(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220324BHJP
【FI】
A63F7/02 316A
(21)【出願番号】P 2017186293
(22)【出願日】2017-09-27
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】椿谷 悠
【審査官】荒井 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-212365(JP,A)
【文献】特開2017-154032(JP,A)
【文献】特開2012-010740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が通過可能な開口が形成された遊技部材と、
前記開口を開放する開位置と閉鎖する閉位置との間を変位自在に設けられた部材であって、前記閉位置に位置するときにはその上面を遊技球が転動する開閉部材と、
を備え、
高さ方向における前記開閉部材の上流側端縁と前記開口の上流側端縁との距離よりも、前記開閉部材の下流側端縁と前記開口の下流側端縁との距離の方が大きく設定されており、
前記開閉部材の下流側端縁は、その基端側から先端側にかけて、横方向における前記開口の下流側端縁との距離が大きくなるように傾斜した形状を呈することを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の領域を開閉する開閉部材が設けられた遊技機において、当該開閉部材の動作によりいわゆる球噛みが発生してしまうことを抑制する試みが種々なされている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、開閉部材の動作による球噛みの発生を抑制することが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、遊技球が通過可能な開口が形成された遊技部材と、前記開口を開放する開位置と閉鎖する閉位置との間を変位自在に設けられた部材であって、前記閉位置に位置するときにはその上面を遊技球が転動する開閉部材と、を備え、高さ方向における前記開閉部材の上流側端縁と前記開口の上流側端縁との距離よりも、前記開閉部材の下流側端縁と前記開口の下流側端縁との距離の方が大きく設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機によれば、開閉部材の動作による球噛みの発生を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】大入賞口の周囲の構成を示した概略図であって、(a)は斜視図、(b)は前方から見た図、(c)は上方から見た図である。
【
図4】横方向における球噛み防止作用を説明するための図である。
【
図5】上下方向における球噛み防止作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、表示装置91、始動入賞口904、大入賞口10、アウト口などが設けられている。かかる表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0011】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口10等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口は複数設けられていてもよい)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(以下、当否判定情報と称することもある)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。
【0014】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される装飾図柄50(
図1等参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。装飾図柄50は、当否判定結果の報知の開始とともに変動を開始する。大当たりに当選している場合には装飾図柄50は最終的に所定の組み合わせ(例えば、同じ装飾図柄50の三つ揃い)で停止する。はずれである場合には装飾図柄50は最終的にそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせで停止する。
【0015】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0016】
以下、
図2~
図5を参照しつつ、大入賞口10、当該大入賞口10を開閉する開閉部材30、およびそれに関連する構成について詳細に説明する。本実施形態では、大入賞口10は、遊技領域の右側に設けられている(
図2参照)。なお、本実施形態では、当該大入賞口10とは別の大入賞口101が中央下側に設けられている(
図2参照)が、以下で詳細を説明する技術的事項と直接的な関係はないため、単に大入賞口10というときは遊技領域の右側に設けられたものをいう。
【0017】
大当たりに当選し、大入賞口10に遊技球を進入させるべく遊技するとき、遊技者は遊技領域の右側に遊技球が進入するよう遊技(いわゆる右打ち遊技)する。大入賞口10の入口11は、右から幅方向中央側に向かって傾斜する通路(以下、特定通路20と称することもある)に形成されている(
図2参照)。具体的には、特定通路20の下(底面)に形成された開口が大入賞口10の入口11である。なお、詳細を後述するように、厳密には、特定通路20の底面の少なくとも一部は閉位置に位置する開閉部材30が構成することなる。
【0018】
特定通路20(大入賞口10)を構成する部材(本発明における遊技部材に相当する)はどのようなものであってもよい。一つの部材によって形成されていてもよいし、複数の部材によって形成されていてもよい。本実施形態では、遊技盤90および当該遊技盤90の前側に固定された固定部材40により特定通路20(大入賞口10の入口11)が構成されている。具体的には、大入賞口10の後側(奥側)の側壁は遊技盤90の表面により、右側(上流側)および左側(下流側)の側壁は遊技盤90の表面から前方に向かって突出するように形成された部分により、前側(手前側)の側壁は遊技盤90に固定された固定部材40により構成されている。これらに囲まれることにより、大入賞口10の入口11は略方形状の開口となっている。特定通路20の幅は、(前後方向の長さ)は、遊技球1個分超かつ2個分未満(遊技球の直径を超えかつ直径の二倍未満)とされている。つまり、特定通路20においては、幅方向に二以上の遊技球が並ぶことはない。
【0019】
開閉部材30は、大入賞口10の入口11を開閉する部材であって、当該入口11を開放する(遊技球が通過可能な状態とする)開位置と、当該入口11を閉鎖する(遊技球が通過不可能な状態とする)閉位置との間を往復動作する(
図3(a)等参照)。本実施形態における開閉部材30は、平板状の部材であって、その平面方向に往復動作するいわゆるスライドアタッカーである。具体的には、開閉部材30は常態において閉位置にあり、大当たり遊技時(いわゆる大当たりラウンド中)には閉位置よりも後方の開位置に向かってスライドし、大入賞口10の入口11を開放する。大入賞口10の入口11は略方形状であり、それに合わせて開閉部材30の平面形状も略方形状となっている。大入賞口10を動作させる駆動源および当該駆動源から大入賞口10への動力伝達構造はどのようなものであってもよいから説明を省略する。
【0020】
閉位置に位置する開閉部材30は、特定通路20の底面(遊技球の流れに沿って傾斜した面)の少なくとも一部を構成する。具体的には、開閉部材30が閉位置に位置するときには、遊技球は、開閉部材30の上面を転がりながら特定通路20を通過することになる。本実施形態における特定通路20は、開閉部材30よりも上流側に当該開閉部材30によって構成されるものではない底面の一部(以下、固定底面21と称する)を有する。具体的には、遊技盤90の表面から前方に向かって突出するように形成された部分の上面が当該固定底面21となっている。大入賞口10に向かって移動する遊技球は、当該固定底面21に接触することになる。つまり、開閉部材30が閉位置に位置するときには、当該固定底面21と開閉部材30によって構成される面の上を転がって特定通路20を通過することになる。遊技球を誘導するため、当該固定底面21と開閉部材30は、右から左に向かって下方に変位するようにわずかに傾斜している。開閉部材30が開位置に位置するときであっても、遊技球は固定底面21上を転がりつつ大入賞口10に向かう。つまり、ある程度勢いがついた状態で大入賞口10に向かうことになる。
【0021】
上述したように、大入賞口10は、遊技盤90や固定部材40によって構成される側壁に囲まれた空間である。したがって、大入賞口10の入口11もこれらの部材によって構成されたものであるといえる。かかる大入賞口10の入口11の周縁のうち、上流側の縁を上流側端縁111(固定底面21の下流側の端縁)と、下流側の縁を下流側端縁112(大入賞口10の下流側の側壁12を構成する部分の上流側の端縁)とすると、当該上流側端縁111および下流側端縁112と、開閉部材30との位置関係は次のように設定されている。なお、特に明示した場合を除き、以下の位置関係は、開閉部材30が閉位置に位置するときにおけるものをいう。
【0022】
まず、高さ方向(上下方向)における位置関係について説明する。本実施形態では、高さ方向における開閉部材30の上流側端縁(右側の端縁のことである。以下、大入賞口10の入口11の上流側端縁111と区別するため、一方側端縁31と称することもある)と入口11の上流側端縁111との間の距離H1よりも、開閉部材30の下流側端縁(左側の端縁のことである。以下、大入賞口10の入口11の下流側端縁112と区別するため、他方側端縁32と称することもある)と入口11の下流側端縁112との間の距離H2の方が大きく設定されている(
図3(b)参照)。具体的には、開閉部材30および大入賞口10を正対して見たとき(前方から見たとき)に、下流側端縁112と他方側端縁32との間には比較的大きな隙間が存在することが見て取れるということである。なお、上記距離は、開閉部材30や入口11を構成する各部における遊技球が接触する上側を基準としていうものとする。
【0023】
上述したように、閉位置に位置する開閉部材30は、固定底面21とともに特定通路20の底面を構成するものであるから、上流側端縁111と一方側端縁31の高さは略同じであること(両者の間に段差が存在しないようにすること)が好ましい。このようにすることで、開閉部材30が閉位置に位置するときにおける、特定通路20を通過する遊技球の流れ(転動)をスムーズなものとすることができる。ただし、上流側端縁111よりも一方側端縁31の方が低くなっておりさえすれば、特定通路20を遊技球が移動することができるため、このように設定することを否定するものではない。
【0024】
一方、高さ方向において、下流側端縁112と他方側端縁32との間には、比較的大きな隙間が存在する。このことは、開閉部材30をその他方側端縁32から真っすぐ(開閉部材30の平面方向に沿って)下流側に延ばした仮想線(仮想面)を想定した場合、当該仮想線は大入賞口10の下流側の側壁12と交差しないということである。仮に、当該仮想線が大入賞口10の下流側の側壁12と交差するような構成(
図4(b)参照。仮想線L1と下流側の側壁12が交差する)を想定した場合、開閉部材30と下流側の側壁12との間で横方向に遊技球が挟まれてしまう(噛み込まれてしまう)おそれや、遊技球からの反作用力によって開閉部材30が破損してしまうおそれがあるところ、本実施形態では、当該仮想線と下流側端縁112が高さ方向にずれているため、開閉部材30の下流側端縁112と大入賞口10の下流側の側壁12(大入賞口10側の面(内面))との間において、横方向に遊技球が挟まれてしまうおそれ(球噛みが発生するおそれ)が低減されることとなる。具体的には、本実施形態では、開閉部材30の他方側端縁32(左面)に押されて、そのまま遊技球が下流側に移動して、球噛みが回避されるような状況(
図4(a)参照)が生じやすくなる。
【0025】
次に、横方向(左右方向)における位置関係について説明する。本実施形態では、横方向における上流側端縁111と一方側端縁31との間の距離W1よりも、下方側端縁と他方側端縁32との間の距離W2の方が大きく設定されている(
図3(c)参照)。具体的には、開閉部材30および大入賞口10を真上から見たときに、下流側端縁112と他方側端縁32との間には比較的大きな隙間が存在することが見て取れるということである。
【0026】
上述したように、閉位置に位置する開閉部材30は、固定底面21とともに特定通路20の底面を構成するものであるから、横方向において上流側端縁111と一方側端縁31との間には大きな隙間が存在しないようにすること、すなわちできるだけ隙間を小さくすることが好ましい。このようにすることで、開閉部材30が閉位置に位置するときにおける、特定通路20を通過する遊技球の流れ(転動)をスムーズなものとすることができる。ただし、上流側端縁111と一方側端縁31の間の隙間の大きさを遊技球が通過不可能なものとすれば、特定通路20を遊技球が移動することができるため、その範囲において当該隙間の大きさを増減させることは可能である。
【0027】
一方、横方向において、下流側端縁112と他方側端縁32との間には、比較的大きな隙間が存在する。このことは、開閉部材30をその他方側端縁32から真っすぐ下方(重力方向下向き)に延ばした仮想線(仮想面)を想定した場合、当該仮想線は大入賞口10の下流側の側壁12と交差しないということである。仮に、当該仮想線が大入賞口10の下流側の側壁12と交差するような構成(
図5(b)参照。仮想線L2と下流側の側壁12の上面が交差する)を想定した場合、開閉部材30と下流側の側壁12(側壁の上面)との間で高さ方向に遊技球が挟まれてしまうおそれがあるところ、本実施形態では、当該仮想線と下流側端縁112が横方向にずれているため、開閉部材30の下流側端縁112と大入賞口10の下流側の側壁12との間において、高さ方向に遊技球が挟まれてしまうおそれ(球噛みが発生するおそれ)が低減されることとなる。具体的には、本実施形態では、開閉部材30の他方側端縁32(下面)に押されて、そのまま遊技球が下流側や大入賞口10内に移動して、球噛みが回避されるような状況(
図5(a)参照)が生じやすくなる。
【0028】
このように、高さ方向および横方向のいずれにおいても、下流側端縁112と他方側端縁32との間に形成される隙間の大きさは、上流側端縁111と一方側端縁31との間に形成される隙間よりも大きく設定されている。このようにすることで、開閉部材30と大入賞口10の下流側の側壁12との間で球噛みが発生するおそれを大きく低減することができる。ただし、下流側端縁112と他方側端縁32との間に形成される隙間は、遊技球が通過不可能な大きさとされる。つまり、下流側端縁112と他方側端縁32との最短距離は、遊技球の直径よりも小さくされる(換言すれば、下流側端縁112と他方側端縁32の高さ方向における距離、横方向における距離は、いずれも遊技球の直径よりも小さいということである)。これにより、下流側端縁112と他方側端縁32との間の隙間から遊技球が大入賞口10に進入してしまうことが防止される。すなわち、開閉部材30が閉位置に位置しているにも拘わらず、大入賞口10に遊技球が入賞してしまうことが防止される。
【0029】
以下、上記実施形態にかかる遊技機1を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、以下の各具体例を用いて説明する事項を複数適用した構成としてもよい。
【0030】
○第一具体例
上記実施形態は、大入賞口10およびその入口11を開閉する開閉部材30を一例として当該開閉部材30の動作時における球噛みの発生が抑制されることを説明したが、大入賞口10に限らず、遊技球が進入可能な開口(入口11)およびそれを開閉する開閉部材30について、同様の技術思想を適用することが可能である。
【0031】
○第二具体例
上記実施形態における開閉部材30は、いわゆるスライドアタッカーであることを説明したが、動作態様が異なる開閉部材30に対しても同様の技術思想が適用可能である。例えば、下端を支点として手前側に傾倒するような開動作を行う開閉部材30について、上記実施形態と同様の構造を適用したとしても、球噛みの発生を抑制する効果が得られる。ただし、上記実施形態のようないわゆるスライドアタッカーである開閉部材30については、閉位置において当該開閉部材30自体が通路(特定通路20)を構成するものであるため、球噛みが発生しやすく、上記実施形態のような構造とする意義が大きいといえる。
【0032】
○第三具体例
上記実施形態では、高さ方向において、大入賞口10の入口11の下流側端縁112と開閉部材30の他方側端縁32との間の隙間の大きさが、大入賞口10の入口11の上流側端縁111と開閉部材30の一方側端縁31との間の隙間の大きさよりも大きいこと、および、横方向において、大入賞口10の入口11の下流側端縁112と開閉部材30の他方側端縁32との間の隙間の大きさが、大入賞口10の入口11の上流側端縁111と開閉部材30の一方側端縁31との間の隙間の大きさよりも大きいことを説明したが、高さ方向および横方向のいずれか一方においてのみ、当該関係が成立するような構成としてもよい。高さ方向においてのみ当該関係が成立するようにすれば、大入賞口10の下流側の側壁12と開閉部材30の他方側端縁32との間で横方向に遊技球が挟まれてしまうおそれが低減され、横方向においてのみ当該関係が成立するようにすれば、大入賞口10の下流側の側壁12と開閉部材30の他方側端縁32との間で高さ方向に遊技球が挟まれてしまうおそれが低減されることになる。
【0033】
ただし、上記実施形態のように高さ方向および横方向のいずれにおいても上記関係が成立するような構成とすれば、それらが相まって球噛みが発生するおそれが極めて低くなるという点で有効であるといえる。
【0034】
○第四具体例
図6に示すように、開閉部材30の他方側端縁32が、開閉部材30の動作方向に対して傾斜した構成とする。開閉部材30の動作方向が前後方向であるとするのであれば、真上から見て、他方側端縁32が前後方向に沿う直線に対して傾斜した構成とする。このような構成とすれば、開閉部材30の他方側端縁32と大入賞口10の下流側端縁112との間で球噛みが発生しそうな状況となったとき、閉位置に向かって移動する開閉部材30から遊技球に対して均衡を崩すような力が作用することになるから、当該球噛みが発生するおそれを低減することが可能となる。
【0035】
特に、他方側端縁32が、その基端側から先端側にかけて上流側(右側)に傾斜するような構成であることが好ましい。このようにすれば、開閉部材30の他方側端縁32と大入賞口10の下流側端縁112との間で球噛みが発生しそうな状況となったとき、閉位置に向かって移動する開閉部材30から遊技球に対して外側(下流側)に押し出すような力が作用することになる(
図6(b)参照)から、球噛みが発生するおそれがより低くなる。
【0036】
○第五具体例
図7に示すように、大入賞口10の入口11の下流側端縁112(下流側の側壁12)が、開閉部材30の動作方向に対して傾斜した構成とする。開閉部材30の動作方向が前後方向であるとするのであれば、真上から見て、他方側端縁32が前後方向に沿う直線に対して傾斜した構成とする。このような構成とすれば、開閉部材30の他方側端縁32と大入賞口10の下流側端縁112との間で球噛みが発生しそうな状況となったとき、下流側端縁112から遊技球に対して均衡を崩すような力が作用することになるから、当該球噛みが発生するおそれを低減することが可能となる。
【0037】
特に、下流側端縁112が、後から前にかけて下流側(左側)に傾斜するような構成であることが好ましい。このようにすれば、開閉部材30の他方側端縁32と大入賞口10の下流側端縁112との間で球噛みが発生しそうな状況となったとき、下流側端縁112から遊技球に対して大入賞口10側(上流側)に押し出すような力が作用することになる(
図7(b)参照)から、球噛みが発生するおそれがより低くなる。
【0038】
なお、本例と上記第五具体例とを組み合わせた構成とすれば、球噛み抑制効果がさらに高められる。ただし、他方側端縁32と下流側端縁112が略平行となってしまうと、均衡を崩すような力がほとんど作用しないことになる。つまり、本例や上記第五具体例は、他方側端縁32と下流側端縁112を略平行な位置関係とならないようにすることで、挟まれそうになった遊技球に作用する力の均衡を崩すものであるといえから、他方側端縁32および下流側端縁112を同じ角度分傾斜させたものとすることは好ましくない。したがって、例えば、他方側端縁32はその基端側から先端側にかけて上流側(右側)に傾斜した形状(
図6に示した形状)とし、下流側端縁112はその基端側から先端側にかけて下流側(左側)に傾斜した形状(
図7に示した形状)とするとよい。
【0039】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0040】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0041】
・手段1
遊技球が通過可能な開口が形成された遊技部材と、
前記開口を開放する開位置と閉鎖する閉位置との間を変位自在に設けられた部材であって、前記閉位置に位置するときにはその上面を遊技球が転動する開閉部材と、
を備え、
高さ方向における前記開閉部材の上流側端縁と前記開口の上流側端縁との距離よりも、前記開閉部材の下流側端縁と前記開口の下流側端縁との距離の方が大きく設定されていることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、高さ方向において、開閉部材の下流側端縁と開口の下流側端縁との間には、上流側よりも大きな隙間が存在することになるため、開閉部材と開口の下流側端縁(開口を構成する下流側の壁)との間に遊技球が挟まってしまうおそれ(球噛みの発生)を低減させることが可能となる。
【0042】
・手段2
横方向における前記開閉部材の上流側端縁と前記開口の上流側端縁との距離よりも、前記開閉部材の下流側端縁と前記開口の下流側端縁との距離の方が大きく設定されていることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このような構成とすれば、開閉部材の下流側端縁と開口の下流側端縁(開口を構成する下流側の壁)との間に遊技球が挟まれそうになったとしても、当該遊技球は開閉部材に押されて下流側に逃げやすい。つまり、開閉部材と開口の下流側端縁(開口を構成する下流側の壁)との間に遊技球が挟まってしまうおそれ(球噛みの発生)をさらに低減させることが可能となる。
【0043】
・手段3
前記開閉部材の下流側端縁と前記開口の下流側端縁との間に存在する隙間は、遊技球が通過不可能な大きさであることを特徴とする手段1または手段2に記載の遊技機。
このようにすることで、開閉部材が閉位置に位置するときに、遊技球が開口を通過してしまうことが防止される。
【0044】
・手段4
前記開閉部材の上流側端縁と前記開口の上流側端縁は、略同じ高さに位置することを特徴とする手段1から手段3のいずれかに記載の遊技機。
このようにすることで、開閉部材が閉位置に位置するとき、開閉部材の上流側から移動してくる遊技球の流れをスムーズなものとすることが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 遊技機
10 大入賞口
11 入口(開口)
111 入口の上流側端縁
112 入口の下流側端縁
12 下流側の側壁
30 開閉部材
31 開閉部材の一方側端縁(上流側端縁)
32 開閉部材の他方側端縁(下流側端縁)