(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】水から金属イオンを抽出/除去するための電気化学的堆積
(51)【国際特許分類】
C22B 3/20 20060101AFI20220324BHJP
C02F 1/461 20060101ALI20220324BHJP
C22B 60/02 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
C22B3/20
C02F1/461 101B
C22B60/02
(21)【出願番号】P 2018559380
(86)(22)【出願日】2017-06-29
(86)【国際出願番号】 US2017039934
(87)【国際公開番号】W WO2018005758
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-06-15
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516231051
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ、チョン
(72)【発明者】
【氏名】クイ、イー
(72)【発明者】
【氏名】ウー、トン
【審査官】國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-510481(JP,A)
【文献】国際公開第2013/031689(WO,A1)
【文献】特開2011-194384(JP,A)
【文献】特表2015-524352(JP,A)
【文献】特開昭51-067217(JP,A)
【文献】Investigation of activated carbon adsorbent electrode for electrosorption-based uranium extraction from seawater,Nuclear Engineering and Technology,Volume 47, Issue 5, August 2015,Pages 579-587
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00-61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水から
ウラニルイオンを抽出する方法であって、
ウラニルイオンを含有する水中に、前記
ウラニルイオンに対する種特異的吸着性を有し、かつ、多孔質のアミドキシム系コーティングがなされた炭素系材料の繊維を含む作用電極を少なくとも1つ含む2つの導電性電極を配置するステップと、
1以上の電気化学反応によって前記
ウラニルイオンが前記作用電極上に金属形態または金属酸化物
として堆積するように、前記導電性電極に対して電流を供給するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記電流は、交流または直流を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記炭素系材料の繊維が、カーボンフェルト、炭素繊維、またはカーボンナノチューブを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記導電性電極の両端間の電圧は、負の値とゼロとの間で交互に変化する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記水は、海水、湖水、河川水、生活排水、工場排水、または飲料水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
全ての前記
ウラニルイオンが、前記水中にランダムに分布しており、
負のバイアスが印加されると、前記
ウラニルイオンが外部電場に従って移動し、
前記作用電極の表面に
前記外部電場に応答して電気二重層が形成され、
前記電気二重層の内側層の前記
ウラニルイオンが、前記作用電極の表面にキレート結合を形成し、
前記
ウラニルイオンの金属が
形成され、荷電中性種として前記作用電極に電着され、
前記負のバイアスが除去されると、前記
ウラニルイオン及び前記電着した
ウラニル金属は、前記作用電極の表面に付着して残留し、
特異的結合していない他のイオンが前記作用電極の表面に再分布
され、活性部位の表面から放出され、
前記負のバイアスの印加が繰り返されると、より多くの前記
ウラニルイオンが前記作用電極の表面に付着し、前記電着した
ウラニル金属がさらに堆積して、前記
ウラニルイオンよりも大きな粒子に成長する、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水からの資源抽出及び水処理に関する。特に、本発明は、電気化学的抽出に基づく、海水から貴重な金属イオン資源を抽出する方法、または飲料水から有害なイオンを除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低イオン濃度の水からの金属イオンの効率的な抽出は、海水からの資源抽出及び水処理などの様々な用途で関心が持たれている。しかしながら、これは、多くの場合、従来の物理化学的吸着に関する困難な問題である。とりわけ、吸着剤は、目的のカチオン及び/または他のカチオンによってブロックされる傾向がある。
【0003】
原子力(核エネルギー)は、温室効果ガスの排出を伴わない大規模なかつ成熟したエネルギー源の1つである。2000年-2013年では、原子力の発電量を占める割合は、米国では約20%、世界では約13%である。ウランは核燃料の主要要素であるので、ウランの採掘と回収は非常に重要である。地中には約500万トンのウランが存在し、海水中にはその約1000倍のウランが存在すると推定されている。海水中の45億トンの大量のウランは、今後何千年にもわたって、原子力用に供給可能である。したがって、海水からウランを抽出するためのコスト及びエネルギー効率が良い方法を開発することに強い動機が存在する。
【0004】
海水中のウラン量は大量であるが、ウラン濃度は約3ppb(3μg/L)にすぎない。また、高塩分バックグラウンド溶液である海水からウランを抽出することは、非常に困難である。海水ウラン抽出法の一般的な評価基準は、吸着量(capacity)、反応速度(kinetics)、及び選択性(selectivity)である。現在の最新の吸着剤材料は、アミドキシム系ポリマーである。報告されている最大の吸着量を有するアミドキシムポリマー吸着剤は、模擬海水では、約200mg/gの吸着量を示し、海洋試験では、56日間にわたって3.3mg/gの吸着量を示した。吸着剤の吸着量を高めるために、多くの研究者は、より大きい表面積またはより良好な表面特性を有する材料(無機酸化物/硫化物、タンパク質/バイオマスベースの吸着剤、金属有機構造体、及び炭素系吸着剤を含む)を探すことに重点を置いている。しかしながら、物理化学的吸着には、いくつかの本質的な限界がある。(1)海水中のウラン濃度の低さに起因して、ウラニルイオンの吸着剤表面への拡散が遅い。(2)吸着されたカチオンは正に荷電しており、クーロン反発が原因で、入ってくるウランイオンを拒絶する。したがって、表面活性部位の大部分は、アクセスすることができない(
図1A)。(3)ナトリウムやカルシウムなどの他のカチオンの濃度は、ウランの濃度よりも数桁高いので、吸着活性部位での競合が激しくなる。望ましくない種が吸着剤表面に吸着されると活性部位がブロックされ、これにより、ウランの吸着量が低下する(
図1B)。
【0005】
そこで、電気化学的抽出に基づく、海水から貴重な金属イオン資源を抽出する、または飲料水から危険イオンを除去する装置及び方法が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
当分野の要望に応えて、水から金属イオンを抽出する方法であって、(a)標的イオン種を含有する水中に、標的イオン種に対する種特異的吸着性を有する官能化電極を少なくとも1つ含む2つの導電性電極を配置するステップと、(b)1以上の電気化学反応によって1以上の標的イオン種が官能化電極上に金属形態または金属酸化物で堆積するように、導電性電極に対して電流を供給するステップと、を含む方法が提供される。
【0007】
本発明の一態様によれば、電流は、交流または直流を含む。
【0008】
本発明の別の態様では、導電性電極は、カーボンフェルト、炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、活性炭、グラファイトプレート、グラフェン、または酸化グラフェンを含む炭素系材料である。
【0009】
本発明のさらなる態様によれば、導電性電極は、アミドキシム系化学物質で官能化されている。
【0010】
本発明のさらに別の態様では、導電性電極の両端間の電圧は、負の値とゼロとの間で交互に変化する。
【0011】
本発明の一態様によれば、水は、海水、湖水、河川水、生活排水、工場排水、または飲料水を含む。
【0012】
本発明の一態様によれば、標的イオン種は、ウラン、バナジウム、銅、銀、金、カドミウム、鉛、水銀、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、及び希土類金属からなる群より選択される。
【0013】
本発明の別の態様では、全ての標的イオン種が、水中にランダムに分布しており、負のバイアスが印加されると、標的イオン種が外部電場に従って移動を開始し、官能化電極の表面に電気二重層が形成され、電気二重層の内側層の標的イオンが、官能化電極の表面にキレート結合を形成し、標的イオンの金属種が還元され、荷電中性種として官能化電極に電着され、負バイアスが除去されると、標的イオン及び電着した標的金属種は、官能化電極の表面に付着して残留し、特異的結合していない他のイオンが官能化電極の表面に再分布し、活性部位の表面から放出され、負のバイアスの印加が繰り返されると、より多くの標的イオンが官能化電極の表面に付着し、電着した標的金属種がさらに堆積して、標的イオンよりも大きな粒子に成長する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】
図1A-1Dは、本発明の実施形態による、物理化学的抽出及びHW-ACE抽出の概略図を示す。
図1Aは、物理化学的吸着でのクーロン反発を示し、吸着された荷電イオンは、入ってくるイオンを拒絶する。
【
図1B】
図1Bは、ウラニルイオンと他のカチオンと間の競合を示す。この競合によりウラニルイオンの吸着は減少する。また、この競合の結果、活性部位がブロックされる。
【
図1C】
図1Cは、HW-ACE抽出の物理化学的プロセスを示し、このプロセスは、下記のステップI~Vを含む。ステップI:全てのイオンは、海水溶液中にランダムに分散している。ステップII:外部電場に従ってイオンが移動を開始し、電気二重層(EDL)を形成する。吸着されたウラニルイオンは、電極表面に対する特異的結合を形成する。ステップIII:吸着されたウラニルイオンは、UO
2などの荷電中性種に還元される。ステップIV:バイアスが除去され、特異的結合していない他のイオンが、溶液中に再び放出される。ステップV:ウラニルイオンの吸着及び電着は持続し、UO
2は大きな粒子へ成長する。電圧は、等時間間隔で、ゼロと負の値との間で交番する。
【
図1D】
図1Dは、PANポリマー上のニトリル官能基をアミドキシム官能基に置換するための追加的な水熱反応を示す。
【
図2A】
図2A-2Eは、本発明の実施形態による、C-Ami電極の特性評価と、物理化学法及びHW-ACE法間の抽出差の視覚化とを示す。
図2Aは、C-Ami電極の形態を示すSEM画像である。
【
図2B】
図2Bは、活性炭及びアミドキシムポリマーを有するC-Ami電極の表面を示すSEM画像である。左上側の挿入画像は、コーティングされた表面の多孔質構造を高倍率で示す。
【
図2C】
図2Cは、C-Ami電極のFTIRスペクトルを示す。
【
図2D】
図2Dは、10ppm及び100ppmの濃度の実際の海水中の硝酸ウラニルのサイクリックボルタモグラムを、ウランが添加されていない実際の海水と比較して示す。
【
図2E】
図2Eは、アミドキシム薄膜で被覆されたPtパターン電極上にマッピングしたPt及びUのEDX元素分析を示す。ウランの分布は、Ptパターンと一致し、これは、HW-ACE法は、従来の物理化学的法よりも吸着効率が高いことを示す。
【
図3A】
図3A-3Fは、本発明の実施形態による、実際の海水をバックグラウンド溶液として使用した場合の、HW-ACE法のウラン抽出能力を示す。HW-ACE法を用いて実際の海水から抽出したウラン量を、物理化学的法の場合と比べて示す。ウランの初期濃度は下記の通りであった。
図3Aの初期ウラン濃度は、~150ppbであった。
【
図3B】
図3Bの初期ウラン濃度は、~1.5ppbであった。
【
図3D】
図3Dの初期ウラン濃度は、~400ppbであった。
【
図3E】
図3Eの初期ウラン濃度は、~1000ppbであった。
【
図3F】
図3Fの初期ウラン濃度は、~2000ppbであった。
【
図4A】
図4A-4Hは、本発明の実施形態による、HW-ACE抽出機構の詳細及び抽出されたウラン種の分析を示す。
図4Aは、1000ppmの初期ウラン濃度でのHW-ACE法による抽出の24時間後の、粒子で完全に覆われたC-Ami電極を示すSEM画像である。
【
図4C】
図4Cは、1000ppmの初期ウラン濃度での電気化学的法による抽出の24時間後の、C-Ami電極を示すSEM画像である。
【
図4E】
図4Eは、HW-ACEによる抽出の24時間後のC-Ami電極のXRDパターンを示し、下側は、基準(UO
2)O
2・2H
2O(JCPDS 01-081-9033)のXRDピークを示す。
【
図4F】
図4Fは、空気またはN
2環境下でのHW-ACEによる抽出の24時間後のC-Ami電極のラマンスペクトルを、電気化学的法による抽出の24時間後のC-Ami電極及び硝酸ウラニル塩、並びに硝酸ウラニル海水溶液と比較して示す。
【
図4G】
図4Gは、1000ppmの初期ウラン濃度でのN
2環境下でのHW-ACEによる抽出の24時間後のC-Ami電極の形態を示すSEM画像である。
【
図5A】
図5A-5Eは、本発明の実施形態による、HW-ACE法の選択性及び脱着を示す。
図5Aは、HW-ACE法によるウランのナトリウム及びカルシウムと比べた選択性を、物理化学的法と比較して示す。
【
図5B】
図5Bは、様々な抽出方法、脱着条件、及び溶出溶液でのウランの脱着率の比較を示す(Aは、物理化学的吸着、0.1M Na
2CO
3溶出溶液;Bは、物理化学的吸着、0.1M HCl溶出溶液;Cは、HW-ACE抽出、0.1M Na
2CO
3溶出溶液;Dは、HW-ACE抽出、0.1M Na
2CO
3溶出溶液、逆バイアス;Eは、物理化学的吸着、0.1M HCl溶出溶液;Fは、物理化学的吸着、0.1M HCl溶出溶液、逆バイアス)。
【
図5C】
図5Cは、海水ウラン溶液を継続的に供給することによる、低い初期濃度(~1ppm)での物理化学的方法とHW-ACE方法との抽出能力を比較して示す。HW-ACE方法は、抽出能力の低下を示さなかったが、物理化学的方法は、抽出能力の低下を示した。
【
図5D】
図5D及び5Eは、物理化学的方法及びHW-ACE方法の両方の反応速度フィッティングを示す。
図5Dは、非バイアス時を示し、反応速度定数は、4.4×10
-3s
-1(1次反応)、及び5.0×10
-6M
-1s
-1(2次反応)であった。
【
図5E】
図5Eは、バイアス時を示し、反応速度定数は、1.5×10
-2s
-1(1次反応)、及び2.0×10
-5M
-1s
-1(2次反応)であった。
【発明を実施するための形態】
【0015】
原子力は、成熟したエネルギー源として、温室効果ガスの排出を最小限に抑えながら、大規模な世界的エネルギー需要の一部を供給する潜在能力を有している。そのため、原子力燃料用のウラン資源を大量に確保することが、必然的に重要となる。海水中のウランの総量は豊富であり(地中の1000倍以上)、また、海水は非常に利用しやすいため、高い吸着量(capacity)、速い反応速度(kinetics)、及び高い選択性(selectivity)を有する海水ウラン抽出技術を開発することは魅力的である。しかしながら、ウラン抽出の課題は、高塩分バックグラウンド(海水)中のウラン濃度が非常に低いことである(約3ppb)。吸着剤材料に基づく現行の方法は、表面ベースの物理化学的吸着特性に起因する吸着剤材料の吸着量及び反応速度により制限されている。このような現行の方法は、大量の材料及び長期間の収集時間を必要とする。
【0016】
水から金属イオンを抽出する方法が提供される。この方法は、(a)標的イオン種を含有する水中に、標的イオン種に対する種特異的吸着性を有する官能化電極を少なくとも1つ含む2つの導電性電極を配置するステップと、(b)1以上の電気化学反応によって1以上の標的イオン種が官能化電極上に金属形態または金属酸化物で堆積するように、導電性電極に対して電流を供給するステップと、を含む。
【0017】
本発明は、アミドキシム官能化炭素(C-Ami:Amidoxime-Functionalized Carbon)電極に基づく海水及び淡水からのウラン抽出のための半波整流交流電気化学的(HW-ACE:Half-Wave Rectified Alternating Current Electrochemical)装置及び方法を提供する。アミドキシム官能化は、ウランイオンに対する表面特異的結合を可能にする。本発明のHW-ACE方法は、電場によってウランイオンを電極表面に移動させ、活性部位でウラン化合物の電着を誘導し、荷電中性種(UO2及び(UO2)O2・xH2Oなど)を形成することにより、クーロン反発を回避することができる。電着機構なので、ウラン抽出は、電極の表面積によって制限されない。さらに、電圧を交番印加することにより、望ましくないカチオンによって表面活性部位がブロックされるのを防止すると共に、水分解を回避することができる。この結果、本発明のHW-ACE方法は、従来の物理化学的方法よりも9倍高いかつ飽和することのないウラン抽出量(1932mg/g)及び4倍速い反応速度、並びに、アミドキシム官能化に起因する高い選択性を実現する。
【0018】
概して、本発明による方法は、水からイオンを抽出/除去する電気化学的堆積に依存し、適切に官能化された電極と組み合わせられる。本発明の実施形態によれば、一対の導電性電極(官能化コーティングされた、炭素または金属メッシュ/発泡体)が、金属イオンの堆積に使用される。導電性を依然として提供しながら、特定の金属イオンに対する選択性を高めるために、電極(ポリマー、酸化グラフェンなど)の表面は官能化される。また、特定の金属イオンのみを堆積させるために、電気化学ポテンシャル(バイアス)及び周波数を調節することができる。
【0019】
一例では、海水からのウラン抽出は、半波整流交流電気化学反応によって実現される。この場合、海水からウラン(ウラニルイオンとして)を抽出するために、交流電圧が使用される。この例示的な実施形態では、使用される電極は、アミドキシム官能化カーボンフェルト電極である。
【0020】
本発明の一態様によれば、電流は、交流または直流を含む。
【0021】
本発明の別の態様では、導電性電極は、カーボンフェルト、炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、活性炭、グラファイトプレート、グラフェン、または酸化グラフェンを含む炭素系材料である。
【0022】
本発明のさらなる態様によれば、導電性電極は、アミドキシム系化学物質で官能化されている。
【0023】
本発明のさらに別の態様では、導電性電極の両端間の電圧は、負の値とゼロとの間で交互に変化する。
【0024】
本発明の一態様によれば、水は、海水、湖水、河川水、生活排水、工場排水、または飲料水を含む。
【0025】
本発明の一態様によれば、標的イオン種は、ウラン、バナジウム、銅、銀、金、カドミウム、鉛、水銀、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、及び希土類金属からなる群より選択される。
【0026】
本発明の別の態様では、全ての標的イオン種が、水中にランダムに分布しており、負のバイアスが印加されると、標的イオン種が外部電場に従って移動を開始し、官能化電極の表面に電気二重層が形成され、電気二重層の内側層の標的イオンが、官能化電極の表面にキレート結合を形成し、標的イオンの金属種が還元され、荷電中性種として官能化電極に電着され、負バイアスが除去されると、標的イオン及び電着した標的金属種は、官能化電極の表面に付着して残留し、特異的結合していない他のイオンが官能化電極の表面に再分布し、活性部位の表面から放出され、負のバイアスの印加が繰り返されると、より多くの標的イオンが官能化電極の表面に付着し、電着した標的金属種がさらに堆積して、標的イオンよりも大きな粒子に成長する。
【0027】
電気化学的堆積による重金属除去を含む第2の例が提供される。この場合、2つの導電性電極(酸化グラフェンを有するカーボンフェルト、またはアミドキシムポリマーを有するカーボンフェルト)の間にDC(直流)電圧が印加される。作用中、微量の有害な重金属イオンが、負電極上に堆積する。
【0028】
本発明は、海水から、ウラン、バナジウム、銅などの貴重な金属資源を抽出するのに利用することができる。また、本発明の技術は、飲料水から、カドミウム、銅、鉛、水銀などの重金属イオンを除去するのにも利用することができる。
【0029】
重要な利点としては、従来の物理化学的吸着法よりも大幅に高い抽出量が提供されることが挙げられる。本発明による電気化学的抽出法は、従来の物理化学的吸着法による100-200mg/gの吸着量と比較して、飽和することなく約2000mg/gを超える吸着量を有する。また、本発明は、従来の物理化学的吸着法よりも速い反応速度を提供する。電圧印加により系内に電場が導入されると、イオンは電場に従って移動し、ランダム拡散の場合よりも容易に電極表面を見つける。この技術のさらなる利点は、使用材料の寿命が長くなり、同量の初期材料を使用した再サイクル中に材料が損傷する可能性が減少することである。抽出/除去効率は、従来技術と比較してはるかに高い。そのため、同じ作用時間では、本発明の技術は、より良好なイオン抽出/除去を提供する。したがって、抽出/除去の全体効率がはるかに高くなる。
【0030】
さらなる実施形態によれば、本発明は、様々な用途に基づき、様々なタイプの電極材料を用いることができる。電極表面改質により、標的イオンに対する選択性が高まる。他の実施形態では、本発明は、フローデバイスまたは静止システムのいずれかで使用することができる。
【0031】
ここで図面を参照すると、海水からウランを抽出するHW-ACE方法が
図1Cに示されている。一例では、アミドキシム官能化電極が使用された。アミドキシムは、好ましいことにウラニルイオン(UO
2
2+)と結合する配位部位を提供できるためである。一実施形態によれば、HW-ACE抽出は交流電圧を使用し、交流電圧がカーボンアミドオキシム(C-Ami)電極に印加される。電圧は、負の値とゼロとの間で、等しい時間間隔で交互に変化する。振幅と周波数は、抽出能力が最大になるように調節可能である。本明細書では、HW-ACEウラン抽出プロセスの詳細を、概略図を参照して5つのステップで説明する。ステップIでは、全てのイオンが、水溶液中にランダムに分布している。ステップIIでは、負のバイアスが印加されると、カチオンは外部電場に従って移動を開始し、アミドキシム電極の表面に電気二重層(EDL:Electrical Double Layer)を形成する(説明を簡略化するために、対電極での物理的プロセスは示さない)。EDLの内側層のウラニルイオンは、電極表面にキレート結合を形成することができる。ステップIIIでは、ウラン種はさらに、UO
2などの荷電中性種として還元され電着される。ステップIVでは、バイアスが除去されると、ウラニルイオン及び電着したUO
2のみが電極表面に付着して残留する。特異的結合していない他のイオンは、電極表面に再分布し、表面活性部位から離れる。上記のサイクルを繰り返すと(ステップV)、より多くのウラニルイオンが電極表面に付着し、堆積したUO
2はより大きな粒子に成長することができる。本発明のHW-ACE方法は、電場を用いてウラニルイオンの移動を誘導して吸着剤への衝突頻度を増加させ、電着を用いて荷電したウラニルイオンを中和してクーロン反発を回避し、かつ、交流電流を用いて望ましくない種の吸着を回避することにより、従来の物理化学的吸着法の短所を解決する。
【0032】
本発明を実証するために、まず、導電性カーボンフェルト基材をポリアクリロニトリル(PAN)と活性炭との混合スラリーでコーティングすることによって、アミドオキシム電極を作製した。炭素フェルト基材は、高導電性を有する。また、炭素フェルト基材は、約20μmの繊維径、及び数十ミクロンないし数百ミクロンの範囲の孔径を有する。ナノサイズの活性炭(直径30~50nm)の機能は、電極表面積を増加させることであり、そして、さらに重要なことには、アミドキシムポリマーの電気的接触を高めることである。PANは、アミドキシム合成の前駆物質として使用された。その後、水熱反応によって、ニトリル官能基をアミドキシム官能基に置換した(
図1D参照)。
【0033】
図2Aの走査型電子顕微鏡(SEM)画像は、C-Ami電極の形態(morphology)を示す。
図2Bの拡大図は、カーボンフェルト繊維が、活性炭とアミドキシムとのスラリーのコーティングで覆われていることを示す。
図2Bの左上側の挿入画像は、コーティング自体も多孔性であり、数十ナノメートルないし数百ナノメートルの範囲の孔径を有することを示している。このような階層的な多孔性は、ウラニルイオンの効率的な輸送、及びアミドキシム活性部位を最大限に使用することを可能にする。アミドキシムの存在は、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)を用いて確認した。その結果を
図2Cに示す。スペクトルにおける、3100~3300cm
-1、1635cm
-1、1572cm
-1、912cm
-1の各ピークは、それぞれアミドキシム中のO-H基、C=N基、N-H基、及びN-O基を表す。電着プロセス中のウラニル種を調べるために、サイクリックボルタンメトリ(CV:Cyclic Voltammetry)を用いてウランの電気化学的特性を調べた。10ppm及び1000ppmの硝酸ウラニルを添加した実際の海水のCV走査曲線を、硝酸ウラニルを添加していない実際の海水と比較して、
図2Dに示す。使用する全ての海水は、0.2μmフィルタで濾過して微生物を除去した。硝酸ウラニルを添加していない海水には明確な還元/酸化ピークが存在しなかったので、10ppm及び1000ppmの硝酸ウラニルの走査曲線に現れたピークを、ウラン還元/酸化反応として同定することができる。10ppm及び1000ppmの両方のウラニル溶液は、-1.41V(対SCE)においてピークを示し、これは、U
6(VI)からU(V)への還元を表す。酸化反応に関しては、U(V)からU(VI)への酸化を表す、-0.36V(対SCE)でのピークが観察された。還元後のUO
2
+としてのU(V)は、さらにU(VI)及びU(IV)に自動的に不均化を起こすことができる。これは、形成後にU(V)の一部がU(IV)になることに起因して、U(VI)からU(V)への還元ピークが、その逆のU(V)からU(IV)への酸化ピークよりもはるかに大きいという事実と一致する。これらの3つの形態のウランの中で、U(IV)のみが水に不溶性であり、固定化されたUO
2として電極表面上に析出する。この電気化学的特性データにより、還元電流により、全てのU(VI)イオンが最終的にU(IV)として中性酸化物種中に抽出されることが確認された。
【0034】
物理化学的吸着と比較したHW-ACE抽出の利点を、直接的に可視化した。
図2Eに示すように、絶縁性の石英基材上に、フォトリソグラフィによって、互いに平行な複数のPt線のパターン電極を作製した。パターン電極の表面に、アミドキシムポリマーの薄層をコーティングした。アミドキシムのPt線と接触している部分でHW-ACE抽出が行われ、アミドキシムの残りの部分で物理化学的吸着が行われた。HW-ACE抽出パラメータは、様々なバイアス電圧及びHW-AC周波数下で、C-Ami電極を使用して調査された。最終的に、-5~0Vの電圧及び400Hzの周波数を有する矩形波が、早い反応速度及び最小の水分解に基づき選択された。12時間の吸着後、電極は、エネルギー分散型X線分光分析(EDX)マッピングによって特徴付けられた。Pt及びU元素マッピングは、電極表面のウラン分布がPtのパターンに従うことを示した。これは、HW-ACE方法が、物理化学的吸着法よりも多くの量のウランを抽出できることを指摘している。
【0035】
次に、HW-ACEの実際の海水からのウラン抽出能力について説明する。ウラン抽出能力を定量的に評価するために、一連の抽出実験を実施した。そのデータを
図3A~
図3Fに示す。結果は、吸着時のバイアスの有無における、吸着量及び反応速度の差異を反映している。この6つの場合では、ウラニルイオンの初期濃度は、~150ppb、~1.5ppm、~15ppm、~400ppm、~1000ppm、及び~2000ppmであり、バックグラウンド溶液は実際の海水であった。C-Amiを作用電極として使用し、グラファイトロッドを対電極として使用した。全ての場合において、使用したHW-AC電圧は、周波数400Hzで-5Vから0Vであった。C-Amiに吸着されたウランの量を、24時間にわたって評価した。6つの場合の全てで、HW-ACE抽出によるウランの吸着量は、物理化学的吸着による吸着量よりも大幅に多く、その差は、初期濃度が高いほど大きくなった。さらに、~1000ppm以上の初期濃度では、物理化学的吸着は、200~220mg/g(g/kg)の吸着量で飽和を示した。それとは著しく対照的に、HW-ACE吸着は、最も高い初期濃度でも飽和を示さず、1932mg/g(g/kg)の吸着量及び99.4%の抽出効率が得られた。HW-ACEによるこの高い抽出量は、物理化学的吸着と比較して約9倍高かった。吸着量のこの大きな差は、吸着後のウラン海水溶液の外観(色)によって、直接的に視認することができる。当初、海水溶液の色は黄色であった。抽出後、HW-ACE抽出の場合、海水溶液の色は、黄色から完全な透明に変化した。しかし、物理化学的吸着の場合、海水溶液の色は、黄色のままであった。抽出能力のこの大幅な差は、初期濃度が低い場合にも表れた。24時間毎に、濃度1ppmのウラン海水溶液を、物理化学的抽出及びHW-ACE抽出の対象溶液に追加した(
図5C参照)。物理化学的吸着は、2サイクル後に抽出効率が低下しはじめ、10サイクル目では抽出効率は47.3%まで低下した。対照的に、HW-ACE抽出は、10サイクル全体にわたって99.0%の高い抽出効率を維持した。はるかに高い吸着量に加えて、HW-ACE抽出は、より速い反応速度を示した。HW-ACE抽出及び物理化学的吸着の両方について、初期濃度1ppmで吸着反応速度を分析した。
図5D-5Eに示すように、海水溶液中のウラニルイオンの濃度に基づき、1次反応及び2次反応の両方を実験データにフィットさせた。HW-ACE抽出及び物理化学的吸着における実験データは、両方とも2次反応の反応速度に対して良好なフィッティングを示した。2次反応の反応速度によれば、HW-ACE抽出の反応速度は物理化学的吸着の反応速度よりも約4倍速い。このウラン抽出の定量分析により、HW-ACE抽出が、より高い吸着量を実現するだけでなく、より速い反応速度を実現することが証明された。
【0036】
HW-ACE抽出機構を詳しく調べるために、抽出されたウラン種をさらに特性評価した。まず、1000ppmの初期濃度でのHW-ACE及び物理化学的吸着の両方について、吸着の24時間後の吸着されたウランの形態をSEMで特性評価した。その画像を
図4A-4Dに示す。HW-ACE吸着では、C-Ami電極は、ミクロン粒子で完全に覆われていた(
図4A、
図4B)。ミクロン粒子は、層状構造及び正方形の形状を有するように見えた。しかしながら、物理化学的吸着での非バイアス時のC-Amiの外観は、吸着前のC-AMIと比べて大きな変化を示さなかった(
図4C、
図4D、及び
図2B)。C-Amiの表面は、沈殿物が形成されておらず、滑らかであった。これは、HW-ACE吸着の場合には、ウラニルイオンがC-Ami電極表面に電着して荷電中性酸化物種を形成するという仮説と一致する。XRD特性評価により(
図4E)、C-Ami電極表面上のミクロン粒子は、(UO
2)O
2・2H
2O種(JCPDS 01-081-9033)と同定された。これは、2つの既存の過酸化ウラン種のうちの1つであるメタシュトゥット石(metastudtite)としても知られている。しかし、従来の電気化学的特性評価では、ウラニルイオンは負極上に電着してUO
2を形成すると考えられていた。この電着種の不一致は、HW-ACE堆積プロセスのさらなる探究につながる。報告されているように、過酸化ウランの最初の発見は、核廃棄物からのUO
2の表面であり、(UO
2)O
2・xH
2Oの形成は、UO
2とH
2O
2との反応によるものであった。HW-ACE吸着中、負電極上の溶存酸素の還元によって、H
2O
2が生成される可能性がある。この仮説を証明するために、空気中及びN
2中のウランのHW-ACE抽出を互いに比較すると共に、ラマン分光法を用いてウラン種を同定した。海水溶液中のウラニルイオン、UO
2(NO
3)
2塩、及び物理化学的吸着されたウランを、ラマン分光法により対照として特性評価した。
結果(
図4F)から、全ての対照サンプルが、約483cm
-1でU
6
+由来の特徴的なピークを示したことが分かった。空気中でのHW-ACE吸着については、822及び868cm
-1の2つのピークが、ウラン種が過酸化ウラン(UO
2)O
2・xH
2O
33であることを示している。これは、XRD結果と一致する。HW-ACE抽出が、O
2を含まないN
2雰囲気中で行われた場合、ラマン分光法は、UO
232に属する439、732及び1151cm
-1で異なるピークを示した。これは、電気化学的特性評価による予測と一致した。ラマン分光法の結果から、HW-ACE抽出中は、C-Ami上に吸着したウラニルイオンは、まず、電気化学的に還元されてUO
2となり、次いで、酸素還元反応で生成されたH
2O
2と反応し、これにより、最終的に抽出されたウラン種は(UO
2)O
2・xH
2Oとなることが明らかになった。実際に、N
2雰囲気下でHW-ACE抽出されたUO
2種は、
図4G、
図4Hに示すように、(UO
2)O
2・2H
2Oとは異なる形態を示した。付着した粒子は、50~100nmの直径を有する球状であった。これらのUO
2粒子は、XRD特性評価により非晶質相であった。抽出されたウラン種の分析から、回収されたウランが、UO
2であるか、それとも(UO
2)O
2・2H
2Oであるかは、水の酸素レベルに依存すると結論付けることができる。海水からのウラン抽出の実際の利用では、これは、海の深さによって決定される。しかし、UO
2も(UO
2)O
2・2H
2Oも荷電中性酸化物種であるので、さらなる電着を促進することにより、物理化学的吸着と比べてはるかに大きい抽出量を確保することができる。
【0037】
吸着量及び反応速度に加えて、HW-ACEは、ウランに対する高い選択性を示した。他のイオンよりもウランに対する選択性が高いのは、アミドキシム官能基に起因する。実際の海水中にウランを添加して調製した初期濃度が1ppmのウラン溶液を使用すると、ナトリウム対ウラン、及びカルシウム対ウランのモル濃度比は、約1.0×10
5、及び約2.5×10
3であった。
図5Aに示すように、U、Na、及びCaの抽出効率は、HW-ACE抽出では、それぞれ99.0%、1.5%、及び1.4%であり、物理化学抽出では、それぞれ85.3%、1.2%、及び0.9%であった。Na及びCaと比較したUの選択性は、HW-ACE抽出では、6.5×10
6及び1.4×10
5であり、物理化学抽出では、7.0×10
6及び2.3×10
5であった。この結果は、HW-ACE抽出は、アミドキシム官能基に起因して高い選択性を依然として有すると共に、はるかに高い吸着量及び反応速度を有することを証明した。最後に、脱着を実施し、ウランの回収率を評価した。従来の物理化学的吸着では、アミドキシムポリマーの表面に吸着されたウラニルイオンは、濃度0.1MのNa
2CO
3及びHCl溶液の両方によって溶出させることができる。
図5Bに示すように、ケースA及びケースBでは、Na
2CO
3(A)及びHCl(B)溶液によって、単回の溶出後にウラニルイオンを75.6%及び76.0%回収することができた。一方、HW-ACE抽出の場合、アミドキシムポリマー表面上に付着したウラン種はUO
2または(UO
2)O
2・2H
2Oであり、それらは、濃度0.1MのHCl溶液によってのみ溶出させることができる。
図5Bに示すように、ケースCでは、0.1MのNa
2CO
3が溶出液として使用され、21.6%のウランしか回収できなかった。逆バイアス(ケースD)の場合でも、ウランの総回収率は46.9%であった。HW-ACE抽出でのウラン回収率が最も高いのは、溶出液として0.1M HClを使用し、かつ、逆バイアスを印加した場合である(ケースF)。脱着効率は96.2%であった。逆バイアスを印加しない場合には、脱着効率は82.0%であった(ケースE)。したがって、最適な脱着条件では、96.2%のウランを回収することができた。
【0038】
要約すると、海水からウランを電気化学的に抽出する、半波整流交流を使用した新しい方法が提供された。このHW-ACE法は、従来の物理化学的吸着の限界を克服し、それと同時に、高い抽出量、速い反応速度、及び高い選択性を実現することができる。物理化学的吸着と比較して、CF-Ami電極を使用した本発明のHW-ACE抽出法は、9倍高い抽出量(1932mg/g)及び4倍速い反応速度を示すと共に、Na及びCaなどの他のカチオンと比べたウランの選択性の変化は最小であった。脱着後、96.2%のウランを回収することができた。
【0039】
カーボンフェルト(アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)製、99.0%)を、電極基材として1cm2の円形状に切断した。ポリアクリロニトリル(シグマ・アルドリッチ社(Sigma-Aldrich)製、分子量~150,000)と活性炭を、N、N-ジメチルホルムアミド(DMF)溶媒中に1:1:30の質量比で懸濁させた。その溶液を、一晩攪拌して、均一なスラリーを形成した。次いで、カーボンフェルト基材を上記のスラリーで浸漬被覆し、その後、ホットプレート(70℃)上で空気乾燥させた。次に、被覆された電極を、70℃で安定化させた水槽(25mL)中に入れた。水槽中に、80mg/mLヒドロキシルアミン塩酸塩(シグマ・アルドリッチ社製、99%)、及び60mg/mL炭酸ナトリウムを迅速に添加し、90分間反応させた。反応後、電極を脱イオン水で洗浄し、使用のために、炉(80℃)内で空気乾燥させた。
【0040】
飽和カロメル電極(SCE)を基準電極として使用し、グラファイトロッド(シグマ・アルドリッチ社製、99.995%)を対電極として使用して、C-Ami電極のサイクリックボルタンメトリを行った。走査速度は、1mV/sであった。使用した他の機器は、走査型電子顕微鏡(SEM、FEI Nova NanoSEM 450)、フーリエ変換赤外分光器(FTIR、Nicolet iS50)、ラマン分光器(WITECラマン分光計)、XRD(PANalytical 12 Material Research Diffractometer)、及びX線光電子分光器(XPS、Al(Ka)源を有するSSI SProbe XPS分光計)であった。EDX特性評価のために、インターデジタルPt電極を、一般的なリソグラフィ技術に基づき作製した。まず、1μmのShipley 3612フォトレジストを、石英ウェハ上にスピンコートし、その後に、露光及び現像した。プライムは、レジストがウェハ表面に粘着するのを助けるための接着促進剤としてのHMDSの使用を指す。続いて、電子銃/ビームエバポレータ(カート・J・レスカー社(Kurt J. Lesker Company)製)を使用して、厚さ100nmのPtの金属層をウェハ表面上に堆積させた。次いで、フォトレジストをアセトン中で除去した。直径30μmのPt線が形成された。
【0041】
ウラン溶液は、硝酸ウラニル塩(VWR、試薬グレード)をハーフムーンベイ(Half Moon Bay;米国カリフォルニア州)から収集した実際の海水中に様々な濃度で溶解させて調製した。使用する海水は、0.2μmのフィルタで濾過して微生物を除去した。HW-ACE抽出中は、C-Ami電極を負極として使用し、グラファイトロッドを正極として使用した。各吸着実験では、15mLのウラン溶液を使用した。ウラン濃度は、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)により測定した。吸着されたウランの量は、吸着の前後でのウラン濃度の差を比較することによって算出した。N2雰囲気中でのHW-ACE抽出のために、電気的接続を除いて、ビーカーを、ウラン溶液、C-Ami及び黒鉛ロッド電極で密封した。抽出前に、N2をビーカーに一晩パージし続け、溶存酸素を除去した。N2パージは、抽出が完了するまで続けられた。
【0042】
以上、本発明を、いくつかの例示的な実施形態に従って説明した。各実施形態は、提示を目的とするものであり、限定を意図するものではない。したがって、本発明は、当業者が本明細書中の説明から導き出すことができる、詳細な実施の様々な変形が可能である。このような変形は全て、添付された特許請求の範囲及びその均等物の範囲に定義された本発明の範囲及び精神の範囲内に含まれるものとする。