(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】医薬用容器の包装体のためのコンベアユニット
(51)【国際特許分類】
B65B 55/24 20060101AFI20220324BHJP
B65B 43/46 20060101ALI20220324BHJP
B65B 55/04 20060101ALI20220324BHJP
B65B 35/36 20060101ALI20220324BHJP
B65B 61/28 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
B65B55/24
B65B43/46 Z
B65B55/04 B
B65B55/04 M
B65B35/36
B65B61/28
(21)【出願番号】P 2019504969
(86)(22)【出願日】2017-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2017068855
(87)【国際公開番号】W WO2018019871
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2020-07-15
(31)【優先権主張番号】102016000078604
(32)【優先日】2016-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519027925
【氏名又は名称】アイ.エム.エー. インダストリア マッキーネ アウトマティケ ソシエタ ペル アチオニ
【氏名又は名称原語表記】I.M.A. INDUSTRIA MACCHINE AUTOMATICHE S.P.A.
【住所又は居所原語表記】VIA EMILIA 428-442, 40064 OZZANO DELL’EMILIA BOLOGNA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】特許業務法人森脇特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トレッビ クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】ガブシ ガブリエーレ
【審査官】武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-529034(JP,A)
【文献】特表2010-516564(JP,A)
【文献】特表2008-531408(JP,A)
【文献】特表2002-505921(JP,A)
【文献】特開昭54-16287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 55/00-55/24
B65B 43/00-43/62
B65B 61/00-61/28
B65B 35/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌又は滅菌されかつ密封された医薬用容器の包装体(A)を少なくとも1つのフラップ(C)を有する袋(B)に入れ密閉された状態で運搬するためのコンベアユニット(1)であって、
前記コンベアユニット(1)は、
前記フラップ(C)を吊り下げるための少なくとも1つのクランプジョー(4)を有する把持要素(3)と、
前記把持要素(3)を移動させるための処理ライン(2)と、
前記処理ライン(2)より上に配置され、
気体の層流を前記処理ライン(2)に向けて供給する分配装置と、
を備えており、
前記袋(B)が、前記クランプジョー(4)に吊り下げられた状態で前記処理ライン(2)上を運搬される間、
前記気体の層流が各前記袋(B)の外面のみに当たるように構成されることにより、前記袋(B)の全表面が清浄な状態で運搬されることを特徴とする、コンベアユニット(1)。
【請求項2】
前記処理ライン(2)は、ループ状で閉じており、制御及び管理プロセッサによって制御される自動モータユニットによって駆動されることを特徴とする、請求項1記載のコンベアユニット(1)。
【請求項3】
前記袋(B)はそれぞれ、前記医薬用容器のための複数の収容部を備えたネスト及びタブを備え、
前記ネスト、前記タブ、及び前記医薬用容器は、前記袋(B)内で包装される前に洗浄され、殺菌又は滅菌済であることを特徴とする、請求項1又は2記載のコンベアユニット(1)。
【請求項4】
前記処理ライン(2)は、袋移動ステーションと位置が合わせられた第一部分(7)を備え、
前記第一部分(7)において、
前記袋(B)は一時保管領域から把持領域へと1つずつ移動させられ、
前記把持領域において、
前記把持要素(3)の前記クランプジョー(4)で前記袋(B)をクランプするために、前記処理ライン(2)の前記第一部分(7)の近くに前記袋(B)を移すことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項記載のコンベアユニット(1)。
【請求項5】
前記処理ライン(2)は、袋取り出しステーション(9)と位置が合わせられた第二部分(8)を備え、
前記第二部分(8)において、
前記袋取り出しステーション(9)が、前記袋(B)を1つずつ前記処理ライン(2)から取り出されることを特徴とする、請求項4記載のコンベアユニット(1)。
【請求項6】
前記袋取り出しステーション(9)は、前記把持要素(3)の前記クランプジョー(4)でクランプされた前記袋(B)を吊り下げている前記フラップ(C)を切断するための少なくとも1つの切断装置(12)を備え、
前記袋取り出しステーション(9)は、前記切断装置(12)が前記フラップ(C)を切断する間、前記袋(B)を固定するための固定要素を備えることを特徴とする、請求項5記載のコンベアユニット(1)。
【請求項7】
前記処理ライン(2)は、ループ状であり、2つの実質的に平行かつ直線状の中間部(10、11)を備え、
直線状の前記中間部(10、11)は、前記袋(B)の前記移動ステーションと位置が合わせられた前記第一部分(7)と、前記袋(B)の前記取り出しステーションと位置が合わせられた前記第二部分(8)との間に配置されることを特徴とする、請求項5又は6記載のコンベアユニット(1)。
【請求項8】
前記気体の層流を供給するための前記分配装置は、換気圧縮器と、前記換気圧縮器の下流に接続される搬送ダクトと、前記処理ライン(2)より上に配置される複数の供給ノズルと、を備えることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項記載のコンベアユニット(1)。
【請求項9】
前記分配装置によって供給される前記気体は、予めろ過された空気であることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項記載のコンベアユニット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬用容器の包装体のためのコンベア(搬送)ユニットに関する。
【0002】
包装の目的は具体的には、容器(例えばバイアル、瓶、シリンジ、アンプル等)の収納と、外部環境からの分離とである。
【0003】
これらの容器は、残留物が(塵だけでなく類似物も)容器内部に存在しないことを確実にし、容器の表面からすべての汚染物質を除去するために処理を受ける。
【0004】
これらは通常ネストに組み入れられ、そしてネストも、洗浄及び殺菌のための類似処理を受ける。
【0005】
ネストは次に、容器(上部開口部が開いた状態で配置される)に塵又は他の微粒子(パーティクル)が入るのを防止する保護シートを上部に備えた殺菌済のタブに収納される。
【0006】
密封フィルムは、外部と、タブの内部とを完全に分離するために、保護シートと、ネストと、容器とを含むタブの上縁に確実に固定される。
【0007】
その後タブは、(タブと密封フィルムの外側も殺菌されなければならないので)第二の保護バリアを形成する(一般的に重合材料で作成される)袋に配置される。
【0008】
このようにして、容器が不本意に汚染されないことが保証されて包装される容器を搬送することができる。
【0009】
一旦容器が様々な特定の物質を容器に充填する工場に到着すると、以下の処理が必要である。
容器を、まず最初に袋が開封されるステーションに、その後密封フィルムが除去されるステーションに、そして最後に、個々の容器が充填されるステーションに運搬される。
【0010】
これらの作業は、特定のパーティクルの清浄度クラスの環境で実行される(充填作業は汚染リスクが最も低い環境で行われる)。
【0011】
運搬の初期段階では、袋面の外側に付着しているかもしれない(運搬又は貯蔵の間に堆積した)微粒子を除去するために、層状の気体流が、コンベヤベルト及びその上の袋に作用するよう用いられる。
【0012】
この層流が、この種の微粒子を除去する。
【0013】
一般に、袋の底部は通常コンベヤベルト上にあり、袋の底部を清浄化するための気流が遮られるので、袋の底部に位置する微粒子は袋から除去されない。
【0014】
従って、袋上の粒子量を最小限とするために現在採用される手段では、袋の少なくとも1面(コンベヤベルト上に位置する底部)に対しては効果がないことが判明した。
【0015】
他の面よりかなり多くの微粒子により潜在的に汚染されるている袋面の存在は、堆積した微粒子を除去するには今までの対策は全体として不足であるということを意味する。
【0016】
とりわけ、袋の底部とコンベヤベルト面との接触は、層流によって微粒子を除去する余地なく、ベルトからの微粒子が袋の底部へ付着することになり得る。
【0017】
さらに、袋が運搬中にとどまり、かつ外部からの作用又は袋の重量による損傷(例えば端部又は表面の歪み)を受けないとは言えない。
【0018】
米国特許出願公開第2016/0122057号により、袋が環状の処理ラインの把持部に吊り下げられ、袋の充填が行われる包装用機械は公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】米国特許出願公開第2016/0122057号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の主要な目的は、上記課題を解決することであり、医薬用容器の包装体のためのコンベアユニットを提供する。このコンベアユニットは、層流を用いて、包装体の外面上、その全外面上、の微粒子の堆積を低減する。
【0021】
この取り組みの範囲内における、本発明の目的の1つは、包装体の外面に更なる微粒子が付着するリスクを最小化する、医薬用容器の包装体のコンベアユニットを提供することである。
【0022】
本発明の別の目的は、すべての運搬作業の間、袋が適所に固定されたままの医薬用容器の包装体のためのコンベアユニットを提案することである。
【0023】
本発明の別の目的は、袋が外部からの作用や袋自体の重量により損傷を受けない医薬用容器の包装体のためのコンベアユニットを提案することである。
【0024】
本発明の別の目的は、医薬用容器の包装体のための完全に自動化したコンベアユニットを提案することである。
【0025】
本発明の最終的な目的は、費用効果的な、相対的にシンプルな実施と、実用的で安全に適用される、医薬用容器の包装体のためのコンベアユニットを提供することである。
【0026】
この取り組み及びこれらの目的は、請求項1による医薬用容器の包装体のためのコンベアユニットによって達成される。
【0027】
本発明の更なる特徴および効果は、本発明による医薬用容器の包装体のためのコンベアユニットの好適であるが排他的でない実施態様の説明により明らかとなる。そしてこのことは、以下に、添付の図面の非限定的な実施例として図示される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】模式的な不等角投影図における、本発明による医薬用容器の包装体のためのコンベアユニットを表す。
【
図2】模式的な不等角投影図における、本発明による医薬用容器の包装体のためのコンベアユニットの別の実施例を表す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
特に参照符号1を備えるこれらの図を参照すると、本発明の医薬用容器の包装体Aのためのコンベアユニット1が全体的に示されている。
【0030】
本発明による包装体Aは、密閉され、好適には重合材料で作成される外側袋Bを含む。
【0031】
ユニット1は、把持要素3のための処理(輸送)ライン2と、ライン2上部の上に配置され、ライン2を包み込むよう方向づけられた気体の層流のための分配装置を備える。
【0032】
添付図面において、気体の層流を表す線は、ユニット1より上の、上から下に向かう一連の矢印からなる。(この表現は単に示唆的なものであり、形成する気体循環の形態を限定するものではない)。
【0033】
各把持要素3が、袋Bの少なくとも1つのフラップ(縁端部)Cのための、少なくとも1つのクランプジョー4を備えることが示されている。すなわち、少なくとも1つの顎部(クランプジョー)4により、気体の層流が処理(輸送)の間その外面を包み込むことができるよう、各袋Bを吊すことができる。
【0034】
層流は、処理ライン2によって運ばれる袋に当たる。
【0035】
袋Bが少なくとも1つの顎部4に吊されているときには、その位置は輸送処理作業の間、一定かつ確実であるので、例えば、外部の作用及び/又は袋の自身の重量による、考えられる損傷が回避される。
【0036】
この配置では、望ましくない微粒子の堆積が袋Bの外面のうちの、(問題となる)1面に生じないことが確実であるので極めて有利である。従来の処理ユニットでは、袋Bはコンベヤベルトに置かれている。ベルト表面は層状の気流にさらされるが、(袋Bが置かれている部分の)ベルト上の微粒子の堆積を防止することができない。
【0037】
どのような場合も、袋がベルト表面に存在すると、ベルトと接触する袋Bの面は流れにさらされないので、(袋Bの底部上又はベルト上の)堆積した微粒子はいずれも、流れの影響を受けることができず、除去されなくなる。
【0038】
しかし、本発明のユニット1によると、袋上に堆積したいかなる微粒子の除去も容易にし、そして、ユニット1が位置する環境内の空中に浮遊する他のいかなる微粒子の堆積も防止することによって、各袋Bの全表面を清浄化することができる。
【0039】
明白に、実際的かつ適用できる可能性のある実施解決策に基づいて、本発明の輸送処理ライン2は、ループ状で閉じられており、制御及び管理プロセッサによって制御される自動モータユニットにより駆動される。
【0040】
この構成では、(袋Bが運搬される)能動的なセクション5と、(把持要素を能動的なセクション5の始まりに戻す役割のみをする)受動的なセクション6とに区別すれば存在する把持要素3の半分程度のみを運搬用に使用することになる。そして、この構成は、連続して作動するので大きな利点となる。
【0041】
なお、連続して作動する代わりに、交互に動作させることも可能である。
【0042】
本発明によるユニット1で処理することができる袋Bの特徴を正確に特定すると、好適には各袋Bが、タブを1つずつ有することが示される。そしてタブの中に、容器(シリンジ、バイアル、瓶、アンプル等)のための複数の収容部(座部)を備えたネストを順に配置する。
【0043】
具体的には、医薬品業界に特に関連しており、いかなる汚染物質もない袋B内の包装体を達成するために、タブ、ネスト及び容器は予め洗浄及び殺菌段階を受けるので、タブ、ネスト及び容器は滅菌済である。
【0044】
添付の図における、例として表され、非限定的な実施の解決策を特に参照し、本発明の処理ライン2は、袋送出ステーションに位置が合わせられる(配置される)第一部分7を備える。
【0045】
袋送出ステーションでは、袋は1つずつ一時保管領域から移送ライン上の把持領域へ移される。把持領域では、袋Bは上部にフラップ(縁端部)Cを有しており、フラップCは、対応する把持要素3のそれぞれのクランプジョー4へ送られるように、処理ライン2の第一部分7と位置が合わせられ、近接した位置に配置される。
【0046】
この実施において、処理ライン2は、袋取り出しステーション9と位置が合わせられる第2の部分(領域)8を効果的に含むことができる。
【0047】
第二部分8で、袋Bは1つずつ、利便性よく(アクセスし易く)、次の取り出しステーション9からの処理を受ける。
【0048】
それぞれの把持要素3の顎部4の間で留められた袋BからフラップCを適切に除去するために、取り出しステーション9は、少なくとも1つの切断装置12を備えることができる。
【0049】
取り出しステーション9は、袋B及びその内容物のための固定要素を含む。
【0050】
環(ループ)状である処理ライン2は、実質的に直線で実質的に互いに平行な2つの中間部(中間領域)10及び11を含む。
【0051】
これらの実質的に直線の部分10及び11は、袋移動ステーションと位置が合わせられる第1部分7と、袋取り出しステーション9と位置が合わせられる第2部分8との間に位置する。
【0052】
明白な操作上可能な解決によれば、気体の層流のための分配装置は、処理ライン2より上の換気圧縮器(ベンチレータ)と、圧縮器の下流に結合される搬送(送風)ダクトと、複数の供給ノズルとを備える。
【0053】
このようにして、それぞれの把持要素3から吊り下がっているすべての袋Bを取り囲む、上部から下への、層状の気流を生成することができる。
【0054】
分配装置によって運ばれる気体が、好適には、予め濾過された空気であることが明記される。例えば不活性ガス(窒素等)といった他のタイプの気体を用いることは、特定の適用要件次第で除外されない。
【0055】
本発明は上記の課題を解決し、医薬用容器の包装体Aのためのコンベアユニット1を提供する。そして関連する外面上の微粒子の堆積を低減することを目的とする気体の層流で、包装体の全外面を包み込む。
包装体A(特に外装袋B)のどの部分も微粒子の堆積又は付着を受けないことが確実であるので、この利点は特に重要である。(微粒子は、包装体A内にある容器に配置される活性成分及び/又は物質を汚染する)。
【0056】
本発明によればコンベアユニット1は、包装体A外面に、更なる微粒子が付着するリスクを有用に最小限とする。
【0057】
本発明によれば、コンベアユニット1は完全に自動化されている。このことは、作業者の不本意な誤りによって生じる問題や汚染をうまく回避する効果がある。
【0058】
医薬用容器の包装体Aのためのコンベアユニット1は、すべての運搬作業に亘り袋Bの位置が安定したままであるということを利便性良く保証する。
【0059】
医薬用容器の包装体Aのためのコンベアユニット1は、袋Bが外部からの作用又は袋自体の重量のために損傷しないことを効率的に保証する。
【0060】
本発明によれば、コンベアユニット1は、事実上相対的に実施しやすく、費用効率が良い。この特性により、ユニット1は実行するのに安全な技術革新となる。
【0061】
このように考えられる本発明は、すべて発明の概念の範囲内の、多数の変更及び変形例を受け入れることができる。さらに、詳細すべてを他の技術的に等価な要素と置き換えることができる。
【0062】
図示される実施例において、示される個々の特性及び具体例は、他の実施態様からの他の異なる特性を実際に置き換え可能である。
【0063】
実際には、要件及び従来技術による、いずれのサイズも材料も用いることが可能である。