(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】セッション制御サーバの切り替え方法、管理サーバ及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 24/04 20090101AFI20220324BHJP
H04W 88/18 20090101ALI20220324BHJP
H04M 3/00 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
H04W24/04
H04W88/18
H04M3/00 D
(21)【出願番号】P 2019054719
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2021-01-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【氏名又は名称】早原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕也
(72)【発明者】
【氏名】林 玄史
(72)【発明者】
【氏名】金谷 則男
【審査官】永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0175157(US,A1)
【文献】特開2010-263597(JP,A)
【文献】特開2015-065539(JP,A)
【文献】特開2016-063237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04L12/00-12/26
12/50-12/955
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04W4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
EPC(Evolved Packet Core)に配置され、ユーザ端末と通信するゲートウェイと
IMS(IP Multimedia Subsystem)に配置され、前記ゲートウェイと通信する複数の第1のセッション制御サーバと、第1のセッション制御サーバと通信する第2のセッション制御サーバと、
を有するシステムにおけるセッション制御サーバの切り替え方法であって、
前記システムは、各ゲートウェイに対して、接続可能な1つ以上の第1のセッション制御サーバアドレスを管理する管理サーバを更に配置しており、
前記ゲートウェイは、第1のセッション制御サーバアドレスリスト要求を、前記管理サーバへ送信し、前記管理サーバは、当該ゲートウェイが接続可能な第1のセッション制御サーバのアドレスのリストを、前記ゲートウェイへ応答するものであり、
ユーザ端末が送信した登録要求を、ゲートウェイ及び第1のセッション制御サーバを介して受信した第2のセッション制御サーバが、当該登録要求を前記管理サーバへ送信し、前記管理サーバが、当該登録要求に含まれるユーザ識別子及び第1のセッション制御サーバアドレスを紐付けて記憶する第1のステップと、
前記管理サーバが、第1のセッション制御サーバについて、障害又は仮障害を検知する
と共に、障害又は仮障害を検知した第1のセッション制御サーバのアドレスを、前記リストから削除する第2のステップと、
前記管理サーバが、障害又は仮障害が検知された第1のセッション制御サーバに紐付けられたユーザ識別子を含む再登録要求を、第2のセッション制御サーバへ送信し、第2のセッション制御サーバが、第1のセッション制御サーバにおけるリストアシーケンスを実行する第3のステップと
を有することを特徴とするセッション制御サーバの切り替え方法。
【請求項2】
第1のセッション制御サーバは、P-CSCF(Proxy - Call Session Control Function)サーバであり、
第2のセッション制御サーバは、S-CSCF(Serving - Call Session Control Function) サーバであり、
前記ゲートウェイは、PGW(Proxy - Gateway)であり、
前記管理サーバは、P-CSCF管理サーバである
ことを特徴とする請求項1に記載のセッション制御サーバの切り替え方法。
【請求項3】
第1のステップについて、
ユーザ端末が、登録要求を、ゲートウェイへ送信し、
ゲートウェイは、ユーザ識別子及び第1のセッション制御サーバアドレスを含む登録要求を、第1のセッション制御サーバへ送信し、
第1のセッション制御サーバは、第2のセッション制御サーバへ、当該登録要求を転送し、
第2のセッション制御サーバは、当該登録要求を、前記管理サーバへ転送する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のセッション制御サーバの切り替え方法。
【請求項4】
第2のステップについて、
前記管理サーバは、第1のセッション制御サーバそれぞれに対して、定期的に死活監視メッセージを送信することによって、障害を検知する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のセッション制御サーバの切り替え方法。
【請求項5】
第2のステップについて、
前記管理サーバは、運用コマンドによって、任意の第1のセッション制御サーバに対する仮障害を検知する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のセッション制御サーバの切り替え方法。
【請求項6】
第2のステップについて、前記管理サーバは、障害又は仮障害を検知した際に、最後に第1のセッション制御サーバアドレスリスト要求を受信したゲートウェイのアドレスを保持し、
前記管理サーバは、保持したアドレスに基づくゲートウェイから、第1のセッション制御サーバアドレスリスト要求を受信し、前記リストを応答した後、全てのゲートウェイに対する第1のセッション制御サーバのリスト更新が完了したと判断する
ことを特徴とする請求項
1から5のいずれか1項に記載のセッション制御サーバの切り替え方法。
【請求項7】
第3のステップについて、
第2のセッション制御サーバは、前記管理サーバから受信した再登録要求を、障害又は仮障害が検知された第1のセッション制御サーバへ送信すると共に、第1のセッション制御サーバが障害又は仮障害を発生していることを確認する
ことを特徴とする請求項1から
6のいずれか1項に記載のセッション制御サーバの切り替え方法。
【請求項8】
前記システムは、前記ゲートウェイ及び第2のセッション制御サーバと通信可能な加入者サーバを更に有し、
第1のステップの前段で、前記ゲートウェイは、ユーザ端末から接続要求を受信した際に、前記加入者サーバへ承認要求を送信し、
第3のステップについて、第2のセッション制御サーバは、前記加入者サーバへ、第1のセッション制御サーバのリストア要求を送信し、前記加入者サーバは、前記ゲートウェイを介してユーザ端末へ、セッション解放通知を送信する
ことを特徴とする請求項1から
7のいずれか1項に記載のセッション制御サーバの切り替え方法。
【請求項9】
EPCに配置され、ユーザ端末と通信するゲートウェイと
IMSに配置され、前記ゲートウェイと通信する複数の第1のセッション制御サーバと、第1のセッション制御サーバと通信する第2のセッション制御サーバと
を有するシステムに配置され、各ゲートウェイに対して、接続可能な1つ以上の第1のセッション制御サーバアドレスを管理する管理サーバであって、
ユーザ端末が送信した登録要求を、ゲートウェイ及び第1のセッション制御サーバを介して第2のセッション制御サーバから受信し、当該登録要求に含まれるユーザ識別子及び第1のセッション制御サーバアドレスを紐付けて記憶する管理テーブルと、
前記ゲートウェイから、第1のセッション制御サーバアドレスリスト要求を受信し、当該ゲートウェイが接続可能な第1のセッション制御サーバのアドレスのリストを、前記ゲートウェイへ応答するアドレスリスト送信手段と、
第1のセッション制御サーバについて、障害又は仮障害を検知する
と共に、障害又は仮障害を検知した第1のセッション制御サーバのアドレスを、前記リストから削除する死活監視手段と、
障害又は仮障害が検知された第1のセッション制御サーバに紐付けられたユーザ識別子を含む再登録要求を、第2のセッション制御サーバへ送信する再登録要求送信手段と
を有し、
第2のセッション制御サーバから、第1のセッション制御サーバにおけるリストアシーケンスを実行させることを特徴とする管理サーバ。
【請求項10】
EPCに配置され、ユーザ端末と通信するゲートウェイと
IMSに配置され、前記ゲートウェイと通信する複数の第1のセッション制御サーバと、第1のセッション制御サーバと通信する第2のセッション制御サーバと
を有するシステムに配置され、各ゲートウェイに対して、接続可能な1つ以上の第1のセッション制御サーバアドレスを管理する管理サーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
ユーザ端末が送信した登録要求を、ゲートウェイ及び第1のセッション制御サーバを介して第2のセッション制御サーバから受信し、当該登録要求に含まれるユーザ識別子及び第1のセッション制御サーバアドレスを紐付けて記憶する管理テーブルと、
前記ゲートウェイから、第1のセッション制御サーバアドレスリスト要求を受信し、当該ゲートウェイが接続可能な第1のセッション制御サーバのアドレスのリストを、前記ゲートウェイへ応答するアドレスリスト送信手段と、
第1のセッション制御サーバについて、障害又は仮障害を検知する
と共に、障害又は仮障害を検知した第1のセッション制御サーバのアドレスを、前記リストから削除する死活監視手段と、
障害又は仮障害が検知された第1のセッション制御サーバに紐付けられたユーザ識別子を含む再登録要求を、第2のセッション制御サーバへ送信する再登録要求送信手段と
してコンピュータを機能させ、
第2のセッション制御サーバから、第1のセッション制御サーバにおけるリストアシーケンスを実行させることを特徴とする管理サーバ用のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信ネットワークにおけるセッション制御サーバ(SIP(Session Initiation Protocol)サーバ)を切り替える技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来技術における移動通信ネットワークのシステム構成図である。
【0003】
移動体通信ネットワークは、EPC(Evolved Packet Core)及びIMS(IP Multimedia Subsystem)によって仮想化基盤上に構築されている。UE(User Equipment、移動携帯端末)は、無線を介して複数のeNB(evolved Node B、基地局)と通信する。
【0004】
EPCは、複数のeNBを収容するべく、MME(Mobility Management Entity)、SGW(Serving-Gateway)、PGW(Proxy-Gateway)及びPCRF(Policy and Charging Rules Function)によって構成される(例えば非特許文献1参照)。
MMEは、コアネットワーク制御装置であって、UEの移動管理と、HSS(Home Subscriber Server、加入者サーバ)と連携したUEの認証と、IP(Internet Protocol)伝達経路の設定制御とを実行する。
SGWは、MMEからの制御に基づいてIPパケットの伝達制御を実行する。
PGWは、インターネットやIMSなどのPDN(外部ネットワーク)との接続点となり、PDNからUE宛のIPパケットを全て受信する。
PCRFは、PGW及びSGWでの伝達品質制御を実行するための、QoS(Quality of Service)、課金方法などのIPパケット伝達ポリシを決定する。
UEは、eNB、SGW及びPGW)介して、IMSと通信する。
【0005】
IMSは、3GPP(3rd Generation Partnership Project)で標準化されたサービス制御方式であり、次世代携帯電話ネットワーク又はNGN(Next Generation Network)を実現する。これによって、固定網及び移動網が統合され、全ての端末に対してオールIP化を提供する。IMSは、UEに対して、異なるIP-CAN(IP Connectivity Access Network)で、共通のマルチメディア通信サービス(例えば、IP電話、テレビ電話、IM(Instant Message)など)を提供する(例えば非特許文献2参照)。
【0006】
IMSは、複数のセッション制御サーバ(SIPサーバ)を配置し、必要なネットワークリソースの割り当て及びゲートの制御を実行する。SIPは、IPにおける呼制御プロトコルであって、端末間で通信に必要なIPアドレス、ポート番号及びエンコーディングをネゴシエーションすると共に、発呼及び着呼を制御する。
【0007】
IMSは主に、以下の3つの機能を有する。
CSCF(Call Session Control Function):セッション制御機能
AS(Application Server):アプリケーションサービス制御機能
HSS(Home Subscriber Server):ユーザ情報蓄積機能
【0008】
CSCFは、セッション制御として、UE間の通信セッションを設定・解放と、サービス条件に応じたASの選択と、SIP信号やSDP(Session Description Protocol)信号の転送とを実行する。
CSCFは、以下の3つの機能要素に分けられる。
P-CSCF(Proxy-CSCF)
S-CSCF(Serving-CSCF)
I-CSCF(Interrogating-CSCF)
P-CSCFは、アクセスネットワークを介してUEとパケットを送受信するサーバである。
S-CSCFは、HSSと連携してユーザの登録処理を実行するサーバである。
I-CSCFは、SIP信号を適切なS-CSCFに転送するサーバである。
尚、
図1によれば、S-CSCFとI-CSCFを合わせて、I/S-CSCFとして表している。
【0009】
P-CSCFは、UEから、PGWを介してアクセスされる。P-CSCFは、セッション毎にメディア情報を抽出し、セッション確立時にPGWに対するゲート制御及びリソース制御を指示する。P-CSCFは、UEからの位置登録時に決定され、PGW(又はSIP対応UE)との間にセキュアなIPsecトンネルを確立する。
そのために、IMSでは、P-CSCFを冗長的に構成し、P-CSCFの障害発生時には直ぐに他のP-CSCFへ切り替えて、システム全体の耐障害性を高めている。
P-CSCFの切り替え時には、UEは、障害発生のP-CSCFに対するセッションを解放し、改めて登録シーケンスを実行して、他のP-CSCFに対してセッションを再確立する必要がある。P-CSCFの障害に対しては、様々なユーザ通信復旧技術が提案されている(例えば非特許文献3参照)。
【0010】
また、
図1によれば、PGWがP-CSCFを直ぐに発見できるように、DNS(Domain Name System)サーバが配置されている。
UEは、DNSサーバへ、SIPサーバIPv6アドレス・リストオプションを要求するDHCPv6 Information-Requestメッセージを送信する。これに対し、DNSサーバは、UEに割り当て可能な1つ以上のP-CSCFのIPv6アドレスのリストを含むDHCP Replyメッセージを返信する。
【0011】
一般には、I/S-CSCFが、発信側P-CSCFからメッセージを受信し、着信側P-CSCFへメッセージを送信する際に、着信側P-CSCFからのエラー又は応答無しのタイミングで、障害を検知する。I/S-CSCFは、障害を発生したP-CSCFのアドレスを、HSSへ通知する。HSSは、着信側P-CSCFを他のP-CSCFに切り替えるべく、MMEへ通知する。MMEは、UEに対してセッション解放通知を送信し、UEは、改めて登録シーケンスを実行する。
【0012】
しかしながら、この障害検知のタイミングでは、着信時のメッセージの送信失敗であるために、ユーザ通信に対して大きな影響を与える。そのために、冗長的に配置した複数のP-CSCFに対して、死活監視シーケンスを定期的に実行する必要がある。
【0013】
図2は、従来技術におけるP-CSCFを切り替えるシーケンスである。
【0014】
<第0のステップ:S0>
最初に、UEは、EPCへ、「接続要求」を送信する。接続要求は、eNB介してSGWを経由してMMEへ転送される。これに対し、MMEは、PGWを介してHSSへ、「承認要求」を送信する。HSSは、UEの認証処理を実行し、加入者登録後、PGWへ、「承認応答」を返信する。
これに対し、PGWは、DNSサーバへ、「P-CSCFアドレスリスト要求」を送信する。これは、DHCPv6 Information-Requestメッセージを用いた、SIPサーバIPv6アドレス・リストオプションであり、FQDN(Fully Qualified Domain Name)に基づくものである。
これに対し、DNSサーバは、P-CSCFアドレスリストを、PGWへ応答する。
図2によれば、P-CSCFアドレスリストには、P-CSCF#1アドレスとP-CSCF#2アドレスとが含められる。
PGWは、UEへ、ベアラ確立の許可を表す「接続許可」を返信する。
そして、UEは、「承認応答」を、PGWへ送信する。
【0015】
<第1のステップ:S1>
次に、UEは、「登録要求(Register)」を、PGWへ送信する。Registerメッセージには、IMPI(IMS Private User Identity)と称されるユーザIDが含まれる。IMPIは、IMS内での一意な識別子であって、SIP URIと同様の形式で表現される。
これに対し、PGWは、「登録要求」を、例えばP-CSCF#1へ転送する。P-CSCF#1は、P-CSCFアドレスリストに含まれる任意のアドレスに基づくものである。
P-CSCF#1は、PGWから受信した登録要求をそのまま、I/S-CSCFへ転送する。
I/S-CSCFは、ユーザID及びP-CSCF#1アドレスを含む登録メッセージを、HSSへ送信し、認証処理を要求する。これに対し、HSSは、認証成功を、I/S-CSCFへ応答する。そして、I/S-CSCFは、成功応答としての200OKを、P-CSCF#1へ応答する。
P-CSCF#1は、受信した200OKを、PGWへ応答する。
PGWは、受信した200OKを、UEへ応答する。
【0016】
<第2のステップ:S2>
次に、PGWは、S0で受信したP-CSCFアドレスリストに含まれる1つ以上のP-CSCFに対して、「死活監視メッセージ」を定期的に送信する。PGW自ら、P-CSCFの障害発生を監視する。死活監視メッセージを送信したPGWは、P-CSCFから、エラー応答の受信や応答が無かった場合、当該P-CSCFに障害が発生したと検知する。
【0017】
同様に、DNSサーバ7も、1つ以上のP-CSCFに対して、「死活監視メッセージ」を定期的に送信する。DNSサーバも、P-CSCFの障害発生を監視する。死活監視メッセージを送信したDNSサーバは、P-CSCFから、エラー応答の受信や応答が無かった場合、当該P-CSCFに障害が発生したと検知する。このとき、DNSサーバは、障害が発生したと検知したP-CSCFのアドレスを含む障害検知メッセージを、PGWへ送信する。
【0018】
これによって、PGWは、障害を発生したP-CSCFを特定する。
【0019】
<第3のステップ:S3>
次に、PGWは、UEへ、「セッション解放通知」を送信する。
これによって、UEは、障害が発生した例えばP-CSCF#1との間のセッションを解放する。具体的には、PGWは、正常なP-CSCFのアドレスを、UEへ通知するものであってもよい。
【0020】
そして、UEは、前述したS1と同じ登録シーケンスを実行して、セッションを再確立するべく、「登録要求(Register)」を、PGWへ送信する。
PGWは、障害発生のP-CSCF#1を特定しているために、他の正常なP-CSCF#2へ、登録要求を送信する。
【0021】
前述したように、IMSにおけるP-CSCFは、IPsecのセキュリティとしてセッションを確立するために、UEとの間のユーザ通信を復旧するべく、障害発生のP-CSCFから代替P-CSCFへの切り替える必要がある。このとき、障害発生のP-CSCFに接続する全てのUEが、代替P-CSCFとの間で、再度、登録シーケンスを実行し直す必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0022】
【文献】3GPP TS 23.401,”General Packet Radio Service (GPRS) enhancements for Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN) access”.
【文献】3GPP TS 23.228, “IP Multimedia Subsystem (IMS); Stage 2”.
【文献】3GPP, TS 23.380, “IMS Restoration Procedures”.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
前述した
図2におけるS2によれば、PGWが、複数のP-CSCFに対して定期的に死活監視をしている。そして、PGWは、P-CSCFの障害を検知した際に、他のP-CSCFへ収容替えを実行するために、セッション解放通知を、UEへ送信する必要がある。このとき、PGWへ、収容替え先となる正常なP-CSCFのアドレスリストを払い出すために、別途、DNSサーバを構築しておく必要がある。
【0024】
また、前述した
図2によれば、EPCに配置された多数のPGWから、当該PGWを介してセッションを確立した複数のP-CSCFに対して、死活監視を実行する必要がある。一方で、IMSに配置されたDNSサーバからも、P-CSCFの死活監視を実行する必要がある。
結果的に、多数のPGWやDNSサーバから、複数のP-CSCFに対して死活監視が実行されるために、冗長的であると共に、EPC及びIMSのシステム全体における処理負荷の増大も招いている。
【0025】
そこで、本発明は、セッション制御サーバ(P-CSCF)の死活監視シーケンスが冗長的になることなく、障害発生の検知時に、セッション制御サーバをスムーズに切り替えることができる方法、管理サーバ及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明によれば、
EPC(Evolved Packet Core)に配置され、ユーザ端末と通信するゲートウェイと
IMS(IP Multimedia Subsystem)に配置され、ゲートウェイと通信する複数の第1のセッション制御サーバと、第1のセッション制御サーバと通信する第2のセッション制御サーバと、
を有するシステムにおけるセッション制御サーバの切り替え方法であって、
システムは、各ゲートウェイに対して、接続可能な1つ以上の第1のセッション制御サーバアドレスを管理する管理サーバを更に配置しており、
ゲートウェイは、第1のセッション制御サーバアドレスリスト要求を、管理サーバへ送信し、管理サーバは、当該ゲートウェイが接続可能な第1のセッション制御サーバのアドレスのリストを、ゲートウェイへ応答するものであり、
ユーザ端末が送信した登録要求を、ゲートウェイ及び第1のセッション制御サーバを介して受信した第2のセッション制御サーバが、当該登録要求を管理サーバへ送信し、管理サーバが、当該登録要求に含まれるユーザ識別子及び第1のセッション制御サーバアドレスを紐付けて記憶する第1のステップと、
管理サーバが、第1のセッション制御サーバについて、障害又は仮障害を検知すると共に、障害又は仮障害を検知した第1のセッション制御サーバのアドレスを、リストから削除する第2のステップと、
管理サーバが、障害又は仮障害が検知された第1のセッション制御サーバに紐付けられたユーザ識別子を含む再登録要求を、第2のセッション制御サーバへ送信し、第2のセッション制御サーバが、第1のセッション制御サーバにおけるリストアシーケンスを実行する第3のステップと
を有することを特徴とする。
【0027】
本発明のセッション制御サーバの切り替え方法における他の実施形態によれば、
第1のセッション制御サーバは、P-CSCF(Proxy - Call Session Control Function)サーバであり、
第2のセッション制御サーバは、S-CSCF(Serving - Call Session Control Function) サーバであり、
ゲートウェイは、PGW(Proxy - Gateway)であり、
管理サーバは、P-CSCF管理サーバである
ことも好ましい。
【0028】
本発明のセッション制御サーバの切り替え方法における他の実施形態によれば、
第1のステップについて、
ユーザ端末が、登録要求を、ゲートウェイへ送信し、
ゲートウェイは、ユーザ識別子及び第1のセッション制御サーバアドレスを含む登録要求を、第1のセッション制御サーバへ送信し、
第1のセッション制御サーバは、第2のセッション制御サーバへ、当該登録要求を転送し、
第2のセッション制御サーバは、当該登録要求を、管理サーバへ転送する
ことも好ましい。
【0029】
本発明のセッション制御サーバの切り替え方法における他の実施形態によれば、
第2のステップについて、
管理サーバは、第1のセッション制御サーバそれぞれに対して、定期的に死活監視メッセージを送信することによって、障害を検知する
ことも好ましい。
【0030】
本発明のセッション制御サーバの切り替え方法における他の実施形態によれば、
第2のステップについて、
管理サーバは、運用コマンドによって、任意の第1のセッション制御サーバに対する仮障害を検知する
ことも好ましい。
【0032】
本発明のセッション制御サーバの切り替え方法における他の実施形態によれば、
第2のステップについて、管理サーバは、障害又は仮障害を検知した際に、最後に第1のセッション制御サーバアドレスリスト要求を受信したゲートウェイのアドレスを保持し、
管理サーバは、保持したアドレスに基づくゲートウェイから、第1のセッション制御サーバアドレスリスト要求を受信し、リストを応答した後、全てのゲートウェイに対する第1のセッション制御サーバのリスト更新が完了したと判断する
ことも好ましい。
【0033】
本発明のセッション制御サーバの切り替え方法における他の実施形態によれば、
第3のステップについて、
第2のセッション制御サーバは、管理サーバから受信した再登録要求を、障害又は仮障害が検知された第1のセッション制御サーバへ送信すると共に、第1のセッション制御サーバが障害又は仮障害を発生していることを確認する
ことも好ましい。
【0034】
本発明のセッション制御サーバの切り替え方法における他の実施形態によれば、
システムは、ゲートウェイ及び第2のセッション制御サーバと通信可能な加入者サーバを更に有し、
第1のステップの前段で、ゲートウェイは、ユーザ端末から接続要求を受信した際に、加入者サーバへ承認要求を送信し、
第3のステップについて、第2のセッション制御サーバは、加入者サーバへ、第1のセッション制御サーバのリストア要求を送信し、加入者サーバは、ゲートウェイを介してユーザ端末へ、セッション解放通知を送信する
ことも好ましい。
【0035】
本発明によれば、
EPCに配置され、ユーザ端末と通信するゲートウェイと
IMSに配置され、ゲートウェイと通信する複数の第1のセッション制御サーバと、第1のセッション制御サーバと通信する第2のセッション制御サーバと
を有するシステムに配置され、各ゲートウェイに対して、接続可能な1つ以上の第1のセッション制御サーバアドレスを管理する管理サーバであって、
ユーザ端末が送信した登録要求を、ゲートウェイ及び第1のセッション制御サーバを介して第2のセッション制御サーバから受信し、当該登録要求に含まれるユーザ識別子及び第1のセッション制御サーバアドレスを紐付けて記憶する管理テーブルと、
ゲートウェイから、第1のセッション制御サーバアドレスリスト要求を受信し、当該ゲートウェイが接続可能な第1のセッション制御サーバのアドレスのリストを、ゲートウェイへ応答するアドレスリスト送信手段と、
第1のセッション制御サーバについて、障害又は仮障害を検知すると共に、障害又は仮障害を検知した第1のセッション制御サーバのアドレスを、リストから削除する死活監視手段と、
障害又は仮障害が検知された第1のセッション制御サーバに紐付けられたユーザ識別子を含む再登録要求を、第2のセッション制御サーバへ送信する再登録要求送信手段と
を有し、
第2のセッション制御サーバから、第1のセッション制御サーバにおけるリストアシーケンスを実行させることを特徴とする。
【0036】
本発明によれば、
EPCに配置され、ユーザ端末と通信するゲートウェイと
IMSに配置され、ゲートウェイと通信する複数の第1のセッション制御サーバと、第1のセッション制御サーバと通信する第2のセッション制御サーバと
を有するシステムに配置され、各ゲートウェイに対して、接続可能な1つ以上の第1のセッション制御サーバアドレスを管理する管理サーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
ユーザ端末が送信した登録要求を、ゲートウェイ及び第1のセッション制御サーバを介して第2のセッション制御サーバから受信し、当該登録要求に含まれるユーザ識別子及び第1のセッション制御サーバアドレスを紐付けて記憶する管理テーブルと、
ゲートウェイから、第1のセッション制御サーバアドレスリスト要求を受信し、当該ゲートウェイが接続可能な第1のセッション制御サーバのアドレスのリストを、ゲートウェイへ応答するアドレスリスト送信手段と、
第1のセッション制御サーバについて、障害又は仮障害を検知すると共に、障害又は仮障害を検知した第1のセッション制御サーバのアドレスを、リストから削除する死活監視手段と、
障害又は仮障害が検知された第1のセッション制御サーバに紐付けられたユーザ識別子を含む再登録要求を、第2のセッション制御サーバへ送信する再登録要求送信手段と
してコンピュータを機能させ、
第2のセッション制御サーバから、第1のセッション制御サーバにおけるリストアシーケンスを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明の方法、管理サーバ及びプログラムによれば、セッション制御サーバ(P-CSCF)の死活監視シーケンスが冗長的になることなく、障害発生の検知時に、セッション制御サーバをスムーズに切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】従来技術における移動通信ネットワークのシステム構成図である。
【
図2】従来技術におけるP-CSCFを切り替えるシーケンスである。
【
図3】本発明における移動通信ネットワークのシステム構成図である。
【
図4】本発明におけるP-CSCFを切り替えるシーケンスである。
【
図7】本発明におけるP-CSCF管理サーバの機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下では、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0040】
図3は、本発明における移動通信ネットワークのシステム構成図である。
【0041】
図3のシステムによれば、
図1と比較して、DNSサーバに代えて、P-CSCF管理サーバが配置されている。P-CSCF管理サーバは、複数のP-CSCF#1及び#2に対して死活監視を実行すると共に、I/S-CSCFと通信する。
P-CSCF :第1のセッション制御サーバ
I/S-CSCF :第2のセッション制御サーバ
PGW :UEとP-CSCFとの間に介在するゲートウェイ
P-CSCF管理サーバ:P-CSCFのアドレスを管理する管理サーバ
【0042】
【0043】
本発明によれば、以下の3つのステップを実行する。
<S0>PGWは、P-CSCF管理サーバから、接続可能な1つ以上のP-CSCF(第1のセッション制御サーバ)のアドレスを取得する。
<S1>UEは、「登録要求」を送信し、IMSとの間で登録シーケンスを実行する。また、P-CSCF管理サーバは、登録要求に含まれるユーザID及びP-CSCFアドレスを紐付けて記憶する。
<S2>P-CSCF管理サーバは、複数のP-CSCFに対して、障害又は仮障害を検知する。
<S3>P-CSCF管理サーバは、障害又は仮障害を検知したP-CSCFに紐付けられたユーザIDを含む再登録要求を、I/S-CSCF(第2のセッション制御サーバ)へ送信する。そして、I/S-CSCFは、P-CSCFにおけるリストアシーケンスを実行する。
以下では、各ステップについて、詳細に説明する。
【0044】
<第0のステップ:S0>
図4のS0によれば、
図2のS0と比較して、PGWは、DNSサーバに代えてP-CSCF管理サーバと通信する。
最初に、UEは、EPCへ、「接続要求」を送信する。接続要求は、eNB介してSGWを経由してMMEへ転送される。これに対し、MMEは、PGWを介してHSSへ、「承認要求」を送信する。HSSは、UEの認証処理を実行し、加入者登録後、PGWへ、「承認応答」を返信する。
PGWは、P-CSCF管理サーバへ、「P-CSCFアドレスリスト要求」を送信する。これに対し、P-CSCF管理サーバは、P-CSCFアドレスのリストを、PGWへ応答する。
そして、PGWは、UEへ、ベアラ確立の許可を表す「接続許可」を返信する。
そして、UEは、「承認応答」を、PGWへ送信する。
【0045】
<第1のステップ:S1>
図4のS1によれば、
図2のS1と全く同じシーケンス(UE<->PGW<->P-CSCF#1<->I/S-CSCF)を実行すると共に、更に以下のシーケンスを実行する。
【0046】
I/S-CSCFは、P-CSCF#1から受信した登録要求(Register)を、そのまま、P-CSCF管理サーバへ転送する。登録要求によれば、Toヘッダに含まれるSIP-URIによってユーザIDを特定し、Viaヘッダに含まれるアドレスによってP-CSCF#1アドレスを特定する。
これによって、P-CSCF管理サーバは、以下のように紐付ける。
ユーザID <-> P-CSCF#1アドレス
そして、P-CSCF管理サーバは、200OK(成功応答)を、I/S-CSCFへ応答する。
【0047】
<第2のステップ:S2>
図5は、本発明におけるS2のシーケンス図である。
【0048】
図5によれば、PGW#1、#2及び#3はそれぞれ、定期的に、P-CSCF管理サーバへ、(例えばP-CSCFサーバネームpcscf1に対する)「P-CSCFアドレスリスト要求」を送信する。これは、S0と同様のシーケンスであって、PGWは、定期的に、正常なP-CSCFのアドレスのリストを更新する。
図5によれば、P-CSCF管理サーバは、P-CSCF#1及び#2の両方のアドレスを含むP-CSCFアドレスリストを、PGW#1、#2及び#3それぞれに応答する。
【0049】
[P-CSCFに対する死活監視処理]
P-CSCF管理サーバは、P-CSCFそれぞれに対して、「死活監視メッセージ」を送信し、P-CSCFの障害発生を監視する。死活監視メッセージとしてのSIP OPTIONSが定期的に送信される。
P-CSCFは、P-CSCF管理サーバから受信した死活監視メッセージに対して、正常時には、正常応答を返信する。一方で、障害時には、エラー応答を返信するか又は応答を返信しない。これによって、P-CSCF管理サーバは、P-CSCFの障害発生を検知する。
【0050】
[特定のP-CSCFに対する運用コマンドによる仮障害検知]
P-CSCF管理サーバは、運用コマンドによって、特定のP-CSCFに対する仮障害発生を検知したとする。運用コマンドとは、例えばメンテナンスや運用者による障害復旧等の際に、意図的に特定のP-CSCFの収容ユーザを解放したい場合に利用される。
【0051】
P-CSCF管理サーバは、例えばP-CSCF#1について、障害発生を検知したとする。このとき、P-CSCFアドレスリストから、障害発生のP-CSCF#1のアドレスを削除(除外)する。
また、P-CSFアドレスリストを最後に要求した「PGW#1のアドレス」も保持しておく。
【0052】
その後、P-CSCF管理サーバは、PGWそれぞれから、P-CSCFアドレスリスト要求を受信し、それに対して、更新したP-CSCFアドレスリストを応答する。
これによって、各PGWは、受信したP-CSCFアドレスリストで、自らのキャッシュを更新する。更新したP-CSCFアドレスリストには、障害発生したP-CSCF#1のアドレスは含まれない。
そして、
図5によれば、予め保持されたPGW#1アドレスによって、PGW#1からP-CSCFアドレスリスト要求を受信し、それに対して、更新したP-CSCFアドレスリストを応答した際に、全てのPGWに対するP-CSCFアドレスリストの更新が完了したと判断する。
【0053】
[P-CSFアドレスリストを最後に要求したPGWのアドレスの保持について]
P-CSCFの切り替えシーケンスを実行する前に、障害発生のP-CSCF#1に接続する全てのPGWについて、そのP-CSCFアドレスリストの更新(キャッシュ)が完了しておく必要がある。その前に、P-CSCFの切り替えシーケンスが実行された場合、いずれかのPGWが、障害発生のP-CSCFに接続する恐れがある。
この対策として、各PGWは、P-CSCFアドレスリスト要求を、定期的(同一時間間隔)に送信すると想定して、P-CSCF管理サーバは、障害発生を検知した直後に、P-CSFアドレスリストを最後に要求した「PGW#1のアドレス」を保持しておく。
【0054】
図5によれば、P-CSCF#1の障害発生の直前に、P-CSCFアドレスリスト要求を送信してきた最後のPGWは、PGW#1となる。即ち、次に、PGW#1が、P-CSCFアドレスリスト要求を送信してきたときには、他の全てのPGWから、P-CSCFアドレスリスト要求を受信し、P-CSCF#1アドレスを除外したP-CSCFアドレスリストを応答済みである、とみなすことができる。
【0055】
また、PGW#1からのP-CSCFアドレスリスト要求を待つ間に、障害発生のP-CSCF#1が収容しているUE宛に着呼があった場合は、ユーザ通信は失敗することとなる。この待ち時間は、キャッシュのTTL(Time To Live)を短くすることによって短縮することができる。但し、TTLを短くすることによって、P-CSCFアドレスリスト(キャッシュ)の更新周期が短くなり、PGWにかかる処理負荷が大きくなるために、トレードオフとなる。
【0056】
<第3のステップ:S3>
図6は、本発明におけるS3のシーケンス図である。
【0057】
次に、P-CSCF管理サーバは、「再登録要求」を、I/S-CSCFへ送信する。再登録要求は、再登録要求フラグを付与したSIP Requestであって、障害発生のP-CSCF#1のアドレスに紐付けられたユーザIDを含む。
これに対し、I/S-CSCFは、再登録要求のユーザIDに紐付くP-CSCF#1へ、その再登録要求を送信する。
P-CSCF#1は、I/S-CSCFに対して、障害を発生していれば応答を返信しないであろうし、運用コマンドによる仮障害状態であればエラー応答を返信する。これによって、I/S-CSCFは、P-CSCF#1に障害又は仮障害が発生していることを確認する。
そして、I/S-CSCFは、P-CSCFリストア要求(HSS based P-CSCF restoration)を、HSSへ送信する。
HSSは、MME及びPGWへ、P-CSCFリストア要求を送信する。
MMEは、UEへ、「セッション解放通知」を送信する。
これによって、UEは、P-CSCF#1との間のセッションを解放する。
【0058】
図6によれば、S3の後、改めてS1が実行される。
UEは、改めてMMEへ、「登録要求(Register)」を送信する。
これに対し、PGWは、「登録要求」を、P-CSCFアドレスリストに含まれる例えばP-CSCF#2へ転送する。
P-CSCF#2は、PGWから受信した登録要求をそのまま、I/S-CSCFへ転送する。
I/S-CSCFは、ユーザID及びP-CSCF#2アドレスを含む登録メッセージを、HSSへ送信し、認証処理を要求する。これに対し、HSSは、認証成功を、I/S-CSCFへ応答する。そして、I/S-CSCFは、成功応答としての200OKを、P-CSCF#2へ応答する。
P-CSCF#2は、受信した200OKを、PGWへ応答する。
PGWは、受信した200OKを、UEへ応答する。
【0059】
I/S-CSCFは、P-CSCF#2から受信した登録要求(Register)を、そのまま、P-CSCF管理サーバへ転送する。
これによって、P-CSCF管理サーバは、以下のように紐付ける。
ユーザID <-> P-CSCF#2アドレス
そして、P-CSCF管理サーバは、200OK(成功応答)を、I/S-CSCFへ応答する。
【0060】
図7は、本発明におけるP-CSCF管理サーバの機能構成図である。
【0061】
図7によれば、P-CSCF管理サーバは、P-CSCFアドレスリスト送信部10と、管理テーブル110と、登録要求受信部111と、死活監視部12と、再登録要求送信部13とを有する。これら機能構成部は、P-CSCF管理サーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
【0062】
[管理テーブル110]
管理テーブル110は、ユーザIDとP-CSCFアドレスとを紐付けて記憶する。
ユーザID <-> P-CSCFアドレス
【0063】
[P-CSCFアドレスリスト送信部10]
P-CSCFアドレスリスト送信部10は、PGWから、「P-CSCFアドレスリスト要求」を受信し、当該PGWへ「P-CSCFアドレスリスト」を応答する(前述したS2,
図5参照)。P-CSCFアドレスリストには、当該PGWが接続可能なP-CSCFのアドレスが含められる。
【0064】
[登録要求受信部111]
登録要求受信部111は、I/S-CSCFから、「登録要求」を受信する(前述したS1,
図4参照)。この登録要求は、UEとPGWとP-CSCFとI/S-CSCFとの間で登録シーケンスが実行された際に、I/S-CSCFからP-CSCF管理サーバへ転送されたものである。登録要求には、ユーザID及びP-CSCFアドレスが含まれており、これらを管理テーブル110へ出力する。
【0065】
[死活監視部12]
死活監視部12は、複数のP-CSCFについて、障害又は仮障害を検知する(前述したS2,
図5参照)。具体的には、死活監視部12は、P-CSCFそれぞれに、定期的に「死活監視メッセージ」を送信し、エラー応答を受信するか又は応答が無い場合に、障害発生を検知する。死活監視部12は、再登録要求送信部13へ、障害発生を検知したP-CCSFアドレスを出力する。
【0066】
[再登録要求送信部13]
再登録要求送信部13は、障害又は仮障害が検知されたP-CSCFに紐付けられたユーザIDを含む「再登録要求」を、I/S-CSCFへ送信する。
これによって、I/S-CSCFから、障害又は仮障害が検知されたP-CSCFにおけるリストアシーケンスを実行させる。リストアシーケンスによって、UEにセッションを解放させた後、UEが改めて登録シーケンスを実行することによって、障害発生のP-CSCFから正常なP-CSCFへ、UEの収容の切り替えが完了となる。
【0067】
以上、詳細に説明したように、本発明の方法、管理サーバ及びプログラムによれば、セッション制御サーバ(P-CSCF)の死活監視シーケンスが冗長的になることなく、障害発生の検知時に、セッション制御サーバをスムーズに切り替えることができる。
【0068】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0069】
1 P-CSCF管理サーバ
10 P-CSCFアドレスリスト送信部
110 管理テーブル
111 登録要求受信部
12 死活監視部
13 再登録要求送信部
2、21、22 P-CSCF
3 I/S-CSCF
4 PGW
5 HSS
6 MME
7 eNB
8 UE
9 DNSサーバ