(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】側面照射型LED発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/60 20100101AFI20220324BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20220324BHJP
F21V 9/32 20180101ALI20220324BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220324BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220324BHJP
【FI】
H01L33/60
H01L33/50
F21V9/32
F21S2/00 100
F21Y115:10 700
(21)【出願番号】P 2018008005
(22)【出願日】2018-01-22
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100128071
【氏名又は名称】志村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】飯野 高史
【審査官】淺見 一喜
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0095723(KR,A)
【文献】特開2013-251393(JP,A)
【文献】特開2006-339650(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0119083(US,A1)
【文献】特開2014-138185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
F21V 9/00
F21S 2/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、ベース基板の上面に配置される複数の発光素子と、前記複数の発光素子を囲う
ようにして前記ベース基板上に配置された蛍光枠体と、この蛍光枠体の上面に載置され前記ベース基板の上面と対向する側に反射面を有して前記複数の発光素子を遮蔽する遮蔽板と、を備えた側面照射型LED発光装置において、
前記蛍光枠体は、ベース基板の上面から蛍光枠体の上面に至る内周面及び外周面
が放物線に近い曲面を有する断面形状からなり、
前記遮蔽板は、前記蛍光枠体の外周面側に外側反射面を有する側面照射型LED発光装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記蛍光枠体は、
円形のリング状に形成されており、その半径方向の断面形状が略放物線に近い
内周面と外周面を有する形状である側面照射型LED発光装置。
【請求項3】
請求項1
又は2において、
前記蛍光枠体は、透明樹脂と、透明樹脂に含有される蛍光材とを有し、前記発光素子から発せられる光は蛍光枠体を介して白色系発光に波長変換される側面照射型LED発光装置。
【請求項4】
請求項1
又は2において、
前記ベース基板上には前記蛍光枠体が形成される部分に所定厚みを有する曲面状の反射枠体が設けられ、この反射枠体を土台としてその上に前記蛍光枠体が形成される側面照射型LED発光装置。
【請求項5】
請求項1又は2において、
前記ベース基板上には前記蛍光枠体が形成される部分に所定厚みを有する平坦状の反射枠体が設けられ、この反射枠体を土台としてその上に前記蛍光枠体が形成される側面照射型LED発光装置。
【請求項6】
請求項
4又は5において、
前記反射枠体は、白色系樹脂によって形成されている側面照射型LED発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側面照射型LED発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なLED発光装置にあっては、実装用の基板に複数の発光素子を配置することによって明度や輝度を高めたものや、赤緑青(RGB)からなる有色発光素子を用い、この有色発光素子の個数や配列等を設定することで演色効果を持たせたものがある。また、発光の指向性に関しては、正面照射型と側面照射型とがあり、正面照射型は広範囲を明るく照らす直接照明として使用され、側面照射型は限定した範囲を間接的に照らす間接照明として使用されている。
【0003】
特許文献1には、基板上にLED素子を実装し、このLED素子を透光性の封止樹脂で被覆すると共に、封止樹脂の上面を反射体層で覆う構成の側面照射型LED発光装置が開示されている。この側面照射型LED発光装置にあっては、基板と反射体層とで挟まれた外周側面に蛍光枠体を設けると共に、この蛍光枠体の外側に透光性樹脂層を設けることによって、発光ムラを抑えるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されているような従来の側面照射型LED発光装置にあっては、基板と反射体層との間に設けられる蛍光枠体が発光素子から発せられる光と略直交する外周面を有している。このため、蛍光枠体を介して波長変換される光は、基板と反射体層との間を略平行に進むが、反射体層に反射される光が少ないため、外周側面に沿った強い光を得にくいものであった。また、マザーボード等に実装する際に、陰になる部分があるため、蛍光枠体を介して波長変換された光にロスが生じて十分な明るさを得られないといった問題を有していた。
【0006】
そこで、本発明の目的は、蛍光枠体を介して波長変換される光の反射効率を高めることで、側面方向を明るく照明することのできる側面照射型LED発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の側面照射型LED発光装置は、ベース基板と、ベース基板の上面に配置される複数の発光素子と、前記複数の発光素子を囲うようにして前記ベース基板上に配置された蛍光枠体と、この蛍光枠体の上面に載置され前記ベース基板の上面と対向する側に反射面を有して前記複数の発光素子を遮蔽する遮蔽板と、を備えた側面照射型LED発光装置において、前記蛍光枠体は、ベース基板の上面から蛍光枠体の上面に至る内周面及び外周面が放物線に近い曲面を有する断面形状からなり、前記遮蔽板は、前記蛍光枠体の外周面側に外側反射面を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の側面照射型LED発光装置によれば、複数の発光素子を囲う蛍光枠体の内周面及び外周面の少なくとも一方の面に傾斜面を有しているので、この傾斜面を通して波長変換された光が前記複数の発光素子をベース基板との間で遮蔽する遮蔽板の反射面で効率よく反射させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態の側面照射型LED発光装置の断面図である。
【
図2】遮蔽板を除いた上記側面照射型LED発光装置の平面図(a)及び断面図(b)である。
【
図3】第1実施形態の側面照射型LED発光装置の発光作用を示す拡大断面図である。
【
図4】蛍光枠体の外周面を多角面形状とした側面照射型LED発光装置の拡大断面図である。
【
図5】蛍光枠体の外周面のみに傾斜面を有した側面照射型LED発光装置の拡大断面図である。
【
図6】第2実施形態の側面照射型LED発光装置の断面図である。
【
図7】第2実施形態の側面照射型LED発光装置の発光作用を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至
図3は、本発明の第1実施形態の側面照射型LED発光装置11を示したものである。
図1に示したように、側面照射型LED発光装置11は、ベース基板12と、ベース基板12の上面12aに配置される複数の発光素子15と、前記ベース基板12の外周に沿って配置され前記複数の発光素子15を囲う蛍光枠体21と、この蛍光枠体21の上面21aに載置され前記ベース基板12の上面12aと対向する側に反射面18を有して前記複数の発光素子15を遮蔽する遮蔽板17とを備えている。この側面照射型LED発光装置11は、複数の発光素子15から発せられる光が蛍光枠体21を透過することで白色系の発光となり、この白色系の発光がベース基板12及び遮蔽板17の外周面に沿って出射する構成となっている。
【0011】
ベース基板12は、上面12a、側面12b及び下面12cが放熱面となるようにアルミニウムからなる金属材料が使用され、照明用途や照明規模等に応じて十数mm~数十mm四方の矩形状に形成される。ベース基板12の上面12aには、複数の発光素子15によって構成される発光部13を露出させるための開口部19を有するマウント基板14が配置される。マウント基板14は、ガラスエポキシ樹脂製の板状部材であり、ベース基板12と略同一サイズに形成されている。発光部13は、全体として数十個単位の発光素子15で構成され、それぞれがワイヤ(図示せず)を介して相互に電気的に接続され、前記一対の外部部20に接続されている。
【0012】
発光素子15は、主に窒化ガリウム系化合物半導体が用いられる。その構造は、サファイアガラスからなるサブストレートと、このサブストレートの上にn型半導体、p型半導体を拡散成長させた拡散層とからなっている。n型半導体及びp型半導体はそれぞれn型電極,p型電極を備えており、電流を流すことでPN接合部15a(
図3参照)を中心として青色光又は緑色光が発せられる。この発光素子15は、前記蛍光枠体21を透過することによって、白色系の発光に波長変換される。
【0013】
蛍光枠体21は、ベース基板12の上面12aから蛍光枠体21の上面21aに至る内周面25及び外周面26を備え、内周面25及び外周面26の少なくとも一方の面に傾斜面25a,26aを有している。蛍光枠体21は、透明樹脂と、透明樹脂に含有される蛍光材16とを有しており、前記発光素子15から発せられる光は蛍光枠体21を介して白色系発光に波長変換される。前記透明樹脂は、例えば、エポキシ樹脂あるいはシリコーンが使用される。また、蛍光材16には、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)や色素粒子の原料となる染料等が使用される。蛍光枠体21の外側には、一対の電極部20が設けられる。この一対の電極部20は、発光部13内に配置されている複数の発光素子15に外部から電力を供給するための一方がアノード端子、他方がカソード端子となる外部端子であり、金メッキ等によってマウント基板14の上面に形成されている。
【0014】
遮蔽板17は、ベース基板12と略同一サイズの遮光性の樹脂によって形成されており、ベース基板12の上面12aと対向する反射面18のうち、蛍光枠体21の内周面25側が内側反射面18a、外周面26側が外側反射面18bとなっている。内側反射面18a及び外側反射面18bはいずれも同一の反射率となるように鏡面加工されている。
【0015】
図1及び
図3に示したように、蛍光枠体21は、マウント基板14に形成されている円形状の開口部19に沿ってリング状に形成され、内周面25及び外周面26には、曲線状の断面形状を持つ傾斜面25a,26aをそれぞれ有している。内周面25は発光素子15から発せられる光を取り込み、外周面26は蛍光材16を介して白色系に波長変換された光を外部に向けて出射させる役割を有している。
【0016】
蛍光枠体21の傾斜面25aと遮蔽板17の内側反射面18aとの間には内側反射空間27aが設けられ、蛍光枠体21の傾斜面26aと遮蔽板17の外側反射面18bとの間には外側反射空間27bが設けられる。このような反射空間27a,27bを有することで、反射効率が高められ、側面方向の光量や輝度を向上させることができる。傾斜面25aにあっては、発光部13側に対向する面が広くなると共に、内側反射面18aによって反射された光を受光することで、より多くの光を蛍光枠体21に取り込むことができる。一方、外側の傾斜面18bにあっては、蛍光材16によって波長変換された光が外側反射面18bで反射させることができ、外側反射面18bで反射された光と、遮蔽板17と並行に進む光とが混合されて側面方向を白色系の光でより明るく照明することができる。
【0017】
図3に示した蛍光枠体21の内側の傾斜面25a及び外側の傾斜面26aは、曲線状の断面形状を有しており、半径方向の断面形状が略放物線に近い形状となっている。このため、レンズ作用によって、発光部13から発せられる光を様々な角度で内側反射面18a及び外側反射面18bに向けて屈折及び反射させることができる。このような曲面状に限らず、
図4に示す蛍光枠体41のように、内周面42及び外周面43を直線状の断面形状を持つ複数の傾斜面42a,43aからなる多角面形状に形成することもできる。このように、蛍光枠体41の内周面42及び外周面43を多角面形状とすることで、遮蔽板17の内側反射面18a及び外側反射面18bによって反射される方向が不規則となり、それぞれの反射空間27a,27b内での乱反射作用によって側面方向に向かう光量や輝度を高めることができる。また、
図5に示す蛍光枠体45のように、内周面46を垂直面とし、外周面47のみに傾斜面47aを有するような構成にすることもできる。この構成によれば、複数の発光素子15から発せられる水平方向の光をそのまま蛍光枠体21の垂直な内周面46で受光した後、この受光した光の一部を傾斜面47aと遮蔽板17の外側反射面18bとの間の外側反射空間27bで反射させることができる。
【0018】
図6及び
図7は第2実施形態の側面照射型LED発光装置31を示したものである。本実施形態では、蛍光枠体51の下部に反射枠体32を備えた構成となっている。反射枠体32は、反射率の高い白色系樹脂によって形成される。反射枠体32は、蛍光枠体51が形成される部分に沿って、所定厚みの平坦状あるいは曲面状となるように、塗布又は印刷することによって形成することができる。蛍光枠体51は、反射枠体32を土台として、複数の発光素子15を覆うような高さに形成する。このように、蛍光枠体51の下部に反射枠体32を設けたことによって、マウント基板14の一端にマザーボード33を実装した際に、このマザーボード33の厚みに相当する部分が反射面として作用する。また、蛍光枠体51の外周面53の下端を前記マザーボード33と同じ高さかそれ以上に設定することができるので、蛍光枠体51から発せられる光のロスを低減させることができる。このため、反射枠体32の厚みは実装するマザーボード33の厚みに対応して設定するのが好ましい。さらに、蛍光枠体51の下部に反射枠体32を設けたことによって、発光素子15から発せられる光を蛍光枠体51の下部から傾斜面52a,53aに向けて反射させることができるので、遮蔽板17の反射面18での反射量が増加し、側面方向をさらに明るい白色系の光で照明することができる。
【0019】
以上説明したように、本発明の側面照射型LED発光装置によれば、複数の発光素子の外周に沿って設けられる蛍光枠体の外周面に傾斜面を設けたことによって、遮光板の反射面との間の反射効率を向上させることが可能となった。また、傾斜面の形状や角度等を設定することによって、各種の照明用途や環境に適した発光効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0020】
11 側面照射型LED発光装置
12 ベース基板
12a 上面
12b 側面
12c 下面
13 発光部
14 マウント基板
15 発光素子
15a PN接合部
16 蛍光材
17 遮蔽板
18 反射面
18a 内側反射面
18b 外側反射面
19 開口部
20 電極部
21 蛍光枠体
21a 上面
25 内周面
25a 傾斜面
26 外周面
26a 傾斜面
27a 内側反射空間
27b 外側反射空間
31 側面照射型LED発光装置
32 反射枠体
33 マザーボード
41 蛍光枠体
42 内周面
43 外周面
45 蛍光枠体
46 内周面
47 外周面
51 蛍光枠体
52a,53a 傾斜面