(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】広帯域水中音響送受信装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/44 20060101AFI20220324BHJP
B06B 1/02 20060101ALI20220324BHJP
B06B 1/06 20060101ALI20220324BHJP
H04B 11/00 20060101ALI20220324BHJP
G01S 7/521 20060101ALN20220324BHJP
【FI】
H04R1/44 310
B06B1/02 K
B06B1/06 Z
H04B11/00 D
H04R1/44 320
G01S7/521 A
(21)【出願番号】P 2018518452
(86)(22)【出願日】2016-10-05
(86)【国際出願番号】 FR2016052559
(87)【国際公開番号】W WO2017060620
(87)【国際公開日】2017-04-13
【審査請求日】2019-09-13
(32)【優先日】2015-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508013962
【氏名又は名称】イクスブルー
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100086265
【氏名又は名称】川崎 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100076451
【氏名又は名称】三嶋 景治
(72)【発明者】
【氏名】モスカ フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】エマール ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】マット ギヨーム
【審査官】渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-174695(JP,A)
【文献】米国特許第05515342(US,A)
【文献】特開2000-083295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/00- 3/04
G01S 1/72- 1/82
G01S 3/80- 3/86
G01S 5/18- 5/30
G01S 7/52- 7/64
G01S 15/00-15/96
H04B 1/00
H04B 1/30
H04B 1/59
H04B 1/72
H04B 11/00-13/02
H04R 1/00- 1/08
H04R 1/12- 1/14
H04R 1/20- 1/34
H04R 1/40
H04R 1/42- 1/46
H04R 3/00
H04R 9/00
H04R 13/00
H04R 15/00
H04R 17/00
H04R 17/02
H04R 17/10
H04R 19/00
H04R 23/00
H04R 29/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのトンピルズトランスデューサ(2、3、4、5)と1つのフリーフラッドリングトランスデューサ(4、6)とを含む広帯域水中音響送受信装置(1)であって、
前記トンピルズトランスデューサ(2、3、4、5)は形状が円筒形であり、このトンピルズトランスデューサの前端側と後端側の間に延びた前後方向回転軸(13)のまわりに回転対称であり、前記トンピルズトランスデューサ(2、3、4、5)は、その前後方向回転軸に沿って後方から前方に向かって配置された要素を含み、前記要素は、少なくとも、後部カウンタマス(2)、電気活性要素(3)、および前部ホーン(4)であり、前記トンピルズトランスデューサ(2、3、4、5)は前方送波方向を有し、
前記フリーフラッドリングトランスデューサ(4、6)は、このフリーフラッドリングトランスデューサの前方側と後方側の間に延びた前後方向回転軸のまわりに回転対称であり、前記フリーフラッドリングトランスデューサ(4、6)は、その前後方向回転軸(13)に沿って後方から前方に向かって配置された要素を含み、前記要素は、少なくとも、プラグ(4)および電気活性リング(6)であり、前記フリーフラッドリングトランスデューサ(4、6)は前方送波方向を有する、広帯域水中音響送受信装置(1)において、
前記トンピルズトランスデューサおよびフリーフラッドリングトランスデューサは、互いに一列に整列し、それらの前後方向回転軸は重なり、前記トンピルズトランスデューサは前記フリーフラッドリングトランスデューサの後方に置かれ、前記フリーフラッドリングトランスデューサは前記トンピルズトランスデューサの前方に置かれ、前方を向いたそれぞれの前方送波方向を有することと、前記2つのトランスデューサは、それらの複数の要素のうちの1つを共有して装置内に組み込まれ、この共有される要素はプラグ-ホーン要素(4)と呼ばれ、前記フリーフラッドリングトランスデューサの前記プラグであり、かつ前記トンピルズトランスデューサの前記前部ホーンであ
り、
前記フリーフラッドリングトランスデューサ(4、6)の前記電気活性リング(6)は、少なくとも部分的に保護材料を被覆され、前記フリーフラッドリングトランスデューサの前記電気活性リング(6)は、保護材料層を介して前記共有のプラグ-ホーン要素(4)に押し当てられることと、前記フリーフラッドリングトランスデューサの前記電気活性リングの前側(8)は前記保護材料層によって閉じられ、流体(7)が、前記フリーフラッドリングトランスデューサの前記電気活性リング内に置かれ、前記流体は、前記プラグ-ホーン要素(4)と接触することを特徴とする水中音響送受信装置(1)。
【請求項2】
少なくとも1つの予圧ロッド(5)が、前記後部カウンタマス(2)と前記プラグ-ホーン要素(4)との間で前後に延びることを特徴とする、請求項1に記載の水中音響送受信装置(1)。
【請求項3】
前記プラグ-ホーン要素(4)は、エラストマーサスペンションを介した前記フリーフラッドリングトランスデューサ(6)の前記電気活性リングのための支持体として機能することを特徴とする、請求項1に記載の水中音響送受信装置(1)。
【請求項4】
流体を収容する環状空洞(9)が、前記トンピルズトランスデューサの横周縁部に面して、少なくとも前記トンピルズトランスデューサの前記電気活性要素(3)に面して配置されることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか1項に記載の水中音響送受信装置(1)。
【請求項5】
剛性金属塊からなる保護リング(10)が、前記装置の前記横周縁部で、少なくとも前記トンピルズトランスデューサに向かい合って配置されることを特徴とする、請求項
4に記載の水中音響送受信装置(1)。
【請求項6】
前記保護リング(10)および前記後部カウンタマス(2)は、別の要素であることを特徴とする、請求項
5に記載の水中音響送受信装置(1)。
【請求項7】
前記保護リングおよび前記後部カウンタマス(2)は、音響減衰材料層(12)によって切り離されることを特徴とする、請求項
6に記載の水中音響送受信装置(1)。
【請求項8】
前記環状空洞(9)の前記流体は、ガス、ガス組成物、液体、ゲルの中から選択されることとを特徴とする、請求項
4に記載の水中音響送受信装置(1)。
【請求項9】
前記フリーフラッドリングトランスデューサの前記電気活性リング(6)内に置かれる前記流体(7)は、ガス、ガス組成物、液体、ゲルの中から選択されることを特徴とする、請求項
1に記載の水中音響送受信装置(1)。
【請求項10】
前記トンピルズトランスデューサ(2、3、4、5)の前記電気活性要素(3)および前記フリーフラッドリングトランスデューサ(4、6)の前記電気活性リング(6)は、圧電セラミックであることを特徴とする、請求項1~
9のいずれか1項に記載の水中音響送受信装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広帯域水中音響送受信装置に関する。この装置は、特に、位置決め、探知、測距、または水中音響通信に適用される。
【背景技術】
【0002】
水中音響トランスデューサは公知であり、長い間使用されている。磁歪材料、電歪材料、または圧電材料を導入できるいくつかのタイプの水中音響トランスデューサが存在する。公知のタイプのトランスデューサの中で、以下の2つのものを挙げることができる。
- 後部カウンタマスと、電気活性要素、通常は圧電要素と、前部ホーンとからなる積層体であるトンピルズ。電気活性要素は、後部カウンタマスと前部ホーンとの間にサンドイッチ状に収容され、このユニットは、通常、後部カウンタマスとホーンとの間に延びる中心予圧ロッドによって保持される。トンピルズは、樹脂加工することができるか、または、より一般的には、その音響特性が探索動作モードに適した流体、例えば、音響透過用のひまし油、またはバッフリング用の空気を充填されたケーシングに挿入することができる。
- 電気活性リングであり、通常は圧電リングであるFFR(「フリーフラッドリング」)トランスデューサであって、リングが前もって樹脂加工される場合の海水か、または、例えば、リングが密封フードに挿入される場合のひまし油かのいずれかとすることができる流体に挿入されるFFRトランスデューサ。半球状の指向性(hemispherical directivity)を得るために、「プラグ」、通常は金属ディスクが、リングの後ろに設置され、音響反射器の機能を果たす。
【0003】
多数の水中音響装置の性能向上には、広周波数帯域を利用する音響信号を使用する必要がある。
【0004】
水中音響トランスデューサによって利用可能な周波数帯域の幅は、通常、この帯域の中心周波数に比例する。対象とする用途に対して導入される先行技術のトランスデューサは、通常1オクターブ、すなわち、中心周波数の2/3をカバーする。
【0005】
探索距離に応じて、利用する周波数帯域は異なる。実際上、同じ伝播距離に対して、高い方の音響周波数は、低い方の周波数よりも、媒体、本明細書では海によって、より多く吸収される。
【0006】
したがって、必要に応じて、例えば、それぞれ1オクターブの少なくとも2つの異なる帯域を利用できる送受信装置を有することは有用であり得る。(中心周波数FLFの)低周波数をカバーする帯域は、長距離を対象とする用途向けであるが、帯域幅がより狭く(通常2/3FLF)、(中心周波数FHFの)高周波数をカバーする帯域は、より短距離を対象とするが、帯域幅がより広い(2/3FHF)。
【0007】
最後に、電気活性要素からなる音響送受信装置は、通常、その用途に対して、少なくとも半球状の角度付き開孔を必要とする。
【0008】
水中音響送受信装置の利用可能な周波数帯域を広げるために、トランスデューサの構造を修正すること、またはより良好な結果が得られるように、異なる構造および/もしくは動的特性、特に利用可能な異なる周波数帯域を有するいくつかのトランスデューサ同士を連係させることが提案された。
【0009】
例えば、Safare-Crouzetによる文献、欧州特許出願公開第0413633A1号明細書「Emetteur large-bande sous-marin」、またはBrownらによる米国特許第8027224号明細書「Broadband Underwater Acoustic Transducer」では、互いに連係するFFR(「フリーフラッドリング」)タイプの球および/またはリングを導入することでいくつかの副帯域をカバーすることが提案されている。しかし、そのような問題解決策は、連係するトランスデューサの整列軸での放射遮蔽という問題をもたらす。
【0010】
帯域幅を拡張する他の方式も、文献、米国特許第4373143号明細書「Parametric Dual Mode Transducer」、米国特許第6690621号明細書「Active Housing Broadband Tonpilz Transducer」、および米国特許第5579287号明細書「Process and transducer for emitting wide band and low frequency acoustic waves in unlimited immersion depths」から公知である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
トランスデューサを連係させるこれらの問題解決策とは異なり、本発明は、異なるタイプのトランスデューサの一体化を提案し、装置の少なくとも1つの要素は、一体化したトランスデューサの動作に対して共有される。したがって、本発明が提案する問題解決策とは、異なるタイプの2つのトランスデューサに共有の機能部品を使用することで、遮蔽効果をなくし、それぞれが所望の帯域で送波することにある。
【0012】
この手法は、低周波数トンピルズタイプのトランスデューサが使用され、この低周波トンピルズタイプのトランスデューサのホーンが、高周波数トンピルズアンテナ用のカウンタマスとして機能し、したがって、同じタイプの2つのトランスデューサを有する文献、米国特許第4373143号明細書の手法とは異なっている。さらに、この同じ文献では、2つの送波器は、パラメトリックタイプの非線形送波を同時に行うように励起される。本手法は、低周波をカバーするトンピルズトランスデューサが、高周波をカバーする能動環状セラミックに並列され、環状セラミックがシステムの環状ケーシングを形成する文献、米国特許第6690621号明細書とも異なっている。
【0013】
本明細書で説明される本発明は、異なるタイプの2つのトランスデューサであるトンピルズおよびFFR(「フリーフラッドリング」)を機能的に一体化するものである。
【0014】
したがって、本発明は、2つのオクターブ帯域をカバーするために、トンピルズトランスデューサとFFRトランスデューサとを一体化することを提案し、トンピルズは、低周波数オクターブ(LF)をカバーし、FFRは、高周波数オクターブ(HF)をカバーし、FFRは、送波方向前方に置かれる。さらに、特にトランスデューサの単純な連係に起因する2つの問題を回避するために、各トランスデューサの1つの要素は機能上共有とされ、その要素は、FFRの反射「プラグ」であり、トンピルズホーンでもある(逆もある)。すなわち、一方で、送波軸上で前方に置かれたトランスデューサは、後方に置かれたトランスデューサを遮蔽し、他方で、前方に置かれたトランスデューサの後方への送波は、後方に置かれたトランスデューサの送波面(FFR用のプラグ、トンピルズのホーン)で反射し、この反射波は、前方に置かれたトランスデューサによって送波された直接波/前進波に破壊的に干渉する。
【0015】
異なるタイプの2つのトランスデューサ間の共有要素のこの導入により、トンピルズは、もはや軸に沿ったその放射を遮蔽する部分を有さず、FFRによって後方に送波された波は、トンピルズ積層体によってそらされ、反射することができない。そのような構成は、2つの周波数副帯域が互いに隣接し、トンピルズが低帯域をカバーする場合に別の利点を有する。実際上、FFRの空洞共鳴は、トンピルズ送波によって励起することができ、したがって、帯域の高い部分のトンピルズ送波に対する感度が高い。
【0016】
さらに、利用可能な周波数帯域をさらに拡大するのが望ましい場合に、付加的手段を導入することができる。実際上、FFRは、本来、空洞共振とセラミックの半径モードとを合わせることで、1オクターブの帯域をカバーする。他方で、トンピルズは、本来、最良の場合で半オクターブをカバーする。したがって、トンピルズの質量-ばねモードを他のモードと合わせることで、トンピルズ帯域を広げることは有用である。帯域の高い部分に対して、一体化されたFFRの空洞モードを使用することができる。帯域の低い部分では、提案される問題解決策は、円筒形の音響バッフルをトンピルズトランスデューサのまわりに、特に、そのリング積層体のまわり、および/または共有される要素、すなわち、「プラグ」として機能するホーンのまわりに組み込むものであり、したがって、周波数が、低周波数帯域の低い部分に合わせて調整される、Janus-Helmholtzタイプ(米国特許第5579287号明細書を参照のこと)の構造で得られるものと同様な方法で、半径方向空洞モードを発生させるものである。したがって、バッフル付きのトンピルズをFFRと一体化したタイプのそのような問題解決策を用いて、1オクターブをカバーすることが可能である。なお、最後に、大きくて重くなければならず、弾性を可能な限り低くしなくてはならないこのバッフルは、例えば、完成したトランスデューサ用の保護ケージの保護体または支持体として機能するなど、他の機能を果たすことができる。
【0017】
最後に、本発明の広帯域水中音響送受信システムは、球状の指向性を有することに留意されたい。
【0018】
したがって、本発明は、トンピルズタイプの少なくとも1つのトランスデューサとFFR(「フリーフラッドリング」)タイプのトランスデューサとを含む広帯域水中音響送受信装置に関し、
形状が円筒形のトンピルズタイプのトランスデューサは、前後方向軸のまわりに回転対称であり、前記トンピルズタイプのトランスデューサは、その前後方向回転軸に沿って後方から前方に配置された要素を含み、前記要素は、少なくとも、後部カウンタマス、電気活性要素、および前部ホーンであり、
FFRタイプのトランスデューサは、前後方向軸のまわりに回転対称であり、前記FFRタイプのトランスデューサは、その前後方向回転軸に沿って後方から前方に配置された要素を含み、前記要素とは、少なくとも、「プラグ」および電気活性リングである。
【0019】
本発明によれば、トンピルズタイプおよびFFRタイプのトランスデューサは、互いに一列に整列し、それらの前後方向回転軸は重なり、トンピルズタイプのトランスデューサは後方に置かれ、FFRタイプのトランスデューサは前方に置かれ、前方を向いたそれぞれの前方送波方向を有し、トランスデューサは、それらの要素の1つを共有して装置内に組み込まれ、プラグ-ホーン要素と呼ばれる前記共有要素は、FFRの「プラグ」であり、かつトンピルズのホーンである。
【0020】
本発明の様々な実施形態では、単独で、または技術的に可能な任意の組み合わせに基づいて使用される以下の手段が使用される。
- トンピルズタイプのトランスデューサの電気活性要素は、保護組成物の層で覆われる。
- FFRタイプのトランスデューサの電気活性リングは、保護組成物の層で覆われる。
- 保護組成物層は、樹脂加工または加硫され、通常、ポリウレタン、クロロスルホン化ポリエチレン、またはニトリル系である。
- 少なくとも1つの予圧ロッドが、後部カウンタマスと共有のプラグ-ホーン要素との間で前後に延びる。
- 前記少なくとも1つの予圧ロッドはクランプされ、そのため、後部カウンタマスとプラグ-ホーン要素との間でサンドイッチ状に収容された電気活性要素は、クランプ状態において、後部カウンタマスとプラグ-ホーン要素との間で圧迫される。
- トンピルズタイプのトランスデューサは、カラーまたはリング、あるいは穴あきディスクの形状の中空電気活性要素を含み、予圧ロッドは、中心/軸上にある。
- トンピルズタイプのトランスデューサは、カラーまたはリングの形状の中空電気活性要素を含み、装置は、予圧ロッドセットを含み、予圧ロッドは、電気活性要素の外部にある。
- トンピルズタイプのトランスデューサは、カラーまたはリングの形状の中空電気活性要素を含み、装置は、予圧ロッドセットを含み、予圧ロッドの1つは、中心/軸上にあり、他の予圧ロッドは、電気活性要素の外部にある。
- 装置は、単一の予圧ロッドを含み、前記予圧ロッドは、トンピルズタイプのトランスデューサの前後方向回転軸に重なる。
- トンピルズタイプのトランスデューサの電気活性要素は中実であり、装置は、予圧ロッドセットを含み、予圧ロッドは、電気活性要素の外部にある。
- 共有のプラグ-ホーン要素は、エラストマーサスペンションを介したFFRトランスデューサの電気活性リング用支持体として機能する。
- 共有のプラグ-ホーン要素は中実である。
- 共有のプラグ-ホーン要素は中空である。
- 共有のプラグ-ホーン要素は透かし入りである。
- 共有のプラグ-ホーン要素は円筒形である。
- 共有のプラグ-ホーン要素は円錐形である。
- 共有のプラグ-ホーン要素は平坦である。
- 共有のプラグ-ホーン要素は成形される。
- 共有のプラグ-ホーン要素は半球形である。
- 共有のプラグ-ホーン要素は平滑面ある。
- 共有のプラグ-ホーン要素は溝付きである。
- 共有のプラグ-ホーン要素は、特に、FFRタイプのトランスデューサ側に配置された面に構築される。
- 共有のプラグ-ホーン要素は、金属、特に、鋼、アルミニウム、またはマグネシウムの合金でできている。
- 共有のプラグ-ホーン要素は、特に、ガラスまたは炭素系の複合物である。
- 共有のプラグ-ホーン要素は、二層材料とすることができる。
- 二層材料の共有プラグ-ホーン要素は、エポキシのコア部と金属の周縁部とを含む。
- 共有のプラグ-ホーン要素は、フラッタリングモードを行うように調整される。
- 共有のプラグ-ホーン要素は、予圧ロッドを固定するための少なくとも1つの非貫通オリフィスを含む。
- 非貫通オリフィスは、ねじ付き予圧ロッドを固定するためにねじを切られる。
- 流体を収容する環状空洞が、トンピルズタイプのトランスデューサの横周縁部に面して、少なくとも電気活性要素に面して配置される。
- 剛性金属塊からなる保護リングが、装置の横周縁部で、少なくともトンピルズタイプのトランスデューサに向かい合って配置される。
- 保護リングは、剛性バッフルを形成する。
- 保護リングは、材料層によって、トンピルズタイプのトランスデューサの電気活性要素から切り離される。
- 保護リングは、環状空洞によって、トンピルズタイプのトランスデューサの電気活性要素から切り離される。
- 保護リングは、環状空洞および少なくとも1つの材料層によって、トンピルズタイプのトランスデューサの電気活性要素から切り離される。
- 保護リングは、装置の外周で材料層によって外装される。
- 保護リングおよび後部カウンタマスは、単一の同じ要素である。
- 保護リングおよび後部カウンタマスは、別の要素である。
- 保護リングおよび後部カウンタマスは、音響減衰材料層によって切り離される。
- 音響減衰材料層は、エラストマー、または連続気泡もしくは独立気泡発泡体である。
- FFRタイプのトランスデューサの電気活性リングは、共有のプラグ-ホーン要素に押し当てられる。
- FFRタイプのトランスデューサの電気活性リングは、少なくとも部分的に保護材料を被覆され、FFRタイプのトランスデューサの電気活性リングは、保護材料層を介して共有のプラグ-ホーン要素に押し当てられ、FFRタイプのトランスデューサの電気活性リングの前端は閉じ、流体が、FFRタイプのトランスデューサの前記電気活性リング内に置かれ、前記流体は、共有のプラグ-ホーン要素と接触する。
- 環状空洞の流体は、ガス、ガス組成物、液体、ゲルの中から選択される。
- FFRタイプのトランスデューサの電気活性リング内に置かれる流体は、ガス、ガス組成物、液体、ゲルの中から選択される。
- 液体は、ひまし油、イソパラフィン(特にIsopar(登録商標))、シリコーンオイル、フッ化炭素などの中から選択される音響インピーダンス整合液である。
- 装置は、流体静力学的に補償する封止薄膜で覆われる。
- 保護材料を構成する材料は、封止薄膜の材料と同じである。
- トンピルズタイプのトランスデューサおよびFFRタイプのトランスデューサの電気活性要素は圧電セラミックである。
【0021】
非限定的な例として提示した添付図面に関連した以下の説明は、本発明が何に基づくか、および本発明がどのようにして実施され得るかについての十分な理解を可能にするであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1の断面図は、水中音響送受信装置1の回転対称軸であり、各トンピルズおよびFFRトランスデューサ両方の前方送波の前軸に合致する、言い換えると、これらの軸に重なる軸を通る。トンピルズタイプのトランスデューサ2,3,4、5は
図1の左にあり、また、装置の前方送波方向13が、
図1の右の方を向いていることを考慮すれば装置の後方にある。FFRタイプのトランスデューサ4、6は図の右にあり、また、装置の前方にある。
【0024】
トンピルズタイプのトランスデューサは、装置の後方から前方に向かって、後部カウンタマス2と、予圧ロッド5が中心を通ることができる圧電ディスクの積層体、本明細書では、特に圧電リングの積層体3と、共有のプラグ-ホーン要素4であるホーンとを含む。予圧ロッド5は、リングの積層体3を圧迫するために、後部カウンタマス2と共有のプラグ-ホーン要素4との間で張力をかけられる。
【0025】
FFRタイプのトランスデューサは、装置の後方から前方に向かって、共有のプラグ-ホーン要素4および圧電リング6を含む。圧電リング6の中央部は、前方で前壁8によって閉じられ、後方で共有のプラグ-ホーン要素4によって閉じられて、閉じた中央空洞を形成している。流体7、例えば、ひまし油である液体は、圧電リング6のこの中央部/空洞に置かれている。したがって、流体は、共有のプラグ-ホーン要素4と接触している。
図1に示す実施形態では、圧電リング6は、共有のプラグ-ホーン要素4に直接当てられず、材料層が両者間に入っている。特定の実施形態では、プラグ-ホーンは、エラストマーサスペンションを介したFFRトランスデューサの電気活性リング用支持体として機能する。
図1では、このエラストマーサスペンションは、両者4、6間でサスペンションとしても機能する封止薄膜11である。
【0026】
トンピルズとFFRの2つのトランスデューサとのこの一体化は、各トランスデューサの2つの周波数副帯域が隣接し、トンピルズが低帯域をカバーする場合に別の利点を有する。実際上、FFRの空洞共鳴は、トンピルズ送波によって励起することができ、したがって、帯域の高い部分のトンピルズ送波に対する感度が高くなる。
【0027】
通常、トンピルズタイプのトランスデューサは、樹脂加工されるか、またはその音響特性が探索動作モードに適した流体、例えば、音響透過用のひまし油、またはバッフリング用の空気を充填されたケーシングに挿入されるかのいずれかが可能である。なお、空気がバッフリング用に使用される場合、バッフルは、空気空洞を囲む剛性ケーシングを含み、このとき、トランスデューサは、通常、深度が浅い水浸に制限される。
【0028】
図1に示す装置では、トンピルズタイプのトランスデューサの横周縁部に、流体、例えば、ひまし油である液体を収容した横空洞9が配置されている。この横空洞9は、トンピルズタイプのトランスデューサが、他方のトランスデューサであるFFRトランスデューサと同様に、略円筒形であるために環状である。横空洞9は、リング積層体3の少なくとも一部に向かい合って、または面して延びている。
図1に示す例では、この空洞は、共有のプラグ-ホーン要素4の横部まで届き、後部カウンタマス2と接触せず、材料層12が両者9、2間に配置されている。
【0029】
代替の実施形態では、流体は、バッフリング効果を得るために、空気、またはガスもしくはガス組成物である。ガス流体の圧力は、必要に合わされる。
【0030】
利用可能な周波数帯域幅をさらに改善するために、保護リング10が、装置の外周で、トンピルズタイプのトランスデューサに向かい合って配置されている。この例では、保護リング10は、後部カウンタマス2とは別であり、通常、弾性係数<100MPaの弾性特性を有する材料層によって、または変形型では、流体穴によって後部カウンタマスから切り離される。本明細書では、この材料層は、装置も覆い、仕切りを形成する封止薄膜11である。
【0031】
図2において、送波の周波数応答曲線により、各タイプのトランスデューサの効果と、導入した共有のプラグ-ホーン要素の寄与との視角化が可能になる。この曲線を作成するために、バッフル型装置を解析した。最低周波数は、横座標軸に沿った左にある。縦座標の目盛り勾配は10dBである。示した曲線は、任意単位としてdBで示した、印加電圧に関する伝達比に相当する。
【0032】
トンピルズタイプのトランスデューサの作用は、主に質量-ばねモードMSMを用いた「LFオクターブ」部を見ると分かる。バッフル空洞モードBCMを引き起こすバッフリングの導入により、最低周波数に向かう曲線の上昇を認めることができる。
【0033】
FFRタイプのトランスデューサの作用は、主にリング半径方向モードRRMを用いた「HFオクターブ」部と、周波数が低く、低周波応答を広げることを可能にするリング空洞モードRCMとを見ると分かる。
【0034】
装置の好ましい使用モードでは、発生させるのが望ましい低周波または高周波に応じて、2つのトランスデューサの一方だけが、発生させるのが好ましい周波数に対応する周波数の交流電流を供給される。所望であれば、発生する波は、送波の合間の受波を可能にするために、不連続に生成される。交流電流は、正弦波以外の波形、特に、純粋な波を発生させるのに有用である、ならびに/あるいは高調波および/または他の線形もしくは非線形効果を有する任意の形状を有することができる。しかし、2つのトランスデューサが、各トランスデューサに合わせた交流電流で同時に供給される場合も考えられる。
【0035】
当然ながら、本発明は、他の多数の方法で実施することができる。例えば、保護リング10は、なくすことができるし、または後部カウンタマス2および保護リング10の両方を形成する単体要素を導入することもできる。さらに、トンピルズタイプのトランスデューサのディスクまたはリング3および/あるいは圧電リング6は、特に、単体または複合変換要素として、様々な公知の態様で作製することができ、複合変換要素の場合に、ディスクまたはリングを形成する要素トランスデューサを組み立てることで作製することができる。