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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】ドライアイを治療するためのマスク
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/04 20060101AFI20220324BHJP
【FI】
A61F9/04 300
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019527380
(86)(22)【出願日】2017-11-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2017078956
(87)【国際公開番号】W WO2018091380
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】1661145
(32)【優先日】2016-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519176371
【氏名又は名称】ラボラトアール テア
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】フラー エドモンド トーマス
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-123534(JP,A)
【文献】特開2015-216974(JP,A)
【文献】特開2011-244921(JP,A)
【文献】特表2005-515026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの眼球及び眼瞼を覆うようになったアイマスクであって、
電気加熱手段(14)及び該電気加熱手段(14)に給電するように構成されたバッテリ(15)を含む本体(1)と、
前記本体(1)に取り外し可能にリンクされた取り外し可能部材(2)であって、液体、特に水を該液体と保持オリフィス(32)の壁の間の表面張力効果の下で保持するようになった該保持オリフィス(32)が設けられたリザーバを形成する壁を含む前記取り外し可能部材(2)と、
を含み、
リザーバを形成する前記壁は、マスクを着用するユーザの前記眼球の露出した部分を取り囲むように構成され、
前記取り外し可能部材(2)は、リザーバを形成する前記壁を含む第1の部分(3)と、マスクを着用するユーザの顔面との気密性を与える第2の部分(4)とを含む、
ことを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記第1の部分(3)及び前記第2の部分(4)は、異なる部品によって構成され、該第1の部分(3)は、塑性材料で構成され、該第2の部分(4)は、弾性材料で形成されることを特徴とする請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記取り外し可能部材(2)は、空気に対して密封された前記ユーザの眼球の前に容積を形成するように、前記本体(1)の内壁に対して気密であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマスク。
【請求項4】
前記取り外し可能部材(2)の前記第2の部分は、前記本体(1)の内壁に対して気密性を更に与えることを特徴とする請求項3並びに請求項1及び請求項2の一方に記載のマスク。
【請求項5】
前記保持オリフィス(32)は、サイズ及び数の観点から合計0.5gと1.5gの間の水を保持するように構成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項6】
前記保持オリフィス(32)は、サイズ及び数の観点から合計0.7gと1gの間の水を保持するように構成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項7】
前記取り外し可能部材(2)が前記本体(1)にリンクされた時に、リザーバを形成する前記壁は、該本体(1)の内面と接触し、前記加熱手段(14)は、該内面を加熱するように構成されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項8】
前記取り外し可能部材(2)は、前記本体(1)の前記内面とリザーバを形成する前記壁の外面との間の形状の一致によって、該本体(1)にリンクされることを特徴とする請求項7に記載のマスク。
【請求項9】
少なくとも1つの温度センサと、前記バッテリ(15)による前記加熱手段の前記給電を調整するための少なくとも1つの手段とを含み、
前記温度センサ及び前記調整手段はリンクされている、
ことを特徴とする請求項1から請求項8のうちの1項に記載のマスク。
【請求項10】
請求項1から請求項9のうちの1項に記載のマスクと、
前記マスクの本体(1)を受け入れ、かつバッテリ(15)を再充電するために前記本体に電気を給電するようになったベース(5)と、
を含むことを特徴とするセット。
【請求項11】
前記本体(1)が前記ベース(5)上に受けられた時に、該本体(1)の前記給電によって、前記バッテリ(15)で給電されることなく加熱手段の加熱を更に可能にするように構成されることを特徴とする請求項10に記載のセット。
【請求項12】
前記ベース(5)は、前記マスクの前記本体(1)を受け入れるための凹み(51)を含み、該凹み(51)は、取り外し可能部材(2)が該本体(1)にリンクされた時に該マスク(1)の該本体が該ベース(5)上に受け入れられることを防止する形状を有することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載のセット。
【請求項13】
前記ベース(5)は、取り外し可能部材(2)を受け入れるように構成されたハウジング(52)を含むことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載のセット。
【請求項14】
リザーバを形成する壁の充填のために取り外し可能部材(2)を受け入れるようになったレセプタクル(6)を更に含み、
前記ベース(5)は、前記レセプタクル(6)が空である時に該レセプタクルを受け入れるための手段(53)を更に含む、
ことを特徴とする請求項10から請求項13のうちの1項に記載のセット。
【請求項15】
前記マスクの前記本体又は前記ベースは、遠隔システムと通信するようになった有線又は無線通信手段を含むことを特徴とする請求項11から請求項14のうちの1項に記載のセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼球の角膜を覆う涙液膜の品質を改善することによって眼球の乾燥に対して作用するためのユーザの眼球及び眼瞼を覆うように構成されたアイマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
眼球の角膜上に存在する涙液膜は、水性と呼ばれる層と眼瞼の縁部上に位置する腺、すなわち、マイボーム腺によって分泌される複合脂質(マイバム)によって構成された脂質又は油層とを含むいくつかの連続層を含む。
【0003】
脂質層は、涙液膜の最外層を構成し、かつ涙に含有される水の急速な蒸発を防止する。マイボーム腺の機能障害は、腺を塞ぐ通常よりも厚い分泌物をもたらす場合があり、従って、涙液膜の中へのそれらの分泌物の放出を妨げる。
【0004】
これは、眼球の乾燥及び異物(「砂の粒」感覚)の存在の感覚、眼瞼の炎症、腺の膨潤、及び/又は視力の妨げを引き起こす。
【0005】
マイボーム腺の閉塞解消は、熱効果の下で得ることができ、脂質分泌物は、熱効果の下で流体及び液体にされる。最適結果は、水蒸気で飽和した熱気(約50℃での)の効果の下で達成される。良好な結果を得るために飽和熱気での10分程度の十分な持続時間が更に必要である。
【0006】
文献EP2961363は、治療の持続時間にわたってデバイスに対して十分な温度を維持することを可能にする相変化材料と水リザーバとを含むアイマスクタイプの治療デバイスを提示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】EP2961363
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、そのようなデバイスは、使用に対してある一定の数の制約を呈する。それは、その使用に先だって相変化材料を液化するために加熱する必要があり、これは、長時間を費やし、かつ大量のエネルギを消費する場合がある。更に、マスクの適用を通しての温度の制御は不完全である。担持されている水は加熱する必要もあり、その加熱に必要なエネルギは大きい場合がある。更に、多孔質部材を使用する水によるデバイスの充填は、簡素化することができると考えられる。最後に、そのようなデバイスは、不透明であり、かつユーザがその適用中に見ることを可能にしない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の欠点の少なくとも1つの解決に向けられる。
【0010】
すなわち、本発明は、ユーザの眼球及び眼瞼を覆うようになったアイマスクに関する。マスクは、電気加熱手段及び電気加熱手段に給電するように構成されたバッテリを含む本体と、本体に取り外し可能にリンクされた取り外し可能部材とを含む。取り外し可能部材は、液体、特に水をこの液体とオリフィスの壁との間の表面張力効果の下で保持するようになった保持オリフィスが設けられたリザーバを形成する壁を含む。リザーバを形成する壁は、マスクを着用するユーザの眼球を取り囲むように有利に構成される。
【0011】
本発明で提供するマスクは、従って、容易かつ自律的な方式でマイボーム腺の充血緩和によるドライアイの治療を可能にする。バッテリの使用は、特にユーザによるマスクの着用中にマスクが外部エネルギ源にリンクされることなく、マスクに存在する空気の温度の加熱及び/又は維持を可能にする。表面張力効果の下で水を保持することによってリザーバを形成する取り外し可能部材は、容易な充填後に、適用持続時間にわたって蒸気でマスクに存在する空気を飽和するのに十分な量の水(又は他の液体又は溶液)をマスク内に担持することを可能にする。オリフィスを使用して水とそれらのオリフィスの壁との間の表面張力効果の下で水を保持する液体(一般的に水)のためのリザーバの特定の構成は、適用開始時にマスクに担持される水の量の正確な制御を可能にする。リザーバを形成する壁の構成は、ユーザの眼球の周りに液体(一般的に水)のストアの良好な分散を提供し、かつ均一に飽和した空気がマスク内に取得されることを可能にする。それはまた、ユーザの眼球の前のクリアランスを増大し、ユーザがマスクを使用する時に彼が瞬きすることを可能にする。
【0012】
取り外し可能部材は、リザーバを形成する壁を含む第1の部分と、マスクを着用するユーザの顔面との気密性を与える第2の部分とを含むことができる。
【0013】
第1の部分及び第2の部分は、異なる部品によって構成することができ、第1の部分は、塑性である材料で構成され、第2の部分は、弾性である材料で形成される。
【0014】
取り外し可能部材又は部分は、空気に対して密封されるユーザの眼球の前の容積を形成するように本体の内壁に対して有利に気密である。
【0015】
取り外し可能部材の第2の部分は、本体の内壁に対する気密性を更に提供することができる。
【0016】
マスクの実施形態では、保持オリフィスは、0.5gと1.5gの間の水、好ましくは0.7gと1gの間の水を保持するようにサイズ及び数の観点から構成される。
【0017】
本発明の好ましい変形によるマスクでは、取り外し可能部材が本体にリンクされた時に、リザーバを形成する壁は、本体の内面と接触し、加熱手段は、この内面を加熱するように構成される。
【0018】
取り外し可能部材は、本体の内面とリザーバを形成する壁の外面との間の形状の一致によって本体にリンクさせることができる。
【0019】
本発明の実施形態によるマスクは、少なくとも1つの温度センサと、バッテリによる加熱手段の給電を調整するための少なくとも1つの手段とを含むことができ、温度センサ及び調整手段はリンクされる。
【0020】
本発明はまた、上述のようなマスクとこのマスクの本体を受け入れてそれにそのバッテリを再充電する電気を供給するようになったベースとを含むセットに関する。
【0021】
そのようなセットは、本体がベース上に受け入れられた時に本体の給電が加熱手段の加熱をそれらがバッテリによって給電されることなく更に可能にするように構成することができる。
【0022】
ベースは、マスクの本体を受け入れるための凹みを含むことができ、この凹みは、取り外し可能部材がこの本体にリンクされた時にマスクの本体がこのベース上に受け入れられることを防止する形状を有する。
【0023】
ベースは、取り外し可能部材を受け入れるように構成されたハウジングを含むことができる。
【0024】
セットは、リザーバを形成する壁の充填のために取り外し可能部材を受け入れるようになったレセプタクルを更に含むことができ、ベースは、このレセプタクルが空である時にレセプタクルを受け入れるための手段を更に含む。
【0025】
マスクの本体又はベースは、遠隔システムと通信するようになった有線又は無線通信手段を含むことができる。
【0026】
最後に、本発明は、上述のようなマスクを使用する方法に関連し、本方法は、リザーバを形成する壁のオリフィスを液体で充填する段階と、取り外し可能部材を本体にリンクさせる段階と、バッテリによって加熱手段を給電する段階と、いわゆる適用時間の全体又は一部にわたって加熱手段の給電をマスクの内部空間に閉じ込められた空気をこの適用時間の全体又は一部にわたって予め定められた温度範囲に維持するように調整する段階とを含む。
【0027】
本発明の更に他の特殊性及び利点は、以下の説明で明らかであろう。
【0028】
添付図面は、非限定的な例として与えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施形態によるマスクを3次元の図式的視点で提示する図である。
図2図1のマスクの取り外し可能部材の詳細図を3次元の第1の図式的視点で提示する図である。
図3図1のマスクの取り外し可能部材の詳細図を3次元の第2の図式的視点で提示する図である。
図4図1のマスク及びベースの本発明の実施形態によるセットの図を3次元の視点で提示する図である。
図5】ベースが特にマスクを構成する部材を受け入れる図4のセットの3次元の図式的視点を提示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明の実施形態によるマスクを提示している。マスクは、本体1を含む。それはアイマスクであるので、本体1は、着用者の眼球を含む顔面のゾーンの形状に適合してそれを覆うようになった全体形状を有する。従って、本体は、前側ゾーン12を取り囲むフレーム11を含むことができる。前側ゾーンは、透明構成することができる。それは、マスクのユーザがその適用中に見ることを可能にするように例えばポリカーボネートから又はガラスから形成することができる。フレーム11は、例えば、ユーザの鼻の通路のための下側切り欠き13を有することができる。本体は、液体(典型的に水)の蒸気で飽和した空気の取得がマスクの使用中、すなわち、適用期間中に求められるマスクの内側容積に対応する内側容積を形成する。
【0031】
本体は、本体が含むバッテリ15によって給電することができる典型的に抵抗器を含む電気加熱手段14を含む。バッテリは、特に、フレーム11の上側ゾーンに配置することができる。加熱手段14及びバッテリ15は本体の内側であるので、それらは、本発明の適正な理解のために図1では図式的に破線で表されている。
【0032】
バッテリは、必要に応じて例えば誤動作の場合に充電されたバッテリ又は新しいバッテリによって交換することができるように本体1に対して有利に取り外し可能である。それは、例えば、本体1の面上に設けられたトラップドアを通じてアクセス可能である場合がある。
【0033】
加熱手段14は、本体1の内面の周囲上に有利に分散される。それらが、マスクに含まれた空気が十分な時間(例えば10分程度の)にわたって飽和されることを可能にする量の水を蒸発させるのに十分なエネルギで加熱されることを可能にするために、再充電可能リチウムバッテリが有利に使用される。
【0034】
本体はまた、マスクの内側の空気の温度を測定することを可能にする少なくとも1つの温度センサを含むことができる。1又は複数の温度センサは、治療中に温度の調整を可能にするためにプログラマブル温度調整システムを通じて加熱手段にリンクされる。
【0035】
本体1はまた、マスクがその使用中に定位置に保持されることを可能にする手段を担持することができる。弾性ストラップは、そのような目的に対して成功裏に使用することができる。弾性ストラップは、マスクが使用される時にユーザの頭部の周りを通されるような寸法を有する。
【0036】
マスクはまた、取り外し可能部材2を含む。取り外し可能部材2は、本体1に取り付けられる又はそれから分離される場合がある。本明細書に表した実施形態では、取り外し可能部材は、密封すること及び液体のリザーバとしての二重機能を有する。
【0037】
より具体的には、表した例では、取り外し可能部材2は、リザーバの機能を有する第1の部分3と1又は複数の密封機能を提供する第2の部分4とを含む。第1の部分3及び第2の部分4は、互いにリンクされた異なる部品によって構成することができる。特に、第2の部分4は、第1の部分3の上に成形することができる。
【0038】
リザーバ機能は、取り外し可能部材2の壁31によって与えられる。壁31には、開口32が設けられる。開口32は、表した実施形態では、壁31を通って延びる貫通孔である。これらのオリフィスは、様々な形状を有することができる。それにも関わらず、特に図2及び図3に表すように、丸い孔(円筒回転体の形状を有する壁31内のオリフィス32を形成する)を有利に使用することができる、そのようなオリフィスは、工業規模での生産という状況で、特に直接成形によって又は穿孔によって容易に取得することができる。更に、丸い孔は、洗浄しやすい。最後に、それらは、それらが穿孔される部材の剛性の損失を限定する(他の形状の孔と比較して)。
【0039】
オリフィス32は、そこに容易に水が、取り外し可能部材2又はオリフィス32を含む取り外し可能部材2の少なくとも第1の部分3が浸漬された時に、浸透することを可能にし、一方で水(又は他の液体)が、取り外し可能部材が浮上した時にオリフィス32の壁を用いて生成された表面張力効果の下で保持されることを可能にするような寸法を有する。丸い孔の場合に、オリフィス32の直径は、1.00と1.50mmの間で構成することができ、例えば、全てのオリフィスが1.30mmの平均直径を有することが可能である。
【0040】
更に、オリフィスの数は、リザーバが、マスクに対して予め定められた全体適用時間にわたってマスク内のその液体の蒸気で飽和した空気の存在を保証するが、ただし、蒸発を困難かつ非常にエネルギを消耗するものにし、そのためにマスクに十分な容量のバッテリを備えることが複雑であると考えられる液体の量を過大にすることなく十分な液体(一般的に水)を含むようになっている。
【0041】
すなわち、水保持オリフィスのサイズ及び数は、例えば、0.3gと2.5gの間の水、好ましくは0.5gと1.5gの間の水、より好ましくは0.7gと1gの間の水(又は、特にその質量及びオリフィスの壁に対して生成された表面張力の力に関して同一又は類似の物理特性を有する別の液体)を保持するように構成することができる。
【0042】
保持する水の量は、勿論、使用中にマスク内に保持された空気の量に依存し、それは、従って、マスクの内側容積に従って構成されることになる。150ml程度のマスクに捕捉された空気の内部容積を考慮した時に、完全に乾燥した空気から始まって、50℃の温度でのその飽和に必要な水の量は、0.0125gである。すなわち、必要とされる水の量は小さい。しかし、それにも関わらず、マスク使用中の蒸発の適正な制御を可能にするために、より大量の水を担持しなければならない。試験は、0.5g未満の水の量を使用することにより、リザーバを形成する部分が適用時間の終了時に完全に空になって乾燥し、最適の結果に対して望ましくない約10分続くマスクの適用を通して蒸発を制御することが困難であったことを示している。
【0043】
表した例示的実施形態では、マスクは、1.10と2.15mmの間で構成された平均厚みの壁に設けられた1.30の平均直径を有する510個のオリフィス32を含む。
【0044】
担持する水の最大量は蒸発に必要なエネルギ量によって本質的に限定されることを更に考慮すると、想定された0.5gの質量よりも眼立つほどに多い、例えば、1.5gまでの水を担持することができるリザーバを形成する部材を150ml程度の使用されるマスクの内部容積に使用することが可能である。
【0045】
更に、添付図面を参照して説明するようなリザーバを形成し、最大1.5gの水のストレージを可能にするオリフィス32を備えている部材は、リザーバを形成する部材がゆっくりとかつがたつくことなく操作される場合に、特に注意せずに操作されるか又は滴下乾燥する場合は0.7gと1gの間の水を保持することができ、これは、150ml程度の内部容積を有するマスクに対して担持する理想的な水の(又は液体の)量に対応することが見出されている。
【0046】
マスク使用中に水の蒸発及びマスクに存在する空気の飽和のために供給するエネルギに関して、供給されたエネルギの3/4は、熱が周囲に対して損失する時に残ると考えることができる。0.5gの水を蒸発させる必要があることを考慮すると、約8ワット時の10分の加熱により、4.8kJが得られ、これは、0.5gの水の蒸発に必要なエネルギの約4倍である。それによって予想される損失が補償される。
【0047】
勿論、マスクの内側に維持された空気の量に依存する蒸発する水の量に従って所要のエネルギは、類似の方式で近似され、結果的に適合させることができる。実際に、マスクに担持された空気をマスクの適用を通して適切な温度に、又は例えば35℃と50℃の間、好ましくは38℃と48℃の間で構成された適切な温度の範囲に維持するように温度調整が実行される。角膜の数ミリメートル前での内部蒸気/気温は、治療中に理想的に約40℃である。治療の有効性は、蒸気/気温だけでなく飽和のレベル及びシステムの内側の空気の移動(蒸気/空気混合物の移動)にも依存する。
【0048】
温度調整は、加熱手段14のための給電の調整によって得ることができる。電力の調整は、適切な電力の印加、又は経時的な加熱手段14の循環的な作動及び作動解除にある構成することができる。更に、加熱電力は、ユーザの安全上の理由から調整とは独立に制限される(例えば、あらゆる火傷のリスクを回避するために)。
【0049】
取り外し可能部材2は、ユーザの眼球を取り囲むように適合される。特に、取り外し可能部材2の壁31は、マスクを着用するユーザの顔面に対して実質的に直交方向に延びるように適合させることができる。取り外し可能部材2は、形状の適合又は挿入嵌合によって受け入れてリンクさせることができるように少なくとも本体1の内側形状の一部分、適合する部分にわたって外側形状をすることができる。形状のそのような適合を有する部分は、好ましくは、オリフィス32を含む壁31の部分である。オリフィス32を含む取り外し可能部材2のこの部分は、マスクを着用するユーザの顔面に対して遠位である部分33に対応する。
【0050】
取り外し可能部材2の第1の部分3は、可塑材料から製造することができ、可塑材料は、好ましくは、マスクがユーザの顔面に適用された時に第1の部分の良好な安定性を提供し、すなわち、ほとんど変形をもたらさないほど十分に剛性である。
【0051】
本明細書で表した例では、オリフィス32は、液体をユーザの眼球の周りに分散されるように格納することができるように壁31にわたって分散される。特に、オリフィス32は、4つの群のオリフィス、すなわち、取り外し可能部材2の上部分の上側群、取り外し可能部材2の底部分の下側群、取り外し可能部材2の右横部分上(すなわち、マスクを着用するユーザの右)に位置する第1の横群、及び取り外し可能部材2の左横部分上(すなわち、マスクを着用するユーザの左)に位置する第1の横群で壁31にわたって分散させることができる。
【0052】
ユーザの眼球の周りのオリフィスの分散は、いくつかの利点を有する。この構成により、ユーザの眼球の前のクリアランスが増大し、ユーザは、マスクを使用する場合に瞬きすることができる。瞬きにより、マイボーム腺の閉塞解消に関する飽和熱気の効果が高まる。
【0053】
ユーザの眼球の前に位置するマスクの壁はリザーバとして使用されないので、この壁は、他の機能専用構成することができる。例えば、透明な壁は、明瞭な見通しをマスク使用中に維持することができる。
【0054】
更に、加熱手段は、オリフィス32に閉じ込められた液体を熱伝導によって加熱するために本体1の内面の周囲上に分散される。マスクのこの構成、並びにフレーム11の上側ゾーン内のバッテリの位置により、マスクの片持ち式の重量が低減される(換言すると、マスクの重量の殆どは、マスクが使用される時にユーザの顔面の近くにある)。それによってマスク使用の違和感のなさが改善する。
【0055】
いくつかの群、例えば、上述のように4つの群のオリフィスへの分散により、オリフィスは、取り外し可能部材2の製造時に群単位で生成することができる。典型的には、同じ群のオリフィスは、互いに平行である軸に一致して向けることができる。向きは、オリフィスの広がりの全体的な方向、すなわち、例えば、オリフィスが実質的に円筒形の形状を有する場合は円筒形の主軸に対応する。
【0056】
先に定められた4つの群の場合に、第1の方向に向けることができる上側群及び下側群のオリフィス及び横群のオリフィスは、第2の方向に向けることができる。
【0057】
第1及び第2の方向は、互いに直角構成することができる。
【0058】
第1の部分3のモールド上に得られるオリフィス32の場合に、オリフィスの向きは、mildの容積を通過する円筒形ピンによって定められる。工業状況では、これらのピンは、オリフィスの同じ群に関して互いに平行である。オリフィスの群は、中実ゾーン38によって分離することができ、中実ゾーン38により、蒸発する水のマスクにおける分散をあまりに劣化させることなく、第1の部分3の成形時に工具の定位置の配置が容易になる。
【0059】
オリフィスの方向は全てのオリフィスに対して壁31に必ずしも厳密に垂直であるというわけではないので、オリフィス32は、円形オリフィスに関して、オリフィスの主軸に従って向けられた直線的な円筒の交差及び壁31の複雑な形状によって定められた僅かに異なる形状を有する場合がある。
【0060】
図2及び図3に示すように、第1の部分3は、リザーバを共同で形成するオリフィス32に加えて、他の顕著な機能的な部材を有する。オリフィス32は、取り外し可能部材2が本体にリンクされた時に本体1の加熱手段14に対向する又は本体1の加熱手段14に対して配置する必要があり、一方、加熱手段14は、マスクの使用時に不快ではないように、液体の蒸発のために加熱手段14によって生成された熱に対してユーザの皮膚及び眼球から十分な距離を隔てて配置する必要がある。従って、第1の部分3は、ユーザの顔面に対して近位部分34と呼ばれるユーザの顔面に最も近い部分において大きいサイズの開口部35を含む。近位部分34は、全体的に、第1の部分3と第2の部分4の間の接合部の近くの部分である。
【0061】
開口部35は、第1の部分3がマスク使用時に容易に損傷又は圧砕(変形)されないほど十分な強度特性を維持することを可能にしながら可能な限り大きい寸法を有利に有する。換言すると、それらの強度特性をもたらすのに十分な材料36のストリップが保たれている。
【0062】
開口部35は、(壁31によって定められた)取り外し可能部材及びマスクの内側空間に向けられた角度を有する(材料36のストリップの下面及び上面にそれぞれ対応する)より大きい及びより小さい区域を有利に有することができ、液体をマスク適用中にその区域において凝縮することができるその内側空間に向けてもたらすようになっている。
【0063】
第1の部分3の壁31は、開口37を含むこともでき、開口37は、温度センサが可能な限り良好にマスクの内側の温度を測定するように、取り外し可能部材2が本体にリンクされた時に第1の部分3の壁31が本体1によって構成された温度センサ(又は複数のセンサ)を覆い隠さないように寸法決定及び配置される。マスクの内側空間の1又は2以上の点での温度の測定により、マスク使用中に加熱手段14の電力の調整が可能である。
【0064】
取り外し可能部材2の密封機能は、ユーザの顔面に対する取り外し可能部材2及び従ってより一般的にユーザの顔面に対するマスクの密封に関連する。取り外し可能部材の密封機能は、マスク内で液体(一般的に水)の蒸気で飽和した空気がマスク適用中にユーザの眼球の前に維持される密封された内側容積を形成するように本体1に対する取り外し可能部材2の密封にも関連する。密封により、雰囲気への有意な漏出なく十分な量の空気をマスクの内側容積内に維持するのに十分である気密性が生成されることを理解しなければならない。システムは、特に、マスクに担持された空気の2℃(又はそれ未満)の温度降下を生成すると考えられる空気の漏出を補償するように寸法決定することができる。
【0065】
密封を保証するために、取り外し可能部材2の第2の部分4は、好ましくは弾性である可撓性材料から生成することができる。(例えば、ゴムベース又はシリコーンベースの)エラストマーを使用することができる。
【0066】
ユーザの顔面に対する密封に関して、これは、ユーザの皮膚との第2の部分4の接触によって得られる。接触は、ユーザの眼球を取り囲む閉鎖されたライン又はストリップに沿って実質的に形成される。皮膚との良好な接触を得るために、第2の弾性部分4は、ユーザの顔面の形状に適応するように変形することができる。勿論、可能な限り多くのユーザに完全に適応するように、第2の部分4の形状は、顔面の形態又はユーザの年齢に従って適応させることができる。従って、第2の部分4に関して異なる形状又はより一般的にユーザが自分の顔面の形状に最良に適合された取り外し可能部材2を選んで使用することができるように顔面との接触のためのゾーンを有する取り外し可能部材を生成することが可能である。
【0067】
第2の部分4は、ユーザの顔面に接触するマスクの唯一の部分構成することができる。取り外し可能部材2は、ユーザの顔面の形状に最良に適合するだけでなく衛生上の問題のためにも変更することができる。
【0068】
実際に、患者は、治療を医療専門家の施設で受けるか、又は一部の場合にデバイスを借りる/有料で借りると考えられる。これは、問題であり、その理由は、特に、損なわれた涙液膜及び往々にして伝染性病状を有する個人に関して病状をその後のユーザに移すというリスクがあるからである。洗浄して次のユーザの前にデバイスを汚染除去する手法がデバイス供給業者によって行われている。この効果は、不明であり、いずれにせよ一貫せず、欠点のあるものであると考えられる。マスクは、ユーザ間で実質的に汚染を除くのに非常に困難である。マスクは、内部配電回路などを有する複数の部品で製造されるので、オートクレーブ成形する又は殺菌溶液に漬けることができない。
【0069】
密接個人療法であるものに関して、中古デバイスの使用に対する患者側に認められる抵抗が同じく存在する。更に、他の誰かによって使用されたデバイスを提供するのに医療専門家側から認められる抵抗がある。
【0070】
取り外し可能部材2は、次のユーザの前に交換することができる。これに代えて、(例えば、中実プラスチックで製造された第1の部分3及び可撓性材料から製造された第2の部分4を有する)簡単な構成を有する取り外し可能部材は、有利なことにオートクレーブ除染又は殺菌液体を使用して除染することができる。
【0071】
本体1に対する密封に関して、密封は、本明細書で表した例では取り外し可能部材2の第2の部分4によって行われる。図示していない実施形態では、別々のシールを使用してこの密封を行うことができる。
【0072】
2部分取り外し可能部材2の使用の別の利点は、剛性の第1の部分2は、軟質又は可撓性の第2の部分に堅さを与えて前者の作用することである。取り外し可能部材2は、マスクの本体に合うように弾性部分を拡張させることなく1つの簡単な動きで使用に向けてマスクに嵌合することができる。これは、デバイスが望ましい場合に通常的に使用されることを保証するために適合性に関して重要である。マスク適用開始時に、リザーバを互いに形成するオリフィス32は、液体、例えば、水で充填される。充填は、例えば、取り外し可能部材(又は、少なくともオリフィス32を含む取り外し可能部材2の一部)を液体で充填された容器に浸漬することによって達成される。取り外し可能部材2は本体にリンクされる。
【0073】
好ましくは、取り外し可能部材2は、本体にクリップ留めされる又は本体との挿入嵌合部を有する。
【0074】
取り外し可能部材2を有する更に別の利点は、マスクを取り外し可能部材2が本体1に取り付けられていない場合に使えないように構成することができることである。取り外し可能部材が不在である(更に、本体1の主要部分が後述するようにベース上にない)場合に、加熱手段14を無効にすることができ、及び/又は本体の形状は、マスクが取り外し可能部材2なしで装着することができないようなもの構成することができる。それによって水担体が取り付けられずにデバイスを使用する可能性が排除され、マスクの使用上の安全性及び信頼性が高まる。
【0075】
本体は、バッテリ15による加熱手段14の給電が単にマスク適用中にマスク内の空気を望ましい温度、例えば、38℃と48℃の間の温度範囲に保つのに供されるように、取り外し可能部材を定位置に配置する前に好ましくは外部エネルギ源によって予熱済み構成することができる。この場合に、温度を維持するためのみのバッテリの使用により、使用されるバッテリは、バッテリが加熱にも役立つ場合よりも小さいサイズ及び重量構成することができ、それによってマスクが着用された時にデバイスのユーザに対する違和感のなさが改善する。取り外し可能部材2が本体に取り付けられていない状態での予熱により、マスクがユーザの顔面に配置される前の液体の蒸発が回避される。
【0076】
その後に、ユーザは、マスクを顔面に配置する。マスクの内側空間は、リザーバを形成するオリフィス32から来る蒸気(例えば、水)で急速に飽和する。
【0077】
最適な適用時間は、10分程度である。この時間により、マイボーム腺によって蓄積した分泌物を流体化することができ、充血緩和の開始が可能である。充血緩和は、マスク適用後に眼瞼のマッサージによって有利に改善することができる。
【0078】
図4及び図5は、上述のようなマスク及びベース5を含む本発明が同じく関連するセットの2つの図を示している。
【0079】
ベース5は、マスクのそれが使用されない時の支持体を提供する。特に、ベース5は、取り外し可能部材なしで本体を受け入れるように有利に構成される。ベース5は、例えば、本体1の内側形状に実質的に適合するが、取り外し可能部材2が本体1にリンクされた時はそこに受け入れられることを可能にしない形状の凹み51を有する。
【0080】
ベース5は、取り外し可能部材2を受け入れるように構成されたハウジング52を含むことができる。
【0081】
ベース5は、レセプタクル6の受け入れ手段53も含むことができ、レセプタクル6は、取り外し可能部材2のオリフィス32の液体での充填に適合される。
【0082】
レセプタクル6は、取り外し可能部材2のオリフィス32を浸漬するのに十分な深度を有する。レセプタクルの形状は、レセプタクルの充填に必要な液体の量を限定するために取り外し可能部材2の壁31のキャビティに類似する形状のキャビティを有するようになっている。
【0083】
ベースは、2つの部材としてのマスク、並びにレセプタクル6を受け入れるように構成されるので、本発明によるセットを構成する部材(本体1、取り外し可能部材2、ベース5、及びレセプタクル6を含むマスク)は、特にデバイスが次に使用されるまで保管される場合に中心に集中させることが可能である。
【0084】
ベース5により、本体の給電を行うことができる。このために、ベース5は、適切な場合に適切な変圧器を通した電気回路網への接続のためのプラグ54を含むことができる。ベースの給電により、本体1のバッテリを再充電することができる。この再充電は、凹み51内の電気接点を通して実行することができ、本体は、対応する接点を含む。再充電は、本発明の別の変形において、誘導によって実行することができる。電気接点を通じた再充電の場合に、このシステムは、例えば、バッテリの再充電が30分から1時間までの範囲の時間に実行されるように構成することができる。
【0085】
ベースの給電は、本体の加熱手段14に直接に(寿命を延ばすためにバッテリ15を使用することなく)給電することを可能にすることができる。これは、ベースによる本体の給電が物理的な接点によって行われる場合に可能である。それによって加熱手段をマスク使用前に昇温することができ、それによってより低い機能のバッテリの使用及び速い温度上昇が可能である。実際に、温度上昇には、上述の温度上昇が速くなるように高い電力で送出される大量のエネルギが必要である。そのような電力は、自律的な使用に受容可能な容積及び質量のマスクに担持されたバッテリによって送出することができないと考えられる。
【0086】
例えば、予熱は、18ワット程度の電力で実行することができ、18ワット程度の電力により、一例として、20℃程度の周囲温度から始まって望ましい温度を3から5分で達成することができる。マスク内の望ましい温度がもたらされた後に、加熱手段の給電は、ユーザがマスクをベース5から引き抜くのを待っている間にマスクの温度を維持するために(例えば、約6ワットに)低減される。任意的に、温度維持は、マスクを引き抜いて自分の治療を実行するためにユーザが利用可能な時間に対応する時間量にわたってプログラムすることができる。その時間が経過した時に、加熱電力は、乱用的な又は望ましくないエネルギ消費を回避して加熱手段の寿命を最適化するために切断される。
【0087】
従って、ベース5、マスク、及びレセプタクル6を含むセットは、以下のシーケンスで使用することができる。
【0088】
レセプタクル6を受け入れ手段53から分離して液体(例えば、水)で充填する。取り外し可能部材2をハウジング52から引き抜き、取り外し可能部材2のオリフィス32が液体で充填されるようにレセプタクルに閉じ込められた液体に浸漬する。取り外し可能部材2をレセプタクルから抽出する。マスクの本体は、例えば、加熱手段の説明した段階の前に作動によってベース5上で恐らくは予熱することができる。
【0089】
予熱は、いくつかの利点を有する。予熱により、特に、冷液、例えば水による取り外し可能部材の充填によって誘導された温度降下を効率的に補償することができ、その後に、取り外し可能部材は、予め加熱された本体にリンクされる。予熱により、適用時にマスクの速い温度上昇が可能であり、治療効果は、望ましいゾーンにおける速い熱伝達によって予め定められた適用時間にわたって最適化される。
【0090】
部材が水で充填された取り外し可能部材2は、任意的に、過剰な液体の可能性を排除するためにレセプタクル6の上方で僅かに滴下乾燥させることができる。取り外し可能部材2を本体にリンクさせる。
【0091】
その後に、ユーザは、予め定められた適用時間にわたってマスクを顔面に配置し、その間、加熱電力は、マスクの着用によって誘導された温度降下、特に、冷液、例えば水による取り外し可能部材の充填によって誘導された温度降下を補償するように設定され、取り外し可能部材は、予熱された本体にリンクされている。例えば、補償は、担持されているバッテリによって9ワット程度の電力によって行うことができる。
【0092】
加熱電力は、例えば、5と6ワット程度の電力によって治療中に温度の維持を保証するように調整することができる。
【0093】
適用時間が経過した時に、適用後にデバイスをベース5に戻すように間欠的な注意喚起を行う電子ビープ音が鳴ることができる。ベースにより、本体1及び取り外し可能部材2を再充填して乾燥させることができる。好ましくは、ベース上でのみ、デバイスを次の作動サイクルのために開始することができる。
【0094】
適用時間経過後に、マスクをユーザの顔面から取り外す。ユーザは、マイボーム腺の閉塞解消を改善するために眼球のマッサージを手で行うことができる。取り外し可能部材のオリフィスに存在していた水の殆どは、一般的に適用中に蒸発済みである。取り外し可能部材2を引き抜き、任意的に、例えば、洗浄液に浸漬することによって洗浄することができ、その結果、菌の発生が制限される。本体1を凹み51内でベース上に再配置する。その後に、マスク適用中に本体上に形成した又は堆積した可能性がある本体の可能な残留液体を乾燥させるために加熱手段の作動の任意的なフェーズを実行することができる。それによってマスク上の菌発生の可能性が制限又は回避される。
【0095】
取り外し可能部材2は、恐らくは拭き取り後にハウジング52内でベース5上に格納され、恐らくはベース5上で乾燥させることができる。レセプタクル6が空になって恐らくは乾燥された状態で、それはまた、受け入れ手段53上でベース5上に格納することができる。
【0096】
ベース及び/又はマスクには、マスクのバッテリの充電及び恐らくは加熱手段の予熱の管理のための電子デバイスが設けられる。マスクには、適用を管理することを可能にする電子デバイスが設けられる。特に、手段は、マスクの適用持続時間を時間調整することを可能にし、望ましい適用持続時間の経過を(可聴及び/又は可視信号によって)示すことができる。一部の変形において、この適用持続時間は、制御することができる。適用時間又は治療時間の長さの制御は、加熱手段の寿命を最適化することを可能にすることができる。
【0097】
作動時間及び作動温度は、製造時に設定することができるが、任意的にプログラマブルにすることができる。特に、デバイスは、例えば、ユーザに従って適用持続時間及び適用温度を適用中に適応させるように、かつ必要であれば持続時間及び温度を変更することができるように任意的に再プログラマブルにすることができる。デバイスの再プログラミングは、無線又は有線通信システムを通して実行することができる。例えば、(コンピュータ、タブレット、スマートフォン、又は専用再プログラミングユニットのような外部システム上にインストールされた)専用アプリケーションにより、適用時間及び温度又は温度範囲の長さの選択がマスクにおける調整のために可能にされる。外部システムは、例えば、無線リンク(例えば、Bluetooth(登録商標))を通して再プログラミングのためにマスクと通信する。
【0098】
マスク(特にマスクの本体1)は、例えば、発光ダイオードベースの1又は2以上の発光インジケータを含むことができ、1又は2以上の発光インジケータは、外側から及び/又は内側から(すなわち、マスクを着用するユーザによって)見ることができる。発光インジケータは、様々な情報、すなわち、バッテリの充電レベル、充電が進行中であること、デバイスのオン又はオフのステータス、加熱手段の作動、適用時間の経過などをユーザに通信することを可能にすることができる、
【0099】
マスク(特にマスクの本体)及び/又はベース5は、いわゆる結合オブジェクトである場合がある。より詳細には、マスク(特にマスクの本体)及び/又はベース5は、外部システムと有線又は無線通信手段及びプロトコルを通して通信するように適応させることができる。ベースは、通信ポートを含むことができる。マスク及び/又はステーションは、データを受信する又は電子デバイス又はサーバに送信することができる。電子デバイスは、専用プログラム又はアプリケーションを実行するコンピュータ、スマートフォン、又はタブレットのような個人電子デバイスである場合がある。送信又は受信したデータは、マスクの使用、保守などに関する情報に関連する場合がある。
【0100】
この接続を使用して、例えば、医療施術者に患者がマスクを毎日、毎週、毎月にどの程度使用したかを示し、従って、医者との彼の予約の各々に対して使用を追跡することができる。この接続システムはまた、例えば、治療の開始及び終了時に記録された温度を示すことができる。
【0101】
マスク又はベースは、例えば、適用中の適用時間、加熱温度、又は温度プロファイルに関して遠隔プログラマブルにすることができる。
【0102】
一部の実施形態では、通信は、マスクの本体とベースの間に確立することができる。それによってマスク及びベースは、情報を交換することができる。例えば、マスクのプログラミングは、データをマスクに送信するベースにデータを供することによって実行することができる。使用中にマスクに格納されたデータは、ベースを通してダウンロードすることができる。
【0103】
このように開発された本発明は、マイボーム腺を望ましい適用時間にわたって典型的に水蒸気で飽和した熱気に露出することによって眼球の角膜を覆う涙液膜の品質を改善することにより、ドライアイに対して作用ことを可能にする自律的なマスクを提供する。本発明に説明するマスクは、水をマスクの適用時間にわたって蒸発させることを可能にする加熱手段、並びに少なくとも望ましい温度を適用時間にわたってマスクに維持するように加熱手段に給電することを可能にするエネルギ源、すなわち、電気バッテリを含むということで自律的である。更に、水を保持するオリフィスを水とこれらのオリフィスの壁の間の表面張力効果の下で使用する液体(一般的に水)のためのリザーバの特定の構成により、適用開始時にマスクに担持された水の量の正確な制御、並びに容易な充填及び洗浄が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5