と角度調整部41の軸を揃えた態様で使用する。
【0033】
次に、本実施形態の高所設置物品用着脱器具100を用いて、高所被着面Wに計測器Tを取り付ける手順について説明する。
【0034】
まず、計測器T(の筐体)の一方の面に第1ユニット10を取り付け、計測器T(の筐体)の他方の面に第2ユニット20を取り付けて、計測器Tに第1ユニット10と第2ユニット20を一体に組み付ける。
次いで、
図5(a)に示すように、フック部材31を凹部に収容した状態の挿入部材30を第2ユニット20の挿入穴22に下方から挿し入れ、先端を上に向けた挿入部材30で計測器Tを支持した状態で操作棒40を操作し、高所被着面Wに計測器Tを近付ける。
【0035】
次いで、
図5(b)(c)に示すように、操作棒40を操作して、挿入部材30に支持されている計測器Tと一体の第1ユニット10を高所被着面Wに突き当て、第1ユニット10の磁石12を高所被着面Wに当接させる。
このとき、
図5(b)に示すように、先ず第1ユニット10の緩衝部材13が高所被着面Wに突き当たり、その取り付けの際の衝撃を吸収するので、計測器Tにショックを与えてしまうことはない。なお、図中、第1ユニット10の上部が高所被着面Wに突き当たっているが、第1ユニット10の下部などが高所被着面Wに突き当たる場合も同様に、緩衝部材13によって衝撃が吸収される。
【0036】
次いで、
図5(d)に示すように、操作棒40を操作して、計測器Tと一体の第2ユニット20の挿入穴22から挿入部材30を引き抜いて、高所被着面Wへの計測器Tの取り付けが完了する。
このように、高所設置物品用着脱器具100を用いれば、高所被着面Wに計測器Tを容易に取り付けることができる。
【0037】
次に、本実施形態の高所設置物品用着脱器具100を用いて、高所被着面Wから計測器Tを取り外す手順について説明する。
【0038】
まず、フック部材31を挿入部材30の凹部から突出させた状態にする。
次いで、
図6(a)に示すように、操作棒40を操作して、高所被着面Wに取り付けられている計測器Tにおける第2ユニット20の平板部材21に挿入部材30を接触させる。
【0039】
次いで、
図6(a)(b)に示すように、操作棒40を操作して、挿入部材30の摺接面30aを平板部材21の平坦面21aに摺接させて、挿入部材30をスライド移動させるようにして、挿入部材30を第2ユニット20の挿入穴22に挿し入れる。
このとき、アーチ状部材23に当接したフック部材31は、アーチ状部材23によって押し下げられて一旦凹部に没入する(
図4(b)参照)。そして、
図6(b)に示すように、アーチ状部材23の上側に抜け出たフック部材31がアーチ状部材23に引っ掛かるように凹部から再度突出して、挿入部材30の抜け止めとして機能するようになる。
凹部から突出したフック部材31がアーチ状部材23に引っ掛かり、挿入部材30が挿入穴22から抜け出ない状態であって、挿入部材30が第2ユニット20を保持している状態であれば、操作棒40を操作して、第2ユニット20と一体に組み付けられている計測器Tを動かし易くなっている。
【0040】
次いで、
図6(b)(c)に示すように、操作棒40の下端側を壁面から離間する方向に引き上げるようにして、高所被着面Wから第1ユニット10の磁石12を引き離して、高所被着面Wから計測器Tを取り外す。
第1ユニット10に配設されている磁石12の数は、第1ユニット10の上部よりも下部の方が少ないので(
図2(c)参照)、てこの原理を利用するように第1ユニット10の下部側を引き剥がすようにした方が、高所被着面Wから第1ユニット10の磁石12を引き離し易い。
【0041】
そして、
図6(d)に示すように、挿入部材30が第2ユニット20を介して計測器Tを保持している状態で操作棒40を操作すれば、高所被着面Wから取り外した計測器Tを手元に回収することができる。
このとき、フック部材31がアーチ状部材23に引っ掛かり、挿入部材30が挿入穴22から抜け出ない状態であって、挿入部材30から第2ユニット20が外れない状態であるので、操作棒40を下ろす際に挿入部材30の先端を下に向けてしまっても、計測器Tが挿入部材30から脱落してしまうことなく、好適に計測器Tを回収することができる。
このように、高所設置物品用着脱器具100を用いれば、高所被着面Wから計測器Tを容易に取り外すことができる。
【0042】
以上のように、本実施形態の高所設置物品用着脱器具100を用いれば、高所被着面Wに計測器Tを着脱することができる。
本実施形態では、計測器Tに第1ユニット10と第2ユニット20を取り付けて、高所に計測器Tを着脱する場合を例に説明したが、所望の物品に第1ユニット10と第2ユニット20を取り付けることで、高所に様々な物品を着脱することが可能になる。
【0043】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、
図7(a)に示すように、第1ユニット10に配設する3つの磁石12の配置を、上側に1つ、下側に2つの三角形の頂点の配置にしてもよい。
この第1ユニット10を使って高所被着面Wに取り付けた計測器Tを取り外す場合、
図7(b)(c)に示すように、操作棒40の下端側を壁面に近接させる方向に押し下げるようにして、高所被着面Wから第1ユニット10の磁石12を引き離して、高所被着面Wから計測器Tを取り外すようにする。
この第1ユニット10に配設されている磁石12の数は、第1ユニット10の下部よりも上部の方が少ないので(
図7(a)参照)、てこの原理を利用するように第1ユニット10の上部側を引き剥がすようにした方が、高所被着面Wから第1ユニット10の磁石12を引き離し易い。
【0044】
また、緩衝部材13は、平板部材11の外縁に沿う枠状のものであることに限らず、平板部材11における磁石12よりも外縁側の一部に緩衝部材13が設けられていてもよい。
例えば、
図8(a)に示すように、平板部材11の四隅にそれぞれドット状の緩衝部材13を配設してもよい。
また、例えば、
図8(b)に示すように、平板部材11の上縁と左右の縁の3か所にそれぞれ短線状の緩衝部材13を配設してもよい。
このように、第1ユニット10の平板部材11の適正な位置に緩衝部材13が配設されていれば、高所被着面Wに計測器Tを取り付ける際の衝撃を吸収することができる。
【0045】
また、例えば、
図9に示すように、アーチ状部材23の内面の下縁側に傾斜面23aを形成することに加え、アーチ状部材23の外面の下縁側に傾斜面23bを形成するようにしてもよい。
こうすることで、アーチ状部材23の下部尖端の肉厚を増すことができ、その尖端の破損を低減することができる。
【0046】
また、上記実施形態では、第2ユニット20の挿入穴22に挿入部材30を挿し入れた場合、その挿入部材30の先端部が計測器Tよりも上に突き出していたが、挿入部材30の先端部が計測器Tよりも上に突き出さないように、例えば、
図10(a)(b)に示すように、平板部材21に固定するアーチ状部材23の位置を下げるように設計してもよい。
こうすることで、高所被着面Wのより高い位置であって、天井や梁などの障害物に近接した位置に計測器Tを取り付けることが可能になる。
【0047】
但し、アーチ状部材23の固定位置を下げると、挿入部材30をスライド移動させるための平板部材21の平坦面21a(アーチ状部材23よりも下側の平坦面21a)が相対的に縮小してしまうので、例えば、
図10(a)(b)に示すように、平板部材21を大型化して、その平板部材21が計測器Tよりも下に突き出す態様にすればよい。
こうすることで、挿入部材30をスライド移動させるのに十分なサイズの平坦面21aを確保するとともに、計測器Tを天井などに近接した位置に取り付けることが可能になる。
【0048】
また、例えば、
図11に示すように、操作棒40の一端部(角度調整部41)に挿入部材30の先端側に光を照射するLEDライトなどの光照射器50を配設してもよい。
こうすることで、挿入部材30を挿し入れる挿入穴22(アーチ状部材23)を下方から視認し易くなる。
また、UV光を照射する光照射器50を用いるとともに、アーチ状部材23にブラックライト塗料を塗布しておいてもよい。
なお、光照射器50を用いなくても、アーチ状部材23を下方から視認し易くするように、例えば、黒色の平板部材21に対し白色のアーチ状部材23を配設するようにすることが好ましい。平板部材21の色とアーチ状部材23の色に彩度や明度の差をつけるようにすれば、相対的に目立たせたアーチ状部材23を下方から視認し易くなる。
【0049】
また、例えば、
図12に示すように、操作棒本体42に対する角度調整部41の角度を調整した操作棒40を使用する場合もある。
例えば、計測器Tを斜めに傾けて高所被着面Wに取り付ける場合や、斜めに傾けて取り付けてしまった計測器Tを高所被着面Wから取り外す場合などでは、操作棒40の角度を適宜調整して使用することができる。
【0050】
なお、以上の実施の形態においては、高所被着面Wに取り付ける物品を計測器Tとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、照明器具や撮像カメラなどを高所被着面Wに取り付ける場合に高所設置物品用着脱器具100を使用するようにしてもよい。
【0051】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
10 第1ユニット
11 平板部材
12 磁石
13 緩衝部材
20 第2ユニット
21 平板部材
21a 平坦面
22 挿入穴
23 アーチ状部材
23a 傾斜面
30 挿入部材
30a 摺接面
30b 凹部
30c 突起
31 フック部材
40 操作棒
41 角度調整部
42 操作棒本体
50 光照射器
100 高所設置物品用着脱器具
W 高所被着面
T 計測器(物品)