(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】病床マップシミュレーションシステム
(51)【国際特許分類】
G16H 40/00 20180101AFI20220324BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220324BHJP
【FI】
G16H40/00
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2018067560
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2020-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】500104314
【氏名又は名称】ニッセイ情報テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101845
【氏名又は名称】佐藤 明子
(72)【発明者】
【氏名】内田 元
(72)【発明者】
【氏名】小池 恒仁
(72)【発明者】
【氏名】西 綾子
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-125430(JP,A)
【文献】特開2004-086671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子端末からの指示を受けて、
電子端末に電子カルテ情報から取得した情報に基づいて現況を反映した病床を一覧させる病床マップと入院申込患者一覧とを表示させ、電子端末を当該病床マップ上で入院・転棟・転床・退院の予定の仮入力によるシミュレーション表示手段として機能させる、病床マップシミュレーションシステムであって、
電子端末に病床マップを表示させるために、1病床につき1レコード作成され、病棟コードと病室コードと病床コードと部屋タイプ区分と病床種別(在床・空床・男性用空床・女性用空床を含む)とデータ収集日時と在床する患者の患者ID・患者氏名・年齢・診療科コード・性別コード・入院年月日・退院年月日を含む病床マップ表示用情報を記憶する病床マップ表示用情報記憶手段と、
電子端末に入院申込患者一覧を表示させるために、1患者の1回の入院申込につき1レコード作成され、患者IDと患者氏名と性別コードと年齢と診療科コードと病棟コードと希望入院年月日と入院目的と希望部屋タイプを含む入院申込情報を記憶する入院申込情報記憶手段と、
1回の入院決定・転棟決定・転床決定・退院決定につき1レコード作成され、患者IDと患者氏名と性別コードと移動区分(入院、転棟・転床、退院のいずれか)と入院年月日と開始日(入院であれば入院決定日、転棟・転床であれば転棟・転床決定日、退院であれば退院決定日)と移動元の病棟コード・病室コード・病床コードと移動先の病棟コード・病室コード・病床コードと診療科コードを含む移動決定・在院患者情報を記憶する移動決定・在院患者情報記憶手段と、
電子端末に表示された入院申込患者一覧上で、希望部屋タイプが空欄の場合あるいは希望部屋タイプを変更する場合に、希望部屋タイプを入力した患者毎に1レコード作成され、患者IDと入院年月日と希望部屋タイプを含む入院申込入力情報を記憶する入院申込入力情報記憶手段と、
電子端末に表示された病床マップ上で病床及び予定日を指定して入力される入院・転棟・転床・退院の仮入力毎に1レコード作成され、患者IDと患者氏名と性別コードと移動区分(入院、転棟・転床、退院のいずれか)と入院年月日と開始日(入院であれば入院決定日、転棟・転床であれば転棟・転床決定日、退院であれば退院決定日)と移動元の病棟コード・病室コード・病床コードと移動先の病棟コード・病室コード・病床コードと診療科コードを含む患者移動シミュレーション情報を記憶する患者移動シミュレーション情報記憶手段と、
電子端末からの指示を受けて、現況と前回のシミュレーションを反映した
入院申込患者一覧と病床マップ
とを電子端末に表示させるために、上記の病床マップ表示用情報と入院申込情報と移動決定・在院患者情報と
入院申込入力情報と患者移動シミュレーション情報とを電子端末に送信する、病床マップシミュレーション用情報提供手段と、
電子端末からの指示を受けて、
病床マップ上で入院・転棟・転床・退院の仮入力を可能にするために、電子カルテ情報から取得する最新情報に基づいて、上記の病床マップ表示用情報と入院申込情報と移動決定・在院患者情報を更新させ、更新された移動決定・在院患者情報から患者移動シミュレーション情報を更新させて、電子端末に送信する、病床マップシミュレーション用情報更新手段と、
を備えた、病床マップシミュレーションシステム。
【請求項2】
電子端末に、上記の病床マップ表示用情報と入院申込情報と患者移動シミュレーション情報を提供することにより、電子情報端末を、病院全体の入院申込残数と空床数と病床稼働率を算出して表示させる表示処理手段として機能させる、請求項1に記載の病床マップシミュレーションシステム。
【請求項3】
電子端末が受信した患者移動シミュレーション情報及び電子端末で入力される患者移動シミュレーション情報から移動区分が入院である患者の情報を抽出して、電子端末を、入院予定の仮入力された入院申込一覧を出力させる入院申込一覧出力手段として機能させる、請求項1に記載の病床マップシミュレーションシステム。
【請求項4】
電子端末が受信した患者移動シミュレーション情報及び電子端末で入力される患者移動シミュレーション情報から移動区分が転棟・転床及び退院である患者の情報を抽出して、電子端末を、転棟・転床及び退院の仮入力された転棟・転床・退院一覧を出力させる転棟・転床・退院一覧出力手段として機能させる、請求項1に記載の病床マップシミュレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、病院等の医療機関における病床管理業務を支援するシステムに関するものであり、特に、患者の入院、転棟、転床、退院等、各病床における患者の移動を、病床マップ(病床一覧)上でシミュレーション可能な、病床マップシミュレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
病床管理とは、病院等の医療機関における入院患者のベッド(病床)を効果的、効率的に稼働させるために管理・調整を行うことをいう。病床管理は、病院の収入の多くの部分を占める入院収入に直結する重要な業務であり、主な業務としては、入院が必要となった患者のスムーズな受け入れのためのベッドの調整・確保、患者の転棟・転床の調整、退院の調整、予約入院のためのベッドの調整、等がある。
【0003】
ここで、入院予定患者を受け入れるためのベッドの調整や、患者の転棟・転床・退院等の調整に関する先行技術文献としては、以下に記載する特許文献1~特許文献5が存在する。
【0004】
特許文献1は、入院患者の入院日数が所定日経過している患者を移動推奨患者として抽出し、経過日数に応じた重み付けや患者状況に基づいた重み付けを定義した重み付けマスタに基づいて、当該患者の重み情報を表示するとともに、入院依頼患者及び転棟申込み患者についても重み情報を表示し、操作者により移動患者が選択されると、当該患者の移動後の病床が割り当てられた仮配置画面が表示され、実施決定の有無を促すボタンが表示される病床割当て装置が開示されている。
【0005】
特許文献2は、患者の在院日数や入院待ち患者のデータから、転床や入床の必要な患者を検索し、条件に合致した空床を検索すると共に、条件に合致した空床がない場合に、転棟可能な病床を検索する、空床管理改善支援システムが開示されている。
【0006】
特許文献3は、入院予約データに対して、複数のベッドに対する割当シミュレーションを様々な条件に基づいて効率的に実行するシステムを開示している。
【0007】
特許文献4は、病棟ごとにすべての居室について各居室の入院患者の氏名を入院日数と共に一覧表示させ、一覧表示させた各居室の入院患者を一覧表示中で移動させ移動後の居室でデータ更新可能な入退院管理装置を開示している。
【0008】
特許文献5は、患者の症状を表す患者情報と、病棟内の施設と病床との配置関係を表すマップ情報から、患者の症状に応じた病床の情報を抽出し、当該病床位置に入院登録することが可能な病床管理支援システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2006-048573
【文献】特開2006-092380
【文献】特開2009-163378
【文献】特開2013-246793
【文献】特開2014-041439
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
日本における医療・介護分野の問題に目を向けると、平成37年(2025年)には3人に一人が65歳以上(5人に一人が75歳以上)という超高齢化社会を迎えることになり、医療や介護の需要が増大するため、こうした医療需要に対応できる医療提供体制をめざし、国による医療制度改正が進められている。例えば、病床区分について、医療機関の機能や設備、診療体制、入院患者に関する重症者割合・平均在院日数・在宅復帰率等の基準値が定められており、この施設基準に適合することにより診療報酬の加算を受けられることになっているが、その施設基準が、段階的な改正により、一般病棟では重症者を扱い、容体の回復により回復期・療養機能への移動が厳密化され、病院全体として、入院患者をどの病棟で扱うことが病院経営上でプラスとなるかを考慮することがより求められるようになる。
【0011】
こうした事情を背景に、病床管理者は、患者の容体や診療予定あるいは患者の希望を考慮しつつ、病院の施設基準の維持や、患者の在院日数、病床稼働率を考慮して、一定期間(例えば10日間)先までのスパンで病床利用状況を見据えながら、患者の入院・転棟・転床・退院の調整を行うことが求められている。
【0012】
一方、先に述べた特許文献1~特許文献5に開示されている技術では、一定期間先までの病床利用状況の推移をみながら、患者の入院・転棟・転床・退院の調整を行うという点からは、十分な解決手段を提供するものではない。例えば、あらかじめ設定した条件等に従って、患者に病床を割り当てるだけでは、問題を解決することにならない。また、電子カルテを中心に病院内のシステム化は進んでいるが、電子カルテのみでは、総合的な判断が求められる病床管理についての機能が不足している。
【0013】
本願発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、入院予定患者を分かりやすく表示すると共に病床全体の状況を把握しやすく表示し、患者の入院/転棟・転床/退院の計画に必要なシミュレーションを、稼働状況等判断に必要な情報を参照しながら、例えば10日間程度先の日付まで実行できる機能を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による病床マップシミュレーションシステムは、電子端末からの指示を受けて、電子端末に現況を反映した病床マップと入院申込患者一覧を表示させ、電子端末を当該病床マップ上で入院・転棟・転床・退院の予定の仮入力によるシミュレーション表示手段として機能させる、病床マップシミュレーションシステムであって、1病床につき1レコード作成され、病棟コードと病室コードと病床コードと部屋タイプ区分と病床種別(在床・空床・男性用空床・女性用空床を含む)とデータ収集日時と在床する患者の患者ID・患者氏名・年齢・診療科コード・性別コード・入院年月日・退院年月日を含む病床マップ表示用情報を記憶する病床マップ表示用情報記憶手段と、電子端末に入院申込患者一覧を表示させるために、1患者の1回の入院申込につき1レコード作成され、患者IDと患者氏名と性別コードと年齢と診療科コードと病棟コードと希望入院年月日と入院目的と希望部屋タイプを含む入院申込情報を記憶する入院申込情報記憶手段と、1回の入院決定・転棟決定・転床決定・退院決定につき1レコード作成され、患者IDと患者氏名と性別コードと移動区分(入院、転棟・転床、退院のいずれか)と入院年月日と開始日(入院であれば入院決定日、転棟・転床であれば転棟・転床決定日、退院であれば退院決定日)と移動元の病棟コード・病室コード・病床コードと移動先の病棟コード・病室コード・病床コードと診療科コードを含む移動決定・在院患者情報を記憶する移動決定・在院患者情報記憶手段と、電子端末に表示された病床マップ上で病床及び予定日を指定して入力される入院・転棟・転床・退院の仮入力毎に1レコード作成され、患者IDと患者氏名と性別コードと移動区分(入院、転棟・転床、退院のいずれか)と入院年月日と開始日(入院であれば入院決定日、転棟・転床であれば転棟・転床決定日、退院であれば退院決定日)と移動元の病棟コード・病室コード・病床コードと移動先の病棟コード・病室コード・病床コードと診療科コードを含む患者移動シミュレーション情報を記憶する患者移動シミュレーション情報記憶手段と、電子端末からの指示を受けて、現況と前回のシミュレーションを反映した病床マップを電子端末に表示させるために、上記の病床マップ表示用情報と入院申込情報と移動決定・在院患者情報と患者移動シミュレーション情報とを電子端末に送信する、病床マップシミュレーション用情報提供手段と、電子端末からの指示を受けて、電子カルテ情報から取得する最新情報に基づいて、上記の病床マップ表示用情報と入院申込情報と移動決定・在院患者情報を更新させ、更新された移動決定・在院患者情報から患者移動シミュレーション情報を更新させて、電子端末に送信する、病床マップシミュレーション用情報更新手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
上記の病床マップシミュレーションシステムにおいて、電子端末に、上記の病床マップ表示用情報と入院申込情報と患者移動シミュレーション情報を提供することにより、電子情報端末を、病院全体の入院申込残数と空床数と病床稼働率を算出して表示させる表示処理手段として機能させることができる。
【0016】
また、上記病床マップシミュレーションシステムにおいて、電子端末が受信した患者移動シミュレーション情報及び電子端末で入力される患者移動シミュレーション情報から移動区分が入院である患者の情報を抽出して、電子端末を、入院予定の仮入力された入院申込一覧を出力させる入院申込一覧出力手段として機能させることができる。
【0017】
さらに、電子端末が受信した患者移動シミュレーション情報及び電子端末で入力される患者移動シミュレーション情報から移動区分が転棟・転床及び退院である患者の情報を抽出して、電子端末を、転棟・転床及び退院の仮入力された転棟・転床・退院一覧を出力させる転棟・転床・退院一覧出力手段として機能させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、入院予定患者を分かりやすく表示すると共に、現時点での病床稼働状況を把握しやすく表示し、現時点の病床稼働状況に対して、患者の入院/転棟・転床/退院の仮入力を行い、一定期間先までの病床稼働状況をシミュレーション可能にすることにより、病床稼働率や空床数を踏まえて、今後の改善の取組みに役立てると共に、患者の入院/転棟・転床/退院を決定するための資料を出力することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明により表示される病床マップシミュレーションの操作画面の一例を示す図である。
【
図2】
図1に示した病床マップシミュレーションの操作画面の左側上部部分の概略を拡大して示した図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるハードウェア構成及び処理の概要を示すブロック図である。
【
図4】病床管理データベース11a、病床管理マスタ12a及び病床マップシミュレーション用データ13aに含まれるデータの詳細を示したブロック図である。
【
図5】病床管理サーバ1とシミュレーション端末2との間で行われる処理の代表的な流れを示す図である。
【
図6】患者基本情報111aのレコードの項目を示す図である。
【
図7】入院申込オーダ情報112aのレコードの項目を示す図である。
【
図8】入院決定オーダ情報113aのレコードの項目を示す図である。
【
図9】転棟決定オーダ情報114aのレコードの項目を示す図である。
【
図10】退院決定オーダ情報115aのレコードの項目を示す図である。
【
図11】在院患者情報116aのレコードの項目を示す図である。
【
図12】アクセス権限情報117aに含まれる情報ファイルのレコードの項目を示す図である。
【
図13】病棟マスタ121aのレコードの項目を示す図である。
【
図14】病床マスタ122aのレコードの項目を示す図である。
【
図15】診療科マスタ123aのレコードの項目を示す図である。
【
図16】ユーザーマスタ124aのレコードの項目を示す図である。
【
図17】入院申込情報131aのレコードの項目を示す図である。
【
図18】病床マップ表示用データ132aのレコードの項目を示す図である。
【
図19】移動決定・在院患者情報データ133aのレコードの項目を示す図である。
【
図20】入院申込入力データS137aのレコードの項目を示す図である。
【
図21】患者移動シミュレーションデータS138aのレコードの項目を示す図である。
【
図22】仮予定入力された入院申込一覧の出力の例を示す図である。
【
図23】仮予定入力された転棟・転床/退院一覧の出力の例を示す図である。
【
図24】DPC情報のレコードの項目を示す図である。
【
図25】看護必要度情報のレコードの項目を示す図である。
【
図26】手術情報のレコードの項目を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明による病床マップシミュレーションシステム(以下、「本システム」という)の実施の形態について説明する。
【0021】
最初に、本システムによる、患者の入院・転棟・転床・退院の病床マップ上への仮入力によるシミュレーション(以下、「病床マップシミュレーション」という)を行うために表示される画面の例について、
図1及び
図2を用いて説明する。
【0022】
図1は、本システムにより表示される、病床マップシミュレーションの操作画面(この画面表示を、以下、「病床マップシミュレーション表示」という)の1例である。また、
図2は、
図1で示した病床マップシミュレーション表示をより分かりやすく表示するために、
図1の左側上部部分の概略を拡大して示す図である。
【0023】
図2中、参照符号aで示すのは、入院申込がされているがまだ入院が決定していない患者の一覧(以下「入院申込一覧」という)である。また、参照符号bで示すのは、病床の現況が反映された病床マップ(病床一覧)の表示であるが、この表示には、患者の入院予定・転棟・転床予定・退院予定の病床マップ上への入力によるシミュレーションも反映されるので、以下、「シミュレーションマップ」という。例えば、患者の入院予定をシミュレーションのために病床マップ上に入力(このような患者の移動予定の入力を、以下「仮入力」という)するためには、左側に表示されている入院申込一覧表示から、患者を選択して、シミュレーションマップに表示されている空床(あるいは転床・退院予定がある病床)上にドラッグ&ドロップすることにより実行することができる。また、転棟・転床の予定の仮入力は、当該患者の表示されている病床上から移転先にドラッグ&ドロップして必要事項を入力することにより実行可能である。また、退院の予定の仮入力は、当該患者を指定することにより表示されるポップアップ画面より退院日を入力することにより実行可能である。(詳細については、後段にて説明する)。
【0024】
参照符号dで示すのは、患者の移動の仮入力により、一定日数の将来日付まで、日毎の病床稼働率や空床数を示す欄であり、本実施の形態では、10日間先までのシミュレーション結果を表示することができる。
【0025】
参照符号c1~c4で示すのはそれぞれ操作ボタンであり、c1は、病床マップシミュレーション表示の最新版を表示させるために操作する最新化ボタン、c2は患者移動の仮入力を可能にするための編集ボタン(データ保存のための操作ボタンを兼ねる)、c3は仮入力した転棟・退院データの一覧を出力するための操作ボタン、c4は仮入力した入院申込データの一覧を出力するための操作ボタン、をそれぞれ示している。
【0026】
次に、本システムの一実施形態によるハードウェア構成及び処理の概要について、
図3を用いて説明する。本システムは、病床管理サーバ1と、病床管理サーバ1にネットワークで接続されたシミュレーション端末2とにより提供されるシステムである。病床管理サーバ1及びシミュレーション端末2は、本システムにより提供される各機能の実行に関する処理を、コンピュータプログラム及びコンピュータハードウェアの連携により実行する。
【0027】
病床管理サーバ1は、記憶部1a及び制御部1bを備え、データベースサーバ及びWebサーバとして機能し、本システムでの処理に必要なプログラムやデータを管理するとともに、シミュレーション端末2からイントラネット・インターネット等のネットワークを介してアクセスを受け、シミュレーション端末2で実行されるシミュレーションに必要な処理及びデータの提供を行う。
【0028】
記憶部1aは、本システムの処理の実行に必要な処理プログラム14aを記憶しており、処理プログラム14aは、必要に応じて制御部1bの内部メモリにロードされ、病床管理サーバ1のハードウェアと協働して、本システムの処理を実行する。また、記憶部1aは、当該医療機関の電子カルテシステム5の電子カルテ情報から、病床管理に必要な情報を一定間隔で取得し、データの再編成・登録・更新等の処理を実行して、本システムにおける機能実行のために必要なファイル形式として、病床管理データベース11aに保存する。なお、電子カルテ情報を病床管理データベース11aにおける保存ファイル形式に生成するための処理は、本システムで実行することは必須ではなく、他のシステムにより生成されたファイルを取得してもよい。
【0029】
また、記憶部1aは、病床管理に関する各種データの管理や表示等に必要な情報を蓄積する病床管理マスタ12aと、シミュレーション端末2上で実行されるシミュレーション等に必要な病床マップシミュレーション用データ13aとを記憶する。
【0030】
制御部1bは、データの入出力・記録・読み出しをはじめとするコンピュータ全体の動作を制御するCPUや、CPUが直接アクセス可能な主記憶装置であって処理に必要なデータやプログラムを格納する内部メモリを備え、処理プログラム14aは必要に応じて制御部1bの内部メモリにロードされ、CPUを含む病床管理サーバ1のハードウェアと協働して、本システムの処理、具体的には、病床マップシミュレーション用データ取得・作成処理手段11b、病床マップシミュレーション表示用データ提供処理手段12b、病床マップシミュレーション表示用データ最新化処理手段13b、として機能する。
【0031】
シミュレーション端末2は、病床管理担当者が操作する端末装置であり、パーソナルコンピュータや携帯情報端末など、イントラネット・インターネット等のネットワークを介して病床管理サーバ1にアクセス可能な端末装置であり、内部メモリ2aを含む制御部2bの他、図示はしないが、データを入力するためのボタン、タッチパネル、キーボードやマウスなどの入力デバイスから構成される入力部、データ入力画面や処理結果等を表示する液晶ディスプレイなどの表示部、処理結果や各種データを出力するプリンタなどの出力部、半導体メモリ素子やハードディスク等の記憶部、通信インターフェイスを備えている。
【0032】
制御部2bは、病床管理サーバ1から提供される病床マップシミュレーション表示用データ21a、シミュレーション端末2において入力される入院申込入力データ22aや患者移動シミュレーションデータ23aを、メモリ2aに保存する。本システムの処理の実行に必要なブラウザ等の処理プログラム24aが、メモリ2aにロードされ、メモリ2aに保存されたデータや、シミュレーション端末2のハードウェアと協働して、シミュレーション画面表示処理手段21b、患者移動仮予定入力処理手段22b、仮予定一覧出力処理手段23b、病床マップシミュレーション表示データ最新化指示手段24b、シミュレーション結果送信手段25bとして機能する。
【0033】
なお、
図3において、病床管理サーバ1は、1つのブロックとして表現されているが、必ずしも単独のハードウェアに限定されることはなく、複数のサーバにより構成してもよい。
【0034】
図4は、
図3に示した病床管理データベース11a、病床管理マスタ12a及び病床マップシミュレーション用データ13aに含まれるデータの詳細を示した図である。
【0035】
病床管理データベース11aは、本システムの処理を実行するために電子カルテ情報から一定間隔で情報を取り込み蓄積される必須の情報ファイルとして、患者基本情報111a、入院申込オーダ情報112a、入院決定オーダ情報113a、転棟決定オーダ情報114a、退院決定オーダ情報115a、在院患者情報116a、を含む。また、電子カルテ情報から取り込むデータではないが、本システムの利用者に制限を設けるために必要なアクセス権限情報117aを含む。
【0036】
病床管理マスタ12aは、病床マップシミュレーション表示(
図1、
図2参照)の表示等に必要なデータを取得するためのマスタとして、病棟マスタ121a、病床マスタ122a及び診療科マスタ123aを含み、さらに、本システムの利用者を管理するためのユーザーマスタ124aを含む。
【0037】
病床マップシミュレーション用データ13aは、本システムの処理専用のデータを保存する。病床マップシミュレーション用データ13aに含まれるデータは、大きく3つに分けることができる。
【0038】
1番目は、病床管理データベース11aと病床管理マスタ12aとから、一定時間毎(例えば、10分毎)にデータを取り込み更新される、入院申込情報131a、病床マップ表示用データ132a、移動決定・在院患者情報データ133aである。
【0039】
2番目は、シミュレーション端末2で表示させる病床マップシミュレーション表示の表示用データとして、病床管理サーバ1からシミュレーション端末2に送信するための、入院申込情報S134a、病床マップ表示用データS135a、移動決定・在院患者情報データS136aであり、これらのデータは、シミュレーション端末2から最新化の指示を受けた場合に、1番目として記載したデータに基づいて更新される。
【0040】
3番目も、シミュレーション端末2で表示させる病床マップシミュレーション表示の表示用データとして、病床管理サーバ1からシミュレーション端末2に送信するための、入院申込入力データS137a、患者移動シミュレーションデータS138aであり、これらのデータは、シミュレーション端末2で実行されるシミュレーションの結果、各シミュレーション端末2から病床管理サーバ1に送信される入院申込入力データ22a及び患者移動シミュレーションデータ23a(
図3参照)をまとめて保存するものである。
【0041】
次に、
図5を用いて、本システムにおいて、病床管理サーバ1とシミュレーション端末2との間で行われる代表的な処理の流れについて説明する。
【0042】
シミュレーション端末2から、ユーザーが病床管理サーバ1にアクセスすると、病床管理サーバ1からユーザー認証画面が提供され、ユーザーがパスワード等を入力することによりユーザー認証が実行される(S1)。本システムは、特定の権限を有するユーザー(例えば、各病棟の病床管理担当者等)のみが利用可能なシステムになっており、ユーザー認証の際に、アクセス権限情報117a(
図4参照)に基づいて権限の有無がチェックされる。権限のあるユーザーであると認証されると、病床管理サーバ1は、シミュレーション端末2にシミュレーションメニューを表示させ(S2)、ユーザーがシミュレーションを選択可能にする。シミュレーション端末2でシミュレーションメニューが選択されると(F1)、病床管理サーバ1は、シミュレーション端末2に、病床マップシミュレーション表示(
図1、2参照)を画面表示させるために、病床マップシミュレーション表示用データ(すなわち、入院申込情報S134a、病床マップ表示用データS135a、移動決定・在院患者情報データS136a、入院申込入力データS137a、患者移動シミュレーションデータS138a、及びこれらに関する表示を制御するスクリプトを含む)を、シミュレーション端末2に送信する(S3)。
【0043】
病床マップシミュレーション表示用データを病床管理サーバ1から受信したシミュレーション端末2は、端末装置2に病床マップシミュレーション表示を表示させる(F2)。ユーザーが患者移動の仮予定入力に先立ち、病床マップシミュレーション表示を、最新の電子カルテ情報に基づくデータを反映させるために、最新化の操作ボタンc1(
図2参照)を操作(F3)すると、これに対して病床管理サーバ1は、データを最新化した病床マップシミュレーション表示用データをシミュレーション端末2に送信する(S4)。
【0044】
シミュレーション端末2の最新化された病床マップシミュレーション表示の画面上で編集ボタンc2をユーザーが操作することによって、患者移動(入院・転床・転棟・退院)の仮予定入力が可能になる編集モードとなる(F4)。シミュレーション端末2での患者移動仮予定入力(F5)が行われると、仮予定入力が反映された入院申込入力データ22aと患者移動シミュレーションデータ23a(
図3参照)が生成されメモリ2aに保存される。この仮予定入力によるデータと病床管理サーバ1から送信された入院申込入力データS137a及び患者移動シミュレーションデータS138a(
図4参照)に基づいて、転棟退院一覧ボタンc3や入院申込一覧ボタンc4(
図2参照)が操作されると、転棟や退院の仮入力を行った患者の一覧や入院申込の仮入力を行った患者の一覧が出力される(F6)。また、ユーザーが編集ボタンc2を操作して患者移動の仮入力が可能な編集モードになると、編集ボタンc2は自動的にデータ保存ボタンに切り換り、そのデータ保存ボタンを操作することにより、メモリ2aに保存されていた入院申込入力データ22aと患者移動シミュレーションデータ23a(
図3参照)が病床管理サーバ1に送信される(F8)。また、これらのデータを受信した病床管理サーバ1は、病床マップシミュレーション用データ13aに含まれる入院申込入力データS137a及び患者移動シミュレーションデータS138a(
図4参照)として保存する(S5)。
【0045】
なお、複数のユーザーが同時に編集モードを利用することが出来るが、他のユーザーが編集モードにしている場合には、病床管理サーバ1が監視することにより、データの最新化は、当該編集モードがデータ保存により終了するまで、行うことが出来ないように制御する。最新化の不可は、編集中のユーザーを例えばポップアップメッセージで表示する等して、ユーザーに知らせることができる。
【0046】
次に、病床管理データベース11aに含まれる各情報ファイルの詳細について説明する。
図6~
図12は、各情報ファイルに記憶されるレコードの項目の内容を示す図である。なお、これらの図中、キーの欄には、プライマリキーが丸で囲った数字で示されている。
【0047】
図6は、患者基本情報111aのレコードの項目を示している。患者基本情報111aは、1患者につき1レコード作成され、患者ID、患者カナ氏名、患者氏名(漢字)、患者生年月日、性別コード、の項目を含む。
【0048】
図7は、入院申込オーダ情報112aのレコードの項目を示している。入院申込オーダ情報112aは、一回の入院申込につき1レコード作成され、患者ID、入院申込オーダ番号、申込日、緊急度、入院希望日、該当する病棟、希望部屋タイプ、診療科コード、主治医コード、入院時病名、入院目的、入院予定期間、入院時コメント、の項目を含む。
【0049】
図8は、入院決定オーダ情報113aのレコードの項目を示している。入院決定オーダ情報113aは、一回の入院決定につき1レコード作成され、患者ID、入院決定オーダ番号、入院決定年月日、入院年月日、病棟コード、病室コード、病床コード、診療科コード、性別コード、の項目を含む。
【0050】
図9は、転棟決定オーダ情報114aのレコードの項目を示している。転棟決定オーダ情報114aは、一回の転棟予約につき1レコード作成され、患者ID、転棟決定オーダ番号、転棟決定年月日、転棟予定年月日、病棟コード、病室コード、病床コード、診療科コード、性別コードの項目を含む。
【0051】
図10は、退院決定オーダ情報115aのレコードの項目を示している。退院決定オーダ情報115aは、一回の退院予約につき1レコード作成され、患者ID、退院決定オーダ番号、退院決定年月日、退院予定年月日、の項目を含む。
【0052】
図11は、在院患者情報116aのレコードの項目を示している。在院患者情報116aは、在院する1患者につき1レコード作成され、患者ID、病棟コード、病室コード、病床コード、診療科コード、主治医コード、主治医名、入院年月日、救護区分名、の項目を含む。
【0053】
図12は、アクセス権限情報117aに含まれる情報ファイル、すなわち、権限情報1171a、ロール情報1172a、ユーザーロール情報1173a、ベースロール情報1174aのレコードの項目を示している。
【0054】
権限情報1171aは、画面を参照する権限を管理するため、1つの権限について参照可能な画面を定義するものであり、権限ID、画面IDの項目を含む。
【0055】
ロール情報1172aは、当該権限を有するグループを管理するため、1つのロールについての権限を定義するもので、ロールID、権限ID、ロール名の項目を含む。
【0056】
ユーザーロール情報1173aは、利用者とロールとの関連付けを管理するもので、ユーザID、ロールIDの項目を含む。
【0057】
ベースロール情報1174aは、ロールIDを管理するためのファイルである。
【0058】
次に、病床管理マスタ12aに含まれる本システムに必須のマスタの詳細について説明する。
図13~
図16は、各マスタに記憶されるレコードの項目の内容を示す図である。なお、これらの図中、PKの欄に円で囲った数字が表示されている項目はプライマリキーを示している。また、Indexの欄に○で囲った数字が表示されている項目は検索の際にインデックスとなる項目である。
【0059】
図13は、病棟マスタ121aが記録するレコードの項目を示している。病棟マスタ121aは、病棟名や病床数等を管理するマスタであり、病棟コード、建物構造番号、病棟名、病棟名(略称)、病棟/病床区分(例えば、一般病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟、のいずれかを示すコード)、病床数、表示順、病床稼働率閾値(現在状況)、重症者閾値(現在状況)、病床稼働率閾値(月間累計)、重症者閾値(月間累計)、病棟病床詳細区分、などの項目を含む。
【0060】
図14は、病床マスタ122aが記録するレコードの項目を示している。病床マスタ122aは、各病室や各病床を管理するマスタであり、病棟コード、病室コード、病床コード、建物構造詳細番号、病室名(
図1の例では、病室番号が該当する)、部屋タイプ区分、病棟/病床区分、届出区分、室料差額、装備(5番目まで入力可能)等の項目を含む。
【0061】
図15は、診療科マスタ123aが記録するレコードの項目を示している。診療科マスタ123aは、診療科名などを管理するマスタであり、診療科コード、診療科名、診療科名(略称)、表示順、表示区分、有効区分、などの項目を含む。
【0062】
図16は、ユーザーマスタ124aが記録するレコードの項目を示している。ユーザーマスタ124aは、本システムの利用者を管理するマスタであり、ユーザーID、ユーザー名、パスワード、職種コード、診療科コード、病棟コードを含む。
【0063】
次に、病床マップシミュレーション用データ13aに含まれる各データファイルの詳細について、
図17~
図21を用いて説明する。
【0064】
図17は、入院申込情報131aが記録するレコードの項目を示している。入院申込情報131aは、
図2で示す病床マップシミュレーション画面中、参照符号aで示す入院申込一覧の表示を行うためのデータであり、病床管理サーバ1が、患者基本情報111a、入院申込オーダ情報112a、病棟マスタ121a、診療科マスタ123aに含まれるデータから生成する。入院申込情報131aは、患者ID、入院申込No(患者単位の連番)、患者氏名、性別コード、性別名称、年齢、年齢月、診療科コード、診療科(略称)、病棟コード、病棟名(略称)、入院年月日、入院目的、希望部屋タイプ区分、希望部屋タイプ名、の項目を含む。なお、一患者について、2つ以上の入院申込みをする場合があるので、入院申込Noの項目が設けられている。
【0065】
図18は、病床マップ表示用データ132aが記録するレコードの項目を示している。病床マップ表示用データ132aは、
図2で示す病床マップシミュレーション表示中、参照符号bで示すシミュレーションマップの病床マップの表示を行うためのデータであり、病床管理サーバ1が、本システムの処理に必須のデータとして、患者基本情報111a、入院決定オーダ情報113a、転棟決定オーダ情報114a、退院決定オーダ情報115a、在院患者情報116a、病棟マスタ121a、病床マスタ122a、診療科マスタ123a、ユーザーマスタ124a、に含まれるデータから生成する。これらのデータにより、病床マップ表示用データ132aは、収集年月日(データ更新日)、病棟コード、病室コード、病床コード、病棟名、病棟名(略称)、病室名、室料差額、患者ID、患者カナ氏名、患者氏名、年齢、年齢月、診療科コード、診療科名(略称)、性別コード、性別名称、欄外(退院日)、欄外(予定)、空きエリアフラグ、空きエリア名、空きエリア背景色、キープフラグ、入院年月日、退院年月日、部屋タイプ区分、部屋タイプ名、救護区分名、主治医名、入院日数、病床在院人数、病床種別、病床背景色、収集時間、収集番号、日データ保存フラグ、登録日時、更新日時等のデータ項目を含む。
【0066】
また、
図1や
図2で示す病床マップシミュレーション表示では表示されていないが、シミュレーションマップに表示されているそれぞれの患者を指定してポップアップ等で表示される患者詳細情報のために、
図4中の病床管理データベース11aのデータとしては記載していない、DPC情報(
図24参照)、看護必要度情報(
図25参照)、手術情報(
図26参照)や患者履歴情報に含まれるデータから生成される、感染症フラグ、DPCコード、入院期間I日数表示、入院期間I満了年月日、入院期間I点数、入院期間II日数表示、入院期間II満了年月日、入院期間II点数、入院期間III日数表示、入院期間III満了年月日、入院期間III点数、重症者判定フラグ、手術有無、DPC/出来高、医療資源最投入傷病名、手術年月日1、手術名1、手術年月日2、手術名2、手術年月日3、手術名3、手術年月日4、手術名4、手術年月日5、手術名5、看護必要度A前日、看護必要度B前日、看護必要度C前日、DPC入院期間状態区分、DPC入院期間II状態区分、の項目を含む。
【0067】
本実施の形態による
図1及び
図2に示す病床マップは、病棟及び病室のレイアウトに従って病床マップを表示するために、上記したデータに加えて、
図4では図示していない、建物構造マスタや建物構造詳細マスタに含まれるデータが、病床マップ表示用データ132aにはさらに必要となる。しかしながら、本願発明では、本システムで表示する病床マップの形式に制限は設けず、病棟別に、病室番号順に、病床の現況を示す表形式等により病床マップを表示する実施の形態を含み、そのような実施の形態では、建物構造マスタや建物構造詳細マスタに含まれるデータは必ずしも必要がないので、ここではその詳細の説明は省略する。
【0068】
図19は、移動決定・在院患者情報データ133aが記録するレコードの項目を示している。移動決定・在院患者情報データ133aは、電子カルテ情報に基づく最新化された入院決定オーダ情報113a、転棟決定オーダ情報114a、退院決定オーダ情報115a、在院患者情報116a、に基づいて、入院決定、転棟決定、退院決定、入院開始、となった患者について取得するデータである。移動決定・在院患者情報データ133aは、患者ID、患者シミュレーションNo(患者単位で発行される連番であり、1人の患者につき、複数の移動がされる場合に対応している)、患者氏名、性別コード、性別名称、年齢、年齢月、移動区分(在床患者、入院決定、転棟決定、退院決定の4区分)、移動区分名(入院、転棟・転床、退院のいずれか)、日帰りフラグ、入院年月日、開始日(入院であれば入院決定日、転棟・転床であれば転棟・転床決定日、退院であれば退院決定日)、終了日、移動元:病棟コード、移動元:病棟名(略称)、移動元:病室コード、移動元:病室名、移動元:病床コード、病棟コード(退院決定の場合データ無)、病棟名(略称)(退院決定の場合データ無)、病室コード(退院決定の場合データ無)、病室名(退院決定の場合データ無)、病床コード(退院決定の場合データ無)、診療科コード(退院決定の場合データ無)、診療科(略称)(退院決定の場合データ無)、のデータ項目を含む。
【0069】
次に、
図4に示す、入院申込情報S134a、病床マップ表示用データS135a及び移動決定・在院患者情報データS136a、のレコードのデータ項目について説明する。入院申込情報S134aのレコードのデータ項目は、
図17に示す入院申込情報131aのデータ項目と同一である。病床マップ表示用データS135aのレコードのデータ項目は、
図18に示す病床マップ表示用データ132aのレコードのデータ項目と同一である。移動決定・在院患者情報データS136aのレコードのデータ項目は、
図19に示す移動決定・在院患者情報データ133aのレコードのデータ項目と同一である。上段でも説明したように、入院申込情報131a、病床マップ表示用データ132a及び移動決定・在院患者情報データ133aは、常時一定時間毎(例えば10分毎)に、病床管理データベース11a及び病床管理マスタ12aとからデータを取り込み更新されるデータである。一方、入院申込情報S134a、病床マップ表示用データS135a及び移動決定・在院患者情報データS136aは、シミュレーション端末2で病床マップシミュレーション表示を表示させるためにシミュレーション端末2に送信されるデータであるが、シミュレーション端末2から最新化指示を受信した場合に、常時更新されている入院申込情報131a、病床マップ表示用データ132a及び移動決定・在院患者情報データ133aからデータをコピーすることにより更新される。
【0070】
次に、入院申込入力データS137a及び患者移動シミュレーションデータS138aの詳細について説明する。
【0071】
図20は、入院申込入力データS137aが記録するレコードの項目を示している。入院申込入力データ137aは、
図2で示す病床マップシミュレーション表示中、参照符号aで示す入院申込一覧において、希望部屋タイプが空欄の場合あるいは希望部屋タイプを変更する場合に、シミュレーション端末2側で希望部屋タイプを入力した結果、メモリ2aに入院申込入力データ22a(
図3参照)として保存され、データ保存の操作により、病床管理サーバ1に送信され、病床マップシミュレーション表示用データとして保存されるデータである。入院申込入力データS137aのレコードは、患者ID、入院年月日、希望部屋タイプ区分及び希望部屋タイプ名のデータ項目を含む。入院申込入力データ22aと入院申込入力データS137aとは、データ項目は同一であるが、入院申込入力データ22aが各シミュレーション端末2で作成したデータであるのに対し、入院申込入力データS137aは、各シミュレーション端末2で作成され送信されたデータを統合したものである。
【0072】
図21は、患者移動シミュレーションデータS138aが記録するレコードの項目を示した図である。患者移動シミュレーションデータS138aは、シミュレーション端末2で表示される病床マップシミュレーション表示の画面において、患者移動(入院・転床・転棟・退院)の仮予定の入力の結果、メモリ2aに仮入力毎に患者移動シミュレーションデータ23a(
図3参照)として保存され、データ保存の操作により、病床管理サーバ1に送信され、病床マップシミュレーション表示用データとして保存されるデータである。患者移動シミュレーションデータS138aのレコードは、患者ID、患者シミュレーションNo(患者単位で発行される連番であり、1人の患者につき、複数の移動の仮入力がされる場合に対応している)、患者氏名、性別コード、性別名称、移動区分、移動区分名(入院、転棟・転床、退院のいずれか)、日帰りフラグ、入院年月日、開始日(入院であれば入院決定日、転棟・転床であれば転棟・転床決定日、退院であれば退院決定日)、終了日、移動元:病棟コード、移動元:病棟名(略称)、移動元:病室コード、移動元:病室名、移動元:病床コード、移動先の病棟コード、移動先の病棟名(略称)、移動先の病室コード、移動先の病室名、移動先の床コード、診療科コード、診療科(略称)、重複エラー日付、重複エラー理由のデータ項目を含む。患者移動シミュレーションデータ23aと患者移動シミュレーションデータS138aとは、データ項目は同一であるが、患者移動シミュレーションデータ23aが各シミュレーション端末2で作成したデータであるのに対し、患者移動シミュレーションデータS138aは、各シミュレーション端末2で作成され送信されたデータを統合したものである。
【0073】
次に、病床管理サーバ1及びシミュレーション端末2において行われる処理の内容について、
図3に示した、病床管理サーバ1側の11b、12b、13bと、シミュレーション端末2側の21b、22b、23b、24b、25bとに従って説明する。
【0074】
1.1病床マップシミュレーションデータ取得・作成処理
病床管理サーバ1は、入院申込オーダ情報112aから、現在入院申込がされている患者のデータを取得し、患者基本情報111a、病棟マスタ121a、診療科マスタ123aから取得した表示等に必要なデータを統合することによって、入院申込情報131aを生成し、一定時間毎に更新する。
【0075】
病床管理サーバ1は、病棟マスタ121a及び病床マスタ122aから病床マップ表示レイアウトのためにデータを取得すると共に、在院患者情報116a、入院決定オーダ情報113a、転棟決定オーダ情報114a、退院決定オーダ情報115a、患者基本情報111a、DPC情報(
図24参照)、看護必要度情報(
図25参照)、手術情報(
図26参照)、患者履歴情報等から各病床の現況(在床、入院決定、転棟決定、退院決定)に係る患者に関する情報を取得し、病床マップ表示用データ132aを生成し、一定時間毎に更新する。
【0076】
病床管理サーバ1は、入院決定オーダ情報113a、転棟決定オーダ情報114a、退院決定オーダ情報115a、在院患者情報116aから、入院決定、転棟決定、退院決定、入院開始、となった患者についてのデータを取得し、移動決定・在院患者情報データ133aを生成し、一定時間ごとに更新する。
【0077】
また、病床管理サーバ1は、シミュレーション端末2からシミュレーション結果として送信されるデータを、入院申込入力データS137a及び患者移動シミュレーションデータS138aとして保存する。
【0078】
1.2病床マップシミュレーション表示用データ提供処理
病床管理サーバ1は、シミュレーション端末2からのシミュレーション選択を受けて、入院申込情報S134a、病床マップ表示用データS135a、移動決定・在院患者情報データS136a、入院申込入力データS137a、患者移動シミュレーションデータS138aを、シミュレーション端末2に送信する。
【0079】
1.3病床マップシミュレーション表示用データ最新化処理
病床管理サーバ1は、シミュレーション端末2から、最新化ボタンの操作を受けて、入院申込情報131a、病床マップ表示用データ132a及び移動決定・在院患者情報データ133aから最新のデータを取得して、入院申込情報S134a、病床マップ表示用データS135a及び移動決定・在院患者情報データS136aの最新化データとする。また、最新化された移動決定・在院患者情報データS136aと、患者移動シミュレーションデータS138aとに含まれるデータ中、同一患者についてのデータが移動情報として重複又は不整合が生じていれば、患者移動シミュレーションデータS138aに含まれるデータを削除する。同様に、最新化された移動決定・在院患者情報データS136aと、患者移動シミュレーションデータS138aとに含まれるデータ中、同一病床についてのデータが移動情報として重複又は不整合が生じていれば、患者移動シミュレーションデータS138aに含まれるデータを削除する。そして、最新化された入院申込情報S134a、病床マップ表示用データS135a及び移動決定・在院患者情報データS136aと、最新化された移動決定・在院患者情報データS136aによって更新された患者移動シミュレーションデータS138aと、入院申込データS137aとを、シミュレーション端末2に送信する。このとき、患者移動シミュレーションデータS138aから削除されたデータについても、その削除理由とともにシミュレーション端末2に送信し、ポップアップ画面にて表示を行う。
【0080】
2.1シミュレーション画面表示処理
シミュレーション端末2は、シミュレーションメニューを選択することにより、病床管理サーバから送信される入院申込情報S134a、病床マップ表示用データS135a、移動決定・在院患者情報データS136a、入院申込入力データS137a、患者移動シミュレーションデータS138a、から、入院申込一覧及びシミュレーションマップを表示させる。
【0081】
入院申込一覧は、入院申込情報S134aと入院申込入力データS137aからデータを取得し、入院申込一覧を表示する。
【0082】
また、入院申込情報S134a、病床マップ表示用データS135a、移動決定・在院患者情報データS136a、患者移動シミュレーションデータS138aから、病院全体の入院申込残数、空床数、病床稼働率を算出して、日別に表示する(
図2中、参照符号d)。
【0083】
2.2患者移動仮予定入力処理
シミュレーション端末2に表示されているシミュレーション画面において、入院申込一覧に表示された患者と、シミュレーションマップに表示された病床とを指定することにより、入院の仮予定入力を行い、これにより、メモリ2a上の患者移動シミュレーションデータ23aに当該仮予定入力により生成されたデータを追加する。患者と病床の指定は、表示されている患者名の表示をマウスでドラッグし、シミュレーションマップ上の病床にドロップしてポップアップされる入院予定日入力画面に予定日を入力することにより可能であるが、他の手段、例えば患者を指定してポップアップされる入力画面において、入院予定日及び病床を入力してもよい。なお、入院の仮予定入力を行った患者は、入院申込一覧にグレーアウト等により識別可能にする。仮予定の入力・取消の際には、該当病床(入院先の病床)の状態、及び、過去・当日・未来の直近の予定をもとに入力チェックを行い、移動情報として不整合が発生しない仕組みとなっている。また、シミュレーションマップ上の入院の仮予定入力が行われた病床については、色彩によるマーキング等により入院の仮予定入力が識別できる表示を行う。
【0084】
シミュレーション端末2に表示されているシミュレーション画面において、転棟・転床の仮予定入力を行う患者をシミュレーションマップ上で指定し、転棟・転床先の病床を指定することにより、転棟・転床の仮予定入力を行い、これにより、メモリ2a上の患者移動シミュレーションデータ23aに当該仮予定入力により生成されたデータを追加する。患者と病床の指定は、表示されている患者名の表示をマウスでドラッグし、シミュレーションマップ上の病床にドロップしてポップアップされる転床・転棟予定日入力画面に予定日を入力することにより可能であるが、他の手段、例えば患者を指定してポップアップされる入力画面において、転床・転棟予定日及び病床を入力してもよい。仮予定の入力・取消の際には、該当病床(転出元・転入先の病床)の状態、及び、それらの過去・当日・未来の直近の予定をもとに入力チェックを行い、移動情報として不整合が発生しない仕組みとなっている。なお、転棟・転床の仮予定入力を行った患者については、シミュレーションマップに表示された当該病床に色彩によるマーキング等により、転棟・転床の仮予定入力がされていることを識別できる表示を行う。また、転棟・転床先の病床についても、色彩によるマーキング等により転棟・転床の仮予定入力が識別できる表示を行う。
【0085】
シミュレーション端末2に表示されている病床マップシミュレーション表示において、シミュレーションマップに表示された在床の患者を指定することにより、退院の仮予定入力を行い、これにより、メモリ2a上の患者移動シミュレーションデータ23aに当該仮予定入力により生成されたデータを追加する。退院予定日の入力は、シミュレーションマップに表示されている患者名を指定することによりポップアップされる退院予定日入力画面に予定日を入力することにより可能である。仮予定の入力・取消の際には、該当患者の過去・当日・未来の直近の予定をもとに入力チェックを行い、移動情報として不整合が発生しない仕組みとなっている。なお、退院の仮予定入力を行った患者については、シミュレーションマップに表示された当該病床に退院日が識別可能な表示を行う。
【0086】
さらに、上記した仮予定入力により、シミュレーションマップ上に表示されている病院全体の入院申込残数、空床数、病床稼働率を再計算して更新する。
【0087】
2.3仮予定一覧出力処理
シミュレーション端末2において、入院申込一覧表示(仮予定)の操作ボタンc4(
図2参照)を操作することにより、メモリ2a上に記憶されている患者移動シミュレーションデータ23a及び患者シミュレーションデータS138aから、移動区分が「入院」であるデータを抽出して、仮予定入力された入院申込一覧を出力させる。
図22にその例を示すように、入院の仮予定入力を行った患者について、患者番号、患者名、診療科、入院予定日、入院先(病棟、病室、ベッド)が表示された一覧を表示あるいはプリントにより出力させる。この一覧が、医師、看護師、及びその他の関係者による入院決定を行うための資料となる。なお、入院決定が行われた場合には、電子カルテ情報に入院決定が入力され、データ最新化により、病床管理サーバ1が記憶する入院決定オーダ情報113a等に反映されることになる。
【0088】
シミュレーション端末2において、転棟退院一覧表示(仮予定)の操作ボタンc3(
図2参照)を操作することにより、メモリ2a上に記憶されている患者移動シミュレーションデータ23a及び患者シミュレーションデータS138aから、移動区分が「転棟・転床」及び「退院」であるデータを抽出して、仮予定入力された転棟・転床/退院一覧を出力させる。
図23にその例を示すように、「転棟・転床」及び「退院」の仮予定入力を行った患者について、患者番号、患者名、移動区分、移動元(病棟、病室、ベッド)、移動先(病棟、病室、ベッド、退院の場合は空欄)が表示された一覧を表示あるいはプリントにより出力させる。この一覧が、医師、看護師、及びその他の関係者による転棟、転床、退院の決定を行うための資料となる。なお、これらの決定が行われた場合には、電子カルテ情報に決定が入力され、データ最新化により、病床管理サーバ1が記憶する転棟決定オーダ情報114a、退院決定オーダ情報115a等に反映されることになる。
【0089】
2.4病床マップシミュレーション表示用データ最新化指示
シミュレーション端末2は、最新化ボタンを操作することにより、病床管理サーバ1に対して、病床マップシミュレーション表示用データの最新化の指示を送信する。
【0090】
2.5シミュレーション結果保存処理
シミュレーション端末2は、データ保存ボタンを操作することにより、メモリ2aに保存していた入院申込入力データ22a及び患者移動シミュレーションデータ23aを、病床管理サーバ1に送信する。このとき、シミュレーション画面表示の後、複数のユーザーにより同一病棟に対する仮入力が行われた場合には、最も早いタイミングで処理された情報を優先してデータ保存する。それ以外のユーザーの仮入力は、排他制御によりデータ保存がキャンセルされ、そのキャンセル情報をユーザーへのポップアップメッセージとして表示する。