IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウェハー エルエルシーの特許一覧

特許7045085多層ソフトウェアデファインドアンテナ及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】多層ソフトウェアデファインドアンテナ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 3/34 20060101AFI20220324BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20220324BHJP
   H01Q 13/08 20060101ALI20220324BHJP
   H01Q 21/24 20060101ALI20220324BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
H01Q3/34
H01Q21/06
H01Q13/08
H01Q21/24
G02F1/13 505
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019511934
(86)(22)【出願日】2017-07-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 US2017044045
(87)【国際公開番号】W WO2018044438
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】62/382,489
(32)【優先日】2016-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/382,506
(32)【優先日】2016-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/431,393
(32)【優先日】2016-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/421,388
(32)【優先日】2017-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518321174
【氏名又は名称】ウェハー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】WAFER LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】デディ デビッド ハジーザ
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-085145(JP,A)
【文献】特開2012-100324(JP,A)
【文献】特開2004-146908(JP,A)
【文献】特開2007-243123(JP,A)
【文献】特開2000-341027(JP,A)
【文献】特表2009-538565(JP,A)
【文献】特開平07-046033(JP,A)
【文献】特開平08-181539(JP,A)
【文献】特開2011-176545(JP,A)
【文献】特開昭59-079605(JP,A)
【文献】国際公開第2012/080532(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02482383(EP,A2)
【文献】特開2002-033617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00-25/04
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、
前記絶縁基板の上面上に設けた複数の導電性パッチと、
前記絶縁基板の下側に設けた接地面であって、前記接地面はその中に複数の開口部を有する当該接地面と、
複数の給電ラインであって、それぞれが前記複数の開口部のうち対応する1つの開口部の下側に整列されるように位置決めされた終端を有する当該複数の給電ラインと、
前記接地面の上側に設けた複数の遅延ラインであって、それぞれが前記複数の導電性パッチのうち対応する1つの導電性パッチに結合された一端と、前記複数の開口部のうち対応する1つの開口部の一端を超えて延びる終端とを有し、前記複数の給電ラインのうち1つの給電ラインに対しDCオープン及びRF短絡を形成し、RF信号を、前記開口部を通して前記給電ラインに容量的に結合させる当該複数の遅延ラインと
を具え、
前記複数の給電ラインと前記複数の遅延ラインとの間に電気的なDC接続が存在しないアンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載のアンテナであって、前記複数の遅延ラインのそれぞれは、対応する前記導電性パッチの下側に設けられ且つ接点を介して前記導電性パッチに接続されているアンテナ。
【請求項3】
請求項に記載のアンテナであって、前記複数の導電性パッチと前記接地面との間に設けた可変誘電率層(VDC層)を更に具えているアンテナ。
【請求項4】
請求項に記載のアンテナであって、複数の結合パッチであって、それぞれが前記複数の導電性パッチのうち1つの導電性パッチの隣に設けられ且つ誘電性スペースを跨いで容量的にRF信号を前記導電性パッチに結合し、それぞれが前記複数の遅延ラインのうち1つの遅延ラインへの物理的な導電性接点を形成する接点を有する当該複数の結合パッチを、更に具えているアンテナ。
【請求項5】
請求項3に記載のアンテナであって、電極と、前記電極に接続されたDCラインとを更に具えているアンテナ。
【請求項6】
請求項5に記載のアンテナであって、前記開口部は前記給電ラインを伝達するRF信号の波長の約半分の長さLを有しているアンテナ。
【請求項7】
請求項6に記載のアンテナであって、前記開口部は前記給電ラインを伝達するRF信号の波長の約10分の1の幅Wを有しているアンテナ。
【請求項8】
請求項7に記載のアンテナであって、前記複数の給電ラインのそれぞれの終端が前記給電ラインを伝達するRF信号の波長の約4分の1の距離Dだけ対応する前記開口部を越えて延在しているアンテナ。
【請求項9】
請求項7に記載のアンテナであって、前記複数の遅延ラインのそれぞれの終端が前記遅延ラインを伝達するRF信号の約4分の1の波長の距離Eだけ対応する前記開口部を越えて延在しているアンテナ。
【請求項10】
請求項2に記載のアンテナであって、前記遅延ラインに接続されたDCラインを更に具えているアンテナ。
【請求項11】
請求項3に記載のアンテナであって、前記可変誘電率層が可変誘電率材料のピクセルを有しているアンテナ。
【請求項12】
請求項3に記載のアンテナであって、前記可変誘電率層が上部バインダ層と、底部バインダ層と、前記上部バインダ層と前記底部バインダ層との間に挟まれている可変誘電率材料とを有しているアンテナ。
【請求項13】
請求項3に記載のアンテナであって、前記導電性パッチの上側に設けられた誘電体カバーを更に具えており、前記誘電体カバーの頂部上に設けられた放射パッチが前記導電性パッチと整列されているアンテナ。
【請求項14】
請求項13に記載のアンテナであって、前記放射パッチが前記導電性パッチよりも大きいアンテナ。
【請求項15】
絶縁スペーサと、
前記絶縁スペーサ上に設けられた少なくとも1つの放射用構成配置であって、前記少なくとも1つの放射用構成配置の各々が前記絶縁スペーサの上面上に設けられた導電性パッチと、前記絶縁スペーサの底面上に設けられた少なくとも1つの遅延ラインと、導電性材料より成っているとともに前記絶縁スペーサ中に形成された窓を介して前記導電性パッチと前記遅延ラインとの間に電気的なDC接続を達成する対応の接点とを具える当該少なくとも1つの放射用構成配置と、
可変誘電率プレート(VDCプレート)と、
背面絶縁体と、
前記背面絶縁体の上面の上側に設けられた背面導電性接地層と、
前記少なくとも1つの放射用構成配置の各々に対するRF結合用構成配置であって、前記背面導電性接地層内に形成された窓と、前記窓に対し重なる方向に向けられて前記背面絶縁体の底面の上側に設けられた導電性RF給電パッチとを有し、それぞれの遅延ラインに対しDCオープン及びRF短絡を形成して、RF信号を、開口部を通ってそれぞれの遅延ラインに容量的に結合させ、一方、給電ラインと前記それぞれの遅延ラインとの間に電気的なDC接続が存在しないようにした当該RF結合用構成配置と
を具えるアンテナ。
【請求項16】
請求項15に記載のアンテナであって、前記VDCプレートの選択領域における誘電率を制御するように構成した電極を更に具えているアンテナ。
【請求項17】
請求項15に記載のアンテナであって、それぞれの放射用構成配置は、結合パッチであって、前記導電性パッチの隣に設けられ且つ誘電性スペースを跨いで容量的にRF信号を前記導電性パッチに結合する当該結合パッチを更に具え、前記接点は、前記結合パッチと前記遅延ラインとの間に電気的なDC接続を達成する、アンテナ。
【請求項18】
請求項15に記載のアンテナであって、前記絶縁スペーサがPETを有しているアンテナ。
【請求項19】
請求項15に記載のアンテナであって、前記RF給電パッチに直交しているとともに前記背面導電性接地層内に形成された第2の窓に対し重なる方向に向けられている第2のRF給電パッチを具えているアンテナ。
【請求項20】
請求項15に記載のアンテナであって、前記遅延ラインが蛇行する導電性ラインを有しているアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2016年9月1日に出願された米国仮特許出願第62/382,489号、2016年9月1日に出願された米国仮特許出願第62/382,506号、2016年12月7日に出願された米国仮特許出願第62/431,393号及び2017年1月31日に出願された米国特許出願第15/421,388号の優先権を主張するものであり、これらの各々の開示内容は、参照することによりその全体が説明されているようにここに導入されるものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、無線送信及び受信の双方又は何れか一方のアンテナに関するものであるとともに、このようなアンテナ及びこれに関連するマイクロストリップ、ストリップライン又はその他のような給電回路網の製造方法にも関するものである。
【背景技術】
【0003】
以前に、本発明者はアンテナを開示しており、このアンテナは可変誘電率を利用してアンテナの特性を制御し、これによりソフトウェアデファインドアンテナを形成している。このアンテナに関する詳細は、米国特許第7,466,269号明細書に開示されており、その開示内容は、参照することによりその全体がここに導入されるものである。この米国特許第7,466,269号明細書に開示したアンテナは、使用可能であるとともに、LCDスクリーンの上部上に単に放射素子及び給電ラインを形成することにより容易に製造しうるようになることが実証されている。従って、本明細書に開示したように、ソフトウェアデファインドアンテナを製造する異なる可能性を更に研究するための更なる調査を行った。
【発明の概要】
【0004】
以下の概要は、本発明の幾つかの態様及び特徴を基本的に理解するために開示するものである。この概要は、本発明の広範囲に及ぶ要約ではない為、特に本発明の主要な又は重要な要素を特定すること又は本発明の範囲を表すことを意味するものではない。この概要の唯一の目的は、以下に開示するより詳細な説明に対する前置きとして簡単化した形態で本発明の幾つかの概念を提示することにある。
【0005】
本発明は、可変誘電率アンテナに対する種々の強化及び向上を提供するものである。本明細書に開示した実施例は改善したアンテナアレイ及びこのようなアレイの製造方法を提供するものである。
【0006】
本明細書に開示した実施例は、容量的に結合させた給電ラインと、給電ネットワークをビア(via )結合及び近接型結合のような放射要素に結合する他の手段とを有するアンテナを提供するものである。このアンテナは、絶縁基板と、この絶縁基板の上面上に設けられた導電性パッチと、この絶縁基板の底面上に設けられ、内部に開口部(アパーチュア)を有している接地面であって、前記導電性パッチの下側に整列されるように位置決めされた当該接地面と、給電ラインであって、この給電ラインの端部が前記開口部の下側に整列されるように位置決めされ、RF信号をこの開口部を通って前記導電性パッチに容量的に送信するようにした当該給電ラインとを具えている。他の構成も同様に実現可能であり、以下の例は、随意の解決策を提供するとともに、システムを如何にして最も有効に実施するかに関する洞察を提供するように設定したものである。
【0007】
本発明の実施例は、可変性の誘電体を用いて遅延ラインを制御し、これにより位相及び周波数の双方又は何れか一方をシフトさせることによりソフトウェアデファインドアンテナを提供するものである。位相シフト(移相)は例えば、アンテナの空間的定位又は偏光制御のために用いることができる。本明細書に開示した実施例は、アンテナとコーポレート給電との設計を切り離して、これらの間の信号干渉を回避するものである。更に、本明細書に開示した実施例は、RF電位及びDC電位を切り離すものである。放射器、コーポレート給電層、可変性誘電体、位相シフト制御ライン、等のようなアンテナの種々の素子は多相アンテナ設計の互いに異なる層内に設け、これにより設計を分離させるとともにクロストークを回避するようにする。
【0008】
本明細書に開示した特徴事項には、RF信号を放射素子及び給電ライン間に結合させる新規な構成配置と、信号の周波数及び位相を制御する構成配置と、多層アンテナと、アンテナの製造方法とを含める。
【0009】
本明細書内に組込みその一部を構成する添付図面は、本発明の実施例を例示するとともに、その説明と相俟って本発明の原理の説明及び図解を行うのに役立つものである。これらの図面は、代表的な実施例の主たる特徴を線図的に示すことを意図するものである。又、これらの図面は、実際の実施例のあらゆる特徴を示したり図示した素子の相対寸法を示したりすることを意図するものではなく、実際のものに正比例して描いているものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施例によるアンテナを示す平面図である。
図2図2は、互いに直交する2つの給電ラインにより各放射素子に給電しうるようにした本発明の他の実施例によるアンテナを示す平面図である。
図3図3Aは、単一の放射素子を示す平面図である。図3Bは、本発明の一実施例による図3Aの放射素子の位置におけるアンテナの関連区分を示す断面図である。
図4図4は、本発明の他の実施例による放射素子の位置におけるアンテナの関連区分を示す断面図である。
図5図5は、帯域幅を増大するように設計した本発明の他の実施例による放射素子の位置におけるアンテナの関連区分を示す断面図である。
図6図6Aは、単一の放射素子を示す平面図である。図6Bは、図2に示すのに類似して各パッチに接続した2つの遅延ラインを有する本発明の一実施例による図6Aの放射素子の位置におけるアンテナの関連区分を示す断面図である。図6Cは、RFラインの直下に可変性誘電体層(誘電率が可変の層)を有する実施例を示す断面図である。図6Dは、RFラインがAC電圧によりバイアスTを介して起動されるようにする、すなわち強いインパクトラインと2つの異なるコーポレート給電ネットワークに対する2つの層とを提供する実施例を示す断面図である。図6Eは、2つの異なる周波数で動作させるのに用いうる矩形パッチを示す平面図である。図6Fは、標準的なバイアスT回路を示す回路図である。
図7図7は、可変誘電率材料を制御するためのDC電位を遅延ライン自体に印加し、電極を必要としないようにした実施例を示す断面図である。
図8図8は、2つの遅延ラインが単一のパッチに接続され、各遅延ラインが異なる偏光を伝達しうるようにした実施例を示す平面図である。
図8A図8Aは、図8に示す実施例の変形例を示す説明図である。
図9図9は、VDC(可変誘電率)プレートがVDC材料の規定領域のみを有する実施例を示す平面図である。
図9A図9Aは、図9に示す実施例の変形例を示す説明図である。
図10図10は、VDCプレートを用いない実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して本発明のアンテナの実施例を説明する。種々の実施例又はこれらの組合せを種々の適用分野に対し又は種々の利点を達成するのに用いることができる。本明細書に開示する種々の特徴は、達成しようとする結果に応じて部分的に又は最大限に用いて、或いは単独に又は他の特徴と組合せて用いて、利点を要件及び制約と釣り合うようにすることができる。従って、ある種の利点を幾つかの異なる実施例につき強調するが、これらの利点は本明細書に開示する実施例に限定されるものではない。すなわち、本明細書に開示する特徴は、これらの特徴を記載した実施例に限定されるものではなく、他の特徴と“混合及び適合させたり”且つ他の実施例に組込んだりすることができる。
【0012】
図1は、本発明の一実施例によるアンテナ100の平面図を示している。一般的にこのアンテナは、以下に詳細に説明するように、パッチ層と、実時間遅延層と、スロット付接地層と、コーポレート給電層とを有する多層アンテナである。ある場合には、多重偏光又は広帯域幅、等を達成する追加の層を加える。アンテナの種々の素子は絶縁基板上に印刷又は堆積することができる。
【0013】
図1に示すように、この特定の実施例におけるアンテナは放射器110の4×4のアレイを有しているが、種々の幾何学的形状及び構成配置では任意の個数の放射器を用いることができるものであり、この4×4の素子の正方形配置は一例としてのみ選択したものである。本例では、各放射器110は絶縁層105の上面上に設けた(例えば、堆積、被着、印刷の何れかを行った)導電性パッチであり、更に以下で説明するように、絶縁層の上面上に物理的に又は容量的に結合させた遅延給電ライン115を有する。各遅延給電ライン115は、RF信号をその対応するパッチ110に供給する導体である。このRF信号は、遅延給電ラインの下側に配置された可変性誘電体層を制御することにより調整、例えば、遅延、周波数変更、位相変更することができる。全ての遅延ラインを制御することにより、アレイを必要に応じて種々の方向に指向させ、これにより走査型のアレイが得られるようにすることができる。
【0014】
図1では、各素子に1つの給電ラインのみから給電されるようになっている。しかし、図2に示すように、各放射素子210に互いに直交する2つの給電ライン215及び217により給電し、これらの各給電ラインが互いに異なる偏光を有するようにすることができる。本明細書に開示する説明は図1及び2の双方の構成に且つこれらに類似する如何なる構成にも適用することができる。
【0015】
図1及び2に示すアンテナの構造及び動作は、図3A及び3Bの以下の説明から、且つ図8を更に参照してより良好に理解することができる。図3Aは単一の放射素子310の平面図を示し、図3B図3Aの放射素子310の位置でのアンテナの関連区分の断面図を示す。図8は、図3A及び3Bの実施例を含んでいる、本明細書に開示した実施例の全てに適用しうる平面“透視”図を開示している。従って、本明細書に開示した実施例の何れをも検討するのに際しては、良好に理解するために図8を参照する必要がある。
【0016】
上部の誘電体スペーサ305は一般に、誘電体(絶縁)プレート又は誘電体シートであり、例えば、ガラス又はPET、等から形成することができる。放射パッチ310は、例えば、導電性フィルムを被着するか、又はスパッタリングするか、又は印刷するか等によりスペーサの上側に形成する。各パッチ位置において、誘電体スペーサ内にビア形成し、このビアを導電性材料、例えば、銅を充填して放射パッチ310に物理的且つ電気的に接続する接点325を形成する。遅延ライン315は誘電体スペーサ305の底面上に(又は上部バインダ342の上面上に)形成し且つ接点325に物理的に且つ電気的に接続させる。すなわち、遅延ライン315から接点325を介して放射パッチ310に至る連続的なDC電気接続が存在するようになる。図3Aに示すように、遅延ライン315は、蛇行する導電性ラインであり、所望の遅延を生じるのに充分な長さを有し、これによりRF信号に所望の位相シフトを生ぜしめるようにする如何なる形状にもすることができる。
【0017】
遅延ライン315における遅延は、可変誘電率材料344を有する可変誘電率(VDC)プレート340により制御される。VDCプレート340を構成する如何なる方法もアンテナの実施例に対して用いるのに適しているが、このVDCプレート340は、特定の実施例における簡略表記として、上部バインダ342と、(例えば、ガラス、PET、等の)可変誘電率材料344(例えば、ねじれネマチック液晶層)と、底部バインダ346とより成るものとして示してある。他の実施例では、バインダ層342及び346の一方又は双方を省略することができる。或いはまた、バインダ層342及び346の一方又は双方の代わりにエポキシ又はガラスビーズを用いることができる。
【0018】
ある実施例では、例えば、ねじれネマチック液晶層を用いる場合、スペーサ305の底面上に堆積しうる又は接着しうる或いはその双方を行いうる、或いはまた上部バインダ342上に形成しうる配向層をもVDCプレート340に含める。この配向層は、封止(閉じ込め)用の基板のエッジにLC(液晶)の分子を整列させるためにUV(紫外線)によりラビング又は硬化されるポリイミドベースのPVA(ポリビニルアルコール)のような薄肉材料層にすることができる。
【0019】
VDCプレート340の実効誘電率は、このVDCプレート340に跨ってDC電位を印加することにより制御することができる。この目的のために、電極を形成するとともに制御可能な電位点に接続する。電極を形成するのに種々の構成配置があり、これらのうちの数例を本明細書に開示する実施例に示す。図3Bに示す構成配置では、2つの電極343及び347、すなわち上部バインダ342の底面上の電極及び底部バインダ346の上面上の電極が設けられている。一例として、電極347は可変電位点341に接続されているとともに、電極343は接地点に接続されているものとして示してある。他の例としては、破線で示すように、電極343を可変電位点349に接続するようにすることもできる。従って、可変電位点341及び可変電位点349の双方又は何れか一方の出力電圧を変更することにより、電極343及び347の付近におけるVDC材料の誘電率を変更させ、これにより遅延ライン315を経て伝達されるRF信号を変えるようにすることができる。可変電位点341及び可変電位点349の双方又は何れか一方の出力電圧の変更は、コントローラ(Ctl)により実行するソフトウェアを用いて、このコントローラが可変電位点341及び可変電位点349の双方又は何れか一方の適切な出力電圧を設定するようにすることにより達成することができる。従って、アンテナの性能及び特性はソフトウェアを、従って、ソフトウェア制御アンテナを用いて制御することができる。
【0020】
この点で、本明細書において接地点という用語の使用は、一般的に許容しうる接地電位、すなわちアース電位と、設定電位又は浮遊電位としうる共通(コモン)電位又は基準電位との双方を参照することを明確にするべきものである。同様に、図面では、接地用の記号を用いているが、これはアース電位又は共通電位の何れかを交換可能に表す簡略表記として用いるものである。従って、接地点という用語を本明細書で用いる場合、これに設定電位又は浮遊電位としうるコモン電位又は基準電位という用語が含まれるものである。
【0021】
RFアンテナは全て同様であるように、受信と送信とは対称的であり、一方の説明は他方にも同様に適用される。本明細書では、送信を説明しやすいが、受信は単に反対方向にすることで同じとなるものである。
【0022】
送信モードでは、RF信号を、コネクタ365(例えば、同軸ケーブルコネクタ)を介して給電パッチ360に供給する。図3Bに示すように、給電パッチ360と遅延ライン315との間には電気的なDC接続が存在しない。しかし、本明細書に開示する実施例では、給電パッチ360と遅延ライン315との間にRF短絡が得られるように層を設計する。図3Bに示すように、背面(バックプレーン)絶縁体(又は誘電体)350の上面又は底部バインダ346の底面上に背面導電性接地(又はコモン)層355を形成する。この背面導電性接地層355は一般的に、アンテナアレイの全領域を被覆する導電体の層である。各RF給電個所では、背面導電性接地層355内に窓(DCブレーク)353を設けている。RF信号は給電パッチ360から窓353を介して伝達されて遅延ライン315に結合される。受信中はこれとは逆の状態が生じる。従って、遅延ライン315と給電パッチ360との間にDCオープン及びRF短絡が形成される。
【0023】
一例では、背面絶縁体350をロジャーズ(Rogers:登録商標)(FR‐4プリント回路基板)から形成し、給電パッチ360はロジャーズ上に形成した導電性ラインとすることができる。ロジャーズを用いる代わりに、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン又はTeflon(登録商標))或いはその他の低損失材料を用いることができる。
【0024】
本明細書に開示した実施例のRF短絡(仮想チョークとも称する)設計を更に理解するために、図8を参照する。図面中の同様な素子は、異なるシリーズの場合を除いて、例えば、図8では8xxシリーズを用いていることを除いて、同じ参照符号を有していることを留意すべきである。又、図8は、単一のパッチ810に接続された2つの遅延ラインを有する実施例を示しており、各遅延ラインは異なる信号を、例えば、異なる偏光で伝達しうるようになっている。以下の説明はこれらの2つの遅延ラインのうちの一方に対して行うものである。その理由は、他方の遅延ラインは同様な構造を有しうる為である。
【0025】
図8では、放射パッチ810が接点825により遅延ライン815に電気的にDC接続されている(他の給電用の遅延ラインには817として参照符号を付してある)。従って、本例では、RF信号が遅延ライン815から直接接点825を介して放射パッチ810に送信される。しかし、給電パッチ860と遅延ライン815との間にはDC接続が行われておらず、その代りRF信号は給電パッチ860と遅延ライン815との間に容量的に結合されている。この結合は、接地面850内の開口部を介して行われる。図3Bに示すように、VDCプレート340は遅延ライン315の下側に配置されているが、図8では、RF短絡特徴を良好に理解させる上で図面を簡略化するためにこのプレートを図示していない。裏面の接地面850は部分的にハッチング記号で表されており、この記号は窓(DCブレーク)853をも示している。従って、図8の例では、RF信号路は放射パッチ810から接点825に、且つ遅延ライン815に、しかも窓850を容量的に通って給電パッチ860に至るものである。
【0026】
RF信号の結合を効率的にするためには、“L”として示す窓853の長さを、給電パッチ860内を伝達するRF信号の波長の約半分、すなわち、λ/2に設定する必要がある。“W”として示す窓の幅は、波長の約10分の1、すなわち、λ/10に設定する必要がある。更に、RF信号の結合を効率的にするために、給電パッチ860を、Dにより示すように窓853のエッジを越えて約4分の1の波長λ/4だけ延在するようにする。同様に、遅延ライン815の終端(接点825に対向する端部)を、Eにより示すように窓853のエッジを越えて4分の1の波長λ/4だけ延在するようにする。距離Dは距離Eよりも長く示している。その理由は、給電パッチ860内を伝達するRF信号は遅延ライン815内を伝達する信号よりも長い波長を有する為である。
【0027】
本明細書においては、波長λに対する全ての言及は、関連の媒体中を伝達する波長を表すことを銘記すべきである。その理由は、波長は、アンテナの種々の媒体内を伝達する際に、その設計やアンテナ内の可変誘電性材料に印加されるDC電位に応じて変化しうる為である。
【0028】
上述したように、図8の例では、遅延ラインと放射パッチとの間のRF信号路は抵抗性の、すなわち物理的な導電性の接点を介するものである。一方、図8Aは、遅延ラインと放射パッチとの間のRF信号路が容量性である、すなわちこれらの間に物理的な導電性の接点が存在しない変形例を示している。図8A及びそのコールアウトに示すように、結合パッチ810′は放射パッチ810に対し入れ子(nest)に形成されている。接点825は遅延ライン815と結合パッチ810′との間の物理的な導電性接点を形成している。放射パッチ810と結合パッチ810′との間のRF信号の結合は、短い誘電性スペースSを跨ぐ容量性となっている。このスペースSは単に空気とするか又は他の誘電性材料で充填するようにしうる。図8Aでは、遅延ライン815のみが放射パッチ810に容量的に結合されているように示しているが、このことは説明のためのみに行ったものであり、遅延ライン815及び817の双方を放射パッチ810に容量的に結合するようにしうることを認識すべきである。
【0029】
図4は、DC電位を可変誘電率材料444に印加するための構成配置を除いて図3Bの構成に類似する構成を有する他の実施例を示す。この図4では、2つの電極443及び447を、層444を跨ぐようにするのではなく、互いに並べて設けている。これらの電極443及び447は底部バインダ446の上面上に形成しうる。その他では、図4に示すアンテナの構成及び動作は図3Bに示すのと類似している。
【0030】
図5は、帯域幅を増大させるように設計した他の例を示す。この図5のアンテナの一般的な構造は、スペーサ514の形態で他の誘電体層を放射パッチ510の上側に設けることを除いて、本明細書で開示した任意の実施例に応じたものとしうる。スペーサ514の上部には共振パッチ512が形成されている。この共振パッチ512は、このパッチが長方形である場合には、より大きくする、すなわちより大きな幅及びより大きな長さを有するようにするか、又はこのパッチが正方形である場合には、より大きな側辺を有するようにすることを除いて、放射パッチ510と同じ形状を有するようにする。RF信号はスペーサ510を容量的に跨ぐように放射パッチ510と共振パッチ512との間に結合される。この構成配置によれば、単に放射パッチ510を用いるよりも帯域幅が大きくなる。
【0031】
図6A及び6Bは、図2に示すのに類似して2つの遅延ラインを各パッチに接続した実施例を示す。このような実施例では、それぞれの遅延ラインが互いに異なる偏光で伝送することができる。底面誘電体652は2つの給電パッチ660及び662を互いに分離させ、各給電パッチが信号を遅延ライン615及び617の一方にそれぞれ結合させるようにする。これらの2つの給電パッチ660及び662は互いに直交するように配向されている。信号の結合は、前述した例で示しているように導電性接地層655中の窓653を通って容量的に行われる。図6Bでは、一方のみの窓653を示している。その理由は、他方の窓はこの断面図に示されない他の平面内に設けられている為である。しかし、2つの窓の構成配置は図8に見ることができる。
【0032】
図6Cは、互いに直交する2つの給電ラインの他の例を示す。この特定の例では、一方の給電ラインを送信用に用い、他方の給電ラインを受信用に用いる。この実施例は放射パッチ610及び共振パッチ612と関連させて示しているが、このようにすることは必ずしも必要ではなく、図6Bに対する説明と一致させるためのみで用いているものである。図6Cの特定例では、給電パッチ660を背面誘電体650の底面上に設けるとともに、コネクタ665を介して送信ラインに結合してある。コネクタ665を介する送信ラインからの信号は給電パッチ660から導電性接地層655中の窓653を容量的に通って放射パッチ610に結合される。窓653′を有する第2の(他の)導電性接地層655′が底面誘電体652の底面上に設けられている。又、第2の導電性接地層655′の下側に第2の(他の)底面誘電体652′が設けられ、この第2の底面誘電体652′の底面上に給電パッチ662が設けられている。本例では、給電パッチ誘電体662を受信用に用いる。一例では、放射パッチ610を正方形として、送信と受信とが同じ周波数で行われるようにしているが、偏光及び位相の双方又は何れか一方を異ならせるようにすることができる。他の例によれば、放射パッチ610を長方形(図6E参照)とする。この場合、送信と受信とを互いに異なる周波数で行うことができ、送信と受信とで偏光及び位相の双方又は何れか一方を同じにしたり異ならせたりすることができる。
【0033】
図6Dは、一方の給電パッチを送信用に用い、他方の給電パッチを受信用に用いる他の例を示す。しかし、この図6Dでは、DC電位を遅延ライン615に供給することによりVDC材料の制御を行う。このことは、例えば、修正したバイアスTの構成配置を用いることにより行うことができる。標準のバイアスT回路は具体的に図6Fに示してある。RF+DCノードが遅延ライン615に対応する。DCノードは可変電位点641の出力に対応する。RFノードは給電パッチ660及び662に対応する。図6Fに示すように、RFノードはキャパシタCを介して回路に結合されている。しかし、本明細書で説明したように、本明細書に開示した実施例におけるRF信号は既に遅延ラインに容量的に結合されるようになっており、キャパシタCは省略しうるようになっている。従って、アンテナのDC側にインダクタIを導入することにより、修正したバイアスT回路が形成される。
【0034】
図6Dに示しているが、他の実施例の何れでも実行しうる他の変形例は、バインダ層を除外した例である。図6Dに示すように、導電性接地層655を有する背面誘電体650とスペーサ605との間にVDC材料が挟まれている。一例では、VDC材料644内に(破線で示す)ガラスビーズを散在させて、導電性接地層655を有する背面誘電体650とスペーサ605との間に適切な距離間隔を保つようにすることができる。バインダ層を用いた場合でも、ガラスビーズを用いうること勿論である。
【0035】
図7は、可変誘電率材料を制御するためのDC電位を遅延ライン自体に印加して、電極が必要としないようにした実施例を示す。RF信号とDC信号とを分離させるためにバイアスTを用いることができる。すなわち、2つの電極、例えば、電極343及び347が省略されている。その代り、可変電位供給素子741の出力端を遅延ライン715に直接接続して、この遅延ライン715と背面導電性接地層755との間にDC電位を確立するようにする。従って、遅延ラインは2つの機能、すなわち、この遅延ラインがDC電位を受け、これによりVDC材料744の誘電率を変更させる機能と、この遅延ラインがRF信号を給電パッチ760及び762に容量的に結合させる機能とを有するようになる。
【0036】
本発明の実施例の上述した開示から理解しうるように、絶縁スペーサ;この絶縁スペーサ上に設けられた少なくとも1つの放射用構成配置であって、各放射用構成配置が前記絶縁スペーサの上面上に設けられた導電性パッチと、前記絶縁スペーサの底面上に設けられた遅延ラインと、導電性材料より成っているとともに前記絶縁スペーサ中の窓を介して前記導電性パッチ及び前記遅延ライン間に電気的なDC接続を達成するようにする接点とを具える当該少なくとも1つの放射用構成配置;可変誘電率(VDC)プレート;背面絶縁体;この背面絶縁体の上面の上側に設けられた背面導電性接地層;及び前記少なくとも1つの放射用構成配置の各々に対するRF結合用構成配置であって、前記背面導電性接地層内に形成された窓と、この窓に対し重なる向きに向けられて前記背面絶縁体の底面の上側に設けられた導電性RF給電パッチとを有する当該RF結合用構成配置;を具える共通素子を有するように種々のアンテナを構成することができる。ある実施例では、VDCプレートの選択領域における誘電率を制御するために電極を設けるとともに、他の実施例では、この目的のために遅延ラインを用いる。ある実施例では、空気からRF信号を結合するのに導電性パッチを用い、他の実施例では、この導電性パッチを用いて、空気からRF信号を結合するのに用いる他のより大きいパッチにRFエネルギーを結合するようにする。パッチの大きさは所望のRF波長に応じて設定する。このRF波長を用いて、窓、遅延ライン及び給電パッチを適切な大きさとすることによりRF結合を最適にするようにすることもできる。
【0037】
VDCプレートはVDC材料の個々のピクセルに分割することができる。このVDCプレートに対してフラットパネルスクリーンのLCDパネルを用いることができる。VDCピクセルは電極又は遅延ラインの面積範囲に応じてグループ化することができる。他の実施例では、電極又は遅延ラインにより制御される領域内にのみVDC材料を設けるようにする。図9は、VDCプレート940がVDC材料の規定領域のみを有する例を示している。遅延ライン915の下側にVDC領域942が示されており、遅延ライン917の下側にVDC領域944が示されている。これらのVDC領域の各々は1つの連続する領域のVDC材料とするか、又は複数のピクセルに分割することができる。製造を容易にするためには、VDCプレートの領域全体にVDC材料のピクセルが含まれるようにしうる。図9Aは、図8Aに示すのと類似するように、遅延ライン915が結合パッチ910′を介して放射パッチ910に容量結合されていることを示しているが、その他では図9A図9に示すのと同じである。
【0038】
本明細書に開示した特徴は、位相及び周波数の双方又は何れか一方の変化を必要としない場合でもアンテナを形成するために達成しうる。図10は、VDCプレートを使用しない実施例を示している。この図10の実施例では、アンテナが絶縁基板1080を有しており、この絶縁基板1080の上面上に導電性パッチ1010が設けられている。絶縁基板1080の底面上には接地面1055が設けられており、この接地面はその中に開口部1053を有している。この開口部は導電性パッチ1010の下側に整列されるように位置決めされている。給電ライン1060はその終端が開口部1053の下側に整列されるように位置決めされ、RF信号が開口部1053を通って導電性パッチ1010に容量的に送信されるようになっている。接地面1055と給電ライン1060との間には背面誘電体が設けられている。RF信号を給電ライン1060に送信したり、給電ライン1060から受信したりするのにコネクタ1065が用いられる。
【0039】
上述した種々の実施例の各々はある特徴及び素子に対して説明した。しかし、一実施例の特徴及び素子は他の実施例の他の特徴及び素子と関連させて用いることができ、混乱を回避するために全ての変更を明瞭に説明していないが、その説明はこのような可能性を対象とするものであることを理解すべきである。
【0040】
本発明では、一般に多層のソフトウェアアンテナを提供する。このアンテナは絶縁プレートの上側に放射パッチを有する。この絶縁プレートの底面上には遅延ラインが設けられ、この遅延ラインの一端は放射パッチにRF結合されている。この電気的な結合は、物理的な導電性接点により、又は相互間に物理的な導電性接続の無い近接型結合により達成しうる。遅延ラインの下側には可変誘電率(VDC)プレートが設けられている。このVDCプレートの底面上には接地面が設けられ、この接地面はその中に開口部を有し、この開口部は放射パッチの下側に整列されるように位置決めされている。この開口部の下側に整列されるように位置決めされた終端を有する給電ラインが接地面の下側に設けられ、RF信号がこの開口部を通って導電性パッチに容量的に送信されるようになっている。給電ラインと接地面との間は電気的な分離が行われている。例えば、給電ラインと接地面との間に背面誘電体プレートを設けることができる。ある実施例では、RF信号を接地面内に設けた他の開口部を通して又は他の(第2の)別の接地面を通して遅延ラインに結合しうる他の(第2の)給電ラインを設ける。
【0041】
帯域幅を増大させるために、放射パッチの上側に共振パッチを設けることができ、この場合、ある実施例では放射パッチと共振パッチとの間に絶縁スペーサを設けることができる。ある実施例では、VDCプレート内に電極を設ける。これらの電極は可変電位源に結合させ、この可変電位源はコントローラに接続しうる。他の実施例では、遅延ラインにDC電位を印加することのよりVDCプレートを制御するようにする。VDCプレートにDC電位を印加することは、給電ラインと、接地プレートと、VDCプレートと、遅延ラインとがバイアスT回路のRF脚部を形成している修正したバイアスTを用いて実行できる。このDC脚部は、中間のインダクタを介して遅延ラインに結合しうる(図6D参照)。
【0042】
本明細書に記載した処理及び技術は何らかの特定の装置に固有的に関連付けるものではなく、構成要素の適切な如何なる組合せによっても実現しうるものであることを理解すべきである。更に、種々の汎用のデバイスを本明細書に記載した教示に応じて用いることができるものである。本発明を特定の例に関して説明したが、これらは限定的なものではなくあらゆる点で例示的なものである。当業者は、多くの異なる組合せが本発明を実行するのに適していることを理解するであろう。
【0043】
更に、当業者にとっては、本明細書に開示した本発明の詳述及び実践を考慮することから本発明の他の実施が明らかとなるであろう。本明細書に開示した実施例の種々の態様及び構成要素の双方又は何れか一方を、単独で又は任意の組合せで用いることができる。本明細書における詳述及び実施例は例示のみとして考慮されるものであることを意図するものであり、本発明の真の範囲及び精神は本発明の特許請求の範囲により表されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A-B】
図6C
図6D-F】
図7
図8
図8A
図9
図9A
図10