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特許7045318直接逓倍フーリエ変換ミリメートル波分光の方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】直接逓倍フーリエ変換ミリメートル波分光の方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/3581 20140101AFI20220324BHJP
   G01N 22/00 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
G01N21/3581
G01N22/00 N
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2018536194
(86)(22)【出願日】2017-01-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-01-17
(86)【国際出願番号】 US2017012509
(87)【国際公開番号】W WO2017120454
(87)【国際公開日】2017-07-13
【審査請求日】2019-12-26
(31)【優先権主張番号】62/275,996
(32)【優先日】2016-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518240613
【氏名又は名称】ブライトスペック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】ニール,ジャスティン・エル
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,ブレント
(72)【発明者】
【氏名】ペイト,ブルックス・ハート
【審査官】赤木 貴則
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05151661(US,A)
【文献】独国特許出願公開第102007062159(DE,A1)
【文献】特開2007-114131(JP,A)
【文献】特開2005-073199(JP,A)
【文献】特開2001-127502(JP,A)
【文献】国際公開第2014/201230(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/195641(WO,A2)
【文献】特開2011-189079(JP,A)
【文献】特開平11-290292(JP,A)
【文献】特表2010-533301(JP,A)
【文献】特開2007-327930(JP,A)
【文献】特開2007-240191(JP,A)
【文献】特開2007-086074(JP,A)
【文献】特開平07-286979(JP,A)
【文献】中国実用新案第202043072(CN,U)
【文献】特表2016-521859(JP,A)
【文献】STEBER, A.L. et al.,An Arbitrary Waveform Generator Based Chirped Pulse Fourier Transform Spectrometer Operating from 260 to 295 GHz,Journal of Molecular Spectroscopy,2012年08月04日,Vol. 280 ,pp. 3-10,https://doi.org/10.1016/j.jms.2012.07.015
【文献】UHER, J et al.,Tunable microwave and millimeter-wave band-pass filters,IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques,1991年04月,Vol. 39, No. 4 ,pp. 643-653
【文献】BROWN, et al.,A broadband Fourier transform microwave spectrometer based on chirped pulse excitation,Review of scientific instruments,2008年,Vol. 79, No. 053103,pp. 1-13,https://doi.org/10.1063/1.2919120
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/61
G01N 21/84-G01N 21/958
G01N 22/00-G01N 22/04
G01N 33/48-G01N 33/98
G01N 35/00-G01N 37/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波電磁エネルギーの少なくとも1つのパルスを生成するステップと、
前記少なくとも1つのパルスを周波数逓倍して、少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスを生成するステップと、
前記少なくとも1つのパルスを周波数逓倍することによって生成された、前記少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスの少なくとも1つのスプリアス高調波をフィルタリングして、少なくとも1つのフィルタリングされたパルスを生成するステップと、
前記少なくとも1つのフィルタリングされたパルスを用いてサンプルを励起するステップと、
前記少なくとも1つのフィルタリングされたパルスによって少なくとも部分的に誘発された前記サンプルからの発光を検出するステップと
を含んでなる方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのパルスを生成するステップは、1GHz~3GHzの周波数レンジ内の少なくとも1つのチャープパルスを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスは、75GHz~110GHzのレンジ内の周波数を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フィルタリングするステップは、キャビティ帯域通過フィルタを用いて前記少なくとも1つのスプリアス高調波をフィルタリングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのパルスを生成するステップは、トリガ信号に応答して前記少なくとも1つのパルスを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記サンプルからの発光を検出するステップは、前記トリガ信号に応答して前記発光を検出することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのパルスは第1のパルスを含み、
前記方法は、
前記第1のパルスと同相のマイクロ波電磁エネルギーの第2のパルスを生成するステップと、
前記第2のパルスを周波数逓倍して、第2の周波数逓倍されたパルスを生成するステップと
を更に含み、
前記サンプルからの発光を検出するステップは、前記第2の周波数逓倍されたパルスと前記発光とを混合して、アナログ/デジタル変換器(ADC)の帯域幅内のダウンコンバートされた発光信号を生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記サンプルからの発光を検出するステップは、ヘテロダイン検出を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
マイクロ波電磁エネルギーの少なくとも1つのパルスを生成するように構成された信号ジェネレータと、
前記信号ジェネレータに動作可能に結合されるとともに、前記少なくとも1つのパルスを周波数逓倍して少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスを生成するように構成された周波数逓倍器回路と、
前記周波数逓倍器回路に動作可能に結合されるとともに、前記少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスの少なくとも1つのスプリアス高調波をフィルタリングして少なくとも1つのフィルタリングされたパルスを生成するように構成されたフィルタ回路であって、前記少なくとも1つのスプリアス高調波は、前記少なくとも1つのパルスを周波数逓倍することによって生成され、該フィルタ回路は、前記少なくとも1つのフィルタリングされたパルスを用いてサンプルを励起するように更に構成される、フィルタ回路と、
前記少なくとも1つのフィルタリングされたパルスによって少なくとも部分的に誘発された前記サンプルからの発光を検出するように構成された発光検出器と
を備えてなる装置。
【請求項10】
前記信号ジェネレータは、前記少なくとも1つのパルスを、1GHz~3GHzの周波数レンジ内の少なくとも1つのチャープパルスとして生成するように更に構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスは、75GHz~110GHzのレンジ内の周波数を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記フィルタ回路はキャビティ帯域通過フィルタを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記信号ジェネレータは、トリガ信号に応答して前記少なくとも1つのパルスを生成するように更に構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記発光検出器は、前記トリガ信号に応答して前記発光を検出するように更に構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つのパルスは第1のパルスを含み、
前記信号ジェネレータは、前記第1のパルスと同相のマイクロ波電磁エネルギーの第2のパルスを生成するように更に構成され、
前記周波数逓倍器回路は、前記第2のパルスを周波数逓倍して第2の周波数逓倍されたパルスを生成するように更に構成され、
前記発光検出器は、前記第2の周波数逓倍されたパルスと前記発光とを混合して、アナログ/デジタル変換器(ADC)の帯域幅内のダウンコンバートされた発光信号を生成するように更に構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項16】
前記発光検出器は、ヘテロダイン検出を介して検出するように更に構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つのパルスを生成するステップは、自走式信号ジェネレータを用いて、マイクロ波電磁エネルギーの少なくとも1つのパルスを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのパルスを生成するのに使用される信号ジェネレータの内部で得られるタイムベースから前記トリガ信号を生成することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのパルスを生成するのに使用される信号ジェネレータの外部の可変周波数源から前記トリガ信号を生成することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項20】
前記信号ジェネレータは、前記トリガ信号を生成するように構成された、内部で得られるタイムベースを備える、請求項13に記載の装置。
【請求項21】
前記信号ジェネレータは、該信号ジェネレータの外部の可変周波数源から前記トリガ信号を受信するように構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項22】
自走式信号ジェネレータを用いて、第1のトリガ信号に応答して第1のマイクロ波パルス及び第2のマイクロ波パルスを生成するステップと、
前記第1のマイクロ波パルスを周波数逓倍して、第1のミリメートル波パルス及び第1のスプリアス放出高調波を含む第1のミリメートル波信号を形成するステップと、
前記第1のミリメートル波信号から前記第1のスプリアス放出高調波をフィルタリングして、前記第1のミリメートル波パルスを得るステップと、
前記第2のマイクロ波パルスを周波数逓倍して、第2のミリメートル波パルス及び第2のスプリアス放出高調波を含む第2のミリメートル波信号を形成するステップと、
前記第2のミリメートル波信号から前記第2のスプリアス放出高調波をフィルタリングして、前記第2のミリメートル波パルスを得るステップと、
前記第1のミリメートル波パルスを用いてサンプルを励起して、第1のサンプル発光を生成するステップと、
前記第1のサンプル発光を前記第2のミリメートル波パルスと混合して、第1のダウンコンバートされたサンプル発光を生成するステップと、
前記第1のダウンコンバートされたサンプル発光を検出して第1の電子信号を生成するステップと、
第2のトリガ信号に応答して、前記自走式信号ジェネレータを用いて、前記第1のマイクロ波パルス及び前記第2のマイクロ波パルスと位相コヒーレントである第3のマイクロ波パルス及び第4のマイクロ波パルスを生成するステップと、
前記第3のマイクロ波パルスを周波数逓倍して、第3のミリメートル波パルス及び第3のスプリアス放出高調波を含む第3のミリメートル波信号を形成するステップと、
前記第3のミリメートル波信号から前記第3のスプリアス放出高調波をフィルタリングして、前記第3のミリメートル波パルスを得るステップと、
前記第4のマイクロ波パルスを周波数逓倍して、第4のミリメートル波パルス及び第4のスプリアス放出高調波を含む第4のミリメートル波信号を形成するステップと、
前記第4のミリメートル波信号から前記第4のスプリアス放出高調波をフィルタリングして、前記第4のミリメートル波パルスを得るステップと、
前記第3のミリメートル波パルスを用いて前記サンプルを励起して、前記第1のサンプル発光と位相コヒーレントである第2のサンプル発光を生成するステップと、
前記第2のサンプル発光を前記第4のミリメートル波パルスと混合して、第2のダウンコンバートされたサンプル発光を生成するステップと、
前記第2のダウンコンバートされたサンプル発光を検出して、第2の電子信号を生成するステップと、
前記第1の電子信号及び前記第2の電子信号を平均化するステップと
を含んでなる方法。
【請求項23】
前記第1のミリメートル波パルスの周波数は、前記第2のミリメートル波パルスの周波数から720MHz~1440MHzだけオフセットされている、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つのパルスの生成と前記少なくとも1つのパルスの周波数逓倍は、周波数をアップコンバートしないで行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つのパルスまたは前記少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスをアップコンバートする混合器または局部発信器を備えていない、請求項9に記載の装置。
【請求項26】
前記少なくとも1つのパルスの生成は、現在のクロックサイクルが終了するのを待つことなく前記トリガ信号に直ちに応答して行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項27】
前記信号ジェネレータは、現在のクロックサイクルが終了するのを待つことなく前記トリガ信号に直ちに応答して前記少なくとも1つのパルスを生成するように構成される、請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2016年1月7日に出願された米国仮出願第62/275,996号の米国特許法第119条(e)項の優先権の利益を主張する。この米国出願の開示内容は、引用することによってその全内容が本明細書の一部をなすものとする。
【背景技術】
【0002】
回転分光などの分光は、物理化学における強力な構造ツールである。例えば、分子構造と回転遷移周波数との間の関係は、気相サンプルの構造決定に用いることができる。遠心力歪、四重極核からの超微細スペクトル構造、又はトンネリング運動によって引き起こされる周波数シフトなどの分子の回転運動における他の効果は、分子構造及び低周波数振動運動の更なるキャラクタリゼーションを提供するのに用いることができる。
【0003】
ミリメートル(mm)波(millimeter wave:ミリ波)領域又はテラヘルツ(THz)周波数領域におけるフーリエ変換分光は、化学的検出及びキャラクタリゼーションに特に有用である。共通の源(例えば、デジタル/アナログ変換器)から有用な周波数を生成する通常の手法は、周波数混合器の使用を伴う。この周波数混合器では、励起源と周波数混合器の周波数基準源との間の位相コヒーレンスを達成することが困難になる可能性がある。したがって、フーリエ変換ミリメートル波分光における捕捉中に位相再現性を可能にする手法の要求は満たされていない。
【0004】
加えて、フーリエ変換分光における信号生成は、通常、トリガ信号生成にクロックなどの固定周波数源の使用が必要となる。これは、捕捉間の位相再現性を維持するのに必要とされるが、信号ジェネレータが、固定周波数の形式又は設定で必ずしも発生しないイベントを発信源とするトリガ信号及び/又はイベントを受信する能力を制限し及び/又は制限しない場合には妨げる。したがって、時に非同期の外部イベントに対する信号生成及び/又は捕捉の同期を可能にする手法の要求は満たされていない。
【発明の概要】
【0005】
本明細書では、直接逓倍フーリエ変換ミリメートル波分光の方法及び装置が開示される。幾つかの実施の形態では、方法は、マイクロ波電磁エネルギーの少なくとも1つのパルスを生成することを含む。該方法は、前記パルス(複数の場合もある)を周波数逓倍して、少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスを生成することも含む。該方法は、前記周波数逓倍されたパルスの少なくとも1つのスプリアス高調波(擬似高調波:spurious harmonic)をフィルタリングして、少なくとも1つのフィルタリングされたパルスを生成することを更に含む。前記スプリアス高調波は、前記パルスを周波数逓倍することによって生成される。該方法は、前記フィルタリングされたパルスを用いてサンプルを励起することも含む。該方法は、前記サンプルからの発光を検出することを更に含む。前記発光は、前記フィルタリングされたパルスによって少なくとも部分的に誘発される。
【0006】
幾つかの実施の形態では、装置は、マイクロ波電磁エネルギーの少なくとも1つのパルスを生成するように構成された信号ジェネレータを備える。該装置は、前記信号ジェネレータに結合された周波数逓倍器回路も備える。前記周波数逓倍器回路は、前記少なくとも1つのパルスを周波数逓倍して少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスを生成するように構成される。該装置は、前記周波数逓倍器回路に結合されたフィルタ回路も備える。前記フィルタ回路は、前記周波数逓倍されたパルスの少なくとも1つのスプリアス高調波をフィルタリングしてフィルタリングされたパルスを生成するように構成される。前記スプリアス高調波は、前記パルスを周波数逓倍することによって生成され、前記フィルタ回路は、前記フィルタリングされたパルスを用いてサンプルを励起するように更に構成される。該装置は、前記フィルタリングされたパルスによって少なくとも部分的に誘発された前記サンプルからの発光を検出するように構成された発光検出器も備える。
【0007】
幾つかの実施の形態では、方法は、自走式信号ジェネレータを用いて、マイクロ波電磁エネルギーの少なくとも1つのパルスを生成することを含む。該方法は、前記少なくとも1つのパルスを周波数逓倍して少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスを生成することも含む。該方法は、前記少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスを用いてサンプルを励起することも含む。該方法は、前記少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスによって少なくとも部分的に誘発された前記サンプルから発光を検出することも含む。
【0008】
幾つかの実施の形態では、装置は、トリガ信号に応答してマイクロ波電磁エネルギーの少なくとも1つのパルスを生成するように構成された信号ジェネレータを備える。該装置は、前記信号ジェネレータに結合された周波数逓倍器回路も備える。前記周波数逓倍器回路は、前記少なくとも1つのパルスを周波数逓倍して少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスを生成するように構成される。前記周波数逓倍器回路は、前記少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスを用いてサンプルを励起するように更に構成される。該装置は、前記少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスによって少なくとも部分的に誘発された前記サンプルからの発光を検出するように構成された発光検出器も備える。
【0009】
幾つかの実施の形態では、方法は、自走式信号ジェネレータを用いて、第1のトリガ信号に応答して第1のマイクロ波パルス及び第2のマイクロ波パルスを生成することを含む。前記第1のマイクロ波パルスは周波数逓倍されて、第1のミリメートル波パルス及び第1のスプリアス放出を含む第1のミリメートル波信号が形成される。該方法は、前記第1のミリメートル波信号から前記第1のスプリアス放出高調波をフィルタリングして、前記第1のミリメートル波パルスを得ることも含む。前記第2のマイクロ波パルスは周波数逓倍されて、第2のミリメートル波パルス及び第2のスプリアス放出を含む第2のミリメートル波信号が形成される。該方法は、前記第2のミリメートル波信号から前記第2のスプリアス放出高調波をフィルタリングして、前記第2のミリメートル波パルスを得ることも含む。該方法は、前記第1のミリメートル波パルスを用いてサンプルを励起して、第1のサンプル発光を生成することと、前記第1のサンプル発光を前記第2のミリメートル波パルスと混合して、第1のダウンコンバートされたサンプル発光を生成することとをも含む。該方法は、前記第1のダウンコンバートされたサンプル発光を検出して第1の電子信号を生成することも含む。該方法は、第2のトリガ信号に応答して、前記自走式信号ジェネレータを用いて、第3のマイクロ波パルス及び第4のマイクロ波パルスを生成することを更に含む。前記第3のマイクロ波パルス及び前記第4のマイクロ波パルスは、前記第1のマイクロ波パルス及び前記第2のマイクロ波パルスと位相コヒーレントである。該方法は、前記第3のマイクロ波パルスを周波数逓倍して、第3のミリメートル波パルス及び第3のスプリアス放出を含む第3のミリメートル波信号を形成することも含む。該方法は、前記第3のミリメートル波信号から前記第3のスプリアス放出高調波をフィルタリングして、前記第3のミリメートル波パルスを得ることも含む。該方法は、前記第4のマイクロ波パルスを周波数逓倍して、第4のミリメートル波パルス及び第4のスプリアス放出を含む第4のミリメートル波信号を形成することも含む。該方法は、前記第4のミリメートル波信号から前記第4のスプリアス放出高調波をフィルタリングして、前記第4のミリメートル波パルスを得ることを更に含む。該方法は、前記第3のミリメートル波パルスを用いて前記サンプルを励起して、前記第1のサンプル発光と位相コヒーレントである第2のサンプル発光を生成することと、前記第2のサンプル発光を前記第4のミリメートル波パルスと混合して、第2のダウンコンバートされたサンプル発光を生成することとをも含む。該方法は、前記第2のダウンコンバートされたサンプル発光を検出して、第2の電子信号を生成することも含む。前記第1の電子信号及び前記第2の電子信号は平均化され、例えば、SNRの向上、感度の改善、又はそれらの双方が行われる。
【0010】
当業者であれば、図面が主として例示を目的としてものであり、本明細書に記載された本発明の主題の範囲を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。図面は、必ずしも一律の縮尺ではない。幾つかの場合には、本明細書に開示された本発明の主題の様々な態様は、種々の特徴の理解を容易にするために、図面において誇張又は拡大されて示される場合がある。図面において、同様の参照符号は、一般に、同様の特徴部(例えば、機能的及び/又は構造的に類似した要素)を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態による、フーリエ変換ミリメートル波分光のシステムを示す図である。
図2】実施形態による、フーリエ変換ミリメートル波分光の方法を示す図である。
図3】実施形態による、図1のシステムに基づく一例示のシステムを示す図である。
図4】トリガ信号に応答した1つ以上の周波数アジャイルパルスの生成を示す時間領域プロットである。
図5A】変調トーンの周波数逓倍と、周波数逓倍に起因した高調波のフィルタリングとを示す図である。
図5B】変調トーンの周波数逓倍と、周波数逓倍に起因した高調波のフィルタリングとを示す図である。
図5C】変調トーンの周波数逓倍と、周波数逓倍に起因した高調波のフィルタリングとを示す図である。
図5D】変調トーンの周波数逓倍と、周波数逓倍に起因した高調波のフィルタリングとを示す図である。
図5E】変調トーンの周波数逓倍と、周波数逓倍に起因した高調波のフィルタリングとを示す図である。
図6A】チャープパルスの周波数逓倍と、周波数逓倍に起因した高調波のフィルタリングとを示す図である。
図6B】チャープパルスの周波数逓倍と、周波数逓倍に起因した高調波のフィルタリングとを示す図である。
図6C】チャープパルスの周波数逓倍と、周波数逓倍に起因した高調波のフィルタリングとを示す図である。
図6D】チャープパルスの周波数逓倍と、周波数逓倍に起因した高調波のフィルタリングとを示す図である。
図6E】チャープパルスの周波数逓倍と、周波数逓倍に起因した高調波のフィルタリングとを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において用いられている単数形「一(a、an)」及び「その(the)」は、文脈が明らかに別段の指定をしていない限り、複数形を包含する。
【0013】
本明細書において用いられる用語「モジュール」は、任意のアセンブリ、及び/又は、例えば、メモリ、プロセッサ、電気トレース、光コネクタ、ソフトウェア(ハードウェアにおいて実行される)等を含むことができる任意の一組の作動結合された電気構成要素を指す。例えば、プロセッサにおいて実行されるモジュールは、当該モジュールに関連付けられた1つ以上の特定の機能を実行することが可能なハードウェアベースのモジュール(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP))及び/又はソフトウェアベースのモジュール(例えば、メモリに記憶され及び/又はプロセッサにおいて実行されるコンピュータコードのモジュール)の任意の組み合わせとすることができる。
【0014】
本明細書に開示される方法及び装置の態様は、局部発振器等の励起源(複数の場合もある)以外の周波数源の使用を伴わない直接逓倍フーリエ変換ミリメートル波分光における正確な信号捕捉に有利である。
【0015】
本明細書に用いられる用語「マイクロ波」は、用語「周波数」若しくは「周波数レンジ」、又はその変異形を修飾するのに用いられるとき、約0Hz(例えば、直流)~約40GHzの任意の周波数値又は周波数レンジである。本明細書に用いられる用語「ミリメートル波」は、用語「周波数」若しくは「周波数レンジ」、又はその変異形を修飾するのに用いられるとき、約30GHz~約300GHzの任意の周波数値又は周波数レンジである。したがって、その結果、30GHz~40GHzのレンジ内の周波数は、マイクロ波及びミリメートル波の双方として特徴付けることができることになる。本明細書に用いられる用語「サブミリメートル」は、用語「周波数」若しくは「周波数レンジ」、又はその変異形を修飾するのに用いられるとき、約300GHz~約3000GHzの任意の周波数値又は周波数レンジである。本明細書に用いられる用語「テラヘルツ」は、用語「周波数」若しくは「周波数レンジ」、又はその変異形を修飾するのに用いられるとき、約100GHz(すなわち、約0.1THz)~約10000GHz(すなわち、約10THz)の任意の周波数値又は周波数レンジである。したがって、その結果、300GHz~3000GHzのレンジ内の周波数は、サブミリメートル波及びテラヘルツの双方として特徴付けることができることになる。
【0016】
本明細書に用いられる用語「周波数逓倍」、「周波数逓倍器」、及びそれらの変異形は、電子回路(複数の場合もある)を用いて、入力周波数を有する入力信号に基づいて、入力周波数の倍数である出力周波数を有する出力信号を生成することを指す。例えば、入力信号が、約5MHz~約5GHzのレンジ内の入力周波数を有するとき、出力信号は、約10MHz~約10GHzのレンジ内の出力周波数を有することができる等である。そのような電子回路は、クリッピング回路、クラスA増幅器、クラスB増幅器、クラスC増幅器、ダイオードベースの回路、微小電子機械(MEMS)周波数二倍器等を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本明細書に用いられる用語「アップコンバージョン」及びその変異形は、第1の周波数又は第1の周波数レンジにおける信号を相対的にそれよりも高い第2の周波数又は第2の周波数レンジに変換することを指す。アップコンバージョンは、混合器を用いて第1の周波数の信号をそれよりも高い周波数の局部発振器と混合することによって行うことができる。同様に、用語「ダウンコンバージョン」は、第1の周波数又は第1の周波数レンジにおける信号を、例えば、混合器又はそれよりも低い周波数の局部発振器を用いて、それよりも低い第2の周波数又はそれよりも低い第2の周波数レンジに変換することを指す。局部発振器は、信号の周波数よりも低い周波数又は高い周波数において動作することができる。混合器は、通常、(信号及び局部発振器の)入力周波数の和である周波数を有する第1の出力を生成するとともに、入力周波数の差である周波数を有する第2の出力も生成する。幾つかの実施形態では、ダウンコンバージョンは、ローパスフィルタ等を介して第2の出力を選択することを含むことができる。幾つかの実施形態では、ダウンコンバージョンは、減衰後の第1の出力を選択することを含むことができる。本明細書に用いられる用語「局部発振器」は、アップコンバージョン又はダウンコンバージョン用の混合器とともに用いることができるような特性周波数の正弦波信号を指す。用語「局部発振器」は、そのような正弦波信号を生成するシンセサイザ又は他の電子構成要素も指すことができる。
【0018】
本明細書に用いられる用語「周波数標準器」及びその変異形は、許容可能な精度を有する基本周波数を生成する安定した発振器を指す。当該技術において知られているように、周波数標準器は、他の電子デバイスの周波数を制御するのに用いることができる。例えば、通常の市販のルビジウム周波数標準器は、マイクロ波シンセサイザ、任意波形ジェネレータ、又は他の電子構成要素周波数安定性を確保する周波数基準として用いることができる10MHzのクロック信号を放出する。
【0019】
本技術の実施形態は、直接逓倍フーリエ変換ミリメートル波分光のシステムを含む。従来のフーリエ変換ミリメートル波分光と異なり、本発明の直接逓倍フーリエ変換ミリメートル波分光システムは、例えば、マイクロ波周波数からミリメートル波周波数に信号をアップコンバートしない。その代わりに、このシステムは、マイクロ波チャープパルス等の低周波数信号を逓倍して、ミリメートル波チャープパルス等のそれよりも高い周波数の信号を生成する1つ以上の周波数逓倍器を備える。
【0020】
本発明のシステムは、周波数逓倍プロセス中に生成されるスプリアス相互変調積及びスプリアス高調波を含むスプリアス放出(スプール(spurs))を除去する1つ以上のフィルタを備えることができる。スプリアス相互変調積は、周波数逓倍プロセス中に異なるスペクトル成分間の非線形相互作用によって引き起こされ、通常、それらのスペクトル成分間の和(複数の場合もある)及び差(複数の場合もある)に等しい周波数に現れる。スプリアス高調波も、非線形相互作用に起因し、周波数逓倍される信号の周波数の整数倍に現れる。周波数逓倍中に生成されるスプリアス放出は、アップコンバージョンによって必ずしも生成されず、したがって、低周波数信号をアップコンバートする分光システムではフィルタリングする必要がない。
【0021】
そのような本発明のシステムは、低周波数信号をアップコンバートしないので、高周波数信号を生成する従来のシステムに見られる混合器も局部発振器も必要としない。また、本発明のシステムは、局部発振器がなくても動作することができるので、低周波数信号を生成するのに用いられる信号ジェネレータを、局部発振器を生成するのに用いられるシンセサイザに同期させる必要はない。その結果、本発明のシステムは、従来のフーリエ変換分光システムにおいて用いられるようなルビジウム周波数標準器等の外部周波数基準を必要としない。言い換えると、本発明のシステムは、自走式信号ジェネレータ(すなわち、外部周波数基準に同期されない信号ジェネレータ)を用いて、周波数逓倍用の低周波数パルスを生成することができる。外部周波数標準器及び局部発振器の必要性がなくなることによって、本発明のシステムは、従来のシステムよりも単純であり、費用がかからない。
【0022】
自走式信号(同期されていない)ジェネレータを用いて、周波数逓倍用の低周波数パルスを生成することによって、次のクロックサイクルの開始を待つことなく、パルスレーザ、分子放電源、プロセス監視イベント等の外部イベント又は外部エンティティに応答して、本発明のシステムによってサンプル発光の捕捉をトリガすることも可能になる。信号ジェネレータは自走式であるので、タイムベースをそれ自身で規定し、そのため、トリガイベントは、捕捉間の位相再現性を維持するために特定のクロックサイクル及び/又は他の外部基準にロックされる必要がない。これによって、時間領域信号平均化を行って感度を改善し、及び/又は信号対雑音比(SNR)を高めることがより容易になる。さらに、トリガイベントをクロック又は他の外部周波数基準にロックする必要がなく、次のクロックサイクルの開始まで待機するのではなく、トリガを受信すると直ちに捕捉を開始することができる。次のクロックサイクルの開始は、最大で1フルクロック周期(例えば、10MHzクロックの場合に100μs)になる可能性がある。
【0023】
幾つかの場合には、捕捉は、ミリメートル波パルス(複数の場合もある)によって誘導されたサンプル発光をダウンコンバートすることによって行うことができる。例えば、サンプル発光は、当該サンプル発光を、サンプルを励起するのに用いられるミリメートル波信号(励起パルス)を生成する同じ信号ジェネレータによって生成された別のミリメートル波パルス/パルス列と混合することによってダウンコンバートすることができる。この励起パルス及び別のパルス/パルス列は、同じ信号ジェネレータによって生成されるので、外部周波数基準が存在しないにもかかわらず、互いに位相コヒーレントであり得る。(逆に、別個の局部発振器シンセサイザを用いて位相コヒーレント局部発振器を生成すると、位相コヒーレンスを維持するために、この局部発振器シンセサイザを、マイクロ波パルス(複数の場合もある)を生成するのに用いられる信号ジェネレータと同期させることが必要となる。)上記別のパルス/パルス列は、励起パルス/パルス列の周波数からオフセットされた周波数のものとすることができる。
【0024】
ダウンコンバートされたサンプル発光は、当該技術において理解されているように、その後、増幅、周波数逓倍、デジタル化、及び検出することができる。また、後続のパルス及びサンプル発光は位相コヒーレントであるので、検出された信号をデジタル領域において平均化又は累算して、例えば、SNRを高めることができる。このように、本明細書において開示される態様は、位相ロックされた局部発振器等の周波数標準器を用いることなく、位相コヒーレントヘテロダイン検出を行うことを包含することができる。周波数混合、局部発振器、及び局部発振器を生成して周波数源にロックする周波数標準器をなくすことによっても、システムの複雑度及びコストを大幅に低減することができる。
【0025】
直接逓倍フーリエ変換ミリメートル波分光システム
図1は、直接逓倍フーリエ変換ミリメートル波分光のシステム100を示している。システム100は、信号ジェネレータ110と、周波数逓倍器回路120と、1つ以上のフィルタ125と、発光検出器140とを備える。図1は、(点線によって示されるように)システム100の任意選択的な構成要素とすることができるサンプルチャンバ130も示している。図1は、(点線によって示されるように)システム100の任意選択的な構成要素とすることができるとともに、幾つかの実施形態では、システム100の外部とすることができるトリガ源105も示している。幾つかの実施形態では、システム100は、追加の構成要素(図示せず)を備えることができる。これらの追加の構成要素には、以下で説明するようなプロセッサ及びメモリが含まれるが、これらに限定されるものではない。幾つかの実施形態では、本明細書に示す構成要素の機能は、重複することができる。例えば、信号ジェネレータ110、周波数逓倍器回路120、及びフィルタ(複数の場合もある)125は、別々の構成要素として実施することもできるし、統合されたサブシステムとして実施することもできる。システム100の様々な構成要素の間の相互接続は、電気通信、電子通信、光通信、無線通信、それらの組み合わせ等を独立して含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
幾つかの実施形態では、信号ジェネレータ110、周波数逓倍器回路120、及びフィルタ(複数の場合もある)125のうちの1つ以上の機能は、組み合わせることができる。例えば、幾つかの実施形態では(図示せず)、フィルタ125をなくすことができ、フィルタ125の機能は、周波数逓倍器回路120によって有効に実施することができる。例えば、幾つかの実施形態では、スプリアス高調波は、周波数逓倍器回路120から意味のある下流応答を生成しない周波数において発生する可能性がある。別の例として、スプリアス高調波の影響は、周波数逓倍器回路120の設計によって抑制及び/又は緩和することができる。
【0027】
信号ジェネレータ110は、励起用の繰り返し電子信号又は非繰り返し電子信号を生成する任意の電子デバイスを含むことができる。信号ジェネレータ110の非限定的な例は、関数ジェネレータ、無線周波数(RF)信号ジェネレータ、マイクロ波信号ジェネレータ、ピッチジェネレータ、任意波形ジェネレータ(AWG)、ダイレクトデジタルシンセサイザ(DDS)、デジタルパターンジェネレータ、又は周波数ジェネレータを含むことができるが、これらに限定されるものではない。幾つかの実施形態では、信号ジェネレータ110は、(例えば)AWG、DDS、電圧制御発振器ベースのシンセサイザ等のマイクロ波周波数源を含む。
【0028】
信号ジェネレータ110は、2011年6月17日に出願された「CHIRPED PULSE FREQUENCY-DOMAIN COMB FOR SPECTROSCOPY」という発明の名称の米国特許第9,046,462号に全般的に開示されているように、チャープパルス周波数コムを生成するように構成することができる。この米国特許の全開示内容は、引用することによって本明細書の一部をなすものとする。信号ジェネレータ110は、2013年6月7日に出願された「SEGMENTED CHIRPED-PULSE FOURIER TRANSFORM SPECTROSCOPY」という発明の名称の米国特許第8,873,043号に全般的に開示されているように、セグメント化されたチャープパルスフーリエ変換動作用に構成することもできる。この米国特許の全開示内容は、引用することによって本明細書の一部をなすものとする。信号ジェネレータ110は、2015年6月16日に出願された「FREQUENCY HOPPING SPREAD SPECTRUM (FHSS) FOURIER TRANSFORM SPECTROSCOPY」という発明の名称の国際出願PCT/US2015/035998号に全般的に開示されているように、周波数ホッピング拡散スペクトル動作用に構成することもできる。この国際出願の全開示内容は、引用することによって本明細書の一部をなすものとする。
【0029】
幾つかの実施形態では、信号ジェネレータ110は、マイクロ波パルスを生成するように構成される。このマイクロ波パルスは、チャープパルス、非チャープパルス(例えば、狭帯域幅パルス)等を含むが、これらに限定されるものではない。動作中、例えば、信号ジェネレータ110は、マイクロ波パルスのパルス列を生成することができる。これらのマイクロ波パルスは、チャープパルス、周波数アジャイルパルス、周波数アジャイルチャープパルス等を含むが、これらに限定されるものではない。幾つかの実施形態では、マイクロ波パルスは、中間の全ての値及びサブレンジを含めて、約1GHz~約3GHz、約1GHz~約4GHz、約1GHz~約5GHz、約1GHz~約6GHz、約2GHz~約5GHzの周波数レンジ内の少なくとも1つのチャープパルスを含む。これらの帯域幅にわたるパルスを生成するために、信号ジェネレータ110は、中間の全ての値及びサブレンジを含めて、約4ギガサンプル/s(Gs/s)、約10Gs/s、約12Gs/s、約20Gs/s、約40Gs/s、約60Gs/s、約80Gs/s、約100Gs/s等の任意の適したサンプルレートにおいて動作することができる。
【0030】
以下で説明するように、信号ジェネレータ110は、外部から供給されるタイムベース又はクロックではなく内部で得られるタイムベースに基づいて動作することができる。これによって、信号ジェネレータ110は、例えば、トリガと外部タイムベースとの間の同期を失うことによって引き起こされる可変ラグなしに、パルスレーザ又はパルスノズル等の可変トリガ、ランダムトリガ、及び/又は任意トリガに応答することが可能になる。幾つかの実施形態では、信号ジェネレータ110は、内部で得られるタイムベースだけでなく、この信号ジェネレータに結合された、外部から供給されるタイムベース又はクロックに基づいて動作することもできる。このように、信号ジェネレータ110は、位相コヒーレンスを維持しながら可変トリガに応答するというこの双方を行うことができる。
【0031】
幾つかの実施形態では、信号ジェネレータ110は、外部源(例えば、パルスレーザ等のトリガ源105)からトリガ信号を受信するように構成することができ、トリガ信号に応答してパルス列を生成するように更に構成することができる。幾つかの実施形態では、信号ジェネレータ110は、トリガ信号に応答してパルス列/マイクロ波パルスを生成するように構成することができる。トリガ信号は、所定の閾値を越える強度の変化を提供する任意の適した信号とすることができる。一般に、トリガ信号は、(とりわけ)励起源のトリガとして動作するように十分急勾配の立ち上がりパルス及び/又は立ち下がりパルスを提供する。幾つかの実施形態では、トリガ信号は、トランジスタトランジスタロジック(TTL)パルス等の矩形パルスを含むことができる。幾つかの実施形態では、トリガ信号は、中間の全ての値及びサブレンジを含めて、約1V未満~約10Vの適した電圧値を有する。幾つかの実施形態では、トリガ信号は、約5Vの電圧値を有する。幾つかの実施形態では、トリガ信号は、例えば、数百ピコ秒又は数十ピコ秒等のナノ秒以下のオーダの(ローからハイへの)立ち上がり時間を有するパルスを含む。例えば、トリガ信号は、チタンサファイア(Ti:sapphire)レーザからの1つ以上の超高速光パルスを用いて光検出器を照射し、超高速光パルスの検出に応答して振幅が変動する電流又は電圧を生成することによって提供される。幾つかの実施形態では、信号ジェネレータ110との密接な同期が必要でないので、立ち上がり時間は、マイクロ秒以上のオーダの比較的ゆっくりしたものとすることができる。
【0032】
幾つかの実施形態では、信号ジェネレータ110は、2チャネル動作用に構成することができ、2つのパルス列を生成することができる。これらの2つのパルス列のうちの1つは、サンプルを励起するのに用いられ、もう1つは、サンプルからの発光を検出するのに用いられる。トリガ信号を生成及び/又は受信するように信号ジェネレータ110を構成することができる実施形態では、2つのパルス列は、トリガ信号に応答して生成することができるとともに、互いに同相にすることができる。これらのパルス列は、同時に生成することもできるし、互いに遅延させることもできる。幾つかの実施形態では、3チャネル動作、4チャネル動作、5チャネル動作、及び6チャネル動作以上等の3チャネル動作以上が可能である。
【0033】
周波数逓倍器回路120は、信号ジェネレータ110からパルス列(複数の場合もある)を受信し、サンプル励起前にこのパルス列(複数の場合もある)を周波数逓倍する。周波数逓倍器回路120は、任意の適した数の構成要素及び/又は1つ以上の構成要素の任意の適した配置を包含することができる。これらの構成要素には、増幅器、周波数フィルタ、周波数逓倍器、スイッチ、マイクロ波アイソレータ等が含まれるが、これらに限定されるものではない。幾つかの実施形態では、周波数逓倍器回路120は、パルス列を指定された周波数に周波数逓倍して、周波数逓倍されたパルス列を生成するように構成された1つ以上の周波数逓倍器(例えば、周波数二倍器)を備えることができる。指定された周波数は、ミリメートル波周波数とすることができ、中間の全ての値及びサブレンジを含めて、約50GHz~約150GHz、約60GHz~約140GHz、約70GHz~約130GHz、約75GHz~約110GHzの範囲とすることができる。
【0034】
幾つかの実施形態では、周波数逓倍器回路120は、パルス列及び/又は周波数逓倍されたパルス列を増幅する1つ以上の増幅器を備えることができる。幾つかの実施形態では、各増幅器は、中間の全ての値及びサブレンジを含めて、約1~約2、約3、約4、約5、約6、約8、約10の増幅率を独立して有することができる。
【0035】
図1に示すように、1つ以上のフィルタ125が、周波数逓倍器回路120に結合されてパルス列及び/又は周波数逓倍されたパルス列を受信し、スプールとも呼ばれることがある1つ以上のスプリアス放出をパルス列及び/又は周波数逓倍されたパルス列から減衰、抑制、及び/又は実質的に除去して、フィルタリングされたパルス列を生成するように構成することができる。図4に関して以下で更に詳細に説明するように、これらのスプールは、例えば、パルス列における所与のパルス(チャープ)内の異なるスペクトル成分間の周波数逓倍及び/又は増幅中の非線形混合によって生成されたスプリアス相互変調積を含む場合がある。加えて又は代替的に、フィルタ125は、周波数逓倍の副産物であるスプリアス高調波を含む他のタイプのスプリアス放出をフィルタリング及び/又は実質的に減衰するように構成することができる。これらのスプールは、1つ以上の周波数混合器を用いる従来のシステムによって生成されるスプールとは対照的である。これらの周波数混合器では、励起源を別の周波数源と周波数混合する結果、周波数逓倍器を通過するときに再結合する側波帯スプールが生じる。
【0036】
幾つかの実施形態では、フィルタ125は、望ましい周波数に近い望ましくない周波数が除去及び/又は減衰される可能性がより高くなるように、比較的狭帯域の周波数を通過させるように構成された少なくとも1つのキャビティ帯域通過フィルタを備える。
【0037】
幾つかの実施形態では、周波数逓倍器回路120及びフィルタ125の構成要素は、カスケード接続された一連のフィルタ-増幅器-周波数逓倍器構成要素を含む。周波数逓倍器回路120が第1のパルス列及び第2のパルス列を生成する幾つかの実施形態では、周波数逓倍器回路120は、第1のパルス列を処理する第1の周波数逓倍器回路と、第2のパルス列を処理する第2の周波数逓倍器回路とを並列に備えることができる。幾つかの実施形態では、周波数逓倍器回路120の出力周波数レンジは、中間の全ての値及びサブレンジを含めて、約8GHz~約24GHz、約10GHz~約22GHz、約12GHz~約20GHzである。
【0038】
幾つかの実施形態では、システム100は、適した測定帯域幅を達成するために、周波数逓倍器回路120の後に追加の処理構成要素を更に備えることができる。幾つかの実施形態では、フィルタリングされたパルス列の測定帯域幅は、中間の全ての値及びサブレンジを含めて、約60GHz~約150GHz、約65GHz~約130GHz、約70GHz~約120GHz、約75GHz~約110GHzの範囲にある。
【0039】
動作中、周波数逓倍器回路120及びフィルタ125の周波数逓倍及びフィルタリングされた出力は、例えば、利得ホーンアンテナ等の広帯域アンテナを介してサンプルチャンバ130においてサンプルを励起する。ミリメートル波ビームのブロードキャスト、方向付け、コリメート、及び/又は合焦に適した機器には、利得ホーンアンテナ、スカラフィードホーン、平面鏡、放物面鏡又は球面鏡、レンズ、及び偏光固有反射器が含まれるが、これらに限定されるものではない。幾つかの実施形態では、周波数逓倍及びフィルタリングされた出力の第1のパルスは、サンプルチャンバ130においてサンプルを励起し、周波数逓倍及びフィルタリングされた出力の第2のパルスは、本明細書においてより詳細に説明するように、サンプル発光と混合される。
【0040】
サンプルの励起は、自由誘導減衰(FID)発光等の発光放射をもたらすことができ、この発光放射は、発光検出器140を介して検出することができる。幾つかの実施形態では、発光検出器140は、分光計及び/又はアナログ/デジタル変換器(ADC)、又はデジタイザ等の、発光放射(又はその派生光)を受信及び/又は解析するように構成された帯域幅制限構成要素を備える。発光を帯域幅制限検出器の範囲内に収めるために、発光検出器140は、ダウンコンバージョン回路を備えることができる。この回路の一例が図3に示されている。幾つかの実施形態では、ダウンコンバージョン回路は、周波数逓倍器(例えば、6×逓倍器)を含む混合器-増幅器-逓倍器(mixAMC)チェーンを備えることができる。幾つかの実施形態では、発光検出器140は、ダウンコンバージョン回路の下流(例えば、帯域幅制限構成要素の前)に追加の処理構成要素を備えることができる。これらの追加の処理構成要素は、増幅器及び/又はフィルタ(例えば、キャビティ帯域通過フィルタ)等であるが、これらに限定されるものではない。幾つかの実施形態では、帯域幅制限構成要素は、中間の全ての値及びサブレンジを含めて、約0.2GHz~約3GHz、約0.5GHz~約2.5GHz、約1GHz~約2GHz、約0.7GHz~約1.4GHzの範囲の動作帯域幅を有する。
【0041】
信号ジェネレータ110が2つのチャネルを備え、第2の周波数逓倍器回路の出力において第2の周波数逓倍されたパルス列を生成する実施形態では、発光検出器140は、第2の周波数逓倍されたパルス列を受信するように構成することができ、第2の周波数逓倍されたパルス列と受信された発光信号とをmixAMCにおいて混合して、帯域幅制限構成要素の帯域幅内のダウンコンバートされた発光信号を生成するように更に構成することができる。
【0042】
発光検出器140は、例えば、コヒーレント信号平均化手法等の任意の適した手法に基づいて発光信号を測定/解析するように構成することができる。コヒーレント信号平均化では、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)チップ又は他のプロセッサを通じて信号平均化能力を有するデジタイザが、増幅された分子自由誘導減衰信号をデジタル化するのに用いられる。デジタイザは、信号ジェネレータ110のトリガ源105からトリガ信号(収集を開始すべきことを示す)も受信する。実験は非常に多くの回数(通常の捕捉数は1000回~10000000回の範囲を有し、場合によっては更に多くなる)繰り返される。励起パルスに適切な位相コヒーレンスがある場合、毎回同じ振幅及び位相を有する分子信号が発生する。これらの繰り返される捕捉を表すこれらの電子信号を平均化又は累算することによって、その結果得られる信号の信号対雑音比(SNR)は、非コヒーレント雑音の抑制に起因して高まる。累算されたトレースが、その後、デジタイザカードから転送され、処理され、フーリエ変換されて、サンプル発光の周波数スペクトルが得られる。
【0043】
幾つかの実施形態では、発光検出器140は、ヘテロダイン検出用に構成することができる。幾つかの実施形態では、発光信号は、図1に示すように、信号ジェネレータ110からのトリガ信号(例えば、電圧スパイク)に基づいて、又は光のパルスの検出に応答した光検出器からの信号等のトリガ源105からの外部トリガ信号に基づいて測定される。このように、帯域幅制限構成要素は、トリガ信号を受信すると、発光の検出を開始することができ、それによって、発光とヘテロダイン検出に用いられる局部発振器との間の位相コヒーレンスを維持することができる。この手法の態様によって、位相再現性を目的として、検出及び励起を同期させるメカニズムを分離する必要がなくなる。より具体的には、幾つかの実施形態では、信号ジェネレータ110は、周波数混合用のどの固定周波数基準標準器又は源にもロックされない(すなわち、一例示の固定周波数標準器であるトリガ源105をなくすことができる)。パルス列を生成する周波数混合、周波数標準器等を取り除くことによって、システム100の全体の複雑度及びコストが大幅に低減される。
【0044】
例えば、デジタル遅延パルスジェネレータを用いてトリガを生成することができる。このパルスジェネレータは、固定繰り返しレート(例えば、10Hz)で矩形波パルスを出力する。このパルスジェネレータの出力は、信号ジェネレータ110として動作する任意波形ジェネレータ(AWG)の「トリガ入力」機能に入力される。AWGは、トリガ入力を受信するごとに、所望の実験を行う波形セットを出力する。この波形セットは、1つのチャープ、1つの変換限界パルス、若しくは複数のチャープ若しくは変換限界パルスの列、又は波形の他の任意の組み合わせからなることができる。励起波形の全てがAWGから得られ、AWGは、いつ捕捉するのかをデジタイザに通知するためにデジタイザに信号も提供するので、デジタル遅延パルスジェネレータの位相精度、再現性、又はジッタに関する要件は存在しない。AWGは、サンプルによって放出された信号をデジタル化するデジタイザとも同期させることができる。例えば、AWGは、デジタイザがAWGの内部タイムベースに有効にロックされるように「捕捉(acquire)」信号をデジタイザに送信することができる。代替的に、デジタイザは、トリガ信号を受信することができ、その後、デジタイザは、波形生成を開始するようにAWGに通知するためにAWGをトリガすることができる。
【0045】
システム100は、例えば、1つ以上のネットワークを介して他のデバイス(図示せず)と通信することができる。これらのネットワークのそれぞれは、例えば、有線ネットワーク及び/又は無線ネットワークとして実施されるローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、仮想ネットワーク、電気通信ネットワーク、データネットワーク、及び/又はインターネット等の任意のタイプのネットワークとすることができる。幾つかの実施形態では、任意の適したタイプ及び/又は方法のセキュアな通信(例えば、セキュアソケットレイヤ(SSL))及び/又は暗号化を用いて、任意の通信又は全ての通信をセキュアにすることができる。他の実施形態では、任意の通信又は全ての通信を非セキュアにすることができる。
【0046】
直接逓倍フーリエ変換ミリメートル波分光方法
図2は、直接逓倍フーリエ変換ミリメートル波分光の方法200を示している。幾つかの実施形態では、方法200は、システム100、システム100の構造的な変形形態、及び/又はシステム100の機能的な変形形態によって実行することができる。方法200は、任意選択的に205において、トリガ信号を生成することを含む。このトリガ信号は、信号ジェネレータ内にプログラミングすることもできるし、別個のユーザ入力又は光のパルスを検知する光検出器等の外部源から得ることもできる。
【0047】
方法200は、210において、適した信号ジェネレータを用いてマイクロ波電磁エネルギーの1つ以上のパルスを生成することを含む。例えば、この信号ジェネレータは、マイクロ波電磁エネルギーの周波数アジャイルパルス(例えば、周波数掃引)を含むパルス列を放出することができる。幾つかの実施形態では、このパルス列は、約1GHz~約3GHzの周波数レンジ内の少なくとも1つのチャープパルスを含む。
【0048】
信号ジェネレータは、外部周波数基準からのクロックの次のエッジ又はパルスを待つことなくトリガ信号に応答してパルス(複数の場合もある)を生成する自走式信号ジェネレータとすることができる。言い換えると、信号ジェネレータは、非同期に、すなわち、現在のクロックサイクルが終了するのを待つことなくトリガ信号を受信すると直ちにパルス(複数の場合もある)を生成することができる。逆に、外部周波数標準器にロックされた信号ジェネレータは、同期して、すなわち、信号ジェネレータがトリガ信号をクロックサイクル中に受信してもそのクロックサイクルの終了時にパルス(複数の場合もある)を生成する。同期したパルス生成は、時に、トリガ信号とパルスとの間に望ましくないラグを生み出す可能性がある。このラグは、トリガ信号が信号ジェネレータの外部周波数標準器に同期されていない場合、最大で1クロックサイクルまで変動し得る。非同期の信号生成は、トリガ信号とパルスとの間の可変ラグの影響を受けない。なぜならば、信号ジェネレータは、外部クロックがパルスを生成するのを待たないからである。
【0049】
方法200は、220において、パルス(複数の場合もある)を指定された周波数に周波数逓倍して、1つ以上の周波数逓倍されたパルスを生成することも含む。幾つかの実施形態では、指定された周波数はミリメートル波周波数であるか、又は、或る帯域、例えば、約75GHz~約110GHzのレンジ内のミリメートル波周波数を包含する。周波数逓倍されたパルスの特定の周波数又は周波数帯域は、サンプルの1つ以上の既知の共振周波数又は疑わしい共振周波数と一致するように又はこの共振周波数を包含するように選択することができる。
【0050】
方法200は、230において、周波数逓倍されたパルス(複数の場合もある)から1つ以上のスプールをフィルタリングして、1つ以上のフィルタリングされたパルスを生成することも含む。これらのスプールは、ステップ220における周波数逓倍によって生成されたスプリアス相互変調積、スプリアス高調波、又はそれらの双方を含むことができる。幾つかの実施形態では、このフィルタリングは、キャビティ帯域通過フィルタを用いて実行することができる。
【0051】
方法200は、240において、フィルタリングされたパルス(複数の場合もある)を用いてサンプル(例えば、サンプルチャンバ130内にあるもの)を励起することも含む。例えば、フィルタリングされたパルスは、サンプルを励起するために、ホーンアンテナ等のアンテナによってサンプルホルダへ又はサンプルホルダを通して送信することができる。フィルタリングされたパルスが、サンプル又はサンプルの成分のうちの1つ以上と共振している場合、フィルタリングされたパルスは、自由誘導減衰(FID)発光又は他の観測可能な信号を放出するようにサンプルを誘導することができる。
【0052】
方法200は、250において、フィルタリングされたパルス列によって少なくとも部分的に誘発されるサンプルからのFID発光等の発光を検出することも含む。例えば、ステップ250は、例えば、ステップ205において生成されたトリガ信号に応答して、発光検出器140によって実行することができる。より具体的には、発光検出器140は、FID発光をフィルタリングされたパルス(複数の場合もある)の別の成分と混合して、ダウンコンバートされたFID発光を生成することができる。例えば、240において、第1のミリメートル波パルスを用いてサンプルを励起することができ、250において、第2のミリメートル波パルスを発光と混合して、ダウンコンバートされたFID発光を生成することができる。発光検出器140は、ダウンコンバートされたFID発光を増幅することができ、その後、これを周波数逓倍して、デジタル化及び処理に適した帯域内の信号を生成することができる。
【0053】
信号ジェネレータがトリガ信号に応答してパルス列を生成する実施形態では、サンプルは、パルス列内のパルス当たり1つの発光を生成することができる。パルス列内のパルスが互いに位相コヒーレントである場合、発光も互いに位相コヒーレントである。これらの実施形態では、発光検出器140は、発光を累算又は平均化して、非コヒーレント雑音を抑圧することができる。非コヒーレント雑音を抑圧することによって、発光検出器は、より高感度な測定の実行、測定SNRの向上、又はそれらの双方を行う。
【0054】
幾つかの実施形態では、上記パルス列は第1のパルス列であり、上記周波数逓倍されたパルス列は第1の周波数逓倍されたパルス列であり、方法200は、マイクロ波電磁エネルギーの周波数アジャイルパルスを含む第2のパルス列を生成することも含む。この第2のパルス列は、第1のパルス列と連係される。すなわち、第2のパルス列及び第1のパルス列は、明確に規定された周波数及び位相の関係を有する。方法200は、(例えば、信号プロセッサ120の第2の周波数逓倍器回路を介して)第2のパルス列を指定された周波数に周波数逓倍して、周波数逓倍された第2のパルス列を生成することを更に含むことができる。そのような実施形態では、ステップ250における検出することは、周波数逓倍された第2のパルス列と、受信された発光とを混合して、デジタイザ/アナログ/デジタル変換器(ADC)の帯域幅内のダウンコンバートされた発光信号を生成することを含むことができる。
【0055】
幾つかの実施形態では、システムは、方法200の1つ以上のステップを繰り返して、例えば、より高感度な測定、測定SNRの向上、又はそれらの双方を行うことができる。例えば、システムは、幾つかのトリガ信号のそれぞれについて方法200全体を繰り返すことができる。この場合も、トリガ信号に応答して生成されるパルスが互いに位相コヒーレントである場合、発光も互いに位相コヒーレントである。これらの実施形態では、発光検出器140は、発光を累算又は平均化して、測定感度の改善、測定SNRの向上、又はそれらの双方を行うことができる。
【0056】
分光のためのマイクロ波からミリメートル波への周波数逓倍
図3は、直接逓倍フーリエ変換ミリメートル波分光の一例示のシステム300を示している。このシステム300は、システム100と同様のものとすることができる。幾つかの実施形態では、システム300は、方法200を実行するように構成される。システム300は、ミリメートル波励起パルス(例えば、第1のパルス列内のパルス)と、自走式(同期されていない)マイクロ波周波数源310(本明細書に示すような任意波形ジェネレータ、ダイレクトデジタルシンセサイザ、又は電圧制御発振器ベースのシンセサイザ等)からの直接周波数逓倍を介して分子発光パルスをダウンコンバートする局部発振器パルス(例えば、第2のパルス列内のパルス)との双方を生成するフーリエ変換ミリメートル波分光システムである。
【0057】
システム300の1つの特徴は、アップコンバージョン用のいずれの周波数混合器も存在しないことである。(システムは、高周波数分子信号をマイクロ波信号に変換するために、ミリメートル波混合器を発光検出器340内に備える。)システム300のもう1つの特徴は、同期用のいずれの固定周波数基準標準器又は源も存在しないことである。タイムベースは、周波数源310のみによって決定される。(幾つかの実施形態では、周波数源310は、その周波数安定性を高めるために、ルビジウムクロック等の周波数基準にロックすることができる。)周波数混合局部発振器と、局部発振器を生成し周波数源310にロックする周波数標準器とを取り除くことによって、システムの複雑度及びコストが大幅に低減される。これは、以下で説明するように、幾つかの利点及び新たな動作モードをもたらす。
【0058】
周波数源310(周波数基準の代わりに、10MHzクロック等)を用いてタイムベースを決定することによって、システムの動作(例えば、スペクトル測定)を外部イベントに同期させることが簡便になる。これらのイベントの幾つかの例は、パルスレーザ、分子放電源、プロセス監視イベント等とすることができるが、これらに限定されるものではない。これらのイベントは、トリガとしての機能を果たすことができ、このトリガは、発光検出器340に捕捉を開始させる電気信号(例えば、電圧スパイク)によって表すことができる。タイムベースは、周波数源310によって規定されるので、このトリガイベントは、捕捉間の位相再現性(時間領域信号平均化を行って感度を改善するのに必要とされる)を維持するために10MHzクロックにも他の外部基準にもロックされる必要はない。このように、システム300は、周波数基準も位相ロックされた局部発振器もなくても、位相コヒーレントヘテロダイン検出を実行することができる。
【0059】
幾つかの実施形態では、システム300は、75GHz~110GHzの周波数レンジにおける広帯域回転スペクトルの測定及び解析用に設計された高分解能器具(すなわち、75GHz~110GHzの総計測器帯域幅を有する)として構成される。幾つかの実施形態では、システム300は、約750MHzの瞬時帯域幅を有する。幾つかの実施形態では、源310は、約2GHz~約4GHzの周波数帯域内のパルスを生み出すことができる12Gs/sの2チャネルAWGを含む。幾つかの実施形態では、信号プロセッサは、周波数逓倍器回路320aと、ソリッドステートアクティブ逓倍器チェーン320bとを備える。幾つかの実施形態では、発光検出器340は、ヘテロダイン受信機と、リアルタイムの累算又は平均化を実行するように構成されたデジタイザとを備える。
【0060】
幾つかの実施形態では、システム300は、複数の動作モード用に構成される。複数の動作モードには、高速サーベイ(例えば、各セグメントにおいてカバーされる720MHzの帯域幅を有する、セグメント化された手法を用いた広帯域スペクトルの測定)、高ダイナミックレンジ(HDR)サーベイ(10までのダイナミックレンジ用)、章動曲線(進みパルスシーケンスのπ/2パルス及びπパルスの継続時間を求めるのに用いられる)、広帯域二重共振(スペクトルにおける異なる遷移間の量子状態接続を見つけるのに用いられる)、及び同期されたHDRサーベイ(パルスノズル又はパルスレーザ源等のパルスサンプル源への同期を可能にする)が含まれるが、これらに限定されるものではない。幾つかの実施形態では、パルスの継続時間及び帯域幅は、測定モードに依存する。幾つかの実施形態では、パルスは、1つ以上の周波数二倍器及びフィルタを備えることができる周波数逓倍回路320aを用いて周波数逓倍され、アクティブ逓倍器チェーン(AMC)320bを用いて6倍にされ、約75GHz~約110GHzの測定帯域幅に達する。
【0061】
周波数逓倍された信号は、サンプルに印加される。このサンプルは、パルスノズルを介してサンプルチャンバ330に導入される気体とすることができる。幾つかの実施形態では、サンプルチャンバ330は、システム300から分離したものであり、システム300とともにキットに含まれる。
【0062】
幾つかの実施形態では、AWG310の第2のチャネルは、ミリメートル波混合器(340の一部)においてヘテロダイン検出に用いられる。AWG310を通じて生成されるパルスの第2のセットは、周波数逓倍回路320aと、検出器340内のmixAMCとを用いて、混合器用の局部発振器を提供するために、適切な周波数レンジ及び電力レベルに周波数逓倍及び増幅される。これらの局部発振器パルスは、サンプルに印加される励起パルスと位相コヒーレントである。なぜならば、それらは、同じ信号ジェネレータ310を用いて生成されるからである。局部発振器パルスは、ヘテロダイン検出のために、例えば、約720MHz~約1440MHzだけ励起パルスに対して周波数シフトさせることもできる。
【0063】
2GHz未満のダウンコンバートされた信号は、リアルタイム信号累算能力を有する高速デジタイザ上に記録される。幾つかの実施形態では、発光検出器は、より高い帯域幅の検出器(例えば、オシロスコープ)に接続して、例えば、11GHz等までのより高い瞬時帯域幅を測定するためのポート(図示せず)を備える。
【0064】
ミリメートル波分光の非同期トリガ
図4は、図2に示す方法に従って図1及び図3に示すシステムによって生成されるようなトリガ信号410及び非同期チャープパルス440の時間領域プロットを示している。図4は、外部周波数源によって生成され、従来の分光システムにおいて用いられるようなクロック信号420、並びに、トリガ信号410及びクロック信号420に基づいて従来の分光システムによって生成される同期チャープパルス430も示している。
【0065】
図4の例では、非同期チャープパルス440は、例示の実施形態に従って、信号ジェネレータ(例えば、信号ジェネレータ110)によってトリガ信号410に応答して生成される。ここで、トリガ信号410は矩形波パルスを含み、トリガ信号410における各パルスの立ち下がりエッジが、信号ジェネレータの動作をトリガする。他の実施形態では、トリガ信号は別の形状を有することができ、及び/又は、信号ジェネレータはパルスの立ち上がりエッジ等の別のイベントによってトリガすることができる。
【0066】
信号ジェネレータは、トリガ信号410における第1のパルス412の立ち下がりエッジに応答して3つのチャープパルスのパルス列442を生成する。任意の期間(例えば、パルス列の搬送波周波数の周期の非整数倍)の後、トリガ信号410における第2のパルス414が、信号ジェネレータを再度トリガし、信号ジェネレータは、単一のチャープパルス444を生成する。以下同様である。幾つかの実施形態では、信号ジェネレータは、異なるトリガによって生成されたパルスにわたってパルス特性を維持するように更に構成される(例えば、各パルスは、図4に示すように同じ位相を有する)。
【0067】
図4は、信号ジェネレータによって生成された非同期パルス440が、トリガ信号410の対応するパルスに応答して即時発生することを示している。(実際には、トリガパルスの立ち下がりエッジと、対応する非同期パルスの立ち上がりエッジとの間には、信号の伝播時間及び処理時間に起因して、僅かな遅延が存在し得る。)図4は、トリガパルスと、対応する同期パルス430との間に可変のラグ(δ、δ、及びδとして示される)が存在することも示している。これらの可変のラグは、トリガパルス410の立ち下がりエッジと、外部周波数基準からのクロック信号420の後続の立ち下がりエッジとの間の時間を表す。
【0068】
この例では、第1のトリガパルス412の立ち上がりエッジは、クロック信号420におけるパルスと位置合わせされ、そのため、第1のトリガパルス412の立ち下がりエッジと、対応する同期パルス列432のリーディングエッジとの間のラグδは、第1のトリガパルス412の幅とクロック周期の2分の1(50%デューティサイクルを有するクロックの場合)との間の差に等しい。第2のトリガパルス414と第2の同期パルス434との間のラグδと、第3のトリガパルス416と第3の同期パルス436との間のラグδとは異なる(ここでは、前者は小さく、後者は大きい)。なぜならば、トリガ信号410は、クロック信号420に同期されていないからである。この可変の遅延によって、任意に発生するイベントに基づいてサンプル発光捕捉をトリガすることは、不可能ではないにしても困難になる。そのようなイベントの例には、パルスノズル弁等のパルス弁からの信号、圧力計、温度計等の計測/検知器具からの信号等が含まれるが、これらに限定されるものではない。例えば、そのようなイベント(例えば、所定の温度閾値が或るサンプルについて満たされる)は、本明細書において説明するように、サンプルに対してフーリエ変換分光測定を行う必要があることを示すことができる。
【0069】
図4は、連続するトリガ信号間の継続時間がパルス列の継続時間よりも大きいことを示しているが、これは常に当てはまるとは限らない。信号ジェネレータは、パルス列が終了する前に別のトリガを受信した場合、この別のトリガを無視し、解析を再開し、最後の実行を廃棄して最後の実行を新たな実行に交換することもできるし、異なる解析に完全に移ることもできる。トリガ信号を生成するのに用いられるプロセスの性質に応じて、トリガ信号の周期性は、システム100の視点から確定的である可能性もあるし、確定不能である可能性もあることが理解されるであろう。
【0070】
図4は、幾つかの実施形態において、各パルス又はパルス列が他のパルス列から独立した特性(例えば、パルスの数、パルス継続時間、パルス繰り返し周波数、パルス搬送波周波数等)を有することができることも示している。例えば、パルス列446は、5周期の単一のチャープパルス444、及びそれぞれが4周期の3つのパルスを含むチャープパルス列442と区別可能な4周期の単一のチャープパルスを含む。幾つかの実施形態では、信号ジェネレータは、例えば、周波数帯域幅にわたってスキャンする等の、異なるトリガによって生成されるパルス間でパルス特性を変化させるように更に構成される。幾つかの実施形態では、信号ジェネレータは、例えば、第1のパルス/第1のパルスのセットの第1のパルス特性のセットと、第2のパルス/第2のパルスのセットの第2のパルス特性のセットとの間で切り替える等の、異なるトリガによって生成されるパルス間でパルス特性を変化させるように更に構成される。
【0071】
周波数逓倍された信号からのスプールのフィルタリング
図5A図5Eは、例示の実施形態による、システム100の様々な構成要素によって処理されたときの、図1の信号ジェネレータ110によって放出された正弦波変調トーンの周波数プロファイル/スペクトルの変化を示している。図5Aは、信号ジェネレータ100によって生成される変調トーンのスペクトルを示している。トーンは中心周波数fにあり、変調は周波数f-Δ及びf+Δにある側波帯によって表される。一般に、任意波形ジェネレータ等の信号ジェネレータによって生成されるいずれのトーンも、種々の信号レベルにある幾つかのスプリアス成分を有する可能性がある。
【0072】
図5Bは、周波数逓倍器回路120の周波数二倍器等を介した周波数二倍化後のトーン及び側波帯を示している。周波数二倍化によって、中心周波数は2fにシフトされ、変調は2f-Δ及び2f+Δにシフトされる。加えて、周波数二倍化によって、スプリアス高調波が、f-Δ及びf+Δ並びに3f-Δ及び3f+Δにおける変調側波帯を伴って周波数f及び3fに生成され、f+2Δ及びf-2Δには追加の混合積(図示せず)も生成される可能性がある。図5Bは、フィルタ(例えば、フィルタ125)の通過帯域502も示している。このフィルタは、その後、周波数二倍化チャープに適用され、高調波及びそれらの側波帯を除去する。
【0073】
図5Cは、それぞれの側波帯を伴うf及び3fにおける高調波がフィルタリング除去された後の周波数二倍化変調トーンを示している。このように、不要な高調波及び他のスプリアス信号は、周波数逓倍器回路120及び(任意選択的に)フィルタ125によって信号処理中に除去することができる。図5Dは、図5Cに示す信号を周波数二倍化することによって生成されるチャープを示している。この周波数二倍化の結果、信号は、信号ジェネレータから放出された信号の周波数の4倍(4f)の中心周波数を有し、この場合も、周波数2f及び6fにおいて付随した側波帯を有する高調波を含む。別のフィルタが適用されて、高調波及びそれらに付随したスプールを除去し、4fの中心周波数と、4f-Δ及び4f+Δにおける付随したスプールとを有する図5Eの信号を生成する。
【0074】
図6A図6Eは、システム100の様々な構成要素によって処理されたときの、信号ジェネレータによって放出されたチャープの周波数プロファイル/スペクトルの変化を示している。図6Aは、チャープが、約f~約f(例えば、1.5GHz~2.0GHz)の周波数レンジを有し、f-fの帯域幅(例えば、500MHz)を有することを示している。図6Bは、周波数二倍化後のスペクトルに対する変化を示している。周波数二倍化チャープは、約2f~約2f(例えば、3GHz~4GHz)の周波数レンジを有し、f~fの周波数レンジにわたる1つのスプリアス高調波チャープと、3f~3f(例えば、4.5GHz~6GHz)のレンジにわたるスプリアス第3高調波チャープとを伴う。
【0075】
図6Cは、スプリアス高調波f~f及び3f~3fが、フィルタ通過帯域602を有するフィルタを用いてフィルタリング除去された後の周波数二倍化変調トーンを示している。フィルタ通過帯域602の形状は、基本パルスの最高周波数スペクトル成分(f)と周波数二倍化パルスの最低周波数スペクトル成分(2f)との間の差と、周波数二倍化パルスの最高周波数スペクトル成分(2f)とスプリアス第3高調波の最低周波数スペクトル成分(3f)との間の差とに部分的に依存する。この差が小さいほど、スプリアス高調波を有効に除去するために必要とされるフィルタのカットオフはより鋭くなる。一例として、fが約1.56GHzであり、fが約2.28GHzである場合、基本パルスの周波数fと周波数二倍化パルスの周波数2fとの間の差は約0.84GHzである一方、周波数二倍化パルスの周波数2fと第3の高調波の周波数3fとの間の差は約0.12GHzである。満足のゆくフィルタは、周波数二倍化パルスを有効に通過させる一方、近傍のスプリアス第3高調波をフィルタリング除去する相対的に鋭い減衰特性を有することができ、本開示の態様は、周波数逓倍器回路120において1つ以上のキャビティ帯域通過フィルタを用いることによってこの能力を提供する。
【0076】
図6Dは、図6B及び図6Cに示す周波数二倍化チャープパルスの周波数二倍化後のスペクトルを示している。この周波数二倍化の結果、周波数二倍化パルスは4f~4fにわたり、スプリアス高調波は2f~2f及び6f~6fの帯域にわたる。上記で説明したように、スプリアス高調波は、フィルタ通過帯域604を有するフィルタを用いてフィルタリングされる。このフィルタの形状は、基本パルスの周波数2fと周波数二倍化パルスの周波数4fとの間の差と、周波数二倍化パルスの周波数4fとスプリアス第3高調波6f~6fの周波数6fとの間の差とに部分的に依存する。一例として、fが約1.56GHzであり、fが約2.28GHzである場合、スプリアス高調波2f~2fの周波数2fと周波数二倍化パルスの周波数4fとの間の差は約1.68GHzである一方、周波数二倍化パルスの周波数4fとスプリアス高調波6f~6fの周波数6fとの間の差は約0.24GHzである。フィルタ604は、したがって、2f~2f及び6f~6fにおける高調波を有効にフィルタリング除去する、フィルタ602よりも相対的に鋭くない減衰特性を有することができる(図6E参照)。このように、周波数逓倍回路120においてより早期に、キャビティ帯域通過フィルタ等の高性能帯域通過フィルタを用いることによって、あまり厳しくない要求が後続/下流フィルタになされる。
【0077】
本明細書において様々な本発明の実施形態を説明及び図示してきたが、当業者であれば、本明細書において説明した機能を実行し、及び/又は本明細書において説明した結果及び/又は利点のうちの1つ以上を捕捉する様々な他の手段及び/又は構造を容易に想像するであろう。そのような変形形態及び/又は変更形態のそれぞれは、本明細書において説明した本発明の実施形態の範囲内にあるとみなされる。より一般的には、当業者であれば、本明細書において説明した全てのパラメータ、寸法、材料、及び構成は例示であることが意図され、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、本発明の教示が用いられる特定の単数又は複数の用途に依存することを容易に理解するであろう。当業者であれば、本明細書において説明した特定の本発明の実施形態の多くの均等物を認識し、又は日常的な実験にすぎないものを用いて確かめることができるであろう。したがって、上記実施形態は、例として提示されたものにすぎず、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内であり、具体的に説明したもの及び特許請求の範囲に記載したものとは別の方法で本発明の実施形態を実施することができることが理解されるであろう。本開示の本発明の実施形態は、本明細書において説明した個々の各特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法を対象としている。加えて、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に不整合でない場合には、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の任意の組み合わせは、本開示の本発明の範囲内に含まれる。
【0078】
結論
上記で説明した実施形態は、非常に多くの方法のうちの任意のもので実施することができる。例えば、本明細書において開示した技術を設計及び実現する実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア又はそれらの組み合わせを用いて実施することができる。ソフトウェアで実施されるとき、そのソフトウェアコードは、単一のコンピュータに設けられているか又は複数のコンピュータ間に分散されているかを問わず、任意の適したプロセッサ又はプロセッサの集合体において実行することができる。
【0079】
本明細書において略述した(例えば、上記で開示した技術を設計及び実現する)様々な方法又はプロセスは、様々なオペレーティングシステム又はプラットホームのうちの任意の1つを用いる1つ以上のプロセッサ上で実行可能なソフトウェアとしてコード化することができる。加えて、そのようなソフトウェアは、多くの適したプログラミング言語及び/又はプログラミングツール若しくはスクリプティングツールのうちの任意のものを用いて記述することができ、フレームワーク又は仮想機械上で実行される実行可能な機械語コード又は中間コードとしてコンパイルすることもできる。
【0080】
用語「プログラム」又は「ソフトウェア」は、本明細書では、上記で論述したような実施形態の様々な態様を実施するようにコンピュータ又は他のプロセッサをプログラミングするのに用いることができる任意のタイプのコンピュータコード又は一組のコンピュータ実行可能命令を指す一般的な意味に用いられる。加えて、1つの態様によれば、実行されると、本発明の方法を実行する1つ以上のコンピュータプログラムは、単一のコンピュータ又はプロセッサ上に存在する必要はなく、複数の異なるコンピュータ又はプロセッサ間にモジュール形式で分散されて本発明の様々な態様を実施することができることが理解されるであろう。
【0081】
コンピュータ実行可能命令は、1つ以上のコンピュータ又は他のデバイスによって実行されるプログラムモジュール等の多くの形態で存在することができる。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行するか又は特定の抽象データタイプを実施するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造体等を含む。通常、プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態において所望されるとおりに組み合わせることもできるし、分散させることもできる。
【0082】
また、データ構造体は、任意の適した形態でコンピュータ可読媒体に記憶することができる。説明を簡単にするために、データ構造体は、当該データ構造体におけるロケーションを通じて関係付けられたフィールドを有するように示すことができる。そのような関係は、フィールドの記憶領域に、フィールド間の関係を伝達するコンピュータ可読媒体内のロケーションを割り当てることによって同様に実現することができる。一方、データ要素間の関係を確立するポインタ、タグ又は他のメカニズムの使用を含む任意の適したメカニズムを用いて、データ構造体のフィールド内の情報間の関係を確立することができる。
【0083】
また、様々な本発明の概念は、1つ以上の方法として具現化することができ、その一例は既に提供されている。この方法の一部として実行される動作は、任意の適した方法で順序付けることができる。したがって、例示したものとは異なる順序で動作が実行される実施形態を構築することができ、この順序は、幾つかの動作が例示の実施形態では順次的な動作として示されていても、それらの動作を同時に実行することを含むことができる。
【0084】
本明細書において定義されて用いられているような全ての定義は、辞書の定義、引用によって組み込まれた文書内の定義、及び/又は定義された用語の通常の意味を支配するもの解釈される。
【0085】
本明細書及び特許請求の範囲において用いられている不定冠詞「一(a、an)」は、逆のことが明らかに示されていない限り、「少なくとも1つ」を意味するものと解釈される。
【0086】
本明細書及び特許請求の範囲において用いられる語句「及び/又は」は、そのように接続された要素の「いずれか又は双方」、すなわち、幾つかの場合には連言的に存在する要素、及びそれ以外の場合には選言的に存在する要素を意味するものと解釈される。「及び/又は」を用いて列挙された複数の要素は、同様に、すなわち、そのように接続された要素の「1つ以上」と解釈される。「及び/又は」節によって具体的に特定された要素以外の他の要素が、具体的に特定された要素との関係の有無を問わず、任意選択的に存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「A及び/又はB」というとき、これは、「~を備える/含む(comprising)」等の非限定的(open-ended:開放型)な文言とともに用いられる場合に、1つの実施形態では、Aのみ(任意選択的にB以外の要素を含む)、別の実施形態では、Bのみ(任意選択的にA以外の要素を含む)、更に別の実施形態では、A及びB(任意選択的に他の要素を含む)の双方等を指すことができる。
【0087】
本明細書及び特許請求の範囲に用いられる「又は」は、上記で定義したような「及び/又は」と同じ意味を有すると解釈される。例えば、一覧の項目を分離するとき、「又は」又は「及び/又は」は、包含的であると解釈される。すなわち、複数の要素又は要素の一覧のうちの少なくとも1つを含むが、2つ以上も含み、任意選択的に、一覧にない追加の項目も含むものと解釈される。「~のうちの1つ/一方のみ」若しくは「~のうちの厳密に1つ/一方」、又は特許請求の範囲において用いられるときは「~からなる(consisting of)」等の明らかに逆のことを示す用語のみが、複数の要素又は要素の一覧のうちの厳密に1つ/一方の要素を含むことを指す。一般に、本明細書において用いられる用語「又は」は、「いずれか」、「~のうちの1つ/一方」、「~のうちの1つ/一方のみ」、又は「~のうちの厳密に1つ/一方」等の排他的な用語が前置されているときにのみ排他的な二者択一(すなわち「一方又は他方であって、双方ではない」)を示すものと解釈される。「本質的に~からなる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲において用いられるとき、特許法の分野において用いられるその通常の意味を有する。
【0088】
1つ以上の要素の一覧に関して、本明細書及び特許請求の範囲に用いられる語句「少なくとも1つ/一方」は、要素の一覧内の要素のうちの任意の1つ以上から選択された少なくとも1つ/一方の要素を意味するが、要素の一覧内に具体的に挙げられたありとあらゆる要素のうちの少なくとも1つ/一方を必ずしも含むものではなく、要素の一覧内の要素の任意の組み合わせを除外しないものと解釈される。この定義も、具体的に特定された要素との関係の有無を問わず、語句「少なくとも1つ/一方」が指す要素の一覧内で具体的に特定される要素以外の要素が任意選択的に存在してもよいことを可能にする。したがって、非限定的な例として、「A及びBのうちの少なくとも一方」(又は同様の意味として「A又はBのうちの少なくとも一方」、又は同様の意味として「A及び/又はBのうちの少なくとも一方」)は、1つの実施形態では、少なくとも一方であるA(任意選択的に2つ以上を含む)を指すとともにBが存在しない(任意選択的にB以外の要素を含む)ことを指し、別の実施形態では、少なくとも一方であるB(任意選択的に2つ以上を含む)を指すとともにAが存在しない(任意選択的にA以外の要素を含む)ことを指し、更に別の実施形態では、少なくとも一方であるA(任意選択的に2つ以上を含む)及び少なくとも一方であるB(任意選択的に2つ以上を含む)(任意選択的に他の要素を含む)を指す等とすることができる。
【0089】
特許請求の範囲及び上記明細書において、「~を備える/含む(comprising)」、「~を含む/備える(including)」、「~を担持する(carrying)」、「~を有する(having)」、「~を含む/包含する(containing)」、「~を伴う(involving)」、「~を保持する(holding)」、「~から構成される(composed of)」等の全ての移行句は、非限定的(open-ended:開放型)である、すなわち、~を含むが、それらに限定されるものではない、と解釈される。移行句「~からなる(consisting of)」及び「本質的に~からなる(consisting essentially of)」のみが、米国特許商標庁特許審査便覧のセクション2111.03に規定されているように、それぞれ限定的(closed:閉鎖型)又は半限定的(semi-closed)な移行句である。
なお、本願の出願当初の開示事項を維持するために、本願の出願当初の請求項1~36の記載内容を以下に追加する。
(請求項1)
マイクロ波電磁エネルギーの少なくとも1つのパルスを生成するステップと、
前記少なくとも1つのパルスを周波数逓倍して、少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスを生成するステップと、
前記少なくとも1つのパルスを周波数逓倍することによって生成された、前記少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスの少なくとも1つのスプリアス高調波をフィルタリングして、少なくとも1つのフィルタリングされたパルスを生成するステップと、
前記少なくとも1つのフィルタリングされたパルスを用いてサンプルを励起するステップと、
前記少なくとも1つのフィルタリングされたパルスによって少なくとも部分的に誘発された前記サンプルからの発光を検出するステップと
を含んでなる方法。
(請求項2)
前記少なくとも1つのパルスを生成するステップは、1GHz~3GHzの周波数レンジ内の少なくとも1つのチャープパルスを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
(請求項3)
前記少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスは、75GHz~110GHzのレンジ内の周波数を有する、請求項1に記載の方法。
(請求項4)
前記フィルタリングするステップは、キャビティ帯域通過フィルタを用いて前記少なくとも1つのスプリアス高調波をフィルタリングすることを含む、請求項1に記載の方法。
(請求項5)
前記少なくとも1つのパルスを生成するステップは、トリガ信号に応答して前記少なくとも1つのパルスを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
(請求項6)
前記サンプルからの発光を検出するステップは、前記トリガ信号に応答して前記発光を検出することを含む、請求項5に記載の方法。
(請求項7)
前記少なくとも1つのパルスは第1のパルスを含み、
前記方法は、
前記第1のパルスと同相のマイクロ波電磁エネルギーの第2のパルスを生成するステップと、
前記第2のパルスを周波数逓倍して、第2の周波数逓倍されたパルスを生成するステップと
を更に含み、
前記サンプルからの発光を検出するステップは、前記第2の周波数逓倍されたパルスと前記発光とを混合して、アナログ/デジタル変換器(ADC)の帯域幅内のダウンコンバートされた発光信号を生成することを含む、請求項1に記載の方法。
(請求項8)
前記サンプルからの発光を検出するステップは、ヘテロダイン検出を含む、請求項1に記載の方法。
(請求項9)
マイクロ波電磁エネルギーの少なくとも1つのパルスを生成するように構成された信号ジェネレータと、
前記信号ジェネレータに動作可能に結合されるとともに、前記少なくとも1つのパルスを周波数逓倍して少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスを生成するように構成された周波数逓倍器回路と、
前記周波数逓倍器回路に動作可能に結合されるとともに、前記少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスの少なくとも1つのスプリアス高調波をフィルタリングして少なくとも1つのフィルタリングされたパルスを生成するように構成されたフィルタ回路であって、前記少なくとも1つのスプリアス高調波は、前記少なくとも1つのパルスを周波数逓倍することによって生成され、該フィルタ回路は、前記少なくとも1つのフィルタリングされたパルスを用いてサンプルを励起するように更に構成される、フィルタ回路と、
前記少なくとも1つのフィルタリングされたパルスによって少なくとも部分的に誘発された前記サンプルからの発光を検出するように構成された発光検出器と
を備えてなる装置。
(請求項10)
前記信号ジェネレータは、前記少なくとも1つのパルスを、1GHz~3GHzの周波数レンジ内の少なくとも1つのチャープパルスとして生成するように更に構成される、請求項9に記載の装置。
(請求項11)
前記少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスは、75GHz~110GHzのレンジ内の周波数を有する、請求項9に記載の装置。
(請求項12)
前記フィルタ回路はキャビティ帯域通過フィルタを含む、請求項9に記載の装置。
(請求項13)
前記信号ジェネレータは、トリガ信号に応答して前記少なくとも1つのパルスを生成するように更に構成される、請求項9に記載の装置。
(請求項14)
前記発光検出器は、前記トリガ信号に応答して前記発光を検出するように更に構成される、請求項13に記載の装置。
(請求項15)
前記少なくとも1つのパルスは第1のパルスを含み、
前記信号ジェネレータは、前記第1のパルスと同相のマイクロ波電磁エネルギーの第2のパルスを生成するように更に構成され、
前記周波数逓倍器回路は、前記第2のパルスを周波数逓倍して第2の周波数逓倍されたパルスを生成するように更に構成され、
前記発光検出器は、前記第2の周波数逓倍されたパルスと前記発光とを混合して、アナログ/デジタル変換器(ADC)の帯域幅内のダウンコンバートされた発光信号を生成するように更に構成される、請求項9に記載の装置。
(請求項16)
前記発光検出器は、ヘテロダイン検出を介して検出するように更に構成される、請求項9に記載の装置。
(請求項17)
自走式信号ジェネレータを用いて、マイクロ波電磁エネルギーの少なくとも1つのパルスを生成するステップと、
前記少なくとも1つのパルスを周波数逓倍して少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスを生成するステップと、
前記少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスを用いてサンプルを励起するステップと、
前記少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスによって少なくとも部分的に誘発された前記サンプルから発光を検出するステップと
を含んでなる方法。
(請求項18)
前記少なくとも1つのパルスを周波数逓倍することによって生成された、前記少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスの少なくとも1つのスプリアス高調波をフィルタリングして、少なくとも1つのフィルタリングされたパルスを生成するステップを更に含み、
前記励起するステップは、前記少なくとも1つのフィルタリングされたパルスを用いて前記サンプルを励起することを含む、請求項17に記載の方法。
(請求項19)
前記少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスは、75GHz~110GHzのレンジ内の周波数を有する、請求項18に記載の方法。
(請求項20)
前記フィルタリングするステップは、キャビティ帯域通過フィルタを用いて前記少なくとも1つのスプリアス高調波をフィルタリングすることを含む、請求項18に記載の方法。
(請求項21)
前記少なくとも1つのパルスを生成するステップは、前記信号ジェネレータの内部で得られるタイムベースからのトリガ信号に応答して前記少なくとも1つのパルスを生成することを含む、請求項17に記載の方法。
(請求項22)
前記検出するステップは、前記トリガ信号に応答して前記発光を検出することを含む、請求項21に記載の方法。
(請求項23)
前記少なくとも1つのパルスを生成するステップは、前記信号ジェネレータの外部の可変周波数源からのトリガ信号に応答して前記少なくとも1つのパルスを生成することを含む、請求項17に記載の方法。
(請求項24)
前記検出するステップは、前記トリガ信号に応答して前記発光を検出することを含む、請求項23に記載の方法。
(請求項25)
前記少なくとも1つのパルスを生成するステップは、1GHz~3GHzの周波数レンジ内の少なくとも1つのチャープパルスを生成することを含む、請求項17に記載の方法。
(請求項26)
前記検出するステップは、ヘテロダイン検出を含む、請求項17に記載の方法。
(請求項27)
トリガ信号に応答してマイクロ波電磁エネルギーの少なくとも1つのパルスを生成するように構成された信号ジェネレータと、
前記信号ジェネレータに結合されるとともに、前記少なくとも1つのパルスを周波数逓倍して少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスを生成するように構成され、前記少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスを用いてサンプルを励起するように更に構成された周波数逓倍器回路と、
前記少なくとも1つの周波数逓倍されたパルスによって少なくとも部分的に誘発された前記サンプルからの発光を検出するように構成された発光検出器と
を備えてなる装置。
(請求項28)
前記信号ジェネレータは、前記少なくとも1つのパルスを、1GHz~3GHzの周波数レンジ内の少なくとも1つのチャープパルスとして生成するように更に構成される、請求項27に記載の装置。
(請求項29)
前記発光検出器は、前記トリガ信号に応答して前記発光を検出するように更に構成される、請求項27に記載の装置。
(請求項30)
前記少なくとも1つのパルスは第1のパルスを含み、
前記信号ジェネレータは、前記第1のパルスと同相のマイクロ波電磁エネルギーの第2のパルスを生成するように更に構成され、
前記周波数逓倍器回路は、前記第2のパルスを周波数逓倍して、第2の周波数逓倍されたパルスを生成するように更に構成され、
前記発光検出器は、前記第2の周波数逓倍されたパルスと前記発光とを混合して、アナログ/デジタル変換器(ADC)の帯域幅内のダウンコンバートされた発光信号を生成するように更に構成される、請求項27に記載の装置。
(請求項31)
前記発光検出器は、ヘテロダイン検出を介して検出するように更に構成される、請求項27に記載の装置。
(請求項32)
前記信号ジェネレータは、前記トリガ信号を生成するように構成された、内部で得られるタイムベースを備える、請求項27に記載の装置。
(請求項33)
前記発光検出器は、前記トリガ信号に応答して前記発光を検出するように構成される、請求項27に記載の装置。
(請求項34)
前記信号ジェネレータは、該信号ジェネレータの外部の可変周波数源から前記トリガ信号を受信するように構成される、請求項27に記載の装置。
(請求項35)
自走式信号ジェネレータを用いて、第1のトリガ信号に応答して第1のマイクロ波パルス及び第2のマイクロ波パルスを生成するステップと、
前記第1のマイクロ波パルスを周波数逓倍して、第1のミリメートル波パルス及び第1のスプリアス放出高調波を含む第1のミリメートル波信号を形成するステップと、
前記第1のミリメートル波信号から前記第1のスプリアス放出高調波をフィルタリングして、前記第1のミリメートル波パルスを得るステップと、
前記第2のマイクロ波パルスを周波数逓倍して、第2のミリメートル波パルス及び第2のスプリアス放出高調波を含む第2のミリメートル波信号を形成するステップと、
前記第2のミリメートル波信号から前記第2のスプリアス放出高調波をフィルタリングして、前記第2のミリメートル波パルスを得るステップと、
前記第1のミリメートル波パルスを用いてサンプルを励起して、第1のサンプル発光を生成するステップと、
前記第1のサンプル発光を前記第2のミリメートル波パルスと混合して、第1のダウンコンバートされたサンプル発光を生成するステップと、
前記第1のダウンコンバートされたサンプル発光を検出して第1の電子信号を生成するステップと、
第2のトリガ信号に応答して、前記自走式信号ジェネレータを用いて、前記第1のマイクロ波パルス及び前記第2のマイクロ波パルスと位相コヒーレントである第3のマイクロ波パルス及び第4のマイクロ波パルスを生成するステップと、
前記第3のマイクロ波パルスを周波数逓倍して、第3のミリメートル波パルス及び第3のスプリアス放出高調波を含む第3のミリメートル波信号を形成するステップと、
前記第3のミリメートル波信号から前記第3のスプリアス放出高調波をフィルタリングして、前記第3のミリメートル波パルスを得るステップと、
前記第4のマイクロ波パルスを周波数逓倍して、第4のミリメートル波パルス及び第4のスプリアス放出高調波を含む第4のミリメートル波信号を形成するステップと、
前記第4のミリメートル波信号から前記第4のスプリアス放出高調波をフィルタリングして、前記第4のミリメートル波パルスを得るステップと、
前記第3のミリメートル波パルスを用いて前記サンプルを励起して、前記第1のサンプル発光と位相コヒーレントである第2のサンプル発光を生成するステップと、
前記第2のサンプル発光を前記第4のミリメートル波パルスと混合して、第2のダウンコンバートされたサンプル発光を生成するステップと、
前記第2のダウンコンバートされたサンプル発光を検出して、第2の電子信号を生成するステップと、
前記第1の電子信号及び前記第2の電子信号を平均化するステップと
を含んでなる方法。
(請求項36)
前記第1のミリメートル波パルスの周波数は、前記第2のミリメートル波パルスの周波数から720MHz~1440MHzだけオフセットされている、請求項35に記載の方法。
図1
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