(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】プラズマ原子層蒸着法を用いたシリコン窒化薄膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/42 20060101AFI20220324BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20220324BHJP
C23C 16/50 20060101ALI20220324BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
C23C16/42
C23C16/455
C23C16/50
H01L21/318 B
(21)【出願番号】P 2019503328
(86)(22)【出願日】2017-07-19
(86)【国際出願番号】 KR2017007764
(87)【国際公開番号】W WO2018016871
(87)【国際公開日】2018-01-25
【審査請求日】2020-03-04
(31)【優先権主張番号】10-2016-0093165
(32)【優先日】2016-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0090707
(32)【優先日】2017-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514145604
【氏名又は名称】ディーエヌエフ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DNF Co. Ltd.
【住所又は居所原語表記】142 Daehwa-ro 132beon-gil, Daedeok-gu, Daejeon 306-802 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ス チン
(72)【発明者】
【氏名】リ,サン-ト
(72)【発明者】
【氏名】パク,チュン チン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン キ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ピョン-イル
(72)【発明者】
【氏名】パク,クン-チュ
(72)【発明者】
【氏名】パク,チョン チュ
(72)【発明者】
【氏名】ソク,チャン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】リ,サン イク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミョン ウン
【審査官】神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-063232(JP,A)
【文献】特開2015-165549(JP,A)
【文献】特表2014-505349(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2015-0142591(KR,A)
【文献】特開2015-165564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/42
C23C 16/455
C23C 16/50
H01L 21/318
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、シリコン‐窒素結合を含む有機シリコン前駆体を吸着させるステップと、
第1反応ガスを注入しながら第1プラズマを励起させた後、第2反応ガスを注入しながら第2プラズマを励起させることで、1つ以上の反応性サイトを提供するステップと、を含む単位サイクルを少なくとも1回以上行う、プラズマ強化原子層蒸着によるシリコン窒化薄膜の製造方法であって、
前記シリコン窒化薄膜は、
赤外線分光法によるシリコン‐窒素
結合/シリコン‐水素
結合の
吸収面積比(Si‐N
結合/Si‐H
結合)が90以上である、プラズマ強化原子層蒸着によるシリコン窒化薄膜の製造方法。
【請求項2】
前記第1反応ガスが、窒素ガスおよび水素化ガスを混合したものである、請求項1に記載のプラズマ強化原子層蒸着によるシリコン窒化薄膜の製造方法。
【請求項3】
前記水素化ガスが、水素、アンモニア、およびヒドラジンから選択されるものである、請求項2に記載のプラズマ強化原子層蒸着によるシリコン窒化薄膜の製造方法。
【請求項4】
前記第1反応ガスが、窒素ガスと水素化ガスを300:1~1:1の流量比で混合したものである、請求項3に記載のプラズマ強化原子層蒸着によるシリコン窒化薄膜の製造方法。
【請求項5】
前記第2反応ガスが窒素ガスである、請求項1に記載のプラズマ強化原子層蒸着によるシリコン窒化薄膜の製造方法。
【請求項6】
前記第1プラズマおよび前記第2プラズマが500W以下のパワーで励起される、請求項1に記載のプラズマ強化原子層蒸着によるシリコン窒化薄膜の製造方法。
【請求項7】
前記基板の温度が50~400℃の範囲である、請求項6に記載のプラズマ強化原子層蒸着によるシリコン窒化薄膜の製造方法。
【請求項8】
前記シリコン‐窒素結合を含む有機シリコン前駆体が、下記化学式1、2、および3で表されるものから選択される、請求項1に記載のプラズマ強化原子層蒸着によるシリコン窒化薄膜の製造方法。
[化学式1]
[化学式2]
[化学式3]
(前記化学式1、2、および3中、
R
1~R
3、R
11~R
17、およびR
21~R
24は、それぞれ独立して、水素、(C1‐C5)アルキルまたは(C2‐C5)アルケニルであり;
nおよびmは、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
pは1~3の整数である。)
【請求項9】
前記シリコン‐窒素結合を含む有機シリコン前駆体が下記構造から選択される、請求項8に記載のプラズマ強化原子層蒸着によるシリコン窒化薄膜の製造方法。
【請求項10】
前記シリコン窒化薄膜は、酸素元素の含量が10原子%以下である、請求項1に記載のプラズマ強化原子層蒸着によるシリコン窒化薄膜の製造方法。
【請求項11】
酸素元素の含量が10原子%以下であり、
赤外線分光法によるシリコン‐窒素
結合/シリコン‐水素
結合の
吸収面積比(Si‐N
結合/Si‐H
結合)が90以上である、シリコン窒化薄膜。
【請求項12】
ステップカバレッジが80%以上である、請求項11に記載のシリコン窒化薄膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ原子層蒸着法を用いたシリコン窒化薄膜の製造方法に関し、より詳細には、2ステップからなるプラズマ励起ステップを含む、プラズマ原子層蒸着法を用いた高純度のシリコン窒化薄膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン窒化薄膜は、フッ化水素(HF)に対する高い耐性を有する。そのため、メモリーおよび大規模集積回路(large scale integrated circuit:LSI)などの半導体装置の製造工程において、シリコン酸化(SiO2)薄膜などをエッチングする時のエッチングストッパ層や、ゲート電極の抵抗値の偏差増大またはドーパントの拡散の防止膜などとして活用されている。
【0003】
特に、シリコン窒化薄膜の形成において、成膜温度の低温化が求められている。例えば、従来のLPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)法を用いてシリコン窒化薄膜を成膜する場合、760℃に達する成膜温度が求められる。しかし、ALD(Atomic Layer Deposition)法を用いてシリコン窒化薄膜を成膜する場合には、それより低い成膜温度を満たすことができる。
【0004】
ALD法は、任意の成膜条件(温度、時間など)下で、成膜に用いる2種類(またはそれ以上)の原料となるガスを、1種類ずつ交互に基板上に供給して1原子層単位で吸着させ、表面反応により成膜を行う手法である。例えば、被処理体の表面に沿って第1原料ガスと第2原料ガスを交互に流して、第1原料ガス中の原料ガス分子を被処理体の表面に吸着させ、この吸着された第1原料ガスの原料ガス分子と第2原料ガスの原料ガス分子とを反応させることで、1分子層分の厚さの膜を形成する。そして、このステップを繰り返すことで、被処理体の表面に高品質の薄膜を形成することができる。
【0005】
日本特許公開第2004‐281853号の公報には、ALD法により、ジクロロシラン(DCS:SiH2Cl2)とアンモニア(NH3)を交互に供給してシリコン窒化膜を形成する方法が開示されている。具体的に、上記の方法は、アンモニアをプラズマにより活性化したアンモニアラジカル(NH3
*)を供給することで、300℃~600℃の低温でシリコン窒化薄膜を成膜する方法である。しかしながら、上記の方法により形成されたシリコン窒化薄膜は、フッ化水素に対する耐性を低下させてしまう要因となる塩素(Cl)の濃度が増加するため、ウェットエッチング率が大きく、これにより、酸化膜に対するエッチング選択性(選択比)が小さいという欠点がある。
【0006】
上述のシリコン窒化薄膜のフッ化水素に対する耐性を向上させるために、シリコン窒化薄膜中に炭素原子(C)を導入する方法も考えられるが、400℃以下の低温領域では、シリコン窒化薄膜中に炭素原子を導入することが構造欠陥の要因となり得るため、絶縁耐性を劣化させる恐れがある。
【0007】
韓国特許登録第0944842号の公報には、ALD法により、低温(390℃~410℃)で高応力のシリコン窒化薄膜を形成する技術が開示されているが、ケミカルリガンド(chemical ligand)に含有されている不要な原子である塩素原子(Cl)が薄膜内に残留し、基板の表面でパーティクルを誘発させるため、優れた膜質を形成することが困難であるという欠点がある。
【0008】
米国特許登録第2013‐183835号の公報には、低い温度で高応力のシリコン窒化薄膜を形成するための方法および装置が記載されている。しかしながら、高いパワーのプラズマを用いるため、シリコンを含む前駆体の分解を誘導し、これにより引き起こされた不純物が含まれるため、優れた膜質の形成が困難であるという欠点がある。
【0009】
したがって、従来のシリコン窒化薄膜の形成のためのALD法の問題を解決するための代替技術が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、良好な膜質特性を安定して維持することができる高純度のシリコン窒化薄膜の製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、不純物の含量を最小化することで、向上したウェットエッチング率およびステップカバレッジを有するシリコン窒化薄膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本出願人は、シリコン‐窒素結合(Si‐N結合)を含む有機シリコン前駆体を用いた2ステップからなるプラズマ励起ステップを行うことで、従来の低い成膜温度のALD法の問題であった薄膜の低い応力強度、高いウェットエッチング率、および低いステップカバレッジを解決するとともに、向上した生産性で高純度のシリコン窒化薄膜を提供することができることを確認し、本発明を完成した。
【0013】
本発明は、上述の目的のために、2ステップからなるプラズマ励起ステップを含むシリコン窒化薄膜の製造方法を提供する。
【0014】
具体的に、本発明の一実施形態によるシリコン窒化薄膜の製造方法は、基板上に、シリコン‐窒素結合(Si‐N)を含む有機シリコン前駆体を吸着させるステップと、第1反応ガスを注入しながら第1プラズマを励起させた後、第2反応ガスを注入しながら第2プラズマを励起させることで、1つ以上の反応性サイトを提供するステップと、を含む単位サイクルを少なくとも1回以上行ってもよい。
【0015】
本発明の一実施形態によるシリコン窒化薄膜の製造方法において、前記第1反応ガスは、窒素ガスおよび水素化ガスを混合したものであってもよい。
【0016】
本発明の一実施形態によるシリコン窒化薄膜の製造方法において、前記水素化ガスは、水素ガス(H2)、または窒素原子(N)と水素原子(H)を同時に含む反応ガスであれば限定されないが、好ましくは、水素(H2)、アンモニア(NH3)、およびヒドラジン(N2H4)などから選択される1つまたは2つであってもよい。
【0017】
本発明の一実施形態によるシリコン窒化薄膜の製造方法において、前記第1反応ガスは、窒素ガスと水素化ガスを300:1~1:1の流量比で混合したものであってもよい。この際、上述の流量比で混合された反応ガスを装置内に注入することが好ましいが、窒素ガスと水素化ガスをそれぞれ上述の流量比を満たす流量で同時に装置内に注入することも、本発明の一態様である。
【0018】
本発明の一実施形態によるシリコン窒化薄膜の製造方法において、前記第2反応ガスは、窒素原子(N)を含み、且つ水素原子(H)は含まない反応ガスであり、好ましくは窒素ガスであってもよい。
【0019】
本発明の一実施形態によるシリコン窒化薄膜の製造方法において、前記第1プラズマおよび前記第2プラズマは、それぞれ500W以下のパワーで励起してもよい。
【0020】
本発明の一実施形態によるシリコン窒化薄膜の製造方法において、前記基板の温度は50~400℃の範囲であってもよい。
【0021】
本発明の一実施形態によるシリコン窒化薄膜の製造方法において、前記シリコン‐窒素結合を含む有機シリコン前駆体は、下記化学式1、2、および3で表されるものから選択される1つまたは2つ以上であってもよい。
【0022】
【0023】
【0024】
[化学式3]
(前記化学式1、2、および3中、
R
1~R
3、R
11~R
17、およびR
21~R
24は、それぞれ独立して、水素、(C1‐C5)アルキルまたは(C2‐C5)アルケニルであり;
nおよびmは、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
pは1~3の整数である。)
【0025】
本発明は、シリコン窒化薄膜中に存在する全原子を基準として、酸素原子の含量が10原子%以下であり、シリコン‐窒素/シリコン‐水素の面積比(Si‐N/Si‐H)が90以上である、シリコン窒化薄膜を提供する。
【0026】
本発明の一実施形態によるシリコン窒化薄膜は、ステップカバレッジが80%以上であってもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、2ステップからなるプラズマ励起ステップを用いることで、より向上した蒸着率で安定したシリコン窒化薄膜の形成が可能である。また、所定のSi‐N結合を有する有機シリコン前駆体を導入することで、より低い成膜温度条件で、高品質のSi‐N結合を含むシリコン窒化薄膜を提供することができるという利点がある。
【0028】
本発明によると、より低い成膜温度条件にもかかわらず、プラズマ励起条件を調整することで、優れた薄膜効率を実現することはいうまでもなく、シリコン窒化薄膜中の不純物を最小化することができる。特に、工程後に大気露出による酸化を抑えることで、シリコン窒化薄膜中の酸素原子の含量を著しく低めることができる。
【0029】
まとめると、本発明によると、プラズマ励起ステップにおける各反応ガスの種類およびそれらの流量を適宜調節して単位サイクルを繰り返して行うことで、目的とするシリコン‐窒素結合の吸収面積比(シリコン‐水素結合を基準とする)を満たすシリコン窒化薄膜を高い生産性で提供することができる。また、本発明によるシリコン窒化薄膜は、優れたステップカバレッジを有し、原子層厚さの微細パターンを非常に均一に形成することができ、向上したウェットエッチング率(エッチング耐性)を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明によるシリコン窒化薄膜の蒸着方法を図式化したものである。
【
図2】実施例1~8で製造したシリコン窒化薄膜を赤外線分光法により分析した結果である。
【
図3】実施例9および比較例1~6で製造したシリコン窒化薄膜を赤外線分光法により分析した結果である。
【
図4】実施例1、実施例3、実施例7、および比較例1、比較例2、比較例6で製造したシリコン窒化薄膜を透過型電子顕微鏡で分析した結果である。
【
図5】実施例3および比較例2で製造したシリコン窒化薄膜のフッ化水素に対するエッチング特性を評価したものであって、透過型電子顕微鏡を用いてエッチング前後の厚さ変化を分析した結果である。
【
図6】実施例3、実施例5、および比較例2、比較例4で製造したシリコン窒化薄膜の成分を分析した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明によるプラズマ強化原子層蒸着法を用いたシリコン窒化薄膜の製造方法について以下で詳述するが、以下で用いられる技術用語および科学用語は、他に定義されない限り、この発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が通常的に理解している意味を有し、下記の説明において、本発明の要旨を不明瞭にする可能性のある公知機能および構成についての説明は省略する。
【0032】
本発明における用語「シリコン窒化薄膜」は、本発明による後述の単位サイクルを繰り返して行うことで製造されるものを意味し、各単位サイクルの工程条件および繰り返し回数などによって、目的とするシリコン窒化薄膜の物性(例えば、応力強度、ウェットエッチング率、およびステップカバレッジなど)を調節することができる。また、本発明における用語「原子層」は、前記シリコン窒化薄膜を構成する単位層を意味する。
【0033】
本発明は、ハロゲンを含まない所定のシリコン‐窒素結合(Si‐N結合)を有する有機シリコン前駆体を用いた2ステップからなるプラズマ励起ステップを行うことで、高いレベルのシリコン‐窒素結合を含むシリコン窒化薄膜を提供することができる。これにより、本発明によると、さらに向上した応力強度を有するシリコン窒化薄膜を提供することができる。
【0034】
また、本発明によると、低い成膜温度条件にもかかわらず、工程後における大気露出による酸化を抑えることで、薄膜中の酸素元素の含量を著しく低減し、高品質のシリコン窒化薄膜を安定して提供することができる。
【0035】
本発明による工程上の特徴により、シリコン窒化薄膜中の不純物の含有量を最小化することができるだけでなく、単位サイクルにより形成された原子層は、後続のシリコン‐窒素結合を含む有機シリコン前駆体を効果的に吸着させることができる。
【0036】
すなわち、本発明によると、単位サイクルにより形成された原子層は、後続のシリコン‐窒素結合を含む有機シリコン前駆体と強固に結合できる1つ以上の反応性サイトを提供することで、さらに向上した蒸着速度を実現することができ、優れたシリコン窒化薄膜の物性を可能とする。このような効果において、本発明は、1ステップのプラズマ励起ステップを含むプラズマ強化原子層蒸着法に比べて顕著性を示す。
【0037】
本発明の一実施形態によるプラズマ強化原子層蒸着によるシリコン窒化薄膜の製造方法の単位サイクルは、2ステップからなるプラズマ励起ステップを含むことを特徴とする。
【0038】
具体的に、本発明の一実施形態によるプラズマ強化原子層蒸着によるシリコン窒化薄膜の製造方法は、基板上に、シリコン‐窒素結合を含む有機シリコン前駆体を吸着させるステップと、第1反応ガスを注入しながら第1プラズマを励起させた後、第2反応ガスを注入しながら第2プラズマを励起させることで、1つ以上の反応性サイトを提供するステップと、を含む。
【0039】
本発明の一実施形態によるプラズマ強化原子層蒸着によるシリコン窒化薄膜の製造方法において、前記有機シリコン前駆体を吸着させるステップは、50~400℃の範囲の成膜温度で行ってもよい。
【0040】
一具体例として、前記有機シリコン前駆体を吸着させるステップは、50~350℃の範囲の成膜温度で行ってもよい。
【0041】
また、本発明の一実施形態によるプラズマ強化原子層蒸着によるシリコン窒化薄膜の製造方法において、前記有機シリコン前駆体を吸着させるステップでは、薄膜の向上した応力強度を実現するために、350℃以下の成膜温度で後続する2ステップのプラズマパワーを適宜調節することができる。
【0042】
一具体例として、前記有機シリコン前駆体を吸着させるステップは、0.1~100torrの蒸気圧下で行ってもよく、好ましくは0.1~80torr、より好ましくは1~50torrの蒸気圧下で行ってもよい。
【0043】
本発明の一実施形態による前記基板は、通常のプラズマ強化原子層の蒸着時に用いられる基板であれば制限されず、その非限定的な一例としては、半導体基板、導電体基板、または絶縁体基板などが挙げられる。また、前記基板は、任意のパターンや層が形成されたものであってもよい。
【0044】
本発明の一実施形態による前記シリコン‐窒素結合を含む有機シリコン前駆体は、シリコン‐窒素結合を含むものであれば制限されないが、下記化学式1、2、および3で表されるものから選択されるものが好ましい。
【0045】
【0046】
【0047】
[化学式3]
(前記化学式1、2、および3中、
R
1~R
3、R
11~R
17、およびR
21~R
24は、それぞれ独立して、水素、(C1‐C5)アルキルまたは(C2‐C5)アルケニルであり;
nおよびmは、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
pは1~3の整数である。)
【0048】
前記シリコン‐窒素結合を含む有機シリコン前駆体は、常温(23℃)~40℃および常圧下でも優れた揮発性を示し、反応性が高いため、400℃以下の成膜温度にもかかわらず、プラズマ強化原子層蒸着法によって高い蒸着速度が実現可能であるだけでなく、薄膜の高い熱的安定性および応力強度を実現することができる。
【0049】
特に、本発明による有機シリコン前駆体は、2ステップからなるプラズマ励起ステップを含む単位サイクルにより形成された原子層との強固な結合力を示し、著しく向上したステップカバレッジを実現する。このような効果は、上述の本発明による順次プラズマ発生ステップを行うことで誘導されると予想される。
【0050】
上述の効果において、より好ましく、前記シリコン‐窒素結合を含む有機シリコン前駆体は、下記構造から選択されるものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0051】
【0052】
前記有機シリコン前駆体を吸着させるステップでは、前記有機シリコン前駆体を1~90秒間注入し、安定した原子層を形成するという点から、好ましくは1~60秒、より好ましくは3~30秒間注入してもよい。
【0053】
また、本発明の一実施形態によると、前記有機シリコン前駆体を吸着させた後、パージステップをさらに含んでもよい。
【0054】
前記パージステップでは、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガスなどから選択される1つ以上のパージガスを用いてもよい。
【0055】
一具体例として、前記パージステップでは、前記パージガスを1~10,000sccm(square cubic centimeters)範囲の流量で1~1,000秒間注入し、装置内に残留し得る未吸着の有機シリコン前駆体および任意の不純物などを除去する。
【0056】
本発明の一実施形態によるプラズマ強化原子層蒸着によるシリコン窒化薄膜の製造方法において、前記第1プラズマを励起させるステップは、前記第1反応ガス下でプラズマを励起させ、前記シリコン‐窒素結合を含む有機シリコン前駆体が化学吸着された層(chemisorbed layer)の一部または全部と反応することで、シリコン‐窒素結合を含む原子層を形成し、これを固定する役割を果たす。
【0057】
本発明の一実施形態による第1プラズマを励起させるステップは、窒素ガス(N2)および水素化ガスが混合された第1反応ガス下で行う。このステップにより、後続の有機シリコン前駆体と結合しやすい特性が付与される。
【0058】
一具体例として、前記第1反応ガスは、1,000~100,000sccm(square cubic centimeters)範囲の流量で注入してもよく、好ましくは3,000~50,000sccm、より好ましくは5,000~10,000sccm範囲の流量で注入してもよい。
【0059】
本発明の一実施形態による第1プラズマを励起させるステップは、上述の組成で混合された第1反応ガス下で第1プラズマを励起することで、最終的に形成されるシリコン窒化薄膜中のシリコン‐窒素結合の面積比を向上させることができることはいうまでもなく、上述の効果において、単一反応ガスを使用した一例に比べて顕著性を示す。
【0060】
また、前記第1反応ガス下でプラズマを励起させることで、有機シリコン前駆体が化学吸着された層と反応して原子層を形成するとともに、反応後に発生する不純物を水素化処理して除去してもよい。
【0061】
この際、前記水素化ガスは、水素ガス、または窒素原子(N)および水素原子(H)を同時に含む反応ガスであれば制限されず、その非限定的な一例としては、水素(H2)、アンモニア(NH3)、およびヒドラジン(N2H4)などが挙げられる。
【0062】
本発明による第1プラズマを励起させるステップは、前記窒素ガスと前記水素化ガスが300:1~1:1の流量比で混合された第1反応ガス下で行ってもよい。前記範囲の流量比を満たす場合、向上した蒸着速度で優れたステップカバレッジを実現することができ、このような効果を実現する点から、好ましくは250:1~20:1の流量比、より好ましくは200:1~50:1の流量比を満たしてもよい。
【0063】
また、本発明によると、上述の流量比で混合された反応ガスを装置内に注入することが好ましいが、窒素ガスと水素化ガスをそれぞれ、上述の流量比を満たす流量で同時に装置内に注入することも、本発明の一態様である。
【0064】
上述の本発明による第1プラズマを励起させるステップにより誘導される効果は、窒素ガスと水素化ガスが混合された第1反応ガス下で行う場合に、単一反応ガス下での効果よりシナジーを示す。特に、前記水素化ガスのみを反応ガスとして採用する場合、プラズマによって誘発される過量の水素原子などによる不純物が形成されるため好ましくない。
【0065】
本発明の一実施形態による第1プラズマを励起させるステップは、50~400℃の範囲の成膜温度で行ってもよい。前記成膜温度は、本発明の基板温度と同一の意味で解釈されることができ、シリコン窒化薄膜の物性を調節するために、成膜温度、圧力、およびプラズマを発生するために印加される電源のパワーなどを適宜調節してもよいことはいうまでもない。
【0066】
一具体例として、前記ステップは、上述の範囲の成膜温度で500W以下のパワーで第1プラズマを励起させるステップであってもよい。
【0067】
一具体例として、前記ステップは、50~200℃の範囲の成膜温度で、150W~500Wの範囲のパワーで第1プラズマを励起させるステップであってもよい。
【0068】
一具体例として、前記ステップは、200℃超の成膜温度で、50W~150W未満のパワーで第1プラズマを励起させるステップであってもよい。
【0069】
本発明の一実施形態による第1プラズマを励起させるステップにおいて、前記第1プラズマは1~120秒間照射してもよく、不純物を最小化するという点から、好ましくは1~90秒、より好ましくは3~60秒間照射してもよい。
【0070】
また、本発明の一実施形態による前記第1プラズマを励起させるステップの後に、パージステップをさらに含んでもよい。
【0071】
前記パージステップでは、前記第1反応ガスを用いてもよく、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガスなどから選択される1つ以上のパージガスを用いてもよい。
【0072】
一具体例として、前記パージステップでは、前記パージガスを1~10,000sccm(square cubic centimeters)範囲の流量で1~1,000秒間注入することで、装置内に残留し得る未反応の有機シリコン前駆体および任意の不純物などを除去する。
【0073】
本発明の一実施形態によるプラズマ強化原子層蒸着によるシリコン窒化薄膜の製造方法において、前記第2プラズマを励起させるステップは、前記第2反応ガス下でプラズマを発生させることで、前記第1プラズマを励起させるステップで形成されたシリコン‐窒素結合の原子層中の不純物を除去する役割と、後続の有機シリコン前駆体が化学吸着された層との向上した吸着力を実現するための1つ以上の反応性サイトを形成する役割を果たす。この際、前記第2反応ガスは、窒素原子(N)を含み、且つ水素原子(H)は含まない反応ガスであり、好ましくは窒素ガスであってもよい。
【0074】
本発明による2ステップからなるプラズマ励起ステップを行うことで、原子層中に残留している不純物結合を窒素で置換することにより、さらに高いシリコン‐窒素結合の吸収面積比(シリコン‐水素結合を基準とする)を満たすとともに、後続の有機シリコン前駆体との吸着力を著しく向上させることができる。特に、原子層中の酸素原子の含量(原子%)を最小化することができるため好ましい。
【0075】
一具体例として、前記第2反応ガスは、1,000~100,000sccm(square cubic centimeters)範囲の流量で注入し、好ましくは3,000~50,000sccm、より好ましくは5,000~10,000sccm範囲の流量で注入してもよい。
【0076】
一具体例として、前記ステップは、500W以下のパワーで第2プラズマを励起させるステップであり、好ましくは50~400W、より好ましくは50~200Wの範囲のパワーで第2プラズマを励起させるステップであってもよい。
【0077】
本発明の一実施形態による第2プラズマを励起させるステップにおいて、前記第2プラズマは1~200秒間照射してもよく、不純物を最小化するという点から、好ましくは10~120秒、より好ましくは30~90秒間照射してもよい。
【0078】
また、本発明の一実施形態による前記第2プラズマを励起させるステップの後に、パージステップをさらに含んでもよい。
【0079】
前記パージステップでは、前記第2反応ガスを用いてもよく、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガスなどから選択される1つ以上のパージガスを用いてもよい。
【0080】
一具体例として、前記パージステップでは、前記第2反応ガスまたは前記パージガスを1~10,000sccm(square cubic centimeters)範囲の流量で1~1,000秒間注入することで、任意の不純物、特に水素原子を効果的に除去する。
【0081】
本発明の一実施形態によるプラズマ強化原子層蒸着によるシリコン窒化薄膜の製造方法の単位サイクルは、上述のように、所定の組成を満たす反応ガスを用いて、2つのステップでプラズマを励起させることで、低い成膜温度にもかかわらず、高純度のシリコン窒化薄膜を提供することができる。また、本発明によるシリコン窒化薄膜は、強固に結合されたシリコン‐窒素結合を含むため、高い応力強度はいうまでもなく、物理的特性であるエッチング特性(例えば、ウェットエッチング率)およびステップカバレッジを著しく向上させることができる。
【0082】
この際、前記エッチング特性は、通常の洗浄液または酸化エッチング液に対する耐性である。前記洗浄液または酸化エッチング液の非限定的な一例としては、過酸化水素(H2O2)、水酸化アンモニウム(NH4OH)、リン酸水溶液(aqueous H3PO4 solution)、フッ化水素水溶液(aqueous HF solution)、および緩衝酸化エッチング液(buffered oxide etch (BOE) solution)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。ところが、本発明による前記シリコン窒化薄膜は、特にフッ化水素水溶液に対する耐性に優れており、本発明におけるエッチング耐性は、フッ素水素水溶液またはおよび緩衝酸化エッチング液(buffered oxide etch (BOE) solution)に対する耐性を意味し得るが、これに限定されるものではない。
【0083】
また、本発明の一実施形態によるプラズマ強化原子層蒸着によるシリコン窒化薄膜の製造方法は、前記有機シリコン前駆体、反応ガスなどの組成を変化させたり、上述の範囲内でそれらの供給時間を変更させたりするなどにより、本発明による製造方法を変更してもよいことはいうまでもない。
【0084】
以下、本発明の一実施形態によるプラズマ強化原子層蒸着によるシリコン窒化薄膜の製造方法により製造されたシリコン窒化薄膜について説明する。
【0085】
本発明の一実施形態によるシリコン窒化薄膜は、シリコン‐窒素結合を含む原子層が優れた結合力で蒸着されたものであって、酸素原子、水素原子、炭素原子などの不純物が最小化された高純度のシリコン窒化薄膜である。
【0086】
特に、前記シリコン窒化薄膜は、シリコン窒化薄膜中に存在する全原子を基準として、酸素原子の含量が10原子%以下であり、シリコン‐窒素/シリコン‐水素の面積比(Si‐N/Si‐H)が90以上であってもよい。
【0087】
一具体例として、前記シリコン窒化薄膜は、酸素原子の含量が好ましくは0.1~10原子%の範囲であり、シリコン‐窒素/シリコン‐水素の面積比(Si‐N/Si‐H)が好ましくは100~400の範囲であってもよい。
【0088】
一具体例として、前記シリコン窒化薄膜は、シリコン/窒素原子の組成の割合(Si/N)が0.70~0.89の範囲である高純度のシリコン窒化薄膜であってもよい。
【0089】
一具体例として、前記シリコン窒化薄膜は、水素原子の含量が0.1~30原子%の範囲であってもよく、炭素原子の含量が0~0.5原子%の範囲であってもよい。
【0090】
本発明によると、所定の組成を満たす反応ガスを用いて、2ステップからなるプラズマ励起ステップを行うことで、ステップカバレッジが80%以上である前記シリコン窒化薄膜を提供することができる。すなわち、本発明によるシリコン窒化薄膜は、工程中に有機シリコン前駆体の吸着障害または吸着妨害が起こらないことが分かる。
【0091】
本発明の一実施形態によるシリコン窒化薄膜のステップカバレッジは、好ましく80~120%であってもよく、より好ましくは90~100%であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0092】
また、本発明の一実施形態による前記シリコン窒化薄膜は、向上したエッチング特性を有する。
【0093】
以下、本発明を下記実施例によってさらに具体的に説明する。しかし、これらの実施例は、本発明の理解のためのものにすぎず、如何なる意味でも、本発明の範囲がこれらによって制限されるものではない。
【0094】
また、以下の全ての実施例は、商用化されたシャワーヘッド方式の200mm枚葉式(single wafer type)ALD装備を用いて、公知のプラズマ強化原子層蒸着法(PEALD)により行った。蒸着されたシリコン窒化薄膜は、エリプソメータ(Ellipsometer、M2000D、Woollam)および透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、TEM)により厚さを測定し、赤外分光分析(Infrared Spectroscopy、IFS66V/S & Hyperion 3000、Bruker Optiks)、オージェ電子分光分析(Auger Electron Spectroscopy;AES、Microlab 350、Thermo Electron)、および二次イオン質量分析(Secondary Ion Mass Spectrometer、SIMS)を用いてその組成を分析した。
【0095】
(実施例1)
プラズマ強化原子層蒸着法(PEALD)を用いる通常のプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)装置で、シリコンウエハ基板(Si wafer)に窒素(N2)を5sccmの流量とし、94℃に加熱されたビス(ジメチルアミノメチルシリル)トリメチルシリルアミンを15秒間注入して基板上に吸着させることで、化学吸着された層を形成した後、窒素(N2)を6000sccmの流量で32秒間注入してパージした。前記基板に、窒素(N2)とアンモニア(NH3)が120:1の流量比(sccm:sccm)で混合されたガスを30秒間注入しながら、75Wパワーのプラズマを発生させて化学吸着された層と反応させた後、窒素(N2)を6000sccmの流量で10秒間注入してパージした。前記基板に、窒素(N2)を6000sccmの流量で60秒間注入しながら、75Wパワーのプラズマを発生させて1つ以上の反応サイトを形成させた後、窒素(N2)を6000sccmの流量で20秒間注入してパージした。
【0096】
以上の方法を単位サイクル(1 cycle)とし、240回繰り返して行うことで、シリコン窒化薄膜を製造した。以下、
図1および表1に、具体的な蒸着条件を示した。
【0097】
(実施例2~9)
前記実施例1の方法と同様に行い、この際、下記表1に記載の具体的な蒸着条件に従って、単位サイクルを240回繰り返して行うことでシリコン窒化薄膜を製造した。
【0098】
前記方法により製造されたシリコン窒化薄膜の物性を確認するために、エリプソメータおよび透過型電子顕微鏡により厚さを測定し、赤外分光分析によりSi‐N結合およびSi‐H結合の分子振動を観察して、その面積比を比較した。また、オージェ電子分光分析により、前記シリコン窒化薄膜中のシリコン原子と窒素原子の割合および元素組成を確認し、二次イオン質量分析により、前記シリコン窒化薄膜中の不純物(酸素、炭素、水素など)の含量を原子%で示した。また、フッ化水素に対するエッチング耐性は、低圧化学気相蒸着法(LPCVD)により、770℃でビス(ジメチルアミノメチルシリル)トリメチルシリルアミンとアンモニアを用いて形成されたシリコン窒化薄膜のエッチング耐性(0.009Å/sec)と比較した。
【0099】
前記方法により確認されたシリコン窒化薄膜の物性は、下記表3、表4、
図2、および
図4~
図6に示した。
【0100】
【0101】
(比較例1~6)
プラズマ強化原子層蒸着法(PEALD)を用いる通常のプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)装置で、シリコンウエハ基板(Si wafer)を用いて、下記表2の蒸着条件を単位サイクル(1 cycle)として240回繰り返して行うことで、シリコン窒化薄膜を製造した。
【0102】
前記方法により製造されたシリコン窒化薄膜の物性は前記実施例1の方法で確認し、その結果を下記表3、表4、
図3~
図6に示した。
【0103】
【0104】
【0105】
表3に示したように、本発明による実施例は、優れた蒸着率はいうまでもなく、優れたエッチング耐性および優れた薄膜効率を示すことを確認した。また、これから製造される薄膜は、高いレベルのシリコン‐窒素結合を含むことを確認した。
【0106】
すなわち、本発明によると、2ステップからなるプラズマ励起ステップを行うことで、向上した膜質特性を有するシリコン窒化薄膜をより有利な生産性で提供することができる。
【0107】
【0108】
表4に示したように、本発明による実施例は、比較例に比べて、深さにかかわらず均一な厚さの薄膜を形成するため、均質な薄膜の特性を有することができることを確認した。
【0109】
【0110】
表5に示したように、本発明による実施例は、低い含量の酸素および炭素を含むシリコン窒化薄膜を形成することができることを確認した。また、実施例5および6は、相対的に低い基板温度によって多孔性の薄膜が形成されるため、高い水素および酸素の含量を有するが、目的とするシリコン窒化薄膜の組成比を満たすシリコン窒化薄膜を形成することができることを確認した。
【0111】
しかし、それらと同様に多孔性の薄膜が形成された比較例4および5は、後続のシリコン‐窒素結合が形成されにくいためシリコン/窒素の割合(Si/N Ratio)が非常に高く、工程後における大気露出による酸化が早いため、実施例5または6に比べて著しく高い酸素含量を有することを確認した。
【0112】
すなわち、本発明によると、低温工程条件にもかかわらず優れた品質のシリコン窒化薄膜を形成することができる。また、シリコン窒化薄膜中の不純物の含量を最小化するだけでなく、高純度でシリコン‐窒素結合を含むことで、優れたエッチング耐性を有する高品質のシリコン窒化薄膜を形成し、優れたステップカバレッジ特性を示す。したがって、その活用価値が高いと期待される。
【0113】
本発明の思想を逸脱することなく数多く且つ多様な修正が可能であるということを、通常の技術者であれば理解できるであろう。したがって、本発明の上記形態は例示的なものにすぎず、本発明の範囲を制限しようとする意図ではないということが明確に理解されるべきである。