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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/04 20060101AFI20220324BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20220324BHJP
【ＦＩ】
A61M25/04
A61M25/00 510
【請求項の数】
3
(21)【出願番号】P 2019237492
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021104264
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2021-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】391016705
【氏名又は名称】クリエートメディック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104237
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 俊文
(72)【発明者】
【氏名】笹渕 一徳
【審査官】上田 真誠
(56)【参考文献】
【文献】特開２０１９－２０８７６７（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０１１－０１０８３４（ＪＰ，Ａ）
【文献】米国特許出願公開第２０１４／０２００５２４（ＵＳ，Ａ１）
【文献】特開２００２－０６５６０８（ＪＰ，Ａ）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ａ６１Ｍ ２５／００－２５／０４
Ａ６１Ｍ １／００
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物体内に留置され、動物体内で一の部位から他の部位まで連通させてバイパスをなすカテーテルにおいて、長尺に延びて可撓性のあるチューブ本体を備え、
前記チューブ本体は、前記一の部位に留置する基端部と、前記他の部位に留置する先端部と、前記基端部から前記先端部の途中で巻き回されたループ部と、を備え、
前記基端部を、前記チューブ本体の軸線方向に対して前記一の部位を臨む方向へ折れ曲がる形状とし、
前記ループ部は、前記チューブ本体の軸線と平行な平面上に展開され、その巻き回された平面に対して垂直方向から見たとき、自然な状態で円形をなすように形成され、
かつ前記ループ部は、前記チューブ本体が留置状態で自然に延びる軸線方向に対して、前記基端部が折れ曲がる方向と同じ側へ巻き回って出っ張るように形成されていることを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記チューブ本体の全長に亘り、軸線方向に延びる内腔の内壁面を、一体成形により滑らかに連続する面としたことを特徴とする請求項１に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記一の部位は腎盂であり、前記他の部位は膀胱であり、前記チューブ本体は、尿管を迂回して腎盂から膀胱まで連通させて導尿するためのバイパスをなすことを特徴とする請求項１または２に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物体内に留置され、動物体内で一の部位から他の部位まで連通させてバイパスをなすカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、動物、特に犬や猫等の哺乳動物では、尿管や腎盂等に結石が生じた際に、尿管を迂回して腎盂から膀胱へチューブを留置して導尿する技術が知られている（例えば特許文献１参照）。しかし、対象となる患畜は元来、結石を生じやすい体質であるため、腎盂から新たな結石が流れてくる場合がある。このため、チューブの内腔が正しく確保されずに、スムーズな尿の流れが維持されていない場合、チューブが詰まることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開ＷＯ２０１２／０８２９９０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したような状況にも拘わらず、従来のチューブでは、腎盂への留置部や結石をフラッシングするためのポート部に、体動による応力が集中しやすくキンク（よれや潰れ）による狭窄を生じ、結石が滞留してしまい、水腎症を再発する場合が見られた。このような再発は、症状を訴えることができない動物では、予後に大きく影響を与えることになり、治療効果を減損させる結果を招いていた。
【0005】
本発明は、以上のような従来の技術が有する問題点に着目してなされたものであり、動物体内に留置したとき、体動によるチューブへの負荷を分散させて応力が集中することを防ぎ、キンクによる狭窄を防止することができるカテーテルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
［１］動物体内に留置され、動物体内で一の部位（２）から他の部位（３）まで連通させてバイパスをなすカテーテル（１０）において、
長尺に延びて可撓性のあるチューブ本体（１１）を備え、
前記チューブ本体（１１）は、前記一の部位（２）に留置する基端部（１２）と、前記他の部位（３）に留置する先端部（１３）と、前記基端部（１２）から前記先端部（１３）の途中で巻き回されたループ部（１４）と、を備え、
前記基端部（１２）を、前記チューブ本体（１１）の軸線方向（Ｌ）に対して前記一の部位（２）を臨む方向へ折れ曲がる形状とし、
前記ループ部（１４）は、前記チューブ本体（１１）の軸線と平行な平面上に展開され、その巻き回された平面に対して垂直方向から見たとき、自然な状態で円形をなすように形成され、
かつ前記ループ部（１４）は、前記チューブ本体（１１）が留置状態で自然に延びる軸線方向（Ｌ）に対して、前記基端部（１２）が折れ曲がる方向と同じ側へ巻き回って出っ張るように形成されていることを特徴とするカテーテル（１０）。
［１］動物体内に留置され、動物体内で一の部位（２）から他の部位（３）まで連通させてバイパスをなすカテーテル（１０）において、
長尺に延びて可撓性のあるチューブ本体（１１）を備え、
前記チューブ本体（１１）は、前記一の部位（２）に留置する基端部（１２）と、前記他の部位（３）に留置する先端部（１３）と、前記基端部（１２）から前記先端部（１３）の途中で巻き回されたループ部（１４）と、を備え、
前記基端部（１２）を、前記チューブ本体（１１）の軸線方向（Ｌ）に対して前記一の部位（２）を臨む方向へ折れ曲がる形状とし、
前記ループ部（１４）は、前記チューブ本体（１１）の軸線と平行な平面上に展開され、その巻き回された平面に対して垂直方向から見たとき、自然な状態で円形をなすように形成され、
かつ前記ループ部（１４）は、前記チューブ本体（１１）が留置状態で自然に延びる軸線方向（Ｌ）に対して、前記基端部（１２）が折れ曲がる方向と同じ側へ巻き回って出っ張るように形成されていることを特徴とするカテーテル（１０）。
【0008】
［２］前記チューブ本体（１１）の全長に亘り、軸線方向（Ｌ）に延びる内腔（１１ａ）の内壁面を、一体成形により滑らかに連続する面としたことを特徴とする［１］に記載のカテーテル（１０）。
【0009】
［３］前記一の部位（２）は腎盂であり、前記他の部位（３）は膀胱であり、
前記チューブ本体（１１）は、尿管を迂回して腎盂から膀胱まで連通させて導尿するためのバイパスをなすことを特徴とする［１］または［２］に記載のカテーテル（１０）。
前記チューブ本体（１１）は、尿管を迂回して腎盂から膀胱まで連通させて導尿するためのバイパスをなすことを特徴とする［１］または［２］に記載のカテーテル（１０）。
【0010】
次に、前述した解決手段に基づく作用を説明する。
前記［１］に記載のカテーテル（１０）は、動物体内に留置され、動物体内で一の部位（２）から他の部位（３）まで連通させてバイパスをなす。すなわち、チューブ本体（１１）の基端部（１２）を一の部位（２）に留置し、チューブ本体（１１）の先端部（１３）を他の部位（３）に留置する。このとき、チューブ本体（１１）の基端部（１２）から先端部（１３）の途中では、ループ部（１４）が巻き回されている。
前記［１］に記載のカテーテル（１０）は、動物体内に留置され、動物体内で一の部位（２）から他の部位（３）まで連通させてバイパスをなす。すなわち、チューブ本体（１１）の基端部（１２）を一の部位（２）に留置し、チューブ本体（１１）の先端部（１３）を他の部位（３）に留置する。このとき、チューブ本体（１１）の基端部（１２）から先端部（１３）の途中では、ループ部（１４）が巻き回されている。
【0011】
このように、カテーテル（１０）が動物体内に留置された状態において、チューブ本体（１１）が、体動により軸線方向（Ｌ）の外力を受けると、ループ部（１４）がチューブ本体（１１）の他の部分よりも優先して径が拡縮するように変形する。よって、体動によるチューブ本体（１１）への負荷が分散されて応力が集中し難くなり、キンクによる狭窄を防止することができる。
【0012】
また、チューブ本体（１１）の基端部（１２）を、チューブ本体（１１）の軸線方向（Ｌ）に対して一の部位（２）を臨む方向へ折れ曲がる形状としたから、基端部（１２）に無理な力が加わることがなく、一の部位（２）の方向へ容易に導いて留置することが可能となる。
さらに、ループ部（１４）は、チューブ本体（１１）の軸線と平行な平面上に展開され、その巻き回された平面に対して垂直方向から見たとき、自然な状態で円形をなすように形成されている。かつループ部（１４）は、チューブ本体（１１）が留置状態で自然に延びる軸線方向（Ｌ）に対して、基端部（１２）が折れ曲がる方向と同じ側へ巻き回って出っ張るように形成されている。
さらに、ループ部（１４）は、チューブ本体（１１）の軸線と平行な平面上に展開され、その巻き回された平面に対して垂直方向から見たとき、自然な状態で円形をなすように形成されている。かつループ部（１４）は、チューブ本体（１１）が留置状態で自然に延びる軸線方向（Ｌ）に対して、基端部（１２）が折れ曲がる方向と同じ側へ巻き回って出っ張るように形成されている。
【0013】
前記［２］に記載のカテーテル（１０）によれば、チューブ本体（１１）の全長に亘り、軸線方向（Ｌ）に延びる内腔（１１ａ）の内壁面を、一体成形により滑らかに連続する面としたから、チューブ本体（１１）の内腔（１１ａ）における圧力損失を防止することができる。
【0014】
前記［３］に記載のカテーテル（１０）によれば、腎盂や尿管に結石を生じやすい犬や猫等の患畜に対し、尿管を迂回して腎盂から膀胱へとチューブ本体（１１）を留置してバイパスさせる処置に活用することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るカテーテルによれば、動物体内に留置したとき、体動によるチューブへの負荷を分散させて応力が集中することを防ぎ、キンクによる狭窄を防止することができ、動物の術後の予後に大きく寄与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づき、本発明を代表する実施形態を説明する。
図１～図３は、本発明の実施形態を示している。
本実施形態に係るカテーテル１０は、動物体内に留置され、動物体内で一の部位から他の部位まで連通させてバイパスをなすものである。以下、カテーテル１０を、腎盂２や尿管４に結石を有する犬や猫等の伴侶動物に対し、尿管４を迂回して腎盂２から膀胱３まで連通させて導尿するために用いる場合を例に説明する。
図１～図３は、本発明の実施形態を示している。
本実施形態に係るカテーテル１０は、動物体内に留置され、動物体内で一の部位から他の部位まで連通させてバイパスをなすものである。以下、カテーテル１０を、腎盂２や尿管４に結石を有する犬や猫等の伴侶動物に対し、尿管４を迂回して腎盂２から膀胱３まで連通させて導尿するために用いる場合を例に説明する。
【0018】
＜カテーテル１０＞
図１に示すように、カテーテル１０は、長尺に延びて可撓性のあるチューブ本体１１を備えている。図２に示すように、チューブ本体１１は、腎盂２に留置する基端部１２と、膀胱３に留置する先端部１３と、基端部１２から先端部１３の途中で巻き回されたループ部１４と、を備えている。ここで腎盂２は、本発明の「一の部位」の一例であり、膀胱３は、本発明の「他の部位」の一例である。なお、腎盂２とは、腎臓１の中の袋状の部位であり、腎臓１から出た尿を集めて膀胱３へ送る器官である。
図１に示すように、カテーテル１０は、長尺に延びて可撓性のあるチューブ本体１１を備えている。図２に示すように、チューブ本体１１は、腎盂２に留置する基端部１２と、膀胱３に留置する先端部１３と、基端部１２から先端部１３の途中で巻き回されたループ部１４と、を備えている。ここで腎盂２は、本発明の「一の部位」の一例であり、膀胱３は、本発明の「他の部位」の一例である。なお、腎盂２とは、腎臓１の中の袋状の部位であり、腎臓１から出た尿を集めて膀胱３へ送る器官である。
【0019】
＜チューブ本体１１＞
チューブ本体１１は、細長く長尺に延びて可撓性のある管状に形成され、自由に湾曲させることができる。チューブ本体１１の材質は、例えばシリコーンゴムやポリウレタン、軟質ポリ塩化ビニル等の柔軟な合成樹脂が適している。図３に示すように、チューブ本体１１は、その内部に軸線方向Ｌへ延びる内腔１１ａを備えている。チューブ本体１１は、全長に亘り一体成形されている。よって、チューブ本体１１の内腔１１ａの内壁面は、継目等の凹凸がなく滑らかに連続する面をなしている。
チューブ本体１１は、細長く長尺に延びて可撓性のある管状に形成され、自由に湾曲させることができる。チューブ本体１１の材質は、例えばシリコーンゴムやポリウレタン、軟質ポリ塩化ビニル等の柔軟な合成樹脂が適している。図３に示すように、チューブ本体１１は、その内部に軸線方向Ｌへ延びる内腔１１ａを備えている。チューブ本体１１は、全長に亘り一体成形されている。よって、チューブ本体１１の内腔１１ａの内壁面は、継目等の凹凸がなく滑らかに連続する面をなしている。
【0020】
＜＜基端部１２＞＞
図１に示すように、チューブ本体１１の基端部１２（図１中で左側）は、チューブ本体１１が留置状態で自然に延びる軸線方向Ｌ（図３参照）に対して、腎盂２（図２参照）を臨む一方向へ折れ曲がるように形成されている。図２に示すように、基端部１２は、腎盂２に留置する部分であり、例えば腎臓１の外側の皮質から髄質を経て腎盂２に植え込むように留置される。
図１に示すように、チューブ本体１１の基端部１２（図１中で左側）は、チューブ本体１１が留置状態で自然に延びる軸線方向Ｌ（図３参照）に対して、腎盂２（図２参照）を臨む一方向へ折れ曲がるように形成されている。図２に示すように、基端部１２は、腎盂２に留置する部分であり、例えば腎臓１の外側の皮質から髄質を経て腎盂２に植え込むように留置される。
【0021】
本実施形態における基端部１２は、略直角に折り曲げられており、チューブ本体１１の基端側で略Ｌ字形状に形成されている。ここで基端部１２の具体的な折り曲げ角度や曲率半径は、適宜設定し得る設計事項である。基端部１２が折れ曲がる曲率半径が小さい場合でも、かかる部位で内腔１１ａが閉塞されることはなく、他の部位と同様の断面積が確保されている。
【0022】
図３に示すように、基端部１２の外周には、その最先端に向けて先細となるテーパーが形成されている。基端部１２において内腔１１ａの最先端は、そのまま外部に開口しているが、この開口とは別に基端部１２の最先端寄り両側に、内腔１１ａに外側から通じる複数の小孔１２ａも設けられている。各小孔１２ａの具体的な数や配置は、適宜設定し得る設計事項である。なお、基端部１２の開口には、図示省略したがニードル等の補助具を挿入して使用しても良い。
【0023】
また、基端部１２における折り曲げ箇所の手前（最先端側）には、腎臓１の外表面に固定される略円形状の固定板１５が取り付けられている。固定板１５には、基端部１２を圧入させる貫通孔が設けられており、基端部１２に対して軸線方向Ｌへスライド可能な状態で提供される。この固定板１５は、留置時の位置決めに最適な箇所で接着固定される。なお、固定板１５は、１枚の円形状の板材に限らず、カラー（フランジを備えた筒部品）を組み合わせて構成しても良い。固定板１５の適所には縫付け孔が設けられている。
【0024】
＜＜先端部１３＞＞
図１に示すように、チューブ本体１１の先端部１３（図１中で右側）は、チューブ本体１１が留置状態で自然に延びる軸線方向Ｌにそのまま延びた先端側の部分である。図２に示すように、先端部１３は、膀胱３に留置する部分であり、例えば膀胱３の外表面で尿管４が連なる箇所の下側付近から植え込むように留置される。
図１に示すように、チューブ本体１１の先端部１３（図１中で右側）は、チューブ本体１１が留置状態で自然に延びる軸線方向Ｌにそのまま延びた先端側の部分である。図２に示すように、先端部１３は、膀胱３に留置する部分であり、例えば膀胱３の外表面で尿管４が連なる箇所の下側付近から植え込むように留置される。
【0025】
本実施形態における先端部１３は、チューブ本体１１の先端側へ直線状に延びているが、先端部１３に至るチューブ本体１１の先端側は、留置時の負荷により、あるいは初期形状から必ずしも直線状に限らず、湾曲するように形成しても良い。また、先端部１３において内腔１１ａの最先端は、そのまま外部に開口している。
【0026】
チューブ本体１１の先端側において、先端部１３を区画する箇所には、膀胱３の外表面に固定される略円形状の固定板１６が取り付けられている。固定板１６にも、先端部１３を圧入させる貫通孔が設けられており、先端部１３に対して軸線方向Ｌへスライド可能な状態で提供される。この固定板１６も、前記固定板１５と同様に、留置時の位置決めに最適な箇所で接着固定される。なお、固定板１６も、１枚の円形状の板材に限らず、カラー（フランジを備えた筒部品）を組み合わせて構成しても良い。固定板１６の適所にも縫付け孔が設けられている。
【0027】
＜＜ループ部１４＞＞
図１に示すように、チューブ本体１１のループ部１４は、前述した基端部１２から先端部１３の途中が巻き回されて環状に形成されている。ループ部１４は、チューブ本体１１の軸線と平行な平面上に展開されている。詳しく言えば、ループ部１４は、その巻き回された面に対して垂直方向から見たとき、自然な状態において円形をなすように形成されている。
図１に示すように、チューブ本体１１のループ部１４は、前述した基端部１２から先端部１３の途中が巻き回されて環状に形成されている。ループ部１４は、チューブ本体１１の軸線と平行な平面上に展開されている。詳しく言えば、ループ部１４は、その巻き回された面に対して垂直方向から見たとき、自然な状態において円形をなすように形成されている。
【0028】
ループ部１４は、所定の曲率半径に保たれるように形成されているが、その曲率は変化自在となっている。すなわち、ループ部１４は、留置状態で動物の体動により軸線方向Ｌの外力を受けると、他の部位よりも優先的に径が拡縮するように変形する。また、ループ部１４は、チューブ本体１１が留置状態で自然に延びる軸線方向Ｌに対して、前記基端部１２が折れ曲がる方向と同じ側へ巻き回って出っ張るように形成されている。
【0029】
ループ部１４は、チューブ本体１１の全長に対して比較的大きな曲率に形成されている。ここでループ部１４の長さは、例えばチューブ本体１１の全長（基端部１２と先端部１３は除く）に対して８割程度以下の寸法にすると良い。チューブ本体１１は、患畜の体格に合わせて所定の長さにカットして使用するが、このカットしたチューブ本体１１の全長（基端部１２と先端部１３は除く）で、採ることのできる最大径が望ましい。
【0030】
＜カテーテル１０の作用＞
次に、本実施形態に係るカテーテル１０の作用を説明する。
図２に示すように、本カテーテル１０は、腎盂２や尿管４に結石を生じやすい犬や猫に対し、尿管４を迂回して腎盂２から膀胱３へとチューブ本体１１を留置してバイパスさせる処置に最適に活用することができる。一般に犬や猫の腎盂２は小さく、適切なチューブ本体１１の留置位置が限られているため、従来品では、無理な力が加わらないように膀胱３側へチューブ本体１１を導くことが難しかった。
次に、本実施形態に係るカテーテル１０の作用を説明する。
図２に示すように、本カテーテル１０は、腎盂２や尿管４に結石を生じやすい犬や猫に対し、尿管４を迂回して腎盂２から膀胱３へとチューブ本体１１を留置してバイパスさせる処置に最適に活用することができる。一般に犬や猫の腎盂２は小さく、適切なチューブ本体１１の留置位置が限られているため、従来品では、無理な力が加わらないように膀胱３側へチューブ本体１１を導くことが難しかった。
【0031】
本カテーテル１０におけるチューブ本体１１は、その途中にポート部等の別部品を介在させることはなく、別部品との接続箇所がない一体成形された１本のものを曲げ加工している。これにより、チューブ本体１１の全長に亘る内腔１１ａの内壁面は、継目や凹凸がない滑らかに連続する面となる。従って、チューブ本体１１の内腔１１ａでは、腎盂２から導尿する際の圧力損失を防止することができる。
【0032】
チューブ本体１１は、患畜の体格に合わせて所定の長さにカットして使用するが、このとき、特別な加工のない先端部１３の側からカットする。一方、図２に示すように、チューブ本体１１の基端部１２は、チューブ本体１１の軸線方向Ｌに対して腎盂２を臨む方向へ折り曲がる形状となっている。よって、チューブ本体１１の基端部１２を、無理な力を加えることなく、腎盂２の方向へ容易に導いて留置することができる。
【0033】
図２において、基端部１２は、腎臓１の皮質側から腎盂２に向かって植え込むように挿入され、基端部１２の最先端が尿管４に向くように留置される。そのため、基端部１２の最先端が、腎臓１の収縮や体動等により、腎臓１内の予期せぬ部位を突く虞はない。なお、基端部１２は、その傍らにある固定板１５を介して、腎臓１の皮質に縫い付け固定される。
【0034】
一方、チューブ本体１１の先端部１３は、そのままの自然な向きで膀胱３に植え込むように挿入され留置される。先端部１３も、その傍らにある固定板１６を介して、膀胱３の表面に縫い付け固定される。そして、基端部１２から先端部１３に至る途中には、ループ部１４が巻き回されている。図２に示すように、ループ部１４が巻き回って出っ張る向きは、基端部１２が折れ曲がる方向と同じ方向にすると使用しやすい。
【0035】
前述したように、チューブ本体１１は、患畜の体格に合わせて所定の長さにカットするが、このときループ部１４の曲率半径は、カットしたチューブ本体１１の全長（基端部１２と先端部１３は除く）で採ることのできる最大径とすることが望ましい。また、チューブ本体１１は、ループ部１４のループ径を小さくする方向に負荷をかけた状態で留置すると良い。
【0036】
図２に示すように、カテーテル１０が動物体内に留置された状態において、チューブ本体１１が、体動により軸線方向Ｌの外力を受けると、ループ部１４がチューブ本体１１の他の部分よりも優先して径が拡縮するように変形する。従って、チューブ本体１１への負荷が分散されて応力が集中し難くなり、キンクによる狭窄を防止することができる。ここでループ部１４を前述した最大径にすると、体動に対する緩衝長やストロークに優れ、いっそうキンクが生じ難くなり、基端部１２と先端部１３への負荷を低減する緩衝能力を高めることができる。
【0037】
このように、本カテーテル１０によれば、動物の術後の予後に大きく寄与することが可能となる。すなわち、結石による水腎症の再発を防ぐことができ、動物に苦痛を与えることを防止すると共に、再手術の経済的負担を軽減することができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述した実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、チューブ本体１１における基端部１２、先端部１３、それにループ部１４の具体的な形状や相対的な大きさは、図示したものに限定されることはない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係るカテーテルは、犬や猫に対し尿管を迂回して腎盂から膀胱へ導尿する処置の他にも、様々な用途の動物用カテーテルとして適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
１０…カテーテル
１１…チューブ本体
１２…基端部
１３…先端部
１４…ループ部
１５，１６…固定板
１１…チューブ本体
１２…基端部
１３…先端部
１４…ループ部
１５，１６…固定板
【図1】
【図2】
【図3】