(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】生物学的及び非生物学的粒子を検知し分類するリアルタイム光学系方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 15/14 20060101AFI20220324BHJP
G01N 21/23 20060101ALI20220324BHJP
G01N 21/49 20060101ALI20220324BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20220324BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20220324BHJP
C12Q 1/70 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
G01N15/14 P
G01N15/14 K
G01N15/14 C
G01N15/14 A
G01N21/23
G01N21/49 Z
G01N21/64 A
C12Q1/04
C12Q1/70
(21)【出願番号】P 2018556864
(86)(22)【出願日】2017-04-11
(86)【国際出願番号】 US2017026933
(87)【国際公開番号】W WO2017192244
(87)【国際公開日】2017-11-09
【審査請求日】2020-04-03
(32)【優先日】2016-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518349857
【氏名又は名称】ハミルトン アソシエイツ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100091719
【氏名又は名称】忰熊 嗣久
(72)【発明者】
【氏名】シルコット デビット ビー
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-182008(JP,A)
【文献】特表2008-530583(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0105849(US,A1)
【文献】特開2002-005834(JP,A)
【文献】特開2004-125602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00-15/14
G01N 21/00-21/01
G01N 21/17-21/74
C12Q 1/00-3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単浮遊粒子を検出し分類する方法であって、前記方法は、
(a)光学検出器の光学感知ゾーンにたくさんの浮遊粒子を有する空中サンプルを導き、
(b)前記光学感知ゾーンにある単浮遊粒子を第1の偏光ビームで照らし、
(c)前記第1の偏光ビームによる前記単浮遊粒子の照明によって生ずる弾性光散乱を検出し、
(d)前記第1の偏光ビームによる前記単浮遊粒子の照明によって生ずる前記検出した弾性光散乱を使用して、次の、(i)前記単浮遊粒子の大きさ、と(ii)前記単浮遊粒子の偏光解消値と前記単浮遊粒子の強度微分弾性散乱値のうちの1つである前記単浮遊粒子の第1の値、のそれぞれを決定し、ここに前記偏光解消値の決定は前記第1の偏光ビームに直交して偏光する第2の偏光の散乱振幅を分析することを含むものである、そして
(e)前記単浮遊粒子の大きさ及び前記単浮遊粒子の第1の値に基づく前記単浮遊粒子の少なくとも1つの特性を決定する、
工程を含むことを特徴とする単浮遊粒子を検出し分類する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、さらに
(a)垂直に偏光した散乱光を前記第1の偏光ビームに直交して配置される第1の検出器に導き、
(b)水平に偏光した散乱光を前記第1の偏光ビームに直交して配置される第2の検出器に導き、そして
(c)水平に偏光した散乱光と垂直に偏光した散乱光を分析することにより決定される前記偏光解消値及び粒子の大きさに基づいて粒子を分類する、
工程を含むことを特徴とする単浮遊粒子を検出し分類する方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
(a)前記単浮遊粒子は10ミクロン以下の空気力学的径を有しており、前記少なくとも1つの特性は前記単浮遊粒子を特定の類型の生物学的粒子として識別するものである、
ことを特徴とする単浮遊粒子を検出し分類する方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法は、さらに、
(a)前記第1の偏光ビームから予め設定した間隔を設けられた第2の偏光ビームで前記光学感知ゾーンにある単浮遊粒子を照らし、ここに前記第1の偏光ビームは水平偏光ビームで第2の偏光ビームは垂直偏光ビームであり、そして、
(b)前記水平偏光ビーム及び前記垂直偏光ビームによる前記単浮遊粒子の照明によって生ずる弾性光散乱を検出し、
(c)前記水平偏光ビーム及び前記垂直偏光ビームによる前記単浮遊粒子の照明によって生ずる弾性光散乱を検出する前に、前記水平偏光ビーム及び前記垂直偏光ビームによる前記単浮遊粒子の照明によって生ずる弾性光散乱を水平偏光フィルターに透過させる、
工程を含むことを特徴とする単浮遊粒子を検出し分類する方法。
【請求項5】
単浮遊粒子を検出し分類する方法であって、前記方法は、
(a)たくさんの浮遊粒子を有する空中サンプルを光学検出器の光学感知ゾーンに導き、
(b)前記光学感知ゾーンにある単浮遊粒子を第1の偏光ビームで照らし、
(c)前記第1の偏光ビームによる前記単浮遊粒子の照明によって生ずる弾性光散乱を検出し、
(d)前記第1の偏光ビームによる前記単浮遊粒子の照明によって生ずる前記検出した弾性光散乱を使って、次の、(i)単浮遊粒子の大きさ、と(ii)前記単浮遊粒子の偏光解消値と前記単浮遊粒子の強度微分弾性散乱値のうちの1つである前記単浮遊粒子の第1の値、のそれぞれを決定し、
(e)前記単浮遊粒子の大きさ及び前記単浮遊粒子の第1の値に基づく前記単浮遊粒子の少なくとも1つの特性を決定し、そして
(f)前記光学感知ゾーンにある前記単浮遊粒子を前記第1の偏光ビームから予め設定した間隔を設けられた第2の偏光ビームで照らし、ここに前記第1の偏光ビームは右回り円偏光ビームで第2の偏光ビームは左回り円偏光ビームであり、且つ、前記第1の値が円偏光解消値と円強度微分散乱値のうちの1つである、
工程を含むことを特徴とする単浮遊粒子を検出し分類する方法。
【請求項6】
単浮遊粒子を検出し分類する方法であって、前記方法は、
(a)たくさんの浮遊粒子を有する空中サンプルを光学検出器の光学感知ゾーンに導き、
(b)前記光学感知ゾーンにある単浮遊粒子を水平偏光ビームで照らし、
(c)前記光学感知ゾーンにある前記単浮遊粒子を前記水平偏光ビームが前記単浮遊粒子を照らす前又は後に前記単浮遊粒子を照らす垂直偏光ビームで照らし、
(d)前記水平偏光ビーム及び垂直偏光ビームによる前記単浮遊粒子の照明によって生ずる弾性光散乱を検出し、そして
(e)(d)項の検出工程の前に、前記水平偏光ビームによる前記単浮遊粒子の照明によって生ずる弾性光散乱を水平偏光フィルターに透過させる、
工程からなることを特徴とする単浮遊粒子を検出し分類する方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、さらに
(a)請求項6の(d)項の検出工程の前に、前記垂直偏光ビームによる前記単浮遊粒子の照明によって生ずる弾性光散乱を水平偏光フィルターに透過させ、
(b)前記単浮遊粒子の照明によって生ずる前記検出した弾性光散乱を使って、次の(i)前記単浮遊粒子の大きさ、と(ii)前記単浮遊粒子の直線偏光解消値、のそれぞれを決定し、そして、
(c)前記単浮遊粒子の大きさ及び前記単浮遊粒子の直線偏光解消値に基づく前記単浮遊粒子の少なくとも1つの特性を決定する、
工程を含むことを特徴とする単浮遊粒子を検出し分類する方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、さらに
(a)前記水平偏光フィルターを透過する弾性光散乱を単一の光検出器に導く、
工程を含むことを特徴とする。
【請求項9】
請求項6に記載の方法において、さらに
(a)請求項6の(d)項の検出工程の前に、前記垂直偏光ビームによる前記単浮遊粒子の照明によって生ずる弾性光散乱を垂直偏光フィルターに透過させる、
工程を含むことを特徴とする単浮遊粒子を検出し分類する方法。
【請求項10】
請求項6に記載の方法において、
(a)前記単浮遊粒子が10ミクロン以下、好ましくは0.5-1.5ミクロンの範囲の空気力学的径を有している、
ことを特徴とする単浮遊粒子を検出し分類する方法。
【請求項11】
請求項6に記載の方法において、さらに
(a)前記水平偏光ビーム及び前記垂直偏光ビームによる前記単浮遊粒子の照明によって生ずる弾性光散乱を直交蛍光検出チャンネルに透過させる、ここに前記直交蛍光検出チャンネルは光学感知ゾーンの片側に配置され且つ前記水平偏光フィルターは光学感知ゾーンの反対側に配置されている、
工程を含むことを特徴とする単浮遊粒子を検出し分類する方法。
【請求項12】
単浮遊粒子を検出し分類する単浮遊粒子光学分析装置であって、前記単浮遊粒子光学分析装置は、
(a)光学感知ゾーン、
(b)たくさんの浮遊粒子を有する空中サンプルを光学検出器の光学感知ゾーンに導く手段、
(c)前記光学感知ゾーンにある単浮遊粒子を少なくとも1つの偏光ビームで照らす手段、
(d)前記単浮遊粒子の照明によって生ずる弾性光散乱を検出する光検出器、
(e)前記単浮遊粒子の照明によって生ずる前記検出した弾性光散乱を使って、次の(i)前記単浮遊粒子の大きさ、と(ii)前記単浮遊粒子の偏光解消値と前記単浮遊粒子の強度微分弾性散乱値のうちの1つである前記単浮遊粒子の第1の値、のそれぞれを決定するプロセッサ、ここに前記プロセッサは偏光解消値を決定する際
、第1の偏光ビームに直交して偏光する第2の偏光の散乱振幅を分析するように構成されている、とを含み、
(f)前記プロセッサはさらに、前記単浮遊粒子の大きさ及び前記単浮遊粒子の第1の値に基づく前記単浮遊粒子の少なくとも1つの特性を決定するように構成されている、
ことを特徴とする単浮遊粒子光学分析装置。
【請求項13】
請求項12に記載の単浮遊粒子光学分析装置において、
(a)前記単浮遊粒子は10ミクロン以下の空気力学的径を有し、前記少なくとも1つの特性は前記単浮遊粒子を特定の類型の生物学的粒子として識別する、
ことを特徴とする単浮遊粒子光学分析装置。
【請求項14】
請求項12に記載の単浮遊粒子光学分析装置において、さらに
(a)前記弾性光散乱が前記光検出器で検出される前に
、垂直水平偏光ビームによる前記単浮遊粒子の照明によって生ずる弾性光散乱が透過するように、前記光学感知ゾーン及び前記光検出器に対応して配置される水平偏光フィルターを含み、且つ、前記照らす手段がレーザー、1/4波リターダ及び複屈折結晶を含み、前記1/4波リターダは前記レーザーによって発生されたビームを円偏光し、そして、前記複屈折結晶は予め設定された距離だけ間隔を開けられた垂直水平偏光ビームを発生し、且つ、前記複屈折結晶は、前記単浮遊粒子が前記光学感知ゾーンを透過する際、前記垂直水平偏光ビームによって照らされるように前記光学感知ゾーンに対応して配置されている、
ことを特徴とする単浮遊粒子光学分析装置。
【請求項15】
単浮遊粒子を検出し分類する方法であって、前記方法は、
(a)たくさんの浮遊粒子を有する空中サンプルを光学検出器の光学感知ゾーンに導き、(b)前記光学感知ゾーンにある単浮遊粒子を第1の偏光ビームで照らし、
(c)前記第1の偏光ビームによる前記単浮遊粒子の照明により、次の(i)粒子自己蛍光、と(ii)前記単浮遊粒子の偏光解消値である前記単浮遊粒子の第1の値、のそれぞれを決定し、そして
(d)粒子自己蛍光及び前記単浮遊粒子の第1の値に基づく前記単浮遊粒子の少なくとも1つの特性を決定する、
工程からなることを特徴とする単浮遊粒子を検出し分類する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル検光器に関するものであり、詳しくは、空中浮遊する生物学的及び非生物学的粒子のリアルタイム検出及び分類のための光学分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空中浮遊する生物学的及び非生物学的粒子をリアルタイム検出及び分類する方法とシステムの発展において、ここ15年間、重要な進歩がある。ほとんどの方法とシステムは、非生物学的粒子から生物学的粒子を識別するために粒子サイズ測定とレーザー誘起蛍光(LIF)を利用する光学アプローチに基づいている。これらの方法は、生物学的粒子によく見られる刺激的な内因性蛍光物質に特有な様々の波長を用いる照明アプローチを含んでいる。LIFに基づくアプローチもまた、向上した分類には異なる波長で作動する複数の励起源を含んでいる。他のアプローチは、単粒子のラマン分光法及びフーリエ変換赤外分光法と同様に、単粒子のミネラル含有量と自己蛍光の両方を測定するLIF検出を伴ったレーザーブレイクダウン分光法を含んでいる。
【0003】
戦場や本土防衛のような地域における改善された環境生物学的監視、屋内や屋外の空気質監視、空気院内感染制御、生物製剤や他の製造作業、下水処理場、動物生産小屋や常時監視従業員が早期警告する他の作業の汚染制御監視、及び微生物、ウイルスや他類の生物学的粒子の有害曝露の防止を発展させる必要がある。守備目的に関しては、生物学的攻撃の最も致命的な形はエアゾール化薬剤によるものである。現在まで、粒子サイズ測定とレーザー誘起蛍光の両方を利用する光学法が、戦場や本土防衛に適用されてきた。このアプローチは、特に、屋内の生物攻撃を監視する保護適用を構築するために効果的な早期警告性能であることを立証した。ある程度、LIF系検出を用いるリアルタイム空中浮遊微生物監視が生物製剤製造の汚染制御監視や他のクリーンルーム作業に適用されてきた。これらのLIF系生物学的粒子計測法は有益な早期警告システムであることを示しているが、それらは制限がないわけではなく、重要な改良の余地が存在する。
【0004】
LIF系生物学的微粒子検出には3つの主な制限がある。第一に、単一の植物型又は胞子型有機体を検出する能力である。現分野のLIF系生物学的粒子検出器は、エアロゾル粒子毎に、栄養細胞と、胞子集合粒子又は多数の栄養細胞若しくは胞子を含む粒子の検出に限定される。生体防御やその他の適用に、単一の栄養細胞や胞子の検出が要求され、充分な保護または効果的な汚染制御監視を提供することが必要である。LIF系アプローチでは、相当な光パワーを持ったレーザー源が使われなければ、不足量の光は、粒子サイズが0.5~1.5ミクロン径のとき非生物学的粒子から生物学的粒子を確実且つ正確に分類するために、蛍光励起から放射される。これは特に、大半の事例では、250~300nmの波長範囲のような短波長に対して適用されるだけでなく、350~450nmの波長範囲のような長い励起波長に対してあてはまる。
【0005】
第二に、非生物学的粒子と生物学的粒子を識別したり、細菌胞子、カビ胞子、栄養細菌、ウイルス集合体、タンパク毒素集合体、及び細菌、ウイルスまたは菌類を含有する媒介粒子のような生物学的粒子類型を識別したりする能力は、非常に制限される。非生物学的と生物学的の識別の最小限の必要性とともに、LIF系粒子検出アプローチの利用は無機粒子と非蛍光人工粒子からの識別には有益であるが、紙粒子または光学増白剤を含む衣服粒子のような蛍光体をドープされた粒子や、皮膚細胞断片や動物麟屑のような内部蛍光を持ったよく遭遇する粒子に対しては重大な制限に直面している。LIF系多波長励起アプローチの利用は、単一源アプローチを超えた幾つかの改良された分類を有するが、当該アプローチは広範囲にわたる適用には費用効率が良くない。
【0006】
第三に、現行のLIF系アプローチは、対象の生物学的粒子濃度レベルを検出する能力、特に、空気リットル当たりの2、3の粒子に対するごくわずかの検出が要求される適用において制限される。適時に検出し、よく遭遇するエアロゾル背景からこれらの低いレベルを識別するのは、LIF系生物学的粒子検出アプローチにはとても難しくなる。現行システムは、毎分1~3リットルの空気採取流量に制限されている。これは、低濃度の生物学的粒子の存在を検出し警報を発するためのゆっくりとした応答時間や長い採取時間と同等である。これを補填するためのエアロゾル濃縮器の利用は、識別問題が採取流量や背景のエアロゾル濃度の増加と共に増えるので、その適用に制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の好ましい実施の形態は、偏光弾性散乱に基づき、リアルタイムに、個々の空中浮遊生物学的及び非生物学的粒子を検出し分類する方法、装置並びにシステムに関するものである。粒径及び/又は自己蛍光含有量は更なる直交分類の偏光弾性散乱と一緒に用いてもよい。偏光弾性散乱で、粒子形態、屈折率、内部の非対称構造及び分子光学活性から産出された直線又は円偏光解消度は個々の空中浮遊粒子を分類するために使用することができる。その上、円強度微分散乱(CIDS)及び直線強度微分散乱(LIDS)は個々の粒子を分類する手段を提供する。CIDSは、主に、生物学的粒子に一般的に見られる不斉高分子複合体及び集合体由来のような、粒子の固有分子光学活性及び内部非対称構造に基づいている。LIDSは、粒子の形状又は形態、屈折率、固有の光学活性及び内部非対称構造に基づいている。
【0008】
直線偏光解消検出を使用するとき、粒子から散乱された光の正規化偏光解消は関係式:
δN =[IV]/[IH + IV]
によって決定できる。
δNが正規化された偏光解消を表すとき、IHは水平偏光の散乱強度を表して照明ビームの偏光状態と同様であり、IVは垂直偏光の強度を表す。他の構成では、直交する直線偏光の2つの入射ビームを個々の粒子の照明に使用することができ、散乱水平偏光が偏光解消度を測定するのに使用される。この構成では、直交する直線偏光入射ビームが空間的に2つに分離されている間に収集された水平偏光の散乱強度の割合は個々の粒子を分類するために使用することができ、関係式:
δ= IHV/IHH
によって得られる。
δが偏光解消を表すとき、IHHは水平偏光と水平偏光入射ビームの散乱強度を表し、IHVは垂直偏光入射ビームの強度を表す。
【0009】
円偏光検出を使用するとき、粒子から散乱した光の正規化偏光解消は関係式:
δ+C =[I⊥]/[I||+ I⊥]
δ-C =[I||]/[I||+ I⊥]
によって決定できる。
δ+C は照明源として右回り偏光を使うときの円偏光解消を表し、δ-C は照明源として左回り偏光を使うときの円偏光解消を表し、I⊥ は垂直偏光の散乱強度を示し、I||は平行偏光の散乱強度を表す。このアプローチで、単一円偏光源が照明に使用されるか、左右回り円偏光の2つの入射ビームが個々の粒子の照明に使用され、散乱した垂直及び平行の偏光が偏光解消度を測定するために使用される。二重ビーム構成において、左右回りの円偏光入射ビームが空間的に2つに分離されている間に収集された垂直及び平行の偏光散乱強度の比率は個々の粒子を分類するために使用することができる。
【0010】
CIDS検出を使用するとき、左右の円偏光の微分散乱は生体高分子の円偏光二色性に寄与する。粒子又は高分子複合体の直径が励起波長の20分の1を超えると、円偏光二色性に対する微分散乱寄与が重要になる。キラル粒子の吸収帯外で励起波長を使用すると、微分散乱のみが円偏光二色性に寄与する。キラル散乱粒子はシグナルと大きさが共に相対的向き及びキラル散乱要素間距離に直接関与する微分散乱シグナルを産出することになる。このシグナルは定量的に得られ、非生物学的粒子から生物学的粒子の識別や他からの1つの生物学的類型粒子を識別するために使用することができる。例えば、タンパク質におけるDNA分子又はαヘリックス成分のようなヘリカル構造にとって左右の円偏光の微分散乱は、励起源の波長と同様、ヘリックスのピッチや半径に対して高感度である。散乱角度θにおける円強度微分散乱(CIDS)は次の関係式:
[IL(θ)-IR(θ)]/[IL(θ)+IR(θ)]
で決定することができる。
IL(θ)は入射ビームが左回り円偏光であるとき角度θで散乱した光で、IR(θ)は入射ビームが右回り円偏光であるとき角度θで散乱する光である。CIDSはサイズ、形状、又は屈折率に高感度ではないが、全ての空中浮遊細菌、菌類、ウイルスやタンパク質凝集分子に存在する生体高分子のキラリティに対して高感度である。
【0011】
LIDS検出が使用されるとき、垂直及び水平偏光の微分散乱が形状、粒子の屈折率及びキラル含有量、又は具体的には、内部の非対称構造及び分子光学活性に対して高感度である。散乱角度θにおける線形強度微分散乱(LIDS)は関係式:
[IH(θ)-IV(θ)]/[IH(θ)+IV(θ)]
で決定することができる。
IH(θ)は入射ビームが水平偏光されるとき角度θで散乱した光で、IV(θ)は入射ビームが垂直偏光であるとき角度θで散乱する光である。LIDSはサイズ、形状、及び屈折率に高感度であり、また全ての空中浮遊細菌、菌類、ウイルスやタンパク質凝集分子に存在する生体高分子のキラリティに対しても高感度である。
【0012】
直線偏光解消検出を使用するとき、本発明の好ましい実施形態は、粒子が照明領域を通過する際、偏光解消が単一源から発生した2つの垂直に間隔を開けたビームで水平から垂直に交互に起こるように直線偏光ビームで粒子を照らすこととした単粒子を検出し分類する方法を含んでいる。それによる水平偏光フィルターを用いる単一の検出器は単粒子に偏光及び偏光解消された散乱シグナルを取り込む。粒子のサイズは水平偏光源で弾性散乱強度を測定することによって決定できる。特定の粒径範囲の偏光解消度は、それから、様々の生物学的及び非生物学的類型エアロゾルに対するシグネチャーのライブラリと比較してもよい。この方法では、源の励起の選択が生物学的粒子によく遭遇される望ましい内因性蛍光体を励起できるものであれば、直交蛍光検出チャンネルを追加することができる。
【0013】
円偏光解消検出を使用するとき、本発明の1つの好ましい実施形態は、粒子が照明領域を通過する際、単一源から発生した2つの垂直に間隔を開けられたビームで偏光が右回りから左回りに交互に起きる円偏光ビームで粒子を照らすこととした単粒子を検出し分類する方法を含んでいる。2つの検出器を備えた偏光ビームスプリッタは、単粒子上に平行及び垂直に偏光された散乱シグナルを取り込む。粒子のサイズは、2つの偏光散乱シグナルの強度を合計することによって決定される。特定の粒径範囲の偏光解消度は、それから、様々の生物学的及び非生物学的類型エアロゾルに対するシグネチャーのライブラリと比較してもよい。この方法では、源の励起の選択が生物学的粒子によく遭遇される望ましい内因性蛍光体を励起できるものであれば、直交蛍光検出チャンネルを追加することができる。
【0014】
CIDS検出を使用するとき、本発明の好ましい実施形態は、粒子が単粒子上の円強度微分散乱シグナルを取り込むことによって照明領域を通過して、偏光が単一源から発生した2つの垂直に間隔を開けられたビームと左から右(右から左)回りに交互に起きる円偏光ビームで粒子を照らすこととした単粒子を検出し分類する方法を含んでいる。粒子のサイズは、弾性散乱強度を測定することによって決定される。左回り及び右回り円散乱シグナルの強度はエアロゾルイベント毎のCIDS値を決定するために使用される。CIDS値は、それから、様々の生物学的及び非生物学的類型エアロゾルに対するシグネチャーのライブラリと比較してもよい。この方法でも、源の励起の選択が生物学的粒子によく遭遇される望ましい内因性蛍光体を励起できるものであれば、直交蛍光検出チャンネルを追加することができる。
【0015】
LIDS検出を使用するとき、本発明の1つの好ましい実施形態は、単粒子上の直線強度微分散乱シグナルを取り入れることによって粒子が照明領域を通過する際、偏光が単一源から発生した2つの垂直に間隔を開けたビームと水平から垂直に交互に起きる直線偏光ビームで粒子を照らすこととした単粒子を検出し分類する方法を含んでいる。粒子のサイズは、弾性散乱強度を測定することによって決定される。垂直及び水平偏光散乱シグナルの強度はエアロゾルイベント毎のLIDS値を決定するために使用される。LIDS値は、それから、様々の生物学的及び非生物学的類型エアロゾルに対するシグネチャーのライブラリと比較してもよい。この方法でも、源の励起の選択が生物学的粒子によく遭遇される望ましい内因性蛍光体を励起できるものであれば、直交蛍光検出チャンネルを追加することができる。
【0016】
上記概要は、本発明の好ましい形式を記載するものであり、クレームされた発明を好ましい形式に限定するように何ら構成されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、二重垂直水平偏光ビーム源と水平偏光フィルターを備えた単一の検出器を有する直線偏光解消検出構造を含む光学検出器を示す図式表現である。
【
図1A】
図1Aは、2つの照明箇所又は区域を有する好ましい光学視界領域を示す拡大図式表現である。
【
図2】
図2は、単一の水平偏光ビーム源と、1つが水平偏光フィルターを備え、もう1つが垂直偏光フィルターを備える2つの検出器とを有する直線偏光解消検出構造を含む光学検出器を示す図式表現である。
【
図3】
図3は、二重垂直水平偏光ビーム源と、水平偏光フィルター及び直交蛍光検出チャンネルを備える単一の検出器とを有する直線偏光解消検出構造を含む光学検出器を示す図式表現である。
【
図4】
図4は、垂直水平偏光ビーム源と、偏光ビームスプリッタと、平行及び直交偏光散乱を検出する2つの検出器とを有する直線偏光解消検出構造を含む光学検出器を示す図式表現である。
【
図5】
図5は、二重の左回り及び右回り円偏光ビーム源、偏光ビームスプリッタ並びに平行及び直交偏光散乱を検出する2つの検出器を有する円偏光解消検出構造を含む光学検出器を示す図式表現である。
【
図6】
図6は、二重の左回り及び右回り円偏光ビーム源と、単一の検出器とを有する円強度微分散乱検出構造を含む光学検出器を示す図式表現である。
【
図7】
図7は、二重の垂直水平偏光ビーム源と、単一の検出器とを有する直線強度微分散乱検出構造を含む光学検出器を示す図式表現である。
【
図8】
図8は、単一の水平偏光ビーム源と、垂直偏光フィルター及び直交蛍光検出チャンネルを備える単一の検出器とを有する直線偏光解消検出構造を含む光学検出器を示す図式表現である。
【
図9】
図9は、
図1に示された光学分析計への単粒子の検出イベントを図示している。
【
図10】
図10は、偏光解消度が水平偏光濾過シグナルと水平偏光励起源から集めた散乱強度と、水平偏光濾過シグナル及び垂直偏光励起源から集めた散乱強度とを分割することによって決定される直線偏光解消反応を図示している。
【
図11】
図11は、偏光解消度が水平偏光濾過シグナルと水平偏光励起源から集めた散乱強度と、水平偏光濾過シグナル及び垂直偏光励起源から集めた散乱強度とを分割することによって決定される直線偏光解消反応を図示している。
【
図12】
図12は、
図10及び
図11と同様の比率測定を用いる付加的な直線偏光解消反応を図示し、偏光解消比率の使用は異なる環境からの遭遇する粒子から目的の粒子を分類するのに貢献する。3つの異なる環境、例えば、屋内建築物、地下鉄ホーム及び都市環境が設定される。
【
図13】
図13は、
図10、11及び3D分散分析アプローチと同様の比率測定を用いる付加的な直線偏光解消応答を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好ましい形態を、
図1-13を参照して説明する。添付の特許請求の範囲は、好ましい形態に限定されるものではなく、またここに使用される句は、そうでないと明確に述べない場合には、その通常の意味以外の意味が与えられるものではない。類似の参照符号の使用は、指摘する時を除いて同じ構成成分及び/又は特徴を示している。
【0019】
本発明の好ましい形態は、リアルタイムで生物学的及び非生物学的微粒子を検出分類する強化法、装置及びシステムに関する。いろんな検出体系が単エアロゾル粒子との光の相互作用を含む1つの光学現象を開発している(即ち、偏光弾性散乱)。単エアロゾル粒子との光の相互作用を含む第2の物理学的現象を用いてもよい(即ち、蛍光発光)。この光学現象(即ち、偏光弾性散乱及び蛍光発光)に加えて、粒子のサイズは、好ましくは実質的に同時に決定される。
【0020】
本発明の好ましい形態は、10ミクロン以下(例えば、0.5から1.5ミクロン)の空気力学的径を有する単空中浮遊粒子を検出し分類することができる。
【0021】
ここに、直線偏光及び円偏光の励起アプローチの変種であるエアロゾル計測配列を有する8つの光学検出器が記載される。偏光弾性散乱検出を使用する粒子測定は
図8を除いて全ての計測配列に適用できる。全ての配列において、好ましくは、エアロゾルは真空源(図示せず)によって光学視界領域に毎分0.01から100リットルで引かれ、粒子は1つ以上の光ビームで1つずつ照らされる。
【0022】
図1-4及び8は、好ましい光学検出器の様々の実施態様の概要を述べる分解組立図を提供するもので、直線偏光解消測定が1つ以上の励起源を使って個々の粒子に対して行われている。
図5は、好ましい光学検出器の実施形態の概要を述べる分解組立図を提供するもので、円偏光解消測定が1つ以上の励起源を使って個々の粒子に対して行われている。
図6は、好ましい光学検出器の実施態様の概要を述べる分解組立図を提供するもので、円強度微分散乱又はCIDS測定が1つ以上の励起源を使って個々の粒子に行われている。
図7は、好ましい光学検出器の実施態様の概要を述べる分解組立図を提供するもので、直線強度微分散乱又はLIDS測定が1つ以上の励起源を使って個々の粒子に行われている。
【0023】
好ましい光学検出器のそれぞれにおいては、粒径及び偏光弾性散乱のみを測定するとき、広範囲の波長が励起に用いられる(例えば、200-1500nm)。粒径、偏光弾性散乱及び蛍光発光を測定するとき、励起波長は250-300nm及び350-450nmのような目的とする内因性蛍光体の吸収帯内にある必要がある。計測配列に応じて、励起源は、端面発光レーザーダイオード、垂直キャビティ面発光レーザーダイオード、発光レーザーダイオード又は他のレーザー源であってもよい。また、1つ以上の源を、2つ以上の波長を持つ単粒子を照らす複屈折光学と、粒子を励起するときの各波長の2つの偏光状態を使って、空間に分割された(例えば、縦方向に分割された)二重の円又は直線偏光ビームを発生するように構成することができる。
【0024】
毎分1リットルを超える流速には、レーザー線発生光学を、凡そ5ミクロンから凡そ300ミクロンのレーザー線厚と、入口(エアロゾル口)径の少なくとも2倍の被写界深度とレーザー線幅を生じるように使用してもよい。毎分20リットルを超える流速には、円形の入口の使用を制限してもよく、むしろ長方形の入口を選んでもよい。毎分20リットルを超えるサンプリングフローを収容するために使われる長方形の入口の場合、レーザー線発生アプローチは、最小限、全ての長方形ノズル領域を照らすように調整された被写界深度とレーザー線幅を有するよう選ばれる。上記レーザー線発生アプローチは、サンプリングされたエアロゾル粒子を100%近く照らす目的をもって、空気サンプリング範囲の完璧な照明を確保するものである。レーザー線厚は、粒子一致を最小にするように、対象のサイズ範囲において、1つより多くのエアロゾル粒子を照らさずに最高限度のエアロゾル計数率を確実にするために小さくても光学設計で許されるようにするのが望ましい。
【0025】
サンプリング中の圧力低下及び/又は作動中の低い可聴ノイズがほとんどないことを求める適用において、本発明に記載された構造はエアロゾル入口ノズルなしで操作することができる。これらの構造では、レーザー線照明幾何学及び収集光学が、真空源として軸流ファンを介して個別粒子検出手段に低圧力低下と低可聴ノイズを提供してサンプリング量の好ましい範囲を照合するために使用される。
【0026】
様々の光収集幾何学は、測定される異なる物理学的現象に適用される異なるパラメーターと共に用いることができる。粒子測定には、偏光弾性散乱検出を用いて、取り入れることができる多数のアプローチが有り、当業者であれば放物線コレクターを用いた前方散乱収集、側方散乱収集、後方散乱収集及び広角収集に精通している。偏光弾性検出には、処置が角度で測った集光角に感度がよく、そのため、主に側方散乱収集を含むエアロゾル計測構造が好ましい。蛍光発光検出には、光ビーム方向に直交する蛍光発光の収集が蛍光発光シグナルへの迷光の影響を最小限にするのに好ましい。
【0027】
図1は二重垂直水平偏光ビーム源と、水平偏光フィルターを有する単一の検出器とを備える直線偏光解消検出構造を含む光学検出器を示す図式表現である。光学検出器を囲む空気からのエアロゾルは、
図1Aに示されるように、エアロゾルノズルを介してセンサセル140に又は真空源(図示しない)によってノズルのない吸気ポートに引き込まれ、光学視界領域145に導入される。適当な真空源を使ってもよい。エアロゾルノズルを使う場合、エアロゾルノズルは、好ましくは、毎分20リットル未満の流速用に円形であって、集光光学の汚れ速度を加速させてしまうエアロゾル濃度を含む適用にシースフローを組み込むことができる。毎分20リットルを超える流速には、好ましくはノズルが使われる。ノズルは、光ビーム路をたどるノズル入口の長辺と光ビームに直交する短辺を持つ長方形であるのが好ましい。
【0028】
励起源100は、好ましくは、連続スペクトル光源又は20MHz以上の周波数で変調され、端面発光レーザーダイオード、垂直キャビティ面発光レーザーダイオード、発光レーザーダイオード又は幾つかの他のレーザーとすることができる。励起源100の波長は、200-1500nmの範囲とすることができる。励起源100から放射された光は非球面レンズ110を使ってコリメートされる。励起源100と非球面レンズとの間の、又はレンズ110の前ではなく後の源空間濾過に応じて、エアロゾルセル140が必要となるかもしれない。コリメートされた光は次いでビーム整形光学系125に導入される。ビーム整形光学系125は、厚さが凡そ5ミクロンから凡そ300ミクロンで、好ましくは入口(エアロゾル口)径の少なくとも2倍の被写界深度とビーム幅である1枚の光シートをエアロゾルノズル領域につくるように設計された単レンズ又は集合レンズとすることができる。1つの実施形態では、ビーム整形光学系125は、上記幾何学を生じるよう設計された球面レンズや柱面レンズとすることができる。他の実施形態では、柱面レンズのみがビーム整形光学系125として使用される。さらに実施形態において、ビーム整形光学系125は、ガウシアンビームのエネルギーをトップハット型プロファイルに分布させるトップハット型ビーム整形光学からなる。1つの実施例は、その平面に配置された回折パターンを有する平凸レンズである。他の例は、ガウシアンビームをトップハット型プロファイルに変換するための単玉非球面レンズの使用である。他の実施形態では、ビーム整形光学系125は、単一パウエルレンズ、又は、パウエルレンズを伴った球面レンズとすることができる。長方形ノズルが使われるとき、ビーム整形光学系125は、円形レンズ用に上記したのと同じ構成部品からなってもよいが、光学設計は、好ましくは、被写界深度がこれらの列においてレーザー線幅より長いので、被写界深度の要件を叶えることを求められる。これらの列における被写界深度の長さはレーザー線幅の10倍より大きくすることができる。サンプリングされた粒子の100%近い照明を成し遂げるには、好ましいサイズ範囲内で、ビーム整形光学系125によって生成された光のシートの幅と深度が最低長方形ノズル寸法を超えるようにされる。
【0029】
ビーム光学系125からの光は、好ましくは100対1から10000000対1の範囲の消光比率を有する直線偏光子120に伝えられる。端面発光レーザーダイオードや垂直キャビティ面発光レーザーダイオードのような特定の源は、約100対1の固有偏光比率を持ち、ある特定のアプリケーション用の偏光測定の精度要件に応じ、直線偏光子120は省略することができる。直線偏光後、コリメートされた光は、複屈折性結晶135に伝えられる前にビームを円偏光させるために1/4波リターダ130に伝えられる。使用できる複屈折性結晶の例は、バナジン酸イットリウム、ホウ酸バリウム、方解石及び金紅石を含む。複屈折性結晶135への円偏光の導入は、同強度で結晶の長さに応じて一定距離だけ離れた垂直水平偏光ビームを発生させる。様々の構造において、250ミクロンから1000ミクロンの分離が好ましい。
【0030】
それから光ビームが
図1Aに示すように光学視界領域145に導入される。空間的に分離されたビームは光学感知ゾーン140に入るので、光学視界領域145は、
図1Aに見られるように、各ビームの1つに、2つの空間的に分離された照明箇所又は範囲を含む。粒子は、ノズル寸法及びノズルが使用されるかどうかに応じた100ナノ秒から10マイクロ秒のエアロゾル泳動時間、試料噴霧速度、及びレーザー線厚の対応ビームにより領域145の2つの空間的に分離された照明範囲のそれぞれにおいて、一度に1つ、照らされる。この領域を前方方向に出射する光は光トラップ150を使って収集される。好ましくは、
図1Aに見られるように、水平偏光ビームで照らされた照明範囲は垂直偏光ビームで照らされた照明範囲の下側に位置する。
【0031】
図1Aに示される好ましい実施形態では、偏光弾性散乱として放出された光はエアロゾルセル140の一方側で光ビームに直交する側に収集される。粒径測定及び偏光弾性分散分析のために、好ましくは、集光レンズ170が弾性散乱光を収集するために使用される。使用される受光器210の感度に応じ、いろんな型式の集光レンズや角型の集光範囲を使用することができる。光電子増倍管チューブ、シリコン光電子増倍管又はアバランシェ光ダイオードのような大きな作用面積を持った最も高感度の光検出器に対し、集光レンズ170は幾つかの事例において省略することができる。集光レンズ170を要する構造には、非球面コレクタレンズ、パラボラコレクタ、又は柱面レンズを使用することができる。角型の集光範囲は、非球面又は柱面レンズのサイズ若しくはパラボラコレクタの幾何学によって集光することができる。当業者であれば、集光レンズ170のような非球面レンズ又はパラボラコレクタを用いる多数のアプローチがあることに気づく。使用する集光レンズ170は取り込んだ光検出器210の感度や適用に依存している。サンプリングされたエアロゾル濃度が高いと判断される適用には、きれいにするのが簡単で試料エアロゾルからの汚損率の低い集光レンズ170を使用するのが好ましい。この場合、集光レンズ170は省略してもよいし、或いは、非球面レンズをパラボラコレクタの代わりに集光レンズ170として使用することができる。
【0032】
直線偏光解消検出や粒径測定には、レーザー源に直交して散乱した光がまず水平偏光フィルター207を通過し、それから集光レンズ170に導入され、その後に光検出器210に導入される。光検出器210は、シリコン光ダイオード、ひ化ガリウム光ダイオード、アバランシェ光ダイオード、シリコン光電子増倍管、光電子増倍管チューブ又はこれらの型式の検出器を配列したものを使用することができる。検出器の型式は、使われる集光レンズ170に応じて、エアロゾルイベント毎に除去された散乱光の量、検出器のダイナミックレンジ及び検出器の遮断周波数或いは応答時間が変更される。それから、光検出器210からのシグナルは増幅回路220に導入され、それにより100ナノ秒から10マイクロ秒の電流パルスがまずアナログ電圧に変換され、それからアナログ-デジタル転換装置230を使ってデジタルシグナルに変換される。それから、シグナル形230は解析のためにシグナルプロセッサ240に導入される。シグナルプロセッサ240は、シグナル処理分野の当業者に理解されやすいように、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ又はマイクロコンピュータとすることができる。
【0033】
先に説明したように、
図1に示す構造には、
図1Aに見られるように、単エアロゾルイベントが予め設定された距離だけ離れた光学視界領域145内の2つの照明範囲に導入される。第1照明範囲は、好ましくは、5-300ミクロンのレーザー線厚の水平偏光ビームによって照らされる。第2の照明範囲は、好ましくは、同等厚さの垂直偏光ビームと約250-1000ミクロンの好ましい距離離れたレーザー強度によって照らされる。粒子がビームを横切るので、2つの100ナノ秒から10マイクロ秒の電流パルスが生成され処理される。
【0034】
各チャンネルの増幅回路220は、アナログシグナル処理機能を実行するよう構成することができる。各チャンネルの増幅回路220のアナログ入力の帯域幅は、最速の期待される電流パルスを捕らえるように構成することができる。パルス時間は主として光学視界領域145を介したエアロゾル粒子の泳動時間の働きをし、100ナノ秒から10マイクロ秒の範囲内にあることが予測される。追加のアナログシグナル処理機能は、検出チャンネルからのシグナル電圧レベルが初期設定を超えるときのパルス検出回路のトリガー、各検出イベントの光検出パルスの調整及び保持、各検出チャンネルの波高値レベルの生成、粒子を空気力学直径のサブミクロンから25ミクロンより大きいサイズに整列させる全シグナル範囲を捕らえるための各検出チャンネルへの1以上の低周波段の使用、及び2つの検出イベントの各々へのアナログ-デジタル変換シグナルの生成を含む。
【0035】
粒径測定及び直線偏光解消検出に対し、シグナルプロセッサ240は、好ましくは、単粒子が水平及び垂直偏光ビームを横切ったときに発生する2つの検出イベントからデジタルシグナルを受け取るように構成されている。粒径測定に対しては、第1の検出イベントは、好ましくは、粒子を測定するために使用され、パルス高解析が第1及び第2照明箇所又は光学視界領域145の範囲内で発生するエアロゾルイベントの各々に対して行われる。直線偏光解消検出に対しては、エアロゾルイベント毎の各検出の振幅が偏光解消測定のために使用される。各エアロゾルイベントの偏光解消度は以下の計算式の1つを実行することによって計算できる。
δN =[IV]/[IH + IV] 又は δ= IHV/IHH
それから直線偏光解消値は、好ましくは、各エアロゾルイベントの粒径と共にビニングされる。各エアロゾル粒子の粒径と直線偏光解消値を使用して、好ましくは、細菌胞子、栄養細胞、ウイルス、ウイルス性凝集体、タンパク毒素凝集体、真菌性粒子、花粉粒子、人工生物学的粒子及び、塩粒子、水滴、有機炭素粒子や適用に応じた他の関連非生物学的粒子のような非生物学的粒子を含む公知のエアロゾルの前記測定からエアロゾル類型のライブラリに対して比較することができる。ライブラリと知られていない粒子データと共に、偏光弾性散点図を生物学的及び非生物学的粒子の検出及び分類を許可する粒径の機能として生成することができる。
【0036】
図9は、上記直線偏光解消構造のための単粒子の検出イベントを説明している。この実施形態では、単粒子は2つのビーム、始めに水平偏光ビーム次いで垂直偏光ビームを横切る。粒子は各ビームを横切るので、エアロゾル粒子イベント毎に2つのシグナルを作成する偏光弾性散乱光を放射する。
図9は、1つのエアロゾルイベントと1つの検出器のデータを示す。データは3ミクロンの空気力学的径の枯草菌胞子凝集体に対する直線偏光解消反応を表している。粒子は、ECBCインクジェットエアロゾル発生機を使って生成された。偏光解消度は、上記の計算式の1つを実行することにより計算することができる。
【0037】
図10及び11は、偏光解消度が水平偏光フィルターシグナルと垂直偏光励起源から収集された散乱強度によって水平偏光フィルターシグナルと水平偏光励起源から収集された散乱強度を分割することによって決定される直線偏光解消反応を説明している。このデータは、以下のチャンネル範囲:0.5-0.7ミクロン、0.7-1ミクロン、1-2ミクロン、2-5ミクロン、5-7ミクロン及び7ミクロンより大きい範囲の6つの粒径チャンネルを示す。10倍の偏光比率増加量は、プログラム制御できる偏光解消比率増加量を有するシグナルプロセッサとともに、全部で60チャンネルを付与する各粒径範囲に対して使用される。それから、エアロゾル粒子イベントが検出され、それらの径や直線偏光解消度に応じて60チャンネルのうちの1つにビニングされる。粒子類型を分類する能力の説明に、ポリスチレンミクロスフェア上の3つの異なる径(0.7、1.0及び3.0ミクロン直径)と2.5ミクロン径の枯草菌胞子凝集体が例として提供される。グラフからわかるように、粒子類型はバチルス属胞子凝集体(0.2-0.5)より低い偏光解消反応(0-0.2)を付与するポリスチレンミクロスフェアと共にそれらのサイズと偏光解消度に基づいて分類することができる。
【0038】
図12は、
図10及び11におけるのと同じ比率測定を用いる追加の直線偏光解消反応を説明し、偏光解消比率の使用は、異なる環境と通例遭遇する粒子から目的の粒子を分類するのに貢献する。3つの異なる環境は、例として、屋内建築物、地下鉄ホーム及び都市環境が準備される。3D散点図は与えられた粒径範囲の3つの偏光解消比率を表している。3D散点図の各球体は、10リットルの空気サンプルを表し、毎分100リットルのサンプリング比率又は6秒のエアロゾルデータのセンサーを使って収集された。4つの生物学的類型はまた3D散点図に適用される。それらは乾燥伝播した枯草菌胞子(胞子模擬物質)、乾燥伝播オバルブミン(毒素模擬物質)、エルウイニアーヘルビコラ(栄養模擬物質)及びMS2ウイルス(ウイルス性模擬物質)である。3軸座標は特定の粒子径範囲での3つの偏光解消増加量を選択することによって得られる。10リットルのサンプリング率に3つの選択された偏光解消増加量の各々の粒子総数は特定の粒径範囲で3つの偏光解消増加量の各々の全粒子総数の合計で割られる。それから、各偏光解消増加比率は3D散点図の3つの座標の1つとして使用される。
図12において、4つの生物学的脅威部類類型はaからdをラベル付けされ、それぞれ乾燥胞子、乾燥毒素、ウイルス及び栄養類を表している。
図12は、各バックグランド環境に、2つの粒径範囲、1-2ミクロン及び2-5ミクロンの3D散点図を提供する。バックグランド環境を表す空気サンプルはeからgをラベル付けされ、それぞれ屋内建築物、地下鉄ホーム及び都市環境を表している。図からわかるように、この環境に適応された直線偏光解消アプローチは、関連する操作的環境から4つの生物学的脅威類型の全てを識別するのにとても有益な方法を提供する。そのアプローチは、生物学的脅威に対する迅速な略リアルタイム早期警告能力及び、施設又は地下鉄の組織網や予防法のもっと多くの迅速適応で広がったエアロゾルを削減する対策を適用する追加オプションをエンドユーザーに提供する生物学的脅威類型を分類する能力を提供する。
【0039】
図13は、
図10及び11におけるのと同じ比率測定や3D散乱解析を用いて、追加の直線偏光解消反応を説明している。このデータは、湿った分散性又は散布性の枯草菌胞子サンプルを説明するもので、エアロゾル化されたほぼ全てのサンプルが個別胞子からなる。hがラベル付けされたグラフはエアロゾル化されたサンプルの粒径分布を提供する。エアロゾル分布は、TSI3321エアロダイナミック粒子寸法計測器を使って測定され、1.20の幾何標準偏差を有する0.819ミクロンのエアロダイナミック中位径、又は単分散個体数を示す。
図12に示すように、4つの生物学的脅威類型はaからdをラベル付けされ、それぞれ乾燥胞子、乾燥毒素、ウイルス及び栄養類を表している。散布型枯草菌胞子サンプルは散点図にiをラベル付けされる。この実施例は、現在利用できるLIF生物学的エアロゾル検出器ではとても困難な単バチルス属胞子を検出し分類する偏光解消アプローチの有効性を説明している。
【0040】
図2は、1つの水平偏光ビームと、2つの検出器、1つが水平偏光フィルターを備え、もう1つが垂直偏光フィルターを備える、直線偏光解消検出構造を含む好ましい光学検出器を説明する図式表現である。エアロゾルは
図1Aに示されるようなエアロゾルノズル又は真空源(図示しない)によりノズルのない吸気ポートを介してセンサセル140に引き込まれ、
図1に記載されたのと同様に光学視界領域145に導入される。照明機構と検出機構は、この構造において、
図1に用いられたものとは異なる。励起源100は、好ましくは、連続スペクトル光源か、または20MHz以上の周波数に調整されており、端面発光レーザーダイオード、垂直キャビティ面発光レーザーダイオード、発光レーザーダイオード又は他のレーザーとすることができる。励起源100の波長は、200-1500nmの範囲とすることができる。励起源100から発光された光は非球面レンズ110を使ってコリメートされる。光源に応じて、光源100と非球面レンズ110との間、又はエアロゾルセル140の前ではなくてレンズ110の後の空間フィルタリングが必要になるかもしれない。それから、コリメートされた光は
図1に記載するようにビーム整形光学系125に導入され、水平偏光フィルター120によってあとを継がれる。
【0041】
図2で説明した実施態様では、偏光弾性散乱として発光された光は、光ビームに直交するエアロゾルセル140の両サイドに収集される。粒径測定及び偏光弾性散乱解析には、
図1で説明した実施態様に記載されたのと同一の集光光学部品や検出器部品を適用することができる。この実施態様では、散乱した水平偏光が集光光学部品170によって引き継がれる水平偏光フィルター205を透過して収集される。散乱した垂直偏光は、集光光学部品170によって引き継がれる垂直偏光フィルター207を透過して収集される。この実施態様では、水平偏光励起を使った垂直及び水平両方の偏光からの散乱振幅が、直線偏光解消を測定するために使用される。
図1で説明した実施態様に記載されたのと同様の検出器や電子装置が光学視界領域145が1つの照明範囲または箇所を有するので、垂直及び水平偏光からの散乱振幅に対応し同時に発生する2つの光散乱パルスが偏光解消測定に使用されることを除いて、この構造を適用する。
【0042】
粒径測定では、水平偏光散乱シグナルが粒子を測定するのに使用され、波高分析が垂直及び水平偏光からの散乱振幅に対して実行される。直線偏光解消検出では、2つの検出器の各検出イベントからの振幅が偏光解消測定に使用される。各エアロゾルイベントの偏光解消度は以下の計算式の1つを実行することによって計算することができる。
δN =[IV]/[IH + IV] 又は δ= IHV/IHH
それから直線偏光解消値は、好ましくは、各エアロゾルイベントの粒径と共にビニングされる。各エアロゾル粒子の粒径と直線偏光解消値を用いて、好ましくは、細菌胞子、栄養細胞、ウイルス、ウイルス性凝集体、タンパク毒素凝集体、真菌性粒子、花粉粒子、人工生物学的粒子及び、塩粒子、水滴、有機炭素粒子や適用に応じた他の関連非生物学的粒子のような非生物学的粒子を含む公知のエアロゾルの前記測定とエアロゾル類型のライブラリが比較される。ライブラリと知られていない粒子データと共に、偏光弾性散点図を生物学的及び非生物学的粒子の検出や分類を許容する粒径の相関関係としてつくることができる。
【0043】
図3は、二重の垂直水平偏光ビーム源と、水平偏光フィルター及び直交蛍光検出チャンネルを備える1つの検出器とを有する直線偏光解消検出構造を含む好ましい光学検出器を示す図式表現である。その構造は、追加的な蛍光検出チャンネル208と、対応する集光光学部品170、光検出器210、増幅回路220及びアナログ-デジタル変換器230を除いて、
図1で説明した実施態様に記載されたものと同じである。
【0044】
粒径、偏光弾性散乱及び蛍光発光を測定するとき、励起波長は250-300nm及び350-450nmのような対象の内因性蛍光体の吸収帯内にある必要がある。これらの励起波長範囲は、芳香族アミノ酸、NADH、フラビン、クロロフィル及びシデロホアに限定されるのではなく、これらを含む生物学的粒子に通常遭遇する1以上の内因性蛍光体の吸収帯に対応している。蛍光検出チャンネルには、上記実施態様で記載されたのと同様の検出電子装置や検出器が、望ましい内因性蛍光体の発光波長と一致する一条の光を透過させる追加的な蛍光発光フィルター208とともに使用することができる。この実施態様において、粒子それぞれに得られた直線偏光解消値と蛍光発光や蛍光発光強度の有無の両方を、非生物学的粒子からの生物学的粒子の分類やお互いから生物学的類型を分類するために使用することができる。
【0045】
図4は、1つの垂直水平偏光ビーム源、1つの偏光ビームスプリッタと平行及び直交偏光散乱を検出する2つの検出器とを有する直線偏光解消検出構造を含む好ましい光学検出器を示す図式表現である。この実施態様では、水平及び垂直偏光フィルターを用いる2つの検出器の代わりに、偏光ビームスプリッタ195が2つの偏光を分散するために使用されるので、垂直と水平両方の偏光の散乱強度の測定を行うことができる。随意の集束レンズ200は、光検出器210上に散乱された光の焦点を合わせるために使用される。
図2で説明した実施態様で概説したのと同じシグナル処理工程を適用することができる。
【0046】
図5は、1つの二重の左回り及び右回り円偏光ビーム源、1つの偏光ビームスプリッタと平行及び直交偏光散乱を検出する2つの検出器とを有する円偏光解消検出構造を含む好ましい光学検出器を示す図式表現である。この実施態様では、
図1で説明した実施態様に記載されたような二重偏光ビームは、1/4波リターダ130が複屈折結晶135の後に取り付けられることを除いて、二重の右回り円及び左回り円偏光ビームを生成するために使用される。
【0047】
円偏光検出に伴い、粒子から散乱した光の正常化偏光解消は、関係式:
δ
+C =[I
⊥]/[I
||+ I
⊥]
δ
-C =[I
||]/[I
||+ I
⊥]
によって得られる。
δ
+C は照明源として右回り偏光を使うときの円偏光解消を表し、δ
-C は照明源として左回り偏光を使うときの円偏光解消を表し、I
⊥ 垂直偏光の散乱強度を示し、I
||は平行偏光の散乱強度を表す。この実施態様において、円偏光解消測定は、左回り及び右回り両方の円偏光励起を使用して単粒子上で実行することができる。
図4で説明した実施態様と同じ検出器と電子装置を使用することができる。
【0048】
この実施態様のシグナル処理は、エアロゾル粒子毎の各照明イベントの平行及び垂直偏光の偏光散乱強度を測定し、それから各粒子の左回り及び右回り円偏光解消比率を計算することを含む。それから、円偏光解消値は各エアロゾルイベントの粒径とビニングされる。その後で、各エアロゾル粒子の粒径と円偏光解消値のデータは、細菌胞子、栄養細胞、ウイルス、ウイルス性凝集体、タンパク毒素凝集体、真菌性粒子、花粉粒子、人工生物学的粒子及び、塩粒子、水滴、有機炭素粒子や適用に応じた他の関連非生物学的粒子のような非生物学的粒子を含む公知のエアロゾルの前記測定からのエアロゾル類型のライブラリと比較される。ライブラリと知られていない粒子データと共に、偏光弾性散点図を生物学的及び非生物学的粒子の検出や分類を許容する粒径の相関関係としてつくることができる。
【0049】
図6は、二重の左回り及び右回り円偏光ビーム源と、単一検出器とを有する円強度微分散乱検出(CIDS)構造を含む好ましい光学検出器を説明する図式表現である。この実施態様の励起源は、
図5で説明した実施態様のものと類似している。
図1で説明したのと同様の単一検出器体系が偏光弾性散乱シグナルを捕捉しながら使用され、そして、散乱強度はエアロゾル粒子毎に右回り及び左回り両方の円偏光励起を使用しながら測定される。無濾過散乱シグナルが照明イベント毎に収集されるように、検出器チャンネルにはフィルターは使用されない。各エアロゾルイベントの円強度微分散乱(CIDS)値は、次の方程式:
[I
L-I
R]/[I
L+I
R]
を使って決定することができる
I
Lは入射ビームが左回り円偏光されるときの光散乱強度で、I
Rは入射ビームが右回り円偏光されるときの光散乱強度である。検出イベントから生成された電流パルスは各粒子のCIDS値を測定するために使用される。それから、CIDS値は各エアロゾルイベントの粒径とビニングされる。各エアロゾル粒子に粒径やCIDS値データを使用して、細菌胞子、栄養細胞、ウイルス、ウイルス性凝集体、タンパク毒素凝集体、真菌性粒子、花粉粒子、人工生物学的粒子及び、塩粒子、水滴、有機炭素粒子や適用に応じた他の関連非生物学的粒子のような非生物学的粒子を含む公知のエアロゾルの前記測定からのエアロゾル類型のライブラリと比較することができる。ライブラリと知られていない粒子データと共に、偏光弾性散点図を生物学的及び非生物学的粒子の検出及び分類を許容する粒径の相関関係としてつくることができる。
【0050】
図7は、二重の垂直水平偏光ビーム源と、単一検出器とを有する直線強度微分散乱検出(LIDS)構造を含む好ましい光学検出器を説明する図式表現である。LIDS構造は、1/4波リターダ130が使用されないことを除いてCIDS構造と同一である。各エアロゾルイベントの直線強度微分散乱(LIDS)値は以下の方程式:
[I
H-I
V]/[I
H+I
V]
を使って決定することができる。
I
Hは入射ビームが水平偏光されるときの光散乱強度で、I
Vは入射ビームが垂直偏光されるときの光散乱強度である。検出イベントから生成された電流パルスは各粒子のLIDS値を測定するために使用される。それから、LIDS値は各エアロゾルイベントの粒径とビニングされる。各エアロゾル粒子に粒径やLIDS値データを使用して、細菌胞子、栄養細胞、ウイルス、ウイルス性凝集体、タンパク毒素凝集体、真菌性粒子、花粉粒子、人工生物学的粒子及び、塩粒子、水滴、有機炭素粒子や適用に応じた他の関連非生物学的粒子のような非生物学的粒子を含む公知のエアロゾルの前記測定からのエアロゾル類型のライブラリと比較することができる。ライブラリと知られていない粒子データと共に、偏光弾性散点図を生物学的及び非生物学的粒子の検出及び分類を許容する粒径の相関関係としてつくることができる。
【0051】
図8は、単一水平偏光ビーム源と、垂直偏光フィルター207及び直交蛍光検出チャンネル208を備える単一検出器とを有する直線偏光解消検出構造を含む好ましい光学検出器を説明する図式表現である。
図2に記載したように、単一水平偏光ビーム源は光学感知ゾーン145を透過するサンプル列の単粒子を照らすために使用される。この構造では、偏光解消散乱イベントのみが、粒径と形態の相関関係である偏光解消度で検出される。蛍光検出チャンネル208を用いて、粒子自己蛍光も各偏光解消散乱イベントのために測定される。偏光解消弾性散乱及び蛍光発光を測定するとき、励起波長は、250-300nmや350-450nmのような対象の内因性蛍光体の吸収帯内にある必要がある。これらの励起波長範囲は、芳香族アミノ酸、NADH、フラビン、クロロフィル及びシデロホアに限定されるのではなく、これらを含む生物学的粒子に通常遭遇する1以上の内因性蛍光体の吸収帯に対応している。蛍光検出チャンネルには、上記実施態様で記載されたのと同様の検出電子装置や検出器が、望ましい内因性蛍光体の発光波長と一致する一条の光を透過させる追加的な蛍光発光フィルター208とともに使用することができる。この実施態様において、粒子それぞれに得られた偏光解消弾性散乱強度と蛍光発光や蛍光発光強度の有無の両方を、非生物学的粒子からの生物学的粒子の分類やお互いから生物学的類型を分類するために使用することができる。
【0052】
本発明の好ましい実施の形態の上記開示は、図面及び明細書のために提出されている。本発明を開示された明確な型式に限定したり網羅的であったりすることを意図するものではない。ここに記載された実施態様の多くのバリエーションや変更は、上記記載の光学分野の当業者には明かである。発明の範囲は、ここに添付した特許請求の範囲、及びその同等範囲によってのみ限定されることになる。特許請求の範囲は、好ましい実施の形態に限定されるものではなく、クレーム分化の原則を用いてそのような狭い構成を排除するために記載されている。
【0053】
また、本発明の典型的な実施態様を記載するに際し、明細書はある一連の手順として本発明の好ましい方法及び/又はプロセスを提供してきたかもしれない。しかし、方法又はプロセスがここに記載の工程の順序に依らない範囲まで、方法又はプロセスを記載したある一連の工程に限定するものではない。当業者が認識するように、他の一連の工程が可能であってもよい。よって、明細書に記載の工程の順序は、請求の範囲への限定として構成されるものではない。また、本発明の方法及び/又はプロセスに導く請求の範囲は、提供される順序の工程の実行に限定されるものではなく、当業者は順序が本発明の要旨の範囲内で変更され、またそのままでもよいと容易に認識することができる。