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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】オープンラック式熱交換装置の溶射方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 19/06 20060101AFI20220324BHJP
   F28F 1/32 20060101ALI20220324BHJP
   F28D 3/02 20060101ALI20220324BHJP
   C23C 4/02 20060101ALI20220324BHJP
   C23C 4/12 20160101ALI20220324BHJP
   C23F 13/02 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
F28F19/06 A
F28F1/32 G
F28D3/02
C23C4/02
C23C4/12
C23F13/02 A
C23F13/02 J
F28F1/32 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018053885
(22)【出願日】2018-03-22
(65)【公開番号】P2019168120
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000183369
【氏名又は名称】住友精密工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平山 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】早田 剛
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-189507(JP,A)
【文献】特開2018-025238(JP,A)
【文献】特開2017-166771(JP,A)
【文献】特開2005-265393(JP,A)
【文献】特開2014-157009(JP,A)
【文献】特開2017-166813(JP,A)
【文献】特開2011-237152(JP,A)
【文献】特開2007-078237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 19/06
F28F 1/12
F28D 3/02
C23C 4/02
C23C 4/12
C23F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並び方向に並ぶことにより熱交換パネルを構成する複数の伝熱管の表面に対し、前記伝熱管よりも卑な金属からなる溶射材を溶射することによって、前記伝熱管の表面に犠牲陽極層を形成するオープンラック式熱交換装置の溶射方法であって、
前記伝熱管は、本体と、前記本体の外周面から外方に突出しかつ、隣の伝熱管に接する一対の当接フィンと、前記当接フィンと前記当接フィンとの間で、周方向に間隔を空けて配設されかつ、前記本体の外周面から外方に突出する複数の放熱フィンとを有し、
前記溶射材を前記熱交換パネルの表面に溶射する溶射処理を行うステップと、
前記溶射処理の前に、前記熱交換パネルの表面にブラスト材を吹き付けるブラスト処理を行うステップと、を備え、
前記並び方向に隣り合う任意の伝熱管を、第一の伝熱管及び第二の伝熱管としたときに、
前記第一の伝熱管における前記当接フィンに隣接する放熱フィンの前記本体に対する付け根を通ると共に、当該放熱フィンの前記特定のフィン面に接する接線と、
前記第二の伝熱管において、前記複数の放熱フィンそれぞれの先端と前記第一の伝熱管の前記付け根とを通る線の内、前記接線との成す角度が最も小さくなる制限線と、
をそれぞれ仮想的に定め、
前記接線と前記制限線との成す角度θを、20度プラス20度から、20度マイナス10度までの範囲に設定し、
前記ブラスト処理において、前記接線と前記制限線との間を通じて、前記ブラスト材を前記特定のフィン面に吹き付け、
前記溶射処理において、前記接線と前記制限線との間を通じて、前記溶射材を前記特定のフィン面に吹き付け、
前記溶射材の吹き付け角度と、前記ブラスト材の吹き付け角度とを同程度にするオープンラック式熱交換装置の溶射方法。
【請求項2】
請求項1に記載のオープンラック式熱交換装置の溶射方法において、
前記角度θは、以下の式を満足する
20-10(deg) ≦角度θ(=θ-θ)≦20+20(deg)
但し、θ>θ、tanθ=H/L
θは、前記並び方向に対する前記接線の角度
θは、前記並び方向に対する前記制限線の角度
Hは、前記並び方向に直交する方向において、前記付け根から前記制限線に接する放熱フィンの先端までの距離
Lは、前記並び方向において、前記付け根から前記制限線に接する放熱フィンの先端までの距離
オープンラック式熱交換装置の溶射方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のオープンラック式熱交換装置の溶射方法において、
前記当接フィンに隣接する放熱フィンにおいて、特定のフィン面の層厚が、当該特定のフィン面とは反対のフィン面の層厚よりも薄いオープンラック式熱交換装置の溶射方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のオープンラック式熱交換装置の溶射方法において、
前記複数の放熱フィンの高さは同じであるオープンラック式熱交換装置の溶射方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のオープンラック式熱交換装置の溶射方法において、
前記複数の放熱フィンは放射状に配置されているオープンラック式熱交換装置の溶射方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、オープンラック式熱交換装置の溶射方法、及び、オープンラック式熱交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、オープンラック式熱交換装置の一つとしてのオープンラック式気化器の耐食構造が記載されている。オープンラック式熱交換装置は、アルミニウム合金により構成された伝熱管を複数並べて熱交換パネルとし、各伝熱管内に液化天然ガスを流すと共に、熱交換パネルの表面に、熱媒体としての海水を流下させる。
【0003】
海水に接する伝熱管の腐食を防止するために、特許文献1のオープンラック式気化器には、伝熱管よりも卑な金属からなる犠牲陽極層を、伝熱管の表面に形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-2223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
犠牲陽極層は、伝熱管を並べて熱交換パネルに組み立てた後、伝熱管の表面に溶射材を溶射することによって形成される場合がある。また、オープンラック式熱交換装置を使用することにより劣化した犠牲陽極層を補修するために、伝熱管の表面に溶射材を溶射する場合もある。尚、伝熱管の表面をクラッド材によって覆うことにより形成した犠牲陽極層を、溶射によって補修する場合もある。
【0006】
ここで、伝熱管は、本体から複数のフィンが外側に突出する形状である。熱交換パネルの表面に溶射材を溶射しようとしたときに、溶射ガンと他のフィンとが干渉することによって、特定のフィンにおける、特定のフィン面の少なくとも一部に対して溶射材を吹き付ける角度が浅くなってしまう(つまり、角度が小さくなってしまう)場合がある。溶射材を吹き付ける角度が浅くなってしまうと、犠牲陽極層の密着強度が低下してしまう。
【0007】
例えば日本工業規格(JIS)においては、溶射処理における溶射材の吹き付け角度は、90度が原則であり、45度以下は避けるべきと記載されている(JIS H 8300 付属書JA 溶射作業標準)。
【0008】
フィン面に犠牲陽極層を良好に形成するために、溶射材を吹き付ける角度が深くなるよう(つまり、角度が大きくなるよう)、フィンの高さを低くしたり、フィンの角度を変更したりすることが考えられる。しかしながら、フィンの高さを低くすると、フィンの表面積が小さくなるから熱交換パネルの熱交換能力が低下してしまう。また、フィンの角度を変更すると、隣り合うフィン同士の隙間が狭くなることによって氷着により閉塞しやすくなり、熱交換パネルの熱交換能力に影響が及ぶ場合がある。
【0009】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、オープンラック式熱交換装置の熱交換パネルに、溶射によって犠牲陽極層を良好に形成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
伝熱管の表面に溶射材を溶射する溶射処理を行う前に、伝熱管の表面を粗面化するために、表面にブラスト材を吹き付けるブラスト処理が行われる。本願発明者の検討によると、溶射処理における溶射材の吹き付け角度が、例えば20度程度の、JISに記載された90度の吹き付け角度に比べて大幅に浅い角度であっても、ブラスト処理におけるブラスト材の吹き付け角度を、溶射材の吹き付け角度と同程度の浅い角度(つまり、20度程度)に設定することにより、要求される密着強度が確保された、犠牲陽極層を形成することができることを見出した。この知見から、本願発明者は、ここに開示する技術を完成するに至った。
【0011】
具体的に、ここに開示する技術は、並び方向に並ぶことにより熱交換パネルを構成する複数の伝熱管の表面に対し、前記伝熱管よりも卑な金属からなる溶射材を溶射することによって、前記伝熱管の表面に犠牲陽極層を形成するオープンラック式熱交換装置の溶射方法に係る。
【0012】
前記伝熱管は、本体と、前記本体の外周面から外方に突出しかつ、隣の伝熱管に接する一対の当接フィンと、前記当接フィンと前記当接フィンとの間で、周方向に間隔を空けて配設されかつ、前記本体の外周面から外方に突出する複数の放熱フィンとを有している。
【0013】
前記溶射方法は、前記溶射材を前記熱交換パネルの表面に溶射する溶射処理を行うステップと、前記溶射処理の前に、前記熱交換パネルの表面にブラスト材を吹き付けるブラスト処理を行うステップと、を備え、前記当接フィンに隣接する放熱フィンにおいて、前記当接フィン側を向いた特定のフィン面に対して、前記ブラスト材を吹き付ける角度と、前記溶射材を吹き付ける角度とを、20度にする、又は、20度プラス20度以下でかつ20度マイナス10度以上の範囲に定める。
【0014】
尚、「当接フィン」は、隣の伝熱管に接する機能だけでなく、放熱の機能も有しているフィンである。この点で、「当接フィン」は、「放熱フィン」の範疇に含まれる。
【0015】
また、この溶射方法は、熱交換パネルを製造する際に行うことによって、犠牲陽極層を形成する際に行われる。また、この溶射方法は、溶射により形成された犠牲陽極層、又は、クラッド材からなる犠牲陽極層を、補修する際に行われる。
【0016】
前記の構成によると、伝熱管の表面にブラスト材を吹き付けるブラスト処理を行った後、溶射材を熱交換パネルの表面に溶射する溶射処理を行うことにより、伝熱管よりも卑な金属からなる犠牲陽極層が、伝熱管の表面に形成される。
【0017】
特定のフィン面に対するブラスト処理は、ブラスト材の吹き付け角度を、20度、又は、20度プラス20度以下でかつ20度マイナス10度以上の範囲(つまり、10度以上40度以下の範囲)に定める。ブラスト材の吹き付け角度は、JIS H8300 付属書JAに記載された吹き付け角度(60度から90度)に比べて、大幅に小さい。
【0018】
特定のフィン面に対する溶射処理は、溶射材の吹き付け角度を、20度、又は、20度プラス20度以下でかつ20度マイナス10度以上の範囲(つまり、10度以上40度以下の範囲)に定める。溶射材の吹き付け角度も、JISに記載された吹き付け角度(原則90度)に比べて、大幅に小さい。ブラスト材の吹き付け角度と、溶射材の吹き付け角度とは同程度である。
【0019】
ブラスト材の吹き付け角度を、フィン面に対して浅い角度に設定した上で、溶射材の吹き付け角度を、ブラスト材の吹き付け角度と同程度の角度にすれば、溶射材の吹き付け角度がフィン面に対して浅い角度であっても、当該フィン面に形成される犠牲陽極層の密着強度が高まり、所望の密着強度を確保することが可能になる。
【0020】
これは、ブラスト材の吹き付け角度が浅い角度に制限された場合、フィン面に形成される凹凸が若干立ち上がりかつ一定の向きに揃うことになり、そこに、同程度の角度で、溶射材が吹き付けられる結果、凹凸部分に溶射材が付着しやすく、溶射材がフィン面に密着するようになり、犠牲陽極層の密着強度が高まると考えられる。
【0021】
前記の構成では、オープンラック式熱交換装置の熱交換パネルに、溶射によって犠牲陽極層を良好に形成することができる。
【0022】
また、ブラスト材及び溶射材の吹き付け角度を、比較的浅くすることが許容されるため、放熱フィンの高さを低くしたり、放熱フィンの角度を変更したりすることにより、溶射ガンとフィンとの干渉を避ける必要がなくなる。放熱フィンの高さを、所望の高さまで高くすることにより、熱交換パネルの熱交換性能を高めることができる。また、放熱フィンと放熱フィンとの間隔を広めにすることにより、フィンとフィンとの間が氷により閉塞することが抑制される。
【0023】
ここで、ブラスト材の吹き付け角度、及び、溶射材の吹き付け角度は、20度程度(15~20度)にすることが好ましい。本願発明者の検討によれば、ブラスト材の吹き付け角度、及び、溶射材のブラスト角度が10度を下回ると、吹き付け角度が浅くなり過ぎて、犠牲陽極層を良好に形成することが難しくなる。また、ブラスト材の吹き付け角度、及び、溶射材の吹き付け角度は、深い方が、犠牲陽極層の形成には有利になるが、40度を超える吹き付け角度を確保しようとすると、伝熱管の放熱フィンの高さを大幅に低くしたり、放熱フィンの角度を大きく変更したりしなければならない場合がある。吹き付け角度を40度以下にすると、犠牲陽極層を良好に形成することと、熱交換パネルの熱交換性能を高くすることを、両立させることができる。吹き付け角度を20度程度にすると、犠牲陽極層を良好に形成することと、熱交換パネルの熱交換性能を高くすることを、より高いレベルにおいて両立させることができる。特定のフィン面に対して、ブラスト材を吹き付ける角度と、溶射材を吹き付ける角度とは、15度プラス15度以下でかつ15度マイナス5度以上の範囲に定めてもよい。
【0024】
尚、当接フィンに隣接する放熱フィンの特定のフィン面以外の箇所に対して、ブラスト材の吹き付け角度、及び、溶射材の吹き付け角度を深くすることができるのであれば、深い吹き付け角度で、ブラスト材及び溶射材を伝熱管の表面に吹き付けてもよい。吹き付け角度を深くすることにより、伝熱管の表面に犠牲陽極層を良好に形成することができる。
【0025】
前記溶射方法は、前記並び方向に隣り合う任意の伝熱管を、第一の伝熱管及び第二の伝熱管としたときに、前記第一の伝熱管における前記当接フィンに隣接する放熱フィンの前記本体に対する付け根を通ると共に、当該放熱フィンの前記特定のフィン面に接する接線と、前記第二の伝熱管において、前記複数の放熱フィンそれぞれの先端と前記第一の伝熱管の前記付け根とを通る線の内、前記接線との成す角度が最も小さくなる制限線と、をそれぞれ仮想的に定め、前記接線と前記制限線との成す角度θを、20度プラス20度から、20度マイナス10度までの範囲に設定し、前記ブラスト処理において、前記接線と前記制限線との間を通じて、前記ブラスト材を前記特定のフィン面に吹き付け、前記溶射処理において、前記接線と前記制限線との間を通じて、前記溶射材を前記特定のフィン面に吹き付け、前記溶射材の吹き付け角度と、前記ブラスト材の吹き付け角度とを同程度にする。
【0026】
前記の「制限線」は、第一の伝熱管において、当接フィンに隣接する放熱フィンの特定のフィン面に、ブラスト材及び溶射材を吹き付ける際の吹き付け角度の上限を規定する線である。つまり、ブラスト材及び溶射材の吹き付け角度を制限線よりも深くしようとしても、第二の伝熱管の放熱フィンと溶射ガンとが干渉してしまい、前記特定のフィン面が死角になる。
【0027】
制限線は、言い換えると、ブラスト材及び溶射材を吹き付ける際の吹き付け角度θの上限又は下限を、所定の角度に定めたときに(前記の構成では、θの上限は20度プラス20度の40度、θの下限は20度マイナス10度の10度)、伝熱管の放熱フィンの高さや位置を制限するための線ということができる。つまり、伝熱管の放熱フィンは、制限線を超えない範囲で、その高さ、位置及び、角度を設定することができる。
【0028】
そして、接線と制限線との成す角度θが、20度プラス20度から、20度マイナス10度までの範囲になるよう、伝熱管の形状を定めることにより、ブラスト処理において、接線と制限線との間を通じて、ブラスト材を特定のフィン面に吹き付けるようにすれば、ブラスト材の吹き付け角度を、20度プラス20度から、20度マイナス10度までの範囲内で定めることができる。同様に、溶射処理において、接線と制限線との間を通じて、溶射材を特定のフィン面に吹き付けることにより、溶射材の吹き付け角度を、20度プラス20度から、20度マイナス10度までの範囲内で定めることができる。その結果、特定のフィン面に対して、犠牲陽極層を良好に形成することが可能になる。
【0029】
前記角度θは、以下の式を満足する、としてもよい。つまり、
20-10(deg) ≦角度θ(=θ-θ)≦20+20(deg)
但し、θ>θ、tanθ=H/L
θは、前記並び方向に対する前記接線の角度
θは、前記並び方向に対する前記制限線の角度
Hは、前記並び方向に直交する方向において、前記付け根から前記制限線に接する放熱フィンの先端までの距離
Lは、前記並び方向において、前記付け根から前記制限線に接する放熱フィンの先端までの距離
としてもよい。
【0030】
こうすることで、前述したように、ブラスト材の吹き付け角度を、20度プラス20度から、20度マイナス10度までの範囲内で定めることができると共に、溶射材の吹き付け角度を、20度プラス20度から、20度マイナス10度までの範囲内で定めることができる。
【0031】
前記当接フィンに隣接する放熱フィンにおいて、特定のフィン面の層厚が、当該特定のフィン面とは反対のフィン面の層厚よりも薄い、としてもよい。
【0032】
特定のフィン面は、吹き付け角度が相対的に浅くなり、特定のフィン面とは反対のフィン面は、吹き付け角度が相対的に深くなる。当接フィンに隣接する放熱フィンにおいては、特定のフィン面の層厚が、当該特定のフィン面とは反対のフィン面の層厚よりも薄くなりやすい。
【0033】
ここで、伝熱管の表面に形成される層は、犠牲陽極層であるため、必要最小限の層厚が確保されていれば、層厚の不均一性は許容される。つまり、犠牲陽極層は、層厚の不均一であっても、層厚が厚い箇所において防食電流が流れるため、伝熱管の腐食を防止することができる。
【0034】
前記複数の放熱フィンの高さは同じである、としてもよい。
【0035】
放熱フィンの高さが高くても、溶射によって良好な犠牲陽極層を形成することが可能であるため、複数の放熱フィンの高さを、十分に高くすることによって、熱交換パネルの熱交換性能を高めることが可能になる。
【0036】
前記複数の放熱フィンは放射状に配置されている、としてもよい。
【0037】
複数の放熱フィンを、本体の周方向に均等又は略均等に配設することによって、放熱フィンと放熱フィンとの間における氷による閉塞を緩和することができる。
【0038】
ここに開示する技術はまた、並び方向に並ぶことにより熱交換パネルを構成する複数の伝熱管を備えたオープンラック式熱交換装置に係る。
【0039】
このオープンラック式熱交換装置において、前記伝熱管は、本体と、前記本体の外周面から外方に突出しかつ、隣の伝熱管に接する一対の当接フィンと、前記当接フィンと前記当接フィンとの間で、周方向に間隔を空けて配設されかつ、前記本体の外周面から外方に突出する複数の放熱フィンとを有し、前記伝熱管の表面には、前記伝熱管よりも卑な金属からなる犠牲陽極層が形成されている。
【0040】
そして、前記並び方向に隣り合う任意の伝熱管を、第一の伝熱管及び第二の伝熱管としかつ、前記第一の伝熱管の前記当接フィンに隣接する放熱フィンにおいて、前記当接フィン側を向いたフィン面を特定のフィン面としたときに、前記第一の伝熱管における前記当接フィンに隣接する放熱フィンの前記本体に対する付け根を通ると共に、当該放熱フィンの前記特定のフィン面に接する接線と、前記第二の伝熱管において、前記複数の放熱フィンそれぞれの先端と前記第一の伝熱管の前記付け根とを通る線の内、前記接線との成す角度が最も小さくなる制限線と、をそれぞれ仮想的に定め、前記接線と前記制限線との成す角度θが、20度プラス20度から、20度マイナス10度までの範囲に設定されている。
【0041】
この構成によると、伝熱管の表面に犠牲陽極層を形成する際に、ブラスト材を、接線と制限線との間を通じて、第一の伝熱管の特定のフィン面に吹き付けることができると共に、溶射材を、接線と制限線との間を通じて、第一の伝熱管の特定のフィン面に吹き付けることができる。特定のフィン面に対する、ブラスト材の吹き付け角度、及び、溶射材の吹き付け角度は、それぞれ、20度プラス20度から、20度マイナス10度までの範囲に定まるから、前述したように、吹き付け角度が浅くなってしまう特定のフィン面に対しても、犠牲陽極層を良好に形成することが可能になる。
【0042】
前記当接フィンに隣接する放熱フィンにおいて、特定のフィン面の層厚が、当該特定のフィン面とは反対のフィン面の層厚よりも薄い、としてもよい。
【発明の効果】
【0043】
以上説明したように、前記のオープンラック式熱交換装置の溶射方法、及び、オープンラック式熱交換装置によると、伝熱管における特定のフィン面に対して、溶射により犠牲陽極層を良好に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1図1は、オープンラック式熱交換装置の構成を、簡略的に示す図である。
図2図2は、図1のII-II線端面の一部を示す図である。
図3図3は、伝熱管における特定のフィン面への溶射処理を説明する図である。
図4図4は、フィン面に対して吹き付けられるブラスト材の方向、及び、溶射材の吹き付け方向と、フィン面に対して形成される犠牲陽極層とを模式的に示す拡大端面図である。
図5図5は、図2とは異なる、熱交換パネルの構成を例示する図2対応図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、ここに開示するオープンラック式熱交換装置及びオープンラック式熱交換装置の溶着方法について、図面を参照しながら詳細に説明をする。尚、以下の説明は例示である。以下においては、説明の便宜上、図1の紙面左右方向をX方向、紙面上下方向をZ方向、紙面に直交する方向をY方向とする。また、図2の紙面左右方向はX方向、紙面上下方向はY方向、紙面に直交する方向はZ方向である。
【0046】
図1は、オープンラック式熱交換装置の一つとしてのオープンラック式気化装置(Open Rack Vaporizer:以下、ORV)1の全体構成を例示している。図2は、熱交換パネル3の構成を例示しており、図2は、図1のII-II線端面の一部に相当する。図3は、伝熱管における特定のフィン面への溶射処理を説明する図であり、図4は、フィン面の部分を拡大して例示する端面図である。
【0047】
(オープンラック式熱交換装置の全体構成)
ORV1は、低温流体である液化天然ガス(LNG)を、熱媒体としての海水によって加熱して気化する装置である。図1は、ORV1の要部を構成する熱交換パネル3とそれに付帯する設備とを示している。ORV1は、上下方向(つまり、Z方向)に伸びる伝熱管2を、並び方向としての水平方向(つまり、X方向)に複数本、並設してパネル状にした熱交換パネル3を備えている。図示は省略するが、熱交換パネル3の面は、Y方向を向いている。ORV1は、熱交換パネル3を、仕様に応じて、複数、Y方向に並列に配置して構成される。伝熱管2の構成及び熱交換パネル3の構成については、後で詳述する。
【0048】
熱交換パネル3の上側には、X方向に伸びる上部ヘッダー管4が配設されている。熱交換パネル3の下側には、上部ヘッダー管4に平行となるように、X方向に伸びる下部ヘッダー管5が配設されている。各伝熱管2は、その上端が上部ヘッダー管4に接続され、その下端が下部ヘッダー管5に接続されている。伝熱管2は、上部ヘッダー管4と下部ヘッダー管5とを互いに連通させる。
【0049】
上部ヘッダー管4は、上部マニホールド6に連通している。下部ヘッダー管5は、下部マニホールド7に連通している。
【0050】
熱交換パネル3の上部には、X方向に伸びるトラフ8が、伝熱管2に対しY方向に隣接して配設されている。トラフ8には、海水が供給される。トラフ8からあふれ出た海水は、熱交換パネル3の表面に沿って流れ落ちる。
【0051】
LNGは、下部マニホールド7を経て下部ヘッダー管5に供給され、伝熱管2内に流入する。伝熱管2内に流入したLNGは、熱交換パネル3の表面に沿って流れ落ちる海水と熱交換することによって気化し、NGとなって、伝熱管2の上端部から上部ヘッダー管4に流出する。上部ヘッダー管4に流出したNGは、上部マニホールド6を通じて外部に送り出される。
【0052】
伝熱管2は、図2に例示するように、円管状の本体21と、本体21の外周面から径方向の外方に向かって広がる複数の放熱フィン22、23とを含んで構成されている。各放熱フィン22、23は、本体21の外周面に対して、径方向外側に突出している。また、各放熱フィン22、23は、Z方向に延びている。放熱フィン22、23の内、放熱フィン23は、X方向に隣り合う伝熱管2と伝熱管2とが接するための、一対の当接フィン23である。一対の当接フィン23は、X方向における互いに逆向きに、本体21から径方向の外方に向かって突出している。当接フィン23は、隣の伝熱管2の当接フィン23に接している。
【0053】
放熱フィン22は、当接フィン23と当接フィン23との間において、本体21の周方向に対し、均等又は略均等に配設されている。図2の構成例では、放熱フィン22の数は、10個である。放熱フィン22の数は、10個に限らず、適宜の数にすることができる。
【0054】
放熱フィン22の高さ(尚、ここでいう「高さ」は、本体21からの突出高さを意味する)は、一部の放熱フィン22を除いて同じである。尚、高さの異なる放熱フィン22は、伝熱管2の並び方向に直交するY方向に、本体21から突出する二つの放熱フィン22である(図2の一点鎖線を参照)。尚、伝熱管2の放熱フィン22は、同じ高さでなくてもよい。
【0055】
放熱フィン22は、図3に拡大して示すように、平面状の二つのフィン面221によって所定の厚みtを有している。放熱フィン22の厚みtは、放熱フィン22の先端側から付け根側までの間において一定であってもよいし、先端側と付け根側とで異なっていてもよい(例えば、先端側から付け根側に向かうに従い、厚みtが次第に厚くなっていてもよい)。厚みtは、適宜の厚みにすることが可能である。また、放熱フィン22の表面は、平面状にすることに限らず、曲面状に構成してもよい。
【0056】
伝熱管2の本体21の外周面は、放熱フィン22と放熱フィン22との間において、径方向の内方に凹となる円弧状を成している。この面を凹となる円弧状にすることにより、放熱フィン22の本体21に対する付け根に、隅部が形成されない。後述するように、伝熱管2の表面に溶射処理を施すときに、放熱フィン22の付け根にも、溶射材を吹き付けることが可能になる。尚、以下の説明においては、放熱フィン22の、平面状のフィン面221と、本体21の円弧状の外周面とがつながる位置を、放熱フィン22の付け根222と呼ぶ。尚、伝熱管2の本体21の外周面は、凹となる円弧状としなくてもよい。
【0057】
(熱交換パネルに対する溶射処理)
熱交換パネル3の表面には、その表面に犠牲陽極層24が形成されている(図4参照)。犠牲陽極層24は、複数の伝熱管2を水平方向に並べて熱交換パネル3に構成した後に、熱交換パネル3の表面に、溶射材を溶射することにより、形成される。また、ORV1の稼働開始後も、犠牲陽極層24の補修のために、伝熱管2の表面に溶射材を溶射することが行われる場合もある。
【0058】
ここで、伝熱管2は、アルミニウム合金系の材料によって構成され、溶射材は、伝熱管2よりも卑な金属(例えばアルミニウム-亜鉛合金)によって構成される。
【0059】
熱交換パネル3に対する溶射処理は、図3に模式的に示すように、溶射ガン9を用いて、溶射材を熱交換パネル3に吹き付けることにより行われる。ここで、前述したように、各伝熱管2は、複数の放熱フィン22が放射状に配設された構造を有しているため、伝熱管2における特定のフィン面に対しては、溶射材を吹き付ける角度が浅くなってしまう。特定のフィン面は、具体的には、伝熱管(図3における左側の第一の伝熱管2a)の当接フィン23に隣接する放熱フィン(図3における符号22aの第一の放熱フィン参照)において、当接フィン23側を向いたフィン面221aである。このフィン面221aに対する吹き付け角度を深くしようとしても、第一の伝熱管2aに隣り合う第二の伝熱管2bが、溶射ガン9に干渉してしまう。
【0060】
溶射処理における溶射材の吹き付け角度は、90度が原則であり、45度以下は避けることが技術常識である(例えば、JIS H 8300 付属書JA 溶射作業標準)。しかしながら、熱交換パネル3の特定のフィン面221aは、溶射材の吹き付け角度を90度にすることができず、45度の溶射角度にすることも難しい。比較的深い溶射角度を確保するためには、例えば伝熱管2における放熱フィン22の高さを低くしたり、第一の放熱フィン22aの角度を変更したりすることが必要となる。しかしながら、放熱フィン22の高さを低くすると、熱交換パネル3の熱交換性能が低下すると共に、第一の放熱フィン22aの角度を変更すると、第一の放熱フィン22aと、第一の放熱フィンに隣り合う第二の放熱フィン22bとの間隔が狭くなって、放熱フィン22と放熱フィン22との間に氷が発生し閉塞する恐れがある。
【0061】
ここに開示する技術は、溶射処理の前に、伝熱管2の表面を粗面化するために行うブラスト処理において、特定のフィン面221aに対するブラスト材の吹き付け角度を浅い角度に設定すると共に、特定のフィン面221aに対して行う溶射処理における溶射材の吹き付け角度を、ブラスト材の吹き付け角度と同程度の浅い角度に設定すれば、吹き付け角度が、90度よりも大幅に浅い角度であっても、要求される密着強度が確保された、犠牲陽極層24を形成することができることを、本願発明者が見出すことにより完成に至った。
【0062】
具体的に、図3又は図4に示すように、溶射材の吹き付け角度θは、20度、又は、20度プラス20度以下でかつ20度マイナス10度以上の範囲(つまり、10度以上40度以下)に定める。同様に、ブラスト材の吹き付け角度θも、溶射材の吹き付け角度と同様に、20度、又は、20度プラス20度以下でかつ20度マイナス10度以上の範囲(つまり、10度以上40度以下)に定める。
【0063】
ここで、溶射材の吹き付け角度θ、及び、ブラスト材の吹き付け角度θは、それぞれ浅いものの、10度以上40度以下の吹き付け角度を確保することができるように、伝熱管2の放熱フィン22の高さを制限する必要がある。
【0064】
図3に示すように、第二の伝熱管2bの放熱フィン22a、22b、22cは、次のようにして、その高さが定められている。つまり、第一の伝熱管2aにおける第一の放熱フィン22aの本体21に対する付け根222を通ると共に、当該第一の放熱フィン22aの特定のフィン面221aに接する接線25と、第二の伝熱管2bにおいて、複数の放熱フィン22a、22b、22cそれぞれの先端と第一の伝熱管2aの付け根222とを通る線の内、接線25との成す角度θが最も小さくなる制限線26と、を仮想的に定める。図3の構成例では、第一の放熱フィン22a、伝熱管2の並び方向に直交する第三の放熱フィン22cとの間の、第二の放熱フィン22bによって、制限線26が規定される。尚、制限線26を規定する放熱フィン22は、第二の放熱フィン22bとは限らず、伝熱管2に設けられる放熱フィン22の位置と角度とが変わると、変更される場合がある。
【0065】
そして、接線と制限線との成す角度θを、20度プラス20度から、20度マイナス10度までの範囲に設定する。これを言い換えると、ブラスト材及び溶射材を吹き付ける際の吹き付け角度θを、20度プラス20度から、20度マイナス10度までの範囲に定めたときに、伝熱管の放熱フィンは、制限線を超えない範囲で、その高さ、位置及び、角度を設定することができる。
【0066】
つまり、角度θは、
20-10(deg) ≦角度θ(=θ-θ)≦20+20(deg)
但し、θ>θ、tanθ=H/L
θは、伝熱管2の並び方向(X方向)に対する接線25の角度
θは、伝熱管2の並び方向(X方向)に対する制限線26の角度
Hは、伝熱管2の並び方向に直交する方向(Y方向)において、第一の伝熱管2aの第一の放熱フィン22aの付け根222から、制限線26に接する第二の伝熱管2bの第二の放熱フィン22bの先端までの距離
Lは、伝熱管2の並び方向(X方向)において、第一の伝熱管2aの第一の放熱フィン22aの付け根222から、制限線26に接する第二の伝熱管2bの第二の放熱フィン22bの先端までの距離
を満足する。
【0067】
このように、接線25と制限線26との成す角度θが、20度プラス20度から、20度マイナス10度までの範囲になるよう、熱交換パネル3を構成する伝熱管2の形状を定めることにより、ブラスト処理において、接線25と制限線26との間を通じて、ブラスト材を特定のフィン面221aに吹き付けるようにすれば、ブラスト材の吹き付け角度を、20度プラス20度から、20度マイナス10度までの範囲内で定めることができる。
【0068】
また、溶射処理において、接線25と制限線26との間を通じて、溶射材を特定のフィン面221aに吹き付けることにより(図3の白抜きの矢印参照)、溶射材の吹き付け角度を、20度プラス20度から、20度マイナス10度までの範囲内で定めることができる。
【0069】
ブラスト材の吹き付け角度と溶射材の吹き付け角度とを同程度の浅い角度にすることで、特定のフィン面221aに対して、犠牲陽極層24を良好に形成することが可能になると考えられる。
【0070】
図4に模式的に例示するように、ブラスト処理において、フィン面に対してブラスト材が当たる角度が浅い角度になるため(図4の破線の矢印参照)、フィン面221aに形成される凹凸が揃った向きに立つ。そこに、同程度の角度で溶射材が吹き付けられる結果(図4の実線の矢印参照)、吹き付け角度が浅くても、立ち上がった凹凸部に溶射材が付着し、犠牲陽極層24がフィン面221aに密着するようになると考えられる。こうして、第一の放熱フィン22aの特定のフィン面221aに対しても、犠牲陽極層24を良好に形成することができると推定できる。
【0071】
尚、特定のフィン面以外の箇所については、ブラスト材の吹き付け角度、及び、溶射材の吹き付け角度を、それぞれ、40度よりも大きくすることが可能である。ブラスト材の吹き付け角度、及び、溶射材の吹き付け角度を深くすることができる箇所においては、吹き付け角度を敢えて浅くする必要はない。
【0072】
この溶射方法によると、溶射材やブラスト材の吹き付け角度として、浅い角度が許容されるため、伝熱管2の放熱フィン22の高さを低くしたり、放熱フィン22の角度を変更したりすることにより、放熱フィン22と溶射ガン9との干渉を回避することが不要になる。各放熱フィン22の高さを高くすることで、熱交換パネル3の熱交換性能を高めることができる。放熱フィン22は同じ高さでもよいし、同じ高さではなくてもよい。また、複数の放熱フィン22を、伝熱管2の周方向に、均等、又は、略均等になるよう、放射状に配置することにより、放熱フィン22と放熱フィン22との間隔が広めになって、放熱フィン22と放熱フィン22との間において氷による閉塞を緩和して、熱交換パネル3の熱交換能力に悪影響が及ぶことが防止される。
【0073】
従って、ここに開示する技術は、熱交換パネル3の熱交換性能を高く維持しながら、良好な犠牲陽極層を、溶射によって伝熱管2の表面に形成することにより、熱交換パネル3の耐防食性能を高くすることができる。これは、ORV1のメンテナンス性を向上させる上で有利である。
【0074】
尚、第一の伝熱管2aにおける第一の放熱フィン22aにおいては、図4に例示するように、特定のフィン面221aの犠牲陽極層24の厚みが薄く(t1)、と特定のフィン面221aとは反対のフィン面221bの犠牲陽極層24の厚みが厚くなる(t2)場合がある。犠牲陽極層24は、層厚が均一でなくても、層厚が厚い箇所において防食電流が流れるため、伝熱管2の腐食を防止することができる。必要最小限の層厚が確保されていれば、犠牲陽極層24の層厚の不均一性は許容される。尚、図4においては、反対のフィン面221bにおける凹凸は、図示を省略している。
【0075】
尚、特定のフィン面221aに対するブラスト材の吹き付け角度、及び、溶射材の吹き付け角度は、15度プラス15度から、15度マイナス5度までの範囲内にしてもよい。
【0076】
尚、ここに開示する技術が適用可能な伝熱管の形状は、図2に示す形状に限定されず、様々な形状を採用することができる。一例として、図5に示す伝熱管は、複数の放熱フィン22a、22b、22cが、本体21の外周面から径方向の外方に向かって、放射状に広がっているが、第二及び第三の放熱フィン22b、22cは、本体21の外周面に対して直交するように、径方向の外方に向かって伸びているのに対し、第一の放熱フィン22aは、当接フィン23から離れかつ、第二の放熱フィン22bに近づく方向に傾いている。こうすることにより、第一の放熱フィン22aの特定のフィン面に対するブラスト材の吹き付け角度θ、及び、溶射材の吹き付け角度θを、少し深くすることが可能になる。
【0077】
尚、伝熱管の放熱フィンは、図2及び図5に示す形状に限定されない。伝熱管の放熱フィンは、放射状に広がることに限定されない。また、伝熱管の放熱フィンは、同じ高さにすることに限定されない。
【符号の説明】
【0078】
1 オープンラック式熱交換装置
2 伝熱管
21 本体
22 放熱フィン
22a 第一の放熱フィン
22b 第二の放熱フィン
221 フィン面
221a 特定のフィン面
221b 反対のフィン面
222 付け根
23 当接フィン
24 犠牲陽極層
25 接線
26 制限線
3 熱交換パネル
図1
図2
図3
図4
図5