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特許7045203流体接続システムおよびそれを用いた凍結プローブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】流体接続システムおよびそれを用いた凍結プローブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20220324BHJP
【FI】
A61B17/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018010714
(22)【出願日】2018-01-25
(65)【公開番号】P2018126502
(43)【公開日】2018-08-16
【審査請求日】2020-07-31
(31)【優先権主張番号】17155740.8
(32)【優先日】2017-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】592245823
【氏名又は名称】エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Elektromedizin GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】アドラー・マルクス
(72)【発明者】
【氏名】アンデル・ハンナ
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0028182(US,A1)
【文献】特表平03-503244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
A61B 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1外径を有する同軸の第1流体搬送部(15)を、第2外径を有する同軸の第2流体搬送部(17)に接続する、凍結プローブ(10)における流体接続システム(16)であって、
前記第1流体搬送部(15)は、第1内側ライン(19)と、端が前記第1内側ライン(19)の端よりも突出している第1外側ライン(20)とを備え、
前記第2流体搬送部(17)は、第2外側ライン(22)と、端が前記第2外側ライン(22)の端よりも突出し、かつ、前記第1内側ライン(19)の内側に延在して前記第1内側ライン(19)と接続される第2内側ライン(21)とを備え、
前記流体接続システム(16)は、外側ラインソケット(23)を備え、
前記第1外側ライン(20)の端と前記第2外側ライン(22)の端とは、前記外側ラインソケット(23)を介して互いに接続され
前記外側ラインソケット(23)は、前記第1外側ライン(20)を保持する外周面(25)を有し、
前記第1内側ライン(19)と前記第2内側ライン(21)とは互いに接着される
流体接続システム。
【請求項2】
前記第1外側ライン(20)は前記外側ラインソケット(23)の前記外周面(25)に接着される
請求項に記載の流体接続システム。
【請求項3】
前記外側ラインソケット(23)は、前記第2外側ライン(22)を保持する開口部(29)を有する
請求項1または2に記載の流体接続システム。
【請求項4】
前記第2外側ライン(22)は前記開口部(29)の内面に接着される
請求項に記載の流体接続システム。
【請求項5】
前記外側ラインソケット(23)は、前記第1外側ライン(20)を保持する外周面(25)、前記第2外側ライン(22)を保持する開口部(29)および前記外周面(25)から前記開口部(29)の内面まで延在する孔(28)を有する
請求項1~のいずれか1項に記載の流体接続システム。
【請求項6】
前記孔(28)は接着剤溜である
請求項に記載の流体接続システム。
【請求項7】
前記第2外側ライン(22)の端は前記第1外側ライン(20)の内側に延在する
請求項1~のいずれか1項に記載の流体接続システム。
【請求項8】
前記流体接続システム(16)は、前記第1内側ライン(19)を保持する内側ラインソケット(32)を備える
請求項1~のいずれか1項に記載の流体接続システム。
【請求項9】
前記内側ラインソケット(32)は、前記第1内側ライン(19)用のシートを有し、前記シートは、前記第1内側ライン(19)の外面と連通し、かつ、接着剤用の液溜として構成される接着剤充填開口部(39)を有する
請求項に記載の流体接続システム。
【請求項10】
前記流体接続システム(16)は、前記第2内側ライン(21)を保持する内側ラインソケット(32)を備える
請求項1~のいずれか1項に記載の流体接続システム。
【請求項11】
前記内側ラインソケット(32)は、前記第2内側ライン(21)が貫通し、かつ、前記第1内側ライン(19)と連通する接着剤受入スペース(35)を備える
請求項10に記載の流体接続システム。
【請求項12】
前記流体接続システム(16)は、前記内側ラインソケット(32)に接続されたスペーサ(33)を備える
請求項11のいずれか1項に記載の流体接続システム。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の流体接続システムと、
前記第1流体搬送部(15)と、
前記第2流体搬送部(17)と、
を備える凍結プローブ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2本の同軸ラインを互いに接続する流体接続システム、特に、凍結プローブ用流体接続システムに関する。また、本発明は、本発明に係る流体接続システムを搭載した凍結プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
凍結プローブ、および、液体やガスなどの流体の供給が必要なその他の医療器具の場合、供給ラインを適切なアプリケータラインに接続しなければならないことが多い。
【0003】
これについて、米国特許出願公開第3439680号明細書では、近位端で供給ラインが、遠位端で凍結プローブのアプリケータラインが接続されるハンドピースを開示している。ハンドピースはこれにより、複数の同軸ラインを有するプローブの取り付け用に遠位端に配置された適切な流路と、並列に並んだ複数のラインとの接続用に近位側に配置された適切な流路とが設けられたシャントとなる。
【0004】
米国特許出願公開第3536075号明細書から周知のシステムは、同じ原理を満たしており、同じく近位側でライン並列接続し遠位側で同軸接続するハンドピースを備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような機器は開腹手術での利用に適しており、ハンドルで手動的に機器を操作し、当該ハンドルがシャントとなり得る。これらの装置は、腹腔鏡または内視鏡での利用には適していない。
【0006】
本発明の目的は、内視鏡利用に適した機器やプローブなどに適切な流体接続システムを提供することである。また、本発明の目的は、適切な凍結プローブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的は、請求項1に係る流体接続システムと請求項15に係る凍結プローブとにより実現できる。
【0008】
本発明に係る流体接続システムは、第1流体搬送部と第2流体搬送部との機械的接続であって流体を通す接続を形成する。これら2本の流体搬送部の直径は同じか、または、通常、異なっている。同軸流体搬送部はそれぞれ、内側ラインと外側ラインとを備え、各内側ラインはそれぞれの外側ラインの内腔を貫通している。流体搬送部は、たとえ外側ラインの内腔において内側ラインが全長またはその一部で真ん中から外れた配置であったとしても、とにかく内腔を貫通していれば「同軸」とみなされる。通常の利用では、流体は、内側ラインを遠位方向に流れ、外側ラインを近位方向に流れるので、逆方向に流れる。また、流れの方向は反転してもよいが、この場合、以下の明細書および請求項は同様に適用される。
【0009】
本発明に係る流体接続システムにおいて、第1流体搬送部の場合、外側ラインの端は、内側ラインの端よりも延在している。第2流体搬送部は、第1流体搬送部に対して遠位側に配置されている。第2流体搬送部では、内側ラインの近位端が外側ラインの近位端から突出している。2本の外側ラインの端はそれぞれ外側ラインソケットに接続される。
【0010】
内側ラインの端は内側ラインソケットに直接接続して保持されることが好ましい。内側ラインソケットと外側ラインソケットとはスペーサを介して互いに連結している。外側ラインソケットと内側ラインソケットとスペーサとは、接続部品を形成する。この接続部品は、単体の射出成形プラスチック部品として構成されてもよい。
【0011】
内側ラインソケットと外側ラインソケットとは軸方向に離れている。それと同時に、外側ラインの端の重なり部分と内側ラインの端の重なり部分も軸方向に離れている。
【0012】
本配置は極めてスリムな構造を表しており、特に、外径が異なる流体搬送部を接続するのに適している。遠位側、つまり、第2流体搬送部の外径は、第1、つまり、近位側の流体搬送部の外径より小さいことが好ましい。特に、直径が異なることによって遠位側凍結プローブ用カテーテルで用いるのにとてもスリムな構造が可能になる一方、近位側の流体搬送部の直径を十分に大きくして好流条件を可能に、具体的には、流れ抵抗を小さくしてもよい。
【0013】
双方の流体搬送部で用いられる接続のコンセプトは、外側ラインは外部ラインソケットを介して互いに間接接続され、内側ラインは互いに直接接続されるとするのが好ましい。第1、つまり、近位側の外側ラインを接続するために、外側ラインソケットは、第1外側ラインを取り付けるシートとなる外周面を有する。シートは、リブ、凸部、凹部などを有するように構成してもよい。特に、第1外側ラインを外側ラインソケットの外周面に接着させてもよい。接着接続は、接着剤を用いて、例えばUV光で硬化させることにより実現されることが好ましく、当該硬化は外側から始まる。
【0014】
外側ラインソケットは、第2、つまり、遠位側の外側ラインを保持する開口部を有することが好ましい。また、この外側ラインは開口部の内面に接着されるのが好ましい。外側ラインソケットは、外周面から開口部の内面まで延在し、好ましくは接着剤溜として機能する孔を有してもよい。これにより、2本の外側ラインを、外側ラインソケットに接着させる圧力抵抗性で信頼できるシンプルな処理で互いに接続させることができる。第2流体搬送部を外側ラインソケットへ挿入した後の接続確立中は、孔と接着剤溜がそれぞれ接着剤で満たされている。その場合、接着剤は、毛細管力により、第2外側ラインと外側ラインソケットとの間の接合ギャップに移動する。これを実現するため、接合ギャップと接着剤とは、接合ギャップが毛細管力により流路開口部の全周および全長にわたって接着剤で埋められるよう互いに構成される。
【0015】
組み立て中、起こり得る製品ばらつきに関係なく、外側ラインソケットと第2外側ラインとの間のギャップを埋めるのに、とにかく、接着剤が足りるよう十分な量の接着剤を接着剤溜に充填してもよい。これは、接着接続を確立する安全な処理に寄与する。さらに、接着剤が十分であれば外周面も湿らせることができ、接着剤が硬化次第、当該外周面に滑り込ませた外側ラインは外周面に接着するであろう。また、別途、外周面、例えば、周囲方向に延在する溝が設けられている領域に接着剤を塗布してもよい。
【0016】
これにより、外側ラインの軸方向配列と拡張は、第2外側ラインの端が第1外側ラインの内側に延在する、つまり、双方の外側ラインの端が重なり合うようなものであることが好ましい。具体的には、接着剤溜が、第1外側ラインの内面と第2外側ラインの外面の間に配置され、この結果、これも同様に、接着接続を提供する安全な処理に寄与する。外側ラインソケットは、直径が異なる外側ラインの橋渡しをする。
【0017】
また、2本の流体搬送部の内側ラインは互いに直接接着されることが好ましい。その場合、これを実現するために、第2内側ラインの近位端は第1内側ラインの遠位端の内側に延在する、つまり、第2内側ラインの端を第1内側ラインの端で受けることが好ましい。第1内側ラインの遠位端は、接続部品の一部である内側ラインソケットであって同じく接続部品の一部である外側ラインソケットにスペーサを介して連結されている内側ラインソケットに保持されるのが好ましい。
【0018】
第1内側ラインを取り付けるために、内側ラインソケットは管状のシートを有しており、この管状シートは、第1内側ラインの外面と連通する、好ましくは半径方向の接着剤充填開口部を備えている。ここに注入される接着剤が、内側ラインソケットの管状シートと内側ラインとの間に形成されるキャピラリーギャップに入り込み、管状シートを第1内側ラインの外面に接続する。
【0019】
内側ラインソケットは第2接着剤充填開口部を有することが好ましい。これは、例えば、第2内側ラインが貫通する接着剤受入スペース(ウェル)の端で形成される。このウェルは、管状シートに隣接し、内側ラインソケットの外側ラインソケットと対向する側に配置される。ウェルは接着剤溜となり、そこから接着剤が、第2内側ラインの外面と第1内側ラインの内面との間に形成される中間スペースに浸透してもよい。このギャップの幅は、接着剤が浸透または取り込まれるキャピラリーギャップとなるようなものであることが好ましい。このように、2本の内側ライン間の接着接続は、内側ラインを接続部品に挿入した後接着剤を接着剤充填開口部に充填するといった点でシンプルかつ安全な処理で可能である。
【0020】
外側ラインソケットと内側ラインソケットとの間を離すスペーサを用いて内側ラインソケットを外側ラインソケットに連結させることが好ましい。この距離によって、2本の外側ライン間の流体接続が可能である。このコンセプトにより、接続部品をずれることなく製造でき、プラスチック材料からなる射出成形完成部品という形で特にシンプルに製作できる。
【0021】
本発明の実施形態のさらなる詳細は、明細書または図面の主題である。記載された実施形態の個々の特徴は、全体的な文脈に関係なく解釈される場合、発明的重要性があってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、内視鏡利用に適した機器やプローブなどに適切な流体接続システム、適切な凍結プローブを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、遠位側プローブ部分と近位側流体供給部との間に流体接続システムを備えた本発明に係る凍結プローブの概略斜視図である。
図2図2は、図1における凍結プローブの流体接続システムを別の方向から見た斜視図である。
図3図3は、組み立て前の、図2における流体接続システムの分解図である。
図4図4は、図2および図3における流体接続システムの部分断面斜視図である。
図5図5は、図2図4における流体接続システムの縦断面図である。
図6図6は、本発明に係る流体接続システムを一部変更したさらに別の実施形態の縦断面図である。
図7図7は、本発明に係る流体接続システムを一部変更したさらに別の実施形態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、内視鏡利用にて用いられる凍結プローブ10を示している。図1における右側を近位側、左側を遠位側と呼ぶ。なお、後述する図2から図7では、右側が遠位側となり、左側が近位側となる。凍結プローブ10は、近位側に、液体またはガス状流体を供給または排出できるプラグピン12、13、14を有する流体プラグ11を備えている。流体プラグ11から順に、まず、流体接続システムにつながる同軸の第1流体搬送部15がある。この流体接続システムは接続部品16で実装されるのが好ましい。以下、接続部品16を流体接続システム16とも呼ぶ。第2流体搬送部17は、接続部品16から離れる遠位方向に延在している。第2流体搬送部17の遠位端には、エフェクタ、例えば、凍結ヘッド18が設けられている。図1の図は、縮尺どおりではない。第1流体搬送部15の長さは最大数メートルでもよい。また、第2流体搬送部17は長くてもよく、数デシメートルから1メートル以上でもよい。具体的な長さは、所望の利用状況による。
【0025】
図2および図3から推測できるように、2本の流体搬送部15、17は同軸配列である。第1流体搬送部15は、第1内側ライン19と第1外側ライン20とを備える。後者はUV透過性プラスチックからなることが好ましい。第1流体搬送部15において、第1内側ライン19は、第1外側ライン20の内腔を貫通している。この場合、第1外側ライン20の内腔径は第1内側ライン19の外径より十分に大きい。第1内側ライン19は、第1外側ライン20の内腔内に遊びをもって配置される。たとえ第1内側ライン19が第1外側ライン20の真ん中にないとしても、これは同軸配列とみなされる。
【0026】
同様のことが、互いに同軸になるように配置された第2内側ライン21と第2外側ライン22とを備える第2流体搬送部17にも当てはまる。これは、第2内側ライン21が第2外側ライン22の内腔を貫通していることを意味し、厳密に真ん中で延在する必要はない。第2内側ライン21の外面と第2外側ライン22の内面は離れているので、存在する環状スペースが流体帰還として機能してもよい。
【0027】
第1内側ライン19は、流体プラグ11のプラグピン12~14のうちの1つと接続される。流体搬送ラインである第1外側ライン20は、プラグピン12~14のうちの他の1つと接続される。第1内側ライン19および第1外側ライン20のフリーフロー断面は、第2内側ライン21および第2外側ライン22のフリーフロー断面より実質的に大きい。同様に、第2流体搬送部17の外径は、第1流体搬送部15の外径より小さいことが好ましい。第1外側ライン20は、第1内側ライン19の端よりも突出している(なお、図3では、第1内側ライン19の端が見えるように、第1外側ライン20の遠位側を透明にしている)。
【0028】
流体接続システムは、組み立て前の図3、組み立て後の図4および図5から推測できる。当然のことながら、当該システムは、UV透過性プラスチックからなることが好ましい接続部品16で実装されることが好ましく、当該接続部品は、外側ラインソケット23として実装されるコネクタ状の部分を1つ有する。これは、カラー24で終端になる外周面25の境界を定めるカラー24を有し、外周面25は第1外側ライン20のシートとなる。外周面25は円筒状でも、好ましくは周囲に数個の溝26と任意選択で1以上のリブ27とを有する図示しているような構造でもよい。断面外形が鋸歯状であることにより、外側ライン20を外周面25に滑り込ませることはできるが引き抜きにくい。
【0029】
外周面25から、半径方向の孔28が、第2外側ライン22とこれらのシートとを取り付ける軸方向の流路開口部29まで延在している。流路開口部29は、流路開口部29の直径がわずかに小さくなるステップ30まで延在している。しかしながら、縮小内径は、第2内側ライン21の外径より実質的に大きく、少なくとも第2外側ライン22の内径と同じ大きさであることが好ましい。組み立てた状態において、第2外側ライン22の近位側の面は当該ステップに当接し、第2内側ライン21は、半径方向に遊びをもちながら、流路開口部29を貫通している。
【0030】
流路開口部29の内面と第2外側ライン22の外面との間にはキャピラリーギャップが形成される。このギャップの幅は、孔28に充填された硬化性接着剤31がギャップに移動して漏れ出ることなく流路開口部29の面側遠位端にメニスカスを形成できる程度の大きさである。
【0031】
当然ながら、ステップ30は、遠位方向から見ると、孔28の向こう側に配置されているので、孔28は第1外側ライン20の内側から第2外側ライン22の外側まで延在している。孔28は、ステップ30とカラー24との間に位置する。つまり、第2外側ライン22の端が第1外側ライン20に差し込まれる。また、孔28に充填された接着剤31は外周面25と、任意選択で溝26とを湿らせるので、接合状態において、流体接続システム16の外側ラインソケット23を介在した第1外側ライン20と第2外側ライン22との接着結合が形成される。
【0032】
第2内側ライン21は第2外側ライン22の近位端から突出し、第1内側ライン19の遠位端内まで延在している。ただし、第1内側ライン19自体は第1外側ライン20で明らかに覆われている。第1内側ライン19の遠位端は、1以上のスペーサ33を介して外側ラインソケット23と連結されている内側ラインソケット32が受ける。
【0033】
内側ラインソケット32は、内径が第1内側ライン19の外径よりごくわずかにだけ大きい管状部分で形成される。内側ラインソケット32の管形状部分は、環状肩部34から接着剤受入スペース(ウェル部)35へと変化する。このウェル部35は、接着剤充填開口部36を有し、スペーサ33に向かう方向は壁37で閉じられている。この壁37は、直径が、第2内側ライン21の直径より大きいことが好ましい開口部38を有する。開口部38の直径は、環状肩部34の内径と少なくとも同じであることが好ましい。この結果、射出成形部品の形で接続部品16を製作する特にシンプルな射出成形機を設計できる。第2内側ライン21は、この開口部38とウェル部35とを貫通し、さらに、内側ラインソケット32も貫通する。
【0034】
内側ラインソケット32は、管状の内側ラインソケット32の壁を半径方向に貫通し、接着剤充填開口部36に隣り合うことが好ましい接着剤充填開口部39を少なくとも1つ有することが好ましい。内側ラインソケット32の内面と第1内側ライン19の外面との間には、接着剤が漏れ出ることなくキャピラリーギャップに取り込まれる程度の幅のキャピラリーギャップが形成されるのが好ましい。接着剤は、内側ラインソケット32の近位側の面に適切なメニスカスを形成することが好ましい。同様に、ウェル部35に与えられた接着剤が第2内側ライン21の近位端に到達することなくまたはその近位端を塞ぐことなく当該接着剤を円筒状の環状ギャップが取り込むように、第1内側ライン19の内径と第2内側ライン21の外径とが互いに合わさる。
【0035】
開口部38の直径は、ウェル部35が液体の接着剤で満たされた後にウェル部35から接着剤41が勝手に漏れ出ないような大きさであることが好ましい。
【0036】
上記記載の流体接続システム16は、図3および図4を参照しながら説明したように製造される。
【0037】
図3に係る流体接続システム16について、まず、第2流体搬送部17を、第2内側ライン21が内側ラインソケット32を突き抜けかつ第2外側ライン22がステップ30に当接するまで挿入する。そして、第1内側ライン19を環状肩部34からなるストッパーまで第2内側ライン21の外側かつ内側ラインソケット32の内側に滑り込ませて、第1流体搬送部15を流体接続システム16に取り付ける。ここで、接着剤31、40、41をそれぞれ、孔28、接着剤充填開口部39、接着剤充填開口部36に充填する。その際に、接着剤31は流路開口部29の内面と第2外側ライン22の外面とを湿らせる。また、接着剤40は第1内側ライン19の外面と内側ラインソケット32の内面とを湿らせる。接着剤充填開口部36を介して注入された接着剤41は、第2内側ライン21の外面を湿らせ、2本の内側ライン19、21間の中間スペースに浸透する。第1外側ライン20を外周面25に滑り込ませる時には、さらに別の接着剤が溝26と外周面25とにそれぞれ塗布される。そして、接着剤31、40、41の硬化が始まる。これは、UV放射によって実現されることが好ましい。そのため、第1外側ライン20および/または流体接続システム16、つまり、この射出成形部品を形成しているプラスチックは、UV光を透過するように、かつ/または、UV光を伝導するようにできている。
【0038】
接着剤が硬化した後、耐久性のある強固な圧力抵抗性の接続が第1流体搬送部15と第2流体搬送部17との間に形成される。
【0039】
本発明に係る流体接続システム16はプラスチック製の単体射出成形部品で構成され、当該射出成形部品には、同軸第1流体搬送部15と同軸第2流体搬送部17とが取り付けられ、これら2本の流体搬送部15、17を互いに接着させる圧力抵抗性の安全な処理を可能にする接着剤溜がいくつか設けられている。当該流体接続システムは、たった一つの部品、つまり、接続部品16に高機能集積したことで他とは異なる特徴を有する。また、接続部品16を用いて接着接続することにより、機械的引張強さを見せる2本の流体搬送部15、17の接続が実現される。
【0040】
図6は、本発明に係る流体接続システム16を一部変更したさらに別の実施形態であり、上述した説明を同様に適用する。本実施の形態では、さらに、第2内側ライン21に位置するバリア42を有している。当該バリア42は、フリクションロック方式により第2内側ライン21に固定され、例えば、ゴム製またはプラスチック製ディスクで形成される。バリア42は、結合処理中に開口部38と接するようになり、接着処理中における接着剤の漏れを防ぐ。接着剤が硬化した後は、バリア42にはもう何の機能もない。
【0041】
流体接続システム16を一部変更したさらに別の実施形態を図7に示す。この場合もまた、上述した説明を同様に適用する。本実施の形態では、さらに、環状肩部34より、また、流路開口部29より狭くてもよい開口部38が用いられる。特に、開口部38は漏斗状でもよい。つまり、一方では、第2内側ライン21を接続部品16に挿入しやすくするため、他方では、接着処理を処理しやすくするため、開口部29に向けて円錐形に広がるように構成してもよい。
【0042】
上述した流体接続システム16はそれぞれ、平面接着により実現されることが好ましい、接続して封止することが必要なインターフェースを数個(具体的には4つ)だけ備えている。当該構造であれば、部品のサイズおよび寸法を互いに適合させるのに必要最低限の適合しか必要としない。また、本発明に係る接続システムにより、組み立てを迅速にし、組み立て時の労力を最小限にすることができる。これは、必要部品にかかる費用が低くなるため、製品コストの削減につながる。最後に、接続システムのサイズおよび重量が削減される。本発明により、シンプルな封止接続技術の使用、特に、接着(例えば、UV硬化接着、キャピラリーギャップを埋める毛細管効果の利用)による接続が可能になる。接着により接続して封止するのでばらつきを補償することができ、そのため、使用される部品、特に、内側ライン19、21および外側ライン20、22の精度に関する要件はより少なくなる。例えば、内側ライン19、21は軸方向に押し離されてもよい(例えば、数センチメートル)。これにより、たとえ2本の内側ライン19、21の間に形成されたキャピラリーギャップが理想のものよりも大きかったとしても、第2内側ライン21の開口端に接着剤が流れ込むのを防ぐことができる。この場合も先と同様に、必要部品が少なくなる。また、接着によって封止されるので、例えば、封止材を押し付けるのに必要となる部品がない。同様に、Oリングなどの個別封止材を省くことができる。所定の接着剤用ウェル(接着剤溜)を用いることにより、接着処理を自動化でき、信頼できる処理が保証される。接着剤を用いることにより、ガス供給は、ガス帰還に対して最大130気圧まで密閉される。
【0043】
金属ではなくプラスチックを用いることにより、具体的には、射出成形プラスチック部品を用いることにより、部品コストおよび材料費をより抑えることができる。
【符号の説明】
【0044】
10 凍結プローブ
11 流体プラグ
12、13、14 プラグピン
15 第1流体搬送部
16 接続部品/流体接続システム
17 第2流体搬送部
18 凍結ヘッド
19 第1内側ライン
20 第1外側ライン
21 第2内側ライン
22 第2外側ライン
23 外側ラインソケット
24 カラー
25 外周面
26 溝
27 リブ
28 半径方向の孔
29 軸方向の流路開口部
30 ステップ
31 接着剤
32 内側ラインソケット
33 スペーサ
34 環状肩部
35 ウェル部
36 接着剤充填開口部
37 壁
38 開口部
39 接着剤充填開口部
40、41 接着剤
42 バリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7