(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】コンベヤ装置の製造方法、コンベヤ装置及びコンベヤシステム
(51)【国際特許分類】
B65G 43/10 20060101AFI20220324BHJP
B65G 47/52 20060101ALI20220324BHJP
B65G 47/68 20060101ALI20220324BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
B65G43/10
B65G47/52 A
B65G47/52 D
B65G47/68 A
B65G1/00 501B
(21)【出願番号】P 2020144561
(22)【出願日】2020-08-28
(62)【分割の表示】P 2016560221の分割
【原出願日】2015-11-16
【審査請求日】2020-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2014233435
(32)【優先日】2014-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592026819
【氏名又は名称】伊東電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】伊東 一夫
(72)【発明者】
【氏名】橘 俊之
(72)【発明者】
【氏名】高永 明
(72)【発明者】
【氏名】鬮橋 義幸
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-131238(JP,A)
【文献】特開昭60-012911(JP,A)
【文献】特開2012-211015(JP,A)
【文献】特開2005-255297(JP,A)
【文献】特開2000-117594(JP,A)
【文献】特開2007-317079(JP,A)
【文献】特開2002-205707(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0004766(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/00-43/10
B65G 1/00-1/133
B65G 47/00-47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のゾーンに分割されていて当該ゾーンを跨いで搬送物を搬送
し、搬送物をスタート位置から目的場所に搬送するコンベヤ装置を製造するコンベヤ装置の製造方法であって、
書き込み可能なメモリーを有する制御装置と、各ゾーンの機械的構造物とが一体化された搬送モジュールを製造する工程と、
コンベヤ装置を設計するCAD装置に書き込まれた情報を前記搬送モジュールのメモリーに書き込む情報書き込み工程とを有し、
CAD装置に書き込まれた情報は、コンベヤ装置の各ゾーンの速度を含み、
制御装置に情報が書き込まれた状態の搬送モジュール施工現場に搬送し、
各ゾーンを前記CAD装置で設計されたレイアウトに従って結合させる現場結合工程を有
し、前記現場結合工程に先立って、組み合わせることをしない状態の複数の前記搬送モジュールに前記情報書き込み工程を行うことを特徴とするコンベヤ装置の製造方法。
【請求項2】
CAD装置から直接又は他の装置を介して搬送モジュールに隣接するゾーンのアドレスを出力して記憶させることを特徴とする請求項1に記載のコンベヤ装置の製造方法。
【請求項3】
CAD装置から直接又は他の装置を介して搬送モジュールに作図したレイアウトで決められたアドレスと、各ゾーンの機能に対応した動作プログラムを対応して出力することが可能であり、各ゾーンの機能に対応した動作プログラムには、搬送物を導入する際の動作を実行させる制御プログラムと、方向変換機構を動作させる制御プログラムと、搬送物を排出させる動作を実行させる制御プログラムが含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンベヤ装置の製造方法。
【請求項4】
前記CAD装置でレイアウトを作成することで、各ゾーンにそれぞれ固有のアドレスが自動設定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコンベヤ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラコンベヤやベルトコンベヤ等のコンベヤ装置の製造方法に関するものである。特に本発明は、搬送路が複数の短いゾーンに分割され、且つ搬送路が複数に分岐されていて、搬送物を搬送する目的場所が複数存在するコンベヤ装置の製造方法に関するものである。さらに本発明は、コンベヤ装置及びコンベヤシステムに関するものである。
また本発明の関連発明は、前記したコンベヤ装置のゾーンを制御するゾーンコントローラに関するものである。また本発明の関連発明は、搬送モジュールに関するものである。また本発明は、コンベヤ装置の設計に供するCAD装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配送場や集荷場、倉庫等には、コンベヤ装置が設置される場合が多い。例えば配送場は、搬送物を配送先ごとに仕分ける必要があるから、配送場に設置されるコンベヤ装置は、搬送路が多数に分岐されている。即ち配送場に設置されているコンベヤ装置は、複数の配送目的場所を有している場合が多い。
配送場に設置されるコンベヤ装置は、主搬送路から複数の子分岐搬送路が分岐され、さらに分岐搬送路が分岐されて、孫分岐搬送路や曾孫分岐搬送路が設けられている。
また配送場に設置されるコンベヤ装置は、主搬送路や子分岐搬送路、孫分岐搬送路を構成する複数の直線搬送路と、搬送方向を変換する搬送方向変換装置を有しており、分岐部に前記した搬送方向変換装置が配置されている。
【0003】
従来技術のコンベヤ装置を使用して搬送物を搬送する場合には、各搬送物に搬送先(目的場所)の情報を書き込んだバーコードやICタグ等の記憶媒体が取り付けられる。そして各分岐部に情報読み出し装置が設けられ、搬送物の行き先を読み出して搬送方向変換装置を動作させ、搬送物を所定の搬送路に送り出す。
【0004】
また一連のコンベヤ装置が多数のゾーンによって構成されたコンベヤ装置が知られている(特許文献2)。
特許文献2に開示されたコンベヤ装置では、各ゾーンにゾーンコントローラが設けられており、各ゾーンのモータはそれぞれのゾーンコントローラによって制御される。
また分岐機能を有するゾーンを含むコンベヤ装置も知られている(特許文献3)。
従来技術においては、分岐機能を有するゾーンは、外部からの信号を受けて分岐動作が行われる。
即ち分岐機能を有するゾーンは、例えば搬送物を直進させたり、搬送物を横方向に排出する機能を持っている。
これらの動作は、複数のモータを所定の順番で動作させることによって実行される。そして従来技術においては、複数のモータが外部からの信号によって順次動作される。
具体的には、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)によって分岐機能を有するゾーンが制御されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-231745号公報
【文献】特開2012-211015号公報
【文献】特開2013-230914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術のコンベヤ装置は、各分岐部に情報読み出し装置を設ける必要がある。そのため従来技術のコンベヤ装置は、部品点数が多い。またコンベヤ装置のレイアウトを変更する場合や、コンベヤ装置を新たに設置する際の工事が煩雑である。さらに従来技術のコンベヤ装置は多数のプログラマブルロジックコントローラ(PLC)が必要であった。
本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、情報読み出し装置やPLCの数を大幅に減らすことができ、施工が簡単なコンベヤ装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するための態様は、複数のゾーンに分割されていて当該ゾーンを跨いで搬送物を搬送し、搬送物をスタート位置から目的場所に搬送するコンベヤ装置を製造するコンベヤ装置の製造方法であって、書き込み可能なメモリーを有する制御装置と、各ゾーンの機械的構造物とが一体化された搬送モジュールを製造する工程と、コンベヤ装置を設計するCAD装置に書き込まれた情報を前記搬送モジュールのメモリーに書き込む情報書き込み工程とを有し、CAD装置に書き込まれた情報は、コンベヤ装置の各ゾーンの速度を含み、制御装置に情報が書き込まれた状態の搬送モジュール施工現場に搬送し、各ゾーンを前記CAD装置で設計されたレイアウトに従って結合させる現場結合工程を有し、前記現場結合工程に先立って、組み合わせることをしない状態の複数の前記搬送モジュールに前記情報書き込み工程を行うことを特徴とするコンベヤ装置の製造方法である。
上記した態様は、CAD装置から直接又は他の装置を介して搬送モジュールに隣接するゾーンのアドレスを出力して記憶させることが好ましい。
上記した態様は、CAD装置から直接又は他の装置を介して搬送モジュールに作図したレイアウトで決められたアドレスと、各ゾーンの機能に対応した動作プログラムを対応して出力することが可能であり、各ゾーンの機能に対応した動作プログラムには、搬送物を導入する際の動作を実行させる制御プログラムと、方向変換機構を動作させる制御プログラムと、搬送物を排出させる動作を実行させる制御プログラムが含まれることが好ましい。
上記した態様は、前記CAD装置でレイアウトを作成することで、各ゾーンにそれぞれ固有のアドレスが自動設定されることが好ましい。
同様の課題を解決する他の態様は、上記したコンベヤ装置の製造方法によって製造されたコンベヤ装置であって、前記複数のゾーンには搬送物を直線的に搬送する直線搬送ゾーンと、搬送物の搬送方向を選択して送り出す搬送方向変換ゾーンとを含み、複数のゾーンに搬送物が指定個数揃うまで待ち、指定個数揃った段階で下流側に搬送物を送り出す個数揃え機能を有することを特徴とするコンベヤ装置である。
同様の課題を解決する他の態様は、上記したコンベヤ装置の製造方法によって製造されたコンベヤ装置であって、前記複数のゾーンには搬送物を直線的に搬送する直線搬送ゾーンと、搬送物の搬送方向を選択して送り出す搬送方向変換ゾーンとを含み、搬送物を搬送してもよい搬送先が複数あり、当該搬送先に対して搬送物の個数を振り分ける比率分岐機能を有することを特徴とするコンベヤ装置である。
同様の課題を解決する他の態様は、上記したコンベヤ装置の製造方法によって製造されたコンベヤ装置と、他の設備を含むコンベヤシステムであって、表示装置を有し、表示装置に、コンベヤ装置の稼働状態、在荷状態、異常状態、搬送物の情報を表示することが可能であることを特徴とするコンベヤシステムである。
また、本発明の関連発明に係る態様は、搬送物をスタート位置から目的場所に搬送するコンベヤ装置であって、複数のゾーンに分割されていて当該ゾーンを跨いで搬送物を搬送するコンベヤ装置において、前記複数のゾーンには搬送物を直線的に搬送する直線搬送ゾーンと、搬送物の搬送方向を選択して送り出す搬送方向変換ゾーンとを含み、さらに少なくとも一台の搬送物特定装置と、搬送物の搬送先に関する搬送先情報をいずれかのゾーンに発信する初期情報発信手段を有し、各ゾーンは、前記搬送先情報を一時的に記憶する搬送先記憶手段と、上流側のゾーンから前記搬送先情報を受けとる情報受入れ手段と、下流側のゾーンに前記搬送先情報を発信する情報発信手段とを有し、搬送物をゾーンを跨いで移動させるのに伴って、前記搬送先情報を上流側のゾーンから下流側のゾーンに受け渡して行くことを特徴とするコンベヤ装置である。
【0008】
本発明の関連発明に係るもう一つの態様は、搬送物をスタート位置から目的場所に搬送するコンベヤ装置であって、少なくとも一個の搬送物を載置可能な長さを有する複数のゾーンに分割されていて当該ゾーンを跨いで搬送物を搬送するコンベヤ装置において、前記複数のゾーンには搬送物を直線的に搬送する直線搬送ゾーンと、搬送物の搬送方向を選択して送り出す搬送方向変換ゾーンとを含み、さらに少なくとも一台の搬送物特定装置と、前記搬送先情報をいずれかのゾーンに発信する初期情報発信手段を有し、各ゾーンは、前記搬送先情報を一時的に記憶する搬送先記憶手段と、上流側のゾーンから前記搬送先情報を受けとる情報受入れ手段と、下流側のゾーンに前記搬送先情報を発信する情報発信手段とを有し、搬送物をゾーンを跨いで移動させるのに伴って、前記搬送先情報を上流側のゾーンから下流側のゾーンに受け渡して行くことを特徴とするコンベヤ装置である。
【0009】
ここで「搬送物を直線的に搬送する直線搬送ゾーン」とは、搬送物の導入部と排出部を一つずつ有するゾーンを言う。直線搬送ゾーンはモータ等を逆転させて導入部と排出部を入れ換えることができる機能を有するものである場合もある。「搬送物を直線的に搬送する直線搬送ゾーン」は、搬送路の平面形状が直線路であるか曲線路であるかは問わない。直線搬送ゾーンは、搬送物の排出方向を左右方向や上下方向に選択する機能を持たないゾーンである。
これに対して搬送方向変換ゾーンは、導入した搬送物を複数の方向に排出することができるものや、複数の方向から搬送物を受け入れることができるものを言う。搬送方向変換ゾーンの排出方向や搬入方向は、直角方向であってもよく、斜め方向であってもよい。
また搬送方向変換ゾーンは、上下方向に搬送方向を変換するものであってもよい。即ち立体的なコンベヤ装置であって上下に搬送路がある場合、導入した搬送物を上段の搬送路に上げたり、下段の搬送路に下げるものであってもよい。
本態様のコンベヤ装置には、搬送物を直線的に搬送する直線搬送ゾーンと、搬送方向を選択して送り出す搬送方向変換ゾーンが含まれ、搬送路が複数に分岐されている。
本態様のコンベヤ装置では、少なくとも一台の搬送物特定装置を有し、搬送物を特定することができる。また本発明のコンベヤ装置では、前記搬送先情報をいずれかのゾーンに発信する初期情報発信手段を有している。そのため初期情報発信手段によって、特定された搬送物の搬送先の情報が、いずれかのゾーンに伝達される。初期情報発信手段によって情報を発信するゾーンは複数であってもよい。
本態様のコンベヤ装置では、各ゾーンに搬送先記憶手段と、情報受入れ手段と、情報発信手段があり、搬送物をゾーンを跨いで移動させるのに伴って、前記搬送先情報を上流側のゾーンから下流側のゾーンに受け渡して行く。そのため搬送物が搬送方向変換ゾーンに至った際に、前記搬送先情報も搬送方向変換ゾーンに伝達されている。搬送方向変換ゾーンは、伝達された搬送先に関する情報に基づいて動作し、搬送物を所望の方向に送りだすことができる。
複数のゾーンを一つの制御装置で制御する場合もある。この場合は、制御装置内で、前記搬送先情報が上流側のゾーンを担当するメモリー等から下流側のゾーンを担当するメモリーに受け渡される。
コンベヤ装置は、その一部にゾーンに区分されていない領域があってもよい。例えばコンベヤ装置の一部に長い直線搬送路があってもよい。
情報の受け渡しは、隣接するゾーンごとに行われることが望ましいが、中間のゾーンを飛ばして情報を受け渡してもよい。
即ち「搬送物をゾーンを跨いで移動させるのに伴って」とは、隣接するゾーンを跨ぐ場合に限定されるものではなく、中間にゾーンがあり、そのゾーンを超えて搬送物がゾーンを跨ぐ場合を含む。
【0010】
本発明の関連発明に係る他の態様は、搬送物をスタート位置から目的場所に搬送するコンベヤ装置であって、複数のゾーンに分割されていて当該ゾーンを跨いで搬送物を搬送する領域を有するコンベヤ装置において、前記複数のゾーンには搬送物を直線的に搬送する直線搬送ゾーンと、搬送物の搬送方向を選択して送り出す搬送方向変換ゾーンとを含み、一又は複数のゾーンを制御するゾーンコントローラを有し、当該ゾーンコントローラは搬送物の搬送先に関する搬送先情報を一時的に記憶する搬送先記憶手段と、上流側のゾーンから前記搬送先情報を受けとる情報受入れ手段と、下流側のゾーンに前記搬送先情報を発信する情報発信手段とを有し、さらに少なくとも一台の搬送物特定装置と、前記搬送先情報をいずれかのゾーンに発信する初期情報発信手段を有し、搬送物を移動させるのに伴って、前記搬送先情報を上流側のゾーンを制御するゾーンコントローラから下流側のゾーンを制御するゾーンコントローラに受け渡して行くことを特徴とするコンベヤ装置である。
【0011】
情報の受け渡しは、隣接するゾーンごとに行われることが望ましいが、中間部に分岐部が無い場合には、中間部のゾーンを飛ばして上流側のゾーンから数ゾーン離れた下流側のゾーンに情報を受け渡してもよい。
またゾーンコントローラが複数のゾーンを制御する場合には、情報の受け渡しは、隣接するゾーンコントローラごとに行われることが望ましいが、中間部に分岐部が無い場合には、中間部のゾーンコントローラを飛ばして上流側のゾーンコントローラゾーンから数ゾーン離れた下流側のゾーンコントローラに情報を受け渡してもよい。
【0012】
上記した関連発明に係る各態様において、直線搬送ゾーンはそれぞれ個別に動力を有していて他のゾーンから独立して駆動・停止をさせることが可能であり、且つ直線搬送ゾーンはその上に搬送物が有るか否かを検知する在荷センサーを有し、直線搬送ゾーンが駆動したか否かと、在荷センサーが搬送物の存在を検知したか否かを契機として搬送先記憶手段に記憶させた前記搬送先情報を消去及び/または書き換えることが望ましい。
【0013】
本態様のコンベヤ装置では、直線搬送ゾーンが駆動したか否かと、在荷センサーが搬送物の存在を検知したか否かを契機として搬送先記憶手段に記憶させた前記搬送先情報を消去及び/または書き換えるので、誤動作が少ない。
【0014】
上記した関連発明に係る各態様において、直線搬送ゾーンはそれぞれ個別に動力を有していて他のゾーンから独立して駆動・停止をさせることが可能であり、且つ直線搬送ゾーンはその上に搬送物が有るか否かを検知する在荷センサーを有し、自己の直線搬送ゾーンが駆動し、且つ在荷センサーが搬送物の存在を検知しない状態から搬送物の存在を検知した状態に変化したことを契機として搬送先記憶手段に記憶させた前記搬送先情報を書き換えることが望ましい。
【0015】
上記した関連発明に係る各態様において、各ゾーンには固有のアドレスが設定されることが望ましい。
【0016】
上記した関連発明に係る各態様において、前記固有のアドレスを自動設定することができることが望ましい。
【0017】
上記した関連発明に係る各態様において、コンベヤ装置のレイアウトを表示する表示装置を有することが望ましい。
【0018】
上記した関連発明に係る各態様において、他の装置で作成した図面情報を取り込んで、前記表示装置に表示するレイアウトを作成可能であることが望ましい。
【0019】
上記した関連発明に係る各態様において、複数のゾーンにはその上に搬送物が有るか否かを検知する在荷センサーが有り、一又は複数のゾーンを制御するゾーンコントローラを有し、当該ゾーンコントローラに前記搬送先記憶手段と、前記情報受入れ手段と、前記情報発信手段が内蔵されており、且つ前記在荷センサーの信号がゾーンコントローラに入力されることが望ましい。
【0020】
上記した関連発明に係る各態様において、少なくとも下記のいずれかの機能を有していることが望ましい。
(1)複数のゾーンに搬送物が指定個数揃うまで待ち、指定個数揃った段階で下流側に搬送物を送り出す個数揃え機能。
(2)搬送物を搬送してもよい搬送先が複数あり、当該搬送先に対して搬送物の個数を振り分ける比率分岐機能。
(3)搬送先が渋滞状態である場合に搬送物を迂回させる渋滞回避機能。
【0021】
上記した関連発明に係る各態様において、搬送先選定手段を有し、搬送先選定手段は搬送物特定装置が特定した搬送物の搬送先を特定し、特定された搬送先に関する情報が初期情報発信手段によっていずれかのゾーンに発信されることが望ましい。
【0022】
上記した関連発明に係る各態様において、搬送先選定手段は搬送ルートを決定するルート決定手段を有し、搬送ルートに関する情報が初期情報発信手段によっていずれかのゾーンに発信されることが望ましい。
【0023】
上記した関連発明に係る各態様において、複数の搬送ルートがある場合、搬送先選定手段は搬送ルートの中から、最短の搬送ルートを検索することが可能であることが望ましい。
【0024】
上記した関連発明に係る各態様において、複数の搬送ルートがある場合、搬送先選定手段は搬送ルートの中から、搬送先に最も短時間で到達できる搬送ルートを検索することが可能であることが望ましい。
【0025】
上記した関連発明に係る各態様において、搬送先に関する情報には次の情報が含まれていることが望ましい。
(1)搬送方向を変更するゾーンに関する情報及び当該ゾーンにおける搬送方向。
【0026】
ゾーンは少なくとも一個の搬送物を載置可能な長さを有するものであることが望ましい。
【0027】
一部または全部の直線搬送ゾーンは、搬送物を正逆双方に搬送可能であることが望ましい、
【0028】
搬送物の全長を測定する全長測定装置を有することが望ましい。
【0029】
関連発明のコンベヤシステムに関する態様は、上記したコンベヤ装置と他の設備を含むコンベヤシステム、又は上記したコンベヤ装置を複数含むコンベヤシステムであって、コンベヤシステムに含まれる個々のコンベヤ装置及び設備を個別に制御する個別制御装置と、コンベヤシステムに含まれる前記個別制御装置を統括制御する統合コントローラを有することを特徴とする。
【0030】
上記した態様において、統合コントローラがコンベヤ装置を個別に制御する個別制御装置を兼ねることが望ましい。
【0031】
関連発明に係るもう一つの態様は、複数のゾーンに分割されていて当該ゾーンを跨いで搬送物を搬送するコンベヤ装置であって、複数のゾーンにモータと、ゾーン上に搬送物があるか否かを検知する在荷センサーを有するコンベヤ装置に使用され、一又は複数のゾーンを制御し、モータに電力を供給する機能を備えたゾーンコントローラにおいて、前記在荷センサーの信号が入力可能であり、搬送物の搬送先に関する搬送先情報を一時的に記憶する搬送先記憶手段と、上流側のゾーンから前記搬送先情報を受けとる情報受入れ手段と、下流側のゾーンに前記搬送先情報を発信する情報発信手段とを備え、
自己が制御するゾーンのモータが駆動し、且つ在荷センサーが搬送物の存在を検知しない状態から搬送物の存在を検知した状態に変化したことを契機として搬送先記憶手段に記憶させた前記搬送先情報を書き換えることを特徴とするゾーンコントローラである。
【0032】
関連発明に係るもう一つの態様は、搬送物を載置して搬送物を搬送する機械的構造物と、前記機械的構造物を制御するコントローラが一体化された搬送モジュールであって、前記機械的構造物は、搬送方向又は搬入方向を切り換える方向変換機構を有していて一又は複数の搬入方向から搬送物を搬入し、一又は複数の搬送方向に搬送物を搬出可能であり、コントローラは、搬送物の導入する際の動作を実行させる制御手段と、方向変換機構を動作させる制御手段と、搬送物を排出させる動作を実行させる制御手段を有していることを特徴とする搬送モジュールである。
【0033】
上記した態様において、コントローラは、他の搬送モジュールのコントローラから搬送物の搬送先に関する搬送先情報を受けとる情報受入れ手段を有し、情報受入れ手段が受け取った情報に基づいて方向変換機構を動作させることが可能であることが望ましい。
【0034】
関連発明に係るもう一つの態様は、上記したコンベヤ装置を設計するCAD装置であって、複数の前記ゾーンによって構成されるコンベヤ装置のレイアウトを作成するレイアウト作成手段と、前記レイアウトを表示するレイアウト表示手段と、少なくとも下記の情報を書き込む情報入力手段と、情報を出力する情報出力手段を有することを特徴とするCAD装置である。
(1)ゾーンの位置に関する情報
(2)ゾーンの動作に関する情報
【0035】
上記した態様において、情報には隣接するゾーンを特定する情報を含むことが望ましい。
【0036】
関連発明に係るもう一つの態様は、書き込み可能なメモリーを有する制御装置と、各ゾーンの機械的構造物とが一体化された搬送モジュールを製造する工程と、上記したCAD装置に書き込まれた情報を前記搬送モジュールのメモリーに書き込む情報書き込み工程とを有し、制御装置に情報が書き込まれた状態の搬送モジュール施工現場に搬送し、各ゾーンを前記CAD装置で設計されたレイアウトに従って結合させる現場結合工程を有することを特徴とする上記した構成のコンベヤ装置を製造するコンベヤ装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0037】
本発明のコンベヤ装置及びコンベヤシステムは、部品点数が少なく、且つ施工が容易である。また、本発明のコンベヤ装置の製造方法によると、コンベヤ装置を設計、施工する際の作業を簡素化することができる。関連発明のゾーンコントローラや搬送モジュールを使用すると、情報読み出し装置の数を大幅に減らすことができ、コンベヤ装置の施工が簡単である。また関連発明のCAD装置の製造方法によると、コンベヤ装置を設計、施工する際の作業を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の第一実施形態のコンベヤ装置のレイアウト及び表示装置の表示画面である。
【
図2】コンベヤ装置の各ゾーンに設置される搬送モジュールの機能を示す記号を説明する説明図である。
【
図3】直線搬送ゾーンを構成するゾーンコンベヤの斜視図である。
【
図4】3台のゾーンコンベヤが接続された直線搬送路の斜視図である。
【
図5】搬送方向変換装置の一例を示す斜視図である。
【
図7】
図5の搬送方向変換装置によって構成された搬送方向変換ゾーン近傍の斜視図である。
【
図8】ゾーンコントローラのブロック図及び隣接するゾーンコントローラの関係を示す回路図である。
【
図9】搬送方向変換装置の他の一例を示す斜視図であり、(a)は搬送物を直進させる際の状態を示し、(b)は搬送物を斜め方向に分岐させる際の状態を示す斜視図である。
【
図10】曲路を構成するゾーンコンベヤの斜視図である。
【
図11】本発明の第二実施形態のコンベヤ装置のレイアウト及び表示装置の表示画面である。
【
図12】本実施形態のコンベヤ装置の制御システムの構成を示す表である。
【
図13】本実施形態のコンベヤ装置の制御システムを図示した構成図である。
【
図14】本実施形態のコンベヤ装置で採用する統合コントローラのブロック図である。
【
図15】
図1に示すコンベヤ装置をレイアウト変更したコンベヤ装置のレイアウトである。
【
図16】(a)は本発明の実施形態のCADの画面であり、(b)(c)は画面の一部を拡大表示したものである。
【
図17】本発明の第三実施形態のコンベヤ装置のレイアウト及び表示装置の表示画面である。
【
図18】上位制御装置の表示装置に表示されるモニター表示の一例を示すモニター画面の正面図であり、本発明の第四実施形態のコンベヤ装置のレイアウトが表示されている。
【
図19】本発明の第五実施形態のコンベヤ装置のレイアウト及び表示装置の表示画面である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
第一実施形態のコンベヤ装置1は、
図1に示す様なレイアウトのコンベヤであり、搬送路が複数に分岐されていて、搬送物を搬送する目的場所が複数存在するコンベヤ装置である。
第一実施形態のコンベヤ装置1は、搬送路の直線部分が複数の短いゾーンに分割されている。即ちコンベヤ装置1では、搬送路の直線部分が複数の直線搬送ゾーンが直列に連結されて構成されている。またコンベヤ装置1は、複数の搬送方向変換ゾーンを含んでおり、枝分かれした搬送路を構成するものである。
コンベヤ装置1は、パレット、コンテナ、トレイといった概ね一定の大きさの搬送物を搬送することを目的としており、各ゾーンの長さは、少なくとも一個の搬送物を載置可能な長さを有している。
【0040】
各ゾーンにはそれぞれ一台ずつ搬送モジュールが配置されている。搬送モジュールは、機械的構造部分とゾーンコントローラ10が一体化されたものである。
直線搬送ゾーンに設置された搬送モジュールは、
図3に示す様なゾーンコンベヤ2である。搬送方向変換ゾーンに設置された搬送モジュールは、
図5に示す様な移載装置20である。
【0041】
ゾーンコンベヤ2は、ローラコンベヤであり、平行に配置された左右の一対のサイドフレーム3,3間に搬送物Wを搬送する複数の搬送ローラ5を搬送方向に所定間隔で軸支したものである。搬送ローラ5は、自由に回転する従動ローラ5bと、駆動用モータ(図示しない)を内蔵するモータ内蔵ローラ5aとからなる。本実施形態では、モータ内蔵ローラ5aは1本だけであり、他はすべて従動ローラ5bである。
【0042】
ゾーンコンベヤ2内で隣接する搬送ローラ5同士は伝動ベルト6で巻回されている。そのため、モータ内蔵ローラ5aの回転駆動力を全ての従動ローラ5bに伝動することができる。本実施形態では、中央部にモータ内蔵ローラ5aを配している。
ゾーンコンベヤ2は、モータ内蔵ローラ5aを正転・逆転することによって、搬入方向と搬送方向を入れ換えることは可能であるが、搬送先を分岐する機能や複数の搬入路から搬送物を導入する機能は持たない。
【0043】
また
図3に示すように、ゾーンコンベヤ2には在荷センサーSが設けられている。在荷センサーSは、サイドフレーム3上に設けられている。また在荷センサーSの位置は、下流端の近傍である。
【0044】
在荷センサ-Sとしては、光電センサを用いることができ、対向するサイドフレーム3に発光ダイオードや赤外線ダイオード等の発光素子(図示せず)が設けられている。これにより、搬送物が搬送されてくると、発光素子からの光が遮られてオン(Hレベル)信号を出力し、被搬送物が存在しない場合にはオフ(Lレベル)信号を出力する。この様に光電センサがオン/オフされ、搬送物が所定位置まで搬送されたことを検知することが可能である。
【0045】
コンベヤ装置1の搬送路の直線部分は、
図4の様に搬送モジュールたるゾーンコンベヤ2を直列に接続して構成されている。各ゾーンコンベヤ2a,2b,2c,・・・の一方のサイドフレーム3には、
図4に示すようにそれぞれモータ内蔵ローラ5a内のモータの駆動制御を行うためのゾーンコントローラ10が備えられている。ゾーンコントローラ10は機械的構造部分たるゾーンコンベヤ2に一体的に取り付けられており、搬送モジュールの一部である。
ゾーンコントローラ10の機能については後記する。
【0046】
次に搬送方向変換ゾーンについて説明する。搬送方向変換ゾーンに設置された搬送モジュールは、
図5,6,7に示す様な移載装置20である。移載装置20は、搬送方向又は搬入方向を切り換える方向変換機構を有している。
移載装置20は、
図6の様に主搬送コンベヤ21と、副搬送コンベヤ22及び昇降装置23によって構成されている。
移載装置20の主搬送コンベヤ21は、複数の細いベルト25が一定の間隔を設けて配されたベルトコンベヤである。主搬送コンベヤ21は、端部に設けられたモータ内蔵ローラ28によって駆動される。
【0047】
移載装置20の副搬送コンベヤ22は、ローラコンベヤである。副搬送コンベヤ22は、複数のローラ26が平行に配され、且つこれらがベルト27によって連動するものである。副搬送コンベヤ22を構成する複数のローラ26の内の一本が、モータ内蔵ローラであり、モータ内蔵ローラを駆動することによって全てのローラ26が回転する。
副搬送コンベヤ22は、
図5の様に主搬送コンベヤ21のベルト25同士の間にローラ26が存在する様に配置されている。
【0048】
昇降装置23は、直動カム29を有し、主搬送コンベヤ21と副搬送コンベヤ22を昇降させるものである。
移載装置20に載置された搬送物を直進させる場合には、昇降装置23によって主搬送コンベヤ21を副搬送コンベヤ22よりも上に突出させ、主搬送コンベヤ21のモータ内蔵ローラ28を駆動し、ベルト25を走行させる。
移載装置20に載置された搬送物を横方向に排出する場合は、主搬送コンベヤ21に搬送物を引き入れた後に、昇降装置23によって副搬送コンベヤ22を上昇させると共に主搬送コンベヤ21を降下し、副搬送コンベヤ22を主搬送コンベヤ21よりも上に突出させ、副搬送コンベヤ22のモータ内蔵ローラを駆動し、各ローラ26を回転させる。
移載装置20にも在荷センサーが設けられている(図示せず)。また移載装置20にもゾーンコントローラ(図示せず)が取り付けられている。
ゾーンコントローラ10は機械的構造部分たる移載装置20に一体的に取り付けられており、搬送モジュールの一部である。
【0049】
第一実施形態のコンベヤ装置1のレイアウトは、
図1の通りであり、複雑に枝分かれした搬送路を有している。第一実施形態のコンベヤ装置1は、後記する第二実施形態、第三実施形態とは異なり、迂回ルート等を持たない。
各ゾーンには、それぞれ固有のアドレスが設定されている。便宜上、
図1の様に1番から88番のアドレスが付されたものとする。本実施形態では、第1ゾーンのアドレスが1であり、第2ゾーンのアドレスは2である。以下、順次アドレスが付されている。
各ゾーンのアドレスは、各ゾーンのゾーンコントローラ10に記憶されている。
各ゾーンに付された矢印は、各ゾーンの搬送モジュールの機能をモデル化したものである。矢印の意味は、
図2の通りである。第一実施形態のコンベヤ装置1では、
図2の直進と分岐だけを使用している。即ち直線の矢印は、直線搬送ゾーンの搬送モジュールたるゾーンコンベヤ2を示している。
矢印が分岐しているものは、搬送方向変換ゾーンの搬送モジュールたる移載装置20を示している。
第一実施形態のコンベヤ装置1では、アドレス、3,5,18,20,22,25,29,35,38,40,46,50,53,61,64,67,71,75,77,82のゾーンが搬送方向変換ゾーンである。搬送方向変換ゾーンの搬送モジュールは移載装置20である。他のゾーンは、直線搬送ゾーンであり、搬送モジュールはゾーンコンベヤ2である。
【0050】
前記した様に、各ゾーンには、ゾーンコントローラ10と在荷センサーSがある。ゾーンコントローラ10は、各ゾーンの搬送モジュールのモータに電力を供給するものであり、各ゾーンの搬送モジュールのモータを駆動、停止するものである。即ちゾーンコントローラ10には、
図8の様にモータを駆動する駆動回路が内蔵されている。具体的には、ゾーンコントローラ10には、モータ内蔵ローラに内蔵されたモータを駆動する駆動回路が内蔵されている。
またゾーンコントローラ10には、搬送先記憶部材(搬送先記憶手段)40と、送受信部41が内蔵されている。
搬送先記憶部材40はメモリーであり、前記搬送先情報を一時的に記憶する搬送先記憶手段として機能する。なおここで「前記搬送先情報」とは、コンベヤ装置1上の搬送先であり、前記したアドレスを含む情報である。また送受信部41は、隣接するゾーンのゾーンコントローラ10との間で信号の授受を行うものであり、上流側のゾーンから前記搬送先情報を受けとる情報受入れ手段としての機能と、下流側のゾーンに前記搬送先情報を発信する情報発信手段としての機能を備えている。
【0051】
ゾーンコントローラ10は、全てのゾーンに設けられており、隣接するゾーンコントローラ10同士の間は、信号線43で相互に接続されている。また、各ゾーンコントローラ10には、それぞれのゾーンの在荷センサーSの信号が入力される。
【0052】
また第一実施形態のコンベヤ装置1では、スタート位置たる第1ゾーンに、搬送物特定装置45が設置されている。搬送物特定装置45は、具体的にはバーコードリーダである。バーコードリーダから読み取られた情報は、上位制御装置(コンベヤコントローラ又は統合コントローラ(ICS))に送られる。本実施形態では、上位制御装置46として統合コントローラ(ICS)が採用されている。
上位制御装置46は、バーコードに記載された情報から、搬送物を特定し、搬送物の搬送先(目的場所)を照会する。そして目的場所のアドレスを第2ゾーンのゾーンコントローラ10に送信(初期情報発信手段)し、第2ゾーンのゾーンコントローラ10の搬送先記憶部材40に入力する。
搬送先記憶部材40に入力された前記搬送先情報は、搬送物の搬送と共に、下流側のゾーンコントローラ10に順送りされる。
【0053】
なお第一実施形態のコンベヤ装置1では採用されていないが、上位制御装置46から他のゾーンの搬送先記憶部材40にも目的場所のアドレスを送信することもできる。即ち複数のゾーンのゾーンコントローラ10に目的場所のアドレスを送信することもできる。具体的には、上流側のゾーンの搬送先記憶部材40に目的場所のアドレスを送信し、さらに下流側のゾーンに対しても搬送先記憶部材40に対しても目的場所のアドレスを送信することができる。
説明を容易にするため、第2ゾーンのゾーンコントローラ10の搬送先記憶部材40に入力する情報を第一初期情報と称し、下流側のゾーンに入力する情報を第二初期情報とと称する。
【0054】
上記した上位制御装置46は、公知のパーソナルコンピュータであり、CPUやメモリを内蔵している(図示せず)。
上位制御装置46は、搬送物選定手段、搬送ルート決定手段、特殊搬送指令手段及び初期情報発信手段として機能する。
本実施形態では、上位制御装置46に、さらに上位の制御装置から前記搬送先情報が入力され、内部のメモリーに記憶されている。例えば、Aという搬送物は、藤田商店向けの搬送物であり、Bという商品は大南ストア向けの搬送物であるといった発送先情報が入力される。そしてこの発送先情報が内部のメモリーに記憶されている。
【0055】
また上位制御装置46には、搬送物特定装置45の信号が入力される。即ちバーコードリーダで読み取られた搬送物を特定する情報が入力される。
【0056】
本実施形態では、上位制御装置46は、搬送先選定手段として機能し、搬送物特定装置45から入力された搬送物特定情報と、メモリーに記憶された発送先情報とを照合し、搬送物のコンベヤ装置1上の搬送先を決める。
また上位制御装置46は、搬送物のコンベヤ装置1上における搬送ルートを決める機能を有している。
即ち図示しないCPUによって、スタート位置たる第1ゾーンから最終搬送先に至るルートを検索する。
例えば後記する第二実施形態のコンベヤ装置60や第三実施形態のコンベヤ装置8の様に複数の搬送ルートがある場合には、原則として最短のルートを検索する。なお第一実施形態のコンベヤ装置1では、一系統の搬送ルートしか持たないので、この機能は使用していない。
第二実施形態のコンベヤ装置60や第三実施形態のコンベヤ装置8の様に複数の搬送ルートがある場合、搬送先に最も短時間で到達できる搬送ルートを検索することが可能である。例えばスタート位置たる第1ゾーンから最終搬送先に至るルートが複数あるが、その内の最短ルートは通過する搬送物が多いという様な場合には、迂回ルートを検索する。
【0057】
そして最適の搬送ルートが決定され、第2ゾーンのゾーンコントローラ10に送信する。即ち本実施形態では、上位制御装置46が初期情報発信手段として機能する。
第2ゾーンのゾーンコントローラ10に送信する初期情報は、第一初期情報であり、搬送物が行き着くべき先である。第一初期情報は、搬送物が最終的に行き着くべき先であることが原則であるが、搬送物によっては中間的な通過位置が第一初期情報となる場合もある。
例えば後記する「個数揃え運転」等を行う場合には、第一初期情報として最終的目的地に至る途中のゾーンが指定される。
【0058】
上位制御装置46は、前記した様に下流側のゾーンのゾーンコントローラ10に第二初期情報を発信する機能を備えている。第二初期情報は、当該ゾーンに行き着いた特定の搬送物がさらに進むべき方向を示す情報を含んでいる。
即ち、特定の搬送物が第一初期情報に基づいて特定のゾーンに到達する。また第一初期情報に基づいて搬送物が到達したゾーンのゾーンコントローラ10に対して、上位制御装置46から第二初期情報が入力され、その後は第二初期情報の目的地に向かって搬送物が進む。
【0059】
また本実施形態では、各ゾーンコントローラ10と上位制御装置46とが通信手段で結合されている。当該通信手段によって、各ゾーンコントローラ10からは在荷センサーSの情報と、当該ゾーン上に搬送物の情報が上位制御装置46に入力される。
一方、前記した通信手段によって、上位制御装置46から各ゾーンコントローラ10には個別のゾーンを停止する信号を送信することができる。
本実施形態では、前記した各ゾーンコントローラ10からは上位制御装置46に送信される情報(在荷センサーSの情報と、当該ゾーン上に搬送物の情報)及び上位制御装置46から各ゾーンコントローラ10に送信される個別のゾーンを停止する信号により、「個数揃え運転」「比率分岐運転」「渋滞回避運転」「合流運転」等の特殊搬送を行わしめることができる。
【0060】
ここで「個数揃え運転」とは、複数のゾーンに搬送物が指定個数揃うまで待ち、指定個数が揃った段階で下流側に搬送物を送り出す運転である。
具体的には、通常の動作であればゾーンに搬送物が搬入され、下流側のゾーンに搬送物がなければ、当該搬送物を下流側のゾーンに送り出す。
「個数揃え運転」は、特定のゾーンに特定の搬送物が到着した場合、その上流側に隣接するゾーンに同種の搬送物がいくつかまとまるまで、先頭のゾーンを停止する。そして上流側に隣接するゾーンに所望の数の搬送物がたまると、それらをまとめて下流側に一斉搬送する。
「個数揃え運転」では、第一初期情報として搬送物を待機させるゾーンが指示され、特定の搬送物を待機させるゾーンまで至らせる。
そして待機させるゾーンとその上流側のゾーンに所定の数の搬送物がたまり、ゾーンコントローラ10から上位制御装置46に送信される情報によってその事実が判明すると、上位制御装置46からゾーンの停止を解除する解除信号が送られると共に、第二初期情報として搬送物を最終的に搬送するゾーンがゾーンコントローラ10に指示される。そして搬送物を目的のゾーンに移動させる。
【0061】
また第一初期情報として搬送物に最終的に搬送するゾーンを指示し、待機させるゾーンに対して上位制御装置46から停止信号を送信して搬送物を一旦停止し、所定の数の搬送物がたまると、上位制御装置46からゾーンの停止を解除する解除信号を送信することによっても同様の動作を実現することができる。
【0062】
「比率分岐運転」とは、搬送物を搬送してもよい搬送先が複数あり、当該搬送先に対して搬送物の個数を振り分ける運転である。
例えば同一の目的地(例えば藤田商店)に輸送するのに供するトラックやコンテナが2台あり、いずれのトラック等に搬送物を搬入しても良いような場合がある。
この様な場合には、複数のトラック等に過不足なく搬送物を搬入するべきである。この様な場合に、複数のトラック等に過不足なく搬送物を振り分ける運転が「比率分岐運転」である。
具体的には、特定のゾーンに特定の搬送物が到着した場合、例えば交互に搬送物の最終搬送先を変更する。
「比率分岐運転」では、第一初期情報として分岐点となるゾーンが指示され、特定の搬送物を分岐点となるゾーンまで至らせる。
そして分岐点となるゾーンに搬送物が至ると、第二搬送情報をゾーンコントローラに送り、搬送物を複数のゾーンに交互に移動させる。即ち第二搬送情報として、複数のゾーンを交互に指定し、搬送物を複数のゾーンに交互に移動させる。
【0063】
本実施形態では、前記した様に、交互に搬送物の最終搬送先を変更する「交互方式」の他、優先順位を決めて当該優先順位が上位の搬送先に搬送物が所定数たまったら、下位の優先順位の搬送先に搬送物を送る「優先方式」を選択することができる。
さらに配分比率を設定し、その比率に合わせて搬送先を振り分ける「比例方式」を選択することもできる。
【0064】
上記した「比率分岐運転」は、搬送物が分岐点に至った段階で、最終的な搬送先が第二搬送情報としてゾーンコントローラ10に入力されるが、当初から搬入先を振り分けておいてもよい。
即ち、第一初期情報を発信する段階で、搬送物の最終搬送先を振り分けておいても同様の動作を実現することができる。
【0065】
「渋滞回避運転」とは、搬送先が渋滞状態である場合に搬送物を迂回させる運転である。
本運転では、特定のエリアのゾーンに搬送物がたまり、ゾーンコントローラ10から上位制御装置46に送信される情報によってその事実が判明すると、上位制御装置46から迂回路に繋がるゾーンに搬送方向を臨時に変更する信号が送られ、搬送物を迂回路に回す。
【0066】
また搬送物が一定時間、同じゾーンに滞留した場合に、上位制御装置46から回路に繋がるゾーンに搬送方向を臨時に変更する信号が送られ、搬送物を迂回路に回す場合もある。
【0067】
上記した二つの条件が揃った場合に搬送物を迂回路に回す構成を採用することもできる。
【0068】
「合流運転」とは、搬送路の合流部を制御する運転であり、本実施形態では、「交互合流」と、「ロット合流」の2方式を選択することができる。
「交互合流」は、二つの上流側搬送路が合流して一つの下流側搬送路に収斂する部分の動作として、一方の上流側搬送路と他方の上流側搬送路から交互に下流側に搬送物を搬送する方式である。
一回に搬送する個数は、1個ずつに限らず、複数個ずつであってもよい。また一方の上流側搬送路から2個ずつ、他方から1個ずつという様に、導入個数が違っていてもよい。
【0069】
「ロット合流」は、前記した「個数揃え運転」に類似する方式であり、一方の上流側搬送路に一定個数の搬送物がたまるのを待ち、一定個数が揃うと下流側に搬送物を搬送する方式である。
【0070】
また本実施形態では、上位制御装置46には表示装置33が接続されており、各搬送物が現在どのゾーンに有るかが表示装置33にモニター表示される。
【0071】
以下、第一実施形態のコンベヤ装置1の機能を具体的に説明する。
第一実施形態のコンベヤ装置1は、前記した様に全体が複数の小さなゾーンに分割されており、各ゾーンの搬送モジュールは、それぞれ個別に搬送用のモータを有している。そのため第一実施形態のコンベヤ装置1は、各ゾーンを個別に駆動・停止することができる。本実施形態のコンベヤ装置1では、各ゾーンの搬送モジュールのモータ(搬送用のモータ)は、常時は停止しており、必要な場合だけ駆動する。
必要な場合とは、上流側のゾーンから搬送物を受け入れるべき状態のとき、及び下流側のゾーンに搬送物を排出すべき状態のときである。
前者は、上流側のゾーン(直前)の搬送物が存在し、且つ自己のゾーンに搬送物が存在しない場合である。具体的には、上流側のゾーンの在荷センサーが搬送物の存在を検知しており、且つ自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知していない状態であって、現に自己のゾーンの搬送モジュールが搬送を停止している場合には、自己の搬送モジュールを起動して搬送物を受け入れる。
【0072】
また上流側のゾーンの搬送物が存在し、且つ下流側のゾーンが駆動している場合にも上流側のゾーンから搬送物を受け入れることができる。具体的には、上流側のゾーンの在荷センサーが搬送物の存在を検知しており、且つ下流側のゾーンが駆動している場合にも、自己の搬送モジュールを起動して搬送物を受け入れる。
【0073】
また下流側のゾーンに搬送物を排出すべき状態のときとは、自己のゾーンに搬送物が存在し、且つ下流側のゾーンに搬送物が無い場合である。具体的には、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物の存在を検知しており、且つ下流側のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知していない場合には自己の搬送モジュールを起動して搬送物を下流側に排出する。
また自己のゾーンの搬送物が存在し、且つ下流側のゾーンが駆動している場合にも下流側のゾーンに搬送物を排出することができる。具体的には、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物の存在を検知しており、且つ下流側のゾーンが駆動している場合にも、自己の搬送モジュールを起動して下流側のゾーンに搬送物を排出する。
【0074】
そして本実施形態のコンベヤ装置1では、上流側のゾーンから自己のゾーンに搬送物が搬入された場合に、上流側のゾーンから自己の送受信部41に前記搬送先情報が送信される。そして前記搬送先情報が搬送先記憶部材40に記憶される。
また自己のゾーンから搬送物が排出されると、自己の搬送先記憶部材40に記憶されていた前記搬送先情報が消去される。
搬送物の移動と情報の移動を関連付けて説明すると、上流側のゾーンから自己のゾーンに搬送物が搬入され、ゾーンを跨いで搬送物が移動すると、これに伴って前記搬送先情報も上流側のゾーンから下流側のゾーンに受け渡される。
【0075】
具体的に説明すると、自己のゾーンの搬送モジュールが動作し、自己の在荷センサーSが搬送物を検知していない状態から搬送物を検知することとなった場合に、上流側のゾーンから自己の送受信部41に前記搬送先情報が送信されて搬送先記憶部材40の情報が書換えられ、前記搬送先情報が自己の搬送先記憶部材40に記憶される。
【0076】
また自己の在荷センサーSが搬送物を検知していた状態であって、自己のゾーンの搬送モジュールが動作し、自己の在荷センサーSが搬送物を検知していない状態に変化し、その後一定時間が経過した場合に、自己の搬送先記憶部材40に記憶されていた前記搬送先情報が消去される。
即ち直線搬送ゾーンの搬送モジュールが駆動したか否かと、在荷センサーSが搬送物の存在を検知したか否かを契機として搬送先記憶部材40に記憶させた前記搬送先情報を消去したり書き換えたりを行う。
より具体的には、自己の直線搬送ゾーンの搬送モジュールが駆動し、且つ在荷センサーSが搬送物の存在を検知しない状態から搬送物の存在を検知した状態に変化したことを契機として搬送先記憶部材40に記憶させた前記搬送先情報が書き換えられる。
【0077】
コンベヤ装置1では、搬送物にバーコードを取り付け、スタート位置たる第1ゾーンに搬送物を置く。前記した様に、第1ゾーンには搬送物特定装置45が設置されており、搬送物特定装置45で読み取られた搬送物を特定する情報が、上位制御装置46に送られる。そして上位制御装置46から搬送物の搬送先(目的場所)のアドレスや搬送経路の情報が、第2ゾーンのゾーンコントローラ10に送信され、第2ゾーンのゾーンコントローラ10の搬送先記憶手段に入力される。
【0078】
ここで搬送経路の情報とは、進路を変更するゾーンと変更後の進路を示す情報である。前記した様に本実施形態のコンベヤ装置1は、直線搬送ゾーンと搬送方向変換ゾーンによって構成されている。ここで直線搬送ゾーンは、搬入された搬送物を下流側に送りだす機能だけを有しているので、搬送先の選択には寄与しない。本実施形態では、搬送方向変換ゾーンだけが搬送先の選択に寄与する。
そこで本実施形態では、搬送経路の情報として、搬送方向変換ゾーンのアドレスと、搬送方向変換ゾーンからの排出方向が含まれている。より具体的には、搬送経路の情報には方向変換すべき搬送方向変換ゾーンのアドレスと、搬送方向変換ゾーンからの排出方向が含まれ、搬送方向を変更しない搬送方向変換ゾーンのアドレスは、搬送経路の情報に含まれていない。
【0079】
本実施形態では、上位制御装置46が初期情報発信手段として機能し、前記搬送先情報が、第2ゾーンのゾーンコントローラ10に送信される。
搬送物は、止まることなく、下流側に搬送されて行くが、搬送物の移動と共に、搬送物を受け入れたゾーンの搬送先記憶部材40に記憶された情報が書き換えられ、搬送先に関する情報が順送りされる。
【0080】
そして搬送物が搬送方向変換ゾーン(アドレス3,5,18,20,22,25,29,35,38,40,46,50,53,61,64,67,71,75,77,82のゾーン)に至ると、搬送方向変換ゾーンのゾーンコントローラ10の搬送先記憶部材40の内容が確認され、送り出し方向が決定される。
例えば搬送物がアドレス3のゾーンに至ると、上流側の第2ゾーンから第3ゾーンのゾーンコントローラ10に搬送先(目的場所)のアドレスが送信され、第3ゾーン(搬送方向変換ゾーン)のゾーンコントローラ10の搬送先記憶部材40に記憶された情報が書き換えられる。即ち搬送物が第2ゾーンから第3ゾーン移動し、ゾーンを跨いで搬送物を搬送すると、搬送物がゾーンを跨いで移動するのに伴って、前記搬送先情報が上流側の第2ゾーンから下流側の第3ゾーンに受け渡される。
【0081】
そしてその情報を読み出し、搬送先のアドレスが、4乃至8であるならば、方向変換機構が機能する。具体的には、主搬送コンベヤ21に搬送物を引き入れた後に副搬送コンベヤ22を主搬送コンベヤ21よりも上に突出させ、副搬送コンベヤ22のモータ内蔵ローラを駆動し、搬送物をアドレス4乃至8側(第4ゾーン乃至第8ゾーン側)に排出する。このとき、第3ゾーン(搬送方向変換ゾーン)から第4ゾーンのゾーンコントローラ10に搬送先(目的場所)のアドレスが送信され、第4ゾーン(直線搬送ゾーン)のゾーンコントローラ10の搬送先記憶部材40に記憶された情報が書き換えられる。この様に分岐部においても、搬送物がゾーンを跨いで移動するのに伴って、前記搬送先情報が上流側の第3ゾーンから下流側の第4ゾーンに受け渡される。
【0082】
なお本実施形態では、前記した様に搬送経路の情報として方向変換すべき搬送方向変換ゾーンのアドレスと、搬送方向変換ゾーンからの排出方向が含まれている。仮に搬送先のアドレスが、4乃至8であるならば方向変換すべき搬送方向変換ゾーンのアドレスとしてアドレス3が含まれており、さらに搬出方向として「右」の情報が含まれている。
本実施形態では、アドレス3に該当する第3ゾーン(搬送方向変換ゾーン)のゾーンコントローラ10が、上流側の第2ゾーンから搬送経路の情報を受信し、その中に自己のアドレス(アドレス3)が含まれていれば、その情報に従って動作し、搬送物をアドレス4乃至8側に排出する。
そしてその後、搬送経路の情報から自己のゾーンの指定を消去し、第3ゾーン(搬送方向変換ゾーン)から第4ゾーンのゾーンコントローラ10に自己のゾーンの指定後の情報を送信する。
【0083】
また搬送物と共に第3ゾーンに送信された搬送先(目的場所)のアドレスが9乃至88であったならば、搬送物は、主搬送コンベヤ21上を進み、第9ゾーン(アドレス9)に排出される。また第3ゾーン(搬送方向変換ゾーン)から第9ゾーンのゾーンコントローラ10に搬送先(目的場所)のアドレスが送信され、第9ゾーン(直線搬送ゾーン)のゾーンコントローラ10の搬送先記憶部材40に記憶された情報が書き換えられる。
この場合でも搬送物がゾーンを跨いで移動するのに伴って、前記搬送先情報が上流側の第3ゾーンから下流側の第9ゾーンに受け渡される。
【0084】
前記した様に搬送経路の情報には搬送方向を変更しない搬送方向変換ゾーンのアドレスが含まれていないので、第3ゾーンに送信された搬送先(目的場所)のアドレスが9乃至88である場合は、搬送方向変換ゾーンの方向変換機構は反応しない。
【0085】
他の搬送方向変換ゾーンに搬送物が至った場合も同様であり、搬送先のアドレスを確認し、その方向に搬送物を排出する。また搬送物と共に搬送先のアドレスを送信する。
その結果、搬送物は、スタート位置から目的場所に搬送される。
【0086】
前記した様に本実施形態では、搬送経路の情報として、搬送方向変換ゾーンのアドレスが含まれているので、受信した搬送経路の情報の中に自己のゾーンのアドレスがある場合に方向変換機構が動作し、受信した搬送経路の情報の中に自己のゾーンのアドレスが無い場合に方向変換機構は動作しない。
【0087】
以上説明した実施形態では、搬送方向変換ゾーン(アドレス3,5,18,20,22,25,29,35,38,40,46,50,53,61,64,67,71,75,77,82のゾーン)は、搬送物を直角方向に排出する搬送モジュールを採用したが、
図9の様なバー50を揺動させて搬送物を斜め方向に排出するものであってもよい。また
図10に示すように、曲路を有する搬送モジュール51を採用することもできる。
【0088】
本実施形態のコンベヤ装置1は、複数のコンベヤ装置、自動倉庫、自走式搬送装置等の他の機器と組み合わせて一連のコンベヤシステムとすることが推奨される。
例えば
図11、
図12の様な制御システムを構築し、統合コントローラ(WCS)でコンベヤ装置1を制御するコンベヤコントローラや、表示器等の多くの機器のコントローラを統括する。
さらに
図11、
図12の様に、倉庫の在庫や注文を管理する倉庫管理システムと結合することが推奨される。
図11、
図12に示すコンベヤシステムは、コンベヤ装置1を含むコンベヤシステムであって、コンベヤシステムに含まれる個々のコンベヤ装置及び設備を個別に制御するコンベヤコントローラや表示器コントローラ等の個別制御装置と、コンベヤシステムに含まれる前記個別制御装置を統括制御する統合コントローラを有している。
【0089】
図11に示すコンベヤ装置60は、独立した2系列のコンベヤ装置61,62を有している。
図11に示すコンベヤ装置60は、
図11の様に一つの上位制御装置46(統合コントローラWCS)で制御されている。
【0090】
また統合コントローラに、コンベヤ装置1を制御するコンベヤコントローラを兼ねさせることも推奨される。
【0091】
さらに本実施形態のコンベヤ装置1及び後記するコンベヤ装置60,8は、次の特殊機能を備えている。以下説明する。なおコンベヤ装置の符番は、コンベヤ装置1,60,8を代表して1と表記する。
CAD装置について
本実施形態では、CAD装置によってコンベヤ装置1の設計を行うことができる。
以下、CAD装置について説明する。
(1)CAD図をアウトラインとしてモニター用レイアウトが作成できる。
コンベヤ装置1は、各部の動作状況を確認したり、搬送物の滞りの有無等を知るために、上位制御装置46に表示装置33が設けられており、当該表示装置33には
図1の様なレイアウト図が表示される。
一方、本実施形態のコンベヤ装置1は、各機器がモジュール化されており、これが組み合わされたものである。コンベヤ装置1を施工する場合には、当然に施工図を作る。多くの場合は、CADを使用して施工図を作ることとなる。
本実施形態のコンベヤ装置1は、このCADの情報を取り込んで、モニター用レイアウトを作成することができる。即ち本実施形態のコンベヤ装置1は、構成部品が規格化されているので、施工図をなぞる等により、モニター用レイアウトが作成できる。
【0092】
図16(a)はCAD装置の表示画面30の一例を示している。本実施形態のCAD装置は、公知の作図機能を有している。またCAD装置には
図2の様な機能を示すモデル図が記憶されている。作業者は、CAD装置でコンベヤ装置1,60のレイアウト図を作成し、各ゾーンに
図2のモデル図を指定して嵌め込む。
モデル図を指定することにより、各ゾーンの機能が決定される。
また作業者は各ゾーンの速度を入力する。速度は、SPEED1、SPEED2という様に予め段階が規定されており、作業者は速度の段階を指定する。
【0093】
(2)ゾーンコントローラのアドレス設定を自動で行える。
本実施形態では、モニター用レイアウトを作成すると、ソフトウェアによってゾーンのアドレスを自動設定することができる。
また勿論、手動によってアドレスを設定することも可能である。
【0094】
具体的に説明すると、
図16(a)の様にレイアウトを作図すると、各ゾーンに対して自動的に番号や記号が付される。また既に記載したレイアウトを変更し、ゾーンとゾーンの間に新たなゾーンを挿入したり、既に記載していたゾーンを消去した場合には、新たなアドレスが振りなおされる。
【0095】
(3)作図したレイアウトは、モニター画面の設置場所に合わせて90°, 180°, 270°等、任意の角度に回転して観察することができる。
【0096】
(4)作図したレイアウトは、モニター画面上において、指定した範囲での拡大縮小が自在にできる。
【0097】
(5)作図したレイアウトで決められたアドレスと、各ゾーンの機能に対応した動作プログラムを対応して出力することができる。
各ゾーンの機能に対応した動作プログラムには、搬送物を導入する際の動作を実行させる制御プログラムと、方向変換機構を動作させる制御プログラムと、搬送物を排出させる動作を実行させる制御プログラムが含まれる。
また隣接するゾーンのアドレスについても合わせて出力される。
【0098】
次に上位制御装置46の機能及び上位制御装置46に接続された表示装置33の機能について説明する。
【0099】
(1)表示装置33に、コンベヤ装置1の稼働状態、在荷状態、異常状態(異常内容とその対処方法)、搬送物の情報を表示することができる。即ち各搬送物が現在どのゾーンに有るかが表示装置33にモニター表示される。
(2)表示装置33には、各搬送物が現在どのゾーンにあるかがモニター表示される。
【0100】
(3)作業者は、表示装置33を見ながらコンベヤ装置の「起動・停止」や「非常停止」の範囲を任意に指定することができる。
例えば
図1の第21ゾーン以降(アドレス21以下)だけを停止し、他の部分を駆動可能としたり、第61ゾーンから分岐された第62ゾーン側の分岐路だけを停止することもできる。
例えば
図11に示す様な、ピッキングエリアを通過する搬送路と、ピッキングエリアを迂回する搬送路を有する場合に、ピッキングエリアを通過する搬送路を停止し、搬送物を直接出荷エリアに搬送してもよい。
また
図11に示すコンベヤ装置60では、第12ゾーン(アドレス12)で保管エリアに向かう搬送路と、ピッキングエリアの棚に向かう搬送路に分岐されるが、保管エリアに向かう搬送路を停止し、全量をピッキングエリアの棚に搬送することもできる。
また図示しない非常停止ボタンが操作された場合、その近傍のエリアのゾーンだけを停止することもでき、その際の停止エリアを予め決めておくことができる。
【0101】
(3)作業者は、表示装置33を見ながら「個数揃え運転」「比率分岐運転」「渋滞回避運転」「合流運転」を指示することができる。
【0102】
(4)搬送指令を作成するための起点(スタート)名と行き先(ゴール)名が登録できる。
スタート位置は、第一実施形態では、第1ゾーン(アドレス1)だけであるが、この位置の名称を任意に決めることができる。また第一実施形態では、搬送物の搬送先(目的場所)が、複数ある(アドレス6,8,23,27,30,41,44,51,54,65,72,73,78,79,83,86,88,90)。これらに任意に名称を付けることができる。例えば、配送センターに設置されるコンベヤ装置であるならば、配送先に応じて、藤田商店、大南ストアという様に名称を付けることができる。
【0103】
(5)分岐/合流の条件を設定できる。
例えば、
図11に示す様に出荷エリアに複数列に出荷ゾーンがある場合がある。
図11に示す例では、第76ゾーンから第78ゾーンまでの第一出荷ゾーンと、第79ゾーンから第81ゾーンまでの第二出荷ゾーンと、第82ゾーンから第84ゾーンまでの第三出荷ゾーンがある。
この様に複数列に出荷ゾーンがある場合、特定の出荷ゾーンに優先的に搬送物を送り出したい場合(先着優先)や、搬送物が出荷ゾーンから排出されても現に各出荷ゾーンに溜まっている搬送物の数が常に同一個数となる様に割りつけたい場合(均等分配)、あるいは出荷ゾーンに送られる搬送物の数を等しくしたい場合(交互制御)等がある。本実施形態では、これらの条件を設定することができる。
【0104】
(6)分岐/合流動作のアルゴリズムを持っている。
「先着優先」「均等分配」「交互制御」等の標準パターンが上位制御装置46に記憶されている。
【0105】
(7)上位システム(WMS)へ指令に対する完了報告が送信できる。
搬送物が目的地に到着したことを上位システム(WMS)に報告する機能を持っている。
本実施形態では、
図13の様に上位制御装置46がさらに倉庫管理システム(WMS)に接続されている。本実施形態では、搬送物が目的地に到着したという情報が、自動的に統合コントローラ(ICS)や倉庫管理システム(WMS)に入力される。
【0106】
(8)レイアウト変更にも対応している。
例えば
図1の様なレイアウトのコンベヤ装置1を
図15の様にレイアウト変更する。
前記した様に、コンベヤ装置1を構成する各ゾーンには、アドレスが付されている。本実施形態では、アドレスが付されたままの状態でゾーンを入れ換えることによってレイアウト変更を行うことができる。
図15に示すレイアウトは、
図1のアドレス21乃至30のゾーンをそっくり下流側に移設したものである。即ち
図1のアドレス21乃至30のゾーンを
図1のアドレス33と34の間に挿入したものである。
本実施形態では、レイアウトを変更した後も同様の入力手段で所望のゾーンに搬送物を到達させることができる。
【0107】
以下説明する。
本実施形態では、前記した様に搬送経路の情報として方向変換すべき搬送方向変換ゾーンのアドレスと、搬送方向変換ゾーンからの排出方向が含まれている。また前記した様に搬送経路の情報には搬送方向を変更しない搬送方向変換ゾーンのアドレスは含まれていない。
仮に搬送先のアドレスが21乃至30である場合は、元のレイアウトの位置において、方向変換する場所は直線搬送ゾーン(アドレス31)に置き変わっている。アドレス31のゾーンは、搬送経路の情報には無いので、搬送物はアドレス31のゾーンを直進する。そしてアドレス20のゾーンに到達すると、搬送方向変換ゾーン20の方向変換機構が機能し、搬送物をアドレス21のゾーン側に排出する。
この様に、本実施形態では、レイアウトを変更した後も同様の入力手段で所望のゾーンに搬送物を到達させることができる。
【0108】
(9)施工時は、実際の搬送ユニット等の配置(配線)ミスを知らせてくれる。
本実施形態のコンベヤ装置1の好ましい製造方法としては、後記する様に工場で各モジュールにアドレスが付与される。この場合は施工現場で、搬送モジュールをつなぎ合わせることとなるが、その際に配線間違いがあれば、上位制御装置46の表示画面等に表示される。
【0109】
その他コンベヤ装置1は、次の機能を有している。
(1)バーコードリーダ等の自動認識装置をコンベヤ装置の制御装置に接続すると、コンベヤ装置の制御装置はバーコードリーダ等を自動的に認識するとともに、必要な設定を対話式で行うことができる。
【0110】
(2)搬送物がトレイやコンテナである場合、トレイ等に個別のIDを設定し、搬送物の搬送先(目的場所)とバーコードリーダ等から得た情報が紐付けられる。
この機能は、前述した通りである。
【0111】
(3)上位システム(WMS)からの指令に基づき搬送指令を作ることができる。
例えば
図12、
図13の様な制御システムを構築し、統合コントローラ(WCS)でコンベヤコントローラや、表示器等の多くの機器のコントローラを統括する。またコンベヤコントローラがゾーンコントローラと接続されており、各ゾーンの動作状況が把握される。そして統合コントローラ(WCS)の上位システムたる倉庫管理システム(WMS)からの指令に基づいて搬送指令をつくることができる。
【0112】
(4)ゾーンコントローラにトレイ等のIDと行き先情報を送信することができる。
この機能は、前述した通りである。
【0113】
(5)コンベヤ装置の制御装置(上位制御装置46)が他のシステム構成機器(DPS表示器、印字機、計量機、ロボット他)とのインターフェイス機能を備えている。
【0114】
以上説明した実施形態では、スタート位置たる第1ゾーンに、搬送物特定装置45を設けたが、搬送物特定装置45の位置は搬送方向変換ゾーンよりも上流側であればよい。また複数の箇所に搬送物特定装置45を設けてもよい。
【0115】
以上説明した実施形態では、搬送物特定装置45で読み取った情報を、上位制御装置(46に送り、上位制御装置46で搬送物を特定すると共に搬送物の搬送先(目的場所)を照会し、そのアドレスを第2ゾーンのゾーンコントローラ10に送信(初期情報発信手段)した。
しかしながら本発明は、この構成に限定されるものではなく、搬送物自体に搬送先を特定するICダグ等を取り付け、搬送物特定装置45でICダグ等に記憶された搬送先に関する情報を読み出し、この情報を第1ゾーン又はそれ以降のゾーンのゾーンコントローラ10に送信(初期情報発信手段)してもよい。
またアドレスを第2ゾーンよりも下流のゾーンコントローラ10に送信してもよい。
【0116】
コンベヤ装置のレイアウトの一例として、
図17に示すコンベヤ装置8の様な循環ルート35を持ったものも考えられる。循環ルート35は、
図17の様に第33ゾーンと第3ゾーンを繋ぐものであり、レイアウトの終端近傍に位置する第33ゾーンの搬送物を先頭近くの第3ゾーンに戻すものである。
また
図17に示すコンベヤ装置8は、複数のルートを経由して搬送物を搬送することができる。例えば末端の第36ゾーンに搬送物を搬送する場合、第1ゾーンから、第12ゾーン、第23ゾーンを経て第36ゾーンに到達する外回りルートと、第1ゾーンから、第7ゾーンを右折して第46ゾーンに入り、第28ゾーンで合流して第36ゾーンに到達する内回りルートがある。
【0117】
また
図17に示すコンベヤ装置8は、一部の直線搬送ゾーンが正逆運転可能である。具体的には、第65ゾーン、第66ゾーン、第67ゾーンは、手動スイッチを操作することにより、第67ゾーン側から第65ゾーン側に向かって搬送物を戻すことができる。
【0118】
図17に示すコンベヤ装置8は、その他、「個数揃え運転」「比率分岐運転」「渋滞回避運転」「合流運転」を行わしめる構成となっている。
【0119】
本実施形態では、第13ゾーンで「比率分岐運転」が行われる。第26ゾーンで「個数揃え運転」が行われる。第33ゾーンで「渋滞回避運転」が行われる。第28ゾーンで「合流運転」が行われる。
【0120】
「比率分岐運転」について説明する。
本実施形態のコンベヤ装置8では、第57,59,61ゾーンは、同一の目的地(例えば藤田商店)に輸送するのに供するトラックやコンテナに搭載する搬送物の搬送先であり、いずれのゾーンに搬送物を搬入しても差し支えない。
本実施形態では、第57,59,61ゾーンに搬送すべき搬送物は、すべて分岐点手前の第13ゾーンを第一到達位置とする。具体的には、第2ゾーンのゾーンコントローラ10の搬送先記憶部材40に、第一初期情報としてアドレス13が指定される。
また上位制御装置46から第13ゾーン(アドレス13)のゾーンコントローラ10に第二初期情報として、アドレス57,59,61のいずれかが送信される。即ち本実施形態では、上位制御装置46から第13ゾーンのゾーンコントローラ10に第二初期情報が発信される。例えばアドレス57,59,61が順番に第13ゾーンのゾーンコントローラ10に送信される。
【0121】
搬送物は、第2ゾーンのゾーンコントローラ10に送信された第一初期情報に従い、アドレス13のゾーンに到達する。
そして搬送物が第13ゾーン(アドレス13)に到達したという情報が、第13ゾーンのゾーンコントローラ10から上位制御装置46に戻されると、上位制御装置46から第13ゾーンのゾーンコントローラ10に対して第二初期情報が送信される。搬送物は、第二初期情報に従ってアドレス57,59,61のゾーンに順次搬送される。
【0122】
前記した様に、「比率分岐運転」においては、「交互方式」「優先方式」「比例方式」を選択することができる。
【0123】
次に「個数揃え運転」について説明する。
例えば第64ゾーン(アドレス64)側に、搬送物を2個ずつ搬入したい場合がある。
この場合には、「個数揃え運転」を行わしめる。
具体的には、第26ゾーン(アドレス26)のゾーンコントローラ10から第64ゾーンを到達位置とする搬送物が到達したという情報が上位制御装置46に受信されると、上位制御装置46から第26ゾーンのゾーンコントローラ10に対して一時停止指令が発信される。その結果、第64ゾーンを最終目的地とする搬送物が一つ、第26ゾーンに停止する。
そしてその手前のゾーンたる第25ゾーンに、もう一つ第64ゾーンを最終目的地とする搬送物が到達すると、上位制御装置46によって一時停止指令が解除される。その結果、第64ゾーンを最終目的地とする搬送物が二つ、連続して下流側に搬送される。
【0124】
次に「渋滞回避運転」について説明する。
本実施形態では、前記した様に、各ゾーンコントローラ10と上位制御装置46とが通信手段で結合されており、各ゾーンコントローラ10からは在荷センサーSの情報と、当該ゾーン上に搬送物の情報が上位制御装置46に入力されている。
本実施形態では、最下流の第34,35,36ゾーンに搬送物が詰まっており、先に進めない状態となっていることが各ゾーンコントローラ10からの情報で知れら、且つその状態が一定時間に渡って継続すると、上位制御装置46からアドレス33のゾーンコントローラ10に、強制的に排出方向を循環ルート35側に変更する指令が送られる。
【0125】
その結果、搬送物は循環ルート35に流れ、先頭側の第3ゾーンに戻り、渋滞が解消される。なお本実施形態では、中間に循環ルート35を挟むが、前記搬送先情報は、搬送方向が上流側の第33ゾーンから下流側の第3ゾーンに受け渡される。
即ち搬送物が第33ゾーンから第3ゾーン移動し、ゾーンを跨いで搬送物を搬送すると、搬送物がゾーンを跨いで移動するのに伴って、前記搬送先情報が上流側の第33ゾーンのゾーンコントローラ10から下流側の第3ゾーンのゾーンコントローラ10に受け渡される。
【0126】
また特定の領域に搬送物が詰まっているか否かに関わらず、特定のゾーンに長時間、搬送物が滞留している場合にも、上位制御装置46から第33ゾーンのゾーンコントローラ10に強制的に排出方向を循環ルート35側に変更する指令が送られる。
その結果、搬送物は循環ルート35に流れ、搬送物は第33ゾーンから先頭側のアドレス3のゾーンに戻り、渋滞が解消される。
【0127】
次に「合流運転」について説明する。
本実施形態のコンベヤ装置8では、第28ゾーンで第46ゾーン経由の搬送物と、第8ゾーン経由の搬送物が合流する。
前記した様に本実形態では、「交互合流」と、「ロット合流」の2方式を選択することができる。
「交互合流」は、第28ゾーンのゾーンコントローラ10の機能として実行される。即ち第28ゾーンのゾーンコントローラ10には、「交互合流」のプログラムが予め格納されており、上位制御装置46からの指令によって「交互合流」が実行される。
【0128】
これに対して「ロット合流」を実施する場合は、第28ゾーンの上流側のゾーン(第27ゾーンと第55ゾーン)に上位制御装置46から一時停止指令が発信される。そして上位制御装置46の指令によって、第28ゾーンが制御され、第28ゾーンの上流側に所定個数の搬送物が溜まると、下流側に搬送物を送り出す。
【0129】
次にコンベヤ装置1,8,60の好ましい製造方法について説明する。
本実施形態のコンベヤ装置1,8,60は、別途に搬送モジュールを製造し、各搬送モジュールのゾーンコントローラ10に、自己のゾーンのアドレスと、隣接するゾーンのアドレスと、各モジュールのモータや方向変換機構の動作を制御するプログラムを記憶させ、この状態で施工現場に搬入して組み立てる。
即ち本実施形態では、別途搬送モジュールを製造する。搬送モジュールは、機械的機構部分とゾーンコントローラ10が一体化されたものである。
搬送モジュールは規格化することができ、汎用性が高いものである。
【0130】
コンベヤ装置1,8,60を製造する際には、前記したCAD装置でレイアウトを決める。
そしてCAD装置から直接、又は他の装置を介して、別途製造した搬送モジュールのゾーンコントローラ10に、各モジュールのモータや方向変換機構の動作を制御するプログラムを記憶させる。より具体的には、CAD装置等からレイアウトで決められたアドレスと、隣接するゾーンのアドレスと、各ゾーンの機能に対応した動作プログラムを出力し、搬送モジュールのゾーンコントローラ10に記憶させる。
【0131】
この際に、各搬送モジュール同士を組み合わせることはせず、各搬送モジュールを一つ一つ個別に、または複数のグループに切り離された状態におき、この状態の搬送モジュールのゾーンコントローラ10に対してアドレスと動作プログラムを出力し、ゾーンコントローラ10のメモリーに記憶させる。
例えば、搬送方向変換ゾーンを構成する搬送モジュールであるならば、機械的構造物として、
図5,9の様な搬送方向又は搬入方向を切り換える方向変換機構を有している。そして搬送モジュールは、一又は複数の搬入方向から搬送物を搬入し、一又は複数の搬送方向に搬送物を搬出可能である。
【0132】
搬送方向変換ゾーンを構成する搬送モジュールでは、付随するゾーンコントローラに、アドレスの他、搬送物を導入する際の動作を実行させる制御プログラムと、方向変換機構を動作させる制御プログラムと、搬送物を排出させる動作を実行させる制御プログラムが記憶されている。
【0133】
搬送方向変換ゾーンを構成する搬送モジュールは、搬送物を載置して搬送物を搬送する機械的構造物と、前記機械的構造物を制御するゾーンコントローラが一体化された搬送モジュールであり、記機械的構造物は、搬送方向又は搬入方向を切り換える方向変換機構を有していて一又は複数の搬入方向から搬送物を搬入し、一又は複数の搬送方向に搬送物を搬出可能である。また搬送方向変換ゾーンのゾーンコントローラは、搬送物を導入する際の動作を実行させる制御手段と、方向変換機構を動作させる制御手段と、搬送物を排出させる動作を実行させる制御手段を有している。
【0134】
直線搬送ゾーンを構成する搬送モジュールでは、ゾーンコントローラ10に、アドレスの他、搬送物の導入する際の動作を実行させる制御プログラムと、搬送物を排出させる動作を実行させる制御プログラムが記憶される。
【0135】
そして各搬送モジュールを個別に製造し、ゾーンコントローラ10に対して個別にプログラムを書き込んだ搬送モジュールが、梱包され、施工現場に搬送される。
施工現場においては、各搬送モジュールをレイアウトに合わせて並べ、機械的・電気的に接続する。
その結果、
図1,11,17の様なコンベヤ装置1,60,8を、施工現場で組み立てることができる。
本実施形態の製造方法によると、製造工場内でコンベヤ装置1,60,8を組み立てる必要がない。そのため、製造工場が狭い場合でも、大きなコンベヤ装置1,60,8を作ることができる。
【0136】
上記した各実施形態のコンベヤ装置は、前記した様に上位制御装置46に表示装置33が接続されており、各搬送物が現在どのゾーンに有るかが表示装置33にモニター表示される。
図18は、そのモニター表示の一例を示すものである。
図中、「A」「B」は、搬送物を示している。
また本実施形態では、搬送路の直線部分が複数の直線搬送ゾーンに分割されているが、本実施形態では、二つの直線搬送ゾーンが一組となって一つのゾーンコントローラで制御されている。
そのため直線搬送ゾーンの搬送モジュールは、2個の搬送物を載置可能な長さを有するローラコンベヤである。そして当該ローラコンベヤに2組の在荷センサーSが設けられている。
【0137】
上記した実施形態では、原則的に前記搬送先情報を隣接するゾーン間で受け渡すが、中間部分を飛ばして情報伝達を行ってもよい。
例えば
図1に示すコンベヤ装置1であるならば、第10ゾーンから第17ゾーン間では搬送先に関する情報を受け渡さず、第10ゾーンにあった搬送物が、第18ゾーンに至った際に第10ゾーンから第18ゾーンに前記搬送先情報を受け渡してもよい。
本構成にあっては、搬送物が第10ゾーンから第18ゾーンに移動し、ゾーンを跨いで搬送物を搬送すると、搬送物がゾーンを跨いで移動するのに伴って、前記搬送先情報が上流側の第10ゾーンから下流側の第18ゾーンに受け渡される。
【0138】
以上説明した実施形態では、各ゾーンは少なくとも一個の搬送物を載置可能な長さを有するものであるが、ゾーンの長さを超える搬送物を搬送することができる実施形態について説明する。
図19に示す第五実施形態のコンベヤ装置63は、前記した第一実施形態のコンベヤ装置1と同様のレイアウトであり、コンベヤ装置1の端緒部に搬送物の全長を測定する全長測定装置65を設けたものである。全長測定装置65は、コンベヤ装置66に例えば光学的な長さ測定装置を取り付けたものである。
【0139】
全長測定装置65は、例えばコンベヤ装置66上に搬送物を停止して長さ測定装置で搬送物の全長を測定する。或いはコンベヤ装置66を一定の速度で運転し、一定位置を通過する時間やモータの回転数によって搬送物の全長を測定する。
コンベヤ装置63では、アドレス0のゾーンを有し、当該ゾーンに搬送物を置く、アドレス0のゾーンは、搬送物を全長測定装置65側に搬送し、全長測定装置65で搬送物の全長が測定される。
【0140】
測定されたデータは、全長測定装置65から上位制御装置46に送られる。
仮に、全長測定装置65で測定された搬送物の全長が、各ゾーンの長さよりも短いならば、前述した通り、各ゾーンに搬送物が一個ずつ載置されて下流側に搬送されていく。
また本実施形態のコンベヤ装置63では、搬送先情報と共に搬送物の長さに関する情報も上位制御装置46から第2ゾーンのゾーンコントローラ10に送信し、第2ゾーンのゾーンコントローラ10の搬送先記憶部材40に入力される。
【0141】
以下のゾーンは、搬送物の長さに関する情報を上流側のゾーンコントローラ10から受信しており、搬送物を各ゾーンの一定の位置に停止させることができる。
例えば、在荷センサーSが各ゾーンの長さ方向の中心近傍に設けられている場合、搬送物の長さに関する情報に基づき、搬送物が在荷センサーSを通過した後、一定時間後にゾーンコンベヤを停止すれば、搬送物をゾーンコンベヤの一定の位置(例えば中心)に停止させることができる。
【0142】
また仮に全長測定装置65で測定された搬送物の全長が、各ゾーンの長さよりも長い場合には、以下のゾーンにおいては、隣接するゾーンに跨がって搬送物を停止させる。
即ち搬送物の全長が、各ゾーンの長さよりも長い場合であっても、搬送先情報と共に搬送物の長さに関する情報も上位制御装置46から第2ゾーンのゾーンコントローラ10に送信される。そして当該搬送物に対しては、各ゾーンが2個一組となって動作する。
【0143】
また前記した第一実施形態のコンベヤ装置1は、全ての直線搬送ゾーンが搬送物を一方向にのみ搬送するものであるのに対し、第五実施形態のコンベヤ装置63は、多くの領域の直線搬送ゾーンが正逆どちらの方向にも搬送物を移動させることができる。
具体的には、
図19の様に、第21ゾーンから第30ゾーンが全て正逆方向に運転可能であり、どちらの方向にも搬送物を移動させることができる。
【符号の説明】
【0144】
1,8,60,63 コンベヤ装置
2 ゾーンコンベヤ(直線搬送ゾーンの搬送モジュール)
10 ゾーンコントローラ
20 移載装置(搬送方向変換ゾーンの搬送モジュール)
33 表示装置
40 搬送先記憶部材(搬送先記憶手段)
41 送受信部(情報受入れ手段 情報発信手段)
45 搬送物特定装置
46 上位制御装置(初期情報発信手段)
51 搬送モジュール
S 在荷センサー