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  • 特許-回転塗装におけるワークの配置検討方法 図1
  • 特許-回転塗装におけるワークの配置検討方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】回転塗装におけるワークの配置検討方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/02 20060101AFI20220324BHJP
   B05D 1/40 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
B05D1/02 H
B05D1/40 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018083699
(22)【出願日】2018-04-25
(65)【公開番号】P2019188324
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】593081224
【氏名又は名称】タクボエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104488
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 良夫
(72)【発明者】
【氏名】西川 俊博
(72)【発明者】
【氏名】小島 光
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-341184(JP,A)
【文献】特開2006-314939(JP,A)
【文献】特開2012-011416(JP,A)
【文献】特開2005-152785(JP,A)
【文献】特開2005-013884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00-7/26
B05B 1/00-17/08
B25J 1/00-21/02
G05B 19/18-19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形の回転テーブルの周縁部分に複数個のワークを等間隔で配置して、回転テーブルを回転しながらワークに向けて塗料を噴霧する回転塗装のためのワークの配置検討方法であって、
制御手段(1)と表示手段(2)を用いて、
ワークの3Dデータを制御手段(1)に取り込み、
回転テーブルに配置するワークの個数、又はワークを配置する回転テーブルの直径寸法を設定し、
設定したワークの個数又はワークを配置する回転テーブルの直径寸法と、取り込んだワークの3Dデータを用いて、円形の回転テーブルの周縁部分に複数個のワークを等間隔で配置した状態のワークの3D表示データを作成し、
作成した3D表示データを表示手段に表示する方法において、
円形の回転テーブルの周縁部分に複数個のワークを等間隔で配置した状態のワークの3D表示データを表示手段に表示するに際して、表示するワーク間の距離を、ワークにおける回転テーブルの内周側から外周側へ向いた距離の寸法の1.5倍程度に設定する、ことを特徴とする回転塗装におけるワークの配置検討方法。
【請求項2】
設定されたワークの個数に応じて、回転テーブルの直径寸法を決定することを特徴とする請求項1に記載の回転塗装におけるワークの配置検討方法。
【請求項3】
設定された回転テーブルの直径寸法に応じて、回転テーブルに配置するワークの個数を決定することを特徴とする請求項1に記載の回転塗装におけるワークの配置検討方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転テーブルに複数個のワークを配置して、回転テーブルを回転させながら回転テーブルに配置されたワークに塗料を噴射して行う回転塗装におけるワークの配置検討方法に係り、より詳しくは、予めワークの3Dデータを制御手段に取り込むとともに、塗装するワークの個数、回転テーブルの直径等を制御手段に設定することで、画面上のバーチャル空間にワークを配置することを特徴とする回転塗装におけるワークの配置検討方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、塗装の分野においては、被塗装物(以下「ワーク」と言う。)を大量に塗装する場合において、塗装ロボットを用いて自動的に塗装を行なう方法が採用されている。そして、このような塗装ロボットを用いて自動的に塗装を行う場合には、塗装の膜厚を均一にするために、塗装ガンの噴射口とワークとの距離や角度を一定に保つ必要がある。
【0003】
そのために、このような塗装ロボットを用いた塗装では、予めワークの外形寸法等に基づいて塗装ロボットにおけるスプレーガンの軌道データを計算するとともに、この軌道データを塗装ロボットに記憶させておくことが必要であり、この作業を一般に「ティーチング」という。
【0004】
そして、このティーチングによって、塗装ロボットは、このティーチングされた軌道データに基づいてスプレーガンを移動することができ、これにより自動的にワークを塗装することが可能となる。従って、このような塗装ロボットを用いた塗装では、特に複数個のワークの塗装を行なう場合には、人件費等の経費を削減することができるとともに、すべてのワークに対して正確に同一の塗装を行なうことができるという利点がある。
【0005】
ところで、前述のようなティーチングのプロセスにおいては、塗装ロボットの軌道データを作成する前準備として、ワークの配置を決定する必要があるが、従来は、ワークの配置を決定する工程では、作業者が実際のワークを手に取り、スケールや専用の治具を用いて、ワークの角度等を頭の中でイメージしながら行っていた。そのために、従来のワークの配置では熟練工が経験と勘に頼って行う必要があり、経験を重ねた作業者でなければ正確なワークの配置を行うことは不可能であった。
【0006】
特に、回転テーブルの周囲に複数個のワークを配置して、回転テーブルを回転させながらワークに向けて塗料を噴射する回転塗装においては、隣のワークの陰にならないように、複数のワークを三次元空間上に配置する必要があり、頭の中でワークの動きやスプレーガンの軌道を正確に把握する必要があるために、経験を積んだ作業でも容易に行うことはできなかった。
【0007】
また、従来のティーチングでは、スプレーガンとワークの距離やスプレーガンのワークへの狙い目に関しては、現物のワークを近くで見ながら、経験や勘に頼っていたのが現状であり、スプレーガンとワークの距離は現物合わせで行い、スプレーガンの狙い目はスケールや専用冶具を用いて確認する必要があるため、ティーチングの作業の中でワークの配置を変更することもあり、作業が煩雑になり時間がかかっていた。
【0008】
更に、回転テーブルにワークを取り付ける際には専用の取付治具を用いるが、この取付治具の製作に際しては、実際のワークの配置を見ながら手作業で行う必要があるために、取付治具の製作作業にも時間がかかっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2005-152785号公報
【文献】特開2005-013884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、回転塗装におけるティーチングプロセスにおいて、容易にワークの配置検討を行うことが可能で作業時間の短縮と正確なワーク配置を可能にするとともに、取付治具の製作も容易である回転塗装におけるワークの配置検討方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の回転塗装におけるワークの配置検討方法は、
円形の回転テーブルの周縁部分に複数個のワークを等間隔で配置して、回転テーブルを回転しながらワークに向けて塗料を噴霧する回転塗装のためのワークの配置検討方法であって、
制御手段と表示手段を用いて、
ワークの3Dデータを制御手段に取り込み、
回転テーブルに配置するワークの個数、又はワークを配置する回転テーブルの直径寸法を設定し、
設定したワークの個数又はワークを配置する回転テーブルの直径寸法と、取り込んだワークの3Dデータを用いて、円形の回転テーブルの周縁部分に複数個のワークを等間隔で配置した状態のワークの3D表示データを作成し、
作成した3D表示データを表示手段に表示する方法において、
円形の回転テーブルの周縁部分に複数個のワークを等間隔で配置した状態のワークの3D表示データを表示手段に表示するに際して、表示するワーク間の距離を、ワークにおける回転テーブルの内周側から外周側へ向いた距離の寸法の1.5倍程度に設定する、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の回転塗装におけるワークの配置検討方法は、制御手段と表示手段を用いて、ワークの3Dデータを制御手段に取り込み、回転テーブルに配置するワークの個数又はワークを配置する回転テーブルの直径寸法を設定し、設定したワークの個数又はワークを配置する回転テーブルの直径寸法と、取り込んだワークの3Dデータを用いて、円形の回転テーブルの周縁部分に複数個のワークを等間隔で配置した状態のワークの3D表示データを作成し、作成した3D表示データを表示手段の画面に表示する方法において、表示するワーク間の距離を、ワークにおける回転テーブルの内周側から外周側へ向いた距離の寸法の1.5倍程度に設定することを特徴としている。
【0013】
そのため、熟練工の経験と勘に頼って行っていたワークの配置検討を自動的に行うことができ、回転塗装におけるティーチングプロセスにおいて、ワークの配置を容易にかつ正確に行うことが可能である。従って、ティーチングプロセスにおけるワークの配置作業を短時間で行うことが可能である。また、ワークの3Dデータに基づいて3D表示データを作成するために、この3D表示データを用いることで、ワークを回転テーブルに設置するための取付治具を製作する作業も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の回転塗装におけるワークの配置方法の実施例を実施するためのシステム構成を示すブロック図である。
図2】本発明の回転塗装におけるワークの配置方法の実施例における画面表示を説明するための図である。
図3】本発明の回転塗装におけるワークの配置方法の実施例を説明するためのフローチャートである。
図4】本発明の回転塗装におけるワークの配置方法の実施例を説明するための図であり、ワーク間の距離を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の回転塗装におけるワークの配置検討方法では、制御手段と制御手段からの指示に従って画面にバーチャル空間を表示する表示手段を用いて、バーチャル空間に、回転塗装を行うためのワークを配置することとしている。
【0016】
即ち、予め作成したワークの3Dデータを制御手段に取り込むとともに、回転テーブルに配置するワークの個数、又はワークを配置する回転テーブルの直径寸法を設定する。
【0017】
そして、設定したワークの個数又はワークを配置する回転テーブルの寸法と、取り込んだワークの3Dデータを用いて、回転テーブルに配置した状態のワークの3D表示データを作成し、この3D表示データによって、表示手段におけるバーチャル空間に、回転テーブルの周縁部分に配置する状態と同様な円形に、ワークを表示する。
【0018】
そしてこのとき、バーチャル空間に表示するワーク間の距離を、ワークにおける回転テーブルの内周側から外周側へ向いた距離の寸法の1.5倍程度に設定する。
【0019】
ここで、ワークの個数が設定されている場合には、設定されているワークの個数に応じて、回転テーブルの寸法を決定するとよく、これにより、ワークの個数に応じた回転テーブルの寸法を自動的に得ることができ、作業時間を短縮することができる。
【0020】
一方、回転テーブルの寸法が設定されている場合には、設定された回転テーブルの寸法に応じて、回転テーブルに配置するワークの個数を決定するとよく、これにより、選択した回転テーブルの寸法に応じたワークの個数を自動的に得ることができ、作業時間を短縮することができる。
【実施例1】
【0021】
本発明の回転塗装におけるワークの配置検討方法(以下単に「ワークの配置検討方法」という。)の実施例について図面を参照して説明すると、本実施例のワークの配置検討方法では、パソコン等の制御手段と、表示手段を用いて、表示手段の画面に、ワークを表示することとしている。
【0022】
即ち、図1が本実施例のワークの配置検討方法を実施するためのシステム構成を示す図であり、図において1がパソコン等の制御手段、2がモニタ等の表示手段である。また、図において3は、制御手段1にデータを取り込むための記憶手段であり、USBメモリ等が考えられる。
【0023】
次に、図2は本実施例で用いる表示手段2の画面を示す図であり、この画面は、ワークを表示するためのバーチャル空間と、数値等を入力するための入力エリアが表示されている。
【0024】
即ち、図において4が入力エリアであり、この入力エリア4においては、ワークの個数、回転テーブルの直径を入力するとともに、ワークの種類、配置の座標、ワークを配置する回転テーブルのシャフトの高さ、取付治具の寸法、傾き角度等の各種のデータを、入力し又はメニューから選択する。
【0025】
次に、図において5はバーチャル空間であり、このバーチャル空間5は、表示画面の中央部分にメインエリア5aが表示され、このメインエリア5aには、複数のワークを配置した状態を斜め上方からの視野で示している。即ち、図において6が、バーチャル空間5に表示されているワークであり、本実施例においては、回転テーブルの周縁部に配置した状態のワーク6を表示している。
【0026】
また、図において7は、バーチャル空間5に表示している、塗装ロボットの一部を表示しており、この塗装ロボット7は、スプレーガン8を備えた状態で表示している。
【0027】
次に、図において5b、5c、5dはサブエリアである。即ち、本実施例において前記バーチャル空間5は、複数のワークを配置した状態を斜め上方からの視野で表示したメインエリア5aの他に、複数のサブエリアを示しており、このサブエリアにおいては、後方から見た状態5b、横方向から見た状態5c、及び、上方向から見た状態5dを示している。但し、このサブエリア5b、5c、5dにおける表示方法は特に限定されず、どの方向から見た状態を表示しても良い。更に、サブエリア5b、5c、5dを備えずにメインエリア5aのみの表示でもよい。
【0028】
次に、本実施例のワークの配置検討方法において、バーチャル空間5にワークを配置する方法について説明すると、図3は本実施例のワークの配置検討方法を説明するためのフローチャートである。そして、本実施例のワーク配置検討方法では、まず、S1において、ワークの3Dデータを作成する。即ち、本実施例のワークの配置検討方法では、まず、3D-CADによりワークの3Dデータを作成し、又は、実際のワークを3Dスキャナーによりスキャンすることでワークの3Dデータを作成する。但し、ワークの3Dデータの作成方法は限定されず、いずれの方法で作成してもよい。
【0029】
次に、ワークの3Dデータを作成した後に、S2において、作成した3Dデータを制御手段1に取り込む。なお、3Dデータの取り込み方法としては、作成した3DデータをUSBメモリ等の記憶手段に記憶して制御手段に取り込む方法や、3Dデータを作成した装置から、有線、無線で制御手段に3Dデータを送信する方法が考えられる。
【0030】
次に、本実施例においては、作成した3Dデータの制御手段1への取り込みとともに、配置するワークの個数の設定、又は回転テーブルの直径寸法の設定を行う。即ち、配置するワークの個数を設定する場合には、S3において、前記入力画面4で、回転テーブルに配置するワークの個数を指定する。一方、回転テーブルの直径寸法の指定を行う場合には、S4において、前記入力画面4において、回転テーブルの直径寸法の指定を行う。なおワークの個数又は回転テーブルの直径寸法の指定の方法は特に限定されず、数値を直接入力する方法の他に、数値ボタンを表示して、数値を選択させる方法を採用しても良い。
【0031】
そして、ワークの3Dデータの取り込み及びワークの個数又は回転テーブルの直径の設定を行った後に、本実施例においては、S5において、3D表示データを作成する。即ち、S5においては、制御手段1が、設定したワークの個数又は回転テーブルの直径寸法と、取り込んだワークの3Dデータ3Dデータを用いて、3D表示データを作成し、S6において、作成した3D表示データを用いて、バーチャル空間5に、ワークを表示する。そして、ワークの表示に際しては、回転テーブル周縁部分に複数個のワークを等間隔で配置した状態を表示する。なお、必ずしも、ワークの3Dデータの取り込み後にワークの個数又は回転テーブルの直径の設定を行う必要は無く、ワークの3Dデータの取り込みをする前に、予めワークの個数又は回転テーブルの直径の設定をしておいてもよい。
【0032】
ここで、3D表示データの作成について説明すると、本実施例のワークの配置検討方法においては、表示するワーク間の距離を、ワークの前後方向の寸法の1.5倍程度に設定することとしている。即ち、図4がこの関係を説明するための図であり、図において6がワークである。そして、図において9が、ワーク6を配置するための回転テーブルである。
【0033】
また、図において8はワークに向けて塗料を噴霧するためのスプレーガンであり、図において点線で示している部分は、スプレーガン8から噴霧された塗料ミストである。そして、前記回転テーブル9は、矢印に示すように反時計周りに回転することとしており、前記スプレーガン8は、近づいてくるワーク6に向けて塗料を噴霧することとしている。
【0034】
次に、図においてAで示した寸法は、ワーク6における前後方向、即ち、回転テーブル9の内周側から外周側へ向いた距離の寸法である。そして、図においてBで示した寸法は、回転テーブル9の周縁部分に配置されるワーク6の隣り合うワーク間の距離寸法である。
【0035】
そして、本実施例のワークの配置検討方法では、バーチャル空間5に表示するワーク6間の距離Bを、ワーク6の前後方向の寸法Aの1.5倍程度に設定しており、これにより、回転テーブル9の回転に伴ってスプレーガン8の噴霧エリアにワーク6が移動してきた場合に、隣り合うワーク6が重なりあってしまい塗料が塗着しない箇所が生じることを防止している。
【0036】
即ち、本発明者の実験によると、回転テーブルの周縁部分に複数個のワークを等間隔で配置し、回転テーブルの回転に伴って移動してくるワークに向けてスプレーガンから塗料を噴霧する回転塗装においては、ワーク間の距離を、ワークの前後方向の寸法Aの1.5倍程度に設定した場合には、塗料が塗着しない箇所が生じないことが判明した。そこで、本実施例のワークの配置検討方法では、バーチャル空間5にワーク6を配置する際には、ワーク間の距離Bを、ワーク6の前後方向の寸法Aの1.5倍程度に設定することとしている。
【0037】
次に、本実施例のワークの配置検討方法における3D表示データの具体的な作成方法を説明すると、本実施例においてワークの配置検討を行う場合には、ワーク6の個数を設定する場合と、回転テーブル9の直径を設定する場合がある。
【0038】
まず、ワークの個数を設定する場合について説明すると、ワークの個数を設定して3D表示データを作成する場合には、制御手段1は、制御手段1に取り込んだワークの3Dデータに基づき、ワーク6間の距離Bが、ワーク6の前後方向の寸法Aの1.5倍程度になるように、回転テーブル9の直径を調整し、設定した個数のワークが回転テーブルの周縁部分に等間隔で配置されるようにして、ワークの3D表示データを作成し、バーチャル空間5に表示する。
【0039】
一方、回転テーブル9の直径を設定した場合には、制御手段1は、制御手段1に取り込んだワーク6の3Dデータに基づき、ワーク6間の距離Bが、ワーク6の前後方向の寸法Aの1.5倍程度になるように、配置するワーク6の個数を調整し、設定した直径の回転テーブル9の周縁部分に等間隔で配置されるようにして、ワークの3D表示データを作成して、バーチャル空間5に表示する。
【0040】
即ち、回転テーブルの周縁部分に等間隔で配置されるようにして、バーチャル空間5にワークを表示した状態を示す図が図2であり、メインエリア5aには、塗装ロボット7の一部とともに、ワークを斜め上方から見た斜視図の表示を行っており、サブエリア5b、5c、5dには、後方から見た状態5b、横方向から見た状態5c、及び、上方向から見た状態5dが表示されている。
【0041】
そして、この状態を検討して、ワーク6の個数を設定した場合において、回転テーブル9の直径が、塗装ロボットや塗装ブース等の寸法等から考えて実現不可能な寸法である場合には、S3におけるワークの個数の指定により個数を修正し、S5における3D表示データの作成、S6における作成した3D表示データを用いたバーチャル空間5へのワークの表示を繰り返すことで、ワークの配置検討を行う。あるいは、制御手段1の制御により、回転テーブル9の寸法が実現不可能であるためにワークの個数の指定を修正すべきとの警告表示を行い、それによって、ワークの配置検討を促す。指定したワークの個数が多すぎるために回転テーブル9が大きくなりすぎている場合や、指定したワークの個数が少なすぎるために回転テーブル9が小さくなりすぎている場合などが該当する。
【0042】
一方、バーチャル空間5にワークを表示した状態を検討して、回転テーブル9の直径を設定した場合において、表示されているワーク6の個数が、塗装ロボットや塗装ブース等の寸法等から考えて非現実的な個数である場合には、S4における回転テーブル9の直径の指定により回転テーブル9の直径を修正し、S5における3D表示データの作成、S6における作成した3D表示データを用いたバーチャル空間5へのワークの表示を繰り返すことで、ワークの配置検討を行う。あるいは、制御手段1の制御により、回転テーブル9の寸法が実現不可能であるためにワークの個数の指定を修正すべきとの警告表示を行い、それによって、ワークの配置検討を促す。指定した回転テーブルの直径が小さすぎるために配置されたワークの個数が少なすぎた場合や、指定した回転テーブルの直径が大きすぎるために配置されたワークの個数が多すぎた場合などが該当する。
【0043】
更に、本実施例のワークの配置検討においては、図示を省略するが、バーチャル空間5にマウスポインタを表示しており、このマウスポインタを、表示されているワーク6に合わせ、マウスボタン等を押しながら移動させることで、ワーク6の角度を調整することを可能としている。そのために、本実施例では、表示されたワーク6の角度を微調整することができ、ワーク6の配置検討を容易に行うことが可能である。
【0044】
このように、本実施例のワークの配置検討方法では、制御手段にワークの3Dデータを取り込むことのみで、従来は熟練工が手作業で行っていたワークの配置検討作業を表示手段の画面で行うことができるために、ワークの配置検討作業が容易になり、作業時間を大幅に短縮することが可能である。
【0045】
また、熟練工による手作業のワークの配置検討方法と異なり、ワークの3Dデータを制御手段に取り込むことで、デジタルのデータが残るため、外形寸法が同じワークの場合には、ワークの配置検討作業を繰り返す必要が無くなる。
【0046】
更に、制御手段が3D表示データを作成するために、この3D表示データを用いることで、ワークを回転テーブルに設置するための取付治具を製作する作業も容易となる。
【0047】
このように、本実施例のワークの配置検討方法によれば、ワークの3Dデータを制御手段に取り込むとともに、ワークの個数又はワークを配置する回転テーブルの寸法を設定し、その後、取り込んだワークの3Dデータと、設定されたワークの個数又はワークを配置する回転テーブルの寸法に基づいて、3D表示データを作成し、表示手段の画面にワークを表示する方法において、表示するワーク間の距離を、ワークの前後方向の寸法の1.5倍程度に設定することを特徴としているため、熟練工の経験と勘に頼って行っていたワークの配置を自動的に行うことができるので、回転塗装におけるティーチングプロセスにおいて、ワークの配置を容易にかつ正確に行うことが可能である。従って、ティーチングプロセスにおけるワークの配置作業を短時間で行うことが可能である。
【0048】
また、ワークの3Dデータに基づいて3D表示データを作成するために、この3D表示データを用いることで、ワークを回転テーブルに設置するための取付治具を製作する作業も容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のワークの配置検討方法では、ワークの3Dデータを取り込み、この3Dデータを用いてバーチャル空間で自動的にワークの配置を行うために、回転塗装において複数のワークを回転テーブルに配置するためのワークの配置検討方法の全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 制御手段
2 表示手段
3 記憶手段
4 入力エリア
5 バーチャル空間
5a メインエリア
5b、5c、5d サブエリア
6 ワーク
7 塗装ロボット
8 スプレーガン
9 回転テーブル
図1
図2
図3
図4