(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】マスク用フレーム及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220324BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/02 C
(21)【出願番号】P 2020137003
(22)【出願日】2020-08-14
【審査請求日】2020-08-14
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-27
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520308640
【氏名又は名称】割方 裕壮
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(72)【発明者】
【氏名】割方 裕壮
【合議体】
【審判長】井上 茂夫
【審判官】塩治 雅也
【審判官】西村 泰英
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-72522(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0016471(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/11
A62B18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状部材又は線状部材であり、顔への装着時において、長手方向が上下方向に沿って配置され、左右の頬にそれぞれ接触する2本の縦材と、
前記縦材間に長手方向が水平方向に沿って設けられた板状部材又は線状部材であり、前記縦材と端部で接続され、顔への装着時において顔から離隔した位置となるように配置される複数本の横材と、
板状部材又は線状部材であり、顔への装着時において、長手方向が上下方向に沿って配置され、前記複数本の横材とそれぞれ接続される補強材と、
を備え、
前記2本の縦材と、前記複数本の横材のうち最上段の横材と最下段の横材とで、マスク用フレームの外周縁を構成するマスク用フレームであって、
前記縦材、前記横材及び前記補強材は、マスクのフィルタの外周縁よりも内側に配置可能であり、
前記2本の縦材のみが左右の頬にそれぞれ接触し、
前記複数本の横材のすべてが、それぞれ、顔への装着時において一部分も顔に接触しないように顔から離隔しているマスク用フレーム。
【請求項2】
前記補強材は、
前記複数本の横材とそれぞれ前記横材の中央で接続される第1補強材と、
前記複数本の横材とそれぞれ前記縦材と前記第1補強材の間で接続される複数本の第2補強材と、
を有する請求項1に記載のマスク用フレーム。
【請求項3】
前記第1補強材は、上端部が最上部に設置された前記横材よりも上方に突出して設置され、及び/又は、下端部が最下部に設置された前記横材よりも下方に突出して設置される請求項2に記載のマスク用フレーム。
【請求項4】
前記第2補強材は、下端部が最下部に設置された前記横材よりも下方に突出して設置される請求項2又は3に記載のマスク用フレーム。
【請求項5】
前記複数本の横材のうち最上部に設置された前記横材は、顔への装着時において中央部と端部の間で前方外側方向に湾曲せず、前記マスクを装着者の視界外に設置できるように構成されている請求項1から4のいずれか1項に記載のマスク用フレーム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のマスク用フレームを使用する方法であって、
顔への装着時におけるマスクの顔側の面で、前記マスク用フレームを前記マスクのフィルタの外周縁よりも内側に配置するステップと、
前記マスク用フレームの幅方向両側において、長手方向が上下方向に沿って設置されるテープで粘着して前記マスク用フレームと前記フィルタとを一体化するステップと、
を備えるマスク用フレームの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生マスクに設置されるマスク用フレーム及びその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
衛生マスク(以下「マスク」という。)は、フィルタが厚さの薄い布製又は不織布製であり、それ自体は形状を保持しにくい材料で作製される。顔に装着すると、マスクのフィルタが顔に触れ、呼吸の仕方によってはフィルタが顔や口、特に唇(以下、口と唇に関して「口」と総称する。)、鼻などに密着してしまう。一般的なマスクでは、フィルタの上辺に沿ってワイヤが内蔵されることによって鼻に沿った形状が保持されたり、フィルタがプリーツ状に繰り返し折り曲げられることによって顔の形状に沿った形状に保持されたりしている。また、別の一般的なマスクとして、マスクの幅方向中央で上下方向に折り目が設けられて二つ折りの形状になっているものや自在に折り畳めるものがあり、これらはいずれも広げたときに立体的な形状になるものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3105617号公報
【文献】実用新案登録第3117120号公報
【文献】実用新案登録第3117121号公報
【文献】韓国登録特許第10-1855114号公報
【文献】特許第5373994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マスクのフィルタが口や口の周囲、頬に接触すると、装着者は、息苦しくなったり、喋りづらくなったり、煩わしく感じたりし、口紅や化粧がマスクに付いて化粧崩れに困ったりする。また、運動時や睡眠時の装着が必要な装着者は、呼吸しづらく煩わしいために、長時間の装着には困難を伴う。さらに、長時間のマスクの着用によって、マスクの位置ずれや型崩れが生じる。一方、粒子やウイルス等が鼻や口から侵入又は放出されないように、マスクの周囲は顔に接触している必要がある。
【0005】
例えば、特許文献1から5には、マスクと組み合わせて設けられる保形具又はフレームが、口とフィルタとの間に空間を形成しつつ、口や鼻の周囲に沿って接触するように装着されることが開示されている。しかし、これらの保形具やフレームは、比較的強度の高い合成樹脂材料によって一定の形状が保持されており、保形具やフレームのすべての周囲に渡って顔と接触することを前提としている。ところが、各人の顔の形状は異なるため、一定形状の保形具又はフレームが口や鼻の周囲に沿ってフィットしづらいという問題がある。また、口や鼻の周囲にフレームが接触しているため、口が拘束されて喋りづらい。さらに、これらの保形具やフレームを装着した状態で敢えて喋ろうとすると、マスクが口や顎の運動によって下がってしまい、マスクが鼻や口を覆うことができなくなる。そのため、その下がった細菌付きのマスクの位置を指で修正することになり、その後に、その指で鼻や口、目などの粘膜部分を触れると、感染の確率が高まることが知られている。
【0006】
マスクの内側に上述した保形具やフレームを入れる場合、マスクに膨らみを持たせて、マスクのフィルタが皮膚と触れないようにすることが主目的となるが、従来の保形具やフレームでは、頬の辺りが必要以上に膨らんでいるものが多く、その膨らみによって目の下の視界が阻害され、マスクの存在が煩わしく感じられる。
【0007】
プリーツ状の折り返しが付いた平面的なマスクは装着されると立体構造となるが、その際、耳掛け部から受ける引張り力の方向とフィルタ内部に生じる引張り力の方向の違いによって、フィルタの幅方向の両側の端部にまくれが生じるものが多い。その結果、期待する立体構造と異なる形状にフィルタが変形して、顔とフィルタの端部とが接する面積が狭くなり、顔との間の密閉性を損なう。
【0008】
マスクの上辺は鼻と接しており、マスクのフィルタに生じる凹凸が特に大きくなる部分である。そのため、マスクとの隙間が生じ易く、その隙間から呼気が上方に抜けて、眼鏡の曇りを助長させる原因となっている。
【0009】
マスクと顔との隙間が大きくなると密閉性が保てなくなり、飛沫が漏れて他人に細菌等に感染させてしまうだけでなく、呼気に含まれる水分も放出されるため、マスクの装着によって得られるはずの保湿効果が期待できない。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、マスクが口や鼻の周囲で接触しないようにしつつ、喋る際にフレームによって口が拘束されにくくすることが可能であり、各人の顔の形状に関わらず顔にフィットさせることができるマスク用フレーム及びその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るマスク用フレームは、板状部材又は線状部材であり、顔への装着時において、長手方向が上下方向に沿って配置され、左右の頬にそれぞれ接触する2本の縦材と、前記縦材間に長手方向が水平方向に沿って設けられた板状部材又は線状部材であり、前記縦材と端部で接続され、顔への装着時において顔から離隔した位置となるように配置される複数本の横材と、板状部材又は線状部材であり、顔への装着時において、長手方向が上下方向に沿って配置され、前記複数本の横材とそれぞれ接続される補強材とを備え、前記2本の縦材と、前記複数本の横材のうち最上段の横材と最下段の横材とで、マスク用フレームの外周縁を構成するマスク用フレームであって、前記縦材、前記横材及び前記補強材は、マスクのフィルタの外周縁よりも内側に配置可能であり、前記2本の縦材のみが左右の頬にそれぞれ接触し、前記複数本の横材のすべてが、それぞれ、顔への装着時において一部分も顔に接触しないように顔から離隔している。
【0012】
この構成によれば、板状部材又は線状部材である2本の縦材が、縦材の長手方向が上下方向に沿って配置され、2本の縦材は顔への装着時において左右の頬にそれぞれ接触する。板状部材又は線状部材である複数本の横材が、縦材間に長手方向が水平方向に沿って設けられ、縦材と端部で接続される。横材は、顔への装着時において顔から離隔した位置となるように配置されている。
【0013】
補強材は、補強材の長手方向が上下方向に沿って配置され、複数本の横材とそれぞれ接続される。複数本の横材は、補強材とそれぞれ接続されることから、横材間の位置が所定間隔で保持される。補強材によって部材間の間隔が狭くなることからフィルタが呼吸によって顔側に吸い寄せられにくくなり、顔との密着を防止できる。
【0014】
人の顔は、頬骨間の寸法はあまり変わらないが、鼻から顎に掛けての上下の寸法は個人差が大きい。この観点から、マスク用フレームは、2本の縦材のみが頬に接触する構造となっており、複数本の横材や補強材は顔に接触していない。この構造によって、各人の顔形状によらずにマスク用フレームを顔にフィットさせることができる。また、頬骨間の寸法は、口を動かした場合でも変わらない。そのため、会話等によって口を動かしたとき、マスクの下側は顎の動きに伴って上下するが、マスク用フレーム及びマスクの上側は位置ずれが生じず、マスクの位置を安定させることができる。
【0015】
本発明に係るマスク用フレームにおいて、前記補強材は、前記複数本の横材とそれぞれ前記横材の中央で接続される第1補強材と、前記複数本の横材とそれぞれ前記縦材と前記第1補強材の間で接続される複数本の第2補強材とを有してもよい。
【0016】
この構成によれば、第1補強材は、複数本の横材とそれぞれ横材の中央で接続され、第2補強材は、複数本の横材とそれぞれ縦材と第1補強材の間で接続される。複数本の横材は、第1補強材及び第2補強材とそれぞれ接続されることから、横材間の位置が所定間隔で保持される。また、第1補強材及び第2補強材によって部材間の間隔が狭くなることからフィルタが呼吸によって顔側に吸い寄せられにくくなり、顔との密着を防止できる。
【0017】
本発明に係るマスク用フレームにおいて、前記第1補強材は、上端部が最上部に設置された前記横材よりも上方に突出して設置され、及び/又は、下端部が最下部に設置された前記横材よりも下方に突出して設置されてもよい。
【0018】
この構成によれば、最上部に設置された横材よりも上方に突出して設置された第1補強材は、鼻に沿って配置され、鼻の部分においてマスクのフィルタと顔との間の間隔が保持される。最下部に設置された横材よりも下方に突出して設置された第1補強材は、顎に沿って配置され、顎の部分においてマスクのフィルタと顔との間の間隔が保持される。
【0019】
本発明に係るマスク用フレームにおいて、前記第2補強材は、下端部が最下部に設置された前記横材よりも下方に突出して設置されてもよい。
【0020】
この構成によれば、最下部に設置された横材よりも下方に突出して設置された第2補強材は、顎に沿って配置され、顎の部分においてマスクのフィルタと顔との間の間隔が保持される。
本発明に係るマスク用フレームにおいて、前記複数本の横材のうち最上部に設置された前記横材は、顔への装着時において中央部と端部の間で前方外側方向に湾曲せず、前記マスクを装着者の視界外に設置できるように構成されてもよい。
この構成によれば、複数本の横材のうち最上段に設置される横材は、中央部と端部の間で前方外側方向に湾曲せず、例えば、直線状であることから、前方外側方向に湾曲して膨らんでマスクが視界の下部に入りやすくなる場合と異なり、マスクを視界外に設置できる。また、幅方向両側において、横材よりも上方に位置するマスクを顔側に接近させて水平方向に近づくように傾斜させてオーバーハング状態にすることができ、マスクと顔との密着性が向上する。
【0021】
本発明に係るマスク用フレームの使用方法は、上記のマスク用フレームを使用する方法であって、顔への装着時におけるマスクの顔側の面で、前記マスク用フレームを前記マスクのフィルタの外周縁よりも内側に配置するステップと、前記マスク用フレームの幅方向両側において、長手方向が上下方向に沿って設置されるテープで粘着して前記マスク用フレームと前記フィルタとを一体化するステップとを備える。
【0022】
この構成によれば、テープによって簡易にマスク用フレームとフィルタが一体化され、使用時にフィルタがほとんど動かないフィルタの端部で一体化されるため、マスク用フレームが外れにくい。また、テープは、フレームを固定するためだけのものでなく、フレームが直接顔に触れて皮膚を傷つけないようにする緩衝材の役割も果たす。
【0023】
関連発明に係るマスクは、上述したマスク用フレームに用いられるマスクであって、前記マスクの幅方向両側において、前記マスクの水平方向に沿って切り込みを設けている。
【0024】
この構成によれば、マスク用フレームに沿ってマスクを上下方向に伸ばしたとき、切り込みを設けない場合と比べて、マスクの幅方向端部で上下方向の長さが撓むことなく縮みやすくなる。そして、マスクの幅方向端部でフィルタの重なりが少ない又は重なりがない平坦に近い状態で、テープで固定されることから、顔とマスクとの密着性が向上する。
【0025】
関連発明に係るマスクは、上述したマスク用フレームに用いられるマスクであって、顔への装着時におけるマスクの顔側の面において、上辺に沿って下方に突出して設けられ、上辺の幅方向に沿って配置された襞部を有する。
【0026】
この構成によれば、上辺に沿って顔側下方に突出して設けられた襞部の幅方向の長さが短くなり少し反った状態になる。そして、マスク用フレームをマスクと顔の間に入れることで、マスクの上部でマスクの傾斜が水平方向に近くなると、襞部が自重で垂直方向下方に垂れ下がる。その結果、呼吸によって生じる空気の流れで襞部が動きやすくなり、弁の作用が働き、襞部によって、マスクと顔の間に生じる隙間が遮断される。
【0027】
関連発明に係るマスクは、上述したマスク用フレームに用いられるマスクであって、顔への装着時におけるマスクの顔側の面において、水平方向に突出して設けられ、フィルタとの間で前記マスク用フレームを挟み込むことが可能な係止部を有する。
【0028】
この構成によれば、係止部とフィルタの間にマスク用フレームを挟み込むことによって、テープを用いることなくマスク用フレームをマスクに固定できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、マスクを顔から離間させることによって、マスクが口や鼻の周囲で接触しないようにしつつ、頬のみにフレームが接触することで、喋る際にフレームによって口が拘束されにくくすることが可能であり、各人の顔の形状に関わらず顔にフィットさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態に係るマスク用フレームを示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るマスク用フレームを示す上面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るマスク用フレームを示す右側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るマスク用フレームが
関連発明に係るマスクに設置された状態を示す裏面図であり、マスクの顔側の面から見た図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るマスク用フレームが
関連発明に係るマスクと共に顔に装着された状態を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るマスク用フレームが既に立体形状になっているマスクに設置された状態を示す裏面図であり、そのマスクの顔側の面から見た図である。
【
図9】未使用の平面状態にある
関連発明に係るマスクを示す裏面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るマスク用フレームが、
図9に示されたマスクに設置された状態を示す裏面図であり、マスクの顔側の面から見た図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係るマスク用フレームが、
図9に示されたマスクが上下に拡げられ立体状態になった後に設置された状態を示す裏面図であり、マスクの顔側の面から見た図である。
【
図13】マスクを示す裏面図であり、顔側の面を示している。
【
図14】本発明の一実施形態に係るマスク用フレームがマスクと共に顔に装着された状態を示す図である。
【
図16】マスクを示す部分裏面図であり、顔側の面を示している。
【
図18】本発明の一実施形態に係るマスク用フレームが
関連発明に係るマスクに設置された状態を示す図であり、マスクの顔側の面から見た図である。
【
図19】マスクが顔に装着された状態を示す図であり、本発明の一実施形態に係るマスク用フレームが設置されていない場合を示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明の一実施形態に係るマスク用フレーム1について、図面を参照して説明する。
マスク用フレーム1は、手動で変形可能な弾性を有しつつ立体的に保持された形状を有し、布製又は不織布製のフィルタ32を有するマスク30に設置して用いられる。マスク用フレーム1は、
図4及び
図5に示すように、顔への装着時におけるマスク30の顔側の面で、マスク30のフィルタ32の外周縁よりも内側に配置される。マスク用フレーム1は、マスク30を顔から離間させることによって、マスク30が口や鼻の周囲で接触しないようにする。また、マスク用フレーム1は、頬のみにフレームが接触することにより、喋る際にフレームによって口が拘束されにくくすることが可能であり、各人の顔の形状に関わらず顔にフィットさせることができる。さらに、マスク用フレーム1は、喋る際に口や顎が動いても口や顎に当たらない。
【0032】
マスク用フレーム1は、例えば軟質塩化ビニル、シリコーン樹脂などの合成樹脂製である。マスク用フレーム1の材質は、人の皮膚を傷付けない安全性の高いもので、所定の形状を保持できるものであれば、上述した例に限定されない。
【0033】
マスク用フレーム1の各部材が軟質塩化ビニル製の板状部材又は線状部材であれば、形状の微調整が容易であり、各部材を手で曲げて変形状態を維持させることができる。各部材の板状部材の板厚は、例えば0.5mm以上1.0mm以下である。また、各部材の板状部材の幅は、1.0mm以上3.0mm以下である。一つの実施例のサイズとしては、縦材2及び横材3の幅が2.5mm、厚さが0.8mmであり、第1補強材4aの幅が2.0mm、厚さが0.8mmであり、第2補強材4bの幅が1.5mm、厚さが0.8mmである。なお、本発明の寸法は、この例に限定されない。
【0034】
本実施形態に係るマスク用フレーム1を適用できるマスク30は限定されない。マスク用フレーム1は、例えば、
図9に示すように、フィルタ32が顔への装着前に長方形形状であり、フィルタ32がプリーツ状に折り曲げられているマスク30に適用可能である。マスク30は、フィルタ32と、耳掛け部33と、ワイヤ34と、襞部40などを有する。マスク30には、フィルタ32の上部に沿ってワイヤ34が内蔵されている。また、襞部40は、装着時に顔側に面する裏面側に下方に突出して設けられている。襞部40は、フィルタ32の上部に沿って配置された複数の分割襞部41を有する。さらに、マスク30は幅方向両側において切り込み36又は切り込み38が設けられる。なお、
図9などでは、
関連発明に係るマスク30を示したが、本実施形態に係るマスク用フレーム1は、複数に分割されていない長尺状の襞部である市販のマスクや、襞部のない市販のマスクにも適用可能である。
【0035】
他にも、
図8に示すように、マスク用フレーム1は、マスク50の幅方向中央で上下方向に折り目が設けられて二つ折り可能な形状であり、広げたときに立体的な形状を保持するマスク50にも適用可能である。マスク50は、フィルタ52と、耳掛け部53などを有する。
【0036】
図1に示すように、マスク用フレーム1は、正面視形状が例えば四角形であり、
図5に示すように、幅方向両側の短辺を構成する縦材2のみが顔の頬に接触し、他の部材は顔に接触しない。したがって、口や鼻の周囲に沿って接触するように装着される従来のフレームと異なり、顔と接触する部分が限定されている。その結果、各人の顔形状によらずに、マスク用フレーム1が顔にフィットしやすい。また、幅方向に対して平行な長辺、すなわち、上辺と下辺を構成する横材3が顔に接触しないため、喋るときなど口の周囲が上下動する際にフレームによって口の動きが妨げられにくい。
【0037】
図1から
図3に示すように、マスク用フレーム1は、2本の縦材2と、3本の横材3と、5本の補強材4を有し、これらの各部材が互いに接続されてマスク用フレーム1が構成される。各部材は、接着剤、例えば硬化後に粘性を有する材料が好ましい。硬化後にも粘性を有することによって、接続部分が部材間の変形を許容し、部材の折れや割れを防止できる。
【0038】
なお、マスク用フレーム1は、複数の部材が接着剤等を用いて組み合わせられたものに限定されず、成形型などを用いて各部材が一体的に形成されたものでもよい。この場合、
図1から
図3に示すように、縦材2と横材3の交差部分、又は、横材3と補強材4の交差部分で厚みがあるように、すなわち、段差があるように各部材が交差してもよいし、縦材2と横材3、又は横材3と補強材4が同一面内で交差して、段差がないように各部材が交差してもよい。
【0039】
マスク用フレーム1は、後述するとおり、マスク30に対してテープ5,6によって固定される。テープ5,6は、伸縮性を有し、かつ、肌に触れるため肌を傷付けにくくべたつかない不織布のようなもので表面が覆われている材料であることが望ましい。
【0040】
縦材2は、板状部材又は線状部材であり、顔への装着時において、長手方向が上下方向に沿って配置され、2本の縦材2が左右の頬にそれぞれ接触する。
【0041】
横材3は、板状部材又は線状部材であり、3本の横材3が、2本の縦材2間に長手方向が水平方向に沿って設けられ、縦材2と端部で接続される。横材3は、湾曲形状を有しており、顔への装着時において顔から離隔した位置となっている。
【0042】
横材3の形状は、それぞれ異なることが好ましい。
図2に示すように、横材3のうち最上段に設置される横材3aは、中央部と端部の間で前方外側方向に湾曲せず、直線状であることが望ましい。前方外側方向に湾曲して膨らんでいると、マスク30が視界の下部に入りやすくなるが、直線状であることによって、マスク30を視界外に設置できる。また、幅方向両側において、横材3aよりも上方に位置するマスク30を顔側に接近させて水平方向に近づくように傾斜させてオーバーハング状態にすることができ、マスク30と顔との密着性が向上する。
【0043】
横材3のうち中段に設置される横材3bと、最下段に設置される横材3cは、一端部から他端部にかけて緩やかに湾曲している。口や顎に当たらないように、横材3b,3cの湾曲形状が調整される。最下段の横材3cは、顎に当たらない形状とされているため、喋る際に顎が動いても顎がマスク用フレーム1に当たることがない。
【0044】
補強材4は、板状部材又は線状部材であり、補強材4の長手方向が上下方向に沿って配置され、補強材4は3本の横材3とそれぞれ接続される。補強材4は、例えば5本設置される。3本の横材3は、補強材4とそれぞれ接続されることから、横材3間の位置が所定間隔で保持される。補強材4によって部材間の間隔が狭くなることからマスク30のフィルタ32が呼吸によって顔側に吸い寄せられにくくなり、顔との密着を防止できる。
【0045】
補強材4のうち第1補強材4aは、3本の横材3とそれぞれ横材3の中央で接続される。補強材4のうち第2補強材4bは、3本の横材3とそれぞれ縦材2と第1補強材4aの間で接続される。第2補強材4bは、例えば、縦材2と第1補強材4aの間で左右それぞれ2本ずつ設置される。左右それぞれに設置される2本の第2補強材4bは、縦材2と第1補強材4aの間で等間隔に設置されてもよいが、1本は縦材2側に、残りの1本は第1補強材4a側に設置されてもよい。
【0046】
第1補強材4aは、最上部に設置された横材3aよりも上方に突出して設置されてもよい。横材3aよりも上方に突出して設置された第1補強材4aは、鼻に沿って配置され、鼻の部分においてマスク30のフィルタ32と顔との間の間隔が保持される。上方に突出した第1補強材4aは、突出部分で鼻と当たってもよく、鼻の形状に応じた曲線を有する。
【0047】
また、
図6に示すように、第1補強材4aの上端部4a-1は、鼻に当たっても痛くないように、顔とは反対側に反らせることが望ましい。第1補強材4aの先端がマスク30側に反ることによって、第1補強材4aがマスク30に引っ掛かりやすくなり、マスク30のずれ下がりを防止できる。但し、フィルタ32を傷つけない程度に反らせる必要がある。第1補強材4aの突出長さは、鼻の形状や位置などに応じて、装着者によって適宜調整され、装着した際に違和感が生じないようにすることができる。第1補強材4aは、ハサミなどで容易に切断できる程度の強度である。
【0048】
補強材4は、最下部に設置された横材3cよりも下方に突出して設置されてもよい。横材3cよりも下方に突出して設置された補強材4は、顎に沿って配置され、顎の部分においてマスク30のフィルタ32と顔との間の間隔が保持される。下方に突出した補強材4は、突出部分で顔と当たらないように顔から離隔した位置となっている。補強材4の突出長さは、顔に接触しないように顎の形状などに応じて、装着者によって適宜調整される。補強材4は、ハサミなどで容易に切断できる程度の強度である。
【0049】
図7に示すように、第1補強材4aの下端部4a-2は、顔に当たらない程度にマスク30とは反対側に反らせることが望ましい。マスク30は、人が喋ったりする動作によって上下動する。第1補強材4aの下端部4a-2がマスク30に当たらないようにすることで、マスク30の上下動によってフィルタ32が傷つくことを防止し、さらに滑らかな上下動を実現する。第2補強材4bの下端部についても同様である。
【0050】
なお、上述した例では、第1補強材4aが横材3aよりも上方に、第1補強材4a及び第2補強材4bが横材3cよりも下方に突出している場合について図示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。第1補強材4aと第2補強材4bの端部が横材3a,3cと接続されて、横材3a,3cから突出しないようにしてもよい。
【0051】
第2補強材4bは、最上部に設置された横材3aよりも上方に突出しないことが望ましい。第2補強材4bが横材3aよりも上方に突出すると、マスク30が前方外側に膨らみ過ぎて、マスク30が視界の下部に入りやすくなる。マスク用フレーム1の両側上部を横材3aとすることによって、マスク30が顔側にフィットされやすくなり、視界に入らないようにすることができ、かつ、顔とマスク30との密着性が向上する。
【0052】
なお、本発明において、横材3や補強材4の本数は、上述した例に限定されず、他の本数でもよい。また、マスク用フレーム1のサイズは、装着者やマスク30のサイズに応じて、様々に設定され得る。
【0053】
次に、マスク用フレーム1の使用方法について説明する。
マスク用フレーム1は、布製又は不織布製のフィルタ32を有するマスク30に設置して用いられる。マスク用フレーム1をマスク30に設置する前に、鏡を用いて、マスク用フレーム1を顔に合わせて、上方や下方に突出した第1補強材4aや、下方に突出した第2補強材4bの長さを調整したり、形状を調整したりする。
【0054】
関連発明に係るマスク30は、
図9と
図16に示すように、襞部40について、鼻と隙間が発生する可能性がある範囲に対して、分割襞部41が設けられている。分割襞部41は、長尺状の襞部40に対して2mmから3mm程度の間隔で切り込み42を設けて形成されたものである。
【0055】
なお、襞部40を有する市販のマスクを用いて
関連発明に係るマスク30を作成する場合、市販のマスクにおいて襞部40は分割されておらず長尺状になっている。そこで、
図9と
図16に示すように、長尺状の襞部40に対して切り込み42を設けて分割襞部41を形成する。切り込み42が設けられる前、襞部40は、最初、
図17(a)に示すように、フィルタ32と襞部40との基部は固く、襞部40がフィルタ32に密着した状態となっている。この密着状態を解消するために、切り込み42を入れ、手などで分割襞部41を上下に動かして可動しやすくさせた後に、
図17(b)に示すとおり分割襞部41を少し反らせておく。
【0056】
また、
関連発明に係るマスク30は、
図9に示すように、フィルタ32の幅方向両側において、切り込み36又は切り込み38が設けられている。切り込み36は、フィルタ32の生地が薄い場合にフィルタ32の端部が一直線状に切断されたものであり、切り込み38は、フィルタ32の生地が厚い場合にフィルタ32の端部がくさび形状に切断されたものである。
【0057】
なお、市販のマスクを用いて
関連発明に係るマスク30を作成する場合、市販のマスクにおいて切り込み36又は切り込み38は設けられていない。そこで、
図9に示すように、マスクの幅方向両側において、マスクの水平方向に沿って切り込み36又は切り込み38を設ける。フィルタの生地が薄い場合は一直線状に切り込み36を設け、生地が比較的厚い場合は、くさび形状(三角形の2辺)に切り込み38を設けて、三角形に生地を切り取る。便宜上、
図9に示したマスク30において、左側の端部では一直線状に切り込み36を設けた例を示し、右側の端部ではくさび形状に切り込み38を設けた例を示している(
図4,
図11から
図13でも同様である。)。
図10に示すように、フィルタ32がばらけないように、フィルタ32が重ね合わされていない部分に切り込み36,38を設けることが望ましい。
【0058】
次に、フィルタ32の上辺に沿ってワイヤ34が内蔵されたマスク30では、ワイヤ34の中央部分に指を当ててワイヤ34が鋭角に曲がらないように湾曲させながらマスク30を二つ折りにする。そして、
図11に示すように、ワイヤ34の湾曲形状を残したまま再度マスク30を広げて、マスク30の顔側の面が上面となるように、マスク30をテーブルなどの平坦面に配置する。
【0059】
そして、
図11に示すように、マスク用フレーム1の上下方向中央をマスク30の上下方向中央に揃え、かつ、マスク用フレーム1の幅方向中央をマスク30の幅方向中央に揃えて、マスク用フレーム1とマスク30を重ね合わせる。このとき、マスク用フレーム1の縦材2の上下方向中央において、マスク用フレーム1の顔に位置する面側からマスク用フレーム1とマスク30に対してテープ5を粘着させて、マスク用フレーム1をマスク30に仮固定する。これにより、マスク30に対するマスク用フレーム1の上下方向の位置が決定される。また、マスク30上辺のワイヤ34の湾曲形状を、第1補強材4aの上方への突出部に馴染ませることが望ましい。
【0060】
未完成であるが、この状態で耳掛け部33を耳に掛けて、マスク30を顔に装着し、
図12に示すように、マスク30の幅方向中央部分を上下方向に広げて延ばす。これにより、マスク用フレーム1は、マスク30のフィルタ32の外周縁よりも内側に配置される。また、先に切り込み36,38を入れたマスク30の幅方向両側において、上下方向の長さが縮む。すなわち、生地が薄く一直線状に切り込み36を設けた場合、端部では切り込み36の上下に位置するフィルタ32が重なり合うことによって、上下方向の長さが短くなる。また、生地が厚くくさび形状に切り込み38を設けた場合、端部では切り込み38の上下に位置するフィルタ32が互いに近接することによって、上下方向の長さが短くなる。これにより、マスク30を耳に掛けたとき、マスク30の幅方向端部が撓んで前方に反るのではなく、顔の方向へ反りやすくなる。その結果、顔とマスク30との密着性が向上する。
【0061】
マスク30の幅方向中央部分を上下方向に広げて延ばした後、マスク30上辺のワイヤ34を湾曲させて、鼻に沿ってフィットさせる。そして、マスク30を顔から外して、
図12に示すように、マスク30が顔に馴染んだ形状のまま、すなわち、マスク30の幅方向中央が上下に広がって、マスク30の幅方向両端部が短くなった状態とする。縦材2の長手方向に沿うように、テープ6を貼着してマスク用フレーム1とフィルタ32とを一体化させる。テープ6によって、マスク30の両端部に設けられた切り込み36,38も固定されるため、テープ6によって固定されたときの角度以上に上下にマスク30が広がることはない。
【0062】
このとき、マスク用フレーム1の角が直接顔に当たらないように、マスク用フレーム1の上下方向の長さよりも長くしてマスク用フレーム1を覆うようにテープ6を貼ることが望ましい。また、位置ずれが生じないように、縦材2の長さ方向中央に先に貼ったテープ5は剥がさずに、そのテープ5の上にさらにテープ6を貼るほうがよい。
【0063】
なお、上述した説明では、マスク用フレーム1の縦材2の上下方向中央において、テープ5を用いて、マスク用フレーム1とマスク30を仮固定して、顔に合わせながらマスク30を広げる例について説明したが、本実施形態に係るマスク用フレーム1の使用方法は、この例に限定されない。例えば、マスク用フレーム1の装着に慣れてきた場合は、仮固定や顔への馴染ませを省略し、
図9に示した状態から
図13に示すようにマスク30の幅方向中央部分を上下方向に一気に広げてテープ6で固定してもよい。この場合、テープ6で固定された状態は、
図4に示したマスク30においてテープ5のないものである。
【0064】
次に、呼気の遮断対策について説明する。
上述したとおり、第1補強材4aの両側の上辺に位置する横材3aよりも上のフィルタ32は、顔側に接近されて水平方向に近づくように傾斜して、顔とフィルタ32の間の隙間が低減される。以下では、さらにマスク30と顔の間に生じる隙間を減らすことによって、呼吸によって生じる外側への呼気の流れを遮断する方法について説明する。これにより、くしゃみなどで外へ飛沫を含んだ呼気を漏らさないという効果のほか、特に眼鏡の曇り防止に効果を発揮する。
【0065】
顔への装着時におけるマスク30の顔側の面には、
図14から
図18に示すように、上辺に沿って下方に突出して設けられた襞部40が設けられている場合がある。この場合、この襞部40に対して、
図9や
図16に示すように、襞部40を2~3mm間隔で上下方向に切り込み42を設ける。これにより、マスク30の上辺の幅方向に沿って片持ち梁で幅が細くなり、
図15に示すように可動し易くなった分割襞部41が多数形成される。これにより、
図15に示すようにフィルタ32に対してオーバーハングして基部で固定されている分割襞部41は自重で垂直方向下方に垂れ下がる。ただし、切り込み42が設けられる前、襞部40は、最初、
図17(a)に示すように、フィルタ32と襞部40との基部は固く、襞部40がフィルタ32に密着した状態となっている。そのため、切り込み42が設けられた後、手などで上下に分割襞部41を動かして上下に可動しやすくさせた後に、
図17(b)に示すように分割襞部41を少し反らせておく。これにより、分割襞部41が呼気によって顔側へ動きやすくなり密着性が向上する。
【0066】
図19及び
図20に示すように、マスク用フレーム1がない状態でマスク30を装着している場合、フィルタ32が垂直に近くなるため、分割襞部41のオーバーハングの度合いは少なくなり、フィルタ32と分割襞部41との間に隙間を作ることができず張り付いたままになる。その結果、マスク30の内部で下から上へ向かう呼気は、分割襞部41によって妨げられることなく外部へすり抜けて遮断されることはない。
【0067】
これに対して、
関連発明では、上述したとおり、
図15に示すようにフィルタ32と分割襞部41に大きな隙間が生まれている。また、
図14に示すように、呼気は内側へ戻る流れとなるため、その隙間に入り込み、その圧力で分割襞部41は、基部からめくられ立たされて鼻に押し付けられる。このように分割襞部41があたかも弁のような動きをすることで、呼気の流れを遮断する。
【0068】
関連発明に係るマスク30において、分割襞部41を従来のマスクの襞部よりも長い、例えば5mm以上とすることが望ましい。これにより、分割襞部41の長さが短い場合と異なり、基部からの距離が長くなってモーメントが作用しやすくなり、自重や呼気の圧力を大きく受けて鼻に押し付けられ、呼気の遮断性能が向上する。また、分割襞部41が長い分だけ鼻との隙間を塞ぐことが可能な幅が広くなる。
【0069】
以上、本実施形態によれば、マスク用フレーム1によって、マスク30と、口や鼻、それらの周りとの間に空間が常に保たれる。これにより、マスク30に口や鼻が接触することがないことから、喋るときに煩わしくなく、口紅や化粧がマスク30に付着して化粧崩れすることがない。また、呼吸によってマスク30が口や鼻に貼り付かないことから、マスク30内での空気の通過面積が小さくならず、運動時の深呼吸で息苦しくならず、睡眠時に装着しても息苦しくなく煩わしくない。また、マスク30が皮膚に接触する面積を小さくできることから、マスク30を装着している感覚が薄く、長時間装着しても違和感がないため、睡眠時に装着しても息苦しくなく煩わしくない。加えてマスク30と顔との密閉性も増すため、保湿効果が高まり、鼻や喉に優しい呼吸ができるようになるほか、飛沫も抑えられ、眼鏡の曇りも防ぐことができる。
【0070】
また、本実施形態に係るマスク用フレーム1の各部材とマスク30の位置関係によれば、目の下のマスク30の外側への膨らみが抑えられていることから、マスク30が視界に入らない。また、マスク用フレーム1の顔との接触箇所は、可動幅が少ない頬に限定されていることから、口を開けても顎がマスク用フレーム1と接触せず、マスク用フレーム1がない場合や従来のフレームと比べて喋りやすいく、喋ってもマスク30の位置がずれたり形が崩れることが少ない。
【0071】
本実施形態に係るマスク用フレーム1の縦材2、横材3及び補強材4は、合成樹脂製の板状部材又は線状部材であり、形状をある程度変えられる。したがって、顔の形状や装着者の好みに合わせて形状を容易に微調整でき、目の下のマスク30の外側への膨らみが抑えられたり、口を開けても顎がマスク用フレーム1と接触しにくくなったりする。
【0072】
さらに、マスク用フレーム1は、テープ6を用いてマスク30の幅方向両端と固定されることから、マスク30が上下方向に広がりにくくなり、マスク30が型崩れすることなく形状が維持される。なお、マスク用フレーム1の縦材2において、マスク30側の面で突起が設けられてもよく、さらに釣り針のように先端方向とは反対向きのかえしがあるとよい。これにより、突起をマスク30に係止させることによって、テープを用いることなく、マスク用フレーム1をマスク30に固定させることができる。
【0073】
また、上述した例では、テープ5,6を用いてマスク30にマスク用フレーム1を固定する場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。すなわち、
図18に示すように、装着時におけるマスク30の顔側の面、すなわち、マスク30の裏面側において、水平方向、例えば左方向又は右方向に突出して設けられた係止部48が設けられてもよい。係止部48とフィルタ32の間にマスク用フレーム1を挟み込むことによって、上述したテープ5,6を用いることなく、マスク用フレーム1がマスク30に固定され得る。係止部48は、帯状部材であり、3辺がフィルタ32と固定されて袋状にされてもよいし、1辺のみがフィルタ32と固定されて片持ちの襞状にされてもよい。係止部48の開口側にマスク用フレーム1が挿入されて、マスク用フレーム1がマスク30に固定される。
【0074】
また、
図8に示すようなマスク50では、3次元状の深い窪みが形成されている。マスク用フレーム1をマスク50に接触させて設置したとき、マスク用フレーム1の広がろうとする方向の弾力によって、マスク用フレーム1がマスク50に固定される。したがって、マスク用フレーム1をマスク50に押し付けるだけでマスク用フレーム1が固定されるため、マスク50については、テープで止めないでマスク用フレーム1を使用することもできる。
【符号の説明】
【0075】
1 :マスク用フレーム
2 :縦材
3,3a,3b,3c :横材
4 :補強材
4a :第1補強材
4a-1 :上端部
4a-2 :下端部
4b :第2補強材
5,6 :テープ
30,50 :マスク
32,52 :フィルタ
33,53 :耳掛け部
34 :ワイヤ
36,38,42 :切り込み
40 :襞部
41 :分割襞部
48 :係止部
【要約】
【課題】マスクが口や鼻の周囲で接触しないようにしつつ、喋る際にフレームによって口が拘束されにくくすることが可能であり、各人の顔の形状に関わらず顔にフィットさせることができるマスク用フレーム、その使用方法及びマスクを提供することを目的とする。
【解決手段】マスク用フレーム1は、顔への装着時において、長手方向が上下方向に沿って配置され、左右の頬にそれぞれ接触する2本の縦材2と、縦材2間に長手方向が水平方向に沿って設けられ、縦材2と端部で接続され、顔への装着時において顔から離隔した位置となるように湾曲形状を有する複数本の横材3と、顔への装着時において、長手方向が上下方向に沿って配置され、複数本の横材3とそれぞれ接続される補強材4とを備え、縦材2、横材3及び補強材4は、マスクのフィルタの外周縁よりも内側に配置可能である。
【選択図】
図1