(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】ポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20220324BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20220324BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20220324BHJP
C08G 18/76 20060101ALI20220324BHJP
C08G 18/72 20060101ALI20220324BHJP
A43B 13/04 20060101ALI20220324BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20220324BHJP
【FI】
C08G18/00 J
C08G18/48 054
C08G18/10
C08G18/76 057
C08G18/72 050
A43B13/04 A
C08G101:00
(21)【出願番号】P 2018086956
(22)【出願日】2018-04-27
【審査請求日】2021-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000077
【氏名又は名称】アキレス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】南 拓磨
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-57485(JP,A)
【文献】特開平07-150031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、フィラー、発泡剤、触媒、整泡剤を含むポリウレタン原料からなるポリウレタンフォームであって、
前記ポリオール成分が、数平均分子量が300以上3500以下、平均官能基数が2、及び平均水酸基価が35mgKOH/g以上200mgKOH/g以下のポリテトラメチレンエーテルグリコールを含み、
前記フィラーが、比重0.25g/cm
3以上1.0g/cm
3未満であり、
且つ当該フィラーの添加量が、前記ポリオール成分100質量部に対し、5質量部以上20質量部未満であり、
JIS K 7222に準拠して測定されたポリウレタンフォームの密度が0.25g/cm
3以上0.35g/cm
3以下であり、
JIS K 7312に準拠し、アスカーゴム硬度計C型を用いて測定されたポリウレタンフォームの硬度が50以上65以下であ
ることを特徴とするポリウレタンフォーム。
【請求項2】
前記フィラーの平均粒子径が10μm以上60μm未満である、請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項3】
縦が120mm、横が60mm、且つ、厚みが6mmとなるように形成されたポリウレタンフォームを準備し、該ポリウレタンフォームに厚さが2mmの樹脂含浸ボードを接着した複合体を作成し、該複合体を縦方向に沿った中央位置で複合体の半分を90°折り曲げる操作と該複合体の半分を元の位置に戻す操作で構成される曲げ戻し操作を144回/分の速度で繰り返した場合に、ポリウレタンフォームに亀裂の発生が認められるまでの曲げ戻し操作の回数が2万回以上である、請求項1
又は2に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項4】
JIS K 6262に準拠して測定されたポリウレタンフォームの圧縮永久歪率が20%以下である、請求項1から
3のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項5】
前記イソシアネート成分は、
i)数平均分子量が500以上2000以下、平均官能基数が2以上3以下、イソシアネート基含有率が3~10質量%のイソシアネート基末端プレポリマーと、
ii)イソシアネート基含有率が25~33質量%の変性MDIとを含む、請求項1から
4のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項6】
厚みが12.5mmとなるように形成されたポリウレタンフォームからなる試験片を準備し、該試験片に5.1kgの錘を50mmの高さから衝突させた場合に、試験片への最大衝撃荷重が0.9kN以下である、請求項1から
5のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項7】
JIS K 6255に準拠して測定されたポリウレタンフォームの反発弾性率が60%以上である、請求項1から
6のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項8】
モールド成型体である、請求項1から
7のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか一項に記載のポリウレタンフォームを用いたことを特徴とする靴底部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量でありながら耐屈曲性にも優れるポリウレタンフォームであり、靴底部材の材料に好適なポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から靴底部材としてポリウレタンフォームやEVA(エチレン-酢酸ビニル共重合体)フォームなどの発泡体が使用されている。発泡体の靴底は、衝撃吸収性に優れており、一般使用のシューズはもちろん、ウォーキング用、ランニング用、トレッキング用などの運動用シューズの靴底としても使用されている。運動用シューズの場合、耐久性や軽量性、或いは反発弾性などの物性が求められている。特に、軽量化については、発泡体を低密度化する方法が知られている。
【0003】
しかしながら、発泡体の低密度化に伴い、硬度や耐屈曲性が低下するなど、フォーム物性が劣ることが知られている。また、型成形により靴底を形成する場合にも、成形型への充填不良を原因とする意匠欠け、エア欠け、ピンホール、表面ボイドなどの成形不良が見られる。
【0004】
このような成形不良において、例えば特許文献1には、ポリウレタンフォーム原料にシリコーン消泡剤及びケイ素含有無機粉体を含有することで、表面ボイドの発生を抑制できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1には、低密度化による硬度や耐屈曲性などのフォーム物性低下を抑制することまでは開示されていない。
【0007】
そこで、本発明は、軽量でありながら物性低下がなく、適度な硬度を有し、耐屈曲性にも優れるポリウレタンフォームを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願人は、特定の比重を備えたフィラーを添加することで、物性の低下を抑えつつ、軽量化を図れるポリウレタンフォームが得られることを見出し、本発明にいたったものである。
【0009】
すなわち、本発明は、以下を要旨とする;
(1)ポリオール成分、イソシアネート成分、フィラー、発泡剤、触媒、整泡剤を含むポリウレタン原料からなるポリウレタンフォームであって、前記ポリオール成分が、数平均分子量が300以上3500以下、平均官能基数が2、及び平均水酸基価が35mgKOH/g以上200mgKOH/g以下のポリテトラメチレンエーテルグリコールを含み、前記フィラーが、比重0.25g/cm3以上1.0g/cm3未満であり、且つ当該フィラーの添加量が、前記ポリオール成分100質量部に対し、5質量部以上20質量部未満であり、JIS K 7222に準拠して測定されたポリウレタンフォームの密度が0.25g/cm3以上0.35g/cm3以下であり、JIS K 7312に準拠し、アスカーゴム硬度計C型を用いて測定されたポリウレタンフォームの硬度が50以上65以下であることを特徴とするポリウレタンフォーム。
(2)前記フィラーの平均粒子径が10μm以上60μm未満である、上記(1)に記載のポリウレタンフォーム。
(3)縦が120mm、横が60mm、且つ、厚みが6mmとなるように形成されたポリウレタンフォームを準備し、該ポリウレタンフォームに厚さが2mmの樹脂含浸ボードを接着した複合体を作成し、該複合体を縦方向に沿った中央位置で複合体の半分を90°折り曲げる操作と該複合体の半分を元の位置に戻す操作で構成される曲げ戻し操作を144回/分の速度で繰り返した場合に、ポリウレタンフォームに亀裂の発生が認められるまでの曲げ戻し操作の回数が2万回以上である、上記(1)から(2)のいずれかに記載のポリウレタンフォーム。
(4)JIS K 6262に準拠して測定されたポリウレタンフォームの圧縮永久歪率が20%以下である、上記(1)から(3)のいずれかに記載のポリウレタンフォーム。
(5)前記イソシアネート成分は、i)数平均分子量が500以上2000以下、平均官能基数が2以上3以下、イソシアネート基含有率が3~10質量%のイソシアネート基末端プレポリマーと、ii)イソシアネート基含有率が25~33質量%の変性MDIとを含む、上記(1)から(4)のいずれかに記載のポリウレタンフォーム。
(6)厚みが12.5mmとなるように形成されたポリウレタンフォームからなる試験片を準備し、該試験片に5.1kgの錘を50mmの高さから衝突させた場合に、試験片への最大衝撃荷重が0.9kN以下である、上記(1)から(5)のいずれかに記載のポリウレタンフォーム。
(7)JIS K 6255に準拠して測定されたポリウレタンフォームの反発弾性率が60%以上である、上記(1)から(6)のいずれかに記載のポリウレタンフォーム。
(8)モールド成型体である、上記(1)から(7)のいずれかに記載のポリウレタンフォーム。
(9)上記(1)から(8)のいずれかに記載のポリウレタンフォームを用いたことを特徴とする靴底部材。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、軽量でありながら物性低下がなく、適度な硬度を有し、耐屈曲性にも優れるポリウレタンフォームおよび靴底部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】落下衝撃試験で用いられた錘の形状を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、ポリオール成分、イソシアネート成分、フィラー、発泡剤、触媒、整泡剤を含むポリウレタン原料からなるポリウレタンフォームである。
【0013】
本発明のポリオール成分としては、数平均分子量が300以上3500以下、平均官能基数が2、及び平均水酸基価が35mgKOH/g以上200mgKOH/g以下のポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、第1のPTMGと言う)を用いる。
なお、本発明では、数平均分子量が異なるPTMGを2種以上混合して用いてもよい。
【0014】
PTMGの数平均分子量が300未満だったり、平均水酸基価が200mgKOH/gを超える場合には、得られるポリウレタンフォームのセルサイズが不均一になったり、柔軟性が損なわれやすく、所望の耐屈曲性が得られない。
一方、数平均分子量が3500を超えたり、平均水酸基価が35mgKOH/g未満の場合では、ポリオールの粘度が上昇してしまい成型が困難となる。
好ましい範囲としては、数平均分子量が1000以上2500以下、平均官能基数が2、及び平均水酸基価が50mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である。
【0015】
本発明のポリオール成分として、本発明の効果を損ねない程度にPTMG以外のポリオールを添加してもよい。例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオールが挙げられる。
【0016】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、アルキレンオキシドの開環重合により得られるポリエーテルポリオールが好適である。該アルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)、ブチレンオキシド等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。また、必要に応じて、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレンエーテルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコールを付加したポリエーテルポリオールでもよい。
【0017】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸やフタル酸等の芳香族カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコールとから重縮合して得られたものが使用できる。
【0018】
ポリマーポリオールとしては、ポリエーテルポリオールに、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-スチレン共重合体などをグラフト共重合させたものが使用できる。
【0019】
本発明では、ポリオール成分として、必要に応じて、架橋剤を添加してもよい。
架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレンエーテルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、ショ糖、ソルビトール、グルコース等のアルコール類が使用できる。特に、これらのうち、3官能以上のものが好ましい。
【0020】
本発明のイソシアネート成分として、芳香族イソシアネート類、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、イソシアネート基末端プレポリマーなどが挙げられる。
【0021】
より具体的に、ポリオールと反応させるためのイソシアネート成分としては、ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-MDI)、ポリメリックMDI(クルードMDI)、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)などの芳香族イソシアネート類、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加TDI、水素添加MDIなどの脂環族ジイソシアネート、或いはこれらをプレポリマー化したイソシアネート基末端プレポリマーなどが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することもできる。イソシアネート成分としては、上述した化合物の中でも、イソシアネート基末端プレポリマーが好ましい。
【0022】
イソシアネート成分は、後述するイソシアネート基末端プレポリマー及び後述する変性MDIを含有するものを例示することができる。このとき、イソシアネート基末端プレポリマーと変性MDIの含有比率は、イソシアネート基末端プレポリマー及び後述する変性MDIの合計量を100質量部とした場合に、変性MDIに対するイソシアネート基末端プレポリマーの比率で80/20から100/0の範囲であることが好ましい。
【0023】
イソシアネート基末端プレポリマーとしては、数平均分子量が500以上4000以下、平均官能基数が2以上3以下、イソシアネート基含有率が3質量%以上10質量%以下のものを用いることが好ましい。より好ましくは、数平均分子量が500以上2000以下である。
【0024】
イソシアネート基末端プレポリマーが、数平均分子量が4000を超えている、及び/又は、イソシアネート基含有率が3質量%未満である場合、得られるポリウレタンフォームは発泡しづらく硬くなりすぎてしまい、粘度が大きく、他の材料との混合が困難になりやすい。イソシアネート基末端プレポリマーが、数平均分子量が500未満である、及び/又は、イソシアネート基含有率が10質量%を超えている場合、得られるポリウレタンフォームは発泡しやすく柔らかくなりすぎてしまい、所望の硬度、衝撃吸収性や反発弾性が得られない虞がある。
【0025】
上記イソシアネート基末端プレポリマーは、ポリオールとイソシアネートとを、イソシアネート基(NCO基)が過剰となるように反応させて得ることができる。
【0026】
イソシアネートに反応させるポリオールの例としては、次の(α)、(β)、(γ)に示すもの等を挙げることができる。
【0027】
(α):ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール。
(β):ポリマーポリオール(例えば、ポリエーテルポリオールに、ポリアクリロニトリ
ル、アクリロニトリル-スチレン共重合体などをグラフト共重合させたもの)。
(γ):前記架橋剤の例として挙げたアルコール類のうち、2官能のもの。
【0028】
イソシアネートに反応させるポリオールについて、上記(α)、(β)、(γ)に示すものは単独でまたは2種以上混合したものでもよい。イソシアネートに反応させるポリオールは、上記(α)、(β)、(γ)に示すものの中でも、ポリエーテルポリオールが好ましく、より好ましくはポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、これを第2のPTMGと言う)である。なお、第2のPTMGの範囲には、「第1のPTMG(数平均分子量が300以上3500以下、平均官能基数が2、及び平均水酸基価が35mgKOH/g以上200mgKOH/g以下のポリテトラメチレンエーテルグリコール)」、及び、「数平均分子量と平均官能基数と平均水酸基価のうちの少なくとも一種が第1のPTMGに該当するための条件となる範囲から外れているようなポリテトラメチレンエーテルグリコール」が含まれる。
【0029】
イソシアネート基末端プレポリマーを形成するためのイソシアネートは、上記のイソシアネート成分の例に挙げたように、芳香族イソシアネート類、脂肪族ジイソシアネート、または脂環族ジイソシアネートを好ましく利用できるが、上述した化合物の中でも、4,4’-MDIが好ましい。
【0030】
したがって、イソシアネート成分を構成するイソシアネート基末端プレポリマーとしては、第2のPTMGに、4,4’-MDIを反応させて得られるものが好ましい。イソシアネート基末端プレポリマーが、第2のPTMGに4,4’-MDIを反応させてなるプレポリマーであれば、PTMGの部分の結晶性が高いため、反発弾性の高いウレタンフォームが得られやすいうえ、イソシアネート成分として、変性MDIと併用する際の馴染み性が良好である。さらに、第2のPTMGに、4,4’-MDIを反応させて得られるものは、ポリオール成分として第1のPTMGを用いた場合だと反応する際の混合性も良好で、分子構造が均一になりやすく、得られるウレタンフォームの品質の安定化を図ることができる。
【0031】
変性MDIとしては、イソシアネート基含有率が25質量%以上33質量%以下のものを好ましく用いられる。これは、このような変性MDIが常温で液体であることから、イソシアネート成分の粘度を下げることができるためである。
【0032】
イソシアネート基含有率が25質量%未満の変性MDIだと、イソシアネート基末端プレポリマーとの混合時にNCO基含有率を高める効果が小さいので、発泡性を十分に上げてフォームの低密度化を図るためには、極めて高い割合で混合しなければならず、所望の耐屈曲性が得られない虞がある。一方、イソシアネート基含有率が33質量%を超える変性MDIだと、非常に少量でNCO基含有率を高めることができるが、変性MDIの量が少量になるために、イソシアネート基末端プレポリマーの粘度を低下させることができず、ポリオール成分である第1のPTMGと反応する際の混合性が悪くなる。
【0033】
このような常温で液体である変性MDIの具体例としては、ポリメリック体(クルードMDI)、ウレタン変性体、ウレア変性体、アロファネート変性体、ビウレット変性体、カルボジイミド変性体、ウレトンイミン変性体、ウレトジオン変性体、イソシアヌレート変性体などが挙げられる。前述のポリオール成分との反応後の分子(架橋)構造が優れる点からは、変性MDIとして、ポリメリック体(クルードMDI)あるいはカルボジイミド変性体が選択されることが好ましい。
【0034】
本発明のフィラーとしては、比重が0.25g/cm3以上1.0g/cm3未満のものが使用できる。ここで、比重とはフィラー自身が占める体積当たりのフィラーの質量であって、中空微粒子の場合は、内部空隙を含めたみかけ比重を示す。
フィラーの比重が0.25g/cm3未満だと、少量の添加で物性面へ大きく影響してしまい、目的とする硬度や耐屈曲性の調整が困難となり、また非常に軽量であり空気中へ飛散してしまうので、成形時の取り扱いがし難い。比重が1.0g/cm3以上だと、少量の添加量ではフォーム硬度の向上が期待できず添加量を増やす必要があるが、添加量を増やすとその他の物性が低下してしまい、軽量化が困難となってしまう。
より好ましくは、比重が0.46g/cm3以上1.0g/cm3以下である。
【0035】
本発明のフィラーとしては、無機フィラー、有機フィラーが使用できる。
無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、ゼオライト、パーライト、セラミックス、雲母(マイカ)、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、タルク、ハイドロタルサイト、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化亜鉛、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、銅、銀、鉄、アルミニウム、ニッケル、ガラスなどを粉砕した粒子、或いはカーボンファイバー、セルロースファイバー、ガラス繊維、アラミド繊維などの繊維状のものなどが挙げられる。
有機フィラーとしては、熱可塑性樹脂であって、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルフォン系樹脂などの微粒子が挙げられる。なお、これらの樹脂には、オレフィン-極性モノマー共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体などの共重合体も含まれる。
【0036】
フィラー形状としては球状微粒子、非球状微粒子、中空微粒子、繊維状、板状のものが挙げられ、球状微粒子が好ましい。フィラー形状が球状であると、フィラーの表面積が大きくかつ樹脂との摩擦が起き難くいため、耐屈曲性の低下を抑え、さらに反発弾性などの物性の低下を抑えることができる。無機フィラーの場合は、中空微粒子がより好ましく、比重が小さいため樹脂中に分散しているフィラー数(フォーム中に占めるフィラーの体積比率)を多くすることができる。
【0037】
また、本発明のフィラーとして、平均粒子径が10μm以上60μm未満のものが好ましい。平均粒子径が10μm未満だと、原料中への分散性は良好だが、フォーム硬度の向上に寄与しにくい。60μm以上だと分散性に劣り、均一なフォーム性状が得られにくい。
ここで、本発明の平均粒子径とは、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所 社製、商品名「SALD」)を用いて粒子径を測定し、ある粒子径以下の体積割合を示した累積分布における、50vol%のときの値である。以下、平均粒子径(d50)と示すこともある。
【0038】
フィラーの添加量は、ポリオール成分100質量部に対し、5質量部以上20質量部未満であることが好ましい。添加量が5質量部未満であると、低密度にした場合に必要なフォーム硬度が得られない。20質量部以上だと、硬度は大きくなるが、耐屈曲性に劣るフォームとなる。
より好ましくは、ポリオール成分100質量部に対し、5質量部以上10質量部以下である。
【0039】
本発明の整泡剤としては、ウレタンフォームで使用できるものであれば特に限定されないが、スポーツシューズなどの激しい運動を行うための靴底部材としてウレタンフォームを使用する場合には、より高い反発弾性が必要となるため、粘度が300mPa・s(25℃)以上2000mPa・s(25℃)以下のシリコーン系化合物を用いることが好ましい。整泡剤として使用するシリコーン系化合物の粘度が300mPa・s(25℃)未満であると、整泡作用が弱く、セルが粗大化してしまい、高い反発弾性が得られにくい。一方、粘度が2000mPa・s(25℃)を超えると、ポリウレタン原料中に均一に分散しづらくなり、得られるフォームのセルサイズが均一とならないばかりか、局所的に物性が変化してしまう(測定箇所によって物性値が変わってしまう)。これらの点を考慮して、整泡剤として使用するシリコーン系化合物の粘度は、600mPa・s(25℃)以上1000mPa・s(25℃)以下であることがより好ましい。なお、シリコーン系化合物の粘度は、B型回転粘度計で測定された値である。
【0040】
整泡剤として添加するシリコーン系化合物の添加量は、前述のポリオール成分100質量部に対して、0.5質量部以上9質量部以下とされることが好ましい。シリコーン系化合物の添加量が0.5質量部未満であると、整泡作用が弱く、得られるポリウレタンフォームのセルサイズは大きく不均一化し、反発弾性が低く、所望の衝撃吸収性や耐久性が得られにくい。シリコーン系化合物の添加量が9質量部を超えると、得られるポリウレタンフォームが反発弾性に劣るものとなりやすくなってしまうだけでなく、フォーム表面から整泡剤が染み出すブリードアウトが生じ、他部材との接着を阻害するおそれもあるため、取扱い性に劣るものとなる虞がある。特に、シリコーン系化合物の添加量が5質量部を超えると、目的とする反発弾性、衝撃吸収性、耐久性は得られるものの、使用には問題ない程度にタック感(ベタベタ感)が生じる傾向がある。この点を考慮すれば、シリコーン系化合物の添加量は、0.5質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
【0041】
本発明の発泡剤としては、水(イオン交換水)を好ましく用いることができる。ポリウレタン原料組成物における発泡剤の添加量は、前述のポリオール成分100質量部に対し、0.5質量部以上3質量部以下が好ましい。添加量が0.5質量部未満であれば、発泡が不十分で、反発弾性は発揮するものの、衝撃吸収性に劣ってしまう。添加量が3質量部を超えると、発泡しすぎて得られるポリウレタンフォームのセルが荒れ、その内部が割れやすいなどフォーム状態が劣るほか、反発弾性に劣る傾向にある。
【0042】
本発明の触媒としては、ポリウレタンフォームを製造するために使用可能なものであればよく、特に限定されるものではない。触媒として、従来から使用されているものとしては、例えば、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミンなどのアミン系触媒、ビスマス触媒などの金属触媒が挙げられる。ポリウレタン原料組成物における触媒の添加量は、前述のポリオール成分100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下が好ましい。
【0043】
本発明のポリウレタンフォームを製造するためのポリウレタン原料組成物原料には、ポリオール成分、イソシアネート成分、フィラー、発泡剤、触媒、整泡剤の他に、必要に応じて、さらに他の添加剤が添加されてもよい。他の添加剤としては、可塑剤、酸化防止剤、脱泡剤、相溶化剤、着色剤、安定剤、紫外線吸収剤などポリウレタンフォームの製造に際して一般的に使用可能な添加剤をあげることができる。他の添加剤の添加量は、本発明の効果を阻害しない範囲内において適宜選択されてよい。
【0044】
一般的に、ポリウレタンフォーム原料中にフィラーを添加するとフォーム硬度の向上が期待できるが、一方でフォーム物性が劣ることが知られている。特に、耐屈曲性に関してはその傾向が顕著に現れるが、本出願人によれば、特定の比重のフィラーを使用することで、耐屈曲性の低下を抑制できることがわかった。そのため、密度が0.25g/cm3以上0.35g/cm3以下の低密度フォームであっても、C硬度50以上65以下と適度な硬度を有し、かつ耐屈曲性に優れるフォームが得られる。しかも、本発明においては、衝撃吸収性、反発弾性、耐久性に優れるフォームが得られ、靴底部材としての機能を発揮できる。
【0045】
本発明のポリウレタンフォームの物性について、以下に説明する。
【0046】
〔密度〕
本発明のポリウレタンフォームは、JIS K 7222に準拠して測定されたポリウレタンフォームの見かけ密度が0.25g/cm3以上0.35g/cm3以下である。本発明においては、ポリウレタンフォームの見かけ密度が0.25g/cm3以上0.35g/cm3以下という比較的小さい値であっても、適度な硬度で耐屈曲性を備えたポリウレタンフォームが得られる。また、優れた衝撃吸収性を有し、反発弾性、耐久性などの物性も保持するポリウレタンフォームが得られる。このような本発明のポリウレタンフォームは、軽量化が重要視される靴底部材などの用途として好ましく使用することができるものである。
【0047】
〔硬度〕
本発明のポリウレタンフォームについて、JIS K 7312に準拠し、アスカーゴム硬度計C型を用いて測定されたポリウレタンフォームの硬度が50以上65以下である。ポリウレタンフォームの硬度が50以上65以下であることで、そのポリウレタンフォームを靴底部材として用いた靴を着地時の安定性に優れたものとすることができる。
【0048】
〔耐屈曲性〕
ポリウレタンフォームは、耐屈曲性を備えている。これは、次に示す屈曲性確認試験を行うことで特定することができる。
【0049】
〔耐屈曲性確認試験〕
所定の大きさ(例えば縦120mm、横60mm、厚み6mm)のポリウレタンフォームを準備してこれを試験片とする。該ポリウレタンフォームの試験片に所定の厚さ(例えば、厚さ2mm)の樹脂含浸ボードを接着した複合体を作成し、複合体を縦方向に沿った中央位置で複合体の半分を90°折り曲げる操作と複合体の半分を元の位置に戻す操作で構成される曲げ戻し操作を144回/分の速度で繰り返す。ポリウレタンフォームに亀裂の発生が認められるまでの曲げ戻し操作の回数が2万回以上であれば、耐屈曲性に優れたものである。本発明のポリウレタンフォームにおいて、屈曲性があるとは、耐屈曲性確認試験の結果、亀裂の発生が認められるまでの曲げ戻し操作の回数が2万回以上であり、好ましくは3万回以上である。
【0050】
ここで、樹脂含浸ボードとは、合成樹脂や合成ゴム、天然ゴムなどを含浸させたパルプボード(含浸紙)であって、例えばインソールや中底の芯材として使用されているものである。樹脂含浸ボードとしては、上市されているもの等を適宜選択することができ、例えば、ボンテックス社製の商品名「テキソンボード437」等を用いることができる。
【0051】
〔反発弾性〕
本発明のポリウレタンフォームは、JIS K 6255に準拠して測定した反発弾性率が60%以上であることが好ましい。ポリウレタンフォームの反発弾性率が60%以上であることで、スポーツシューズの靴底部材として好適な反発弾性を備えたものが得られる。
【0052】
〔衝撃吸収性〕
ポリウレタンフォームの衝撃吸収性は、最大衝撃荷重によって特定することができる。本発明のポリウレタンフォームにおいては、最大衝撃荷重が0.9kN以下であることが好適である。最大衝撃荷重は、次に示す落下衝撃試験によって特定することができる。最大衝撃荷重の値は小さいほど衝撃が吸収されていることを示す。ポリウレタンフォームへの最大衝撃荷重が0.9kN以下であることで、靴底部材として利用できる程度の衝撃吸収性を有するポリウレタンフォームが得られる。
【0053】
〔落下衝撃試験〕
厚みが12.5mmとなるように形成されたポリウレタンフォームを準備して、これを試験片とする。ポリウレタンフォームの試験片に5.1kgの錘を50mmの高さから衝突させる。錘としては、
図1に示すような砲弾状の錘Wが利用されてよい。そして、その際の最大衝撃荷重が特定される。最大衝撃荷重は、例えば、Instron社製、商品名 dynatup GRC8200 等を用いて測定することができる。
【0054】
〔耐久性〕
本発明のポリウレタンフォームは、JIS K 6262に準拠して測定したポリウレタンフォームの圧縮永久歪率が20%以下である。ただし、圧縮永久歪率を測定する際の測定条件は、圧縮率25%、40℃、24時間の条件である。ポリウレタンフォームの圧縮永久歪が20%を超える場合、ポリウレタンフォームを靴底部材として使用する場合において靴に要請される耐久性能に劣ることとなる虞がある。
【0055】
本発明のポリウレタンフォームは、平均セルサイズが30μm以上100μm以下であることが好ましい。特定の平均セルサイズを有してばらつきのない均一なセルを形成したものであると、耐屈曲性や、衝撃吸収性、反発弾性、耐久性を向上させることができる。
【0056】
ポリウレタンフォームは、上述したポリウレタン原料組成物を、モールド成形で反応させてなることが好ましい。ここで、モールド成形とは、上記ポリウレタン原料(原液)をモールド(成形型)内に注入し、モールド内で発泡硬化させ、その後に脱型してフォームを得る方法である。
【0057】
ポリウレタンフォームが、ポリウレタン原料組成物をモールド成形することで製造されることで、発泡時の圧縮効果により、セルサイズを均一に細かくすることができる。また、ポリウレタン原料組成物をモールド成形する場合には、モールド内の容積に対するポリウレタン原料組成物の注入量によって、得られるポリウレタンフォームの密度の調整を容易に行うことができる。
【0058】
本発明のポリウレタンフォームは、軽量でありながら適度な硬度、耐屈曲性にも優れる素材であって、さらに衝撃吸収性および反発弾性の両方をも兼ね備え、しかも圧縮永久歪が小さく耐久性に優れるので、例えば、靴底部材として好適に利用することができる。靴底部材として使用される場合、ポリウレタンフォームは、アウトソール、ミッドソール、インソールのいずれについても利用することが可能である。ポリウレタンフォームを靴底部材に利用する場合、靴底全面に本発明のポリウレタンフォームを設けることはもちろんのこと、他の材料で形成したミッドソールに凹部を形成し、そこに本発明のポリウレタンフォームを挿入するなど、部分的に配置することも可能である。また、靴底としては、ミッドソールに本発明のポリウレタンフォームを使用し、その接地面側に防滑性を有するゴム素材からなるアウトソールを積層させてもよい。その場合、アウトソールは、ミッドソール接地面側の任意の箇所に配置してもよく、或いは、アウトソールの一部を切り欠くなどして接地面側のミッドソールを部分的に露出させてもよい。本発明のポリウレタンフォームは、耐屈曲性に優れているため、ミッドソールとアウトソールとの境界部分に荷重がかかっても、ミッドソールに割れが生じることはない。
【0059】
本発明のポリウレタンフォームは、靴底部材の他にも、ヘルメット内部、プロテクター、車両用の緩衝材料、床材など、衝撃吸収性、反発弾性、耐久性、耐屈曲性などが必要な用途に好適に使用することができる。
【実施例】
【0060】
実施例1~12、比較例1~9
所定形状のモールドを準備し、表1及び表2に示すように、ポリオール成分、イソシアネート成分、フィラー、触媒、発泡剤、および整泡剤を、スクリューを用いて撹拌することでそれらを混合しながらモールド内に注入した。スクリューの回転数は、3500rpmに設定された。モールド内に注入したポリウレタン原料組成物の量は、表1,2の「充填量」欄に示すとおりである。ポリウレタン原料組成物は、スクリューを用いたポリオール成分、イソシアネート成分、フィラー、触媒、発泡剤、および整泡剤の混合により形成される。モールド内にポリウレタン原料組成物が注入された後、モールド温度40℃の条件下でポリウレタン原料組成物を反応させた。反応後、脱型してポリウレタンフォームを得た。なお、表1,2中の材料の配合を示す数値の単位は、質量部である。
【0061】
なお、表1及び表2中におけるポリオール成分、イソシアネート成分、フィラー、触媒、発泡剤、および整泡剤については、以下に示すとおりである。
【0062】
ポリオールI:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量2000、水酸基価57.2mgKOH/g、平均官能基数2)
フィラーA:ガラス中空微粒子(比重0.60g/cm3、平均粒子径(d50)18μm、スリーエム社製、商品名「3MグラスバブルズIM30K」)
フィラーB:ガラス中空微粒子(比重0.46g/cm3、平均粒子径(d50)20μm、スリーエム社製、商品名「3MグラスバブルズIM16K」)
フィラーC:ガラス中空微粒子(比重0.25g/cm3、平均粒子径(d50)55μm、スリーエム社製、商品名「3MグラスバブルズK25」)
フィラーH:ガラス中空微粒子(比重0.20g/cm3、平均粒子径(d50)60μm、スリーエム社製、商品名「3MグラスバブルズK20」)
フィラーD:セラミック中空微粒子(比重0.60~0.90g/cm3、平均粒子径(d50)53μm、関西マテック社製、商品名「カイノスフィアーズ100」)
フィラーE:ポリエチレン微粒子(比重0.94g/cm3、平均粒子径(d50)30μm、三井化学社製、商品名「ミペロンXM220」)
フィラーF:マイカ(比重2.7~3.1g/cm3、鱗片状、平均粒子径(d50)2.1μm、ヤマグチマイカ社製、商品名「A-11」)
フィラーG:ガラス繊維(比重2.3g/cm3、平均繊維径10μm、平均繊維長80μm、日本電気硝子社製、商品名「ミルドファイバ」)
触媒A:トリエチレンジアミン(東ソー(株)製、商品名TEDA-L33)
触媒B:ビスマス触媒(日本化学産業(株)製、商品名プキャット25)
整泡剤A:シリコーン系化合物(粘度900mPa・s(25℃))
発泡剤:イオン交換水
イソシアネート末端基プレポリマー:ポリテトラメチレンエーテルグリコールと4,4’-MDIを反応させたプレポリマー(数平均分子量1000、平均官能基数2、イソシアネート基含有率7.99%)
変性MDI:カルボジイミド変性体(平均官能基数2、イソシアネート基含有率29.0%)
【0063】
実施例1~12および比較例1~7,9で得られたポリウレタンフォームについて、JIS K 7312に準拠しアスカーゴム硬度計C型を用いてポリウレタンフォームの硬度を測定した。また、実施例1~12および比較例1~7、9で得られたポリウレタンフォームを適宜裁断して試験片を作成し、試験片を用いて以下に示す測定を行った。結果は、表1、表2に示すとおりである。
なお、比較例8は、成形型内への樹脂の充填が不十分となり、成型不可であった。
【0064】
(見かけ密度)
ポリウレタンフォームから縦15mm、横15mm、厚み10mmの直方体を切り出して密度測定用試験片とし、この密度測定用試験片を用いてJIS K 7222に準拠して見かけ密度(g/cm3)が測定された。
【0065】
(耐屈曲性確認試験)
ポリウレタンフォームから縦120mm、横60mm、厚み6mmの直方体状に切り出してこれを屈曲用試験片とする。この屈曲用試験片に厚さ2mmの樹脂含浸ボード(ボンテックス社製、商品名 テキソンボード437)を接着した複合体を作成し、複合体を縦方向に沿った中央位置で複合体の半分を90°折り曲げる操作と複合体の半分を元の位置に戻す操作で構成される曲げ戻し操作を144回/分の速度で繰り返した。そして、複合体における屈曲用試験片に亀裂の発生が認められるまで、曲げ戻し操作が繰りかえし実施され、亀裂の発生が認められたときの回数が測定された。なお、表1、2に結果が記載されているが、表1、2においては、1万回を単位として亀裂が発生したか否かについて記載をしている。なお、本発明では、当該耐屈曲性試験2万回以上のものについて、耐屈曲性を有するものとする。比較例2,3,5~7は、2万回未満で亀裂が発生したため、耐屈曲性を有さなかった。
【0066】
(圧縮永久歪)
ポリウレタンフォームから直径29mm、厚み12.5mmの円柱状に切り出して圧縮永久歪測定用試験片とし、圧縮永久歪測定試験片を用いて、圧縮率25%、40℃、24時間の条件下で、JIS K 6262に準拠して、圧縮永久歪(%)が測定された。
【0067】
(反発弾性率)
ポリウレタンフォームから直径29mm、厚み12.5mmの円柱状に切り出して反発弾性率測定用試験片とし、反発弾性率測定試験片を用いてJIS K 6255に準拠して反発弾性率(%)が測定された。
【0068】
(最大衝撃荷重)
ポリウレタンフォームから縦70mm、横60mm、厚み12.5mmの直方体状に切り出して衝撃荷重測定用試験片とし、衝撃荷重測定用試験片を用いて落下衝撃試験により最大衝撃荷重が測定された。落下衝撃試験は、「dynatup GRC8200(Instron社製)」を用いて、
図1に示すような砲弾状の錘w(鉄製、5.1kg)を50mmの高さから衝撃荷重測定用試験片に衝突させた際の最大衝撃荷重(kN)を特定することで実施された。
【0069】
実施例1~12によれば、特定の比重を有するフィラーを用いると、密度が0.25g/cm3以上0.35g/cm3以下の低密度フォームであっても、C硬度50以上65以下のものであり、かつ耐屈曲性に優れるフォームが得られた。すなわち本発明のポリウレタンフォームは軽量性と硬度を維持しつつ耐屈曲性に優れていることが明らかにされている。
【0070】
一方、フィラーを添加していない比較例1では、得られたフォーム硬度が不十分であった。また、比重が特定範囲から外れたフィラーを用いた比較例4~7もまた、フォーム硬度が不十分であったり、耐屈曲性に劣るものとなり、密度が0.25g/cm3以上0.35g/cm3以下の低密度フォームのとき、硬度と耐屈曲性の両方に優れるフォームは得られなかった。
【0071】
【0072】
【符号の説明】
【0073】
W 錘