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  • 特許-フェンス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】フェンス
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/14 20060101AFI20220324BHJP
【FI】
E04H17/14 102B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017194442
(22)【出願日】2017-10-04
(65)【公開番号】P2019065651
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 泰平
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-128266(JP,U)
【文献】実開昭57-008253(JP,U)
【文献】実開平04-039229(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00 - 17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔をあけて配置した一方及び他方の格子材と、格子材取付材とを備え、格子材は、正面側面と、背面側面と、一方側に対向する一方側対向面と、他方側に対向する他方側対向面とから中空部を構成する中空形材であり、背面側面の他方側に正面側に凹んで形成された凹部と、正面側面と一方側対向面のコーナーに位置する正面一方側コーナー部と、他方側対向面と凹部の壁面とのコーナーに位置する背面他方側コーナー部と、一方側対向面の背面側から一方側に突出するフィンとを有し、一方の格子材の凹部は、格子材取付材側で他方の格子材側に位置し、一方の格子材の背面他方側コーナー部は、他方の格子材のフィンの先端と、他方の格子材の正面一方側コーナー部とを結ぶ線より他方側に位置し、他方の格子材のフィンは、一方の格子材の凹部の壁面から離れていることを特徴とするフェンス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、複数の格子材を互いに間隔をあけて配置したフェンスが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】第1088頁 「三協アルミ エクステリア建材 ウォールエクステリアカタログ 2017→2018」カタログNo.STWJ0455A 三協立山株式会社 三協アルミ社 2017年2月発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、非特許文献1のフェンスは、通風は充分であるが、遮視が充分でなく、正面側(通路側)から家側が見えるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、通風を確保しつつ、遮視できるフェンスの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、互いに間隔をあけて配置した一方及び他方の格子材と、格子材取付材とを備え、格子材は、正面側面と、背面側面と、一方側に対向する一方側対向面と、他方側に対向する他方側対向面とから中空部を構成する中空形材であり、背面側面の他方側に正面側に凹んで形成された凹部と、正面側面と一方側対向面のコーナーに位置する正面一方側コーナー部と、他方側対向面と凹部の壁面とのコーナーに位置する背面他方側コーナー部と、一方側対向面の背面側から一方側に突出するフィンとを有し、一方の格子材の凹部は、格子材取付材側で他方の格子材側に位置し、一方の格子材の背面他方側コーナー部は、他方の格子材のフィンの先端と、他方の格子材の正面一方側コーナー部とを結ぶ線より他方側に位置し、他方の格子材のフィンは、一方の格子材の凹部の壁面から離れていることを特徴とするフェンスである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、一方及び他方の格子材間の通風を確保しつつ、遮視できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係るフェンスであって、図3に示すA-A断面図である。
図2図3に示すB-B断面図である。
図3】本発明の実施の形態に係るフェンスの一部を通路側から見た正面図である。
図4】本発明の実施の形態に係るフェンスの組立工程を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図3に示すように、本実施の形態に係るフェンス1は、フェンス本体3と、フェンス本体3を取付けた支柱5とを備えている。図3及び図2に示すように、フェンス本体3は、笠木7と、下弦材9と、笠木7及び下弦材9の左右端部に取付けてある縦材11とを備え、笠木7と下弦材9との間には、左右に間隔をあけて配置された一方の格子材13aと他方の格子材13bが、長手方向の略中央位置と上端と下端とで格子材取付材15、51a、51bに取付けられている。
【0010】
図1に示すように、一方の格子材13aと他方の格子材13bは、互いに隣り合って配置してある。一方及び他方の格子材13a、13bは、押出形材であり、同一の構成及び形状としている。
一方及び他方の格子材13a、13bは、各々凹部17と、正面一方側コーナー部19と、背面他方側コーナー部21と、フィン23とを有し、全体的に正面側(通路側)面25を上底とし、背面側(家側)面27を下底とする略台形状を成した中空形材である。
一方の格子材13aの凹部17は、格子材取付材15、51a、51b側で他方の格子材13b側に設けて、正面側に凹んで形成されている。凹部17の壁面29は、正面側壁面29aと一方側壁面29bから構成され、凹部17の他方の格子材13b側の端部は、背面他方側コーナー部21である。
他方の格子材13bの正面一方側コーナー部19は、正面側面25の一方の格子材13a側の端部である。
一方の格子材13aの正面側面25の他方の格子材13b側の端部は、正面他方側コーナー部30である。
他方の格子材13bのフィン23は、背面側面27の一方側にある基端31から一方の格子材13aの凹部17の一方側壁面29bに向かって延出してあり、一方の格子材13aの凹部の壁面29から離れている。他方の格子材13bのフィンの先端32は、一方の格子材13aの凹部17の正面側壁面29aに向かって曲げてある。
【0011】
他方の格子材13bには、フィン23の基端31から正面側に向かい、且つ正面側ほど一方の格子材13aから離れるようにして傾斜して正面一方側コーナー部19に連続する一方側対向面33が形成してある。
一方の格子材13aには、背面他方側コーナー部21から正面側に向かい、且つ正面側ほど他方の格子材13bから離れるようにして傾斜して正面他方側コーナー部30に連続する他方側対向面35が形成してある。
一方の格子材13aの他方側対向面35と他方の格子材13bの一方側対向面33は、正面側から背面側に向けて、一方及び他方の格子材13a、13bの間隔を漸次狭めてある。
【0012】
一方及び他方の格子材13a、13bにおいて、一方の格子材13aの背面他方側コーナー部21は、他方の格子材13bのフィンの先端32と、他方の格子材13bの正面一方側コーナー部19とを結ぶ線37より他方側に位置するようにして配置してある。
【0013】
図2に示すように、一方及び他方の格子材13a、13bの上下小口には、格子材キャップ39を嵌めてある。
一方及び他方の格子材13a、13bの長手方向の略中央位置、上端及び下端に取付けた格子材取付材15、51a、51bのうちの略中央位置の格子材取付材15には、長手方向に亘って目板15aが嵌め込んであり、左右小口には、格子材取付材キャップ15bがネジ止めしてある。
【0014】
フェンス本体3は、支柱5の正面側の上部に上ボルト47aで固定してある上ブラケット49aと、正面側の下部に下ボルト47bで固定してある下ブラケット49bとに係合して、支柱5の正面側に取付けてある。支柱5の上小口には、支柱キャップ5aが嵌め込んである。
【0015】
次に、実施の形態に係るフェンス1の施工について説明するが、まずフェンス本体3の施工について説明する。尚、フェンス本体3は、縦材11を除いた部分を、工場で組立てた後に、施工現場に搬入される。
図4(a)の一部拡大図に示すように、一方及び他方の格子材13a、13bの上下小口に格子材キャップ39をそれぞれ嵌める。
次に、上下小口に格子材キャップ39を嵌めた一方及び他方の格子材13a、13bを、フィン23を一方側に向けて並べて配置する。尚、図1に示すように、一方の格子材13aの背面他方側コーナー部21が、他方の格子材13bのフィンの先端32と、他方の格子材13bの正面一方側コーナー部19とを結ぶ線37より他方側に位置するように、互いに間隔をあけて配置する。また、他方の格子材13bは、他方の格子材13bのフィンの先端32を、一方の格子材13aの凹部の壁面29から離して配置する。
図4(a)に示すように、互いに間隔をあけて配置した一方及び他方の格子材13a、13bの長手方向の略中央位置に格子材取付材15をリベット止めする。一方及び他方の格子材13a、13bの上端には、格子材取付材51aをネジ止めし、下端には、格子材取付材51bをネジ止めする。その後、長手方向の略中央位置の格子材取付材15に目板15aを嵌め込み、格子材取付材15の左右小口に格子材取付材キャップ15bをネジ止めする。
図4(b)に示すように、一方及び他方の格子材13a、13bの上端にネジ止めした格子材取付材51aには、笠木7をネジ止めし、一方及び他方の格子材13a、13bの下端にネジ止めした格子材取付材51bには、下弦材9をネジ止めする。
以上により、図3に示す、縦材11を除くフェンス本体3の組立が完了する。
【0016】
図2に示すように、支柱5には、正面側の上部に上ブラケット49aを上ボルト47aで固定し、正面側の下部に下ブラケット49bを下ボルト47bで固定する。支柱5に取付けられた上ブラケット49aにフェンス本体3の笠木7を、支柱5に取付けられた下ブラケット49bにフェンス本体3の下弦材9を係合させて、フェンス本体3を支柱5の正面側に取付ける。一方、図3に示すように、フェンス本体3の笠木7及び下弦材9の左右端部には、縦材11を取付ける。
以上により、図3に示すフェンス1の施工が完了する。
【0017】
実施の形態の作用効果について説明する。
まず、遮視について説明する。
図1に示すように、フェンス1は、一方の格子材13aの背面他方側コーナー部21が、他方の格子材13bのフィンの先端32と、他方の格子材13bの正面一方側コーナー部19とを結ぶ線37より他方側に位置するようにして一方及び他方の格子材13a、13bが配置してあるので、フェンス1を、正面側のいずれの方向から見ても背面側への視線を遮ることができる。
例えば、フェンス1を、正面側A1方向から見た場合には、一方の格子材13aの正面側面25と他方の格子材13bの一方側対向面33とで、正面側から背面側への視線を遮ることができる。
フェンス1を、正面側A2方向から見た場合には、他方の格子材13bのフィン23と一方側対向面33、一方の格子材13aの他方側対向面35とで、正面側から背面側への視線を遮ることができる。
フェンス1を、正面側A3方向から見た場合には、他方の格子材13bの正面側面25と正面一方側コーナー部19と、一方の格子材13aの他方側対向面35とで、正面側から背面側への視線を遮ることができる。正面側A3方向は、線37に沿う方向である。
尚、一方及び他方の格子材13a、13bを、一方の格子材13aの背面他方側コーナー部21が、他方の格子材13bのフィンの先端32と、他方の格子材13bの正面一方側コーナー部19とを結ぶ線37より一方側に位置するようにして配置した場合には、正面側A3方向から見ると、他方の格子材13bのフィン23と、一方の格子材13aの凹部の壁面29の隙間を通じて、正面側から背面側が見える虞がある。
そのため、フェンス1は、一方の格子材13aの背面他方側コーナー部21が、他方の格子材13bのフィンの先端32と、他方の格子材13bの正面一方側コーナー部19とを結ぶ線37より他方の格子材13b側に位置することで、いずれの方向から見ても遮視できる。
次に、通風について説明する。
フェンス1は、他方の格子材13bのフィン23が、一方の格子材13aの凹部の壁面29から離れているので、正面側から背面側に吹く風は、一方の格子材13aの他方側対向面35と他方の格子材13bの一方側対向面33との間を通り、他方の格子材13bのフィン23と一方の格子材13aの凹部の壁面29との隙間を通って背面側へ抜ける。従って、フェンス1は通風を確保できる。
以上のように、本実施の形態に係るフェンス1は、通風を確保しつつ、遮視できる。
【0018】
図1に示すように、フェンス1は、一方の格子材13aの他方側対向面35と他方の格子材13bの一方側対向面33が、正面側から背面側に向けて、一方及び他方の格子材13a、13bの間隔を漸次狭めてあるので、正面側から背面側に向かって風を案内しやすい。その後、風が他方の格子材13bのフィン23と一方の格子材13aの凹部の壁面29との隙間を通って背面側へ風が抜ける。そのため、フェンス1は風が通りやすい。
図1に示すように、他方の格子材13bは、フィンの先端32が曲げてあるので、遮視のためのフィン23の長さを短くできる。
【0019】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、一方及び他方の格子材13a、13bは、横にして上下に間隔をあけて配置してもよい。
他方の格子材13bのフィンの先端32は、一方の格子材13aの背面他方側コーナー部21が、他方の格子材13bのフィンの先端32と、他方の格子材13bの正面一方側コーナー部19とを結ぶ線37より他方側に位置する範囲であれば、正面側に向かって曲げることができる。尚、他方の格子材13bのフィンの先端32を、一方の格子材13aの凹部17の正面側壁面29aに向かって曲げる角度は制限されない。
凹部の壁面29は、正面側壁面29aと一方側壁面29bの2面で形成することに限らず、連続する湾曲面としてもよい。
格子材取付材15、51a、51bは、3つ設けることに限らず、長手方向の略中央位置の格子材取付材15だけであってもよいし、上下端の格子材取付材51a、51bの2つであってもよいし、格子材取付材15、51a、51bの取付け位置や取付ける数は、制限されない。
【符号の説明】
【0020】
1 フェンス
13a 一方の格子材
13b 他方の格子材
15、51a、51b 格子材取付材
17 凹部
19 正面一方側コーナー部
21 背面他方側コーナー部
23 フィン
29 凹部の壁面
32 フィンの先端
37 線
図1
図2
図3
図4