(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】シングルエンドの計装用フォールデッドカスコード増幅器
(51)【国際特許分類】
H03F 3/45 20060101AFI20220324BHJP
H03F 1/34 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
H03F3/45 110
H03F3/45 210
H03F3/45 220
H03F1/34
(21)【出願番号】P 2018555772
(86)(22)【出願日】2017-05-03
(86)【国際出願番号】 US2017030809
(87)【国際公開番号】W WO2017192700
(87)【国際公開日】2017-11-09
【審査請求日】2020-04-28
(32)【優先日】2016-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592051453
【氏名又は名称】ハーマン インターナショナル インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ダンユック, ディミトリ
(72)【発明者】
【氏名】エイチェンバウム, トッド エー.
【審査官】小林 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-148262(JP,A)
【文献】特開2014-207611(JP,A)
【文献】特開平01-188008(JP,A)
【文献】特開昭62-222704(JP,A)
【文献】特開昭62-076306(JP,A)
【文献】特開2004-320440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 11/00-3/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高同相除去及び低歪みを提供するように構成された計装用増幅器であって、前記計装用増幅器は、
差動入力電圧及び差動帰還電圧を受けるように構成された入力差動段であって、前記入力差動段は入力差動トランジスタ対を含む、入力差動段と、
前記入力差動段から提供された出力電流モード信号を受信するように構成されたフォールデッドカスコード増幅段と、
前記フォールデッドカスコード増幅段から提供された出力電流モード信号をミラーリングするように構成されたカレントミラーと、
前記入力差動段の帰還入力間に接続されている第1の抵抗、出力段の出力端子と前記入力差動段の第1の帰還入力の間の第2の抵抗、および共通端子と前記入力差動段の第2の帰還入力の間の第3の抵抗を含む第1の抵抗帰還ネットワークを含む外部利得設定段と、
入力及び出力を有する電流制御電流源と、
電流バッファトランジスタ対であって、前記電流バッファトランジスタ対の各トランジスタは前記フォールデッドカスコード増幅段のトランジスタのうち対応するものとともに電流分割器として構成される、電流バッファトランジスタ対と
、
出力バッファ及び出力抵抗であって、前記出力バッファは、前記カレントミラーから差動電流モード信号を受信するように構成され、前記出力バッファは、出力電圧を前記第1の抵抗帰還ネットワークに提供する出力端子を含み、前記出力抵抗は、前記出力バッファの入力端子に結合されている、出力バッファ及び出力抵抗とを備え、
前記外部利得設定段は、前記出力バッファの前記入力端子と前記第1の抵抗帰還ネットワークの間に接続されている第2の抵抗帰還ネットワークを含み、
前記電流バッファトランジスタ対は、前記入力差動段からの出力電流の合計の一部を前記電流制御電流源の前記入力に提供するように構成され、
前記電流制御電流源は、前記入力差動段の前記帰還入力に打消し電流を提供するように構成された、計装用増幅器。
【請求項2】
前記電流制御電流源が、前記第1の帰還入力及び前記第2の帰還入力それぞれに接続された出力を含む、請求項1に記載の計装用増幅器。
【請求項3】
前記
第1の抵抗が、
前記電流制御電流源の第1の出力と前記入力差動段の前記第1の帰還入力の間に接続されている第4の抵抗と、
前記電流制御電流源の前記第1の出力と前記入力差動段の前記第2の帰還入力の間の第5の抵抗とを備える、請求項1に記載の計装用増幅器。
【請求項4】
前記電流制御電流源が、前記外部利得設定段の前記第4の抵抗及び前記第5の抵抗に打消し電圧を提供するように構成された、請求項3に記載の計装用増幅器。
【請求項5】
前記出力段が電流制御電圧源を含む、請求項4に記載の計装用増幅器。
【請求項6】
第2の抵抗外部利得設定段は、前記出力バッファの出力端子と前記入力差動段の第1の帰還入力の間に接続されている、請求項5に記載の計装用増幅器。
【請求項7】
高同相除去及び低歪みを提供するように構成された計装用増幅器であって、前記計装用増幅器は、
差動入力電圧及び差動帰還電圧を受けるように構成された入力差動段と、
前記入力差動段から提供された出力電流モード信号を受信するように構成されたフォールデッドカスコード増幅段と、
前記フォールデッドカスコード増幅段から提供された出力電流モード信号をミラーリングするように構成されたカレントミラーと、
前記入力差動段の帰還入力間に接続されている第1の抵抗、出力段の出力端子と前記入力差動段の第1の帰還入力の間の第2の抵抗、および共通端子と前記入力差動段の第2の帰還入力の間の第3の抵抗を含む第1の抵抗帰還ネットワークを含む外部利得設定段と、
出力バッファ及び出力抵抗であって、前記出力バッファは、前記カレントミラーから差動電流モード信号を受信するように構成され、前記出力バッファは、出力電圧を前記第1の抵抗帰還ネットワークに提供する出力端子を含み、前記出力抵抗は、前記出力バッファの入力端子に結合されている、出力バッファ及び出力抵抗と、
入力及び出力を有する電流制御電流源と、
電流バッファトランジスタ対であって、前記電流バッファトランジスタ対の各トランジスタは前記フォールデッドカスコード増幅段のトランジスタのうち対応するものとともに電流分割器として構成される、電流バッファトランジスタ対とを備え、
前記外部利得設定段は、前記出力バッファの前記入力端子と前記第1の抵抗帰還ネットワークの間に接続されている第2の抵抗帰還ネットワークを含み、
前記電流バッファトランジスタ対は、前記入力差動段からの出力電流の合計の一部を前記電流制御電流源の前記入力に提供するように構成され、
前記電流制御電流源は、前記入力差動段の前記第1の帰還入力に打消し電流を提供するように構成された、計装用増幅器。
【請求項8】
前記電流制御電流源が、前記第1の帰還入力及び前記第2の帰還入力それぞれに接続されている出力を含む、請求項
7に記載の計装用増幅器。
【請求項9】
前記
第1の抵抗が、
前記電流制御電流源の第1の出力と前記入力差動段の前記第1の帰還入力の間に接続されている第4の抵抗と、
前記電流制御電流源の前記第1の出力と前記入力差動段の前記第2の帰還入力の間の第5の抵抗とを備える、請求項
8に記載の計装用増幅器。
【請求項10】
計装用増幅器において高同相除去を実現する方法であって、前記方法は、
前記計装用増幅器の差動入力対で差動入力信号を受信するステップと、
一対のフォールデッドカスコードトランジスタ及び電流バッファとして構成されたさらなるトランジスタ対によって、前記差動入力対から提供された出力電流モード信号を分割するステップと、
カレントミラーによって、前記フォールデッドカスコードトランジスタから提供された前記出力電流モード信号をミラーリングすることと、
前記さらなるトランジスタ対から提供された出力電流モード信号の一部を合計するステップと、
電流制御電流源の入力で、前記さらなるトランジスタ対から提供された前記出力電流モード信号の前記一部の前記合計を受信するステップと、
前記電流制御電流源の出力電流を
前記計装用増幅器の外部利得設定段の第1の抵抗帰還ネットワークにかつ前記差動入力段の帰還入力に提供するステップと
、
前記計装用増幅器の出力バッファによって、前記カレントミラーから差動電流モード信号を受信するステップであって、前記出力バッファは、出力端子を含み、前記外部利得設定段は、前記出力バッファの前記入力端子と前記第1の抵抗帰還ネットワークの間に接続されている第2の抵抗帰還ネットワークを含み、前記計装用増幅器の出力抵抗は、前記出力バッファの入力端子に結合されている、ステップと、
前記出力端子によって、出力電圧を前記第1の抵抗帰還ネットワークに提供するステップとを含む、方法。
【請求項11】
前記一対のフォールデッドカスコードトランジスタのうちの1つからの出力を
前記出力バッファの
前記入力に供給して、シングルエンドの出力を出力することをさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記出力バッファからの前記シングルエンドの出力を前記
第1の抵抗帰還ネットワークに供給することをさらに含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
電流信号を前記差動入力対のMOSFETに供給することによって、前記差動入力対の前記差動入力信号から除去される同相信号を提供することをさらに含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
出力電流モード信号を分割することが、第1の差動信号を前記フォールデッドカスコードトランジスタの第1のトランジスタ及び前記さらなるトランジスタ対の第1のトランジスタに入力することと、第2の差動信号を前記フォールデッドカスコードトランジスタの第2のトランジスタ及び前記さらなるトランジスタ対の第2のトランジスタに入力することとを含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項15】
前記出力電流を提供することが、前記差動入力対の前記帰還入力に打消し電流を提供することを含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記打消し電流を提供することが、前記差動入力対の前記第1のトランジスタへの第1の帰還端子と前記差動入力対の前記第2のトランジスタへの第2の帰還端子の間で前記打消し電流を分割することを含む、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
打消し電圧帰還信号を、前記差動入力対の第1のトランジスタへの第1の帰還端子に供給することをさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2016年5月3日に出願された米国仮出願第62/331,131号の利益を主張し、その開示は、米国及び参照による援用を許可するあらゆる国の法律のもと参照により本明細書中に援用される。
【0002】
本開示は、一般に、シングルエンドの計装用フォールデッドカスコード増幅器及び高同相除去を実現する方法(複数可)に関する。
【背景技術】
【0003】
図1は、3個のオペアンプを含む従来技術の計装用増幅器を示す。計装用増幅器は、2個のオペアンプA1及びA2を備え、それらは「利得セル」として動作し、2個のオペアンプの非反転入力に差動入力信号が印加され、2個のオペアンプの出力が差動増幅器として接続されている第3のオペアンプA3に差動入力として印加されるように、適切に一体接続される。
図1に示す計装用増幅器は、3個の利得ブロック及び抵抗R4からR7の正確なマッチングを要したものである。
【0004】
3個の利得ブロックを要しない計装用増幅器の一アプローチが、Bowersによる1987年10月の第83回AES総会で提示された「An Ultra-Low-Noise Monolithic Microphone Preamplifier」(紙面No2495)及びNelsonによる米国特許第4,628,279号の「Wideband Feedback Amplifier」に開示される。このトロポジを
図2に提示する。入力トランジスタQ1及びQ2は、R1及びR2によって搭載される差動対を形成する。入力デバイスのエミッタは、抵抗Raとともに一体接続される。コレクタ電流におけるいずれのアンバランスも増幅器A1によって検知され、Q2のエミッタへの帰還抵抗R5を通して修正される。R3は、システムにDCバランスを提供し、R5と値が等しい。両入力デバイスは、それらのエミッタから共通端子/出力までの有限抵抗信号経路を有する(R3及びR5)。同相入力信号は、両入力トランジスタQ1及びQ2を通る電流を変化させる。この変化により、同相除去比の不必要な低下及び増幅信号のさらなる歪みが生じ得る。
【0005】
この回路のもう1つの欠点は、入力キャパシタンスの上昇である。ミラー効果により、ベース端子とコレクタ端子の間のキャパシタンスの増幅による入力デバイスの入力キャパシタンスの増加が説明される。接合静電容量は、印加電圧に依存する。入力信号に伴う入力キャパシタンスの変動は、増幅器にさらなる歪みをもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
高同相除去及び低歪みを提供する計装用増幅器が本明細書中に記載される。計装用増幅器は、差動入力電圧及び差動帰還電圧を受けるように構成された入力差動段と、該入力差動段から提供された出力電流モード信号を受信するように構成されたフォールデッドカスコード増幅段と、該フォールデッドカスコード増幅段から提供された出力電流モード信号をミラーリングするように構成されたカレントミラーと、外部利得設定段とを含み得る。外部利得設定段は第1の抵抗帰還ネットワークを含み得、これは、該入力差動段の帰還入力間に接続されている第1の抵抗と、出力段の出力端子と該入力差動段の第1の帰還入力の間の第2の抵抗と、共通端子と該入力差動段の第2の帰還入力の間の第3の抵抗とを含む。
【0008】
例示的な実施形態では、入力差動段は、入力差動トランジスタ対を含む。差動対のトランジスタは、電界効果デバイスであり得、同じタイプのデバイスであり得る。
【0009】
例示的な実施形態では、増幅器は、入力及び出力を有する電流制御電流源を含む。
【0010】
例示的な実施形態では、増幅器は電流バッファトランジスタ対を含み、電流バッファトランジスタ対の各トランジスタは、フォールデッドカスコード増幅段のトランジスタのうち対応するものとともに電流分割器として構成される。
【0011】
例示的な実施形態では、電流バッファトランジスタ対は、入力差動段からの出力電流の合計の一部を電流制御電流源の入力に提供するように構成される。
【0012】
例示的な実施形態では、増幅器は、入力差動段の帰還入力に打消し電流を提供するように構成された電流制御電流源を含む。
【0013】
例示的な実施形態では、増幅器は、それぞれ第1の帰還入力及び第2の帰還入力に接続されている出力を含む電流制御電流源を含む。
【0014】
例示的な実施形態では、外部利得設定段は、さらに、電流制御電流源の第1の出力と該入力差動トランジスタ段の第1の帰還入力の間に接続されている第4の抵抗と、電流制御電流源の第2の出力と該入力差動トランジスタ段の第2の帰還入力の間の第5の抵抗とを備える。
【0015】
例示的な実施形態では、電流制御電流源は、該帰還構成の第4の抵抗及び第5の抵抗に打消し電圧を提供するように構成される。
【0016】
例示的な実施形態では、出力段は、電流制御電圧源を含む。
【0017】
例示的な実施形態では、増幅器は、出力バッファ及び出力抵抗を含む。出力バッファは、カレントミラーから差動電流モード信号を受信し出力電圧を第1の抵抗帰還ネットワークに提供するように構成される。出力抵抗は、該出力バッファの入力端子に結合され得る。
【0018】
例示的な実施形態では、第2の抵抗外部利得設定段は、出力バッファの出力端子と該入力差動段の第1の帰還入力の間に接続される。
【0019】
例示的な実施形態では、出力バッファは、カレントミラーから差動電流モード信号を受信するように構成され、出力電圧を第1の抵抗帰還ネットワークに提供する出力端子を含む。出力抵抗は、該出力バッファの入力端子に結合される。
【0020】
例示的な実施形態では、外部利得設定段は、出力バッファの入力端子と第1の抵抗帰還ネットワークの間に接続されている第2の抵抗帰還ネットワークを含む。
【0021】
例示的な実施形態では、増幅器は、入力及び出力を有する電流制御電流源と電流バッファトランジスタ対とを含み、電流バッファトランジスタ対の各トランジスタは、フォールデッドカスコード増幅段のトランジスタのうち対応するものとともに電流分割器として構成される。電流バッファトランジスタ対は、入力差動段からの出力電流の合計の一部を電流制御電流源の入力に提供するように構成される。電流制御電流源は、該入力差動段の帰還入力に打消し電流を提供するように構成される。
【0022】
例示的な実施形態では、電流制御電流源は、それぞれ第1の帰還入力及び第2の帰還入力に接続されている出力を含む。
【0023】
例示的な実施形態では、外部利得設定段は、電流制御電流源の第1の出力と該入力差動トランジスタ段の第1の帰還入力の間に接続されている第4の抵抗と、電流制御電流源の第2の出力と該入力差動トランジスタ段の第2の帰還入力の間の第5の抵抗とを含む。
【0024】
本明細書に記載された例示的な実施形態とともに様々な方法を用いることができる。例示的な実施形態では、計装用増幅器で高同相除去を実現する方法は、計装用増幅器の差動入力対で差動入力信号を受信するステップと、該差動入力対から提供された出力電流モード信号を、一対のフォールデッドカスコードトランジスタ及び電流バッファとして構成されたさらなるトランジスタ対によって分割するステップと、該さらなるトランジスタ対から提供された出力電流モード信号の一部を合計するステップと、電流制御電流源の入力で、該さらなるトランジスタ対から提供された出力電流モード信号の一部の合計を受信するステップと、電流制御電流源の出力電流を、帰還ネットワークにかつ差動入力段の帰還入力に提供するステップとを含み得る。
【0025】
例示的な実施形態では、方法は、フォールデッドカスコードトランジスタ対のうち1つからの出力を出力バッファの入力に供給して、シングルエンドの出力を出力することを含む。
【0026】
例示的な実施形態では、方法は、出力バッファからのシングルエンドの出力を帰還ネットワークに供給することを含む。
【0027】
例示的な実施形態では、方法は、電流を差動入力対のMOSFETに供給することによって、差動入力対の差動入力信号から除去される同相信号を提供することを含む。
【0028】
例示的な実施形態では、出力電流モード信号を分割することは、第1の差動信号を、フォールデッドカスコードトランジスタの第1のトランジスタ及びさらなるトランジスタ対の第1のトランジスタに入力することと、第2の差動信号を、フォールデッドカスコードトランジスタの第2のトランジスタ及びさらなるトランジスタ対の第2のトランジスタに入力することとを含む。
【0029】
例示的な実施形態では、出力電流を提供することは、差動入力対の帰還入力に打消し電流を提供することを含む。
【0030】
例示的な実施形態では、打消し電流を提供することは、差動入力対の第1のトランジスタへの第1の帰還端子と、差動入力対の第2のトランジスタへの第2の帰還端子の間で打消し電流を分割することを含む。
【0031】
例示的な実施形態では、打消し電流を提供することは、第1の帰還端子へ第1の抵抗を通してかつ第2の帰還端子へ第2の抵抗を通して打消し電流を送ることを含む。
【0032】
例示的な実施形態では、打消し電圧帰還信号を、差動対の第1のトランジスタへの第1の帰還端子に供給する。
【0033】
上記の増幅器回路及び方法は、例えばマイクからの音声入力信号または音楽プレーヤーからの入力を、スピーカを駆動するあるレベルに増幅する市販の増幅器の構成要素における段階であり得る。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
高同相除去及び低歪みを提供するように構成された計装用増幅器であって、
差動入力電圧及び差動帰還電圧を受けるように構成された入力差動段と、
前記入力差動段から提供された出力電流モード信号を受信するように構成されたフォールデッドカスコード増幅段と、
前記フォールデッドカスコード増幅段から提供された出力電流モード信号をミラーリングするように構成されたカレントミラーと、
前記入力差動段の帰還入力間に接続されている第1の抵抗、出力段の出力端子と前記入力差動段の第1の帰還入力の間の第2の抵抗、および共通端子と前記入力差動段の第2の帰還入力の間の第3の抵抗を含む第1の抵抗帰還ネットワークを含む外部利得設定段とを備える、前記計装用増幅器。
(項目2)
前記入力差動段が入力差動トランジスタ対を含む、項目1に記載の計装用増幅器。
(項目3)
入力及び出力を有する電流制御電流源と、
電流バッファトランジスタ対であって、前記電流バッファトランジスタ対の各トランジスタは前記フォールデッドカスコード増幅段のトランジスタのうち対応するものとともに電流分割器として構成される、前記電流バッファトランジスタ対とをさらに備え、
前記電流バッファトランジスタ対は、前記入力差動段からの出力電流の合計の一部を前記電流制御電流源の前記入力に提供するように構成され、
前記電流制御電流源は、前記入力差動段の前記帰還入力に打消し電流を提供するように構成された、項目2に記載の計装用増幅器。
(項目4)
前記電流制御電流源が、前記第1の帰還入力及び前記第2の帰還入力それぞれに接続された出力を含む、項目3に記載の計装用増幅器。
(項目5)
前記外部利得設定段が、さらに、
前記電流制御電流源の第1の出力と前記入力差動段の前記第1の帰還入力の間に接続されている第4の抵抗と、
前記電流制御電流源の第2の出力と前記入力差動段の前記第2の帰還入力の間の第5の抵抗とを備える、項目3に記載の計装用増幅器。
(項目6)
前記電流制御電流源が、前記外部利得設定段の前記第4の抵抗及び前記第5の抵抗に打消し電圧を提供するように構成された、項目5に記載の計装用増幅器。
(項目7)
前記出力段が電流制御電圧源を含む、項目6に記載の計装用増幅器。
(項目8)
出力バッファ及び出力抵抗であって、前記出力バッファは前記カレントミラーから差動電流モード信号を受信し出力電圧を前記第1の抵抗帰還ネットワークに提供するように構成され、前記出力抵抗は前記出力バッファの入力端子に結合されている、前記出力バッファ及び前記出力抵抗をさらに備え、
第2の抵抗外部利得設定段は、前記出力バッファの出力端子と前記入力差動段の第1の帰還入力の間に接続されている、項目7に記載の計装用増幅器。
(項目9)
出力バッファ及び出力抵抗であって、前記出力バッファは、前記カレントミラーから差動電流モード信号を受信するように構成され、前記出力バッファは、出力電圧を前記第1の抵抗帰還ネットワークに提供する出力端子を含み、前記出力抵抗は、前記出力バッファの入力端子に結合されている、前記出力バッファ及び前記出力抵抗をさらに備え、
前記外部利得設定段は、前記出力バッファの前記入力端子と前記第1の抵抗帰還ネットワークの間に接続されている第2の抵抗帰還ネットワークを含む、項目1に記載の計装用増幅器。
(項目10)
入力及び出力を有する電流制御電流源と、
電流バッファトランジスタ対であって、前記電流バッファトランジスタ対の各トランジスタは前記フォールデッドカスコード増幅段のトランジスタのうち対応するものとともに電流分割器として構成される、前記電流バッファトランジスタ対とをさらに備え、
前記電流バッファトランジスタ対は、前記入力差動段からの出力電流の合計の一部を前記電流制御電流源の前記入力に提供するように構成され、
前記電流制御電流源は、前記入力差動段の前記第1の帰還入力に打消し電流を提供するように構成された、項目9に記載の計装用増幅器。
(項目11)
前記電流制御電流源が、前記第1の帰還入力及び前記第2の帰還入力それぞれに接続されている出力を含む、項目10に記載の計装用増幅器。
(項目12)
前記外部利得設定段が、さらに、
前記電流制御電流源の第1の出力と前記入力差動段の前記第1の帰還入力の間に接続されている第4の抵抗と、
前記電流制御電流源の第2の出力と前記入力差動段の前記第2の帰還入力の間の第5の抵抗とを備える、項目11に記載の計装用増幅器。
(項目13)
計装用増幅器において高同相除去を実現する方法であって、
前記計装用増幅器の差動入力対で差動入力信号を受信するステップと、
一対のフォールデッドカスコードトランジスタ及び電流バッファとして構成されたさらなるトランジスタ対によって、前記差動入力対から提供された出力電流モード信号を分割するステップと、
前記さらなるトランジスタ対から提供された出力電流モード信号の一部を合計するステップと、
電流制御電流源の入力で、前記さらなるトランジスタ対から提供された前記出力電流モード信号の前記一部の前記合計を受信するステップと、
前記電流制御電流源の出力電流を帰還ネットワークにかつ前記差動入力段の帰還入力に提供するステップとを含む、前記方法。
(項目14)
前記対のフォールデッドカスコードトランジスタのうちの1つからの出力を出力バッファの入力に供給して、シングルエンドの出力を出力することをさらに含む、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記出力バッファからの前記シングルエンドの出力を前記帰還ネットワークに供給することをさらに含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
電流信号を前記差動入力対のMOSFETに供給することによって、前記差動入力対の前記差動入力信号から除去される同相信号を提供することをさらに含む、項目15に記載の方法。
(項目17)
出力電流モード信号を分割することが、第1の差動信号を前記フォールデッドカスコードトランジスタの第1のトランジスタ及び前記さらなるトランジスタ対の第1のトランジスタに入力することと、第2の差動信号を前記フォールデッドカスコードトランジスタの第2のトランジスタ及び前記さらなるトランジスタ対の第2のトランジスタに入力することとを含む、項目13に記載の方法。
(項目18)
前記出力電流を提供することが、前記差動入力対の前記帰還入力に打消し電流を提供することを含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記打消し電流を提供することが、前記差動入力対の前記第1のトランジスタへの第1の帰還端子と前記差動入力対の前記第2のトランジスタへの第2の帰還端子の間で前記打消し電流を分割することを含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
打消し電圧帰還信号を、前記差動入力対の第1のトランジスタへの第1の帰還端子に供給することをさらに含む、項目12に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図3】実施形態によるシングルエンドの計装用フォールデッドカスコード増幅器回路の図である。
【
図4】実施形態によるシングルエンドの計装用フォールデッドカスコード増幅器回路の図である。
【
図5】実施形態によるシングルエンドの計装用フォールデッドカスコード増幅器回路の図である。
【
図6】実施形態によるシングルエンドの計装用フォールデッドカスコード増幅器回路の図である。
【
図7】実施形態によるシングルエンドの計装用フォールデッドカスコード増幅器の概略図である。
【
図9】実施形態によるシングルエンドの計装用フォールデッドカスコード増幅器の概略図である。
【
図10】例示的な実施形態によるシングルエンドの計装用フォールデッドカスコード増幅器を有する音声増幅器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
必要に応じて、本発明の詳細な実施形態が本明細書中に開示されるが、開示された実施形態は、様々なかつ代替の形式で具現化され得る発明の単なる例であることが理解されよう。図は必ずしも縮尺通りではなく、一部の特徴は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張または最小化され得る。したがって、本明細書に開示する具体的な構造的かつ機能的詳細は、限定するものではなく、単に当業者が本発明を様々に使用するように教示するための代表的な基礎として解釈されたい。
【0036】
図3は、第1のトランジスタ303及び第2のトランジスタ304を含む差動入力段を有するシングルエンドのフォールデッドカスコード計装用増幅器回路300を示す。第1のトランジスタ303及び第2のトランジスタ304は、入力差動対またはトランジスタを形成し得る。回路300の特徴は、例えば出力段313からの出力といったシングルエンドの出力であり得る。例では、トランジスタ303、304は、例えばJFETといった電界効果トランジスタである。トランジスタ303、304は、同じタイプのデバイスであり得る。各トランジスタ303、304のドレインは、定電流源(複数可)301、302に接続されている。定電流源301は、第1のトランジスタ303のドレインに接続されている。定電流源302は、第2のトランジスタ304のドレインに接続されている。トランジスタ303のゲートは、第1の入力に接続されている。トランジスタ304のゲートは、第2の入力に接続されている。各トランジスタ303、304のソースは、定電流源(複数可)308、309に接続されている。例では、トランジスタ303のソースは、定電流源308に接続されている。例では、トランジスタ304のソースは、定電流源309に接続されている。第1のトランジスタ303のドレインは、第4のトランジスタ311のエミッタに接続されている。第2のトランジスタ304のドレインは、第3のトランジスタ310のエミッタに接続されている。第3のトランジスタ310及び第4のトランジスタ311のベースは、基準端子に接続されている。第3のトランジスタ310及び第4のトランジスタ311両方のコレクタは、カレントミラー312に接続されている。トランジスタ310、311は、レベルシフト段または増幅段として動作し得る。第4のトランジスタ311のコレクタは、例えば増幅器または増幅器回路の出力段313の入力に接続されている。出力段313は、電圧制御電圧源であってもよい。出力段313からの出力は、抵抗307を通して、トランジスタ304のソースに帰還される。トランジスタ303、304のソースは、抵抗306を通して接続されている。第1のトランジスタ303のソースは、抵抗305を通して、例えばグラウンドといった共通端子に接続されている。
【0037】
動作に当たっては、差動入力段の第1のトランジスタ303及び第2のトランジスタ304は、エミッタがドレイン端子にそれぞれ接続された状態のカスコード(共通-ベース)レベルシフトトランジスタ311、310を有する。本計装用増幅器回路300は、増幅器(出力段)からの出力を、それぞれ抵抗307をかつ抵抗307及び306を通して第1のトランジスタ及び第2のトランジスタのソースに戻って接続することによって負帰還を取得する。
【0038】
フォールデッドカスコード入力段を用いることによって、回路300における入力キャパシタンスの潜在的な問題に対処する。一部の適用では、回路300は、歪みをもたらし得、低減された同相除去比が最適化されない場合がある同相信号を有する入力段の調節を示し得る。
【0039】
図4は、同一の参照番号で設計されている回路300と共通の要素を有するシングルエンドのフォールデッドカスコード計装用増幅器回路400を示す。回路400は、差動入力段の電流の入力信号に伴う変動を適切に補償する追加の電流制御電流源408を含む。第1のトランジスタ303のドレインは、第5のトランジスタ411のエミッタに接続されている。第2のトランジスタ304のドレインは、第6のトランジスタ410のエミッタに接続されている。第5のトランジスタ411及び第6のトランジスタ410のベースは、基準端子に接続されている。例では、第5のトランジスタ411及び第6のトランジスタ410のコレクタは、電流制御電流源408の入力に接続されている。電流源408の他方の入力は、基準端子に接続されている。トランジスタ303、304のソースは、電流源408の出力に接続されている。ソースは、例えば抵抗305、306、307といった抵抗ネットワークによってバイアスされる。
【0040】
入力差動段のトランジスタ303、304のゲートでの同相信号は、両入力デバイスの電流を変化させる。この電流の変化は、追加のカスコードデバイス310、311または410、411の合計電流に反映される。例では、電流制御電流源408は、さらなるデバイス410、411の合計出力電流を検知する。電流制御電流源408は、同相である2つの等価電流出力を有する。電流制御電流源408の出力端子は、入力段のトランジスタ303、304のソース及び例えば抵抗ネットワーク305、306、307といった帰還ネットワークと結合する。電流制御電流源408は、さらなるデバイス410、411を通る合計電流を基準信号と比較する。電流の差は増幅され、次いで、同相入力信号と実質的に無関係な入力デバイスを通る電流の流れを維持する適切な相で、例えばデバイス303、304といった入力段に帰還される。
【0041】
図5は、同一の参照番号で設計されている回路400と共通の要素を有するシングルエンドのフォールデッドカスコード計装用増幅器回路500を示す。抵抗306は、2個の抵抗501、501に分割される。抵抗501は、電流源408の出力とトランジスタ303のソースの間を接続する。抵抗502は、電流源408の出力とトランジスタ304のソースの間を接続する。抵抗501、502は、等値を有し得る。抵抗501、502は、例えばトランジスタ303、304といった入力段を通る等しい電流の流れを維持するように動作する。
【0042】
図6は、同一の参照番号で設計されている回路500と共通の要素を有するシングルエンドのフォールデッドカスコード計装用増幅器回路600を示す。回路600では、トランジスタ602、603の差動対及び抵抗601が、電流制御電流源として動作する。抵抗601は、トランジスタ410、411から電源端子への合計出力をバイアスする。トランジスタ410、411からの合計出力は、トランジスタ602のベースに接続されている。トランジスタ602のコレクタは、抵抗501、502に接続し、そしてそれらの他方の端子において、入力段のトランジスタ303、304のソースに接続されている。トランジスタ603は、基準端子に接続されているベース及び電源端子に接続されているコレクタを有する。トランジスタ602、603のエミッタは両方、抵抗604を通して基準端子に接続されている。
【0043】
さらなる電流フォロワ(トランジスタ410、411及び関連回路)の合計電流は、直列抵抗601での電圧降下を生成する。この電圧降下は基準電圧と比較され、差は、トランジスタ602のコレクタにおいて差動段の出力電流で変換される。
【0044】
電流制御電圧源は、それぞれトランジスタ310、311に接続されている一対のトランジスタ605、606を有する増幅段またはレベル段に接続されている。トランジスタ605、606のベースは両方、トランジスタ310のコレクタに接続されている。トランジスタ605のコレクタは、トランジスタ310のコレクタに接続されている。トランジスタ605のエミッタは、抵抗607を通して共通端子に接続されている。トランジスタ606のコレクタは、トランジスタ311のコレクタに接続されている。トランジスタ606のエミッタは、抵抗608を通して共通端子に接続されている。トランジスタ605、606は、一種のウィルソンカレントミラーとして構成され得る。
【0045】
図7は、シングルエンドのフォールデッドカスコード計装用増幅器700の概略図を示す。差動入力段701は、差動入力信号を受信する。同相信号は、差動入力段への入力の一部として望まない信号をもたらし得る。差動入力段は、差動信号をレベルシフト段702に出力する。レベルシフト段702は、出力段703とともに差動フォールデッドカスコード増幅段を形成し得る。カレントミラー704はレベルシフト段の出力に接続されている。出力段703は、差動入力段に帰還される。差動入力段701は、出力段703からまたはフォールデッドカスコード構成から帰還信号を受信する抵抗帰還ネットワーク(例えば抵抗305~307、501、502)を含み得る。例では、定電流源705もまた、帰還ネットワークを通して、差動入力段に接続され得る。
【0046】
図8は、動作方法800を示す。方法800は、計装用増幅器の差動入力対で差動入力信号を受信すること(801)を含む。差動対から提供された出力電流モード信号は、一対のフォールデッドカスコードトランジスタ及び電流バッファとして構成されたさらなるトランジスタ対によって分割される(802)。該さらなるトランジスタ対から提供された出力電流モード信号の一部は合計される(803)。さらなるトランジスタ対から提供された出力電流モード信号の一部の合計は、電流制御電流源の入力で受信される(804)。電流制御電流源の出力電流は、帰還ネットワークでかつ差動入力段の帰還入力に受信される(805)。
【0047】
図9は、同一の参照番号で設計されている回路600と共通の要素を有するシングルエンドのフォールデッドカスコード計装用増幅器回路600Aを示す。回路600Aは、出力バッファ313への単一入力と共通端子(例えばグラウンドプレーン)の間で接続されている出力抵抗901を含む。出力バッファ313は、単一の入力演算増幅器を含み得る。出力バッファ313は、シングルエンドの出力信号を出力する。出力信号は、入力差動段に接続されている第1の抵抗ネットワーク内に入力される。第2の抵抗ネットワーク903からの出力は、帰還信号を、例えば抵抗307といった第1の抵抗ネットワークに提供する。第1のかつ第2の抵抗ネットワークは、利得設定を制御するように動作し得る。第1のかつ第2の抵抗ネットワークは、外部利得設定回路であり得る。第1のかつ第2のネットワークは並列接続され得る。出力バッファの入力は、抵抗903を通して、カレントミラーから出力された差動電流モード信号を受信する。
【0048】
図10は、増幅器回路300、400、500、600、600Aまたは700を用いて音声信号を処理する電子増幅器1000を示す。電子増幅器100は、家庭用オーディオシステムまたはギターのアンプのような楽器の増幅器のための構成要素であってもよい。増幅器1000は、音声信号をエンコードする電気信号を受信する音声入力1001を含み得る。音声信号はアナログ信号であり得る。音声入力回路1001は、例えばマイク、エレキギターのピックアップまたは適切な楽器からの、あるいは無線受信機、デジタル音楽プレーヤー、ターンテーブルなどからの低電力レベルの音声信号を受信し得る。増幅器回路1002は、入力回路1001から信号を受信する。増幅器回路1002は、様々な例において、増幅器回路300、400、500、600、600Aまたは700のうちの任意の1つであり得る。増幅器回路1002は、低電力の不可聴電子音声信号を受信し、信号を強化、例えば、信号の電力または電圧レベルを上昇させることができる。任意選択的に、平均化段1003は、増幅器回路1002から増幅された音声信号を受信し、音声信号を調整することができ、次いでそれは出力増幅器回路1004に出力される。出力増幅器1004は、最終利得を音声信号に提供して、スピーカ(図示せず)への信号を駆動することができる。
【0049】
増幅器300、400、500、600、600Aまたは700は、カスコードレベルシフト段(例えば310、311)に接続されている差動入力トランジスタであり得る差動入力段(例えば303、304)のソースに帰還するシングルエンドの出力を含む。カレントミラー312は、カスコードレベルシフト段をバイアスする。帰還段は、例えば、複数の抵抗素子を含む305、306、307といった帰還ネットワークを含む。第1の抵抗307は、出力段からの出力を第1の入力トランジスタのソースに接続する。第2の抵抗306は、第1の入力トランジスタ及び第2の入力トランジスタの両方のソースに接続されている。第3の抵抗305は、第2のトランジスタのソースを、共通端子、例えばグラウンドまたは設定された電圧レベルに接続する。出力からの帰還は、入力段を制御する。
【0050】
様々な実施形態が記載される。例示的な実施形態では、計装用増幅器は、高同相除去及び低歪みを提供するように構成される。計装用増幅器は、差動入力電圧及び差動帰還電圧を受けるように構成された入力差動対と、該入力差動対から提供された出力電流モード信号を受信するように構成されたフォールデッドカスコード増幅段と、該フォールデッドカスコード増幅段から提供された出力電流モード信号をミラーリングするように構成されたカレントミラーと、抵抗帰還ネットワークを備える外部利得設定構成であって、該入力差動対の帰還入力間に接続されている第1の抵抗、カレントミラーの出力端子と該入力差動対の第1の帰還入力の間の第2の抵抗、及び共通端子と該入力差動対の第2の帰還入力の間の第3の抵抗を含む外部利得設定構成とを含み得る。
【0051】
上記の実施形態はまた、出力バッファ及び出力抵抗も含み得る。出力バッファは、カレントミラーから差動電流モード信号を受信し、出力電圧を帰還ネットワークに提供するように構成される。出力抵抗は、該出力バッファの入力端子に結合される。
【0052】
上記の実施形態のいずれかにおいて、第2の抵抗外部利得設定構成は、出力バッファの出力端子と該入力差動対の第1の帰還入力の間で接続される。
【0053】
上記の実施形態のいずれかにおいて、計装用増幅器は、さらに、電流バッファとして接続されたさらなるトランジスタ対を備える。トランジスタのそれぞれは、フォールデッドカスコード増幅段のトランジスタのうち対応するものとともに電流分割器として構成される。さらなるトランジスタ対は、入力差動段の出力電流の合計の一部を電流制御電流源の入力に提供するように構成される。
【0054】
上記の実施形態のいずれかにおいて、電流制御電流源は、該入力差動段の帰還入力に打消し電流を提供するように構成される。
【0055】
上記の実施形態のいずれかにおいて、電流バッファとして接続されたさらなるトランジスタ対において、該さらなるトランジスタ対のそれぞれは、フォールデッドカスコード増幅段のトランジスタのうち対応するものとともに電流分割器として構成される。
【0056】
上記の実施形態のいずれかにおいて、さらなるトランジスタ対は、入力差動段の出力電流の合計の一部を電流制御電流源の入力に提供するように構成される。
【0057】
上記の実施形態のいずれかにおいて、電流制御電流源は、該入力差動段の帰還入力に打消し電流を提供するように構成される。
【0058】
上記の実施形態のいずれかにおいて、外部利得設定構成は、該入力差動対の帰還入力間に接続されている一対の抵抗を備える。第3の抵抗は、カレントミラーの出力と入力差動対の第1の帰還入力の間で接続されている。第4の抵抗は、共通端子と該入力差動対の第2の帰還入力の間で接続されている。第5の抵抗は、入力差動対の帰還入力間に接続されている一対の抵抗の共通端子と電流制御電流源の出力の間に接続されている。
【0059】
上記の実施形態のいずれかにおいて、外部利得設定構成は、入力差動対の帰還入力間に接続されている第1の抵抗と、カレントミラーの出力端子と入力差動対の第1の帰還入力の間の第2の抵抗と、共通端子と該入力差動対の第2の帰還入力の間の第3の抵抗と、電圧制御電流源の出力端子と該入力差動対の第1の帰還入力の間の第4の抵抗と、電圧制御電流源の出力端子と該入力差動対の第2の帰還入力の間の第5の抵抗の抵抗ネットワークを備える。電流制御電圧源は、該帰還構成の第4の抵抗及び第5の抵抗に打消し電圧を提供するように構成される。
【0060】
上記の実施形態のいずれかにおいて、外部利得設定構成は、該入力差動対の帰還入力間に接続されている第1の抵抗と、出力バッファの出力端子と該入力差動対の第1の帰還入力の間の第2の抵抗と、共通端子と該入力差動対の第2の帰還入力の間の第3の抵抗と、電圧制御電流源の出力端子と該入力差動対の第1の帰還入力の間の第4の抵抗と、電圧制御電流源の出力端子と該入力差動対の第2の帰還入力の間の第5の抵抗の抵抗ネットワークを備える。電流制御電圧源は、該帰還構成の第4の抵抗及び第5の抵抗に打消し電圧を提供するように構成される。
【0061】
上記の実施形態のいずれかにおいて、外部利得設定構成は、該入力差動対の帰還入力間に接続されている一対の抵抗と、カレントミラーの出力と該入力差動対の第1の帰還入力の間の第3の抵抗と、共通端子と該入力差動対の第2の帰還入力の間の第4の抵抗と、該入力差動対の帰還入力間に接続されている一対の抵抗の共通端子と電流制御電圧源の出力の間の第5の抵抗の抵抗ネットワークを備える。上記の実施形態のいずれかにおいて、電流制御電圧源は、該帰還構成の第5の抵抗に打消し電圧を提供するように構成される。
【0062】
上記の実施形態のいずれかにおいて、外部利得設定構成は、抵抗ネットワークを備える。抵抗ネットワークは、該入力差動対の帰還入力間に接続されている一対の抵抗と、出力バッファの出力と該入力差動対の第1の帰還入力の間の第3の抵抗と、共通端子と該入力差動対の第2の帰還入力の間の第4の抵抗と、該入力差動対の帰還入力間に接続されている一対の抵抗の共通端子と電流制御電圧源の出力の間の第5の抵抗とを含み得る。電流制御電圧源は、該帰還構成の第5の抵抗に打消し電圧を提供するように構成される。
【0063】
上記の実施形態のいずれかは以下の方法を提供することができ、または、方法は、上述した具体例以外で動作することができる。計装用増幅器で高同相除去を実現する方法は、計装用増幅器の差動入力対で差動入力信号を受信するステップと、一対のフォールデッドカスコードトランジスタ及び電流バッファとして構成されたさらなるトランジスタ対によって、該差動入力対から提供された出力電流モード信号を分割するステップと、該さらなるトランジスタ対から提供された出力電流モード信号の一部を合計するステップと、電流制御電流源の入力で、該さらなるトランジスタ対から提供された出力電流モード信号の一部の合計を受信するステップと、電流制御電流源の出力電流を帰還ネットワークにかつ差動入力段の帰還入力に提供するステップとを含み得る。
【0064】
本明細書中に記載された本回路は、シングルエンドの計装用増幅器において差動フォールデッドカスコード増幅段を有し得る。本回路は、単一の利得ブロックの計装用増幅器の同相除去比を高めるように動作し得る。本回路は、同相除去比を低下させることなく、増幅信号の高精度及び低歪みを可能にする差動フォールデッドカスコード増幅段を有し得る。本開示の上記の利点及び他の利点は、追加の電流制御電流源を含み得る差動フォールデッドカスコード増幅器回路による一形式で実行される。
【0065】
上述した増幅器回路、システム及び方法は、音声増幅器における構成要素回路であり得る。
【0066】
例示的な実施形態を上述したが、これらの実施形態が発明のあらゆる可能な形式を記載するとは意図されない。むしろ、明細書で用いられた単語は限定ではなく説明のための単語であり、発明の精神及び範囲から逸脱することなく多様な変更が成され得ることが理解される。さらに、様々な実装実施形態の特徴は組み合わされて発明のさらなる実施形態を形成し得る。