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特許7045256心疾患診断支援プログラム、心疾患診断支援方法及び心疾患診断支援装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】心疾患診断支援プログラム、心疾患診断支援方法及び心疾患診断支援装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20220324BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20220324BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
G01T1/161 D ZDM
A61B6/03 370Z
A61B6/03 360G
A61B6/03 377
A61B6/03 360Q
A61B5/055 390
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018086445
(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2019191079
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000230250
【氏名又は名称】日本メジフィジックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 正道
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-025005(JP,A)
【文献】特開2014-128631(JP,A)
【文献】倉田 聖,次世代の画像解析ソフトウェア No.146 心臓CTによる冠動脈支配灌流域の定量評価,INNERVISION,日本,株式会社インナービジョン,2014年05月25日,第29巻第6号,p.74-75
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/161-1/166
A61B 6/00-6/14
A61B 5/055
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
被験者における三次元冠動脈画像、少なくとも左心室の三次元形態画像、安静時及び負荷時の三次元心臓ダイナミック核医学画像、前記被験者における各冠動脈の局所的な狭窄状態を表す指標値を取得する処理と、
前記三次元冠動脈画像に基づいて、前記左心室の前記三次元形態画像を複数の領域に分割する処理と、
前記左心室の前記三次元形態画像を分割した複数の前記領域を仕切る境界線を抽出し、当該境界線を用いて前記三次元心臓ダイナミック核医学画像を分割する処理と、
前記三次元心臓ダイナミック核医学画像を分割した前記領域毎に前記被験者のCFRを算出する処理と、
前記領域におけるCFRと、前記領域に対応する前記指標値との比較に基づき、治療方針を決定するための指標を求める処理と、
前記指標を表示部に表示する処理を実行させるための心疾患診断支援プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載の心疾患診断支援プログラムにおいて、
前記指標値は、FFR(Fractional Flow Reserve)、FFRCTのうちいずれか一つであることを特徴とする心疾患診断支援プログラム。
【請求項3】
被験者における三次元冠動脈画像、少なくとも左心室の三次元形態画像、安静時及び負荷時の三次元心臓ダイナミック核医学画像、前記被験者における各冠動脈の局所的な狭窄状態を表す指標値を取得する情報取得ステップと、
前記三次元冠動脈画像に基づいて、前記左心室の前記三次元形態画像を複数の領域に分割する第1の分割ステップと、
前記第1の分割ステップで前記左心室の前記三次元形態画像を分割した複数の前記領域を仕切る境界線を抽出し、当該境界線を用いて前記三次元心臓ダイナミック核医学画像を分割する第2の分割ステップと、
前記第2の分割ステップで前記三次元心臓ダイナミック核医学画像を分割した前記領域毎に前記被験者のCFRを算出するCFR算出ステップと、
前記CFR算出ステップで算出された前記領域におけるCFRと、前記領域に対応する前記指標値との比較に基づき、治療方針を決定するための指標を求める指標算出ステップと、
前記指標算出ステップで算出された前記指標を表示部に表示する表示ステップとを含む心疾患診断支援方法。
【請求項4】
請求項3に記載の心疾患診断支援方法において、
前記指標値は、FFR(Fractional Flow Reserve)、FFRCTのうちいずれか一つであることを特徴とする心疾患診断支援方法。
【請求項5】
被験者における三次元冠動脈画像、少なくとも左心室の三次元形態画像、安静時及び負荷時の三次元心臓ダイナミック核医学画像、前記被験者における各冠動脈の局所的な狭窄状態を表す指標値を取得する情報取得部と、
前記三次元冠動脈画像に基づいて、前記左心室の前記三次元形態画像を複数の領域に分割する第1の分割処理部と、
前記第1の分割処理部で前記左心室の前記三次元形態画像を分割した複数の前記領域を仕切る境界線を抽出し、当該境界線を用いて前記三次元心臓ダイナミック核医学画像を分割する第2の分割処理部と、
前記第2の分割処理部で前記三次元心臓ダイナミック核医学画像を分割した前記領域毎に前記被験者のCFRを算出するCFR算出部と、
前記CFR算出部で算出された前記領域におけるCFRと、前記領域に対応する前記指標値との比較に基づき、治療方針を決定するための指標を求める指標算出部と、
前記指標算出部で算出された前記指標を表示部に表示する表示処理部とを備えることを特徴とする心疾患診断支援装置。
【請求項6】
請求項5に記載の心疾患診断支援装置において、
前記指標値は、FFR(Fractional Flow Reserve)、FFRCTのうちいずれか一つであることを特徴とする心疾患診断支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心疾患診断支援プログラム、心疾患診断支援方法及び心疾患診断支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、心筋シンチグラフィは、被験者に放射性同位元素で標識された薬剤(放射性医薬品)を注射し、注射した薬剤から放出される放射線を撮影して、放射線量をコンピュータ処理して画像にし、心筋の血流やエネルギー代謝などをイメージングする検査である。この検査は、侵襲性が低く、適切な放射性医薬品を選択することで心臓に関する様々な生理学的、生化学的情報が得られるといった優れた特徴を有しているため、広く臨床において利用されている。例えば、薬物又は運動負荷時の心筋血流量との比によって求められるいわゆる冠動脈血流予備能(Coronary Flow Reserve:CFR)は、心疾患によって冠動脈がどの程度ダメージを受けているかを表す指標として用いられている。
【0003】
上述した様に、CFRは、疾患により冠動脈の受けたダメージを表す指標として用いられているが、部分冠血流予備能比(fractional flow reserve:FFR)との乖離がみられる場合があることが指摘されている(非特許文献1、2参照)。そして、この乖離の態様を、治療方針の決定に利用することが提案されている。
【0004】
一方、心筋シンチグラムの極座標表示の領域分割基準として、AHA(American Heart Association)の推奨する17segmentや、冠動脈の大まかな支配領域を表す3segmentなどが従来利用されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】Nils P. Johnson et al.著、Is Discordance of Coronary Flow Reserve and Fractional Flow Reserve Due to Methodology or Clinically Relevant Coronary Pathophysiology?、2012年、p.193-202
【文献】Tim P. van de Hoef et al.著、 Physiological Basis and Long-Term Clinical Outcome of Discordance Between Fractional Flow Reserve and Coronary Flow Velocity Reserve in Coronary Stenoses of Intermediate Severity.、2014年、 p.301-11
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に用いられている心筋シンチグラムの診断では、上述した画一的に分類されたセグメントでの評価が行われている。しかし、これらの分割法は一律の基準で設定されるため、個人の冠動脈走行とは一致しないことがある。
【0007】
すなわち、心臓の冠動脈走行には個人差があるので、17segmentや3segmentといった分割を行っても、各分割領域は、個人の冠動脈の支配領域を反映していない場合がある。例えば3Segmentで右冠動脈(Right Coronary Artery:以下、RCA)領域として表された場所が、実際のところは左前下行枝(Left Anterior Descending Coronary Artery:以下、LAD)領域であったというような乖離が生じることがある。よって、この様な方法では、心臓の冠動脈走行の個人差を考慮しながら冠動脈の疾患部位を特定することは困難である。
【0008】
また、何らかの疾患のために冠動脈の1つに障害が起きた場合、従来の分割方法では、障害が起きた冠動脈が複数の分割領域にまたがっている場合がある。従って、従来の領域分割基準のみでは障害が起きている部位の同定が困難になるといった問題もある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、被験者の個人差の如何に関わらず、冠動脈走行を反映した心臓の正しい診断をより容易に支援することのできる心疾患診断支援プログラム、心疾患診断支援方法及び心疾患診断支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面に係る心疾患診断支援プログラムは、コンピュータに、被験者における三次元冠動脈画像、少なくとも左心室の三次元形態画像、安静時及び負荷時の三次元心臓ダイナミック核医学画像、前記被験者における各冠動脈の局所的な狭窄状態を表す指標値を取得する処理と、前記三次元冠動脈画像に基づいて、前記左心室の前記三次元形態画像を複数の領域に分割する処理と、前記左心室の前記三次元形態画像を分割した複数の前記領域を仕切る境界線を抽出し、当該境界線を用いて前記三次元心臓ダイナミック核医学画像を分割する処理と、前記三次元心臓ダイナミック核医学画像を分割した前記領域毎に前記被験者のCFRを算出する処理と、前記領域におけるCFRと、前記領域に対応する前記指標値との比較に基づき、治療方針を決定するための指標を求める処理と、前記指標を表示部に表示する処理を実行させる。
【0011】
本発明の別の一側面に係る心疾患診断支援方法は、被験者における三次元冠動脈画像、少なくとも左心室の三次元形態画像、安静時及び負荷時の三次元心臓ダイナミック核医学画像、前記被験者における各冠動脈の局所的な狭窄状態を表す指標値を取得する情報取得ステップと、前記三次元冠動脈画像に基づいて、前記左心室の前記三次元形態画像を複数の領域に分割する第1の分割ステップと、前記第1の分割ステップで前記左心室の前記三次元形態画像を分割した複数の前記領域を仕切る境界線を抽出し、当該境界線を用いて前記三次元心臓ダイナミック核医学画像を分割する第2の分割ステップと、前記第2の分割ステップで前記三次元心臓ダイナミック核医学画像を分割した前記領域毎に前記被験者のCFRを算出するCFR算出ステップと、前記CFR算出ステップで算出された前記領域におけるCFRと、前記領域に対応する前記指標値との比較に基づき、治療方針を決定するための指標を求める指標算出ステップと、前記指標算出ステップで算出された前記指標を表示部に表示する表示ステップとを含む。
【0012】
本発明のまた別の一側面に係る心疾患診断支援装置は、被験者における三次元冠動脈画像、少なくとも左心室の三次元形態画像、安静時及び負荷時の三次元心臓ダイナミック核医学画像、前記被験者における各冠動脈の局所的な狭窄状態を表す指標値を取得する情報取得部と、前記三次元冠動脈画像に基づいて、前記左心室の前記三次元形態画像を複数の領域に分割する第1の分割処理部と、前記第1の分割処理部で前記左心室の前記三次元形態画像を分割した複数の前記領域を仕切る境界線を抽出し、当該境界線を用いて前記三次元心臓ダイナミック核医学画像を分割する第2の分割処理部と、前記第2の分割処理部で前記三次元心臓ダイナミック核医学画像を分割した前記領域毎に前記被験者のCFRを算出するCFR算出部と、前記CFR算出部で算出された前記領域におけるCFRと、前記領域に対応する前記指標値との比較に基づき、治療方針を決定するための指標を求める指標算出部と、前記指標算出部で算出された前記指標を表示部に表示する表示処理部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
このように構成された本発明に係る心疾患診断支援プログラム、心疾患診断支援方法及び心疾患診断支援装置によれば、心臓疾患の診断をより正しく支援し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る心筋画像処理装置及びその周辺装置を示す機能構成図である。
図2】左心室の三次元形態画像をボロノイ分割する方法を説明する説明図である(その1)。
図3】左心室の三次元形態画像をボロノイ分割する方法を説明する説明図である(その2)。
図4】左心室の三次元形態画像をボロノイ分割する方法を説明する説明図である(その3)。
図5】左心室の三次元形態画像をボロノイ分割する方法を説明する説明図である(その4)。
図6】心筋画像処理装置及びその周辺装置で行われる全体処理のフローチャートである。
図7】第1の分割処理部によるボロノイ分割処理の結果を示す説明図である。
図8】境界線極座標展開部による境界線の極座標展開処理の結果を示す説明図である。
図9】冠動脈と左室心筋とを抽出する操作に供される画面の構成を示す画面構成図である。
図10】抽出済みの冠動脈から領域分割の起点となる部位を選択する操作に供される画面の構成を示す画面構成図である。
図11】支配領域の計算操作に供される画面の構成を示す画面構成図である。
図12】従来の3segmentで支配領域を決める方法と本法との比較結果を示す説明図である。
図13】従来の17segmentで支配領域を決める方法と本法との比較結果を示す説明図である。
図14】形態画像の一例である三次元CT画像から得られた、三次元冠動脈画像と三次元左心室画像を重ね合わせた画像の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。なお、以下の説明はあくまでも好ましい態様の一例を示したものであり、本発明の範囲を限定する意図ではない。
【0016】
はじめに、本実施形態の概要について説明する。図1は本発明の実施形態に係る心疾患診断支援装置100及びその周辺装置を示す機能構成図である。ここでは周辺装置として、撮像装置110、操作受付部120、表示装置130(表示部)及びデータベース140を例示するが、これに限られない。
【0017】
撮像装置110は、被験者の核医学画像を撮像し、これを心疾患診断支援装置100に提供する。このような撮像装置110としては、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置又はPET(Positron Emission Tomography)装置等の核医学撮像装置がある。これらの装置により撮像された核医学画像は、特定の放射性同位元素でラベルされた薬剤(以下、放射性医薬品)を投与し、放射性医薬品より直接的または間接的に放出されたγ線を専用のカメラによって検出し、再構築することによって取得される。
【0018】
なお、放射性医薬品としては、SPECT用製剤として塩化タリウム(201TlCl)注射液、テトロホスミンテクネチウム(99mTc Tetrofosmin)注射液、ヘキサキス(2-メトキシイソブチルイソニトリル)テクネチウム(99mTc MIBI)注射液、15-(4-ヨードフェニル)- 3(R,S)-メチルペンタデカン酸(123I)注射液や、PET用製剤として13N-アンモニアや塩化ルビジウム(82RbCl)注射液などがある。また、単一の検査において、異なる2核種からなる放射性医薬品を投与してもよい。
【0019】
心疾患診断支援装置100は、情報取得部102、第1の分割処理部103、境界線極座標展開部104、心臓ダイナミック核医学画像正規化部105、第2の分割処理部106、CFR算出部107、指標算出部108及び表示処理部109を備える。
【0020】
情報取得部102は、被験者における三次元冠動脈画像、少なくとも左心室の三次元形態画像、安静時及び負荷時の三次元心臓ダイナミック核医学画像、被験者における各冠動脈の局所的な狭窄状態を表す指標値を取得する。ここでの取得には、予め生成されてデータベース140に保持されている画像や指標値をデータベース140から読み出すことが含まれる。三次元冠動脈画像とは、好ましくは、CTや造影又は非造影のMRIといった、撮像装置110とは別のモダリティ(図示せず)を使用した検査法で冠動脈を撮像して得られた冠動脈画像に対して三次元画像処理を施した画像のことをいうが、これに限定されない。つまり、被験者の冠動脈が描出されている画像であれば良い。なお、三次元冠動脈画像は、後述する三次元形態画像と別に撮像したものであっても良いが、冠動脈が描出されている三次元形態画像上で冠動脈を抽出して三次元画像処理を施したものであっても良い。後者の場合には、三次元冠動脈画像は、三次元形態画像と合わせて一つの画像として生成される。三次元画像処理としては、MPR(Multi Planar Reconstruction)処理、三次元冠動脈抽出処理、三次元左心室抽出処理等を挙げることができる。
【0021】
「少なくとも左心室」には、左心室の他に、左心室及び右心室の組み合わせが含まれる。「少なくとも左心室の三次元形態画像」には、左心室のみを撮像して得られた形態画像に対して三次元画像処理を施した画像と、左心室及び右心室の双方を撮像して得られた形態画像に対して三次元画像処理を施した画像とが含まれる。なお、形態画像は、心臓の形態を認識できる画像であれば、特に限定されない。形態画像としては、例えば、CTや造影又は非造影のMRIといった、撮像装置110とは別のモダリティ(図示せず)を使用した検査法で撮像された画像を三次元画像処理した画像の他、撮像装置110で得られた核医学画像に対して三次元画像処理を施した画像を、用いることができる。図14に、形態画像の一例である三次元CT画像から得られた画像を示す。この画像では、CT画像から抽出された左心室の三次元形態画像上に、同じくCT画像から抽出された左心室の三次元冠動脈画像が重ね合わせて表示されている。
【0022】
心臓ダイナミック核医学画像は、心臓を検査対象として遂行される核医学測定により得られる画像であり、核医学測定の方法としてSPECT又はPETを用いて得られた画像である。三次元心臓ダイナミック核医学画像とは、心臓ダイナミック核医学画像データに対して三次元画像処理を施した画像のことをいう。三次元冠動脈画像、三次元形態画像及び三次元心臓ダイナミック核医学画像は、データベース140に予め格納しておき、必要に応じてデータベース140から読み出せるようにしておいても良いし、心疾患診断支援装置100の外部(例えば撮像装置110)からネットワーク等を介して読み出せるようにしておいても良い。
【0023】
被験者における各冠動脈の局所的な狭窄状態を表す指標値は、例えば、FFR(Fractional Flow Reserve)、FFRCTから選択された指標値とする事ができる。FFRは、血流障害全体に対する冠動脈狭窄の寄与の割合を示す指標である。FFRは、センサーと大動脈圧の間の血管抵抗がない理想的な血管であった場合の何%の最大冠血流供給能力を有しているかを示している。FFRはその多くのエビデンスから、いずれの指標も心筋虚血の指標として有用な指標であると示されている。FFRはカテーテル検査室内では評価できる最も簡便かつ信頼性のある指標と言える。
【0024】
第1の分割処理部103は、三次元冠動脈画像に基づいて、少なくとも左心室の三次元形態画像を複数の領域に分割する。好ましい態様において、この分割はボロノイ分割の手法により行う事ができる(詳細についてはhttp://gihyo.jp/dev/serial/01/geometry/0011を参照)。ボロノイ分割とは、与えられた点の近傍をその点の勢力圏と定義する分割方法であり、物理学、生態学、地域問題など様々な分野で用いられている主要な概念である。例えば、空間内にn個の点が与えられたとき、各点の勢力圏を定義し、これをボロノイ多角形で表すといった手法が用いられる。
【0025】
分割の対象となる点は母点と呼ばれる。ボロノイ多角形の頂点はボロノイ点、辺はボロノイ辺と呼ばれる。ボロノイ辺はその両側にある母点から等距離にある点の軌跡、すなわち、その母点を結ぶ線分の垂直二等分線の一部である。また、ボロノイ点は三つの母点を頂点とする三角形の外心である。図2図5に示した例において、ボロノイ分割の対象となる直線A,Bは冠動脈を模式的に示している(図2)。
【0026】
直線Aでは、所定の間隔で4つの母点A1,A2,A3,A4が特定される(図3図5)。同様に、直線Bでは、所定の間隔で4つの母点B1,B2,B3,B4が特定される(図3図5)。以下、本実施形態によって行われる画像処理における第1の分割処理の手順の一例を図3図5を参照しつつ列記する。
【0027】
まず、図3に示すように、母点A1,B1,B2を頂点とする三角形を形成する。そして、辺A1B1の中点を点M1と定義し、辺A1B2の中点を点M2と定義する。
次に、母点A2,B1,B2を頂点とする三角形を形成する。そして、辺A2B1の中点を点M3と定義し、辺A2B2の中点を点M4と定義する。
次に、母点A2,B2,B3を頂点とする三角形を形成する。そして、辺A2B2の中点を点M4と定義し、辺A2B3の中点を点M5と定義する。
次に、母点A3,B2,B3を頂点とする三角形を形成する。そして、辺A3B2の中点を点M6と定義し、辺A3B3の中点を点M7と定義する。
次に、母点A3,B3,B4を頂点とする三角形を形成する。そして、辺A3B3の中点を点M7と定義し、辺A3B4の中点を点M8と定義する。
次に、母点A4,B3,B4を頂点とする三角形を形成する。そして、辺A4B3の中点を点M9と定義し、辺A4B4の中点を点M10と定義する。
【0028】
続いて、図4に示すように、母点B1,A1,B2を頂点とする三角形を形成する。そして、辺B1A1の中点を点N1と定義し、辺B2A1の中点を点N2と定義する。
次に、母点B1,A2,B2を頂点とする三角形を形成する。そして、辺B1A2の中点を点N3と定義し、辺B2A2の中点を点N4と定義する。
次に、母点B2,A2,B3を頂点とする三角形を形成する。そして、辺B2A2の中点を点N4と定義し、辺B3A2の中点を点N5と定義する。
次に、母点B2,A3,B3を頂点とする三角形を形成する。そして、辺B2A3の中点を点N6と定義し、辺B3A3の中点を点N7と定義する。
次に、母点B3,A3,B4を頂点とする三角形を形成する。そして、辺B3A3の中点を点N7と定義し、辺B4A3の中点を点N8と定義する。
次に、母点B3,A4,B4を頂点とする三角形を形成する。そして、辺B3A4の中点を点N9と定義し、辺B4A4の中点を点N10と定義する。
図5は、中点群M1~M10,N1~N10を結んだ折れ線(ボロノイ辺)を基に得られた直線であって、直線A,B間に仮想的に引かれた近似直線Lを示す。近似直線Lは、例えば、公知の最小二乗法により導き出される。冠動脈の様に蛇行している線の間に境界線を引く場合は、その境界線も蛇行した形となる。この場合、好ましい態様として、各中点(本例におけるM1~M10、N1~N10に相当)を結んだ線を作成し、必要に応じてスムージング処理を行う事によって得る事ができる。スムージングは公知の方法を用いることができ、例えば3点スムージングや5点スムージングの手法を用いることができる。
また、境界線の位置は、冠動脈の太さを考慮した補正を行っても良い。例えば、左右の冠動脈の直径が6:4の関係となっている場合は、上記の手法により得られる分割点を、母点間の中点ではなく、母点を結んだ線分を6:4に分割する点として定義することができる。
【0029】
境界線極座標展開部104は、第1の分割処理部103で左心室の三次元形態画像を分割した複数の領域を仕切る境界線を抽出し、当該境界線を極座標展開する。心臓ダイナミック核医学画像正規化部105は、三次元心臓ダイナミック核医学画像を極座標展開する。なお、このような極座標展開する方法は、例えば特開2017-62213号公報等で開示されているなど、既に周知であるため、詳細な説明は省略するが、例えば、撮像装置110により心臓を撮像して得られた断層画像に基づき、その断層画像から得られた画素の最大カウントを、心尖部を中心として心基部に向かって同心円上に放射状に展開する方法がある。
【0030】
第2の分割処理部106は、極座標展開された三次元心臓ダイナミック核医学画像に同じく極座標展開された境界線を重畳した合成画像を生成する。第2の分割処理部106は、その生成した合成画像に基づいて極座標展開された三次元心臓ダイナミック核医学画像を第1の分割処理部103と同様にボロノイ分割で複数の領域に分割する。ここで分割された各領域を、その領域内に走行している冠動脈の支配領域とする。
【0031】
CFR算出部107は、第2の分割処理部106で三次元心臓ダイナミック核医学画像を分割した領域毎に被験者のCFRを算出する。CFRは下記の式(1)で表される。
[数1]
CFR=薬物又は運動負荷時の心筋血流量/安静時の心筋血流量・・・(1)
【0032】
なお、本例において、心筋血流量は、三次元心臓ダイナミック核医学画像を用いて算出される。心筋血流量の定量法は、公知の種々の方法を用いることができる。公知の方法としては、文献(Masao Miyagawa et al.著、Estimation of myocardial flow reserve utilizing an ultrafast cardiac SPECT: Comparison with coronary angiography, fractional flow reserve, and the SYNTAX score、2017年、p.347-353)記載の2コンパートメントモデルに基づく方法の他、例えば特許5695003号又は特許5700712号に開示された方法を用いることができる。
【0033】
指標算出部108は、CFR算出部107で算出された領域におけるCFRと、情報取得部102が取得した領域に対応する、被験者における各冠動脈の局所的な狭窄状態を示す指標値との比較に基づき、治療方針を決定するための指標を求める。
この指標は、例えば、CFRとFFRとの不一致の態様から、被験者の状態を大きく4つに分ける事ができる(指標A~D)。各指標A~Dにおける治療方針は、例えば下記の様に決定される。
A:CFRの値もFFRの値も保たれている状態(例えば、CFR>2.0、FFR>0.8)は、正常領域と判断される。
B:CFRの値は保たれているが、FFRの値が低下している状態(例えば、CFR>2.0、FFR<0.8)は、血管性病変が疑われるので、PCI(Percutaneous Coronary Intervention)による治療で効果があると判断される。
C:CFRの値もFFRの値も低下している状態(例えば、CFR<2.0、FFR<0.8)は、血管性病変と末梢性病変が共に疑われるので、バイパス術等の選択が検討される。
D:CFRの値が低下しているが、FFRの値は保たれている状態(例えば、CFR<2.0、FFR>0.8)は、末梢性病変が疑われるので、PCIによる治療の対象とはされず、薬物療法が選択される。
【0034】
表示処理部109は、指標算出部108で算出された指標を表示装置130に表示する。例えば、表示処理部109は、指標算出部108で算出された指標を、第2の分割処理部106で生成された合成画像に対応付けて表示装置130に表示しても良い。
【0035】
(心疾患診断支援装置100及びその周辺装置で行われる全体処理の流れ)
図6は、心筋画像処理装置及びその周辺装置で行われる全体処理のフローチャートである。
まず、情報取得部102(図1)は、被験者における三次元冠動脈画像、左心室の三次元形態画像、三次元心臓ダイナミック核医学画像及びFFRを取得する(ステップS101)。三次元冠動脈画像、左心室の三次元形態画像及び三次元心臓ダイナミック核医学画像は、それぞれ対応する機器を用いて生成された画像である。それぞれの画像やFFRは、予めデータベース140に格納したものを読みだしても良いし、ネットワークを通じて各機器から直接取り込まれるものであっても良い。またこれらの情報は、ハードディスクや半導体メモリといった記憶媒体に記憶されたものを、周辺機器インターフェース(図示せず)等を介して取り込むものであっても良い。
【0036】
次に、第1の分割処理部103(図1)は、三次元冠動脈画像に基づいて、左心室の三次元形態画像を複数の領域(図7)にボロノイ分割する(ステップS102)。ボロノイ分割処理で行われる一連の流れを図9図10図11に示す。図9は、冠動脈と左室心筋とを抽出する操作に供される画面構成を示す画面構成図である。図10は、冠動脈から領域分割の起点となる部位を選択する操作に供される画面構成を示す画面構成図である。図11は、三次元形態画像上で支配領域の境界線の計算操作に供される画面構成を示す画面構成図である。境界線の作成方法は、上述した通りである。
【0037】
次に、境界線極座標展開部104(図1)は、第1の分割処理部103で左心室の三次元形態画像を分割した複数の支配領域を仕切る境界線を抽出し、当該境界線を公知の方法を用いて極座標展開する(ステップS103)。
【0038】
次に、心臓ダイナミック核医学画像正規化部105(図1)は、三次元心臓ダイナミック核医学画像を公知の方法を用いて極座標展開する(ステップS104)。
【0039】
次に、第2の分割処理部106は、心臓ダイナミック核医学画像正規化部105で極座標展開された三次元心臓ダイナミック核医学画像に、境界線極座標展開部104で極座標展開された境界線を重畳した合成画像(図8)を生成する(ステップS105)。ここで、図8に示されているSep,Ant,Latは、それぞれ、中隔、前壁、側壁を示している。第2の分割処理部106は、その生成した合成画像に基づいて、心臓ダイナミック核医学画像正規化部105で極座標展開された三次元心臓ダイナミック核医学画像を複数の支配領域(図8)に分割する。
【0040】
図8の上段には、心尖部を中心として心基部に向かって同心円上に放射状に極座標展開した画像を示している。図8の下段には、複数の支配領域に仕切られた左心室の各部位に対応させるように、三次元心臓ダイナミック核医学画像に境界線を重畳した画像を示している。
【0041】
次に、CFR算出部107は、第2の分割処理部106で三次元心臓ダイナミック核医学画像を分割した領域毎に被験者のCFRを算出する(ステップS106)。ここで算出されるCFRの具体例については、上述した通りである。
【0042】
次に、指標算出部108は、CFR算出部107で算出された領域におけるCFRと、領域に対応するFFRとの比較に基づき、治療方針を決定するための指標を求める(ステップS107)。ここで算出される指標の具体例については、上述した通りである。
【0043】
表示処理部109は、指標算出部108で算出された指標を表示装置130に表示する(ステップS108)。
【実施例1】
【0044】
次に、図12及び図13を用いて、従来の3segmentや17segmentで冠動脈の支配領域を決める方法との比較により、本実施形態に係る心筋画像表示方法(以下、単に本法と略記する)の有用性を検討した実験結果について説明する。なお、本発明は、本実施例に限定されるものではない。
【0045】
まず、図12を参照しつつ、3segmentで支配領域を決める方法と本法との比較を行う。線BL1は、3segmentで使用される境界線である。線BL2は、本法によるボロノイ分割で得られた境界線である。図12から明らかなように、3segmentで定めた支配領域は、本法で定めた境界線(BL2)によって画された支配領域と異なり複数の冠動脈の支配を受けていると言える。よって、本法で分割した複数の支配領域は、3segmentで支配領域を決める方法と比べてより患者の冠動脈走行を反映した結果を得る事ができると言える。
【0046】
次に、図13を参照しつつ、17segmentで支配領域を決める方法と本法との比較を行う。線BL3は、17segmentで使用される境界線である。線BL4は、本法によるボロノイ分割で得られた境界線である。図13から明らかなように、17segmentで定めた支配領域は、本法で定めた境界線(BL4)によって画された支配領域と異なり複数の冠動脈の支配を受けていると言える。よって、本法で分割した複数の支配領域は、17segmentで支配領域を決める方法と比べてより患者の冠動脈走行を反映した結果を得る事ができると言える。
【0047】
したがって、本実施形態によれば、CFRとFFRとの不一致の態様に基づく治療方針の決定を、冠動脈走行に基づく支配領域ごとに行うことができる。
【0048】
以上、本実施形態によれば、被験者の個人差の如何に関わらず、心臓の正しい診断をより容易に支援し得ることのできる技術を提供することができる。
【0049】
ここまで実施形態を示して本発明を説明したが、これらは一例である。また、本発明の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が単一の構成要素として構成されていること、一つの構成要素が複数の構成要素に分割されて形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
【0050】
また、上述した各種の構成要素は、必ずしも必須の構成要素ではなく、本発明の効果を阻害しない程度に省いても構わないし、同等に機能又は作用する他の構成要素に代えてもよい。
【0051】
また、上記実施形態において示すフローも本発明の実施の一例であって、ここに示した手順に限られない。従って、上記フローチャートに図示した一のステップが複数に分離されて実行される、複数のステップが一のステップとして実行される、複数のステップが並行して実行される等の態様を許容する。
【0052】
なお、上記実施形態では、第1の分割処理部103は、複数の三角形(図5)の各辺の中点を検出しその中点を結んでボロノイ辺を形成する例を示した。本発明はこの態様に限らず、例えば、第1の分割処理部103は、直線A(図2)上の任意の点から直線B(図2)に向けて引いた直線のうち、最短となる直線の中点を結んでボロノイ辺を形成しても良い。また、そのように求めた中点につき、上述した方法により血管の太さの違いを反映した補正を行っても良い。
【0053】
なお、上記実施形態では、近似直線L(図5)を公知の最小二乗法で導き出す例を示した。本発明はこの態様に限らず、近似直線Lは、一次相関などの手法により統計解析して導き出しても良い。要するに、近似直線Lは、昨今、一般的に行われている何れの方法を用いて導出されても良い。
【0054】
なお、上記実施形態では、第2の分割処理部106が三次元心臓ダイナミック核医学画像を複数の領域に分割する前に、境界線極座標展開部104や心臓ダイナミック核医学画像正規化部105が極座標展開を行う例を示した。本発明はこの態様に限らず、第2の分割処理部106が三次元心臓ダイナミック核医学画像を複数の領域に分割する前に、必ずしも極座標展開を行う必要はない。
【0055】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)コンピュータに、
被験者における三次元冠動脈画像、少なくとも左心室の三次元形態画像、安静時及び負荷時の三次元心臓ダイナミック核医学画像、前記被験者における各冠動脈の局所的な狭窄状態を表す指標値を取得する処理と、
前記三次元冠動脈画像に基づいて、前記左心室の前記三次元形態画像を複数の領域に分割する処理と、
前記左心室の前記三次元形態画像を分割した複数の前記領域を仕切る境界線を抽出し、当該境界線を用いて前記三次元心臓ダイナミック核医学画像を分割する処理と、
前記三次元心臓ダイナミック核医学画像を分割した前記領域毎に前記被験者のCFRを算出する処理と、
前記領域におけるCFRと、前記領域に対応する前記指標値との比較に基づき、治療方針を決定するための指標を求める処理と、
前記指標を表示部に表示する処理を実行させるための心疾患診断支援プログラム。
(2)前記指標値は、FFR(Fractional Flow Reserve)、FFRCTのうちいずれか一つであることを特徴とする(1)に記載の心疾患診断支援プログラム。
(3)被験者における三次元冠動脈画像、少なくとも左心室の三次元形態画像、安静時及び負荷時の三次元心臓ダイナミック核医学画像、前記被験者における各冠動脈の局所的な狭窄状態を表す指標値を取得する情報取得ステップと、
前記三次元冠動脈画像に基づいて、前記左心室の前記三次元形態画像を複数の領域に分割する第1の分割ステップと、
前記第1の分割ステップで前記左心室の前記三次元形態画像を分割した複数の前記領域を仕切る境界線を抽出し、当該境界線を用いて前記三次元心臓ダイナミック核医学画像を分割する第2の分割ステップと、
前記第2の分割ステップで前記三次元心臓ダイナミック核医学画像を分割した前記領域毎に前記被験者のCFRを算出するCFR算出ステップと、
前記CFR算出ステップで算出された前記領域におけるCFRと、前記領域に対応する前記指標値との比較に基づき、治療方針を決定するための指標を求める指標算出ステップと、
前記指標算出ステップで算出された前記指標を表示部に表示する表示ステップとを含む心疾患診断支援方法。
(4)前記指標値は、FFR(Fractional Flow Reserve)、FFRCTのうちいずれか一つであることを特徴とする(3)に記載の心疾患診断支援方法。
(5)被験者における三次元冠動脈画像、少なくとも左心室の三次元形態画像、安静時及び負荷時の三次元心臓ダイナミック核医学画像、前記被験者における各冠動脈の局所的な狭窄状態を表す指標値を取得する情報取得部と、
前記三次元冠動脈画像に基づいて、前記左心室の前記三次元形態画像を複数の領域に分割する第1の分割処理部と、
前記第1の分割処理部で前記左心室の前記三次元形態画像を分割した複数の前記領域を仕切る境界線を抽出し、当該境界線を用いて前記三次元心臓ダイナミック核医学画像を分割する第2の分割処理部と、
前記第2の分割処理部で前記三次元心臓ダイナミック核医学画像を分割した前記領域毎に前記被験者のCFRを算出するCFR算出部と、
前記CFR算出部で算出された前記領域におけるCFRと、前記領域に対応する前記指標値との比較に基づき、治療方針を決定するための指標を求める指標算出部と、
前記指標算出部で算出された前記指標を表示部に表示する表示処理部とを備えることを特徴とする心疾患診断支援装置。
(6)前記指標値は、FFR(Fractional Flow Reserve)、FFRCTのうちいずれか一つであることを特徴とする(5)に記載の心疾患診断支援装置。
【符号の説明】
【0056】
100 心疾患診断支援装置
102 情報取得部
103 第1の分割処理部
106 第2の分割処理部
107 CFR算出部
108 指標算出部
109 表示処理部
130 表示装置(表示部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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