(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】ソフトウェア制御アンテナの作製方法
(51)【国際特許分類】
H01Q 3/34 20060101AFI20220324BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20220324BHJP
H01Q 13/08 20060101ALI20220324BHJP
H01P 11/00 20060101ALI20220324BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
H01Q3/34
H01Q21/06
H01Q13/08
H01P11/00
G02F1/13 505
G02F1/13 101
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019168502
(22)【出願日】2019-09-17
(62)【分割の表示】P 2018548180の分割
【原出願日】2017-09-01
【審査請求日】2020-07-06
(32)【優先日】2016-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518321174
【氏名又は名称】ウェハー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】WAFER LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100198568
【氏名又は名称】君塚 絵美
(72)【発明者】
【氏名】デディ デビッド ハジーザ
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-538565(JP,A)
【文献】特開2014-155100(JP,A)
【文献】特開2005-012554(JP,A)
【文献】特開平10-163713(JP,A)
【文献】特開2000-341027(JP,A)
【文献】特開2010-187257(JP,A)
【文献】国際公開第2011/004656(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0105302(US,A1)
【文献】実開昭63-003612(JP,U)
【文献】国際公開第2016/081185(WO,A1)
【文献】特開2001-223525(JP,A)
【文献】特開2012-019421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 3/34
H01Q 21/06
H01Q 13/08
H01P 11/00
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層アンテナを作製する方法であって、
上部誘電体、
下部誘電体、
前記上部誘電体と前記下部誘電体との間に挟まれる可変誘電率材料、
前記可変誘電率材料内のピクセルを画定する複数の導電性電極、
複数の窓を有する共通接地電極、
前記上部誘電体の上
のカバー絶縁層に設けられた複数の放射パッチ、
前記上部誘電体の上であるが、前記カバー絶縁層の下に設けられた複数の遅延線であって、それぞれが、前記複数の放射パッチのうち、対応する放射パッチに結合され
、それぞれが、給電点を有する、複数の遅延線、
前記
共通接地電極の下の設けられた複数の給電線、および
前記複数の窓の1つを介した、前記
複数の給電線
それぞれと前記
複数の遅延線
それぞれに対応する給電点との間のRF結合
を作るステップを含む、方法。
【請求項2】
前記複数の遅延線は、蛇行する複数の導電線として形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記蛇行する複数の導電線はそれぞれ、対応する給電点を有し、対応するRF結合を介して、対応する給電線に結合される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記カバー絶縁層に設けられた孔
を形成するステップ、および、
前記孔を介して前記複数の遅延線をそれぞれ放射パッチに電子的に接続するコンタクトを形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
背面絶縁体を作るステップをさらに含み、
前記共通接地電極は、前記背面絶縁体の上面に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記RF結合を形成することは、前記給電線と前記遅延線との間でRF信号を容量結合するように前記共通接地電極内
の前記複数の窓のサイズを設定して、DCブレークを伴うバーチャルチョークを形成するステップを含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記給電線内を進むRF信号の波長の約半分に設定された長さを有する前記窓を作るステップをさらに含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記給電線内を進むRF信号の波長の約1/10に設定された幅を有する前記窓を作るステップをさらに含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
それぞれの放射パッチに接続された、複数の遅延線のうちの2つの遅延線を作るステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
多層アンテナを作製する方法であって、
上部基板の上面に複数の放射素子を形成し、前記上部基板の下面に複数の遅延線を形成するステップと、
前記複数の放射素子を前記複数の遅延線に接続するオーミックコンタクトを形成するステップと、
前記上部基板の前記下面に活性化線を形成し、前記遅延線に接続するステップと、
下部基板の上面に接地面を形成するステップ
であって、前記接地面は、複数の窓を有し、各窓は、前記複数の遅延線の1つと整列する、ステップと、
前記下部基板の下面にコーポレート給電を形成する
ステップであって、前記コーポレート給電は、前記複数の窓と整列して、前記複数の遅延線それぞれの給電点への容量結合を形成する、ステップと、
前記上部基板と前記下部基板とを一緒にしてサンドイッチ構造を形成するステップと、
前記上部基板と前記下部基板とによって画定される空所に液晶を注入するステップと、
を含む方法。
【請求項11】
前記サンドイッチ構造を形成する前に、前記上部基板と前記下部基板との間に、封止材料性の予め形成されたフレームを配置するステップをさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記上部基板と前記下部基板との間にスペーサを配置するステップをさらに含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記サンドイッチ構造を形成する前に、前記上部基板と前記下部基板との間に誘電材料の格子を配置するステップをさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項14】
前記放射素子を形成するステップは、供給ロールから供給された、絶縁材料の連続ストリップに金属化ステーションを通過させるステップを含む、請求項
10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2017年8月2日に出願された米国特許出願第15/667,584号、2016年9月1日に出
願された米国特許仮出願第62/382,489号、2016年9月1日に出願された米国特許仮出願第62
/382,506号、2016年12月7日に出願された米国特許仮出願第62/431,393号、2017年1月31日
に出願された米国特許出願第15/421,388号、2017年7月19日に出願された米国特許出願第1
5/654,643号に関連し、その優先権の利益を主張し、これらの全ての開示は、参照により
本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一方向に制御された放射ビームを形成する放射素子のアレイを有するアンテ
ナの製造方法に関する。放射素子の放射パラメータは、ソフトウェアによって制御するこ
とができる。
【背景技術】
【0003】
今日の通信の多くは、無線でなされるか、あるいは経路の少なくとも一部は無線である
。全ての無線通信は、送信側及び受信側の両方でアンテナを必要とする。通常、送信の多
くは、全方向性アンテナを用いて行うことができる。このようなアンテナでは、送信電力
は、距離の3乗に反比例して低下する。そのため、多くのユーザに到達させるために送信
電力は、通常、指向性アンテナに比べて比較的高い。また、いくつかの全方向性アンテナ
が同時に動作する場合、例えばインターネットカフェ内の多数のデバイスが同時に動作す
る場合に、様々な送信が互いに干渉するか、あるいは、そのような環境における少なくと
も送受信の品質が少なくとも低下することがある。現代の無線ネットワークでは、干渉と
信号対雑音比は、重大な尺度である。
【0004】
他の傾向は、モバイルデバイスを、金属、例えば、アルミニウムのブロックで作製し、
デバイスの本体の多くが電磁放射を遮断し得るようにすることである。そのために、アン
テナの配置が、かなり制限されている。さらに、モバイルデバイスは、通常、いくつかの
無線通信プロトコルを用いるため、これらのデバイスは、WiFi(登録商標)、Blu
etooth(登録商標)、NFC等の特有のプロトコルの周波数用にそれぞれ設計され
た、いくつかのアンテナを必要とする。モバイルデバイス上の実行面積(real estate)
領域は、非常に貴重であるため、このようなアンテナを設計し、デバイス内に配置するこ
とは非常に難しい。
【0005】
先の開示において、本発明者は、アンテナの特性を制御するために可変誘電率を利用す
るアンテナを開示した。そのアンテナの詳細は、参照によって開示全体が本明細書に組み
込まれる米国特許7,466,269号に見出すことができる。本開示は、米国特許7,466,269号に
開示されている基本要素に基づいており、更なる改良及び特徴を有するソフトウェア制御
アンテナを作製する方法を提供する。
【発明の概要】
【0006】
以降の概要は、本発明のいくつかの態様及び特徴の基本的な理解を提供するために挙げ
られる。本概要は、本発明の広範囲に及ぶ概要ではなく、特に、本発明の主要な又は重要
な要素を特定すること、あるいは本発明の範囲を線引きすることを意図したものでもない
。その唯一の目的は、本発明のいくつかの概念を、後に示す発明を実施するための形態に
対する前置きとして簡略化形式で表すことである。
【0007】
ソフトウェア制御アンテナ、及びソフトウェア制御アンテナを作製するための方法が開
示される。いくつかの実施形態によれば、可変誘電率材料を含む、層のサンドイッチ構造
の上に、アンテナアレイが、印刷又は堆積される。アンテナ上の様々な個所での可変誘電
率材料の値は、ソフトウェアにより制御され、従って、ソフトウェアを用いてアンテナの
動作特性を変化させる。本開示の方法は、アンテナの様々な要素、及びアンテナを形成す
る層のサンドイッチ構造を作製するプロセスを提供する。これは、可変誘電体の真の時間
遅延位相機構を全アンテナシステム内に実装する一実施形態であり、可変誘電体部分内へ
の導波管給電などの他のオプションも実現可能であり、同様な方法で実装することができ
る。
【0008】
層のサンドイッチ構造は、標準のフラットパネルディスプレイ又は多層誘電体基板とす
ることができ、フラットパネルディスプレイ上に描かれる画像は誘電率を変化させるよう
設計されたプログラムでソフトウェア制御され、これにより、アレイに対する走査能力及
びチューニング能力を提供する。すなわち、アレイの異なるパッチの下における異なるピ
クセルの誘電特性における、特に所望される変化によって異なる画像がプログラムされ、
これにより、アレイの周波数及び/又は指向性、並びにアンテナの放射ビームの方向を制
御することができる(すなわち、アンテナの電子的ステアリングを可能にする)。
【0009】
アンテナがユーザの目に見えない場合、例えば、アンテナがWiFiホットスポット内
にある場合、アレイは、銅、アルミニウム等の金属導体を用いて作ることができる。逆に
、アンテナが目に見え、フラットパネルディスプレイの視認性が重要である場合、例えば
、モバイルデバイスでは、アレイは、ITO、AZO等のような透明導体を用いて作るこ
とができる。当然、透明導体は、目に見えないアンテナのために用いることもでき、金属
導体は、目に見えるアンテナと共に用いることができる。
【0010】
本開示の実施形態によって取り組まれる一態様は、放射素子へのRF給電である。放射
パッチ及び遅延線は、動作中にその誘電率の値を変えることができる可変誘電率材料の上
に設けられるため、RF信号は、誘電率の変化から遮蔽されるようにして、パッチ及び遅
延線に結合させる必要がある。
【0011】
開示された態様によれば、多層アンテナを作製するための方法が提供され、該方法は、
順序を問わずに、第1の絶縁板の上面に放射素子を形成し、絶縁板の下面に複数の対応す
る遅延線を形成することによって、上部基板を作製するステップと、第2の絶縁板の上面
に複数の穴を有する共通接地電極を形成し、第2の絶縁板の下面に複数の導電性の給電線
を形成することによって下部基板を作製するステップと、下部基板の上面、上部基板の下
面、もしくは下部基板の上面及び上部基板の下面に配向層を形成するステップと、配向層
の上に絶縁スペーサを設けるステップと、下部基板の上面又は上部基板の下面の周囲に封
止材を取付けるステップと、絶縁スペーサの間に液晶を流すステップと、下部基板を上部
基板に取付けるステップと、を含む。
【0012】
開示の実施形態によれば、可変誘電率材料の真上にある薄い絶縁層の真上に、パッチが
あることによって、可変誘電体を用いてアンテナの中心周波数を変化させることができる
。
【0013】
他の態様によれば、アンテナを製造する方法が提供され、該方法は、順序を問わずに、
第1の誘電体ストリップの第1のローラを提供するステップと、第2の誘電体ストリップ
の第2のローラを提供するステップと、第1の誘電体ストリップを金属化ステーションに
通し、第1の誘電体ストリップの上面に複数の放射パッチを形成し、第1の誘電体ストリ
ップの下面に複数の遅延線を形成するステップと、第2の誘電体ストリップを金属化ステ
ーションに通し、第2の誘電体ストリップの上面に共通接地層を形成し、第2の誘電体ス
トリップの下面に複数の給電線を形成するステップと、第1及び第2の誘電体ストリップ
を配向材料堆積ステーションに通し、第2の誘電体ストリップの上面、第1の誘電体スト
リップの下面、もしくは、第2の誘電体ストリップの上面及び第1の誘電体ストリップの
下面に配向層を堆積するステップと、第2の誘電体ストリップの上面、又は第1の誘電体
ストリップの下面にスペーサを配置するステップと、第2の誘電体ストリップの上面又は
第1の誘電体ストリップの下面に液晶材料を堆積するステップと、第1及び第2の誘電体
ストリップを一緒に接着し、多層ストリップを形成するステップと、多層ストリップを個
々のアンテナに切断するステップと、を含む。
【0014】
さらなる態様によれば、アンテナを作製する方法が提供され、該方法は、順序を問わず
に、第1の誘電体板を取得し、第1の誘電体板上に複数のRF放射素子及び複数の給電線
を形成し、各給電線は、RF放射を放射素子の1つに伝達するよう構成される、ステップ
と、第2の誘電体板を取得し、第2の誘電体板上に共通接地層を形成し、共通接地層に複
数の穴を形成し、各穴は、遅延線の1つと整列するように構成されている、ステップと、
コーポレート給電をなすために、第2の誘電体板に複数のRF給電線を形成するステップ
と、第1の誘電体板、第2の誘電体板、もしくは第1及び第2の誘電体板の両方の上に配
向材料を設けるステップと、第1の誘電体板と第2の誘電体板と間に空隙を画定するため
にスペーサを設けながら、第1の誘電体板と第2の誘電体板とを互いに取付けるステップ
と、第1の誘電体板と第2の誘電体板との間の空隙に液晶材料を注入するステップと、を
含む。
【0015】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、説明とともに本発明の実施
形態を例として示し、本発明の原理を説明し、例示するのに役立つ。図面は、例示的な実
施形態の主な特徴を図式的に示すことを意図している。図面は、実際の実施形態の全ての
特徴も、図示された要素の相対的な寸法も表すことを意図しておらず、縮尺通りに示され
ていない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態によるソフトウェア制御アンテナの断面図である。
【
図2】一実施形態によるソフトウェア制御アンテナの上面図である。
【
図3】他の実施形態によるソフトウェア制御アンテナの上面図である。
【
図4】他の実施形態によるソフトウェア制御アンテナの上面図である。
【
図5】さらに他の実施形態によるソフトウェア制御アンテナの断面図である。
【
図6】さらに他の実施形態によるソフトウェア制御アンテナの1つの放射素子の断面図である。
【
図8】一実施形態による全方向性のステアリング可能なアンテナを示す図である。
【
図9】本明細書で説明されるソフトウェア規定アンテナのいずれかを利用する実施形態による方法を示す図である。
【
図10】開示された実施形態のいずれかのアンテナを標準のIEEE802.11Nアクセスポイントにどのように組み込むことができるかを示すブロック図である。
【
図11】一実施形態によるアンテナを作製するプロセスのフローを示す図である。
【
図11A】
図11のプロセスを変更したプロセスのフローを示す図である。
【
図12】他の実施形態によるアンテナを作製するプロセスのフローを示す図である。
【
図13】さらに他の実施形態によるアンテナを作製するプロセスのフローを示す図である。
【
図14】本発明の実施形態によるアンテナを作るためのロール・ツー・ロールプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明は、アンテナの説明から開始し、その後、アンテナを作る方法の説明に進む
。本発明のアンテナの実施形態は、ここで、図面を参照して説明される。異なる実施形態
又はそれらの組み合わせは、異なる用途のために、又は異なる利点を達成するために用い
ることができる。達成するために求められる結果に応じて、本明細書で開示される異なる
特徴は、部分的に、又は最大限に、単独であるいは他の特徴と組み合わせて、利点と、要
求および制約とのバランスを取って利用するのがよい。そのため、特定の利点は、異なる
実施形態を参照して強調されるが、本開示の実施形態に限定されない。すなわち、本明細
書で開示される特徴は、それらが記載されている実施形態に限定されず、他の特徴と「合
わせたり、結びつけたり」し、他の実施形態に組み込むことができる。
【0018】
アンテナそのものについては、以下の点に注目する。本開示の実施形態によれば、共通
の接地コンタクト、複数のアドレス可能なピクセルコンタクト、及び上部誘電体を有する
LCDスクリーンと、上部誘電体の上に設けられる放射素子のアレイと、それぞれが放射
素子の1つに接続される導電遅延線と、LCDスクリーンの下に設けられ、遅延線に結合
される送信給電と、を備えるアンテナが提供される。共通のコンタクト及び各アドレス可
能なピクセルコンタクトには、コントローラが結合され、コントローラは、ピクセル制御
コンタクトのうちの選択的なものを付勢し、放射素子の空間指向性を変化させるように予
めプログラムされている。
【0019】
本開示の実施形態は、上部誘電体と、下部誘電体と、上部誘電体と下部誘電体との間に
挟まれる可変誘電率材料と、可変誘電率材料内のピクセルを画定する複数の導電性電極と
、共通接地電極と、上部誘電体の上に設けられる少なくとも1つの放射パッチであって、
各放射パッチは、放射パッチに結合される対応する遅延線を有している、放射パッチと、
下部誘電体の下に設けられる給電線と、給電線と遅延線との間のRF結合と、を含む多層
アンテナも提供する。結合は、共通接地電極に形成される対応する窓を通過する導電線で
あってもよい。
【0020】
本発明の実施形態は、送受信機と、共通コンタクト、複数のピクセル制御コンタクト、
及び上部誘電体を有するLCDスクリーンを備えるアンテナアレイと、上部誘電体の上面
に設けられた放射素子のアレイと、それぞれが放射素子の1つに接続される複数の遅延線
と、一端が送受信機に、他端が遅延線の1つに接続される複数の給電線と、共通コンタク
ト及び各ピクセル制御コンタクトに結合されるコントローラであって、ピクセル制御コン
タクトのうちの選択的なものを活性化(付勢)して、複数の放射素子の空間指向性を変化
させるよう予めプログラムされたコントローラと、を含む無線アクセスポイントを提供す
る。
【0021】
さらなる態様は、アンテナの放射素子によって形成された放射コーンを走査するステッ
プと、走査中に受信された送信を使用して、各送信元の空間における特定の位置を識別す
るステップと、送信元の送信から許可されていない送信の位置を識別するステップと、ア
ンテナを制御し、許可されていない送信の方向にヌルを与えるステップと、アンテナを制
御して放射コーンを許可された方向に向けてステアリングすることによって各許可された
送信と直接通信を行うステップと、を含むアンテナを動作させるための方法である。放射
コーンを走査するステップは、電圧を印加し、アンテナの遅延線の下の誘電率を変化させ
ることによって実行することができる。随意には、本方法は、許可された各送信に対して
、送信デバイスを識別し、デバイスのネットワーク及びアクセスポリシーを決定し、識別
されたデバイスからの通信にネットワーク及びアクセスポリシーを適用し、これにより「
RFファイアウォール」を形成するステップを含む。
【0022】
図1は、一実施形態によるソフトウェア制御アンテナの断面図を示す。
図1において、
可変誘電率材料を有する多層アンテナは、可変誘電率(VDC)材料、例えば、上部誘電
体115と下部誘電体110との間に挟まれた液晶105を有することによって構築され
る。液晶は、電位源130から、多層アンテナのピクセルを画定する所望のコンタクト1
20への印加電圧によって制御される。その意味で、コンタクト120は、プロセッサに
よる各コンタクトの個別のアドレス指定を可能にする、アドレス可能なコンタクトを形成
する。電位源の接地電位は、下部の共通接地電極125に結合される。アンテナは、放射
素子のアレイ、例えば、遅延線140を介して相互接続されるパッチ135を備える。パ
ッチ135及び遅延線140は、上部誘電体115上に設けられる。
【0023】
一例において、誘電体110及び115のいずれか又は両方は、ロジャーズ(Rogers:
登録商標)(FR-4プリント回路基板)又はPTFEベース材料で作られ、遅延線14
0、放射パッチ135、及び/又は共通接地電極125は、ロジャーズ上に形成された導
電体とすることができる。ロジャーズを用いる他に、PTFE(ポリテトラフルオロエチ
レン又はテフロン(登録商標))、PET(ポリエチレンテレフタラート)、又は他の低
損失材料が用いられてもよい。
【0024】
本発明者は、RF給電を、多層アンテナの下から提供できれば、改善された結果が達成
されることを発見した。実際に、RF給電を下部の共通接地電極125から結合させれば
、すぐれた結果が達成されることが発見した。発明者が気付いたように、給電線を共通接
地電極の下に設けることは、RF給電を、遅延線、並びにVDC層に印加されるDC又は
AC電圧から分離するのに役立つ。
図1は、層の下、及び共通接地電極125の下から提
供される給電の実施形態を例示している。
図1に示すように、RF Tx/Rx(送受信
機)150の接地側は、共通接地電極125に結合される。しかし、信号側は、給電電極
155に接続され、給電電極155は下部誘電体110の上に設けられる。結合は、例え
ば、同軸コネクタ160に接続される同軸ケーブル162によって行うことができる。本
実施形態では、サンドイッチ構造全体にビアが形成され、ビアは、共通接地電極125、
上部誘電体115及び下部誘電体110、並びにVDC層105内の孔又は窓を含み、給
電電極155を遅延線140に接続することができる。この配置を用いることによって、
電位源130の信号は、Tx/Rx150のRF信号から絶縁又は分離され、材料105
の誘電率の変化は、給電電極155内を進む信号に影響を及ぼすのではなく、むしろ遅延
線140及び放射パッチ135内を進む信号のみに影響を及ぼす。
【0025】
パッチ135のすぐ下の領域における可変誘電率材料の値は、ソフトウェアを用いて、
関連するピクセルに電圧を印加することによって変えることができ、これにより、パッチ
の周波数マッチングを制御することができる。同様に、遅延線140の下のピクセルに印
加される電圧は、アレイの空間指向性、又は信号の回転極性を変化させるために制御する
ことができる。いずれの動作も、関連部分、すなわち、放射パッチ135又は遅延線14
0を通って進む信号のみに作用するのであって、給電電極155上を進む信号には作用し
ない。これらは、ピクセルである必要はなく、我々が所望するように画定される領域であ
ってもよい。
【0026】
従って、本実施形態によれば、上部誘電体と、下部誘電体と、上部誘電体と下部誘電体
との間に挟まれた可変誘電率材料と、可変誘電率材料内のピクセルを画定する複数の導電
電極と、共通接地電極と、上部誘電体の上に設けられる少なくとも1つの放射パッチであ
って、各々が放射パッチに結合される対応する遅延線を有している、放射パッチと、下部
誘電体の下に設けられる給電線と、給電線と遅延線との間のRF結合とを含む、多層アン
テナが提供される。結合は、共通接地電極125に形成される対応する窓を通過する導電
線であってもよい。
【0027】
これは、上部誘電体215の上に設けられた遅延線240を有する、2×2の放射素子
235のアレイの上面図である
図2において、より明らかに見ることができる。
図2の実
施形態の断面図は、単一のビアが、丸265によって印された位置に設けられ、誘電体2
10(この図では見ることができない)の下に設けられる給電電極に接触することを除い
て、
図1の断面図に似ている。本実施形態において、単一のコンタクトビアは、アレイ及
び給電線の対称的な幾何学的中心にあるように選択される。
図2の特定の例において、ビ
アの位置は、180°の回転対称に設けられるが、例えば、30°、90°等の他の回転
対称を用いることができる。
【0028】
ビアが幾何学的中心に設けられると、信号は、全てのアレイ素子を通って均等に伝播す
る。次に、アンテナの動作特性は、様々なピクセルに電圧を印加して、ピクセル位置の液
晶の配向を変化させることによって制御することができる。例えば、全てのパッチ235
の直ぐ下にあるピクセルに同じ電圧が印加されると、パッチ235の共振周波数を変化さ
せることができ、これにより、アンテナの動作周波数を変化させることができる。一方、
遅延線の下に異なる電位を印加することによって、得られる放射コーンをステアリングす
ることができ、これにより、アンテナを物理的に動かすことなく、アンテナを空間内の特
定の位置に向けるか、アンテナを走査することができる。すなわち、遅延線の下の誘電率
の変化によって、その遅延線における信号の伝播の遅延をもたらし、従って、放射信号に
位相シフトをもたらす。
【0029】
別の特徴が
図3に示されており、ここでは、特に、パッチがともに接近して詰められて
いるときのタイトな実効面積内において、遅延線に対するより広い範囲の制御を可能とす
るために、遅延線は蛇行する導電線として形成される。
図3のアンテナは、各遅延線34
0が、その長さがより多くのピクセルを覆うように蛇行した線として形成されることを除
いて、
図2のアンテナに多少似ている。その結果、より多くのピクセルが、遅延線の長さ
にわたって誘電率を制御するために利用可能となる。
【0030】
先の実施形態では、全ての遅延線は、一緒に接続され、単一の給電点から給電される。
しかし、これは必須要件ではない。例えば、
図4の実施形態では、蛇行している遅延線の
それぞれは、対応する給電点465を有し、対応する結合を介して給電線に結合される。
このような配置では、放射パッチからの信号の蓄積は、アンテナのサンドイッチ構造の下
で、例えば、全ての給電線を相互接続することによって行われる。従って、本実施形態で
は、上部誘電体と、下部誘電体と、上部誘電体と下部誘電体との間に挟まれた可変誘電率
材料と、可変誘電率材料内のピクセルを画定する複数の導電電極と、共通接地電極と、上
部誘電体の上で設けられる少なくとも1つの放射素子であって、各放射素子は、放射パッ
チに結合される対応する遅延線を有している、放射素子と、下部誘電体の下に設けられる
対応する給電線と、給電線と遅延線との間の対応するRF結合とを含む多層アンテナが提
供される。
【0031】
図5は、さらなる他の実施形態によるアンテナの断面図である。
図5の実施形態は、放
射パッチ535及び遅延線540が、アンテナの多層構造の異なるレベルに設けられるこ
とを除いて、
図1の実施形態に類似する。特に、カバー絶縁層517が、上部誘電体51
5の上に設けられる。カバー絶縁層517は、ガラス、PET、ロジャーズ、PTFE等
とすることができる。遅延線540は、上部誘電体515とカバー絶縁層517との間に
設けられる。放射パッチ535は、カバー絶縁層517の上に設けられる。孔が、カバー
絶縁層517に設けられ、コンタクト519が遅延線540をそれぞれの放射パッチ53
5に電子的に接続することができる。
【0032】
図6は、多層アンテナの他の実施形態による1つの放射素子の位置での断面図を例示す
る。この構造は、アレイを形成するのに必要な数の放射素子に対して繰り返すことができ
る。本実施形態の構造及び動作は、上部「透視」図である
図7も参照しての、
図6の以下
の説明から、よりよく理解することができる。
図6は、放射素子635の位置でのアンテ
ナの関連する部分の断面図を例示する。
図7は、
図6の実施形態を含む、本明細書に記載
される全ての実施形態に適用することができる上部「透視」図を提供する。このため、本
明細書で開示された任意の実施形態の検討において、読者は、よりよく理解するために図
7も参照されたい。
【0033】
カバー絶縁層617は、通常、誘電(絶縁)板又は誘電シートの形態であり、例えば、
ガラス、PET、PTFE、ロジャーズ等で作ることができる。放射パッチ635は、カ
バー絶縁層617の上に、例えば、導電フィルムを付着する、スパッタリングする、印刷
するなどの方法によって形成される。各パッチ位置で、ビアが、カバー絶縁層617に形
成され、ビアは、導電材料、例えば、銅で満たされ、放射パッチ635に物理的かつ電子
的に接続するコンタクト619を形成する。遅延線640は、カバー絶縁層617の下面
(又は、上部のバインダとして機能する上部誘電体の上面)に形成され、コンタクト61
9に物理的かつ電子的に接続される。すなわち、遅延線640から放射パッチ635まで
、コンタクト619を介して、連続したDC電気接続がある。上記の実施形態に示したよ
うに、遅延線640は、蛇行する導電線とすることができ、所望の遅延を生成するのに十
分な長さを有するような形状にして、RF信号に所望の位相シフトをもたらすことができ
る。
【0034】
遅延線640における遅延は、可変誘電率材料605を有する可変誘電率(VDC)板
602によって制御される。VDC板602を構成するための方法は、アンテナの実施形
態と共に用いるのに適しているが、特定の実施形態では簡略形として、上部バインダ61
5(例えば、ガラスPET等)、可変誘電率材料605(例えば、ねじれネマティック液
晶層)、及び下部バインダ610からなるVDC板602が示されている。他の実施形態
では、バインダ層615及び610の一方又は両方を省略することができる。あるいは、
バインダ層615及び/又は610の代わりに、エポキシのような接着剤、又はガラスビ
ーズのスペーサを用いることができる。
【0035】
いくつかの実施形態において、例えば、ねじれネマティック液晶層を用いる場合、VD
C板602は、カバー絶縁層617の底部に堆積及び/又は接着されるか、もしくは、上
部バインダ615の上に形成される配向層も含む。配向層は、閉じ込め基板の端部でLC
の分子を整列させるために、UVを用いてこすられたり又は硬化されたりするポリイミド
ベースのPVAなどの薄い材料層とすることができる。
【0036】
VDC板602の実効誘電率は、VDC板602間にDC電位を印加することによって
制御することができる。そのために、電極が形成され、制御可能な電圧電位に接続される
。電極を形成するための配置は様々であり、
図6にその配置の一例が示されており、ここ
では、互いに隣り合う2つの電極620が設けられ、2つの電極はピクセルを画定する。
一例として、電極620の一方が可変の電圧電位641に接続され、他方の電極620が
接地されていることが示されている。1つの代替案として、破線で示されるように、他方
の電極620も可変電位649に接続されてもよい。このため、可変電位641又は可変
電位649の出力電圧を変化させることによって、電極620近傍のVDC材料の誘電率
を変化させることができ、これにより、遅延線640を通って進むRF信号を変化させる
ことができる。コントローラCtlを用い、コントローラに適切な制御信号を出力させる
ソフトウェアを実行させて可変電位641及び/又は可変電位649の適切な出力電圧を
設定することによって、可変電位641及び/又は可変電位649の出力電圧を変化させ
ることができる。このように、アンテナの性能及び特性はソフトウェア、従って、ソフト
ウェア制御アンテナを用いて制御することができる。
【0037】
ここで、主題の説明において、接地という用語の使用は、一般的に、許容される接地電
位、すなわち大地電位と、共通電位又は基準電位との両方を指し、これは、設定電位又は
浮動電位であってもよい。同様に、図面では、接地の記号が用いられているが、それは、
簡略表記として用いられ、これは、大地電位又は共通電位が交換可能であることを意味す
る。このため、本明細書で接地という用語が用いられるとき、設定電位又は浮動電位とす
ることができる共通電位又は基準電位がそこに含まれる。
【0038】
全てのRFアンテナと同様に、受信と送信は対称的であるため、一方の説明は他方にも
同等に当てはまる。本説明では、送信を説明する方が簡単であるが、受信は同じで、方向
が反対である。
【0039】
送信モードでは、RF信号はコネクタ660(例えば、同軸ケーブルコネクタ)を介し
て給電線655に印加される。
図6に示すように、本実施形態では、給電線655と遅延
線640との間の電子的DC接続はない。しかし、本開示の実施形態では、給電線655
と遅延線640との間がRFショートされるように設計される。
図6に例示するように、
共通接地電極625は、背面絶縁体(又は誘電体)612の上面、又は下部バインダ61
0の下面に形成される。共通接地電極625は、通常、アンテナアレイの領域全体を覆う
導電層である。各RF給電位置で、窓(DCブレーク)623が共通接地電極625内に
設けられる。RF信号は、給電線655から、窓623を通って進み、遅延線640に容
量的に結合される。受信中には、逆のことが起こる。このように、遅延線640と給電線
655の間にはDCオープン及びRFショート状態が形成される。
【0040】
一例において、背面絶縁体612は、ロジャーズ(FR-4プリント回路基板)で作ら
れ、給電線655は、ロジャーズに形成される導電線とすることができる。ロジャーズを
用いる他に、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン又はテフロン)又は他の低損失材料
を用いることができる。
【0041】
本開示の実施形態のRFショート(バーチャルチョークともいわれる)の設計をさらに
理解するために、
図7を参照する。図面の類似の構成要素は、異なる系列であることを除
いては同じ参照番号を有し、例えば、
図7では、700番台の数字が用いられていること
に留意すべきである。また、
図7は、単一の放射パッチ735に接続された2つの遅延線
740を有する実施形態を例示しており、各遅延線は異なる信号を、例えば異なる偏向で
搬送することができる。以降の説明は、遅延線の1つについてなされ、他の遅延線も同様
に解釈することができる。
【0042】
図7では、放射パッチ735は、コンタクト719によって遅延線740に電子的にD
C接続されている。そのため、本実施形態では、RF信号は、遅延線740からコンタク
ト719を介して、直接、放射パッチ735に送信される。しかし、給電線755と遅延
線740との間はDC接続されておらず、むしろ、RF信号は給電線755と遅延線74
0との間に容量結合される。これは、共通接地電極725の穴を通って行われる。
図6に
示すように、VDC板602は、遅延線640の下に配置されるが、
図7ではRFショー
ト機構のよりよい理解のために、図面を簡易にするために図示されていない。共通接地電
極725は、部分的にハッチのマークで示されており、窓(DCブレーク)723も示し
ている。従って、
図7の例では、RF経路は、放射パッチ735から、コンタクト719
、遅延線740、窓723を通って給電線755に容量的に結合される経路である。
【0043】
RF信号を有効に結合させるために、「L」で示される窓723の長さは、給電線75
5を進むRF信号の波長の約半分、すなわちλ/2に設定するべきである。「W」で示さ
れる窓の幅は、波長の約10分の1、すなわちλ/10に設定するべきである。加えて、
RF信号を有効に結合させるために、給電線755は、Dで示されるように、窓723の
端部を超えて約4分の1波長λ/4、延在する。同様に、遅延線740の終端(コンタク
ト719とは反対側の端部)は、Eで示すように、窓723の端部を超えて4分の1波長
λ/4、延在する。給電線755を進むRF信号は遅延線740を進む信号より長い波長
を有するため、距離Dは、距離Eより長く示されていることに留意されたい。
【0044】
以上の開示を要約すると、本開示の実施形態によれば、共通接地コンタクト、複数のア
ドレス指定可能なピクセルコンタクトと、及び上部誘電体を有するLCDスクリーンと、
上部誘電体の上に設けられる放射素子のアレイと、それぞれ放射素子の1つに接続される
導電性の遅延線と、LCDスクリーンの下に設けられ、遅延線に結合される送信フィード
とを備えるアンテナが提供される。コントローラが、共通コンタクト及びアドレス指定可
能な各ピクセルコンタクトに結合され、コントローラは、放射素子の空間指向性を変化さ
せるためにピクセル制御コンタクトの選択的なものを付勢するように予めプログラムされ
ている。
【0045】
上記開示の実施形態は、上部誘電体と、下部誘電体と、上部誘電体と下部誘電体との間
に挟まれた可変誘電率材料と、可変誘電率材料内のピクセルを画定する複数の導電電極と
、共通接地電極と、上部誘電体上に設けられる少なくとも1つの放射パッチであって、各
々が放射パッチに結合された対応する遅延線を有している放射パッチと、下部誘電体の下
に設けられた給電線と、給電線と遅延線との間のRF結合とを含む、多層アンテナも提供
する。結合は、共通接地電極125に形成された、対応する窓を通過する導電線とするこ
とができる。
【0046】
本発明の実施形態は、無線アクセスポイントを提供し、この無線アクセスポイントは、
送受信機と、共通コンタクト、複数のピクセル制御コンタクト、及び上部誘電体を有する
LCDスクリーンを備えるアンテナアレイと、上部誘電体の上に設けられる放射素子のア
レイと、それぞれ放射素子のうちの1つに接続される複数の遅延線と、一端が送受信機に
、他端が遅延線に接続される複数の給電線と、共通コンタクト及び各ピクセル制御コンタ
クトに結合されるコントローラとを備え、コントローラは、複数の放射素子の空間指向性
を変化させるためにピクセル制御コンタクトの選択的なものを付勢するように予めプログ
ラムされている。
【0047】
さらなる一態様は、アンテナを動作させる方法であり、この方法は、アンテナの放射素
子によって形成された放射コーンを走査するステップと、走査中に受信された送信を用い
て各送信元の空間内の特定の位置を識別するステップと、送信元の送信から許可されてい
ない送信の位置を識別するステップと、アンテナを制御し、許可されていない送信の方向
にヌルを与えるステップと、アンテナを制御し、放射コーンを許可された方向にステアリ
ングすることによって許可された送信それぞれとの直接通信を実行するステップと、を含
む。放射コーンを走査するステップは、電圧を印加し、アンテナの遅延線の下の誘電率を
変化させることによって実行することができる。随意には、許可された送信それぞれにつ
いて、送信デバイスを識別し、デバイスのネットワーク及びアクセスポリシーを決定し、
識別されたデバイスからの通信にネットワーク及びアクセスポリシーを適用し、これによ
り「RFファイアウォール」を形成する。
【0048】
本開示において、波長λとは、アンテナの設計、及びアンテナ内の可変誘電材料に印加
されるDC電位に応じてアンテナの様々な媒体内を進むにつれて波長は変化するので、関
連媒体内を進む波長を示すことに留意されたい。
【0049】
図8は、開示された任意の実施形態を用いて構成することのできる全方向性のステアラ
ブルアンテナを例示している。アンテナは、4つの側面又はファセットを備え、各側面は
、遅延線840を介して相互接続された2×4の放射素子835のアレイを含む。放射素
子835、遅延線840、及び給電線を含む各ファセットの構造は、本明細書で開示され
た実施形態のいずれかを用いて構成することができる。各遅延線の下の誘電率を制御する
ことによって各ファセットの放射コーンを空間内でステアリングすることができ、このた
め、4つの全てのファセットを制御することによって、アンテナは、アンテナの周囲の任
意の方向において選択的に送受信することができる。例えば、アンテナは、ユーザA及び
ユーザBとの指向性通信を行うようにステアリングすることができるが、許可されていな
いユーザCにはヌルを与えて、ユーザCがシステム内に入るのを防ぐことができる。
【0050】
本開示の実施形態によるアンテナの構成において、可変誘電率のサンドイッチ構造は、
LCDを用いるだけで実装することができる。当然、LCDが視認できない用途、例えば
、WiFiアクセスポイント、基地局等では、LCDは、黒及び白だけとすることができ
る(すなわち、カラーフィルタ層を省略することができる)。また、標準のLCDの照射
及び偏光素子は、それらがアンテナアレイの周波数マッチングにも空間走査にも寄与しな
いため、省くことができる。また、アンテナが視認できない場合、パッチ及び給電線は、
銅又はアルミニウムなどの固体金属で作ることができる。アンテナが視認できる場合には
、パッチ及び給電線を、ITO、AZO等の透明の導電体で作ってもよい。
【0051】
この意味では、本発明の一実施形態は、共通接地コンタクト、複数のアドレス指定可能
なピクセルコンタクト、及び上部誘電体を有するLCDスクリーンと、上部誘電体の上に
設けられた放射素子のアレイと、それぞれ放射素子の1つに接続された導電性の遅延線と
、LCDスクリーンの下に設けられ、遅延線に結合された送信フィードとを備えるアンテ
ナを提供するものとして特徴付けることができる。共通コンタクト及び各アドレス指定可
能なピクセルコンタクトにはコントローラが結合され、コントローラは、放射素子の空間
指向性を変化させるためにピクセル制御コンタクトの選択的なものを付勢するように予め
プログラムされている。
【0052】
平坦なアンテナアレイを走査するためにソフトウェア制御を用いることにより、空間内
で二次元の走査を達成することができる。このため、例えば、このようなアレイは、平坦
な衛星テレビアンテナとして用いることができる。アンテナは、路上から見えないように
屋根の上に配置することができる。アレイの空間指向性は、ソフトウェアを用いて電子的
に制御することができるため、アンテナは、従来のパラボラアンテナのように機械的に衛
星に向ける必要がない。むしろ、衛星は、最良の受信が達成されるまで、可変誘電層の電
極に印加される電圧を変化させて(すなわち、LCDが用いられるときLCDスクリーン
上に投影される画像を変化させて)アンテナを電子的に走査することによって捕捉するこ
とができる。
【0053】
モバイルデバイスの普及により、WiFiアクセスポイントなどの従来のアクセスポイ
ントには、干渉している送信がロードされる。特に、標準のアクセスポイントは全方向性
アンテナを用いるため、アクセスポイントは、全方向で送受信する。したがって、全方向
性アンテナでは送信電力が距離の3乗に反比例して低下するため、アクセスポイントは、
送信時に、高いエネルギーを用いなければならない。さらに、アクセスポイントの送信は
、各々が他の全ての他のデバイスと干渉する全方向性アンテナを用いている複数のモバイ
ルデバイス(スマートフォン、パッド、ラップトップ)の干渉を増大させる。
【0054】
図8に例示する実施形態を用いて、特定の方向に送受信するアクセスポイントを作製す
ることができる。すなわち、特定のデバイスへの送信前に、VDC板の電極の電圧を変更
して、アンテナがターゲットデバイスに向けられるようにすることができる。送信は高周
波であり、アンテナは電子的に走査することができるため、アンテナは、アクセスポイン
トに対して異なる空間位置に配置された異なるモバイルデバイスに送信するたびに、サイ
ド方向付けすることができ。
【0055】
さらに、
図8に示すように、VDC板上の各ピクセルは個別に制御することができるた
め、それぞれ別々に制御される複数のアレイを用いることができる。さらに、
図8では、
4つの個別のアレイが4つの個別のファセット上に配置されているが、他の配置であって
もよく、例えば、三角形の3つのファセット、五角形の5つのファセット等であってもよ
い。このようにして、各アレイは、専用の空間領域に向けられ、アレイは全体としてアク
セスポイントの周りを360°をカバーする。
【0056】
また、本明細書で説明されたソフトウェア規定のアンテナシステムは、ポリシー、セキ
ュリティスキーム、及びWiFiアクセスポイントなどの無線通信へのアクセスを適用す
る際に、有意な利点を提供することができる。例えば、アンテナは、360°カバーする
ように走査することができるため、ユーザの環境、干渉信号、及び侵入者の3Dマップを
動的に作成することができる。アレイのフェーズドアレイ走査能力を適切に作動させるこ
とによって、システムは、空間内の許可されていないユーザ、例えば侵入者を識別し、分
離して、その特性を調べ、その後、空間内で追跡し、侵入者がネットワークに入るのを防
ぐことのできるヌルを生成することによってネットワークに接続する能力を排除するよう
決定することができる。ある意味で、これは、ウェーブポートレベルでワイヤレスファイ
アウォールを生成する。加えて、システムは、随意的に、アンテナの周りの空間内の位置
ごとに(例えばMACアドレスを用いて)認証されたユーザそれぞれを識別し、どのネッ
トワーク及びアクセスポリシー権を特定のユーザに与えるかを決定することができる。例
えば、会社において、従業員には、訪問者とは異なるネットワーク及びアクセスポリシー
が適用される。システムはTx/Rxの空間内の位置に基づいてネットワーク及びアクセ
スポリシーが適用することができる。ソフトウェア規定アンテナは、指向性ビーム及びヌ
ルを形成することによってユーザを走査して、追跡することができるため、ネットワーク
及びアクセスポリシーを、識別されたユーザごとに維持することができる。
【0057】
図9は、本明細書で説明されたソフトウェア規定アンテナのいずれかを利用する、一実
施形態によるアンテナを動作させる方法を例示する。開始後、システムは、例えば、電圧
を印加してアンテナの遅延線の下の誘電率を変化させることによって、アンテナを走査す
る。走査中に受信した送信を用いて、システムは、送信元それぞれの空間内の特定の位置
を識別する。次に、識別された送信のセットから、システムは、許可されていない送信の
位置を識別する。システムは、その後、アンテナを制御し、許可されていない方向にヌル
を与える。そして、システムは、アンテナを制御し、許可された方向に向けられるビーム
を形成することによって、許可された送信それぞれとの直接通信を実行する。随意には、
破線で示すように、システムは、ユーザごとに送信デバイスを識別し、デバイスのネット
ワーク及びアクセスポリシーを決定する。そして、システムは、識別されたデバイスから
の通信にネットワークポリシーとアクセスポリシーを適用する。
【0058】
図10は、開示された実施形態のいずれかのアンテナを標準のIEEE802.11N
アクセスポイントにどのように組み込むことができるかを例示しているブロック図である
。標準のアクセスポイントの構造及び構成要素は、当該技術分野においてよく知られてお
り、ここでは説明を省略する。
図10の例では、標準のアンテナは、ソフトウェア規定ア
ンテナによって置き換えられている。また、マイクロプロセッサ(MPU)は、アンテナ
をステアリングするか、放射パッチの共振周波数を変化させるために必要な電圧を供給す
るようプログラムされている。
【0059】
この意味において、本発明の実施形態は、送受信機と、共通コンタクト、複数のピクセ
ル制御コンタクト、及び上部誘電体を有するLCDスクリーンを備えるアンテナアレイと
、上部誘電体の上に設けられた放射素子のアレイと、それぞれ放射素子の1つに接続され
た複数の遅延線と、一端が送受信機に接続され、他端が遅延線の1つに接続された複数の
給電線と、共通コンタクト及び各ピクセル制御コンタクトに結合されたコントローラとを
備え、コントローラは、ピクセル制御コンタクトのうちの選択的なものを付勢して、複数
の放射素子の空間指向性を変化させるよう予めプログラムされている、無線アクセスポイ
ントを提供することを特徴とすることができる。
【0060】
ここで、本開示は、開示された実施形態によるアンテナの作製方法を提供することに転
じる。上述したように、開示された実施形態は、PCB材料、テフロン、ガラス、(ドイ
ツ国エッセン所在のEvonik社から入手することができる)ロハセル(登録商標)等とする
ことができる様々な絶縁板又は基板を利用する。簡潔のために、これらの基板を、以降の
説明では、上部基板及び下部基板という。
図11において、上部基板1102は、例えば
、
図6のカバー絶縁層617のようなものであり、下部基板1103は、
図6の背面誘電
体612のようなものである。
【0061】
図11のステップ1100で、基板1102の上面の放射素子1135と下面の遅延線
1140とを形成することによって上部基板が作製される。オーミックコンタクト111
9は、遅延線1140を放射素子1135に接続することができる。代替的に、遅延線1
140及び放射素子1135は、基板1102を横切って容量的に接続してもよい。また
、本実施形態では、液晶ピクセルを活性化するための電極が省略されている。代わりに、
活性化線1121が、上部基板の下面に形成され、遅延線に接続される。活性化線は、そ
のための信号をRF信号から分離するためにバイアス-Tに接続される。
【0062】
具体的には、
図11の吹き出しは、標準のバイアス-T回路を例示している。RF+D
Cノードは、遅延線1140に結合される。DCノードは、液晶の状態を制御するために
用いられる可変の電圧電位の出力に対応する。RFノードは、コーポレート給電の給電線
1155に対応する。
図11に示すように、RFノードは、キャパシタCを介して回路に
結合される。しかし、本明細書で説明されたように、本開示の実施形態におけるRF信号
は、既に遅延線に容量的に結合されているので、キャパシタCを省略することができる。
このように、インダクタIをアンテナのDC側に組み込むことによって、変更されたバイ
アスT回路が作成される。
【0063】
ステップ1105では、上面に接地面1125を形成することによって下部基板110
3が作製され、接地面1125には、RF信号がそこを通って送信されるように適切な孔
1123が戦略的に配置される。また、コーポレート給電の導電線1155は、下部基板
1103の下面に作製される。
【0064】
ステップ1110では、下部基板1103の上面、又は上部基板1102の下面、ある
いはその両方に、配向層1104が形成される。配向層は、例えばポリイミドなどの配向
材料を堆積し、液晶のための配向層として機能するように配向材料を改質することによっ
て形成することができる。改質は、所望の配向方向にこすること、配向方向にスクラッチ
を形成すること、又はUV硬化によって達成することができる。説明は、配向層1104
が少なくとも下部基板1103の上面に形成されていることを前提として進める。
【0065】
ステップ1115では、上述したように、この例では下部誘電体1103の上面にある
とされている配向層1104の上部にスペーサ1106が配置される。本実施形態では、
スペーサは、ガラス又はジルコニアボールである。一実施形態において、ボールは、接着
剤を用いて配向層1104に接着される。一実施形態において、ボールは、例えば、UV
硬化性エポキシを用いて、配向層1104に接着され、この場合には、スペーサを配置し
た後に下部基板1103をUV放射に曝して、接着剤を硬化させ、スペーサをそれらの位
置に固定する。
【0066】
ステップ1120では、ダム又は封止材1107が、下部基板1103の上面に配置さ
れる。封止材1107は、シリコン又はエポキシのビーズ、予め形成された封止材料製の
フレーム等とすることができる。封止材は、液晶が占める領域を囲み、液晶がアンテナを
形成するサンドイッチ構造から漏れるのを防ぐ。ステップ1125では、液晶1165が
、下部基板1103の上面に流される。その後、ステップ1130において、上部基板と
下部基板とが一緒にされて、アンテナの多層サンドイッチ構造を形成する。用いられる様
々な接着剤又は封止材に応じて、サンドイッチ構造全体は、硬化のためにUV放射に曝す
ことができる。
【0067】
図11Aは、液晶を活性化するために遅延線に接続される活性化線を用いるのではなく
、上部基板の下面に電極1620を形成し、電位線1121及び接地線1121’を電極
に取り付け、これによりピクセルを画定することを除いて、プロセスフローが
図11のプ
ロセスフローに似ている修正された方法を示す。
【0068】
図12は、アンテナを作製するための他の方法を例示する。
図12において、ステップ
1200から1220は、
図11のステップ1100から1120と同じである。しかし
、
図12では、ステップ1225において、上部基板と下部基板を一緒にして、アンテナ
の多層サンドイッチ構造を形成する。その後、ステップ1230において、上部基板と下
部基板によって画定され、封止材1107によって境界が定められた空所に液晶を注入す
るために注入機1170が用いられる。注入は、液晶の注入後に封止される注入孔を通し
てなされる。
【0069】
図13は、異なるタイプのスペーサが用いられるか、あるいはスペーサ・封止材の組み
合わせが用いられるさらに他の実施形態を例示する。
図13において、ステップ1300
から1310は、
図11のステップ1100から1110と同じである。しかし、
図13
では、ステップ1315で、スペーサ、又はスペーサ・封止材の組み合わせが用いられる
。一例では、スペーサ1317は、
図13における上の吹き出しに示すような、誘電材料
製の格子の形態をしている。スペーサは、任意の所望の形状、例えば直線、正方形、ハニ
カム等の格子として別々に形成され、その後、配向層1104の上に配置される。特定の
一実施形態では、格子の側壁に孔1309を設け、格子1317によって生成された全て
の空間の間に液晶が流れ、液晶材料を均一にする。2番目の吹き出しの上面図に示すよう
に、スペーサ1317は、その周囲に封止材1307を組み込んで、配向層1103の上
部へのスペーサ・封止材の組み合わせを取付けるステップを前の実施形態で示したような
2つではなく1つのステップとすることができる。
【0070】
ステップ1325では、注入機1372が、液晶を格子1317上に注入するために用
いられ、ステップ1330では、2つの基板を一緒にして、アンテナの多層サンドイッチ
構造を形成する。あるいは、
図12の実施形態のように、上部基板と下部基板を最初に互
いに取り付けて、その後、液晶を、後に封止される専用の注入孔を通して注入することが
できる。
【0071】
図14は、本発明の実施形態によるアンテナを製造するロール・ツー・ロール法を例示
する。
図14において、供給ロール1401は、可撓性の絶縁材料、例えば、PET、ポ
リマーナノコンポジット、(Du Pont社から入手可能な)パイララックス(登録商標)、
(英国ロンドンのEmerson & Cuming of Laird PLC社から入手可能な)ECCOSTOCK(登録商
標)低損失誘電体等の連続ストリップを供給する。絶縁ストリップ1402は、第1の金
属化ステーション1470を通過し、放射パッチが、絶縁ストリップの上面に形成される
。本明細書で記載される任意の金属化ステーションはいずれも、例えば、マイクロ転写印
刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソグラフィック印刷、ナノインプリン
トリソグラフィー(NIL)などの任意の金属印刷可能ステーションであってもよい。
【0072】
絶縁ストリップは、第2の金属化ステーション1472に続き、そこで、絶縁ストリッ
プの下部には、遅延線がインプリントされる。上述したように、絶縁ストリップの下部に
は、設計に応じて、遅延線に接続される活性化線、もしくは電極及び電極に接続される活
性化線をインプリントすることもできる。この点において、遅延線は蛇行線の形態である
が、電極は正方形又は円の形態であるという点で、遅延線は電極とはかなり異なる。
【0073】
一方、供給ロール1411’は、絶縁材料、例えばPETの連続ストリップを供給する
。絶縁ストリップ1403は、金属化ステーション1474を通過し、そこで、接地層が
絶縁ストリップ1403の上面に形成される。接地層は、各遅延線に対応する穴を含む。
その後、絶縁ストリップ1403は、金属化ステーション1406を通過し、そこで、コ
ーポレート給電の給電線が絶縁ストリップ1403の下面に形成される。
【0074】
他の実施形態で述べたように、液晶を配向させるために少なくとも1つの配向層を形成
する必要がある。完全を期すために、
図14では、両方の絶縁ストリップに、配向層が設
けられるように示されている。具体的には、堆積システム1408が、上部絶縁ストリッ
プ1402の下面と、下部絶縁ストリップ1403の上面に配向材料を提供する。次に、
スクラバ1409が、配向材料の表面をこすったり、引っかいたりして配向層を形成する
。あるいは、配向層を形成するのに、UV放射を用いることができる。そこで、両方の選
択肢を示すために、
図14は、上部絶縁ストリップ1402の配向層上で動作するスクラ
バ1409を例示し、UV源1411は、下部絶縁ストリップ1403上で配向を行うよ
うに動作する。しかし、これらの方法のいずれかを、単独で、又は組み合わせて用いるこ
とができることを理解されたい。
【0075】
次に、ステーション1412において、スペーサが、下部絶縁ストリップ1403の上
面に取付けられる。スペーサは、配向層の上部に取付けられる。スペーサが、放射硬化可
能接着剤を用いて下部絶縁ストリップに接着される場合、放射源(例えば、UV源)14
14は、ステーション1412の下流に設けられる。次のステーション1416では、液
晶が、下部絶縁ストリップの上面に注がれる。ステーション1418では、両方の絶縁ス
トリップが一緒にされ、例えば、UV硬化を用いて硬化される。ステーション1420で
は、個々に生成されたアンテナを分離するためにナイフが用いられる。
【0076】
図14の例示図を水平軸上で反転させると、スペーサ及び液晶材料が上部絶縁ストリッ
プ1402の下面に堆積されることを除いて、同じプロセスを実行することができること
に留意されたい。
【0077】
様々な実施形態が上述され、各実施形態は、所定の特徴及び構成要素について説明され
る。しかし、1つの実施形態からの特徴及び構成要素は、他の実施形態の他の特徴及び構
成要素と併せて用いることができ、説明は、混乱を避けるため全ての置換が説明されてい
るのではないが、このような可能性をカバーすることを意図していることを理解されたい
。
【0078】
また、本明細書で用いられる接続および結合するに関する技術用語は従来のとおりであ
り、接続は、一の部品が他の部品に直接、接続することを意味し、結合は、2つの部品間
に構成要素を介在させることができることを意味する。また、DC接続は、DC短絡に類
似し、1つの導電体が物理的に他の導電体に接触して、DC電流が流れるのを可能にする
ことを理解するべきである。しかし、RF結合は、必ずしも物理的に接触する2つの導電
体を必要としない。有効な例は、2つのキャパシタ板であり、DC電流がそれらを伝導す
ることはできないが、AC及びRFは伝導することができる。
【0079】
本明細書で説明された処理及び技術は、元来、他の特定の装置に関連せず、任意の構成
の適切な組み合わせによって実装することができることを理解するべきである。さらに、
本明細書で説明された教示によって一般的な用途の機器の様々なタイプを用いることもで
きる。本発明は、特定の例に関して説明され、全ての点が限定的ではなく例示的であるこ
とが意図されている。当業者は、本発明の実施には、多くの異なる組み合わせが適切であ
ることを認識するであろう。
【0080】
さらに、ここで開示された明細書の検討及び発明の実施から、当業者には本発明の他の
実装が明らかであろう。説明された実施形態の様々な態様及び/又は構成要素は、単独で
、あるいは任意の組み合わせで用いることができる。明細書及び例は、以降のクレームに
よって示される本発明の真の範囲及び思想とともに、例示のみとしてみなされることを意
図している。